(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052321
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
A61B6/00 320Z
A61B6/00 390C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158968
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】菅原 將高
(72)【発明者】
【氏名】小林 丈恭
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA18
4C093CA34
4C093EE19
4C093FA15
4C093FA54
4C093FA55
4C093FB01
4C093FB02
4C093FB12
4C093FF15
4C093FF33
(57)【要約】
【課題】放射線画像を適切に撮影できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】コンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検体の三次元形状を取得し、被検体の放射線画像を撮影する場合の被検体の姿勢について予め定められた基準姿勢と、三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、被検体に放射線を照射する放射線源の移動量を導出し、移動量に応じて、放射線源を移動させるよう制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
被検体の三次元形状を取得し、
前記被検体の放射線画像を撮影する場合の前記被検体の姿勢について予め定められた基準姿勢と、前記三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、前記被検体に放射線を照射する放射線源の移動量を導出し、
前記移動量に応じて、前記放射線源を移動させるよう制御する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記移動量として、前記放射線源の少なくとも1つの軸周りにおける回動量を導出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記移動量として、前記放射線源の少なくとも一方向への並進量を導出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記移動量として、前記放射線源の少なくとも1つの軸周りにおける回動量、及び前記放射線源の少なくとも一方向への並進量を導出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
導出した前記移動量が予め定められた閾値を超える場合、報知する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記閾値として段階的に複数の閾値が設けられ、
前記プロセッサは、
導出した前記移動量と前記複数の閾値との比較によって区分を判別し、区分に応じた内容を報知する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記移動量が予め定められた標準範囲内であるか否かを報知する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記放射線画像を適切に撮影できないことを報知する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記三次元形状に基づいて、前記被検体の関節点を特定し、
前記関節点を用いて前記推定姿勢を推定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記基準姿勢は、撮影部位に応じた撮影法ごとに予め定められており、
前記プロセッサは、
撮影法の指定を受け付け、
指定された撮影法に対応する前記基準姿勢と、前記推定姿勢と、の差分に基づいて、前記移動量を導出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記撮影法がストライカー法である場合、前記基準姿勢及び前記推定姿勢は、前記被検体の肘から肩を結ぶ直線と前記放射線の検出面とのなす角度によって定められる
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記撮影法が膝関節側面撮影法である場合、前記基準姿勢及び前記推定姿勢は、前記被検体の膝から足首を結ぶ直線と前記放射線の検出面とのなす角度によって定められる
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記撮影法がアントンセン氏法である場合、前記基準姿勢及び前記推定姿勢は、
矢状面における前記被検体の踵から足趾を結ぶ直線と前記放射線の検出面とのなす角度と、
横断面における前記被検体の踵から足趾を結ぶ直線と前記放射線の検出面とのなす角度と、
前記被検体の膝から足首を結ぶ直線と前記被検体の頭尾方向に略平行な照射野の辺とのなす角度と、
によって定められる
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
64列以上かつ512列以下のレーザ光を用いた測距センサによって計測された前記三次元形状を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
