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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055970
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】発光装置および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/023 20210101AFI20240412BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20240412BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01S5/023
H01S5/40
H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024032662
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2021087054の分割
【原出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中垣 政俊
(72)【発明者】
【氏名】宮田 忠明
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭宏
(57)【要約】
【課題】パッケージを小型化することが可能な発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置は、レーザ光を出射する出射側面を有する少なくとも1つの半導体レーザ素子と、少なくとも1つの半導体レーザ素子が配置される上面を有するサブマウントと、サブマウントを固定する実装面を有する基部と、を備え、サブマウントは、少なくとも1つの半導体レーザ素子の出射側面の側に位置し、上面と交わり、実装面からは上方に離隔した第1側面と、基部の実装面に接合される下面であって、上面に対する法線方向から見る上面視において、上面と第1側面とが交わるエッジを基準としてサブマウントの内側に後退した下面と、第1側面と同じ側に位置し、下面と交わる第2側面と、を有し、基部の実装面とサブマウントの下面との間には、接合材による接合層が形成され、接合材の一部が、下面からはみ出て、下面と第2側面とが交わるエッジよりも外側にまで達している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する出射側面を有する少なくとも1つの半導体レーザ素子と、
前記少なくとも1つの半導体レーザ素子が配置される上面を有するサブマウントと、
前記サブマウントを固定する実装面を有する基部と、
を備え、
前記サブマウントは、
前記少なくとも1つの半導体レーザ素子の前記出射側面の側に位置し、前記上面と交わり、前記実装面からは上方に離隔した第1側面と、
前記基部の前記実装面に接合される下面であって、前記上面に対する法線方向から見る上面視において、前記上面と前記第1側面とが交わるエッジを基準として前記サブマウントの内側に後退した下面と、
前記第1側面と同じ側に位置し、前記下面と交わる第2側面と、
を有し、
前記基部の前記実装面と前記サブマウントの前記下面との間には、接合材による接合層が形成され、
前記接合材の一部が、前記下面からはみ出て、前記下面と前記第2側面とが交わるエッジよりも外側にまで達しており、
前記上面視において、前記サブマウントの下面からはみ出た前記接合材の一部は、前記サブマウントの上面よりも外側にまで達している、発光装置。
【請求項2】
前記サブマウントの下面からはみ出た前記接合材の一部は、前記第2側面に接し、前記接合層よりも盛り上がった形状を形成している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2側面と前記下面との間の角度は90°超100°以下である、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2側面は、前記第1側面とは交わらない、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記サブマウントは、前記上面の面積が前記下面の面積よりも大きく、かつ、上面視において、前記上面の内側に、前記下面が包含される請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記サブマウントは、前記サブマウントの前記上面及び前記第1側面を有する第1サブマウントと、前記サブマウントの前記下面及び前記第2側面を有する第2サブマウントと、が接合されて形成され、
前記上面視において、前記第2サブマウントは、前記第1サブマウントに包含される、請求項3に記載の発光装置。
【請求項7】
前記出射側面は、前記下面と前記第2側面とが交わるエッジを通り前記実装面に垂直な仮想的な平面と、前記上面と前記第1側面とが交わるエッジを通り前記実装面に垂直な仮想的な平面と、の間に位置するか、または、前記サブマウントの上面よりも突き出ている請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記サブマウントと前記基部とを電気的に接続する1または複数の導電性部材をさらに備え、
前記サブマウントは、1または複数の凹部を有し、
前記導電性部材はそれぞれ、前記基部の実装面及び前記サブマウントの凹部と接触する請求項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記1または複数の凹部は、前記上面視において、前記サブマウントの上面の外周に窪み形状を形成する、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの半導体レーザ素子は、第1波長に発光ピークを有する第1の光を出射する第1半導体レーザ素子と、前記第1波長とは異なる第2波長に発光ピークを有する第2の光を出射する第2半導体レーザ素子と、前記第1波長及び前記第2波長とは異なる第3波長に発光ピークを有する第3の光を出射する第3半導体レーザ素子と、を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの半導体レーザ素子は、第1半導体レーザ素子と、第2半導体レーザ素子と、前記第1半導体レーザ素子と前記第2半導体レーザ素子の間に配置される第3半導体レーザ素子と、を含み、
前記1または複数の凹部は、前記第1側面と交わる2つの側面、及び、前記第1側面の反対側の側面のそれぞれに設けられる凹部を含み、
前記第1半導体レーザ素子及び前記第2半導体レーザ素子は、前記第1側面と交わる2つの側面にそれぞれ設けられた凹部と接触する前記導電性部材と電気的に接続し、前記第3半導体レーザ素子は、前記第1側面の反対側の側面に設けられた凹部と接触する前記導電性部材と電気的に接続する、請求項9に記載の発光装置。
【請求項12】
側壁部を有し、前記基部の前記実装面に固定されるキャップを備え、
前記少なくとも1つの半導体レーザ素子及び前記サブマウントは、前記キャップの内部に配置され、
