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特開2024-56057活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、加飾体、積層体、フレキシブルデバイス用部材、及びフレキシブルデバイス
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  • 特開-活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、加飾体、積層体、フレキシブルデバイス用部材、及びフレキシブルデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056057
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、加飾体、積層体、フレキシブルデバイス用部材、及びフレキシブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   C08F 283/01 20060101AFI20240412BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C08F283/01
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034957
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2022126189の分割
【原出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】小島 智之
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
(72)【発明者】
【氏名】松下 友樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 煕
(57)【要約】
【課題】熱水やアルカリ性の溶液といった非常に過酷な条件下にさらされた後においても、優れた密着性を有する硬化物を形成することができる活性エネルギー線硬化型組成物の提供。
【解決手段】リン酸エステル基を有する重合性モノマー、不飽和結合を有するポリエステル樹脂、及び分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含有し、前記分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーの含有量が、10質量%以下である活性エネルギー線硬化型組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸エステル基を有する重合性モノマー、
不飽和結合を有するポリエステル樹脂、及び
分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含有し、
前記分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーの含有量が、10質量%以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項2】
リン酸エステル基を有する重合性モノマー、
不飽和結合を有するポリエステル樹脂、及び
分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含有し、
前記分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーの含有量が、15質量%以下であり、
リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量が、3質量%以上10質量%以下であり、
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーが、分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーであることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項3】
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量が、3質量%以上10質量%以下である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項4】
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーが、分子内に3個の重合性官能基を有する前記多官能モノマーである請求項1から3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項5】
ガラス基材用である請求項1から4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を含有することを特徴とするインクジェット用インク組成物。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項7に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかが収容されていることを特徴とする組成物収容容器。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物収容容器と、活性エネルギー線を照射する照射手段と、を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置。
【請求項10】
請求項1から5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項7に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかに、活性エネルギー線を照射する照射工程を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法。
【請求項11】
請求項1から5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項7に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかを硬化させてなることを特徴とする硬化物。
【請求項12】
基材と、請求項11に記載の硬化物を有し、
前記基材上に前記硬化物からなる表面装飾を有することを特徴とする加飾体。
【請求項13】
前記基材の形状が円筒形である請求項12に記載の加飾体。
【請求項14】
ガラス板と、
請求項1から5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び請求項7に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかの硬化物と、
樹脂フィルムと、をこの順に積層して有することを特徴とする積層体。
【請求項15】
請求項14に記載の積層体を有することを特徴とするフレキシブルデバイス用部材。
【請求項16】
