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特開2024-53360アライメント装置およびアライメント方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053360
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】アライメント装置およびアライメント方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240408BHJP
   H01L 21/603 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01L21/68 K
H01L21/603 C
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159574
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA41
5F131BA51
5F131BA60
5F131CA18
5F131DA22
5F131EA02
5F131EA14
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131KA03
5F131KA12
5F131KA13
5F131KA16
5F131KA54
5F131KB12
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】対象物同士を高い位置精度で位置合わせすることができるアライメント装置およびアライメント方法を提供する。
【解決手段】接合装置1は、ステージ401と、ヘッド402と、ステージ401をヘッド402に対して水平方向に移動自在に支持する支持部材4039と、ステージ401を一方向へ付勢するエアシリンダ4034と、ステージ401の一方向における位置を調整するリニアアクチュエータ4031と、テーブル部材405の周囲に配置されテーブル部材405との間の距離を計測する距離測定部521、524と、基板W1、W2の位置決めが暫定的に完了した後、位置決めの暫定的な完了時における距離が一定で維持されるようにリニアアクチュエータ4031を制御する制御部9と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記第1対象物を保持する第1対象物保持部と、
前記第2対象物を保持する第2対象物保持部と、
前記第1対象物保持部を前記第2対象物保持部に対して水平方向に移動自在に支持する支持部材と、
前記第1対象物保持部を第1方向へ付勢する少なくとも1つの付勢部と、
前記第1対象物保持部の前記第1方向における位置を調整するリニアアクチュエータと、
前記第1対象物保持部の周囲に配置され前記第1対象物保持部との間の距離を計測する距離測定部と、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記リニアアクチュエータを制御する制御部と、を備える、
アライメント装置。
【請求項2】
前記距離測定部は、前記リニアアクチュエータ毎に1つずつ設けられている、
請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記付勢部と、前記付勢部と前記第1対象物保持部を介して対向するように配置された前記リニアアクチュエータと、からなる組を3組備え、
前記3組のうちの2組の前記付勢部と前記リニアアクチュエータとの対向方向は同一であり、他の1組の前記付勢部と前記リニアアクチュエータとの対向方向と前記2組との前記付勢部と前記リニアアクチュエータとの対向方向とは互いに交差している、
請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項4】
前記第1対象物は、第1アライメントマークを有し、
前記第2対象物は、第2アライメントマークを有し、
前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークとを撮像する撮像部を更に備え、
前記制御部は、前記位置決めの完了時において前記撮像部により撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像とに基づいて、前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置を決定する、
請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項5】
前記第1対象物は、第1アライメントマークを有し、
前記第2対象物は、第2アライメントマークを有し、
前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークとを撮像する撮像部を更に備え、
前記リニアアクチュエータは、前記リニアアクチュエータによる前記第1対象物保持部の位置調整量を検出するリニアエンコーダを有し、
前記制御部は、前記撮像部により撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量に基づいて、前記第1対象物保持部の補正移動量を算出し、算出した前記補正移動量だけ前記第1対象物保持部を移動させるように、前記リニアアクチュエータを前記リニアエンコーダにより検出される前記位置調整量に基づいて制御する第1工程を実行した後、前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下となり前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した場合、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記リニアアクチュエータを制御する第2工程を実行する、
請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項6】
前記第1工程および前記第2工程を実行した後において、前記撮像部により前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像とを撮像し、撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値を超えると、再び、前記第1工程および前記第2工程を実行する、
請求項5に記載のアライメント装置。
【請求項7】
前記リニアアクチュエータは、
前記第1対象物保持部へ押圧力を伝達するための第1伝達部材と、
前記伝達部材の一部に螺合する送り螺子と、
前記第1伝達部材を前記第1方向または前記第1方向とは反対方向の第2方向へ駆動する伝達部材駆動部と、
前記第1伝達部材に設けられ、前記第1方向および前記第2方向に沿った方向における長さを伸縮させる第1ピエゾアクチュエータと、を更に有し、
前記リニアエンコーダは、前記第1伝達部材の移動量を検出し、
前記付勢部は、
前記第1対象物保持部へ押圧力を伝達するための第2伝達部材と、
前記第2伝達部材に設けられ、前記第1方向および前記第2方向に沿った方向における長さを伸縮させる第2ピエゾアクチュエータと、を有し、
前記制御部は、前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した場合、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記第1ピエゾアクチュエータおよび前記第2ピエゾアクチュエータが連動して伸縮するように制御する、
請求項6に記載のアライメント装置。
【請求項8】
前記距離測定部は、レーザ変位センサを有する、
請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項9】
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めを行うステップと、
前記位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物を保持する第1対象物保持部の周囲に配置された距離測定部により、前記距離測定部と、前記位置決めの暫定的な完了時における前記第1対象物保持部と、の間の距離を計測するステップと、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが完了した後、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記第1対象物保持部を移動させるステップと、を含む、
アライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント装置およびアライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに接合する2つの被接合物同士の位置合わせを行うアライメント装置であって、被接合物を保持するステージおよびヘッドと、ステージを支持するテーブル部材と、テーブル部材を摺動可能に支持する複数の支持部材と、ステージとステージを挟持する複数の押圧力付与部と弾性支持部との組それぞれの接触位置を、各組に対応する挟持方向において変更することによって、ステージを水平平面に平行な方向に移動する押圧力付与部と、を備えるアライメント装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-119293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたアライメント装置では、テーブル部材を支持する支持部材とテーブル部材との間での摺動抵抗、付勢部のシリンダ部分の摺動抵抗等に起因して、ステージが微小な距離だけ動かそうとする駆動力が加わっても動かない場合がある。この場合、テーブル部材が撓んだり、押圧力付与部および弾性支持部に設けられたベアリングの支持部材が撓んだり或いはベアリングの球状の転動体が潰れて楕円体状に変形したりしてしまう。そうすると、駆動力が加わった後時間が経過すると、テーブル部材、ベアリングが撓んだ状態或いは変形した状態から復元することに起因して、テーブル部材が更に移動してしまい位置ずれの原因となる虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、対象物同士を高い位置精度で位置合わせすることができるアライメント装置およびアライメント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るアライメント装置は、
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記第1対象物を保持する第1対象物保持部と、
前記第2対象物を保持する第2対象物保持部と、
前記第1対象物保持部を前記第2対象物保持部に対して水平方向に移動自在に支持する支持部材と、
前記第1対象物保持部を第1方向へ付勢する少なくとも1つの付勢部と、
前記第1対象物保持部の前記第1方向における位置を調整するリニアアクチュエータと、
前記第1対象物保持部の周囲に配置され前記第1対象物保持部との間の距離を計測する距離測定部と、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記リニアアクチュエータを制御する制御部と、を備える。
【0007】
他の観点から見た本発明に係るアライメント方法は、
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めを行うステップと、
前記位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物を保持する第1対象物保持部の周囲に配置された距離測定部により、前記距離測定部と、前記位置決めの暫定的な完了時における前記第1対象物保持部と、の間の距離を計測するステップと、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが完了した後、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記第1対象物保持部を移動させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御部が、第1対象物の第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、位置決めの完了時における距離測定部により計測された距離測定部と第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるようにリニアアクチュエータを制御する。これにより、第1対象物の第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、第1対象物保持部の歪み、付勢部の摺動抵抗等に起因して、第1対象物が第2対象物に対して更に移動しても、第1対象物を第2対象物に対して高い位置精度でアライメントできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る接合装置の概略構成図である。