前記少なくとも1つの半導体レーザ素子から出射された前記レーザ光は、前記側壁部を透過して前記キャップの外部へと出射される、請求項1から11のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記側壁部から前記サブマウントの前記第1側面までの間隔は50μm以上100μm以下である、請求項12に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッケージ内に複数の構成要素が実装される発光装置がある。複数の構成要素としては、例えば、1または複数の発光素子、サブマウント、基板などが挙げられる。例えば、特許文献1は、1つの半導体レーザ素子、サブマウント、導電部および基板を備える半導体レーザモジュールを開示している。この基板には、サブマウントを配置する領域の縁から下方に窪んだ溝が設けられている。この溝によって、サブマウントの配置領域からはみ出したはんだの這い上がりを抑制し、絶縁破壊が起こりにくくなるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-165119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光装置の小型化を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発光装置は、例示的で非限定的な実施形態において、レーザ光を出射する出射側面を有する少なくとも1つの半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの半導体レーザ素子が配置される上面を有するサブマウントと、前記サブマウントを固定する実装面を有する基部と、を備え、前記サブマウントは、前記少なくとも1つの半導体レーザ素子の前記出射側面の側に位置し、前記上面と交わり、前記実装面からは上方に離隔した第1側面と、前記基部の前記実装面に接合される下面であって、前記上面に対する法線方向から見る上面視において、前記上面と前記第1側面とが交わるエッジを基準として前記サブマウントの内側に後退した下面と、前記第1側面と同じ側に位置し、前記下面と交わる第2側面と、を有し、前記基部の前記実装面と前記サブマウントの前記下面との間には、接合材による接合層が形成され、前記接合材の一部が、前記下面からはみ出て、前記下面と前記第2側面とが交わるエッジよりも外側にまで達している。
【0006】
本開示の発光装置の製造方法は、例示的で非限定的な実施形態において、少なくとも1つの半導体レーザ素子が配置される上面を有するサブマウントと、前記サブマウントを固定する実装面を有する基部と、を備える発光装置の製造方法であって、前記サブマウントの上面の外周に1または複数の凹部を形成することと、前記サブマウントの上面に第1配線領域を形成することと、前記基部の実装面に第2配線領域を形成することと、前記基部の実装面および/または前記サブマウントの下面にペースト材料を塗布することと、前記ペースト材料を焼結して、前記基部の実装面と、前記サブマウントの下面との間に接合層を形成することにより、前記基部の実装面に前記サブマウントを接合することと、導電性ペースト材料を焼結して、前記サブマウントの上面の外周に形成した前記1または複数の凹部に接する1または複数の導電性部材を形成することにより、前記サブマウントの上面に形成した前記第1配線領域と前記基部の実装面に形成した前記第2配線領域とを電気的に接続することと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、小型の発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の各実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2図2は、本開示の第1の実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた状態の斜視図である。
図3図3は、図中のX軸の正方向から見たときの、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の背面図である。
図4図4は、図中のZ軸の負方向から見たときの、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の側面図である。
図5図5は、本開示の第1の実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた状態の上面図である。
図6図6は、図1のVI-VI断面線における断面図である。
図7図7は、本開示の第1の実施形態に係る基部の斜視図である。
図8図8は、本開示の第1の実施形態に係るサブマウントの斜視図である。
図9A図9Aは、図中のX軸の正方向から見たときの、本開示の第1の実施形態に係るサブマウントの背面図である。
図9B図9Bは、図中のZ軸の負方向から見たときの、本開示の第1の実施形態に係るサブマウントの側面図である。
図10図10は、本開示の第1の実施形態に係るサブマウントの分解斜視図である。
図11図11は、図4の側面図における部分X1の拡大図である。
図12A図12Aは、本開示の第1の実施形態に係るサブマウントのバリエーションを例示する側面図である。
図12B図12Bは、本開示の第1の実施形態に係るサブマウントのバリエーションを例示する側面図である。
図13図13は、本開示の第2の実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた状態の斜視図である。
図14図14は、図中のX軸の正方向から見たときの、本開示の第2の実施形態に係る発光装置の背面図である。
図15図15は、図中のZ軸の負方向から見たときの、本開示の第2の実施形態に係る発光装置の側面図である。
図16図16は、本開示の第2の実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた状態の上面図である。
図17図17は、本開示の第2の実施形態に係る基部の斜視図である。
図18図18は、本開示の第2の実施形態に係るサブマウントの斜視図である。
図19A図19Aは、図中のX軸の正方向から見たときの、本開示の第2の実施形態に係るサブマウントの背面図である。
図19B図19Bは、図中のZ軸の負方向から見たときの、本開示の第2の実施形態に係るサブマウントの側面図である。
図20図20は、本開示の第2の実施形態に係るサブマウントの分解斜視図である。
図21図21は、図15の側面図における部分X2の拡大図である。
図22図22は、本開示の第3の実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形、四角形などの多角形は、数学的に厳密な意味の多角形に限定されず、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含むものとする。また、多角形の隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書および特許請求の範囲で記載される“多角形”に含まれる。
【0010】
