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特開2024-52411超音波画像撮影装置、画像処理装置、超音波画像の撮影方法、及び超音波画像の撮影プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052411
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】超音波画像撮影装置、画像処理装置、超音波画像の撮影方法、及び超音波画像の撮影プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159109
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 立樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛
(72)【発明者】
【氏名】井上 知己
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD14
4C601EE09
4C601EE11
4C601JC11
4C601JC16
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】診断に適した超音波画像を得ることができる超音波画像撮影装置、画像処理装置、超音波画像の撮影方法、及び超音波画像の撮影プログラムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、導出した差分が閾値以上の場合、報知する超音波画像撮影装置。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、報知する
超音波画像撮影装置。
【請求項2】
前記第1の時刻は、前記超音波画像の撮影の開始時刻である
請求項1に記載の超音波画像撮影装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記導出した差分が閾値以上の場合、前記第2の時刻に撮影された前記超音波画像に、警告を表す情報を付与する
請求項1に記載の超音波画像撮影装置。
【請求項4】
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、前記第2の時刻に撮影された前記超音波画像に、警告を表す情報を付与する
超音波画像撮影装置により撮影された複数の超音波画像に対して画像処理を行う画像処理装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記超音波画像撮影装置により撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の超音波画像から、関心物の画像を生成する
画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
取得した前記複数の超音波画像に警告を表す情報が付与された超音波画像が含まれている場合、前記警告を表す情報が付与された超音波画像を除外した複数の超音波画像から、前記関心物の画像を生成する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
生成した前記関心物の画像のうち、前記警告を表す情報が付与された超音波画像から生成された領域と、前記警告を表す情報が付与された超音波画像以外の超音波画像から生成された領域とを識別可能に表示する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記警告を表す情報が付与された超音波画像と、前記警告を表す情報が付与された超音波画像以外の超音波画像と、の重み付けを異ならせて、前記関心物の画像を生成する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、報知する
処理をプロセッサが実行する超音波画像の撮影方法。
【請求項9】
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、報知する
処理をプロセッサに実行させるための超音波画像の撮影プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波画像撮影装置、画像処理装置、超音波画像の撮影方法、及び超音波画像の撮影プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に向けて送信した超音波による超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーに基づく受信信号を出力する超音波プローブを用いて被検体の超音波画像を撮影する超音波診断装置が知られている。
【0003】
撮影された超音波画像が診察に適しているか判断するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、被検体の肺の超音波画像を複数取得し、診断に適するか否かを判断する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2022/059539
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、肺の診断に関しては、適しているか判断できるものの、肺以外の部位の診断について適するか否かを判断する技術ではない。例えば、特許文献1に記載の技術では、腕の血管の診断に適する超音波画像であるか否かを判断することはできない。
【0006】
本開示は上記事情を考慮して成されたものであり、診断に適した超音波画像を得ることができる超音波画像撮影装置、画像処理装置、超音波画像の撮影方法、及び超音波画像の撮影プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の超音波画像撮影装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、第1の時刻の後であり、かつ超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、第1検出結果及び第2検出結果に基づいて、第1の時刻における手のひらの姿勢と、第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、導出した差分が閾値以上の場合、報知する。
【0008】
