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特開2024-52486液体組成物、電解質形成用液体組成物、電解質、電気化学素子、二次電池、電解質の製造装置及び電解質の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052486
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】液体組成物、電解質形成用液体組成物、電解質、電気化学素子、二次電池、電解質の製造装置及び電解質の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20240404BHJP
【FI】
H01M10/0565
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046252
(22)【出願日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2022157414
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】金子 史育
(72)【発明者】
【氏名】清永 紀行
(72)【発明者】
【氏名】浦 直樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 和明
(72)【発明者】
【氏名】田中 成
(72)【発明者】
【氏名】菅原 智明
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 充
(72)【発明者】
【氏名】野村 正宜
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AJ11
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK16
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM16
5H029CJ11
5H029HJ01
5H029HJ10
5H029HJ11
5H029HJ15
(57)【要約】
【課題】優れた機械強度及び柔軟性を有し、高いイオン移動度を有する液体組成物の提供。
【解決手段】6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含む液体組成物である。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含むことを特徴とする液体組成物。
【請求項2】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートが2官能ウレタンアクリレートである、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記無機フィラーがハイドロタルサイトであり、
前記ハイドロタルサイトの含有量が、前記液体組成物の総量に対して、15質量%以上である、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項4】
前記6官能以上のウレタンアクリレートのアクリル当量(重量平均分子量/アクリル基の官能基数)が300以下であり、
前記6官能以上のウレタンアクリレートの含有量が、前記液体組成物の総量に対して、10質量%以上20質量%以下である、請求項1及び3のいずれかに記載の液体組成物。
【請求項5】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの重量平均分子量が2,000以上であり、
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの含有量が、前記液体組成物の総量に対して、3質量%以上15質量%以下である、請求項1から2のいずれかに記載の液体組成物。
【請求項6】
前記6官能以上のウレタンアクリレートの含有量(A)と前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの含有量(B)の比(A/B)が、1以上4以下である、請求項1から2のいずれかに記載の液体組成物。
【請求項7】
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルのアクリル基が単官能であり、
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルの重量平均分子量が300以下である、請求項1及び3のいずれかに記載の液体組成物。
【請求項8】
前記重合開始剤が光重合開始剤である、請求項1及び3のいずれかに記載の液体組成物。
【請求項9】
粘度が20mPa・s以下である、請求項1及び3のいずれかに記載の液体組成物。
【請求項10】
請求項1及び3のいずれかに記載の液体組成物であって、
電解質を形成するために用いられることを特徴とする電解質形成用液体組成物。
【請求項11】
電解液及びマトリックスポリマーを含有し、
前記マトリックスポリマーが、アクリル当量(重量平均分子量/アクリル基の官能基数)が300以下である6官能以上のウレタンアクリレートのモノマー単位と、重量平均分子量が2,000以上15,000以下である2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートのモノマー単位または無機フィラーであるハイドロタルサイトと、重量平均分子量が300以下である単官能のアクリル基を有する(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルのモノマー単位とを有することを特徴とする電解質。
【請求項12】
圧縮試験において破壊圧力が20MPa以上で、かつ、弾性率が20MPa以下であることを特徴とする電解質。
【請求項13】
請求項11から12のいずれかに記載の電解質を有することを特徴とする電気化学素子。
【請求項14】
正極、負極、及び請求項11から12のいずれかに記載の電解質を有することを特徴とする二次電池。
【請求項15】
リチウム二次電池である、請求項14に記載の二次電池。
【請求項16】
6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含む液体組成物を収容した収容容器と、
前記液体組成物を用いて対象物上に液体組成物層を形成する液体組成物層形成手段と、
前記液体組成物層を重合させて電解質を形成する重合手段と、
を有することを特徴とする電解質の製造装置。
【請求項17】
前記液体組成物層形成手段が、インクジェット法によって前記液体組成物を前記対象物上に付与する、請求項16に記載の電解質の製造装置。
【請求項18】
6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含む液体組成物を用いて対象物上に液体組成物層を形成する液体組成物層形成工程と、
前記液体組成物層を重合させて電解質を形成する重合工程と、
を含むことを特徴とする電解質の製造方法。
【請求項19】
前記液体組成物層形成工程において、インクジェット法によって前記液体組成物を前記対象物上に付与する、請求項18に記載の電解質の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体組成物、電解質形成用液体組成物、電解質、電気化学素子、二次電池、電解質の製造装置及び電解質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電解コンデンサや電池などの電気化学素子は、スマートフォンやパソコンなどの電気機器用途として需要が拡大しており、前記電気化学素子の中でも特にリチウムイオン二次電池は、高電圧や高容量などの特徴から精力的な開発が行われている。
前記電気化学素子は、一般的に非水系の有機溶剤に電解質塩を溶解させた電解液が用いられており、前記電解液は可燃性であるため、過酷な使用環境において電気化学素子の破損に伴う発火や爆発が懸念されている。また、前記電解液の漏出を防ぐための金属製のパッケージが必要であり、電気化学素子自体の重量が増加するという問題がある。
【0003】
上記問題に対して、電解液を固体化させた固体電解質を用いることで、電解液の漏出の防止等の信頼性に優れ軽量な電気化学素子が提供されているが、電池の用途において固体電解質は、電極との良好な界面の形成が難しく、バルク抵抗の高さなどから充放電の電流密度が限定され、電気容量を向上させにくいという問題がある。
【0004】
前記問題に対して、電解液をマトリックスポリマー内に保持することで、高いイオン移動度を保ちつつ電解液の漏出を防ぐことができる、半固体電解質又はゲル電解質が提供されている。
しかしながら、電解質が液体と固体の中間の特性を有するため電解質の機械強度が不十分であるという問題がある。
【0005】
これに対して、多官能ウレタンアクリレートを用いてマトリックスポリマーを形成することで機械強度を確保する液体組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた機械強度及び柔軟性を有し、高いイオン移動度を有する液体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としての本発明の液体組成物は、6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた機械強度及び柔軟性を有し、高いイオン移動度を有する液体組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置における液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図である。
図2図2は、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置における液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図である。
図3図3は、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置における液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図である。
図4図4は、ノズル面の形状が平行四辺形であるノズル板を備えた液体吐出ヘッドの一例を示す概略図である。
図5図5は、図4の液体吐出ヘッドを複数並べた状態の一例を示す概略図である。
図6図6は、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置の一例を示す模式図である。
図7図7は、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置の他の一例を示す模式図である。
図8図8は、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置の他の一例を示す模式図である。
図9図9は、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置の他の一例を示す模式図である。
図10A図10Aは、ドラム状の中間転写体を用いた電解質の製造装置の一例を示す概略図である。
図10B図10Bは、無端ベルト状の中間転写体を用いた電解質の製造装置の一例を示す概略図である。
図11図11は、リチウム二次電池に用いられる正極の一例を示す概略図である。
図12図12は、リチウム二次電池に用いられる負極の一例を示す概略図である。
図13図13は、電気化学素子としてのリチウム二次電池の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(液体組成物)
本発明の液体組成物は、6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含むことができる。
【0011】
特許文献1(特開2001-123040号公報)に記載の液体組成物は、多官能ウレタンアクリレートを用いた架橋ポリマーの場合、機械強度を確保するため多官能ウレタンアクリレートの添加量を増やす必要があるが、多官能ウレタンアクリレートの添加量を増やすと電解質の柔軟性が損なわれ、凹凸を有する対象物(例えば、活物質層を表面に持った電極等)の表面に対して十分に接触できないため良好な界面を形成することができない。この結果、電池等の電気化学素子としての充放電特性が低下したり、架橋によりポリマーのネットワークが密になることで電解質中の金属イオンの自由度が失われ、電解質のイオン移動度が低下するという問題がある。
【0012】
<6官能以上のウレタンアクリレート>
前記6官能以上のウレタンアクリレートは、1分子中のアクリル基の官能基数が6官能以上であるウレタンアクリレートである。前記官能基数が6官能以上であると、電解質の機械強度を向上させることができる。
前記ウレタンアクリレートとは、イソシアネート基及びヒドロキシ基を反応させたウレタン結合と(メタ)アクリル基とを有するオリゴマーである。
前記6官能以上のウレタンアクリレートとしては、前記液体組成物中に重合体前駆体として含まれ、重合して重合体を形成することによって、電解質を得ることができる。
【0013】
前記6官能以上のウレタンアクリレートとしては、1分子中のアクリル基の官能基数が6官能以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族アクリレートなどが挙げられる。
