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特開2024-52621試料を移送するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052621
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】試料を移送するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20240404BHJP
   H01J 37/18 20060101ALI20240404BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01J37/20 C
H01J37/20 A
H01J37/18
G01N1/00 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023169137
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】63/377,751
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マールテン ビショフ
(72)【発明者】
【氏名】オンドジェイ ルドミラ シャーネル
【テーマコード(参考)】
2G052
5C101
【Fターム(参考)】
2G052AD32
2G052AD52
2G052CA04
2G052CA05
2G052DA13
2G052DA25
2G052GA34
5C101AA04
5C101AA05
5C101CC02
5C101CC04
5C101CC14
5C101FF16
5C101FF32
5C101FF36
5C101FF43
5C101FF46
5C101FF56
5C101FF57
5C101FF58
5C101GG23
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】透過電子顕微鏡(TEM)カラムから試料を移送するためのシステム及び方法が、本明細書に記載される。一態様では、方法は、TEM試料ホルダのホルダカプセル内に位置決めされた試料を、TEMの真空チャンバからTEMのロードロック内に移送することと、ロードロックに保護ガスを充填することと、TEM試料ホルダのホルダカプセルを保護ガス下で密封することと、TEM試料ホルダをロードロックから取り出すことと、を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過電子顕微鏡(TEM)の真空チャンバから試料を移送するための方法であって、
TEM試料ホルダのホルダカプセル内に位置決めされた前記試料を前記TEMの前記真空チャンバから前記TEMのロードロック内に移送することと、
前記ロードロックに保護ガスを充填することと、
前記TEM試料ホルダの前記ホルダカプセルを前記保護ガス下で密封することと、
前記TEM試料ホルダを前記ロードロックから取り出すことと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記ロードロックが、前記試料を前記真空チャンバ内に位置決めするためのゴニオメータの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホルダカプセルを前記保護ガス下で密封することは、前記ロードロック内の前記保護ガスの圧力が1atmを上回るときに前記ホルダカプセルを密封することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記TEMの前記真空チャンバから前記ロードロックへ前記試料を移送することは、前記TEM試料ホルダがゴニオメータに結合されている間に起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記保護ガスが、前記試料のタイプに応じて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記試料チャンバを密封することが、前記ホルダカプセルを前記TEM試料ホルダの円筒形部分内に回収することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ホルダカプセルが回収されるとき、前記TEM試料ホルダは、前記試料及び前記ロードロック内に格納されている前記不活性ガスの一部分を収容する空洞を画定する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記保護ガスが、1つ以上の不活性ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記充填が、
前記ロードロック内への前記保護ガスの流体連通をもたらすように、保護ガス源と流体連通している弁を開くことと、
前記弁を閉じることであって、
(a)前記弁が前記ロードロックを前記保護ガス源と流体連通させる期間の持続時間、又は
(b)前記ロードロック内の圧力値、のうちの1つに少なくとも部分的に基づく、閉じることと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記真空チャンバから前記ロードロック内に前記試料を移送する前に、前記ホルダカプセルを前記真空チャンバ内に密封することと、前記ロードロックを前記保護ガスで充填する前に、前記ホルダカプセルを前記ロードロック内で開封することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
透過電子顕微鏡(TEM)の真空チャンバ内に試料を移送するための方法であって、
TEM試料ホルダを前記TEMのロードロックに結合することと、
前記ロードロック内に第1の真空を提供することと、
前記ロードロックに保護ガスを充填することと、
前記TEM試料ホルダのホルダカプセルを開封することであって、前記試料が、前記ホルダカプセル内に位置決めされる、開封することと、
前記ロードロック内に第2の真空を提供することと、
前記ロードロックから前記TEMの前記真空チャンバに前記試料を移送することと、を含む、
方法。
【請求項12】
前記ホルダカプセルを開封することが、試料ポストを動作させることによって前記TEM試料ホルダの円筒形部分から前記ホルダカプセルを取り出すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記充填が、
前記ロードロック内への前記保護ガスの流体連通をもたらすように、保護ガス源と流体連通している弁を開くことと、
前記弁を閉じることであって、
(a)前記弁が前記ロードロックを前記保護ガス源と流体連通させる期間の持続時間、又は
(b)前記ロードロック内の圧力値、のうちの1つに少なくとも部分的に基づく、閉じることと、を含む、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記試料を移送するための装置であって、
前記ロードロックと、
保護ガス源と、
真空ポンプと、