本開示の第2の態様の超音波画像撮影装置は、第1の態様の超音波画像撮影装置において、 第1の時刻は、超音波画像の撮影の開始時刻である。
【0009】
本開示の第3の態様の超音波画像撮影装置は、第1の態様の超音波画像撮影装置において、プロセッサは、導出した差分が閾値以上の場合、第2の時刻に撮影された超音波画像に、警告を表す情報を付与する。
【0010】
本開示の第4の態様の画像処理装置は、超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、第1の時刻の後であり、かつ超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、第1検出結果及び第2検出結果に基づいて、第1の時刻における手のひらの姿勢と、第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、導出した差分が閾値以上の場合、第2の時刻に撮影された超音波画像に、警告を表す情報を付与する超音波画像撮影装置により撮影された複数の超音波画像に対して画像処理を行う画像処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、超音波画像撮影装置により撮影された複数の超音波画像を取得し、複数の超音波画像から、関心物の画像を生成する。
【0011】
本開示の第5の態様の画像処理装置は、第4の態様の画像処理装置において、プロセッサは、取得した複数の超音波画像に警告を表す情報が付与された超音波画像が含まれている場合、警告を表す情報が付与された超音波画像を除外した複数の超音波画像から、関心物の画像を生成する。
【0012】
本開示の第6の態様の画像処理装置は、第4の態様の画像処理装置において、プロセッサは、生成した関心物の画像のうち、警告を表す情報が付与された超音波画像から生成された領域と、警告を表す情報が付与された超音波画像以外の超音波画像から生成された領域とを識別可能に表示する。
【0013】
本開示の第7の態様の画像処理装置は、第4の態様の画像処理装置において、プロセッサは、警告を表す情報が付与された超音波画像と、警告を表す情報が付与された超音波画像以外の超音波画像と、の重み付けを異ならせて、関心物の画像を生成する。
【0014】
また、上記目的を達成するために本開示の第8の態様の超音波画像の撮影方法は、超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、第1の時刻の後であり、かつ超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、第1検出結果及び第2検出結果に基づいて、第1の時刻における手のひらの姿勢と、第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、導出した差分が閾値以上の場合、報知する処理をプロセッサが実行するための方法である。
【0015】
また、上記目的を達成するために本開示の第9の態様の超音波画像の撮影プログラムは、超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、第1の時刻の後であり、かつ超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、第1検出結果及び第2検出結果に基づいて、第1の時刻における手のひらの姿勢と、第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、導出した差分が閾値以上の場合、報知する処理をプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、診断に適した超音波画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の医療画像撮影システムにおける全体の構成の一例を示すブロック図である。
図2】受信回路の構成の一例を示すブロック図である。
図3】画像生成部の構成の一例を示すブロック図である。
図4】超音波画像の一例を示す図である。
図5】検出器による姿勢情報の検出方法を説明するための図である。
図6】超音波画像における本体部の構成の一例を表す機能ブロック図である。
図7】本体部のプロセッサで実行される撮影制御処理の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態の画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図9】画像処理装置の構成の一例を表す機能ブロック図である。
図10】画像処理装置のプロセッサで実行される画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
図11】画像処理装置のプロセッサで実行される画像生成処理の変形例を示すフローチャートである。
図12】画像処理装置のプロセッサで実行される画像生成処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0019】
まず、本実施形態の医療画像撮影システム1について、全体の構成の一例について説明する。図1には、本実施形態の医療画像撮影システム1について全体の構成の一例を表したブロック図が示されている。図1に示すように本実施形態の医療画像撮影システム1は、超音波画像撮影装置13、及び検出器14を備える。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の超音波画像撮影装置13は、超音波プローブ10及び本体部12を備える。
【0021】
超音波プローブ10は、振動子アレイ20と、送信回路24及び受信回路26を含む送受信回路22とを備える。振動子アレイ20は、1次元状、又は2次元状に配列された複数の振動子(図示省略)を備える。一例として本実施形態では、超音波プローブ10が、複数の振動子が直線状に配列されたリニア型の超音波プローブである形態について説明する。なお、超音波プローブ10は、本形態に限定されず、振動子が湾曲して配列されたコンベックス型又はセクタ型の超音波プローブであってもよい。複数の振動子の各々は、送信回路24から印加される駆動信号に基づいて超音波を送信するとともに、被検体内で生じた超音波エコーを受信して、受信した超音波エコーに応じた電気信号を出力する。
【0022】
