(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054859
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ケーブル・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01R 13/20 20060101AFI20240410BHJP
G01R 1/06 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G01R13/20 F
G01R1/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173678
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】63/413,586
(32)【優先日】2022-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/480,457
(32)【優先日】2023-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・エイ・キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・エム・エディガー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジー・クニーリム
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・トーマス・エンクイスト
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AB08
2G011AC02
2G011AC33
2G011AE04
(57)【要約】
【課題】プローブ・ケーブル・アセンブリに柔軟性を持たせる。
【解決手段】プローブ・ケーブル・アセンブリ10は、オシロスコープに接続される第1コネクタ12と、被試験デバイスからの信号を受信するプローブ・チップに接続される第2コネクタ14と、コネクタ12と14の間に接続されたケーブルとを有する。ケーブルは、ある長さがあり、この長さの少なくとも一部に沿って上記信号を導通する1つ以上の導体と、1つ以上の導体の外部にある磁性材料と、1つ以上の導体の外部にあるエラストマ材料とを有する。信号は、差動信号であっても良い。コネクタ12及び14に接続されるケーブルには、対称ペア導体、ケーブルの長さに沿って間隔をあけて配置される1つ以上のディスクリート磁性部品及び1つ以上の磁性部品のうちの少なくとも1つに隣接する1つ以上のエラストマ部品がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受信するように構成されたコネクタと、
該コネクタに接続される、ある長さを有するケーブルであって、上記長さの少なくとも一部分に沿って上記信号を導通する1つ以上の導体を有する上記ケーブルと、
上記1つ以上の導体の外部にある磁性材料と、
上記1つ以上の導体の外部にあるエラストマ材料と
を具えるケーブル・アセンブリ。
【請求項2】
上記磁性材料が、1つ以上のディスクリート磁性要素を含む請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項3】
上記1つ以上の導体の外部にある上記1つ以上のディスクリート磁性要素の個数をユーザが選択可能である請求項2に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項4】
上記個数の上記1つ以上のディスクリート磁性要素が、上記ケーブルの固定位置に取り付けられている請求項2に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項5】
上記エラストマ材料が、1つ以上のエラストマ要素を含み、該エラストマ要素は、上記ケーブルの長さに沿って、上記1つ以上のディスクリート磁性要素のうちの少なくとも1つに隣接している請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項6】
上記磁性材料が、該磁性材料の強度と、差動信号の複数の周波数の中の少なくとも1つと、特定の環境における導体の周りの磁界とに基づいて選択される請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項7】
上記エラストマが、上記エラストマが、上記ケーブルの上記長さの大部分を包み込むエラストマ材料を含む請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項8】
上記磁性材料が、上記ケーブルの上記長さの大部分を包み込む磁性材料を含む請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項9】
上記ケーブルが、フレキシブル回路基板を含む請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項10】
上記1以上の導体は、2軸導体、ツイン・リード導体、ツイスト・ペア又はマッチングさせたトレースの中の1つからなる対称なペア導体を有する請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項11】