多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”には加工された部分も含まれる。部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、ある名称によって特定される要素が複数あり、それぞれの要素を区別して表現する場合に、要素のそれぞれの頭に“第1”、“第2”などの序数詞を付記することがある。例えば、請求項では「発光素子が基板上に配されている」と記載されている場合、明細書中において「第1発光素子と第2発光素子とが基板上に配列されている」と記載されることがある。第1”および“第2”の序数詞は、単に2個の発光素子を区別するために使用されている。これらの序数詞の順序に特別の意味はない。同一の序数詞が付された要素名が、明細書と特許請求の範囲との間で、同一の要素を指さない場合がある。例えば、明細書において“第1発光素子”、“第2発光素子”、“第3発光素子”の用語で特定される要素が記載されている場合、特許請求の範囲における“第1発光素子”および“第2発光素子”が、明細書における“第1発光素子”および“第3発光素子”に相当することがある。また、特許請求の範囲に記載された請求項1において、“第1発光素子”の用語が使用され、“第2発光素子”の用語が使用されていない場合、請求項1に係る発明は、1個の発光素子を備えていればよく、その発光素子は、明細書中の“第1発光素子”に限定されず、“第2発光素子”または“第3発光素子”であり得る。
【0012】
本明細書または特許請求の範囲において、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0013】
図面に示される要素または部材の寸法、寸法比率、形状、配置間隔等は、わかり易さのために誇張されている場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。実施形態の説明で示される数値、形状、材料、処理工程の順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下の説明において、同一の名称、符号によって特定される要素は、同一または同種の要素であり、それらの要素について重複した説明を省略することがある。
【0015】
(第1の実施形態)
図1から図11を参照して、本実施形態に係る発光装置100を説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る発光装置100の斜視図である。添付の図面において、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸が示されている。なお、後述する第2の実施形態に係る発光装置101及び第3の実施形態に係る発光装置102についても外観の斜視図は図1となるが、各実施形態で内部の構成は異なっている。図2は、発光装置100からパッケージ10のキャップ16を除いた状態の斜視図である。図3は、図中のX軸の正方向から見たときの発光装置100の背面図である。図4は、図中のZ軸の負方向から見たときの発光装置100の側面図である。図3図4において、パッケージ10の内部の発光素子20が分かるようにキャップ16の側面の一部が透過して示されている。図5は、発光装置100からパッケージ10のキャップ16を除いた状態の上面図である。図6は、図1のVI-VI断面線における断面図である。図5及び図6において、発光素子20から出射されるレーザ光LBの主要部分に含まれる代表的な光線が破線で示されている。図6には、発光素子20から出射されるレーザ光LBの光軸を進む光も破線の矢印で記載されている。なお、図6では、見易さのため、配線70を省略している。図7は、基部11の斜視図である。図8は、サブマウント30の斜視図である。図9Aは、図8中のX軸の正方向から見たときのサブマウント30の背面図である。図9Bは、図8中のZ軸の負方向から見たときのサブマウント30の側面図である。図9Aおよび図9Bにおいて、それぞれ、説明の便宜上、サブマウント30の下面30dを含む平面が一点鎖線で示されている。図10は、サブマウント30の分解斜視図である。
【0017】
本実施形態に係る発光装置100は、パッケージ10、1または複数の発光素子20、サブマウント30及び1または複数の配線70を含む複数の構成要素を備える。図示される発光装置100の例では、パッケージ10の内部の空間に、3つの発光素子20、サブマウント30及び複数の配線70が配されている。また、3つの発光素子20から出射された発散光は、それぞれ、パッケージ10から外部に側方に出射される。
【0018】
まず、各構成要素について説明する。
【0019】
(パッケージ10)
パッケージ10は、実装面11Mが含まれる基部11と、実装面11Mを囲う側壁部12と、を有する。基部11の実装面11Mは、他の構成要素が配される領域である。また、パッケージ10は、基板15と、基板15に固定されるキャップ16と、を有する。基板15が基部11を有し、キャップ16が側壁部12を有する。
【0020】
図示される例において、キャップ16は、上部と、側壁部12と、を有する。基部11にはパッケージ10の下面が含まれ、側壁部12にはパッケージ10の1または複数の側面が含まれ、上部にはパッケージ10の上面が含まれる。なお、側壁部12は、キャップ16の一部として構成されなくてもよい。例えば、パッケージ10は、基部11と側壁部12が一体となった1つの部材と、上部を有する他の部材(蓋部材)と、で構成されるパッケージに代えることもできる。
【0021】
基部11の実装面11Mの法線方向から見る上面視で、基部11及びキャップ16の外形は、いずれも矩形である。この矩形は、短辺と長辺を有する矩形である。なお、これらの外形は、いずれも矩形である必要はなく、四角形以外の多角形、または、一部もしくは全部に曲線、屈曲、または凹凸が含まれる形状であってもよい。
【0022】
基部11は、1以上の上面を有する。基部11が有する1以上の上面には、実装面11Mが含まれる。基部11は、実装面11Mに配置される1または複数の構成要素を囲う周辺領域11Pを有する。基部11が有する1以上の上面には、周辺領域11Pを有する上面が含まれる。図示される発光装置100の例においては、実装面11Mと周辺領域11Pを有する上面とは同じである。なお、実装面11Mと周辺領域11Pは同一平面になくてもよく、例えば、実装面11Mと周辺領域11Pとが高低差を有する異なる上面に設けられてもよい。
【0023】
周辺領域11Pは、キャップ16が接合される領域である。周辺領域11Pは、上面視で、基部11の外縁と、実装面11Mにおける複数の構成要素を配置するための配置領域との間に設けられる。図示される発光装置100の例では、上面視で実装面11Mの配置領域はおよそ矩形であり、周辺領域11Pは配置領域を囲う矩形環状に設けられている。周辺領域11Pの上面には、側壁部12の下面が接合される。周辺領域11Pには、側壁部12との接合のための金属膜が配され得る。
【0024】
図6に例示されるように、パッケージ10は、透光性を有する領域である透光性領域13を有する。また、パッケージ10は、透光性領域13が含まれる出射面10aを有する。この出射面10aは、パッケージ10の側壁部12における1または複数の外側面のうちの1面に含まれる。側壁部12は透光性領域13を有し、入射面及び出射面10aを含む。なお、透光性を有するとは、そこに入射する主要な光の透過率が80%以上である性質を意味する。
【0025】