複数の振動子の各々は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride)に代表される高分子圧電素子、及び、PMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate)に代表される圧電単結晶等の圧電性を有する材料である圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0023】
送信回路24は、振動子アレイ20から被検体に向けて超音波ビームの送信を行わせる。具体的には、送信回路24は、例えば、複数のパルス発生器(図示省略)を含んでおり、本体部12の撮影制御部90からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づき、振動子アレイ20が有する複数の振動子の各々に対して、それぞれの遅延量を調整して駆動信号を供給して電圧を印加する。それぞれの駆動信号は、パルス状又は連続波状の電圧信号であり、振動子アレイ20の振動子の電極に電圧が印加されると、圧電体が伸縮する。以上の結果、それぞれの振動子からパルス状又は連続波状の超音波が発生し、それらの超音波の合成波から超音波ビームが形成される。
【0024】
送信された超音波ビームは、被検体内の各部位(例えば、血管及び他の組織等)及び被検体内に配置された器具等にて反射されることで超音波エコーが発生する。発生した超音波エコーは、被検体内を伝搬して振動子アレイ20が有する複数の振動子によって受信される。各振動子は、受信した超音波エコーに応じた電気信号を発生させる。各振動子において発生した電気信号は受信回路26に出力される。
【0025】
受信回路26は、本体部12の撮影制御部90からの制御信号に従い、振動子アレイ20から出力される信号(厳密には、アナログの電気信号)に対する処理を行って、音線信号を生成する。図2には、本実施形態の受信回路26の構成の一例を表すブロック図が示されている。図2に示すように受信回路26は、例えば、増幅部50、AD(Analog Digital)変換部52、及びビームフォーマ54を有する。
【0026】
増幅部50は、振動子アレイ20が有する複数の振動子の各々から出力された電気信号を増幅し、増幅後の電気信号をAD変換部52に出力する。AD変換部52は、増幅後の電気信号をデジタルの受信データに変換し、変換された各受信データをビームフォーマ54に出力する。ビームフォーマ54は、本体部12の撮影制御部90からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速又は音速の分布に従い、AD変換部52によって変換された各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算して、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部52で変換された各受信データが整相加算され、且つ、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が生成される。生成された音線信号は、本体部12の通信I/F(Interface)部40を介して画像生成部46に出力される。
【0027】
一方、本体部12は、プロセッサ30、メモリ32、記憶部34、通信I/F部40、入力I/F部42、表示部44、及び画像生成部46を備える。プロセッサ30、メモリ32、記憶部34、通信I/F部40、入力I/F部42、表示部44、及び画像生成部46はシステムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0028】
プロセッサ30は、記憶部34に記憶された撮影制御プログラム36を含む各種のプログラムをメモリ32へ読み出し、読み出したプログラムに従った処理を実行する。これにより、プロセッサ30は、超音波画像の撮影や、超音波画像に対する画像処理に関する制御を行う。メモリ32は、プロセッサ30が処理を実行するためのワークメモリである。
【0029】
記憶部34には、画像生成部46により生成された超音波画像の画像データ、検出器14から取得した姿勢情報P、撮影制御プログラム36、詳細を後述するマーカ特徴情報38、及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部34の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びSD(Secure Digital)カード等が挙げられる。
【0030】
通信I/F部40は、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等の無線通信、若しくは有線通信により、超音波プローブ10、検出器14、及び本体部12の外部の装置との間で各種情報の通信を行う。本体部12からは通信I/F部40を介して超音波プローブ10に超音波画像を撮影するための制御信号が出力される。また、超音波プローブ10から通信I/F部40を介して本体部12に音線信号が入力される。また、検出器14から通信I/F部40を介して本体部12に姿勢情報Pが入力される。
【0031】
入力I/F部42及び表示部44はユーザインタフェースとして機能する。表示部44は、ユーザに対して、超音波画像の撮影に関する各種の情報を提供する。表示部44は特に限定されるものではなく、液晶モニタ及びLED(Light Emitting Diode)モニタ等が挙げられる。また、入力I/F部42は、超音波画像の撮影等に関する各種の指示を入力するためにユーザによって操作される。入力I/F部42は特に限定されるものではなく、例えば、キーボード、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。なお、入力I/F部42及び表示部44を一体化したタッチパネルディスプレイを採用してもよい。
【0032】
画像生成部46は、超音波プローブ10の受信回路26から入力された音線信号に基づいて超音波画像を生成する機能を有する。図3には、本実施形態の画像生成部46の構成の一例を表すブロック図が示されている。図3に示すように画像生成部46は、例えば、信号処理部60、DSC(Digital Scan Converter)62、及び画像処理部64を有する。信号処理部60は、受信回路26によって生成された音線信号に対し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、超音波画像Uを示すBモード画像信号を生成する。DSC62は、信号処理部60で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号にラスター変換等により変換する。画像処理部64は、DSC62から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を出力する。画像生成部46から出力されたBモード画像信号が、超音波画像Uに相当する。