前記ロードロックを前記保護ガス源及び前記真空ポンプの両方と遮断可能な流体連通状態にするように構成されたガス送達トレインと、
請求項1に記載の方法を実行するように構成されたコントローラと、を備える、
装置。
【請求項15】
前記ロードロック内の圧力を測定するように前記ロードロックに結合された圧力センサを更に備える、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷電粒子顕微鏡の内外に試料を移送するためのシステム及びコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)などのビーム顕微鏡を使用して、空気に敏感な材料の研究を行うことができる。例えば、触媒及び電池は、周囲環境に露出すると劣化又は反応する可能性がある。TEMシステムは、原子スケールで分析するTEMシステムの能力、及び顕微鏡カラムを真空下に置くTEMシステムの能力のために、これらの材料とともに使用するのに有利である。例えば、Li系電池に使用される材料は、空気(例えば、水、酸素)に非常に敏感であり、空気への限定された露出(例えば、10秒)でさえ、そのような材料の構造を劇的に変化させる可能性がある。したがって、空気に敏感な試料を移送するための改良された試料移送システム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
透過電子顕微鏡(TEM)などの荷電粒子顕微鏡の内外に試料を移送するためのシステム及び方法が、本明細書に記載される。一例では、TEMの真空チャンバから試料を移送することは、TEM試料ホルダのホルダカプセル内に位置決めされた試料を、TEMの真空チャンバからTEMのロードロック内に移送することと、ロードロックに保護ガスを充填することと、TEM試料ホルダのホルダカプセルを保護ガス下で密封することと、TEM試料ホルダをロードロックから取り出すことと、を含む。別の例では、試料をTEMの真空チャンバ内に移送することは、TEM試料ホルダをTEMのロードロックに結合することと、ロードロック内に第1の真空を提供することと、ロードロックに保護ガスを充填することと、ロードロック内のTEM試料ホルダのホルダカプセルを開封することであって、試料が、ホルダカプセル内に位置決めされる、開封することと、ロードロック内に第2の真空を提供することと、ロードロックからTEMの真空チャンバに試料を移送することと、を含む。このようにして、試料は、TEM試料ホルダを使用して保護ガス下で、TEMの内外に、及びツール間で移送され得る。
【0004】
上記の概要は、詳細な説明で更に説明される概念の選択を、簡略化された形で紹介するために提供されていることを理解されたい。特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を識別することを意図しておらず、その特徴の範囲は、詳細な説明の後に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。更に、特許請求の範囲の主題は、上記の、又は本開示の任意の部分に記述された任意の欠点を解決する実施態様に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない図面では、同じ数字が、異なる概観で同様の構成要素を表してもよい。異なる文字の接尾辞を持つ同様の数字は、同様の構成要素の異なるインスタンスを表すことができる。図面は、例示として、しかし限定としてではなく、本文書で論じられている様々な態様を一般的に示している。図面において、
図1】透過電子顕微鏡(TEM)システムを示す。
図2】TEM用のガス送達トレインを示す。
図3A】TEMに試料を移送するための例示的プロセスを示す。
図3B】TEMから試料を移送するための例示的プロセスを示す。
図4A】閉位置にある、TEMへ/から試料を移送するための例示的試料ホルダの遠位端を示す。
図4B】開位置にある図4Aの試料ホルダを示す。
図5】TEMへ及びTEMから試料を移送するための例示的なプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、以下の詳細な説明及びそこに含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解され得る。
【0007】
別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含む、本文書が優先されるものとする。好ましい方法及び材料は以下に記載されるが、本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料は、実践又は試験で使用することができる。本明細書中で言及された全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書で開示される材料、方法、及び例は、例示のみであり、限定することを意図していない。
【0008】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に別様に指示されない限り、複数形照応を含む。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、用語「含む(comprising)」は、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」を含み得る。本明細書で使用される用語「備える」、「含む」、「有する」、「有する」、「できる」、「包含する」、及びこれらの変形は、指定された成分/ステップの存在を必要とし、他の成分/ステップの存在を許容する、制約のない暫定的な語句、用語、又は語を意図する。しかしながら、そのような説明は、列挙された成分/ステップ「からなる」及び「本質的にからなる」として、組成物又はプロセスを説明するものと解釈されるべきであり、これは、結果として生じる可能性のある混入物を伴う、指定された成分/ステップのみの存在を可能にし、かつ他の成分/ステップを排除するものである。
【0010】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、問題の量又は値が、ほぼ又はほぼ同じ他の値と指定された値であり得ることを意味する。本明細書で使用される場合、それは、他に示されないか又は推測されない限り、±10%の変動を示す公称値であると一般に理解されている。この用語は、類似の値が特許請求の範囲に記載された同等の結果又は効果を促進することを伝えることを意図している。すなわち、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の量及び特性は正確である必要はなく、正確である必要はないが、公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて概算及び/又はより大きく又はより小さくすることができることが理解される。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の量又は特性は、そのように明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」又は「概算」である。量的値の前に「約」が使用される場合、特に明記しない限り、パラメータは特定の量的値自体も含むことが理解される。