上記1以上の導体が、織り交ぜられた2軸導体から構成される請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項12】
上記ケーブル・アセンブリが、上記1以上の導体と上記磁性材料との間に導線の編組を更に有する請求項1に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項13】
差動信号を受信するように構成されたコネクタと、
該コネクタに接続され、上記差動信号を導通する対称なペア導体を有するケーブルと、
該ケーブルの長さに沿って間隔をあけて配置された1つ以上のディスクリート磁性部品と、
1つ以上のエラストマ部品と
を具え、
該1つ以上のエラストマ部品のうちの少なくとも1つが、上記ケーブルの上記長さに沿って、上記1つ以上の磁性部品のうちの少なくとも1つと隣接するケーブル・アセンブリ。
【請求項14】
上記ケーブルの上記長さに沿って使用されるディスクリート磁性要素の個数を、差動信号の複数の周波数の中の少なくとも1つと、特定の環境における上記導体の周囲の磁界とによって決める請求項13に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項15】
上記ディスクリート磁性部品の夫々が、
磁性材料の2つの半部分体と、
上記磁性材料の2つの上記半部分体の中の1つを収容するよう夫々構成される2つの半部分体を有するハウジングと、
上記ケーブルの周りで上記磁性材料の上記半部分体を収容している上記ハウジングの上記半部分体と上記1つ以上のエラストマ部品のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分とを保持する1つ以上の保持具であって、上記ハウジングを全体的に上記ケーブルの周りでクランプすると共に上記1つ以上のエラストマ部品のうちの少なくとも1つを保持する上記保持具と
を有する請求項13に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項16】
上記1つ以上のエラストマ部品には、エラストマ・スリーブに沿った複数の位置があり、該位置の夫々は、上記1つ以上の磁性部品のうちの1つを受け入れるように構成された開口部と、上記磁性部品を保持するための少なくとも1つのフレキシブル・タブとを有し、上記エラストマ・スリーブには、その丈に沿った凹部があり、該凹部に上記ケーブルが挿入される請求項13に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項17】
上記1つ以上のエラストマ部品が、1つ以上のディスクリート・エラストマ要素を含み、該エラストマ要素の夫々が、上記ケーブルを上記エラストマ要素に通すことを可能にする上記エラストマ要素を貫通する孔を有し、
上記1つ以上のディスクリート磁性要素の夫々が、上記ケーブルを上記磁性要素に通すことを可能にする上記磁性要素を貫通する孔を有し、上記エラストマ要素の夫々が、上記1つ以上の磁性要素のうちの1つの端部を保持するように構成された保持具を上記エラストマ要素の少なくとも一方の端部に有する請求項13に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項18】
差動信号を受信するよう構成されたコネクタと、
該コネクタに接続されたケーブルであって、上記差動信号を導通する対称なペア導体を有する上記ケーブルと、
該ケーブルを少なくとも部分的に囲むエラストマ材料と、
上記ケーブルを少なくとも部分的に囲む磁性材料と
を具えるケーブル・アセンブリ。
【請求項19】
上記エラストマ材料及び上記磁性材料が、磁性材料を混ぜ込んだ外側被覆エラストマを構成する請求項18に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項20】
上記ケーブルが、フレキシブル回路を含み、上記外側被覆エラストマが、上記フレキシブル回路上の特定の領域を保護するために、他の領域よりも厚い領域を有する請求項19に記載のケーブル・アセンブリ。
【請求項21】
上記エラストマ材料及び上記磁性材料が、上記ケーブルの両側に接着される弾性磁気テープを構成する請求項18に記載のケーブル・アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定プローブに使用されるプローブ・ケーブル・アセンブリに関し、より詳細には、柔軟性を有するプローブ・ケーブル・アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
差動プローブ・チップによる差動高電圧の測定は、コモン・モード・ノイズの影響を受けやすくなる。2019年5月28日発行の米国特許第10,302,676号には、硬いフェライトのストリングでケーブル先端にインピーダンスを付加することにより性能を向上させたプローブ・チップ同軸ケーブルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-173324号公報
【特許文献2】米国特許第10302676号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2021/0318361号明細書
