IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新光電気工業株式会社の特許一覧

特開2024-5396積層体の製造装置及び積層体の製造方法
<>
  • 特開-積層体の製造装置及び積層体の製造方法 図1
  • 特開-積層体の製造装置及び積層体の製造方法 図2
  • 特開-積層体の製造装置及び積層体の製造方法 図3
  • 特開-積層体の製造装置及び積層体の製造方法 図4
  • 特開-積層体の製造装置及び積層体の製造方法 図5
  • 特開-積層体の製造装置及び積層体の製造方法 図6
  • 特開-積層体の製造装置及び積層体の製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005396
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】積層体の製造装置及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/10 20060101AFI20240110BHJP
   B29C 43/14 20060101ALI20240110BHJP
   B29C 43/32 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B32B37/10
B29C43/14
B29C43/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105560
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】横嶌 充
(72)【発明者】
【氏名】春日 崇志
【テーマコード(参考)】
4F100
4F204
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01E
4F100AL09
4F100AT00
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA06
4F100DC21B
4F100DC21D
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100JG01B
4F100JG01D
4F100JG04A
4F100JG04E
4F100JK01
4F100JK11
4F204AC03
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH36
4F204AJ01
4F204AJ09
4F204AM28
4F204AR12
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB22
4F204FG02
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な平坦性の確保及び生産性の向上を両立することができる積層体の製造装置及び積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、前記基材に積層されたフィルムと、を含む第1仮積層体を、前記フィルムに第1押圧部材を接触させながら、前記第1仮積層体の積層方向に平行な第1方向に押圧する第1プレス機と、さらに前記フィルムに第2押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧する第2プレス機と、さらにフィルムに第3押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧する第3プレス機と、さらに、前記フィルムに第4押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧する第4プレス機とを有し、前記第3押圧部材の前記第1方向における剛性は、前記第2押圧部材の前記第1方向における剛性よりも高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に積層されたフィルムと、を含む第1仮積層体を、前記フィルムに第1押圧部材を接触させながら、前記第1仮積層体の積層方向に平行な第1方向に押圧して第2仮積層体を形成する第1プレス機と、
前記第2仮積層体を、前記フィルムに第2押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧して第3仮積層体を形成する第2プレス機と、
前記第3仮積層体を、前記フィルムに第3押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧して第4仮積層体を形成する第3プレス機と、
前記第4仮積層体を、前記フィルムに第4押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧する第4プレス機と、
を有し、
前記第1押圧部材は、
第1熱盤と、
前記第1熱盤に固定され、前記フィルムに接触する樹脂製弾性部材と、
を有し、
前記第2押圧部材は、
