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特開2024-53872半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム及び劣化予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053872
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム及び劣化予測方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240409BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240409BHJP
   H01J 37/24 20060101ALI20240409BHJP
   G05B 23/02 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/66 Z
H01J37/24
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160342
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉置 研二
(72)【発明者】
【氏名】菅野 渉
(72)【発明者】
【氏名】土肥 隆
(72)【発明者】
【氏名】笹嶋 二大
【テーマコード(参考)】
3C223
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
3C223AA13
3C223FF03
3C223FF05
3C223FF13
3C223FF22
3C223FF46
3C223GG01
3C223HH03
4M106BA02
4M106CA39
4M106CA56
4M106DB05
4M106DJ20
4M106DJ27
5C101BB05
5C101DD13
5C101DD30
5C101EE65
5C101EE68
5C101FF02
5C101GG15
5C101GG18
5C101HH50
5C101JJ02
5C101LL06
(57)【要約】
【課題】装置の監視項目に含まれるトレンド成分の傾向が変化する場合でも装置の劣化を推定できるようにする。
【解決手段】半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムは、装置の状態を示す時系列データを入力として受け付ける入力装置と、前記時系列データの変動を、前記装置の設定を変更したことに起因する変動と前記装置の劣化に起因する変動とに弁別し、前記設定が変更された時点を推定する推定部と、前記時点を境界とする複数の期間に前記時系列データを分割する分割部と、前記期間における前記時系列データの変動から少なくともトレンド成分を弁別する弁別部と、少なくとも前記トレンド成分に基づき前記装置の劣化を予測する予測部とを有する劣化予測装置と、前記予測の結果を出力する出力装置とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の状態を示す時系列データを入力として受け付ける入力装置と、
前記時系列データの変動を、前記装置の設定を変更したことに起因する変動と前記装置の劣化に起因する変動とに弁別し、前記設定が変更された時点を推定する推定部と、前記時点を境界とする複数の期間に前記時系列データを分割する分割部と、前記期間における前記時系列データの変動から少なくともトレンド成分を弁別する弁別部と、少なくとも前記トレンド成分に基づき前記装置の劣化を予測する予測部とを有する劣化予測装置と、
前記予測の結果を出力する出力装置とを備える、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムであって、
前記推定部は、前記装置の設定を変更する項目である装置設定変更変数の前記時系列データの変曲点を前記時点として推定する、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムであって、
前記推定部は、
統計的クラスタ分析により前記時系列データを複数の統計的クラスタに分類し、
複数の前記統計的クラスタの境界となる境界時刻を時系列クラスタ分析で特定し、特定された前記境界時刻を前記時点として推定する、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムであって、
前記予測部は、
前記時点を境界とした前記期間ごとの前記トレンド成分の回帰モデルを生成し、将来の任意の時刻を前記回帰モデルに入力することにより、前記時系列データのトレンド成分の予測値を算出し、前記予測値が予め設定された範囲内か判定し、前記判定の結果に基づき前記装置の将来の劣化を予測する、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムであって、
前記予測部は、
過去に生じたインパルス成分、脈動成分、及びランダム成分のうちの少なくとも1つから推定した変動成分を前記トレンド成分に加算又は減算して前記予測を行う、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムであって、
前記出力装置は、
前記時系列データの履歴を示す履歴プロット、前記時系列データのトレンド成分の予測値を示す予測プロット、前記時点、前記期間、前記予測値が閾値に到達する到達時点、前記到達時点までの猶予期間、又は前記装置の保守計画予定時点を出力する、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムであって、
前記出力装置は、
前記装置の保守計画システムを起動するボタンを備えた画面を表示する、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムであって、
前記装置は、粒子線を放出するフィラメントと、前記粒子線を加速する電極とを備えた荷電粒子線装置であり、
前記時系列データは、前記粒子線の電流値、前記フィラメントに供給する電流の電流値、又は前記電極に印加する電圧の電圧値のいずれかの時系列データである、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム。
【請求項9】
コンピュータが、
装置の状態を示す時系列データの変動を、前記装置の設定を変更したことに起因する変動と前記装置の劣化に起因する変動とに弁別し、前記設定が変更された時点を推定し、
前記時点を境界とする複数の期間に前記時系列データを分割し、
前記期間における前記時系列データの変動から少なくともトレンド成分を弁別し、
少なくとも前記トレンド成分に基づき前記装置の劣化を予測する、