【0033】
画像生成部46により生成された超音波画像Uの一例を図4に示す。図4に示した超音波画像Uには、血管Bの横断面が示されている。ここで、血管Bの横断面とは、血管Bの延出方向と直交する切断面を意味する。なお、本実施形態では、図4に示すように、超音波画像Uにおいて、体表面Sと被検体の内部とを結ぶ方向を深度方向Dという超音波画像U中の血管Bの各部分は、深度方向Dにおいて、超音波プローブ10が接触した被検体の体表面Sからの距離、すなわち深度に応じた位置に表示される。
【0034】
一方、検出器14は、被検体の手の平の姿勢を検出する検出器である。本実施形態では、図5に示すように、検出器14として、被検体Wの手のひらW1を含む領域を撮影範囲R1とした光学カメラを姿勢情報P検出のためのセンサとして用いている。従って、検出器14の光学カメラにより撮影された光学カメラ画像は、撮影範囲R1に応じた画像となる。なお、本実施形態における超音波画像Uの撮影範囲は、図5に示す撮影範囲R2であり、被検体Wの腕W2を撮影部位とした超音波画像Uの撮影が行われる。
【0035】
本実施形態の検出器14の光学カメラは、超音波画像撮影装置13の本体部12から検出開始指示が入力されると、本体部12から検出終了指示が入力されるまで、設定されたフレームレートで連続して光学カメラ画像の撮影を行う。検出器14は、各フレームの光学カメラ画像をセンサ値として、手のひらW1の姿勢情報Pを推定し、推定した姿勢情報Pを順次、超音波画像撮影装置13に出力する。
【0036】
次に、超音波画像撮影装置13の本体部12の機能的構成について説明する。図6には、本実施形態の超音波画像撮影装置13の本体部12の機能に係る構成の一例を表す機能ブロック図が示されている。図6に示すように、本体部12は、第1取得部80、差分導出部81、第2取得部82、表示制御部84、及び撮影制御部90を備えている。一例として本実施形態の本体部12は、プロセッサ30が記憶部34に記憶されている撮影制御プログラム36を実行することにより、プロセッサ30が、第1取得部80、差分導出部81、第2取得部82、表示制御部84、及び撮影制御部90として機能する。
【0037】
撮影制御部90は、超音波画像Uの撮影を行う場合、上述したように超音波プローブ10の送受信回路22に制御信号を出力する機能を有する。撮影制御部90から出力された制御信号が超音波プローブ10の送信回路24及び受信回路26に入力されることにより、上述したように超音波プローブ10の受信回路26から音線信号が本体部12の画像生成部46に出力される。超音波プローブ10の送受信回路22及び本体部12の画像生成部46は、撮影制御部90の制御によって、超音波画像の撮影期間中、超音波画像を一定のフレームレートにて連続して複数回取得する。
【0038】
第1取得部80は、姿勢情報Pを取得する機能を有する。一例として本実施形態の第1取得部80は、上述したように、検出器14から姿勢情報Pを取得する。なお、後述するが、姿勢情報Pには、撮影開始時に検出器14により撮影された初期姿勢情報P0と、撮影開始後、かつ撮影中に検出器14により撮影された撮影中姿勢情報P1とがある。
【0039】
差分導出部81は、初期姿勢情報P0と、撮影中姿勢情報P1との差分を導出する。また、差分導出部81は、導出した差分が閾値以上であるか否かを判定する。なお、差分導出部81が初期姿勢情報P0における手のひらW1の姿勢と、撮影中姿勢情報P1における手のひらW1の姿勢との差分を導出する方法、及び差分が閾値以上であるか否かを判定する方法は、限定されない。例えば、差分導出部81は、初期姿勢情報P0及び撮影中姿勢情報P1の各々における手のひらW1の外郭から差分を検出してもよい。この場合、差分導出部81は、初期姿勢情報P0における外郭と、撮影中姿勢情報P1における外郭との変動量が閾値以上であるか否かを判定する。この場合の閾値としては、例えば、移動量に基づいた閾値等が挙げられる。また、閾値の具体例としては、例えば、20画素分以上変動した場合、及び移動量にかかわらず、3本以上の指の位置が変動した場合の少なくとも一方とすること等が挙げられる。差分導出部81は、判定結果を表示制御部84に出力する。
【0040】
第2取得部82は、超音波画像Uを取得する機能を有する。一例として本実施形態の第2取得部82は、記憶部34から超音波画像Uを取得する。第2取得部82により取得された超音波画像Uは、表示制御部84に出力される。
【0041】
表示制御部84は、本体部12の表示部44に、超音波画像Uを表示させる機能を有する。また、表示制御部84は、差分導出部81から入力された判定結果が、差分が閾値以上であることを表す場合、警告を表す情報を、超音波画像Uと共に表示させる機能を有する。
【0042】
次に、本実施形態の本体部12の作用について図面を参照して説明する。図7には、本実施形態の本体部12において実行される撮影制御処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。一例として、本実施形態の本体部12は、本体部12に電源が投入されると、プロセッサ30が、記憶部34に記憶されている撮影制御プログラム36を実行することにより、図7に一例を示した画像処理を実行する。
【0043】
図7のステップS100で撮影制御部90は、超音波画像Uの撮影を開始するか否か判定する。例えば、入力I/F部42により技師が入力した撮影開始指示を受け付けた場合、撮影制御部90は、超音波画像Uの撮影を開始すると判定する。超音波画像Uの撮影を開始しない場合、ステップS100の判定が否定判定となる。一方、超音波画像Uの撮影を開始する場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0044】
ステップS102で第1取得部80は、姿勢情報Pの取得を開始するための開始指示を検出器14に出力する。上述したように検出器14は、開始指示が入力されると、光学カメラに、設定されたフレームレートで被検体Wの手のひらW1の撮影を開始させる。また、検出器14は、各フレームの光学カメラ画像から姿勢情報Pを推定し、姿勢情報Pを、本体部12に出力する。
