(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054722
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/048 20130101AFI20240410BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240410BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240410BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20240410BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240410BHJP
B41J 29/00 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
G06F3/048
B41J29/46 Z
B41J29/42 E
B41J29/42 F
G06F3/14 350A
G06F3/01 510
B41J29/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161142
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】森田 悦章
【テーマコード(参考)】
2C061
5B069
5E555
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061BB15
2C061CQ03
2C061CQ22
2C061CQ23
2C061CQ32
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HQ01
5B069AA20
5B069CA14
5B069JA01
5B069JA06
5E555AA56
5E555AA62
5E555BA01
5E555BA09
5E555BB01
5E555BB09
5E555BC01
5E555BE11
5E555CA12
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5E555CB12
5E555CB20
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5E555CC01
5E555DA05
5E555DB41
5E555DC05
5E555DC84
5E555DD08
5E555EA03
5E555EA09
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】2以上の操作パネルのうちのいずれかの操作パネルを操作する操作者が意図しない操作が他の操作パネルを介して行われる可能性を低減すること。
【解決手段】情報処理装置は、筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知部と、前記操作者状況検知部が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御部と、を有する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知部と、
前記操作者状況検知部が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記操作に関する情報は、操作者が操作する可能性を含み、
前記他の操作者は、前記2以上の操作部のうちの第2の操作部を利用する可能性が有る者を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作者状況検知部は、いずれかの前記操作部に対する操作に基づいて、前記操作者の状況を検知し、
前記通知制御部は、前記2以上の操作部のうち前記操作者状況検知部が操作を検知した操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作者状況検知部は、前記装置とは別の装置に対する操作に基づいて、前記操作者の状況を検知し、
前記通知制御部は、前記2以上の操作部のうち、前記別の装置の操作部に近い方の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記操作者状況検知部は、前記操作者の位置を検知し、
前記通知制御部は、前記2以上の操作部のうち、前記操作者状況検知部が検知した位置から近い方の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記操作者状況検知部は、前記第1の操作部の操作状態を検知し、
前記通知制御部は、前記第1の操作部の操作状態に応じて第2の操作部の操作を制限する、
ことを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知の制御は、前記第1の操作部に対する操作を示す情報を表示することである、
ことを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通知の制御は、前記第2の操作部の表示を抑制することである、
ことを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通知の制御は、前記第2の操作部において一部の操作を制限することである、
ことを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記通知制御部は、前記操作者状況検知部が操作を検知した操作部の状態が所定の条件を満たした場合に、前記通知の制御を解除する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記通知制御部は、前記第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるために文字情報、光又は音の出力を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項12】
筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知手順と、
前記操作者状況検知手順が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知手順と、
前記操作者状況検知手順が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場やデータセンタ等のフロアに設置される、商用向け大型インクジェットプリンタ等の商用印刷機(以下、単に「印刷機」という。)の中には、その筐体が人の身長を超える程の高さを有し、人が筐体を挟んだ反対側から回り込んで来るには相当な移動距離や障害物等の存在する程の全長を有する大型のものがある。
【0003】
例えば、このような大型の印刷機を操作する操作者が当該印刷機に備わった操作パネル(例えば後述する基本操作パネル)とは反対側で作業している場合または複数台の印刷機の操作を担う場合などにおいて、その操作者が当該操作パネルで操作するためには、反対側から経路を移動するためのタイムラグが生じたりや効率が悪くなったりする。その結果、操作者による印刷機の状態の検知や異常の発見、または必要な操作に遅れが生じるなど、適切な管理が行われなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような問題を解決するため、そのような印刷機の筐体において、反対側にも操作パネルを増設する(出荷時から両側に設置することを含む)ことが考えられる。
【0005】
この場合、印刷機に対する2つの操作パネルは、印刷機の筐体を挟んで互いに反対側に設置されているが、印刷機の筐体はその大きさゆえ、仮に、双方の操作パネルの前に操作者が居る状況であっても、各操作者は、他方の操作者の存在を視認するのは困難である。また、このような印刷機が設置されているフロアは騒音等が発生している可能性が有り、一方の操作者と他方の操作者とで会話によるコミュニケーションをとるのも困難である。
【0006】
例えば、双方の操作者によって印刷機が操作される可能性があるが、この場合、一方の操作者による操作が他方の操作者によって上書き又は無効化されてしまう等、一方の操作者が意図しない操作が他方の操作者によって行われてしまう可能性が有る。その結果、印刷機の稼働に支障が生じる可能性が有る。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、2以上の操作パネルのうちのいずれかの操作パネルを操作する操作者が意図しない操作が他の操作パネルを介して行われる可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知部と、前記操作者状況検知部が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
2以上の操作パネルのうちのいずれかの操作パネルを操作する操作者が意図しない操作が他の操作パネルを介して行われる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】印刷機の配置レイアウトの第1の例を示す平面図である。
【
図2】印刷機に操作パネルを増設する第1の例を示す図である。
【
図3】印刷機500の大きさをイメージするための概念図である。
【
図4】印刷機の配置レイアウトの第2の例を示す平面図である。
【
図5】印刷機に操作パネルを増設する第2の例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態における管理システム1の第1の構成例を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態における管理システム1の第2の構成例を示す図である。
【
図8】印刷システム20のレイアウトを示す平面図である。
【