請求項14に記載の積層体を有することを特徴とするフレキシブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、加飾体、積層体、フレキシブルデバイス用部材、及びフレキシブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは、大型の宣伝広告の印刷、壁紙への印刷等をはじめとして、パッケージへの印刷、飲料容器への印刷など、産業用途での利用機会が多くなっており、用途も多様化している。インクジェットプリンターに用いられるインク組成物として、例えば水性インクジェトインク組成物、油性インクジェットインク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物等がある。
活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線の照射によって組成物を硬化させることから、非浸透性基材上においても乾燥性に優れる。
また、印刷後の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化した硬化物は、非常に過酷な条件下で処理することに対する耐久性も求められる。例えば、飲料容器のような飲食に関わる用途においては、容器の滅菌処理等の観点から、容器が熱水やアルカリ性の溶液等で処理されることがある。そのため、印刷後の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化した硬化物には、熱水やアルカリ性の溶液等で処理することに対する耐久性が求められている。
【0003】
接着強度が高く、耐熱性、耐湿性に優れる硬化性組成物として、例えば、イソソルバイドジ(メタ)アクリレート(A)、1価の有機酸(B)、ラジカル開始剤(C)及び酸発生剤(D)、又は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(A)以外のラジカル重合性物質(E)を含む硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、金属に対する密着性が十分であるとともに、強度に優れた樹脂皮膜を有する樹脂被覆金属板を得ることが可能なインクジェットインキ組成物として、活性エネルギー線により重合可能な重合性モノマーと、光重合開始剤と、を含み、前記重合性モノマーは全モノマー中に、分子内にリン酸エステル基とエチレン性二重結合基を有する重合性リン酸エステル化合物を0.5~13質量%と、分子内に1個のエチレン性二重結合基を有し、リン酸エステル基を有さない単官能性モノマーを10~75質量%含み、前記光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤と、骨格に含まれるフェニル基の数が1つ以下のα-ヒドロキシケトン系開始剤とからなり、25℃における粘度が3~50mPa・sである、インクジェットインキ組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、可撓性フィルム等の可撓性基材に改善された接着性を有するエネルギー硬化性インク及びコーティングとして、例えば、アクリレート基を含有するモノマー、アクリレート基を含有するオリゴマー、又はこれらの組み合わせを含むエネルギー硬化性印刷用インク又はコーティング組成物であって、前記組成物は、4.0を超えるアクリレート基相対濃度を有する、エネルギー硬化性印刷用インク又はコーティング組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、熱水やアルカリ性の溶液といった非常に過酷な条件下にさらされた後においても、優れた密着性を有する硬化物を形成することができる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、リン酸エステル基を有する重合性モノマー、及びポリエステル樹脂を含有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、熱水やアルカリ性の溶液といった非常に過酷な条件下にさらされた後においても、優れた密着性を有する硬化物を形成することができる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明における2次元又は3次元の像形成装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、本発明における他の2次元又は3次元の像形成装置の一例を示す概略図である。
図3A図3Aは、本発明における他の2次元又は3次元の像形成装置の一例を示す概略図である。
図3B図3Bは、本発明における他の2次元又は3次元の像形成装置の一例を示す概略図である。
図3C図3Cは、本発明における他の2次元又は3次元の像形成装置の一例を示す概略図である。
図3D図3Dは、本発明における他の2次元又は3次元の像形成装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明における活性エネルギー線硬化型組成物は、リン酸エステル基を有する重合性モノマー、及びポリエステル樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0009】
前記特許文献1に記載の硬化性組成物では、耐熱性や耐湿性について検討されているが、耐熱水性については検討されてなく、熱水やアルカリ性の溶液といった非常に過酷な条件下にさらされた後においても、硬化物が密着性を奏するかは検討されていないという問題があった。
また、前記特許文献2に記載のインクジェットインキ組成物では、密着性について検討されているが、熱水やアルカリ性の溶液等に浸漬させた後では密着性に劣る場合があるという問題があった。
更に、前記特許文献3に記載のエネルギー硬化性印刷用インク又はコーティング組成物では、例示的な酸性変性接着促進剤として酸性アクリレートオリゴマー、アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレートなどが記載されているのみであり、接着性について検討されているが、熱水やアルカリ性の溶液といった非常に過酷な条件下にさらされた後においても、硬化物が密着性を奏するかは検討されていないという問題があった。
【0010】
本発明者らが鋭意検討したところ、リン酸エステル基を有する重合性モノマーと、ポリエステル樹脂とを組成物中に含ませることにより、熱水やアルカリ性の溶液による処理などの非常に過酷な条件で処理した後においても、優れた密着性を有する硬化物を形成できる活性エネルギー線硬化型組成物が得られることを見出した。
この理由については、定かではないが、以下のことが推測される。
例えば、ガラスのような非浸透性基材上に活性エネルギー線硬化型組成物を付与した際、組成物は基材中に浸透せず、その硬化物と基材との密着性は低くなる傾向にある。
しかしながら、リン酸エステル基を有する重合性モノマーを用いることにより、リン酸エステル基部分が、基材を溶解して基材と組成物との相互作用を発現し、組成物の硬化物と基材との非常に高い密着性を発現することができると考えられる。