TOF(Time Of Flight)カメラによって計測された前記三次元形状を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
ステレオカメラによって計測された前記三次元形状を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項17】
被検体の三次元形状を取得し、
前記被検体の放射線画像を撮影する場合の前記被検体の姿勢について予め定められた基準姿勢と、前記三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、前記被検体に放射線を照射する放射線源の移動量を導出し、
前記移動量に応じて、前記放射線源を移動させるよう制御する
処理を含む情報処理方法。
【請求項18】
被検体の三次元形状を取得し、
前記被検体の放射線画像を撮影する場合の前記被検体の姿勢について予め定められた基準姿勢と、前記三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、前記被検体に放射線を照射する放射線源の移動量を導出し、
前記移動量に応じて、前記放射線源を移動させるよう制御する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科等における骨及び関節等の放射線撮影においては、撮影部位を適切な状態で観察できるように、被検者自身が予め定められた姿勢をとったうえで撮影することが行われている。例えば、肩関節の撮影法の一種であるストライカー法においては、仰臥位の状態で上腕を撮影台から135度の角度で挙上する姿勢が被検者のとるべき姿勢として定められている(
図6参照)。医師及び技師等のユーザは、被検者の撮影部位を適切に撮影できるように、被検者の姿勢と放射線源の位置及び照射角度とを調整する(いわゆる「ポジショニング」)。
【0003】
従来、このような放射線撮影におけるポジショニングを支援する各種技術が知られている。例えば特許文献1には、被検体の光学画像に基づいて被検体の特徴部位の3次元的な位置情報を取得し、位置情報に基づいて被検体の特徴部位が撮影位置に移動するように撮影台の天板の移動量を算出し、算出した移動量に基づいて天板を移動させることが開示されている。また例えば特許文献2には、本撮影の前に放射線量を抑えたプレ撮影を行い、プレ撮影により得られるプレ画像に基づいて、ポジショニングの適否を判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-038908号公報
【特許文献2】特開2022-066616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被検者の体型、身体能力及び負傷状態等によっては、上述したような予め定められた姿勢をとることが困難な場合がある。そこで、被検者が予め定められた姿勢をとっていない場合でも、撮影部位を適切に観察できるような放射線画像を撮影できる技術が求められている。
【0006】
本開示は、放射線画像を適切に撮影できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様は、情報処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検体の三次元形状を取得し、被検体の放射線画像を撮影する場合の被検体の姿勢について予め定められた基準姿勢と、三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、被検体に放射線を照射する放射線源の移動量を導出し、移動量に応じて、放射線源を移動させるよう制御する。
【0008】
本開示の第2態様は、上記第1態様において、プロセッサは、移動量として、放射線源の少なくとも1つの軸周りにおける回動量を導出してもよい。
【0009】
本開示の第3態様は、上記第1態様又は第2態様において、プロセッサは、移動量として、放射線源の少なくとも一方向への並進量を導出してもよい。
【0010】
本開示の第4態様は、上記第1態様から第3態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、移動量として、放射線源の少なくとも1つの軸周りにおける回動量、及び放射線源の少なくとも一方向への並進量を導出してもよい。
【0011】
本開示の第5態様は、上記第1態様から第4態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、導出した移動量が予め定められた閾値を超える場合、報知してもよい。
【0012】
本開示の第6態様は、上記第5態様において、閾値として段階的に複数の閾値が設けられ、プロセッサは、導出した移動量と複数の閾値との比較によって区分を判別し、区分に応じた内容を報知してもよい。
【0013】
本開示の第7態様は、上記第5態様又は第6態様において、プロセッサは、移動量が予め定められた標準範囲内であるか否かを報知してもよい。
【0014】
本開示の第8態様は、上記第5態様から第7態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、放射線画像を適切に撮影できないことを報知してもよい。
【0015】
本開示の第9態様は、上記第1態様から第8態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、三次元形状に基づいて、被検体の関節点を特定し、関節点を用いて推定姿勢を推定してもよい。
【0016】