第2熱盤と、
前記フィルムに接触する第1金属板と、
前記第2熱盤と前記第1金属板との間に設けられた第1緩衝材と、
を有し、
前記第3押圧部材は、
第3熱盤と、
前記フィルムに接触する第2金属板と、
前記第3熱盤と前記第2金属板との間に設けられた第2緩衝材と、
を有し、
前記第4押圧部材は、
第4熱盤と、
前記第4熱盤に直接固定され、前記フィルムに接触する第3金属板と、
を有し、
前記第3押圧部材の前記第1方向における剛性は、前記第2押圧部材の前記第1方向における剛性よりも高い積層体の製造装置。
【請求項2】
前記第2緩衝材の前記第1方向における剛性は、前記第1緩衝材の前記第1方向における剛性よりも高い請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項3】
前記第2金属板の前記第1方向における寸法は、前記第1金属板の前記第1方向における寸法よりも大きい請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項4】
前記第2緩衝材の前記第1方向における剛性は、前記第1緩衝材の前記第1方向における剛性よりも高く、
前記第2金属板の前記第1方向における寸法は、前記第1金属板の前記第1方向における寸法よりも大きい請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項5】
前記第4プレス機は、サーボプレス機である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体の製造装置。
【請求項6】
前記第1プレス機、前記第2プレス機及び前記第3プレス機は、油圧プレス機又はエアープレス機である請求項5に記載の積層体の製造装置。
【請求項7】
前記第3プレス機は、前記第4仮積層体の厚さを測定するセンサを有する請求項5に記載の積層体の製造装置。
【請求項8】
基材と、前記基材に積層されたフィルムと、を含む第1仮積層体を、前記フィルムに第1押圧部材を接触させながら、前記第1仮積層体の積層方向に平行な第1方向に押圧して第2仮積層体を形成する工程と、
前記第2仮積層体を、前記フィルムに第2押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧して第3仮積層体を形成する工程と、
前記第3仮積層体を、前記フィルムに第3押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧して第4仮積層体を形成する工程と、
前記第4仮積層体を、前記フィルムに第4押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧する工程と、
を有し、
前記第1押圧部材は、
第1熱盤と、
前記第1熱盤に固定され、前記フィルムに接触する樹脂製弾性部材と、
を有し、
前記第2押圧部材は、
第2熱盤と、
前記フィルムに接触する第1金属板と、
前記第2熱盤と前記第1金属板との間に設けられた第1緩衝材と、
を有し、
前記第3押圧部材は、
第3熱盤と、
前記フィルムに接触する第2金属板と、
前記第3熱盤と前記第2金属板との間に設けられた第2緩衝材と、
を有し、
前記第4押圧部材は、
第4熱盤と、
前記第4熱盤に直接固定され、前記フィルムに接触する第3金属板と、
を有し、
前記第3押圧部材の前記第1方向における剛性は、前記第2押圧部材の前記第1方向における剛性よりも高い積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体の製造装置及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の上に樹脂フィルムを積層するために3段階の平面プレスを行う積層装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1には、3段階目の平面プレスにサーボモータを用いることが記載されている。特許文献1には、3段階目の平面プレスに緩衝材を用いないことや、緩衝材を用いる場合は2段階目の平面プレスよりも緩衝効果が低い緩衝材を用いること記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-28980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置において、3段階目の平面プレスに緩衝効果が低い緩衝材を用いる場合、樹脂フィルムの表面に良好な平坦性を得にくい。また、3段階目の平面プレスに緩衝材を用いない場合であっても、3段階目の平面プレスにかかる時間が長く、生産性の向上が困難である。特許文献1に記載された装置を用いる場合、3段階目の平面プレスにかける時間を短くすると、緩衝材を用いないとしても、樹脂フィルムの表面に良好な平坦性を得にくい。
【0005】
