(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054420
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240409BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240409BHJP
H04M 3/56 20060101ALI20240409BHJP
H04M 1/72415 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
H04Q9/00 321B
H04Q9/00 311G
H04M11/00 301
H04M3/56
H04M1/72415
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030152
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2020034339の分割
【原出願日】2020-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀内 岳志
(72)【発明者】
【氏名】荒海 雄一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤
(57)【要約】
【課題】通信端末のロールに応じて操作を許可するかどうかを決定できる通信システムを提供すること。
【解決手段】移動装置20に搭載された第一の通信端末10B、前記移動装置を操作する第二の通信端末10A、及び、複数の第三の通信端末10Cが通信管理システム50を介して通信する通信システムであって、前記第一の通信端末、前記第二の通信端末、及び、前記複数の第三の通信端末は、自機のロールを前記通信管理システムに送信する通信部11を有し、前記通信管理システムが、所定の前記ロールの通信端末にのみ前記移動装置の操作権を与えるか、又は、操作コマンド及び前記ロールを受信した前記第一の通信端末が前記ロールに応じて操作を受け付けるか否かを判断することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動装置に搭載された第一の通信端末、前記移動装置を操作する第二の通信端末、及び、複数の第三の通信端末が通信管理システムを介して通信する通信システムであって、
前記第一の通信端末、前記第二の通信端末、及び、前記複数の第三の通信端末は、自機のロールを前記通信管理システムに送信する通信部を有し、
前記通信管理システムが、所定の前記ロールの通信端末にのみ前記移動装置の操作権を与えるか、又は、操作コマンド及び前記ロールを受信した前記第一の通信端末が前記ロールに応じて操作を受け付けるか否かを判断することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記ロールは、前記移動装置を操作する操作端末、又は、前記移動装置を操作しない非操作端末であり、
前記通信管理システムは、前記ロールが操作端末の通信端末にのみ前記移動装置の操作権を与えるか、又は、操作コマンド及び操作端末という前記ロールを受信した場合に、前記第一の通信端末が操作を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信部は、前記第一の通信端末、前記第二の通信端末、及び、前記複数の第三の通信端末の端末種別を前記通信管理システムに送信し、
前記通信管理システムは、前記第二の通信端末から受信した操作コマンドを、所定の前記端末種別の通信端末に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記端末種別は、前記移動装置に搭載されていることを示す情報か、又は、それ以外のユーザ端末であり、
前記通信管理システムは、通信端末から受信した前記操作コマンドを、前記端末種別が前記移動装置に搭載されていることを示す通信端末に送信することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第一の通信端末、及び、前記第三の通信端末は前記ロールが前記非操作端末であり、
前記第二の通信端末は前記ロールが前記操作端末であり、
前記第一の通信端末、及び、前記第三の通信端末は前記移動装置の操作を受け付けるボタンを表示せず、
前記第二の通信端末は前記移動装置の操作を受け付けるボタンを表示することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第一の通信端末は撮像部を有し、撮像部が撮像した画像を、第二の通信端末、及び、前記第三の通信端末に送信することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
更に、前記ロールを、前記移動装置を操作しない非操作端末とする、所定以上の大きさの画面を有する第四の通信端末を有し、
前記第一の通信端末は前記画像を前記第四の通信端末に送信することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
移動装置に搭載された第一の通信端末、前記移動装置を操作する第二の通信端末、及び、複数の第三の通信端末が通信管理システムを介して通信する通信システムの通信方法であって、
前記第一の通信端末、前記第二の通信端末、及び、前記複数の第三の通信端末の通信部が、それぞれ自機のロールを前記通信管理システムに送信するステップと、
前記通信管理システムが、所定の前記ロールの通信端末にのみ前記移動装置の操作権を与えるか、又は、操作コマンド及び前記ロールを受信した前記第一の通信端末が前記ロールに応じて操作を受け付けるか否かを判断するステップと、
を有することを特徴とする通信方法。
【請求項9】
移動装置に搭載された第一の通信端末、前記移動装置を操作する第二の通信端末、及び、複数の第三の通信端末と通信する通信管理システムを、
前記第一の通信端末、前記第二の通信端末、及び、前記複数の第三の通信端末から、自機のロールを受信する通信部と、
所定の前記ロールの通信端末にのみ前記移動装置の操作権を与える判断部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して、複数の拠点の間で通信端末が通信して、互いに映像や音声を送受信する通信システムが普及している。通信システムを利用すると遠隔地のユーザがコミュニケーションすることができ、例えばテレビ会議を開催できる。
【0003】
また、通信システムがロボットに適用されたテレプレゼンスロボットが知られている。テレプレゼンスロボットとは、「テレビ会議」と「遠隔操作技術」が組み合わされたロボットである。遠隔地からのリモートコントロールとロボット技術を組み合わせて、操作者が遠方からロボットを移動させる移動装置を操作し、ある場所で操作者が存在(プレゼンス)しているように振る舞わせる技術である。
【0004】