本開示の第10態様は、上記第1態様から第9態様の何れか1つにおいて、基準姿勢は、撮影部位に応じた撮影法ごとに予め定められており、プロセッサは、撮影法の指定を受け付け、指定された撮影法に対応する基準姿勢と、推定姿勢と、の差分に基づいて、移動量を導出してもよい。
【0017】
本開示の第11態様は、上記第10態様において、撮影法がストライカー法である場合、基準姿勢及び推定姿勢は、被検体の肘から肩を結ぶ直線と放射線の検出面とのなす角度によって定められてもよい。
【0018】
本開示の第12態様は、上記第10態様において、撮影法が膝関節側面撮影法である場合、基準姿勢及び推定姿勢は、被検体の膝から足首を結ぶ直線と放射線の検出面とのなす角度によって定められてもよい。
【0019】
本開示の第13態様は、上記第10態様において、撮影法がアントンセン氏法である場合、基準姿勢及び推定姿勢は、矢状面における被検体の踵から足趾を結ぶ直線と放射線の検出面とのなす角度と、横断面における被検体の踵から足趾を結ぶ直線と放射線の検出面とのなす角度と、被検体の膝から足首を結ぶ直線と被検体の頭尾方向に略平行な照射野の辺とのなす角度と、によって定められてもよい。
【0020】
本開示の第14態様は、上記第1態様から第13態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、64列以上かつ512列以下のレーザ光を用いた測距センサによって計測された三次元形状を取得してもよい。
【0021】
本開示の第15態様は、上記第1態様から第13態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、TOF(Time Of Flight)カメラによって計測された三次元形状を取得してもよい。
【0022】
本開示の第16態様は、上記第1態様から第13態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、ステレオカメラによって計測された三次元形状を取得してもよい。
【0023】
本開示の第17態様は、情報処理方法であって、被検体の三次元形状を取得し、被検体の放射線画像を撮影する場合の被検体の姿勢について予め定められた基準姿勢と、三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、被検体に放射線を照射する放射線源の移動量を導出し、移動量に応じて、放射線源を移動させるよう制御する処理を含む。
【0024】
本開示の第18態様は、情報処理プログラムであって、被検体の三次元形状を取得し、被検体の放射線画像を撮影する場合の被検体の姿勢について予め定められた基準姿勢と、三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、被検体に放射線を照射する放射線源の移動量を導出し、移動量に応じて、放射線源を移動させるよう制御する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0025】
上記態様によれば、本開示の情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムは、放射線画像を適切に撮影できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図3】コンソールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】コンソールの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】ストライカー法の撮影の様子を示す概略図である。
【
図7】ディスプレイに表示される報知の一例を示す図である。
【
図8】ディスプレイに表示される報知の一例を示す図である。
【
図9】ディスプレイに表示される報知の一例を示す図である。
【
図10】区分ごとの報知内容の一例を示す図である。
【
図11】膝関節側面撮影法の撮影の様子を示す概略図である。
【
図12】アントンセン氏法の撮影の様子を示す概略図である。
【
図13】アントンセン氏法の撮影の様子を示す概略図である。
【
図14】アントンセン氏法の撮影の様子を示す概略図である。
【
図15】情報処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、撮影システム1の構成について説明する。
図1は、撮影システム1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、撮影システム1は、撮影装置10と、コンソール50とを備える。撮影装置10とコンソール50、コンソール50と外部のRIS(Radiology Information System)6は、有線又は無線のネットワークを介して接続可能に構成されている。
【0028】
コンソール50は、RIS6から撮影オーダ等を取得し、取得した撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて、撮影装置10の制御を行う。撮影装置10は、コンソール50の制御に応じて、被検者の放射線画像を撮影する。コンソール50が本開示の情報処理装置の一例である。
【0029】
次に、
図2を参照して、撮影装置10について説明する。
図2は、撮影装置10の概略構成を示す図であり、被検体Hの右側から撮影装置10を見た場合の側面図である。
図2に示すように、撮影装置10は、放射線照射部12と、撮影台16と、放射線検出器20と、制御装置24と、測距センサ28と、を備える。撮影装置10では、医師及び技師等のユーザによって、撮影台16の撮影面16A上において被検体Hの撮影部位が適切に撮影されるようポジショニングされる。
【0030】