【特許文献4】特開2021-167815号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「テクトロニクス社製プローブ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2023年10月4日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/products/oscilloscopes/oscilloscope-probes>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケーブル先端へのインピーダンスと硬いフェライトのストリングを備えた上記のプローブ・チップ同軸ケーブルは、電気的には良好に機能するが、プローブ・チップ同軸ケーブルの柔軟性が大幅に失われるという犠牲を伴う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の実施形態としては、プローブ・チップとともに使用され、付加されたフェライト又はフェライト材料で改善された性能を有するケーブル・アセンブリがある。これらの実施形態は、コモン・モード・ノイズを低減するインピーダンス負荷を保持しながら、プローブ・ケーブル・アセンブリの柔軟性の問題に対処する。本開示技術の実施形態は、2021年10月14日公開の米国特許出願公開第2021/0318361号に記載されているものなど、多くの異なるタイプのプローブにおいて実施されても良く、その内容は、その全体が参照により本願に援用される。概して、本開示技術の実施形態によるプローブ・チップ用ケーブル・アセンブリは、一方の端部に、被試験デバイスに結合するための基板、コネクタ又は他のインタフェースがあり、また、他方の端部に、試験プローブ又は試験装置に結合するためのボード、コネクタ又は他のインタフェースがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、ディスクリート磁性要素を有するケーブル・アセンブリの実施形態を示す。
【
図2】
図2は、エラストマ・スリーブを用いたケーブル・アセンブリの実施形態を示す。
【
図3】
図3は、エラストマと磁性要素に通されたケーブルを有するケーブル・アセンブリの実施形態を示す。
【
図4】
図4は、外側被覆(オーバーモールド)を有するケーブル・アセンブリの実施形態を示す。
【
図5】
図5は、接着剤付きの磁性材料を用いたケーブル・アセンブリの実施形態を示す。
【
図6】
図6は、ケーブル・アセンブリで使用可能なケーブルの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願では、説明において、コモン・モード・ノイズを低減するためのインピーダンス負荷を提供できる材料又はディスクリート部品に言及するのに、「フェライト」、「強磁性の(ferromagnetic)」及び「磁性の(magnetic)」という用語を使用する。本願でいう「磁性の(magnetic)」という用語は、これら全ての用語を包含する。磁性材料は、磁性材料の強度と、差動信号の複数の周波数の中の少なくとも1つと、特定の環境における導体の周りの磁界とに基づいて選択される。
【0009】
図1~
図3は、磁性材料がディスクリート磁性部品の形態をとる、つまり、磁性材料が個別の部品である実施形態を示す。磁性部品がディスクリート磁性部品から構成される場合、これらを含むアセンブリは、含める磁性部品の個数をユーザが選択できるように設計される。ユーザは、ケーブルから磁性部品を取り外したり、以前に取り外した場合には、再度追加することができる。ユーザがケーブルを使用する特定の用途に基づいて、必要な磁性部品の個数をユーザが選択できる。ユーザが磁性部品の個数をどのように変更するかは、実施形態によって異なる。いくつかの実施形態では、ユーザは、磁性部品の位置を選択することもできる。
【0010】
図1は、種々のプローブ・チップと共に使用されるプローブ・ケーブル・アセンブリ10の実施形態を示す。様々な実施形態の全てがこのタイプのケーブル・アセンブリに利用されることに留意すべきである。なお、コネクタ及びプローブ・チップを伴うケーブル全体は、他の図面には現れないことがある。プローブ・ケーブル・アセンブリ10には、第1コネクタ12があり、これは、プローブ・ケーブル・アセンブリ10をオシロスコープ(図示せず)などの試験測定装置に接続する。プローブ・ケーブル・アセンブリ10の他端部にある第2コネクタ14は、例えば、被試験デバイス(DUT)からの信号であっても良い信号を受信するために、様々なプローブ・チップ(図示せず)のうちの1つに接続される。これに代えて、第2コネクタ14は、例えば、被試験信号を受信するために、被測定物上のプローブ・ポイント又はプローブ・ピンに直接接続されても良い。受信信号は、シングル・エンド信号でも、差動信号でもよい。コネクタ12と14の間には、それらを接続するためのケーブルが通っている。ケーブルには、一定の丈(length:長さ)があり、ここにケーブル上に存在する磁性部品がある。
図1では、磁性要素とエラストマ要素がケーブルを覆っている。これら磁性要素は、ケーブルに取り付けられているが、導体の外部にあり、また、保護のためにケーブルを包むジャケット・スリーブ上に存在していても良い。
【0011】
ケーブルは、詳細図に示されるように、コネクタ12及び14間で信号を伝導するための1つ以上の導体を有する。導体は、同軸とは対照的な手法で、対称なペアでケーブルを横断する対称なペア導体を備えても良い。これらのタイプの導体としては、ツイン・アキシャル(twin axial:2軸)、ツイン・リード、ツイスト・ペア、フレキシブル回路上の2つのマッチングしたトレースなどがある。
