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特開2024-52425半導体装置、半導体装置を製造する方法、組立体を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052425
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置を製造する方法、組立体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20240404BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H01L21/60 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159127
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 正典
【テーマコード(参考)】
5F033
5F044
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH11
5F033HH13
5F033MM08
5F033MM26
5F033PP27
5F033QQ09
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033RR21
5F033VV07
5F033XX14
5F044AA14
5F044EE06
5F044EE12
(57)【要約】
【課題】金属層構造を有するパッド電極の表面近傍に設けられた複数金属層間の剥がれの発生頻度を低減できる構造を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置11は、ベース金属体25及び第1電極層27を含む電極ベース23、並びに第2電極層29を備えるパッド電極15と、半導体領域17と絶縁膜19を含む支持体13であって、絶縁膜19の表面は、パッド電極15を配置するエリア21に複数の段差22を有する、支持体13とを備え、第1電極層27はニッケル又はパラジウムの少なくとも一方を含み、第2電極層29は金を含み、電極ベース23の上面に配置され、ベース金属体25、第1電極層27及び第2電極層29は、絶縁膜19の表面に交差する軸Axの方向に順に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース金属体及び第1電極層を含む電極ベース、並びに第2電極層を備えるパッド電極と、
半導体領域と前記半導体領域の上に設けられた絶縁膜を含む支持体であって、前記絶縁膜の表面は、前記パッド電極を配置するエリアに1又は複数の段差を有する、支持体と、
を備え、
前記第1電極層は、ニッケル又はパラジウムの少なくとも一方を含み、
前記第2電極層は、金を含み、
前記第2電極層は、前記電極ベースの上面に配置され、
前記ベース金属体、前記第1電極層及び前記第2電極層は、前記絶縁膜の前記表面に交差する軸の方向に順に配置される、
半導体装置。
【請求項2】
前記段差は、前記エリアの一部分に配置される、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項3】
前記エリアは、中央部及び前記中央部を囲む周辺部を含み、
前記段差は、前記周辺部に配置される、
請求項2に記載された半導体装置。
【請求項4】
前記エリアは、中央部及び前記中央部を囲む周辺部を含み、
前記段差は、前記周辺部に設けられる、
請求項2に記載された半導体装置。
【請求項5】
前記エリアは、中央部及び前記中央部を囲む周辺部を含み、
前記段差は、前記周辺部及び前記中央部に配置され、
前記パッド電極は、前記周辺部及び前記中央部の上に配置される、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項6】
前記ベース金属体は、銅を含む、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項7】
前記段差は、溝、窪み、リッジ、又は突起の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項8】
前記電極ベースの前記第2電極層に対向する表面は1又は複数の段差を有する、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項9】
前記パッド電極の表面に接続される金属ワイヤを更に備える、
請求項1に記載された半導体装置。
【請求項10】
半導体領域と前記半導体領域の上に設けられた絶縁膜とを含む基板を準備することと、
前記基板の前記絶縁膜の表面におけるパッド電極を配置すべきエリアに少なくとも1つの段差を形成することと、
ベース金属体を前記エリアの上に形成することと、