放射線照射部12は、例えばX線等の放射線Rを照射する放射線源13を備える。また、放射線照射部12は、コリメータ(図示省略)等を備え、放射線源13から照射される放射線Rの照射野を変更可能に構成されている。
【0031】
また、放射線照射部12は、撮影室の天井から吊り下げられた支柱14に保持される。支柱14は、天井に巡らされたレールに車輪を介して取り付けられており(図示省略)、撮影室内において水平方向(X方向及びY方向)に移動可能である。また、支柱14は鉛直方向(Z方向)に伸縮可能である。また、撮影装置10は、これらの支柱14の水平方向の移動及び鉛直方向の伸縮を行うモータ等の移動機構を備える(図示省略)。支柱14の水平方向の移動及び鉛直方向の伸縮によって、放射線照射部12も水平方向及び鉛直方向に並進移動される。
【0032】
また、放射線照射部12は、支柱14と回動可能に連結され、水平方向(
図2の位置ではX方向)に延びる回動軸α周りに回動可能である。これにより、放射線Rを被検体Hの頭の方向又は足の方向に傾けて照射する斜入撮影が可能となる。また、放射線照射部12は、鉛直方向(Z方向)に延びる回動軸β周り(すなわち支柱14周り)に回動可能である。これにより、被検体Hの撮影部位への位置合わせが可能となる。また、撮影装置10は、これらの放射線照射部12の回動軸α及び回動軸β周りの回動を行うモータ等の回動機構を備える(図示省略)。
【0033】
撮影台16は、臥位姿勢の被写体Hを放射線撮影するための撮影台である。撮影台16の天板内には、放射線検出器20が内蔵される。放射線検出器20は、被検体H及び撮影台16の天板を透過した放射線Rを検出面20Aで検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。
【0034】
なお、放射線検出器20の種類は特に限定されない。例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。また例えば、放射線検出器20は、カセッテが着脱可能に収容され、スライド機構(図示省略)によって撮影台16の長辺方向(Y方向)に沿って移動可能なものであってもよい。また例えば、放射線検出器20は、撮影台16の天板の略全面に相当するサイズを有するものであって、着脱不能に収容されるものでもよい。
【0035】
制御装置24は、コンソール50及びユーザからの指示に応じて、撮影装置10の全体の動作を制御する。具体的には、制御装置24は、放射線照射部12について水平方向及び鉛直方向への移動制御、回動軸α及び回動軸β周りの回動制御、並びに放射線Rの照射制御(例えば管電圧、管電流及び照射時間等の設定)を行う。
【0036】
また、制御装置24は、放射線検出器20において生成された放射線画像を表す画像データを取得し、コンソール50に出力する。また、制御装置24は、測距センサ28において計測された被検体Hの三次元形状を取得し、コンソール50に出力する。
【0037】
制御装置24は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶媒体、I/F(Interface)部及び操作部等を含んで構成される(図示省略)。制御装置24は、I/F部を介してコンソール50と各種情報の授受を行う。
【0038】
測距センサ28は、被検体Hの少なくとも撮影部位の三次元形状を取得するためのセンサである。測距センサ28は、例えば
図2に示すように放射線照射部12の放射線Rの照射開口と略同一の面に取り付けられていてもよいし、支柱14及び撮影室の天井等に取り付けられていてもよい。
【0039】
測距センサ28としては、例えば、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging又はLight Detection and Ranging)、TOF(Time Of Flight)カメラ、及びステレオカメラ等を適用できる。LIDAR及びTOFカメラは、赤外線及び可視光等の光を被検体Hに照射し、その反射光を受光するまでの時間又は出射光と受光光との位相変化に基づいて、被検体Hとの間の距離を測定するものである。LIDARは、レーザ光の射出機を垂直方向に複数配置し、それぞれの射出機が水平走査(回転)することによって、被検体Hの三次元形状を計測する。TOFカメラは、拡散光を照射することによって、被検体Hの三次元形状を計測する。ステレオカメラは、被検体Hを異なる方向から撮影して得られる複数の画像に基づいて、三角測量の原理を用いて被検体Hの三次元形状を計測する。
【0040】
なお、プライバシー保護の観点から、測距センサ28としては、特に64列以上かつ512列以下のレーザ光を用いた(すなわちレーザ光の射出機が垂直方向に64列以上かつ512列以下だけ配置され、それぞれが水平走査する)LIDARを用いることが好ましい。64列以上とすることで被検体Hの三次元形状を十分な精度で取得でき、512列以下とすることで被検体Hの個人を特定できない程度の粗さとすることができる。
【0041】
ところで、整形外科等における骨及び関節等の放射線撮影においては、撮影部位を適切な状態で観察できるように、被検体H自身が予め定められた姿勢(以下「基準姿勢」という)をとったうえで撮影することが行われている。例えば、肩関節の撮影法の一種であるストライカー法においては、仰臥位の状態で上腕を撮影台16から135度の角度で挙上する姿勢が被検体Hのとるべき基準姿勢として定められている(
図6参照)。
【0042】
一方で、被検体Hの体型、身体能力及び負傷状態等によっては、このような基準姿勢をとることが困難な場合がある。そこで、本実施形態に係るコンソール50は、被検体Hの姿勢に応じて放射線Rの照射位置及び照射角度を制御することで、被検体Hが基準姿勢をとっていない場合でも、撮影部位を適切に観察できるような放射線画像を撮影できるように支援する。以下、コンソール50について説明する。