また、テレプレゼンスロボットは障碍者の自律支援の目的で利用されることも期待されている。このようなユースケースでは、障碍者が操作するロボットを介助するために、ロボットの傍と障碍者の傍にそれぞれ介助者が待機することが多い。介助者もテレプレゼンスロボットを操作する技術に関して、遠隔操作ロボットの特定機能に対する操作権限をもたない利用者が必要に応じて当該特定機能を遠隔で操作する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、テレプレゼンスロボットを遠隔操作する複数の利用者に対して、特定機能の遠隔操作を特定機能の操作権限を有する利用者に対してのみ許可する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の通信システムは、通信端末のロールに応じて操作を許可するかどうかを決定できないという問題があった。まず、従来のテレプレゼンスロボットではテレプレゼンスロボットと操作者のみでしか遠隔コミュニケーションができない。このため、従来、介助者同士は別の遠隔コミュニケーションシステムに端末装置を接続させたり、携帯電話などで会話したりしてコミュニケーションを取る必要があった。しかし、仮に介助者を含む他の通信端末をテレプレゼンスロボットと通信させた場合、操作者以外の通信端末がテレプレゼンスロボットを操作してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、通信端末のロールに応じて操作を許可するかどうかを決定できる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、移動装置に搭載された第一の通信端末、前記移動装置を操作する第二の通信端末、及び、複数の第三の通信端末が通信管理システムを介して通信する通信システムであって、前記第一の通信端末、前記第二の通信端末、及び、前記複数の第三の通信端末は、自機のロールを前記通信管理システムに送信する通信部を有し、前記通信管理システムが、所定の前記ロールの通信端末にのみ前記移動装置の操作権を与えるか、又は、操作コマンド及び前記ロールを受信した前記第一の通信端末が前記ロールに応じて操作を受け付けるか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
通信端末のロールに応じて操作を許可するかどうかを決定できる通信端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図3】通信端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】通信管理システムのハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】移動装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図6】通信システムが有する通信管理システム、通信端末10B、通信端末10A、及び、通信端末10Cの機能をブロック状に示す機能ブロック図である。
【
図7】各通信端末が通信を開始する手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図8】
図7の処理で説明した、ログイン時に通信端末が送信するデータの例である。
【
図9】
図7の処理で説明した、ログイン成功時に通信管理システムが通信端末に送信するデータの例である。
【
図10】通信端末が表示する通信中の画面例を示す図である。
【
図11】通信システムの構成例を示す図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、通信システムと通信システム1が行う通信方法について図面を参照しながら説明する。
【実施例0011】
<通信システムと通信端末の動作の概略>
まず、
図1を用いて通信システム1の概略を説明する。
図1(a)は、テレプレゼンスロボットを用いた通信システム1の概略構成図の一例を示す。社内801にテレプレゼンスロボットが配置されており、社内介助者842が存在する。自宅802に操作者810と自宅介助者841が存在している。テレプレゼンスロボットは移動装置20に搭載された通信端末10B(第一の通信端末の一例)を有している。また、操作者810は通信端末10A(第二の通信端末の一例)を有している。
【0012】
通信端末10A、10Bはそれぞれ平面撮像装置とマイクを有しており互いに映像と音声を送受信する。すなわち、通信端末10Bは正面映像831(又は/及び背面映像832)を通信端末10Aに送信し、通信端末10Aは正面映像831を通信端末10Bに送信する。
【0013】
また、通信端末10Aでは移動装置20の移動などに関する操作を受け付けるアプリケーションソフト(以下、アプリという)が動作しており、操作者810は通信端末10Bが送信する映像を確認しながら操作コマンドを入力する。操作者810が入力した操作コマンドは通信端末10Aから通信端末10Bに送信される。また、自宅介助者841は通信端末10C1(非操作端末)を有し、社内介助者842は通信端末10C2(非操作端末)を有する。非操作端末同士も通信ネットワーク2を介して通信することができる。
【0014】
通信端末10Bと移動装置20はBluetooth(登録商標)などの近距離無線で通信でき、通信端末10Bは操作コマンドに基づいて移動装置20を制御するので、操作者810は遠隔地(自宅)から移動装置20を移動させることができる。
【0015】
このようにして移動装置20を移動させることで、
図1(b)に示すように(自宅介助者841と社内介助者842は省略)、操作者810は所望の相手820と会話することができる。
図1(b)では、操作者810はAさん820aの場所まで移動装置20を移動させてAさんと会話し、次に、Bさん820bの場所まで移動装置20を移動させてBさんと会話している。
【0016】
人と会うだけでなく、操作者810は遠隔地にある店舗の商品を確認したり、工場を視察したり、展示会に参加したりするなど、現地に移動しなくても多くのことを遠隔地から行うことができる。
【0017】
<用語について>
操作者810は移動装置20を操作する者である。操作者810は通信端末10Aを使用するユーザでもあるが、本実施形態では操作者と称する。
【0018】
会話の相手820は社内などの人であるが、犬や猫などの動物でもよい。また、移動装置20は、操作者810が相手と話すために使用されなくてもよい。例えば、移動装置20が社内などをパトロールするような場合、通信端末10Bは映像や音声を通信端末10Aに送信すればよく、操作者が会話しない場合がある。
【0019】
移動装置20が移動する場所は移動装置20が移動可能な場所であればよい。また、モータなどの動力で移動する装置に限らず、人間が補助的に移動を補助してもよい。
【0020】
介助者とは身体上又は精神上の障碍によって日常生活を営むのに支障がある方が、身体的、精神的、また社会的に自立した生活を送ることができるように、健康面や生活面での介助や援助を行う者をいう。
【0021】
<システム構成例>
図2は、一実施形態に係る通信システム1の構成例を示す図である。通信システム1は、複数の通信端末(10A,10B1,10B2,10B3、10E、10C1、10C2)、移動装置20、中継装置30、及び、通信管理システム50等を有する。なお、以下の説明の中で、複数の通信端末(10A,10B1,10B2,10B3,10E、10C1、10C2)のうち、任意の通信端末を示す場合「通信端末10」を用いる。また、通信端末(10B1,10B2,10B3)のうち、任意の通信端末を示す場合「通信端末10B」を用いる。また、通信端末(10C1、10C2)のうち、任意の通信端末を示す場合「通信端末10C(第三の通信端末の一例)」を用いる。また、
図2の通信端末10の数は一例である。
【0022】