半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システム及び劣化予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の監視項目の値をセンサで測定して、その測定値の時系列データから装置の劣化を推定する方法が提案されている(例えば特許文献1)。例えば、紙を送るためのローラが装置に設けられている場合、ローラが摩耗すると紙送りの際に紙が滑りやすくなってローラの振動が大きくなる。そのため、監視項目がローラの振動である場合には、振動の時系列データは増加傾向を有することになる。特許文献1に記載の方法では、このように時系列データが増加傾向と減少傾向のいずれか一方のみである場合に、増加傾向又は減少傾向を示すトレンド成分を時系列データから抽出し、そのトレンド成分に基づいて装置の劣化を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ある時点でトレンド成分の傾向が増加から減少に転じたり、あるいは減少から増加に転じたりした場合を想定しておらず、この場合に装置の劣化を推定するのは困難である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、装置の監視項目に含まれるトレンド成分の傾向が変化する場合でも装置の劣化を推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る半導体製造装置又は半導体検査装置の劣化予測システムは、装置の状態を示す時系列データを入力として受け付ける入力装置と、前記時系列データの変動を、前記装置の設定を変更したことに起因する変動と前記装置の劣化に起因する変動とに弁別し、前記設定が変更された時点を推定する推定部と、前記時点を境界とする複数の期間に前記時系列データを分割する分割部と、前記期間における前記時系列データの変動から少なくともトレンド成分を弁別する弁別部と、少なくとも前記トレンド成分に基づき前記装置の劣化を予測する予測部とを有する劣化予測装置と、前記予測の結果を出力する出力装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置の監視項目に含まれるトレンド成分の傾向が変化する場合でも装置の劣化を推定できる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る劣化予測システムの一例を示す構成図である。
図2図2は、第1実施形態に係る劣化予測システムが劣化を予測する走査型電子顕微鏡装置の一例を示す構成図である。
図3図3は、第1実施形態に係る劣化予測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る劣化予測方法のフローチャートの一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る監視項目Aの時系列データのグラフと、監視項目Bの時系列データのグラフのそれぞれの一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係るトレンド成分テーブルの一例を示す模式図である。
図7図7は、第1実施形態に係るトレンド成分を延伸した監視項目Aの時系列データのグラフと、監視項目Bの時系列データのグラフのそれぞれの一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る表示装置の画面表示例を示す模式図である。
図9図9は、装置の設定が変更された時点を推定する推定処理の第1実施形態におけるフローチャートの一例を示す図である。
図10図10は、装置の設定が変更された時点を推定する推定処理の第2実施形態におけるフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。また、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0012】
<第1実施形態>
プリンタ等のように機械的な機構部を有する装置では、摺動によって機構部が摩耗劣化する。加速度センサ等を用いて機構部の振動を測定し、その時系列データを取得して監視をすると、振動は劣化によって増加する。その振動の増加率は変化し得るが、劣化によって減少に転じることはなく、少なくとも振動の減少が劣化の進展を指し示すものではない。これにより、振動の時系列データからトレンド成分を抽出し、増加の程度を診断すれば、現状の劣化を推定あるいは将来の劣化を予測することができる。
【0013】
これに対して、本実施形態では、現時点までに発生した劣化の検知及び将来の劣化の予測の対象を半導体製造装置とする。チャンバ内の物理的又は化学的な反応を用いて半導体装置の製造を行う半導体製造装置でも、装置の状態を監視する監視項目が装置を構成する部品の劣化によって変動する。
【0014】
しかし、半導体製造装置の場合は、劣化による監視項目の変動トレンドに増加傾向と減少傾向の両方があるため、装置の条件設定によってはある時点を境にして監視項目が増加にも減少にも転じるという特徴がある。これにより、監視項目のトレンド成分を高精度に抽出して装置の劣化を予測するのが難しいという課題がある。例えば、荷電粒子ビームを用いる半導体イオン注入装置がそのような劣化予測が困難な装置に該当する。このような特徴は、半導体装置の検査を行う電子顕微鏡装置等の半導体検査装置にもあり、本実施形態では半導体製造装置だけでなく半導体検査装置も劣化予測の対象とする。また、半導体製造装置と半導体検査装置だけでなく、トレンド成分の傾向が変化する様々な装置の劣化を予測するのに本実施形態を適用することができる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る劣化予測システムの一例を示す構成図である。また、図2は、この劣化予測システムが劣化を予測する走査型電子顕微鏡装置の一例を示す構成図である。走査型電子顕微鏡装置は、半導体装置の検査に使用する荷電粒子線装置の一例である。
【0016】
図2に示すように、この走査型電子顕微鏡装置200では、真空ポンプ205によって真空に保たれたチャンバ内で、電子銃300から引き出された電子線202をコイルレンズ204a、204b、204cを用いて半導体試料206に照射して走査する。電子線202は、粒子線の一例である。
【0017】
そして、半導体試料206から放出される信号電子203の強度を検出器207で検出し、その走査面上での強度から画像を生成することにより、半導体試料206上に形成した回路パターンの検査を行う。高精度な検査を行うための画像を得るためには、電子線202の電流値が所定の範囲内で一定に維持されなければならない。
【0018】
電子銃300において電子線202を放出する電子源301はフィラメント302と接続されており、フィラメント302は電極303と接続されている。電子源301の周囲を電極304が取り囲んでおり、電極303と電極304との間に印加する電圧によって電子線202が加速される。
【0019】
この走査型電子顕微鏡装置200の劣化を予測する劣化予測システムは、図1に示すように、劣化予測装置100、データ入力装置101、記憶装置102、表示装置108、及び発報装置109を備える。なお、劣化予測システムの一部の処理や機能は、走査型電子顕微鏡装置200等の対象装置に組み込まれていてもよい。
【0020】
データ入力装置101は、走査型電子顕微鏡装置200から監視項目の値を所定のタイミング又は所定の周期で収集し、収集した時刻データと共に記憶装置102に格納する装置である。例えば、データ入力装置101は、アナログ値である監視項目の値をデジタル値に変換し、それを時刻データと対応付けて記憶装置102に格納するA/D(Analog/Digital)変換器である。以下では、時刻データとこれに対応付けられた監視項目を、走査型電子顕微鏡装置200の状態を示す時系列データとも呼ぶ。
【0021】
監視項目には、「放出電流」、「電子線電流」、「フィラメント電流」、「電極電圧」、「圧力」、及び「温度」が含まれる。
【0022】
