(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054977
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】データ処理システム、データ収集装置、物理量計測装置、データ処理方法、データ収集方法、データ提供方法、及び、データ構造
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20240411BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240411BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20240411BHJP
G06F 16/901 20190101ALI20240411BHJP
【FI】
G08C19/00 301B
G05B23/02 301U
G08C15/00 E
G06F16/901
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161482
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 裕太
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝志
【テーマコード(参考)】
2F073
3C223
5B175
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA12
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE13
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG08
3C223AA02
3C223AA04
3C223AA05
3C223AA06
3C223BA03
3C223BB12
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF13
3C223FF16
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH29
5B175DA10
5B175GA04
5B175KA07
(57)【要約】
【課題】物理量計測装置と、データ収集装置との間の通信量の増加を抑制しつつ、物理量データを適切に収集することを可能するデータ処理システムを提供する。
【解決手段】データ処理システムは、複数の物理量計測装置と、データ収集装置とにより構成される。物理量計測装置は、データ収集装置から、対象特定インデックスを含むデータ要求を受け付けたとき、記憶部に記憶された複数の物理量データ及びインデックスのうち、計測順が対象特定インデックスよりも後のインデックスに対応付けられた物理量データ及びインデックスで構成される物理量データ列をデータ収集装置に送信する。データ収集装置は、所定の収集条件が満たされたとき、対象特定インデックスを含むデータ要求を物理量計測装置に送信し、その応答として物理量データ列を受信し、物理量データ列を前回受信した際の計測順が最後のインデックスを対象特定インデックスとして特定して管理する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の物理量計測装置と、前記物理量計測装置と通信可能に構成された1又は複数のデータ収集装置と、を備えるデータ処理システムであって、
前記物理量計測装置は、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、
前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データと、前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスとを対応付けてリングバッファ形式で記憶する記憶部と、
前記データ収集装置から、前記インデックスにより特定された対象特定インデックスを含むデータ要求を受け付けたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、前記計測順が前記対象特定インデックスよりも後の前記インデックスに対応付けられた前記物理量データ及び前記インデックスで構成される物理量データ列を前記データ収集装置に送信する物理量データ列送信処理部と、を備え、
前記データ収集装置は、
所定の収集条件が満たされたとき、前記対象特定インデックスを含む前記データ要求を前記物理量計測装置に送信するデータ要求送信処理部と、
前記データ要求に対する応答として、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を受信し、記憶装置に記憶する受信処理部と、
前記記憶装置に記憶された前記物理量データ列のうち、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を前回受信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを前記対象特定インデックスとして特定して管理するインデックス管理処理部と、を備える、
データ処理システム。
【請求項2】
前記インデックス管理処理部は、
前記対象特定インデックスを前記物理量計測装置毎に管理する、
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
1又は複数の物理量計測装置と通信可能に構成されたデータ収集装置であって、
計測対象の物理量をそれぞれ計測した複数の物理量データ及び前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスで構成される物理量データ列を収集する所定の収集条件が満たされたとき、前記インデックスにより特定された対象特定インデックスを含むデータ要求を前記物理量計測装置に送信するデータ要求送信処理部と、
前記データ要求に対する応答として、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を受信し、記憶装置に記憶する受信処理部と、
前記記憶装置に記憶された前記物理量データ列のうち、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を前回受信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを前記対象特定インデックスとして特定して管理するインデックス管理処理部と、を備える、
データ収集装置。
【請求項4】
1又は複数の物理量計測装置と、前記物理量計測装置と通信可能に構成された1又は複数のデータ収集装置と、を備えるデータ処理システムであって、
前記物理量計測装置は、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、
前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データと、前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスとを対応付けてリングバッファ形式で記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、複数の前記物理量データ及び前記インデックスで構成される物理量データ列を前記データ収集装置に前回送信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを対象特定インデックスと
