(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053606
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】液晶組成物および液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
C09K 19/30 20060101AFI20240409BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/16 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/24 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/32 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/38 20060101ALI20240409BHJP
C09K 19/54 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C09K19/30
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/24
C09K19/32
C09K19/34
C09K19/38
C09K19/54 Z
C09K19/54 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159934
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100176692
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 ▲廣▼志
(72)【発明者】
【氏名】木村 正臣
(72)【発明者】
【氏名】栗沢 和樹
(72)【発明者】
【氏名】門本 豊
(72)【発明者】
【氏名】幡野 直美
【テーマコード(参考)】
4H027
【Fターム(参考)】
4H027BA01
4H027BB13
4H027BD01
4H027BD02
4H027BD03
4H027BD07
4H027BD11
4H027BE04
4H027BE05
4H027CD01
4H027CD05
4H027CK05
4H027CM01
4H027CQ01
4H027CQ05
4H027CR05
4H027CT01
4H027CW01
(57)【要約】
【課題】 高速応答、高透過率および駆動電圧が低いという前記液晶組成物に求められる物性に加えて、低温での保存安定性にも優れるn型の液晶組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(i)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物、一般式(L)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物、および一般式(N-1)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(i)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物、一般式(L)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物、および一般式(N-1)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物。
【化1】
(式中、R
i1は炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基を表し、R
i2は炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基を表す。)
【化2】
(式中、R
L1およびR
L2はそれぞれ独立して、炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよく、
A
L1、A
L2およびA
L3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH
2-または非隣接の2個以上の-CH
2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良く、
Z
L1およびZ
L2はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、
n
L1は0、1、2または3を表し、
A
L2、Z
L2がそれぞれ複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、前記一般式(i)および下記一般式(N-1)で表される化合物を除く。)
【化3】
(式中、R
N11およびR
N12はそれぞれ独立して、炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよく、
n
N11およびn
N12は0、1、2または3を表すが、n
N11+n
N12は1、2または3を満たし、
A
N11およびA
N12はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH
2-または非隣接の2個以上の-CH
2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良く、
Z
N11およびZ
N12はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、
A
N11およびA
N12の少なくともいずれかが複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、Z
N11およびZ
N12の少なくともいずれかが複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
【請求項2】
前記一般式(i)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(i-202)または下記一般式(i-302)で表される化合物のいずれかである請求項1に記載の液晶組成物。
【化4】
【請求項3】
前記一般式(L)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(L-2)または下記一般式(L-3)で表される化合物のいずれかである請求項1または2に記載の液晶組成物。
【化5】
(式中、R
L21およびR
L22はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じである。)
【化6】
(式中、R
L31およびR
L32はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じである。)
【請求項4】
前記一般式(L)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(L-4)から(L-7)で表される化合物の群から選ばれる化合物である請求項1または2に記載の液晶組成物。
【化7】
(式中、R
L41およびR
L42はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じである。)
【化8】
(式中、R
L51およびR
L52はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じである。)
【化9】
(式中、R
L61およびR
L62はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じであり、X
L61およびX
L62はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。)
【化10】
(式中、R
L71およびR
L72はそれぞれ独立して前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じであり、A
L71およびA
L72はそれぞれ独立して前記一般式(L)における前記A
L2および前記A
L3と同じであり、A
L71およびA
L72中の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L71は前記一般式(L)における前記Z
L2と同じであり、X
L71およびX
L72はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表す。)
【請求項5】
前記一般式(N-1)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)および(N-05)で表される化合物の群から選ばれる化合物である請求項1または2に記載の液晶組成物。
【化11】
(式中、R
21およびR
22は、それぞれ独立して、炭素原子数が1から8のアルキル基、炭素原子数が1から8のアルコキシ基、炭素原子数が2から8のアルケニル基、炭素原子数が2から8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていても良く、Z
1は単結合、-CH
2CH
2-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、mは1または2を表す。)
【請求項6】
さらに重合性化合物を含有する、請求項1または2に記載の液晶組成物。
【請求項7】
さらに安定剤を含有する、請求項1または2に記載の液晶組成物。
【請求項8】
請求項1または2に記載の液晶組成物を有する液晶表示素子。
【請求項9】
請求項1または2に記載の液晶組成物を有するVAモード、FFSモードまたはIPSモードの液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は液晶組成物および前記液晶組成物を含む液晶表示装置に関する。より詳細には誘電率異方性(Δε)が負のいわゆるn型液晶組成物およびn型液晶組成物を含む液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、現在、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、プリンター、コンピューター、テレビ、時計、広告表示板等に用いられている。液晶表示素子の表示方式としては、例えば、TN(ツイステッド・ネマチック)型、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型またはTFT(薄膜トランジスタ)を用いた垂直配向型(バーチカル・アライメント;VA)やIPS(イン・プレーン・スイッチング)型等が挙げられる。
【0003】
また、高品位で、視覚特性に優れることからIPSモードの液晶表示方式の一種であるフリンジフィールドスイッチングモード液晶表示装置(Fringe Field Switching mode Liquid Crystal Display;FFS)の開発も行われている。
FFS方式は、上記IPSモードの低い開口率および透過率を改善するため導入された方式であり、用いられる液晶材料は低電圧化により透過率の改善が可能である。FFS組成は、応答速度の観点からp型が汎用的に用いられているが、n型液晶組成物も検討されている。
n型組成物は分極方向が分子短軸方向にあることから、フリンジ電界の影響は、液晶分子を長軸に沿って回転させるのみで分子長軸は平行配列が維持される。そのため透過率の低下は生じないという利点があり、近年、n型組成物の開発もなされている(例えば、特許文献1から3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/193861号
【特許文献1】特開2019-77792号公報
【特許文献1】CN105647543A
【0005】
前記液晶表示素子に用いられる液晶組成物は水分、空気、熱、光などの外的要因に対して安定であること、室温を中心としてできるだけ広い温度範囲で液晶相を示すことが求められる。また液晶組成物は低粘性であり、かつ駆動電圧が低いことが求められる。さらに液晶組成物は個々の表示素子に対してあわせ最適な誘電率異方性(Δε)または屈折率異方性(Δn)等を最適な値となることが求められる。
したがって液晶組成物は上記求められる物性を満足するために数種類から数十種類の化合物から構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに液晶組成物には前記物性に加えて、低温での保存安定性も求められるが、前記文献には低温での保存安定性についての記載はない。低温での保存安定性が悪いと、液晶表示素子内部において液晶組成物からの結晶析出に起因する異物発生や液晶組成の偏在に起因するムラが発生する場合があった。このような現象は液晶表示素子において表示不良を引き起こすため、前記の各物性に加えて、低温での保存安定性も併せ持った液晶組成物の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は前記IPSモードの液晶表示装置に好適に用いられる、高速応答、高透過率および駆動電圧が低いという前記液晶組成物に求められる物性に加えて、低温での保存安定性にも優れるn型の液晶組成物を提供することにある。
また本発明は前記n型の液晶組成物を有する液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々の液晶化合物および種々の化学物質を検討し、それらの組み合わせの選択を行うことにより、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の液晶組成物に関する。
