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特開2024-55045ガラス製造装置、ガラス、光学系、光学装置、及びガラス製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055045
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ガラス製造装置、ガラス、光学系、光学装置、及びガラス製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 19/00 20060101AFI20240411BHJP
   C03B 8/00 20060101ALI20240411BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C03B19/00 Z
C03B8/00 Z
G02B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161638
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 幸平
(72)【発明者】
【氏名】柴田 規夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 脩平
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 辰典
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AG00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レーザ浮遊炉内においてガラス試料を浮遊ガスで安定して浮遊させることができる、光学ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】非接触支持されたガラス原料の融液を冷却させてガラスを製造するガラス製造装置であって、前記ガラス原料を加熱する加熱部と、前記ガラス原料の融液を非接触支持する支持部と、前記支持部によって非接触支持された前記ガラス原料の融液を成形する成形部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触支持されたガラス原料の融液を冷却させてガラスを製造するガラス製造装置であって、
前記ガラス原料を加熱する加熱部と、
前記ガラス原料の融液を非接触支持する支持部と、
前記支持部によって非接触支持された前記ガラス原料の融液を成形する成形部と、を有するガラス製造装置。
【請求項2】
前記成形部は、前記加熱部による前記ガラス原料の加熱後に、前記支持部の非接触支持を維持した状態で、前記ガラス原料の融液を成形する、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記成形部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記ガラスが有する所定の特性によって算出される条件に基づいて前記成形部を制御する、請求項1または2に記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記条件に基づいて前記ガラス原料の融液を成形するタイミングを算出する算出部を有し、前記算出部によって算出された前記タイミングで前記ガラス原料の融液を前記成形部によって成形する制御を行う、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ガラス原料の融液の温度を計測する計測部を有し、前記計測部の計測結果と、前記条件とに基づいて前記ガラス原料の融液を成形するタイミングを判断し、前記タイミングで前記ガラス原料の融液を前記成形部によって成形する制御を行う、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記所定の特性は、前記ガラスの屈伏点の温度である、請求項3~5のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項7】
前記条件は、前記ガラス原料の融液の温度が、前記ガラスの屈伏点以下の温度であり、
前記制御部は、前記成形部による前記ガラス原料の融液の成形が前記条件を満たすように行われるよう制御する、請求項3~6のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項8】
前記所定の特性は、前記ガラスのガラス転移点である、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項9】
前記条件は、前記ガラス原料の融液の温度が、前記ガラスの屈伏点以下の温度かつ前記ガラスのガラス転移点以上の温度であり、
前記制御部は、前記成形部による前記ガラス原料の融液の成形が前記条件を満たすように行われるよう制御する、請求項8に記載のガラス製造装置。
【請求項10】
前記成形部は、前記ガラス原料の融液の形状を成形する成形部材を有し、前記ガラス原料の融液に前記成形部材を押し当てて成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項11】
前記成形部は、前記成形部材を複数有し、複数の前記成形部材を前記ガラス原料の融液に押し当てて、前記ガラス原料の融液の形状を成形する、請求項10に記載のガラス製造装置。
【請求項12】
前記成形部は、前記成形部材を4以上有し、複数の前記成形部材を所定平面内で駆動させて、前記ガラス原料の融液の形状を成形する、請求項11に記載のガラス製造装置。
【請求項13】
前記成形部材は、円弧形状である、請求項10~12のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項14】
前記成形部は、前記ガラス原料の融液の上部から、前記ガラス原料の融液に対して前記成形部材を押し当てて、前記ガラス原料の融液を成形する、請求項10に記載のガラス製造装置。
【請求項15】
前記成形部は、前記ガラス原料の融液の上部から、前記成形部材を前記ガラス原料の融液に押し当て、前記支持部と前記成形部材とで前記ガラス原料の融液を挟んで成形する、請求項14に記載のガラス製造装置。
【請求項16】
前記成形部は、前記ガラス原料の融液を吸引する吸引部を有し、熔融した前記ガラス原料を前記吸引部によって吸引して成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項17】
前記成形部は、筒状である、請求項16に記載のガラス製造装置。
【請求項18】
前記成形部は、前記ガラス原料の融液を吸引する吸引部と、前記ガラス原料の融液を成形する成形部材とを有する、請求項16または17に記載のガラス製造装置。
【請求項19】
前記成形部は、重力方向に直交する平面に対して、前記成形部材を囲むように前記吸引部が設けられる、請求項18に記載のガラス製造装置。
【請求項20】
前記成形部は、非接触支持される前記ガラス原料の融液に対してガスを吹き付けるノズルを有し、前記ノズルから噴射された前記ガスによって前記ガラス原料の融液を成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項21】
前記支持部は、前記ガラス原料もしくは前記ガラス原料の融液を非接触支持させる支持部材と、前記支持部材を重力と直交する平面に対して分割する分割部を有し、
前記分割部は前記ガラス原料の融液を非接触支持させた支持部材を前記平面に対して分割し、
前記成形部は、前記ガラス原料の融液の形状を成形する複数の成形部材を有し、前記支持部材から落下している前記ガラス原料の融液に対して少なくとも2方向から成形部材を押し当てることによって、熔融したガラスを成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項22】
前記支持部は、前記ガラス原料もしくは前記ガラス原料の融液を非接触支持させる支持部材と、前記支持部材を重力と直交する平面に対して分割する分割部を有し、
前記分割部は前記ガラス原料の融液を非接触支持させた支持部材を前記平面に対して分割し、
