(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054715
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/00 20120101AFI20240410BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20240410BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20240410BHJP
B24B 49/08 20060101ALI20240410BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20240410BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B24B37/00 K
B24B37/005 Z
B24B37/10
B24B49/08
B24B53/017 Z
H01L21/304 622E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161126
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅佳
(72)【発明者】
【氏名】森浦 拓也
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB94
3C034CB13
3C034DD18
3C047AA12
3C047AA22
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3C047EE18
3C158AA07
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3C158BC03
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3C158EA11
3C158EB01
5F057AA20
5F057AA53
5F057BA11
5F057BA13
5F057CA11
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5F057GA01
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5F057GA13
5F057GA16
5F057GA27
5F057GB24
5F057GB32
(57)【要約】
【課題】流路に残存した研磨液に起因して流路に詰まりが発生することを抑制できるとともに、仮に流路に詰まりが発生した場合に、この詰まりの発生を検出することができる技術を提供する。
【解決手段】研磨装置1は、制御装置90を備え、制御装置90は、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数が所定枚数に達した場合に、洗浄液を流路70aに流通させ、次いで、研磨液を流路70aに流通させる、洗浄処理と、洗浄液が流路を流通しているときに、センサ60,61の検出した洗浄液の圧力又は流量に基づいて、流路に詰まりが発生したことを検出する、詰まり検出処理と、を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨する研磨機と、
研磨液又は洗浄液を前記研磨機に供給する流路と、
前記流路に配置されるとともに、前記研磨液と前記洗浄液とを切換えて前記流路に流通させる切換装置と、
前記流路を流通する前記洗浄液の圧力又は流量を検出するセンサと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記研磨機が研磨した前記基板の枚数が所定枚数に達した場合に、前記切換装置を制御して前記洗浄液を前記流路に流通させ、次いで、前記切換装置を制御して前記研磨液を前記流路に流通させる、洗浄処理と、
前記洗浄液が前記流路を流通しているときに、前記センサの検出した前記洗浄液の圧力又は流量に基づいて、前記流路に詰まりが発生したことを検出する、詰まり検出処理と、を実行する、研磨装置。
【請求項2】
前記流路における前記切換装置よりも下流の箇所に配置されて、前記流路を流通する前記洗浄液の流量を所定範囲内に調整する流量調整装置をさらに備え、
前記センサは、前記流路における前記流量調整装置よりも下流の箇所に配置された圧力センサである、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記洗浄液の流量が前記所定範囲内に入っている場合に前記圧力センサが検出した圧力の値の最大値、又は、平均値、又は、最小値に基づいて、前記流路に詰まりが発生したことを検出する、請求項2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力の値が予め設定された第1閾値以上の場合に、前記流路に詰まりが発生したと判定し、
前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力の値が前記第1閾値以上であり、且つ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値よりも小さい場合に、前記流路の詰まり度合が小さいと判定し、前記圧力センサが検出した圧力の値が前記第2閾値以上の場合に、前記流路の詰まり度合が大きいと判定する、請求項2に記載の研磨装置。
【請求項5】
報知装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記詰まり検出処理において前記流路に詰まりが発生したことが検出された場合に、前記報知装置に、前記流路に詰まりが発生したことを報知させる、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記流路の詰まり度合が大きいと判定した場合に、前記研磨機による前記基板の研磨を禁止する、請求項4に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記流路は単一の配管を備え、
前記流路の下流端は、前記配管の端部によって構成されている、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記流路は、単一の配管と、前記配管の下流端に接続された、少なくとも1つの吐出口を有する吐出ノズルと、を備える、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記研磨機が前記基板を研磨する毎に、前記研磨機が研磨した前記基板の枚数を記憶し、