前記6官能以上のウレタンアクリレートとしては、ポリオール骨格を有するウレタンアクリレートでもよい。前記ポリオール骨格を有するウレタンアクリレートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、ポリエステル系ウレタンアクリレート、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0014】
前記6官能以上のウレタンアクリレートとしては、適宜合成してもよく、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、UX5000(アクリル基の官能基数:6、重量平均分子量:1,500、アクリル当量:250、日本化薬株式会社製)、DPHA-40H(アクリル基の官能基数:10、重量平均分子量:200、アクリル当量:20、日本化薬株式会社製)、U-6LPA(アクリル基の官能基数:6、重量平均分子量:850、アクリル当量:142、新中村化学工業株式会社製)、UA-1100H(新中村化学工業株式会社製)、UA-33H(新中村化学工業株式会社製)、U-10HA(新中村化学工業株式会社製)、U-10PA(新中村化学工業株式会社製)、U-15HA(新中村化学工業株式会社製)、EBECRYL 1290(ダイセル・オルネクス社製)、EBECRYL 5129(ダイセル・オルネクス社製)、KRM8200(ダイセル・オルネクス社製)、KRM8904(ダイセル・オルネクス社製)、UN-3320HA(根上工業株式会社製)、UN-3320HC(根上工業株式会社製)、UN-906S(根上工業株式会社製)、UN-904(根上工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、UX5000、DPHA-40H、及びU-6LPAが好ましい。
【0015】
前記6官能以上のウレタンアクリレートの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100以上2,000以下が好ましく、200以上1,500以下がより好ましい。
【0016】
前記6官能以上のウレタンアクリレートのアクリル当量(重量平均分子量/アクリル基の官能基数)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300以下が好ましく、20以上300以下がより好ましい。前記アクリル当量が300以下であると、ウレタンアクリレート1分子中のアクリル基の数が多くなるため、電解質の形成の際にウレタンアクリレート同士の結合が密になり電解質の機械強度を向上させることができる。
【0017】
前記6官能以上のウレタンアクリレートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記含有量が5質量%以上であると、電解質の形成の際にウレタンアクリレート同士の結合が密になり電解質の機械強度を向上させることができる。前記含有量が30質量%以下であると、電解質としての金属イオンが前記液体組成物中を移動しやすくなるため、高いイオン移動度が得られる。
【0018】
前記6官能以上のウレタンアクリレートとしては、後述の電解液と混合するために無希釈タイプであることが好ましい。
【0019】
<2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート>
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートは、1分子中のアクリル基の官能基数が2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートであり、2官能のウレタンアクリレートが好ましい。前記官能基数が2官能以上4官能以下であると、ポリマーのネットワークを適度に緩めることで機械強度を維持したまま金属イオンが前記液体組成物中を移動しやすくなるため、高いイオン移動度を得られる。
前記ウレタンアクリレートとは、イソシアネート基及びヒドロキシ基を反応させたウレタン結合と(メタ)アクリル基とを有するオリゴマーである。
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートとしては、前記液体組成物中に重合体前駆体として含まれ、重合して重合体を形成することによって、電解質を得ることができる。
【0020】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートとしては、1分子中のアクリル基の官能基数が2官能以上4官能以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族アクリレートなどが挙げられる。
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートとしては、ポリオール骨格を有するウレタンアクリレートでもよい。前記ポリオール骨格を有するウレタンアクリレートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、ポリエステル系ウレタンアクリレート、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0021】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートとしては、適宜合成してもよく、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、UXF-4002(アクリル基の官能基数:2、重量平均分子量:12,000、アクリル当量:6,000、日本化薬株式会社製)、UX-3204(日本化薬株式会社製)、UX-4101(日本化薬株式会社製)、UXT-6100(日本化薬株式会社製)、UX-6101(日本化薬株式会社製)、UX-7101(日本化薬株式会社製)、UX-8101(日本化薬株式会社製)、UX-0937(日本化薬株式会社製)、EBECRYL 8405(アクリル基の官能基数:4、重量平均分子量:2,700、アクリル当量:625、ダイセル・オルネクス社製)、EBECRYL 8606(ダイセル・オルネクス社製)、EBECRYL 230(ダイセル・オルネクス社製)、UA-W2A(アクリル基の官能基数:2、重量平均分子量:4,500、アクリル当量:2,250、新中村化学工業株式会社製)、UA-290TM(新中村化学工業株式会社製)、UA-7100(新中村化学工業株式会社製)、U-200PA(新中村化学工業株式会社製)、UN-6200(根上工業株式会社製)、UN-6306(根上工業株式会社製)、UN-6304(根上工業株式会社製)、UN-333(根上工業株式会社製)、UN-353(根上工業株式会社製)、UN-350(根上工業株式会社製)、UN-1255(根上工業株式会社製)、UN-9000PEP(根上工業株式会社製)、UN-9200A(根上工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、UXF-4002、EBECRYL 8606、及びUA-W2Aが好ましい。
【0022】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000以上が好ましく、2,000以上15,000以下がより好ましく、4,000以上13,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量が2,000以上であると、優れた柔軟性を有する電解質が得られる。液体組成物の粘度が高くなり過ぎないため容易に取り扱うことができる。前記重量平均分子量が15,000以下であると、液体組成物の粘度が高くなり過ぎないため容易に取り扱うことができ、インクジェット法によって前記液体組成物を吐出する際の吐出安定性が向上する。
【0023】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートのアクリル当量(重量平均分子量/アクリル基の官能基数)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000以上6,000以下が好ましい。
【0024】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。前記含有量が3質量%以上であると、優れた柔軟性を有する電解質を得ることができる。前記含有量が20質量%以下であると、電解質の形成の際にウレタンアクリレート同士の結合が密になり電解質の機械強度を向上させることができる。
【0025】
前記液体組成物における、前記6官能以上のウレタンアクリレートの含有量(A)と前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの含有量(B)の比(A/B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5以上7.5以下が好ましく、1.0以上4.0以下がより好ましい。前記比(A/B)が0.5以上であると、電解質の形成の際にウレタンアクリレート同士の結合が密になり電解質の機械強度を向上させることができる。前記比(A/B)が7.5以下であると、優れた柔軟性を有する電解質を得ることができる。
【0026】
前記液体組成物における、前記6官能以上のウレタンアクリレートと前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートとの合計の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、13質量%以上25質量%以下が好ましい。前記合計の含有量が10質量%以上50質量%以下であると、前記液体組成物が十分な量の電解液を含むことができるため優れたイオン移動度が得られる。
【0027】
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートとしては、後述の電解液と混合するために無希釈タイプであることが好ましい。
【0028】
<無機フィラー>
前記無機フィラーは、基材に加える充填材であり、基材樹脂に添加することで元々の材料にはなかった機能や物性を付与することができる。前記無機フィラーの添加による一般的な付与機能としては、機械的強度、耐熱性の向上や導電性、磁性、熱伝導性の付与などが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TiO、SiO、Al、W、SnO、ZnO、BaSO、MnO、Mo等の酸化物粉体、窒素化合物(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等)、炭素化合物、ガラス繊維、ケイ酸塩鉱物(ネソケイ酸塩鉱物、ソロケイ酸塩鉱物、サイクロケイ酸塩鉱物、イノケイ酸塩鉱物、フィロケイ酸塩鉱物、テクトケイ酸塩鉱物等)、炭酸塩鉱物(ドロマイト、ハイドロタルサイト等)、酸化鉱物(SiO鉱物、ルチル、スピネル等)等の鉱物などが挙げられる。これらの中でも、ハイドロタルサイトが好ましい。
【0029】
<<ハイドロタルサイト>>
前記ハイドロタルサイトは、天然に産出する粘土鉱物の一種であり下記組成式(1)で表される化合物である。
[M2+ 1-x3+ (OH)x+[An- x/n・mHO]x-・・・組成式(1)
(組成式(1)中、M2+はMg、Zn、Caなどの2価金属イオンを表し、M3+はAl、Feなどの3価金属イオンを表し、An-はCO 2-、Clなどのn価アニオンを表し、xは0<x≦0.33程度であり、mは0以上の整数を表す)
【0030】
前記ハイドロタルサイトは、構造の主骨格が層状の結晶構造を有しており、また主骨格が複水酸化物であることから層状複水酸化物(Layered Double hydroxide)とも呼ばれ、その構造的な特徴から制酸剤やプラスチック添加剤などに用いられる。
ハイドロタルサイトの使用により、原理は明らかでないものの、金属イオンの移動度とカウンターイオンの移動度の比率、すなわち金属イオン輸率が向上することを本発明者らは見出した。またハイドロタルサイトは他の無機フィラーと同様に使用により機械強度を向上させることができる。よってハイドロタルサイトの使用により、高い機械強度を維持したままイオン輸率を向上させることが出来る。例えば、リチウムイオン電池においては金属イオンの移動度が高いことが求められるが、そのための手段として単に総イオン移動度を向上させるほかに、高い金属イオンの移動度を得ることができることから金属イオン輸率を向上させることは非常に有効である。
【0031】
前記ハイドロタルサイトとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を用いてもよい。
前記市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DHT-6(協和化学工業株式会社製)、DHT-4A(協和化学工業株式会社製)、DHT-4A-2(協和化学工業株式会社製)、DHT-4C(協和化学工業株式会社製)、キョ―ワード500(協和化学工業株式会社製)、KW-2000(協和化学工業株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、DHT-6が好ましい。
【0032】
前記無機フィラーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、2質量%以上が好ましく、Liイオン輸率及び実効イオン移動度により優れる点から、3質量%以上がより好ましく、15質量%以上30質量%以下が特に好ましい。