して特定して管理するインデックス管理処理部と、
前記データ収集装置からデータ要求を受け付けたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、前記計測順が前記対象特定インデックスよりも後の前記インデックスに対応付けられた前記物理量データ及び前記インデックスで構成される前記物理量データ列を前記データ収集装置に送信する物理量データ列送信処理部と、を備え、
前記データ収集装置は、
所定の収集条件が満たされたとき、前記データ要求を前記物理量計測装置に送信するデータ要求送信処理部と、
前記データ要求に対する応答として、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を受信し、記憶装置に記憶する受信処理部と、を備える、
データ処理システム。
【請求項5】
前記インデックス管理処理部は、
前記対象特定インデックスを前記データ収集装置毎に管理する、
請求項4に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
1又は複数のデータ収集装置と通信可能に構成された物理量計測装置であって、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、
前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データと、前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスとを対応付けてリングバッファ形式で記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、複数の前記物理量データ及び前記インデックスで構成される物理量データ列を前記データ収集装置に前回送信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを対象特定インデックスとして特定して管理するインデックス管理処理部と、
前記データ収集装置からデータ要求を受け付けたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、前記計測順が前記対象特定インデックスよりも後の前記インデックスに対応付けられた前記物理量データ及び前記インデックスで構成される前記物理量データ列を前記データ収集装置に送信する物理量データ列送信処理部と、を備える、
物理量計測装置。
【請求項7】
1又は複数の物理量計測装置と通信可能に構成されたデータ収集装置を用いて、データを収集するデータ収集方法であって、
計測対象の物理量をそれぞれ計測した複数の物理量データ及び前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスで構成される物理量データ列を収集する所定の収集条件が満たされたとき、前記インデックスにより特定された対象特定インデックスを含むデータ要求を前記物理量計測装置に送信するデータ要求送信処理工程と、
前記データ要求に対する応答として、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を受信し、記憶装置に記憶する受信処理工程と、
前記記憶装置に記憶された前記物理量データ列のうち、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を前回受信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを前記対象特定インデックスとして特定して管理するインデックス管理処理工程と、を行う、
データ収集方法。
【請求項8】
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データ、及び、前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスを対応付けてリングバッファ形式で記憶する記憶部とを備え、1又は複数のデータ収集装置と通信可能に構成された物理量計測装置を用いて、データを提供するデータ提供方法であっ
て、
前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、複数の前記物理量データ及び前記インデックスで構成される物理量データ列を前記データ収集装置に前回送信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを対象特定インデックスとして特定して管理するインデックス管理処理工程と、
前記データ収集装置からデータ要求を受け付けたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、前記計測順が前記対象特定インデックスよりも後の前記インデックスに対応付けられた前記物理量データ及び前記インデックスで構成される前記物理量データ列を前記データ収集装置に送信する物理量データ列送信処理工程と、を行う、
データ提供方法。
【請求項9】
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データをリングバッファ形式で記憶する記憶部とを備える1又は複数の物理量計測装置と通信可能に構成されて、前記物理量データを記憶装置に記憶するデータ収集装置に用いられ、前記記憶装置に記憶される前記物理量データのデータ構造であって、
前記物理量データ、及び、前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスが対応付けられた複数の前記物理量データ及び前記インデックスと、
前記インデックスのうちの特定の前記インデックスを示す対象特定インデックスと、を含み、
前記対象特定インデックスは、
所定の収集条件が満たされたとき、前記対象特定インデックスを含むデータ要求を前記物理量計測装置に送信するデータ要求送信処理と、
複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、前記物理量計測装置から複数の前記物理量データ及び前記インデックスで構成される物理量データ列を前回受信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを特定して管理するインデックス管理処理と、に用いられる、
データ構造。
【請求項10】
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データをリングバッファ形式で記憶する記憶部とを備え、1又は複数のデータ収集装置と通信可能に構成された物理量計測装置に用いられ、前記記憶部に記憶される前記物理量データのデータ構造であって、
前記物理量データ、及び、前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスが対応付けられた複数の前記物理量データ及び前記インデックスと、
前記インデックスのうちの特定の前記インデックスを示す対象特定インデックスと、を含み、
前記対象特定インデックスは、
前記物理量データ及び前記インデックスのうち、複数の前記物理量データ及び前記インデックスで構成される物理量データ列を前記データ収集装置に前回送信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを特定して管理するインデックス管理処理と、
前記データ収集装置からデータ要求を受け付けたとき、複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、前記計測順が前記対象特定インデックスよりも後の前記インデックスに対応付けられた前記物理量データ及び前記インデックスで構成される前記物理量データ列を前記データ収集装置に送信する物理量データ列送信処理と、に用いられる、