図2】実施の形態に係るステージおよびヘッド付近を示す概略斜視図である。
図3】実施の形態に係るステージおよびヘッドの周囲の概略側面図である。
図4】(A)は実施の形態に係るステージの周囲の平面図であり、(B)は実施の形態に係るベアリングを示す図である。
図5】実施の形態に係るステージの周囲の概略側面図である。
図6】(A)実施の形態に係るステージが+X方向へ移動する様子を示す平面図であり、(B)は実施の形態に係るステージが-Y方向へ移動する様子を示す平面図である。
図7】実施の形態に係るステージが回転する様子を示す平面図である。
図8】(A)は接合する2つの基板の一方に設けられた2つのアライメントマークを示す図であり、(B)は接合する2つの基板の他方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図9】(A)はアライメントマークの撮影画像を示す概略図であり、(B)はアライメントマークが互いにずれている状態を示す概略図である。
図10】(A)は実施の形態に係るピエゾアクチュエータによりテーブル部材を一方向へ移動させる様子を示す概略図であり、(B)は実施の形態に係るピエゾアクチュエータによりテーブル部材を(A)とは異なる他方向へ移動させる様子を示す概略図である。
図11】実施の形態に係る接合装置が実行する接合方法の流れを示すフローチャートである。
図12】実施の形態に係る接合装置を示し、(A)はステージおよびヘッドに基板が保持された状態を示す概略側面図であり、(B)は基板同士が接触した状態を示す概略側面図である。
図13】実施の形態に接合装置が基板同士を接合する様子を示す概略側面である。
図14】実施の形態に接合装置の動作説明図である。
図15】(A)比較例1に係る接合装置において摺動抵抗が発生する部分を示す図であり、(B)は比較例1に係るベアリングが撓む様子を示す図である。
図16】比較例2に係る接合装置のステージの周囲の概略側面図である。
図17】変形例に係るステージの周囲の平面図である。
図18】変形例に係る接合装置が実行する接合方法の流れを示すフローチャートである。
図19】実施の形態に係るステージおよびヘッドの周囲の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る接合装置について、図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る接合装置は、接合面が活性化された基板の接合面同士を接触させることにより基板W1、W2同士を接合する。図1に示すように、本実施の形態に係る接合装置1は、チャンバ120とステージ401とヘッド402とステージ駆動部403とヘッド駆動部404と基板加熱部481、482と撮像ユニット500とを備える。基板W1、W2としては、Si基板、ガラス基板、サファイヤ基板等が挙げられる。また、接合装置1は、ステージ401とヘッド402との間の距離を測定する距離測定部490と、ステージ401の周囲に配置された距離測定部521、524と、を備える。なお、以下の説明において、適宜図1の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。
【0011】
チャンバ120は、基板W1、W2が配置される領域を予め設定された基準真空度以上の真空度で維持する。チャンバ120は、排気管121bと排気弁121cとを介して真空ポンプ121aに接続されている。排気弁121cを開状態にして真空ポンプ121aを作動させると、チャンバ120内の気体が、排気管121bを通してチャンバ120外へ排出され、チャンバ120内が減圧雰囲気で維持される。また、排気弁121cの開閉量を変動させて排気量を調節することにより、チャンバ120内の気圧(真空度)を調節することができる。なお、チャンバ120内の気圧は、1Pa以上1000Pa以下の範囲内に設定することができる。
【0012】
ヘッド駆動部404は、ヘッド402を鉛直上方または鉛直下向(図1の矢印AR1参照)へ昇降させる昇降駆動部4042と、ヘッド402をXY方向へ移動させるXY方向駆動部4041と、ヘッド402をZ軸周りの回転方向(図1の矢印AR2参照)に回転させる回転駆動部4043と、を有する。XY方向駆動部4041と回転駆動部4043とから、ヘッド402を鉛直方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)へ移動させる保持部駆動部を構成する。また、ヘッド駆動部404は、ヘッド402のステージ401に対する傾きを調整するためのピエゾアクチュエータ411と、ヘッド402に加わる圧力を測定するための圧力センサ412と、を有する。XY方向駆動部4042および回転駆動部4043が、X方向、Y方向、Z軸周りの回転方向において、ヘッド402をステージ401に対して相対的に移動させることにより、ステージ401に保持された基板W1とヘッド402に保持された基板W2とのアライメントが可能となる。
【0013】
昇降駆動部4042は、ヘッド402を鉛直方向へ移動させることにより、ステージ401とヘッド402とを互いに近づけたり、ヘッド402をステージ401から遠ざけたりする。昇降駆動部4042がヘッド402を鉛直下方へ移動させることにより、ステージ401に保持された基板W1とヘッド402に保持された基板W2とが接触する。そして、基板W1、W2同士が接触した状態において昇降駆動部4042がヘッド402に対してステージ401に近づく方向への駆動力を作用させると、基板W2が基板W1に押し付けられる。また、昇降駆動部4042には、昇降駆動部4042がヘッド402に対してステージ401に近づく方向へ作用させる駆動力を測定する圧力センサ408が設けられている。圧力センサ408の測定値から、昇降駆動部4042により基板W2が基板W1に押し付けられたときに基板W1、W2の接合面に作用する圧力が検出できる。圧力センサ408は、例えばロードセルから構成される。
【0014】
ピエゾアクチュエータ411、圧力センサ412は、それぞれ図2に示すように、3つずつ存在する。3つのピエゾアクチュエータ411と3つの圧力センサ412とは、ヘッド402とXY方向駆動部4041との間に配置されている。3つのピエゾアクチュエータ411は、ヘッド402の上面における同一直線上ではない3つの位置、平面視略円形のヘッド402の上面の周部においてヘッド402の周方向に沿って略等間隔に並んだ3つの位置に固定された姿勢調整部である。3つの圧力センサ412は、それぞれピエゾアクチュエータ411の上端部とXY方向駆動部4041の下面とを接続している。3つのピエゾアクチュエータ411は、各別に上下方向に伸縮可能である。そして、3つのピエゾアクチュエータ411が伸縮することにより、ヘッド402のX軸周りおよびY軸周りの傾きとヘッド402の上下方向の位置とが微調整される。ヘッド402がステージ401に対して傾いている場合、3つのピエゾアクチュエータ411のうちの1つを伸長させてヘッド402の姿勢を微調整することにより、ヘッド402の下面とステージ401の上面とが略平行な状態にすることができる。また、3つの圧力センサ412は、ヘッド402の下面における3つの位置での加圧力を測定する。そして、3つの圧力センサ412で測定された加圧力が等しくなるように3つのピエゾアクチュエータ411それぞれを駆動することにより、ヘッド402の下面とステージ401の上面とを略平行に維持しつつ基板W1、W2同士を接触させることができる。
【0015】
ステージ401とヘッド402とは、図1に示すように、チャンバ120内において、鉛直方向で互いに対向し且つステージ401がヘッド402よりも鉛直下方に位置するように配置されている。ステージ401は、その上面で基板W1を支持し、ヘッド402は、その下面で基板W2を支持する。ここで、ステージ401は、その上面が基板W1全体に面接触した状態で基板W1を支持し、ヘッド402は、その下面が基板W2全体に面接触した状態で基板W2を支持する。ステージ401とヘッド402とは、例えば透光性を有するガラスのような透光性材料から形成されている。ステージ401およびヘッド402には、基板W1、W2を保持する静電チャック(図示せず)が設けられている。静電チャックは、例えばITOのような透明な導電性材料を含む透明導電膜から形成されている。静電チャックは、チャック駆動部(図示せず)により電圧が印加された状態で、基板W1、W2を吸着保持する。また、ステージ401は、図2に示すように、矩形板状のテーブル部材405の厚さ方向における一面側の中央部に固定されている。テーブル部材405は、その中央部において撮像ユニット500から放射される光を厚さ方向に透過させる透光部405aを有する。
【0016】
また、テーブル部材405は、その底面側に配置された3つの支持部材4039により支持されている。3つの支持部材4039は、テーブル部材405の底面側における、互いに離間し且つ非同一直線上に位置する3箇所PT1、PT2、PT3でテーブル部材405を支持している。また、3つの支持部材4039は、それらの上端部が略半球状部分を有しており、テーブル部材405の底面における3箇所PT1、PT2、PT3においてテーブル部材405と点接触している。これにより、各支持部材4039の上端部とテーブル部材405との間の摺動抵抗を小さくすることができ、その分、テーブル部材405を滑らかに摺動させることができる。また、支持部材4039は、それぞれ、Z軸方向へ伸縮するピエゾアクチュエータ(図示せず)を有し、各支持部材4039のピエゾアクチュエータが同期してZ軸方向へ伸縮することによりテーブル部材405を昇降させることができる。
【0017】
また、接合装置1は、図3に示すように、テーブル部材405の透光部405aの鉛直下方に配置された支持台406を備えている。3つの支持部材4039が降下することにより、テーブル部材405の底面が支持台406の上面に面接触し、テーブル部材405が支持台406に支持された状態となる。この支持台406は、基板W1、W2を加圧する際の圧力に耐えられる程度の十分に高い剛性を有する材料から形成されている。このため、テーブル部材405に撓み等が生じにくく、テーブル部材405並びにステージ401に保持された基板W1の平坦度を高精度に維持しつつ基板W1、W2同士を接合することができる。
【0018】
ステージ駆動部403は、図4(A)に示すように、3つのリニアアクチュエータ4031、4032、4033と、3つのエアシリンダ4034、4035、4036と、を有する。ここで、リニアアクチュエータ4031とエアシリンダ4034とが、テーブル部材405をY軸方向において挟持している。また、リニアアクチュエータ4032とエアシリンダ4036とが、テーブル部材405のY軸方向における中央部よりも+Y方向側の部分をX軸方向において挟持し、リニアアクチュエータ4033とエアシリンダ4035とが、テーブル部材405のY軸方向における中央部よりも-Y方向側の部分をX軸方向において挟持している。即ち、3つのエアシリンダ4034、4035、4036と、3つのエアシリンダ4034、4035、4036それぞれとテーブル部材405およびステージ401を介して対向するように配置されたリニアアクチュエータ4031、4032、4033と、からなる組が、3組存在する。そして、3組のうちの2組のエアシリンダ4035、4036とリニアアクチュエータ4033、4032との対向方向は、X軸方向で同一であり、他の1組のエアシリンダ4034とリニアアクチュエータ4031との対向方向は、Y軸方向であり、2組のエアシリンダ4035、4036とリニアアクチュエータ4033、4032との対向方向であるX軸方向とは互いに交差している。また、リニアアクチュエータ4031、4032、4033、エアシリンダ4034、4035、4036は、それぞれ、テーブル部材405の周面に当接するベアリング4031c、4032c、4033c、4034c、4035c、4036cを有する。各ベアリング4031c、4032c、4033c、4034c、4035c、4036cは、図4(B)に示すように、外輪4031c1、4032c1、4033c1、4034c1、4035c1、4036c1と、外輪4031c1、4032c1、4033c1、4034c1、4035c1、4036c1の内側に配置された内輪4031c3、4032c3、4033c3、4034c3、4035c3、4036c3と、外輪4031c1、4032c1、4033c1、4034c1、4035c1、4036c1と内輪4031c3、4032c3、4033c3、4034c3、4035c3、4036c3との間に介在するボール、ころ等の転動体4031c2、4032c2、4033c2、4034c2、4035c2、4036c2と、を有する。また、内輪4031c3、4032c3、4033c3、4034c3、4035c3、4036c3は、支持部材4031c4、4032c4、4033c4、4034c4、4035c4、4036c4を介して、後述のピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dに固定されている。ベアリング4031c、4032c、4033c、4034c、4035c、4036cは、外輪4031c1、4032c1、4033c1、4034c1、4035c1、4036c1の回転軸がZ軸方向に沿う姿勢で配置され、各外輪4031c1、4032c1、4033c1、4034c1、4035c1、4036c1がテーブル部材405の周面に当接している。このベアリング4031c、4032c、4033c、4034c、4035c、4036cは、テーブル部材405の周面に押し付けられたときに外輪4031c1、4032c1、4033c1、4034c1、4035c1、4036c1の撓みが発生する。