【0033】
<(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステル>
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルとは、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのアクリル酸エステルであり、前記液体組成物において可塑剤として用いられる。
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルとしては、分子内に(メタ)アクリル基を有する化合物であり、1つ有する単官能であることが好ましい。これによりポリマーを強く可塑化して高い柔軟性が得られるとともに、電解液の自由度向上によって高いイオン移動度を有す電解質を得ることができる。
【0034】
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、メトキシ-エチレングリコールモノアクリレート、エトキシ-エチレングリコールモノアクリレート、メトキシ-ジエチレングリコールモノアクリレート、エトキシ-ジエチレングリコールモノアクリレート、メトキシ-トリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシ-トリエチレングリコールモノアクリレートなどが挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0035】
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルとしては、適宜合成してもよく、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、2-MTA(メトキシ-エチレングリコールモノアクリレート、アクリル基の官能基数:1、重量平均分子量:130.1、アクリル当量:130、大阪有機化学工業株式会社製)、MTG-A(メトキシ-トリエチレングリコールモノアクリレート、アクリル基の官能基数:1、重量平均分子量:218.3、アクリル当量:218、共栄社化学株式会社製)、AM-90G(メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、アクリル基の官能基数:1、重量平均分子量:454、アクリル当量:454、大阪有機化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0036】
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500以下が好ましく、300以下がより好ましい。前記重量平均分子量が500以下であると、機械強度を高く保ちつつ、優れた柔軟性を有する電解質を得ることができる。
【0037】
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、5質量%以上15質量%以下が好ましい。前記含有量が5質量%以上15質量%以下であると、高いイオン移動度を有する電解質を得ることができる。
【0038】
<電解液>
前記電解液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電解質塩と液体溶媒との混合物、イオン液体などが挙げられる。
【0039】
前記電解質塩としては、酸成分とカチオン成分との化合物である。
前記酸成分としては、無機酸、有機酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0040】
前記無機酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、ヘキサフルオロ砒素酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸が挙げられる。
【0041】
前記有機酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、n-ヘキサンスルホン酸、n-オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、セチルスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、ポリ(ビニル)スルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、フェノールジスルホン酸、トリクロロベンゼンスルホン酸、4-ニトロトルエン-2-スルホン酸、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエチレン、2-スルホ安息香酸、3-ニトロベンゼンスルホン酸、4-オクチルベンゼンスルホン酸、2-メチル-5-イソプロピルベンゼンスルホン酸、スルホコハク酸、スルホグルタル酸、スルホアジピン酸、スルホピメリン酸、スルホスベリン酸、スルホアゼライン酸、スルホセバシン酸、2-スルホ-3-メチルエチルジカルボン酸などが挙げられる。
【0042】
前記カチオン成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属などが挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、リチウムが好ましい。
前記アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。
前記遷移金属としては、例えば、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウムなどが挙げられる。
前記希土類金属としては、例えば、スカンジウムなどが挙げられる。
前記液体組成物をリチウム二次電池に適用する場合は、前記カチオン成分としては、リチウムが用いられる。
前記電解質塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電気化学的に安定である点から、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCFSO、LiCSO及びLiN(CFSO、LiFSI、LiTFSIが好ましい。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0043】
前記電解質塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、10.0質量%以上20.0質量%以下が好ましい。
【0044】
前記液体溶媒としては、化学的に安定なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶剤などが挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジグライム、トリグライム、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、トリオキサン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ポリエチレンオキサイド、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、ブチロラクトン、プロピロラクトンなどが挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びトリグライムが好ましい。
【0045】
前記液体溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、30.0質量%以上60.0質量%以下が好ましい。
【0046】
前記イオン液体としては、一般的に研究及び報告されている物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン成分及びアニオン成分を分子構造として有する有機イオン液体などが挙げられる。
前記カチオン成分としては、例えば、N,N-ジメチルイミダゾール塩、N,N-メチルエチルイミダゾール塩、N,N-メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体、N,N-ジメチルピリジニウム塩、N,N-メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウムなどが挙げられる。
前記アニオン成分としては、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSOなどのフッ素含有化合物などが挙げられる。前記フッ素含有化合物は、大気中での優れた安定性を有するため好ましい。
【0047】
<重合開始剤>
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。前記重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤としては、生産性の観点から少なくとも一種以上の光重合開始剤を用いることが好ましい。
【0048】
前記熱重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤が好ましい。
前記熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーオキサイド系重合開始剤、アゾ系重合開始剤などが挙げられる。
前記パーオキサイド系重合開始剤としては、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシビバレート、3,5,5-トリメチルヘキサノニルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニトリルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソブチルジパーオキシフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジt-ブチルパーオキシヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジt-ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ピナンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどが挙げられる。
前記アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサン1-カーボニトリル、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
【0049】
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光ラジカル開始剤が好ましい。
前記光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N,N′,N′-テトラメチル(又はテトラエチル)-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-エチルアントラキノン、フエナントレンキノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2,4-ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
【0050】
前記重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体組成物の総量に対して、0重量部以上10重量部以下が好ましく、0重量部以上5重量部以下がより好ましい。
【0051】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合禁止剤、電極保護添加剤、無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられる。
【0052】
前記液体組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液体組成物の粘度を低くすることで電池に適用する際に電極に染み込みやすくなる点から、25℃において50mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。また、前記粘度が25℃において50mPa・s以下であると、液体組成物をインクジェット法で塗布する際の吐出安定性が良好となり、また、イオン移動度を向上させることができる。
前記粘度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、JIS Z 8803に準じて測定することができる。前記測定に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばTV25型粘度計(コーンプレート型粘度計、東機産業株式会社製)などが挙げられる。
【0053】
(電解質)
本発明の電解質は、本発明の液体組成物を硬化させて得られるフィルム状の電解質であり、例えば、本発明の液体組成物を対象物に塗布した後に硬化させることで得ることができる。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バーコート法、スピンコート法、ロールコート法、キャストコート法、インクジェット法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0054】