データ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システム、データ収集装置、物理量計測装置、データ処理方法、データ収集方法、データ提供方法、及び、データ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視対象物に計測装置を取り付けて、監視対象装置の状態を監視することが行われている。例えば、特許文献1には、監視対象物の振動等を測定する測定センサ、及び、測定センサによる測定データを診断装置に送信する通信処理手段を備える通信機能付き測定器と、通信機能付き測定器から測定データを受信して記憶手段に記憶する測定データ受信手段、及び、測定データに対してデータ処理を行う診断手段を備える診断装置とで構成される監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された監視システムでは、通信機能付き測定器が、測定サイクルにより設定された測定条件が満たされる毎に、測定データを診断装置に送信し、診断装置が、通信機能付き測定器から測定データを繰り返し受信して記憶手段に記憶する。したがって、通信機能付き測定器は、測定データを診断装置に繰り返し送信することから、測定データを送信する毎に電力が消費される。そのため、通信に要する消費電力の低減を図るために、例えば、通信機能付き測定器が複数の測定データをまとめて送信することが解決方法の1つとして挙げられる。しかしながら、複数の測定データをまとめて送信する際に、過去に送信済みの測定データまで含めて送信したのでは、通信量の増加を招いてしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑み、物理量計測装置と、データ収集装置との間の通信量の増加を抑制しつつ、物理量データを適切に収集することを可能するデータ処理システム、データ収集装置、物理量計測装置、データ処理方法、データ収集方法、データ提供方法、及び、データ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るデータ処理システムは、
1又は複数の物理量計測装置と、前記物理量計測装置と通信可能に構成された1又は複数のデータ収集装置と、を備えるデータ処理システムであって、
前記物理量計測装置は、
計測対象の物理量を計測する物理量センサと、
前記物理量センサにより前記物理量を計測した物理量データと、前記物理量データの計測順に割り振られたインデックスとを対応付けてリングバッファ形式で記憶する記憶部と、
前記データ収集装置から、前記インデックスにより特定された対象特定インデックスを含むデータ要求を受け付けたとき、前記記憶部に記憶された複数の前記物理量データ及び前記インデックスのうち、前記計測順が前記対象特定インデックスよりも後の前記インデックスに対応付けられた前記物理量データ及び前記インデックスで構成される物理量デ
ータ列を前記データ収集装置に送信する物理量データ列送信処理部と、を備え、
前記データ収集装置は、
所定の収集条件が満たされたとき、前記対象特定インデックスを含む前記データ要求を前記物理量計測装置に送信するデータ要求送信処理部と、
前記データ要求に対する応答として、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を受信し、記憶装置に記憶する受信処理部と、
前記記憶装置に記憶された前記物理量データ列のうち、前記物理量計測装置から前記物理量データ列を前回受信した際の前記計測順が最後の前記インデックスを前記対象特定インデックスとして特定して管理するインデックス管理処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るデータ処理システムによれば、物理量計測装置が、データ収集装置から対象特定インデックスを含むデータ要求を受け付けたとき、計測順がその対象特定インデックスよりも後のインデックスに対応付けられた物理量データ及びインデックスで構成される物理量データ列をデータ収集装置に送信し、データ収集装置が、物理量計測装置から物理量データ列を前回受信した際の計測順が最後のインデックスを対象特定インデックスとして特定して管理し、所定の収集条件が満たされたとき、その対象特定インデックスを含むデータ要求を物理量計測装置に送信し、その応答として、物理量計測装置から物理量データ列を受信する。したがって、物理量計測装置と、データ収集装置との間の通信量の増加を抑制しつつ、物理量データを適切に収集することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】データ処理システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る物理量計測装置3Aの一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る物理量計測装置3Aの一例を示す機能説明図である。
【
図4】第1の実施形態に係るデータ収集装置4Aの一例を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係るデータ収集装置4Aの一例を示す機能説明図である。
【
図6】各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図7】第1の実施形態に係るデータ処理システム1による動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係る物理量計測装置3Bの一例を示すブロック図である。
【
図9】第2の実施形態に係る物理量計測装置3Bの一例を示す機能説明図である。
【
図10】第2の実施形態に係るデータ収集装置4Bの一例を示すブロック図である。
【
図11】第2の実施形態に係るデータ収集装置4Bの一例を示す機能説明図である。
【
図12】第2の実施形態に係るデータ処理システム1による動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、データ処理システム1の一例を示す全体構成図である。データ処理システム1は、ポンプ装置2にて計測対象の物理量を計測したときの物理量データを処理し、ポンプ装置2を管理するためのシステムとして機能する。
【0012】
データ処理システム1は、その主要な構成として、監視対象のポンプ装置2と、ポンプ装置2に取付可能な物理量計測装置3Aと、物理量計測装置3Aと通信可能に構成されたデータ収集装置4Aと、データ収集装置4Aと通信可能に構成されたデータ管理装置5と、データ管理装置5と通信可能に構成された端末装置6とを備える。各装置2~6は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図6参照)で構成されるとともに、ネットワーク7を介して各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、各装置2~6の数は、
図1の例に限られず、1つでもよいし、複数でもよい。
【0013】
ポンプ装置2は、任意の流体を移送する装置であり、例えば、インフラ設備(上水道、下水道等)やプラント設備(石油精製、発電、製造、化学プロセス等)に設置されて使用される。ポンプ装置2は、ポンプ部20と、ポンプ装置2の駆動源となるモータ21と、モータ21が発生した駆動力をポンプ部20に伝達する伝達部22と、ポンプ装置2の動作を制御するポンプ制御盤23とを備える。
【0014】
