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特開2024-52322情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052322
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240404BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240404BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20240404BHJP
【FI】
A61B6/00 350A
A61B6/00 350P
A61B6/00 331A
A61B6/00 360B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158969
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 將高
(72)【発明者】
【氏名】谷内 光史
(72)【発明者】
【氏名】種市 達哉
(72)【発明者】
【氏名】地曵 裕二
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久嗣
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA24
4C093CA02
4C093CA34
4C093DA01
4C093EE16
4C093EE19
4C093FF00
4C093FF15
4C093FF28
(57)【要約】
【課題】放射線画像の読影を支援できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】コンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検体を光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、被検体を放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、放射線画像において、第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
被検体を光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、
前記光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、前記被検体を放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、
前記光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、
前記放射線画像において、前記第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記光学画像に基づいて、前記被検体の複数の関節点を特定し、
前記複数の関節点の相対的な位置関係に基づいて、前記第1関心領域の位置を推定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記複数の関節点の相対的な位置関係に基づいて、前記被検体の姿勢を推定し、
推定した前記姿勢に応じた前記第1関心領域の位置を推定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記被検体を連続的に放射線撮影して得られる複数の放射線画像を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1関心領域及び前記第2関心領域は、食道、気道及び喉頭蓋の少なくとも1つであり、
前記放射線画像は、前記被検体が試料を嚥下する様子を放射線撮影して得られる画像であり、
前記プロセッサは、
前記放射線画像における前記試料の位置を特定し、
前記第2関心領域の位置と前記試料の位置とに基づいて、前記試料が食道及び気道の何れに導入されたかを判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1関心領域及び前記第2関心領域は、食道、気道及び喉頭蓋の少なくとも1つであり、
前記放射線画像は、前記被検体が試料を嚥下する様子を放射線撮影して得られる画像であり、
前記プロセッサは、
前記被検体を連続的に放射線撮影して得られる複数の放射線画像を取得し、
前記複数の放射線画像のそれぞれにおける前記試料の位置を特定し、
前記第2関心領域の位置及び前記試料の位置に基づいて、前記複数の放射線画像のうち前記試料が食道又は気道に導入されたタイミングを含む一部の放射線画像を選択する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記光学画像に基づいて、複数の前記第1関心領域の位置を推定し、
前記放射線画像において、複数の前記第1関心領域の位置のそれぞれに対応する複数の前記第2関心領域を特定し、
前記放射線画像において、前記第2関心領域ごとに異なる画像処理を施す
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
被検体を光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、
前記光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、前記被検体を放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、
前記光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、
前記放射線画像において、前記第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する
処理を含む情報処理方法。
【請求項9】
被検体を光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、
前記光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、前記被検体を放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、
前記光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、