本開示は、良好な平坦性の確保及び生産性の向上を両立することができる積層体の製造装置及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、基材と、前記基材に積層されたフィルムと、を含む第1仮積層体を、前記フィルムに第1押圧部材を接触させながら、前記第1仮積層体の積層方向に平行な第1方向に押圧して第2仮積層体を形成する第1プレス機と、前記第2仮積層体を、前記フィルムに第2押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧して第3仮積層体を形成する第2プレス機と、前記第3仮積層体を、前記フィルムに第3押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧して第4仮積層体を形成する第3プレス機と、前記第4仮積層体を、前記フィルムに第4押圧部材を接触させながら前記第1方向に押圧する第4プレス機と、を有し、前記第1押圧部材は、第1熱盤と、前記第1熱盤に固定され、前記フィルムに接触する樹脂製弾性部材と、を有し、前記第2押圧部材は、第2熱盤と、前記フィルムに接触する第1金属板と、前記第2熱盤と前記第1金属板との間に設けられた第1緩衝材と、を有し、前記第3押圧部材は、第3熱盤と、前記フィルムに接触する第2金属板と、前記第3熱盤と前記第2金属板との間に設けられた第2緩衝材と、を有し、前記第4押圧部材は、第4熱盤と、前記第4熱盤に直接固定され、前記フィルムに接触する第3金属板と、を有し、前記第3押圧部材の前記第1方向における剛性は、前記第2押圧部材の前記第1方向における剛性よりも高い積層体の製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示に技術によれば、良好な平坦性の確保及び生産性の向上を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る積層体の製造装置を例示する図である。
図2】第1実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図(その1)である。
図3】第1実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図(その2)である。
図4】第1実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図(その3)である。
図5】第1実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図(その4)である。
図6】第1実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図(その5)である。
図7】第2実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る積層体の製造装置について説明する。図1は、第1実施形態に係る積層体の製造装置を例示する図である。図2図6は、第1実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図である。
【0011】
第1実施形態に係る積層体の製造装置1は、図1に示されるように、第1プレス機91と、第2プレス機92と、第3プレス機93と、第4プレス機94と、投入部95と、受取部96とを有する。図2図6に示されるように、第1プレス機91は第1仮積層体51から第2仮積層体52を形成し、第2プレス機92は第2仮積層体52から第3仮積層体53を形成し、第3プレス機93は第3仮積層体53から第4仮積層体54を形成する。第4プレス機94は第4仮積層体54から積層体55を形成する。投入部95は、第1プレス機91によりプレスされる第1仮積層体51が外部から投入される部分であり、第1仮積層体51が投入されると、第1プレス機91に受け渡す。受取部96は、第4プレス機94により形成された積層体55を受け取る部分であり、受取部96から外部へと積層体55が取り出される。
【0012】
図6に示されるように、製造装置1により製造される積層体55は、基材30と、フィルム41と、フィルム42とを有する。基材30は、フィルム41とフィルム42との間にある。積層体55は、例えば配線基板に用いられる。本実施形態では、便宜上、基材30のフィルム41側を上側又は一方の側、フィルム42側を下側又は他方の側とする。また、各部位のフィルム41側の面を上面又は一方の面、フィルム42側の面を下面又は他方の面とする。但し、積層体55は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。
【0013】
基材30は、コア10と、配線層21と、配線層22とを有する。配線層21はコア10の一方の面に設けられている。配線層21は配線パターンを含み、コア10の一方の面の一部が配線層21から露出している。配線層22はコア10の他方の面に設けられている。配線層22は配線パターンを含み、コア10の他方の面の一部が配線層22から露出している。基材30の一方の面には配線層21の配線パターンに起因する凹凸が存在し、基材30の他方の面には配線層22の配線パターンに起因する凹凸が存在する。
【0014】