ポンプ部20は、例えば、羽根車、回転軸、軸受、メカニカルシール、グランドパッキン、ケーシング、配管等で構成される。モータ21は、例えば、インバータモータ等の任意の形式のモータで構成される。伝達部22は、例えば、カップリング、継手、ジョイント、軸受等で構成される。ポンプ制御盤23は、例えば、組込型コンピュータで構成され、ユーザ(ポンプ装置2の設置作業者や管理者等)により運転条件が設定された設定値と、ポンプ部20及びモータ21の各部に設けられたセンサ類(不図示)の検出値とに基づいて、モータ21の回転動作を制御する。なお、ポンプ装置2は、各装置3~6と通信可能に構成されていてもよい。
【0015】
物理量計測装置3Aは、ポンプ装置2に起因する物理量を計測する装置であり、例えば、ポンプ部20、モータ21又は伝達部22の任意の位置に取り付けられる。物理量計測装置3Aは、計測対象の物理量を計測する物理量センサ30と、物理量センサ30により物理量を計測したときの物理量データを処理するデータ処理装置31Aと、物理量センサ30及びデータ処理装置31Aを内蔵し、ポンプ装置2に取付可能な筐体300とを備える。
【0016】
物理量センサ30による計測対象の物理量は、例えば、加速度(振動)、速度、変位、環境音等である。物理量センサ30は、例えば、加速度を計測可能な加速度センサ、速度を計測可能な速度センサ、変位を計測可能な変位センサ、環境音を計測可能なマイクロホン等で構成される。なお、計測対象の物理量は、上記の例に限られず、例えば、圧力、荷重、温度、電流値、電圧値等の物理量でもよく、その場合には、圧力センサ、荷重センサ、温度センサ、電流センサ、電圧センサ等の物理量センサ30が用いられる。また、物理量センサ30は、複数の物理量をそれぞれ計測するための複数のセンサを含むものでもよい。
【0017】
データ処理装置31Aは、物理量センサ30により計測された物理量を示すアナログ信号がデジタル信号に変換された物理量データを処理するための装置である。なお、データ処理装置31Aは、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を備えていてもよいし、物理量センサ30からデジタル信号に変換後の物理量データを取得するものでもよい。
【0018】
筐体300の取付位置は、計測対象の物理量に応じて決められる。なお、ポンプ装置2には、1つの物理量計測装置3Aが取り付けられてもよいし、
図1に示すように、複数の物理量計測装置3Aが取り付けられてもよい。複数の物理量計測装置3Aが取り付けられる場合には、共通の物理量を計測するものでもよいし、異なる物理量を計測するものでもよい。
【0019】
データ収集装置4Aは、ポンプ装置2の設置場所に所在するユーザ(ポンプ装置2の管理者や点検・修理作業者等)により使用されて、物理量計測装置3A(具体的には、データ処理装置31A)からデータを収集する装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯型コンピュータで構成される。データ収集装置4Aのユーザが、例えば、物理量計測装置3Aから所定の距離内に接近したときに、物理量計測装置3Aとの間で通信が確立されることで、物理量計測装置3Aからデータを収集する。また、データ収集装置4Aは、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、物理量計測装置3Aから収集したデータを表示画面に表示したり、そのデータをデータ管理装置5に送信したりする。
【0020】
データ管理装置5は、データ収集装置4Aにより収集されたデータを管理するためのデータベース50を備え、例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータで構成される。データ管理装置5は、データ収集装置4Aから受信したデータをデータベース50に格納したり、そのデータが所定の通知条件を満たすときに、通知情報を端末装置6に送信したり、データベース50に格納したデータの参照要求を端末装置6から受け付けたときに、データベース50の参照情報を端末装置6に送信したりする。
【0021】
端末装置6は、ポンプ装置2の設置場所から離れた遠隔地に所在するユーザ(ポンプ装置2の管理者や点検・修理作業者等)により使用される装置であり、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成される。端末装置6は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、各種の情報(通知情報やデータベース50の参照情報)を表示画面に表示する。なお、端末装置6は、データ収集装置4Aを兼用するものでもよい。
【0022】
ネットワーク7は、任意の通信規格に従って有線通信又は無線通信、あるいは、有線通信と無線通信の組合せにより構成される。具体的には、例えば、インターネット等の標準化された通信網、又はローカルネットワーク等の建物内で管理される通信網、あるいは、これらの通信網の組合せを利用することができる。また、無線通信の通信規格としては、典型的には国際規格が用いられる。国際規格の通信手段として、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1、IEEE802.15.11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、ISO/IEC14513-3-10、IEEE802.15.4g等の方式がある。また、Bluetooth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)、LTE等の方式を用いることもできる。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る物理量計測装置3Aの一例を示すブロック図である。
図3は、第1の実施形態に係る物理量計測装置3Aの一例を示す機能説明図である。物理量計測装置3Aは、その主要な構成要素として、上記の物理量センサ30の他に、データ処理装置31Aを構成する制御部32、記憶部33、通信部34及び電源35を備える。
【0024】
制御部32は、例えば、記憶部33に記憶されたデータ処理プログラム330Aを実行することにより、計測処理部320、及び、物理量データ列送信処理部321Aとして機能する。
【0025】
記憶部33は、物理量計測装置3Aの動作で使用される各種のプログラム(データ処理プログラム330A等)やデータ(設定情報331、リングバッファデータ332等)を記憶する。
【0026】
設定情報331には、例えば、物理量計測装置3Aが動作する際に制御部32により参照される設定パラメータとして、例えば、サンプリング条件が記憶されるとともに、データ収集装置4Aを介して設定可能に構成される。サンプリング条件は、物理量センサ30にて物理量を計測する計測時点を定める条件であり、例えば、サンプリング周期やサンプリング周波数により設定される。本実施形態では、サンプリング条件として、サンプリング周期が設定されている場合について説明する。
【0027】
リングバッファデータ332には、物理量センサ30により物理量を計測したときの物理量データDがリングバッファ形式で記憶される。リングバッファデータ332は、物理量データDを記憶可能な上限のデータ数に応じて確保されたメモリの領域(物理量データメモリ領域)を有し、
図3に示すように、物理量データDを次回記憶するときのメモリアドレスAを示す次回記憶メモリアドレスAnと、物理量データDを次回記憶するときのインデックスIを示す次回記憶インデックスInとにより管理される。
【0028】
リングバッファデータ332は、そのデータ構成として、