前記放射線画像において、前記第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体が試料を飲み込み、試料が食道、気道及び喉頭蓋等を通過する様子を連続的に放射線撮影する嚥下造影検査が行われている。また、嚥下造影検査を支援する各種技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、被検体の診断対象部位の近傍部位(モニタリング用撮影領域)に低線量でX線照射して得られる画像データに基づいて、モニタリング用撮影領域に造影剤が流入したことを検知した場合に、診断対象部位に高線量でX線照射を開始することが開示されている。また例えば特許文献2には、X線の照射範囲の大きさと撮影モードと検査名称とのうち少なくとも一つと、回転軸周りにおける天板の回転角度とに基づいて、胃領域の撮影方法から食道領域の撮影方法への切り替えを実行し、切り替えられた撮影方法に対応する撮影条件を決定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-136500号公報
【特許文献2】特開2015-009097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、嚥下造影検査のように被検体を連続的に放射線撮影する場合には、より高いフレームレートでの撮影を可能とするために、解像度を下げて撮影する場合がある。しかし、解像度を下げて放射線撮影すると、放射線画像における関心領域の位置が不明瞭になり、例えば嚥下造影検査においては食道及び気道の区別がつかない可能性がある。
【0006】
本開示は、放射線画像の読影を支援できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様は、情報処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検体を光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、被検体を放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、放射線画像において、第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する。
【0008】
本開示の第2態様は、上記第1態様において、プロセッサは、光学画像に基づいて、被検体の複数の関節点を特定し、複数の関節点の相対的な位置関係に基づいて、第1関心領域の位置を推定してもよい。
【0009】
本開示の第3態様は、上記第2態様において、プロセッサは、複数の関節点の相対的な位置関係に基づいて、被検体の姿勢を推定し、推定した姿勢に応じた第1関心領域の位置を推定してもよい。
【0010】
本開示の第4態様は、上記第1態様から第3態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、被検体を連続的に放射線撮影して得られる複数の放射線画像を取得してもよい。
【0011】
本開示の第5態様は、上記第1態様から第4態様の何れか1つにおいて、第1関心領域及び第2関心領域は、食道、気道及び喉頭蓋の少なくとも1つであり、放射線画像は、被検体が試料を嚥下する様子を放射線撮影して得られる画像であり、プロセッサは、放射線画像における試料の位置を特定し、第2関心領域の位置と試料の位置とに基づいて、試料が食道及び気道の何れに導入されたかを判定してもよい。
【0012】
本開示の第6態様は、上記第1態様から第5態様の何れか1つにおいて、第1関心領域及び第2関心領域は、食道、気道及び喉頭蓋の少なくとも1つであり、放射線画像は、被検体が試料を嚥下する様子を放射線撮影して得られる画像であり、プロセッサは、被検体を連続的に放射線撮影して得られる複数の放射線画像を取得し、複数の放射線画像のそれぞれにおける試料の位置を特定し、第2関心領域の位置及び試料の位置に基づいて、複数の放射線画像のうち試料が食道又は気道に導入されたタイミングを含む一部の放射線画像を選択してもよい。
【0013】
本開示の第7態様は、上記第1態様から第6態様の何れか1つにおいて、プロセッサは、光学画像に基づいて、複数の第1関心領域の位置を推定し、放射線画像において、複数の第1関心領域の位置のそれぞれに対応する複数の第2関心領域を特定し、放射線画像において、第2関心領域ごとに異なる画像処理を施してもよい。
【0014】
本開示の第8態様は、情報処理方法であって、被検体を光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、被検体を放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、放射線画像において、第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する処理を含む。
【0015】
本開示の第9態様は、情報処理方法であって、被検体を光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、被検体を放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、放射線画像において、第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
上記態様によれば、本開示の情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムは、放射線画像の読影を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】撮影装置の外観の一例を示す側面図である。
図3】コンソールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】コンソールの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5】光学画像の一例を示す図である。
図6】放射線画像における第2関心領域の特定方法を説明するための図である。
図7】ディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
図8】第2関心領域に応じて読出条件を変更する処理を説明するための図である。
図9】関心領域特定処理の一例を示すフローチャートである。
図10】前傾姿勢の光学画像の一例を示す図である。
図11】後傾姿勢の光学画像の一例を示す図である。
図12】撮影装置の他の一例を示す概略図である。