パッケージ10は、1または複数の外側面において、透光性領域13以外の領域にも透光性を有していてよい。また、パッケージ10は、一部に非透光性の領域(透光性を有していない領域)を有していてもよい。パッケージ10の側壁部12の全体が透光性を有している必要はない。図示される例において、パッケージ10は、矩形に応じた4つの外側面を有し、また、4面全てが透光性を有しているが、出射面10aは1面のみである。
【0026】
キャップ16は、その全体が透光性材料で形成されていてもよいし、側壁部12のみが透光性材料で形成されてもよい。出射面10aを含む一部分が第1透光性材料から形成され、その他の部分が第2透光性材料または非透光性材料から形成されてもよい。
【0027】
キャップ16は、上部と側壁部12とが一体となって形成され得る。例えば、ガラス、プラスチック、石英などの透光性材料から、成形またはエッチングなどの加工技術を利用して、例えば箱型形状などの所望の形状を有するキャップ16を作製することが可能である。キャップ16は、異なる材料を主材料として別個に形成された上面部(蓋部分)と側面部(枠部分)とを接合して形成してもよい。例えば、上面部は単結晶または多結晶シリコンを主材料とし、側面部はガラスを主材料とすることができる。キャップ16は、例えば、高さが0.6mm以上2.5mm以下、上面視で、矩形形状の外形における1辺の長さが1.2mm以上8mm以下の寸法を有し得る。また、例えば、高さが2mm以下、上面視で、矩形形状の外形における1辺の長さが4mm以下の寸法を有し得る。
【0028】
図示される発光装置100の例において、出射面10aは、実装面11Mが拡がる方向に対して垂直である。なお、ここでの垂直は、±5度以内の差を含む。また、出射面10aは、基部11の実装面11Mが拡がる方向に対して垂直である必要はなく、傾斜していてもよい。
【0029】
実装面11Mには、複数の配線領域14が設けられる。複数の配線領域14は、基部11の内部を通るビアホールを介して、基部11の下面に設けられた配線領域と電気的に接続され得る。複数の配線領域14は、金属などの導電体から形成され、パターニングされた膜または層であり得る。各配線領域14は例えばAu、Ti、Ni、Cr、Ptなどの単層膜または多層膜であり得る。
【0030】
実装面11Mには、接合領域14aが設けられる。接合領域14aには、例えば、金属などの導電体から形成され、パターニングされた膜または層が設けられ得る。接合領域14aに設けられる金属は、配線領域14の形成に用いる金属と同じでよい。同じ材料とすることで、配線領域14及び接合領域14aに、まとめて金属膜あるいは金属層を形成することができる。
【0031】
図7に示される例において、上面視で、複数の配線領域14は、対称に形成されている。それぞれの配線領域14は、1または複数の構成要素と電気的に接続し得て、パッケージ10の外部から電源供給を受けるために利用される。
【0032】
図示される例において、複数の配線領域14には、接合領域14aの周りに配される複数の対の配線領域14と、が含まれる。上面視で、接合領域14aは、複数の対の配線領域14のそれぞれよりも面積が大きい。複数の対の配線領域14には、接合領域14aからZ軸の正方向に離れた位置に設けられる一対の配線領域14bと、接合領域14aからZ軸の負方向に離れた位置に設けられる一対の配線領域14cと、接合領域14aからX軸の正方向に離れた位置に設けられる一対の配線領域14dと、が含まれる。一対の配線領域14dが設けられる位置は、接合領域14aからZ軸方向に離れていない。なお、基部11の短辺方向はX軸と同じ方向であり、基部11の長辺方向はZ軸と同じ方向である。また、正方向と負方向は、一方の方向に対して他方の方向が反対方向となる関係にある。
【0033】
基板15は、セラミックを主材料として形成することができる。基板15に用いられるセラミックの例は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などを含む。本実施形態において、基板15は、例えば、複数の金属ビアを内部に有するセラミック基板から形成され得る。
【0034】
(発光素子20)
発光素子20の例は、半導体レーザ素子である。発光素子20は、上面視で長方形の外形を有し得る。発光素子20が端面出射型の半導体レーザ素子である場合、この長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、光の出射側面20eである。この例において、発光素子20の上面および下面は、出射側面20eよりも面積が大きい。発光素子20は、端面出射型の半導体レーザ素子に限定されず、面発光型の半導体レーザ素子や、発光ダイオード(LED)などであってもよい。
【0035】
本実施形態における発光素子20は、1以上のエミッタを有する。発光素子20は、1つのエミッタを有するシングルエミッタでもよく、2つ以上のエミッタを有するマルチエミッタであってもよい。図示5では、便宜上、各発光素子20に対して1つのエミッタから出射される光LBが記されている。
【0036】
発光素子20が半導体レーザ素子である場合、半導体レーザ素子の出射側面20eから出射される光(レーザ光)は、拡がりを有する発散光である。レーザ光は、出射側面20eに平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下、「FFP」という。)を形成する。FFPとは、光出射面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。
【0037】
FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光と呼ぶものとする。また、光軸を進む光の光路を、その光の光軸と呼ぶものとする。また、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e以上の強度を有する光を、「主要部分」の光と呼ぶものとする。
【0038】
半導体レーザ素子である発光素子20から出射される光のFFPの楕円形状において、楕円の短径方向を遅軸方向、長径方向を速軸方向というものとする。半導体レーザ素子を構成する、活性層を含んだ複数の層は、速軸方向に積層され得る。
【0039】
FFPの光強度分布に基づき、光強度分布の1/eに相当する角度を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角とする。速軸方向における光の拡がり角を速軸方向の拡がり角、遅軸方向における光の拡がり角を遅軸方向の拡がり角というものとする。
【0040】
発光素子20として、例えば、青色の光を出射する半導体レーザ素子、緑色の光を出射する半導体レーザ素子、または、赤色の光を出射する半導体レーザ素子などを採用することができる。また、これら以外の光を出射する半導体レーザ素子を採用してもよい。
【0041】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
【0042】
青色の光を発する半導体レーザ素子、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むものが挙げられる。
【0043】
(サブマウント30)
図8から図10を参照して、本実施形態におけるサブマウント30の構造例を説明する。
【0044】
サブマウント30は、上面30cと、下面30dと、第1側面30aと、第2側面30bと、を有する。また、サブマウント30は、下面30fを有する。以降、下面30dと下面30fをそれぞれ、第1下面30d、第2下面30fと呼び区別する。
