IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェーの特許一覧

特開2024-55821液体原料前駆体送達システム装置およびその使用方法
<>
  • 特開-液体原料前駆体送達システム装置およびその使用方法 図1
  • 特開-液体原料前駆体送達システム装置およびその使用方法 図2
  • 特開-液体原料前駆体送達システム装置およびその使用方法 図3
  • 特開-液体原料前駆体送達システム装置およびその使用方法 図4
  • 特開-液体原料前駆体送達システム装置およびその使用方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055821
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】液体原料前駆体送達システム装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/448 20060101AFI20240411BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172841
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】63/414,365
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】相田 弘栄
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA16
4K030AA18
4K030EA01
4K030EA04
4K030FA01
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030KA11
4K030KA17
4K030KA39
4K030KA41
5F045AA08
5F045AC07
5F045AC08
5F045AC09
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045EC02
5F045EC07
5F045EE02
5F045EE04
5F045EE19
5F045EF05
5F045EF13
5F045EG01
5F045EH14
(57)【要約】
【課題】液体原料前駆体をプロセスモジュールシステムに提供するための、改善された反応器システムおよび液体送達システム装置を提供する。
【解決手段】液体送達システム装置と、こうした装置を含む反応器システムとが開示されている。例示的な液体送達システム装置を使用して、液体原料前駆体の流量の所望の制御を提供することができると同時に、発生するおそれのある流量の揺らぎを軽減し、流体ラインの数を比較的少なくすることが可能になる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器に液体原料前駆体を提供するための液体送達システム装置であって、前記液体送達システム装置が、
容器およびその中の前記液体原料前駆体を備える前駆体供給源と、
第一の流体ライン端部および第二の流体ライン端部を備える流体ラインであって、前記第一の流体ライン端部が前記容器に連結されている、流体ラインと、
前記第二の流体ライン端部に連結された気化器と、
前記第一の流体ライン端部と前記第二の流体ライン端部との間の前記流体ライン内に流体接続された圧力調節器であって、前記圧力調節器の下流の前記流体ライン内の圧力を制御するように構成される、圧力調節器と、を備える液体送達システム装置。
【請求項2】
前記気化器が、気化した前駆体の下流流量を制御するための制御バルブを備える、請求項1に記載の液体送達システム装置。
【請求項3】
前記流量が20000sccm未満である、請求項2に記載の液体送達システム装置。
【請求項4】
前記容器に連結されたガス源をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体送達システム装置。
【請求項5】
前記ガス源が、窒素(N)、アルゴン(Ar)、およびヘリウム(He)のうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の液体送達システム装置。
【請求項6】
前記流体ラインが複数の下流セグメントを備え、
前記液体送達システム装置が、前記圧力調節器を含む複数の圧力調節器を備え、
前記複数の圧力調節器の各圧力調節器が、それぞれの下流セグメントに連結される、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体送達システム装置。
【請求項7】
前記流体ライン内にあり、かつ前記第一の流体ライン端部と前記圧力調節器との間に介在する第一のマニホールドをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体送達システム装置。
【請求項8】