図13】撮影条件変更処理の一例を示すフローチャートである。
図14】他の形態の撮影装置の外観の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、撮影システム1の構成について説明する。図1は、撮影システム1の概略構成を示す図である。図1に示すように、撮影システム1は、撮影装置10と、コンソール50とを備える。撮影装置10とコンソール50、コンソール50と外部のRIS(Radiology Information System)6は、有線又は無線のネットワークを介して接続可能に構成されている。
【0019】
コンソール50は、RIS6から撮影オーダ等を取得し、取得した撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて、撮影装置10の制御を行う。撮影装置10は、コンソール50の制御に応じて、被検体Hの放射線画像を撮影する。コンソール50が本開示の情報処理装置の一例である。
【0020】
次に、図2を参照して、撮影装置10について説明する。図2は、撮影装置10の概略構成を示す図である。図2に示すように、撮影装置10は、放射線照射部12と、放射線検出器20と、制御装置24と、光学カメラ26と、を備える。
【0021】
放射線照射部12は、例えばX線等の放射線Rを照射する放射線源13を備える。また、放射線照射部12は、コリメータ(図示省略)等を備え、放射線源13から照射される放射線Rの照射野(図2の二点鎖線で図示した範囲)を変更可能に構成されている。なお、放射線源13の種類は特に限定されない。ただし、線量等の撮影条件を好適に切り替えるために(第2実施形態で詳細に説明)、熱陰極方式の線源よりも、陰極がカーボンナノチューブ等で構成された冷陰極方式の線源を用いることが好ましい。
【0022】
また、放射線照射部12は、撮影室の天井から吊り下げられた支柱14に保持される、いわゆる天井走行式の照射部である。支柱14は、天井に巡らされたレールに車輪を介して取り付けられており(図示省略)、撮影室内において水平方向(X方向及びY方向)に移動可能である。また、支柱14は鉛直方向(Z方向)に伸縮可能である。また、撮影装置10は、これらの支柱14の水平方向の移動及び鉛直方向の伸縮を行うモータ等の移動機構を備える(図示省略)。支柱14の水平方向の移動及び鉛直方向の伸縮によって、放射線照射部12も水平方向及び鉛直方向に並進移動される。
【0023】
また、放射線照射部12は、支柱14と回動可能に連結され、水平方向(図2の位置ではX方向)に延びる回動軸α周りに回動可能である。また、放射線照射部12は、鉛直方向(Z方向)に延びる回動軸β周り(すなわち支柱14周り)に回動可能である。また、撮影装置10は、これらの放射線照射部12の回動軸α及び回動軸β周りの回動を行うモータ等の回動機構を備える(図示省略)。
【0024】
放射線検出器20は、被検体Hを透過した放射線Rを検出面20Aで検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。放射線検出器20は、例えば可搬型の電子カセッテであり、任意の台座に載置したり、被検体Hに持たせたりして使用することができる。すなわち、放射線検出器20は、放射線照射部12に対して水平方向(X方向及びY方向)及び鉛直方向(Z方向)に任意の位置に移動可能である。以下、放射線検出器20の中心が、放射線源13から照射される放射線Rの照射軸Arと位置合わせされているものとして説明する。
【0025】
なお、放射線検出器20の種類は特に限定されない。例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0026】
制御装置24は、コンソール50及びユーザからの指示に応じて、撮影装置10の全体の動作を制御する。具体的には、制御装置24は、放射線検出器20において生成された放射線画像を表す画像データを取得し、コンソール50に出力する。また、制御装置24は、光学カメラ26において撮影された被検体Hの光学画像を取得し、コンソール50に出力する。
【0027】
制御装置24は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶媒体、I/F(Interface)部及び操作部等を含んで構成される(図示省略)。制御装置24は、I/F部を介してコンソール50と各種情報の授受を行う。
【0028】
光学カメラ26は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ等を含んで構成された光学式のデジタルカメラであって、一例として可視光に基づく撮影を行う。光学カメラ26は、静止画撮影及び動画撮影を可能とする。光学カメラ26は、放射線Rの照射野(図2の二点鎖線で図示した範囲)よりも広い領域(図2の一点鎖線で図示した範囲)を撮影し、光学画像を生成する。また、光学カメラ26の画角ωは、記憶部52に予め記憶される。
【0029】
図2に示すように、光学カメラ26による光学撮影の撮影方向と、放射線照射部12及び放射線検出器20を用いた放射線撮影の撮影方向と、は略同一の方向である。ここで、略同一の方向とは、光学画像にアフィン変換及び射影変換等の画像補正(幾何学変換)を施すことによって放射線画像と位置合わせできる程度のずれを含む。
【0030】
なお、光学カメラ26の位置は特に限定されず、例えば図2に示すように放射線照射部12の放射線Rの照射開口と略同一の面に取り付けられていてもよいし、支柱14及び撮影室の壁面等に取り付けられていてもよい。ただし、後述する関節点の特定のためには被検体Hの全体を光学撮影できることが好ましいので、光学カメラ26は、放射線Rの照射開口と略同一の面であって、放射線Rの照射開口よりも下側に取り付けられていることが好ましい。また、光学カメラ26の光軸Aoは、放射線源13から照射される放射線Rの照射軸Arと略平行であることが好ましい。
【0031】
また、放射線源13と光学カメラ26との位置関係は予め定められているものとする。位置関係は、図2に示すように、例えば放射線源13から照射される放射線Rの照射軸Arと光学カメラ26の光軸AoとのZ方向の間隔dz及びX方向の間隔dx(不図示)、並びに、放射線源13と光学カメラ26とのY方向の間隔dy等で表される。また、これらの位置関係を表す間隔dx、dy及びdzは、記憶部52に予め記憶される。
【0032】
ところで、被検体Hが試料を飲み込み、試料が食道、気道及び喉頭蓋等を通過する様子を連続的に放射線撮影する嚥下造影検査では、試料の移動に合わせたフレームレートで放射線画像の連続撮影を行うことが望まれている。試料の移動に合わせてフレームレートを向上させるためには、放射線画像の解像度を下げることが考えられる。しかし、解像度を下げて放射線撮影すると、放射線画像における関心領域の位置が不明瞭になり、例えば嚥下造影検査においては食道及び気道の区別がつかない可能性がある。