また、ポリエステル樹脂を用いることによっても高い密着性を発現し、ポリエステル構造と類似のエステル構造を持つリン酸エステル基を有する重合性モノマーとの親和性も高いと考えられ、基材上に形成される硬化物自体も強固になり、硬化物の凝集破壊も抑制することができると考えられる。
基材と硬化物との密着性の低下には、例えば、基材上に形成した硬化物を熱水やアルカリ性の溶液等に浸漬させた場合、基材と硬化物との界面や、硬化物の内部に熱水やアルカリ性の溶液が浸漬することで著しい密着性の低下に繋がると考えられる。
しかしながら、リン酸エステル基を有する重合性モノマーと、ポリエステル樹脂と、を組成物中に含有させることにより、基材との相互作用や硬化物の強度を非常に優れたものとすることができ、基材と硬化物との界面や、硬化物の内部に熱水やアルカリ性の溶液が入り込むことを抑制し、熱水やアルカリ性の溶液に浸漬させた後においても非常に優れた密着性を発現することができると考えられる。
なお、本明細書において、「熱水」とは、常圧において80℃以上に加熱した水、即ち、常圧において80℃以上100℃以下の温度の水を意味する。
【0011】
<リン酸エステル基を有する重合性モノマー>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、リン酸エステル基を有する重合性モノマーを含有する。本発明において、リン酸エステル基を有する重合性モノマーを含有することにより、例えば、前記基材がガラスである場合には、リン酸エステル基部分が基材を溶解することにより、基材と組成物との相互作用を向上させ、組成物の硬化物と基材とに非常に高い密着性を発現させることができる。
【0012】
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーにおける重合性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
【0013】
また、前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーが、分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーであることが好ましく、分子内に3個の重合性官能基を有する前記多官能モノマーであることが更に好ましい。
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーが、分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーであると、熱水やアルカリ性の溶液に浸漬させた後における、前記組成物の硬化物と基材との密着性をより優れたものとすることができる。
【0014】
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(重合性官能基数:1)、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート(重合性官能基数:1)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリロイルオキシジハイドロジェンホスフェート(重合性官能基数:5)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記酸性基を有する重合性モノマーとしては、市販品を用いることができる。
前記市販品としては、例えば、SR9050NS(サートマー社製、重合性官能基数1)、SR9051NS(サートマー社製、重合性官能基数3)、ライトアクリレートP-1A(N)(共栄社化学株式会社製、重合性官能基数1)などが挙げられる。
【0015】
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量としては、組成物全量に対して、3質量%以上10質量以下が好ましい。
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量が組成物全量に対して、3質量%以上10質量以下であると、熱水やアルカリ性の溶液に浸漬させた後においても、硬化物と基材との間に非常に優れた密着性を発現することができる。さらに、前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量が組成物全量に対して、3質量%以上10質量以下であると、接液による耐劣化性や、吐出安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型組成物を得ることができる。
前記接液とは、例えばインクジェット印刷であればインクジェットヘッドのような、活性エネルギー線硬化型組成物を付与するために用いる治具等の部材が、活性エネルギー線硬化型組成物と接触することを表す。
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量が10質量%を超える場合、特に金属部材と接触させた時に金属部材が劣化する場合があるため、接液による耐劣化性の観点から前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量は10質量%以下であることが好ましい。
【0016】
<ポリエステル樹脂>
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ポリエステル樹脂は、前記リン酸エステル基におけるリン酸エステル基と類似の化学構造を有するため、各分子の親和性が高い。このため、前記ポリエステル樹脂と前記リン酸エステル基を有するモノマーとを併用することによって、得られる硬化物の硬度をより高めることができ、硬化物の凝集破壊の抑制効果を向上させることができる。
【0017】
前記ポリエステル樹脂としては、モノマー類(例えば、モノマー、有機溶剤など)等との相溶性の観点から、モノマーや有機溶剤等に溶解するポリエステル樹脂であることが好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記ポリエステル樹脂としては、市販品を用いることができる。
前記市販品としては、例えば、UVAD-081(株式会社大阪ソーダ社製、数平均分子量1,400)、UVAD-085(株式会社大阪ソーダ社製、数平均分子量2,000)、バイロンGK-810(東洋紡株式会社製、数平均分子量6,000)、バイロン200(東洋紡株式会社製、数平均分子量17,000)、バイロンGK-360(東洋紡株式会社製、数平均分子量16,000)、バイロン600(東洋紡株式会社製、数平均分子量16,000)などが挙げられる。
また、前記ポリエステル樹脂は不飽和結合を有するポリエステル樹脂であることが好ましい。前記ポリエステル樹脂は不飽和結合を有するポリエステル樹脂であると、熱水やアルカリ性の溶液に浸漬させた後における、硬化物と基材との密着性をより優れたものとすることができる。
前記不飽和結合を有するポリエステル樹脂としては、例えば、UVAD-081(株式会社大阪ソーダ社製、数平均分子量1,400)、UVAD-085(株式会社大阪ソーダ社製、数平均分子量2,000)などが挙げられる。
【0019】