前記流体ライン内にあり、かつ前記圧力調節器と前記第二の流体ライン端部との間に介在する第二のマニホールドをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体送達システム装置。
【請求項9】
反応器システムであって、
1つ以上の反応チャンバおよび1つ以上の気化器を備えるプロセスモジュールと、
液体送達システム装置であって、前記液体送達システム装置が、
容器およびその中の液体原料前駆体を備える前駆体供給源と、
第一の流体ライン端部および第二の流体ライン端部を備える流体ラインであって、前記第一の流体ライン端部が前記容器に連結され、前記第二の流体ライン端部が前記1つ以上の気化器のうちの1つの気化器に連結される、流体ラインと、
前記第一の流体ライン端部と前記第二の流体ライン端部との間の前記流体ライン内に接続された圧力調節器であって、前記圧力調節器の下流の前記流体ライン内の圧力を制御するように構成される、圧力調節器と、を備える液体送達システム装置と、を備える反応器システム。
【請求項10】
前記反応器システムが、2つ以上の反応チャンバを備える、請求項9に記載の反応器システム。
【請求項11】
2つ以上のプロセスモジュールを備える、請求項9または請求項10に記載の反応器システム。
【請求項12】
複数の圧力調節器を備え、前記複数の圧力調節器のうちの各圧力調節器が、前記容器と前記2つ以上のプロセスモジュールのうちの前記それぞれのプロセスモジュールとの間の前記流体ライン内に接続される、請求項11に記載の反応器システム。
【請求項13】
前記流体ライン内にあり、かつ前記第一の流体ライン端部と前記圧力調節器との間にある、第一のマニホールドをさらに備える、請求項9または請求項10に記載の反応器システム。
【請求項14】
前記流体ライン内にあり、かつ前記圧力調節器と前記第二の流体ライン端部との間にある、第二のマニホールドをさらに備える、請求項9または請求項10に記載の反応器システム。
【請求項15】
前記気化器が制御バルブを備える、請求項9または請求項10に記載の反応器システム。
【請求項16】
反応チャンバに前駆体を提供する方法であって、
容器およびその中の前記前駆体を備える前駆体供給源を提供する工程と、
キャリアガスを使用して、前記前駆体を第一の圧力調節器に流す工程と、
前記第一の圧力調節器を使用して、流体ライン内の前記前駆体の下流圧力を制御する工程と、
第一の気化器を使用して、前記前駆体を気化する工程と、を含む、方法。
【請求項17】
第二の気化器を使用して、第二の反応チャンバへの蒸気形態の前記前駆体の流量を制御する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の気化器および前記第二の気化器が、前記流体ライン内のマニホールドに連結される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記容器内の前記前駆体を加圧する工程をさらに含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第一の気化器から前記第一の反応チャンバへの気化した前駆体の流量を制御する工程をさらに含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、前駆体送達システムおよび装置に関する。より具体的には、本開示は、液体原料前駆体をプロセスモジュールに送達するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造中、薄膜または層は、多くの場合、1つ以上の前駆体を使用して基材の表面上に堆積される。一部の事例では、前駆体は、常温および常圧(NTP)で液体であってもよく、気相反応で使用するために気化させてもよい。前駆体は、液体送達システムを使用して反応チャンバに送達することができる。
【0003】
一部の事例では、複数の反応チャンバが、液体送達システムから前駆体を受け取ることができる。このような場合、液体送達システムに連結された1つの反応チャンバの動作によって、液体送達システムに連結された別の反応チャンバに供給される前駆体の量が変動するおそれがある。例えば、反応チャンバに関連付けられた気化器のバルブの動きから生じる振動は、こうした振動および別の反応チャンバへの前駆体の流れの変動を引き起こすおそれがある。
【0004】
反応チャンバに供給される前駆体の量の変動を軽減するために、図1に示す反応器システム100のような反応器システムは、液体送達システム102と、プロセスモジュールシステム104と、複数のライン106~112と、を含むことができ、各ラインは、それぞれのプロセスモジュールM1~M4専用であり、液体送達システム102に独立して連結される。図示の例では、モジュールM1およびM2は、2つの気化器(V)および2つの反応チャンバ(RC)を含む。モジュールM3およびM4は、同様に構成することができる。
【0005】
反応器システム100のような反応器システムは、様々な用途に利用できるが、各プロセスモジュールに専用ラインを使用することは、比較的高価である場合がある。さらに、液体送達システム102は、限られた数の出口ポートを有する場合があり、液体送達システム102に連結できるプロセスモジュールまたは反応チャンバの数が制限されるため、こうしたシステムを実装することが困難な場合がある。