【0019】
また、3つのリニアアクチュエータ4031、4032、4033と、3つのエアシリンダ4034、4035、4036と、のそれぞれに隣接した位置に、テーブル部材405の周面との間の距離を測定する6つの距離測定部521、522、523、524、525、526が配設されている。ここで、距離測定部521、522、523は、それぞれ、リニアアクチュエータ4031、4032、4033毎に1つずつ設けられている。
【0020】
リニアアクチュエータ4031、4032、4033は、伝達部材4031b、4032b、4033bと、伝達部材4031b、4032b、4033bを駆動する伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aと、伝達部材4031b、4032b、4033bの先端側に設けられたベアリング4031c、4032c、4033cと、を有する。伝達部材4031b、4032b、4033bは、長尺の有底筒状であり、テーブル部材405へ押圧力を伝達するための第1伝達部材であり、長手方向における底壁側の端部に後述するピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033dが固定され、長手方向における底壁側とは反対側の端部にナット部4031h、4032h、4033hが設けられている。リニアアクチュエータ4031、4032、4033は、伝達部材4031b、4032b、4033bに転動体4031g、4032g、4033gを介して当接し伝達部材4031b、4032b、4033bを一方向に沿って摺動自在に支持するリニアガイド4031f、4032f、4033fと、ボール螺子、滑り螺子等の送り螺子4031e、4032e、4033eと、を有する。送り螺子4031e、4032e、4033eは、伝達部材4031b、4032b、4033bに設けられたナット部4031h、4032h、4033hに螺合している。そして、伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aは、送り螺子4031e、4032e、4033eをその長手方向に沿った中心軸周りに回転させることにより、伝達部材4031b、4032b、4033bを移動させる。更に、リニアアクチュエータ4031、4032、4033は、伝達部材4031b、4032b、4033bの移動量を検出するリニアエンコーダ531、532、533と、伝達部材4031b、4032b、4033bとベアリング4031c、4032c、4033cとの間に介在し、伝達部材4031b、4032b、4033bの移動方向に沿った方向における伝達部材4031b、4032b、4033b全体の長さを伸縮させるピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033dと、を有する。
【0021】
伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aは、サーボモータ(図示せず)を有し、送り螺子4031e、4032e、4033eを回転させることにより、図4(A)に示す矢印AR31、AR32、AR33に示すように、伝達部材4031b、4032b、4033bを突出させたり没入させたりする。伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aは、チャンバ120の周壁における予め設定された位置に固定されている。伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aは、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033dの伸縮範囲に比べて大きい可動範囲で伝達部材4031b、4032b、4033bを移動させることができるので、テーブル部材405の比較的大きな範囲の位置決め動作を行うことができる。ベアリング4031c、4032c、4033cの外輪は、テーブル部材405の周面に接触しながら回転する。
【0022】
リニアエンコーダ531、532、533は、図5に示すように、伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aに対する相対位置が固定されており、伝達部材4031b、4032b、4033bの長手方向に沿うように伝達部材4031b、4032b、4033bの外壁に設けられたメインスケール(図示せず)と、メインスケール上における位置を検出する検出ヘッドと、を有する。リニアエンコーダ531、532、533としては、電磁式検出器型、光学式検出器型等を採用することができる。
【0023】
ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033dは、伝達部材4031b、4032b、4033bの長手方向へ伸縮する。このピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033dを駆動することにより、伝達部材4031b、4032b、4033bのテーブル部材405との接触位置を細かく調節することができる。そして、リニアアクチュエータ4031、4032、4033は、伝達部材4031b、4032b、4033bの先端部をテーブル部材405に押し付けることでテーブル部材405に対して押圧力を付与する。
【0024】
エアシリンダ4034、4035、4036は、伝達部材4034b、4035b、4036bと、伝達部材4034b、4035b、4036bが先端部に固定されたピストン4034e、4035e、4036eを保持するシリンダ本体4034a、4035a、4036aと、伝達部材4034b、4035b、4036bの先端側に設けられたベアリング4034c、4035c、4036cと、を有する付勢部である。伝達部材4034b、4035b、4036bは、長尺でありテーブル部材405へ押圧力を伝達するための第2伝達部材である。ベアリング4034c、4035c、4036cは、外輪の回転軸がZ軸方向に沿う姿勢で配置され、各外輪がテーブル部材405の周面に当接している。また、エアシリンダ4034、4035、4036は、伝達部材4034b、4035b、4036bに転動体4034g、4035g、4036gを介して当接し伝達部材4034b、4035b、4036bを一方向に沿って摺動自在に支持するリニアガイド4034f、4035f、4036fと、伝達部材4034b、4035b、4036bとベアリング4034c、4035c、4036cとの間に介在し、伝達部材4034b、4035b、4036bの移動方向に沿った方向の長さを伸縮させるピエゾアクチュエータ4034d、4035d、4036dと、を有する。シリンダ本体4034a、4035a、4036aは、矢印AR34、AR35、AR36に示すように伝達部材4034b、4035b、4036bおよびピストン4034e、4035e、4036eを移動自在に保持し、ピストン4034e、4035e、4036eが押し込まれると、ピストン4034e、4035e、4036eをそれらが突出する方向へ付勢する。シリンダ4034a、4035a、4036aは、それぞれ、チャンバ120の周壁における伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aに対向する位置に固定されている。ベアリング4034c、4035c、4036cの外輪は、テーブル部材405の周面に接触しながら回転する。ピエゾアクチュエータ4031d、4034dのうちいずれか一方が伸張すると、同じ量だけ他方が収縮するように動作する。また、ピエゾアクチュエータ4032d、4035dのうちいずれか一方が伸張すると、同じ量だけ他方が収縮するように動作する。更に、ピエゾアクチュエータ4033d、4036dのうちいずれか一方が伸張すると、同じ量だけ他方が収縮するように動作する。
【0025】
距離測定部521、522、523、524、525、526は、例えば半導体レーザのような投光素子と、リニアイメージセンサと、を有し、投光素子から放射されテーブル部材405の周面で反射した光をリニアイメージセンサで受光するような配置で、三角測量の原理を利用した方式で測距を実行するレーザ変位センサである。距離測定部521は、X軸方向においてリニアアクチュエータ4031に隣接して配置され、距離測定部521とテーブル部材405の+Y方向側の周面との間の距離L11を測定する。距離測定部522は、Y軸方向においてリニアアクチュエータ4032に隣接して配置され、距離測定部522とテーブル部材405の-X方向側の周面との間の距離L12を測定する。距離測定部522は、Y軸方向においてリニアアクチュエータ4033に隣接して配置され、距離測定部523とテーブル部材405の-X方向側の周面との間の距離L13を測定する。距離測定部524は、X軸方向においてエアシリンダ4034に隣接して配置され、距離測定部524とテーブル部材405の-Y方向側の周面との間の距離L14を測定する。距離測定部525は、Y軸方向においてエアシリンダ4035に隣接して配置され、距離測定部525とテーブル部材405の+X方向側の周面との間の距離L15を測定する。距離測定部526は、Y軸方向においてエアシリンダ4036に隣接して配置され、距離測定部526とテーブル部材405の+X方向側の周面との間の距離L16を測定する。距離測定部521、522、523、524、525、526は、それぞれ、測定した距離L11、L12、L13、L14、L15、L16を反映した計測信号を生成して制御部9へ出力する。
【0026】
ここで、図6(A)に示すように、リニアアクチュエータ4032、4033が、それぞれ、テーブル部材405の-X方向側の周面にベアリング4032c、4033cが当接した状態で、伝達部材4032b、4033bを矢印AR321に示す方向へ移動させると、これに応じて、テーブル部材405が+X方向へ移動する。このとき、エアシリンダ4035、4036は、それぞれ、テーブル部材405の+X方向側の周面にベアリング4035c、4036cが当接した状態で、伝達部材4035b、4036bが矢印AR322に示す方向へ押し込まれる。そして、リニアアクチュエータ4032、4033によるベアリング4032c、4033cを介してテーブル部材405を+X方向側へ押圧する押圧力とエアシリンダ4035,4036によるベアリング4035c、4036cを介してテーブル部材405を-X方向側へ付勢する付勢力とが釣り合うことによって、テーブル部材405のX軸方向における位置が定まる。一方、リニアアクチュエータ4032、4033が、それぞれ、テーブル部材405の-X方向側の周面にベアリング4032c、4033cが当接した状態で、伝達部材4032b、4033bを矢印AR321に示す方向とは逆方向へ移動させると、これに応じて、テーブル部材405が-X方向へ移動する。このとき、エアシリンダ4035、4036は、それぞれ、伝達部材4035b、4036bを-X方向側へ付勢する付勢力によりテーブル部材405の+X方向側の周面にベアリング4035c、4036cが当接した状態を維持する。また、テーブル部材405がX軸方向に沿って移動する場合、リニアアクチュエータ4031のベアリング4031cとエアシリンダ4034のベアリング4034cとが、それぞれ、テーブル部材405のY軸方向における両側の周面に当接した状態で回転する。このため、テーブル部材405をX軸方向へ移動させる際の接触抵抗を低減することができ、テーブル部材405をX軸方向に沿って滑らかに移動させることができる。
【0027】