前記ポリエステル樹脂の数平均分子量としては3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、500以上2,000以下がさらに好ましい。前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が3,000以下であると、硬化物と基材との密着性を向上させることができる。さらに、前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が3,000以下であると、組成物の吐出安定性を向上させることができる。
【0020】
前記ポリエステル樹脂の含有量としては、組成物全量に対して、3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。前記ポリエステル樹脂の含有量が3質量%以上15質量%以下であると、熱水やアルカリ性の溶液に浸漬させた後においても、硬化物と基材との密着性を非常に優れたものとすることができる。さらに、前記ポリエステル樹脂の含有量が3質量%以上15質量%以下であると、組成物の吐出安定性を向上させることができる。
【0021】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、前記リン酸エステル基を有する重合性モノマー以外の重合性化合物、重合開始剤、重合促進剤、色材、有機溶媒、その他の成分などが挙げられる。
【0022】
<<リン酸エステル基を有する重合性モノマー以外の重合性化合物>>
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマー以外の重合性化合物としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマー以外の重合性化合物としては、例えば、重合性モノマー、重合性オリゴマーなどが挙げられる。
【0023】
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマー以外の重合性化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビニルピロリドン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、エトキシ化ノニルフェニルアクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、等の単官能重合性化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)ヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3-メチルー1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸付加物、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等の多官能重合性化合物が挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、(メタ)アクリル酸付加物とは、アクリル酸付加物又はメタクリル酸付加物を表し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表す。
【0024】
前記リン酸エステル基を有する重合性モノマー以外の重合性化合物としては、分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーであることが好ましい。
前記分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーの含有量としては、組成物全量に対して、25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。前記分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーの含有量が25質量%以下であると、熱水やアルカリ性の溶液に浸漬させた後においても、硬化物と基材との密着性を非常に優れたものとすることができる。
【0025】
<<重合開始剤>>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5~20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
【0026】
<<色材>>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
<<有機溶媒>>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0028】
<<その他の成分>>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他の成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
【0029】
<活性エネルギー線硬化型組成物の調整>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調整手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調整することができる。
【0030】
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定はされないが、基材と活性エネルギー線硬化型組成物の相互作用をより高め、より優れた密着性を発現する観点から、25℃において40mPa・s以下であることが好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
上記粘度は、例えば、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-25Lにより、コーンロータ(1°34'×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水によって温度を25℃に設定し測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
【0031】
<活性エネルギー線>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
【0032】
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2図3A図3Dに示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。
【0033】
図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3A図3Dは、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
【0034】
図3Aでは、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射している。続いて、図3Bでは、活性エネルギー線4の照射により所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成している。続いて、図3Cでは、可動ステージ3を下げている。続いて、図3Dでは、活性エネルギー線4の照射により、得られた硬化層6の上にさらに硬化層6を形成している。