【0043】
まず、
図3を参照して、コンソール50のハードウェア構成の一例を説明する。
図3に示すように、コンソール50は、CPU(Central Processing Unit)51、不揮発性の記憶部52、及び一時記憶領域としてのメモリ53を含む。また、コンソール50は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ54、タッチパネル、キーボード及びマウス等の操作部55、並びにI/F(InterFace)部56を含む。I/F部56は、撮影装置10、RIS6及びその他外部装置等との有線又は無線通信を行う。CPU51、記憶部52、メモリ53、ディスプレイ54、操作部55及びI/F部56は、システムバス及びコントロールバス等のバス58を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0044】
記憶部52は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部52には、コンソール50における情報処理プログラム57が記憶される。CPU51は、記憶部52から情報処理プログラム57を読み出してからメモリ53に展開し、展開した情報処理プログラム57を実行する。CPU51が本開示のプロセッサの一例である。コンソール50としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末等を適宜適用できる。
【0045】
また、記憶部52には、基準姿勢情報70が記憶される。
図4に、基準姿勢情報70の一例を示す。
図4に示すように、基準姿勢情報70は、例えば肩関節、膝関節及び足関節等の撮影部位に応じた撮影法ごとに予め定められている。具体的には、撮影法ごとに、被検体Hがとるべき基準姿勢が角度によって定められている。
【0046】
次に、
図5を参照して、コンソール50の機能的な構成の一例について説明する。
図5に示すように、コンソール50は、取得部60、推定部62、導出部64及び制御部66を含む。CPU51が情報処理プログラム57を実行することにより、CPU51が取得部60、推定部62、導出部64及び制御部66の各機能部として機能する。
【0047】
(実施例1)
以下、
図6を参照して、肩関節の撮影法の一種であるストライカー法による撮影を行う例を用いて各機能部の機能について説明する。
図6は、ストライカー法で被検体Hの右の肩関節の撮影を行う様子を示す概略図であり、被検体Hの右側から撮影装置10を見た場合の側面図である。
図6では、ストライカー法における基準姿勢を点線で示し、実際に被検体Hがとっている姿勢を実線で示している。ストライカー法の基準姿勢は、仰臥位の状態で上腕を撮影台16から135度の角度で挙上する姿勢である。また、放射線Rは、被検体Hの腋窩に向けて距離100cmの位置から検出面20Aに対して垂直に照射される。
【0048】
取得部60は、撮影装置10の測距センサ28によって計測された被検体Hの三次元形状を取得する。例えば、取得部60は、
図6の実線で示された被検体Hの三次元形状を取得する。なお、取得部60は、少なくとも撮影部位が含まれる三次元形状を取得すればよい。例えばストライカー法においては、少なくとも肩関節の部分が含まれる三次元形状を取得すればよい。
【0049】
また、取得部60は、撮影を行っている撮影法の指定を受け付ける。例えば、取得部60は、RIS6から撮影法の指定を含む撮影オーダを取得してもよい。また例えば、取得部60は、操作部55を介してユーザによる撮影法の指定を受け付けてもよい。
【0050】
推定部62は、取得部60により取得された被検体Hの三次元形状に基づいて、被検体Hがとっている姿勢を推定する。以下、推定部62により被検体Hがとっていると推定された姿勢を「推定姿勢」という。具体的には、推定部62は、被検体Hの関節点を特定し、特定した関節点を用いて推定姿勢を推定する。ここで、推定部62が特定する関節点は、指定された撮影法に対応するものである(
図4参照)。
【0051】
例えば、
図6に示すように撮影法がストライカー法である場合、推定部62は、関節点として被検体Hの肘Pと肩Qを特定する。そして、被検体Hの肘Pから肩Qを結ぶ直線と放射線の検出面20A(放射線検出器20の上面)とのなす角度θを推定姿勢として推定する。なお、関節点の特定方法としては、公知の技術を適宜適用できる。
【0052】
導出部64は、被検体Hの放射線画像を撮影する場合の被検体Hの姿勢について予め定められた基準姿勢と、推定部62により推定された推定姿勢と、の差分に基づいて、被検体Hに放射線Rを照射する放射線源13の移動量を導出する。具体的には、導出部64は、基準姿勢情報70を参照し、指定された撮影法に対応する基準姿勢と、推定姿勢と、の差分に基づいて、移動量を導出する。
【0053】
ここで、導出部64により導出される移動量とは、放射線源13の少なくとも1つの軸周りにおける回動量であってもよい。例えば、導出部64は、
図2の放射線照射部12について、回動軸α及び/又は回動軸β周りの回動量を導出してもよい。また例えば、導出部64により導出される移動量とは、放射線源13の少なくとも一方向への並進量であってもよい。例えば、導出部64は、
図2の放射線照射部12について、X方向、Y方向及び/又はZ方向への並進量を導出してもよい。また例えば、導出部64は、上記の回動量及び並進量を適宜組み合わせて導出してもよい。
【0054】
例えば、
図6に示すように撮影法がストライカー法である場合、導出部64は、基準姿勢と推定姿勢との差分だけ放射線源13を尾頭方向(