前記成形部は、前記ガラス原料の融液の形状を成形する複数の成形部材を有し、前記支持部材から落下した前記ガラス原料の融液を成形部材に入れることによって、前記ガラス原料の融液を成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項23】
前記支持部は、ガスが噴出される噴出口を有し、前記ガラス原料もしくは前記ガラス原料の融液を前記噴出口から噴射された前記ガスによって非接触支持させる、請求項1~22のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項24】
前記成形部材の融点は、500度以上である、請求項10~15、18、19、21、22のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項25】
前記成形部材は、アルミ合金である、請求項10~15、18、19、21、22、24のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項26】
前記支持部は、前記ガラス原料もしくは前記ガラス原料の融液を静電気によって非接触支持させる、請求項1~25のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項27】
前記加熱部は、レーザである、請求項1~26のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載のガラス製造装置を用いて製造されたガラス。
【請求項29】
請求項28に記載のガラスを用いた光学系。
【請求項30】
請求項29に記載の光学系を用いた光学装置。
【請求項31】
非接触支持されたガラス原料の融液を冷却させてガラスを製造するガラス製造方法であって、
前記ガラス原料を加熱部によって加熱し、熔融させる熔融工程と、
前記ガラス原料もしくは前記ガラス原料の融液を非接触支持させる支持工程と、
前記加熱部による前記ガラス原料の融液への加熱を停止する停止工程と、
前記ガラス原料の融液を成形部で成形する成形工程と、を含む、
ガラス製造方法。
【請求項32】
前記成形工程では、前記成形部によって前記ガラス原料の融液を前記ガラスのガラス転移点以上屈伏点の温度で成形する、請求項31に記載のガラス製造方法。
【請求項33】
浮遊させたガラス原料を加熱し、熔融し、冷却させてガラスを得るガラス製造方法であって、
前記ガラス原料を加熱し、熔融させる熔融工程と、
前記ガラス原料若しくは熔融したガラスを浮遊させる浮遊工程と、
前記熔融したガラスへの加熱を停止する停止工程と、
前記熔融したガラスを冷却させ前記ガラスを得る冷却工程と、
前記ガラスを加熱し、成形部材を用いて前記ガラスの形状を変形させる成形工程と、を含むガラス製造方法。
【請求項34】
前記成形工程では、前記熔融した前記ガラス原料を前記ガラスのガラス転移点以上屈伏点の温度で成形する、請求項33に記載のガラス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製造装置、ガラス、光学系、光学装置、及びガラス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、レーザ浮遊炉を用いた光学ガラスの製造方法が開示されている。このようなレーザ浮遊炉においては、ガラス試料を浮遊ガスで安定して浮遊させることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-196236号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、例えば、非接触支持されたガラス原料の融液を冷却させてガラスを製造するガラス製造装置であって、前記ガラス原料を加熱する加熱部と、前記ガラス原料の融液を非接触支持する支持部と、前記支持部によって非接触支持された前記ガラス原料の融液を成形する成形部と、を有する。
【0005】
本発明の他の態様は、上述のガラス製造装置を用いて製造されたガラスである。
【0006】
本発明の他の態様は、上述のガラスを用いた光学系である。
【0007】
本発明の他の態様は、上述の光学系を用いた光学装置である。
【0008】
本発明の他の態様は、浮遊させたガラス原料を加熱し、熔融し、冷却させてガラスを得るガラス製造方法であって、前記ガラス原料を加熱し、熔融させる熔融工程と、前記ガラス原料若しくは熔融したガラスを浮遊させる浮遊工程と、前記熔融したガラスへの加熱を停止する停止工程と、前記熔融したガラスを冷却させ前記ガラスを得る冷却工程と、前記ガラスを加熱し、成形部材を用いて前記ガラスの形状を変形させる成形工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る保持部材を含む浮遊炉を備えたガラス製造装置の模式図である。
図2図2は、図1において支持部の上で浮遊した試料を加熱する状態を示す模式図(断面図)である。
図3図3は、第1の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。図3(A)は、第1の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)であり、図3(B)は、成形部材31を支持部材12側から見た図(その1)であり、図3(C)は、成形部材31を支持部材12側から見た図(その2)である。
図4図4は、第2の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。
図5図5は、第2の実施形態の変形例における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。
図6図6は、第3の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。
図7図7は、第4の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。
図8図8は、第5の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。図8(A)は、第5の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その1(断面図)であって、図8(B)は、第5の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その2(断面図)である。
図9図9は、第6の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。図9(A)は、第6の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その1(断面図)であって、図9(B)は成形部材38の変形例であり、図9(C)は第6の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その3(断面図)である。図9(D)は、成形部材383を用いた試料Uの成形方法の変形例である。
図10図10は、各実施例の結果得られた試料の計測結果を示す図である。
図11図11は、各実施形態に係る光学装置を撮像装置とした場合の一例の斜視図である。
図12図12は、各実施形態に係る光学装置を撮像装置とした場合の別の例の正面図である。
図13図13は、各実施形態に係る光学装置を撮像装置とした場合の別の例の背面図である。
図14図14は、各実施形態に係る光学装置を多光子顕微鏡とした場合の一例を示すブロック図である。
図15図15は、各実施形態に係る接合レンズの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。
【0011】
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0012】
また、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。そして、その逆も同様である。例えば、「円」という用語は、「略」を付していないが、発明の要旨に反しない限りにおいて、「略円」の意味も当然に包含する。
【0013】