[1]
一般式(i)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物、一般式(L)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物、および一般式(N-1)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物。
【化12】
(式中、R
i1は炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基を表し、R
i2は炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基を表す。)
【化13】
(式中、R
L1およびR
L2はそれぞれ独立して、炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよく、
A
L1、A
L2およびA
L3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH
2-または非隣接の2個以上の-CH
2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良く、
Z
L1およびZ
L2はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、
n
L1は0、1、2または3を表し、
A
L2、Z
L2がそれぞれ複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、前記一般式(i)および下記一般式(N-1)で表される化合物を除く。)
【化14】
(式中、R
N11およびR
N12はそれぞれ独立して、炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよく、
n
N11およびn
N12は0、1、2または3を表すが、n
N11+n
N12は1、2または3を満たし、
A
N11およびA
N12はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH
2-または非隣接の2個以上の-CH
2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良く、
Z
N11およびZ
N12はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、
A
N11およびA
N12の少なくともいずれかが複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、Z
N11およびZ
N12の少なくともいずれかが複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
【0009】
また本発明は以下の液晶組成物に関する。
[2]
前記一般式(i)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(i-202)または下記一般式(i-302)で表される化合物のいずれかである前記[1]に記載の液晶組成物。
【化15】
[3]
前記一般式(L)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(L-2)または下記一般式(L-3)で表される化合物のいずれかである前記[1]または[2]に記載の液晶組成物。
【化16】
(式中、R
L21およびR
L22はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じ意味を表す。)
【化17】
(式中、R
L31およびR
L32はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じ意味を表す。)
[4]
前記一般式(L)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(L-4)から(L-7)で表される化合物の群から選ばれる化合物である前記[1]または[2]に記載の液晶組成物。
【化18】
(式中、R
L41およびR
L42はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じである。)
【化19】
(式中、R
L51およびR
L52はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じである。)
【化20】
(式中、R
L61およびR
L62はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じであり、X
L61およびX
L62はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。)
【化21】
(式中、R
L71およびR
L72はそれぞれ独立して前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じであり、A
L71およびA
L72はそれぞれ独立して前記一般式(L)における前記A
L2および前記A
L3と同じであり、A
L71およびA
L72中の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L71は前記一般式(L)における前記Z
L2と同じ意味を表し、X
L71およびX
L72はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表す。)
[5]
前記一般式(N-1)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)および(N-05)で表される化合物の群から選ばれる化合物である前記[1]から[4]のいずれかに記載の液晶組成物。
【化22】
(式中、R
21およびR
22は、それぞれ独立して、炭素原子数が1から8のアルキル基、炭素原子数が1から8のアルコキシ基、炭素原子数が2から8のアルケニル基、炭素原子数が2から8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていても良く、Z
1は単結合、-CH
2CH
2-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、mは1または2を表す。)
[6]
さらに重合性化合物を含有する、前記[1]から[5]のいずれかに記載の液晶組成物。
[7]
さらに安定剤を含有する、前記[1]から[6]のいずれかに記載の液晶組成物。
【0010】
さらに本発明は以下の液晶表示素子に関する。
[8]
前記[1]から[7]のいずれかに記載の液晶組成物を有する液晶表示素子。
[9]
前記[1]から[7]のいずれかに記載の液晶組成物を有するVAモード、FFSモードまたはIPSモードの液晶表示素子。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、IPSモードの液晶表示装置に好適に用いられる、高速応答、高透過率および駆動電圧が低いという前記液晶組成物に求められる物性に加えて、低温での保存安定性にも優れるn型の液晶組成物が提供される。
また本発明によれば前記n型の液晶組成物を有する液晶表示素子が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述の通り、本願発明は、特定のn型液晶組成物およびそれを用いた液晶表示素子に関するものである。以下、まず、本発明における液晶組成物の実施の態様について説明する。
本発明の液晶組成物(以下、「本液晶組成物」とも記す。)は、前記一般式(i)で表される化合物(以下、「化合物i」とも記す。)から選ばれる1種または2種以上の化合物、前記一般式(L)で表される化合物(以下、「化合物L」とも記す。)から選ばれる1種または2種以上の化合物、および前記一般式(N-1)(以下、「化合物N」とも記す。)で表される化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物を含有し、誘電率異方性が負である。
化合物iを2種以上用いる場合、組み合わせる化合物iの種類は、高速応答、高透過率、低駆動電圧および低温保存安定性の観点から、適宜組み合わせればよい。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0013】
化合物iは誘電的に負の化合物が好ましい。「誘電的に負の異方性を有する化合物」とは、Δεの符号が負である化合物をいう。なお、化合物のΔεは、25℃において誘電的にほぼ中性の組成物に該化合物を添加した組成物の誘電率異方性の測定値から外挿した値である。
化合物iは、1種だけを用いてもよいが、2種以上を使用してもよい。調達の容易性からは1種のみを使用することが好ましい。
前記一般式(i)において、Ri1は炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基を表し、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Ri2は炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基を表し、メチル基、エチル基またはプロピル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0014】
本液晶組成物中の化合物iの含有量の下限値は、絶対値の大きな負の誘電率異方性および低閾値電圧を重視する場合はこれらの含有率が多いことが好ましいことから、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%が好ましく、3質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、7質量%がさらに好ましい。また本液晶組成物中の化合物iの含有量の上限値は、低粘度および高速応答が望まれる場合はこれらの含有量を少ないことが好ましいことから、本液晶組成物の質量を100質量%として、30質量%が好ましく、27質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。なお本液晶組成物の質量とは前記化合物i、化合物Lおよび化合物Nの総和であり、以下においても同じである。
本液晶組成物中の化合物iの含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、3質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上27質量%以下がより好ましい。
本液晶組成物が2種以上の化合物iを含有する場合、前記化合物iの含有量は全化合物iの合計量である。
【0015】
化合物iの少なくとも1種は下記一般式(i-202)または下記一般式(i-302)で表される化合物のいずれかが低温保存安定性の観点から好ましい。
【化23】
【0016】
化合物iとして前記一般式(i-202)または前記一般式(i-203)で表される化合物を本液晶組成物が含む場合、前記一般式(i-202)または前記一般式(i-203)で表される化合物以外の化合物iを含んでもよく、その含有量は前記一般式(i-202)または前記一般式(i-203)で表される化合物の含有量と合わせて前記化合物iの好ましい含有量の範囲となるように設定すればよい。
【0017】
化合物Lは前記化合物(i)と同様に中性な化合物が好ましい。
化合物Lは単独で用いてもよいが、2種以上と組み合わせて使用することもできる。組み合わせる化合物Lの種類は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせればよい。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0018】
前記一般式(L)において、RL1は炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。炭素原子数が1から8のアルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよく、RL1としては例えば、n-メチル基、n-エチル基、n-プロピル基またはn-ブチル基が挙げられる。
【0019】
RL2は炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。炭素原子数が1から8のアルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよく、RL2としては例えば、n-メチル基、n-エチル基、n-プロピル基またはn-ブチル基が挙げられる。
【0020】
前記一般式Lにおいて、AL1は、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH2-または非隣接の2個以上の-CH2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表す。上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良い。
【0021】
前記一般式Lにおいて、AL2は、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH2-または非隣接の2個以上の-CH2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表す。上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良い。