【0012】
図1の実施形態では、アセンブリ16が磁性部品を構成する。上部の分解図に見られるように、磁性部品は、2つの半部分体(two halves)18からなるハウジングがあり、これら2つの半部分体18は、ケーブルの周囲で係合し、磁性材料の2つのハーフ・ピース又は半部分体20を含む。ハウジングの半部分体は、ケーブルを保持するセンター・ピース24の周囲で係合する。フェライトなどの磁性部品を保持するハウジングの半部分体が、ケーブルの周囲で係合すると、次いで、保持具(retainer:リテーナ、この実施形態では、1つ以上のOリング)22が、フェライトの周囲にハウジングの半部分体をクランプし、これらをケーブル上の固定位置に保持し、これら半部分体間のあらゆるエア・ギャップを最小化するように作用する。このOリングは、半部分体の真ん中又は端部において、半部分体の周りをスライドする。
【0013】
Oリングは、また、エラストマ張力緩和リンク部(elastomer strain relief linkage)26のようなエラストマ要素をアセンブリ(16など)の両端部において保持するよう機能する。もし1つのアセンブリを使用する場合、このアセンブリの両端部がケーブルにクランプされ、このアセンブリの隣にエラストマ要素を「捕捉(catch)」、さもなければ、保持できる。これにより、硬いアセンブリが互いにぶつかることなく、ケーブルを曲げることができる。もしユーザが、使用するアセンブリの個数を減らしたい場合は、ユーザは、Oリングを転がしてハウジングの半部分体から分離し、ケーブルから取り外すことができる。
【0014】
図2は、エラストマ・スリーブ28に装着されたディスクリート磁性部品32の実施形態を示す。エラストマ・スリーブには、34、36などのタブがある。ケーブル30は、コネクタ(12など)間のスリーブの丈(length:長さ)を通っている。磁性部品は、上からスリーブに装填され、タブによって保持される。スリーブが所望の個数の磁性部品を収容すると、ケーブル30は、次に、中心を通して押し出される。これにより、磁性部品が捕捉され、所定の位置に固定される。ユーザは、ケーブルを中央に通す前に、装填する磁性部品の個数を選択できる。もしユーザが磁性部品をいくつか取り外して個数を変更したい場合には、ユーザは、ケーブルを抜いて、磁性部品をいくつか取り外してから、ケーブルを再度通しても良い。
【0015】
図3は、ディスクリート磁性部品を採用したケーブルの別の実施形態を示す。ケーブルは、コネクタ12及び14の少なくとも1つを取り付ける前に、ある個数の磁性部品(32など)に通される。エラストマ部品38は、少なくとも2つの磁性部品の間に通される。エラストマ部品は、ダンベルの形をしており、両端部の大きな部品は、磁性部品を固定位置に保持し、ケーブルが磁性部品の端で挟まれないようにするための保持具(retainer:リテーナ)として機能する。ユーザが磁性部品の個数を変更したい場合は、ケーブルに通す磁性部品の個数を減らせば良い。残りの磁性部品がケーブルの丈(length:長さ)に沿って滑るのを防ぐために、エラストマ部品の個数を増やして、隙間を埋めても良い。
【0016】
ディスクリート磁性要素に加えて、磁性材料で、少なくとも部分的にケーブルを囲んでいても良い。本願で使用される「囲む(enclose)」という用語は、磁性材料がケーブルの外面を、その丈(長さ)の大部分に沿って囲むことを意味する。磁性材料は、ケーブルの両端部がコネクタのところで、磁性材料によって完全に囲まれていない場合があるため、ケーブルを部分的にしか囲んでいなくても良い。
【0017】
図4は、磁性材料とエラストマ材料とが、ケーブルと、いくつかの実施形態では、コネクタ12及び14の本体とを覆うエラストマ外側被覆40の形で組み合わせた実施形態を示す。エラストマ材料は、混ぜ込ませた磁性材料を有しており、これは、例えば、エラストマがまだ液体の状態のときに、強磁性材料粉末をエラストマに混ぜ込むなどされる。次に、この複合材料は、この材料が硬化するときに、磁性材料がエラストマ材料の一部になるように、射出成形される。ケーブルがフレキシブル回路を有する実施形態では、例えば、フレキシブル回路の特定の領域にあるビアなどの領域を保護するために、長さに沿った領域42のように、外側被覆(overmold:オーバーモールド)に、複数の異なる厚さがあっても良い。
【0018】
別の実施形態では、磁性材料及びエラストマ材料が、
図5に示すように、粘着テープを構成しても良い。この弾性磁気テープは、磁性材料、接着剤及びエラストマを組み合わせたテープから構成され、これは、例えば、接着剤を露出させるための剥離ストリップを有するテープのストリップ(strip:細長い片)などである。例としては、熱分解グラファイト・シート(pyrolytic graphite sheet:PGS)や「μメタル」テープ、磁気シールド・テープやフィルムなどがある。PGSは、弱い磁気効果を有することが見出されており、グラファイトは、概して磁性材料とは見なされないが、本願の実施形態では磁性材料と見なされる。
【0019】