通信端末10、中継装置30、通信管理システム50は、それぞれ、通信ネットワーク2を介して、他の通信端末10、装置、システムとの間で通信可能に接続されている。通信ネットワーク2は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット、携帯電話網、あるいは専用線等を含んでいてもよい。
【0023】
通信端末10は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、PC(Personal Computer)等の汎用の情報処理装置、又は専用のテレビ会議装置等の通信端末である。通信端末10は、他の1つ以上の通信端末10との間で、例えば、画像データ、音声データ等を送受信することにより、例えば、テレビ会議等を行うことができる。
【0024】
通信端末10Aは、通信システム1に対応するアプリを実行することにより、通信端末10Bとテレビ会議を行うと共に、通信端末10Bを介して、移動装置20を遠隔操作することができる。例えば、通信端末10Aは、テレビ会議の表示画面に表示された操作ボタンを操作することにより、通信端末10Bを搭載した移動装置20を、例えば、前後、左右等に移動させることができる。なお、通信端末10Aはブラウザソフトを動作させることも可能であり、ブラウザソフトが映像を表示し、ブラウザソフトに対する移動装置20の操作を受け付けることもできる。
【0025】
移動装置20と通信端末10Bをテレプレゼンスロボットという。移動装置20は、移動装置20に取り付けられた通信端末10Bからの制御に応じて、例えば、複数の車輪を駆動することにより、「前進」、「後退」、「右旋回」、「左旋回」等の移動を行う走行機能を有する装置である。ユーザが左右への移動を指示した場合、「右旋回」後又は「左旋回」後に前進する。なお、
図2に示す移動装置20の外観はあくまで一例である。移動装置20は、移動装置20に搭載された通信端末10Bからの操作コマンドに応じて、通信端末10Bと共に移動可能であればよい。
【0026】
通信端末10C1、10C2は、通信システム1に対応するアプリを実行することにより、他の通信端末10とテレビ会議を行う。
【0027】
中継装置30は、例えば、情報処理装置、又は1つ以上の情報処理装置を含むシステムであり、複数の通信端末10間で送受信されるコンテンツデータ(映像、音声、操作指示情報)を中継する。ただし、中継装置30を介することなく、複数の通信端末10が直接、コンテンツデータを送受信してもよい。
【0028】
通信管理システム50は、例えば、情報処理装置、又は1つ以上の情報処理装置を含むシステムである。通信管理システム50は、例えば、通信端末10からのログイン認証、通信端末10の通信状況の管理、宛先リストの等の管理、及び複数の通信端末10間で中継装置30を介して通信を行うセッションの制御等を行う。
【0029】
一実施形態において、セッションは、中継装置30が、複数の通信端末10間で画像データ、及び音データ(音声その他の音)を含むコンテンツデータを中継することで実現される。
【0030】
上記の構成において、例えば、通信端末10Aの操作者は、通信端末10Bと通信を行い、通信端末10B及び移動装置20を遠隔操作により移動させることができる。これにより、通信端末10Aの操作者は、通信端末10B及び移動装置20を任意の相手の近くに移動させて、テレビ会議等を行うことができる。
【0031】
また、通信システム1には、通信管理システム50を介して一方の通信端末10から他方の通信端末10に一方向でコンテンツデータを伝送するデータ提供システムや、通信管理システム50を介して複数の通信端末10間で情報や感情等を相互に伝達するコミュニケーションシステムが含まれる。このコミュニケーションシステムは、中継装置30を介して複数のコミュニケーション通信端末間で情報や感情等を相互に伝達するためのシステムであり、テレビ(又はビデオ)会議システムやテレビ電話システム等が例として挙げられる。
【0032】
<ハードウェア構成>
<<通信端末のハードウェア構成>>
図3は、本発明の一実施形態に係る通信端末のハードウェア構成例を示す図である。通信端末10は、一般的なコンピュータの構成を含み、例えば、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、フラッシュメモリ104、及びSSD(Solid State Drive)105等を有する。また、通信端末10は、メディアI/F(Interface)107、入力部108、表示部109、ネットワークI/F111、カメラ112、撮像素子I/F113、マイク114、スピーカ115、及び音声入出力I/F116等を有する。更に、通信端末10は、外部機器接続I/F117、近距離無線通信部118、及びバス119等を有する。
【0033】
CPU101は、例えば、ROM102や、フラッシュメモリ104等からプログラムやデータを読み出し、処理を実行することで、通信端末10が備える各機能を実現する演算装置である。ROM102は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU101の起動に用いられるプログラム等を予め記憶した不揮発性のメモリである。RAM103は、CPU101のワークエリア等として利用される揮発性のメモリである。
【0034】
フラッシュメモリ104は、例えば、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種のデータ等を記憶するストレージデバイスである。SSD105は、CPU101の制御に従ってフラッシュメモリ104に対する各種データの読み出し、書き込みを制御する。メディアI/F107は、例えば、メモリカード等の記録媒体である記録メディア106に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録媒体には通信端末10を制御するプログラムが記憶され得る。
【0035】
入力部108は、例えば、タッチパネル、キーボード、ポインティングデバイス等の操作者からの入力操作を受け付けるための入力装置である。音声入力が可能でもよい。表示部109は、操作者に向けた各種の表示を行う表示装置である。なお、入力部108、及び表示部109は、例えば、タッチパネルとディスプレイが一体化されたタッチパネルディスプレイ等の表示入力部110であっても良い。
【0036】
ネットワークI/F111は、通信端末10が通信ネットワーク2を利用してデータを送信したり受信したりするための通信インタフェースである。カメラ112は、CPU101の制御に従って被写体を撮像するための撮像素子を含む。撮像素子I/F113は、カメラ112による撮像を制御すると共に、撮像したデータを所定の画像データに変換する。カメラ112は平面撮像装置であるが、周囲360度を撮像できる広角撮像装置でもよい。
【0037】
マイク114は、収録した音声を電気信号に変換する。スピーカ115は、音声信号を音声に変換して出力する。音声入出力I/F116は、マイク114及びスピーカ115による音声の入出力を制御する。
【0038】
外部機器接続I/F117は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等の外部機器を接続するためのインタフェースである。外部機器には、例えば、
図2の移動装置20等が含まれる。
【0039】
