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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054784
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】コイル設置構造
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20240410BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20240410BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240410BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240410BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240410BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F41/12 F
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161245
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(71)【出願人】
【識別番号】000132574
【氏名又は名称】株式会社セルコ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】居村 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】塙 昂樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 靖知
(72)【発明者】
【氏名】山崎 今朝夫
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 佑治
【テーマコード(参考)】
5E044
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5E044BB03
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC04
5H105CC07
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC27
5H125FF15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイルを収容する保持部材(コイルベース)に水が滞留しない構造を具備したコイル設置構造を提供すること。
【解決手段】ワイヤレス電力伝送用のコイル40が巻回状態で各巻き毎に壁部12によって所定間隔離間されて装填設置されるコイルベース10を備えるコイル設置構造において、コイルベース10は、コイル40が装填設置される領域の底部への水留まりを防ぐ底部欠落領域14を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送用のコイルが巻回状態で各巻き毎に壁部によって所定間隔離間されて装填設置されるコイルベースを備えるコイル設置構造において、
前記コイルベースは、前記コイルが装填設置される領域の底部への水留まりを防ぐ水捌け構造を有することを特徴とするコイル設置構造。
【請求項2】
前記水捌け構造は、前記コイルが装填設置される領域の底部が所定範囲で切り欠かれた底部欠落領域を設けることで構成されたことを特徴とする請求項1に記載のコイル設置構造。
【請求項3】
前記水捌け構造は、前記コイルが装填設置される領域の前記壁部が所定範囲で切り欠かれた壁部欠落領域を設けることで構成されたことを特徴とする請求項1に記載のコイル設置構造。
【請求項4】
前記水捌け構造は、前記コイルベースがポーラス状に形成され且つ該コイルベース内に存在する空間が該コイルベースの少なくとも厚さ方向で連通し、該コイルベースの表面と裏面間が水透過性を備える構成とされたことを特徴とする請求項1に記載のコイル設置構造。
【請求項5】
前記水捌け構造は、前記コイルベースを前記巻回状態のコイルの伸長方向に所定間隔をおいて配置され、前記コイルを各巻き毎に所定間隔離間させて保持可能な離間保持部にて構成することで得られたことを特徴とする請求項1に記載のコイル設置構造。
【請求項6】
前記コイルベースが弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のコイル設置構造。
【請求項7】
前記コイルを離間させる壁部の隣接する壁部との対向面には、突起が設けられ該突起の対向する壁部の突起の先端との間隔は前記コイルの外径より小さく設定されたことを特徴とする請求項6に記載のコイル設置構造。
【請求項8】