【0011】
更に、反対の指示がない限り、数値は、同じ有効数字桁数に減らしたときに同じである数値と、値を決定するための、本出願に記載されているタイプの通常の測定技術の実験誤差よりも少ない値だけ、記述された値とは異なる数値とを含むと理解されるべきである。
【0012】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙されたエンドポイントを含み、エンドポイントとは独立している。本明細書に開示される範囲及び任意の値のエンドポイントは、正確な範囲又は値に限定されず、これらは、これらの範囲及び/又は値に近似する値を含むほど十分に不正確である。
【0013】
本明細書で使用される場合、近似用語は、関係する基本機能に変化をもたらすことなく変わり得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」及び「実質的に」などの用語によって修飾された値は、特定された明確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの例では、近似用語は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。修飾語「約」も、2つの端点の絶対値によって規定される範囲を開示していると見なされるべきである。例えば、表現「約2~約4」はまた、範囲「2~4」を開示する。「約」という用語は、示された数のプラス又はマイナス10%を指すことができる。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示し得、「約1」は0.9~1.1を意味し得る。「約」の他の意味は、四捨五入など、文脈から明らかであり得、例えば「約1」は0.5~1.4も意味し得る。更に、「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」というオープンエンドの意味を有するものとして理解されるべきであるが、この用語は、「からなる(consisting)」という用語のクローズドな意味も含む。例えば、成分A及びBを含む組成物は、A、B、及び他の成分を含む組成物であり得るが、A及びBのみからなる組成物であってもよい。本明細書で引用される全ての文書は、その全体があらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれている。
【0014】
ツール間の試料移送中に空気に敏感な試料を保護するために、不活性ガス試料ホルダを使用して試料を移送することができる。このようなホルダを用いて、不活性ガス(例えばアルゴン)環境において、空気に敏感な試料をグローブボックスから顕微鏡に移送することができる。一例として、TEMホルダは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10242841(B2)号に開示されており、TEMホルダは、アルゴンガス下で密封することができる。しかしながら、出願人は、TEMシステムのロードロックチャンバが小型であるため、ロードロック内のそのような不活性ガス試料ホルダを密封/開封することが不可能であることを認識している。例えば、試料をロードロック内に置き、(例えば、ロードロックの環境を取り出すために)ロードロックをポンプダウンした後、試料を顕微鏡の高真空チャンバ(例えば、試料チャンバ)内に挿入する。不活性ガス試料ホルダが顕微鏡の高真空チャンバ内で開封されている場合、ホルダ内に格納されている不活性ガスが高真空チャンバ内に放出され、その真空レベルに影響を及ぼす可能性がある。更に、ホルダが開封されると、もはやTEM内の不活性ガス下で再密封することができない。したがって、試料は通常、真空下でTEMから移送される。言い換えれば、保護雰囲気下、例えば不活性ガス下で、TEMから壊れやすい試料を取り出すことは不可能である。真空下での試料移送は、外気が密封された試料ホルダに容易に入り、空気に敏感な試料を損傷する可能性があるため、最適ではない。
【0015】
透過電子顕微鏡(TEM)カラムから試料を移送するためのシステム及び方法が、本明細書に記載される。TEMの真空チャンバ内に試料を移送することは、TEM試料ホルダをTEMのロードロックに結合することと、ロードロック内に第1の真空を提供することと、ロードロックに保護ガスを充填することと、TEM試料ホルダのホルダカプセルを開封することであって、試料がホルダカプセル内に位置決めされる、開封することと、ロードロック内に第2の真空を提供することと、ロードロックからTEMの真空チャンバに試料を移送することと、を含む。TEMの真空チャンバから試料を移送することは、TEM試料ホルダのホルダカプセル内に位置決めされた試料をTEMの真空チャンバからTEMのロードロック内に移送することと、ロードロックに保護ガスを充填することと、TEM試料ホルダのホルダカプセルを保護ガス下で密封することと、TEM試料ホルダをロードロックから取り出すことと、を含む。このようにして、試料は、TEMの真空チャンバの内外に保護ガス下で移送することができる。
【0016】
一例では、TEM試料ホルダをロードロックに結合することは、試料をTEMの真空チャンバ内に位置決めするために、TEM試料ホルダをゴニオメータに結合することを含む。試料は、真空チャンバ内でTEM試料ホルダによって保持されている間に、真空チャンバ内で荷電粒子ビーム下で撮像及び/又は処理することができる。ロードロックは、ゴニオメータの一部である。
【0017】
場合によっては、ロードロック内の保護ガス下でホルダカプセルを密封することは、ロードロック内の保護ガスの圧力が1atmを上回るときにホルダカプセルを密封することを含む。真空下でホルダカプセルを密封することと比較して、1atmを上回るガス圧下でホルダカプセルを密封することは、カプセル内への可能性のある空気漏れを軽減することができ、それによって、格納されている試料が試料移送中に外部環境に露出する可能性を軽減する。
【0018】
場合によっては、保護ガスは、試料組成などの試料のタイプに従って選択される。保護ガスは、試料と反応しない1つ以上のガスタイプを含み得る。例えば、窒素は、リチウムを含む組成物と相互作用し得る。したがって、試料がリチウムを格納する場合、窒素は、保護ガスとして選択されない可能性がある。アルゴンなどの別のガスタイプを、保護ガスとして使用することができる。一例では、保護ガスは、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、又はそれらの組み合わせを含む不活性ガスを含み得る。
【0019】
場合によっては、ホルダカプセルは、TEMホルダを動作させることによって密封することができる。ホルダカプセルが密封されると、TEM試料ホルダは、ホルダカプセル内に試料を収容する空洞を画定する。空洞の残りの部分は、保護ガス又は真空下で提出される。
【0020】