図5において、ケーブルは、上述したフレキシブル回路の形態をとっても良い。フレキシブル回路50は、差動信号を導通する2軸導体(twin axial)60、62を有する。分解図が示すように、これら導体が、織り交ぜられて(interweave)いても良い。フレキシブル回路50には、66のようなビア(VIA)がある。一方の導体68と他方の導体64は、実線で表されるフレキシブル回路の「上層」上に存在する場所と、破線で表されるビアを通過した後のフレキシブル回路の「下層」上に存在する場所とが交互にある。いずれの実施形態においても、弾性磁気テープ片52、54は、フレキシブル回路50及び接続ピン58等の周囲に係合する。次に、クリップ56により、ケーブルをコネクタに嵌合させることができる。接続ピン58及びクリップ56は、いくつかの実施形態では、コネクタ12又はコネクタ14の一部であっても良い。
【0020】
ケーブルに磁性部品を含めることによるコモン・モード・ノイズを制御するための磁性部品の使用に加えて、ケーブル自体に、補助する他の要素が含まれていても良い。
図6に示されるように、ケーブルの構造には、大部分のケーブルに共通する保護ジャケット82の内側に編組シールド層がある。コネクタの端部70には、導体(72など)があり、これは、誘電体74に包まれていても良い。次いで、ケーブルには、銅合金などの第1シールド層76があっても良い。ケーブルには、追加の金属化バリア78があってもよい。本願の一実施形態では、追加の金属化バリアが、編組(braid:ブレード)80を含んでいても良い。なお、これら様々な層及びジャケットは、コネクタの端部70まで延びているが、これら様々な層を示すために、切り取られていることに留意されたい。
【0021】
このようにして、コモン・モード・ノイズを除去又は軽減するインピーダンス負荷を保持した柔軟なケーブルを提供できる。
【0022】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0023】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0024】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0025】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
実施例
【0026】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0027】
実施例1は、ケーブル・アセンブリであって、信号を受信するように構成されたコネクタと、該コネクタに接続される、ある長さを有するケーブルであって、上記長さの少なくとも一部分に沿って上記信号を導通する1つ以上の導体を有する上記ケーブルと、上記1つ以上の導体の外部にある磁性材料と、上記1つ以上の導体の外部にあるエラストマ材料とを具える。
【0028】
実施例2は、実施例1のケーブル・アセンブリであって、上記磁性材料が、1つ以上のディスクリート磁性要素を含む。
【0029】
実施例3は、実施例2のケーブル・アセンブリであって、上記1つ以上の導体の外部にある上記1つ以上のディスクリート磁性要素の個数をユーザが選択可能である。
【0030】
実施例4は、実施例2のケーブル・アセンブリであって、上記個数の上記1つ以上のディスクリート磁性要素が、上記ケーブルの固定位置に取り付けられている。
【0031】
実施例5は、実施例2のケーブル・アセンブリであって、上記エラストマ材料は、1つ以上のエラストマ要素を含み、これらエラストマ要素は、上記ケーブルの長さに沿って、上記1つ以上のディスクリート磁性要素のうちの少なくとも1つに隣接している。
【0032】
実施例6は、実施例1から5のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記磁性材料が、該磁性材料の強度と、差動信号の複数の周波数の中の少なくとも1つと、特定の環境における導体の周りの磁界とに基づいて選択される。
【0033】
実施例7は、実施例1から6のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記エラストマが、上記ケーブルの上記長さの大部分を包み込むエラストマ材料を含む。
【0034】
実施例8は、実施例7のケーブル・アセンブリであって、上記磁性材料が、上記ケーブルの上記長さの大部分を包み込む磁性材料を含む。
【0035】
実施例9は、実施例1から8のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記ケーブルが、フレキシブル回路基板を含む。
【0036】
実施例10は、実施例1から9のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記1以上の導体は、2軸(twin axial)導体、ツイン・リード導体、ツイスト・ペア又はマッチングさせたトレース(matched traces:整合させたトレース)の中の1つからなる対称なペア導体を有する。
【0037】
実施例11は、実施例1から10のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記1以上の導体が、織り交ぜられた2軸(twin axial)導体から構成される。
【0038】
実施例12は、実施例1から11のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記ケーブル・アセンブリが、上記1以上の導体と上記磁性材料との間に導線の編組を更に有する。