前記壁部にて前記コイルが離間されて装填された状態で、コイルの両側に存する前記壁部の高さは前記コイル外径より高く、前記壁部の間隔は前記コイル外径より狭く形成され、前記コイルが装填された状態では、前記壁部の上端部は、コイルの外径より小さい間隔となっていることを特徴とする請求項6に記載のコイル設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル設置構造、特に、ワイヤレス給電用のコイル設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の業界では、非接触での電力の伝送を可能とするワイヤレス給電システムの実用化が進められている。ワイヤレス給電システムは、送電用のコイル及び受電用のコイルを備え、コイル間の電磁誘導などを利用して非接触で電力の給電を実現している。コイルは、例えば、リッツ線を束ねて被覆を施した導線が巻き回されて成る。
【0003】
送電用のコイルは、例えば、路面等に埋設しておき、受電用のコイルは、電気自動車の車両の床部等に設置しておくことで、電気自動車が走行中であっても電力を受電し、リチウムイオン電池を充電することが可能である。この様な屋外に設置されるコイルは、防水性も求められることから通常、樹脂等で被覆された防水電線が用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されたコイル装置(本願発明のコイルに相当)は、コイルを形成する導線と、導線を収容する溝が形成された保持部材(本願発明のコイルベースに相当)と、を備え、これらが筐体に収容された構成になっている。筐体は、カバーとベースとを有し、導線と保持部材を囲み込むように組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6717127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコイル装置では、導線は溝が形成された保持部材(コイルベース)に収められ筐体に収容される。このような構成では、筐体の外部から筐体の内部に侵入した水は、ほとんど逃げ場が無く、保持部材(コイルベース)に滞留する。外部からの水の侵入が無い場合でも、導線が発熱することで露結した水が保持部材(コイルベース)に滞留することがある。
【0007】
コイルが装填設置される保持部材(コイルベース)での水の滞留を考慮して、コイル自体の被覆を的確に行うことも考えられるが、滞留した水の中にコイルが設置されている状況はたとえ被覆された防水性のコイルが用いられていたとしても好ましくなく、また、ワイヤレス給電システムにおいて、コイルが路面に設置又は埋設される状況においては、コイルの被覆状態の耐久性にも限界が有り、コイルの収容されている状況の除水の改善が望まれる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コイルを収容する保持部材(コイルベース)に水が滞留しない構造を具備したコイル設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載のコイル設置構造は、
ワイヤレス電力伝送用のコイルが巻回状態で各巻き毎に壁部によって所定間隔離間されて装填設置されるコイルベースを備えるコイル設置構造において、
前記コイルベースは、前記コイルが装填設置される領域の底部への水留まりを防ぐ水捌け構造を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、コイルが装填設置されるコイルベースに設けられた水捌け構造によって、コイルベースに外部から侵入した水が、コイルベースの底部には溜まることが回避され、溜まり水によるコイルの劣化が防止される。これにより、コイルの電気的特性が変化することが防止され、長期に亘り安定した電力の授受が確保される。
【0011】
請求項2に記載のコイル設置構造は、請求項1に記載のコイル設置構造において、
前記水捌け構造は、前記コイルが装填設置される領域の底部が所定範囲で切り欠かれた底部欠落領域を設けることで構成されたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、コイルが装填設置される領域の底部に存在する底部欠落領域の部分でコイルベースに侵入した水はコイルベース底部に溜まることなく放出される。これにより、簡単な構成で水捌け構造を実現することができると共に、コイルベースの軽量化が図られる。また、さらにコイルベース全体の柔軟化も確保され、設置箇所の不陸(被水平成や凹凸)への追従性が高められる。
【0013】
請求項3に記載のコイル設置構造は、請求項1に記載のコイル設置構造において、
前記水捌け構造は、前記コイルが装填設置される領域の前記壁部が所定範囲で切り欠かれた壁部欠落領域を設けることで構成されたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、コイルベースに侵入した水は、壁部の存在しない壁部欠落領域から流れ出る。すなわち、壁部欠落領域では水は底部に滞留することができないので、順次排出される。簡単な構成にて水捌け構造が達成され、且つ本構成によっても同じくコイルベースの軽量化及び柔軟化が確保される。
【0015】
請求項4に記載のコイル設置構造は、請求項1に記載のコイル設置構造において、