【0045】
次のステップS104で第1取得部80は、初期姿勢情報P0を取得する。すなわち、超音波画像Uの撮影開始時における姿勢情報Pを取得する。なお、本体部12は、超音波プローブ10と、超音波プローブ10による1枚目の超音波画像Uに対応する超音波の送信または超音波エコーの受信と、検出器14の光学カメラによる初期姿勢情報P0の撮影とが同期して行われるように、超音波プローブ10及び検出器14を制御してもよい。
【0046】
次のステップS106で撮影制御部90は、超音波プローブ10に、超音波画像の撮影開始指示を出力する。超音波プローブ10では、撮影開始指示に応じて、被検体Wに対して超音波ビームを出力し、得られた音線信号を本体部12に出力する。本体部12の画像生成部46は、上述したように、音線信号から超音波画像Uを生成する。
【0047】
次のステップS108で第2取得部82は、超音波画像Uの取得を開始し、表示制御部84は、超音波画像Uの表示を開始する。以降、撮影が終了するまで、超音波画像Uの撮影が所定のフレームレートで行われ、生成された超音波画像Uが、順次、表示部44に表示される。
【0048】
次のステップS110で第2取得部82は、検出器14から撮影中姿勢情報P1を取得する。すなわち、第2取得部82は、超音波画像Uの撮影中に、検出器14の光学カメラにより撮影された光学カメラ画像から推定された姿勢情報Pを撮影中姿勢情報P1として、検出器14から取得する。
【0049】
次のステップS112で差分導出部81は、上述したように、初期姿勢情報P0と、撮影中姿勢情報P1との差分を導出する。
【0050】
次のステップS114で差分導出部81は、上述したように、差分導出部81が導出した差分が閾値以上であるか否かを判定する。差分が閾値以上ではない場合、換言すると差分が閾値未満である場合、ステップS114の判定が否定判定となり、ステップS120へ移行する。
【0051】
一方、差分が閾値以上である場合、ステップS114の判定が肯定判定となり、ステップS116へ移行する。ステップS116で表示制御部84は、上述したように、警告を表す情報を表示部44に表示させる。
【0052】
次のステップS118で表示制御部84は、警告を表す情報を、超音波画像Uに付与して記憶させる。具体的には、警告の元となった差分の導出に用いた撮影中姿勢情報P1を撮影したタイミングと同様のタイミングで撮影された超音波画像Uに対して、警告を表す情報を付与する。
【0053】
次のステップS120で撮影制御部90は、撮影を終了するか否かを判定する。例えば、入力I/F部42により技師が入力した撮影終了指示を受け付けた場合、撮影制御部90は、超音波画像Uの撮影を終了すると判定する。撮影を終了しない場合、ステップS120の判定が否定判定となり、ステップS110に戻り、ステップS110~S118の処理を繰り返す。一方、撮影を終了する場合、ステップS120の判定が肯定判定となり、ステップS122で撮影制御部90は、第1取得部80は、姿勢情報Pの取得を終了するために、検出器14に終了指示を出力する。上述したように検出器14は、終了指示が入力されると、光学カメラによる被検体Wの手のひらW1の撮影、及び光学カメラ画像から姿勢情報Pの推定を終了する。ステップS122の処理が終了すると、図7に示した撮影制御処理が終了する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の本体部12によれば、超音波画像Uの撮影中に被検体Wの手のひらW1の姿勢が、超音波画像Uの撮影開始から比べて閾値以上変化した場合、警告を表示する。手のひらW1の姿勢が閾値以上変化した場合、腕W2の姿勢が変化せずとも、被検体Wの腕W2における血管の位置が変化してしまうことがある。腕W2における血管の位置が変化すると、超音波画像Uに写る血管Bの状態が変化してしまう。このように血管Bの状態が変化してしまった超音波画像Uは、診断に用いるのに好ましくない場合がある。例えば、一連の超音波画像Uを連結させて、血管Bの構造を表す血管構造画像を生成した場合、撮影開始指示から変化した血管Bの画像における、その変化がノイズとなってしまう場合がある。
【0055】
これに対して、本実施形態では、上述のように、検体Wの手のひらW1の姿勢が閾値以上変化した場合、警告を表示するため、警告に気付いた技師は、手のひらW1の姿勢を初期状態に戻そうとする。これにより、被検体Wの腕W2の血管の状態を変化前、即ち超音波画像Uの撮影開始時と同様の状態に戻すことができる。従って、本実施形態の本体部12によれば、診断に適した超音波画像を得ることができる。
【0056】
続けて、超音波画像撮影装置13により撮影された、一連の超音波画像Uを用いた血管構造画像の生成について説明する。一例として本実施形態では、超音波画像撮影装置13により、一連の超音波画像Uの撮影を行った後、超音波画像撮影装置13の外部に設けられた画像処理装置18により、血管構造画像の生成が行われる。
【0057】
図8は、本実施形態の画像処理装置18の一例のハードウェア構成を表した構成図が示されている。図8に示すように本実施形態の画像処理装置18は、プロセッサ100、メモリ102、記憶部104、通信I/F部108、入力I/F部110、及び表示部112を備える。プロセッサ100、メモリ102、記憶部104、通信I/F部108、入力I/F部110、及び表示部112はシステムバスやコントロールバス等のバス119を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0058】
プロセッサ100は、記憶部104に記憶された画像生成プログラム106を含む各種のプログラムをメモリ102へ読み出し、読み出したプログラムに従った処理を実行する。これにより、プロセッサ100は、血管構造画像(関心物画像)の生成に関する制御を行う。メモリ102は、プロセッサ100が処理を実行するためのワークメモリである。
【0059】
記憶部104には、取得した超音波画像、画像生成プログラム106、及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部104の具体例としては、HDD、SSD、及びSDカード等が挙げられる。
【0060】
通信I/F部108は、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等の無線通信、若しくは有線通信により、超音波画像撮影装置13の本体部12との間で各種情報の通信を行う。
【0061】