【0022】
前記一般式Lにおいて、AL3は、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH2-または非隣接の2個以上の-CH2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表す。上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良い。
【0023】
前記一般式Lにおいて、ZL1は単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、溶解性の観点から、-CH2CH2-、-OCH2-、-CH2O-が好ましく、高Tni、高Δn、および化学安定性の観点から単結合がより好ましい。このため、これらのバランスを考慮し設計する。
前記一般式Lにおいて、ZL2は単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、溶解性の観点から、-CH2CH2-、-OCH2-、-CH2O-が好ましく、高Tni、高い複屈折率、および化学安定性の観点から単結合がより好ましい。このため、これらのバランスを考慮し設計する。
【0024】
前記一般式Lにおいて、nL1は0、1、2または3を表し、高Tni、高い複屈折率および溶解性などのバランスの観点から0、1、2が好ましく、0または1がより好ましい。
前記一般式Lにおいて、AL2、ZL2がそれぞれ複数存在する場合、すなわち、nL1が2または3の場合、繰り返し現れるAL2、ZL2は同一であっても異なっていても良い。ただし、AL2、ZL2がそれぞれ複数存在する場合、前記一般式(i)または後述する一般式(N-1)で表される化合物と同一となる化合物は除く。すなわち、AL2、ZL2がそれぞれ複数存在する場合、化合物Lは前記一般式(i)または後述する一般式(N-1)で表される化合物とは異なる化合物である。
【0025】
本液晶組成物中の化合物Lの含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
化合物LはΔεが0付近である、いわゆるノンポーラー化合物が好ましく、このため、分子内のハロゲン原子等の極性基の数は、2個以下であることが好ましく、1個以下であることが好ましく、他の液晶化合物との溶解性を改善するためには1個であることが好ましい。また本液晶組成物の粘性に着目する場合には置換していないことが好ましい。
【0026】
本液晶組成物中の化合物Lの好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、10質量%であり、20質量%、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0027】
本液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は前記の下限値が高く上限値が高いことが好ましく、例えば、本液晶組成物中の化合物Lの含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%以上95質量%以下が好ましい。さらに、本液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は前記の下限値が高く上限値が高いことが好ましく、例えば、本液晶組成物中の化合物Lの含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、25質量%以上95質量%以下が好ましい。
【0028】
また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましく、例えば、本液晶組成物中の化合物Lの含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%以上25質量%以下が好ましい。視野角特性の向上には、上限値を大きくすることは好ましくない。
信頼性を重視する場合にはRL1およびRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
本液晶組成物が2種以上の化合物Lを含有する場合、前記化合物Lの含有量は全化合物Lの合計量である。
【0029】
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2または3個が好ましく、0または1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
RL1およびRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数が1から5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数が1から4のアルコキシ基および炭素原子数が4から5のアルケニル基が好ましい。RL1およびRL2が結合する環構造がシクロヘキサン、ピランおよびジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数が1から5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数が1から4のアルコキシ基および直鎖状の炭素原子数が2から5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子および存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0030】
アルケニル基としては、下記式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【化24】
前記各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。
【0031】
n
L1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2または3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
A
L1、A
L2およびA
L3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、下記の構造がより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基または1,4-フェニレン基がより好ましい。
【化25】
Z
L1およびZ
L2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個または1個であることが好ましい。
【0032】
化合物Lは前記一般式(L)において、n
L1が0である下記一般式(L-2)または(L-3)で表される化合物が、低粘度および高速応答の観点から好ましい。化合物Lを本液晶組成物が2種以上含む場合、少なくとも1種は下記一般式(L-2)または(L-3)で表される化合物が、好ましい。
【化26】
前記式(L-2)中、R
L21およびR
L22はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じ意味を表す。
【化27】
前記式(L-3)中、R
L31およびR
L32はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じである。
【0033】
本液晶組成物中の前記一般式(L-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、高Tni、高い複屈折率の観点から、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、低粘度および高速応答の観点から、本液晶組成物の質量を100質量%として、30質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
本液晶組成物中の前記一般式(L-2)で表される化合物の好ましい含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上25質量%以下がより好ましい。
【0034】
化合物Lとして前記一般式(L-2)で表される化合物を本液晶組成物が含む場合、前記一般式(L-2)で表される化合物以外の化合物Lを含んでもよく、その含有量は前記一般式(L-2)で表される化合物の含有量と合わせて前記化合物Lの好ましい含有量の範囲となるように設定すればよい。
【0035】
一般式(L-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類は低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選定される。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0036】
低温での溶解性を重視する場合は一般式(L-2)で表される化合物の含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は、一般式(L-2)で表される化合物の含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、一般式(L-2)で表される化合物の含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0037】
さらに、一般式(L-2)で表される化合物は、式(L-2.1)から式(L-2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-2.1)、式(L-2.3)、式(L-2.4)及び式(L-2.6)で表される化合物群の少なくとも1種であることが好ましい。
【化28】
【0038】
本液晶組成物中の前記一般式(L-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
本液晶組成物中の前記一般式(L-3)で表される化合物の好ましい含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上18質量%以下がより好ましい。
【0039】
化合物Lとして前記一般式(L-3)で表される化合物を本液晶組成物が含む場合、前記一般式(L-3)で表される化合物以外の化合物Lを含んでもよく、その含有量は前記一般式(L-3)で表される化合物の含有量と合わせて前記化合物Lの好ましい含有量の範囲となるように設定すればよい。
一般式(L-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選定される。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0040】
高い複屈折率を得る場合は、一般式(L-3)で表される化合物の含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は、一般式(L-3)で表される化合物含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、一般式(L-3)で表される化合物の含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0041】
さらに、一般式(L-3)で表される化合物は、式(L-3.1)から式(L-3.7)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、式(L-3.2)から式(L-3.5)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【化29】
【0042】
化合物Lは前記一般式(L)において、n
L1が1である下記一般式(L-4)から(L-7)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
【化30】
前記式(L-4)中、R
L41およびR
L42はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じ意味を表す。
【化31】
前記式(L-5)中、R
L51およびR
L52はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じ意味を表す。
【化32】
前記式(L-6)中、R
L61およびR
L62はそれぞれ独立して、前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じ意味を表し、X
L61およびX
L62はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。)
【化33】
前記式(L-7)中、R
L71およびR
L72はそれぞれ独立して前記一般式(L)における前記R
L1および前記R
L2と同じ意味を表し、A
L71およびA
L72はそれぞれ独立して前記一般式(L)における前記A
L2および前記A
L3と同じ意味を表す。またA
L71およびA
L72中の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L71は前記一般式(L)における前記Z
L2と同じ意味を表し、X
L71およびX
L72はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表す。
【0043】
本液晶組成物中の前記一般式(L-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整される。