【0045】
第2側面30bは、第1側面30aと同じ側に位置する。サブマウント30は、第1側面30aを含む複数の上段側面30xと、第2側面30bを含む複数の下段側面30yと、を有する。複数の上段側面30xは、上面30cと交わる。複数の下段側面30yは第1下面30dと交わる。第2下面30fは、上段側面30x及び下段側面30yと交わる。上面30cは他の構成要素が載置される実装面として機能する。第1下面30dは、サブマウント30を他の構成要素に載置するときの他の構成要素との接合面として機能する。
【0046】
図示される例において、複数の上段側面30xは第1下面30dを含む平面から上方に離れている。第1下面30dは、上面視において、上面30cと第1側面30aとが交わるエッジ30eを基準としてサブマウント30の内側に後退している。上面視において、第2側面30bは第1側面30aよりもサブマウント30の内側に位置している。第2側面30bは第1側面30aとは交わらない。
【0047】
第2側面30bと第1下面30dとがなす角度αは、例えば90°超100°以下であり得る。図示される例において、角度αは90度±5度である。上面30cの面積が下面30dの面積よりも大きく、かつ、上面視において、上面30cの内側に第1下面30dが包含されている。
【0048】
第1側面30aから第2側面30bまでの距離(第1距離)は、第1側面30aと反対側の上段側面30xから第2側面30bと反対側の下段側面30yまでの距離(第2距離)よりも短い。第1距離は、100μm以上200μm以下となり得る。第2距離は、第1距離の、1.5倍以上3.0倍以下となり得る。
【0049】
サブマウント30の上面30cには、パターニングされた膜または層である1または複数の配線領域34が金属などの導電体から形成され得る。1または複数の配線領域34は他の構成要素に電気的に接続され得る。各配線領域34は、例えばAu、Ti、Ni、Cr、Ptなどの単層膜または多層膜であり得る。
【0050】
本実施形態におけるサブマウント30は、第1部分31及び第2部分32を含む。第1部分31は、サブマウント30の上面30cと、複数の上段側面30xとを構成する。第2部分32は、サブマウント30の複数の下段側面30yと、下面30dとを構成する。第1部分31及び第2部分32は、それぞれ、個別の部材であり得る。サブマウント30は、第1部分31と第2部分32とが接合されて形成され得る。サブマウント30は、第1部分と第2部分とが一体となって形成された1つの部材であってもよい。以下、第1部分31を第1サブマウント31と呼び、第2部分32を第2サブマウント32と呼ぶ。
【0051】
図示される例において、第1サブマウント31及び第2サブマウント32はそれぞれ、直方体の形状で構成される。このような形状の第1サブマウント31及び第2サブマウント32を用いることで、サブマウント30を製造し易くなる。なお、個々の部材の形状は直方体に限らなくてよい。上面視で、第1サブマウント31の面積は第2サブマウント32の面積よりも大きい。上面視で、第2サブマウント32は第1サブマウント31に包含される。第1サブマウント31の下面30fのうち第2サブマウント32から露出する領域が、サブマウント30の下面30fとなる。
【0052】
本実施形態において、第1サブマウント31及び第2サブマウント32は、同じ主材料から形成される。ただし、第1サブマウント31の主材料は第2サブマウント32の主材料とは異なっていてもよい。第1サブマウント31の上面30cに配線領域を形成する観点から、少なくとも第1サブマウント31は絶縁材料から形成されていることが好ましい。絶縁材料である主材料の例は、窒化アルミニウムまたは炭化ケイ素である。
【0053】
金属ペーストの接合温度は、例えば半田の接合温度よりも低い。接合材として、半田の代わりに金属ペーストを用いることにより、第1サブマウント31と第2サブマウント32とを比較的低温で接合することが可能となる。これは、発光装置100を製造する製造プロセスに依存するが、第1サブマウント31の上面30cに接合された発光素子20の損傷または温度特性への影響を低減することに寄与し得る。
【0054】
(配線70)
配線70は、線状の形状を有する導電体から構成される。配線70は、線状部分の両端において、他の構成要素に接合する。配線70は、例えば、金属のワイヤである。金属の例は、金、アルミニウム、銀、銅などを含む。
【0055】
(発光装置100)
次に、発光装置100について説明する。
【0056】
以下に説明する発光装置100の例において、1または複数の発光素子20のそれぞれは端面出射型の半導体レーザ素子(レーザダイオード)である。
【0057】
発光装置100において、1または複数の発光素子20は、パッケージ10の内部に配される。1または複数の発光素子20は、基部11の実装面11Mに配され、パッケージ10の側壁部12に囲まれる。各発光素子20は、サブマウント30を介して実装面11Mに配される。各発光素子20はサブマウント30の上面30cに配置される。少なくとも1つの発光素子20から出射されたレーザ光は、側壁部12を透過してキャップ16の外部へと出射される。
【0058】
図示される発光装置100の例では、発光装置100は、複数の発光素子20を備えている。複数の発光素子20は、出射側面20eが、パッケージ10の出射面10aを向くように配置される。複数の発光素子20のそれぞれの発光点がZ軸方向に並んでいる。各発光素子20から出射される光の光軸は、図中のX軸方向に平行である。ここでの平行は±5度以内の誤差を含む。
【0059】
発光装置100は、第1波長に発光ピークを有する第1の光を出射する第1発光素子20と、第1波長とは異なる第2波長に発光ピークを有する第2の光を出射する第2発光素子20と、第1波長及び第2波長とは異なる第3波長に発光ピークを有する第3の光を出射する第3発光素子と、を含む複数の発光素子20を備えることができる。
【0060】
図示される発光装置100の例では、発光装置100は、3つの発光素子20を備えている。3つの発光素子20は、それぞれ、赤色の光、緑色の光及び青色の光から選択される互いに異なる色の光を出射する。なお、各発光素子20が発する光の色は、これに限らず、また、可視光に限られない。
【0061】
本明細書において、3つの発光素子20を、それぞれ、第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子と区別して記載する場合がある。また、それぞれの発光素子20から出射される光を、第1の光、第2の光、第3の光と区別して記載する場合がある。
【0062】
接合領域14aにサブマウント30が固定される。サブマウント30と基部11は、例えば金ペーストなどの接合材によって接合領域14aに接合される。サブマウント30の下面30dと接合領域14aとの間に接合材による接合層39が形成される(図6参照)。その接合材の一部が、下面30dからはみ出て接合部材35を形成している。
【0063】
なお、接合材としては、融点が高く、かつ、接合温度が低い接合材料が好ましい。例えば、金属ナノ粒子又は金属サブミクロン粒子と、有機溶剤とを含む接合材料を用いることができる。また例えば、金の金属粒子を含むペースト(以下、金属ペーストと表記する。)を用いることが好ましい。銀または銅などの金属粒子を含む金属ペーストを用いることもできる。金属ペーストの粘度の範囲は、例えば50~150Pa・sである。有機溶剤を含む接合材料を接合材に用いる場合、接合材の硬化処理に伴い有機溶剤が揮発する。そのため、接合材により形成される接合層39及び接合部材35は、金属を主材料とすることができる。