また、図6(B)に示すように、リニアアクチュエータ4031が、テーブル部材405の+Y方向側の周面にベアリング4031cが当接した状態で、伝達部材4031bを矢印AR323に示す方向へ移動させると、これに応じて、テーブル部材405が-X方向へ移動する。このとき、エアシリンダ4034は、テーブル部材405の-Y方向側の周面にベアリング4034cが当接した状態で、伝達部材4034bが矢印AR324に示す方向へ押し込まれる。そして、リニアアクチュエータ4031によるベアリング4031cを介してテーブル部材405を-Y方向側へ押圧する押圧力とエアシリンダ4034によるベアリング4034cを介してテーブル部材405を+X方向側へ付勢する付勢力とが釣り合うことによって、テーブル部材405のY軸方向における位置が定まる。一方、リニアアクチュエータ4031が、テーブル部材405の+Y方向側の周面にベアリング4031cが当接した状態で、伝達部材4031bを矢印AR323に示す方向とは逆方向へ移動させると、これに応じて、テーブル部材405が+Y方向へ移動する。このとき、エアシリンダ4034は、それぞれ、伝達部材4034bを+Y方向側へ付勢する付勢力によりテーブル部材405の-Y方向側の周面にベアリング4034cが当接した状態を維持する。また、テーブル部材405がY軸方向に沿って移動する場合、リニアアクチュエータ4032、4033それぞれのベアリング4032c、4033cとエアシリンダ4035、4036それぞれのベアリング4035c、4036cとが、それぞれ、テーブル部材405のX軸方向における両側の周面に当接した状態で回転する。このため、テーブル部材405をY軸方向へ移動させる際の接触抵抗を低減することができ、テーブル部材405をY軸方向に沿って滑らかに移動させることができる。
【0028】
更に、図7に示すように、リニアアクチュエータ4032が、テーブル部材405の-X方向側の周面にベアリング4032cが当接した状態で、伝達部材4032bを矢印AR325に示す方向へ移動させるとともに、リニアアクチュエータ4033が、テーブル部材405の-X方向側の周面にベアリング4033cが当接した状態で、伝達部材4033bを矢印AR326に示す方向へ移動させたとする。この場合、エアシリンダ4036は、テーブル部材405の+X方向側の周面にベアリング4036cが当接した状態で、伝達部材4036bが矢印AR327に示す方向へ押し込まれる。また、エアシリンダ4035は、伝達部材4035bを-X方向側へ付勢する付勢力によりテーブル部材405の+X方向側の周面にベアリング4035cが当接した状態を維持する。このように、リニアアクチュエータ4032、4033が、それぞれ、ビストン4032b、4033bを互いに異なる方向へ移動させることにより、矢印AR329に示すように、テーブル部材405およびステージ401を回転させる。
【0029】
図1に戻って、距離測定部490は、例えばレーザ距離計であり、ステージ401およびヘッド402に接触せずにステージ401とヘッド402との間の距離を測定する。距離測定部490は、透光性を有する透光性材料から形成されたヘッド402の上方からステージ401に向かってレーザ光を照射したときのステージ401の上面での反射光とヘッド402の下面での反射光との差分からステージ401とヘッド402との間の距離を測定する。距離測定部490は、図2に示すように、ステージ401の上面における3箇所の部位P11、P12、P13と、ヘッド402の下面における、Z方向において部位P11、P12、P13に対向する3箇所の部位P21、P22、P23との間の距離を測定する。前述のようにヘッド402またはステージ401が、透光性材料から形成されていることにより、レーザをヘッド402またはステージ401を透過させて距離を測定することができる。従って、距離測定部490が、ヘッド402、ステージ401における基板W1、W2側とは反対側に配置された構成とすることができるという利点がある。
【0030】
撮像ユニット500は、図3に示すように、撮像部501、502と、ミラー504、505と、を有する。撮像部501と撮像部502とは、ステージ401における基板W1を保持する側とは反対側に配置されている。撮像部501および撮像部502は、それぞれ、撮像素子(図示せず)と同軸照明系(図示せず)とを有している。同軸照明系の光源としては、基板W1、W2およびステージ401、テーブル部材405の透光部405aを透過する光(例えば赤外光)を出射する光源が用いられる。
【0031】
例えば図8(A)および(B)に示すように、基板W1には、2つのアライメントマーク(第1アライメントマーク)MK1a、MK1bが設けられ、基板W2には、2つのアライメントマーク(第2アライメントマーク)MK2a、MK2bが設けられている。接合装置1は、撮像ユニットにより撮像された基板W1、W2に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの位置を認識しながら、両基板W1、W2の位置合わせ動作(アライメント動作)を実行する。より詳細には、接合装置1は、まず、撮像ユニット500により撮像された基板W1、W2に設けられたアライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bを認識しながら、基板W1、W2の大まかなアライメント動作(ラフアライメント動作)を実行して、2つの基板W1、W2を対向させる。その後、接合装置1は、撮像ユニット500により撮像された2つの基板W1、W2に設けられたアライメントマークMK1a、MK2a、MK1b、MK2bを同時に認識しながら、更に精緻なアライメント動作(ファインアライメント動作)を実行する。
【0032】
ここで、図3の破線矢印SC1、SC2に示すように、撮像部501の同軸照明系の光源から出射された光は、ミラー504で反射されて上方に進行し、支持台406、テーブル部材405の透光部405aおよび基板W1、W2の一部あるいは全部を透過する。基板W1、W2の一部あるいは全部を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、テーブル部材405の透光部405aおよび支持台406を透過してミラー504で反射されて撮像部501の撮像素子に入射する。また、撮像部502の同軸照明系の光源から出射された光は、ミラー505で反射されて上方に進行し、支持台406、テーブル部材405の透光部405aおよび基板W1、W2の一部あるいは全部を透過する。基板W1、W2の一部あるいは全部を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、テーブル部材405の透光部405aおよび支持台406を透過してミラー505で反射されて撮像部502の撮像素子に入射する。そして、撮像ユニット500の撮像部501、502は、それぞれ、撮像素子に入射する光を用いて、図9(A)および(B)に示すように、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aを含む撮影画像GAaと、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1b,MK2bを含む撮影画像GAbと、を1つの視野内で同時に撮像する。また、撮像部501による撮影画像GAaの撮影動作と撮像部502による撮影画像GAbの撮影動作とは、同時に実行される。
【0033】
図1に戻って、基板加熱部481、482は、例えば電熱ヒータであり、それぞれステージ401、ヘッド402に設けられている。基板加熱部481、482は、ステージ401およびヘッド402に保持されている基板W1,W2に熱を伝達することにより基板W1、W2を加熱する。また、基板加熱部481、482の発熱量を調節することにより、基板W1,W2やそれらの接合面の温度を調節できる。また、基板加熱部481、482は、加熱部駆動部(図示せず)に接続されており、加熱部駆動部は、図1に示す制御部9から入力される制御信号に基づいて、基板加熱部481、482へ電流を供給することにより基板加熱部481、482を発熱させる。
【0034】
制御部9は、例えばパーソナルコンピュータを有する制御システムであり、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有する。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する。また、メモリには、後述する基板W1、W2の相対的な算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに対して予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthが記憶されている。制御部9は、圧力センサ412、圧力センサ408および距離測定部490、521、522、523、524、525、526から入力される計測信号を計測情報に変換して取得する。また、制御部9は、撮像部501および撮像部502から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換して取得する。更に、制御部9は、保持部駆動部、ピエゾアクチュエータ411、加熱部駆動部、ステージ駆動部403およびヘッド駆動部404それぞれへ制御信号を出力することによりこれらの動作を制御する。
【0035】
制御部9は、図9(B)に示すように、撮像部501から取得した撮影画像GAaに基づいて、基板W1、W2に設けられた1組のアライメントマークMK1a,MK2a相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。なお、図9(B)は、1組のアライメントマークMK1a,MK2aが互いにずれている状態を示している。同様に、制御部9は、撮像部502から取得した撮影画像GAbに基づいて、基板W1、W2に設けられた他の1組のアライメントマークMK1b,MK2b相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。その後、制御部9は、これら2組のアライメントマークの位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybと2組のマークの幾何学的関係とに基づいて、X方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向における2つの基板W1、W2の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。そして、制御部9は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減されるようにステージ401の補正移動量を算出し、リニアエンコーダ531、532、533により検出される伝達部材4031b、4032b、4033bの移動量が、算出した補正移動量となるように伝達部材4031b、4032b、4033bを駆動させるよう伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aを制御して、ステージ401をX方向およびY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。これにより、2つの基板W1、W2の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減される。このようにして、接合装置1は、2つの基板W1、W2の水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するアライメント動作を実行する。また、アライメント動作の結果、2つの基板W1、W2の水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθが予め設定された位置ずれ量閾値以下となり2つの基板W1、W2同士の位置決めが暫定的に完了したとする。この場合、制御部9は、当該位置決めの暫定的な完了時における距離測定部521、522、523、524、525、526により計測されたテーブル部材405との間の距離が一定で維持されるように、伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aおよびピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを制御する。ここで、制御部9は、まず、位置決めの暫定的な完了時における距離測定部521、522、523、524、525、526により計測された距離測定部521、522、523、524、525、526とテーブル部材405との間の距離が一定で維持されるようにピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dが連動して伸縮するように制御する。