ニッケル又はパラジウムの少なくとも一方を含む第1電極層を前記ベース金属体の上面に形成することと、
金を含む第2電極層を前記ベース金属体の上面に形成することと、
を備え、
前記第1電極層は、前記ベース金属体と前記第2電極層との間に配置される、
半導体装置を製造する方法。
【請求項11】
少なくとも1つの段差を形成することは、前記エリアに窪み及び溝の少なくとも一方を形成することを含む、
請求項10に記載された半導体装置を製造する方法。
【請求項12】
少なくとも1つの段差を形成することは、前記エリアに突起及びリッジの少なくとも一方を形成することを含む、
請求項10に記載された半導体装置を製造する方法。
【請求項13】
前記エリアは、中央部と、前記中央部を囲う周辺部とを含み、
少なくとも1つの段差を形成することは、前記段差を前記周辺部に形成すると共に前記中央部に形成しないことを含み、
ベース金属体を前記エリアの上に形成することは、前記ベース金属体を前記周辺部及び前記中央部の上に形成することを含む、
請求項10に記載された半導体装置を製造する方法。
【請求項14】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載された半導体装置を準備することと、
前記半導体装置の前記第2電極層に、ボンディングワイヤを接続することと、
を備える、
組立体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置を製造する方法、及び組立体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、凹凸状の表面を有する半絶縁性基板を開示する。半絶縁性基板の表面は、表面の凹凸構造を埋め込む絶縁膜で覆われる。パッド電極は、この絶縁膜の上に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-183026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、半絶縁性基板及び絶縁膜の無機層間膜の密着性が良くないことを教示する。
【0005】
パッド電極は、複数の金属層又は金属膜の積層を含む。多層の金属層構造は、良好な導電性やボンディングワイヤとの親和性といった様々な理由から採用される。
【0006】
パッド電極にボンディングワイヤを接合するボンディング工程では、ボンディングワイヤのボール電極とパッド電極の表面の金属層との間に接合を形成するために、超音波を印加する。この印加は、金属層構造に面内方向の振動を加える。この超音波印加によって、パッド電極の表面近傍に位置する金属層の間、例えば金層とニッケル層との間で剥がれが生じることがある。しかしながら、この剥がれは、常に生じるわけではなく、プロセス変動に関連している可能性がある。
【0007】
本発明は、金属層構造を有するパッド電極の表面近傍に設けられた複数の金属層間の剥がれの発生頻度を低減できる構造を有する半導体装置、その半導体装置を製造する方法、及びその半導体装置を含む組立体を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1側面に係る半導体装置は、ベース金属体及び第1電極層を含む電極ベース、並びに第2電極層を備えるパッド電極と、半導体領域と前記半導体領域の上に設けられた絶縁膜を含む支持体であって、前記絶縁膜の表面は、前記パッド電極を配置するエリアに1又は複数の段差を有する、支持体と、を備え、前記第1電極層は、ニッケル又はパラジウムの少なくとも一方を含み、前記第2電極層は、金を含み、前記第2電極層は、前記電極ベースの上面に配置され、前記ベース金属体、前記第1電極層及び前記第2電極層は、前記絶縁膜の前記表面に交差する軸の方向に順に配置される。
【0009】
本発明の第2側面に係る半導体装置を製造する方法は、半導体領域と前記半導体領域の上に設けられた絶縁膜とを含む基板を準備することと、前記基板の前記絶縁膜の表面におけるパッド電極を配置すべきエリアに少なくとも1つの段差を形成することと、ベース金属体を前記エリアの上に形成することと、ニッケル又はパラジウムの少なくとも一方を含む第1電極層を前記ベース金属体の上面に形成することと、金を含む第2電極層を前記ベース金属体の上面に形成することと、を備え、前記第1電極層は、前記ベース金属体と前記第2電極層との間に配置される。
【0010】
本発明の第3側面に係る組立体を製造する方法は、第1側面に係る半導体装置を準備することと、前記半導体装置の前記第2電極層に、ボンディングワイヤを接続することと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
上記の側面によれば、金属層構造を有するパッド電極の表面近傍に設けられた複数の金属層間の剥がれの発生頻度を低減できる構造を有する半導体装置、その半導体装置を製造する方法、及びその半導体装置を含む組立体を製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施の形態に係る半導体装置を概略的に示す図面である。