近距離無線通信部118は、例えば、Bluetooth(登録商標)や、Bluetooth(登録商標) Low Energy等の近距離無線通信により、外部機器(例えば移動装置20)と通信するための通信インタフェースである。バス119は、上記の各構成に共通に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝達する。
【0040】
<<通信管理システム、中継装置のハードウェア構成>>
図4は、一実施形態に係る通信管理システム50のハードウェア構成例を示す図である。通信管理システム50は、一般的なコンピュータの構成を有しており、例えば、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)505、メディアドライブ507、及びディスプレイ508等を有する。また、通信管理システム50は、ネットワークI/F509、キーボード511、マウス512、CD-ROMドライブ514、及びバス510等を有する。
【0041】
CPU501は、例えば、ROM502、HD504等に格納されたプログラムやデータを読み出し、処理を実行することにより、通信管理システム50が備える各機能を実現する演算装置である。ROM502は、IPL等のCPU501の起動に用いられるプログラム等を予め記憶した不揮発性のメモリである。RAM503は、CPU501のワークエリア等として利用される揮発性のメモリである。
【0042】
HD504は、例えば、OSや、アプリケーションプログラム等のプログラムや、各種のデータを記憶するストレージ装置である。HDD505は、CPU501の制御に従って、HD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ508は、例えば、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像等の各種の情報を表示する表示装置である。
【0043】
ネットワークI/F509は、通信ネットワーク2を利用してデータ通信を行うための通信インタフェースである。キーボード511は、システム管理者による文字、数値、各種指示などの入力操作を受け付けるための入力装置の一例である。マウス512は、システム管理者による各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等の操作を受け付けるポインティングデバイスの一例である。
【0044】
なお、ディスプレイ508、キーボード511及びマウス512に関して、通信管理システム50又は中継装置30は普段は有していなくてもよい。この場合、必要に応じて接続されてよい。
【0045】
メディアドライブ507は、例えば、メモリカード等の記録メディア506に対するデータの読み出しや、書き込み(記憶)を制御する。CD-ROMドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのディスク513に対するデータの読み出し又は書き込みを制御する。バス510は、上記の各構成要素を電気的に接続し、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝達する。
【0046】
なお、上記のコンピュータのハードウェア構成はあくまで一例である。
【0047】
中継装置30は、通信管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているものとする。なお、通信端末10、中継装置30、及び通信管理システム50用の各プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルによって、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録されて流通されるようにしても良い。また、上記記録メディアの例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク、USBメモリ等が挙げられる。また、各プログラムが記憶されたCD-ROM等の記録メディア、並びに、これらプログラムが記憶されたHD504は、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。
【0048】
<<移動装置のハードウェア構成>>
図5は、一実施形態に係る移動装置のハードウェア構成例を示す図である。移動装置20は、例えば、CPU401、RAM402、ROM403、外部機器I/F404、近距離無線通信部405、車輪駆動部406、操舵部407等を有する。
【0049】
CPU401は、ROM403等に格納されたプログラムを実行することにより、移動装置20の各機能を実現する演算装置である。RAM402は、CPU401のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM403は、移動装置20のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリである。ROM403は、例えば、フラッシュROM等の書き換え可能な不揮発性メモリであっても良い。
【0050】
外部機器I/F404は、通信端末10の外部機器接続I/F117等と有線接続し、通信を行うための有線通信インタフェースである。
【0051】
近距離無線通信部405は、例えば、通信端末10の近距離無線通信部118と同じ無線通信方式により無線通信を行うための無線通信インタフェースである。移動装置20は、例えば、外部機器I/F404、又は近距離無線通信部405により、通信端末10と通信可能であれば良い。
【0052】
車輪駆動部406は、移動装置20を移動させるための車輪を駆動させる駆動装置の一例である。車輪駆動部406には、例えば、モータ等が含まれる。
【0053】
操舵部407は、車輪駆動部406によって移動する移動装置20の操舵を行う操舵装置の一例である。操舵部407は、例えば、車輪の向きや傾きを変えるものであっても良いし、左右の車輪の回転数や速度等を制御することにより、移動装置20の向きを変えるもの等であっても良い。
【0054】
<機能について>
次に、
図6を用いて通信システム1の機能について説明する。
図6は、通信システム1が有する通信管理システム50、通信端末10B、通信端末10A、及び、通信端末10Cの機能をブロック状に示す機能ブロック図である。
【0055】
<<通信端末10Aの機能構成>>
通信端末10Aは、例えば、移動装置20等の機器の制御のための操作コマンドを受け付けるが、移動装置20等の機器の制御機能を持たない通信端末10である。通信端末10Aは、通信部11、操作入力受付部12、通信制御部13、撮像部14、音声入力部15a、音声出力部15b、表示制御部16、及び記憶・読出部17を有している。これらの各部は、
図3に示されている各構成要素のいずれかが、フラッシュメモリ104からRAM103上に展開された通信端末10用のプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、通信端末10は、
図3に示されているRAM103、及び
図3に示されているフラッシュメモリ104によって実現される記憶部18を有している。
【0056】
<<通信端末10Bの機能構成>>
通信端末10Bは、移動装置20に搭載された通信端末10である。通信端末10Bは、例えば、移動装置20等の機器の制御機能を有する通信端末10の一例である。通信端末10Bは、前述した通信端末10Aの機能構成に加えて、操作指示受信部19a、機器制御部19c、及び、機器間通信部19d等を有する。