図3に示すように、物理量データメモリ領域に配列された各メモリアドレスAに対して、例えば、通し番号等により物理量データDの計測順が割り振られるインデックスIと、物理量センサ30により計測された物理量データDとをそれぞれ対応付けて記憶するためのバッファを有する。なお、リングバッファデータ332は、複数の物理量データDの各々に対して、物理量データDを計測したときの計測時刻を記憶するようにしてもよい。
【0029】
通信部34は、ネットワーク7を介して、例えば、データ収集装置4Aとの間で各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。電源35は、例えば、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池等で構成され、物理量計測装置3Aの各部に電力を供給する。なお、電源35は、ポンプ装置2から電力供給を受けるものでもよい。
【0030】
計測処理部320は、設定情報331で定められたサンプリング条件にて物理量センサ30が物理量を計測したときの物理量データDを記憶部33のリングバッファデータ332に記憶する。
【0031】
例えば、計測処理部320は、サンプリング条件としてのサンプリング周期に対応する計測時点が到来する毎に、そのタイミング(計測時点)で物理量センサ30により物理量を計測し、物理量データDを取得する。そして、計測処理部320は、次回記憶メモリアドレスAnが示すバッファに対して、その取得した物理量データDとともに、次回記憶インデックスInが示すインデックスIを記憶する。さらに、計測処理部320は、次のバッファ(末尾のバッファの場合には、先頭のバッファに戻る)を示すメモリアドレスAに次回記憶メモリアドレスAnを更新するとともに、インデックスIをインクリメントすることで次回記憶インデックスInを更新する。
【0032】
なお、計測処理部320は、物理量センサ30により計測された物理量に対して所定の演算を行うことにより物理量データDを取得するようにしてもよい。例えば、物理量データDに対する演算は、例えば、計測時点が異なる所定のデータ点数分の物理量データDに対して移動平均を求めるものであり、例えば、単純移動平均や加重移動平均等が挙げられる。
【0033】
物理量データ列送信処理部321Aは、データ収集装置4Aから、インデックスIによ
り特定された対象特定インデックスIt1を含むデータ要求を受け付けたとき、記憶部33のリングバッファデータ332に記憶された複数の物理量データD及びインデックスIのうち、計測順が対象特定インデックスIt1よりも後のインデックスに対応付けられた物理量データD及びインデックスIで構成される物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Aに送信する。
【0034】
図3では、リングバッファデータ332に100点の物理量データD1~D100が記憶されている状況において、データ要求に含まれる対象特定インデックスIt1は、「50」であるため、データ収集装置4Aに送信される物理量データ列Dsetは、インデックスIが「50」よりも後、すなわち、「51」以降の50点の物理量データD51~D100で構成される場合が例示されている。
【0035】
図4は、第1の実施形態に係るデータ収集装置4Aの一例を示すブロック図である。
図5は、第1の実施形態に係るデータ収集装置4Aの一例を示す機能説明図である。データ収集装置4Aは、その主要な構成要素として、制御部40、記憶部41、通信部42、入力部43及び出力部44を備える。
【0036】
制御部40は、例えば、記憶部41に記憶されたデータ収集プログラム410Aを実行することにより、データ要求送信処理部400A、受信処理部401、及び、インデックス管理処理部402として機能する。
【0037】
記憶部41は、データ収集装置4Aの動作で使用される各種のプログラム(データ収集プログラム410A等)やデータ(設定情報411、対象特定インデックスIt1等)を記憶する。設定情報411には、例えば、データ収集装置4Aが動作する際に制御部40により参照される設定パラメータ(データ収集条件等)が記憶されるとともに、例えば、データ収集装置4Aを介して設定可能に構成される。
【0038】
通信部42は、ネットワーク7を介して、例えば、物理量計測装置3Aやデータ管理装置5との間で各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部43及び出力部44は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報を表示画面や音声を介して出力することでユーザインターフェースとして機能する。
【0039】
データ要求送信処理部400Aは、所定の収集条件が満たされたとき、インデックス管理処理部402により記憶部41に記憶されて管理されている対象特定インデックスIt1(
図5の例では、「50」)を含むデータ要求を物理量計測装置3Aに送信する。例えば、データ要求送信処理部400Aは、収集条件として、物理量データDの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けたときや、設定情報411で定められたデータ収集条件が満たされたときや、物理量データDの収集を指示するデータ管理装置5からの実行指令を受信したとき等に、物理量データDのデータ要求を物理量計測装置3Aに送信する。
【0040】
受信処理部401は、データ要求送信処理部400Aにより送信されたデータ要求に対する応答として、物理量計測装置3Aから物理量データ列Dsetを受信し、その物理量データ列Dsetを記憶装置に記憶する。
図5の例では、物理量計測装置3Aから受信した物理量データ列Dsetは、インデックスIが「51」以降の50点の物理量データD51~D100で構成される場合が例示されている。なお、記憶装置としては、記憶部41でもよいし、例えば、外部の記憶装置でもよい。本実施形態では、受信処理部401は、物理量データ列Dsetをデータ管理装置5に送信することで、外部の記憶装置としてのデータベース50に記憶する場合について説明する。
【0041】
なお、受信処理部401により受信された物理量データ列Dsetは、データ収集装置
4Aの表示画面に表示されてもよい。また、物理量データ列Dsetには、受信処理部401(物理量計測装置3Aの物理量データ列送信処理部321Aでもよい)により、例えば、ポンプ装置2及び物理量計測装置3Aの少なくとも一方を識別するための識別情報(ポンプ装置2の装置ID、物理量計測装置3Aの装置ID等)が付加されてもよく、その場合には、物理量データ列Dsetに識別情報が関連付けられた状態でデータベース50に格納されるようにしてもよい。
【0042】
インデックス管理処理部402は、記憶装置(データベース50)に記憶された物理量データ列Dsetのうち、物理量計測装置3Aから物理量データ列Dsetを前回受信した際の計測順が最後のインデックスIを対象特定インデックスIt1として特定して管理する。例えば、インデックス管理処理部402は、その対象特定インデックスIt1を記憶部41に記憶することで、対象特定インデックスIt1を管理する。
【0043】
図5の例では、対象特定インデックスIt1(=「50」)を含むデータ要求に対して、物理量データD51~D100で構成された物理量データ列Dsetを物理量計測装置3Aから受信した状況であるため、インデックス管理処理部402は、対象特定インデックスIt1を、物理量データD51~D100のうちの計測順が最後のインデックスIである「100」に更新している場合が例示されている。したがって、データ要求送信処理部400Aが次回データ要求を送信する場合には、更新後の対象特定インデックスIt1(=「100」)を含むデータ要求が送信される。