「放出電流」は、電子源301(図2)から放出される全電流値の項目名である。「電子線電流」は、電子線202の電流値の項目名であり、「放出電流」の中で半導体試料206に照射される分を指す。
【0023】
「フィラメント電流」は、フィラメント302に供給する電流の電流値の項目名であり、電子源301を所定の温度に加熱して所定の「電子線電流」の値を得る条件を整える。
【0024】
「電極電圧」は、電極303と電極304との間に印加する電圧値の項目名であり、電子源301の周囲に電界を形成して所定の「電子線電流」の値を得る条件を整える。
【0025】
「圧力」は、走査型電子顕微鏡装置200の内部の圧力の項目名である。「温度」は、フィラメント302の温度の項目名である。
【0026】
この例では、「放出電流」、「電子線電流」、「フィラメント電流」、「電極電圧」、「圧力」、及び「温度」ごとに時系列データが記憶装置102に蓄積されていく。
【0027】
記憶装置102は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスである。
【0028】
劣化予測装置100は、記憶装置102に蓄積された時系列データに基づいて電子銃300の劣化を診断するサーバ又はPC(Personal Computer)等のコンピュータである。
【0029】
記憶装置102は、劣化予測装置100が備える記憶装置でもよいし、劣化予測装置100とは異なるコンピュータが有する記憶装置でもよい。更に、記憶装置102は、劣化予測装置100とインターネットを介して接続されたクラウド上のストレージ装置であってもよい。
【0030】
劣化予測装置100は、推定部111、分割部112、弁別部113、劣化予測部120を備える。
【0031】
推定部111は、時系列データの変動を、走査型電子顕微鏡装置200の設定を変更したことに起因する変動と、走査型電子顕微鏡装置200の劣化に起因する変動とに弁別し、走査型電子顕微鏡装置200の設定が変更された時点を推定する機能部である。その推定方法については後述する。
【0032】
分割部112は、推定部111が推定した時点を境界とする複数の期間に時系列データを分割する機能部である。
【0033】
弁別部113は、分割部112が分割した期間における時系列データの変動からトレンド成分、インパルス成分、脈動成分、及びランダム成分を弁別する機能部である。例えば、弁別部113は、時系列データの移動中央値又は移動平均値をトレンド成分として抽出する。トレンド成分は、ある期間における時系列データのおおまかな傾向を示す成分である。
【0034】
また、弁別部113は、そのトレンド成分と元の時系列データとの差分をインパルス成分として抽出する。インパルス成分は、元の時系列データに突発的に表れる信号である。
【0035】
更に、弁別部113は、元の時系列データからトレンド成分とインパルス成分を差し引いた残渣データを求める。その残渣データの自己相関関数値が、予め定めておいた閾値よりも大きい場合には、弁別部113は残渣データを脈動成分として抽出する。脈動成分は、元の時系列データにおいて周期性を示す成分である。
【0036】
また、自己相関関数値が閾値以下の場合には、弁別部113は、残渣データをランダム成分として抽出する。ランダム成分は、時系列データにランダムに表れる成分である。
【0037】
劣化予測部120は、少なくともトレンド成分に基づき走査型電子顕微鏡装置200の劣化を予測し、その予測に基づいた診断結果を記憶装置102、表示装置108、及び発報装置109に出力する機能部である。
【0038】
一例として、劣化予測部120は、トレンド成分診断部121、インパルス成分診断部122、脈動成分診断部123、及びランダム成分診断部124を備える。トレンド成分診断部121は、トレンド成分に基づいて、走査型電子顕微鏡装置200がどの程度劣化しているかを示す劣化指標を計算する機能部である。インパルス成分診断部122は、インパルス成分に基づいて劣化指標を計算する機能部である。また、脈動成分診断部123は、脈動成分に基づいて劣化指標を計算する機能部である。そして、ランダム成分診断部124は、ランダム成分に基づいて劣化指標を計算する機能部である。
【0039】
表示装置108は、出力装置の一例であって、劣化予測部120の診断結果を表示する液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスである。表示装置108は、劣化予測装置100とは異なるコンピュータが有する表示装置であってもよい。
【0040】
発報装置109は、診断結果が緊急性を要する場合に、予め登録された担当者に警報メールを送信する機能部である。発報装置109は、劣化予測装置100とは異なるコンピュータであってもよい。
【0041】
図3は、劣化予測装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、劣化予測装置100は、メモリ100a、プロセッサ100b、記憶装置100c、入力I/F(Interface)100d、出力I/F100e、通信I/F100f、及び読取装置100gを備える。これらの装置はバス100iにより相互に接続される。
【0042】
メモリ100aは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のようにデータを一時的に記憶するハードウェアであって、その上に本実施形態に係る劣化予測プログラムが展開される。
【0043】
プロセッサ100bは、劣化予測装置100の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphical Processing Unit)である等のプロセッサデバイスである。そのプロセッサ100bがメモリ100aと協働して劣化予測プログラムを実行することで、図1の各部111~113、120~124が実現される。
【0044】
記憶装置100cは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置であって、本実施形態に係る劣化予測プログラムを記憶する。記憶装置100cに劣化予測プログラムを記憶させるのではなく、記憶装置102(図1参照)に劣化予測プログラムを記憶させてもよい。また、記憶装置102(図1参照)を省いて、記憶装置100cに種々のデータを記憶させてもよい。
【0045】
劣化予測プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体100hに記録させておき、プロセッサ100bに記録媒体100hの劣化予測プログラムを読み取らせるようにしてもよい。
【0046】
記録媒体100hとしては、例えばCD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の物理的な可搬型記録媒体がある。フラッシュメモリ等の半導体メモリやハードディスクドライブを記録媒体100hとして使用してもよい。
【0047】
公衆回線、インターネット、及びLAN(Local Area Network)等に接続された装置に劣化予測プログラムを記憶させてもよい。その場合は、プロセッサ100bがその劣化予測プログラムを読み出して実行すればよい。
【0048】
入力I/F100dは、ユーザが劣化予測装置100に種々のデータを入力するためのキーボード又はマウス等の入力装置(不図示)とのインターフェースである。出力I/F100eは、図1の表示装置108や発報装置109とのインターフェースである。通信I/F100fは、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワークとのインターフェースである。