図2図2は、本実施の形態に係る半導体装置を含む組立体を概略的に示す図面である。
図3図3(a)及び図3(b)は、本実施形態に係る半導体装置の例示的な段差を示す図面である。
図4図4(a)及び図4(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図5図5(a)及び図5(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図6図6(a)及び図6(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図7図7(a)及び図7(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図8図8(a)及び図8(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図9図9(a)及び図9(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図10図10(a)及び図10(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図11図11(a)及び図11(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図12図12(a)及び図12(b)は、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図13図13(a)及び図13(b)は、本実施の形態に係る組立体を製造する方法の主要な工程を示す図面である。
図14図14(a)から図14(h)は、本実施の形態に係るパッド電極の最表面に形成された窪部の形状を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための各実施の形態について説明する。
【0014】
図1及び図2は、本実施の形態に係る半導体装置を概略的に示す図面である。
【0015】
半導体装置11は、支持体13及びパッド電極15を備える。支持体13は、半導体領域17と、半導体領域17の上に設けられた絶縁膜19を含む。絶縁膜19の表面19aは、パッド電極15を配置するエリア21を有し、エリア21は、1又は複数の段差22を有する。パッド電極15は、電極ベース23を備え、電極ベース23は、ベース金属体25と、第1電極層27とを含む。パッド電極15は、第2電極層29を更に備える。ベース金属体25、第1電極層27及び第2電極層29は、絶縁膜19の表面19aに交差する軸Axの方向に順に配置される。電極ベース23は、ベース金属体25と絶縁膜19との間に配置されたシード層28を含むことができる。
【0016】
第1電極層27は、例えばニッケル又はパラジウムの少なくとも一方を含むことができる。第2電極層29は、例えば金を含むことができる。ベース金属体25は、例えば銅を含むことができる。第2電極層29は、電極ベース23の少なくとも上面23aに配置されることができる。また、第1電極層27は、ベース金属体25の少なくとも上面25aに配置されることができる。必要な場合には、電極ベース23は、第1電極層27と第2電極層29との間に位置する第3金属層を含むことができる。第2電極層29が、例えばニッケル層を含むときに、第3金属層は、例えばパラジウム層を含むことができる。
【0017】
本実施例では、例示的な段差22は、矩形の断面を有するように描かれているが、絶縁膜19の表面19aにおける段差22の断面形状は、これに限定されることがない。
【0018】
図2を参照すると、半導体装置11は、パッド電極15の表面15aに接続される金属ワイヤ31といった接続金属体を更に備える。
【0019】
半導体装置11によれば、電極ベース23は、その上面23aに、絶縁膜19の表面19aにおける複数の段差22にそれぞれ由来する複数の第2段差32を有する。第1電極層27は、ベース金属体25の上面25aにおける複数の第1段差30上に配置されることができる。電極ベース23の最表面の層が第1電極層27であるとき、第1電極層27の上面27aには、複数の第1段差30にそれぞれ由来する複数の第2段差32が提供される。結果として、ベース金属体25の上面25aには、絶縁膜19の表面19aにおける複数の段差22にそれぞれ由来する複数の第1段差30が提供される。
【0020】
第1電極層27の上面27aには第2電極層29が設けられ、第2電極層29は、その上面29a(表面)に、絶縁膜19の表面19aにおける複数の段差22にそれぞれ由来する複数の第3段差34を有する。本実施例では、第3段差34が第2電極層29の上面29aに現れている。
【0021】