図9】本発明の実施の形態における管理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態における印刷システム20の装置構成の一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態における操作パネル22のハードウェア構成例を示す図である。
【
図12】第1の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
【
図13】第1の実施の形態における制御装置21の機能構成例を示す図である。
【
図14】第1の実施の形態において管理装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図15】操作状態記憶部112の構成例を示す図である。
【
図16】パネル構成記憶部114の構成例を示す図である。
【
図18】並行操作記憶部113の構成例を示す図である。
【
図19】第1の実施の形態において制御装置21-1が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図20】第2の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
【
図21】第2の実施の形態において管理装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図22】関連情報記憶部115の構成例を示す図である。
【
図23】第3の実施の形態における管理システム1の構成例を示す図である。
【
図24】操作者の位置を表現する座標系の一例を示す図である。
【
図25】第3の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
【
図26】第3の実施の形態において管理装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図28】操作エリア記憶部116の構成例を示す図である。
【
図29】第4の実施の形態における管理システム1の構成例を示す図である。
【
図30】第4の実施の形態における出力装置40の配置位置の一例を説明するための平面図である。
【
図31】第4の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
【
図32】出力先記憶部117の構成例を示す図である。
【
図33】
図33は、出力装置40の通知制御に使用される制御情報の一例を示す図である。
【
図34】出力装置40としての電光掲示板一例を示す図である。
【
図35】出力装置40としてのスピーカの一例を示す図である。
【
図36】出力装置40としてのランプの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、印刷機の配置レイアウトの第1の例を示す平面図である。
図1には印刷機500(500-1)が配置されている例が示されている。例えば、工場(印刷工場など)やデータセンタ等に設置されている商用向け大型インクジェットプリンタ等の商用印刷機(印刷機の一例)の中には、全長が10mを超えるほどのものもあり(なお、長さがこれに限られるものではない)、そのような印刷機500-1の操作者が印刷機が備える操作パネルとは印刷機を挟んで反対側で何らかの作業をしている(あるいは必要がある)こともある。そのような操作者が操作パネル510-1を介して印刷機500-1を操作する場合、操作者は、位置p1から位置p2へ矢印a1が示すような経路を移動しなければならず、場合によっては位置p1と位置p2の間を何度も往復するなど非効率的である。またその結果、操作者によるインクの残量の検知や残利用可能時間等の軽微な異常の発見と回避策の計画に遅れが生じるなど、適切な管理が行われなくなる可能性もある。
【0012】
このような問題を解決するため、印刷機500-1の筐体において、操作パネル510-1の反対側に操作パネルを増設することが考えられる。
【0013】
図2は、印刷機に操作パネルを増設する第1の例を示す図である。
図2では、印刷機500-1において、操作パネル510-1の反対側に操作パネル510-3が増設されている。
図5の状態であれば、操作パネル510-1の反対側にいる操作者は、位置p1からの僅かな移動で操作パネル510-3を介して印刷機500-1を操作することができる。
【0014】
図2の状態において、印刷機500-1に対する2つの操作パネル510は、印刷機500-1の筐体を挟んで互いに反対側に設置されている。このような印刷機500-1においては通常、印刷機5001の一方の側面sd1に対して操作者による操作に最適な場所又は位置に基本パネルが設置されているが(なお、最適な場所等に限られるものではない)、当該基本パネルの反対側の側面sd2に増設パネルが設置される。なお、本実施形態において反対側とは、操作者が操作している操作パネルに対する筐体を挟んだ反対側(当該操作パネルを正面とした場合の背面あるいは逆側と称してもよい。)の側面に位置する操作パネルをいう。したがって、操作パネル510―1を操作する操作者からみた反対側の操作とは操作パネル510-3に対する操作であり、操作パネル510-3を操作する操作者からみた反対側の操作とは操作パネル510-1に対する操作である。
【0015】
また、
図3は、印刷機500の大きさをイメージするための概念図である。
図3に示されるように、印刷機500の筐体は人の身長を超える程の高さ(2mほどのものもあるがこれに限られるものではなく、操作者から他の操作者の視認を困難にする大きさの装置であれば以下の各実施の形態を同様に適用可能である。)を有する。したがって、仮に、双方の操作パネル510の前に操作者が居る状況であっても、各操作者は、他方の操作者の存在を視認するのは困難である。また、印刷機500が設置されているフロアは騒音等が発生している可能性が有り、一方の操作者と他方の操作者とで会話によるコミュニケーションをとるのも困難である。
【0016】
同様に、
図4は、印刷機の配置レイアウトの一例を示す平面図であるが、
図4では、2台の印刷機500(500-1及び500-2)が並列に配置されている例が示されている。この場合、2台以上の(複数の)印刷機500は、給紙側及び排紙側が一致するように配置されるのが一般的である。各印刷機500の給紙側及び排紙側を一致させることで、給紙及び排紙に関する作業や、作業場の空間効率を向上させることができる。例えば、
図4において右側が給紙側であれば、スペースsp1に印刷用紙を保管しておくことで、各印刷機500への印刷用紙のセットを効率化することができると共に、印刷用紙の保管スペースを効率化することができる。排紙側についても同様の効果を得ることができる。
【0017】
一方で、各印刷機500の機種が同じであれば、各印刷機500の筐体において操作パネル510の設置位置は同じである。また、一人の操作者が複数台の印刷機500の操作を担う場合が有る。そうすると、操作者が、操作パネル510-2を介して印刷機500-2を操作した後に操作パネル510-1を介して印刷機500-1を操作する場合、当該操作者は、位置p1から位置p2へ矢印a1が示すような経路を移動しなければならない。その結果、操作者によるインクの残量の検知や残利用可能時間等の軽微な異常の発見と回避策の計画に遅れが生じるなど、適切な管理が行われなくなる可能性があるのは
図4の例と同様である。また、
図4では2台の印刷機500の例を示したが、複数台(3台以上の場合も含む)には同様の構成で示すことができる。
【0018】
このような問題を解決するため、いずれか一方の印刷機500の筐体において、他方の印刷機500と向かい合っている側に操作パネルを増設することが考えられる。
【0019】
図5は、印刷機に操作パネルを増設する第2の例を示す図である。
図5では、印刷機500-1において、操作パネル510-2と向かい合う側に操作パネル510-3が増設されている。
図5の状態であれば、操作パネル510-2を操作中の操作者は、位置p1からの僅かな移動で操作パネル510-3を介して印刷機500-1を操作することができる。
【0020】
図5の状態において、印刷機500-1に対する2つの操作パネル510は、印刷機500-2の筐体を挟んで互いに反対側に設置されている。また、
図3に示されるように、仮に、双方の操作パネル510の前に操作者が居る状況であっても、各操作者は、他方の操作者の存在を視認するのは困難であったり、印刷機500が設置されているフロアは騒音等が発生している可能性が有り、一方の操作者と他方の操作者とで会話によるコミュニケーションをとるのも困難であることは前述のとおりである。
【0021】
したがって、
図2および
図5に示すいずれの場合でも、双方の操作者によって印刷機500-1が操作される可能性がある。この場合、一方の操作者による操作が他方の操作者によって上書き又は無効化されてしまう等、一方の操作者が意図しない操作が他方の操作者によって行われてしまう可能性が有る。その結果、印刷機500-1の稼働に支障が生じる可能性が有る。
【0022】
例えば、上記のような2以上の操作パネルのうちのいずれかの操作パネルを操作する操作者が意図しない操作が他の操作パネルを介して行われる可能性を低減するための本実施形態を以下説明する。
【0023】
図6は、第1の実施の形態における管理システム1の第1の構成例を示す図である。
図6において、管理システム1は、印刷システム20-1と管理装置10とを含む。印刷システム20-1は、LAN(Local Area Network)等のネットワークN1を介して管理装置10に接続する。
【0024】
印刷システム20-1は、商用向け大型インクジェットプリンタ等の商用印刷機である。印刷システム20-1は、操作パネル22-1及び操作パネル22-2と制御装置21-1とを有する。
【0025】
また、
図7は、第1の実施の形態における管理システム1の第1の構成例を示す図である。
図7中、
図6と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0026】
図7において、管理システム1は、更に、印刷システム20-2を含む。印刷システム20-2は、ネットワークN1を介して管理装置10に接続する。