【0006】
したがって、液体原料前駆体をプロセスモジュールシステムに提供するための、改善された反応器システムおよび液体送達システム装置が望まれる。
【0007】
このセクションに記載される問題および解決策の任意の考察は、本開示に対する状況を提供する目的でのみこの開示に含まれており、本発明がなされた時点で、考察のいずれかまたはすべてが既知であったことを認めたものと取られるべきではない。
【発明の概要】
【0008】
本開示の様々な実施形態は、液体送達システム装置、液体送達システム装置を含む反応器システム、およびそれらを使用する方法に関する。本開示の様々な実施形態が従来のシステムおよび方法の欠点に対処する方法を以下でより詳細に論じるが、一般に、本開示の様々な実施形態は、気化器の動作から生じるおそれのある振動の影響を軽減する、かつ/または液体送達システムからプロセスモジュールシステムのプロセスモジュールへ送達される前駆体の量の変動を軽減する液体送達システム装置、およびこうした装置を使用する方法を提供する。
【0009】
本開示の実施例によると、反応器に液体原料前駆体を提供するための液体送達システム装置は、前駆体供給源、流体ライン、気化器、および前駆体供給源とそれぞれの気化器との間の流体ライン内に流体接続された圧力調節器を含む。本開示の実施例によると、前駆体供給源は容器およびその中の液体原料前駆体を含む。流体ラインは、第一の流体ライン端部および第二の流体ライン端部を含む。第一の流体ライン端部は、容器に連結することができ、第二の流体ライン端部は、それぞれの気化器に連結することができる。流体ラインは、1つ、2つ、またはそれ以上のマニホールドを含んでもよい。さらに、流体ラインは、複数の下流セグメントおよび複数の圧力調節器を含んでもよく、複数の圧力調節器のうちの各圧力調節器は、それぞれの下流セグメントに連結されてもよい。各下流セグメントは、それぞれのプロセスモジュールおよび/またはマニホールドに連結されてもよい。液体送達システム装置は、本明細書に記載の圧力調節器、バルブ、および/または液体送達システムのうちの1つ以上の動作を制御するための、コントローラを含むか、またはコントローラに連結されてもよい。
【0010】
本開示の例示的な実施形態によると、反応器システムが提供される。反応器システムは、本明細書に記載の液体送達システム装置のような液体送達システム装置と、1つ以上のプロセスモジュールとを含むことができる。一部の事例では、反応器システムは、2つ、3つ、または4つ以上のプロセスモジュールを含む。各プロセスモジュールは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の反応チャンバを含んでもよい。例示的なシステムはまた、反応器システムの1つ以上の構成要素を制御するためのコントローラを含んでもよい。
【0011】
本開示のなおさらなる実施例によると、反応チャンバに前駆体を供給する方法が提供される。方法は、容器およびその中の前駆体を備える前駆体供給源を提供する工程と、前駆体を第一の圧力調節器に流す工程と、第一の圧力調節器を使用して、流体ライン内の前駆体の下流圧力を制御する工程と、第一の気化器を使用して、前駆体を気化する工程と、を含むことができる。前駆体を第一の圧力調節器に流す工程は、キャリアガスを使用する工程を含むことができる。本明細書に記載の方法は、複数の圧力調節器、複数の気化器などを使用する工程を含んでもよい。
【0012】
これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照する以下のある特定の実施形態の発明を実施するための形態から、当業者には容易に明らかとなることになり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の例示的な実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図に関連して考慮される場合、「発明を実施するための形態」および「特許請求の範囲」を参照することによって得ることができる。
【0014】
図1図1は、複数の流体ラインを含む反応器システムを示す図である。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態による反応器システムを示す図である。
図3図3は、本開示の実施例による気化器としての使用に適した混合気化器を示す図である。
図4図4は、本開示の追加の実施例による気化器として使用するのに適した蒸気コントローラを示す図である。
図5図5は、本開示の実施例による反応チャンバの概略図である。
【0015】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明は、具体的に開示する実施形態および/またはその使用、ならびにその明白な修正および均等なものを超えて拡大することが理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示される実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0017】