第2電極層29の上面29aは、ボンディングワイヤといった金属ワイヤ31に接続される。この接続プロセスに際して、電極ベース23のベース金属体25及び第1電極層27並びに第2電極層29を含む電極構造は、電極層(27、29)の面内方向に力を受ける。電極ベース23の上面23aにおける第2段差32は、電極ベース23に搭載される第2電極層29に加わる面内方向に力に対抗して、第2電極層29がはがれる可能性を低減できる。
【0022】
支持体13の表面13aに段差22(段差構造)を設けると、面内方向に力への対抗に関して、第1電極層27の上面27aの構造が、第1電極層27の製造に起因する変動、例えば製造条件の変動及び成膜装置間の特性差、から受ける影響を低減できる。絶縁膜19の表面19aにおける複数の段差22は、ボンディング接合の品質を安定させることができる。
【0023】
第2電極層29の上面29aには、電極ベース23の上面23aにおける複数の第2段差32に由来する複数の第3段差34が提供されることができる。
【0024】
これまでの説明から理解されるように、第2電極層29の上面29aにおいて、段差34は、例えば周回するように描かれている。第3段差34と同様に、段差22、第1段差30、及び第2段差32も、周回の形状に形成されている。
【0025】
図1及び図2を参照すると、段差(22、30、32、24)の例示的な構造が示される。この実施例では、ベース金属体25の上面25aにおける第1段差30は、絶縁膜19の表面19aにおける複数の段差22に比べて、浅く描かれている。また、第1電極層27の上面27aにおける第2段差32は、ベース金属体25の上面25aにおける第1段差30に比べて、浅く描かれている。さらに、第2電極層29の上面29aにおける第3段差34は、第1電極層27の上面27aにおける複数の第2段差32に比べて、浅く描かれている。
【0026】
このように、パッド電極15内に含まれる金属層が絶縁膜19の表面19aから離れるにつれて、それぞれの金属層の表面に現れる段差の深さが徐々に浅くなることがある。第2電極層29の厚さ、及び/又は成膜プロセスといった条件に依存して、第2電極層29の上面29aにおける第3段差34の形態は変化する。例えば、第2電極層29には、非常に僅かな第3段差34の上面29a、或いは段差34が実質的に現れない上面29aを提供することができる。
【0027】
しかしながら、電極ベース23のベース金属体25及び第1電極層27の厚さ、及び/又は成膜プロセスといった条件を検討することによって、第1電極層27と第2電極層29との界面(接合35a)における段差32は、確実に形成されることができる。
【0028】
必要な場合には、半導体装置11は、支持体13の半導体領域17に設けられた1又は複数の半導体素子33を含むことができる。半導体素子33のうちの少なくとも1つは、パッド電極15に接続されることができる。
【0029】
図3(a)及び図3(b)は、本実施形態に係る半導体装置の例示的な段差を示す図面である。図3(a)を参照すると、図1及び図2に示されるように、窪み、リセス又は溝の形状の段差22が示される。窪み、リセス又は溝の形状の段差22の形状に対応して、第1段差30、第2段差32、及び第3段差34も、窪み、リセス又は溝の形状を有する。
【0030】
図3(b)を参照すると、突起又はリッジの形状の段差24が示される。突起又はリッジの形状の段差24の形状に対応して、第1段差30、第2段差32、及び第3段差34も、突起又はリッジの形状を有する。
【0031】
第2電極層29は、第1電極層27に接合することができ、この接合35aによって、第2電極層29と第1電極層27の上面27aとの界面の段差が、第2電極層29と構造的に噛み合うことになる。このような段差構造は、面内方向に力を受ける第2電極層29を第1電極層27にしっかり固定できる。
【0032】
図1及び図2に示されるように、段差22(30、32、34)は、絶縁膜19の表面19aのエリア21の一部分に配置されていてもよい。半導体装置11によれば、段差22(30、32、34)は、エリア21の一部分に配置されることができ、これによって第1電極層27には、その上面27aの該当する部分に、絶縁膜19の段差22に由来する段差32が提供される。このような段差32も、面内方向に力を受ける第2電極層29をしっかり第1電極層27に固定できる。
【0033】
半導体装置11によれば、第2電極層29の上面中央29bは、金属ワイヤ31に接続される。金属ワイヤ31の端部、具体的にはその少なくとも一部分は、絶縁膜19の表面19aにおける段差22に由来する第3段差34を含まない上面中央29bに接合されることができる。第3段差34は、第2電極層29の上面中央29bを囲む周辺部29cに配置されることができる。第3段差34を周辺部29cに配置すると、ボンディングの接合品質に関して、段差34の変動に起因する影響を低減できる。
【0034】
図1及び図2に示される実施例では、エリア21は、周辺部21a及び中央部21bを含み、周辺部21aは中央部21bを囲む。段差22は、周辺部21aに設けられる。パッド電極15は、周辺部21a及び中央部21bの上に配置される。