また、「断面図」あるいは「断面視」の「断面」とは、後述の支持部材12の凹面Rを上にして重力方向に対して直交する水平面に静置したとき、凹面Rの中心あるいは重心を通過する断面であって、水平面に直交する断面のことを指す。
【0014】
<ガラス製造装置10の概要>
【0015】
図1は、本実施形態に係る浮遊部(支持部)21を含む浮遊炉を備えたガラス製造装置10の模式図であり、図2は、図1において浮遊部21の上で浮遊した試料Uを加熱する状態を示す模式図(断面図)である。なお、浮遊部21による試料Uを浮遊させることを、試料Uを非接触支持させることともいう。
【0016】
図1に示すように、ガラス製造装置10は、ガスジェット式の浮遊炉を備えた光学ガラスの製造装置である。ガラス製造装置10は、ガスによってガラス原料を浮遊させた状態で、前記ガラス原料を加熱熔融してガラスを製造する。ガラス製造装置10は、ガラス原料を含む試料Uにガスを吹き付けて浮遊させる支持部材12を含む浮遊炉と、浮遊した試料Uにレーザ光Lを照射するレーザ光源13と、浮遊した試料Uの温度を測定する放射温度計16と、放射温度計16の温度情報に基づきレーザ光源13の出力と支持部材12や後述する成形部30を制御する制御部22(不図示)を有するコンピュータ17と、支持部材12に供給するガスの流量を調節するガス流量調節器20と、を備える。支持部材12と、ガス流量調節器20とは、試料Uを浮遊させる浮遊部21に含まれる。
【0017】
ガラス製造装置10では、ステージ11の上に配置された支持部材12の上方で浮遊する試料Uを、レーザ光Lの照射により非接触加熱する。換言すれば、レーザ光Lを照射するレーザ光源13は、加熱部として機能する。これにより、試料Uは熔解して、自身の表面張力によって略球形状又は略楕円体形状の融液となり、その状態で浮遊する。
【0018】
試料Uの非接触加熱は、レーザ光源13から出射されたレーザ光Lが、ミラー14とミラー15を介して試料Uへ照射されることで行われる。レーザ光Lの照射により加熱される試料Uの温度は、放射温度計16でモニタされる。放射温度計16がモニタする試料Uの温度情報に基づき、レーザ光源13の出力がコンピュータ17によって制御される。また、試料Uの状態はCCDカメラ18によって撮像され、それがモニタ19へ出力される。なお、レーザ光源13としては、特に限定されず、例えば、炭酸ガスレーザ、半導体レーザ、ファイバレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。
【0019】
支持部材12に送り込まれるガスの流量は、ガス流量調節器20によって制御される。なお、ガスの種類としては、特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。その具体例としては、酸素、二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気等が挙げられる。また、支持部材12に接続されるノズル(不図示)の形状は特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。
【0020】
安定浮遊している試料Uを非接触加熱した後、レーザ光Lを遮断する。これにより融液(試料U)は冷却されて凝固し、光学ガラスが得られる。
【0021】
本実施形態では、融液の状態の試料Uに外圧を加え、所望の厚みや大きさに成形する。試料Uは、その後冷却されることで凝固する。このようにして得られた光学ガラスは、必要に応じて所望の形状に加工し、研磨等を施すことで、所望の光学素子とすることができる。
【0022】
図2に示すように、支持部材12は、試料Uに対向する、凹面Rを有する第一の面W1と、第一の面W1と反対側にあるガス導入面である第二の面W2と、を備える。第二の面W2は、ガスが導入される導入口を有し、第一の面W1の凹面Rは、ガスを噴射する噴出口を有する。導入口から導入されたガスは、噴出口から噴射され、試料Uを浮遊させる。
【0023】
なお、支持部材12は、試料Uを浮遊させる部材であればよく、形状や構造は図2に示す例に限定されない。例えば支持部材12は、多孔質部材により形成され、第二の面W2から内部に取り込まれたガスを第一の面W1から噴射することにより、試料Uを浮遊させるものであってもよい。付言すれば、支持部材12の形状は本図の例に限定されず、適宜修正してもよい。
【0024】
また例えば、支持部材12は、静電気を使用して試料Uを浮遊させてもよい。その場合、ガラス製造装置10は、ガス流量調節器20を有さず、代わりに試料Uを帯電させる図示しない静電装置を有する。支持部材12は、例えば静電装置を構成する一対から複数対の電極間に配置した試料Uを、静電気を用いて浮遊させることができる。なお、支持部材12が試料Uを浮遊させる方法は上述の例に限定されず、例えば電磁式、音波式、又は磁気式等であってもよい。
【0025】
<第1の実施形態>
図3は、第1の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。図3(A)は、第1の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)であり、図3(B)は、成形部材31を支持部材12側から見た図(その1)であり、図3(C)は、成形部材31を支持部材12側から見た図(その2)である。
【0026】
従来のガラス製造装置10では、浮遊炉を用いて光学ガラスを製造する場合、レーザ照射により試料Uを熔解させた後、冷却により凝固させて光学ガラスを得る。この際、試料Uに働く表面張力と重力の関係から、試料Uの厚さが制限されてしまう。
【0027】
本実施形態におけるガラス製造装置10は、熔解した試料Uを降温過程で成形することで、所望の厚みの光学ガラスを得ることを可能とする。
【0028】
第1の実施形態におけるガラス製造装置10は、支持部材12とガス流量調節器20とを含む浮遊部21と、ステージ11と、レーザ光源13と、ミラー14・15と、放射温度計16と、制御部22を有するコンピュータ17と、CCDカメラ18と、モニタ19とのほか、浮遊部21により浮遊し、ガラス原料の融液を成形させる成形部30を有する。
【0029】
成形部30は、成形部材31(31a・31b)を有しており、図3(A)のように熔融したガラスに成形部材31を押し当てて成形する。成形部材31は、試料Uの融液の形状を変形させる。一例として、成形部材31は、複数であって、モーターの駆動により、水平方向と平行な方向(例えば+X方向、-X方向)に駆動する複数の爪状の部材である。成形部材31の各々は、試料Uを囲うように配列しており、開閉自在に駆動することで、異なる複数の方向から試料Uを挟持する。即ち、成形部30は、複数の方向から中心方向に向かって、試料Uの融液に複数の成形部材31を押し当てて成形する。
【0030】
成形部材31の材質は特に限定されないが、成形部材31の少なくとも一部或いは全部が、ステンレス鋼(SUS)、アルミ合金、石英、又はカーボンを含むことが好ましい。これらの材質は、高温下であっても耐熱衝撃性や耐摩耗性に優れ、かつガラスとの濡れ性が適度に抑制されるため、熔融したガラス内の結晶点の生成を抑制することができる。また、ガラスの融液に接触する部分の成形部材31の材質の融点は、高温下であっても変形しないことが望まれるため、500度以上であることが好ましい。
【0031】
一例として、成形部材31は、図3(B)に示すように、各々対向する2組の爪状部材である。図3(B)は、成形部材31及び試料Uを下(支持部材12側)から見た図である。成形部材31(31c~f)は試料Uを取り囲むように配置される。本実施形態における成形部材31の試料Uと接触する面は円弧形状である。成形部材31の各組を構成する一対の爪状の成形部材(31c・31d)は各々が+X方向あるいは-X方向に移動し、他の一対の爪状の成形部材(31e・31f)は各々が+Y方向あるいは-Y方向に移動する。即ち、成形部材31は開閉により4方向(+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向)から試料Uを挟んで成形することができる。
【0032】