ここで、制御部9は、例えば図10(A)に示すように、ピエゾアクチュエータ4031d(4032d、4033d)を長さΔp1だけ伸張させた場合、これにテーブル部材405を介して対向するピエゾアクチュエータ4034d(4035d、4036d)を長さΔp1だけ収縮させるように制御する。これにより、テーブル部材405が矢印AR4051に示す方向へ移動する。一方、制御部9は、例えば図10(B)に示すように、ピエゾアクチュエータ4031d(4032d、4033d)を長さΔp2だけ収縮させた場合、これにテーブル部材405を介して対向するピエゾアクチュエータ4034d(4035d、4036d)を長さΔp2だけ伸張させるように制御する。これにより、テーブル部材405が矢印AR4052に示す方向へ移動する。このように、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dによりテーブル部材405を移動させる場合、摺動抵抗が生じないため、摺動抵抗の影響を低減する観点から好ましい。なお、制御部9は、基板W1、W2同士のアライメント時にテーブル部材405を繰り返し微小移動させる場合もピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを連動して伸縮するように制御してもよく、好ましい。そして、制御部9は、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを連動して伸縮するだけでは距離測定部521、522、523、524、525、526とテーブル部材405との間の距離が一定で維持できない場合、距離測定部521、522、523、524、525、526とテーブル部材405との間の距離が一定で維持されるように伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aを制御する。
【0036】
更に、制御部9は、距離測定部490を制御して、ステージ401の3箇所の部位P11、P12、P13における、ヘッド402における部位P11、P12、P13それぞれに対応する部位P21、P22、P23との間の距離を測定する。そして、制御部9は、距離測定部490により測定された距離に基づいて、ヘッド402に保持された基板W2のステージ401に保持された基板W1に対して平行となるように、前述の3つのピエゾアクチュエータ411を制御する。
【0037】
次に、本実施の形態に係る接合装置1が実行する接合方法について図11から図13を参照しながら説明する。なお、図11において、接合装置1は、距離測定部490により、ステージ401およびヘッド402に基板W1、W2が保持されていない状態で、ステージ401の上面とヘッド402の下面との間の距離の測定を完了しその結果をメモリに記憶しているものとする。更に、基板W1、W2の厚さの測定結果が既にメモリに記憶されているものとする。
【0038】
まず、接合装置1は、図11に示すように、ステージ401に基板W1の周部のみを保持させるとともに、ヘッド402に基板W1、W2の接合面が互いに対向した状態で基板W2の周部のみを保持させる(ステップS101)。ここで、制御部9は、例えば基板W1がステージ401に載置された状態で、ステージ401に配設された静電チャックを駆動してステージ401に基板W1を保持させる。また、制御部9は、例えばヘッド402の鉛直下方に配置された基板W2の接合面側とは反対側にヘッド402を接触させた状態で、ヘッド402に配設された静電チャックを駆動してヘッド402に基板W2を保持させる。
【0039】
次に、接合装置1は、ステージ401およびヘッド402に基板W1、W2が保持されていない状態でのステージ401の上面とヘッド402の下面との間の距離と基板W1、W2の厚さとに基づいて、基板W1の接合面と基板W2の接合面との間の距離を算出する。そして、接合装置1は、算出した距離に基づいて、ヘッド402を鉛直下方へ移動させて基板W1、W2同士を近づける(ステップS102)。
【0040】
続いて、接合装置1は、基板W1、W2同士が離間した状態で、基板W1の基板W2に対する位置ずれ量を計測する(ステップS103)。ここにおいて、制御部9は、まず、撮像ユニット500の撮像部501および撮像部502から、非接触状態における2つの基板W1、W2の撮影画像GAa,GAb(図9(A)参照)を撮像する。そして、制御部9は、2つの撮影画像GAa,GAbに基づいて、2つの基板W1、W2のX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する。具体的には、制御部9は、例えばZ方向に離間したアライメントマークMK1a,MK2aを同時に読み取った撮影画像GAaに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxa、Δya(図9(B)参照)を算出する。同様に、Z方向に離間したアライメントマークMK1b,MK2bを同時に読み取った撮影画像GAbに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。そして、制御部9は、位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、2つの基板W1、W2の水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。
【0041】
図11に戻って、その後、接合装置1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように基板W2を基板W1に対して相対的に移動させる(ステップS104)。ここにおいて、接合装置1は、ステージ401を固定した状態で、位置ずれ量Δx、Δy、Δθが解消するように、ヘッド402をX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向へ移動させる。また、このとき、接合装置1は、ステージ401の3箇所の部位P11、P12、P13における、ヘッド402における部位P11、P12、P13それぞれに対応する部位P21、P22、P23との間の距離を測定し、測定した距離に基づいて、ヘッド402に保持された基板W2のステージ401に保持された基板W1に対する姿勢を調整する。ここで、接合装置1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに基づいて、ステージ401の補正移動量を算出し、リニアエンコーダ531、532、533により検出される伝達部材4031b、4032b、4033bの移動量が、算出した補正移動量となるように伝達部材4031b、4032b、4033bを駆動させる。
【0042】
次に、接合装置1は、基板W1、W2が互いに離間した状態で、基板W2の基板W1に対する位置ずれ量を計測する(ステップS105)。ここで、接合装置1において、アライメントマークMK1a,MK2aとアライメントマークMK1b,MK2bとのそれぞれが撮像部501、撮像部502の被写界深度の範囲内に収まる距離だけ離間し、撮像部501、撮像部502が、それぞれ、アライメントマークMK1a,MK2aの組とアライメントマークMK1b,MK2bの組を撮像できる位置それぞれに配置された状態となっている。そして、接合装置1は、撮像部501、撮像部502が、同じタイミングで、対応するアライメントマークMK1a,MK2aの組とアライメントマークMK1b,MK2bの組を1回の画像取り込みで同時に撮像するように撮像部501、撮像部502を制御する。これにより、撮像部501、502それぞれが、1つで一対のアライメントマークMK1a,MK2aの組、アライメントマークMK1b,MK2bの組を同時に撮像するので、一対のアライメントマークMK1a,MK2a(MK1b,MK2b)を各別に撮像する場合における撮像タイミングのずれに起因した誤差並びに撮像部501、502の振動に起因した誤差の影響を低減できる。そして、接合装置1は、撮像部501、502により撮像された撮影画像に基づいて、基板W2の基板W1に対する位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。
【0043】
続いて、接合装置1は、計測した基板W2の基板W1に対する位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS106)。ここで、接合装置1により、計測した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定されたとする(ステップS106:No)。この場合、接合装置1は、計測した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを全て位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下にするための基板W2の基板W1に対する補正移動量を算出する(ステップS107)。ここにおいて、制御部9は、計測した位置ずれ量Δx、Δy、Δθだけ位置ずれ方向とは反対方向へ移動させるような補正移動量を算出する。次に、接合装置1は、リニアエンコーダ531、532、533により検出される伝達部材4031b、4032b、4033bの移動量が、算出した補正移動量となるように伝達部材4031b、4032b、4033bを駆動させて、基板W2を基板W1に対して相対的に移動させる(ステップS108)。ここにおいて、接合装置1は、ステージ401が固定された状態で、ヘッド402をステップS108で算出された補正移動量だけX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向に移動させる。このようにして、接合装置1は、基板W1、W2が互いに離間した状態で、位置ずれ量Δx、Δy、Δθが小さくなるように基板W2の基板W1に対する相対位置を調整する。そして、接合装置1は、再びステップS106の処理を実行する。
【0044】
一方、接合装置1が、計測した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS106:Yes)。この場合、接合装置1は、距離測定部521、522、523、524、525、526により図4(A)に示す距離L11、L12、L13、L14、L15、L16を測定する。そして、接合装置1は、距離測定部521、522、523、524、525、526から入力される距離L11、L12、L13、L14、L15、L16を反映した計測信号を、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16を示す距離情報に変換してメモリに記憶させる(ステップS109)。
【0045】
その後、接合装置1は、予め設定された時間だけ待機してから(ステップS110)、再び距離測定部521、522、523、524、525、526により距離L11、L12、L13、L14、L15、L16(図4(A)参照)を測定する(ステップS111)。次に、接合装置1は、ステップS111の前後において、計測した距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の少なくとも1つが予め設定された距離閾値以上変化したか否かを判定する(ステップS112)。ここで、接合装置1が、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の少なくとも1つが前述の距離閾値以上変化したと判定したとする(ステップS112:Yes)。この場合、接合装置1は、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16が距離閾値以上変化した距離測定部521、522、523、524、525、526に隣接するリニアアクチュエータ4031、4032、4033、エアシリンダ4034、4035、4036のピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の変化分を打ち消すように連動して伸縮させる(ステップS113)。ここで、ピエゾアクチュエータ4031d、4034dのうちいずれか一方が伸張すると、同じ量だけ他方が収縮するように動作する。また、ピエゾアクチュエータ4032d、4035dのうちいずれか一方が伸張すると、同じ量だけ他方が収縮するように動作する。更に、ピエゾアクチュエータ4033d、4036dのうちいずれか一方が伸張すると、同じ量だけ他方が収縮するように動作する。このとき、リニアアクチュエータ4031、4032、4033の伝達部材4031b、4032b、4033bと、エアシリンダ4034、4035、4036の伝達部材4034b、4035b、4036bと、は動かない。このため、伝達部材4031b、4032b、4033b、4034b、4035b、4036bについて発生する摺動抵抗による影響を抑制できる。