【0033】
そこで、本実施形態に係るコンソール50は、光学カメラ26により得られる光学画像に基づいて、放射線画像における関心領域の位置を推定することによって、放射線画像の読影を支援する。以下、コンソール50について説明する。以下の説明においては、放射線画像が、被検体が試料を嚥下する様子を放射線撮影して得られるものである形態例を用いて説明する。
【0034】
まず、図3を参照して、コンソール50のハードウェア構成の一例を説明する。図3に示すように、コンソール50は、CPU(Central Processing Unit)51、不揮発性の記憶部52、及び一時記憶領域としてのメモリ53を含む。また、コンソール50は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ54、タッチパネル、キーボード及びマウス等の操作部55、並びにI/F(InterFace)部56を含む。I/F部56は、撮影装置10、RIS6及びその他外部装置等との有線又は無線通信を行う。CPU51、記憶部52、メモリ53、ディスプレイ54、操作部55及びI/F部56は、システムバス及びコントロールバス等のバス58を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0035】
記憶部52は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部52には、コンソール50における情報処理プログラム57が記憶される。CPU51は、記憶部52から情報処理プログラム57を読み出してからメモリ53に展開し、展開した情報処理プログラム57を実行する。CPU51が本開示のプロセッサの一例である。コンソール50としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末等を適宜適用できる。
【0036】
次に、図4を参照して、コンソール50の機能的な構成の一例について説明する。図4に示すように、コンソール50は、取得部60、推定部62、特定部64及び制御部66を含む。CPU51が情報処理プログラム57を実行することにより、CPU51が取得部60、推定部62、特定部64及び制御部66の各機能部として機能する。
【0037】
取得部60は、撮影装置10の制御装置24から、光学カメラ26によって被検体Hを光学撮影して得られた少なくとも1つの光学画像を取得する。推定部62は、取得部60により取得された光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定する。嚥下造影検査の場合、第1関心領域は、喉、肩、食道、気道、喉頭蓋及び胃の少なくとも1つである。
【0038】
図5に、取得部60により取得された光学画像30の一例を示す。具体的には、推定部62は、まず光学画像30に基づいて、例えば耳、肩、肘、手首、腰及び膝等の被検体Hの複数の関節点Jを特定する。なお、関節点の特定方法としては、公知の姿勢推定技術等を適宜適用できる。
【0039】
そして推定部62は、特定した複数の関節点Jの相対的な位置関係に基づいて、光学画像30における第1関心領域の位置を推定する。図6に、第1関心領域の一例としての食道A1及び気道A2が推定された光学画像30の部分図30Aを示す。各関節点Jと、食道A1及び気道A2との位置関係及び比率は、解剖学的に推定できる。例えば図6に示すように、推定部62は、肩と特定された関節点Jからの距離がD1の位置に食道A1があり、肩と特定された関節点Jからの距離がD2の位置に気道A2があると推定してもよい。このように、推定部62は、光学画像30に基づいて、複数の第1関心領域(食道A1及び気道A2)の位置を推定してもよい。
【0040】
なお、この時点で関節点Jの特定及び第1関心領域の推定ができない場合、被検体Hの姿勢及びポジショニング等が適切ではないことが考えられる。そこで、推定部62はその旨を通知し(例えばディスプレイ54に表示させる制御を行う等)、適切な姿勢及びポジショニングにすることを促してもよい。
【0041】
また、取得部60は、撮影装置10の制御装置24から、被検体Hを放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得する。図6に、取得部60により取得された放射線画像40の一例を示す。図6に示すように、放射線画像40では、試料Sが食道及び気道の何れに導入されているのかが不明である。
【0042】
特定部64は、取得部60により取得された放射線画像40において、推定部62により推定された第1関心領域(食道A1及び気道A2)の位置に対応する第2関心領域を特定する。なお、推定部62によって複数の第1関心領域の位置が推定されている場合、特定部64は、放射線画像40において、複数の第1関心領域の位置のそれぞれに対応する複数の第2関心領域を特定する。嚥下造影検査の場合、上記の第1関心領域と同様に、第2関心領域は、喉、肩、食道、気道、喉頭蓋及び胃の少なくとも1つである。
【0043】
具体的には、特定部64は、まず光学画像30と放射線画像40とを位置合わせする。例えば、特定部64は、放射線源13と放射線検出器20の検出面20Aとの距離であるSID(Source to Image receptor Distance)を取得する。また、特定部64は、SIDと、記憶部52に記憶されている放射線源13と光学カメラ26との位置関係(間隔dx、dy及びdz)及び光学カメラ26の画角ω等を用いた幾何学計算によって、光学画像30と放射線画像40とを位置合わせする。なお、SIDの値は、例えば測距センサによって測定されてもよいし、SIDが不変な撮影装置の場合は予め定められた値が記憶部52等に記憶されていてもよい。また例えば、放射線検出器20にSID測定用のマーカを設けておき、特定部64が、光学カメラ26によって放射線検出器20を撮影して得られる光学画像30に含まれるマーカに基づいてSIDを測定してもよい。
【0044】
光学画像30と放射線画像40とを位置合わせした後、特定部64は、光学画像30における第1関心領域と同位置の放射線画像40における領域を、第2関心領域として特定する。図6には、放射線画像40において、部分図30Aにおける食道A1及び気道A2と同位置の領域が第2関心領域の一例としての食道B1及び気道B2として特定され、それらが放射線画像40に重畳された重畳画像42を示している。重畳画像42によれば、試料Sが気道B2側に導入されていることが分かる。