【0064】
接合部材35は、サブマウント30の1または複数の下段側面30yに沿って形成される。接合部材35は、第1接合部35aと第2接合部35bを有する。X軸方向に延びる一対の下段側面30yのうちの1または2の下段側面30yに沿って第1接合部35aが形成される。Z軸方向に延びる一対の下段側面30yのうちの1または2の下段側面30yに沿って第2接合部35bが形成される。第2側面30bに沿って第2接合部35bが形成される。第1接合部35a及び第2接合部35bは、それぞれ、盛り上がった形状を形成している。
【0065】
サブマウント30の第1側面30aは、発光素子20の出射側面20eの側に位置し、サブマウント30の上面30cと交わり、かつ、基部11の実装面11Mから上方に離隔している。図示される例において、接合材の一部は、サブマウント30の下面30dからX軸の正負の方向及びZ軸の正負の方向にはみ出て、接合部材35が形成されている。
【0066】
接合部材35は、サブマウント30の下面30dと第2側面30bとが交わるエッジ30eよりも外側にまで達している。さらに、図5に例示されるように、上面視において、接合部材35は、サブマウント30の上面30cよりも外側にまで達している。上面視において、第2接合部35bが、サブマウント30の上面30cよりも外側にまで達している。第2接合部35bは、第2側面30bに接し、かつ、接合層39よりも盛り上がった形状を形成している。これにより、サブマウント30の接合強度を高めることができる。
【0067】
接合部材35は、サブマウント30の下面30dと第2側面30bの反対側の下段側面30yとが交わるエッジよりも外側にまで達している。さらに、上面視で、第1側面30aと反対側の上段側面30xよりも外側にはみ出ない。なお、接合材が下面30dからはみ出ないで、サブマウント30が接合されてもよい。
【0068】
図6に、サブマウント30の下面30dと第2側面30bとが交わるエッジを通り、基部11の実装面11Mに垂直な仮想的な平面P1、及び、サブマウント30の上面30cと第1側面30aとが交わるエッジを通り、基部11の実装面11Mに垂直な仮想的な平面P2、がそれぞれ、一点鎖線で示されている。図示される例において、発光素子20の出射側面20eは、平面P1と平面P2との間に位置している。ここでの平面P1と平面P2との間とは、平面P1上及び平面P2上を含む。なお、発光素子20の出射側面20eがサブマウント30の上面30cよりも突き出ていてもよい。
【0069】
図11は、図4の側面図における部分X1の拡大図である。本実施形態において、パッケージ10の側壁部12のX軸方向における厚さw1は350μm以上450μm以下であり得る。サブマウント30の第1側面30aと第2側面30bとの間のX軸方向における間隔w2は100μm以上200μm以下であり得る。パッケージ10の側壁部12とサブマウント30の第1側面30aとの間のX軸方向における間隔w3は50μm以上100μm以下であり得る。第2接合部35bのX軸方向における幅w4は100μm以上300μm以下であり得る。第2サブマウント32のY軸方向における厚さt1は100μm以上400μm以下であり得る。
【0070】
第2側面30bを発光素子20の出射側面20eに近付けるほど、サブマウント30による放熱効果は向上する。一方で、近付きすぎると、接合材がサブマウント30の外側にはみ出しやすくなり、出射側面20eから側壁部12までの距離が遠くなる。出射側面20eとキャップ16との間には実装精度上、若干の間隔があることが望ましく、接合材のはみ出しをこの間隔内に収めることが、発光装置100の小型化に好ましいと言える。
【0071】
発光装置100において、1または複数の配線70は、パッケージ10の配線領域14と半導体レーザ素子20とに接合する。
【0072】
図5に示されるように、3つの発光素子20のうち、中央に位置する第1発光素子20と電気的に接続する配線70は、配線領域14dに接合される。
【0073】
3つの発光素子20のうち、第1発光素子20からZ軸の負方向に位置する第2発光素子20と電気的に接続される配線70は、配線領域14cに接合される。
【0074】
3つの発光素子20のうち、第1発光素子20からZ軸の正方向に位置する第3発光素子20と電気的に接続される配線70は、配線領域14bに接合される。
【0075】
本実施形態において、サブマウント30は、上述した形状に限定されず様々な形状を有し得る。図12A及び図12Bは、サブマウント30のバリエーションを例示する側面図である。
【0076】
図12Aに示されるように、段差構造は、サブマウント30のように側面の全周に沿って形成されていなくてもよい。サブマウント30_1は、第1側面30aの下方に段差構造を有する。
【0077】
図12Bに示されるように、段差構造に代えて、斜面を設けてもよい。この例において、サブマウント30の下面30fに相当する面はなく、第2側面30bは第1側面30aと下面30dとに接続する。第2側面30bは下面30dに対して所定の角度で傾斜する傾斜面を形成している。
【0078】
これらのサブマウントであっても、基部11とサブマウント30とを接合する接合材の一部を逃がすスペースを確保することができる。なお、図12Bのように、第1側面30aと第2側面30bとが交わるよりも、図9B図12Aのように、第1側面30aと第2側面30bとが交わらない方が、はみ出した接合材を第1側面30aからはみ出しにくくできる。
【0079】
発光装置100において、複数の発光素子20は、側方に向かって光を出射する。出射側面20eから出射される光軸を進む光は、実装面11Mと平行に進む。発光素子20から出射された光は、パッケージ10の側壁部12を透過して、透光性領域13から側方へと出射される。
【0080】
発光装置100において、パッケージ10の内部には封止された閉空間が作り出される。また、基板15とキャップ16とを所定の雰囲気下で接合することにより、パッケージ10の内部に気密封止された閉空間が作り出される。半導体レーザ素子のような発光素子20においては、発光素子20が配される空間を気密封止することにより、集塵による品質劣化を抑制することができる。
【0081】
出射面10aから取り出される光の中心軸は、出射面10aに対して垂直である。ここでの垂直は、±5度以内の差を含む。また、光の中心軸は、出射面10aに対して必ずしも垂直でなくてもよい。
【0082】
本実施形態に係る発光装置100によれば、サブマウント30と基部11の実装面11Mとの間に、接合材の一部を逃がすためのスペースを確保することができる。これによって、サブマウント30をキャップ16の側壁部12に近づけることができ、発光装置100を小型化することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る発光装置101は、サブマウントの側面に窪みが形成されている点において、上述した第1の実施形態に係る発光装置100と相違する。以下、第1の実施形態に係る発光装置100との相違点を主に説明する。
【0084】
図13から図21を参照して、本実施形態に係る発光装置101を説明する。