前記一般式(L-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。
【0044】
前記一般式(L-4)で表される化合物の好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%、15質量%であり、10質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0045】
化合物Lとして前記一般式(L-4)で表される化合物を本液晶組成物が含む場合、前記一般式(L-4)で表される化合物以外の化合物Lを含んでもよく、その含有量は前記 一般式(L-4)で表される化合物の含有量と合わせて前記化合物Lの好ましい含有量の範囲となるように設定すればよい。
【0046】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【化34】
【0047】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、本液晶組成物は式(L-4.1)で表される化合物を含有していても、式(L-4.2)で表される化合物を含有していても、式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有していても良いし、式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物を全て含んでいても良い。
【0048】
本液晶組成物中の式(L-4.1)または式(L-4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、9質量%であり、11質量%、12質量%であり、13質量%であり、18質量%であり、21質量%である。
本液晶組成物中の式(L-4.1)または式(L-4.2)で表される化合物の好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%質量である。
【0049】
本液晶組成物が式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物の両方を含有する場合、本液晶組成物中の式(L-4.1)および式(L-4.2)で表される化合物の合計量の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、15質量%であり、19質量%であり、24質量%であり、30質量%である。
式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有する場合、本液晶組成物中の式(L-4.1)および式(L-4.2)で表される化合物の合計量の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0050】
また一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.4)から式(L-4.6)で表される化合物群選ばれる少なくとも1種が好ましく、式(L-4.4)で表される化合物が好ましい。
【化35】
【0051】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.4)で表される化合物を含有していても、式(L-4.5)で表される化合物を含有していても、式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有していても良い。
【0052】
本液晶組成物中の式(L-4.4)または式(L-4.5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0053】
本液晶組成物が式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物の両方を含有する場合、本液晶組成物中の式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物の合計量の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0054】
さらに一般式(L-4)で表される化合物は、式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物群の少なくとも1種であることが好ましく、特に、式(L-4.9)で表される化合物が好ましい。
【化36】
【0055】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.7)で表される化合物を含有していても、式(L-4.8)で表される化合物を含有していても、式(L-4.9)で表される化合物と式(L-4.10)で表される化合物との両方を含有していても良い。
【0056】
本液晶組成物中の式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0057】
本液晶組成物が式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物を複数含有する場合、各化合物の合計量の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0058】
本液晶組成物中の前記一般式(L-5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
化合物Lとして前記一般式(L-5)で表される化合物を本液晶組成物が含む場合、前記一般式(L-5)で表される化合物以外の化合物Lを含んでもよく、その含有量は前記一般式(L-5)で表される化合物の含有量と合わせて前記化合物Lの好ましい含有量の範囲となるように設定すればよい。
【0059】
一般式(L-5)で表される化合物は、下記式(L-5.0)から(L-5.2)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特に、下記式(L-5.0)で表される化合物であることが好ましい。
本液晶組成物中の式(L-5.0)から式(L-5.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。本液晶組成物中の式(L-5.0)から式(L-5.2)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【化37】
【0060】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.3)または式(L-5.4)で表される化合物であることも好ましい。
本液晶組成物中のこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。本液晶組成物中のこれら化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【化38】
【0061】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.5)から式(L-5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(L-5.7)で表される化合物であることが好ましい。
本液晶組成物中のこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。
本液晶組成物中のこれら化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【化39】
【0062】
本液晶組成物中の前記一般式(L-6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%質量である。好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
本液晶組成物中の前記一般式(L-6)で表される化合物の好ましい含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%以上20質量%以下が好ましく、0質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0063】
化合物Lとして前記一般式(L-6)で表される化合物を本液晶組成物が含む場合、前記一般式(L-6)で表される化合物以外の化合物Lを含んでもよく、その含有量は前記一般式(L-6)で表される化合物の含有量と合わせて前記化合物Lの好ましい含有量の範囲となるように設定すればよい。
一般式(L-6)で表される化合物は、式(L-6.1)から式(L-6.9)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【化40】
【0064】
これらの化合物の中から1種類から3種類を含有することが好ましく、1種類から4種類を含有することがさらに好ましい。また、選ぶ化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L-6.1)または(L-6.2)で表される化合物から1種類、式(L-6.4)または(L-6.5)で表される化合物から1種類、式(L-6.6)または式(L-6.7)で表される化合物から1種類、式(L-6.8)または(L-6.9)で表される化合物から1種類の化合物を選び、これらを適宜組み合わせることが好ましい。その中でも、式(L-6.1)、式(L-6.3)式(L-6.4)、式(L-6.6)および式(L-6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0065】
さらに、一般式(L-6)で表される化合物は、例えば式(L-6.10)から式(L-6.17)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、その中でも、式(L-6.11)で表される化合物であることが好ましい。
【化41】
本液晶組成物中のこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。
本液晶組成物中のこれら化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0066】
化合物Lとして前記一般式(L-7)で表される化合物を本液晶組成物が含む場合、前記一般式(L-7)で表される化合物以外の化合物Lを含んでもよく、その含有量は前記一般式(L-7)で表される化合物の含有量と合わせて前記化合物Lの好ましい含有量の範囲となるように設定すればよい。
【0067】
組み合わせることができる化合物の種類は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜選定される。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0068】
本液晶組成物中に一般式(L-7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整される。
【0069】
本液晶組成物中の前記一般式(L-7)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%である。
本液晶組成物中の前記一般式(L-7)で表される化合物の好ましい含有量の上限は、本液晶組成物の質量を100質量%として、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0070】
本発明の組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(L-7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0071】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.1)から式(L-7.4)で表される化合物群から選ばれる少なくも1種であることが好ましく、式(L-7.2)で表される化合物であることが好ましい。
【化42】
【0072】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.11)から式(L-7.13)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、式(L-7.11)で表される化合物であることが好ましい。
【化43】
【0073】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.21)から式(L-7.23)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、式(L-7.21)で表される化合物であることが好ましい。
【化44】
【0074】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.31)から式(L-7.34)で表される化合物群から選ばれる少なくも1種であることが好ましく、式(L-7.31)および式(L-7.32)で表される化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
【化45】
【0075】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.41)から式(L-7.44)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、式(L-7.41)および式(L-7.42)で表される化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
【化46】