【0027】
印刷システム20-2は、印刷システム20-1と同様の商用印刷機である。印刷システム20-2は、操作パネル22-3と制御装置21-2とを有する。
【0028】
以下、操作パネル22-1、操作パネル22-2及び操作パネル22-3を区別しない場合、以下「操作パネル22」という。また、制御装置21-1と制御装置21-2とを区別しない場合、以下「制御装置21」という。
【0029】
なお、本実施の形態は、
図6に示したように印刷システム20-1が単独で存在する場合において十分に成立するが、印刷システム20-1以外の印刷システム20-2が存在する場合も考慮して本実施の形態を説明する。
【0030】
操作パネル22は、操作者からの操作を受け付けたり、印刷システム20に関する情報等を表示したりする操作部として機能する電子機器である。操作パネル22は、例えば、入力装置及び表示装置が一体化されたタッチパネルを含み、タッチパネルに表示される画面要素やソフトウェアキーボードを介して操作者からの操作を受け付ける。又は、操作パネル22は、液晶パネル等の表示装置とキーボード等の入力装置を含み、キーボード等を介して操作者からの操作を受け付けてもよい。このように、操作部とは、操作者からの操作を受け付けるための手段であると共に、操作者に対して情報を表示する手段でもある。
図6操作パネル22-1は、印刷システム20-1が当初から備える操作パネル22(以下、「基本パネル」ともいう。)である。操作パネル22-2は、印刷システム20-1の操作等の効率性の向上等のために印刷システム20-1に増設された操作パネル22(以下、「増設パネル」ともいう。)である。なお、
図6の場合において、操作パネル22-3は、印刷システム20-2の基本パネルである。
【0031】
制御装置21は、操作パネル22-1及び操作パネル22-2について、管理装置10からのネットワークN1を介した指示に応じた制御を実行する装置(コンピュータ)である。
【0032】
管理装置10は、印刷システム20を管理しており、操作パネル22-1及び操作パネル22-2のいずれかの操作パネル22を操作する操作者が意図しない操作が他方の操作パネル22を介して行われる可能性を低減するための制御を行う1以上のコンピュータである。また、管理装置10の一部又は全部が印刷システム20の中に含まれるよう構成することも可能である。例えば、管理装置10は、印刷システム20-1の操作者の状況を検知する。管理装置10は、検知した状況に応じて操作パネル22-1及び操作パネル22-2のうちの一方の操作パネル22に対する操作に関する情報(例えば、一方の操作パネル22に対して操作が行われる可能性が有ること、のように操作状況を示す情報)を他の操作者に知らせる(気づかせる、認知させる)ための制御通知を行う。なお、制御通知とは、一方の操作パネル22に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせる(気づかせる、認知させる)ための制御に用いられる通知をいう。
【0033】
図8は、印刷システム20のレイアウトを示す平面図である。印刷システム20-1は、工場やデータセンタ等のフロアに配置される。
図6のような構成の場合、
図8に示されるように、各印刷システム20は、工場やデータセンタ等のフロアにおいて、印刷方向が同じになるように並列に配置されている。印刷方向とは、給紙側から排紙側への方向をいう。
【0034】
操作パネル22-1及び操作パネル22-2は、印刷システム20-1の筐体を挟んで互いに反対側に設置される。その結果、操作者は、基本パネルである操作パネル22-1の反対側に居る状況において、操作パネル22-1の側に移動せずとも操作パネル22-2を介して印刷システム20-2を操作することができる。また、
図6の場合であれば、操作パネル22-2は、印刷システム20-2の筐体において操作パネル22-3が設置される側に対向する。その結果、操作者は、印刷システム20-1と印刷システム20-2との間において、操作パネル22-2と操作パネル22-3とを操作することができる。
【0035】
図9は、本発明の実施の形態における管理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図9の管理装置10は、それぞれバスB1で相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0036】
管理装置10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0037】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って管理装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0038】
図10は、本発明の実施の形態における印刷システム20の装置構成の一例を示す図である。
図10に示されるように、印刷システム20は、例えば、給紙装置23、先塗り装置24、表機25、反転装置26、裏機27、巻き取り装置28、コントローラ29及び操作パネル22を含む。このうち、給紙装置23、先塗り装置24、表機25、反転装置26、裏機27及び巻き取り装置28は、印刷方向において直列的に配置され、これらの装置の横幅の合計+αが、印刷システム20の全長を構成する。また、これら各装置はその一部または全部を一つの装置として含む形態でもよい。
【0039】
給紙装置23は、ロール状に巻かれた印刷用紙を給紙する。先塗り装置24は、印刷用紙の両面に先塗り液(ニス等)を塗ることで、印刷用紙の表面をコーティングする。表機25は、印刷用紙の一方の面(表面)に印刷を行うプリンタである。反転装置26は、印刷用紙を捻って表裏を反転させることで、印刷用紙の裏面への印刷を可能とする。裏機27は、印刷用紙の他方の面(裏面)に印刷を行うプリンタである。巻き取り装置28は、印刷された印刷用紙をロール状に巻き取る装置である。
【0040】
コントローラ29は、給紙装置23、先塗り装置24、表機25、反転装置26、裏機27及び巻き取り装置28間の通信を可能にするためのハブである。操作パネル22は、コントローラ29に接続することで、これら各装置に対する操作や各装置の状態の表示を可能とすることができる。
【0041】
印刷システム20-1の場合、2台の操作パネル22がコントローラ29に接続する。また、操作パネル22は、表機25及び裏機27のそれぞれに設置されてもよい。この場合、
図6に示した各操作パネル22は、2台の操作パネル22を表現すると解釈されてもよい。
【0042】
なお、制御装置21は、表機25又は裏機27に含まれてもよいし、コントローラ29に含まれてもよい。又は、いずれかの操作パネル22が制御装置21を有してもよい。
【0043】
図11は、本発明の実施の形態における制御装置21のハードウェア構成例を示す図である。
図11の制御装置21は、それぞれバスB2で相互に接続されているドライブ装置200、補助記憶装置202、メモリ装置203、CPU204、及びインタフェース装置205等を有する。
【0044】
制御装置21での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0045】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従って制御装置21に係る機能を実行する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0046】
図12は、第1の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
図12において、管理装置10は、操作情報受信部11、操作者状況検知部12、操作制御部13及び通知制御部14を有する。これら各部は、管理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。管理装置10は、また、操作履歴記憶部111、操作状態記憶部112、並行操作記憶部113及びパネル構成記憶部114を利用する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102、又は管理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0047】
操作情報受信部11は、印刷システム20において操作パネル22が操作されるたびに当該印刷システム20の制御装置21から送信される操作情報を受信する。操作情報とは、操作実績(実際に操作パネル22が操作された記録)を示す情報をいい、操作対象とされた操作パネル22の識別情報(以下、「パネルID」という。)と、当該操作パネル22が属する印刷システム20の識別情報(以下、「機器ID」という。)と、を含み、さらに操作によって指示された内容(例えば、操作パネル22(又は操作パネル22に対するキーボード等の接続された操作部品による操作を含む)を介して選択された項目等。以下、「操作内容」という。)と、操作が行われた時刻とを含んでもよい。
【0048】
操作情報受信部11は、受信した操作情報を操作履歴記憶部111に記録する。したがって、操作履歴記憶部111には、操作情報の履歴が記録される。
【0049】
操作者状況検知部12は、操作情報等に基づいて、操作者の状況を検知する。操作者の状況とは、例えば、操作者がいずれの印刷システム20をいずれの操作パネル22を利用して操作中(操作しようとしている場合も含む。)であるかに関する状況をいう。操作者状況検知部12は、操作者の状況の検知結果として、各印刷システム20において操作中である操作パネル22のパネルIDを操作状態記憶部112に記録する。
【0050】