【0057】
(通信端末10の各機能構成)
次に、通信端末10(通信端末10A、通信端末10B、通信端末10C)の各機能構成について詳細に説明する。
【0058】
通信部11は、通信ネットワーク2を介して他の通信端末、装置又はシステムと各種データ(又は情報)の送受信を行う。通信部11は、所望の宛先端末と通信を開始する前から、通信管理システム50より、宛先候補としての各通信端末の状態を示す各状態情報の受信を開始する。なお、この状態情報は、各通信端末10の稼動状態(オンラインかオフラインかの状態)だけでなく、オンラインの場合、更に通信可能であるか、通信中であるか等の詳細な状態を示す。
【0059】
操作入力受付部12は、操作者による通信端末に対する各種入力を受け付ける。例えば、操作者が、通信端末10の電源をONさせる操作を行うと、操作入力受付部12が操作を受け付けて電源をONに制御する。
【0060】
通信制御部13は、例えば、上記電源ONの受付を契機として、通信部11から通信ネットワーク2を介して通信管理システム50に、ログインを要求する旨を示すログイン要求、及び要求元端末の現時点のIPアドレスを自動的に送信する。また、操作者が、通信端末10の電源をOFFする操作を行うと、通信部11が通信管理システム50へ電源をOFFする旨の状態情報を送信した後に、操作入力受付部12が電源をOFFにする。これにより、通信管理システム50側では、通信端末10が電源ONから電源OFFになったことを把握することができる。
【0061】
また、通信制御部13は、中継装置30を介して、他の通信端末10とコンテンツデータの送受信を行うセッションの確立や、切断等、様々な通信制御を行う。なお、本実施形態に係る通信制御部13は、通信管理システム50に送信するセッションの制御情報(例えば、後述する開始要求、開始応答等)に、通信端末10の通信ID(Identification)を含めて送信する。
【0062】
通信IDは、通信端末10を用いてコンテンツデータの送受信を行うセッションに参加可能なアカウントの識別情報の一例である。通信IDは、例えば、操作者の識別情報であるユーザID、アプリの識別情報であるアプリID、通信端末10の契約者の識別情報である契約ID等であっても良い。また、通信IDとしては、文字、数字、記号、及び各種のしるしのうち、少なくとも2つが組み合わされた情報が挙げられる。メールアドレスなどでもよい。
【0063】
撮像部14は、被写体を撮像して得られた撮像データを、所定の画像(映像)データに変換して出力する。撮像部14は通信端末の正面側に1つ(正面映像を撮像)、背面側に1つある(背面映像を撮像)。これ以上の数の撮像部があってもよい。
【0064】
音声入力部15aは、マイク114によって操作者の音声が音声信号に変換された後、この音声信号を所定の音声データに変換して出力する。音声出力部15bは、音声データを音声信号に変換してスピーカに出力して、スピーカ115から音声を出力させる。
【0065】
表示制御部16は、例えば、通信端末10が受信したコンテンツデータに含まれる画像データを表示部109、又は表示入力部110等に表示させる。また、表示制御部16は、通信管理システム50から受信した宛先リストの情報を表示部109に送信して、表示部109に宛先リストを表示させることができる。
【0066】
記憶・読出部17は、記憶部18に各種データを記憶したり、記憶部18に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
【0067】
記憶部18には、例えば、前述した通信IDと通信IDに対応するパスワード等の認証情報が記憶される。記憶部18には、宛先端末との通信を行う際に受信される画像データ及び音声データが、受信される度に上書き記憶される。このうち、上書きされる前の画像データによって表示部109等に画像が表示され、上書きされる前の音声データによってスピーカ115から音声が出力される。
【0068】
なお、通信端末10C1、10C2は後述するユーザ端末なので、機能は同じくユーザ端末の通信端末10Aと同様であるとする。ただし、通信端末10C1、10C2には操作コマンドを受け付けるボタンが表示されないか、操作コマンドを受け付けたとしても、通信管理システム50又は通信端末10Bにおいて操作を拒否される。
【0069】
続いて、通信端末10Bに含まれる各機能構成について説明する。
【0070】
操作指示受信部19aは、通信部11を介して、通信端末10Aから通信端末10Bに対する機器(移動装置20)の制御を要求する操作指示情報を受信する。この操作指示情報には、例えば、操作指示情報を送信した通信端末10の通信ID、及び要求する制御内容を示す操作コマンド等が含まれる。更に後述するロールが含まれる場合がある。
【0071】
機器制御部19cは、操作指示受信部19aで受信された操作指示情報に含まれる操作コマンドに基づいて、移動装置20を制御する。機器間通信部19dは、近距離無線通信部118を用いて移動装置20と通信を行う。
【0072】
<<移動装置の機能構成>>
移動装置20は、例えば、機器間通信部21、及び走行制御部22等を有する。機器間通信部21は、例えば、
図5に示されているCPU401からの命令、及び外部機器I/F404、又は近距離無線通信部405等によって実現される。ここでは、機器間通信部21は、近距離無線通信部405を用いて通信端末10Bと通信を行うものとする。
【0073】
走行制御部22は、通信端末10Aから取得した制御内容に応じて、例えば、
図5の車輪駆動部406、及び操舵部407を制御することにより、移動装置20を前進、後退、左旋回、右旋回等の移動(走行)を制御する。
【0074】
<<通信管理システムの機能構成>>
通信管理システム50は、通信部51、端末認証部52、端末管理部53、端末抽出部54、セッション管理部55、判断部56及び記憶・読出部57等を有している。これら各部は、
図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開された通信管理システム50用のプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。また、通信管理システム50は、
図4に示されているHD504等により実現される記憶部5000を有している。
【0075】
(通信管理システムの各機能構成)
次に、通信管理システム50の各機能構成について詳細に説明する。通信部51は、通信ネットワーク2を介して他の通信端末、装置又はシステムと各種データ(又は情報)の送受信を行う。
【0076】
端末認証部52は、通信部51を介して受信されたログイン要求に含まれている通信ID及びパスワードの組み合せが、認証管理DB(Database)5002に含まれるか否かを判断することにより通信端末10の認証を行う。
【0077】
端末管理部53は、端末管理DB5003に、通信ID毎の、宛先名、稼動状態、要求等の受信日時、及び要求元端末のIPアドレス等を関連付けて記憶して、管理する。例えば、端末管理部53は、操作者が通信端末10の電源をONからOFFにすることで、通信端末10から送られてきた、電源をOFFする旨の状態情報に基づいて、端末管理DB5003の稼動状態をオンラインからオフラインに変更する。
【0078】