図3(B)で示す成形部材31により、試料Uの形状を変えつつ、試料UのZ軸方向の長さを増大させることができる。なお、成形部材31の配列や数量はこれに限定されないが、4つ以上とすることができる。その場合、成形部30は、4方向以上の方向から、成形部材31を、ガラスの融液に押し当てて成形する。なお、試料Uに接触する成形部材31の形状は、適宜設計される。
【0033】
具体的な例を次に示す。図3(C)は、成形部材31及び試料Uを下(支持部材12側)から見た図である。成形部材31の試料Uと接触する面は、平面であってもよい。図3(C)のような成形部材を使用することにより試料Uの形状を変えつつ、試料UのZ軸方向の長さを増大させることができる。これに限らず、成形部材31の枚数や、試料Uを接触する面の形状を変えることにより、用途に応じて試料Uの形状を成形することができる。成形部材31によって、ガラス化した試料Uの加工の手間を減らすことができる。また、成形部材31と試料Uの温度差による試料Uの破損を予防するため、成形前に成形部材31を予熱してもよい。
【0034】
成形部30は、レーザ光源13によるレーザ照射が停止した後、開いた状態の複数の成形部材31を降下させる。この際、成形部30は、開いた複数の成形部材31の中央近傍に試料Uが位置するようにすることが好ましい。その後、成形部30は、試料Uを挟むように、複数の成形部材31を閉じる方向(例えば+X方向、-X方向)に駆動し、成形部材31を試料Uに接触させる。成形部30は、成形部材31をさらに閉じる方向に加圧することにより、試料Uの厚さを増加させる。その後、成形部材31から試料Uを取り外すことにより、所望の厚さの光学ガラスを得ることができる。
【0035】
また、試料Uは、試料Uが変形しなくなる温度までは、成形部材31で成形される。試料Uの温度が変形しなくなる温度よりも低い温度になったときに試料Uを成形部材31から取り外し、試料Uを冷却してもよい。試料Uが変形しなくなる温度は、試料Uのガラス転移点(ガラス転移温度)以下の温度であることが好ましい。
【0036】
なお、成形部30による試料Uの成形は、試料Uの温度が屈伏点以下の温度で成形されることが好ましく、屈伏点以下かつガラス転移点以上の温度で成形されることがより好ましい。屈伏点を超える温度で成形部材31を用いた成形を行う場合、成形部材31が試料Uに接触することで、過度な濡れ性を要因とした結晶点が発生して失透する可能性が生じる。ガラス転移点以上屈伏点以下の試料Uは、加圧による成形に適した粘度があり、かつ成形部材31に対し、過度な濡れ性が抑制されているため、より効率的に所望の厚み及び大きさの光学ガラスを得ることができる。
【0037】
なお、成形部30による試料Uの成形のタイミングは、制御部22を用いることが好ましい。制御部22は、試料Uの成形前に、試料Uの所定の特性である物性値の情報を取得する。具体的には、試料Uのガラス転移点や、屈伏点である。そのため、制御部22では、上述した好ましい温度の時に試料Uを成形できるよう成形部30を制御する。なお、物性値はこれに限られず、成形部30によるガラスの融液の成形の際に必要となる物性値も含まれるものとする。
【0038】
制御部22は、放射温度計16によってレーザ照射停止後のガラスの融液の温度状況をモニタリングし、試料Uの成形のタイミングの温度がガラス転移点の温度以上屈伏点の温度以下となるように成形部30を制御して試料Uを成形する。
【0039】
さらに、制御部22は成形部30を制御するタイミングを算出する算出部23を有してもよい。算出部23では、試料Uの屈伏点やガラス転移点と試料Uの原料の重量の情報に基づいて、成形部30による試料Uの成形のタイミングを算出する。試料Uの原料の重量の情報を使用する理由は、レーザ照射停止後からの冷却速度は試料Uの重量によって変動するため、試料Uの原料の重量の情報も使用することによってより好ましいタイミングを算出することができる。算出部23では、試料Uの原料の重量だけではなく、試料Uのサイズ(体積もしくは表面積など)であってもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、試料Uの熔融から成形を連続して行ったが、一度ガラス化した試料Uを成形対象の試料としてもよい。その際には、支持部材12によって浮遊された試料Uを試料Uのガラスの液相温度以上まで加熱する。その後、再度レーザ照射を停止し、屈伏点以下ガラス転移点以上の温度で成形部30によって試料Uを成形すればよい。
【0041】
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第2の実施形態における成形部30は、成形部材31に代わり、吸引部32を備える。吸引部32は、中空の筒状部材であって、図示しない吸引装置に接続されており、内部を減圧することにより試料Uを吸引する。即ち、第2の実施形態におけるガラス製造装置10は、熔融したガラスを吸引して成形する。
【0042】
吸引部32は、先端の内側が、内部方向に進むにつれ徐々に窄まる、断面テーパ形状である。テーパ形状により、吸引されたガラスを中央に寄せ集め、厚みを増すことができる。吸引部32は、第1の実施形態における成形部材31と同様に、部材の少なくとも一部或いは全部が、ステンレス鋼(SUS)、アルミ合金、石英、又はカーボンを含むことが好ましい。
【0043】
成形部30は、レーザ光源13によるレーザ照射が停止した後、試料Uを吸引可能な位置に配置された吸引部32を用いて、試料Uの成形を行う。吸引部32は、その中心が試料Uの中心と一致する位置であって、試料Uの直上に配置されることが好ましい。成形部30は、吸引部32内部を減圧し、試料Uを吸引する。吸引の際、試料Uの外縁部が吸引部32の下端又は内壁に接触すると共に、試料Uの中心部分が上方に吸い上げられ、試料UのZ軸方向の厚さが増す。その後、試料Uを成形部30から取り外して冷却することにより、所望の厚さの光学ガラスを得ることができる。
【0044】
<第2の実施形態の変形例>
図5は、第2の実施形態の変形例における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。以下、第2の実施形態と異なる点について説明する。本変形例における成形部30は、吸引部32に加え、成形部材33を有する。成形部材33は、熔融したガラスである試料Uを成形する。
【0045】
成形部材33は、試料Uの形状を整える型として機能する。成形部材33は、吸引部32による試料Uの吸引方向に配置され、吸引部32により吸引された試料Uに接触することで、試料Uの形状を整える。一例として、成形部30において、重力方向に直交する平面に対して、成形部材33を囲むように吸引部32が設けられている。
【0046】
成形部30は、レーザ光源13によるレーザ照射が停止した後、試料Uを吸引可能な位置に配置された吸引部32を用いて、試料Uの成形を行う。吸引部32は、その中心が試料Uの中心と一致する位置であって、試料Uの直上に配置されることが好ましい。その結果、成形部材33は試料Uの直上に配置される。
【0047】
成形部30は、吸引部32内部を減圧し、試料Uを吸引する。吸引された試料Uの上部は成形部材33に接触する。その結果、試料Uが成形部材33に押し当てられ、試料Uの上部が成形部材33の形状に整えられる。なお、その際、支持部材12がガスを試料Uに供給し続ければ、試料Uは上方を成形部材33により加圧され、下方をガスによる加圧される。即ち、試料Uは支持部材12からのガスと成形部材33とに挟まれて成形される。その後、試料Uを冷却することにより、所望の厚さかつ所望の形状の光学ガラスを得ることができる。
【0048】
なお、成形部30は、吸引部32による吸引の際、成形部材33を下方に移動させることにより、試料Uを成形部材33に押し当てて形状を整えてもよい。この場合においても、支持部材12がガスを試料Uに供給し続ければ、試料Uは支持部材12からのガスと成形部材33とに挟まれて成形される。これにより、試料Uの上部を所望の形状に成形するだけでなく、試料Uの直径を増加させて所望の大きさとすることができる。
【0049】
また、成形部30は、試料Uの上部から成形部材33を試料Uに押し当て、試料Uの下方を支持部材12の凹面Rに接触させることにより、支持部材12と成形部材33とで熔融したガラスを挟んで成形してもよい。なお、吸引部32と成形部材33の試料Uと接触する面の形状は、適宜設計されうる。
【0050】
<第3の実施形態>