前記制御装置は、前記洗浄液を前記流路に流通させた場合に、記憶されている前記基板
の枚数をリセットしてゼロにする、請求項1に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を研磨する研磨装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような研磨装置は、基板を研磨する研磨機と、この研磨機に研磨液を供給するための流路と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の研磨装置の場合、研磨機が研磨した基板の枚数が多くなったときに、例えば流路に残存した研磨液が乾燥して堆積物となって流路に一部固着することで、流路に部分的な詰まりが発生し、吐出した砥液が乱れることで研磨性能が低下するおそれがある。また、配管下流に流路より細い吐出口をもつ吐出ノズルを使用する場合、研磨液が吐出口に残留しやすいため、詰まりがより発生しやすい。また、上述したような従来の研磨装置の場合、この流路(吐出ノズルを含む)に詰まりが発生したことを検出できるような構成になっていなかった。この場合、堆積物が成長して、流路が完全に閉塞するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、流路に残存した研磨液に起因して流路に詰まりが発生することを抑制できるとともに、仮に流路に詰まりが発生した場合に、この詰まりの発生を検出することができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る研磨装置は、基板を研磨する研磨機と、研磨液又は洗浄液を前記研磨機に供給する流路と、前記流路に配置されるとともに、前記研磨液と前記洗浄液とを切換えて前記流路に流通させる切換装置と、前記流路を流通する前記洗浄液の圧力又は流量を検出するセンサと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記研磨機が研磨した前記基板の枚数が所定枚数に達した場合に、前記切換装置を制御して前記洗浄液を前記流路に流通させ、次いで、前記切換装置を制御して前記研磨液を前記流路に流通させる、洗浄処理と、前記洗浄液が前記流路を流通しているときに、前記センサの検出した前記洗浄液の圧力又は流量に基づいて、前記流路に詰まりが発生したことを検出する、詰まり検出処理と、を実行する。
【0007】
この態様によれば、研磨機が研磨した基板の枚数が所定枚数に達した場合に、流路を洗浄液で洗浄することができる。これにより、流路に残存した研磨液に起因して流路に詰まりが発生することを抑制することができる。さらに、この態様によれば、仮に、流路に詰まりが発生した場合であっても、詰まり検出処理によって、この詰まりの発生を検出することができる。
【0008】
(態様2)
上記の態様1は、前記流路における前記切換装置よりも下流の箇所に配置されて、前記
流路を流通する前記洗浄液の流量を所定範囲内に調整する流量調整装置をさらに備え、前記センサは、前記流路における前記流量調整装置よりも下流の箇所に配置された圧力センサであってもよい。
【0009】
この態様によれば、上記の流量調整装置を備えているので、流路に詰まりが発生した場合に、流路における流量調整装置よりも下流の箇所の圧力を効果的に上昇させることができる。これにより、流量調整装置よりも下流の箇所に配置された圧力センサによって、この流路の圧力の上昇を効果的に検出することができる。この結果、流路に詰まりが発生したことを効果的に検出することができる。
【0010】
(態様3)
上記の態様2において、前記制御装置は、前記洗浄液の流量が前記所定範囲内に入っている場合に前記圧力センサが検出した圧力の値の最大値、又は、平均値、又は、最小値に基づいて、前記流路に詰まりが発生したことを検出してもよい。
【0011】
(態様4)
上記の態様2又は3において、前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力の値が予め設定された第1閾値以上の場合に、前記流路に詰まりが発生したと判定し、前記制御装置は、前記圧力センサが検出した圧力の値が前記第1閾値以上であり、且つ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値よりも小さい場合に、前記流路の詰まり度合が小さいと判定し、前記圧力センサが検出した圧力の値が前記第2閾値以上の場合に、前記流路の詰まり度合が大きいと判定してもよい。
【0012】
(態様5)
上記の態様1~4のいずれかは、報知装置をさらに備え、前記制御装置は、前記詰まり検出処理において前記流路に詰まりが発生したことが検出された場合に、前記報知装置に、前記流路に詰まりが発生したことを報知させてもよい。
【0013】
(態様6)
上記の態様4又は5において、前記制御装置は、前記流路の詰まり度合が大きいと判定した場合に、前記研磨機による前記基板の研磨を禁止してもよい。
【0014】
この構成によれば、流路の詰まり度合いが大きいにもかかわらずに、研磨機による基板の研磨が行われることを抑制することができる。
【0015】
(態様7)
上記の態様1~6のいずれかにおいて、前記流路は単一の配管を備え、前記流路の下流端は、前記配管の端部によって構成されていてもよい。
【0016】
(態様8)
上記の態様1~6のいずれかにおいて、前記流路は、単一の配管と、前記配管の下流端に接続された、少なくとも1つの吐出口を有する吐出ノズルと、を備えていてもよい。
【0017】
(態様9)
上記の態様1~9のいずれかにおいて、前記制御装置は、前記研磨機が前記基板を研磨する毎に、前記研磨機が研磨した前記基板の枚数を記憶し、
前記制御装置は、前記洗浄液を前記流路に流通させた場合に、記憶されている前記基板の枚数をリセットしてゼロにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る研磨装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2(A)及び
図2(B)は、実施形態に係る研磨機の模式的な平面図である。
【
図3】
図3(A)及び
図3(B)は、実施形態に係る配管の下流端に接続可能な吐出ノズルの具体例を示す模式図である。
【
図4】実施形態に係る洗浄処理を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図5】実施形態に係る詰まり検出処理を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図6】