【0044】
なお、インデックス管理処理部402は、対象特定インデックスIt1を物理量計測装置3A毎に管理するようにしてもよい。その場合には、例えば、物理量計測装置3Aが送信する物理量データ列Dsetは、その物理量計測装置3Aの装置IDを含むようにし、データ収集装置4Aが送信するデータ要求は、その装置IDにより特定される物理量計測装置3Aに対して送信されるようにすればよい。
【0045】
また、記憶部41には、対象特定インデックスIt1とともに、物理量データ列Dsetを構成する複数の物理量データD及びインデックスIが記憶される場合には、データ収集装置4Aに用いられる物理量データDのデータ構造が実現される。その場合には、対象特定インデックスIt1は、データ要求送信処理部400により行われるデータ要求送信処理と、インデックス管理処理部402により行われるインデックス管理処理とに用いられる。
【0046】
図6は、各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。ポンプ装置2(主にポンプ制御盤23)、物理量計測装置3A(主にデータ処理装置31A)、データ収集装置4A、データ管理装置5、及び、端末装置6の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0047】
コンピュータ900は、
図6に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0048】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、NPU(Neural Processi
ng Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0049】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0050】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0051】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0052】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。
【0053】
(データ処理方法)
図7は、第1の実施形態に係るデータ処理システム1による動作の一例を示すフローチャートである。
図7に示す一連の処理(データ処理方法)は、物理量計測装置3Aによる処理(データ提供方法)と、データ収集装置4Aによる処理(データ収集方法)とにより
実行される。
【0054】
以下では、物理量計測装置3Aが、設定情報331で定められたサンプリング条件としてのサンプリング周期に従って物理量を繰り返し計測している状況において、データ収集装置4Aが、物理量データDの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けた場合について、
図3、
図5、
図7を参照して説明する。
【0055】
まず、ステップS100にて、物理量計測装置3Aの計測処理部320は、サンプリング条件(本実施形態では、サンプリング周期)に基づくタイミング(計測時点)が到来すると、物理量センサ30により物理量を計測し、物理量データDを取得する。そして、計測処理部320は、その取得した物理量データDとともに、次回記憶インデックスInが示すインデックスIを、リングバッファデータ332における次回記憶メモリアドレスAnが示すバッファに記憶する。その際、計測処理部320は、次回記憶メモリアドレスAn及び次回記憶インデックスInを更新する。
【0056】
サンプリング条件を満たす計測時点が到来する毎に、計測処理部320は、上記のステップS100を繰り返すことで、リングバッファデータ332には、物理量データDが蓄積される。
【0057】
一方、ステップS200にて、データ収集装置4Aのデータ要求送信処理部400Aは、物理量データDの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けると、収集条件が満たされたものとして、物理量計測装置3Aとの通信を開始し、インデックス管理処理部402により記憶部41に記憶されて管理されている対象特定インデックスIt1(
図5の例では、「50」)を含むデータ要求を物理量計測装置3Aに送信する。
【0058】
そして、ステップS110にて、物理量データ列送信処理部321Aは、データ収集装置4Aからデータ要求を受信する。
【0059】
次に、ステップS111にて、物理量データ列送信処理部321Aは、記憶部33のリングバッファデータ332を参照し、計測順がステップS110にて受信したデータ要求に含まれる対象特定インデックスIt1(
図3の例では、「50」)よりも後のインデックスI(
図3の例では、「51~100」)を抽出する。そして、物理量データ列送信処理部321Aは、リングバッファデータ332に記憶された複数の物理量データD及びインデックスIのうち、その抽出したインデックスIに対応付けられた物理量データD(
図3の例では、「D51~D100」)及びインデックスIで構成される物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Aに送信する。
【0060】
次に、ステップS210にて、データ収集装置4Aの受信処理部401は、ステップS200にて送信したデータ要求に対する応答として、ステップS111にて送信された物理量データ列Dsetを物理量計測装置3Aから受信する。そして、ステップS211にて、受信処理部401は、その物理量データ列Dsetをデータ管理装置5に送信することで、記憶装置としてのデータベース50に記憶する。
【0061】
次に、ステップS212にて、インデックス管理処理部402は、ステップS210、S211にて物理量計測装置3Aから受信し、記憶装置(データベース50)に記憶した物理量データ列Dsetを構成する複数の物理量データD(
図5の例では、「D51~D100」)のうち、計測順が最後のインデックスIを対象特定インデックスIt1(
図5の例では、「100」)として特定する。そして、インデックス管理処理部402は、その対象特定インデックスIt1を記憶部41に登録する。
【0062】
以上のようにして、一連の処理が行われると、ステップS100に戻り、リングバッファデータ332には、「101」以降のインデックスIが割り振られた物理量データDが
新たに蓄積される。その後、収集条件が満たされたときに、物理量計測装置3Aが、「101」以降のインデックスIが割り振られた物理量データDで構成された物理量データ列
Dsetを送信することで、新に蓄積された物理量データDのみがデータ収集装置4Aにより収集される。なお、物理量計測装置3Aによる処理(データ提供方法)において、ステップS100が計測処理工程、ステップS110、S111が物理量データ列送信処理工程に相当する。また、データ収集装置4Aによる処理(データ収集方法)において、ステップS210がデータ要求送信処理工程、S211が受信処理工程、ステップS212がインデックス管理処理工程に相当する。
【0063】