【0076】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.51)から式(L-7.53)で表される化合物群の少なくとも1種であることが好ましい。
【化47】
【0077】
本液晶組成物に含まれる前記化合物Nは誘電的に負の異方性を有する化合物が好ましい。
【0078】
前記一般式(N-1)中、RN11は炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。炭素原子数が1から8のアルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよい。
【0079】
前記一般式(N-1)中、RN12は炭素原子数が1から8のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。炭素原子数が1から8のアルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよい。
【0080】
nN11およびnN12は0、1、2または3を表すが、nN11+nN12は1、2または3を満たす。
前記一般式(N-1)中、AN11は、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH2-または非隣接の2個以上の-CH2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良い。
【0081】
前記一般式(N-1)中、AN12は、
(a) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH2-または非隣接の2個以上の-CH2-が-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(b) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、またはナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=が-N=に置き換えられたナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)および基(c)中の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良い。
【0082】
AN11が複数存在する場合、すなわち、nN11が2または3の場合、繰り返し現れるAN11は同一であっても異なっていても良い。
AN12が複数存在する場合、すなわち、nN12が2または3の場合、繰り返し現れるAN12は同一であっても異なっていても良い。
またAN11とAN12は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0083】
ZN11が複数存在する場合は、すなわち、nN11が2または3の場合、繰り返し現れるZN11は同一であっても異なっていても良い。
ZN12が複数存在する場合は、すなわち、nN12が2または3の場合、繰り返し現れるZN12は同一であっても異なっていても良い。
またZN11およびZN12は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0084】
一般式(N-1)中、RN11は炭素原子数が1から8のアルキル基、炭素原子数が1から8のアルコキシ基、炭素原子数が2から8のアルケニル基または炭素原子数が2から8のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数が1から5のアルキル基、炭素原子数が1から5のアルコキシ基、炭素原子数が2から5のアルケニル基または炭素原子数が2から5のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素原子数が2から5のアルキル基または炭素原子数が2から3のアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素原子数が3のアルケニル基(プロペニル基)であることが特に好ましい。
【0085】
また、RN11が結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、RN11は直鎖状の炭素原子数が1から5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数が1から4のアルコキシ基および炭素原子数が4から5のアルケニル基であることが好ましい。RN11が結合する環構造がシクロヘキサン、ピランおよびジオキサン等の飽和した環構造である場合には、RN11は直鎖状の炭素原子数が1から5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数が1から4のアルコキシ基および直鎖状の炭素原子数が2から5のアルケニル基であることが好ましい。 ネマチック相を安定化させるためには、RN11中に酸素原子が存在する場合には酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。アルケニル基としては、前記式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【0086】
一般式(N-1)中、RN12は炭素原子数が1から8のアルキル基、炭素原子数が1から8のアルコキシ基、炭素原子数が2から8のアルケニル基または炭素原子数が2から8のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数が1から5のアルキル基、炭素原子数が1から5のアルコキシ基、炭素原子数が2から5のアルケニル基または炭素原子数が2から5のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素原子数が2から5のアルキル基または炭素原子数が2から3のアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素原子数が3のアルケニル基(プロペニル基)であることが特に好ましい。
【0087】
また、RN12が結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、RN12は直鎖状の炭素原子数が1から5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数が1から4のアルコキシ基および炭素原子数が4から5のアルケニル基であることが好ましい。RN12が結合する環構造がシクロヘキサン、ピランおよびジオキサン等の飽和した環構造である場合には、RN12は直鎖状の炭素原子数が1から5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数が1から4のアルコキシ基および直鎖状の炭素原子数が2から5のアルケニル基であることが好ましい。 ネマチック相を安定化させるためには、RN11中に酸素原子が存在する場合には酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。アルケニル基としては、前記式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【0088】
A
N11およびA
N12は、それぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましい。
A
N11およびA
N12は、それぞれ独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基がより好ましく、下記の構造の少なくとも1つの構造がさらに好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基または1,4-フェニレン基が特に好ましい。
【化48】
【0089】
ZN11およびZN12は、それぞれ独立して-CH2O-、-CF2O-、-CH2CH2-、-CF2CF2-または単結合が好ましく、-CH2O-、-CH2CH2-または単結合がさらに好ましく、-CH2O-または単結合が特に好ましい。
【0090】
nN11+nN12は、1または2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせがより好ましい。
【0091】
本液晶組成物中の化合物Nの好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。
本液晶組成物中の化合物Nの好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
【0092】
本液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は前記の下限値が高く上限値が高いことが好ましく、例えば、本液晶組成物中の化合物Nの含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%以上95質量%以下が好ましい。
さらに、本液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は前記の下限値が高く上限値が高いことが好ましく、例えば、本液晶組成物中の化合物Nの含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、3質量%以上95質量%以下が好ましい。
また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましく、例えば、本液晶組成物中の化合物Lの含有量は、本液晶組成物の質量を100質量%として、1質量%以上25質量%以下が好ましい。
また、視野角特性の向上には、上限値を大きくすることは好ましくない。
【0093】
化合物Nのなかでも、下記一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)および(N-05)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類または2種類以上含有することが好ましく、一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)および(N-04)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類または2種類以上含有することがより好ましい。
【化49】
前記一般式中、R
21およびR
22は、それぞれ独立して、炭素原子数が1から8のアルキル基、炭素原子数が1から8のアルコキシ基、炭素原子数が2から8のアルケニル基、炭素原子数が2から8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていても良い。Z
1は、それぞれ独立して、単結合、-CH
2CH
2-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表し、mは、それぞれ独立して、1または2を表す。
【0094】
R21は、炭素原子数が1から8のアルキル基または炭素原子数が2から8のアルケニル基が好ましく、炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が2から5のアルケニル基がより好ましく、炭素原子数が1から4のアルキル基または炭素原子数が2から4のアルケニル基が更に好ましい。但し、Z1が単結合を表す場合は、R21は、炭素原子数が1から3のアルキル基が好ましい。
【0095】
R22は、炭素原子数が1から8のアルキル基または炭素原子数が1から8のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が1から4のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数が1から4のアルコキシ基が更に好ましい。
【0096】
R21およびR22は、アルケニル基である場合は、前記式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましく、式(R1)または式(R2)が更に好ましい。但し、R21およびR22がアルケニル基である化合物の含有量はできる限り少ない方が良く、含有しない方が好ましい。
【0097】
Z1は、それぞれ独立して、単結合、-CH2CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-を表すが、単結合、-CH2CH2-、-OCH2-、-CH2O-が好ましく、単結合または-CH2O-がより好ましい。
前記一般式(N-01)および(N-02)において、mが1のとき、Z1は単結合であることが好ましい。
mが2のとき、Z1は-CH2CH2-または-CH2O-であることが好ましい。
【0098】
一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)および(N-05)で表される化合物のフッ素原子は、同じハロゲン族である塩素原子で置換されていても良い。但し、塩素原子で置換された化合物の含有量はできる限り少ない方が良く、含有しない方が好ましい。
一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)および(N-05)で表される化合物の環上に存在する水素原子は、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良いが、フッ素原子がより好ましい。
【0099】