図6のφ方向)に傾けてもよい。例えば、
図4の基準姿勢情報70で定められたとおり基準姿勢θrは135度であり、推定部62により推定された推定姿勢θが95度であるとする。この場合、それらの差分(θr-θ)は40度となるため、導出部64は、放射線源13の回動軸α周りの回動量φを、尾頭方向に40度となるよう導出してもよい。
【0055】
また、放射線源13を並進移動させずに回動軸α周りに40度回転させると、放射線Rは腋窩ではなく被検体Hの頭の方向にずれて照射されてしまうため、適切に腋窩に放射線Rが照射されるような位置に放射線源13を並進移動させる必要がある。そこで例えば、導出部64は、三次元形状に基づいて腋窩の位置を特定し、腋窩を中心とした半径100cm(放射線源13と腋窩との予め定められた距離に相当)の円周上に放射線源13を移動させるよう、Y方向への並進量DyとZ方向への並進量Dzとを導出してもよい。
【0056】
制御部66は、導出部64により導出された移動量に応じて、放射線源13を移動させるよう制御する。すなわち、制御部66は、放射線源13を、回動量φ分だけ回動させ、Y方向へ並進量Dy分だけ移動させ、Z方向へ並進量Dz分だけ移動させるよう、撮影装置10の制御装置24に対して指示する。
【0057】
また、制御部66は、導出部64により導出された移動量が予め定められた閾値を超える場合、報知してもよい。例えば放射線Rの照射角度については、
図4の基準姿勢情報70に示すように基準となる値が定まっているが、実際の撮影現場では被検体Hの体型等に応じて医師及び技師等のユーザが適宜調整する場合がある。そこで、撮影法についてのガイドライン等では、放射線Rの照射角度等に幅を持たせた標準範囲が定められている場合がある。例えばストライカー法については、放射線Rの照射角度は検出面20Aから90度が最適であるが、検出面20Aから80度(すなわち回動量φとしては10度)程度に傾けることも標準的に認められている。
【0058】
そこで制御部66は、導出部64により導出された移動量が、ガイドライン等で予め定められた標準範囲内であるか否かを報知してもよい。具体的には、ガイドライン等で予め定められた許容範囲の上限及び/又は下限を閾値として予め設定しておき、制御部66は、導出部64により導出された移動量が閾値を超えるか否かを判定し、判定結果に応じた報知を行ってもよい。
【0059】
例えば、導出部64により導出された移動量が標準範囲を満たす場合、制御部66は、
図7に示すような画面D1をディスプレイ54に表示させる制御を行ってもよい。画面D1は、被検体Hが基準姿勢をとれていないものの、放射線源13の移動は標準範囲内で済み、適切な撮影が可能であることを報知するものである。一方、導出部64により導出された移動量が標準範囲を満たさない場合、制御部66は、
図8に示すような画面D2をディスプレイ54に表示させる制御を行ってもよい。画面D2は、被検体Hが基準姿勢をとれておらず、放射線源13の移動も標準範囲を超えてしまうが、適切な撮影を行うことは可能であることを報知するものである。
【0060】
また、放射線源13をどう移動させても、撮影部位を適切に観察できるような放射線画像を撮影することが困難な場合がある。例えばストライカー法の撮影において、被検体Hが上腕をほとんど挙上できない場合は、放射線源13の照射角度及び位置を調整したとしても、肩関節に肘等の他の部位が重なってしまうため適切な撮影は困難になる。また例えば、ストライカー法の撮影において、上述したように腋窩を中心とした半径100cmの円周上で放射線源13を回動及び並進移動させようとしても、移動量が大きすぎると放射線照射部12の筐体が被検体H及び撮影台16等に障ってしまうため移動できない。
【0061】
そこで制御部66は、放射線画像を適切に撮影できないことを報知してもよい。具体的には、人体構造及び/又は撮影装置10の機械的制約に基づいて適切な撮影を行える移動量の上限及び/又は下限を閾値として予め設定しておいてもよい。例えば、導出部64により導出された移動量がこの人体構造及び/又は撮影装置10の機械的制約に基づいて設定された閾値を超える場合、制御部66は、
図9に示すような画面D3をディスプレイ54に表示させる制御を行ってもよい。画面D3は、被検体Hが基準姿勢をとれておらず、放射線源13を移動させても、放射線画像を適切に撮影できないことを報知するものである。
【0062】
また、上記の各閾値及び報知内容を適宜組み合わせてもよい。例えば
図10に示すように、閾値として段階的に複数の閾値を予め設け、制御部66は、導出部64により導出された移動量と複数の閾値との比較によって区分を判別し、区分に応じた内容を報知してもよい。このような閾値、区分方法及び報知内容は、例えば撮影法ごとに予め定められ、記憶部52に記憶されていてもよい。なお、
図10に示すように、制御部66は、被検体Hが基準姿勢をとれており、放射線源13を移動させなくても適切な撮影ができる場合(すなわち導出部64により導出された移動量が0の場合)は、その旨を報知してもよい。
【0063】
なお、報知の手段はディスプレイ54への表示に限らない。例えば、制御部66は、コンソール50及び/又は撮影装置10に備えられたスピーカからの音声を用いて報知を行ってもよい。また例えば、制御部66は、コンソール50及び/又は撮影装置10に備えられたランプの明滅によって報知を行ってもよい。また、報知のタイミングは、放射線撮影の前であってもよいし、後であってもよい。
【0064】
(実施例2)
以上、ストライカー法による撮影を行う例を用いて各機能部の機能について説明したが、本実施形態に係るコンソール50は他の撮影法にも適用可能である。一例として、