図6(A)は、実施形態に係る詰まり検出処理で用いられる圧力の閾値を説明するための模式図である。
図6(B)は、実施形態に係る詰まり検出処理の実行時において、流路を流通する洗浄液の流量の変化の一例を示す模式図である。
【
図7】実施形態の変形例1に係る研磨装置の構成を説明するための模式図である。
【
図8】実施形態の変形例2に係る詰まり検出処理で用いられる閾値を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。また、図面は、特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。
【0020】
図1は、本実施形態に係る研磨装置1の構成を示す模式図である。研磨装置1は、研磨機10と、研磨液供給装置20と、洗浄液供給装置30と、切換装置40と、流量調整装置50と、各種の流路(流路70a、流路70c、流路70b)と、各種のセンサ(圧力センサ60、流量センサ61)と、報知装置80と、制御装置90と、を備えている。
【0021】
まず、研磨機10について説明する。
図2(A)及び
図2(B)は、研磨機10の模式的な平面図である。具体的には、
図2(A)は研磨機10が基板Wfを研磨している様子を模式的に示し、
図2(B)は研磨機10による研磨が行われていない状態を模式的に示している。なお、
図2(A)において、後述する流路70aは「第1位置」に位置しており、
図2(B)において、流路70aは「第2位置」に位置している。
【0022】
図1、
図2(A)及び
図2(B)を参照して、研磨機10は、基板Wfを研磨するための機器である。本実施形態に係る研磨機10は、一例として、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)を行うことが可能なCMP研磨機である。
【0023】
図2(A)及び
図2(B)に例示するように、本実施形態に係る研磨機10は、研磨テーブル11と、研磨ヘッド12と、を備えている。また、研磨機10は、ドレッサ13と、アトマイザ14とをさらに備えていてもよい。研磨テーブル11は、研磨パッドPdを保持している。具体的には、本実施形態に係る研磨テーブル11は円盤状の部材によって構成されており、その上面に、研磨パッドPdが貼付されている。基板Wfの研磨中において、研磨パッドPdの上面(表面)には、被研磨材としての基板Wfが押し付けられる。研磨パッドPdの上面は、基板Wfを研磨する研磨面に相当する。研磨テーブル11は、回転モータ等の駆動機構によって駆動されて回転する。研磨テーブル11の回転動作は、制御装置90が制御している。なお、研磨テーブル11の回転方向は、平面視で時計回りであってもよく、反時計回りであってもよい。
図2(A)では、一例として、研磨テーブル11は、平面視で時計回りに回転している。
【0024】
研磨パッドPdの具体的な種類は、特に限定されるものではなく、硬質発砲タイプの研磨パッドや、不織布タイプの研磨パッド、スエードタイプの研磨パッド等、種々の研磨パ
ッドを用いることができる。
【0025】
研磨ヘッド12は、基板Wfを保持するための部材である。
図2(A)において、基板Wfは、研磨ヘッド12の下面に保持されている。研磨ヘッド12は、基板Wfの下面(すなわち、被研磨面)を研磨パッドPdに押し付けながら回転するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る研磨ヘッド12は、一例として、駆動機構によって駆動されて、所定の回転方向(
図2(A)では一例として、研磨テーブル11と同じ回転方向)に回転する。
【0026】
なお、
図2(A)に例示されている基板Wfは、一例として丸形の基板であるが、基板Wfの形状はこれに限定されるものではない。基板Wfの形状は、角形であってもよく、他の形状であってもよい。
【0027】
研磨機10による基板Wfの研磨時において、流路70aには研磨液が流通する。この流路70aから排出された研磨液は、研磨パッドPdに供給される。研磨機10は、この研磨液の存在下で、基板Wfを研磨パッドPdに擦りつけながら、基板Wfを研磨(CMP研磨)する。
【0028】
ドレッサ13は、研磨パッドPdの研磨面をドレッシングするための装置である。ドレッサ13の下面には、砥粒(例えばダイヤモンド等)が配置されている。アトマイザ14は、例えば、純水を高圧(所定圧力以上の圧力)で研磨パッドPdに噴射することで、研磨パッドPdを洗浄するための装置である。なお、研磨機10は、ドレッサ13やアトマイザ14を備えていない構成とすることもできる。
【0029】
本実施形態において、流路70aの所定領域(少なくとも下流端から所定距離上方側の領域)は、回転軸15を中心に回転するように構成されている。これにより、流路70aは、
図2(A)に例示するように、流路70aの下流端が研磨パッドPdの上方に位置する「第1位置(又は、研磨位置)」と、
図2(B)に例示するように、流路70aの下流端が研磨パッドPdの上方に位置していない「第2位置(又は、退避位置)」と、の間で移動することができる。回転軸15の回転動作は、制御装置90が制御している。なお、少なくとも基板Wfの研磨時において、流路70aは第1位置に位置している。
【0030】
また、流路70aは、回転軸15を中心に所定の揺動角度の範囲内で揺動するように構成されていてもよい。この場合、制御装置90は、例えば基板Wfの研磨時において、流路70aを揺動させてもよい。なお、
図2(A)において、揺動角度の範囲が「A1」で例示されている。
【0031】
図1を参照して、研磨液供給装置20は、研磨液を供給するための装置である。研磨液供給装置20は、流路70cを介して、切換装置40の第1入口41に連通している。研磨液供給装置20の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る研磨液供給装置20は、一例として、研磨液を貯留するタンクと、このタンクの研磨液を圧送するポンプと、を備えている。研磨液供給装置20による研磨液の供給動作は、制御装置90が制御している。
【0032】
研磨液としては、シリカや酸化セリウム等の研磨剤を含む溶液を用いることができる。なお、この研磨液の具体的な成分は、特に限定されるものではなく、基板Wfの種類に応じて適宜設定すればよい。
【0033】
洗浄液供給装置30は、洗浄液を供給するための装置である。洗浄液供給装置30は、流路70bを介して、切換装置40の第2入口42に連通している。洗浄液供給装置30