【0045】
また、特定部64は、放射線画像40における試料Sの位置を特定し、第2関心領域(食道B1及び気道B2)の位置と試料Sの位置とに基づいて、試料Sが食道B1及び気道B2の何れに導入されたかを判定してもよい。試料Sの位置は、例えば公知のパターンマッチング技術等を用いて特定してもよい。
【0046】
なお、上述したように、嚥下造影検査においては、試料の移動に合わせたフレームレートで放射線画像が連続的に複数撮影される。この場合、取得部60は、被検体Hを連続的に放射線撮影して得られる複数の放射線画像を取得してもよい。また、特定部64は、取得部60により取得された複数の放射線画像のそれぞれにおける第2関心領域と、試料Sの位置を特定してもよい。更に、特定部64は、特定した第2関心領域の位置及び試料Sの位置に基づいて、複数の放射線画像のうち試料Sが食道B1又は気道B2に導入されたタイミングを含む一部の放射線画像を選択してもよい。
【0047】
制御部66は、特定部64により特定された放射線画像40における第2関心領域(食道B1及び気道B2)をディスプレイ54に表示させる制御を行う。図7に、制御部66によってディスプレイ54に表示される画面D1の一例を示す。画面D1には、放射線画像40と、放射線画像40に第2関心領域(食道B1及び気道B2)が重畳された重畳画像42と、が含まれている。ユーザは、重畳画像42を確認することによって、放射線画像40における第2関心領域(食道B1及び気道B2)の位置を容易に確認することができる。
【0048】
また、制御部66は、連続的に複数撮影された放射線画像のうち、特定部64によって試料Sが食道B1又は気道B2に導入されたタイミングを含む一部の放射線画像が選択されている場合、当該選択されている放射線画像を優先的にディスプレイ54に表示させる制御を行ってもよい。
【0049】
また、制御部66は、特定部64によって試料Sが食道B1及び気道B2の何れに導入されたかが判定されている場合、判定結果をディスプレイ54に表示させる制御を行ってもよい。すなわち、制御部66は、放射線画像40と、当該放射線画像40に含まれる試料Sが位置している第2関心領域の種類(食道又は気道)と、を対応付けてディスプレイ54に表示させてもよい。図7の画面D1には、試料Sの導入位置が気道と推定される旨のメッセージが含まれている。
【0050】
また、制御部66は、放射線画像40を記憶部52及び外部のデータベース等の各種記憶部に記憶させる場合に、放射線画像40と、当該放射線画像40に含まれる試料Sが位置している第2関心領域の種類(食道又は気道)と、を対応付けて記憶部に記憶させてもよい。
【0051】
また、制御部66は、特定部64により特定された放射線画像40における第2関心領域に基づいて、放射線画像40における一部領域を他の領域と異なる読出条件で読み出す(放射線画像の生成を行う)よう制御してもよい。読出条件とは、例えば放射線検出器20において、隣接する複数の画素により発生された電荷を合成して読み出すビニング処理におけるビニングサイズ、電荷の読出間隔(フレームレート)、及びゲイン補正の補正量等である。
【0052】
例えば図8に示すように、制御部66は、食道B1及び気道B2を含む一部領域44を指定して、他の領域よりもビニングサイズが小さくなるよう(すなわち解像度が高くなるよう)、撮影装置10の制御装置24に対して指示してもよい。制御装置24は、制御部66の指示に応じて、放射線検出器20における各画素のビニングサイズを制御する。例えば、放射線検出器20における画素サイズが150μmの場合、一部領域44は1×1ビニング(0.15mm×0.15mm)又は2×2ビニング(0.3mm×0.3mm)とし、他の領域は3×3ビニング(0.45mm×0.45mm)又は4×4ビニング(0.6mm×0.6mm)としてもよい。
【0053】
また例えば、制御部66は、食道B1及び気道B2を含む一部領域44を指定して、他の領域よりもフレームレートが高くなるよう、撮影装置10の制御装置24に対して指示してもよい。制御装置24は、制御部66の指示に応じて、放射線検出器20における各画素の電荷の読出間隔を制御する。例えば、一部領域44は高フレームレートで動画のように画像を生成しながら、他の領域は低フレームレートで静止画のように画像を生成してもよい。
【0054】
また、制御部66は、特定部64によって複数の第2関心領域が特定されている場合、第2関心領域ごとに異なる読出条件で読み出す(放射線画像の生成を行う)よう制御してもよい。例えば図8の例において、制御部66は、食道B1及び気道B2のうち試料Sが位置している気道B2が、食道B1よりも、ビニングサイズが小さくなるよう、及びフレームレートが高くなるよう、撮影装置10の制御装置24に対して指示してもよい。
【0055】
また、制御部66は、特定部64によって複数の第2関心領域が特定されている場合、放射線画像において、第2関心領域ごとに異なる画像処理を施してもよい。例えば、口腔準備期、口腔期、咽頭期及び食道期に加えて胃も含めた放射線画像を撮影した場合、第2関心領域としては食道及び気道に加えて胃も特定できる。この場合、制御部66は、1つの放射線画像において、食道及び気道の領域と、胃の領域と、で異なる画像処理を施してもよい。画像処理とは、例えば、それぞれの第2関心領域が見えやすいように階調を変更する処理等である。
【0056】
次に、図9を参照して、本実施形態に係るコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が情報処理プログラム57を実行することによって、図9に示す関心領域特定処理が実行される。関心領域特定処理は、例えば、ユーザにより操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
【0057】
ステップS10で、取得部60は、撮影装置10の光学カメラ26によって撮影された被検体Hの光学画像を取得する。ステップS12で、推定部62は、ステップS10で取得された被検体Hの光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定する。
【0058】
ステップS14で、取得部60は、撮影装置10によって撮影された被検体Hの放射線画像を取得する。ステップS16で、特定部64は、ステップS14で取得された放射線画像において、ステップS12で推定された第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する。ステップS18で、制御部66は、ステップS16で特定された第2関心領域を(放射線画像40に重畳させる等して)ディスプレイ54に表示させる制御を行い、本関心領域特定処理を終了する。