フィルム41及び42は、例えば絶縁樹脂フィルムであり、絶縁層として機能する。フィルム41は基材30の一方の面を覆い、基材30の一方の面の凹部を埋める。フィルム42は基材30の他方の面を覆い、基材30の他方の面の凹部を埋める。
【0015】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、第1プレス機91は、上側プレート111と、下側プレート121と、互いに平行な複数の駆動軸150と、上側押圧部材110と、下側押圧部材120とを有する。上側プレート111及び下側プレート121は駆動軸150により支持されている。上側プレート111の下面と下側プレート121の上面とは互いに平行であり、互いに対向している。例えば、上側プレート111が駆動軸150に固定され、下側プレート121は駆動軸150に沿って上下に移動可能に駆動軸150に支持されている。下側プレート121は、例えば油圧シリンダを用いて駆動される。下側プレート121がエアシリンダを用いて駆動されてもよい。すなわち、第1プレス機91は、例えば油圧プレス機又はエアープレス機である。上下方向は第1方向の一例である。
【0016】
上側押圧部材110は、熱盤112と、金属板113と、樹脂製弾性部材114とを有する。樹脂製弾性部材114が金属板113に固定され、金属板113が熱盤112に固定されている。熱盤112が上側プレート111の下面に取り付けられる。熱盤112は、金属板113を介して樹脂製弾性部材114を加熱するヒータを含む。ヒータは、例えばシーズヒータである。金属板113は、例えばステンレス板である。樹脂製弾性部材114の材料は、例えばゴムである。樹脂製弾性部材114の下面が第1仮積層体51の上面に接触する。上側押圧部材110は第1押圧部材の一例である。熱盤112は第1熱盤の一例である。
【0017】
下側押圧部材120は、熱盤122と、金属板123と、樹脂製弾性部材124とを有する。樹脂製弾性部材124が金属板123に固定され、金属板123が熱盤122に固定されている。熱盤122が下側プレート121の上面に取り付けられる。熱盤122、金属板123、樹脂製弾性部材124の構成は、それぞれ熱盤112、金属板113、樹脂製弾性部材114の構成と同様である。樹脂製弾性部材124の上面が第1仮積層体51の下面に接触する。下側押圧部材120は第1押圧部材の一例である。熱盤122は第1熱盤の一例である。
【0018】
図2(a)に示されるように、第1プレス機91においては、投入部95から搬送されてきた第1仮積層体51が樹脂製弾性部材114と樹脂製弾性部材124との間に配置される。例えば、フィルム42の下面が樹脂製弾性部材124の上面に接触するように第1仮積層体51が下側押圧部材120の上に載置される。第1プレス機91によるプレスが行われる前の段階では、フィルム41は、配線層21の上面に接するように基材30に積層されているが、基材30の上面の凹部を埋めていない。また、フィルム42は、配線層22の下面に接するように基材30に積層されているが、基材30の下面の凹部を埋めていない。
【0019】
第1仮積層体51が樹脂製弾性部材114と樹脂製弾性部材124との間に配置された後、図2(b)に示されるように、下側プレート121が上昇し、フィルム41の上面が樹脂製弾性部材114の下面に接触する。更に下側プレート121が上昇すると、樹脂製弾性部材114が基材30の上面の凹凸に沿って弾性変形し、樹脂製弾性部材124が基材30の下面の凹凸に沿って弾性変形しながら、第1仮積層体51が押圧される。この結果、フィルム41が基材30の上面の凹部に入り込み、フィルム42が基材30の下面の凹部に入り込む。
【0020】
このようにして、第2仮積層体52が形成される。第2仮積層体52においては、フィルム41が基材30の上面の凹部を埋め、フィルム42が基材30の下面の凹部を埋める。また、フィルム41の上面には、基材30の上面の凹凸を反映した凹凸が存在し、フィルム42の下面には、基材30の下面の凹凸を反映した凹凸が存在する。
【0021】
その後、下側プレート121が下降し、第2仮積層体52が第2プレス機92へと搬送される。
【0022】
図3(a)及び図3(b)に示されるように、第2プレス機92は、上側プレート211と、下側プレート221と、互いに平行な複数の駆動軸250と、上側押圧部材210と、下側押圧部材220とを有する。上側プレート211及び下側プレート221は駆動軸250により支持されている。上側プレート211の下面と下側プレート221の上面とは互いに平行であり、互いに対向している。例えば、上側プレート211が駆動軸250に固定され、下側プレート221は駆動軸250に沿って上下に移動可能に駆動軸250に支持されている。下側プレート221は、例えば油圧シリンダを用いて駆動される。下側プレート221がエアシリンダを用いて駆動されてもよい。すなわち、第2プレス機92は、例えば油圧プレス機又はエアープレス機である。
【0023】