の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る洗浄液供給装置30は、一例として、洗浄液を貯留するタンクと、このタンクの洗浄液を圧送するポンプと、を備えている。洗浄液供給装置30による洗浄液の供給動作は、制御装置90が制御している。
【0034】
なお、洗浄液としては、流路70aに残存した研磨液を洗浄可能なものであればよく、その具体的な成分は特に限定されるものではない。洗浄液の具体例として、水、好ましくは純水を用いることができる。あるいは、洗浄液の具体例として、水又は純水と気体との混合流体、あるいは、水又は純水と泡との混合流体を用いてもよい。この気体や泡は、具体的には、窒素、不活性ガス、オゾン等の気体や泡を用いることができる。本実施形態では、洗浄液の一例として、純水を用いている。具体的には、この純水として、0.1(MΩ・cm)以上の電気抵抗率を有する純水を用いることができる。
【0035】
切換装置40は、流路70aに配置されている。具体的には、本実施形態に係る切換装置40は、流路70aの上流端に配置されている。より具体的には、切換装置40の出口43に、流路70aの上流端が接続されている。切換装置40は、研磨液供給装置20から供給された研磨液、及び、洗浄液供給装置30から供給された洗浄液を切換えて、流路70aに流通させるように構成されている。切換装置40の動作は、制御装置90が制御している。このような切換装置40として、例えば、出口43に連通する入口を第1入口41と第2入口42との間で切換え可能な流路切換弁等を用いることができる。
【0036】
具体的には、本実施形態に係る切換装置40は、制御装置90の指示を受けて、第1入口41と出口43とが連通し、第2入口42と出口43とが遮断された「第1状態(又は、研磨液流通可能状態)」と、第2入口42と出口43とが連通し、第1入口41と出口43とが遮断された「第2状態(又は、洗浄液流通可能状態)」と、を切換える。第1状態の場合、研磨液供給装置20から供給された研磨液は、流路70c及び流路70aを流通することができる。一方、第2状態の場合、洗浄液供給装置30から供給された洗浄液は、流路70b及び流路70aを流通することができる。
【0037】
流路70aは、切換装置40から吐出された液体(Lq)(具体的には、研磨液又は洗浄液)を、研磨機10に供給するための流路(すなわち、「メイン流路」)である。本実施形態に係る流路70aは、切換装置40の出口43と研磨機10とを連通するように構成されている。なお、基板Wfを研磨する場合、流路70aには研磨液が流通する。一方、流路70aを洗浄する場合、流路70aには洗浄液が流通する。
【0038】
本実施形態に係る流路70aは、配管71によって構成されている(なお、前述した流路70b及び流路70cも、流路70aの配管71と同様の配管71によって構成されている)。具体的には、本実施形態に係る流路70aは、一例として、単一の配管71によって構成されている。配管71の内径(配管71において液体が流通する空洞部分の直径)の具体的な値は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例として、1mm以上5mm以下である。
【0039】
また、本実施形態に係る流路70aの下流端(すなわち、「流路70aにおける液体の出口」)は、この単一の配管71の端部(下流端)によって構成されている。
図1に例示するように、配管71を流通した液体Lqは、この配管71の端部から吐出される。
図1では、一例として、液体Lqが配管71の端部から配管71の軸線方向に向けて吐出される様子が例示されている。なお、本実施形態において、「流路70aの下流」は、具体的には、「流路70aを流通する液体の流動方向で下流」を意味している。
【0040】
なお、流路70aの構成は、上述した構成に限定されるものではない。他の例を挙げる
と、流路70aとしての配管71の下流端には、以下に例示するような吐出ノズル72が接続されていてもよい。
【0041】
図3(A)及び
図3(B)は、配管71の下流端に接続可能な吐出ノズル72の具体例を示す模式図である。
図3(A)に例示するように、配管71の下流端には、複数の吐出口73を有する吐出ノズル72が接続されていてもよい。各々の吐出口73は、液体Lq(研磨液又は洗浄液)を下方に向けて吐出するように構成されている。また、各々の吐出口73は、液体Lqを直進状に(非扇形状に)吐出するように構成されている。但し、この構成に限定されるものではなく、例えば、各々の吐出口73は、液体Lqを扇形状に吐出するように構成されていてもよい。
【0042】
図3(B)に例示するように、配管71の下流端には、一つの吐出口73aを有する吐出ノズル72aが接続されていてもよい。この吐出口73aは、液体Lqを下方に向けて吐出するように構成されている。また、この吐出口73aは、
図3(B)に例示するように液体Lqを扇形状に吐出するように構成されている。但し、この構成に限定されるものではなく、例えば、吐出口73aは、液体Lqを直進状に吐出するように構成されていてもよい。
【0043】
図1を参照して、圧力センサ60は、流路70aに配置されている。圧力センサ60は、流路70aを流通する液体(研磨液又は洗浄液)の圧力(kPa)を検出して、この検出した圧力を制御装置90に伝える。流路70aにおける圧力センサ60の具体的な配置箇所は特に限定されるものではなく、流路70aにおける流量調整装置50よりも上流の箇所でもよく、下流の箇所でもよい。本実施形態に係る圧力センサ60は、一例として、流路70aにおける流量調整装置50よりも下流の箇所に配置されている。
【0044】
なお、
図1において、圧力センサ60は、後述する流量センサ61よりも下流の箇所に配置されているが、この構成に限定されるものではない。圧力センサ60は、流量センサ61よりも上流の箇所(但し、本実施形態では流量調整装置50よりも下流の箇所)に配置されていてもよい。
【0045】
本実施形態に係る流量センサ61は、流路70aにおける流量調整装置50よりも下流の箇所に配置されている。流量センサ61は、流路70aを流通する液体(研磨液又は洗浄液)の流量(ml/sec)を検出して、この検出した流量を制御装置90に伝える。制御装置90は、この流量センサ61が検出した流量に基づいて、流量調整装置50を制御する。
【0046】
なお、流量センサ61は、後述する流量調整装置50と一体化していてもよい。換言すると、後述する流量調整装置50は、「流量センサ付きの流量調整装置」であってもよい。
【0047】