前記水捌け構造は、前記コイルベースがポーラス状に形成され且つ該コイルベース内に存在する空間が該コイルベースの少なくとも厚さ方向で連通し、該コイルベースの表面と裏面間が水透過性を備える構成とされたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、コイルベースはいわゆる連続気泡のポーラス状に形成されるので、コイルベース上に流れてきた水はコイルベースを通過して下方に排出される。これにより、簡単な構成にて水捌け構造が達成され、且つ本構成によっても同じくコイルベースの軽量化及び柔軟化が確保される。
【0017】
請求項5に記載のコイル設置構造は、請求項1に記載のコイル設置構造において、
前記水捌け構造は、前記コイルベースを前記巻回状態のコイルの伸長方向に所定間隔をおいて配置され、前記コイルを各巻き毎に所定間隔離間させて保持可能な離間保持部材にて構成することで得られたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、コイルは、複数の離間保持部材のみによって保持された状態が確保される。すなわち、コイルベースには、底部も側壁も存在しない構成となる。したがって、水捌け性は良好であり、且つコイルベースの軽量化が非常に良好なものとなる。更には、極めて優れた柔軟性が確保されるので設置箇所の不陸(被水平成や凹凸)への追従性が高められる。
【0019】
請求項6に記載のコイル設置構造は、請求項1から4の何れか1項に記載のコイル設置構造において、
前記コイルベースが弾性部材により形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、水の透過性に加えて、振動吸収性も向上し、コイルベースの損傷など発生も抑制され、装填されるコイルの保護機能が向上し、さらなるコイルの長寿命化が図られる。また、設置箇所の不陸への追従性が高まめられる。
【0021】
請求項7に記載のコイル設置構造は、請求項6に記載のコイル設置構造において、
前記コイルを離間させる壁部の隣接する壁部との対向面には、突起が設けられ該突起の対向する壁部の突起の先端との間隔は前記コイルの外径より小さく設定されたことを特徴とする。
【0022】
この構成により、弾性部材でコイルベースが形成されている場合に、突起によって装填されているコイルを弾性押圧することができ、振動などによるコイルの浮き上がりなどを防止することが可能となる。水捌け機能と加えて、コイルの保護機能が高められる。
【0023】
請求項8に記載のコイル設置構造は、請求項6に記載のコイル設置構造において、
前記壁部にて前記コイルが離間されて装填された状態で、コイルの両側に存する前記壁部の高さは前記コイル外径より高く、前記壁部の間隔は前記コイル外径より狭く形成され、前記コイルが装填された状態では、前記壁部の上端部は、コイルの外径より小さい間隔となっていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、壁部間に収まったコイルは弾性が有り、且つ水透過性の有る壁部によって上部が弾性押圧された状態となり、収容状態の安定化が達成されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明のコイル設置構造によれば、コイルベースに設けられた水捌け構造により、コイルが装填設置される領域には水が滞留することが回避される。したがって、コイルへの水による悪影響が防止され、コイルの電気的特性の維持や長期に亘る良好なワイヤレス給電が実現される。これにより、電気自動車の非接触充電の環境整備が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のコイル設置構造の第1の実施の形態を示す一部概略斜視図である。
図2】本発明のコイル設置構造の第2の実施の形態を示す一部概略斜視図である。
図3】本発明のコイル設置構造の第3の実施の形態を示す一部概略斜視図である。
図4図3のコイルベースにおけるコイル浮き上がり防止の方法を示した説明図である。
図5図3のコイルベースにおけるコイル浮き上がり防止のその他の方法を示した説明図である。
図6】本発明のコイル設置構造の第4の実施の形態を示す一部概略斜視図である。
図7】本発明のコイル設置構造の第5の実施の形態を示す一部概略斜視図である。
図8】本発明のコイル設置構造の第6の実施の形態を示す一部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のコイル設置構造の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明のコイル設置構造の第1の実施の形態の構成を一部概略斜視で示しており、コイル40は装填されていない状態が示されている。本実施の形態では、コイルベース10は、材質の固い樹脂(例えば、ABS樹脂、PBT樹脂等)で構成されている。コイルベース10には、コイル40が装填設置される溝部20が壁部12に挟まれて形成されており、壁部12によって図示していないコイル40が各巻き毎に所定間隔離間されて収められる。図1では、例えば、コイルは6回巻回されて設置される構成となっており、コイルベース10の中央には、開口部16が形成され、コイルベース10の軽量化や排水性が高められている。
【0029】
なお、コイル40は、いわゆる防水電線が用いられており、例えば、FEP(Fluorinated Ethylene Propylene)で被覆された電線等が用いられる。