上側押圧部材210は、熱盤212と、緩衝材213と、金属板214とを有する。金属板214は緩衝材213を介して熱盤212に固定されている。熱盤212が上側プレート211の下面に取り付けられる。熱盤212は、緩衝材213を介して金属板214を加熱するヒータを含む。ヒータは、例えばシーズヒータである。緩衝材213は、例えばゴム及びアラミド繊維を含む複合材料を有する。緩衝材213の厚さは、例えば2.0mm~2.5mmである。金属板214は、例えばステンレス板である。金属板214の厚さは、例えば1mm~2mmである。金属板214の下面が第2仮積層体52の上面に接触する。上側押圧部材210は第2押圧部材の一例である。熱盤212は第2熱盤の一例であり、緩衝材213は第1緩衝材の一例であり、金属板214は第1金属板の一例である。
【0024】
下側押圧部材220は、熱盤222と、緩衝材223と、金属板224とを有する。金属板224は緩衝材223を介して熱盤222に固定されている。熱盤222が下側プレート221の上面に取り付けられる。熱盤222、緩衝材223、金属板224の構成は、それぞれ熱盤212、緩衝材213、金属板214の構成と同様である。金属板224の上面が第2仮積層体52の下面に接触する。下側押圧部材220は第2押圧部材の一例である。熱盤222は第2熱盤の一例であり、緩衝材223は第1緩衝材の一例であり、金属板224は第1金属板の一例である。
【0025】
図3(a)に示されるように、第2プレス機92においては、第2仮積層体52が金属板214と金属板224との間に配置される。例えば、フィルム42の下面が金属板224の上面に接触するように第2仮積層体52が下側押圧部材220の上に載置される。
【0026】
第2仮積層体52が金属板214と金属板224との間に配置された後、図3(b)に示されるように、下側プレート221が上昇し、フィルム41の上面が金属板214の下面に接触する。更に下側プレート221が上昇すると、金属板214及び緩衝材213が基材30の上面の凹凸に沿って弾性変形し、金属板224及び緩衝材223が基材30の下面の凹凸に沿って弾性変形しながら、第2仮積層体52が押圧される。この結果、基材30の上面の凹凸及び下面の凹凸が緩和される。
【0027】
このようにして、第3仮積層体53が形成される。第3仮積層体53においては、第2仮積層体52と比較して、フィルム41の上面及びフィルム42の下面の平坦性が高い。
【0028】
その後、下側プレート221が下降し、第3仮積層体53が第3プレス機93へと搬送される。
【0029】
図4(a)及び図4(b)に示されるように、第3プレス機93は、上側プレート311と、下側プレート321と、互いに平行な複数の駆動軸350と、上側押圧部材310と、下側押圧部材320とを有する。上側プレート311及び下側プレート321は駆動軸350により支持されている。上側プレート311の下面と下側プレート321の上面とは互いに平行であり、互いに対向している。例えば、上側プレート311が駆動軸350に固定され、下側プレート321は駆動軸350に沿って上下に移動可能に駆動軸350に支持されている。下側プレート321は、例えば油圧シリンダを用いて駆動される。下側プレート321がエアシリンダを用いて駆動されてもよい。すなわち、第3プレス機93は、例えば油圧プレス機又はエアープレス機である。
【0030】
上側押圧部材310は、熱盤312と、緩衝材313と、金属板314とを有する。金属板314は緩衝材313を介して熱盤312に固定されている。熱盤312が上側プレート311の下面に取り付けられる。熱盤312は、緩衝材313を介して金属板314を加熱するヒータを含む。ヒータは、例えばシーズヒータである。熱盤312、金属板314の構成は、それぞれ熱盤212、金属板214の構成と同様である。一方、緩衝材313の構成は緩衝材213の構成とは異なり、緩衝材313の上下方向における剛性は、緩衝材213の上下方向における剛性よりも高い。従って、上側押圧部材310の上下方向における剛性は、上側押圧部材210の上下方向における剛性よりも高い。緩衝材313は、例えばゴム及びフッ素樹脂の混合物を含む複合材料又はゴム及びガラス繊維を含む複合材料を有する。緩衝材313の厚さは、例えば0.5mm~1.0mmである。金属板314の下面が第3仮積層体53の上面に接触する。上側押圧部材310は第3押圧部材の一例である。熱盤312は第3熱盤の一例であり、緩衝材313は第2緩衝材の一例であり、金属板314は第2金属板の一例である。
【0031】
下側押圧部材320は、熱盤322と、緩衝材323と、金属板324とを有する。金属板324は緩衝材323を介して熱盤322に固定されている。熱盤322が下側プレート321の上面に取り付けられる。熱盤322、緩衝材323、金属板324の構成は、それぞれ熱盤312、緩衝材313、金属板314の構成と同様である。金属板324の上面が第3仮積層体53の下面に接触する。下側押圧部材320は第3押圧部材の一例である。熱盤322は第3熱盤の一例であり、緩衝材323は第2緩衝材の一例であり、金属板324は第2金属板の一例である。
【0032】
図4(a)に示されるように、第3プレス機93においては、第3仮積層体53が金属板314と金属板324との間に配置される。例えば、フィルム42の下面が金属板324の上面に接触するように第3仮積層体53が下側押圧部材320の上に載置される。