【0085】
図13は、発光装置101からパッケージ10のキャップ16を除いた状態の斜視図である。図14は、図13中のX軸の正方向から見たときの発光装置101の背面図である。図15は、図13中のZ軸の負方向から見たときの発光装置101の側面図である。図14図15において、パッケージ10の内部の半導体レーザ素子20が分かるようにキャップ16の側面の一部が透過して示されている。図16は、発光装置101からパッケージ10のキャップ16を除いた状態の上面図である。図16において、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光LBの主要部分に含まれる代表的な光線が破線で示されている。図17は、基部11の斜視図である。図18は、サブマウント30_4の斜視図である。図19Aは、図18中のX軸の正方向から見たときのサブマウント30_4の背面図である。図19Bは、図18中のZ軸の負方向から見たときのサブマウント30_4の側面図である。図20は、サブマウント30_4の分解斜視図である。図21は、図15の側面図における部分X2の拡大図である。なお、発光装置101の斜視図は、図1に示されている。
【0086】
(基部11_4)
基部11_4は、配線領域14bの形状が、基部11の配線領域14bと異なる。基部11_4の有する配線領域14には、接合領域14aの方向に向かって突出する凸領域を有する配線領域14b及び配線領域14cが含まれる。
【0087】
(サブマウント30_4)
サブマウント30_4には、1または複数の凹部30sが設けられる。凹部30sによって、上段側面30xからサブマウント30_4の内側に向かう窪みが画定される。凹部30sにより画定される窪みは、上面視で、サブマウント30_4を貫通している。第1サブマウント31は、1または複数の凹部30sを有する。第2サブマウント32は凹部30sを有しない。
【0088】
1または複数の凹部30sは、上面視において、サブマウント30_4の上面30cの外周に窪み形状を形成する。1または複数の凹部30sには、サブマウント30_4の第1側面30aと交わる2つの上段側面30xのそれぞれに設けられる1以上の凹部30sが含まれる。1または複数の凹部30sには、第1側面30aの反対側の上段側面30xのそれぞれに設けられる1以上の凹部30sが含まれる。1または複数の凹部30sは、第1側面30aとは交わらない。サブマウント30_4において、第1側面30aからサブマウント30_4の内側に向かう窪み形状は形成されない。
【0089】
ここで、図示される例において、サブマウント30_4が有する複数の上段側面30xのうち、第1側面30aを第1面、第1側面30aと反対側の側面であり、かつ、平面である側面を第2面、上面視で第1側面30aに垂直な側面であり、かつ、平面である側面を第3面、上面視で第1側面30aに垂直な側面であり、かつ、平面である側面であって第3面と同一平面上にない側面を第4面、とする。発光装置101は、1つの第1面と、3つの第2面と、2つの第3面と、2つの第4面と、を有している。また、複数の上段側面30xには、1または複数の凹部30sのそれぞれが有する側面も含まれる。
【0090】
図示される例において、サブマウント30_4には、複数の凹部30sが設けられている。複数の凹部30sには、2つの第2面と交わる凹部30sが含まれる。この凹部30sは、2つの第2面の間を繋ぐ凹部30sといえる。複数の凹部30sには、2つの第3面と交わる凹部30sが含まれる。この凹部30sは、2つの第3面の間を繋ぐ凹部30sといえる。複数の凹部30sには、2つの第4面と交わる凹部30sが含まれる。この凹部30sは、2つの第3面の間を繋ぐ凹部30sといえる。複数の凹部30sには、第2面と第3面とに交わる凹部30sが含まれる。この凹部30sは、サブマウント30_4の隅に設けられる凹部30sといえる。複数の凹部30sには、第2面と第4面とに交わる凹部30sが含まれる。この凹部30sは、サブマウント30_4の隅に設けられる凹部30sといえる。
【0091】
凹部30sは、第1サブマウント31の上面30cから下方に向けて先細るようにテーパー形状に形成されることが好ましい。凹部30sをテーパー形状に形成することによって、後述するように、凹部30sに金属膜を形成しやすくなる。凹部30sは、例えばブラスト処理またはレーザ加工処理を行うことによってサブマウント30_4の側面に形成することができる。
【0092】
サブマウント30とサブマウント30_4を見比べると、サブマウント30で形成されていた配線領域34の一部をくり抜くように、サブマウント30_4では凹部30sが設けられている。サブマウント30_4において、1または複数の凹部30sは、配線領域34と交わる。
【0093】
凹部30sの側面に導電領域30tが設けられる。導電領域30tは、例えば、Auなどの金属膜を設けることで形成できる。凹部30sの導電領域30tは、配線領域34と繋がっている。よって、導電領域30tと配線領域34とは電気的に接続する。
【0094】
(導電性部材75)
導電性部材75は、導電性を有する導電性ペースト材料を用いて形成される。導電性ペースト材料として、融点が高く、かつ、接合温度が低い、例えばAu、AgまたはCuなどの金属ペーストを用いることが好ましい。導電性部材75は、そのような導電性ペースト材料を比較的低温(例えば200℃)で焼結することにより形成され得る。例えば金ペーストを導電性ペースト材料として用いることによって、半導体レーザ素子20の損傷または温度特性への影響を低減することができる。
【0095】
(発光装置101)
発光装置101において、基部11_4とサブマウント30_4との接合、発光素子20のサブマウントへの実装、キャップ16の基部11_4への接合に関しては、発光装置100で説明した内容と共通する。発光装置101では、主に、発光素子20の電気的な接続を実現する配線接続の方法に、発光装置100との違いがある。
【0096】
発光装置101では、導電性部材75を用いて、基部11_4の配線領域14と、サブマウント30_4の配線領域34と、を電気的に接続する。この電気的な接続は、配線領域14上に配された導電性部材75を、サブマウント30_4の凹部30sに設けられた導電領域30tに接着させることで実現される。
【0097】
発光装置101は、1または複数の導電性部材75を有する。1または複数の導電性部材75は、配線領域14上に配される。導電性部材75は、配線領域14に接し、かつ、サブマウント30_4の導電領域30tに接する。導電性部材75は、サブマウント30_4の凹部30sの側面に接する。導電性部材75は、サブマウント30_4の下面30f及び凹部30sの側面に接する。導電性部材75は、サブマウント30_4の下段側面30yには接しない。導電性部材75は、接合部材35とは接しない。
【0098】
発光装置101または複数の凹部30sのそれぞれに対応して導電性部材75が配される。導電性部材75は、上面視で、凹部30sにより形成される窪み形状よりも大きな形状を有する。これにより、導電性部材75をサブマウント30_4の導電領域30tに接触させやすくなる。
【0099】
このように、導電性部材75を用いて基部11_4と発光素子20との電気的な接続を図ることにより、上面視で、基部11_4の配線領域14がサブマウント30_4からはみ出る領域の広さを抑えることができ、発光装置101の小型化に寄与し得る。