図6は、第3の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態における成形部30は、ガスを試料Uに吹き付けることにより試料Uを成形する。
【0051】
他の実施形態と同様に、本実施形態においても、浮遊部21に設けられている噴出口24(不図示)から、上方向にガスを試料Uに噴射することで、試料Uは浮遊状態を維持している。成形部30は、横方向(+X方向、-X方向)から試料Uにガスを吹き付ける複数のノズル34(34a・34b)を有する。複数のノズル34は、各々異なる方向から試料Uの中心に向かってガスを吹き付ける。これにより、試料Uは横方向から中央に向かって加圧され、厚さが増す。ノズル34の数は2つに限られず、4つ以上であることが好ましい。また、ノズル34は試料Uを取り囲むように配置されることが好ましく、これにより試料Uの成形を均一にすることができる。また、ノズル34の間隔は略等間隔であることが好ましい。
【0052】
図6に示す例において、成形部30は支持部材12に穿たれた複数の孔であって、各々の孔はノズル34として機能する。また、成形部30は、試料Uを浮遊させる支持部材12とは別の機構として、支持部材12の上部に設けられていても良い。レーザ光源13によるレーザ照射が停止した際、試料Uは支持部材12による上方向へのガスの噴射により浮遊状態を維持している。その後、成形部30は横方向から試料Uに向かってガスを噴射し、試料Uの周辺から中央に向かう方向に加圧する。その後、試料Uを冷却することで、所望の厚さの光学ガラスを得ることができる。
【0053】
<第4の実施形態>
図7は、第4の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態における浮遊部21は、ガラスの融液を浮遊させる支持部材と、支持部材を分割する分割部37とを有する。また、本実施形態における成形部30は、複数の成形部材36(36a・36b)を有する。
【0054】
支持部材12は、重力と直交する平面に対して複数に分割可能である。分割部37は、支持部材12を複数の部材に分割させる。例えば分割部37は、支持部材12を構成する各々の部材を外方向に牽引することにより、支持部材12を分割する。
【0055】
成形部材36(36a・36b)は、加熱された試料Uに加圧することにより成形することが可能な型であって、部材の少なくとも一部或いは全部が、ステンレス鋼(SUS)、アルミ合金、石英、又はカーボンを含むことが好ましい。成形部材36は、試料Uの周囲に配置された複数の部材であって、横方向かつ異なる方向から試料Uの中心に向かって試料Uを加圧する。
【0056】
複数の成形部材36は、支持部材12の下部に位置しており、支持部材12の分割前において、複数の成形部材36が各々離れた位置に存在する。レーザ光源13によるレーザ照射が停止した後、分割部37は、試料Uを浮遊させた支持部材12を、重力と直交する平面に対して分割する。支持部材12の分割により、支持部材12による試料Uの保持が解除され、試料Uが落下する。
【0057】
成形部材36は、各々が試料Uの中心に向かう方向に移動することにより、落下する試料Uを受け止め、試料Uを横から保持する。その後、成形部材36がさらに試料Uの中心に向かう方向に移動することにより、試料Uの厚さが増加する。換言すれば、成形部30は、落下している試料Uに対して少なくとも2方向(+X方向、-X方向)から成形部材36を押し当てることにより、試料Uを成形する。その後、成形部材36から試料Uを取り外し、試料Uを冷却することにより、所望の厚さの光学ガラスを得ることができる。
【0058】
なお、本実施形態において、成形部材36は壁面が立ち上がった容器であってもよい。その場合、成形部材36は、壁面を試料Uの中心に向かう方向に移動させることにより、試料Uの周辺から加圧し、試料Uの厚さを増加させる。換言すれば、成形部30は、保持部材の分割により落下した試料Uを成形部材36に入れることによって、試料Uを成形することができる。なお、成形部材36の試料Uと接触する面の形状は適宜設計されうる。
【0059】
<第5の実施形態>
図8は、第5の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。図8(A)は、第5の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その1(断面図)であって、図8(B)は、第5の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その2(断面図)である。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態における成形部30は、1又は複数の成形部材35(35a・35b)を有する。成形部30は、加熱後に室温まで冷却され、その後再加熱された試料Uを、成形部材35を用いて成形する。
【0060】
図8(A)に示すように、ガラス製造装置10では、支持部材12の上方で試料Uを浮遊させる。この際、試料Uに対し、図示しないレーザ光源13からレーザ光Lを出射し、試料Uが加熱される。その後、試料Uは室温まで冷却され、光学ガラスが得られる。
【0061】
次に、成形部30は、試料Uを再加熱する。再加熱は、支持部材12により試料Uを保持させてレーザ光Lを出射することにより行われてもよいし、他の加熱装置により行われてもよい。再加熱された試料Uは、成形部材35による成形が可能な位置に配置される。成形部材35に配置された試料Uは、ガラス転移点以上、屈伏点以下の温度で成形される。換言すれば、成形の際にガラス転移点以上、屈伏点以下となるよう、試料Uの再加熱が実行される。
【0062】
成形部材35は、加熱された試料Uに加圧することにより成形することが可能な型である。成形部材35は、上述の実施形態における成形部材33と同様に、部材の少なくとも一部或いは全部が、ステンレス鋼(SUS)、アルミ合金、石英、又はカーボンを含むことが好ましい。
【0063】
図8(B)に示す例において、成形部材35は、試料Uの周囲に配置された複数の部材であって、横方向かつ異なる方向から試料Uの中心に向かって試料Uを加圧する。加圧後、試料Uを再度冷却することにより、所望の厚さの光学ガラスを得ることができる。なお、成形部材の構成は本例に限定されない。例えば、第1の実施形態の成形部材31と同様に、複数の爪状の部材であってもよいし、粘性のある資料を挿入することで加熱された試料Uが変形する、壁面が立ち上がった容器であってもよい。
【0064】
本実施形態によれば、浮遊が終了した試料Uを成形できるため、効率性が向上する。また、試料Uをガラス転移点以上屈伏点以下に再加熱することで、失透を抑制しつつ、所望の厚さの光学ガラスを得ることができる。なお、成形部材35の試料Uと接触する面の形状は適宜設計されうる。
【0065】
<第6の実施形態>
上述した第1~第5実施形態では、試料Uの垂直方向(Z方向)の厚みを増加させることが目的であったが、試料Uの水平方向(X方向)の径を増加させてもよい。図9は、第6の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図(断面図)である。図9(A)は、第6の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その1(断面図)であって、図9(B)は成形部材381の変形例であり、図9(C)は、第6の実施形態における浮遊炉近傍の一例を示す模式図その2(断面図)である。図9(D)は、成形部材383を用いた試料Uの成形方法の変形例である。
【0066】
図9(A)に示す例において、成形部材381は、重力方向(-Z方向)から支持部材12によって浮遊している試料Uに対して接触させ、試料Uを支持部材12と成形部材381との間に挟み込む。言い換えると、試料Uを成形部材381によって試料Uの上部から加圧して成形する。これによって、試料Uの水平方向の径を増加させることができる。成形部材381による試料Uの成形は、試料Uの温度が屈伏点以下の温度で成形されることが好ましく、屈伏点以下かつガラス転移点以上の温度で成形されることがより好ましい。なお、成形時、支持部材12による試料Uの浮遊は停止していてもよいし、浮遊した状態でも良い。このとき、成形部材381の試料U側の先端の形状は所望の形状として良い。例えば、図9(B)の成形部材382のようなレンズ形状や非球面レンズ形状(不図示)としても良い。