場合によっては、TEM試料ホルダはロッドの形状であり、TEM試料ホルダをロードロックに結合することは、ロッドの少なくとも遠位端をロードロック内に挿入することを含む。ホルダカプセルは、ロードロック内に挿入される遠位端の近くに位置する。
【0021】
一例では、TEM試料ホルダは、TEM試料ホルダの遠位端に位置する円筒形部分を含み、ホルダカプセルを密封することは、ホルダカプセルを円筒形部分内に回収することを含む。ホルダカプセルは、場合によっては、ホルダカプセルを開封するために円筒形部分から延在させることができ、これにより、TEM試料ホルダ及び任意の対応する試料がホルダカプセルの外側の環境に露出する。
【0022】
場合によっては、ロードロック内の保護ガス及び真空は、ロードロックに結合されたガス送達トレインによって提供することができる。ガス送達トレインは、ロードロックから取り出されるガスを制御するための第1の弁と、ロードロック内に流れる保護ガスを制御するための第2の弁と、を含み得る。
【0023】
場合によっては、ロードロックを保護ガスで充填することは、ロードロック内への保護ガスの流体連通をもたらように、保護ガス源と流体連通する弁を開くことと、(a)弁がロードロックを保護ガス源と流体連通状態に置く期間の持続時間、又は(b)ロードロック内の圧力値、のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、弁を閉じることと、を含む。ロードロック内に流れるガスの量は調整することができる。これは、圧力を直接測定することによって(例えば、ロードロックの寸法が知られているので)、又はガスがロードロック内に流れる時間を監視することによって達成することができる。ガスが流される期間を知ることは、一般的な流量とともに、ロードロック内に流されるガスの量を提供する。
【0024】
場合によっては、TEMの真空チャンバから試料を移送する方法は、試料をロードロック内に移送した後、かつロードロックを保護ガスで充填する前に、TEMの真空チャンバからロードロックを密封することを更に含み得る。ロードロックは、ロードロックとTEM真空チャンバとの間の弁によって真空チャンバから密封することができる。弁は、エアロックボール弁であり得る。ホルダカプセル内に位置決めされた試料が真空チャンバからロードロック内に移動されると、弁が閉じられ得るので、真空チャンバは、ロードロックから密封される。
【0025】
場合によっては、方法は、TEMの真空チャンバ内で試料を撮像又は処理することを更に含み得る。撮像は、標本と相互作用する荷電粒子ビームを発生させる荷電粒子源を介して起こり得る。検出器又はカメラは、荷電粒子ビームの部分、又は試料と相互作用する荷電粒子ビームから生じる放出物を捕捉して、画像を生成することができる。
【0026】
一例では、試料移送のための装置は、ホルダカプセルを含むTEM試料ホルダの遠位端を受容するためのチャンバを画定するロードロックであって、ホルダカプセルが、チャンバ内で密封可能である、ロードロックと、チャンバを、少なくとも保護ガス源及び少なくとも真空ポンプの両方と遮断可能な流体連通状態に置くように構成されたガス送達トレインと、を備える。
【0027】
ガス送達トレインは、複数の弁を介して、ロードロックと真空ポンプとの間、又はロードロックと保護ガス源との間に遮断可能な流体接続を提供することができる。一例では、ガス送達トレインは、ロードロックと保護ガス源との間で結合された第1の弁と、ロードロックと真空ポンプとの間で結合された第2の弁と、を含む。ガス送達トレインは、保護ガス源及び真空ポンプの両方からロードロックを密封するための第3の弁を含んでもよい。ロードロックは、ロードロック内の圧力を測定するための圧力センサを含んでもよい。
【0028】
このようにして、試料移送中に試料が位置決めされるホルダカプセルは、TEMのロードロック内で密封及び開封(開閉)するように構成することができる。これは、複数の利点を提供することができる。例えば、試料が露出する環境をより良好に制御することができる。試料をTEM内に移送する場合、試料を環境に露出する(例えば、試料ホルダを開く)前に、ロードロックの環境を試料に対して適切に準備することができる。ホルダカプセルが開かれると、試料をロードロックから試料チャンバに移送する前に、試料チャンバ内の環境及びロードロックの圧力の両方を調整することができる。
【0029】
同様に、試料チャンバからロードロックに試料を移送する場合、ロードロックの環境を、カラムの試料チャンバから試料を受容するために準備することができる。試料が試料チャンバからロードロック内に移送されると、ロードロックの環境は、試料をロードロックの外部に(例えば、グローブボックスに)移送する準備のために変更することができる。ホルダカプセルは、保護ガス下でホルダカプセル内に試料を密封するためにロードロック内で閉じられ、次いでロードロックの外部に移送され得る。
【0030】
ロードロック内でホルダカプセルを密封及び開封することは、ホルダカプセル内に位置決めされた試料が、試料を損傷し得る悪条件に露出する可能性を低減させることができる。例えば、試料をカラムの真空から顕微鏡の外部に移送することには、試料を外部環境から隔離することができないこと(例えば、従来のシステムでは試料を外部環境に移送する前に保持カプセルを閉じることができないことによる)を含む問題が存在する。本明細書に記載される方法及びシステムは、これらの問題を軽減するか、又は潜在的に排除し、これは、荷電粒子システムに出入りする試料の完全性を維持することにつながり得る。
【0031】
図1を参照すると、図1は、顕微鏡システム100、特に、試料110を観察及び/又は特徴付けるために電子ビーム105を使用するように構成された透過電子顕微鏡(TEM)システム100を示している。加えて、TEMシステム100は、透過型顕微鏡システム100とすることができ、試料110の画像は、TEMシステム100の透過領域における放出物を使用して撮影される。したがって、100は、透過電子顕微鏡(TEM)又は走査型透過電子顕微鏡(STEM)を表し得る。
【0032】
真空筐体120内では、電子源125は、電子-光軸130に沿って伝搬し、電子光学照明器135を横断する電子ビーム105を生成することができ、試料チャンバ194内に位置決めされた試料110の選択部分に電子を指向/集束させるように機能する。試料110は、例えば、分析のために(局所的に)薄化/平坦化されるか、又は他の方法で処理され得る。
【0033】
偏向器140もまた図示されており、これは、とりわけ、ビーム105の走査運動をもたらすために使用することができる。試料110は、ゴニオメータ196によって複数の自由度で位置決めすることができる試料ホルダ145上に保持することができる。例えば、試料110は、XY平面内で(とりわけ)移動することができる試料ホルダのホルダカプセル内に位置決めすることができる(図示されているデカルト座標系を参照されたさい。典型的には、Zに平行な運動及びX/Yを中心とする傾斜も可能である)。このような移動により、試料110の異なる部分を、軸130に沿って(Z方向に)進行する電子ビーム105によって照明/撮像/検査することができる(及び/又はビーム走査の代わりに走査動作を実行することができる)。所望される場合、任意選択の冷却デバイス(図示せず)を、試料ホルダ145との密接な熱接触状態にして、それによって、試料ホルダ(及びその上の試料110)を、例えば、極低温に維持することができる。試料ホルダのホルダカプセルは、試料が真空又は不活性ガス下でTEMの内外に移送され得るように、密封可能であり得る。