【0049】
読取装置100gは、記録媒体100hに記録されているデータを読み取るためのCDドライブ等のハードウェアである。
【0050】
次に、本実施形態に係る劣化予測方法について説明する。
【0051】
図4は、本実施形態に係る劣化予測方法のフローチャートの一例を示す図である。以下では、図5も適宜参照して劣化予測方法について説明する。
【0052】
図5は、監視項目Aの時系列データ501のグラフ500と、監視項目Bの時系列データ521のグラフ520のそれぞれの一例を示す図である。監視項目Aと監視項目Bの各々が「放出電流」、「電子線電流」、「フィラメント電流」、及び「電極電圧」のうちのどれを示しているかは後で明らかにされる。
【0053】
また、監視項目Aの時系列データ501には、予め上限閾値502と下限閾値503とが設定される。上限閾値502と下限閾値503は、走査型電子顕微鏡装置200が劣化していないと予想される正常範囲の上限値と下限値である。時系列データ501がこの正常範囲を超えると、走査型電子顕微鏡装置200が劣化しており保守作業が必要となる可能性が高くなる。
【0054】
同様に、監視項目Bの時系列データ521にも、予め上限閾値522と下限閾値523とが設定される。上限閾値522と下限閾値523とで定められる正常範囲を時系列データ501が超えると、走査型電子顕微鏡装置200が劣化している可能性が高くなる。
【0055】
まず、図4のステップS401において、推定部111が、記憶装置102に蓄積されている監視項目の時系列データのうち、指定期間におけるデータを検索して取得する。指定期間は、例えば図5の時点t1から時点t4に至る期間である。その指定期間の開始時点(t1)と終了時点(t4)は、例えばキーボード等の入力装置(不図示)から入力され、推定部111がその入力を受け付ける。また、時系列データの取得の対象となる監視項目は、例えばユーザが入力装置(不図示)を操作して指定すればよい。
【0056】
次に、推定部111が、取得した時系列データに表れている変動を、走査型電子顕微鏡装置200の設定を変更したことに起因する変動と装置の劣化に起因する変動とに弁別し、設定が変更された時点を推定する推定処理を行う(ステップS402)。図5の例では、時点t2と時点t3が、設定が変更された時点として推定される。この推定処理の詳細については後述する。
【0057】
次に、分割部112が、設定が変更されたと推定される時点を境界とする複数の期間に時系列データを分割する(ステップS403)。図5の例では、分割部112は、第1の期間505、第2の期間507、及び第3の期間509に時系列データを分割する。
【0058】
次いで、弁別部113が、分割した各期間における時系列データから、トレンド成分、インパルス成分、脈動成分、及びランダム成分を弁別する(ステップS404)。更に、弁別部113は、弁別したトレンド成分を折れ線回帰モデルで近似し、その結果をトレンド成分テーブルとして記憶装置102に格納する。
【0059】
図6は、そのトレンド成分テーブルの一例を示す模式図である。図6に示すように、トレンド成分テーブル600は、「レコード番号」、「装置番号」、「放出電流」、「電子線電流」、「フィラメント電流」、及び「電極電圧」の各々を対応付けたテーブルである。
【0060】
「レコード番号」は、トレンド成分テーブルの各行を一意に識別する番号である。「装置番号」は、半導体装置の製造工程に複数設置されている半導体製造装置や半導体検査装置を一意に識別する番号である。
【0061】
「放出電流」、「電子線電流」、「フィラメント電流」、及び「電極電圧」は、前述のように監視対象の装置の監視項目である。これらの監視項目には、当該監視項目に対応した折れ線回帰モデル使用テーブル601~604へのリンクが格納される。
【0062】
例えば、「レコード番号」が「1」の「放出電流」の監視項目には、折れ線回帰モデル使用テーブル601のリンクが格納される。リンクは、記憶装置102における折れ線回帰モデル使用テーブル601の格納場所を示すパスである。
【0063】
折れ線回帰モデル使用テーブル601は、「期間番号」、「期間開始時点」、「期間終了時点」、「切片」、及び「傾き」を対応付けたテーブルである。
【0064】
「期間番号」は、ステップS403で分割した複数の期間の各々を一意に識別する番号である。「期間開始時点」と「期間終了時点」は、期間の開始時点と終了時点であって、ステップS402で設定が変更されたと推定される時点である。
【0065】
「切片」は、トレンド成分を近似する回帰式が示す直線がy軸と交わる交点のy座標である。なお、y軸は、当該期間における「期間開始時点」を通る座標軸であって、時刻を表すx軸に垂直な軸である。また、「傾き」は、直線の傾きである。
【0066】
このようなトレンド成分テーブル600を生成することで、期間ごとのトレンド成分を正確に記憶し再現することが可能になり、将来の装置劣化の予測に役立てることができる。また、複数の期間における直線を繋ぐことで、時系列データを折れ線で近似する折れ線回帰モデルが得られる。
【0067】
再び図4を参照する。これ以降は、指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化しているかの判定と、走査型電子顕微鏡装置200が将来的に劣化するかの判定とに処理が分かれる。
【0068】
最初に、指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化しているかの判定について説明する。
【0069】
まず、トレンド成分診断部121が、トレンド成分に基づいて、走査型電子顕微鏡装置200が劣化しているかを示す劣化指標を算出する(ステップS405)。劣化指標としては、例えば、上限閾値502と下限閾値503とで定められた正常範囲をトレンド成分が超過したかを示す数値がある。また、指定期間においてトレンド成分が正常範囲を超過した回数を劣化指標としてもよい。更に、トレンド成分が増加から減少へ転換した回数と、減少から増加へ転換した回数の和を劣化指標としてもよい。このようにトレンド成分が転換した回数は、図6を参照して説明した折れ線回帰モデルに基づいてトレンド成分診断部121が算出することができる。
【0070】
また、上記した種々の劣化指標の各々に重み計数を乗じて加算した値を一つの劣化指標としてもよい。
【0071】
次に、インパルス成分診断部122が、インパルス成分に基づいて劣化指標を算出する(ステップS406)。劣化指標としては、例えば、上限閾値502と下限閾値503とで定められた正常範囲をインパルス成分が超過したかを示す数値がある。また、指定期間においてインパルス成分が正常範囲を超過した回数を劣化指標としてもよい。更に、指定期間におけるインパルス成分の最大波高値又はインパルスの発生を劣化指標としてもよい。
【0072】
また、上記した種々の劣化指標の各々に重み計数を乗じて加算した値を一つの劣化指標としてもよい。
【0073】
次に、脈動成分診断部123が、脈動成分に基づいて劣化指標を算出する(ステップS407)。劣化指標としては、例えば、上限閾値502と下限閾値503とで定められた正常範囲を脈動成分が超過したかを示す数値がある。また、指定期間において脈動成分が正常範囲を超過した回数を劣化指標としてもよい。更に、指定期間における脈動成分の最大波高値を劣化指標としてもよい。また、脈動成分の自己相関関数の極大値、又は極大値間の周期を劣化指標としてもよい。