【0067】
図9(C)に示す例を説明する。支持部材12は第4実施形態と同じであるため、説明を省略する。初め、試料Uは支持部材12上で浮遊している。分割部37による支持部材12の分割によって、試料Uは重力方向に落下する。落下した試料Uを成形部材383で受け止める。試料Uは成形部材383の形状に沿って成形される。言い換えると、試料Uは、試料Uの自重によって成形部材383の形状に沿うように成形されても良い。なお、図9(D)のように、試料Uの自重に加え、成形部材383上にある試料Uの上部から成形部材381を用いて加圧して成形してもよい。
【0068】
成形部材381~383による試料Uの成形は、試料Uの温度が屈伏点以下の温度で成形されることが好ましく、屈伏点以下かつガラス転移点以上の温度で成形されることがより好ましい。
【0069】
<実施例>
次に、各実施例の説明をするが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0070】
<実施例1>
まず、酸化物の原料を所定の化学組成となるよう秤量した後、アルミナ製乳鉢で混合した。この混合物を20MPaで一軸加圧し円柱形のペレットに成形した。そして、得られたペレットを電気炉で1200℃、大気中で12時間焼成し、焼結体を作製した。今回の実施例では、原料として酸化物を使用したが、酸化物に限られない。具体的には、原料は水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩を用いてもよい。
【0071】
続いて、この焼結体を粗く砕き、図1に示すガラス製造装置10の支持部材12に設置した。そして、空気を噴射しながら炭酸ガスレーザを上方から照射することで原料を熔解させた。熔解した原料は、自身の表面張力で略球形状になり、ガスの圧力で浮遊状態とした。さらに、原料が完全に熔解した時点で、レーザ出力を遮断することで冷却し、試料Uを得た。この時点での試料Uの直径φ及び厚さtを計測した。
【0072】
その後、図3に示す成形部材31を用いて、試料Uの周囲から圧力を加え、その後冷却した。冷却した後の試料Uの直径φ及び厚さtを計測した。なお、冷却した結果得られた光学ガラスに失透は見られなかった。
【0073】
<実施例2>
別途記載する原料を秤量した後、実施例1と同様に混合してペレットを得た。その後、実施例1と同様の方法で原料を熔解し、レーザ出力を遮断することで冷却した試料Uを得た後、試料Uの直径φ及び厚さtを計測した。その後、図4に示す吸引部32で試料Uを上部から吸引し、その後冷却した。冷却した後の試料Uの直径φ及び厚さtを計測した。
【0074】
表1に、各実施例における原料の組成を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
<評価>
図10は、各実施例の結果得られた試料Uの計測結果を示す図である。図9によれば、いずれの実施例においても、試料Uの厚さtが増加していたことが確認できた。なお、各実施例のガラスについては、いずれも失透が確認されなかった。成形後のガラスの好ましい厚さは7.0mm以上であり、より好ましくは7.5mm以上であり、更に好ましくは7.7mm以上である。
【0077】
以上より、各実施例のガラス製造装置10によれば、所望の直径及び厚さの光学ガラスを安定して作製できることが確認された。
【0078】
<光学素子・光学系・カメラ用交換レンズ・光学装置等>
各実施形態に係るガラス製造装置10により得られる光学ガラスは、例えば、光学機器が備える光学素子として好適に用いることができる。このような光学素子には、ミラー、レンズ、プリズム、フィルタ等が含まれ、光学系として幅広く使用可能である。本実施形態に係る光学系は、これを含むカメラ用交換レンズとして好適に用いることができる。このような光学素子、光学レンズ、カメラ用交換レンズの構成については、公知のものを採用できる。さらには、本実施形態に係る光学系は、これを含む光学装置として好適に用いることができる。かかる光学系を含む光学装置としては、特に限定されないが、例えば、レンズ交換式カメラ、レンズ非交換式カメラ等の撮像装置や光学顕微鏡等が挙げられる。以下に、これらの一例を説明する。
【0079】
(撮像装置)
図11は、各実施形態に係る光学装置を撮像装置とした場合の一例の斜視図である。
【0080】
撮像装置1はいわゆるデジタル一眼レフカメラ(レンズ交換式カメラ)であり、撮影レンズ(光学系)103は本実施形態に係る硬化物を備えたものである。カメラボディ101のレンズマウント(不図示)にレンズ鏡筒102が着脱自在に取り付けられる。そして、該レンズ鏡筒102のレンズ103を通した光がカメラボディ101の背面側に配置されたマルチチップモジュール106のセンサーチップ(固体撮像素子)104上に結像される。このセンサーチップ104は、いわゆるCMOSイメージセンサー等のベアチップであり、マルチチップモジュール106は、例えばセンサーチップ104がガラス基板105上にベアチップ実装されたCOG(Chip On Glass)タイプのモジュールである。
【0081】
図12は、各実施形態に係る光学装置を撮像装置とした場合の別の例の正面図であり、図13は、当該撮像装置の背面図である。
【0082】
撮像装置CAMはいわゆるデジタルスチルカメラ(レンズ非交換式カメラ)であり、撮影レンズ(光学系)WLは本実施形態に係る硬化物を備えたものである。撮像装置CAMは、不図示の電源ボタンを押すと、撮影レンズWLの不図示のシャッタが開放されて、撮影レンズWLで被写体(物体)からの光が集光され、像面に配置された撮像素子に結像される。撮像素子に結像された被写体像は、撮像装置CAMの背後に配置された液晶モニタMに表示される。撮影者は、液晶モニタMを見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズボタンB1を押し下げて被写体像を撮像素子で撮像し、不図示のメモリーに記録保存する。撮像装置CAMには、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部EF、撮像装置CAMの種々の条件設定等に使用するファンクションボタンB2等が配置されている。
【0083】
このようなデジタルカメラ等に用いられる光学系には、より高い解像度、軽量化、小型化が求められる。これらを実現するには光学系に高屈折率な光学ガラスを用いることが有効である。かかる観点から、各実施形態に係る光学ガラスは、かかる光学機器の部材として好適である。なお、各実施形態において適用可能な光学機器としては、上述した撮像装置に限らず、例えば、プロジェクタ等も挙げられる。光学素子についても、レンズに限らず、例えば、プリズム等も挙げられる。
【0084】
(多光子顕微鏡)
図14は、各実施形態に係る光学装置を多光子顕微鏡とした場合の一例を示すブロック図である。
【0085】
多光子顕微鏡2は、光学素子として、対物レンズ206、集光レンズ208、結像レンズ210を備える。以下、多光子顕微鏡2の光学系を中心に説明する。
【0086】
パルスレーザ装置201は、例えば、近赤外波長(約1000nm)であって、パルス幅がフェムト秒単位の(例えば、100フェムト秒の)超短パルス光を射出する。パルスレーザ装置201から射出された直後の超短パルス光は、一般に所定の方向に偏光された直線偏光となっている。
【0087】
パルス分割装置202は、超短パルス光を分割し、超短パルス光の繰り返し周波数を高くして射出する。
【0088】
ビーム調整部203は、パルス分割装置202から入射される超短パルス光のビーム径を、対物レンズ206の瞳径に合わせて調整する機能、試料Sから発せられる多光子励起光の波長と超短パルス光の波長との軸上の色収差(ピント差)を補正するために超短パルス光の集光及び発散角度を調整する機能、超短パルス光のパルス幅が光学系を通過する間に群速度分散により広がってしまうのを補正するために、逆の群速度分散を超短パルス光に与えるプリチャープ機能(群速度分散補償機能)等を有する。
【0089】