端末抽出部54は、ログイン要求した要求元端末の通信IDをキーとして、宛先リスト管理DB5004を検索し、要求元端末と通信することができる宛先端末の通信IDを抽出する。更に、端末抽出部54は、宛先リスト管理DB5004を検索し、上記要求元端末の通信IDを宛先端末の候補として登録している他の通信端末の通信IDも抽出する。
【0079】
更に、端末抽出部54は、抽出された宛先端末の候補の通信IDを検索キーとして、前述した端末管理DB5003を検索し、抽出された通信ID毎に稼動状態を読み出す。これにより、端末管理部53は、ログイン要求してきた要求元端末と通信することができる宛先端末の候補の稼動状態を取得することができる。また、端末管理部53は、要求元の通信IDを検索キーとして、前述した端末管理DB5003を検索し、ログイン要求してきた要求元端末の稼動状態も取得する。
【0080】
セッション管理部55は、通信管理システム50が管理するセッションの制御を行う。セッションの制御には、例えば、セッションを確立するための制御、確立されたセッションに通信端末10を参加させる制御、セッションを切断する制御、セッションIDの生成等が含まれる。また、セッション管理部55は、セッションの識別情報であるセッションIDに対応づけて、セッションの開始を要求した通信端末10の通信ID、及び宛先端末の通信ID等を、セッション管理DB5005に記憶して、管理する。
【0081】
判断部56は各種の判断を行う。本実施例では操作コマンドを送信した通信端末10のロールが操作端末かどうかを判断する。また、操作コマンドの宛先となるテレプレゼンスロボットを端末種別に基づいて決定する。
【0082】
記憶・読出部57は、
図4に示されているCPU501からの命令及びHDD505によって実現され、又はCPU501からの命令によって実現される。記憶・読出部57は、記憶部5000への各種データを記憶、及び記憶部5000からの各種データの読み出しを行う。
【0083】
<通信管理システムが管理する情報の例>
通信管理システム50の記憶部5000に記憶されている各管理DBについて説明する。
【0084】
【表1】
通信管理システム50の記憶部5000に記憶された認証管理DB5002には、例えば、表1に示されているような認証管理テーブル602が含まれる。この認証管理テーブル602では、通信管理システム50によって管理される通信端末10の通信IDと、通信IDに対応するパスワードとが関連付けられて管理されている。例えば、表1に示されている認証管理テーブル602において、通信IDが「1」の通信端末10のパスワードは、「aaaa」であることが示されている。
【0085】
【表2】
通信管理システム50の記憶部5000に記憶された端末管理DB5003には、例えば、表2に示されているような端末管理テーブル603が含まれる。この端末管理テーブル603では、通信端末10の通信ID毎に、各通信端末10を宛先とした場合の宛先名、各通信端末10の稼動状態、後述のログイン要求が通信管理システム50で受信された受信日時、通信端末10のIPアドレス、端末種別、及び、ロールが関連付けられて管理される。例えば、表2に示されている端末管理テーブル603において、通信IDが「1」の通信端末10は、端末名が「社内ロボット搭載」で、稼動状態が「通信中(操作端末あり)」であることが示されている。また、通信IDが「1」の通信端末10は、通信管理システム50でログイン要求が受信された日時が「20xx年4月10日の13時40分」で、IPアドレスが「1.2.1.3」であることが示されている。また、通信IDが「1」の通信端末10は、端末種別が「テレプレゼンスロボット」で、ロールが「非操作端末」であることが示されている。なお、端末種別は、テレプレゼンスロボットかユーザ端末かを意味する。テレプレゼンスロボットという端末種別は移動装置20に搭載されていることを示す。ロールは、通信端末10の役割を意味し、具体的にはロールはテレプレゼンスロボットを操作できる操作端末と操作しない非操作端末である。
【0086】
【表3】
通信管理システム50の記憶部5000に記憶された宛先リスト管理DB5004には、例えば、表3に示されているような宛先リスト管理テーブル701が含まれる。この宛先リスト管理テーブル701では、テレビ会議における通信の開始を要求する要求元端末の通信IDに対して、宛先端末の候補として登録されている宛先端末の通信IDが全て関連付けられて管理される。例えば、表3に示されている宛先リスト管理テーブル701において、通信IDが「1」である要求元端末から通信の開始を要求することができる宛先端末の候補は、通信IDが「2」、「3」、「4」及び「5」の通信端末である。この宛先端末の候補は、任意の要求元端末から通信管理システム50に対する追加又は削除の要請により、通信管理システム50によって追加又は削除されることで更新される。
【0087】
このような構成によれば、要求元端末(例えば、通信ID=1)は予め登録されている宛先端末の候補(例えば、通信ID=2、3,4,5)としか通信を開始できない。この宛先端末(例えば、通信ID=2)も要求元端末(例えば、通信ID=1)を宛先端末として宛先リスト管理テーブル701に登録しておかなければ要求元端末と通信できない。このような仕組みは想定外の通信端末10同士が通信する可能性を低減できる点で好ましい。ただし、宛先リスト管理テーブル701への登録を不要にして任意に通信端末10同士が通信できてもよい。
【0088】
【表4】
通信管理システム50の記憶部5000に記憶されたセッション管理DB5005には、例えば、表4に示されているようなセッション管理テーブル702が含まれる。このセッション管理テーブル702には、セッションの識別情報であるセッションID毎に、中継に使用される中継装置30の中継装置ID、参加端末、及びセッション参加日時等の情報が管理される。例えば、表4に示されているセッション管理テーブル702において、セッションID「se1」のセッションは、通信ID「1、2,3,4」の通信端末10の間で行われていることが示されている。
【0089】
<通信手順>
図7を用いて、通信端末10が通信を開始する処理を説明する。
図7は、各通信端末10が通信を開始する手順を示すシーケンス図の一例である。なお、
図7では移動装置20を省略したが、通信端末10Bと一体である。
【0090】
S101:通信端末10Bの電源のON又は社内介助者842の操作により、通信端末10Bの通信部11が通信ID(=1)とパスワードを指定してログイン要求を通信管理システム50に送信する。この時、通信端末10Bは「テレプレゼンスロボット」であること(自分の端末種別)も送信する。通信端末10Bの稼動状態(オンライン)、IPアドレス、及び、端末種別が端末管理DB5003に登録される。
【0091】
S102:通信端末10C1の電源のON又は自宅介助者841の操作により、通信端末10C1の通信部11が通信ID(=2)とパスワードを指定してログイン要求を通信管理システム50に送信する。この時、通信端末10Bは「ユーザ端末」であること(自分の端末種別)も送信する。通信端末10Bの稼動状態(オンライン)、IPアドレス、及び、端末種別が端末管理DB5003に登録される。
【0092】
S103:通信端末10C1は宛先リスト管理テーブルにおいて通信端末10Bを、宛先端末の候補に有している。このため、通信管理システム50の通信部51は通信端末10Bの稼動状態及び端末種別を通信端末10C1に送信する。通信端末10C1の通信部11は通信端末10Bの稼動状態及び端末種別を受信する。
【0093】