前記電解質の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上1,000μm以下が好ましく、3μm以上300μm以下がより好ましい。前記平均厚みが1μm以上であると膜厚が制御しやすくなり、1,000μm以下であると電池の充放電特性が良好となる。
【0055】
前記電解質の物性値としては、圧縮試験において最大圧力20MPa以上で圧縮しても破断せず(即ち、破壊圧力が20MPa以上である)、かつ、弾性率が20MPa以下である。これにより、前記電解質は、優れた機械強度と優れた柔軟性を有する。
前記圧縮試験による破断応力の測定方法としては、例えば、圧縮試験機を用いて、直径1mmの円形プローブで前記電解質を、最大圧力20MPa、押込み速度5μm/秒の条件で押込みを行い、割れ、ヒビ等の破断の有無を確認することによって測定することができる。
前記圧縮試験機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着シミュレーターFSR-1000(株式会社レスカ製)などを用いることができる。
【0056】
前記物性値を満たす電解質としては、6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含む液体組成物を硬化せることで得ることができる。
【0057】
(電解質の製造装置、及び電解質の製造方法)
前記電解質の製造装置としては、本発明の液体組成物を収容した収容容器、液体組成物層形成手段、及び電解質形成手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記電解質の製造方法としては、液体組成物層形成工程、及び電解質形成工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記液体組成物層形成工程は、前記液体組成物層形成手段によって行うことができ、前記電解質形成工程は、前記電解質形成手段によって行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段によって行うことができる。
【0058】
<収容容器>
前記収容容器は、本発明の液体組成物を収容した容器である。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス瓶、プラスチック容器、プラスチックボトル、ステンレスボトル、一斗缶、ドラム缶などが挙げられる。
【0059】
<液体組成物層形成手段、液体組成物層形成工程>
前記液体組成物層形成手段としては、本発明の液体組成物を用いて対象物上に液体組成物層を形成する手段である。
前記液体組成物層形成工程としては、本発明の液体組成物を用いて対象物上に液体組成物層を形成する工程であり、前記液体組成物層形成手段により好適に実施できる。前記液体組成物層としては、例えば、前記液体組成物を対象物に塗布することで形成することができる。
【0060】
前記対象物(以下、「基材」と称することがある)としては、液体組成物層を形成する対象となるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電極基体(以下、「集電体」と称することがある)、活物質層、固体液体組成物層などが挙げられる。
【0061】
前記液体組成物を前記対象物上に形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、スプレーコート法、ディスペンサ法等の液体吐出方法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット法が好ましい。前記インクジェット法による塗布を行うことで、電解質に触れることなく自由な形状で製造できるので、電解質の生産過程における型抜きによる電解質の損失が抑えられる。
【0062】
前記インクジェット法による塗布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体吐出ヘッドなどを用いることができる。前記液体吐出ヘッドとしては、例えば、H5421F/5421MF(株式会社リコー製)を用いることができる。
【0063】
前記インクジェット法による塗布における前記液体組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃において、20mPa・s以下が好ましい。前記粘度が、20mPa・s以下であると、インクジェット法による前記液体組成物の塗布時の吐出安定性に優れる。
【0064】
前記インクジェット法による塗布における前記液体組成物の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃以上50℃以下が好ましい。前記温度が、25℃以上50℃以下であると、インクジェット法による前記液体組成物の塗布時の吐出安定性に優れる。
【0065】
前記インクジェット法による塗布は、前記対象物に対して前記液体組成物層を形成することが可能であれば前記対象物に対して直接的に液体組成物を吐出することもできるし、間接的に液体組成物を吐出することもできる。
【0066】
図1から図3を用いて、本発明の電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置(以下、「液体吐出装置」と称することがある)における前記液体吐出ヘッドについて説明する。
図1は、前記液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図である。
図2は、前記液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図である。
図3は、前記液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図である。
【0067】
図1における液体吐出ヘッド101は、ノズル板10、流路板20(以下、「個別流路部材」とも称することがある)、振動板部材30、共通流路部材50、ダンパ部材60、フレーム部材80及び駆動回路104を実装した基板105(以下、「フレキシブル配線基板」と称することがある)などを備える。
前記ノズル板10は、インクを吐出する複数のノズル37を備え、複数の前記ノズル37は、ノズル板短手方向及びこれと直交するノズル板長手方向に二次元状に並んで配置されている。
【0068】
図2又は図3に示すように、前記流路板20には、複数の前記ノズル37に各々連通する複数の液室26(以下、「個別圧力室」と称することがある)と、複数の前記液室26に各々通じる複数の供給流路27(以下、「個別供給流路」と称することがある)及び回収流路28(以下、「個別回収流路」と称することがある)とを含む個別流路25が設けられている。
【0069】
図1における前記振動板部材30は、前記液室26の変形が可能な壁面である振動板35を形成し、振動板35には圧電素子36が一体に設けられている。振動板部材30には、供給流路27に通じる供給側開口32と、回収流路28に通じる回収側開口33とが形成されている。圧電素子36は、振動板35を変形させて液室26内のインクを加圧する。
なお、流路板20と振動板部材30は、別の部材であってもよく、同じ部材であってもよい。例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板を使用して流路板20及び振動板部材30を同一部材で一体に形成することも可能である。
前記振動板35としては、シリコン基板上に、シリコン酸化膜、シリコン層、シリコン酸化膜の順に成膜されたSOI基板を使用し、シリコン基板を流路板20とし、シリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜を用いて形成することができる。この場合においては、SOI基板のシリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜の層構成が振動板部材30となる。このように、前記振動板部材30は、流路板20の表面に成膜された材料で構成されるものを含む。
【0070】
前記共通流路部材50は、2以上の供給流路27に通じる複数の共通供給流路支流52と、2以上の回収流路28に通じる複数の共通回収流路支流53とを、ノズル板長手方向において交互に隣接して形成している。前記共通流路部材50には、供給流路27の供給側開口32と共通供給流路支流52を通じる供給口54となる貫通孔と、回収流路28の回収側開口33と共通回収流路支流53を通じる回収口55となる貫通孔が形成されている。
前記共通流路部材50は、複数の共通供給流路支流52に通じる共通供給流路本流56と、複数の共通回収流路支流53に通じる共通回収流路本流57を形成している。
【0071】
前記ダンパ部材60は、共通供給流路支流52の供給口54と対面する供給側ダンパ62と、共通回収流路支流53の回収口55と対面する回収側ダンパ63を備える。共通供給流路支流52及び共通回収流路支流53は、同じ部材である共通流路部材50に交互に並べて配列された溝部を、ダンパ部材60の供給側ダンパ62又は回収側ダンパ63で封止することで構成している。なお、ダンパ部材60のダンパ材料としては、例えば、有機溶剤に強い金属薄膜、無機薄膜などが挙げられる。前記ダンパ部材60の供給側ダンパ62及び回収側ダンパ63の部分の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以下が好ましい。
【0072】
前記共通供給流路支流52及び前記共通回収流路支流53の内壁面と、前記共通供給流路本流56及び前記共通回収流路本流57の内壁面とには、流路内を流れる液体組成物に対して内壁面を保護するための保護膜が形成されており、例えば、これらの内壁面は、Si基板が加熱処理されることで、表面に酸化シリコン膜が形成される。酸化シリコン膜の上にはインクに対してSi基板の表面を保護するタンタルシリコン酸化膜が形成される。
【0073】
前記フレーム部材80は、その上部に供給ポート81と排出ポート82を備える。供給ポート81は共通供給流路本流56に液体組成物を供給し、排出ポート82は共通回収流路本流57より排出される液体組成物を排出する。
上述のように液体吐出ヘッド101は、液体組成物を吐出するノズル37、ノズル38に通じる液室26、液室26にインクを供給する供給流路27、及び液室26からインクを回収する回収流路28を有する。
【0074】
前記液体吐出ヘッド101におけるノズル板10のノズル面(ノズル37が形成された面)の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形、台形、ひし形、平行四辺形などが挙げられる。
【0075】
前記ノズル面の形状について、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、形状が平行四辺形であるノズル板を備えた液体吐出ヘッドの一例を示す概略図である。
図5は、図4の液体吐出ヘッドを複数並べた状態の一例を示す概略図である。
【0076】
図4における液体吐出ヘッド1Rは、ノズル板短手方向に対して角度θ傾斜した外形(稜線)を有し、液体吐出ヘッド1Rの液体吐出部101R及びノズル板10Rは、前記稜線に沿う形状に形成されている。即ち、液体吐出部101Rは、外形の形状が平行四辺形であるノズル板10Rを有し、ノズル板10Rには複数のノズル37Rが規則的に二次元状に配列されている。
前記ノズル37Rの配列としては、例えば、N個のノズル37Rによって1列のノズル列37Nが構成され、前記ノズル列37Nを、前記稜線と平行且つノズル板短手方向と直交するノズル板長手方向に複数列設けた配列となっている。
前記液体吐出ヘッド1Rとしては、図5に示すように複数の液体吐出ヘッド1Ra,1Rbをノズル板長手方向に1列に並べることが可能であり、これにより、使用する基材の記録幅に合わせて、所望の長さのラインヘッドを得ることができる。
【0077】
<電解質形成工程、及び電解質形成手段>
前記電解質形成手段は、前記液体組成物層を硬化させて電解質を形成する手段であり、前記液体組成物層に熱又は光を付与して重合させることが好ましい。
前記電解質形成工程は、前記液体組成物層を硬化させて電解質を形成する工程であり、前記液体組成物層に熱又は光を付与して重合させることが好ましく、前記電解質形成手段により好適に実施できる。
【0078】
前記硬化としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合、乾燥などが挙げられる。
前記重合としては、例えば、光重合、熱重合などが挙げられる。これらの中でも、光重合が好ましい。前記光重合による硬化を行うことで、前記液体組成物層を形成後の前記対象物をロールtoロールによって搬送する際に、搬送距離及び搬送時間を短縮することができ、電解質の製造効率を向上させることができる。
【0079】
前記光重合としては、前記液体組成物層に対して紫外線を照射する紫外線照射処理によって行うことができる。
前記紫外線照射処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、卓上型UV硬化炉(UV PIATRI 400、ハイソル株式会社製)等の紫外線照射装置によって行うことができる。
【0080】
前記紫外線の照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分間以上が好ましい。前記照射時間が1分間以上であると、前記液体組成物層を硬化させることができる。