本開示は、概して、液体送達システム装置、液体送達システム装置を含む反応器システム、およびそれらを使用する方法に関する。本明細書に記載の液体送達システム装置は、反応システムの動作中に発生するおそれのある、反応チャンバへの前駆体流量の変動または揺らぎなどの効果を軽減することができると同時に、液体送達システムに連結されたラインの数を比較的少なく(例えば、1つまたは、液体送達システムに連結されたプロセスモジュールもしくは反応チャンバの数より少なく)することを可能にする。例えば、例示的な液体送達システム装置は、液体送達システムに連結された1つのラインまたはプロセスモジュールおよび/もしくは反応チャンバの数よりも少ない数のラインのみを用いて、プロセスモジュールに関連付けられた気化器の動作中に発生するおそれのある振動の悪影響を軽減することができる。
【0018】
この開示では、「ガス」は、常温および常圧において気体、気化した固体、および/または気化した液体である材料を含んでもよく、また状況に応じて単一の気体または気体の混合物で構成されてもよい。プロセスガス以外のガス、すなわちガス分配アセンブリ(シャワーヘッド、他のガス分配デバイス、またはこれに類するものなど)を通過することなく導入されるガスが、例えば反応空間を密封するために使用されてもよく、また不活性ガスなどのシールガスを含んでもよい。
【0019】
一部の事例、例えば材料の堆積の文脈では、「前駆体」という用語は、別の化合物を生成する化学反応に関与する化合物、特に膜マトリクスまたは膜の主骨格を構成する化合物を指すことができ、一方で「反応物質」という用語は、一部の事例では前駆体以外の、前駆体を活性化する、前駆体を修飾する、または前駆体の反応を触媒する化合物を指すことができる。一部の場合において、前駆体という用語と反応物質という用語は、交換可能に使用することができる。「不活性ガス」という用語は、相当な程度まで化学反応に関与しないガスを指す。キャリアガスは、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、または窒素(N)などの不活性ガスとすることができる。
【0020】
本開示では、変数のうちの任意の2つの数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、また示された任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。加えて、一部の実施形態において、示された変数の任意の値は(それらが「約」とともに示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指してもよく、また均等物を含んでもよく、また平均値、中央値、代表値、または主要値等を指してもよい。さらに、本開示において、「含む」、「によって構成される」、および「有する」という用語は一部の実施形態において、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的に成る」、または「から成る」を独立的に指すことができる。本開示の態様によれば、用語のいかなる定義された意味も、その用語の通常の意味および慣習上の意味を必ずしも除外するものではない。
【0021】
再び図面に目を移すと、図2は本開示の実施例による反応器システム200を図示する。反応器システム200は、液体送達システム装置201とプロセスモジュールシステム204とを含む。
【0022】
液体送達システム装置201は、液体原料前駆体をプロセスモジュールシステム204に提供するように構成される。図示の例では、液体送達システム装置201は、液体送達システム(LDS)202と、流体ライン206と、1つ以上の気化器226、228、238、240と、流体ライン206内の1つ以上の圧力調節器216、218、220、222とを含む。
【0023】
液体送達システム202は、常温および常圧(NTP)で液体である前駆体を気化器226、228、238、240に供給するように構成される。図示の例では、液体送達システム202は、容器203およびその中の液体原料前駆体205を含む前駆体供給源209を含む。容器203は、ステンレス鋼、ニッケル合金、またはこれに類するものなどの任意の好適な材料で形成することができる。前駆体は、例えば、ケイ素および/または炭素含有前駆体であってもよく、またはこれを含んでもよい。例示的な前駆体は、式:Siで表すことができ、式中、aは5以下の自然数であり、bは1以上20以下の自然数であり、cは1以上40以下の自然数であり、dは0または10以下の自然数であり、eは0または5以下の自然数である。前駆体は、1つ以上の炭素原子、1つ以上のケイ素原子、および1つ以上の水素原子を有する鎖状分子または環状分子、例えば上記の式より表される分子を含んでもよい。