【0074】
なお、上記した種々の劣化指標の各々に重み計数を乗じて加算した値を一つの劣化指標としてもよい。
【0075】
次に、ランダム成分診断部124が、ランダム成分に基づいて劣化指標を算出する(ステップS408)。劣化指標としては、例えば、上限閾値502と下限閾値503とで定められた正常範囲をランダム成分が超過したかを示す数値がある。また、指定期間においてランダム成分が正常範囲を超過した回数を劣化指標としてもよい。更に、指定期間におけるランダム成分の最大値又はRMS(二乗平均平方根)値を劣化指標としてもよい。
【0076】
なお、上記した種々の劣化指標の各々に重み計数を乗じて加算した値を一つの劣化指標としてもよい。
【0077】
次に、劣化予測部120が、トレンド成分、インパルス成分、脈動成分、及びランダム成分のうち、少なくともトレンド成分から算出した劣化指標に基づいて、指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化しているかを判定する(ステップS409)。例えば、劣化予測部120は、劣化指標が閾値を超えたときに指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化していると判定し、劣化指標が閾値を超えていないときに指定期間内で劣化していないと判断する。
【0078】
また、劣化予測部120が、トレンド成分、インパルス成分、脈動成分、及びランダム成分のうち、少なくともトレンド成分から算出した劣化指標の各々に重み計数を乗じて加算した値を算出してもよい。そして、劣化予測部120は、その値が閾値を超えたときに指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化しており、当該値が閾値を超えていないときに指定期間内で劣化していないと判定してもよい。
【0079】
そして、劣化予測部120は、トレンド成分、インパルス成分、脈動成分、及びランダム成分の各々から算出した劣化指標を記憶装置102に格納する。更に、劣化予測部120は、その劣化指標に基づいた劣化の判定結果を、走査型電子顕微鏡装置200の診断結果として記憶装置102に格納する。
【0080】
ここで、指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化していないと判定された場合(ステップS409でNO)は処理を終える。
【0081】
一方、指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化していると判定された場合(ステップS409でYES)はステップS410に移る。ステップS410では、劣化予測部120が発報装置109に対して発報の指示を行い、その指示を受けた発報装置109が発報する。一例として、発報装置109は、予め登録された担当者に警報メールを送信する。また、発報装置109は、診断結果を警報メールに添付してもよい。
【0082】
次に、走査型電子顕微鏡装置200が将来的に劣化するかの判定について説明する。
【0083】
まず、トレンド成分診断部121がトレンド予測モデルを生成する(ステップS411)。トレンド予測モデルは、時系列データに含まれるトレンド成分の将来の時間発展を予測するモデルである。例えば、上述のステップS404で生成した折れ線回帰モデル使用テーブル601~604(図6参照)において、現時点に最も近い第3の期間509における「切片」と「傾き」とをトレンド予測モデルとして採用し得る。
【0084】
次に、トレンド成分診断部121が、トレンド予測モデルに基づいて、時系列データの将来のトレンドを予測する(ステップS412)。この例では、ユーザによって指定された任意の予測時点まで走査型電子顕微鏡装置200の設定が変更されないと仮定する。その仮定の下で、トレンド成分診断部121は、「切片」と「傾き」を利用してトレンド成分を現時点よりも将来に向けて延伸することにより、時系列データの将来の値を予測する。
【0085】
図7は、このようにトレンド成分を延伸した監視項目Aの時系列データ501のグラフ700と、監視項目Bの時系列データ521のグラフ720のそれぞれの一例を示す図である。
【0086】
この例では、ユーザによって予測時点t6が指定された場合を想定している。この場合、トレンド成分診断部121は、現時点に最も近い第3の期間509におけるトレンド成分を予測時点t6まで延伸することで、監視項目Aと監視項目Bのそれぞれの将来のトレンド成分701、721を予測する。
【0087】
また、ユーザが予測時点t6を指定するのではなく、「切片」と「傾き」とで定まる回帰モデルにトレンド成分診断部121が将来の任意の時刻を入力することにより、トレンド成分の将来の予測値を算出してもよい。
【0088】
図7の例では、時点t5が、監視項目Aのトレンド成分701の予測値が上限閾値502に到達する到達時点となっている。そのため、時点t5において、保守作業が必要な程度に走査型電子顕微鏡装置200の劣化が進んでいると予測できる。そして、時点t5と時点t4との差(t5-t4)は、指定期間の終了時点(t4)を基準にした場合における、監視項目Aのトレンド成分701の予測値が上限閾値502に到達するまでの猶予期間である。
【0089】
再び図4を参照する。次に、劣化予測部120が、ステップS412で予測した将来のトレンド成分に基づいて将来の劣化指標を算出する(ステップS413)。その劣化指標としては、上限閾値502と下限閾値503とで定められた正常範囲をトレンド成分が将来的に超過するかを示す数値がある。また、トレンド成分が将来的に正常範囲を超過すると予想された場合は、劣化予測部120は、前述の到達時点と猶予期間も算出する。
【0090】
なお、劣化予測部120は、ステップS412で予測したトレンド成分に、将来発生すると推定されるリスク値を変動成分として加算又は減算し、加算又は減算後のトレンド成分に基づいて劣化指標を算出してもよい。そのようなリスク値としては、例えば、過去の期間である指定期間に発生したインパルス成分、脈動成分、及びランダム成分がある。指定期間におけるこれらの成分の最大値、最小値、平均値、及びRMS値をリスク値としてもよい。
【0091】
次に、劣化予測部120が、ステップS413で算出した劣化指標に基づいて、走査型電子顕微鏡装置200が将来的に劣化するかを判定する(ステップS414)。例えば、劣化予測部120は、前述のように上限閾値502と下限閾値503とで定められた正常範囲をトレンド成分が将来的に超過するときに、走査型電子顕微鏡装置200が将来的に劣化すると判定し、そうでない場合には将来的に劣化しないと判定する。また、劣化予測部120は、その判定結果と、ステップS413で算出した劣化指標とを記憶装置102に格納する。なお、走査型電子顕微鏡装置200が将来的に劣化すると判定した場合は、劣化予測部120は、前述の到達時点と猶予期間も記憶装置102に格納する。
【0092】
ここで、走査型電子顕微鏡装置200が将来的に劣化しないと判定した場合(ステップS414でNO)は処理を終える。
【0093】
一方、走査型電子顕微鏡装置200が将来的に劣化すると判定した場合(ステップS414でYES)はステップS415に移る。ステップS415では、劣化予測部120が、表示装置108に診断結果を表示するように指示する。
【0094】
図8は、表示装置108の画面表示例を示す模式図である。図8に示すように、表示装置108には劣化予測画面800が表示される。
【0095】