【0034】
試料ホルダは、2つの遠位端を有する長いロッドの形態であり得る。試料ホルダは、一方の遠位端にホルダカプセルを含み、その中にTEMグリッドなどの試料が位置決めされる。試料は、試料ホルダの1つの遠位端をロードロックを介してTEMカラム内に挿入することによって、試料チャンバ内に移送され得る。試料は、試料ホルダによって保持されている間に荷電粒子ビームによって撮像又は処理することができる。ホルダカプセルは、外部環境から密封可能である。一実施例では、図4Aに示すように、ホルダ405の1つの遠位端は、試料ホルダ405内に試料を位置決めするためのホルダカプセル410を含む。ホルダカプセル410は、試料ホルダ405の円筒形部分415によって画定される空洞内に(矢印によって示されるように)後退することが可能であり得、図4Aに示される密封(又は閉)位置にあるとき、画定された空洞は、試料及びある体積のガス又は真空(例えば、試料の上面と画定された空洞の上面との間に位置決めされる体積)の両方を収容することができる。更に、試料ホルダ405のホルダカプセル410は、閉じられると、画定された空洞内に実質的に密封され、それによって、試料を外部環境から隔離することができる。図4Bは、円筒形部分415から遠位に(例えば、試料ホルダの長さに沿った方向に)延在するホルダカプセル410を示しており、これは、試料を外部環境に露出させることができる。当業者は、画定された空洞の形状が異なる外形を含み得ることを理解するであろう。別の実施例では、ホルダカプセルを後退させるか又は回収する代わりに、試料ホルダの円筒形部分は、ホルダカプセルに向かって遠位に延在され、ホルダカプセルを密封してもよい。更に別の例では、ホルダカプセルは、摺動カバーなどの摺動機構によって密封することができる。
【0035】
図1に戻ると、電子ビーム105は、(例えば)二次電子、後方散乱電子、X線、及び光放射(カソードルミネッセンス)を含む、様々なタイプの「誘導」放射を試料110から発散させるような仕方で、試料110と相互作用することができる。必要に応じて、これらの放射線タイプのうちの1つ以上は、組み合わされたシンチレータ/光電子増倍管又はEDX(エネルギー分散型X線分光法)モジュールとすることができる分析デバイス155を用いて検出することができる。しかしながら、代替的又は補足的には、試料110を横断(通過)し、試料110から出て/発散して、軸130に沿って(実質的には、一般にはある程度偏向/散乱するが)伝搬し続ける電子を調査することができる。
【0036】
このような透過電子束は、多種多様な静電レンズ/磁気レンズ、偏向器、及び補正器(非点収差補正装置など)などを含み得る撮像システム(投影レンズ)160に入射する。通常(非走査)TEMモードでは、この撮像システム160は、透過電子束を集束させることができる。TEMカメラ165などの様々なタイプの分析装置を撮像システム160の下流で使用することができる。カメラ165の位置に、電子束は、静止画像(又は、フーリエ変換図形)を形成することができ、静止画像は、コントローラ/プロセッサ170により処理することができ、例えばフラットパネルディスプレイのような表示デバイス(図示せず)に表示することができる。必要ない場合、カメラ165は、軸130の邪魔にならないように、後退させる/引き込めることができる。代替的又は追加的に、撮像システム160は、透過電子束を蛍光スクリーン175に集束させるために使用することができ、蛍光スクリーン175は、必要に応じて、軸線130の邪魔にならないように後退させる/引き込めることができる。試料110の(一部の)画像(又は、回折図)は、撮像システム160によりスクリーン175上に形成され、この画像は、視認ポート180を通して視認することができる。
【0037】
分析装置はまた、STEMカメラ185を含むことができる。カメラ185からの出力は、試料110上のビーム105の(X、Y)走査位置の関数として記録することができ、X、Yの関数としてのカメラ185からの出力の「マップ(map)」である画像を構築することができる。カメラ185は、カメラ165に特徴的に存在する画素行列とは異なり、例えば直径が20mmの1個の画素を含み得る。更に、カメラ185は、一般的に、カメラ165(例えば、10~10画像/秒)よりも非常に高い取得速度(例えば、10ポイント/秒)を有することになる。この場合も、必要ない場合、カメラ185は、軸130の邪魔にならないように、後退させる/引き込めることができる。
【0038】
カメラ165又は185を使用して撮像を行うことの代替として、例えば、電子エネルギー損失分光法(EELS)モジュールとすることができる分光装置190を実行することもできる。部品165、185、及び190の順序/位置は厳密ではなく、多くの可能な変形が考えられることに留意されたい。例えば、分光装置190は、撮像システム160と一体化することもできる。
【0039】
コントローラ170は、様々な図示される構成要素に、制御線(バス)を介して接続される。コントローラは、コンピュータ可読命令を格納するためのプロセッサ及び非一時的メモリを少なくとも含む。プロセッサでコンピュータ可読命令を実行することにより、このコントローラ170は、アクションを同期させる、設定値を提供する、信号を処理する、計算を実行する、及びメッセージ/情報を表示デバイス(図示せず)に表示するなどの様々な機能を提供することができる。コントローラは、本明細書に記載される方法のいくつか又は全ての工程を実装するように構成することができる。コントローラ170は、必要に応じて、筐体120の(部分的に)内側又は外側にあり得、一体構造又は複合構造であり得る。
【0040】
ゴニオメータ196は、電子ビーム下で顕微鏡の真空チャンバ内で試料を位置決めすることができる。真空チャンバは、試料チャンバ194とすることができる。試料は、試料チャンバ内の荷電粒子ビームで撮像又は処理することができる。ゴニオメータ196は、筐体120と結合することができる。ゴニオメータは、1つ以上の傾斜軸の周りで試料を傾斜させるための1つ以上の作動機構を含むことができる。
【0041】
ゴニオメータ196は、顕微鏡100の外部から試料チャンバ内への試料110の移送を容易にするためのロードロック195を含む。ロードロック195は、試料110がTEMの外部からロードロック195へ、及びロードロック195から顕微鏡カラム100の試料チャンバへ移行するための入口/出口点を含むことができる。例えば、ロードロック195は、TEMの外部から試料ホルダを受容するための開口部を一方の端部に含むことができる。ロードロックは、1つ以上のOリングを介して外部環境から密封可能であり得る。同様に、ロードロック195はまた、試料ホルダによって保持された試料をロードロック195から顕微鏡の試料チャンバに通過させるために、別の端部(例えば、反対の端部)上に開口部を含むことができる。ロードロックと試料チャンバとの間の開口部は、弁を介して密封可能である。したがって、試料110が(試料ホルダを介して)ロードロック195内に位置決めされると、ロードロックの環境を試料チャンバから実質的に隔離することができる。