操作制御部13は、操作者状況検知部12による検知結果や、並行操作記憶部113に記憶されている情報等に基づいて、操作情報に係る操作に応じた処理の実行の許否を判定し、当該許否の判定結果を、当該操作情報の送信元の制御装置21へ送信する。例えば、操作制御部13は、操作中である操作パネル22に対する操作であれば、当該操作に応じた処理を許可する。操作制御部13は、印刷システム20-1が有する2つの操作パネル22のうち、一方が操作中である場合に、他方の操作パネル22に関する操作情報が受信された場合には、当該操作情報に係る操作に応じた処理を許可しない。但し、当該操作情報の操作内容が、並行操作記憶部113に記憶されている場合、操作制御部13は、当該操作情報に係る操作に応じた処理を許可する。
【0051】
並行操作記憶部113には、印刷システム20-1が有する2つの操作パネル22のうち、一方が操作中である場合に他方の操作パネル22を利用して許可される操作内容の一覧が記憶されている。例えば、印刷システム20の状態の参照又は実行中のジョブの状態の参照等のように、何らかの情報の参照に関する操作が当該一覧に含まれる操作の一例として挙げられる。
【0052】
通知制御部14は、2以上の操作パネル22を有する印刷システム20において或る操作パネル22が操作中であることが操作者状況検知部12によって検知された場合に、当該或る操作パネル22の操作に関する情報(当該或る操作パネル22が操作中であること(操作される可能性が有ること)を当該或る操作パネル22の操作者以外の者に知らせる(気づかせる、認知させる)ための制御通知を出力デバイス(装置)に出力させるための制御(以下、「通知制御」という。)を行う。制御通知を出力デバイス(装置)に出力させるための制御(通知制御)は、或る操作パネル22が操作中であること(操作される可能性が有ること)を当該或る操作パネル22の操作者以外の者に知らせる(気づかせる、認知させる)ための通知を制御することともいえる。通知制御のために、通知制御部14は、通知制御の内容を示す情報(以下、「通知制御情報」という。)を操作情報の送信元の制御装置21へ送信する。通知制御情報は、例えば、操作中の操作パネル22のパネルID、通知制御のための情報の出力先の操作パネル22のパネルID等を含む。なお、各印刷システム20が2以上の操作パネル22を有するか否か等は、パネル構成記憶部114を参照して特定可能である。
【0053】
パネル構成記憶部114には、印刷システム20ごとに、基本パネルとしての操作パネル22のパネルIDと、増設パネルとしての操作パネル22のパネルIDとが記憶されている。但し、増設パネルを有さない印刷システム20-2については、増設パネルのパネルIDは記憶されていない。
【0054】
図13は、第1の実施の形態における制御装置21の機能構成例を示す図である。
図13において、制御装置21は、操作情報送信部211、応答受信部212、操作処理実行部213、通知制御受信部214及び通知処理部215を有する。これら各部は、制御装置21にインストールされた1以上のプログラムが、CPU204に実行させる処理により実現される。
【0055】
操作情報送信部211は、印刷システム20が有するいずれかの操作パネル22に対する操作を検知すると、当該操作に関する操作情報を管理装置10へ送信する。
【0056】
応答受信部212は、操作情報に対して管理装置10から送信される、当該操作情報に係る操作に応じた処理の実行の許否を示す応答を受信する。
【0057】
操作処理実行部213は、応答受信部212が操作に応じた処理の実行を許可する応答を受信した場合に、当該処理を実行する。
【0058】
通知制御受信部214は、管理装置10から送信される通知制御情報を受信する。
【0059】
通知処理部215は、通知制御受信部214が受信した通知制御情報が示す通知制御のための処理を実行する。
【0060】
以下、管理システム1において実行される処理手順について説明する。
図14は、第1の実施の形態において管理装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0061】
管理装置10の操作情報受信部11は、操作情報の受信を待機している(S101)。操作情報受信部11は、操作情報を受信すると(S101でYes)、当該操作情報(以下、「対象操作情報」という。)を操作履歴記憶部111に記録することで、操作履歴記憶部111の内容(操作履歴)を更新する(S102)。
【0062】
続いて、操作者状況検知部12は、操作状態記憶部112を参照して、対象操作情報の送信元の印刷システム20(以下、「対象印刷システム20」という。)においていずれかの操作パネル22が既に操作中であるか否かを判定する(S103)。
【0063】
図15は、操作状態記憶部112の構成例を示す図である。
図15が示すように、操作状態記憶部112は、印刷システム20ごとに、当該印刷システム20の機器IDに関連付けて、操作中である操作パネル22のパネルIDを記憶する。いずれの操作パネル22も操作中でない印刷システム20についてはパネルIDは記憶されていない。例えば、
図15(a)において、「機器1」は、印刷システム20-1の機器IDであり、「機器2」は、印刷システム20-2の機器IDである。「M002」は、操作パネル22-2のパネルIDである。したがって、
図15(a)では、印刷システム20-1において増設パネルである操作パネル22-2が操作中であることが示されている。
【0064】
一方、
図15(b)において、「M003」は、印刷システム20-2の操作パネル22-3のパネルIDである。したがって、
図15(b)では、印刷システム20-2においては操作パネル22-3が操作中であることが示されている。一方、「機器1」に対してパネルIDは記憶されていない。したがって、
図15(b)では、印刷システム20-1においては、操作パネル22-1及び操作パネル22-2のいずれもが操作中でないことが示されている。
【0065】
対象印刷システム20においていずれの操作パネル22も操作中でない場合(S103でNo)、操作者状況検知部12は、操作者が対象操作情報に係る操作パネル22(以下、「対象操作パネル22」という。)を介して対象印刷システム20の操作を開始したことを検知する。そこで、操作者状況検知部12は、対象操作パネル22が対象印刷システム20において操作中の操作パネル22であることを示すように操作状態記憶部112を更新する(S104)。具体的には、操作者状況検知部12は、対象印刷システム20の機器IDに関連付けて対象操作パネル22のパネルIDを操作状態記憶部112に記録する。
【0066】
続いて、操作制御部13は、対象操作情報の送信元の対象制御装置21へ許可応答を送信する(S105)。許可応答とは、対象操作情報に係る操作に応じた処理の実行を許可することを示す応答をいう。
【0067】
続いて、通知制御部14は、パネル構成記憶部114を参照して、対象印刷システム20が増設パネルを有するか否かを判定する(S106)。
【0068】
図16は、パネル構成記憶部114の構成例を示す図である。
図16が示すように、パネル構成記憶部114は、印刷システム20ごとに、当該印刷システム20の機器IDに関連付けて、当該印刷システム20が有する基本パネル及び増設パネルのパネルIDを記憶する。但し、増設パネルを有さない印刷システム20については増設パネルのパネルIDは記憶されていない。
【0069】
図16によれば、機器IDが「機器1」である印刷システム20-1は、パネルIDが「M001」である操作パネル22-1を基本パネルとして有し、パネルIDが「M002」である操作パネル22-2を増設パネルとして有することが示されている。また、機器IDが「機器2」である印刷システム20-2は、パネルIDが「M003」である操作パネル22-1を基本パネルとして有し、増設パネルを有さないことが示されている。
【0070】
通知制御部14は、対象操作情報に含まれている機器IDに対して増設パネルのパネルIDがパネル構成記憶部114に記憶されているか否かに基づいて、対象印刷システム20が増設パネルを有するか否かを判定することができる。
【0071】
対象印刷システム20が増設パネルを有する場合(S106でYes)、通知制御部14は、対象印刷システム20において対象操作パネル22が操作中であることを他の人(他の操作パネル22から操作する可能性がある操作者など)に知らせる(あるいは認知させる)ための出力デバイス(装置)に関する通知制御を実行する(S107)。第1の実施の形態において、通知制御部14は、対象印刷システム20に関してパネル構成記憶部114に記憶されている2つのパネルIDのうち、対象操作パネル22のパネルIDとは異なる操作パネル22(以下「非対象操作パネル22」という。)に、対象操作パネル22が操作中であることに関する通知制御情報を対象制御装置21へ送信する。通知制御情報は、非対象操作パネル22のパネルIDを出力先の識別情報として含み、対象操作パネル22のパネルIDを操作中の操作パネル22の識別情報として含む。
【0072】
例えば、対象操作パネル22が基本パネルであれば、増設パネルのパネルIDを出力先の識別情報として含み(操作パネル22は本実施形態における出力装置の一つである。)、対象操作パネル22のパネルIDを操作中の操作パネル22の識別情報として含む通知制御情報が対象制御装置21へ送信される。対象制御装置21は、通知制御情報に応じて、対象操作パネル22が操作中であることを知らせるための制御通知を非対象操作パネル22に実行させる。例えば、対象制御装置21は、非対象操作パネル22の表示の一部又は全部を抑制して操作不能としたり(例えば、グレーアウト表示や電源断、セーフティモード等を含む)、非対象操作パネル22に対して対象操作パネル22が操作中であることを認知させるための情報を表示(例えば、アラート表示)したりする。
【0073】
図17は、制御通知の一例を示す図である。
図17において、(a)は、操作パネル22に印刷システム20-1の状態、ジョブの一覧が表示されている状況において、いずれかのジョブに対して設定を行うための「設定ボタン」をグレーアウトすることで制御通知が行われる例を示す。(b)は、反対側の操作パネル22が使用中であることを示すアラートを表示することで制御通知が行われる例を示す。
【0074】
対象印刷システム20が増設パネルを有さない場合(S106でNo)、通知制御部14は、ステップS107を実行しない。
【0075】