一般式(N-01)、(N-02)、(N-03)、(N-04)および(N-05)で表される化合物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。具体的には、R22は、炭素原子数が1から8のアルコキシ基または炭素原子数が2から8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数が1から4のアルコキシ基が特に好ましい。
【0100】
本液晶組成物は、一般式(N-01)で表される化合物として、下記一般式(N-01-1)、一般式(N-01-2)、一般式(N-01-3)および一般式(N-01-4)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類または2種類以上含有することが好ましい。
【化50】
前記一般式中、R
21は前記と同じであり、R
23は、それぞれ独立して、炭素原子数が1から4のアルコキシ基を表す。
前記式(N-01-1)から(N-01-4)において、R
21は炭素原子数が1から4のアルキル基または炭素原子数が2から4のアルケニル基が好ましい。
【0101】
本液晶組成物は、一般式(N-02)で表される化合物として、下記一般式(N-02-1)、一般式(N-02-2)、および一般式(N-02-3)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類または2種類以上含有することが好ましい。
【化51】
前記一般式中、R
21は前記と同じであり、R
23は、それぞれ独立して、炭素原子数が1から4のアルコキシ基を表す。
【0102】
本液晶組成物は、一般式(N-03)で表される化合物として、下記一般式(N-03-1)で表される化合物を1種類または2種類以上含有することが好ましい。
【化52】
前記一般式中、R
21は前記と同じであり、R
23は、炭素原子数が1から4のアルコキシ基を表す。
【0103】
本液晶組成物は、一般式(N-04)で表される化合物として、下記一般式(N-04-1)で表される化合物を1種類または2種類以上含有することが好ましい。
【化53】
前記一般式中、R
21は前記と同じであり、R
23は、炭素原子数が1から4のアルコキシ基を表す。
【0104】
本液晶組成物は、一般式(N-05)で表される化合物として、下記一般式(N-05-1)から式(N-05-3)で表される化合物群から選ばれる化合物を含有しても良い。
【化54】
【0105】
本液晶組成物中の一般式(N-01)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。
本液晶組成物中の一般式(N-01)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0106】
本液晶組成物中の一般式(N-02)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。
本液晶組成物中の一般式(N-02)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0107】
本液晶組成物中の一般式(N-03)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。
本液晶組成物中の一般式(N-03)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0108】
本液晶組成物中の一般式(N-04)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。
本液晶組成物中の一般式(N-04)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0109】
本液晶組成物中の一般式(N-05)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、2質量%であり、5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。
本液晶組成物中の一般式(N-05)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0110】
本液晶組成物は、更に、化合物Nとして下記一般式(N-06)で表される化合物を1種または2種以上含有しても良い。
【化55】
前記一般式中、R
21およびR
22は前記と同じである。
【0111】
前記一般式(N-06)で表される化合物は、種々の物性を調整したい場合に有効であるが、大きな屈折率異方性(Δn)、高いTNI、大きなΔεを得るために使用することができる。
【0112】
本液晶組成物中の一般式(N-06)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、0質量%であり、2質量%であり、5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。
本液晶組成物中の一般式(N-06)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0113】
本液晶組成物中の前記一般式(i)、一般式(L)および一般式(N-1)で表される化合物の合計の含有量の好ましい下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、80質量%であり、85質量%であり、88質量%であり、90質量%であり、92質量%であり、93質量%であり、94質量%であり、95質量%であり、96質量%であり、97質量%であり、98質量%であり、99質量%であり、100質量%である。
本液晶組成物中の前記一般式(i)、一般式(L)および一般式(N-1)で表される化合物の合計の含有量の好ましい上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、00質量%であり、99.5質量%であり、99質量%であり、98質量%であり、95質量%である。
【0114】
本液晶組成物中、前記化合物iおよび化合物Lの合計の好ましい含有量の下限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、38質量%であり、40質量%であり、42質量%であり、45質量%である。本液晶組成物中、前記化合物iおよび化合物Lの合計の好ましい含有量の上限値は、本液晶組成物の質量を100質量%として、70質量%であり、65質量%であり、63質量%であり、60質量%であり、58質量%であり、56質量%であり、55質量%である。
【0115】
本液晶組成物は、PSモード、横電界型PSAモードまたは横電界型PSVAモードなどの液晶表示素子を作製するために、重合性化合物を含有してもよい。重合性化合物を含有した本液晶組成物は、これに含まれる重合性化合物が紫外線照射により重合することで液晶配向能が付与され、組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。
【0116】
重合性化合物として、光などのエネルギー線により重合が進行する光重合性モノマーなどが挙げられ、構造として、例えば、ビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体などの六員環が複数連結した液晶骨格を有する重合性化合物などが挙げられる。
より具体的には、一般式(P)で表される重合性化合物である重合性モノマーが好ましい重合性化合物として挙げられる。
【化56】
【0117】
前記一般式(P)中、R
p1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数が1から15のアルキル基または-Sp
p2-P
p2を表し、該アルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよく、該アルキル基中の1個または2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されていても良い。
P
p1およびP
p2はそれぞれ独立して、式(P
p1-1)から式(P
p1-9)のいずれかを表す。
【化57】
前記式(P
p1-1)から式(P
p1-9)中、R
p11およびR
p12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数が1から5のアルキル基または炭素原子数が1から5のハロゲン化アルキル基を表し、W
p11は単結合、-O-、-COO-またはメチレン基を表し、t
p11は、0、1または2を表す。分子内にR
p11、R
p12および/またはW
p11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。また、分子内に式(P
p1-2)、式(P
p1-6)および/または式(P
p1-7)で表される構造が複数存在する場合、各々の式におけるt
p11の値は同一であっても異なっていても良い。
【0118】
前記一般式(P)中のSpp1およびがRp1とり得るSpp2はそれぞれ独立して、単結合またはスペーサー基を表す。
前記一般式(P)中、Zp1およびZp2はそれぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-OCH2CH2O-、-CO-NRZP1-、-NRZP1-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CRZP1-COO-、-CH=CRZP1-OCO-、-COO-CRZP1=CH-、-OCO-CRZP1=CH-、-COO-CRZP1=CH-COO-、-COO-CRZP1=CH-OCO-、-OCO-CRZP1=CH-COO-、-OCO-CRZP1=CH-OCO-、-(CH2)z-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-(C=O)-O-(CH2)2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF2-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-または-C≡C-を表す。
なお、前記式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子または炭素原子数が1から4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。
【0119】
前記一般式(P)中、Ap1、Ap2およびAp3はそれぞれ独立して、
(ap) 1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキシレン基中に存在する1個の-CH2-または非隣接の2個以上の-CH2-は-O-に置き換えられた1,4-シクロヘキシレン基、
(bp) 1,4-フェニレン基または1,4-フェニレン基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=は-N=に置き換えられた1,4-フェニレン基、
および
(cp) ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基またはアントラセン-2,6-ジイル基、または、これら基中に存在する1個の-CH=または非隣接の2個以上の-CH=は-N=に置き換えられた基、
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(ap)、基(bp)および基(cp)中に存在する1個または2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数が1から8のアルキル基または-Spp2-Pp2で置換されていても良い。炭素原子数が1から8のアルキル基中の1個または非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-または-OCO-によって置換されていてもよい。
【0120】
前記一般式(P)中、mp1は、0、1、2または3を表し、分子内にZp1、Ap2、Spp2またはPp2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良いが、Ap3は、mp1が0で、Ap1がフェナントレン-2,7-ジイル基またはアントラセン-2,6-ジイル基である場合には単結合を表す。
【0121】
前記式(P)において、Rp1は-Spp2-Pp2であることが好ましい。
Pp1およびPp2はそれぞれ独立して式(Pp1-1)から式(Pp1-3)のいずれかであることが好ましく、(Pp1-1)であることが好ましく、分子内に存在する全てのPp1およびPp2が(Pp1-1)であることがさらに好ましい。
Rp11およびRp12はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
【0122】
なかでも、分子内にPp1およびPp2を合計で2つ有することが好ましく、当該2つのPp1およびPp2は共に(Pp1-1)であることが好ましく、当該2つの(Pp1-1)中のRp11は、共にメチル基であるか、あるいは水素原子とメチル基との組み合わせが好ましい。
【0123】
式(Pp1-1)から式(Pp1-9)中、tp11は、0または1が好ましい。
式(Pp1-1)から式(Pp1-9)中、Wp11は、単結合、メチレン基またはエチレン基が好ましい。
式(Pp1-1)から式(Pp1-9)中、mp1は0、1または2であることが好ましく、0または1が好ましい。
【0124】