【0081】
前記紫外線の照度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mW/cm以上50mW/cm以下が好ましい。
【0082】
前記紫外線照射処理としては、例えば、波長365nmの紫外線を30秒間照射する処理などが挙げられる。
【0083】
前記熱重合としては、前記液体組成物層を加熱する加熱処理によって行うことができる。
前記加熱処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板加熱(例えば、ホットプレート等)、IRヒータ、温風ヒータなどの加熱装置によって行うことができる。
【0084】
前記加熱処理における加熱時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60分間以上が好ましい。前記照射時間が60分間以上であると、前記液体組成物層を硬化させることができる。
【0085】
前記加熱処理における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上が好ましい。前記加熱時間が100℃以上であると、前記液体組成物層を熱重合によって硬化させることができる。
前記加熱温度とは、前記加熱処理時における前記加熱装置の表面温度である。
【0086】
前記加熱処理としては、例えば、80℃ホットプレート上で5分間加熱する処理などが挙げられる。
【0087】
<その他の工程、及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥手段などが挙げられる。
【0088】
前記乾燥工程としては、前記液体組成物層を乾燥する工程である。前記乾燥工程により、前記液体組成物層を乾燥させることができる。前記乾燥工程としては、前記乾燥手段によって行うことができる。
【0089】
前記インクジェット法による電解質の製造方法、及び電解質の製造装置について、図6を用いて説明する。
図6は、電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置(以下、「液体吐出装置」と称することがある)の一例を示す模式図である。
前記電解質の製造装置は、対象物を有する印刷基材4上に、液体組成物を付与して液体組成物層を形成する工程を含む液体組成物層形成手段110と、液体組成物層を硬化させて電解質を形成する電解質形成手段130と、印刷基材4を搬送する搬送部5とを備える。前記搬送部5は、液体組成物層形成手段110、電解質形成手段130の順に印刷基材4をあらかじめ設定された速度で搬送する。前記搬送部5としては、ロールtoロールによって前記対象物を搬送することができる。
前記活物質層等の対象物を有する印刷基材4の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
前記液体組成物層形成手段110は、印刷基材4上に液体組成物を付与するインクジェット法に応じた任意の液体吐出ヘッド1aと、液体組成物を収容する収容容器1bと、収容容器1bに貯留された液体組成物を液体吐出ヘッド1aに供給する供給チューブ1cとを備える。
前記収容容器1bは液体組成物7を収容し、液体組成物層形成手段110は、液体吐出ヘッド1aから液体組成物7を吐出して、印刷基材4上の対象物に液体組成物7を付与して液体組成物層を形成する。なお、収容容器1bは、電解質の製造装置と一体化した構成であってもよいが、電解質の製造装置から取り外し可能な構成であってもよく、電解質の製造装置と一体化した収容容器や電解質の製造装置から取り外し可能な収容容器に添加するために用いられる容器であってもよい。
前記収容容器1b及び供給チューブ1cとしては、液体組成物7を安定して貯蔵及び供給できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0090】
前記電解質形成手段130は、電解質形成装置3aを有し、前記電解質形成装置3aとしては、前記液体組成物層を光重合によって硬化させる場合は紫外線照射装置であり、前記液体組成物層を熱重合によって硬化させる場合は加熱装置である。
【0091】
図7は、電解質の製造方法を実施するための電解質の製造装置(以下、「液体吐出装置」と称することがある)の他の一例を示す模式図である。
図7における液体吐出装置は、液体吐出ヘッド306と、バルブ311を介して前記液体吐出ヘッド306に接続されたポンプ310と、バルブ312を介して前記液体吐出ヘッド306に接続され、また前記ポンプ310に接続されたタンク307と、バルブ314を介して前記タンク307に接続された外部タンク313とを有し、それぞれの部材はチューブ308によって接続されている。
前記タンク307内には前記液体組成物が収容される。
前記液体吐出装置は、前記ポンプ310、前記バルブ311及び前記バルブ312を制御することにより液体組成物が液体吐出ヘッド306、タンク307及びチューブ308を循環することが可能である。
また、前記液体吐出装置300’は、前記タンク307内の液体組成物が減少した際に、前記ポンプ310、前記バルブ311、前記バルブ312及び前記バルブ314を制御することにより、前記外部タンク313から前記タンク307に液体組成物を供給することが可能である。
前記液体吐出装置300’を用いると、対象物の狙ったところに液体組成物を吐出することができる。
【0092】
図8及び図9は、電解質の製造方法を行うための電解質の製造装置(以下、「液体吐出装置」と称することがある)の他の一例を示す模式図である。
まず、細長状の基体211を筒状の芯に巻き付け、電解質212を形成する側が、図8中、上側になるように、送り出しローラ304と巻き取りローラ305にセットする。ここで、送り出しローラ304と巻き取りローラ305は、反時計回りに回転し、基体211は、図8中、右から左の方向に搬送される。そして、送り出しローラ304と巻き取りローラ305の間の基体211の上方に設置されている液体吐出ヘッド306から液体組成物の液滴を、順次搬送される基体211上に吐出し、液体組成物層12Aを形成する。なお、液体吐出ヘッド306は、基体211の搬送方向に対して、略平行な方向又は略垂直な方向に、複数個設置されていてもよい。
次に、前記液体組成物層12Aが形成された基体211は、送り出しローラ304と巻き取りローラ305によって、電解質形成手段としての加熱装置309に搬送される。前記加熱装置309によって加熱処理が行われることで、前記液体組成物層12A中のウレタンアクリレート、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステル等が重合し、その結果、電解質212が形成される。その後、電解質212は、打ち抜き加工等により、所望の大きさに切断される。
前記加熱装置309は、基体211の上下のいずれか一方に設置されてもよく、また複数個設置されていてもよい。
前記加熱装置309としては、前記液体組成物層12Aに直接接触しないものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抵抗加熱ヒータ、赤外線ヒータ、ファンヒータなどが挙げられる。
また、基体211に吐出された液体組成物層12Aを加熱する際には、ステージにより加熱してもよいし、ステージ以外の加熱装置により加熱してもよい。
【0093】
また、液体組成物の収容容器としてのタンクは、図9のように、タンク307Aに接続されたタンク313Aから液体組成物を供給してもよい。また、液体吐出ヘッドは、複数の液体吐出ヘッド306A及び306Bを有してもよい。
【0094】
図10A及び図10Bは、中間転写体を用いた転写方式とインクジェット法を採用した電解質の製造装置の他の一例を示す概略図である。
図10Aは、ドラム状の中間転写体を用いた電解質の製造装置の一例を示す概略図であり、図10Bは、無端ベルト状の中間転写体を用いた電解質の製造装置の一例を示す概略図である。
【0095】
図10Aに示した電解質の製造装置400’は、中間転写体4001を介して基材に液体組成物を転写することで基材の表面に液体組成物層を形成する、インクジェットプリンタである。
前記電解質の製造装置400’は、インクジェット部420、転写ドラム4000、前処理ユニット4002、吸収ユニット4003、加熱ユニット4004及び清掃ユニット4005を備える。
前記インクジェット部420は、複数の液体吐出ヘッド101を保持したヘッドモジュール422を備える。前記液体吐出ヘッド101は、転写ドラム4000に支持された中間転写体4001に液体組成物を吐出し、中間転写体4001上に液体組成物層を形成する。各液体吐出ヘッド101は、ラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの基材の記録領域の幅をカバーする範囲にノズルが配列されている。
前記液体吐出ヘッド101は、その下面に、ノズルが形成されたノズル面を有しており、ノズル面は、微小間隙を介して中間転写体4001の表面と対向している。本実施形態の場合、中間転写体4001は円軌道上を循環移動する構成であるため、複数の液体吐出ヘッド101は、放射状に配置される。
転写ドラム4000は、圧胴621と対向し、転写ニップ部を形成する。前処理ユニット4002は、液体吐出ヘッド101による液体組成物の吐出前に、例えば、中間転写体4001上に、液体組成物の粘度を高めるための反応液を付与する。吸収ユニット4003は、転写前に、中間転写体4001上の液体組成物層から液体成分を吸収する。加熱ユニット4004は、転写前に、中間転写体4001上の液体組成物層を加熱する。液体組成物層を加熱することで、基材への転写性が向上する。清掃ユニット4005は、転写後に中間転写体4001上を清掃し、中間転写体4001上に残留した液体組成物やごみ等の異物を除去する。
前記圧胴621の外周面は、中間転写体4001に圧接しており、圧胴621と中間転写体4001との転写ニップ部を基材が通過するときに、中間転写体4001上の電解質が基材に転写される。なお、前記圧胴621は、その外周面に基材の先端部を保持するグリップ機構を少なくとも1つ備えた構成としてもよい。
【0096】
図10Bに示した電解質の製造装置400’’は、中間転写ベルト4006を介して基材液体組成物を転写し、転写後の液体組成物層を加熱することで基材の表面に電解質を形成する、インクジェットプリンタである。
電解質の製造装置400’’は、インクジェット部420に設けた複数の液体吐出ヘッド101からインク滴を吐出して、中間転写ベルト4006の外周表面上に液体組成物層を形成する。中間転写ベルト4006に形成された液体組成物層は、加熱ユニット4007によって加熱され、電解質が形成される。
中間転写ベルト4006が転写ローラ622と対向する転写ニップ部において、中間転写ベルト4006上の膜化した電解質は基材に転写される。転写後の中間転写ベルト4006の表面は、清掃ローラ4008によって清掃される。
中間転写ベルト4006は、駆動ローラ4009aと、対向ローラ4009bと、複数(図10Bでは4つ)の形状維持ローラ4009c,4009d,4009e,及び4009fと、複数(本例では4つ)の支持ローラ4009gとがそれぞれ接続され、図10B中の矢印方向に移動する。液体吐出ヘッド101に対向して設けられる支持ローラ4009gは、液体吐出ヘッド101からインク滴が吐出される際の中間転写ベルト4006の引張状態を維持する。
【0097】
<電気化学素子>
前記電気化学素子は、前記電解質を有し、固体電解質を有することが好ましい。
前記固体電解質とは、電極中に分散して電極のイオン移動抵抗を低減するために使用される電解質を指し、電極材料間のイオン導電性を補助する役割を担う。前記電解質と前記固体電解質とを合わせて使用することで、柔軟性に乏しい固体電解質に柔軟性を付与し電気化学素子の用途を広げることができ、さらにイオン移動度を向上させることができる。
前記固体電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウムを含む固体電解質などが挙げられる。
前記リチウムを含む固体電解質としては、例えば、Li10GeP12、Li13、70LiS-30P、La0.1Li0.34TiO2.94、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO、LiLaZr12、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiO-Al-SiO-P-TiO-GeO、La0.51Li0.34Ti2.94、Li2.9PO3.30.46などが挙げられる。
【0098】
前記電気化学素子としては、電気化学的変化によりエネルギーを蓄積、増減、放出等をするものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電池、電気化学センサー調光素子、記録素子などが挙げられる。
【0099】
前記電池は、前記電解質を介して正極及び負極が接合しているものが好ましい。
前記電池としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム電池、リチウム二次電池、ニッケル水素電池、燃料電池などが挙げられる。
【0100】
<リチウム二次電池>
前記リチウム二次電池は、正極、負極等の電極と、前記電解質とを含むことが好ましく、更に必要に応じてセパレータ、外装などを含むことができる。
【0101】
前記正極としては、正極基体と、正極活物質(以下、「正極合材層」と称することがある)とを用いることができる。