【0030】
コイル40が装填設置される溝部20の底部には、所々に所定長さで切り欠かれた底部欠落領域14が形成されている。図1では、溝部20の延在方向に、図の左側では所定間隔で3つ底部欠落領域14が設けられている。
【0031】
底部欠落領域14を形成することで、コイルベース10の溝部20に侵入した水は、この底部欠落領域14から下方に流れ出るので、コイルベース14、特にコイル40の下部領域に、水が滞留することが防止される。すなわち、水捌け性が高められている。これによりコイル40が長時間に亘って水に浸される状況が回避され、その電気的特性劣化することが防止され、その耐久性が向上し、長期に亘って良好なワイヤレス給電特性が実現される。
【0032】
また、底部欠落領域14及び開口部16を形成することで、コイルベース10の全体の曲げ方向への柔軟性が生じ、コイルベース10が固い材質で形成された場合の設置場所における不陸に対する追従性も向上している。また、コイルベース10が固い材質で構成された場合、コイルベース10に振動や押圧等の外力が付加されると、コイルベース10に割れや欠けが発生し、この割れや欠けによりコイル40が損傷を受け、コイル40の電気的特性が変化することがある。コイルベース10全体に柔軟性を持たせることで、この問題を回避することができる。
【0033】
なお、本実施の形態ではコイルベース10の材質を固い樹脂としているが、本発明の適用はこれに限られず、コイルベース10自体が柔軟性のある材質で形成されていても良い、これは以下の各実施の形態においても同様である。なお、柔軟性のある材質として、エラストマー樹脂、シリコーン樹脂等が例示される。
【0034】
図2は、本発明のコイル設置構造の第2の実施の形態を示す一部概略斜視図であり、同様の要素には同一の符号を付している。コイルベース10には、コイル40が装填設置される溝部20が壁部12間に形成されており、コイル40を構成する導線が各巻き毎に所定間隔離間されて装填される。本図では、一番内側の溝部分にコイル40が装填された状態が示されている。この第2の実施の形態では、水捌け構造として、コイル40が装填設置される領域の壁部12を所々切り欠いて壁部の存在しない壁部欠落領域18が形成されている。
【0035】
この壁部欠落領域18を所定箇所に複数設けることで(図2では3か所)、コイルベース10の溝部20に侵入した水をこの壁部欠落領域18から外に流出させるとことができる。また、この様に壁部欠落領域18を設けることでコイルベース10全体の軽量化が図られ、さらに、曲げ方向への柔軟性も向上し、対振動性能や対不陸性能が向上する。
【0036】
図3は、本発明のコイル設置構造の第3の実施の形態を示す一部概略斜視図である。この第3の実施の形態では、水捌け構造は、コイルベース22全体がポーラス状に形成され且つ該コイルベース22内に存在する気泡状の空間が、コイルベース22の少なくとも厚さ方向で連通している。すなわち、コイルベース22全体が連通気泡のポーラス構造となっており、コイルベース22を形成する素材自体が透水性を有する構造となっている。したがって、コイルベース22の表面側に浸入した水は裏面側に透過して下方へ流れ出すことが可能となっている。このようなコイルベース22は、例えばゴムチップで構成したものが例示される。
【0037】
上述のポーラス状コイルベース22において、コイル40は、上記の実施の形態と同様にコイル40の間隔を維持するように形成された溝部20に収容されるが、いわゆる連続気泡を有するポーラス状コイルベース22の排水作用によって、コイル40が水に長時間浸される状況は回避される。本実施の形態では、別途水捌けのための切り欠き領域等の構成は付加することなく、容易に水捌け性の良好なコイルベース22が実現されている。
【0038】
このコイルベース22を弾力性や柔軟性のある部材で構成することも可能であるが、その場合、溝部20に装填設置したコイル40が、振動などによってコイルベース22の溝部20から浮き上がる事象も考えられる。この場合には、別途コイル40の浮き上がり防止機能を備える必要がある。浮き上がるとコイル40の間隔が変化し、電気的特性が変化してしまうためである。
【0039】
図4は、上記の連続気泡のポーラス状コイルベース22が柔らかい素材で形成されている場合において、コイル40の浮き上がりを防止する浮き上がり防止突起21を設けた例が示されている。図4(a)では溝部20の内側面から突出する浮き上がり防止突起21が対向する位置に配置された構成例が示され、図4(b)では、浮き上がり防止突起21が位置をずらして交互に形成された例が示されている。この様な構成の場合、溝部20の幅は、浮き上がり防止突起21の突出高さを考慮してやや広めの構成とされているが、浮き上がり防止突起21間の幅は、突起のない通常の溝幅よりも狭く設定されている。
【0040】
この構成によれば、装填されたコイル40は、浮き上がり防止突起21で両側からしっかり押された状態となり、コイル40が浮き上がることが的確に防止される。浮き上がり防止突起21の数は必要に応じて設定することができる。
【0041】