入力I/F部110及び表示部112はユーザインタフェースとして機能する。表示部112は、ユーザに対して、血管画像(関心物画像)の生成に関する各種の情報を提供する。表示部112は特に限定されるものではなく、液晶モニタ及びLEDモニタ等が挙げられる。また、入力I/F部110は、血管画像(関心物画像)の生成等に関する各種の指示を入力するためにユーザによって操作される。入力I/F部110は特に限定されるものではなく、例えば、キーボード、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。なお、入力I/F部110及び表示部112を一体化したタッチパネルディスプレイを採用してもよい。
【0062】
次に、画像処理装置18の機能的構成について説明する。図8には、本実施形態の画像処理装置18の機能に係る構成の一例を表す機能ブロック図が示されている。図8に示すように、画像処理装置18は、取得部120、画像生成部122、及び表示制御部124を備える。一例として本実施形態の画像処理装置18は、プロセッサ100が記憶部104に記憶されている画像生成プログラム106を実行することにより、プロセッサ100が、取得部120、画像生成部122、及び表示制御部124として機能する。
【0063】
取得部120は、超音波画像撮影装置13の本体部12から超音波画像群を取得する機能を有する。上記本体部12の撮影制御処理により警告が行われた場合、対応する超音波画像Uには警告を表す状態が付与された状態の超音波画像Uを取得する。すなわち、本体部12の撮影処理により警告が行われた場合、取得部120は、警告が付与された超音波画像Uと、警告が付与されていない超音波画像Uとを含む一連の超音波画像群を取得する。取得部120は、取得した超音波画像群を画像生成部122に出力する。
【0064】
画像生成部122は、超音波画像群の各超音波画像Uから、関心物を表す関心物が画像を生成する。本実施形態では、血管が関心物であるため、画像生成部122は、血管Bの構造を表す血管構造画像を生成する。なお、画像生成部122が、超音波画像群から生成する血管構造画像(関心物画像)は、ピクセルデータにより構成される2次元画像であってもよいし、ボクセルデータから構成される3次元画像であってもよいし、2次元画像及び3次元画像の両方であってもよい。画像生成部122が、超音波画像群から血管構造画像(関心物画像)を生成する方法は特に、限定されない。血管構造画像(関心物画像)が2次元画像である場合、及び3次元画像である場合のいずれにおいても、公知の手法を適用することができる。画像生成部122が生成した血管構造画像は、表示制御部124に出力される。
【0065】
表示制御部84は、表示部112に、血管構造画像を表示させる機能を有する。
【0066】
次に、本実施形態の画像処理装置18の作用について図面を参照して説明する。図10には、本実施形態の画像処理装置18において実行される画像生成処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。一例として、本実施形態の本体部12は、ユーザが入力I/F部110により、画像生成の開始指示を行った場合、プロセッサ100が、記憶部104に記憶されている画像生成プログラム106を実行することにより、図10に一例を示した画像生成処理を実行する。
【0067】
図10のステップS200で取得部120は、上述したように、超音波画像撮影装置13の本体部12から、複数の超音波画像Uを含む超音波画像群を取得する。
【0068】
次のステップS202で画像生成部122は、取得した超音波画像群に、警告が付与された超音波画像Uが含まれているか否かを判定する。警告が付与された超音波画像Uが含まれていない場合、ステップS202の判定が否定判定となり、ステップS206へ移行する。一方、警告が付与された超音波画像Uが含まれている場合、ステップS202の判定が肯定判定となり、ステップS204へ移行する。
【0069】
ステップS204で画像生成部122は、上記ステップS200で取得した超音波画像群から、警告が付与された超音波画像Uを除外する。
【0070】
次のステップS206で画像生成部122は、上述したように、超音波画像群から、血管構造画像を生成する。上記ステップS200で取得した超音波画像群に、警告が付与された超音波画像Uが含まれている場合、上記ステップS204で除外されるため、画像生成部122は、警告が付与されていない超音波画像Uから血管構造画像を生成する。なお、この場合、例えば、画像生成部122は、警告が付与された超音波画像Uに対応する部分が抜けた血管構造画像を生成してもよい。また例えば、画像生成部122は、警告が付与された超音波画像Uに対応する部分、すなわち除外した超音波画像Uに対応する疑似超音波画像を、除外した前後の超音波画像U等から補完して生成し、生成した疑似超音波画像も用いて血管構造画像を生成してもよい。
【0071】
次のステップS208で表示制御部124は、上記ステップS206で生成された血管構造画像を、表示部112に表示させる。ステップS208の処理が終了すると、図10に示した画像生成処理が終了する。
【0072】
このように、図10に示した画像処理によれば、画像生成部122は、警告を付与した超音波画像Uを用いずに血管構造画像を生成する。これにより、血管構造画像の精度を向上させることができる。
【0073】
さらに、画像生成処理の変形例について説明する。
(変形例1)
図11には、本変形例の画像処理装置18において実行される画像生成処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。図11に示した本変形例の画像生成処理は、ステップS202、S204の処理が設けられておらず、ステップS200で超音波画像群を取得した後、ステップS206に移行する点で、図10に示した画像生成処理と異なっている。そのため、本変形例の画像生成部122は、警告が付与された超音波画像Uも用いて血管構造画像を生成する。なお、本変形例において生成する血管構造画像は、3次元画像であることが好ましい。
【0074】
また、本変形例の画像生成処理は、ステップS206の処理の後に、ステップS207A、S20Bの処理を含む点で、図10に示した画像生成処理と異なっている。
【0075】