一方、対象印刷システム20においていずれかの操作パネル22が既に操作中である場合(S103でNo)、操作者状況検知部12は、対象操作パネル22が操作中であるか否かを判定する(S108)。具体的には、操作者状況検知部12は、対象操作情報に含まれている機器IDに対して操作状態記憶部112に記憶されている操作中のパネルIDが、対象操作情報に含まれているパネルIDと同じであるか否かを判定する。
【0076】
対象操作パネル22が操作中である場合(S108でYes)、操作者状況検知部12は、操作者が対象操作パネル22を介して操作を行っている状況を検知する。この場合、操作制御部13は、対象操作情報の送信元の対象制御装置21へ許可応答を送信する(S109)。
【0077】
対象操作パネル22が操作中でない場合(すなわち、現在操作された操作パネル22とは別の操作パネル22が操作中である場合)(S108でYes)、操作者状況検知部12は、対象印刷システム20において、2人の操作者によって2つの操作パネル22が同時に(並行して)操作されている可能性が高い状況を検知する。そこで、操作制御部13は、対象操作情報の操作内容が並行操作可能な操作であるか否かについて並行操作記憶部113を参照して判定する(S110)。
【0078】
図18は、並行操作記憶部113の構成例を示す図である。
図18が示すように、並行操作記憶部113には、並行操作が可能な操作内容の一覧が記憶されている。並行操作が可能とは、操作中でない操作パネル22において許可される操作をいう。例えば、印刷システム20の稼働状態の参照、実行中のジョブの状態の参照又はインク残量の参照等のように、何らかの情報の参照に関する操作は、印刷システム20又は実行中のジョブの状態に影響を与える可能性が低い。このように、操作中でない操作パネル22での操作を全面的に禁止するのではなく、印刷システム20又は実行中のジョブの状態に影響を与える可能性が低い一部の操作を許可することで利便性を確保することができる。但し、操作中でない操作パネル22での操作を全面的に禁止したい場合には、並行操作記憶部113に対して操作内容を全く登録しなければよい。
【0079】
対象操作情報の操作内容が並行操作可能な操作である場合(S110でYes)、操作制御部13は、許可応答を対象制御装置21へ送信する(S111)。対象操作情報の操作内容が並行操作不可能な操作である場合(S110でNo)、操作制御部13は、不許可応答を対象制御装置21へ送信する(S112)。不許可応答とは、対象操作情報に係る操作に応じた処理の実行を許可しないことを示す応答をいう。このようにするのは、例えば、印刷システム20への設定変更、画像操作、ジョブ操作(ジョブの実行や取り消し等)などは並行操作されてしまうと印刷システム20又は実行中のジョブの状態に影響を与える可能性が高いからである。
【0080】
なお、ステップS110~S112は、ステップS107の通知制御において、対象操作パネル22とは別の操作パネル22の操作が可能とされる場合(すなわち、並行操作可能な操作が有る場合)に実行されるステップである。
【0081】
また、印刷システム20-1において、或る操作パネル22が操作中であり、操作中でない操作パネル22に対して操作が行われた場合に、当該操作が並行操作可能な操作であれば操作を許可するための制御(すなわち、一部の操作を制限するための制御)は、通知制御の一環として行われてもよい。具体的には、ステップS107において送信された通知制御情報を受信した制御装置21が、当該通知制御情報において出力先として指定されている操作パネル22を利用した操作を、並行操作可能な操作に限定してもよい。この場合、管理装置10は、ステップS108~S112を実行しなくてもよい。
【0082】
続いてステップS113以降について説明する。操作者状況検知部12は、操作情報を受信しない場合であっても(S101でNO)、いずれかの印刷システム20が通知制御中であるか否かを繰り返し判定する(S113)。通知制御中とは、ステップS107を実行した後に、通知制御の解除が実行されていない状態をいう。通知制御中である場合(S113でYes)、操作者状況検知部12は、操作状態記憶部112(
図15)において各印刷システム20に対してパネルIDが記憶されている操作パネル22の操作中の解除の可否を判定する(S114)。ここで、或る印刷システム20に関して或る操作パネル22が操作中である場合に、当該操作中を解除可能な条件の一例として、当該操作パネル22が以下の状態である場合が挙げられる。
(1)当該操作パネル22が最後に操作されてから所定時間以上経過したこと。
(2)操作が開始されていない状況において表示される画面が当該操作パネル22に表示されていること。
(3)当該操作パネル22に関して操作の終了を示す操作情報が受信されたこと。
【0083】
(1)は、無操作の時間が所定時間以上継続したという条件である。この場合、操作者は既に操作中である操作パネル22を離れていて当該操作パネル22を操作していない可能性が高いと考えられる。この場合には、当該操作中を解除しても良いと考えられる。当該条件は、当該操作パネル22に関する最後の操作情報の時刻からの経過時間を計測することで充足の有無を判定可能である。
【0084】
(2)は、例えば、ホーム画面等、操作が行われない状況や操作の終了に応じて表示される所定の画面が表示されているという条件である。このような場合は、(1)の条件が満たされていなくても操作中である操作パネル22が最早操作されていない可能性が高いと考えられる。したがって、この場合には、当該操作中を解除しても良いと考えられる。当該条件は、当該操作パネル22に関する最後の操作情報が当該所定の画面への復帰を示すものであるか否かに基づいて充足の有無を判定可能である。
【0085】
(3)は、当該操作パネル22に関して、操作内容が「操作終了」である操作情報が受信されたことである。すなわち、操作者によって当該操作パネル22の利用の終了が明示的に入力された場合(例えば操作者のログアウト)である。この条件が満たされているか否かは、当該操作パネル22のパネルIDを含む最後の操作情報であって、操作内容が「操作終了」である操作情報が操作履歴記憶部111に記録されているか否かを確認することで判定が可能である。
【0086】
なお、上記の(1)~(3)は、一例に過ぎない。操作中を解除可能な条件として他の条件が設定されてもよい。
【0087】
いずれかの操作パネル22の操作中の状態を解除可能な場合(例えば、上記の(1)~(3)の条件のいずれかが満たされる場合(S114でYes)、操作者状況検知部12は、操作者が当該操作パネル22を操作していない可能性が高いことを検知する。そこで、操作者状況検知部12は、当該操作中を操作状態記憶部112から削除する(S115)。続いて、通知制御部14は、ステップS117において実行した通知制御の対象とされた印刷システム20に対して通知制御の解除命令を送信する(S116)。
【0088】
図19は、第1の実施の形態において制御装置21-1が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0089】
操作情報送信部211は、操作パネル22-1及び操作パネル22-2のいずれかの操作パネル22(以下、「対象操作パネル22」という。)に対して操作が行われたことを検知すると(S201でYes)、当該操作に関する操作情報を管理装置10へ送信する(S202)。操作情報は、例えば、対象操作パネル22のパネルIDと、対象操作パネル22を含む印刷システム20の機器IDと、当該操作に関する操作内容と、現在時刻とを含む。なお、制御装置21は、各操作パネル22との通信に基づいて各操作パネル22に対する操作を検知することができる。
【0090】
応答受信部212が、当該操作情報に対して、
図14のステップS105、S109又はS111において管理装置10から送信される許可応答を受信すると(S203でYes)、操作処理実行部213は、当該操作情報の操作内容に応じた処理の実行を開始する(S204)。
【0091】
一方、応答受信部212が、当該操作情報に対して、
図14のステップS112において管理装置10から送信される不許可応答を受信すると(S203でNo)、操作制御部13は、不許可応答に応じた処理を実行する(S205)。例えば、操作制御部13は、対象操作パネル22とは別の操作パネル22が操作中であるため操作が制限されることを示すメッセージ等を操作された操作パネル22に出力してもよい。
【0092】
なお、管理装置10がステップS108~S112を実行しない場合、操作処理実行部213は、ステップS202に続いて、常にステップS204を実行するようにしてもよい。
【0093】
図14のステップS107において管理装置10から送信された通知制御情報を通知制御受信部214が受信すると(S206でYes)、通知処理部215は、当該通知制御情報において操作中として指定されている操作パネル22が操作中であることを他の操作者に知らせる(認知させる)ための制御通知(の出力)を当該通知制御情報において出力先として指定されている操作パネル22(以下、「非対象操作パネル22」という。)に実行させる(S207)。
【0094】
例えば、通知処理部215は、非対象操作パネル22の電源を切ったり、セーフティモード(スリープ状態)に移行させたりして、非対象操作パネル22の表示を抑制してもよい。この場合、非対象操作パネル22の電力消費を抑えることができ、SDGs等に貢献することができる。
【0095】
又は、通知処理部215は、非対象操作パネル22の表示をグレーアウトしたり、非対象操作パネル22にアラートを表示させたりして、非対象操作パネル22の操作を不可能としてもよい。
【0096】
又は、通知制御部14は、非対象操作パネル22に関して、情報の参照を行うための一部の操作を受け付け可能とし、それ以外は受け付け不能としてもよい。
【0097】
また、