【0046】
続いて、接合装置1は、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを連動して伸縮するだけでは距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の変化分を打ち消すことが不可能であるか否かを判定する(ステップS114)。ここで、接合装置1が、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを連動して伸縮するだけで距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の変化分を打ち消すことができたと判定すると(ステップS114:No)、再びステップS110の工程が実行される。一方、接合装置1が、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを連動して伸縮するだけでは距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の変化分を打ち消すことが不可能であると判定したとする(ステップS114:Yes)。この場合、接合装置1は、伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aにより距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の変化分を打ち消すように伝達部材4031b、4032b、4033bを移動させる(ステップS115)。その後、再びステップS110の処理が実行される。つまり、接合装置1は、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを連動して伸縮するだけでは距離L11、L12、L13、L14、L15、L16が一定で維持できない場合、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16が一定で維持されるように伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aを制御する。このように、接合装置1は、前述のステップS110乃至S115の一連の処理を繰り返し実行することにより、2つの基板W1、W2同士の位置決めの暫定的な完了時における距離測定部521、522、523、524、525、526により計測されたテーブル部材405との間の距離が一定で維持されるようにピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを伸縮動作させるとともに、4031b、4032b、4033bを適宜移動させる。
【0047】
一方、接合装置1が、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の全てが前述の距離閾値以上変化していないと判定したとする(ステップS112:No)。この場合、接合装置1は、再び、基板W2の基板W1に対する位置ずれ量を計測する(ステップS116)。その後、接合装置1は、再び、計測した基板W2の基板W1に対する位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが前述の位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS117)。ここで、接合装置1により、計測した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定したとする(ステップS117:No)。この場合、接合装置1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに基づいて、ステージ401の補正移動量を算出し(ステップS107)、リニアエンコーダ531、532、533により検出される伝達部材4031b、4032b、4033bの移動量が、算出した補正移動量となるように伝達部材4031b、4032b、4033bを駆動させてステージ401を移動させる(ステップS108)。その後、再びステップS105の処理が実行される。
【0048】
一方、接合装置1が、計測した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS117:Yes)。この場合、接合装置1は、基板W2を基板W1に接触させる(ステップS118)。このとき、接合装置1は、図12(A)の矢印AR101に示すように、ヘッド402を下降させることにより、図12(B)に示すように、基板W1、W2同士を接触させる。次に、接合装置1は、基板W2を基板W1に押し付けて加圧することにより基板W1、W2同士を接合する(ステップS119)。ここで、接合装置1は、まず、基板W1、W2が互い接触した状態で、図12(B)の矢印AR401に示すように、支持部材4039を降下させる。これにより、図13に示すように、テーブル部材405の底面が支持台406の上面に面接触した状態となる。このため、加圧接合時においてもテーブル部材405に撓み等が生じにくく、テーブル部材405(ひいては基板W1)の平坦度を高精度に維持しつつ基板W1、W2を接合することが可能である。なお、テーブル部材405の底面のうち面支持される面積は大きいことが好ましい。例えば、テーブル部材405の底面のうち、基板W1に対応する全領域が支持台406に面接触することが好ましい。そして、接合装置1は、ヘッド402に対して矢印AR103に示す方向へ駆動力を与えることにより基板W2を基板W1に押し付ける。このとき、基板加熱部481、482が、それぞれ、基板W1、W2を加熱してもよい。このようにして、基板W1、W2同士が接合される。
【0049】
その後、接合装置1は、ヘッド402の静電チャックを停止させることにより基板W2の保持を解除する(ステップS120)。次に、接合装置1は、ヘッド402を上昇させることによりヘッド402を基板W2から離脱させる。
【0050】
ところで、一般的な接合装置では、ステージ401のXY方向の移動機構と回転方向の移動機構とが分かれており、各移動方向における移動量を検知できるエンコーダ、距離検知部を配置することができる。これに対して、本実施の形態に係る接合装置1では、伝達部材4031bのY軸方向への移動量、伝達部材4032b、4033bそれぞれのX軸方向への移動量を調整することにより、テーブル部材405に固定されたステージ401の±X方向、±Y方向およびZ軸周りの回転方向における位置決めを行う。このため、ステージ401のZ軸周りの回転方向における基板W1、W2同士の位置ずれ量をレーザ変位センサで測定することはできない。また、テーブル部材405をZ軸周りに回転させた場合、距離測定部521、522、523、524、525、526の投光素子から放射されたレーザ光のテーブル部材405の周面への入射角が変化する。このため、距離測定部521、522、523、524、525、526のリニアイメージセンサで受光する光の光量が、テーブル部材405をZ軸周りの回転角度によって変化してしまい、テーブル部材405と距離測定部521、522、523、524、525、526との間の距離に基づいて、ステージ401の±X方向、±Y方向の位置ずれ量を精度良く算出することが難しい。
【0051】
これに対して、本実施の形態に係る接合装置1では、前述のステップS103およびS104の処理を実行した後に、ステップS105乃至S108の一連の処理を繰り返すことにより基板W1、W2同士の暫定的な位置決めをする1次動作を実行した後、ステップS110乃至ステップS113の一連の処理を繰り返すことによりステージ401を暫定的な位置決め完了時の位置で維持する2次動作を行う。その後、接合装置1は、ステップS114およびS115の処理を実行し、基板W1、W2同士の位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定した場合、再び、ステップS105乃至S108の一連の処理を繰り返すことにより基板W1、W2同士の位置決めをする3次動作を実行する。ここで、接合装置1は、図14に示すように、1次動作および3次動作において、撮像部501、502により撮像された2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの撮影画像GAa,GAbに基づいて、2つの基板W1、W2同士の位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出し、算出した位置ずれ量に基づいて、基板W1の基板W2に対する補正移動量を算出する。そして、接合装置1は、リニアエンコーダ531、532、533により検出される伝達部材4031b、4032b、4033bの移動量が、算出した補正移動量となるように伝達部材4031b、4032b、4033bを駆動させてステージ401を移動させる。また、接合装置1は、2つの基板W1、W2同士の位置決めの暫定的な完了時における距離測定部521、522、523、524、525、526により計測されたテーブル部材405との間の距離が一定で維持されるようにピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033d、4034d、4035d、4036dを伸縮させたり、伝達部材4031b、4032b、4033bを移動させたりする。このとき、リニアエンコーダ531、532、533により検出される伝達部材4031b、4032b、4033bの移動量は無視する。
【0052】
つまり、接合装置1は、撮像部501、502により撮像されたアライメントマークMK1a、MK2aの画像とアライメントマークMK1b、MK2bの画像との位置ずれ量に基づいて、ステージ401の補正移動量を算出し、算出した補正移動量だけステージ401を移動させるように、リニアアクチュエータ4031、4032、4033をリニアエンコーダ531、532、533により検出される位置調整量に基づいて制御する第1工程を実行する。その後、接合装置1は、アライメントマークMK1a、MK2aとアライメントマークMK1b、MK2bの画像との位置ずれ量が前述の位置ずれ量閾値以下となり基板W1、W2の位置決めが暫定的に完了した場合、位置決めの暫定的な完了時における距離L11、L12、L13、L14、L15、L16が一定で維持されるようにリニアアクチュエータ4031、4032、4033を制御する第2工程を実行する。この第2工程では、接合装置1は、リニアエンコーダ531、532、533で検出される位置調整量を使用してリニアアクチュエータ4031、4032、4033を制御してもよい。但し、接合装置1は、リニアエンコーダ531、532、533で検出される位置調整量を使用せずに、距離測定部521、522、523、524、525、526により測定された距離L11、L12、L13、L14、L15、L16を用いてリニアアクチュエータ4031、4032、4033を制御するのが好ましい。そして、接合装置1は、前述の第1工程および第2工程を実行した後において、撮像部501、502によりアライメントマークMK1a、MK2aとアライメントマークMK1b、MK2bの画像とを撮像し、撮像されたアライメントマークMK1a、MK2aとアライメントマークMK1b、MK2bの画像との位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量が位置ずれ量閾値を超えると、再び、前述の第1工程および第2工程を実行する。このようにして、接合装置1は、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの撮影画像GAa,GAbと、距離測定部521、522、523、524、525、526により計測されたテーブル部材405との間の距離と、を用いて、基板W1の基板W2に対する±X方向、±Y方向の位置ずれ量、並びに、Z軸周りに回転する方向への位置ずれ量を精度良く算出することができる。
【0053】