図11を参照して、膝関節の撮影法の一種である膝関節側面撮影法による撮影を行う例について説明する。
【0065】
図11は、膝関節側面撮影法で被検体Hの右の膝関節の撮影を行う様子を示す概略図である。
図11では、膝関節側面撮影法における基準姿勢を点線で示し、実際に被検体Hがとっている姿勢を実線で示している。膝関節側面撮影法の基準姿勢は、撮影対象の脚(
図11では右脚)を下にした側臥位の状態で、膝から足首を結ぶ直線が略水平となるような姿勢である。また、放射線Rは、被検体Hの膝に向けて距離100cmの位置から検出面20Aに対して垂直に照射される。
【0066】
一方で、被検体Hの体格等によっては、膝が浮いてしまい、膝から足首を結ぶ直線を略水平とすることが困難な場合がある。そこで、推定部62は、取得部60により取得された被検体Hの三次元形状に基づいて、関節点として被検体Hの膝Pと足首Qを特定する。そして、推定部62は、特定した被検体Hの膝Pから足首Qを結ぶ直線と放射線Rの検出面20Aとのなす角度θを推定姿勢として推定する。
【0067】
導出部64は、基準姿勢と推定姿勢との差分だけ放射線源13が尾頭方向(
図11のφ方向)に傾くよう、移動量を導出する。例えば、
図4の基準姿勢情報70で定められたとおり基準姿勢θrは0度であり、推定部62により推定された推定姿勢θが10度であるとする。この場合、それらの差分(θr-θ)は10度となるため、導出部64は、放射線源13の回動軸α周りの回動量φを、尾頭方向に10度となるよう導出してもよい。
【0068】
また、放射線源13を並進移動させずに回動軸α周りに10度回転させると、放射線Rは膝ではなく被検体Hの頭の方向にずれて照射されてしまうため、適切に膝に放射線Rが照射されるような位置に放射線源13を並進移動させる必要がある。そこで例えば、導出部64は、三次元形状に基づいて膝の位置を特定し、膝を中心とした半径100cm(放射線源13と膝との予め定められた距離に相当)の円周上に放射線源13を移動させるよう、Y方向への並進量DyとZ方向への並進量Dzとを導出してもよい。
【0069】
(実施例3)
次に、
図12~
図14を参照して、足関節の撮影法の一種であるアントンセン氏法による撮影を行う例について説明する。
図12~
図14は、それぞれアントンセン氏法で被検体Hの右の足関節の撮影を行う様子を示す概略図である。
図12は被検者Hを側面から見た図であり、
図13は被検体Hを足底側から見た図であり、
図14は被検体Hを俯瞰的に見た図である。
図12~
図14では、被検体Hの基準姿勢を実線で示している。アントンセン氏法の基準姿勢は、
図14に示すように膝P3から足首P3を結ぶ直線と照射野18の辺18Lとが略平行になる側臥位の状態から、
図12に示すように足底面が検出面20Aに対して垂直になるように、かつ、
図13に示すように踵から足趾を結ぶ直線と検出面20Aとのなす角度が40度になるように足を立てる姿勢である。また、放射線Rは、被検体Hの内踝に向けて距離100cmの位置から、検出面20Aの垂線に対して頭尾方向に20度傾けて(すなわち検出面20Aから110度の角度で)照射される(
図12参照)。
【0070】
このようにアントンセン氏法のポジショニングは複雑であるため、推定部62は、被検体Hの三次元形状に基づいて、複数の推定姿勢に関するパラメータを推定する。導出部64は、それぞれのパラメータに基づいて、放射線源13の移動量を導出する。
【0071】
第一に、
図13に示すように、推定部62は、取得部60により取得された被検体Hの三次元形状に基づいて、横断面における被検体Hの踵P2と足趾Q2を特定する。そして推定部62は、特定した横断面における被検体Hの踵P2から足趾Q2を結ぶ直線と放射線Rの検出面20Aとのなす角度θ2を推定する。
【0072】
図4の基準姿勢情報70で定められたとおり、横断面における被検体Hの踵P2から足趾Q2を結ぶ直線に関する基準姿勢θrは40度である。ここで、この横断面における被検体Hの踵P2から足趾Q2を結ぶ直線と放射線Rの検出面20Aとのなす角度は、常に40度とすることが望まれる。そこで、制御部66は、推定部62により推定された角度θ2が40度を満たさない場合、その旨を報知し、角度θ2が40度になるまで待機してもよい。
【0073】
第二に、
図12に示すように、推定部62は、取得部60により取得された被検体Hの三次元形状に基づいて、矢状面における被検体Hの踵P1と足趾Q1を特定する。そして推定部62は、特定した矢状面における被検体Hの踵P1から足趾Q1を結ぶ直線(すなわち足底面)と放射線Rの検出面20Aとのなす角度θ1を推定する。
【0074】
導出部64は、基準姿勢θrと推定姿勢θ1との差分だけ放射線源13の照射角度を変更するよう、移動量を導出する。
図4の基準姿勢情報70で定められたとおり、矢状面における被検体Hの踵P1から足趾Q1を結ぶ直線に関する基準姿勢θrは90度である。また、放射線Rは検出面20Aから110度の角度で(すなわち検出面20Aの垂線に対して頭尾方向に20度傾けて)照射される。例えば、推定部62により推定された推定姿勢θ1が80度である場合、基準姿勢と推定姿勢との差分(θr-θ1)は10度となるため、導出部64は、放射線源13の回動軸α周りの回動量φを尾頭方向に10度となるよう導出してもよい。すなわち、放射線Rは検出面20Aから100度の角度で(すなわち検出面20Aの垂線に対して頭尾方向に10度傾けて)照射されるようにしてもよい。
【0075】
また例えば、推定部62により推定された推定姿勢θ1が100度である場合、基準姿勢と推定姿勢との差分(θr-θ1)は-10度となるため、導出部64は、放射線源13の回動軸α周りの回動量φを頭尾方向に10度となるよう導出してもよい。すなわち、放射線Rは検出面20Aから120度の角度で(すなわち検出面20Aの垂線に対して頭尾方向に30度傾けて)照射されるようにしてもよい。