【0035】
半導体装置11によれば、エリア21の周辺部21aに段差22を配置すると、第2電極層29の上面29aの周辺部29cに段差34を配置することができる。第2電極層29の上面中央29bは、ボンディングワイヤに接続される。ボンディングワイヤの端部、具体的にはその少なくとも一部分は、絶縁膜の表面における段差22に由来する第3段差34を含まない上面中央に接合されることができる。第3段差34をエリア21の中央部21bを囲んで配置すると、ボンディングに関して第3段差34の形状の変動に起因する影響を低減できる。
【0036】
図4(a)から図13(b)を参照しながら、本実施の形態に係る半導体装置を製造する方法及び半導体組立体を作製する方法における主要な工程を説明する。図4(a)から図13(a)は、それぞれの工程におけるボンディングパッド周辺を示す平面図であり、図4(b)から図13(b)は、それぞれ、図4(a)から図13(a)に対応する一段面を示す図面である。
【0037】
図4(a)及び図4(b)は、支持体46を作製する工程を示す。半導体領域を含む基板(引き続き、半導体基板41として参照する)を準備すると共に、半導体基板41に、1又は複数の半導体素子43を作製する。半導体素子43は、例えばMOS型トランジスタといったトランジスタを含むことができる。
【0038】
図5(a)及び図5(b)は、絶縁膜を形成する工程を示す。絶縁膜は、例えば配線を含む層間絶縁膜を備えることができる。半導体素子43を作製した後に、配線構造体45を形成する。配線構造体45は、半導体素子43を被覆すると共に半導体素子43の相互接続を提供する金属体を含むことができる。これ故に、配線構造体45は、半導体領域の上に設けられた絶縁膜を含む。具体的には、配線構造体45の表面は、絶縁体を含み、引き続き作製されるパッド電極に係る構造物から配線構造体45内の導電体を絶縁する。配線構造体45の表面絶縁体は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、及シリコン酸窒化物といったシリコン系無機絶縁体を含むことができ、必要な場合には、樹脂といった有機物を含むことができる。
【0039】
このように半導体基板41上に作製された配線構造体45及び半導体基板41を含む基板が、引き続くパッド電極構造物の作製のために、支持体46として準備された。
【0040】
図6(a)及び図6(b)は、段差を形成する工程を示す。絶縁膜、例えば配線構造体45の表面絶縁体に1又は複数の段差47を形成する。図6(b)を参照すると、段差47は窪みであるけれども、既に説明したように、段差47はリッジ、突起、溝、窪みといった様々な構造を含むことができる。
【0041】
具体的には、図6(a)の平面図は、パッド電極を配置するエリアを示している。例示的な作製手順は、以下のものである。配線構造体45の表面絶縁体の表面にレジストを塗布する。フォトリソグラフィを用いて、配線構造体45の表面絶縁体の表面にレジストマスクを形成する。レジストマスクは、段差47の平面形状を規定するパターンを有する。そのパターンは、例えば図6(b)に示される段差47の位置に開口を有する。レジストマスクを用いて配線構造体45の表面絶縁体をエッチングすることによってパターン形状を表面絶縁体に転写して、段差47を形成する。図6(b)は、段差47の例示的な断面形状を示す。例示的な断面形状の段差47は、基準面Ref1及び基準面Ref2に沿って延在するそれぞれの側面(48a、48b)を有する溝、例えばV溝を含むことができる。基準面Ref1及び基準面Ref2は、配線構造体45の表面絶縁体の表面に沿って延在する基準面Ref0に鋭角で交差する。V溝は、例えばエッチング条件(例えば、異方性)を連続的に変更することによって形成される。
【0042】
図7(a)及び図7(b)は、シード層を形成する工程を示す。表面絶縁体に段差47を形成した後に、基板の全面、具体的には配線構造体45の表面の全体に、シード層49を形成する。シード層49は導電性を有しており、引き続く電解メッキ工程において確実な電流経路を提供できる。
【0043】
シード層49は、段差47の各々の側面(48a、48b)、及び表面絶縁体の平坦なエリアを連続的に覆う。
【0044】
図8(a)及び図8(b)は、パッド電極のためのマスクを形成する工程を示す。
【0045】
シード層49を形成した後に、配線構造体45の表面の上にマスク51を形成する。マスク51、例えばレジストといった樹脂を含むことができる。マスク51は、パッド電極が形成されるべきエリアに開口51aを有する。開口51aには、段差47の少なくとも一部分が現れており、本実施例では、段差47の全てが現れている。
【0046】