ここで、本実施の形態に係る接合装置1について比較例1、2に係る接合装置と比較しながらその特徴について説明する。比較例1に係る接合装置は、図15(A)に示すように、テーブル部材9405および支持部材94039における互いに対向する側には、潤滑部材9405a、94039aが設けられ、テーブル部材9405と支持部材94039とが潤滑部材9405a、94039aを介して面接触している構成である。なお、図15(A)において実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。この比較例1に係る接合装置では、テーブル部材9405を支持する支持部材94039とテーブル部材9405との間の部分Po2と、ピストン4034e、4035e、4036eとシリンダ本体4034a、4035a、4036aとの間の部分Po1とに摺動抵抗が発生する。このため、テーブル部材9405を微小な距離だけ動かそうとする駆動力が加わっても動かないことがある。この場合、テーブル部材9405が撓んだり、図15(B)に示すようにベアリング4031c、4032c、4033c、4034c、4035c、4036cの支持部材4031c4、4032c4、4033c4、4034c4、4035c4、4036c4が撓んだり或いは球状の転動体4031c2、4032c2、4033c2、4034c2、4035c2、4036c2が潰れて楕円体状に変形したりしてしまう。そうすると、駆動力が加わった後時間が経過すると、テーブル部材9405、ベアリング4031c、4032c、4033c、4034c、4035c、4036cが撓んだ状態或いは変形した状態から復元することに起因して、テーブル部材9405が更に移動してしまい位置ずれの原因となる虞がある。
【0054】
これに対して、本実施の形態に係る接合装置1によれば、制御部9が、基板W1に対する基板W2の位置決めが完了した後、位置決めの完了時における距離測定部521、522、523、524、525、526により計測された距離L11、L12、L13、L14、L15、L16が一定で維持されるようにリニアアクチュエータ4031、4032、4033を制御する。これにより、基板W1に対する基板W2の位置決めが完了した後、ステージ401の歪み、エアシリンダ4034、4035、4036の摺動抵抗等に起因して、基板W2が基板W1に対して更に移動しても、基板W2を基板W1に高い位置精度で接合できる。
【0055】
また、比較例2に係る接合装置は、図16に示すように、ステージ401の鉛直下方にステージ401を矢印AR901に示すようにX軸方向へ移動させるX方向駆動部94031と、X方向駆動部94031と鉛直方向で重なるように配置されステージ401を矢印AR902に示すようにY軸方向へ移動させるY方向駆動部94032と、ステージ401を矢印AR903に示すように回転させる回転駆動部94033と、を備える。ここで、Y方向駆動部94032は、Y軸方向へ延在するレール94032bと、ステージ401を支持し且つレール94032b上を移動するスライド部材94032aと、を有する。この場合、矢印AR900に示すように、基板W1、W2を加圧する時に、X軸方向およびY軸方向それぞれにおけるステージ401の位置によっては、X方向駆動部94031、Y方向駆動部94032に対して加わる力が不均一になり、ステージ401の姿勢が傾いてしまう虞がある。また、ステージ401の鉛直下方にX方向駆動部94031、Y方向駆動部94032および回転駆動部94033が配置されているため、基板W1、W2を加圧する際にステージ401に加えることができる力の大きさが制限されてしまう。また、回転駆動部94033が、例えばステージ401を鉛直下方から支持する内輪をスライド部材94032aの鉛直上側に固定された外輪により転動体を介して支持するベアリングを備える構成である場合、ステージ401の中央部に圧力が加わると、ステージ401における内輪の中央部に対向する部分が鉛直下方へ窪むように撓んでしまう虞がある。
【0056】
これに対して、本実施の形態に係る接合装置1では、図13に示すように、ステージ401およびテーブル部材405の鉛直下方に支持台406が配置された構成であり、ステージ401の水平方向への移動をテーブル部材405の側方からリニアアクチュエータ4031、4032、4033により力を作用させることにより行う。このため、基板W1、W2の加圧時においてステージ401およびテーブル部材405が、位置が固定され且つ上面が平坦な支持台406により支持されるので、ステージ401の傾き、撓みの発生が抑制される。従って、基板W1、W2同士を例えば1kN以上の高い圧力で加圧する場合に好ましい。
【0057】
更に、本実施の形態に係る接合装置1では、ステージ401を水平方向へ移動させるためのリニアアクチュエータ4031、4032、4033がステージ401の周囲に配置された構成を有する。このため、例えば基板W1、W2に紫外光を照射する構成等をステージ401の鉛直下方に配置することができる。
【0058】
また,図16に示す接合装置では、X方向駆動部94031、Y方向駆動部94032および回転駆動部94033それぞれに移動方向の変位を検出するエンコーダ、レーザ変位計等を設けることができる。しかしながら、図16に示す構成では、特に基板W1、W2を加圧する必要があり且つ高精度な位置合わせを要求される場合、前述のような課題が生じるため、本実施の形態に係る接合装置1のような構成を採用せざるを得ない。この場合、本実施の形態に係る接合装置1のように、リニアアクチュエータ4031、4032、4033およびエアシリンダ4034、4035、4036を用いた構成を採用する必要がある。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、距離測定部521、522、523、524、525、526が、レーザ測距計以外の測距計により距離を計測するものであってもよい。
【0060】
実施の形態では、リニアアクチュエータ4031、4032、4033が、それぞれ、ピエゾアクチュエータ4031d、4032d、4033dを有し、エアシリンダ4034、4035、4036が、それぞれ、ピエゾアクチュエータ4034d、4035d、4036dを有する例について説明した。但し、これに限定されるものではなく、例えば図17に示すように、リニアアクチュエータ24031、24032、24033が、それぞれ、ピエゾアクチュエータを備えておらず、エアシリンダ24034、24035、24036も、それぞれ、ピエゾアクチュエータを備えていないものであってもよい。なお、図17において、実施の形態と同様の構成については図4(A)と同一の符号を付している。この場合、制御部9は、位置決めの暫定的な完了時における距離測定部521、522、523、524、525、526により計測された距離測定部521、522、523、524、525、526とテーブル部材405との間の距離が一定で維持されるように伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aを制御する。
【0061】
ここで、本変形例に係る接合装置が実行する接合方法について図18を参照しながら説明する。なお、図18において、実施の形態1と同様の工程については図11と同一の符号を付している。接合装置は、ステップS109の工程が実行された後、予め設定された時間だけ待機してから(ステップS110)、再び距離測定部521、522、523、524、525、526により距離L11、L12、L13、L14、L15、L16を測定する(ステップS111)。次に、接合装置は、ステップS111の前後において、計測した距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の少なくとも1つが前述の距離閾値以上変化したか否かを判定する(ステップS112)。ここで、接合装置が、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の少なくとも1つが前述の距離閾値以上変化したと判定したとする(ステップS112:Yes)。この場合、接合装置は、伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aを制御して、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の変化分を打ち消すように伝達部材4031b、4032b、4033bを移動させる(ステップS2111)。その後、再びステップS110の処理が実行される。 一方、接合装置が、距離L11、L12、L13、L14、L15、L16の全てが前述の距離閾値以上変化していないと判定すると(ステップS112:No)、ステップS116以降の処理が実行される。
【0062】
本構成によれば、リニアアクチュエータ24031、24032、24033、エアシリンダ24034、24035、24036それぞれの構成を簡素化することができる。
【0063】
実施の形態では、テーブル部材405が、その底面側に配置された3つの支持部材4039により支持されている例について説明した。但し、これに限らず、例えば図19に示すように、鉛直上側にテフロン(登録商標)シート等の潤滑部材3406aが貼り付けられた支持台3406を備えるものであってもよい。なお、図19において実施の形態と同様の構成については図3と同一の符号を付している。
【0064】
実施の形態では、伝達部材駆動部4031a、4032a、4033aは、送り螺子4031e、4032e、4033eを回転させることにより、伝達部材4031b、4032b、4033bを突出させたり没入させたりする例について説明した。但し、これに限らず、例えば伝達部材駆動部が、一次側ユニットが長尺の二次側ユニットの長手方向に沿って移動するリニアサーボモータを有し、一次側ユニットに固定された伝達部材4031b、4032b、4033bを直接突出させたり没入させたりするものであってもよい。
【0065】
実施の形態において、ステージ401、ヘッド402が、基板W1、W2の中央部を押圧する押圧機構を有するものであってもよい。
【0066】
実施の形態では、距離測定部490が、ステージ401とヘッド402との間の距離を測定する例について説明した。但し、これに限らず、距離測定部が、ステージ401に保持された基板W1とヘッド402との間の距離、或いは、ステージ401とヘッド402の保持された基板W2との間の距離を測定するものであってもよい。或いは、距離測定部が、ステージ401に保持された基板W1と、ヘッド402に保持された基板W2と、の間の距離を測定するものであってもよい。
【0067】
実施の形態では、基板W1、W2同士を減圧下で接合する例について説明したが、これに限定されるものではなく、基板W1、W2同士を大気圧下で接合するものであってもよい。
【0068】
実施の形態では、距離測定部521、522、523、524、525、526が、レーザ変位センサである例について説明したがこれに限定されるものではない。例えば距離測定部521、522、523、524、525、526が、投光素子と受光素子またはイメージセンサとを有し、受光素子で受光する光量またはイメージセンサで検出される像の大きさに基づいて距離を測定する側長センサであってもよい。或いは、距離測定部521、522、523、524、525、526が、高周波磁界を発生させるコイルが内蔵されたセンサヘッドを有し、コイルのインピーダンスの変化量に基づいて距離を測定する渦電流式変位センサであってもよい。
【0069】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えばCMOSイメージセンサやメモリ、演算素子、MEMSの製造に好適である。
【符号の説明】
【0071】
1:接合装置、9:制御部、120:チャンバ、121a:真空ポンプ、121b:排気管、121c:排気弁、401:ステージ、402:ヘッド、403:ステージ駆動部、404:ヘッド駆動部、405:テーブル部材、406,3406:支持台、408,412:圧力センサ、411,4031d,4032d,4033d,4034d,4035d,4036d:ピエゾアクチュエータ、481,482:基板加熱部、490,521、522、523、524、525、526:距離測定部、500:撮像ユニット、501,502:撮像部、504,505:ミラー、531,532,533:リニアエンコーダ、3406a:潤滑部材、4031,4032,4033,24031、24032、24033:リニアアクチュエータ、4031b,4032b,4033b,4034b,4035b,4036b:伝達部材、4031a,4032a,4033a:伝達部材駆動部、4031c,4032c,4033c,4034c,4035c,4036c:ベアリング、4031c1,4032c1,4033c1,4034c1,4035c1,4036c1:外輪、4031c2,4032c2,4033c2,4034c2,4035c2,4036c2,4031g、4032g、4033g:転動体、4031c3,4032c3,4033c3,4034c3,4035c3,4036c3:内輪、4031c4,4032c4,4033c4,4034c4,4035c4,4036c4,4039:支持部材、4031e、4032e、4033e:送り螺子、4031f、4032f、4033f:リニアガイド、4031h、4032h、4033h:ナット部、4034,4035,4036:エアシリンダ、4034a,4035a,4036a:シリンダ本体、4034e、4035e、4036e:ピストン、4041:XY方向駆動部、4042:昇降駆動部、4043:回転駆動部、Ga,Gb:撮影画像、MK1a,MK1b,MK2a,MK2b:アライメントマーク、W1,W2:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るアライメント装置は、