【0076】
第三に、
図14に示すように、推定部62は、取得部60により取得された被検体Hの三次元形状に基づいて、冠状面における被検体Hの膝P3と足首Q3を特定する。そして推定部62は、特定した冠状面における被検体Hの膝P3から足首Q3を結ぶ直線と被検体Hの頭尾方向(Y方向)に略平行な照射野18の辺18Lとのなす角度θ3を推定する。
【0077】
導出部64は、基準姿勢θrと推定姿勢θ3との差分だけ放射線源13の照射角度を変更するよう、移動量を導出する。
図4の基準姿勢情報70で定められたとおり、冠状面における被検体Hの膝P3から足首Q3を結ぶ直線と被検体Hの頭尾方向(Y方向)に略平行な照射野18の辺18Lとのなす角度に関する基準姿勢θrは0度(平行)である。例えば、推定部62により推定された推定姿勢θ3が20度である場合、基準姿勢と推定姿勢との差分(θr-θ3)は-20度となる。この場合、導出部64は、放射線源13の回動軸β周りの回動量を20度となるよう導出してもよい。すなわち、放射線源13を回動軸β周りに20度回転させて照射野18を20度傾けることによって、被検体Hの膝P3から足首Q3を結ぶ直線と照射野18の辺18Lとのなす角度が0度になるように調整してもよい。
【0078】
次に、
図15を参照して、本実施形態に係るコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が情報処理プログラム57を実行することによって、
図15に示す情報処理が実行される。情報処理は、例えば、ユーザにより操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
【0079】
ステップS10で、取得部60は、撮影装置10の測距センサ28によって計測された被検体Hの三次元形状を取得する。ステップS12で、推定部62は、ステップS10で取得された被検体Hの三次元形状に基づいて、被検体Hがとっている姿勢(推定姿勢)を推定する。
【0080】
ステップS14で、導出部64は、被検体Hの姿勢について予め定められた基準姿勢と、ステップS12で推定された推定姿勢と、の差分に基づいて、被検体Hに放射線Rを照射する放射線源13の移動量を導出する。ステップS16で、制御部66は、ステップS14で導出された移動量に応じて、放射線源13を移動させるよう制御する(すなわち撮影装置10の制御装置24に対して指示する)。ステップS16が完了すると、本情報処理を終了する。
【0081】
以上説明したように、本開示の一態様に係るコンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検体Hの三次元形状を取得し、被検体Hの放射線画像を撮影する場合の被検体Hの姿勢について予め定められた基準姿勢と、三次元形状に基づいて推定される推定姿勢と、の差分に基づいて、被検体Hに放射線Rを照射する放射線源13の移動量を導出し、移動量に応じて、放射線源13を移動させるよう制御する。
【0082】
すなわち、本実施形態に係るコンソール50によれば、被検者Hが予め定められた基準姿勢をとっていない場合でも、被検者Hがとっている姿勢を三次元形状に基づいて推定できる。また、被検者Hがとっていると推定される推定姿勢に応じて、撮影部位を適切に撮影できるような位置に放射線源13を移動させるよう制御することができる。したがって、放射線画像を適切に撮影できる。
【0083】
なお、上記実施形態においては、撮影台16が臥位撮影台である形態について説明したが、これに限らない。本開示の技術は、例えば立位姿勢の被写体Hを撮影するための立位撮影台、及び座位姿勢の被写体Hを撮影するための座位撮影台等にも適用できる。
【0084】
また、上記実施形態において、例えば、取得部60、推定部62、導出部64及び制御部66といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0085】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0086】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0087】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0088】
また、上記実施形態では、コンソール50における情報処理プログラム57が記憶部52に予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム57は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム57は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0089】
本開示の技術は、上記実施形態例及び実施例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0090】
1 撮影システム
6 RIS
10 撮影装置
12 放射線照射部
13 放射線源
14 支柱
16 撮影台
16A 撮影面
20 放射線検出器
20A 検出面
24 制御装置
28 測距センサ
50 コンソール
51 CPU
52 記憶部
53 メモリ
54 ディスプレイ
55 操作部
56 I/F部
57 情報処理プログラム
58 バス
60 取得部
62 推定部
64 導出部
66 制御部
70 基準姿勢情報
D1~D3 画面
H 被検体
R 放射線
α、β 回動軸