図9(a)及び図9(b)は、パッド電極の下部分、図1に示された電極ベース23を堆積する工程を示す。図9(b)を参照すると、例示的な電極ベース23の形成のために、第1メッキ金属層53及び第2メッキ金属層57を順に堆積する。堆積は、本実施例では、マスク51を用いて電解メッキ法によって実施されることができる。堆積は以下のように進む。まず、マスク51の開口51aにおいて、シード層49の上に第1メッキ金属層53を堆積して、例えば銅を含むベース金属体を形成する。次いで、第1メッキ金属層53の上に第2メッキ金属層57を堆積して、例えばニッケル層を含む第1電極層27を形成する。第2メッキ金属層57は、ベース金属体の少なくとも上面に形成されることができる。さらに、必要な場合には、第3メッキ金属層61の堆積に先立って、第2メッキ金属層57上に又は第2メッキ金属層57の堆積に替えて、例えばパラジウム層を含むメッキ金属層を堆積することができる。
【0047】
第1メッキ金属層53は、銅を含むことができ、第2メッキ金属層57は、ニッケルを含むことができる。具体的には、第1メッキ金属層53は、銅厚膜を含むことができ、第2メッキ金属層57は、ニッケル層を含むことができる。
【0048】
第1メッキ金属層53の上面は、銅の堆積によって、配線構造体45の表面の段差47の窪みを引き継いで形成された第1窪部55(第1段差)を有する。第2メッキ金属層57の上面は、銅厚膜の上へのニッケル薄膜の堆積によって、配線構造体45の表面の段差47の窪み(又は、第1窪部55)を引き継いで形成された第2窪部59(第2段差)を有する。
【0049】
本実施例では、第1窪部55は、段差47の窪みよりも浅く、また第2窪部59は、第1窪部55よりも浅い。また、第1窪部55の上部開口の幅は、段差47の窪みの上部開口の幅よりも狭い。
【0050】
また、第2窪部59の上部開口の幅は、第1窪部55の上部開口の幅よりも狭い。
【0051】
図10(a)及び図10(b)は、パッド電極の上部分、図1に示された第2電極層29を堆積する工程を示す。図10(b)を参照すると、例示的な第2電極層29のために、第3メッキ金属層61を第2メッキ金属層57の上に堆積する。堆積は、本実施例では、マスク51を用いて電解メッキ法によって実施されることができる。第3メッキ金属層61は、金を含むことができ、具体的には、第3メッキ金属層61は、銅厚膜の上の金薄層を含むことができる。これらの堆積によって、パッド電極15の主要部となる金属塊65が生成された。
【0052】
既に説明したように、第1メッキ金属層53の上面は、銅の堆積によって、配線構造体45の表面の段差47の窪みを引き継いで形成された第1窪部55(第1段差)を有する。第2メッキ金属層57の上面は、銅厚膜の上へのニッケル膜の堆積によって、配線構造体45の表面の段差47の窪み(又は、第1窪部55)を引き継いで形成された第2窪部59(第2段差)を有する。これに加えて、第3メッキ金属層61の上面は、ニッケル膜の上への金膜の堆積によって、配線構造体45の表面の段差47の窪み(又は、第1窪部55及び第2窪部59)を引き継いで形成された第3窪部63(第3段差)を有することができる。
【0053】
本実施例では、第3窪部63は、第2窪部59よりも浅い。また、第3窪部63の上部開口の幅は、第2窪部59の窪みの上部開口の幅よりも狭い。
【0054】
電解メッキ法による複数回の堆積によって、電極ベース23の形成と、電極ベース23の少なくとも上面を覆う第3メッキ金属層61(第2電極層29)とが、形成された。
【0055】
図11(a)及び図11(b)は、マスクを除く工程を示す。図11(b)を参照すると、電解メッキ法の適用が完了した後に、マスク51を剥離する。図11(a)に示されるように、パッド電極15の主要部となる金属塊65が形成され、金属塊65の外側にシード層49が現れる。
【0056】
図12(a)及び図12(b)は、シード層を除く工程を示す。金属塊65の相互接続を回避するために、露出されたシード層49を除去する。本実施例では、金属塊65をマスクとして用いて、金属塊65外側の、金属塊65に覆われていないシード層49をエッチングにより除去する。これらの工程により、パッド電極15が形成される。パッド電極15は、金属塊65と、金属塊65の下に横たわる残存のシード層49とを含むことができる。本実施例では、金属塊65の最表面には、第3窪部63(第3段差)が現れている。
【0057】
これまでの工程によって、パッド電極15を有する半導体装置11を製造する方法の主要な工程が説明された。半導体装置11を製造することによって、半導体装置11が準備された。半導体装置11の準備は、製造に限定されることなく、製造以外の手続によって入手することを含む。
【0058】
図13(a)及び図13(b)は、ワイヤボンディング構造物を形成する組立体を作製する方法におけるワイヤボンディングを行う工程を示す。ワイヤボンディング構造物を形成する組立体を作製する方法は、第1電極層27と第2電極層29との接合35aを含むパッド電極15を有する半導体装置11を製造する方法の主要な工程、及びワイヤボンディングを行う工程を含むことができる。