【0100】
導電性部材75は、サブマウント30_4を基部11_4の実装面11Mに固定するために、基部11_4とサブマウント30_4とに接合する接合部材としても機能し得る。導電性部材75によって、基部11_4とサブマウント30_4との接合強度を向上させることができる。
【0101】
図21に例示されるように、本実施形態係る発光装置101において、パッケージ10の側壁部12のX軸方向における厚さw1は350μm以上450μm以下であり得る。サブマウント30_4の第1側面30aと第2側面30bとの間のX軸方向における間隔w2は100μm以上200μm以下であり得る。パッケージ10の側壁部12とサブマウント30の第1側面30aとの間のX軸方向における間隔w3は50μm以上100μm以下であり得る。導電性部材75のX軸方向におけるサイズW4は200μm以上450μm以下であり得る。導電性部材75と接合部材35との間のX軸方向における絶縁のためのギャップw5は50μm以上200μm以下であり得る。凹部30sの窪みの開口のX軸方向におけるサイズW6は150μm以上400μm以下であり得る。サブマウント30_4に含まれる第2サブマウント32のY軸方向における厚さt1は100μm以上400μm以下であり得る。導電性部材75のY軸方向における高さt2は150μm以上450μm以下程度であり得る。
【0102】
以下、本実施形態に係る発光装置101の製造方法の例を説明する。
【0103】
発光装置101の製造方法の例は、サブマウント30_4の上面の外周に1または複数の凹部30sを形成することと(工程1)、サブマウント30_4の上面30cに配線領域34を形成することと(工程2)、基部11の実装面11Mに配線領域14を形成することと(工程3)、基部11の実装面11Mおよび/またはサブマウント30_4の下面30dにペースト材料を塗布することと(工程4)、ペースト材料を焼結して、基部11の実装面11Mと、サブマウント30_4の下面30dとの間に接合層を形成することにより、基部11の実装面11Mにサブマウント30_4を接合することと(工程5)、導電性ペースト材料を焼結して、サブマウント30_4の上面30cの外周に形成した1または複数の凹部30sに接する1または複数の導電性部材75を形成することにより、サブマウント30_4の上面30cに形成した配線領域34と基部11の実装面11Mに形成した配線領域14とを電気的に接続することと(工程6)、を含む。
【0104】
上記の工程4において、ペースト材料として例えば金ペーストなどの金属ペーストを用いることができる。上記の工程5において、焼結温度範囲の例は、200℃以上300℃未満である。例えば、この温度範囲においてペースト材料に含まれる金属粒子を30分程度焼結することによって、基部11の実装面11Mと、サブマウント30_4の下面30dとの間に接合層を形成することがきる。上記の工程6において、焼結温度範囲の例は、200℃以上300℃未満である。例えば、この温度範囲において導電性ペースト材料に含まれる金属粒子を30分程度焼結することによって、1または複数の導電性部材75を形成することがきる。なお、接合材及び導電性部材75の材料として、前工程において既に形成した接合を破壊しないように適切な接合温度の材料を選択することに留意されたい。
【0105】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る発光装置102は、段差構造を有しないサブマウント30_5の側面に窪みを設けている点において、第1または第2の実施形態に係る発光装置100または101とは相違する。以下、第1または第2の実施形態に係る発光装置100または101との相違点を主に説明する。
【0106】
図22は、発光装置102からパッケージ10のキャップ16を除いた状態の斜視図である。なお、発光装置102の斜視図は、図1に示されている。
【0107】
発光装置102は、少なくとも1つの発光素子20と、発光素子20が配置される上面30cを有するサブマウント30_5と、サブマウント30_5を固定する実装面11Mを有する基部11と、サブマウント30_5と基部11とを電気的に接続する1または複数の導電性部材75と、を備える。サブマウント30_5は1または複数の凹部30sを有する。導電性部材75はそれぞれ、基部11の実装面11M及びサブマウント30_5の凹部30sと接触する。1または複数の凹部30sは、上面視において、サブマウント30_5の上面30cの外周に窪みを形成している。
【0108】
サブマウント30_5は、これまで説明してきたサブマウントのように上段側面30xと下段側面30yとを有する構造となっていない。サブマウント30_5の形状は、厚さの違いを除けば、第2実施形態の第1サブマウント31の形状と同じである。従って、第2実施形態のサブマウント30_4に関する説明のうち、第1サブマウント31に対する説明として特定できる内容については、サブマウント30_5にも当てはまる。但し、サブマウント30_5は、第2サブマウント32に相当する部分を有さないため、第2サブマウント32が関連するような第1サブマウント31に係る説明については当てはまらない。
【0109】
サブマウント30_5では、サブマウント30_5を基部11に接合する接合材は、第1面からはみ出るが、第3面及び第4面からははみ出ない。例えば、基部11は、接合領域14aと第3面との間、及び、接合領域14aと第3面との間の領域において、基部11の上面に溝を設けることで、接合材が第3面及び第4面からはみ出ないようにできる。サブマウント30_5の1または複数の凹部30sには導電性部材75が接合し、導電性部材75は接合部材35とは接触しない。発光装置102によっても、上述した発光装置100や発光装置101と同様に、小型の発光装置を実現できる。
【0110】
以上、本発明に係る複数の実施形態を説明してきたが、本発明に係る発光装置は、各実施形態の発光装置に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、各実施形態により開示された発光装置の外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。また、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
実施形態に係る発光装置は、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0112】
10 :パッケージ
10a :出射面
11、11_4 :基部
11M :実装面
11P :周辺領域
12 :側壁部
13 :透光性領域
14 :配線領域
15 :基板
16 :キャップ
20 :発光素子(半導体レーザ素子)
20e :出射側面
30、30_4、30_5 :サブマウント
30a :第1側面
30b :第2側面
30c、30g :上面
30d、30f :下面
30e、30h :エッジ
30s :凹部
30t :導電領域
30x :上段側面
30y :下段側面
31 :第1サブマウント(第1部分)
32 :第2サブマウント(第2部分)
34 :配線領域
35 :接合部材
39 :接合層
70 :配線
75 :導電性部材
100、101,102 :発光装置
LB :レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22