図14のステップS116において管理装置10から送信された通知制御の解除命令を通知制御受信部214が受信すると(S208でYes)、通知処理部215は、最後に実行されたステップS207において実行された通知制御に関する処理を解除する(S209)。例えば、通知処理部215は、非対象操作パネル22の電源を入れたり、セーフティモード(スリープ状態)から復帰させたりしてもよい。又は、通知処理部215は、非対象操作パネル22のグレーアウトを解除したり、非対象操作パネル22に表示しているアラートを非表示にしたりして、非対象操作パネル22の操作を可能としてもよい。又は、通知制御部14は、非対象操作パネル22に対する操作の制限を解除してもよい。
【0098】
上述したように、第1の実施の形態によれば、印刷システム20-1において、一方の操作パネル22が操作中である場合には、当該操作中を知らせる(気づかせる、認知させる)ための通知制御が他方の操作パネル22について実行される。したがって、他方の操作パネル22を利用しようとした者は、一方の操作パネル22が操作中であることを知る(気づく、認知する)ことができる。その結果、2以上の操作パネル22のうちのいずれかの操作パネル22を操作する操作者が意図しない操作が他の操作パネル22を介して行われる可能性を低減することができる。
【0099】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0100】
図20は、第2の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
図20中、
図12と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0101】
図20において、管理装置10は、更に、関連情報記憶部115を利用する。関連情報記憶部115記憶部は、例えば、補助記憶装置102、又は管理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0102】
関連情報記憶部115は、2以上の印刷システム20間の関係を示す情報を記憶する。当該関係とは、一方の印刷システム20が操作中である場合に、他方の印刷システム20の増設パネルが操作される可能性が高くなる関係をいう。
【0103】
第2の実施の形態において、操作者状況検知部12は、関連情報記憶部115に基づいて、印刷システム20-2の操作パネル22-3が操作中である場合に、印刷システム20-1の操作パネル22-1が操作される可能性が有る状況を検知する。
【0104】
図21は、第2の実施の形態において管理装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図21中、
図14と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0105】
図21において、ステップS301は、
図14のステップS102~S112に対応する。ステップS302は、
図14のステップS113~S116に対応する。第2の実施の形態において、管理装置10は、
図14のステップS106でNoの場合、S107、S109、S111又はS112に続いてステップS303以降を実行する。
【0106】
ステップS303において、操作者状況検知部12は、操作状態記憶部112(
図15)及びパネル構成記憶部114(
図16)を参照して、対象操作情報の送信元の印刷システム20(以下、「対象印刷システム20」という。)において基本パネルが操作中であるか否かを判定する。具体的には、操作者状況検知部12は、対象印刷システム20の機器IDに対して操作中である操作パネル22のパネルIDが操作状態記憶部112(
図15)に記憶されているか否かを確認する。該当するパネルIDが記憶されている場合、操作者状況検知部12は、当該パネルIDがパネル構成記憶部114において、対象印刷システム20の機器IDに対する基本パネルとして記憶されているか否かを確認する。
【0107】
基本パネルが操作中である場合(S303でYes)、操作者状況検知部12は、関連情報記憶部115を参照して、対象印刷システム20に関連先の印刷システム20が有るか否かを判定する(S304)。
【0108】
図22は、関連情報記憶部115の構成例を示す図である。
図22が示すように、関連情報記憶部115は、関連元の印刷システム20の機器IDと関連先の印刷システム20の機器IDとを関連付けて記憶する。ここで、関連元の印刷システム20と関連先の印刷システム20とは以下の条件を満たす関係を有する。
【0109】
関連元の印刷システム20と関連先の印刷システム20とは、配置関係において隣り合う関係を有する。また、関連元の印刷システム20の基本パネルと、関連先の増設パネルとは、これら2台の印刷システム20の間のスペース(例えば、通路等)から操作可能なように配置されている。
【0110】
図7の場合、印刷システム20-2と印刷システム20-1とは隣り合うように配置されている。また、印刷システム20-2の基本パネルと印刷システム20-1の増設パネルとは、これら2台の印刷システム20の間のスペースから操作可能なように配置されている。したがって、
図7の状況において、印刷システム20-2は印刷システム20-1の関連元に相当し、印刷システム20-1は印刷システム20-2の関連先に相当する。なお、印刷システム20-2は増設パネルを有していない。したがって、印刷システム20-2は印刷システム20-1の関連先ではなく、印刷システム20-1は印刷システム20-2の関連元ではない。
【0111】
対象印刷システム20に関連先の印刷システム20が有る場合(S304でYes)、操作者状況検知部12は、関連先の印刷システム20においていずれかの操作パネル22が操作中であるか否かについて操作状態記憶部112(
図15)を参照して判定する(S305)。いずれの操作パネル22も操作中でない場合(S305でNo)、操作者状況検知部12は、対象印刷システム20の操作者が、関連先の印刷システム20の増設パネル(すなわち、関連先の印刷システム20の操作パネル22の中で、操作中の操作パネル22に近い方の操作パネル22)を操作する可能性が有ることを検知する。そこで、操作者状況検知部12は、関連先の印刷システム20の増設パネルが操作中であることを示すように操作状態記憶部112(
図15)を更新する(S306)。具体的には、操作者状況検知部12は、関連先の印刷システム20の機器IDに関連付けて、関連先の印刷システム20の増設パネルのパネルIDを操作状態記憶部112に記録する。関連先の印刷システム20の増設パネルのパネルIDは、パネル構成記憶部114(
図16)を参照して特定可能である。
【0112】
続いて、通知制御部14は、関連先の印刷システム20において増設パネルが操作中であることを他方の操作パネル22を利用しようとした者に知らせる(認知させる)ための通知制御を実行する(S307)。具体的には、通知制御部14は、関連先の印刷システム20に関してパネル構成記憶部114(
図16)に記憶されている2つのパネルIDのうち、基本パネルのパネルIDに係る操作パネル22を出力先として、増設パネルが操作中であることを認知させるための出力を制御する通知制御情報を関連先の印刷システム20の制御装置21へ送信する。当該通知制御情報は、関連先の印刷システム20の基本パネルのパネルIDを出力先の識別情報として含み、関連先の印刷システム20の増設パネルのパネルIDを操作中の操作パネル22の識別情報として含む。
【0113】
本実施の形態では、印刷システム20-2の操作パネル22-3が操作された場合に、ステップS305以降が実行されうる。この場合において、印刷システム20-1の操作パネル22-1及び操作パネル22-2のいずれの操作パネル22も操作中でなければ、操作パネル22-2が操作中であることを認知させるための出力の制御が操作パネル22-1に対して実行される。斯かる制御の内容は、第1の実施の形態と同様でよい。
【0114】
上述したように、第2の実施の形態によれば、印刷システム20-2の操作パネル22-3が操作中である場合に、印刷システム20-1において操作される可能性が相対的に低い操作パネル22-1において操作パネル22-2が操作中であることを他方の操作パネル22を利用しようとした者に知らせる(認知させる)ための通知制御が実行される。したがって、操作パネル22-1を利用しようとした者は、操作パネル22-2が操作中であることを知ることができる。その結果、2以上の操作パネル22のうちのいずれかの操作パネル22を操作する操作者が意図しない操作が他の操作パネル22を介して行われる可能性を低減することができる。
【0115】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では第2の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第2の実施の形態と同様でもよい。
【0116】
図23は、第3の実施の形態における管理システム1の構成例を示す図である。
図23において、測位システム30がネットワークN1を介して管理装置10に接続する。
【0117】
測位システム30は、各操作者の位置を計測するシステムである。測位システム30は、例えば、特開2020-194607号公報に開示された技術を利用して操作者の位置を計測してもよい。すなわち、印刷システム20が配置されるフロアの複数箇所には、操作者が装着又は所持する無線タグが発信する無線タグIDを受信する検出装置が設置される。測位システム30は、複数箇所の検出装置による無線タグIDの受信状況に基づいて、操作者の位置を測定する。
【0118】
なお、無線タグは、例えば、スマートウォッチ等のウェアラブル端末等であっても良い。無線タグは、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)やBeacon等の所定の無線信号を送信する送信回路やアンテナ等を含む。例えば、操作者等がフロア内で装着するネームプレートやネックストラップ付きの社員証などにチップとして埋め込まれる形態や発信機を携帯する形態でも良い。所定の無線信号の例として、例えば、315MHz帯の微弱無線を用いることができる。この場合、無線タグが発信する所定の無線信号の通信可能距離(到達距離)は、例えば、10m程度となる。また、本実施の形態を実現するための位置情報を取得できれば、Wi-Fiや5G(5th Generation)、Beacon(ビーコン)などの無線通信によってもよい。