図5は、同じくポーラス状のコイルベース22が柔らかい部材によって構成されている場合において、コイル40の浮き上がりを防止するための他の構成例が示されている。図5(a)では、溝部20の幅が、溝部20の上部の方が下部よりも狭くなるように形成されている。すなわち、コイル40の装填状態では、溝部20の上部の幅は、コイル40の直径よりも狭い構成となっている。本実施の形態では、壁部12の上部が下部よりも厚みが増すように、上部にはV字型の上部広がり部12aが形成されている。この溝部20内にコイル40を装填する場合、上部広がり部12a押し狭めてコイル40が溝部20内に押し込まれる。これにより、コイル40は装填された状態では、溝部20内に安定して収められ、コイルベース22からの浮き上がりが防止される。
【0042】
図5(b)では、溝部20の幅をコイル40の直径より小さく設定し、壁部12には内部に空隙部12bが設けられている。本実施の形態によれば、溝部20に装填されたコイル40は、両側の壁部12が空隙部12b側に撓んだ状態で両側の壁部12に包み込まれた状態となる。これにより溝部20内に収められたコイル40の浮き上がりが防止される。
【0043】
図6は、本発明のコイル設置構造の第4の実施の形態を示す一部概略斜視図である。本実施の形態においては、コイル40は、複数の離間保持部材である紐状保持部材24だけで保持されている。本実施の形態における紐状保持部材24は、ケーブル結束バンドを使用し、大きな結束バンド24aで複数本のコイル40全体を保持し、さらに各コイル40をそれぞれ離間させた状態で小さな結束バンド24bを用いて、各コイル40を大きな結束バンド24aに結束係止させている。
【0044】
本実施の形態のコイル設置構造によれば、実質的に底部の存在するコイルベース22がない構成となり、コイルベース22の底部に水が滞留するという状況は生じない。また、コイルベース22の重量が極めて軽量となり、コイル40の設置箇所への追従性も良好なものとなる。
【0045】
図7図8は、本発明のコイル設置構造の第5,第6の実施の形態を示す概略斜視図である。これらは、コイル40を所定間隔離間させて保持する部分とこれを保持する外側又は内側に設置される枠部材によって構成されている。
【0046】
図7(a)に記載された実施の形態では、コイルベース10は、外枠26aと内枠26bを有し、それらの間に複数の離間保持部が取り付けられている。離間保持部は、所定幅の板状部材28の上に柱状部材、本実施の形態では円柱状のピン部材29が、コイル40の設置において必要な間隔を保つように間隔を空けて立設されている。この構成によりコイルベース10には底板は無く、コイルベース10の底部に水が滞留する状況は生じない。
【0047】
図7(b)は、図7(a)に示したコイルベース10の外枠26aを取り除き、簡素化、軽量化を図った構成例が示されている。これにより、更なる構成のシンプル化と軽量化が達成されている。
【0048】
図8に示す実施の形態では、コイルベース10は、外枠44とこれと離間された中央の板部46の間に離間保持部を架け渡す構成で形成されている。すなわち、離間保持部は、板状部材30とこの上に形成された円柱形状のピン32によって構成されている。また、コーナー部に形成されたコーナー板状部材30-1は、コイル40を湾曲させる領域であるため幅広の板状体で構成されている。一方、直線部分に設けられる板状部材30-2はピン32を設けるのに必要な幅が有れば足りるので細幅の構成となっている。ピン32はコイル40を所定間隔で維持するための間隔で離間されて設けられている。
【0049】
また、コーナー部のコーナー板状部材30-1のコイル40が折り曲げられる部分には、外径の大きな大径ピン32-1が設けられている。また、この大径ピン32-1の前後の近傍位置には装填されたコイル40をしっかりと方向付けしておくために小径のピン32-2が設けられている。
【0050】
この構成により、板状部材30-1、30-2が存在しない部分には底部欠落領域が形成されており、コイルベース10には事実上水が滞留する場所がほぼ無くなっている。
【0051】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施の形態では、コイルベース10は一段式のものを例示したが、二段重ねた積層構造として用いられることも有り、その場合には、本発明の構成による水捌け性能はより重要な作用となり、本発明が好適に用いられる。
【0052】
また、底部欠落領域14、側壁欠落領域18の形状は、略長方形としたが、円形や楕円形であっても良い。また、離間保持部材のコイル40の間隔を保持するために柱状部材は、円柱状のピン部材29、32を用いているが、4角柱や6角柱の部材でも良い。
【符号の説明】
【0053】
10、22 コイルベース
12 壁部
12a 上部広がり部
12b 空隙部
14 底部欠落領域
16 開口部
18 壁部欠落領域
20 溝部
21 浮き上がり防止突起部
24 紐状保持部材
24a 結束バンド(大)
24b 結束バンド(小)
26a 外枠
26b 内枠
29 ピン部材
30―1 コーナー板状部材
30-2 板状部材
32-1 大径ピン部材
32-2 小径ピン部材
40 コイル
44 外枠
46 中央の板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8