本実施形態に係る流量調整装置50は、流路70aにおける切換装置40よりも下流の箇所に配置されている。流量調整装置50は、少なくとも、後述する洗浄処理において、流路70aを流通する洗浄液の流量を所定範囲内に調整するように構成されている。具体的には、流量調整装置50は、流量センサ61が検出した流量に基づいて流路70aを流通する洗浄液の流量を調整する。
【0048】
より具体的には、本実施形態に係る流量調整装置50は、制御装置90の指示を受けて、流量センサ61が検出した洗浄液の流量が予め設定された所定範囲内(後述する
図6(B)の下限値F1以上、上限値F2以下の範囲内)になるように、流路70aを流通する洗浄液の流量を調整する。
【0049】
なお、流量調整装置50は、さらに、基板Wfの研磨処理時において流路70aを流通する研磨液の流量も、所定範囲内に調整してもよい。この場合において、洗浄液の流量の所定範囲と、研磨液の流量の所定範囲とは、同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。但し、洗浄液の流量の所定範囲が研磨液の流量の所定範囲よりも多い場合の方が、そうでない場合に比較して、洗浄液によって流路70aを効果的に洗浄できる点で好ましい。
【0050】
そこで、本実施形態では、洗浄液の流量の所定範囲は研磨液の流量の所定範囲よりも多くなっている。すなわち、本実施形態において、後述する洗浄処理時に流路70aを流通する洗浄液の流量は、基板Wfの研磨時に流路70aを流通する研磨液の流量よりも多くなっている。
【0051】
報知装置80は、研磨装置1のユーザに所定の情報を報知するための装置である。具体的には、本実施形態に係る報知装置80は、制御装置90の指示を受けて、少なくとも流路70aに詰まりが発生した旨を報知するように構成されている。報知装置80としては、例えば、ディスプレイ等を用いることができる。
【0052】
制御装置90は、研磨装置1の動作を統合的に制御するための装置である。具体的には、本実施形態に係る制御装置90は、マイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータは、プロセッサ91や、非一時的な記憶媒体としての記憶装置92、等を備えている。制御装置90においては、プロセッサ91が、記憶装置92に記憶されているプログラムの指令に基づいて作動することで、研磨装置1の動作を制御する。
【0053】
続いて、制御装置90が実行する「洗浄処理」について説明する。
図4は、本実施形態に係る洗浄処理を説明するためのフローチャートの一例である。制御装置90は
図4のフローチャートを所定周期で繰り返し実行する。
【0054】
まず、本実施形態に係る制御装置90は、研磨機10が基板Wfを研磨する毎に、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数を記憶装置92に記憶しておく。また、本実施形態に係る制御装置90は、洗浄液を流路70aに流通させた場合に(後述するステップS20が実行された場合、又は、手動操作等によって洗浄液を流路70aに流通させた場合に)、記憶装置92に記憶されている基板Wfの枚数(研磨機10が研磨した基板Wfの枚数)をリセットして、ゼロにする。この結果、記憶装置92には、前回、洗浄液が流路70aを流通してから次に洗浄液が流路70aを流通するまでの間における研磨機10が研磨した基板Wfの枚数が記憶される。
【0055】
ステップS10において、制御装置90は、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数(基板枚数)が予め設定された所定枚数に達したか否かを判定する。具体的には、本実施形態に係る制御装置90は、記憶装置92に記憶されている基板枚数(これは、前回の洗浄処理が実行されてから、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数の累計である)が、予め設定された所定枚数に達したか否かを判定する。
【0056】
この所定枚数の具体的な数値は、特に限定されるものではないが、基板枚数がこの所定枚数に達した場合に、流路70aに詰まりが発生するおそれがあると考えられる枚数を用いることができる。この所定枚数は、予め実験等を行って適切な枚数を求めておき、記憶装置92に記憶させておけばよい。
【0057】
ステップS10でYesと判定された場合(基板枚数が所定枚数の場合)、制御装置90は、洗浄処理を実行する(ステップS20)。具体的には、このステップS20におい
て、制御装置90は、研磨機10による基板Wfの研磨を中止させるとともに、洗浄液供給装置30及び切換装置40を制御して洗浄液を流路70aに流通させる(「本洗浄処理」)。次いで、制御装置90は、研磨液供給装置20及び切換装置40を制御して研磨液を流路70aに流通させる(「置換処理」)。
【0058】
より具体的には、本洗浄処理において、制御装置90は、洗浄液供給装置30に洗浄液の供給を開始させるとともに、切換装置40を前述した「第2状態」にする。これにより、洗浄液供給装置30から供給された洗浄液は、流路70bを流通した後に、流路70aを流通する。この結果、流路70aを洗浄液で洗浄することができる。具体的には、流路70aに残存した研磨液を洗浄液で洗い流すことができるとともに、流路70aに堆積している堆積物も洗浄液で洗い流すことができる。
【0059】
一方、置換処理において、制御装置90は、研磨液供給装置20に研磨液の供給を開始させるとともに、切換装置40を前述した「第1状態」にする。これにより、研磨液供給装置20から供給された研磨液は、流路70cを流通した後に、流路70aを流通する。この結果、流路70aに残存した洗浄液を研磨液で置換させることができる。
【0060】
なお、この洗浄処理において、制御装置90は、洗浄液供給装置30及び流量調整装置50を制御して、洗浄液を、予め設定された所定流量(ml/sec)で、且つ、予め設定された洗浄時間(sec)の間、流路70aに流通させてもよい。
【0061】
洗浄液の所定流量としては、前述した所定範囲内(下限値F1以上、上限値F2以下の範囲内)に含まれる流量、すなわち、この所定範囲の中からから選択された流量を用いることができる。具体的には、この所定流量の一例として、例えば、下限値F1と上限値F2との平均値を用いてもよい。
【0062】
また、この場合、上述した「予め設定された洗浄時間」は、所定の「最小洗浄時間」以上の時間に設定されていることが好ましい。この最小洗浄時間としては、例えば、流路70aにおける切換装置40から下流端までの容積(ml)を、上記の所定流量(ml/sec)で割った値を用いることができる。