【0042】
ゴニオメータ196は、チャンバを保護源198及び真空ポンプ199の両方と遮断可能な流体連通状態に置くためのガス送達トレイン197を含むことができる。ロードロック195は、ロードロック195の中及び外へ流れるガス流を制御するために、弁を介して1つ以上のガス源及びポンプと結合することができる。一例では、ロードロックは、第1の弁を介して真空ポンプ199に流体的に接続され、第2の弁を介して保護ガス源198に流体的に接続され得る。弁は、コントローラ170によって制御されるそれぞれのアクチュエータを作動させることによって開閉することができる。
【0043】
TEMシステムは、走査透過電子顕微鏡などの他のタイプの透過電子顕微鏡システムを含むことができる。いくつかの例では、TEMシステムは、イオンカラムなどの別の荷電粒子カラムを含むことができる。
【0044】
図2は、本開示によるTEMのガス送達トレイン200を示している。ガス送達トレイン200は、例えば、図1を参照して説明したように、ロードロック195に流体的に結合することができる。
【0045】
ガス送達トレイン200は、ロードロック195のチャンバへ又はチャンバから流体を透過させるための様々な弁を含むことができる。例えば、ガス送達トレイン200は、1つ以上のガスリザーバに流体的に結合された弁215-b及び215-cを含むことができる。弁215-b若しくは215-c、又はその両方は、開かれると、外部源(例えば、流体的に結合された不活性ガス源)からロードロックチャンバへの流体の通過を容易にすることができる。流体は、ロードロックチャンバ内にあるときに試料と相互作用しない保護ガスとすることができる。例えば、保護ガスは、アルゴン、ヘリウム、及びネオンなどを含むことができる。しかしながら、流体は、顕微鏡(例えば、図1の顕微鏡100)によって撮像されるべき特定の試料に基づいて、ロードロックチャンバ内への挿入のために選択することができる。更に、ロードロックに結合されるガスリザーバの数、したがって、ガス送達トレイン200内に実装される弁の数は、変動し得る。2つの弁が図2に示されているが、ガス送達トレインは、各ガスリザーバに結合するための少なくとも1つの弁を含むことができる。
【0046】
ガス送達トレインはまた、ロードロックチャンバ内の流体の取り出しを容易にするための1つ以上の弁を含むことができる。例えば、ガス送達トレイン200はまた、真空ポンプに流体的に結合することができる弁215-aを含むことができる。弁215-aは、ロードロックチャンバを、真空ポンプ(例えば、ロータリーポンプのようなプレ真空ポンプ、及びターボ分子ポンプのような高真空ポンプなど)などの真空を生成するための装置に結合することができる。弁215-aは、開かれると、ロードロックチャンバから外部環境への(例えば、結合された真空ポンプを介した)流体の流れを容易にすることができる。特定の期間にわたって開かれたままである場合、弁215-aは(例えば、結合され、作動された真空ポンプとともに)、ロードロックチャンバ内の真空環境の生成を容易にすることができる。
【0047】
弁アクチュエータは、対応する弁(例えば、真空ポンプ、及びガスリザーバなど)とロードロックチャンバとの間の流体経路を移行させる対応する弁を作動させることができる。所与の弁アクチュエータは、対応する弁を介して対応する経路を開閉の間で移行させることができる。弁アクチュエータは、図1のコントローラ170などのコントローラと電子通信することができ、コントローラは、弁アクチュエータを制御して、流体経路を開閉することができる。これらの流体経路及び対応する弁の更なる図が、図3A及び3Bに示されている。
【0048】
図3A及び図3Bは、本開示による、TEMカラムの試料チャンバへ及び試料チャンバから試料を移送するためのプロセスを示している。ロードロック305を含むゴニオメータの一部が示されている。ロードロックは、弁335を介して試料チャンバ330に流体的に結合することができる。ガス送達トレインは、ロードロックとガス送達トレインとの間に結合された弁320-cと、弁320-cと少なくとも1つの真空ポンプとの間に結合された弁320-bと、弁320-cと保護ガス源を含む1つ以上のガス源との間に結合された弁320-aと、を含む。このプロセスは、図1のシステム100によって実行することができ、場合によっては、図1のコントローラ170によって少なくとも部分的に実行することができる。図3A及び3Bに示す弁構成は、特定の構成であることに留意されたい。ロードロック305に流体的に結合されたガス送達トレインは、弁のための異なる構成を含むことができる。例えば、弁320-cは、弁320-a及び320-aがロードロック305への直接接続を有するように、任意選択であり得る。場合によっては、複数の弁320-aがあってもよく、各弁は、それぞれのガスリザーバ(例えば、図2に示す弁215-b及び215-cなど)に流体的に結合される。
【0049】
図3Aに示すように、段階1)において、例えば図1の試料ホルダ145であり得る試料ホルダ315の遠位端は、ゴニオメータ311のロードロック305(図1のロードロック195の一例であり得る)内に挿入される。サイドエントリホルダTEMシステムなどのいくつかの場合において、試料ホルダの遠位端は、試料ホルダを動作させることによって(例えば、試料ホルダ全体を試料チャンバに向かって移動させることによって)ロードロック内に挿入され得る。ロードロック305は、開口部を介してTEMカラムの試料チャンバ330と流体的に結合される。開口部は、エアロックボール弁であり得る弁335によって密封される。同様に、ロードロック305は、試料ホルダ315に結合することができるOリング340から周囲から密封することができる。試料ホルダの遠位端にあるホルダカプセル345は、試料310及びある体積の保護ガスが試料ホルダの画定された空洞内に封入され得るように密封される。弁320-a、320-b、及び320-cは閉位置にあり、それによってロードロックの流体経路を閉じる。ロードロックは、試料ホルダを受容するために周囲圧力にある。
【0050】
段階2)において、弁320-b及び320-cが開かれ(例えば、弁アクチュエータを介して)、それにより、真空ポンプとロードロックとの間の流体経路が開かれる。次いで、ロードロックは排気される。試料ホルダのホルダカプセルが開かれ、これにより試料がロードロックチャンバ内に格納された真空環境に露出する。次いで、ホルダカプセル内に格納されている任意の保護ガスが、ロードロック305内に漏れ得る。
【0051】
段階3)において、ロードロック305内のガス(例えば、ホルダカプセルから生じる)は、真空ポンプを介して任意のガスから排出される。
【0052】