【0059】
以上説明したように、本開示の一態様に係るコンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検体Hを光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、光学撮影の撮影方向と略同一の方向から、被検体Hを放射線撮影して得られる少なくとも1つの放射線画像を取得し、光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、放射線画像において、第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する。
【0060】
すなわち、本実施形態に係るコンソール50によれば、放射線画像単体では関心領域の位置が特定できないような場合であっても、光学画像に基づいて関心領域の位置を推定できるので、放射線画像の読影を支援できる。ひいては、放射線画像の解像度を下げることを許容できるので、例えば嚥下造影検査において、試料の移動に追従できる高いフレームレートでの撮影を実現できる。
【0061】
なお、上記実施形態において、推定部62は、被検体Hの姿勢及び体型等も考慮して、光学画像30における第1関心領域の位置を推定(補正)してもよい。例えば図10の光学画像30Pに示すように、被検体Hが前傾姿勢の場合、背骨の移動及び重力の関係で気道A2が狭くなることがある。また例えば図11の光学画像30Qに示すように、被検体Hが後傾姿勢の場合、食道A1が後退し、気道A2との間隔が広くなることがある。嚥下造影検査においては、このように姿勢を直立姿勢から敢えて異ならせて撮影する場合がある。
【0062】
そこで、推定部62は、特定した複数の関節点Jの相対的な位置関係に基づいて、被検体Hの姿勢を推定してもよい。具体的には、推定部62は、取得部60により取得された光学画像に基づいて、被検体Hが前傾姿勢、直立姿勢及び後傾姿勢の何れであるかを判定してもよい。また、推定部62は、推定した姿勢に応じた第1関心領域の位置を推定してもよい。例えば図6の直立姿勢の例では、肩の関節点Jから食道A1までの距離がD1であり、肩の関節点Jから気道A2までの距離がD2であるが、前傾姿勢及び後傾姿勢の場合は、これらの距離を異なる値にしてもよい。図10の前傾姿勢の例では、肩の関節点Jから食道A1までの距離をD1Pとし、肩の関節点Jから気道A2までの距離をD2Pとしている。図11の後傾姿勢の例では、肩の関節点Jから食道A1までの距離をD1Qとし、肩の関節点Jから気道A2までの距離をD2Qとしている。
【0063】
また例えば、体厚に応じても、食道A1及び気道A2の位置関係は異なると考えられる。例えば、体厚が厚い人は、体厚が薄い人に比べて、肩の関節点Jから食道A1までの距離D1及び肩の関節点Jから気道A2までの距離D2が大きくなると考えられる。そこで、推定部62は、光学画像に基づいて、被検体Hの体厚を特定し、特定した体厚に応じた第1関心領域の位置を推定してもよい。なお、体厚は、例えば複数の関節点Jの相対的な位置関係に基づいて推定してもよいし、公知のセグメンテーション技術を用いて光学画像30に基づいて推定してもよい。
【0064】
また、制御部66は、放射線画像40を記憶部52及び外部のデータベース等の各種記憶部に記憶させる場合に、放射線画像40と、被検体Hの姿勢の判定結果と、を対応付けて記憶部に記憶させてもよい。また、制御部66は、放射線画像40と、被検体Hの体厚と、を対応付けて記憶部に記憶させてもよい。
【0065】
[第2実施形態]
ところで、嚥下は、口腔準備期、口腔期、咽頭期及び食道期に分かれている。従来は、口腔準備期、口腔期及び咽頭期については咽頭部を放射線撮影により観察し、食道期については食道下部を内視鏡により観察する手法が主流であった。近年、咽頭部に合わせて食道下部も放射線撮影によって観察できるような技術が求められているが、食道下部は体厚が厚い肩に被っているため、その撮影を行うためには、咽頭部よりも線量を多くすることが好ましい。一方で、咽頭部にも食道下部と同等の線量で照射することは、被曝量が増えてしまうため好ましくない。
【0066】
そこで、本実施形態に係るコンソール50は、肩を境界として線量等の撮影条件を適切に切り替えることによって、放射線画像の撮影を支援する。以下、コンソール50について説明するが、上記第1実施形態と重複する説明については一部省略する。
【0067】
第1実施形態と同様に、取得部60は、被検体Hを第1方向から光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得する。推定部62は、取得部60により取得された光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定する。具体的には、推定部62は、まず光学画像に基づいて、被検体Hの複数の関節点Jを特定し、複数の関節点Jの相対的な位置関係に基づいて、第1関心領域の位置を推定してもよい(図5及び図6参照)。本実施形態において、第1関心領域は、被検体Hの肩である。
【0068】
上記のようにして光学画像に基づく第1関心領域(肩)の位置が推定された後、被検体Hは試料Sを飲み込み、放射線画像の連続撮影を開始する。取得部60は、光学画像と同様の第1方向から、被検体Hが試料Sを嚥下する様子を連続的に放射線撮影して得られる複数の放射線画像を取得する。
【0069】
特定部64は、取得部60により取得された複数の放射線画像において、推定部62により推定された第1関心領域(肩)の位置に対応する第2関心領域を特定する。すなわち、特定部64は、放射線画像における肩の領域を特定する。また、特定部64は、取得部60により取得された複数の放射線画像に基づいて、試料Sの位置をモニタリングする。すなわち、特定部64は、複数の放射線画像のそれぞれについて、試料Sの位置を特定する。これらの特定部64による第2関心領域及び試料Sの位置の特定は、取得部60による連続的な放射線画像の取得と並行して、リアルタイムに行われる。
【0070】
制御部66は、特定部64により特定された第2関心領域(肩)と試料Sの位置関係に基づいて、放射線撮影の撮影条件を異ならせるよう制御する。撮影条件とは、例えば、放射線源13の管電圧(kV)、管電流(mA)、撮影時間(秒)、線量(mGy又はmSv)、管電流時間積(mAs値)、焦点サイズ(大焦点又は小焦点)、照射野サイズ、並びに付加フィルタの種類(ロジウム、アルミニウム及びモリブデン等)等であってもよい。また例えば、放射線検出器20の読出条件(ビニングサイズ、フレームレート、及びゲイン補正の補正量等)であってもよいし、放射線画像に対して施される画像処理(階調変更等)であってもよい。例えば、制御部66は、試料Sが第2関心領域(肩)に侵入した時点で、線量を大きくするよう、撮影装置10に対して指示してもよい。