【0033】
第3仮積層体53が金属板314と金属板324との間に配置された後、図4(b)に示されるように、下側プレート321が上昇し、フィルム41の上面が金属板314の下面に接触する。更に下側プレート321が上昇すると、金属板314及び緩衝材313が基材30の上面の凹凸に沿って弾性変形し、金属板324及び緩衝材323が基材30の下面の凹凸に沿って弾性変形しながら、第3仮積層体53が押圧される。この結果、基材30の上面の凹凸及び下面の凹凸が更に緩和される。
【0034】
このようにして、第4仮積層体54が形成される。第4仮積層体54においては、第3仮積層体53と比較して、フィルム41の上面及びフィルム42の下面の平坦性が高い。
【0035】
その後、下側プレート321が下降し、第4仮積層体54が第4プレス機94へと搬送される。
【0036】
図5(a)及び図5(b)に示されるように、第4プレス機94は、上側プレート411と、下側プレート421と、互いに平行な複数の駆動軸450と、上側押圧部材410と、下側押圧部材420とを有する。上側プレート411及び下側プレート421は駆動軸450により支持されている。上側プレート411の下面と下側プレート421の上面とは互いに平行であり、互いに対向している。例えば、上側プレート411が駆動軸450に固定され、下側プレート421は駆動軸450に沿って上下に移動可能に駆動軸450に支持されている。下側プレート421は、例えばサーボモータを用いて駆動される。すなわち、第4プレス機94は、例えばサーボプレス機である。
【0037】
上側押圧部材410は、熱盤412と、金属板414とを有する。金属板414は緩衝材を介さずに熱盤412に直接固定されている。金属板414は、例えばネジを用いて機械的に熱盤412に固定されている。熱盤412が上側プレート411の下面に取り付けられる。熱盤412は、金属板414を加熱するヒータを含む。ヒータは、例えばシーズヒータである。金属板414は、例えばステンレス板である。金属板414の下面が第4仮積層体54の上面に接触する。金属板414の下面の少なくとも第4仮積層体54の上面に接触する領域は平坦である。上側押圧部材410は第4押圧部材の一例である。熱盤412は第4熱盤の一例であり、金属板414は第3金属板の一例である。
【0038】
下側押圧部材420は、熱盤422と、金属板424とを有する。金属板424は緩衝材を介さずに熱盤422に直接固定されている。金属板424は、例えばネジを用いて機械的に熱盤422に固定されている。熱盤422が下側プレート421の上面に取り付けられる。熱盤422、金属板424の構成は、それぞれ熱盤412、金属板414の構成と同様である。金属板424の上面が第4仮積層体54の下面に接触する。金属板424の上面の少なくとも第4仮積層体54の下面に接触する領域は平坦である。下側押圧部材420は第4押圧部材の一例である。熱盤422は第4熱盤の一例であり、金属板424は第3金属板の一例である。
【0039】
図5(a)に示されるように、第4プレス機94においては、第4仮積層体54が金属板414と金属板424との間に配置される。例えば、フィルム42の下面が金属板424の上面に接触するように第4仮積層体54が下側押圧部材420の上に載置される。
【0040】
第4仮積層体54が金属板414と金属板424との間に配置された後、図5(b)に示されるように、下側プレート421が上昇し、フィルム41の上面が金属板414の下面に接触する。更に下側プレート421が上昇すると、第4仮積層体54が押圧される。この時、上側押圧部材410及び下側押圧部材420が緩衝材を含まないため、金属板414及び424は実質的に変形しない。この結果、基材30の上面の凹凸及び下面の凹凸が更に緩和される。
【0041】
このようにして、積層体55が形成される。積層体55においては、第4仮積層体54と比較して、フィルム41の上面及びフィルム42の下面の平坦性が高い。金属板414及び424が実質的に変形しないため、フィルム41の上面及びフィルム42の下面は実質的に平坦になる。
【0042】
その後、下側プレート421が下降し、積層体55が受取部96へと搬送され、外部へと取り出し可能となる。
【0043】
なお、第4プレス機94におけるプレスでは、フィルム41の上面が金属板414の下面に接触する直前までは、第1速度で下側プレート421が上昇し、その後に、第1速度よりも低い第2速度で下側プレート421が上昇する。第2速度での上昇の間に、フィルム41の上面が金属板414の下面に接触し、第4仮積層体54が押圧される。つまり、フィルム41の上面が金属板414の下面に接触し、第4仮積層体54が押圧される際には、下側プレート421の位置が少しずつ調整される。これは、フィルム41の上面及びフィルム42の下面に良好な平坦性を得るためである。第2速度での上昇の時間は、第4プレス機94におけるフィルム41及び42の変形量に依存する。なお、第1速度及び第2速度は、いずれも一定である必要はなく、例えば、第2速度はフィルム41及び42からの反力に応じて変化させてもよい。