【0063】
また、制御装置90は、流路70aを前述した「第1位置(
図2(A)参照)」に位置させた状態で、ステップS20を実行してもよい。この構成は、次の基板Wfを研磨する際に(後述するステップS30の実行開始時に)、流路70aを第1位置に戻す必要がなくなる点で好ましい。
【0064】
あるいは、制御装置90は、流路70aを前述した「第2位置(
図2(B)参照)」に位置させた状態で、ステップS20を実行してもよい。この構成は、流路70aから排出された洗浄液が研磨テーブル11の研磨パッドPdの上に残存することを抑制することができる点で好ましい。なお、このように流路70aが「第2位置」に位置した状態でステップS20が実行された場合、制御装置90は、例えば、ステップS20の実行終了時から後述するステップS30の実行開始時までの間に、流路70aを「第1位置」に戻すことが好ましい。
【0065】
図4を参照して、ステップS20の後に、制御装置90は、研磨機10に、次の基板Wfを研磨させる(ステップS30)。すなわち、このステップS30において、研磨機10による基板Wfの研磨が再開される。具体的には、この場合、前述したように、研磨機10は、研磨液供給装置20から供給された研磨液の存在下で、基板Wfを研磨パッドPdに擦りつけながら、基板Wfを研磨する。なお、ステップS10でNoと判定された場合、制御装置90は、ステップS20を実行せずに、ステップS30を実行する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数が所定枚数に達した場合に、ステップS20に係る洗浄処理が実行されるので、流路(具体的には、本実施形態では流路70a)を洗浄液で洗浄することができる。これにより、流路70aに残存した研磨液に起因して流路70aに詰まりが発生することを抑制することができる。
【0067】
具体的には、本実施形態によれば、流路70aの配管71に残存した研磨液が乾燥して配管71の内壁面に固着したり、配管71の下流端(出口)に固着したりすることを抑制することができる。また、配管71に吐出ノズル72,72aが接続されている場合には、研磨液が吐出ノズル72,72aに固着して、吐出ノズル72,72aに詰まりが発生することを抑制することもできる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ステップS20に係る洗浄処理において、流路70aを洗浄液で洗浄した後に、流路70aに残存した洗浄液が研磨液で置換されているので、ステップS30で研磨機10に供給される研磨液が流路70aに残存した洗浄液によって薄められることを抑制することができる。これにより、研磨液が洗浄液によって薄められることに起因して基板Wfの研磨速度が低下することを抑制することができる。
【0069】
なお、本実施形態において、「流路70aが詰まる」とは、流路70aが完全に閉塞して流路70aを液体が流通できなくなる現象を含むのみならず、例えば流路70aの内壁の一部に研磨液の堆積物が固着することで流路70aを液体が流通し難くなる現象も含んでいる。また、配管71の下流端に
図3(A)に例示したような吐出ノズル72が接続されている場合、「流路70aが詰まる」とは、この吐出ノズル72の複数の吐出口73の少なくとも1つに詰まりが発生する現象も含んでいる。
【0070】
続いて、制御装置90が実行する「詰まり検出処理」について説明する。
図5は、本実施形態に係る詰まり検出処理を説明するためのフローチャートの一例である。本実施形態に係る制御装置90は、前述したステップS20に係る洗浄処理の実行中に、ステップS40の実行を開始する。このステップS40において、制御装置90は、洗浄処理において洗浄液が流路70aを流通している場合に圧力センサ60が検出した圧力(すなわち、流路70aにおける洗浄液の圧力)に基づいて、流路70aに詰まりが発生したことを検出する。この詳細について、図を用いて説明すると、次のようになる。
【0071】
図6(A)は、詰まり検出処理で用いられる圧力の閾値を説明するための模式図である。具体的には、
図6(A)には、流路70aに詰まりが発生したか否かを判定する際に用いられる圧力の閾値として、第1閾値P1、及び、第2閾値P2が例示されている。第2閾値P2は、第1閾値P1よりも大きな値である。第1閾値P1及び第2閾値P2は、制御装置90の記憶装置92に予め記憶させておく。また、
図6(A)に例示されているラインL1、ラインL2、及び、ラインL3は、圧力センサ60によって検出された洗浄液の圧力の時間変化を模式的に示している。
【0072】
ステップS40において、制御装置90は、圧力センサ60が検出した洗浄液の圧力の値を取得し、この取得された圧力の値が、予め設定された第1閾値P1以上であるか否かを判定する。そして、制御装置90は、圧力センサ60が検出した圧力の値が第1閾値P1以上の場合に、流路70aに詰まりが発生したと判定する(すなわち、流路70aに詰まりが発生したことを検出する)。
【0073】
一方、制御装置90は、圧力センサ60が検出した圧力の値が第1閾値P1よりも小さい場合は、流路70aに詰まりが発生していない(つまり、流路70aは「正常」である
)と判定する。
【0074】
また、制御装置90は、圧力センサ60が検出した圧力の値が第1閾値P1以上であり、且つ、第2閾値P2よりも小さい場合、流路70aの詰まり度合いが小さいと判定する(あるいは、流路70aに「軽故障」が生じていると判定する)。制御装置90は、圧力センサ60が検出した圧力の値が第2閾値P2以上の場合、流路70aの詰まり度合いが大きいと判定する(あるいは、流路70aに「重故障」が生じていると判定する)。
【0075】
すなわち、
図6(A)において、圧力センサ60が検出した圧力を示すラインがラインL1の場合、制御装置90は、流路70aに詰まりが発生していないと判定し、ラインL2の場合、流路70aの詰まり度合いが小さいと判定し、ラインL3の場合、流路70aの詰まり度合いが大きいと判定する。
【0076】
第1閾値P1の具体的な値は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、詰まりが発生していない状態の流路70a(正常な流路70a)を予め準備しておき、この正常な流路70aの所定箇所を流通する洗浄液の圧力を予め測定し、この測定された圧力の値(すなわち、圧力の正常値)に、所定圧力を足し合わせた値を用いている。この所定圧力としては、圧力センサ60の製造メーカーが保証する測定精度値(すなわち、圧力センサ60の測定誤差)よりも大きな値を用いることが好ましい。