【0039】
実施例13は、ケーブル・アセンブリであって、差動信号を受信するように構成されたコネクタと、該コネクタに接続され、上記差動信号を導通する対称なペア導体を有するケーブルと、該ケーブルの長さに沿って間隔をあけて配置された1つ以上のディスクリート磁性部品と、1つ以上のエラストマ部品とを具え、該1つ以上のエラストマ部品のうちの少なくとも1つが、上記ケーブルの上記長さに沿って、上記1つ以上の磁性部品のうちの少なくとも1つと隣接する。
【0040】
実施例14は、実施例13のケーブル・アセンブリであって、上記ケーブルの上記長さに沿って使用されるディスクリート磁性要素の個数が、差動信号の複数の周波数の中の少なくとも1つと、特定の環境における上記導体の周囲の磁界とによって決められる。
【0041】
実施例15は、実施例13又は14のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記ディスクリート磁性部品の夫々が、磁性材料の2つの半部分体と、上記磁性材料の2つの上記半部分体の中の1つを収容するよう夫々構成される2つの半部分体を有するハウジングと、上記ケーブルの周りで上記磁性材料の上記半部分体を収容している上記ハウジングの上記半部分体と上記1つ以上のエラストマ部品のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分とを保持する1つ以上の保持具(リテーナ)であって、上記ハウジングを全体的に上記ケーブルの周りでクランプすると共に上記1つ以上のエラストマ部品のうちの少なくとも1つを保持する上記保持具とを有する。
【0042】
実施例16は、実施例13から15のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記1つ以上のエラストマ部品には、エラストマ・スリーブに沿った複数の位置があり、該位置の夫々は、上記1つ以上の磁性部品のうちの1つを受け入れるように構成された開口部と、上記磁性部品を保持するための少なくとも1つのフレキシブル・タブとを有し、上記エラストマ・スリーブには、その丈(length:長さ)に沿った凹部(hole)があり、該凹部に上記ケーブルが挿入される。
【0043】
実施例17は、実施例13から16のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記1つ以上のエラストマ部品が、1つ以上のディスクリート・エラストマ要素を含み、該エラストマ要素の夫々が、上記ケーブルを上記エラストマ要素に通すことを可能にする上記エラストマ要素を貫通する孔を有し、上記1つ以上のディスクリート磁性要素の夫々が、上記ケーブルを上記磁性要素に通すことを可能にする上記磁性要素を貫通する孔を有し、上記エラストマ要素の夫々が、上記1つ以上の磁性要素のうちの1つの端部を保持するように構成された保持具を上記エラストマ要素の少なくとも一方の端部に有する。
【0044】
実施例18は、ケーブル・アセンブリであって、差動信号を受信するよう構成されたコネクタと、該コネクタに接続されたケーブルであって、上記差動信号を導通する対称なペア導体を有する上記ケーブルと、該ケーブルを少なくとも部分的に囲むエラストマ材料と、上記ケーブルを少なくとも部分的に囲む磁性材料とを具える。
【0045】
実施例19は、実施例18のケーブル・アセンブリであって、上記エラストマ材料及び上記磁性材料が、磁性材料を混ぜ込んだ外側被覆(overmold)エラストマを構成する。
【0046】
実施例20は、実施例19のケーブル・アセンブリであって、上記ケーブルが、フレキシブル回路を含み、上記外側被覆エラストマが、上記フレキシブル回路上の特定の領域を保護するために、他の領域よりも厚い領域を有する。
【0047】
実施例21は、実施例18から20のいずれかのケーブル・アセンブリであって、上記エラストマ材料及び上記磁性材料が、上記ケーブルの両側に接着される弾性磁気テープを構成する。
【0048】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様との関連においても利用できる。
【0049】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0050】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0051】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0052】
10 プローブ・ケーブル・アセンブリ
12 第1コネクタ
14 第2コネクタ
16 アセンブリ
18 ハウジングの半部分体
20 磁性材料の半部分体
22 保持具(リテーナ)
24 センター・ピース
26 エラストマ張力緩和リンク部
28 エラストマ・スリーブ
30 ケーブル
32 ディスクリート磁性部品
34 エラストマ・スリーブのタブ
36 エラストマ・スリーブのタブ
38 エラストマ部品
40 エラストマ外側被覆
42 厚さの異なる領域
50 フレキシブル回路
52 弾性磁気テープ片
54 弾性磁気テープ片
56 クリップ
58 接続ピン
60 軸導体
62 軸導体
64 導体
66 ビア
68 コンダクタ
70 コネクタ端部
72 コネクタ
74 誘電体
76 第1シールド層
78 金属化バリア
80 編組(ブレード)
82 保護ジャケット
【外国語明細書】