特定の例として前駆体は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)、ジメトキシメチルシラン(DMOMS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメトキシドデカシロキサン(OMODDS)、ジエトキシメチルシラン(DEMS)、ビニルトリメチルシラン(VTMS)、フェノキシジメチルシラン(PODMS)、ジメチルジオキソシリルシクロヘキサン(DMDOSH)、1、3-ジメトキシテトラメチルジシロキサン(DMOTMDS)、ジメトキシジフェニルシラン(DMDPS)、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DcPDMS)、ビニルメチルジメトキシシラン(VMDMOS)などであってもよく、または含んでもよい。
【0024】
本開示の実施例によると、液体送達システム202はまた、容器203に連結されたガス源207を含む。ガス源207は、例えば、窒素(N)、アルゴン(Ar)、およびヘリウム(He)のうちの1つ以上、すなわち、1つ以上のキャリアガスの加圧源を含むことができる。ガス源207は、ライン211を介して容器203に連結することができる。ガス源207を使用して、液体原料前駆体205の下流反応器システム200の構成要素への、例えば、気化器226、228、238、240への加圧移送を提供することができる。
【0025】
流体ライン206は、第一の流体ライン端部213および第二の流体ライン端部215を含む。第一の流体ライン端部213は、容器203に連結される。第二の流体ライン端部215は、気化器226に連結される。図示するように、流体ライン206は、単一の第一の流体ライン端部213および複数の第二の流体ライン端部215、217、219、221を含むことができ、各第二の流体ライン端部215、217、219、221は、それぞれの気化器226、228、238、240に連結される。
【0026】
流体ライン206は、1つ以上の(例えば、複数の)圧力調節器216、218、220、222を含み、複数の圧力調節器の各圧力調節器は、第一の流体ライン端部213と第二の流体ライン端部215、217、219、221との間の、または容器203とそれぞれのプロセスモジュール208、210、212、214との間の流体ライン206内に接続されている。追加的にまたは代替的に、各圧力調節器は、第二の流体ラインに配置されてもよい。
【0027】
各圧力調節器216、218、220、222は、それぞれの圧力調節器216、218、220、222の下流の流体ライン206内の圧力を制御するように構成されることができる。例えば、各圧力調節器216、218、220、222は、それぞれの圧力調節器とそれぞれの第二の端部215、217、219、221またはそれぞれの気化器226、228、238、240との間の流体ライン206内の圧力を制御するように構成されることができる。例として、流体ライン206の上流圧力は0.2~1MPaとすることができ、下流の制御された圧力は0.1~0.5MPaとすることができる。
【0028】
図示の例では、流体ライン206は、複数の下流セグメント256、258、260、262を含み、これらは、それぞれの圧力調節器216、218、220、222の下流、かつそれぞれの気化器226、228、238、240の上流にある。図示の例では、複数の圧力調節器の各圧力調節器216、218、220、222は、それぞれの下流セグメント256、258、260、262に連結され、これは次に、それぞれの気化器226、228、238、240に連結される。
【0029】
図示の例によると、流体ライン206は、第一のマニホールド250および/または1つ以上の第二のマニホールド252、254を含んでもよい。第一のマニホールド250は、流体ライン206内にあり、第一の流体ライン端部213と圧力調節器216、218、220、222との間に介在する。第二のマニホールド252、254は、流体ライン206内にあり、それぞれの圧力調節器216、218、220、222とそれぞれの第二の流体ライン端部215、217、219、221との間に介在する。
【0030】
プロセスモジュールシステム204は、1つ以上のプロセスモジュールM1~M4、208~214を含んでもよい。例えば、プロセスモジュールシステム204は、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のプロセスモジュール208~214を含むことができる。図示の例では、プロセスモジュールシステム204は、4つのプロセスモジュール208~214を含む。
【0031】
各プロセスモジュール208~214は、1つ、2つ、またはそれ以上の反応チャンバ(RC)236、238、246、248と、1つ以上の気化器226、228、238、240とを含むことができる。プロセスモジュール208~214は、気相プロセスモジュールに一般に含まれる他の構成要素を好適に含むことができる。
【0032】