【0077】
第2閾値P2の具体的な値は、第1閾値P1よりも大きな値であれば、特に限定されるものではなく、例えば実験等を行って適宜設定すればよい。
【0078】
なお、本実施形態に係る制御装置90は、詰まり検出処理において、上述したように、圧力センサ60が検出した洗浄液の圧力の値と、2つの閾値(第1閾値P1、及び、第2閾値P2)と、を比較しているが、この構成に限定されるものではない。制御装置90は、詰まり検出処理において、圧力センサ60が検出した洗浄液の圧力の値と、1つの閾値(第1閾値P1のみ、又は、第2閾値P2のみ)と、を比較して、流路70aに詰まりが発生したか否かを判定してもよい。
【0079】
図6(B)は、詰まり検出処理の実行時において、流路70aを流通する洗浄液の流量の変化の一例を示す模式図である。具体的には、
図6(B)に例示するラインL4が、この流路70aを流通する洗浄液の流量の変化の一例を示している。
【0080】
制御装置90は、ステップS40において、流路70aを流通する洗浄液の流量が予め設定された所定範囲内に入っている場合に、圧力センサ60に洗浄液の圧力の検出を行わせてもよい。この所定範囲は、具体的には、
図6(B)に例示する下限値F1以上、上限値F2以下の範囲であり、これは、流量調整装置50の流量の制御目標範囲でもある。
【0081】
具体的には、この場合、圧力センサ60は、流路70aを流通する洗浄液の流量(これは流量センサ61が取得する)が下限値F1以上、上限値F2以下の範囲内に入っている場合の圧力をモニタリングして、このモニタリングした圧力を制御装置90に伝える。そして、制御装置90は、この洗浄液の流量が所定範囲内に入っている場合における圧力センサ60が検出した圧力の最大値、又は、平均値、又は、最小値と、前述した閾値(第1閾値P1、第2閾値P2)と、を比較することで、流路70aに詰まりが発生したことを検出してもよい。
【0082】
図5を参照して、ステップS40の後に制御装置90は、ステップS41を実行する。このステップS41において、制御装置90は、流路70aに詰まりが発生したか否かを報知装置80に報知させる。具体的には、本実施形態に係る制御装置90は、報知装置8
0の一例としてのディスプレイに、流路70aに詰まりが発生したことを表示させる。この構成によれば、ユーザは、流路70aに詰まりが発生したことを早期に把握することができる。
【0083】
さらに、制御装置90は、流路70aの詰まり度合いが小さい旨(あるいは、流路70aに軽故障が発生している旨)や、流路70aの詰まり度合いが大きい旨(あるいは、流路70aに重故障が発生している旨)についても、報知装置80に報知させることが好ましい。この構成によれば、ユーザは、流路70aの詰まり度合いを、早期に把握することができる。
【0084】
また、制御装置90は、ステップS40において、流路70aの詰まり度合いが大きいと判定した場合、研磨機10による基板Wfの研磨を禁止してもよい。すなわち、この場合、研磨機10による基板Wfの研磨が実行されないようになる。この構成によれば、流路70aの詰まり度合いが大きいにもかかわらずに、研磨機10による基板Wfの研磨が行われることを抑制することができる。
【0085】
なお、この場合、制御装置90は、この研磨機10による基板Wfの研磨の禁止を解除する旨の「禁止解除指令」を受信した場合に、研磨の禁止を解除すればよい。具体的には、この場合、例えば、研磨装置1に設置された「禁止解除ボタン」をユーザが押すことによって、制御装置90に禁止解除指令が伝わるようにしてもよい。
【0086】
以上説明したような本実施形態によれば、洗浄処理が実行されるので、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数が所定枚数に達した場合に、流路70aを洗浄液で洗浄することができる。これにより、流路70aに残存した研磨液に起因して、流路(具体的には流路70a)に詰まりが発生することを抑制することができる。また、仮に、流路70aに詰まりが発生した場合であっても、詰まり検出処理によって、流路70aの詰まりの発生を検出することができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、流量調整装置50を備えているので、流路70aに詰まりが発生した場合に、流路70aにおける流量調整装置50よりも下流の箇所の圧力を効果的に上昇させることができる。これにより、流量調整装置50よりも下流の箇所に配置された圧力センサ60によって、この流路70aの圧力の上昇を効果的に検出することができる。この結果、流路70aに詰まりが発生したことを効果的に検出することができる。
【0088】
なお、上述した実施形態において、制御装置90は、ステップS10で、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数を実際に計測して、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数が所定枚数に達したか否かを判定するのみならず、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数と相関関係を有する他のパラメータに基づいて、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数が所定枚数に達したか否かを判定してもよい。
【0089】
このパラメータとしては、例えば、研磨機10の稼働時間(すなわち、基板Wfの研磨処理の合計時間)や、研磨液供給装置20による研磨液の供給時間や、研磨液供給装置20による研磨液の供給量等を用いることができる。あるいは、例えば流路70aに、研磨液の供給及び停止を切り換えるための流路開閉弁が配置されている場合には、このパラメータとして、この流路開閉弁の開閉回数を用いることもできる。なお、研磨機10の稼働時間が長くなるほど、あるいは、研磨液の供給時間が長くなるほど、あるいは、研磨液の供給量が多くなるほど、あるいは、流路開閉弁の開閉回数が多くなるほど、研磨機10が研磨した基板Wfの枚数は多くなる。
【0090】
(実施形態の変形例1)
上述した実施形態において、流量調整装置50、流量センサ61、及び、圧力センサ60の配置箇所は、流路70aに限定されるものではない。
図7は、実施形態の変形例1に係る研磨装置1aの構成を説明するための模式図である。なお、
図7において、研磨機10、報知装置80、及び、制御装置90の図示は省略されている。
【0091】