劣化予測画面800は、指定期間の開始時点801と終了時点802とが含まれる。開始時点801は図5の時点t1に相当し、終了時点802は図5の時点t4に相当する。なお、終了時点802は、一般には図4のフローチャートを実行する日である。
【0096】
更に、劣化予測画面800には、装置プルダウンリスト803、劣化予測実行ボタン804、及び監視項目プルダウンリスト806も含まれる。
【0097】
装置プルダウンリスト803は、半導体製造装置や半導体検査装置の装置番号をユーザが選択するためのリストである。監視項目プルダウンリスト806は、装置の監視項目をユーザが選択するためのリストである。
【0098】
開始時点801、終了時点802、装置プルダウンリスト803、及び監視項目プルダウンリスト806の各々の項目をユーザが設定し、ユーザが劣化予測実行ボタン804を押下すると、劣化予測装置100が図4のフローチャートを実行する。なお、装置プルダウンリスト803から装置を選択するのではなく、予め登録しておいた全ての装置に対して図4のフローチャートをバッチ処理で実行してもよい。
【0099】
また、劣化予測画面800は、判定結果表示ボックス805を備える。劣化予測装置100が図4のステップS409において指定期間内で走査型電子顕微鏡装置200が劣化していると判定した場合は、表示装置108が判定結果表示ボックス805における「劣化判定」をマークして表示する。また、劣化予測装置100が図4のステップS414で走査型電子顕微鏡装置200が将来的(例えば1年以内)に劣化すると判定した場合は、表示装置108が判定結果表示ボックス805における「劣化予測」をマークして表示する。
【0100】
劣化予測画面800は、更に劣化予測プロット領域807を備える。劣化予測プロット領域807は、監視項目プルダウンリスト806で選択した監視項目の指定期間内における履歴プロット501と将来の予測プロット701~703を表示する領域である。
【0101】
履歴プロット501は、図7の時系列データ501に対応しており、指定期間における監視項目の時系列データの履歴を示すプロットである。また、予測プロット701は、図7の将来のトレンド成分701に対応しており、時系列データのトレンド成分の将来の予測値を示すプロットである。
【0102】
予測プロット702、703は、予測プロット701に、将来発生すると予想されるリスク値を加算又は減算したプロットである。ここでは、指定期間に発生した正のインパルス成分のうちで最大のインパルス成分をリスク値として予測プロット701に加算したプロットを予測プロット702としている。また、指定期間に発生した負のインパルス成分のうち絶対値が最大のインパルス成分をリスク値として予測プロット701から減算したプロットを予測プロット703としている。なお、リスク値はインパルス成分の最大値に限定されない。例えば、指定期間に発生したインパルス成分、脈動成分、及びランダム成分のいずれかの最大値、最小値、平均値、及びRMS値のいずれかをリスク値としてもよい。
【0103】
また、劣化予測プロット領域807には、「設定変更時点」、「診断時点」、及び「管理限界到達時点」が示される。
【0104】
「設定変更時点」は、走査型電子顕微鏡装置200の設定を変更したと推定される直近の時点であって、図5の時点t3に相当する。その「設定変更時点」を境界とする複数の期間が劣化予測プロット領域807に表示される。この例のように「設定変更時点」が2021/09/12の場合は、2021/04/01~2021/09/12の期間と、2021/09/12~2021/10/01の期間が、そのような複数の期間の一例となる。
【0105】
「診断時点」は、劣化予測装置100が図4のフローチャートを実行した時点であり、通常は終了時点802が示す日の翌日となる。
【0106】
「管理限界到達時点」は、予測プロット701~703のいずれかが、上限閾値502と下限閾値503とで定められる正常範囲を超えると予想される最先の時点であって、図7の時点t5に相当する。
【0107】
劣化予測画面800には、設定変更時点を表示する設定変更時点表示ボックス808と、管理限界到達時点を表示する管理限界到達時点表示ボックス809とが表示される。
【0108】
更に、劣化予測画面800には、猶予期間表示ボックス810、保守計画予定時点表示ボックス811、及び保守計画スケジュールボタン812が表示される。
【0109】
猶予期間表示ボックス810は、管理限界到達時点と診断時点との差である猶予期間を表示するボックスである。保守計画予定時点表示ボックス811は、走査型電子顕微鏡装置200に対する保守作業を行う予定の保守計画予定時点を表示するボックスである。その保守計画予定時点は、例えば不図示の保守計画システムに登録されている。
【0110】
保守計画スケジュールボタン812は、不図示の保守計画システムを起動するためのボタンである。例えば、管理限界到達時点が保守計画予定時点よりも先に到来してしまうと、保守計画予定時点に保守作業をしたのでは走査型電子顕微鏡装置200の劣化が著しく進んでしまう。よって、この場合は、ユーザが保守計画スケジュールボタン812を押下して保守計画システムを起動し、保守計画予定時点が管理限界到達時点よりも先に到来するように保守計画スケジュールを計画し直す。
【0111】
なお、この例ではユーザが監視項目プルダウンリスト806から監視項目を選択したが、図4のステップS409又はステップS414の判定に使用した監視項目を自動で選択状態にするように設定してもよい。この場合は、ステップS409又はステップS414の判定に使用した監視項目の履歴プロット501と予測プロット701~703とが劣化予測プロット領域807に表示される。
【0112】
このような劣化予測画面800を表示することにより、管理限界到達時点、猶予期間、及び保守計画予定時点の各々をユーザが把握することができる。
【0113】
以上により、本実施形態に係る劣化予測方法の基本的な処理を終える。次に、図4のステップS402の推定処理の詳細な処理内容について説明する。図9は、図4のステップS402の推定処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0114】
まず、推定部111が、監視項目の制御系変数分類表(不図示)を記憶装置102から検索して取得する(ステップS901)。
【0115】
制御系変数分類表は、複数の監視項目の各々を被制御目標変数、制御操作変数、装置設定変更変数、及び観測変数のいずれかに分類した表であり、ユーザによって予め作成されて記憶装置102に格納される。
【0116】
被制御目標変数は、制御の対象となる変数である。本実施形態では「電子線電流」が被制御目標変数となる。
【0117】
制御操作変数は、被制御目標変数を目標値に維持して安定させるための変数であって、自動フィードバック制御によって任意に変動する可能性がある変数である。本実施形態では「電子線電流」を目標電流値に維持して安定させるための「フィラメント電流」又は「電極電圧」が制御操作変数の候補となる。このように候補が複数存在する場合は、複数の候補のうちで即応性や安定性が良好な候補を制御操作変数として採用すればよい。
【0118】
装置設定変更変数は、装置の設定を変更する項目であって、調整又は保守によって変更しない限りは一定値に維持される変数である。ここでは、制御操作変数の複数の候補のうちで、制御操作変数に選ばれなかった変数を装置設定変更変数とする。例えば、「フィラメント電流」を制御操作変数とした場合は、「電極電圧」が装置設定変更変数となる。
【0119】