前記正極活物質としては、リチウムの吸蔵及び放出が可能な物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Li1-xCoO、Li1-xNiO、Li1-xMn、Li1-xMO、Li2-yMn、Li1-x、Li2-y、Li1-x’Nb等の酸化物、Li1-xTiS、Li1-xMoS、Li1-zNbSe等の金属カルコゲナイド、ジチオール誘導体、ジスルフィド誘導体などの有機化合物が挙げられる。上記において、xは0~1、x’は0~1.2、yは0~2、zは0~3、MはCo、Ni、Mn、Fe等の複合体である。
【0102】
図11に、前記リチウム二次電池に用いられる正極の一例を示す。
図11における正極200は、正極基体201の片面に、正極合材層202が形成されている。
前記正極200の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
前記正極基体201を構成する材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。
なお、前記正極合材層202は、正極基体201の両面に形成されていてもよい。
【0103】
前記負極としては、負極基体と、負極活物質(以下、「負極合材層」と称することがある)とを用いることができる。
前記負極活物質としては、リチウムの吸蔵及び放出が可能な物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属リチウム、アルミニウムとリチウムとの合金、マグネシウムとアルミニウムとリチウムとの合金、AlSb、MgGe、NiSi等の金属間化合物、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物のリチウム固溶体、LiMnN、LiFeN、Li3-xCoN、Li3-xNiN、Li3-xCoN、Li3-xCuN、LiBN、LiAlN、LiSiN等の窒化物などのセラミックスが挙げられる。
【0104】
図12に、前記リチウム二次電池に用いられる負極の一例を示す。
図12における負極203は、負極基体204の片面に、負極合材層205が形成されている。
前記負極203の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
前記負極基体204を構成する材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。
なお、前記負極合材層205は、負極基体204の両面に形成されていてもよい。
【0105】
前記セパレータは、負極と正極との短絡を防ぐために必要に応じて負極と正極の間に設けることができる。
前記セパレータとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。
前記セパレータの大きさとしては、電気化学素子に使用することが可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造、積層構造などが挙げられる。
【0106】
前記外装としては、前記電極と前記電解質とを封止することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0107】
図13は、前記電気化学素子としてのリチウム二次電池の一例を示す概略図である。
図13におけるリチウム二次電池40は、負極203及び正極200が電解質212を介して、積層されている。ここで、前記正極200は、前記負極203の両側に積層されている。
前記負極203は、負極基体204と、前記負極基体204の両面に負極合材層205を有する。
前記正極200は、正極基体201と、前記正極基体201の両面に正極合材層202を有する。
また、負極基体204には、引き出し線41が接続されており、正極基体201には、引き出し線42が接続されている。
なお、前記リチウム二次電池40における負極203及び正極200の積層数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、リチウム二次電池40における負極203及び正極200の個数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0108】
<リチウム二次電池の製造方法>
前記リチウム二次電池の製造方法は、電解質を製造する工程、前記電解質をセル化に向けて加工する基材加工工程などを含む。
【実施例0109】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0110】
(実施例1)
電解質塩としてのLiFSI(株式会社日本触媒 イオネル製)19.5質量%と、液体溶媒としてのトリグライム55質量%と、6官能以上のウレタンアクリレートとしてのUX5000(アクリル基の官能基数:6、重量平均分子量:1,500、アクリル当量:250、日本化薬株式会社製)15質量%と、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートとしてのUXF-4002(日本化薬株式会社製)5質量%と、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルとしての2-MTA(メトキシ-エチレングリコールモノアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)5質量%と、重合開始剤としてのOmnirad 651(IGMResins B.V.製)0.5質量%と、を混合して液体組成物を得た。得られた液体組成物の粘度を、TV25型粘度計(コーンプレート型粘度計、東機産業株式会社製)を用いてJIS Z 8803に準じて測定したところ、25℃において28.4mPa・sであった。
次に、得られた液体組成物とSiゴムシートとをガラス板で挟み、卓上型UV硬化炉(UV PIATRI 400、ハイソル株式会社製)を用いて照度30mW/cmの紫外線を60秒間照射して前記液体組成物を硬化させて電解質を得た。前記電解質の平均厚みは1,000μmであった。得られた電解質を直径1cmの穴あけパンチで打ち抜き評価用サンプルを得た。
【0111】
(実施例2)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 20質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A(メトキシ-トリエチレングリコールモノアクリレート、アクリル基の官能基数:1、重量平均分子量:218.3、アクリル当量:218、共栄社化学株式会社製)5質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム50質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において、35.4mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0112】
(実施例3)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、DPHA-40H(アクリル基の官能基数:10、重量平均分子量:200、アクリル当量:20、日本化薬株式会社製)10質量%に変更し、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UXF-4002 10質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において40.3mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0113】
(実施例4)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、U-6LPA(アクリル基の官能基数:6、重量平均分子量:850、アクリル当量:142、新中村化学工業株式会社製)15質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において38.2mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0114】
(実施例5)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、U-6LPA 15質量%に変更し、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UA-W2A 5質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において32.1mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0115】
(実施例6)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、DPHA-40H 10質量%に変更し、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UA-W2A 3質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 15質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において19.3mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0116】
(実施例7)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 10質量%に変更し、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UA-W2A 10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において22.2mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0117】
(実施例8)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 5質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 15質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において17.3mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0118】
(実施例9)
前記実施例1において、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、AM-90G(アクリル基の官能基数:1、重量平均分子量:454、アクリル当量:454、大阪有機化学工業株式会社製)5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において38.5mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0119】
(実施例10)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 30質量%に変更し、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UXF-4002 20質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 10.5質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム34質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において50.5mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0120】
(実施例11)
前記実施例1において、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、EBECRYL8405(アクリル基の官能基数:4、重量平均分子量:2,700、アクリル当量:675、ダイセル・オルネクス社製)5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において25.3mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0121】
(実施例12)
前記実施例1において、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、EBECRYL8402(官能基数:2、重量平均分子量:1,000、アクリル当量:500)5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において21.1mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0122】
(実施例13)