反応チャンバ236、238、246、248は、任意の好適な反応チャンバとすることができるか、またはそれを含むことができる。一例として、図5は、例示的な反応チャンバ500(例えば、反応チャンバ236、238、246および/または248として使用するのに好適)をより詳細に示す。反応チャンバ500を使用して、例えば、プラズマ強化化学蒸着、プラズマ強化原子層堆積、またはそれらのハイブリッドなどのプラズマ強化プロセスを実施することができ、反応物質、前駆体、およびプラズマ出力のうちの1つ以上が、堆積サイクル中にパルス化される。
【0033】
図示の例では、反応チャンバ500は、チャンバ3の内部11(反応区域)に、平行にかつ互いに面する一対の導電性平板電極4、2を含む。プラズマは、例えば、電源25から1つの電極(例えば、電極4)にHRF電力(例えば、13.56MHzまたは27MHz)を印加し、他の電極(例えば、電極2)を電気的に接地することによって、チャンバ3内で励起することができる。下部ステージ2(下部電極)には温度コントローラを設けることができ、その上に配置された基材1の温度は所望の温度で一定に保持することができる。電極4は、シャワープレートなどのガス分配デバイスとして機能することができる。反応物質ガス、希釈ガス(存在する場合)、前駆体ガス、および/またはそれに類するものは、ガスライン20、ガスライン21、およびガスライン22のうちの1つ以上をそれぞれ使用して、シャワープレート4を通して、チャンバ3に導入することができる。3つのガスラインで図示されているが、反応チャンバは任意の好適な数のガスラインを含むことができる。ガスライン20は、本明細書に記載の気化器などの気化器に連結されてもよく、ガスライン22は、別の(例えば、反応物質)ガス源28に連結されてもよい。
【0034】
チャンバ3には、排気ライン7を有する円形ダクト13が設けられており、これを通ってチャンバ3の内部11内のガスを排気することができる。さらに、チャンバ3の下方に配置された移送領域5には、移送領域5の内部16(移送区域)を介してチャンバ3の内部11内にシールガスを導入するためのシールガスライン24が設けられ、反応区域と移送区域とを分離するための分離プレート14が設けられている(ウエハを移送領域5内に移送または移送領域5から移送する際に通過するゲートバルブは、この図から省略されている)。移送領域には排気ライン6も設けられている。
【0035】
反応チャンバ500はまた、1つ以上の方法(例えば、堆積)工程を実施させるようにプログラムされた、またはその他の方法で構成された1つ以上のコントローラ26を含む。当業者には理解されるように、コントローラ26は、様々な電源、加熱システム、ポンプ、ロボット、およびガス流量コントローラまたは反応器のバルブと連通している。例として、コントローラ26は、前駆体および不活性ガスのガス流を制御するように構成することができる。コントローラ26は、スタンドアロンコントローラであってもよく、または図2に図示し、以下に説明するコントローラ224の一部を形成してもよい。
【0036】
図2および図5を参照すると、一部の実施形態では、デュアルチャンバ反応器(互いに近接して配置されたウエハを処理するための2つの区域または区画)を使用することができ、反応物質ガスおよび希ガスを共有ライン(例えば、図2に示すライン280、282)を介して供給することができるのに対して、前駆体ガスは非共有ライン(例えば、ライン223、225、227、229)を介して供給される。
【0037】
図2、3、および4を参照すると、例示的な気化器226、228、238、および240が示されている。気化器226、228、238、および240は概して、液体原料前駆体を加熱して、気化した前駆体を形成するように構成される。図2に示すように、1つ以上の気化器226、228、238、および240は、液体原料前駆体を加熱するためのヒーター231と、それぞれの反応チャンバ236、238、246、248への前駆体の流量(例えば、前駆体の重量または体積/時間による)を制御するための1つ以上の制御バルブ230、232、242、244とを含むことができる。例えば、気化器226、228、238、および240は、0または1より大きく、かつ20000sccm未満の体積流量を制御するように構成することができる。気化器226のみがヒーター231とともに図示されているが、本明細書に記載の他の気化器もヒーターを含むことができる。以下でより詳細に説明するように、制御バルブ230、232、242、244を使用して、それぞれの反応チャンバ236、238、246、248への前駆体の質量または体積流量を制御することができる。
【0038】
図3は、液体質量流量計308、混合気化器(MV)302、およびコントローラ310を含む例示的な流量制御システム300を示す。流量制御システム300は、図2に示した気化器226、228、238、および240のうちの1つ以上として使用するのに適している。流量制御システム300を使用して、前駆体の液体流量を制御することによって、質量流量(例えば、グラム/分)を制御することができる。例えば、制御された流量は、約50mg/分~約50g/分とすることができる。