【0044】
第1実施形態によれば、第4プレス機94において、金属板414が熱盤412に直接固定され、金属板424が熱盤422に直接固定されているため、金属板414及び424が実質的に変形しない。従って、フィルム41の上面及びフィルム42の下面が実質的に平坦になる。
【0045】
また、第1プレス機91、第2プレス機92及び第3プレス機93によるプレスを経て形成された第4仮積層体54では、フィルム41の上面及びフィルム42の下面が平坦ではないとしても、それらの平坦性は高くなっている。このため、第4プレス機94におけるフィルム41及び42の変形量は小さくてよい。従って、第4プレス機94における第2速度での下側プレート421の上昇の時間を抑制できる。
【0046】
仮に、第3プレス機93によるプレスを省略して、第2プレス機92により形成された第3仮積層体53を第4プレス機94にてプレスし、本実施形態と同等の平坦性を得ようとする場合、第4プレス機94におけるフィルム41及び42の変形量は大きくする必要がある。この場合、第4プレス機94によるプレスに要する時間が長くなる。
【0047】
例えば、本実施形態において、第1プレス機91によるプレスに要する時間が60秒間、第2プレス機92によるプレスに要する時間が60秒間、第3プレス機93によるプレスに要する時間が60秒間、第4プレス機94によるプレスに要する時間が60秒間であるとする。これに対し、上記のように第3プレス機93によるプレスを省略した場合には、第4プレス機94によるプレスに要する時間が長く、例えば75秒間となる。一つの第2仮積層体52が第1プレス機91から第2プレス機92に搬送された後には、第2プレス機92によるプレスと同時に、第1プレス機91により他の新たな第1仮積層体51のプレスを行うことができる。後段のプレス機についても同様である。従って、上記の例では、本実施形態に係る製造装置1を用いる場合には、60秒ごとに積層体55が受取部96から取り出し可能になるのに対し、第3プレス機93によるプレスを省略した装置を用いる場合には、75秒ごとに積層体55が受取部96から取り出し可能になる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、フィルム41の上面及びフィルム42の下面に良好な平坦性を確保しながら、生産性を向上することができる。
【0049】
また、第2プレス機92と第3プレス機93との間での主な構造上の相違点は押圧部材の構成であるため、第2プレス機92又は第3プレス機93の一方の設計情報があれば、他方の設計は容易である。
【0050】
積層体の製造装置1は、第4プレス機94に搬送される第4仮積層体54の厚さを測定するセンサを有することが好ましい。この場合、第4プレス機94は、センサによる測定結果に応じて、第1速度での下側プレート421の上昇の停止位置をより適切な位置、言い換えると、フィルム41と金属板414との間の距離がより短くなる位置に調整することができる。従って、第2速度での上昇に要する時間を短縮し、生産性をより向上することが可能となる。
【0051】
上記のセンサは、例えば、第3プレス機93に設けられ、第3プレス機93でのプレス後の上側押圧部材310と下側押圧部材320との間の距離に基づいて、第4仮積層体54の厚さを測定する。第4仮積層体54の厚さは、第4プレス機94でのプレス開始の直前に測定することも考えられるが、ワーク(第1仮積層体51、第2仮積層体52、第3仮積層体53、第4仮積層体54及び積層体55)は、製造装置1内では、搬送用フィルム(図示せず)に挟まれて搬送される。このため、ワークの厚さを直接測定することは困難である。これに対し、プレス後の上側押圧部材310と下側押圧部材320との間の距離を測定すれば、既知の搬送用フィルムの厚さを差し引くことで第4仮積層体54の厚さを特定することができる。
【0052】
本実施形態では、緩衝材313、323の上下方向における剛性は、それぞれ緩衝材213、223の上下方向における剛性よりも高い。このため、緩衝材313、323は緩衝材213、223よりも上下方向で変形しにくく、プレス後の上側押圧部材310と下側押圧部材320との間の距離は、第2プレス機92でのプレス後の上側押圧部材210と下側押圧部材220との間の距離よりも変動しにくい。このため、第2プレス機92でのプレス後の第3仮積層体53の厚さよりも高精度で測定することができる。従って、仮に、第3プレス機93によるプレスを省略し、第3仮積層体53の厚さの測定結果に応じて、第1速度での下側プレート421の上昇の停止位置を調整する場合と比較して、下側プレート421の上昇の停止位置をより適切な位置、言い換えると、フィルム41と金属板414との間の距離がより短くなる位置に調整することができる。従って、第2速度での上昇に要する時間を短縮し、生産性をより向上することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る積層体の製造装置について説明する。第2実施形態は、主として、第3プレス機93の構成の点で第1実施形態と相違する。図7は、第2実施形態に係る積層体の製造装置を用いた積層体の製造方法を例示する図である。