本変形例に係る研磨装置1aは、流路70aに流量調整装置50、流量センサ61、及び、圧力センサ60が配置されていない点と、流路70b及び流路70cにそれぞれ流量調整装置50及び流量センサ61が配置されている点と、流路70bに圧力センサ60が配置されている点と、において、
図1に例示した実施形態に係る研磨装置1と異なっている。本変形例に係る研磨装置1aの他の構成は、研磨装置1と同様である。
【0092】
流路70bに配置された流量調整装置50は、この流路70bに配置された流量センサ61が検出した洗浄液の流量に基づいて、流路70bを流通する洗浄液の流量を所定範囲内に調整する。この流量調整装置50による洗浄液の流量調整手法は、前述した実施形態に係る流量調整装置50(流路70aに配置された流量調整装置50)と同様である。
【0093】
一方、流路70cに配置された流量調整装置50は、この流路70cに配置された流量センサ61が検出した研磨液の流量に基づいて、流路70cを流通する研磨液の流量を所定範囲内に調整する。なお、研磨装置1aは、仮に研磨液の流量を調整しない場合には、この研磨液用の流量調整装置50及び流量センサ61を備えていない構成とすることもできる。
【0094】
本変形例に係る制御装置90も、前述した
図4及び
図5のフローチャートを実行する。
【0095】
ここで、流路70aに詰まりが発生した場合、流路70aを流通する洗浄液の圧力が上昇する結果、この流路70aに切換装置40を介して連通した流路70bを流通する洗浄液の圧力も上昇する。したがって、本変形例においても、流路70bに配置された圧力センサ60が検出した圧力に基づいて、前述した実施形態と同様の手法で、流路70aに詰まりが発生したことを検出することができる。
【0096】
また、本変形例によれば、流量調整装置50や流量センサ61や圧力センサ60が流路70aに配置されていないので、これらの部材が流路70aに配置されている場合に比較して、切換装置40を流路70aの下流端に近い箇所に配置することができる。この場合、洗浄処理で廃棄することになる流路70a内の研磨液の量の削減を図ることができる。
【0097】
(実施形態の変形例2)
続いて、実施形態の変形例2に係る研磨装置1について説明する。本変形例に係る研磨装置1は、流路70aに詰まりが発生したことを検出するにあたり、圧力センサ60の検出値に代えて、流量センサ61の検出値を用いる点において、主として、前述した実施形態に係る研磨装置1と異なっている。この場合、
図1を参照して、本変形例に係る研磨装置1は、圧力センサ60を備えていない構成とすることもできる。
【0098】
本変形例に係る制御装置90は、
図4及び
図5のフローチャートを実行するが、
図5のフローチャートのステップS40の実行内容が、前述した実施形態の場合と異なっている。
【0099】
具体的には、本変形例に係る制御装置90は、ステップS40において、洗浄液が流路70aを流通しているときに流量センサ61が検出した流量(すなわち、流路70aにおける洗浄液の流量)に基づいて、流路70aに詰まりが発生したことを検出する。
【0100】
具体的には、ステップS40において、本変形例に係る制御装置90は、流量センサ61が検出した流量(すなわち、流路70aを流通する洗浄液の流量)を取得する。次いで、制御装置90は、予め設定された基準流量と、この流量センサ61が検出した流量と、の差(「流量差」と称する)を算出する。
【0101】
上述した基準流量としては、例えば、流路70aに詰まりが発生していない場合の洗浄液の流量を用いることができる。具体的には、この基準流量として、流量調整装置50による洗浄液の流量の制御目標値(前述した「所定流量」)を用いることができる。より具体的には、この基準流量として、
図6(B)で前述した上限値F2と下限値F1との平均値等を用いることができる。この基準流量は、予め実験等を行って適切な値を求めておき、記憶装置92に記憶させておく。
【0102】
流路70aの詰まり度合いが大きくなるほど、流路70aを流通する洗浄液の流量は少なくなる。このため、上述した「流量差」は、流路70aの詰まり度合いが大きくなるほど、大きな値を取る。そこで、本変形例に係る制御装置90は、以下に説明するように、この流量差に基づいて流路70aの詰まり度合いを判定する。
【0103】
図8は、本変形例に係る詰まり検出処理で用いられる閾値を説明するための模式図である。具体的には、
図8には、流路70aに詰まりが発生したか否かを判定する際に用いられる「流量差」の閾値として、第3閾値P3、及び、第4閾値P4が例示されている。第4閾値P4は、第3閾値P3よりも大きな値である。また、
図8に例示されているラインL5、ラインL6、ラインL7は、流量差の時間変化を模式的に示している。
【0104】
ステップS40において、本変形例に係る制御装置90は、基準流量と流量センサ61が検出した流量との差(「流量差」)が、予め設定された第3閾値P3以上の場合に、流路70aに詰まりが発生したと判定する。制御装置90は、流量差が第3閾値P3以上、第4閾値P4よりも小さい場合に、流路70aの詰まり度合が小さいと判定する。制御装置90は、流量差が第4閾値P4以上である場合に、流路70aの詰まり度合いが大きいと判定する。
【0105】
すなわち、
図8において、ラインL5の場合、制御装置90は、流路70aに詰まりが発生していないと判定し、ラインL6の場合、流路70aの詰まり度合いが小さいと判定し、ラインL7の場合、流路70aの詰まり度合いが大きいと判定する。
【0106】
本変形例においても、制御装置90は、判定された流路70aの詰まり度合いを報知装置80に報知させることが好ましい。
【0107】
本変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0108】
なお、上述した実施形態や、実施形態の変形例1や、変形例2において、さらに、制御装置90は、流路70aを流通する研磨液の圧力が所定の閾値以上になった場合や、流路70aを流通する研磨液の流量が所定の閾値未満になった場合に、その旨を報知装置80に報知させてもよい。この構成によれば、ユーザは、流路70aの洗浄を実行することが望まれる状態になったことを早期に把握することができる。
【0109】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 研磨装置
10 研磨機
40 切換装置
50 流量調整装置
60 圧力センサ(「センサ」)
61 流量センサ(「センサ」)
70a,70b,70c 流路
71 配管
72 吐出ノズル
73,73a 吐出口
90 制御装置
Wf 基板