前記一般式(P)中、Zp1およびZp2はそれぞれ独立して、単結合、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-CF2-、-CF2O-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-、-OCF2-または-C≡C-が好ましく、単結合、-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-または-C≡C-がより好ましく、分子内に存在する1つのみが-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-または-C≡C-であり、他がすべて単結合であることがさらに好ましく、分子内に存在する1つのみが、-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-または-OCO-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、すべてが単結合であることが特に好ましい。
【0125】
また、前記一般式(P)で表される化合物の分子内に存在するZp1およびZp2の1つのみが、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-O-CO-(CH2)2-、-COO-(CH2)2-からなる群から選択される連結基であり、他は単結合であることも特に好ましい。
【0126】
Spp1およびSpp2はそれぞれ独立して、単結合またはスペーサー基を表すが、スペーサー基は、炭素原子数が1から30のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基中の-CH2-は酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-または-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良いが、直鎖の炭素原子数が1から10のアルキレン基または単結合が好ましい。
【0127】
前記式(P)中、Ap1、Ap2およびAp3はそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基が好ましく、1,4-フェニレン基が好ましい。1,4-フェニレン基は液晶化合物との相溶性を改善するために、1個のフッ素原子、1個のメチル基または1個のメトキシ基で置換されていることが好ましい。また、Ap1、Ap2およびAp3のうち存在するいずれか1つのみがナフタレン-1,4-ジイル基であることも好ましい。
【0128】
本液晶組成物中、前記式(P)で表される化合物の含有量は、前記化合物i、化合物L、化合物Nおよび前記式(P)で表される化合物の合計量を100質量%として、0.05から10質量%が好ましく、0.1から8質量%が好ましく、0.1から5質量%が好ましく、0.1から3質量%が好ましく、0.2から2質量%が好ましく、0.2から1.3質量%が好ましく、0.2から1質量%が好ましく、0.2から0.56質量%が好ましい。
【0129】
本液晶組成物中、式(P)で表される化合物の合計の含有量の下限値は、前記化合物i、化合物L、化合物Nおよび前記式(P)で表される化合物の合計量を100質量%として、好ましくは、0.01質量%であり、0.03質量%であり、0.05質量%であり、0.08質量%であり、0.1質量%であり、0.15質量%であり、0.2質量%であり、0.25質量%であり、0.3質量%である。
【0130】
本液晶組成物中、式(P)で表される化合物の合計の含有量の上限値は、前記化合物i、化合物L、化合物Nおよび前記式(P)で表される化合物の合計量を100質量%として、好ましくは、10質量%であり、8質量%であり、5質量%であり、3質量%であり、1.5質量%であり、1.2質量%であり、1質量%であり、0.8質量%であり、0.5質量%である。
【0131】
含有量が少ないと式(P)で表される化合物を加える効果が現れにくく、液晶組成物の配向規制力が弱いまたは経時的に弱くなってしまうなどの問題が発生し、多すぎると硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶の信頼性が低下する等の問題が生じる。このため、これらのバランスを考慮し含有量を設定する。
【0132】
式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-1-1)から式(P-1-46)で表される重合性化合物群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
前記式中、P
p11、P
p12、Sp
p11およびSp
p12は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1およびSp
p2と同じである。
【0133】
前記一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-2-1)から式(P-2-29)で表される重合性化合物群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
前記式中、P
p21、P
p22、Sp
p21およびSp
p22は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1およびSp
p2と同じである。
【0134】
前記一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-3-1)から式(P-3-15)で表される重合性化合物群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【化67】
【化68】
前記式中、P
p31、P
p32、Sp
p31およびSp
p32は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1およびSp
p2と同じである。
【0135】
前記一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-4-1)から式(P-4-19)で表される重合性化合物群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【化69】
【化70】
【化71】
【化72】
前記式中、P
p41、P
p42、Sp
p41およびSp
p42は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1およびSp
p2と同じであり、複数のP
p42、Sp
p42はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
【0136】
前記一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-5-1)から式(P-5-19)で表される重合性化合物群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【化73】
前記式中、P
p51、P
p52、Sp
p51およびSp
p52は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1およびSp
p2と同じであり、複数のP
p52、Sp
p52はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。Meはメチル基を示す。
【0137】
本発明において重合性化合物を用いる場合、重合性モノマーは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なかでも、重合反応速度の異なる2種または3種以上の重合性モノマーを組み合わせて用いることにより、重合反応速度を適切に制御することが可能となり、残存モノマー量を低減でき、且つ、適切なプレチルト角を付与することができるため好ましい。また、保存安定性と重合反応速度のバランスの観点からも2種類以上の重合性モノマーを併用することは好ましい。重合性モノマーを2種類以上用いる場合、上記式(P)で表される化合物の2種類以上を併用することが好ましい。
【0138】
本液晶組成物に前記重合性モノマーを添加する場合、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0139】
本液晶組成物は、さらに、酸化防止剤として一般式(Q1)または(Q2)で表される化合物を含有してもよい。
【化74】
前記式中、R
Qは炭素原子数が1から22の直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基を表し、これらアルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CF
2O-、-OCF
2-で置換されてよい。R
Q中の水素原子は、4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル基で置換されていてもよい。
M
Qはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基または単結合を表すが、トランス-1,4-シクロへキシレン基中の1つまたは非隣接の2つの-CH
2-は-O-で置換されていても良い。
前記式中、X
yは炭素原子数が1から15のアルキレン基、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-C≡C-、1,4-フェニレン基、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、または単結合を表し、1,4-フェニレン基は任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い。また炭素原子数が1から15のアルキレン基中の1つまたは2つ以上の-CH
2-は、酸素原子が直接隣接しないように-O-、-CO-、-COO-、-OCO-に置換されていても良い。
また前記式中、M
yはl価の連結基を表し、lは2から6の整数を表す。
【0140】
前記式中、RQは炭素原子数が1から22の直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-で置換されてよいが、炭素原子数が1から10の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH2基が-OCO-または-COO-に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が-OCO-または-COO-に置換された分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素原子数が1から20の直鎖アルキル基、1つのCH2基が-OCO-または-COO-に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が-OCO-または-COO-に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。MQはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基または単結合を表すが、トランス-1,4-シクロへキシレン基または1,4-フェニレン基が好ましい。
【0141】
前記式中、Myは炭素原子数が1から25の炭化水素基であることが好ましく、該炭化水素基中の1つまたは2つ以上の-CH2-は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-に置換されていても良い。
【0142】
lは2または3が好ましく、2がより好ましい。lが2の場合、Myは炭素原子数が1から14のアルキレン基であることが好ましい。揮発性を考慮すると炭素原子数は大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると炭素原子数は大きすぎない方が好ましいことから、炭素原子数が2から12が好ましく、炭素原子数が3から10がより好ましく、炭素原子数が4から10がさらに好ましく、炭素原子数が5から10が特に好ましく、炭素原子数が6から10が最も好ましい。
Xyは単結合が好ましい。
【0143】
一般式(Q1)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(Q1-a)から一般式(Q1-d)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【化75】
前記式中、R
Q1は炭素原子数が1から10の直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基が好ましく、R
Q2は炭素原子数が1から20の直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基が好ましく、R
Q3は炭素原子数が1から8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基または分岐鎖アルコキシ基が好ましく、L
Qは炭素原子数が1から8の直鎖アルキレン基または分岐鎖アルキレン基が好ましい。一般式(Q1-a)から一般式(Q1-d)で表される化合物中、一般式(Q1-c)および一般式(Q1-d)で表される化合物が更に好ましい。
【0144】
一般式(Q2)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(Q2-a)から一般式(Q2-c)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【化76】
【0145】