本実施形態に係るデータ処理システム1によれば、物理量計測装置3A(データ処理装置31A)が、データ収集装置4Aから対象特定インデックスIt1を含むデータ要求を受け付けたとき、計測順がその対象特定インデックスIt1よりも後のインデックスIに対応付けられた物理量データD及びインデックスIで構成される物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Aに送信し、データ収集装置4Aが、物理量計測装置3Aから物理量データ列Dsetを前回受信した際の計測順が最後のインデックスを対象特定インデックスIt1として特定して管理し、所定の収集条件が満たされたとき、その対象特定インデックスIt1を含むデータ要求を物理量計測装置3Aに送信し、その応答として、物理量計測装置3Aから物理量データ列Dsetを受信する。したがって、対象特定インデックスIt1により送受信の対象となる物理量データDが管理されることで、送信済みの物理量データDを含まない差分の物理量データDだけが送受信の対象となるため、物理量計測装置3Aと、データ収集装置4Aとの間の通信量の増加を抑制しつつ、物理量データDを適切に収集することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係るデータ処理システム1では、データ収集装置4Aが、対象特定インデックスIt1を管理する装置であるのに対し、第2の実施形態に係るデータ処理システム1では、物理量計測装置3Bが、対象特定インデックスIt2を管理する装置である点で相違する。なお、基本的な構成及び動作は共通するため、第2の実施形態において、第2の実施形態と共通する各部には同一の符号を付している。以下では、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
【0065】
図8は、第2の実施形態に係る物理量計測装置3Bの一例を示すブロック図である。
図9は、第2の実施形態に係る物理量計測装置3Bの一例を示す機能説明図である。
【0066】
制御部32は、例えば、記憶部33に記憶されたデータ処理プログラム330Bを実行することにより、計測処理部320、物理量データ列送信処理部321B、及び、インデックス管理処理部322として機能する。記憶部33は、物理量計測装置3Bの動作で使用される各種のプログラム(データ処理プログラム330B等)やデータ(設定情報331、リングバッファデータ332、対象特定インデックスIt2等)を記憶する。
【0067】
物理量データ列送信処理部321Bは、データ収集装置4Bからデータ要求を受け付けたとき、記憶部33のリングバッファデータ332に記憶された複数の物理量データD及びインデックスIのうち、計測順がインデックス管理処理部322により記憶部41に記憶されて管理されている対象特定インデックスIt2よりも後のインデックスに対応付けられた物理量データD及びインデックスIで構成される物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Bに送信する。
【0068】
図9では、リングバッファデータ332に100点の物理量データD1~D100が記
憶されている状況において、インデックス管理処理部322により管理されている対象特定インデックスIt2は、「50」であるため、データ収集装置4Bに送信される物理量データ列Dsetは、インデックスIが「50」よりも後、すなわち、「51」以降の50点の物理量データD51~D100で構成される場合が例示されている。
【0069】
インデックス管理処理部322は、記憶部(リングバッファデータ332)に記憶された複数の物理量データD及びインデックスIのうち、物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Bに前回送信した際の計測順が最後のインデックスIを対象特定インデックスIt2として特定して管理する。例えば、インデックス管理処理部322は、その対象特定インデックスIt2を記憶部33に記憶することで、対象特定インデックスIt2を管理する。
【0070】
図9の例では、データ収集装置4Bからのデータ要求に対して、物理量データD51~D100で構成された物理量データ列Dsetを物理量計測装置3Bに送信した状況であるため、インデックス管理処理部322は、対象特定インデックスIt2を、物理量データD51~D100のうちの計測順が最後のインデックスIである「100」に更新している場合が例示されている。したがって、物理量データ列送信処理部321Bが次回物理量データ列Dsetを送信する場合には、更新後の対象特定インデックスIt2(=「100」)よりも後のインデックスに対応付けられた物理量データD及びインデックスIで構成される物理量データ列Dsetが送信される。
【0071】
なお、インデックス管理処理部322は、対象特定インデックスIt2をデータ収集装置4B毎に管理するようにしてもよい。その場合には、例えば、データ収集装置4Bが送信するデータ要求は、そのデータ収集装置4Bの装置IDを含むようにし、物理量計測装置3Bが送信する物理量データ列Dsetは、その装置IDにより特定されるデータ収集装置4Bに対して送信されるようにすればよい。
【0072】
また、記憶部33には、対象特定インデックスIt2と、物理量データ列Dsetを構成する複数の物理量データD及びインデックスIとが記憶されることで、物理量計測装置3Bに用いられる物理量データDのデータ構造が実現される。その場合には、対象特定インデックスIt2は、インデックス管理処理部322により行われるインデックス管理処理と、データ要求送信処理部400により行われるデータ要求送信処理とに用いられる。
【0073】
図10は、第2の実施形態に係るデータ収集装置4Bの一例を示すブロック図である。
図11は、第2の実施形態に係るデータ収集装置4Bの一例を示す機能説明図である。
【0074】
制御部40は、例えば、記憶部41に記憶されたデータ収集プログラム410Bを実行することにより、データ要求送信処理部400B、及び、受信処理部401として機能する。記憶部41は、データ収集装置4Bの動作で使用される各種のプログラム(データ収集プログラム410B等)やデータ(設定情報411等)を記憶する。
【0075】
データ要求送信処理部400Bは、所定の収集条件が満たされたとき、データ要求を物理量計測装置3Bに送信する。なお、データ要求送信処理部400Bが送信するデータ要求には、対象特定インデックスIt2が含まれない。
【0076】
受信処理部401は、データ要求送信処理部400Bにより送信されたデータ要求に対する応答として、物理量計測装置3Bから物理量データ列Dsetを受信し、その物理量データ列Dsetを記憶装置(例えば、データベース50)に記憶する。
図11の例では、物理量計測装置3Bから受信した物理量データ列Dsetは、インデックスIが「51」以降の50点の物理量データD51~D100で構成される場合が例示されている。
【0077】
(データ処理方法)
図12は、第2の実施形態に係るデータ処理システム1による動作の一例を示すフローチャートである。
図12に示す一連の処理(データ処理方法)は、物理量計測装置3Bによる処理(データ提供方法)と、データ収集装置4Bによる処理(データ収集方法)とにより実行される。
【0078】
以下では、物理量計測装置3Bが、設定情報331で定められたサンプリング条件としてのサンプリング周期に従って物理量を繰り返し計測している状況において、データ収集装置4Bが、物理量データDの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けた場合について、
図9、
図11、
図12を参照して説明する。
【0079】
まず、ステップS100にて、物理量計測装置3Bの計測処理部320は、サンプリング条件(本実施形態では、サンプリング周期)に基づくタイミング(計測時点)が到来すると、物理量センサ30により物理量を計測し、物理量データDを取得する。そして、計測処理部320は、その取得した物理量データDとともに、次回記憶インデックスInが示すインデックスIを、リングバッファデータ332における次回記憶メモリアドレスAnが示すバッファに記憶する。その際、計測処理部320は、次回記憶メモリアドレスAn及び次回記憶インデックスInを更新する。