パルスレーザ装置201から射出された超短パルス光は、パルス分割装置202によりその繰り返し周波数が大きくされ、ビーム調整部203により上述した調整が行われる。そして、ビーム調整部203から射出された超短パルス光は、ダイクロイックミラー204によりダイクロイックミラー205の方向に反射され、ダイクロイックミラー205を通過し、対物レンズ206により集光されて試料Sに照射される。このとき、走査手段(不図示)を用いることにより、超短パルス光を試料Sの観察面上に走査させてもよい。
【0090】
例えば、試料Sを蛍光観察する場合には、試料Sの超短パルス光の被照射領域及びその近傍では、試料Sが染色されている蛍光色素が多光子励起され、赤外波長である超短パルス光より波長が短い蛍光(以下、「観察光」という。)が発せられる。
【0091】
試料Sから対物レンズ206の方向に発せられた観察光は、対物レンズ206によりコリメートされ、その波長に応じて、ダイクロイックミラー205により反射されたり、あるいは、ダイクロイックミラー205を透過したりする。
【0092】
ダイクロイックミラー205により反射された観察光は、蛍光検出部207に入射する。蛍光検出部207は、例えば、バリアフィルタ、PMT(photo multiplier tube:光電子増倍管)等により構成され、ダイクロイックミラー205により反射された観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部207は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
【0093】
一方、ダイクロイックミラー205を透過した観察光は、走査手段(不図示)によりデスキャンされ、ダイクロイックミラー204を透過し、集光レンズ208により集光され、対物レンズ206の焦点位置とほぼ共役な位置に設けられているピンホール209を通過し、結像レンズ210を透過して、蛍光検出部211に入射する。
【0094】
蛍光検出部211は、例えば、バリアフィルタ、PMT等により構成され、結像レンズ210により蛍光検出部211の受光面において結像した観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部211は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
【0095】
なお、ダイクロイックミラー205を光路から外すことにより、試料Sから対物レンズ206の方向に発せられた全ての観察光を蛍光検出部211で検出するようにしてもよい。
【0096】
また、試料Sから対物レンズ206と逆の方向に発せられた観察光は、ダイクロイックミラー212により反射され、蛍光検出部213に入射する。蛍光検出部213は、例えば、バリアフィルタ、PMT等により構成され、ダイクロイックミラー212により反射された観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部213は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
【0097】
蛍光検出部207、211、213からそれぞれ出力された電気信号は、例えば、コンピュータ(不図示)に入力され、そのコンピュータは、入力された電気信号に基づいて、観察画像を生成し、生成した観察画像を表示したり、観察画像のデータを記憶したりすることができる。
【0098】
<接合レンズ>
図15は、各実施形態に係る接合レンズの一例を示す概略図である。接合レンズ3は、第1のレンズ要素301と第2のレンズ要素302とを有する複合レンズである。第1のレンズ要素と第2のレンズ要素の少なくとも1つは、各実施形態に係る光学ガラスを用いる。第1のレンズ要素と第2のレンズ要素は、接合部材303を介して接合されている。接合部材303としては、公知の接着剤等を用いることができる。なお、接合レンズを構成するレンズについては、接合レンズの要素であることを明確にする観点から、上述したように「レンズ要素」と称する場合がある。
【0099】
各実施形態に係る接合レンズは、色収差補正の観点で有用であり、上述した光学素子や光学系や光学装置等に好適に使用できる。そして、接合レンズを含む光学系は、カメラ用交換レンズや光学装置等にとりわけ好適に使用できる。なお、上述の態様では2つのレンズ要素を用いた接合レンズについて説明したが、これに限られず、3つ以上のレンズ要素を用いた接合レンズとしてもよい。3つ以上のレンズ要素を用いた接合レンズとする場合、3つ以上のレンズ要素のうち少なくとも1つが本実施形態に係る光学ガラスを用いて形成されていればよい。
【符号の説明】
【0100】
1…撮像装置(レンズ交換式カメラ)、10…ガラス製造装置、11…ステージ、12…支持部材、13…レーザ光源、14・15…ミラー、16…放射温度計、17…コンピュータ、18…CCDカメラ、19…モニタ、20…ガス流量調節器、21…浮遊部、L:レーザ光、22…制御部、23…算出部、24…噴出口、R:凹面、U:試料、W1…第一の面、W2…第二の面、30…成形部、31a・31b・31c・31d・31e・31f・31g・31h・33・35・35a・35b・36a・36b・381・382・383…成形部材、32…吸引部、34…ノズル、37…分割部、101…カメラボディ、102…レンズ鏡筒、103…レンズ、104…センサーチップ、105…ガラス基板、106…マルチチップモジュール、CAM…撮像装置(レンズ非交換式カメラ)、WL…撮影レンズ、M…液晶モニタ、EF…補助光発光部、B1…レリーズボタン、B2…ファンクションボタン、2…多光子顕微鏡、201…パルスレーザ装置、202…パルス分割装置、203…ビーム調整部、204、205、212…ダイクロイックミラー、206…対物レンズ、207,211,213…蛍光検出部、208…集光レンズ、209…ピンホール、210…結像レンズ、S…試料、3…接合レンズ、301…第1のレンズ要素、302…第2のレンズ要素、303…接合部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触支持されたガラス原料の温度を低下させる工程を介してガラスを製造するガラス製造装置であって、
前記ガラス原料を加熱する加熱部と
融液状態の前記ガラス原料の温度が低下する間に前記融液状態のガラス原料を成形する成形部と、を有するガラス製造装置。
【請求項2】
前記成形部は、前記加熱部による前記ガラス原料の加熱停止後に、前融液状態のガラス原料を成形する、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記成形部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記ガラスが有する所定の特性を用いた条件に基づいて前記成形部を制御する、請求項1または2に記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記条件に基づいて前記融液状態のガラス原料を成形するタイミングを算出する算出部を有し、前記算出部によって算出された前記タイミングで前記融液状態のガラス原料を成形するように前記成形部制御する、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記融液状態のガラス原料の温度を計測する計測部を有し、前記計測部の計測結果と、前記条件とに基づいて前記融液状態のガラス原料を成形するタイミングを判断し、前記タイミングで前記融液状態のガラス原料を成形するように前記成形部制御する、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記所定の特性は、前記ガラスの屈伏点の温度である、請求項3~5のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項7】
前記条件は、前記融液状態のガラス原料の温度が、前記ガラスの屈伏点以下の温度であることであり、
前記制御部は、前記成形部による前記融液状態のガラス原料の成形が前記条件を満たした状態で行われるように前記成形部を制御する、請求項3~6のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項8】