段階4)において、試料ホルダの遠位端(開位置にある)は、弁335を介して試料チャンバ内に挿入され、ロードロック内の真空は、試料チャンバを介して維持される。弁320-a、320-b、及び320-cは閉じられ、それによって、真空ポンプからロードロックへの流体経路を閉じる。サイドエントリTEMシステムなどのいくつかの場合において、試料ホルダの遠位端は、ホルダ全体をロードロックに対して移動させることによって試料チャンバ内に挿入することができる。
【0053】
したがって、上述したプロセス(段階1~4)は、試料が受ける環境条件を制御することができ、それによって、試料に対する損傷又は劣化を軽減することができる。更に、上述したプロセスはまた、試料が受け得る圧力勾配の制御を可能にする。試料が外部環境から顕微鏡カラムに移送される間に受ける組成及び圧力の両方は、試料が試料を損傷する圧力変動を受けないように、粒度で制御することができる。
【0054】
図3Bは、本開示による、TEMカラムから試料を移送するためのプロセスを示している。このプロセスは、図1のシステム100によって実行することができ、場合によっては、図1のコントローラ170によって少なくとも部分的に実行することができる。場合によっては、このプロセスは、図3Aを参照して説明したTEMに試料を移送するためのプロセスの後に実行することができる。
【0055】
段階5)において、ホルダカプセル345内に位置決めされた試料310が、顕微鏡カラムからロードロック305の真空ポンプチャンバ内に移動される。試料は、ホルダカプセル内に密封される。ホルダカプセルは、試料がロードロックに移送される前に密封することができる。あるいは、場合によっては、ホルダカプセルは、試料チャンバからロードロックへと開封された状態で移送され得る。
【0056】
弁320-b及び320-cは開いており、弁320-aは閉じている。場合によっては、ロードロックは、移送前に適切な真空下にある。場合によっては、弁320-b及び320-cは、ロードロックに真空を提供するために、試料をロードロック内に移送する前に開かれてもよい。場合によっては、弁320-b及び320-cは、ロードロックを再びポンピングするために、試料をロードロック内に移送した後に開かれてもよい。弁335は、試料をロードロック内に移送した後に閉じられてもよい。場合によっては、弁320-b及び320-cは、移送の前又は後に所定の時間(例えば、5分)にわたって開くことができる。場合によっては、弁320-b及び320-cは、(例えば、ロードロックチャンバ内に位置している圧力センサを介して)所定の圧力閾値が満たされるまで開くことができる。
【0057】
段階6)において、弁320-a及び弁320-bが閉じられ、それによって、真空カプラからロードロックへの流体経路を閉じる。ロードロックは、(例えば、真空下で)実質的に密封される。試料ホルダ315のホルダカプセルが開かれ、それによって、試料310がロードロックチャンバの環境(例えば、真空下)に露出する。
【0058】
段階7)において、保護ガス源とロードロックチャンバとを接続する流体経路を提供するために、弁320-aが開かれる。試料ホルダのホルダカプセルが開かれると、ロードロックチャンバ内の試料310は、ロードロックチャンバ内に流れる保護ガスに露出する。ホルダカプセルは、ロードロックが保護ガスで充填されたときに密封され得る。
【0059】
段階8)において、ホルダカプセルが閉じられる/密封される。弁320-aが閉じられ、弁320-b及び320-careが開かれ、それによって、ロードロック及び保護ガス源の流体経路が閉じられ、ロードロック及び真空ポンプの流体経路が開かれる。保護ガスは、ロードロックから取り出される。その後、試料ホルダ315をゴニオメータから取り出すことによって、試料をロードロックチャンバから外部環境(例えば、隣接するグローブボックス、及び周囲環境など)に移送することができる。
【0060】
したがって、図3Bを参照して説明されるプロセス(段階5~8)は、顕微鏡カラムからの試料取り出しの改善された管理を提供する。試料ホルダの遠位端にあるホルダカプセルが画定された空洞を密封することができるので、試料は、制御された環境下にある間に(例えば、試料ホルダの空洞内に不活性ガスの一部分を有する)ロードロックから取り出すことができ、これは、ロードロックチャンバからグローブボックス、周囲環境、別のロードロックチャンバ、又は任意の他の(制御された又は制御されていない)環境に移送される間の試料の損傷又は劣化を軽減することができる。更に、上述したプロセスはまた、試料が受ける圧力勾配の制御を可能にする。顕微鏡カラムから外部環境に移送される間に試料が受ける組成及び圧力の両方は、試料が最終的に試料に損傷を与え得る圧力変動を受けないように、粒度で制御することができる。
【0061】
図5は、TEMカラムへ及びTEMカラムから試料を移送するためのプロセスを示している。場合によっては、プロセスは、図3A及び3Bを参照して上述した段階を含むことができる。
【0062】
工程505において、試料は、任意選択的に、グローブボックス内で準備することができる。グローブボックスは、グローブボックス内の試料が周囲環境に露出することなくグローブボックスの内部からロードロックの空洞に移送され得るように、ロードロックの外部開口部に隣接して位置することができる。試料の準備は、より大きな本体から試料を切断すること、及び試料の外面にコーティングを加えることなどを含むことができる。
【0063】
工程510において、試料は、保護ガス下で、例えばグローブボックス内で、試料ホルダ内に装入することができる。場合によっては、グローブボックスの環境は、例えばグローブボックスに保護ガスを充填することによって制御することができる。試料を損傷し得る組成物への試料の露出を軽減するために、試料をグローブボックス環境に露出する前に、グローブボックスを不活性ガスで充填することができる。試料がグローブボックス内で準備される場合、試料を準備する前に、不活性ガスをグローブボックス内に流すことができる。更に、試料を試料装入器に装入することは、試料をホルダカプセル内に位置決めすることと、試料が保護ガスとともにホルダカプセル内に密封されるように、ホルダカプセルをグローブボックス内で密封する(又は閉じる)ことと、を含む。次いで、試料ホルダをグローブボックスから取り出し、顕微鏡に移送することができる。他の例では、試料は、荷電粒子ツールなどの他の試料準備ツール内の試料ホルダに装入されてもよい。
【0064】
工程515において、試料ホルダの少なくとも遠位端が顕微鏡のロードロック内に挿入される。例えば、試料を保持するホルダカプセルは、ロードロックの内部に位置決めすることができる。試料ホルダをロードロック内に挿入することによって、試料ホルダは、ゴニオメータ及びロードロックに結合される。試料ホルダを挿入した後、ロードロックは外部環境から密封される。図3Aの段階1)に示すように、試料ホルダの遠位端は、ロードロックが周囲圧力にあり、試料チャンバから密封されているときに、ロードロック内に挿入されてもよい。
【0065】