【0059】
ボンディングワイヤ67、例えば金ワイヤを金属塊65(パッド電極15)の最表面に接続する。ボンディングのために、金ワイヤの先端にはボールが形成されて、この金ボールが金属塊65の最表面に接合を形成する。良好な接続を形成するために、接合工程では、金属塊65の最表面には、超音波振動といった機械的な力が加えられる。
【0060】
本実施の形態のパッド電極15によれば、接合プロセスにおける機械的な力に対抗して、パッド電極15の第1電極層29と第2電極層27との間の剥がれの可能性が低減されることができる。
【0061】
図14(a)から図14(h)の各々は、矩形の金属塊65と、金属塊65の上面に形成された第3窪部63(第3段差)の形状を示す。金属塊65は、第3窪部63(第3段差)の位置に対応して配置される第2窪部59(第2段差)を含み、第2窪部59(第2段差)の位置に対応して配置される第1窪部55(第1段差)を含む。配線構造体45の表面は、第1窪部55(第1段差)の位置に対応して配置される窪み(段差47)を含む。
【0062】
図14(a)を参照すると、金属塊65の上面における第3窪部63の例示的なパターンが示される。このパターンは、図4(a)から図13(b)を参照しながら説明された製造方法における生産物、並びに図1及び図2に示された半導体装置11に適用されている。
【0063】
図14(b)から図14(h)の窪部63のパターンを説明する。
【0064】
窪部63のパターンは、図14(b)に示されるように、金属塊65の上面の全体にわたって配置されることができる。
【0065】
また、窪部63のパターンは、図14(h)に示されるように、金属塊65の上面の中央部分に配置されることができる。
【0066】
さらに、窪部63のパターンは、図14(a)及び図14(c)から図14(g)に示されるように、金属塊65の上面の周辺部分に配置されることができ、周辺部分は中央部分を囲む。
【0067】
具体的には、窪部63は、図14(b)及び図14(h)に示されるように、格子状のパターンを有することができる。
【0068】
窪部63は、図14(a)及び図14(f)に示されるように、1又は複数の閉じたパターンを有することができる。
【0069】
窪部63のパターンは、図14(c)、図14(d)、図14(e)、及び図14(g)に示されるように、金属塊65の上面の対向する複数の位置で周辺部に配置されることができる。
【0070】
窪部63のパターンは、図14(c)及び図14(d)に示されるように、金属塊65の矩形上面の四隅に配置されることができる。
【0071】
窪部63のパターンは、図14(e)及び図14(g)に示されるように、金属塊65の矩形上面の複数の辺に沿って1又は複数の対向する位置に配置されることができる。
【0072】
第2電極層29の面内方向に作用する力の観点から、窪部63のパターンは窪部59の形状と関連しているので、金属塊65の上面において、一方向に延在する部分と、この一方向に交差する他方向に延在する部分とを含むことが好ましい。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、金属層構造を有するパッド電極15の表層に設けられた複数金属層間の剥がれの発生を低減できる構造を有する半導体装置11、半導体装置11を製造する方法、及び半導体装置11を含む半導体組立体を製造する方法が提供される。
【0074】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
11・・・半導体装置、13・・・支持体、13a・・・表面、15・・・パッド電極、15a・・・表面、17・・・半導体領域、19・・・絶縁膜、19a・・・表面、21・・・エリア、21a・・・周辺部、21b・・・中央部、22・・・段差、23・・・電極ベース、23a・・・上面、24・・・段差、25・・・ベース金属体、25a・・・上面、27・・・第1電極層、27a・・・上面、28・・・シード層、29・・・第2電極層、29a・・・上面、29b・・・上面中央、29c・・・周辺部、30・・・第1段差、31・・・金属ワイヤ、32・・・第2段差、33・・・半導体素子、34・・・第3段差、35a・・・接合、41・・・半導体基板、43・・・半導体素子、45・・・配線構造体、47・・・段差、49・・・シード層、51・・・マスク、51a・・・開口、53・・・第1メッキ金属層、55・・・第1窪部、57・・・第2メッキ金属層、59・・・第2窪部、61・・・第3メッキ金属層、63・・・第3窪部、65・・・金属塊、Ax・・・軸、Ref0、Ref1、Ref2・・・基準面
図1
図2
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図10
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