制御操作変数は図5の監視項目Aに相当し、装置設定変更変数は図5の監視項目Bに相当する。よって、図5の監視項目Aを「フィラメント電流」とした場合は、図5の監視項目Bは「電極電圧」となる。
【0120】
観測変数は、被制御目標変数、制御操作変数、及び装置設定変更変数のいずれにも分類されなかった変数である。本実施形態では、「放出電流」、「圧力」、及び「温度」が観測変数となる。
【0121】
次に、推定部111が、制御系変数分類表から装置設定変更変数を特定し、その装置設定変更変数の時系列データの各点を時刻順に走査することにより、各点に対して以下のステップS903からステップS907を繰り返す(ステップS902)。
【0122】
次いで、推定部111が、所定の時間間隔だけ離れた2つの装置設定変更変数の値の差分をその時間間隔で除することにより、装置設定変更変数の微分値を算出する(ステップS903)。
【0123】
続いて、推定部111が、上記の微分値の絶対値が閾値を超過しているかを判定する(ステップS904)。保守作業等によって装置設定変更変数が変更されると、変更した時点(変曲点)で時系列データの値が急激に変化する。上記の微分値に対する閾値は、このような時系列データ上の変曲点を特定するためにユーザによって予め設定された値であり、微分値の絶対値が閾値を超過した時点において保守作業が行われて装置設定変更変数が変更されたと推定できる。
【0124】
ここで、微分値の絶対値が閾値を超過していると判定された場合(ステップS904でYES)はステップS905に移る。ステップS905では、推定部111が、微分値の絶対値が閾値を超過している時点(変曲点)を、走査型電子顕微鏡装置200の設定が変更された時点の推定値として記憶装置102に登録する。
【0125】
なお、微分値の計算に使用する時間間隔と閾値は、設定が変更された時点の推定の感度を定める。例えば、時間間隔を長くすれば、短い間隔で発生する変動が起きた時点を誤って設定が変更された時点として推定するのを防止できる。また、閾値を大きくすれば、小さな変動が起きた時点を誤って設定が変更された時点として推定するのを防止できる。
【0126】
次に、推定部111が、時系列データの全ての時刻に対する走査が終了したかを判定する(ステップS906)。なお、ステップS904において微分値の絶対値が閾値を超過していないと判定された場合(ステップS904でNO)もステップS906を実行する。
【0127】
ここで、走査が終了していないと判定された場合(ステップS906でNO)はステップS907に移り、次の時刻に対してステップS903を実行する。
【0128】
一方、走査が終了したと判定された場合(ステップS906でYES)はステップS908に移る。ステップS908では、推定部111が、ステップS905で登録した推定値を出力する。
【0129】
以上により、図4のステップS402の推定処理の基本的な処理を終える。
【0130】
上記した本実施形態によれば、半導体製造装置又は半導体検査装置の設定が変更された時点を推定し、その時点を境界とする複数の期間に時系列データを分割して、各期間の時系列データからトレンド成分を弁別する。そのため、時系列データのトレンド成分の傾向が変化する場合であっても、トレンド成分に基づいて装置の劣化を高精度に予測することができる。
【0131】
更に、トレンド成分診断部121が、トレンド予測モデルを構築し(ステップS411)、トレンド成分を延伸することで将来のトレンドを予測する(ステップS412)。これにより、現状の装置が劣化しているかの判定(ステップS409)だけでなく、装置が将来的に劣化するかの判定(ステップS414)を行うことができる。
【0132】
また、ステップS412で予測したトレンド成分に、過去に発生したインパルス成分、脈動成分、及びランダム成分等のリスク値を加算又は減算し、そのトレンド成分に基づいて劣化指標を算出する。そのため、上限閾値502と下限閾値503とで定められた正常範囲をトレンド成分が超過する到達時点を、過去の実績を加味しながら高精度に予測できる。
【0133】
しかも、ステップS903において、推定部111が、制御系変数分類表から特定した装置設定変更変数の時系列データの微分値を算出する。そのため、ステップS905において、推定部111が、微分値の絶対値が閾値を超過している時点を、装置の設定が変更された時点として推定することができる。更に、閾値や微分値を算出するときの時間間隔を調節することで、推定の感度を調節することもできる。
【0134】
更に、ユーザが劣化予測画面800の保守計画スケジュールボタン812を押下することで保守計画システムを起動することができる。これにより、装置の劣化によって装置の稼働が停止しないように、ユーザが保守計画を計画し直すことができる。
【0135】
また、劣化予測画面800から不図示の保守部品調達システムを起動できるようにしてもよい。これにより、ユーザが、将来の装置の劣化予測を参照して、保守計画予定時点までに保守部品を調達することができる。
【0136】
本実施形態は、半導体装置の製造又は検査を行う装置ユーザが実施するだけでなく、半導体製造装置又は半導体検査装置の装置メーカが保守サービスとして実施してもよい。装置メーカが実施する場合は、劣化予測に基づいて保守の実施を装置ユーザに提案するサービスや、劣化の発生を先取りして保守部品を調達し準備しておくことによって遅滞なく装置ユーザに保守部品を供給するサービスを実施できる。
【0137】
<第2実施形態>
第1実施形態では、推定部111が制御系変数分類表を取得し(ステップS901)、その制御系変数分類表に含まれる装置設定変更変数の微分値に基づいて、装置の設定を変更した時点を推定部111が推定した(ステップS905)。この方法は、複数の監視項目を分類して制御系変数分類表を作成する知識がユーザにある場合は有用な方法である。以下に説明する本実施形態では、このような知識がない場合、そもそも装置設定変更変数がない場合、及び保守部品の交換が監視項目に反映されない場合等に有用な方法である。
【0138】
図10は、図4のステップS402の推定処理の本実施形態におけるフローチャートの一例を示す図である。このフローチャートは、以下のように時系列クラスタ分析を採用して実行される。
【0139】
まず、推定部111が、監視項目の時系列データに対して統計的クラスタ分析を適用する(ステップS911)。時系列データは、時刻データと監視項目の値とが対応付けられた複数のデータからなるが、この処理によって複数のデータの各々に統計的クラスタ番号が付与される。統計的クラスタ分析の手法としては例えばK-means法がある。これ以外の手法を統計的クラスタ分析の手法として採用してもよい。
【0140】
本ステップで統計的クラスタ分析の対象となる監視項目は特に限定されない。但し、制御操作変数は、「電子線電流」等の被制御目標変数を一定にする変数であるため、装置の劣化の影響で変動し易い。そのため、制御操作変数に対して統計的クラスタ分析を適用することで、クラスタ分析の結果に装置の劣化が明瞭に表れるようにするのが好ましい。
【0141】
このように時系列データに対して統計的クラスタ分析を適用すると、各データの時刻を考慮せずに、各データの相互の距離に基づいて各データを所定個数のクラスタに分類できる。但し、クラスタの境界はデータ値域内の適切な分割値であり、統計的クラスタ分析のみでは各クラスタの時刻の境界は得られない。そこで、以下のステップS912以降の時系列クラスタ分析を実行する。
【0142】