いくつかの例では、試料ホルダをロードロック内に挿入する前に、ロードロックを保護ガスなどのガスで1回又は複数回パージすることができる(例えば、ロードロックを保護ガスで充填し、次いで真空ポンプを介して保護ガスを排出する)。場合によっては、パージは、ロードロック内の水分を取り出すのに役立ち得る。
【0066】
工程520において、ロードロックは、任意選択的に保護ガスで充填される。ロードロックを保護ガスで充填することは、最初に、例えば、弁320-b及び320-cを開き、真空ポンプを動作させることによって、ロードロックから任意のガスを取り出すことを含むことができる。次に、弁320-bが閉じられ、弁320-aが開かれて、保護ガスがロードロック内に流される。保護ガスは、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びラドンを含むことができる。場合によっては、不活性ガスのタイプは、試料の組成に基づいて選択することができる。場合によっては、ロードロックの充填は、所定の期間にわたって実行され得るか、又は場合によっては、ロードロックの充填は、ロードロックの内部の圧力に従って実行され得る。場合によっては、保護ガスを充填する前にロードロックを排気することができる。例えば、試料ホルダがロードロック内に位置決めされると、ロードロック内のあらゆるガスを取り出すためにロードロックを排気することができる。
【0067】
ロードロックが充填されると、試料ホルダのホルダカプセルを開くことができ、それによって、試料をロードロックの不活性ガスに露出させる。
【0068】
工程525において、真空がロードロックに提供される。真空は、真空ポンプを動作させることを介してロードロックからロードロックの外部へ保護ガスを流すことによって、提供することができる。ロードロックに真空を提供することによって、ホルダカプセル内の保護ガスを取り出すことができる。図3Aの段階2)は、ホルダカプセルがロードロック内の保護ガス下で開封されるときに、真空を提供するために弁320-b及び320-cが開かれることを示している。場合によっては、弁320-b及び320-cは、ロードロックチャンバ内に真空が生成されるまで、開いたまま(かつ真空ポンプは動作したまま)であり得る。場合によっては、弁320-b及び320-cは、所定の期間(例えば、1分、5分など)の間、開いたまま、かつ真空ポンプは動作したまま)であり得る。場合によっては、弁320-b及び320-cは、(例えば、ロードロックチャンバ内に位置決めされた圧力センサを介して)所定の圧力閾値が満たされるまで、開いたまま(かつ真空ポンプは動作したまま)であり得る。工程520においてロードロックを充填するために保護ガスが使用されない場合、工程525の排気中にホルダカプセルを開くことができる。真空は、試料ホルダからロードロックに導入される任意の保護ガスを取り出すことができる。図3Aの段階3)は、保護ガスがロードロックから取り出された後の、真空下の密封されていないホルダカプセルを示している。
【0069】
工程530において、試料をTEMの真空チャンバ内に挿入する。試料を真空チャンバ内に挿入することは、ロードロックと真空チャンバとの間の弁を開き、したがって、ロードロックと真空チャンバ(例えば、試料チャンバ)との間に通路を形成することを含むことができる。例えば、試料ホルダを更に試料チャンバ内に更に挿入し、したがって試料を真空チャンバ環境に露出させることによって、ホルダカプセルをロードロックから真空チャンバ内に移送することができる。図3Aの段階4)は、試料チャンバ内に挿入された試料を示している。
【0070】
工程535において、試料は、試料チャンバ内で撮像又は処理される。撮像は、標本と相互作用する荷電粒子ビームを発生させる荷電粒子源を介して起こり得る。検出器又はカメラは、荷電粒子ビームの部分、又は試料と相互作用する荷電粒子ビームから生じる放出物を捕捉して、画像を生成することができる。試料は、荷電粒子ビームによって処理することができる。
【0071】
工程540において、ホルダカプセルは、任意選択的に閉じられ、それによって、真空下でホルダカプセル内に試料を密封する。密封は、試料が真空チャンバ内にある間に起こり得る。
【0072】
工程545において、ホルダカプセル内に位置決めされた試料は、ロードロック内に後退する。例えば、弁320-b及び320-cが開かれ、真空ポンプを動作させることによってロードロックがポンプダウンされる。ロードロックが適切な真空に達すると、試料ホルダを動作させることによってカプセルをロードロック内に後退させる。いくつかの例では、弁320-b及び320-cは、試料がロードロック内に移送された後に開かれる。更に、試料がロードロック内に移送された後、弁取り付け335が閉じられ、試料チャンバをロードロックから密封する。図3Bの段階5)は、ロードロック内に後退させられた密封ホルダカプセルを示している。いくつかの例では、ホルダカプセルは、開封している間、試料チャンバからロードロック内に後退させられる。
【0073】
工程550において、ホルダカプセルが密封されている場合、ホルダカプセルはロードロック内で開かれる。ホルダカプセルを開封して、試料をロードロックの環境(真空下にある)に露出させる。図3Bの段階6)は、ロードロック内の密封されていないホルダカプセルを示している。
【0074】
工程555において、保護ガスがロードロック内に流される。保護ガスは、弁320-aを開くことなどによって、ロードロックと保護ガス源とを流体的に接続することによってロードロックに流入させることができる。場合によっては、ロードロックの充填は、所定の期間にわたって実行され得るか、又は場合によっては、ロードロックの充填は、ロードロックの内部の圧力に従って実行され得る。弁320-aは、所定の期間(例えば、10秒間)開くことができる。場合によっては、(例えば、ロードロックチャンバ内に位置している圧力センサを介して)所定の圧力閾値が満たされるまで、弁320-aを開くことができる。場合によっては、ロードロックチャンバ内に流れる流体の量は、1atmよりも大きいチャンバの内圧を生成する(例えば、これは、閉じられたときの試料ホルダの空洞からのいくらかの流体漏れを予期して起こり得る)。図3Bの段階7)は、弁320-aを開いた後に保護ガスで充填されたロードロックを示している。
【0075】
工程560において、試料は、保護ガス下でホルダカプセル内に密封される。ロードロックが保護ガスで充填されている間にホルダカプセルを密封することにより、試料、場合によっては保護ガスの一部分を試料ホルダ内に密封することができる。場合によっては、保護ガスの部分は1atmを上回ることができる。ホルダカプセルを密封した後、真空ポンプを動作させることによって、保護ガスをロードロックから取り出すことができる。図3Bの段階8)は、ホルダカプセルを密封した後にロードロックから取り出された保護ガスを示している。
【0076】
工程565において、ロードロックが開かれ、試料ホルダをロードロックから取り出すことができる。ロードロックは、ロードロックと外部環境(例えば、隣接するグローブボックス)との間に配置されたOリングを介して開くことができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
【外国語明細書】