図11のステップS207Aで画像生成部122は、上記ステップS200で取得した超音波画像群に、警告が付与された超音波画像Uが含まれているか否か判定する。超音波画像群に、警告が付与された超音波画像Uが含まれていない場合、ステップS207Aの判定が否定判定となり、上述したステップS208へ移行する。一方、超音波画像群に、警告が付与された超音波画像Uが含まれている場合、ステップS207Aの判定が行為定判定となり、ステップS207Bに移行する。
【0076】
ステップS207Bで表示制御部124は、警告が付与された超音波画像Uにより生成された領域と、他の超音波画像U、即ち警告が付与されていない超音波画像Uにより生成された領域とを識別可能にして血管構造画像を、表示部112に表示させる。例えば、表示制御部124は、警告が付与された超音波画像Uにより生成された領域よりも、他の超音波画像Uにより生成された領域が目立つようにして血管構造画像を表示させる。また例えば、表示制御部124は、警告が付与された超音波画像Uにより生成された領域の色と、他の超音波画像Uにより生成された領域の色とを異ならせて血管構造画像を表示させる。ステップS207Bの処理が終了すると、図11に示した画像処理が終了する。
【0077】
このように、警告が付与された超音波画像Uにより生成された領域と、他の超音波画像Uにより生成された領域とを識別可能にした血管構造画像を表示させることにより、生成の精度が低下した可能性がある領域をユーザは視覚的に認識することができる。
【0078】
(変形例2)
本変形例において生成する血管構造画像は、変形例1と同様に、3次元画像であることが好ましい。
【0079】
図12には、本変形例の画像処理装置18において実行される画像生成処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。図12に示した本変形例の画像生成処理は、ステップS204の処理が設けられておらず、ステップS202で否定判定となった場合、すなわち警告が付与された超音波画像Uが超音波画像群に含まれない場合、ステップS206に移行する点で、図10に示した画像生成処理と異なっている。
【0080】
また、本変形例の画像生成処理は、ステップS202で肯定判定となった場合、ステップS205に移行する点で、図10に示した画像生成処理と異なっている。
【0081】
図12のステップS205で画像生成部122は、警告が付与された超音波画像Uの重み付けを、警告が付与されていない超音波画像Uよりも相対的に低くして、血管構造画像を生成する。例えば、画像生成部122は、警告が付与された超音波画像Uと、警告が付与されていない超音波画像Uとの境界部分において、警告が付与された超音波画像Uの重み付けを、警告が付与されていない超音波画像Uよりも相対的に低くしてもよい。また例えば、画像生成部122は、警告が付与されている超音波画像U全体において、警告が付与された超音波画像Uの重み付けを、警告が付与されていない超音波画像Uよりも相対的に低くしてもよい。ステップS205の処理が終了すると、ステップS208へ移行する。
【0082】
このように、警告が付与された超音波画像Uの重み付けを、警告が付与されていない超音波画像Uよりも相対的に低くして血管構造画像を生成することにより、警告が付与された超音波画像Uを用いて生成することで血管構造画像の精度が低下するのを抑制することができる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置18によれば、診断に適した関心領域画像(血管構造画像)を得ることができる。
【0084】
なお、本開示の技術は、上記各形態に限定されず、さらに種々の変形が可能である。
例えば、姿勢情報Pを検出する検出器14は、上記形態に限定されない。例えば、検出器14は、上述した光学カメラにより撮影された光学カメラ画像から姿勢情報Pを推定する検出器14のように、センサから出力されたセンサ値から姿勢情報Pを推定する検出器14であってもよい。また例えば、検出器14は、センサから出力されたセンサ値そのものを姿勢情報Pとする検出器であってもよい。すなわち、検出器14は、用いるセンサによって、姿勢情報Pの推定が必要か否か異なっている。
【0085】
具体的には、検出器14は、例えば、被検体Wの指に装着するトラッキング用のマーカと、光学カメラとの組合せであってもよい。また、検出器14は、その他の被検体Wの手指の間隔、手指の角度、及び手指の骨格の3次元的な構造のいずれか1つを検出できるものであってもよい。例えば、検出器14は、被検体Wの指に装着する指輪型や、手のひらW1に装着し、静電気の変化を検出する静電センサであってもよい。また、例えば、検出器14は、磁気の変化を検出する磁気センサであってもよい。また例えば、検出器14は、指や手のひらW1の接触状態を検出する圧力センサであってもおい。また例えば、検出器14は、被検体Wの手のひらW1に装着される導電性グローブであってもよい。
【0086】
また例えば、検出器14はレーザや可視光等を用いた測距装置であってもよい。測距装置としては、被検体Wの手のひらW1に対する検知波(レーザ)を送波し、手のひらW1からの反射波を受波して、手のひらW1までの検知距離を測定する測距センサであるLiDAR(Light Detection And Ranging)を用いてもよい。また、測距装置としては、デプスセンサを備え、手のひらW1までの距離情報を有する画素により構成された画像が得られるカメラ、もしくは、2つの光学カメラを備え、その視差から手のひらW1までの距離を計測可能であるカメラであるデプスカメラを用いてもよい。また、測距装置としては、中心周波数2.4/5GHzである送波部と帯域幅20/40/80/160MHz等、複数の受信チャンネルを持つ受波部を有する汎用的な通信機器であるWifi(登録商標)を用いた通信機器を用いてもよい。また、測距装置としては、広帯域(1.78GHz)の信号を送波する送波部と、T型のアンテナアレイを備える受波部とを有する周波数変調連続波を利用したレーダー装置を用いてもよい。なお、測距装置が、LiDAR、Wifi、及びレーダーを用いる場合、深層学習モデルで反射波を解析することにより、姿勢情報Pを復元することができる。また、測距装置が、カメラを備えたLiDARやデプスカメラを用いる場合、画像処理により被検体Wの関節の位置を把握でき、対応する画素におけるカメラからの距離を測定できるため、この姿勢情報Pを得ることができる。
【0087】