前記実施例1において、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UXF-4002 2質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 8質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において22.0mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0123】
(実施例14)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 10質量%に変更し、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UXF-4002 20質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 14.5質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム50質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において39.8mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0124】
(実施例15)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 10.71質量%に変更し、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、無機フィラーとしてのハイドロタルサイトDHT-6(協和化学工業株式会社製)28.57質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 3.57質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 13.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 42.86質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.35質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において63.6mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0125】
(実施例16)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 14.56質量%に変更し、無機フィラーを、ハイドロタルサイトDHT-6 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 14.56質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.50質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において50.9mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0126】
(実施例17)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 11.65質量%に変更し、無機フィラーをハイドロタルサイトDHT-6 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 17.48質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において20.8mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0127】
(実施例18)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 7.14質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 14.29質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 35.71質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において360mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0128】
(実施例19)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 17.48質量%に変更し、無機フィラーをハイドロタルサイトDHT-6 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、AM-90G 11.65質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において60.9mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0129】
(実施例20)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、DPHA―40H 14.56質量%に変更し、無機フィラーをハイドロタルサイトDHT-6 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、AM-90G 14.56質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.50質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において47.1mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0130】
(実施例21)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 14.56質量%に変更し、無機フィラーをシリカ粒子OX50(日本アエロジル株式会社製) 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 14.57質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において44.9mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0131】
(実施例22)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、U-6LPA 14.56質量%に変更し、無機フィラーをシリカ粒子OX50 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 14.57質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において53.3mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0132】
(実施例23)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX500014.56質量%に変更し、無機フィラーをシリカ粒子OX50 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 9.71質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 53.40質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において33.6mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0133】
(実施例24)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX500014.56質量%に変更し、無機フィラーをシリカ粒子OX50 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 4.86質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 58.25質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において37.8mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0134】
(実施例25)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX500014.56質量%に変更し、無機フィラーをアルミナ粒子Alu65(日本アエロジル株式会社製) 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 14.57質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において28.5mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0135】
(実施例26)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX500014.56質量%に変更し、無機フィラーをケイ酸塩LAPONITE RD(ビックケミー・ジャパン株式会社製) 2.91質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、MTG-A 14.57質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 18.93質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム 48.54質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.49質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において33.6mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0136】
(比較例1)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを含まず、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UXF-4002 15質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム60質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において28.2mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0137】
(比較例2)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを含まず、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、EBECRYL8405 15質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム60質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において17.7mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0138】
(比較例3)
前記実施例1において、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UXF-4002 10質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを含まないようにした以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において35.1mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0139】
(比較例4)
前記実施例1において、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート、大阪有機化学株式会社製、官能基数:1、重量平均分子量:156.2、(ポリ)エチレングリコールではないアクリル酸エステル)5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において23.1mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0140】
(比較例5)
前記実施例1において、6官能以上のウレタンアクリレートを含まず、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートを、UXF-4002 5質量%及びEBECRYL8405 15質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において26.7mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0141】