S104:自宅介助者841はテレプレゼンスロボットに搭載された通信端末10Bと通信可能であるという表示を確認して、通信端末10Bとの通信を開始する操作を通信端末10C1に入力する。通信端末10C1の操作入力受付部12は操作を受け付ける。そして、通信端末10C1の通信部11は通信端末10Bとのセッション開始要求及び自機のロールを通信管理システム50に送信する。このロールは、通信端末10C1に固定でも、自宅介助者841が入力してもよい。テレプレゼンスロボット又は通信管理システム50は操作端末からの操作コマンドのみを受け付ける。また、操作端末を宣言した通信端末10が複数あった場合、テレプレゼンスロボット又は通信管理システム50は一例として先に宣言した通信端末10のみから操作コマンドを受け付ける。
【0094】
S105,S106:通信管理システム50の通信部51はセッション開始要求とロールを受信し、セッション管理部55が通信ID=1,2の間でセッションを接続する。すなわち、セッションIDを発行して、セッション管理DB5005にセッションID、中継装置ID、通信ID等を登録する。
【0095】
S107:通信管理システム50の通信部51は通信端末10C1と通信するセッションへの接続を通信端末10Bに要求する。
【0096】
S108、S109:社内介助者842が承諾を入力するか、又は、自動的に通信端末10Bが自機の通信IDを送信してセッションの接続を要求すると、通信端末10Bと10C1の間でセッションが接続される。通信端末10Bと10C1のIPアドレスは端末管理テーブルに登録済みなので、中継装置30はセッションに参加している通信IDを特定できればコンテンツデータの送受信が可能になる。
【0097】
中継装置30は、通信端末10B(テレプレゼンスロボット)と通信端末10C1との間で画像データと音声データの送受信を開始する。
【0098】
S110:通信端末10Aの電源のON又は自宅介助者841若しくは操作者810の操作により、通信端末10Aの通信部11が通信ID(=3)とパスワードを指定してログイン要求を通信管理システム50に送信する。この時、通信端末10Aは「ユーザ端末」であること(自分の端末種別)も送信する。通信端末10Aの稼動状態(オンライン)、IPアドレス、及び、端末種別が端末管理DB5003に登録される。
【0099】
S111:通信端末10Aは宛先リスト管理テーブルにおいて通信端末10Bを、宛先端末の候補に有している。このため、通信管理システム50の通信部51は通信端末10Bの稼動状態及び端末種別を通信端末10Aに送信する。通信端末10Aの通信部11は通信端末10Bの稼動状態及び端末種別を受信する。なお、実際には宛先リストテーブルの全ての宛先端末の候補の稼動状態と端末種別が送信される。
【0100】
S112:自宅介助者841又は操作者810はテレプレゼンスロボットに搭載された通信端末10Bと通信可能であるという表示を確認して、通信端末10Bとの通信を開始する操作を通信端末10Aに入力する。通信端末10Aの操作入力受付部12は操作を受け付ける。そして、通信端末10Aの通信部11は通信端末10Bとのセッション開始要求及びロールを通信管理システム50に送信する。通信端末10Aのロールは「操作端末」である。このロールは、通信端末10Aに固定でも、自宅介助者841又は操作者810が入力してもよい。
【0101】
S113~S115:通信管理システム50の通信部51はセッション開始要求及びロールを受信する。セッション管理部55は、通信ID=3を通信端末10B(テレプレゼンスロボット)が接続しているセッションと関連付けてセッション管理DB5005に登録する。例えば、同じセッションIDに対応付けて登録する。
【0102】
中継装置30は、通信端末10B(テレプレゼンスロボット)、通信端末10C1及び通信端末10Aとの間で画像データと音声データの送受信を開始する。
【0103】
S116:自宅介助者又は操作者810がテレプレゼンスロボットを移動させる操作コマンドを通信端末10Aに入力したとする。通信端末10Aの操作入力受付部12は操作を受け付ける。通信端末10Aの通信部11は自機の通信IDを指定して操作コマンドを通信管理システム50に送信する。
【0104】
S117:通信管理システム50の通信部51は通信端末10Aの通信IDと操作コマンドを受信する。通信管理システム50の判断部56はセッション管理テーブルから通信IDでセッションIDを特定し、この中から端末種別がテレプレゼンスロボットの通信端末10Bを端末管理テーブルから特定する。通信部51は操作コマンドと、操作コマンドの送信元の通信端末10Aのロール(操作端末)を端末管理テーブルから取得して端末種別がテレプレゼンスロボットの通信端末10Bに送信する。従って、判断部56は操作コマンドの送信元の通信端末10Aのロール(操作端末)に応じて、通信端末10Aに操作権を与えた。
【0105】
S118:通信端末10Bの通信部11は操作コマンドとロールを受信し、操作端末の通信端末10Aから操作コマンドを受信したので、機器制御部19cが操作コマンドを移動装置20に送信する。すなわち、操作コマンド及びロールを受信した通信端末10Bがロールに応じて操作を受け付ける。非操作端末の通信端末10Cから操作コマンドを受信した場合、機器制御部19cが操作コマンドを移動装置20に送信しないで破棄する。
【0106】
なお、通信管理システム50がロールを通信端末10Aに送信するのでなく、判断部56がロールを判断して操作端末でない通信端末10からの操作コマンドを通信管理システム50内で破棄してもよい。この場合、ロールと操作コマンドが通信端末10Bに送信されないので、通信負荷を低減できる。
【0107】
S119:通信端末10C2の電源のON又は社内介助者842の操作により、通信端末10C1の通信部11が通信ID(=4)とパスワードを指定してログイン要求を通信管理システム50に送信する。この時、通信端末10C1は「ユーザ端末」であること(自分の端末種別)も送信する。通信端末10C1の稼動状態(オンライン)、IPアドレス、及び、端末種別が端末管理DB5003に登録される。
【0108】
S120:通信端末10C2は宛先リスト管理テーブルにおいて通信端末10Bを、宛先端末の候補に有している。このため、通信管理システム50の通信部51は通信端末10Bの稼動状態及び端末種別を通信端末10C2に送信する。通信端末10C2の通信部11は通信端末10Bの稼動状態及び端末種別を受信する。
【0109】
S121:社内介助者842はテレプレゼンスロボットに搭載された通信端末10Bと通信可能であるという表示を確認して、通信端末10Bとの通信を開始する操作を通信端末10C2に入力する。通信端末10C2の操作入力受付部12は操作を受け付ける。そして、通信端末10C2の通信部11は通信端末10Bとのセッション開始要求及びロールを通信管理システム50に送信する。通信端末10C2のロールは「非操作端末」である。このロールは、通信端末10C2に固定でも、社内介助者842が入力してもよい。
【0110】
S122~S124:通信管理システム50の通信部51はセッション開始要求及びロールを受信する。セッション管理部55は、通信ID=4を通信端末10Bが接続しているセッションと関連付けてセッション管理DB5005に登録する。例えば、同じセッションIDに対応付けて登録する。
【0111】
中継装置30は、通信端末10B(テレプレゼンスロボット)、通信端末10C1、通信端末10A及び通信端末10C2との間で画像データと音声データの送受信を開始する。