【0071】
また例えば、体厚が厚い人は、体厚が薄い人に比べて、適切な線量が大きくなると考えられる。そこで、特定部64は、取得部60により取得された光学画像に基づいて、被検体Hの体厚を特定してもよい。制御部66は、特定部64により特定された体厚に基づいて、撮影条件を異ならせてもよい。なお、制御部66は、体厚に基づいて、撮影条件の初期値(すなわち咽頭部の撮影における撮影条件)を異ならせてもよいし、第2関心領域と試料Sの位置関係に基づいて変更した後の撮影条件(すなわち食道下部の撮影における撮影条件)を異ならせてもよい。
【0072】
また例えば、図2では被検体Hの側面側から放射線撮影する例を示しているが、特に胃付近の嚥下状態を確認する場合は、被検体Hの正面側から放射線撮影される場合がある。そこで、特定部64は、取得部60により取得された光学画像に基づいて、被検体Hの撮影方向を特定してもよい。例えば、特定部64は、推定部62により特定された複数の関節点の相対的な位置関係に基づいて、光学画像に写っている被検体Hが、側面と正面の何れを向いているかを特定してもよい。制御部66は、特定部64により特定された撮影方向に基づいて、撮影条件を異ならせてもよい。なお、制御部66は、撮影方向に基づいて、撮影条件の初期値(すなわち咽頭部の撮影における撮影条件)を異ならせてもよいし、第2関心領域と試料Sの位置関係に基づいて変更した後の撮影条件(すなわち食道下部の撮影における撮影条件)を異ならせてもよい。
【0073】
また例えば、図12に示すように、本実施形態に係る撮影装置10Mは、第1方向(Y方向)からの光学撮影及び放射線撮影と同時に、第1方向とは異なる第2方向(X方向)から光学撮影及び放射線撮影を行うものであってもよい。図12に示す撮影装置10Mは、被検体Hを側面側(第1方向)から放射線撮影する放射線照射部12M及び放射線検出器20Mと、光学撮影する光学カメラ26Mとを備える。また、被検体Hを正面側(第2方向)から放射線撮影する放射線照射部12N及び放射線検出器20Nと、光学撮影する光学カメラ26Nとを備える。
【0074】
この場合、各機能部は、第2方向から光学撮影及び放射線撮影して得られる第2光学画像及び第2放射線画像について、上記の光学画像30及び放射線画像40と同様の処理を行ってもよい。具体的には、取得部60は、第2光学画像及び第2放射線画像を取得してもよい。推定部62は、取得部60により取得された第2光学画像に基づいて、少なくとも1つの第3関心領域(例えば胃)の位置を推定してもよい。特定部64は、取得部60により取得された第2放射線画像において、推定部62により推定された第3関心領域の位置に対応する第4関心領域(例えば胃)を特定してもよい。嚥下造影検査の場合、上記の第1関心領域と同様に、第3及び第4関心領域は、喉、肩、食道、気道、喉頭蓋及び胃の少なくとも1つである。
【0075】
また、特定部64は、取得部60により取得された第2放射線画像に基づいて、試料Sの位置をモニタリングしてもよい。制御部66は、特定部64により特定された第4関心領域と、第2放射線画像からモニタリングされる試料Sとの位置関係に基づいて、第1方向及び第2方向の少なくとも一方からの放射線撮影の撮影条件を異ならせてもよい。すなわち、制御部66は、第2放射線画像に基づいて、放射線照射部12M及び放射線照射部12Nの少なくとも一方の撮影条件を異ならせてもよい。例えば、制御部66は、まずは第2方向から放射線撮影を開始し、第2放射線画像に基づいて試料Sが胃(第4関心領域)に到達したことを検知した後、第2方向からの放射線撮影を中止して第1方向からの放射線撮影に切り替えてもよい。
【0076】
また、制御部66は、撮影条件を異ならせたことを報知してもよい。例えば、撮影条件を変えて放射線撮影を行った後、図7に示すように放射線画像40をディスプレイ54に表示させる場合に、「線量をXX上げて照射しました」のようなメッセージを表示させてもよい。
【0077】
次に、図13を参照して、本実施形態に係るコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が情報処理プログラム57を実行することによって、図13に示す撮影条件変更処理が実行される。撮影条件変更処理は、例えば、ユーザにより操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
【0078】
ステップS30で、取得部60は、撮影装置10の光学カメラ26によって撮影された被検体Hの光学画像を取得する。ステップS32で、推定部62は、ステップS30で取得された被検体Hの光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定する。
【0079】
ステップS34で、取得部60は、撮影装置10によって、被検体Hが試料Sを嚥下する様子を連続的に放射線撮影して得られる複数の被検体Hの放射線画像を取得する。ステップS36で、特定部64は、ステップS34で取得された放射線画像において、ステップS32で推定された第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定する。ステップS38で、特定部64は、ステップS34で取得された放射線画像において、試料Sの位置を特定する。
【0080】
ステップS40で、制御部66は、ステップS36で特定された第2関心領域と、ステップS38で特定された試料Sとの位置関係が予め定められた条件(例えば試料Sが肩の領域に侵入したか否か)を満たすか否かを判定する。ステップS40が否定判定の場合、すなわち第2関心領域と試料Sとの位置関係が予め定められた条件を満たしていない場合は、ステップS34に戻り、引き続き放射線画像における試料Sの位置のモニタリングを継続する。一方、ステップS40が肯定判定の場合、すなわち第2関心領域と試料Sとの位置関係が予め定められた条件を満たす場合は、ステップS42に移行する。ステップS42で、制御部66は、放射線撮影の撮影条件を異ならせるよう制御し、本撮影条件変更処理を終了する。
【0081】