(比較例6)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを含まず、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 14.28質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において10.0mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0142】
(比較例7)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 17.86質量%に変更し、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを含まず、液体溶媒をトリグライム 39.28質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において800mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た
【0143】
(比較例8)
前記実施例15において、6官能以上のウレタンアクリレートを、UX5000 20.0質量%に変更し、ハイドロタルサイトを含まず、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルを、2-MTA 10.0質量%に変更し、電解質塩をLiFSI 19.5質量%に変更し、液体溶媒をトリグライム50.0質量%に変更し、重合開始剤をOmnirad 651 0.50質量%に変更した以外は、実施例15と同様にして、液体組成物を得た。実施例1と同様にして液体組成物の粘度を測定したところ、25℃において34.6mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして、得られた電解質から評価用サンプルを得た。
【0144】
各実施例及び比較例で作製した評価用サンプルについて、下記に基づき、「機械強度」、「柔軟性」、「イオン移動度」、「Liイオン輸率」及び「実効イオン移動度」をそれぞれ評価した。評価結果を下記表1から表3に示す。
【0145】
<機械強度>
圧縮試験機(定着シミュレーターFSR-1000、株式会社レスカ製)を用いて、直径1mmの円形プローブで各実施例及び比較例で作製した評価用サンプルを、最大圧力20MPa、押込み速度5μm/秒の条件で押込みを行った後に、評価用サンプルの状態を目視で観察し、下記評価基準に基づき「機械強度」を評価した。下記評価基準の「b」以上が実施可能範囲である。
[評価基準]
a:評価用サンプルに割れ、ヒビ等の破断がなかった。
b:評価用サンプルに割れ、ヒビ等の破断があり、破断時の圧力が15MPa以上であった。
c:評価用サンプルに割れ、ヒビ等の破断があり、破断時の圧力が15MPa未満であった。
【0146】
<柔軟性>
微小硬度計(HM2000:株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて、各実施例及び比較例で作製した評価用サンプルを、押込み量10μm、押込み速度10μm/40秒の条件で硬度試験を行い、評価用サンプルの弾性率(MPa)を測定し、下記評価基準に基づき「柔軟性」を評価した。下記評価基準の「b」以上が実施可能範囲である。
[評価基準]
a:弾性率が5MPa未満
b:弾性率が5MPa以上20MPa未満
c:弾性率が20MPa以上
【0147】
<イオン移動度>
各実施例及び比較例で作製した評価用サンプルを、厚さ50μmの銅箔で挟み、電気化学アナライザー(ALS660:ビー・エー・エス株式会社製)を用いて交流インピーダンス法(測定周波数:100kHz~1Hz、印加電圧:10mV)によって評価用サンプルのイオン移動度を測定し、下記評価基準に基づき、「イオン移動度」を評価した。下記評価基準の「a」が実施可能範囲である。
[評価基準]
a:イオン移動度が9.0×10-4S/cm以上
b:イオン移動度が9.0×10-4S/cm未満
【0148】
<実効イオン移動度>
前記イオン移動度と下記方法によって算出されるLiイオン輸率との積の値を、ゲル中の実効的なイオン移動度(実効イオン移動度)として算出し、下記評価基準に基づき、「実効イオン移動度」を評価した。下記評価基準の「b」以上が実施可能範囲である。
[評価基準]
a:実効イオン移動度が4.0×10-4S/m以上
b:実効イオン移動度が2.5×10-4S/m以上4.0×10-4S/m未満
c:実効イオン移動度が2.5×10-4S/m未満
なお、前記イオン移動度及びLiイオン輸率の値が各々単独で高い値をとるだけでは不十分であり、各々の値を総合的に評価した時に実効的なイオン移動度が高い値をとることによって、電解質中における高いイオン伝導が実現できる。
なお、Liイオン輸率については、下記方法によって算出した。
-Liイオン輸率の算出方法-
各実施例及び比較例で作製した評価用サンプルを、金属リチウムで挟み、電気化学アナライザー(ALS1030C:ビー・エー・エス株式会社製)を用いて電圧0.010Vを3時間印加し分極させた。電圧印加の前後で電気化学アナライザー(ALS660:ビー・エー・エス株式会社製)を用いて交流インピーダンス測定を行い、得られたCole-Coleプロットのx軸(実軸)と半円の交点にあたる抵抗値と、初期及び分極後の電流値とから下記Evanceの式(1)を用いてLiイオン輸率を算出した。
【化1】
(Evanceの式(1)において、Iiniは初期電流値(A)を表し、ISSは分極後の電流値(A)を表し、Riniは初期抵抗値(Ω)を表し、RSSは分極後抵抗値(Ω)を表す)
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
【表3】
【0152】
【表4】
【0153】
【表5】
【0154】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含むことを特徴とする液体組成物である。
<2> 前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートが2官能ウレタンアクリレートである、前記<1>に記載の液体組成物である。
<3> 前記無機フィラーがハイドロタルサイトであり、
前記ハイドロタルサイトの含有量が、前記液体組成物の総量に対して、15質量%以上である、前記<1>に記載の液体組成物である。
<4> 前記6官能以上のウレタンアクリレートのアクリル当量(重量平均分子量/アクリル基の官能基数)が300以下であり、
前記6官能以上のウレタンアクリレートの含有量が、前記液体組成物の総量に対して、10質量%以上20質量%以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体組成物である。
<5> 前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの重量平均分子量が2,000以上であり、
前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの含有量が、前記液体組成物の総量に対して、3質量%以上15質量%以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体組成物である。
<6> 前記6官能以上のウレタンアクリレートの含有量(A)と前記2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートの含有量(B)の比(A/B)が、1以上4以下である、前記<1>から<2>及び<5>のいずれかに記載の液体組成物である。
<7> 前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルのアクリル基が単官能であり、
前記(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルの重量平均分子量が300以下である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の液体組成物である。
<8> 前記重合開始剤が光重合開始剤である、前記<1>から<7>のいずれかに記載の液体組成物である。
<9> 粘度が20mPa・s以下である、前記<1>から<8>のいずれかに記載の液体組成物である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の液体組成物であって、
電解質を形成するために用いられることを特徴とする電解質形成用液体組成物である。
<11> 電解液及びマトリックスポリマーを含有し、
前記マトリックスポリマーが、アクリル当量(重量平均分子量/アクリル基の官能基数)が300以下である6官能以上のウレタンアクリレートのモノマー単位と、重量平均分子量が2,000以上15,000以下である2官能以上4官能以下のウレタンアクリレートのモノマー単位または無機フィラーであるハイドロタルサイトと、重量平均分子量が300以下である単官能のアクリル基を有する(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルのモノマー単位とを有することを特徴とする電解質である。
<12> 圧縮試験において破壊圧力が20MPa以上で、かつ、弾性率が20MPa以下であることを特徴とする電解質である。
<13> 前記<11>から<12>のいずれかに記載の電解質を有することを特徴とする電気化学素子である。
<14> 正極、負極、及び前記<11>から<12>のいずれかに記載の電解質を有することを特徴とする二次電池である。
<15> リチウム二次電池である、前記<14>に記載の二次電池である。
<16> 6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含む液体組成物を収容した収容容器と、
前記液体組成物を用いて対象物上に液体組成物層を形成する液体組成物層形成手段と、
前記液体組成物層を重合させて電解質を形成する重合手段と、
を有することを特徴とする電解質の製造装置である。
<17> 前記液体組成物層形成手段が、インクジェット法によって前記液体組成物を前記対象物上に付与する、前記<16>に記載の電解質の製造装置である。
<18> 6官能以上のウレタンアクリレートと、2官能以上4官能以下のウレタンアクリレート及び無機フィラーのいずれかと、(ポリ)エチレングリコールのアクリル酸エステルと、重合開始剤と、電解液とを含む液体組成物を用いて対象物上に液体組成物層を形成する液体組成物層形成工程と、
前記液体組成物層を重合させて電解質を形成する重合工程と、
を含むことを特徴とする電解質の製造方法である。
<19> 前記液体組成物層形成工程において、インクジェット法によって前記液体組成物を前記対象物上に付与する、前記<18>に記載の電解質の製造方法である。
【0155】
前記<1>から<9>のいずれかに記載の液体組成物、前記<10>に記載の電解質形成用液体組成物、前記<11>から<12>のいずれかに記載の電解質、前記<13>に記載の電気化学素子、前記<14>から<15>のいずれかに記載の二次電池、前記<16>から<17>のいずれかに記載の電解質の製造装置、及び前記<18>から<19>のいずれかに記載の電解質の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0156】
1a、1R、1Ra、1Rb、101、306、306A、306B 液体吐出ヘッド
1b 収容容器
1c 供給チューブ
3a 電解質形成装置
4 印刷基材
5 搬送部
7 液体組成物
10、10R ノズル板
12A 液体組成物層
20 流路板
25 個別流路
26 液室
27 供給流路
28 回収流路
30 振動板部材
32 供給側開口
33 回収側開口
35 振動板
36 圧電素子
37、37R、38 ノズル
37N ノズル列
40 リチウム二次電池
41、42 引き出し線
50 共通流路部材
52 共通供給流路支流
53 共通回収流路支流
54 供給口
55 回収口
56 共通供給流路本流
57 共通回収流路本流
60 ダンパ部材
62 供給側ダンパ
63 回収側ダンパ
80 フレーム部材
81 供給ポート
82 排出ポート
101R 液体吐出部
104 駆動回路
105 基板
110 液体組成物層形成手段
130 電解質形成手段
200 正極
201 正極基体
202 正極合材層
203 負極
204 負極基体
205 負極合材層
211 基体
212 電解質
300’ 液体吐出装置
304 送り出しローラ
305 巻き取りローラ
307、307A、313A タンク
308 チューブ
309 加熱装置
310 ポンプ
311、312、314 バルブ
313 外部タンク
400’、400’’ 電解質の製造装置
420 インクジェット部
422 ヘッドモジュール
621 圧胴
622 転写ローラ
4000 転写ドラム
4001 中間転写体
4002 前処理ユニット
4003 吸収ユニット
4004 加熱ユニット
4005 清掃ユニット
4006 中間転写ベルト
4007 加熱ユニット
4008 清掃ローラ
4009a 駆動ローラ
4009b 対向ローラ
4009c、4009d、40009e、4009f 形状維持ローラ
4009g 支持ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0157】
【特許文献1】特開2001-123040号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13