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記第1対象物を保持する第1対象物保持部と、
前記第2対象物を保持する第2対象物保持部と
前記第1対象物保持部の第1方向における位置を調整するリニアアクチュエータと、
前記第1対象物保持部の周囲に配置され前記第1対象物保持部との間の距離を計測する距離測定部と、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物保持部の位置が変動することにより前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置が変動し、前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が変化した場合、前記距離測定部により計測される前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離と等しくなるように前記リニアアクチュエータを制御する制御部と、を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
他の観点から見た本発明に係るアライメント方法は、
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めを行うステップと、
前記位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物を保持する第1対象物保持部の周囲に配置された距離測定部により、前記距離測定部と、前記位置決めの暫定的な完了時における前記第1対象物保持部と、の間の距離を計測するステップと、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物保持部の位置が変動することにより前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置が変動し、前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が変化した場合、前記距離測定部により計測される前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離と等しくなるように前記第1対象物保持部を移動させるステップと、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記第1対象物を保持する第1対象物保持部と、
前記第2対象物を保持する第2対象物保持部と
前記第1対象物保持部の第1方向における位置を調整するリニアアクチュエータと、
前記第1対象物保持部の周囲に配置され前記第1対象物保持部との間の距離を計測する距離測定部と、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物保持部の位置が変動することにより前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置が変動し、前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が変化した場合、前記距離測定部により計測される前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離と等しくなるように前記リニアアクチュエータを制御する制御部と、を備える、
アライメント装置。
【請求項2】
前記距離測定部は、前記リニアアクチュエータ毎に1つずつ設けられている、
請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記第1対象物保持部を前記第2対象物保持部に対して水平方向に移動自在に支持する支持部材と、
前記第1対象物保持部を前記第1方向へ付勢する少なくとも1つの付勢部と、を更に備える、
請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項4】
前記付勢部と、前記付勢部と前記第1対象物保持部を介して対向するように配置された前記リニアアクチュエータと、からなる組を3組備え、
前記3組のうちの2組の前記付勢部と前記リニアアクチュエータとの対向方向は同一であり、他の1組の前記付勢部と前記リニアアクチュエータとの対向方向と前記2組との前記付勢部と前記リニアアクチュエータとの対向方向とは互いに交差している、
請求項に記載のアライメント装置。
【請求項5】
前記第1対象物は、第1アライメントマークを有し、
前記第2対象物は、第2アライメントマークを有し、
前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークとを撮像する撮像部を更に備え、
前記制御部は、前記位置決めの暫定的な完了時において前記撮像部により撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像とに基づいて、前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置を決定する、
請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項6】
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記第1対象物を保持する第1対象物保持部と、
前記第2対象物を保持する第2対象物保持部と、
前記第1対象物保持部を前記第2対象物保持部に対して水平方向に移動自在に支持する支持部材と、
前記第1対象物保持部を第1方向へ付勢する少なくとも1つの付勢部と、
前記第1対象物保持部の前記第1方向における位置を調整するリニアアクチュエータと、
前記第1対象物保持部の周囲に配置され前記第1対象物保持部との間の距離を計測する距離測定部と、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記リニアアクチュエータを制御する制御部と、を備え、
前記第1対象物は、第1アライメントマークを有し、
前記第2対象物は、第2アライメントマークを有し、
前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークとを撮像する撮像部を更に備え、
前記リニアアクチュエータは、前記リニアアクチュエータによる前記第1対象物保持部の位置調整量を検出するリニアエンコーダを有し、
前記制御部は、前記撮像部により撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量に基づいて、前記第1対象物保持部の補正移動量を算出し、算出した前記補正移動量だけ前記第1対象物保持部を移動させるように、前記リニアアクチュエータを前記リニアエンコーダにより検出される前記位置調整量に基づいて制御する第1工程を実行した後、前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下となり前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した場合、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記リニアアクチュエータを制御する第2工程を実行する、
ライメント装置。
【請求項7】
前記第1工程および前記第2工程を実行した後において、前記撮像部により前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像とを撮像し、撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値を超えると、再び、前記第1工程および前記第2工程を実行する、
請求項に記載のアライメント装置。
【請求項8】
前記リニアアクチュエータは、
前記第1対象物保持部へ押圧力を伝達するための第1伝達部材と、
前記第1伝達部材の一部に螺合する送り螺子と、
前記第1伝達部材を前記第1方向または前記第1方向とは反対方向の第2方向へ駆動する伝達部材駆動部と、
前記第1伝達部材に設けられ、前記第1方向および前記第2方向に沿った方向における長さを伸縮させる第1ピエゾアクチュエータと、を更に有し、
前記リニアエンコーダは、前記第1伝達部材の移動量を検出し、
前記付勢部は、
前記第1対象物保持部へ押圧力を伝達するための第2伝達部材と、
前記第2伝達部材に設けられ、前記第1方向および前記第2方向に沿った方向における長さを伸縮させる第2ピエゾアクチュエータと、を有し、
前記制御部は、前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した場合、前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記第1ピエゾアクチュエータおよび前記第2ピエゾアクチュエータが連動して伸縮するように制御する、
請求項6または7に記載のアライメント装置。
【請求項9】
前記距離測定部は、レーザ変位センサを有する、
請求項1、6、7のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項10】
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めを行うステップと、
前記位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物を保持する第1対象物保持部の周囲に配置された距離測定部により、前記距離測定部と、前記位置決めの暫定的な完了時における前記第1対象物保持部と、の間の距離を計測するステップと、
前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した後、前記第1対象物保持部の位置が変動することにより前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置が変動し、前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が変化した場合、前記距離測定部により計測される前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が前記位置決めの暫定的な完了時における前記距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離と等しくなるように前記第1対象物保持部を移動させるステップと、を含む、
アライメント方法。
【請求項11】
第1対象物の第2対象物に対する位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記第1対象物は、第1アライメントマークを有し、
前記第2対象物は、第2アライメントマークを有し、
前記第1アライメントマークと前記第2アライメントマークとを撮像する撮像部により撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量に基づいて、前記第1対象物を保持する第1対象物保持部の補正移動量を算出し、算出した前記補正移動量だけ前記第1対象物保持部を移動させるように、前記第1対象物保持部の第1方向における位置を調整するリニアアクチュエータを、前記リニアアクチュエータによる前記第1対象物保持部の位置調整量を検出するリニアエンコーダにより検出される前記位置調整量に基づいて制御する第1工程と、
前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以下となり前記第1対象物の前記第2対象物に対する位置決めが暫定的に完了した場合、前記位置決めの暫定的な完了時における、前記第1対象物保持部の周囲に配置され前記第1対象物保持部との間の距離を計測する距離測定部により計測された前記距離測定部と前記第1対象物保持部との間の距離が一定で維持されるように前記リニアアクチュエータを制御する第2工程と、を含む、
アライメント方法。
【請求項12】
前記第1工程および前記第2工程を行った後において、前記撮像部により前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像とを撮像し、撮像された前記第1アライメントマークの画像と前記第2アライメントマークの画像との位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量が前記位置ずれ量閾値を超えると、再び、前記第1工程および前記第2工程を行う、
請求項11に記載のアライメント方法。