本液晶組成物において、一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物を1種または2種を含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましい。本液晶組成物中、一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物の含有量は、前記化合物i、化合物L、化合物Nおよび一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物の合計量を100質量%として、0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。なお本液晶組成物が前記前記式(P)で表される化合物を含む場合、前記前記式(P)で表される化合物を含めた合計量を100質量%とする。
【0146】
また、本発明に使用できる酸化防止剤または光安定剤としてより具体的には以下の(III-1)から(III-41)で表される化合物が好ましい。
【化77】
【化78】
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
【化83】
【化84】
【化85】
なお、式中、nは0から20の整数を表す。
【0147】
本液晶組成物において、一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物または一般式(III-1)から(III-41)から選ばれる化合物を1種または2種以上含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましい。本液晶組成物中、一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物または一般式(III-1)から(III-41)から選ばれる化合物の含有量は、前記化合物i、化合物L、化合物Nおよび一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物または一般式(III-1)から(III-41)から選ばれる化合物の合計量を100質量%として、その含有量は0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。一般式(Q1)から(Q2)で表される化合物および一般式(III-1)から(III-41)で表される化合物を含む場合は両者を含めた合計量を100質量%とし、本液晶組成物が前記前記式(P)で表される化合物を含む場合、前記前記式(P)で表される化合物を含めた合計量を100質量%とする。
【0148】
本発明の液晶組成物において、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)は60から120℃であることが好ましく、下限値としては65℃がより好ましく、70℃が特に好ましい。上限値としては90℃がより好ましく、80℃が特に好ましい。25℃におけるΔεが-2.0から-6.0であることが好ましく、-2.5から-5.0であることがより好ましく、-2.5から-3.5であることが特に好ましい。25℃におけるΔnは、0.08から0.13であることが好ましいが、0.09から0.12であることがより好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.12であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。20℃における粘度は10から30mPa・sであることが好ましいが、10から25mPa・sであることがより好ましく、10から20mPa・sであることが特に好ましい。
【0149】
一般的に液晶組成物の物性値から計算される各種パラメータは、液晶表示素子の特性を表現する手法として用いられる。それらには、応答速度を支配するパラメータであるγ1/K33、電気光学効果の急峻性を支配するパラメータであるK33/K11および駆動電圧を支配するパラメータである√|K33/Δε|等がある。
【0150】
本液晶組成物は高速応答、低駆動電圧、良好な低温保存性、広視野角および高透過率を両立させたものである。したがって、応答速度を支配するパラメータであるγ1/K33は10 .0mPa・s・pN-1以下が好ましく、9.5mPa・s・pN-1以下が好ましく、9.0mPa・s・pN-1以下が好ましく、8.5mPa・s・pN-1以下が好ましく、8.0mPa・s・pN-1以下が特に好ましい。
【0151】
電気光学効果の急峻性を支配するパラメータであるK33/K11は0.90以上が好ましく、0.95以上が好ましく、1.00以上が特に好ましい。
【0152】
駆動電圧を支配するパラメータである√|K33/Δε|は3.0pN-1/2以下が好ましく、2.5pN-1/2以下が好ましく、2.45pN-1/2以下が好ましく、2.4pN-1/2以下が好ましく、2.35pN-1/2以下が好ましく、2.3pN-1/2以下が特に好ましい。
【0153】
本液晶組成物の平均弾性定数(KAVG)は10から25が好ましいが、その下限値としては、10が好ましく、10.5が好ましく、11が好ましく、11.5が好ましく、12が好ましく、12.3が好ましく、12.5が好ましく、12.8が好ましく、13が好ましく、13.3が好ましく、13.5が好ましく、13.8が好ましく、14が好ましく、14.3が好ましく、14.5が好ましく、14.8が好ましく、15が好ましく、15.3が好ましく、15.5が好ましく、15.8が好ましく、16が好ましく、16.3が好ましく、16.5が好ましく、16.8が好ましく、17が好ましく、17.3が好ましく、17.5が好ましく、17.8が好ましく、18が好ましい。その上限値としては、25が好ましく、24.5が好ましく、24が好ましく、23.5が好ましく、23が好ましく、22.8が好ましく、22.5が好ましく、22.3が好ましく、22が好ましく、21.8が好ましく、21.5が好ましく、21.3が好ましく、21が好ましく、20.8が好ましく、20.5が好ましく、20.3が好ましく、20が好ましく、19.8が好ましく、19.5が好ましく、19.3が好ましく、19が好ましく、18.8が好ましく、18.5が好ましく、18.3が好ましく、18が好ましく、17.8が好ましく、17.5が好ましく、17.3が好ましく、17が好ましい。消費電力削減を重視する場合にはバックライトの光量を抑えることが有効であり、液晶表示素子は光の透過率を向上させることが好ましく、そのためにはKAVGの値を低めに設定することが好ましい。応答速度の改善を重視する場合にはKAVGの値を高めに設定することが好ましい。
【0154】
前記物性を有する本液晶組成物を含有する液晶表示素子は高速応答と表示不良の抑制を両立させた有用なものであり、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード、PSAモード、IPSモードまたはECBモード用液晶表示素子に適用できる。特にVAモード、PSVAモードおよびPSAモードに好適である。
【0155】
また、ODF法による液晶表示素子の製造工程においては、液晶表示素子のサイズに応じて最適な液晶注入量を滴下する必要があるが、本願発明の液晶組成物は、例えば、液晶滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響が少なく、長時間にわたって安定的に液晶を滴下し続けることが可能であるため、液晶表示素子の歩留まりを高く保持することもできる。特に、最近流行しているスマートフォンに多用される小型液晶表示素子は、最適な液晶注入量が少ないために最適値からのずれを一定範囲内に制御すること自体が難しいが、本願発明の液晶組成物を用いることにより、小型液晶表示素子においても安定した液晶材料の吐出量を実現できる。
【0156】
以上、本発明の液晶組成物および本液晶組成物を含有する液晶表示素子に関して説明したが、本発明は前記の実施形態の構成に限定されない。
本発明の液晶組成物および本液晶組成物を含有する液晶表示素子は前記実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてもよい。
【実施例0157】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例および比較例の組成物における「質量%」は『質量%』を意味する。
【0158】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
Tni :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
TK→N :固体相-ネマチック相転移温度(℃)
Δε:293Kにおける誘電率異方性
Δn :293Kにおける屈折率異方性
γ1 :293Kにおける回転粘度(mPa・s)
K11 :293Kにおける広がりの弾性定数(pN)
K33 :293Kにおける曲がりの弾性定数(pN)
【0159】
表3および表4の記載の化合物の記載について以下の略号を用いる。なお、「n」は自然数を表す。
<環構造>
【化86】
<側鎖構造>
【0160】
【0161】
【0162】
低温保存性の評価試験1:
液晶組成物をメンブレンフィルター(Agilent Technologies社製、PTFE 13mm-0.2μm)を用いてろ過し、0.5gを試験管に秤量した。その後、2.5から2.0hPaの真空減圧条件にて15分間脱気を行った後、窒素パージしてゴム栓をすることにより、評価用のサンプルを得た。このサンプルを-20℃の冷凍庫内で保管し、1日ごとに析出の有無を観察した。評価基準は下記の通りである。
〇:10日間保管後も析出が確認されなかった。
△:6~9日間以内に析出が確認された。
×:5日以内に析出した。
【0163】
低温保存性の評価試験2:
液晶組成物をメンブレンフィルター(Agilent Technologies社製、PTFE 13mm-0.2μm)を用いてろ過し、垂直配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布しラビング処理したITO付き基板を含むセルギャップ3.5μmの液晶セルに、液晶組成物を真空注入法で注入した。その後、注入口を封口材(3026B、ThreeBond社製)で封止し、封口材にのみUV光照射し、封口材を硬化することにより、評価用のサンプルを得た。
このサンプルを-35℃の冷凍庫内で保管し、1日ごとに析出の有無を観察した。評価基準は下記の通りである。
評価基準は下記の通りである。
〇:10日間保管後も析出が確認されなかった。
△:6~9日間以内に析出が確認された。
×:5日以内に析出した。
【0164】
<実施例1および比較例1>
LC-1(実施例1)、LC-R1(比較例1)の液晶組成物を加熱溶解することにより液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。以下に液晶組成物の構成とその物性値の結果を表3に示した。なお、各組成物における含有割合は質量%である。
【0165】
【0166】
<実施例2および比較例2>
実施例1と同様に、LC-2(実施例2)、LC-R2(比較例2)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。以下に液晶組成物の構成とその物性値の結果を表4に示した。
【0167】
【0168】
実施例1と比較例1、および実施例2と比較例2との比較から、前記化合物iを含む液晶組成物はTK→Nが低く、低温での保存安定性にも優れるn型の液晶組成物であることが分かる。
また、実施例の液晶組成物LC-1、LC-2および比較例の液晶組成物LC-R1, LC-R2の測定結果から、応答速度を支配するパラメータであるγ1/K33が充分に小さく、電気光学効果の急峻性を支配するパラメータであるK33/K11が充分に大きく、駆動電圧を支配するパラメータである√|K33/Δε|が充分に低い液晶組成物であることが分かった。また、Δnの波長分散性も充分に小さいことがわかった。
【0169】
次に、実施例および比較例の液晶組成物をそれぞれ用いて、ホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したセルギャップ3.0μmのITO付きセルに真空注入法で注入することで、垂直配向(VA)液晶表示素子を得た。これらのVA液晶表示素子は、良好な応答性、低駆動電圧、高透過率を示すことが確認された。
同様に、LC-1、LC-2および比較例の液晶組成物LC-R1, LC-R2の100質量%に対して下記重合性化合物(RM-PSA-1)を0.3質量%添加し、それぞれ、PSALC-1、PSALC-2、PSALC-R1、PSALC-R2を調整した。
【0170】
これら液晶組成物でも同様に、良好な応答性、低駆動電圧、高透過率を示すことが確認された。
また、低温保存性の評価試験1、低温保存性の評価試験2にて、PSALC-1、PSALC-2は、PSALC-R1、PSALC-R2と比較し、低温保存安定性に優れることを確認した。
【化87】
【0171】
また、LC-1、LC-2および比較例の液晶組成物LC-R1, LC-R2を用いて、IPS型液晶表示素子およびFFS型液晶表示素子を作成し、同様の試験を実施したが、これら液晶表示素子でも同様に、良好な応答性、低駆動電圧、高透過率を示すことが確認された。
また、同様の低温保存性の評価試験1、低温保存性の評価試験2にて、LC-1、LC-2は、LC-R1、LC-R2と比較し、低温保存安定性に優れることを確認した。
したがって、本発明の液晶組成物はVAモード、PSAモードおよび、IPS、FFSモードの液晶表示装置においても高速応答、低駆動電圧、良好な高透過率、かつ、低温保存性およびを全て達成できることが確認された。