【0119】
又は、測位システム30は、操作者が有する端末とのBluetooth(登録商標)を用いた通信によって操作者の位置を計測してもよいし、フロアに設置されたカメラやその他のセンサ(例えば、人感センサ等)を用いて操作者の位置を計測してもよい。
【0120】
図24は、操作者の位置を表現する座標系の一例が示す図である。
図24において左下の点が原点とされ、横軸をX軸とし、縦軸をY座標とする座標系において操作者の位置の計測結果が表現される例が示されている。但し、操作者の位置を表現する座標系は、所定のものに限定されない。
【0121】
図25は、第3の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
図25中、
図20と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0122】
図25において、管理装置10は、更に、位置情報取得部15を有する。位置情報取得部15は、測位システム30から操作者の位置情報を取得する。位置情報とは、例えば、
図24に示した座標系における座標値である。位置情報の取得のタイミングは、定期的なタイミングでもよいし、操作者の位置が変化したタイミングでもよい。
【0123】
管理装置10は、また、操作エリア記憶部116を利用する。操作エリア記憶部116には、操作エリアの範囲を示す情報が記憶されている。操作エリアとは、2以上の操作パネル22を有する印刷システム20(本実施の形態では、印刷システム20-1)について、操作者が操作を行う可能性が高いエリアをいう。換言すれば、本実施の形態において操作エリアとは、操作パネル22-1及び操作パネル22-2のそれぞれから所定の範囲内のエリアである。
【0124】
なお、位置情報取得部15は、管理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。また、操作エリア記憶部116は、例えば、補助記憶装置102、又は管理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0125】
図26は、第3の実施の形態において管理装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図26中、
図21と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0126】
図26において、ステップS401は、
図21のステップS303~S307に対応する。第3の実施の形態において、管理装置10は、ステップS302に続いて(
図14のステップS113でNoの場合、S114でNoの場合、又はS116に続いて)ステップS402以降を実行する。
【0127】
ステップS402において、操作者状況検知部12は、位置情報取得部15によって新たな位置情報が取得されているか否かを判定する。
【0128】
新たな位置情報が取得されている場合(S402でYes)、操作者状況検知部12は、当該位置情報(以下、「対象位置情報」という。)が示す位置(すなわち、操作者の位置)が予め定義された操作エリア内であるか否かを判定する(S403)。操作エリアの範囲は、操作エリア記憶部116を参照して特定可能である。
【0129】
図27は、操作エリアの一例を示す図である。
図27には、操作エリアa1及び操作エリアa2の2つの操作エリアが示されている。操作エリアa1は、操作パネル22-1を操作する可能性が高い操作エリアである。操作エリアa2は、操作パネル22-2を操作する可能性が高い操作エリアである。なお、操作エリアa2は、操作パネル22-3を操作する可能性が高いエリアも含むように定義されている。操作パネル22-3を操作している操作者が印刷システム20-1を操作する場合、操作パネル22-1よりも操作パネル22-2を利用する可能性が高いと考えられるからである。
【0130】
図28は、操作エリア記憶部116の構成例を示す図である。
図28が示すように、操作エリア記憶部116は、操作エリアごとに、エリアID、範囲情報及び操作候補等を記憶する。
【0131】
エリアIDは、操作エリアの識別情報である。範囲情報は、位置情報と同じ座標系(例えば、
図27に示した座標系)において操作エリアの範囲を示す情報である。操作候補は、当該操作エリアにおいて操作される可能性が高い操作パネル22のパネルIDである。
【0132】
例えば、「a1」は、操作エリアa1のエリアIDを示す。操作エリアa1では、操作パネル22-1が操作される可能性が高いため、操作パネル22-1のパネルIDである「M001」が、「a1」に対する操作候補として操作エリア記憶部116に記憶されている。
【0133】
対象位置情報が示す位置がいずれかの操作エリア内である場合(S403でYes)、操作者状況検知部12は、操作エリア記憶部116において当該操作エリアに対応付けられている操作候補に係る操作パネル22(以下、「対象操作パネル22」という。)が操作中であるか否かについて操作状態記憶部112(
図15)を参照して判定する(S404)。
【0134】
対象操作パネル22が操作中でない場合(S404でNo)、操作者状況検知部12は、対象操作パネル22を有する印刷システム20(以下、「対象印刷システム20」という。)において対象操作パネル22とは別の操作パネル22が操作中であるか否かを判定する(S405)。対象操作パネル22を有する印刷システム20において対象操作パネル22とは別の操作パネル22は、パネル構成記憶部114(
図16)を参照して特定可能である。当該別の操作パネル22が操作中であるか否かは、操作状態記憶部112(
図15)を参照して特定可能である。
【0135】
当該別の操作パネル22が操作中でない場合(すなわち、対象印刷システム20においていずれの操作パネル22も操作中でない場合)(S405でNo)、操作者状況検知部12は、操作者が対象操作パネル22を操作する可能性が高いことを検知する。そこで、操作者状況検知部12は、対象印刷システム20において対象操作パネル22が操作中であることを示すように操作状態記憶部112(
図15)を更新する(S406)。続いて、通知制御部14は、対象印刷システム20において対象操作パネル22が操作中であることを他の操作者に知らせる(認知させる)ための通知制御を実行する(S407)。通知制御の内容は、上記各実施の形態と同様でよい。
【0136】
上述したように、第3の実施の形態によれば、操作者の位置に基づいて第1又は第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0137】
なお、第3の実施の形態において、
図26のステップS301及びS302は実行されなくてもよい。この場合、操作パネル22に対する操作に基づく通知制御はできなくなるが、操作者の位置に基づく通知制御は可能である。
【0138】
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では上記各実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、上記各実施の形態と同様でもよい。
【0139】
図29は、第4の実施の形態における管理システム1の構成例を示す図である。
図29において、1以上の出力装置40がネットワークN1を介して管理装置10に接続する。
【0140】
出力装置40は、通知制御における出力を行う装置である。出力は、例えば、音、光(画像又は映像等も含む)あるいは視認しやすい位置からの文字情報を用いて行われる。出力装置40の一例として、スピーカ、ランプ、掲示板(例えば電光掲示板)など表示装置(ディスプレイ)等が挙げられる。例えば、フロアの騒音が大きい場合には、視覚で認識(確認)可能なランプ又は表示装置等が出力装置40として好適である。騒音に影響を受けない程の音量を出力可能であれば、スピーカも出力装置40として有効である。
【0141】
なお、第3の実施の形態を第4の実施の形態に組み合わせない場合、第4の実施の形態において測位システム30は不要である。
【0142】
図30は、第4の実施の形態における出力装置40の配置位置の一例を説明するための平面図である。
図30には、操作パネル22-1を操作しようとする操作者から視認可能な位置に出力装置40-1が配置され、操作パネル22-2を操作しようとする操作者から視認可能な位置に出力装置40-2が配置される例が示されている。出力装置40-1は、操作パネル22-2の操作を認知させるための出力を行い。出力装置40-2は、操作パネル22-1の操作を認知させるための出力を行う。
【0143】
なお、各箇所には複数種類の出力装置40が配置されてもよい。また、
図30が示す箇所以外の箇所に出力装置40が配置されてもよい。
【0144】
図31は、第4の実施の形態における管理装置10の機能構成例を示す図である。
図31中、
図25と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0145】
図31において、管理装置10は、更に、出力先記憶部117を利用する。出力先記憶部117は、例えば、補助記憶装置102、又は管理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0146】
出力先記憶部117は、2以上の操作パネル22を有する印刷システム20(本実施の形態では印刷システム20-1)の操作パネル22ごとに、当該操作パネル22の操作に関する通知制御において制御通知の出力先としていずれの出力装置40を利用するのかを示す情報を記憶する。
【0147】
図32は、出力先記憶部117の構成例を示す図である。
図32が示すように、出力先記憶部117は、印刷システム20-1が有する各操作パネル22のパネルIDに関連付けて出力先IDを記憶する。
【0148】
出力先IDは、関連付けられているパネルIDに係る操作パネル22に関する通知制御において制御通知の出力先とされる出力装置40の識別情報である。
図32において、「D0001」は、
図30の出力装置40-1の出力先IDを示す。「D0002」は、