【0080】
サンプリング条件を満たす計測時点が到来する毎に、計測処理部320は、上記のステップS100を繰り返すことで、リングバッファデータ332には、物理量データDが蓄積される。
【0081】
一方、ステップS220にて、データ収集装置4Bのデータ要求送信処理部400Bは、物理量データDの収集を指示するユーザの入力操作を受け付けると、収集条件が満たされたものとして、物理量計測装置3Bとの通信を開始し、データ要求を物理量計測装置3Bに送信する。
【0082】
そして、ステップS120にて、物理量データ列送信処理部321Bは、データ収集装置4Bからデータ要求を受信する。
【0083】
次に、ステップS121にて、物理量データ列送信処理部321Bは、記憶部33のリングバッファデータ332を参照し、計測順がインデックス管理処理部322により記憶部41に記憶されて管理されている対象特定インデックスIt2(
図9の例では、「50」)よりも後のインデックスI(
図9の例では、「51~100」)を抽出する。そして、物理量データ列送信処理部321Bは、リングバッファデータ332に記憶された複数の物理量データD及びインデックスIのうち、その抽出したインデックスIに対応付けられた物理量データD(
図9の例では、「D51~D100」)及びインデックスIで構成される物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Bに送信する。
【0084】
次に、ステップS122にて、インデックス管理処理部322は、ステップS121にてデータ収集装置4Bに送信した物理量データ列Dsetを構成する複数の物理量データD(
図9の例では、「D51~D100」)のうち、計測順が最後のインデックスIを対象特定インデックスIt2(
図9の例では、「100」)として特定する。そして、インデックス管理処理部322は、その対象特定インデックスIt2を記憶部33に登録する。
【0085】
一方、ステップS230にて、データ収集装置4Bの受信処理部401は、ステップS220にて送信したデータ要求に対する応答として、ステップS121にて送信された物
理量データ列Dsetを物理量計測装置3Bから受信する。そして、ステップS231にて、受信処理部401は、その物理量データ列Dsetをデータ管理装置5に送信することで、記憶装置としてのデータベース50に記憶する。
【0086】
以上のようにして、一連の処理が行われると、ステップS100に戻り、リングバッファデータ332には、「101」以降のインデックスIが割り振られた物理量データDが
新たに蓄積される。その後、収集条件が満たされたときに、物理量計測装置3Bが、「101」以降のインデックスIが割り振られた物理量データDで構成された物理量データ列
Dsetを送信することで、新に蓄積された物理量データDのみがデータ収集装置4Bにより収集される。なお、物理量計測装置3Bによる処理(データ提供方法)において、ステップS100が計測処理工程、ステップS120、S121が物理量データ列送信処理工程、ステップS122がインデックス管理処理工程に相当する。また、データ収集装置4Bによる処理(データ収集方法)において、ステップS230がデータ要求送信処理工程、S231が受信処理工程に相当する。
【0087】
本実施形態に係るデータ処理システム1によれば、物理量計測装置3B(データ処理装置31B)が、物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Bに前回送信した際の計測順が最後のインデックスを対象特定インデックスIt2として特定して管理し、データ収集装置4Bからデータ要求を受け付けたとき、計測順がその対象特定インデックスIt1よりも後のインデックスIに対応付けられた物理量データD及びインデックスIで構成される物理量データ列Dsetをデータ収集装置4Bに送信し、データ収集装置4Bが、所定の収集条件が満たされたとき、データ要求を物理量計測装置3Bに送信し、その応答として、物理量計測装置3Bから物理量データ列Dsetを受信する。したがって、対象特定インデックスIt2により送受信の対象となる物理量データDが管理されることで、送信済みの物理量データDを含まない差分の物理量データDだけが送受信の対象となるため、物理量計測装置3Bと、データ収集装置4Bとの間の通信量の増加を抑制しつつ、物理量データDを適切に収集することができる。
【0088】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0089】
上記実施形態では、データ処理装置31A、31Bが、ポンプ装置2とは別体の装置である物理量計測装置3A、3Bで実現される場合について説明したが、データ処理装置31A、31Bの機能の一部又は全部(特に制御部32の機能)が、ポンプ装置2のポンプ制御盤23に組み込まれることによりポンプ装置2で実現されていてもよい。その場合には、物理量センサ30と、ポンプ制御盤23とを有線又は無線により接続し、各種のデータを送受信するようにすればよい。また、ポンプ装置2が、物理量センサ30を備えるようにしてもよい。
【0090】
上記実施形態では、物理量計測装置3A、3Bにより送信された物理量データ列Dsetは、データ収集装置4A、4Bにより物理量データ列Dsetとしてデータ管理装置5に送信されて、記憶装置としてのデータベース50に格納される場合について説明したが、物理量データ列Dsetの送信先の装置や格納先の記憶装置は適宜変更されてもよい。例えば、物理量データ列Dsetは、データ管理装置5や端末装置6に送信されてもよいし、データ収集装置4A、4Bや端末装置6が備える記憶装置に格納されてもよい。
【0091】
上記実施形態では、物理量計測装置3A、3B(データ処理装置31A、31B)が、
図7又は
図12に示すフローチャートに従って動作する場合について説明したが、各ステ
ップの実行順序を適宜変更してもよいし、一部のステップを省略してもよい。
【0092】
上記実施形態では、物理量計測装置3A、3Bは、ポンプ装置2に取り付けられる場合について説明したが、例えば、冷凍機、気体機械、工作機械、プレス機器、搬送機器、診断機器等の各種の装置に取り付けられてもよい。その場合には、物理量センサ30は、各種の装置に起因する物理量を計測するようにすればよい。
【符号の説明】
【0093】
1…データ処理システム、2…ポンプ装置、3A、3B…物理量計測装置、
4A、4B…データ収集装置、5…データ管理装置、6…端末装置、7…ネットワーク、20…ポンプ部、21…モータ、22…伝達部、23…ポンプ制御盤、
30…物理量センサ、31A、31B…データ処理装置、32…制御部、33…記憶部、34…通信部、35…電源、
40…制御部、41…記憶部、42…通信部、43…入力部、44…出力部、
50…データベース、300…筐体、
320…計測処理部、321A、321B…物理量データ列送信処理部、
322…インデックス管理処理部、330A、330B…データ処理プログラム、
331…設定情報、332…リングバッファデータ、
400A、400B…データ要求送信処理部、401…受信処理部、
402…インデックス管理処理部、
410A、410B…データ収集プログラム、411…設定情報、
A…メモリアドレス、An…次回記憶メモリアドレス
D、D1~D100…物理量データ、Dset…物理量データ列
I…インデックス、In…次回記憶インデックス、
It1、It2…対象特定インデックス