また、上記では、超音波画像Uを撮影する撮影制御処理において、超音波画像撮影装置13の本体部12が、超音波画像Uの撮影開始のタイミングと、検出器14による姿勢情報Pの取得のタイミングとを同期させる制御を行う形態について説明した。しかしながら、両タイミングを同期させる方法は、本形態に限定されない。例えば、本体部12または超音波プローブ10、及び検出器14の各々が、時刻が一致している時計を備え、各時計が設定された時刻を示したタイミングで、超音波画像Uの撮影を開始し、また、姿勢情報Pの検出を開始する形態としてもよい。
【0088】
また、例えば、被検体Wの超音波画像Uを撮影する場合、手のひらW1の姿勢を変化させながら超音波画像Uのプレ撮影を行い、超音波画像Uにおける血管Bの画像が好ましい状態、例えば好ましい形状となった場合に、その状態で手のひらW1の姿勢を維持するよう、被検体Wに指示するようにしてもよい。
【0089】
また、上記形態において、例えば、第1取得部80、差分導出部81、第2取得部82、表示制御部84、及び撮影制御部90、または取得部120、画像生成部122、及び表示制御部124といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0090】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0091】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0092】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0093】
また、上記各実施形態では、撮影制御プログラム36が記憶部34に予め記憶(インストール)され、また、画像生成プログラム106が記憶部104に予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。撮影制御プログラム36及び画像生成プログラム106の各々は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、撮影制御プログラム36及び、画像生成プログラム106の各々は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0094】
以上の記載から、以下の付記に記載の発明を把握することができる。
【0095】
[付記1]
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、報知する
超音波画像撮影装置。
【0096】
「付記2」
前記第1の時刻は、前記超音波画像の撮影の開始時刻である
付記1に記載の超音波画像撮影装置。
【0097】
「付記3」
前記プロセッサは、
前記導出した差分が閾値以上の場合、前記第2の時刻に撮影された前記超音波画像に、警告を表す情報を付与する
付記1または付記2に記載の超音波画像撮影装置。
【0098】
「付記4」
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、前記第2の時刻に撮影された前記超音波画像に、警告を表す情報を付与する
超音波画像撮影装置により撮影された複数の超音波画像に対して画像処理を行う画像処理装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記超音波画像撮影装置により撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の超音波画像から、関心物の画像を生成する
画像処理装置。
【0099】
「付記5」
前記プロセッサは、
取得した前記複数の超音波画像に警告を表す情報が付与された超音波画像が含まれている場合、前記警告を表す情報が付与された超音波画像を除外した複数の超音波画像から、前記関心物の画像を生成する
付記4に記載の画像処理装置。
【0100】
「付記6」
前記プロセッサは、
生成した前記関心物の画像のうち、前記警告を表す情報が付与された超音波画像から生成された領域と、前記警告を表す情報が付与された超音波画像以外の超音波画像から生成された領域とを識別可能に表示する
付記4に記載の画像処理装置。
【0101】
「付記7」
前記プロセッサは、
前記警告を表す情報が付与された超音波画像と、前記警告を表す情報が付与された超音波画像以外の超音波画像と、の重み付けを異ならせて、前記関心物の画像を生成する
付記4に記載の画像処理装置。
【0102】
「付記8」
前記超音波画像は、2次元画像及び3次元画像の少なくとも一方である
付記4から付記7のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0103】
「付記9」
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、報知する
処理をプロセッサが実行する超音波画像の撮影方法。
【0104】
「付記10」
超音波画像の撮影において被写体の手のひらの姿勢を検出する検出器から、第1の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第1検出結果として取得し、
前記第1の時刻の後であり、かつ前記超音波画像の撮影中の時刻である第2の時刻における前記手のひらの姿勢を表す情報を第2検出結果として取得し、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記第1の時刻における手のひらの姿勢と、前記第2の時刻における手のひらの姿勢との差分を導出し、
導出した差分が閾値以上の場合、報知する
処理をプロセッサに実行させるための超音波画像の撮影プログラム。
【符号の説明】
【0105】
1 超音波診断装置
10 超音波プローブ
12 本体部
13 超音波画像撮影装置
14 検出器
18 画像処理装置
20 振動子アレイ
22 送受信回路
24 送信回路
26 受信回路
30、100 プロセッサ
32。102 メモリ
34、104 記憶部
36 画像処理プログラム
40、108 通信I/F部
42、110 入力I/F部
44、112 表示部
46 画像生成部
49、119 バス
50 増幅部
52 A/D変換部
54 ビームフォーマ
60 信号処理部
62 DSC
64 画像処理部
80 第1取得部
81 差分導出部
82 第2取得部
84 表示制御部
90 撮影制御部
106 画像生成プログラム
120 取得部
122 画像生成部
124 表示制御部
B 血管
D 深度方向
P 姿勢情報
R1、R2 撮影領域
S 体表面
U 超音波画像
W 被検体、W1 手のひら、W2 腕
図1
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