図30の出力装置40-2の出力先IDを示す。したがって、
図32には、操作パネル22-1が操作される場合には、出力装置40-2が出力先とされ、操作パネル22-2が操作される場合には、出力装置40-1が出力先とされることが示されている。
【0149】
第4の実施の形態では、
図14のS107、
図21のS307、
図26のS407における通知制御において通知制御部14が実行する処理内容が異なる。第4の実施の形態における通知制御部14は、これらのステップの処理内容に加え、又はこれらのステップの処理内容の代わりに、通知制御情報における操作中の操作パネル22のパネルIDに対応する出力先IDを出力先記憶部117(
図32)から取得する。通知制御部14は、取得した出力先IDに係る出力装置40に、当該操作パネル22が操作中であることを他の操作者に知らせる(認知させる)ための制御通知の出力を実行させるための通知制御を行う。
【0150】
斯かる通知制御において、
図33に示されるような制御情報が参照されてもよい。
図33は、出力装置40の通知制御に使用される制御情報の一例を示す図である。
図33が示す制御情報は、出力先IDごと(つまり出力装置40ごと)に、出力先ID、種別及び制御内容を含む。種別は、出力装置40の種別(スピーカ、ランプ、掲示板等)を示す。制御内容は、出力装置40において制御の開始時(ON)と制御の解除時(OFF)に送信すべきデータを示す。例えば、
図33によれば、スピーカであれば、「1」及び特定の操作パネル22(例えば操作中の操作パネル22のパネルID)を送信することで、特定の操作パネル22が操作中であることを示す録音データ(例えば、「操作パネルM001は操作中」や「印刷システム1はメンテナンス中」などの音声が記録された録音データ)を出力可能であることが分かる。ランプであれば、「1」を送信することで、或る操作パネル22が操作中であることを示すように(操作者等に周知されている警告等の発光色)発光させることが可能であることが分かる。掲示板であれば、「1」及び特定の操作パネル22(例えば操作中の操作パネル22のパネルID)を送信することで、特定の操作パネル22が操作中であることを示す登録メッセージ(例えば、「操作パネルM001は操作中」や「印刷システム1はメンテナンス中」などのメッセージ)を出力可能であることが分かる。また、スピーカ、ランプ及び掲示板に対して「0」を送信することで、通知制御を解除できることが分かる。
【0151】
なお、
図34に、出力装置40としての電光掲示板一例を示す。また、
図35に、出力装置40としてのスピーカの一例を示す。
図35において(a)は、天井スピーカを示し、(b)は、一般的なスピーカを示す。また、
図36に、出力装置40としてのランプの一例を示す。
【0152】
通知制御部14は、また、
図14のS116において、出力装置40に実行させている出力を停止するための制御を行う。
【0153】
上述したように、第4の実施の形態によれば、印刷システム20-1に関して一方の操作パネル22において操作中に、他方の操作パネル22を操作しようとした者に対して、当該他方の操作パネル22を操作しようとする前に、当該一方の操作パネル22が操作中であることを認知させる(知らせる、気づかせる)ことができる。その結果、例えば、当該他方の操作パネル22を操作しようとした者の導線を効率的なものにすることができる。
【0154】
なお、上記の各実施の形態では、印刷システム20-1が2つの操作パネル22を有する例について説明したが、印刷システム20-1が3つ以上の操作パネル22を有する場合について上記各実施の形態が適用されてもよい。この場合、通知制御の対象(他の操作パネル22が操作中であることを認知させるための出力先の操作パネル22)は、操作中の操作パネル22以外の全ての操作パネル22であってもよいし、操作中のパネル22とは異なるグループに属する操作パネル22であってもよい。当該グループは、各操作パネル22が基本パネルであるか否かに基づいて分類されるグループであってもよい。この場合、印刷システム20-1は、複数の基本パネル又は複数の増設パネルを有してもよい。
【0155】
また、上記した各実施の形態によれば、2つの操作パネル22が大型の筐体を挟んで配置されていることによる相互の視認性の悪さに起因する、意図しない操作の発生という課題を解決することができる。当該課題を解決することで、ひいては印刷システム20が設置された工場内で働く作業者の安全性を向上させることができる。また、印刷システム20の無駄な動作等の抑制により、無駄な用紙や電力等の浪費を低減することができ、ESG又はSDGsの観点において貢献することができる。
【0156】
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0157】
なお、上記各実施の形態において、管理装置10は、情報処理装置の一例である。印刷システム20は、印刷装置の一例である。また、上記各実施の形態は、印刷装置以外の装置(例えば積層造形装置、空調装置など)にも同様の課題に対して適用可能である。
【0158】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0159】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知部と、
前記操作者状況検知部が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
<2>
前記操作に関する情報は、操作者が操作する可能性を含み、
前記他の操作者は、前記2以上の操作部のうちの第2の操作部を利用する可能性が有る者を含む、
ことを特徴とする<1>記載の情報処理装置。
<3>
前記操作者状況検知部は、いずれかの前記操作部に対する操作に基づいて、前記操作者の状況を検知し、
前記通知制御部は、前記2以上の操作部のうち前記操作者状況検知部が操作を検知した操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する、
ことを特徴とする<1>又は<2>記載の情報処理装置。
<4>
前記操作者状況検知部は、前記装置とは別の装置に対する操作に基づいて、前記操作者の状況を検知し、
前記通知制御部は、前記2以上の操作部のうち、前記別の装置の操作部に近い方の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する、
ことを特徴とする<1>乃至<3>いずれか一項記載の情報処理装置。
<5>
前記操作者状況検知部は、前記操作者の位置を検知し、
前記通知制御部は、前記2以上の操作部のうち、前記操作者状況検知部が検知した位置から近い方の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する、
ことを特徴とする<1>乃至<4>いずれか一項記載の情報処理装置。
<6>
前記操作者状況検知部は、前記第1の操作部の操作状態を検知し、
前記通知制御部は、前記第1の操作部の操作状態に応じて第2の操作部の操作を制限する、
ことを特徴とする<1>乃至<5>いずれか一項記載の情報処理装置。
<7>
前記通知の制御は、前記第1の操作部に対する操作を示す情報を表示することである、
ことを特徴とする<6>記載の情報処理装置。
<8>
前記通知の制御は、前記第2の操作部の表示を抑制することである、
ことを特徴とする<6>記載の情報処理装置。
<9>
前記通知の制御は、前記第2の操作部において一部の操作を制限することである、
ことを特徴とする<6>記載の情報処理装置。
<10>
前記通知制御部は、前記操作者状況検知部が操作を検知した操作部の状態が所定の条件を満たした場合に、前記通知の制御を解除する、
ことを特徴とする<1>乃至<9>いずれか一項記載の情報処理装置。
<11>
前記通知制御部は、前記第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるために文字情報、光又は音の出力を制御する、
ことを特徴とする<1>乃至<11>いずれか一項記載の情報処理装置。
<12>
筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知手順と、
前記操作者状況検知手順が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
<13>
筐体を挟んで2以上の操作部を備える装置に対する操作者の状況を検知する操作者状況検知手順と、
前記操作者状況検知手順が検知した状況に応じて、前記2以上の操作部のうちのいずれかの第1の操作部に対する操作に関する情報を他の操作者に知らせるための通知を制御する通知制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0160】
1 管理システム
10 管理装置
11 操作情報受信部
12 操作者状況検知部
13 操作制御部
14 通知制御部
15 位置情報取得部
20-1 印刷システム
20-2 印刷システム
21-1 制御装置
21-2 制御装置
22-1 操作パネル
22-2 操作パネル
22-3 操作パネル
23 給紙装置
24 先塗り装置
25 表機
26 反転装置
27 裏機
28 巻き取り装置
29 コントローラ
30 測位システム
40 出力装置
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
111 操作履歴記憶部
112 操作状態記憶部
113 並行操作記憶部
114 パネル構成記憶部
115 関連情報記憶部
116 操作エリア記憶部
117 出力先記憶部
200 ドライブ装置
201 記録媒体
202 補助記憶装置
203 メモリ装置
204 CPU
205 インタフェース装置
211 操作情報送信部
212 応答受信部
213 操作処理実行部
214 通知制御受信部
215 通知処理部
B1 バス
B2 バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0161】
【特許文献1】特開2021‐37749号公報
【特許文献2】特開2021‐030642号公報