【0039】
図示の例では、混合気化器302は、開閉バルブ304および制御バルブ306を含む。開閉バルブ304は、空気圧バルブ、空気作動バルブなどの任意の好適なバルブとすることができ、またはそれらを含むことができる。制御バルブ306は、ピエゾバルブなどの任意の好適なバルブを含むことができる。図示するように、制御バルブ306は、気化した前駆体およびキャリアガス、例えば本明細書に記載のキャリアガスを受けることができる。
【0040】
液体質量流量計308は、任意の好適な液体質量流量計を含むことができる。本開示の実施例によると、液体質量流量計308は、液体質量流量を示す出力信号を生成する。
【0041】
コントローラ310は、気化した前駆体の流量を制御するように構成することができる。一例として、コントローラ310は、液体質量流量計308から液体質量流量を示す出力信号を受信し、次に制御信号を生成し、制御信号を制御バルブ306に送信して、気化した前駆体のそれぞれの反応チャンバへの流量を制御することができる。コントローラ310は、スタンドアロンコントローラであってもよく、または以下に記載するコントローラ224の一部を形成してもよい。
【0042】
図4は、本開示のさらなる実施例による、気化器226、228、238、および240のうちの1つ以上として使用するための例示的な流量制御システム400を示す。図示の例では、流量制御システム400は、蒸気コントローラ402およびコントローラ408を含む。流量制御システム400は、キャリアガスを必要とせずに、前駆体を気化させることができる。
【0043】
蒸気コントローラ402は、制御バルブ404および質量流量計406を含む。制御バルブ404は、上述の制御バルブなどの任意の好適な制御バルブを含むことができる。質量流量計406は、任意の好適な質量流量計を含むことができる。
【0044】
コントローラ408は、質量流量計406および制御バルブ404に制御信号を提供し、気化した前駆体のそれぞれの反応チャンバへの体積流量を制御するように構成することができる。一例として、流量は、約5~約20000sccmの間で制御することができる。
【0045】
ここで図2に戻ると、コントローラ224を使用して、反応器システム200の1つ以上の構成要素を制御することができる。コントローラ224は、反応器システム200の様々な電源、加熱システム、ポンプ、ロボット、およびガス流量コントローラまたはバルブと連結することができる。一例として、コントローラ224は、圧力調節器216、218、220、222、ならびに他の反応器システム200の構成要素を制御するように構成することができる。
【0046】
コントローラ224は、圧力調節器216、218、220、222を制御するための電子回路およびソフトウェア225を含んでもよい。
【0047】
コントローラ224は、反応チャンバ236、238、246、248の中へ、およびそれらの外への前駆体、反応物質、およびパージガスの流れを制御するために、バルブを電気的にまたは空気圧で制御する制御ソフトウェアを含むことができる。コントローラ224は、ある特定のタスクを実行するソフトウェアまたはハードウェア構成要素、例えばFPGAまたはASICなどのモジュールを含むことができる。モジュールは、有利なことに、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に常駐するように構成され、かつ1つ以上のプロセスを実施するように構成することができる。
【0048】
本開示のなおさらなる実施例によると、反応チャンバに前駆体を供給する方法が提供される。例示的な方法は、容器およびその中の前駆体を備える前駆体供給源を提供する工程と、キャリアガスを使用して、前駆体を第一の圧力調節器に流す工程と、第一の圧力調節器を使用して、流体ライン内の前駆体の下流圧力を制御する工程と、第一の気化器を使用して、前駆体を気化する工程と、反応チャンバへの気化した前駆体の流量を制御する工程とを含む。方法は、第二の気化器を使用して、第二の反応チャンバへの蒸気形態の前駆体の流量を制御する工程をさらに含んでもよい。例示的な方法は、第三、第四などの気化器を使用して、前駆体供給源からそれぞれの反応チャンバへの、気化した前駆体の流れを同様に制御する工程をさらに含んでもよい。1つ以上の気化器(例えば、第一の気化器および第二の気化器)は、流体ライン内のマニホールドに連結されてもよい。方法は、例えば、上述のキャリアガスを使用して、容器内の前駆体を加圧する工程をさらに含んでもよい。
【0049】
これらの実施形態は単に本発明の実施形態の実施例にすぎないため、上述の本開示の例示的な実施形態は、本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際、記述された要素の代替的な有用な組み合わせなど、本明細書に示されかつ記述された実施形態に加えて、本開示の様々な修正は、記述から当業者に明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】