【0112】
このように、通信管理システム50にはテレプレゼンスロボット、操作者、社内介助者及び自宅介助者の通信端末10が接続し、各通信端末10がそれぞれどのロールであるかを区別して接続するので、通信システム1内で介助者同士が連絡できる。介助者の通信端末10Cのロールは非操作端末なので、操作コマンドを通信端末10Bに送信できず、通信端末10Aによる操作を妨害することもない。
【0113】
なお、
図7で説明したログインや参加の順番が入れ替わっても同様にセッションを形成できる。テレプレゼンスロボットと操作端末は好ましくは1台ずつであるが、このような制限は通信端末10の端末種別とロールに応じて通信管理システム50が接続順に排他することで実現できる。また、テレプレゼンスロボットと操作端末は1台ずつでなくてもよい。非操作端末は何台でも参加できる。
【0114】
<<ログイン時に通信端末が送信する情報>>
図8は、
図7の処理で説明した、ログイン時に通信端末10が送信するデータの例である。
図8に示すように、通信端末10は、ステップS101、S102、S110、S119のログイン時、通信ID、パスワード、及び、端末種別を通信管理システム50に送信する。
【0115】
<<ログイン成功時に通信管理システムが通信端末に送信する情報>>
図9は、
図7の処理で説明した、ログイン成功時に通信管理システム50が通信端末10に送信するデータの例である。ステップS103、S111、S120のログイン成功時にはログインした通信端末10に対し宛先管理テーブルで宛先の候補として登録されている全ての通信端末10の稼動状態等が送信される。
・通信ID: 会議システムを利用可能なアカウントを特定する識別情報。
・端末種別: テレプレゼンスロボット又はユーザ端末の種類がある。
・稼動状態: オンライン、オフライン、通信中の分類に加え、テレプレゼンスロボットの場合、「操作端末あり」、「操作端末なし」の2状態があり得る。また、ユーザ端末の場合は「操作端末」、「非操作端末」のロールがあり得る。
・セッションID: 通信中の場合はどのセッションに参加しているかを判別できるIDが送信される。
【0116】
<操作端末と非操作端末の画面例>
操作端末は操作用のボタン等を表示することが好ましいが、非操作端末は逆に表示しないことが好ましい。そこで、各通信端末10は自分のロールに応じて操作用のボタンを表示と非表示を切り替えるとよい。
【0117】
図10は通信端末10が表示する通信中の画面例を示す。
図10(a)は操作端末の画面例を示し、
図10(b)は非操作端末の画面例を示す。操作端末は、画面中にテレプレゼンスロボットを操作する十字キーなどのボタン860が表示される。テレプレゼンスロボットの操作以外の操作コマンドの例として、カメラのズーム、パン、チルト、充電ドックへの移動、人を追従するモードに移行、などを表示してもよい。
【0118】
一方、非操作端末は、ボタン860を表示せず、テレプレゼンスが撮像した画像のみが表示される。
【0119】
このような制御は、通信端末10が通信管理システム50に送信したロールを記憶部18に記憶しておき、表示制御部16がロールに応じてボタン860の表示と非表示を切り替えることで実現できる。通信管理システム50が画面を作成する場合は、通信端末10のロールに応じてボタン860を表示するかどうかを切り替える。
【0120】
また、非操作端末にはボタン860が表示されない場合、通信管理システム50又は通信端末10Bが操作を許可するかどうかを判断しないでよい。
【0121】
<主な効果>
以上説明したように、本実施例の通信システム1は、通信管理システム50にはテレプレゼンスロボット、操作者、社内介助者及び自宅介助者の通信端末10が接続し、各通信端末10がそれぞれどのロールであるかを区別して接続するので、通信システム1内で介助者同士が連絡できる。介助者の通信端末10Cのロールは非操作端末なので、操作コマンドを通信端末10Bに送信できず、通信端末10Aによる操作を妨害することもない。
テレプレゼンスロボットは、障碍者の中でも児童の教育目的での利用が期待されている。特に日本では支援学校での課外授業での活用が期待される。このようなユースケースにおいて従来の通信システム1では、ある児童が体感している内容を別の児童に体感させたいという要望があった。従来、操作者はタブレットなどのモバイル端末(ディスプレイが小さい)で操作するため、テレプレゼンスロボットの映像を操作者以外が確認することが難しかった。
本実施例の通信システム1は、所定以上の大きさの大画面(例えば、30インチ以上など)を有する通信端末10D(第四の通信端末の一例)を有している。通信端末10Dは通信端末10A、10B、10Cと通信することができる。なお、通信端末10Dの端末種別はユーザ端末、ロールは非操作端末である。通信端末10Dは通信端末10Bの画像をディスプレイに表示する。通信端末10Dの画面は大きいので、操作者が体感している画像を別の人が体感できるようになる。
なお、セッションを接続するまでの処理は実施例1の非操作端末と同様でよい。通信端末10Dは、通信端末10A、10B、及び、10Cと、画像データ及び音声データを送受信できる。また、通信端末10Dは非操作端末なので操作用のボタンを表示しない。
また、通信端末10Dが大画面を有する他、プロジェクタに画面を投影してもよい。通信端末10Dは小さい画面を有するが、外付けの大型ディスプレイに画面を表示してもよい。
なお、本実施例は障碍者や生徒でなくとも、施設見学で通信システム1が使用される場合など、案内をする側と案内をされる側がいる場合、同様に適用することが可能である。
例えば、本実施形態では、陸上を走行する移動装置20を例に説明したが、移動装置20はドローンなどのように空中を飛行してもよい。また、海上を航行してもよいし、水中を移動してもよい。また、地下、狭路、地中を移動してもよい。また、陸上を移動する場合、車輪で移動してもよいし、2足、3足、4足などの多脚移動を行ってもよいし、キャタピラー(登録商標)で移動してもよい。
また、本実施形態では主に、1人の操作者が1つの移動装置20を操作する例を説明したが、1人の操作者が複数の移動装置20を操作することも可能である。この場合、通信端末10Aは複数の通信端末10Bとセッションを確立する。逆に、複数の操作者が1つの移動装置20を操作することも可能である。この場合、例えば最後に通信端末10Bに送信された操作指示情報が有効となってもよいし、操作権という概念を導入し操作権がある通信端末10Aのみが操作指示の送信を可能としてもよい。操作権は操作者などの操作により移転できる。
また、本実施例では、中継装置30を介して通信端末10が通信しているが、通信端末10は中継装置を介さずに通信してもよい。このような通信の通信プロトコルとして例えばWebRTC(Web Real-Time Communication)が知られている。
また、本実施例では説明の都合上、通信管理システム50と中継装置30を別々の装置として説明したが、両者の機能が統合された装置が通信管理システム50と中継装置30の機能を提供してもよい。
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、通信管理システム50は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウエアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。