【0054】
第2実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示されるように、第3プレス機93は、上側押圧部材310に代えて上側押圧部材330を有し、下側押圧部材320に代えて下側押圧部材340を有する。
【0055】
上側押圧部材330は、熱盤312と、緩衝材333と、金属板334とを有する。金属板334は緩衝材333を介して熱盤312に固定されている。熱盤312が上側プレート311の下面に取り付けられる。緩衝材333の構成は緩衝材213の構成と同様である。一方、金属板334の構成は金属板214の構成とは異なり、金属板334の材料は金属板214の材料と同様であるが、金属板334の上下方向における寸法(厚さ)は、金属板214の上下方向における寸法(厚さ)よりも大きい。従って、上側押圧部材330の上下方向における剛性は、上側押圧部材310の上下方向における剛性よりも高い。金属板334の厚さは、例えば2mm~5mmである。金属板334の下面が第3仮積層体53の上面に接触する。上側押圧部材330は第3押圧部材の一例である。緩衝材333は第2緩衝材の一例であり、金属板334は第2金属板の一例である。
【0056】
下側押圧部材340は、熱盤322と、緩衝材343と、金属板344とを有する。金属板344は緩衝材343を介して熱盤322に固定されている。熱盤322が下側プレート321の上面に取り付けられる。熱盤322、緩衝材343、金属板344の構成は、それぞれ熱盤312、緩衝材333、金属板334の構成と同様である。金属板334の上面が第3仮積層体53の下面に接触する。下側押圧部材340は第3押圧部材の一例である。緩衝材343は第2緩衝材の一例であり、金属板344は第2金属板の一例である。
【0057】
図7(a)に示されるように、第3プレス機93においては、第3仮積層体53が金属板334と金属板344との間に配置される。例えば、フィルム42の下面が金属板344の上面に接触するように第3仮積層体53が下側押圧部材340の上に載置される。
【0058】
第3仮積層体53が金属板334と金属板344との間に配置された後、図7(b)に示されるように、下側プレート321が上昇し、フィルム41の上面が金属板334の下面に接触する。更に下側プレート321が上昇すると、金属板334及び緩衝材333が基材30の上面の凹凸に沿って弾性変形し、金属板344及び緩衝材343が基材30の下面の凹凸に沿って弾性変形しながら、第3仮積層体53が押圧される。この結果、第1実施形態と同様に、基材30の上面の凹凸及び下面の凹凸が更に緩和される。
【0059】
このようにして、第4仮積層体54が形成される。
【0060】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0061】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
第2実施形態の緩衝材333、343に代えて、それぞれ第1実施形態の緩衝材313、323が用いられてもよい。つまり、第3プレス機93の上側押圧部材に、緩衝材313と金属板334との組み合わせが用いられ、下側押圧部材に、緩衝材323と金属板344との組み合わせが用いられてもよい。第3プレス機93の上側押圧部材及び下側押圧部材の上下方向における剛性をより高くすることができる。
【0063】
なお、図6に示す積層体55に含まれる配線層及びフィルムの数は、コア層の一方の側及び他方の側で1ずつであるが、この積層体55に更に配線層を加えたものを基材とし、製造装置1を用いて他のフィルムを積層し、新たな積層体としてもよい。このような処理を繰り返すことにより、より多くの配線層及びフィルム(絶縁層)を含む配線基板を製造することができる。
【0064】
また、第1プレス機91と第4プレス機94との間に、3以上のプレス機が含まれてもよい。この場合も、後段のプレス機ほど、上側押圧部材及び下側押圧部材の上下方向における剛性が高くなるようにする。
【0065】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 製造装置
30 基材
41、42 フィルム
51、52、53、54 仮積層体
55 積層体
91、92、93、94 プレス機
110、120、210、220、310、320、330、340、410、420 押圧部材
111、121、211、221、311、321、411、421 プレート
112、122、212、222、312、322、412、422 熱盤
113、123、214、224、314、324、334、344、414、424 金属板
114、124 樹脂製弾性部材
150、250、350、450 駆動軸
213、223、313、323、333、343 緩衝材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7