以上説明したように、本開示の一態様に係るコンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検体Hを第1方向から光学撮影して得られる少なくとも1つの光学画像を取得し、光学画像に基づいて、少なくとも1つの第1関心領域の位置を推定し、第1方向から、被検体Hが試料Sを嚥下する様子を連続的に放射線撮影して得られる複数の放射線画像を取得し、放射線画像において、第1関心領域の位置に対応する第2関心領域を特定し、複数の放射線画像に基づいて、試料Sの位置をモニタリングし、第2関心領域と試料Sの位置関係に基づいて、放射線撮影の撮影条件を異ならせる。
【0082】
すなわち、本実施形態に係るコンソール50によれば、放射線画像単体では撮影条件を変更すべき境界となる関心領域(例えば肩)が特定できないような場合であっても、光学画像に基づいて関心領域の位置を推定できる。したがって、線量等の撮影条件を適切に切り替えることができ、放射線画像の撮影を支援できる。
【0083】
なお、上記各実施形態においては、図2を用いて説明したように、撮影装置10において放射線源13及び放射線検出器20がともに移動可能であり、SIDが可変な形態について説明したが、これに限らない。本開示の技術は、図2に示すような撮影装置10以外の形態の放射線撮影装置にも適用可能である。例えば、図14に示すように、放射線源13及び放射線検出器20がアーム15で接続されており、放射線源13及び放射線検出器20の位置関係及びSIDが固定又は半固定(予め定められた範囲内で可変)な形態であってもよい。このような撮影装置としては、Cアーム型の放射線撮影装置及びX線テレビ等が挙げられる。
【0084】
また例えば、放射線源13及び放射線検出器20の何れか一方は移動可能であり、他方は移動不可能な形態であってもよい。このような撮影装置としては、天井走行式の放射線源13と、撮影室内に配置された放射線検出器20を有する撮影台と、を組み合わせる形態が挙げられる。なお、この場合の撮影台は、撮影台内部に放射線検出器20を着脱不能に有するものであってもよいし、放射線検出器20(電子カセッテ)が着脱可能に収容されるホルダを有するものであってもよい。また例えば、予め定められた範囲内でホルダ(放射線検出器20)の位置が可変なものであってもよい。
【0085】
また例えば、図2及び図14では座位姿勢の被検体Hを撮影する形態について説明したが、これに限らず、例えば立位姿勢の被検体Hを撮影してもよいし、臥位撮影台を備え、臥位姿勢の被検体Hを撮影してもよい。また、放射線検出器20の大きさも特に限定されず、例えば長尺撮影用のものであってもよい。
【0086】
また、上記各実施形態においては、図2に示すように、放射線検出器20の中心が、放射線源13から照射される放射線Rの照射軸Arと位置合わせされているものとして説明したが、これに限らない。例えば、放射線検出器20として可搬型の電子カセッテを用いる場合等には、放射線検出器20の中心と放射線Rの照射軸Arとがずれてしまう場合がある。この場合、上述したSID、放射線源13と光学カメラ26との位置関係(間隔dx、dy及びdz)及び光学カメラ26の画角ω等を用いた幾何学計算では、光学画像と放射線画像との位置合わせもずれてしまう。そこで例えば、放射線検出器20に位置合わせ用のマーカを設けておき、特定部64が、光学カメラ26によって放射線検出器20を撮影して得られる光学画像に含まれるマーカに基づいて光学画像と放射線画像との位置合わせを行ってもよい。
【0087】
また、上記各実施形態においては、撮影装置10が備える光学カメラ26を用いて光学画像を撮影し、放射線源13と光学カメラ26との位置関係(間隔dx、dy及びdz)が予め定められているものとして説明したが、これに限らない。例えば、撮影装置10が備える光学カメラ26に代えて、デジタルカメラ及びスマートフォンのカメラ等の外部のカメラを用いて光学画像を撮影してもよい。この場合、放射線源13とカメラとの位置関係は変動するので、上述した幾何学計算を用いての光学画像と放射線画像との位置合わせは困難である。そこで例えば、放射線検出器20に位置合わせ用のマーカを設けておき、特定部64が、外部のカメラによって放射線検出器20を撮影して得られる光学画像に含まれるマーカに基づいて光学画像と放射線画像との位置合わせを行ってもよい。
【0088】
また、上記各実施形態においては、被検体Hの体厚を光学画像に基づいて特定する形態について説明したが、これに限らない。例えば、被検体Hの体厚は、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging又はLight Detection and Ranging)、TOF(Time Of Flight)カメラ、及びステレオカメラ等の測距センサを用いて特定してもよい。
【0089】
また、上記各実施形態において、例えば、取得部60、推定部62、特定部64及び制御部66といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0090】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0091】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0092】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0093】
また、上記実施形態では、コンソール50における情報処理プログラム57が記憶部52に予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム57は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム57は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0094】
本開示の技術は、上記実施形態例及び実施例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0095】


1 撮影システム
6 RIS
10 撮影装置
12、12M、12N 放射線照射部
13 放射線源
14 支柱
15 アーム
16 撮影台
16A 撮影面
20、20M、20N 放射線検出器
20A 検出面
24 制御装置
26、26M、26N 光学カメラ
30、30P、30Q 光学画像
40 放射線画像
42 重畳画像
50 コンソール
51 CPU
52 記憶部
53 メモリ
54 ディスプレイ
55 操作部
56 I/F部
57 情報処理プログラム
58 バス
60 取得部
62 推定部
64 特定部
66 制御部
D1 画面
A1、B1 食道
A2、B2 気道
H 被検体
J 関節点
R 放射線
S 試料
α、β 回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14