推定部111が、監視項目の時系列データの各点を時刻順に走査することにより、各点に対して以下のステップS913からステップS916を繰り返す(ステップS912)。これにより、ステップS911で得られた複数の統計的クラスタの境界となる境界時刻を最も高い精度で近似する時系列データ上の境界点を探索する。簡単のためステップS911で得た統計的クラスタの個数を2つと仮定する。
【0143】
まず、推定部111が、時系列データ上のある境界時刻を境にして、時系列データ上の全てのデータを当該時刻前後の2つのグループに分割する(ステップS913)。
【0144】
次いで、推定部111が、各データに付与された識別子に基づいて、2つのグループごとに統計的クラスタの占有率を算出し、その結果を記憶装置102に格納する(ステップS914)。
【0145】
例えば、2つのグループのうち、時刻が境界時刻以下のグループに属するデータを格納する配列をX1とし、時刻が境界時刻よりも大きいグループに属するデータを格納する配列をX2とする。
【0146】
ステップS911で得た2つの統計的クラスタの識別子をC1、C2とする。C1に属するデータの個数をN1とし、C2に属するデータの個数をN2とする。配列Xの要素のうちでクラスタCに所属する要素の個数を数え上げる関数を
N = count (X, C)とする。
【0147】
この場合、配列Xiに属する要素のうちで統計的クラスタCjに属する要素の個数Nij(1≦i、j≦2)は以下のように書ける。
N11 = count (X1, C1)
N12 = count (X1, C2)
N21 = count (X2, C1)
N22 = count (X2, C2)
また、占有率は以下のように定義される。
R11 = N11/N1
R12 = N12/N2
R21 = N21/N1
R22 = N22/N2
ステップS914では、推定部111がこれらの占有率R11、R12、R21、R22を算出する。
【0148】
次に、推定部111が、時系列データの全ての時刻に対する走査が終了したかを判定する(ステップS915)。
【0149】
ここで、走査が終了していないと判定された場合(ステップS915でNO)はステップS916に移り、次の時刻に対してステップS913を実行する。
【0150】
一方、走査が終了したと判定された場合(ステップS915でYES)はステップS917に移る。ステップS917では、推定部111が、占有率から算出された指標が最大になる時刻を、装置の設定が変更された時点の推定値として出力する(ステップS917)。
【0151】
例えば、ある時刻tを時刻境界としたときにN11≧N21となった場合は、配列X1は主に統計的クラスタC1に所属し、配列X2は主に統計的クラスタC2に属するとして、推定部111は占有率R11とR22の積R2(t) = R11×R22を指標として算出する。
【0152】
逆に、ある時刻tを時刻境界としたときにN11<N21となった場合は、配列X1は主に統計的クラスタC2に所属し、配列データX2は主に統計的クラスタC1に属するとして、推定部111は占有率R12とR21との積R2(t) = R12×R21を指標として算出する。
【0153】
指標R2(t)は時刻tの関数になる。推定部111は、指標R2(t)が最大となる時刻t_maxをクラスタC1、C2の境界となる境界時刻として特定し、その境界時刻を装置の設定が変更された時点の推定値として出力する。
【0154】
なお、この例では統計的クラスタの個数が2つの場合を例にして説明したが、統計的クラスタの個数が任意個数の場合でも、装置の設定が変更された時点の推定値を同様に得ることができる。また、統計的クラスタの個数を2つに固定してステップS917の推定値を算出し、その推定値を境にして分割した2つの時系列データに図10の処理を再帰的に適用してもよい。
【0155】
以上により、本実施形態に係るステップS402の推定処理の基本的な処理を終える。
【0156】
上記した本実施形態では、クラスタ分析の対象となる監視項目が装置設定変更変数に限定されず、任意の監視項目をクラスタ分析の対象とし得る。そのため、複数の監視項目を分類して制御系変数分類表を作成する知識がユーザにない場合、装置設定変更変数がない場合、及び保守部品の交換が監視項目に反映されない場合であっても、装置の設定が変更された時点を推定することが可能となる。
【0157】
また、本実施形態では、装置設定変更変数の急変時点として時系列データに明確に顕現している装置状態の変化点以外に、時系列データの全体を各データ間の距離の視点から俯瞰しないと得られないような境界時刻を検出できる。そのため、本実施形態では、時系列データに表れる未知の変化を捕らえることができる。
【0158】
なお、このような未知の変化を示す境界時刻を検出したときに、劣化予測装置100が発報装置109に発報を指示してもよい。これにより、装置の未知の異常に対してユーザが早期に対策することができる。
【0159】
また、第1実施形態の図9に従って装置の設定が変更された時刻を推定し、その時刻を境界とする期間に時系列データを分割して、各期間の時系列データに本実施形態を適用してもよい。これにより、装置の設定が変更された時刻を更に精度良く推定することが可能となる。
【0160】
本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0161】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0162】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、判定テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、HDD、SSD等の記憶装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)カード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0163】
100…劣化予測装置、101…データ入力装置、102…記憶装置、108…表示装置、109…発報装置、111…推定部、112…分割部、113…弁別部、120…劣化予測部、121…トレンド成分診断部、122…インパルス成分診断部、123…脈動成分診断部、124…ランダム成分診断部、200…走査型電子顕微鏡装置、202…電子線、203…信号電子、204a~204c…コイルレンズ、205…真空ポンプ、206…半導体試料、207…検出器、300…電子銃、301…電子源、302…フィラメント、303、304…電極、500、520、700、720…グラフ、501…時系列データ、501…履歴プロット、502…上限閾値、503…下限閾値、505…第1の期間、507…第2の期間、509…第3の期間、521…時系列データ、522…上限閾値、523…下限閾値、600…トレンド成分テーブル、601~604…折れ線回帰モデル使用テーブル、701~703…予測プロット、721…トレンド成分、800…劣化予測画面、801…開始時点、802…終了時点、803…装置プルダウンリスト、804…劣化予測実行ボタン、805…判定結果表示ボックス、806…監視項目プルダウンリスト、807…劣化予測プロット領域、808…設定変更時点表示ボックス、809…管理限界到達時点表示ボックス、810…猶予期間表示ボックス、811…保守計画予定時点表示ボックス、812…保守計画スケジュールボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10