前記所定の特性は、前記ガラスのガラス転移点である、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項9】
前記条件は、前記融液状態のガラス原料の温度が、前記ガラスの屈伏点以下の温度かつ前記ガラスのガラス転移点以上の温度であることであり、
前記制御部は、前記成形部による前記融液状態のガラス原料の成形が前記条件を満たした状態で行われるように前記成形部を制御する、請求項8に記載のガラス製造装置。
【請求項10】
前記成形部は、前記融液状態のガラス原料の形状を成形する成形部材を有し、前記融液状態のガラス原料に前記成形部材を押し当てて成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項11】
前記成形部は、前記成形部材を複数有し、複数の前記成形部材を前記融液状態のガラス原料に押し当てて、前記融液状態のガラス原料の形状を成形する、請求項10に記載のガラス製造装置。
【請求項12】
前記成形部は、前記成形部材を4以上有し、複数の前記成形部材を所定平面内で駆動させて、前記融液状態のガラス原料の形状を成形する、請求項11に記載のガラス製造装置。
【請求項13】
前記成形部材は、円弧形状である、請求項10~12のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項14】
前記成形部は、前記融液状態のガラス原料の上部から、前記融液状態のガラス原料に対して前記成形部材を押し当てて、前記融液状態のガラス原料を成形する、請求項10に記載のガラス製造装置。
【請求項15】
前記ガラス原料を接触及び非接触に支持可能な支持部を有し、
前記成形部は、前記融液状態のガラス原料の上部から、前記成形部材を押し当て、前記支持部と前記成形部材とで前記融液状態のガラス原料を挟んで成形する、請求項14に記載のガラス製造装置。
【請求項16】
前記成形部は、前記融液状態のガラス原料を吸引する吸引部を有し、熔融した前記ガラス原料を前記吸引部によって吸引して成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項17】
前記成形部は、筒状である、請求項16に記載のガラス製造装置。
【請求項18】
前記成形部は、前記融液状態のガラス原料を吸引する吸引部と、前記融液状態のガラス原料を成形する成形部材とを有する、請求項16または17に記載のガラス製造装置。
【請求項19】
前記成形部は、重力方向に直交する平面に対して、前記成形部材を囲むように前記吸引部が設けられる、請求項18に記載のガラス製造装置。
【請求項20】
前記成形部は、非接触支持される前記融液状態のガラス原料に対してガスを吹き付けるノズルを有し、前記ノズルから噴射された前記ガスによって前記融液状態のガラス原料を成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項21】
前記ガラス原料を接触及び非接触に支持可能な支持部を有し、
前記支持部は、前記融液状態のガラス原料を非接触支持る支持部材と、前記支持部材を重力と直交する平面に対して分割する分割部を有し、
前記分割部は前記融液状態のガラス原料を非接触支持た支持部材を前記平面に対して分割し、
前記成形部は、前記融液状態のガラス原料の形状を成形する複数の成形部材を有し、前記支持部材から落下している前記融液状態のガラス原料に対して少なくとも2方向から成形部材を押し当てることによって、前記融液状態のガラス原料を成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項22】
前記ガラス原料を接触及び非接触に支持可能な支持部を有し、
前記支持部は、前記融液状態のガラス原料を非接触支持る支持部材と、前記支持部材を重力と直交する平面に対して分割する分割部を有し、
前記分割部は前記融液状態のガラス原料を非接触支持た支持部材を前記平面に対して分割し、
前記成形部は、前記融液状態のガラス原料の形状を成形する複数の成形部材を有し、前記支持部材から落下した前記融液状態のガラス原料を前記成形部材に入れることによって、前記融液状態のガラス原料を成形する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項23】
前記ガラス原料を接触及び非接触に支持可能な支持部を有し、
前記支持部は、ガスが噴出される噴出口を有し、前記ガラス原料を前記噴出口から噴射された前記ガスによって非接触支持る、請求項1~22のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項24】
前記加熱部は、非接触支持された前記ガラス原料を加熱する、請求項1~23のいずれか一項に記載のガラスの製造装置。
【請求項25】
前記成形部材の融点は、500度以上である、請求項11~15、22のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項26】
前記成形部材は、アルミ合金である、請求項11~15、22、25のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項27】
前記ガラス原料を接触及び非接触に支持可能な支持部を有し、
前記支持部は、前記ガラス原料を静電気によって非接触支持る、請求項1~2のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項28】
前記加熱部は、レーザである、請求項1~2のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項29】
請求項1~2のいずれか一項に記載のガラス製造装置を用いて製造されたガラス。
【請求項30】
請求項2に記載のガラスを用いた光学系。
【請求項31】
請求項30に記載の光学系を用いた光学装置。
【請求項32】
請求項1~28のいずれか一項に記載のガラスの製造装置を用いてガラスを製造するガラスの製造方法。
【請求項33】
非接触支持されたガラス原料の温度を低下させる工程を介してガラスを製造するガラス製造方法であって、
前記ガラス原料を加熱部によって加熱し、熔融させる熔融工程と
融液状態の前記ガラス原料の温度が低下する間に前記融液状態のガラス原料を成形する成形工程と、を含む、
ガラス製造方法。
【請求項34】
前記加熱部による前記ガラス原料の加熱を停止する停止工程を含み、
前記成形工程は前記停止工程の後に行われる、請求項33に記載のガラスの製造方法。
【請求項35】
前記成形工程では、前融液状態のガラス原料を前記ガラスのガラス転移点以上屈伏点の温度で成形する、請求項33または34に記載のガラス製造方法。
【請求項36】
非接触支持されたガラス原料の温度を低下させる工程を介してガラスを製造するガラス製造方法であって、
前記ガラス原料を加熱し、熔融させる熔融工程と
融液状態の記ガラス原料の温度を低下させ前記ガラスを得る冷却工程と、
前記ガラスを加熱し、熔融させる再加熱工程と、
熔融した前記ガラスの前記温度が低下する間に前記ガラスの融液を成形する成形工程と、を含むガラス製造方法。
【請求項37】
前記成形工程では、前記ガラスの融液を前記ガラスのガラス転移点以上屈伏点の温度で成形する、請求項3に記載のガラス製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
本発明の態様は、例えば、非接触支持されたガラス原料の温度を低下させる工程を介してガラスを製造するガラス製造装置であって、前記ガラス原料を加熱する加熱部と、融液状態の前記ガラス原料の温度が低下する間に前記融液状態のガラス原料を成形する成形部と、を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の他の態様は、上述のガラス製造装置を用いて製造されたガラスである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の他の態様は、上述のガラスの製造装置を用いてガラスを製造するガラスの製造方法である。また、非接触支持されたガラス原料の温度を低下させる工程を介してガラスを製造するガラス製造方法であって、前記ガラス原料を加熱部によって加熱し、熔融させる熔融工程と、融液状態の前ガラス原料の温度が低下する間に前記融液状態のガラス原料を成形する成形工程と、を含む。