【0035】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものなどが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられるが、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、特に金属、プラスチック、ガラス、セラミックス等の非浸透性基材において良好な硬化物を形成することができる。
また、基材の形状としては、例えば、平面形状の基材でもよいし、ボトルのような非平面形状などが挙げられる。
【0036】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、単体で用いてもよく、更に別の組成物と組み合わせて用いてもよい。
前記別の組成物と組み合わせて用いる例としては、例えば、基材上に付与した本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の上に、別の組成物(例えば、顔料含有組成物)を付与し、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物をプライマーとする形で用いてもよい。
【0037】
(活性エネルギー線硬化型インク組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有することができる。
【0038】
(インクジェット用インク組成物)
本発明のインクジェット用インク組成物は、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有することができる。
【0039】
(組成物収容容器)
本発明の組成物収容容器は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び本発明のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかが収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
【0040】
(2次元又は3次元の像形成装置及び2次元又は3次元の像形成方法)
本発明の2次元又は3次元の像形成装置は、本発明の組成物収容容器と、活性エネルギー線を照射する照射手段と、を有し、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出手段を有していてもよく、さらに必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の2次元又は3次元の像形成方法は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び本発明のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかに、活性エネルギー線を照射する照射工程を含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
なお、本発明の2次元又は3次元の像形成装置を、像形成装置と称することがある。
また、本発明の2次元又は3次元の像形成方法を、像の形成方法と称することがある。本発明の像の形成方法は、少なくとも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、光が好ましく、特に波長220nm~400nmの紫外線が好ましい。紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
【0041】
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
【0042】
(硬化物)
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び本発明のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかを硬化させてなる。
活性エネルギー線硬化型組成物としては、前記活性エネルギー線硬化型組成物と同様のものを用いることができ、活性エネルギー線硬化型インク組成物としては、前記活性エネルギー線硬化型インク組成物と同様のものを用いることができ、インクジェット用インク組成物としては、前記インクジェット用インク組成物と同様のものを用いることができる。
【0043】
(加飾体)
本発明の加飾体は、基材と、本発明の硬化物を有し、前記基材上に前記硬化物からなる表面装飾を有し、さらに必要に応じてその他の部材を有する。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられる。
前記基材の形状としては、例えば、平面形状であってもよく、円筒形のような非平面形状であってもよい。
【0044】
(積層体)
本発明の積層体は、ガラス板と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物、本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び本発明のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかの硬化物と、樹脂フィルムと、をこの順に積層して有し、さらに必要に応じてその他の部材を有する。
前記硬化物の層の平均厚みとしては、5μm以上20μm以下が好ましい。前記硬化物の層の平均厚みが5μm以上20μm以下であると、前記ガラス板と前記樹脂フィルムとの接着性、及び形成された積層体の柔軟性を向上させることができる。
【0045】
(フレキシブルデバイス用部材)
本発明のフレキシブルデバイス用部材は、本発明の積層体を有し、さらに必要に応じてその他の部材を有する。
【0046】
(フレキシブルデバイス)
本発明のフレキシブルデバイス用部材は、本発明の積層体を有し、さらに必要に応じてその他の部材を有する。
【実施例0047】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0048】
(調製例1~27)
-活性エネルギー線硬化型組成物1~27の調製-
表1から表7に示す組成を常法で混合攪拌し、活性エネルギー線硬化型組成物1~27を調製した。
具体的には、まず各モノマー類、ポリエステル樹脂、及び重合禁止剤を混合攪拌し、ポリエステル樹脂及び重合禁止剤を溶解させた。次に、重合開始剤を添加して混合攪拌し、重合開始剤を溶解させ、活性エネルギー線硬化型組成物を得た。
攪拌は、常温下で、撹拌機スリーワンモータ(新東科学株式会社製)を用いて行った。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
なお、使用した材料の詳細については、以下の通りである。
[リン酸エステル基を有する重合性モノマー]
・SR9050NS:サートマー社製、重合性官能基数1
・SR9051NS:サートマー社製、重合性官能基数3
・ライトアクリレートP-1A(N):共栄社化学株式会社製、重合性官能基数1;化合物名:2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート
[ポリエステル樹脂]
・UVAD-081:株式会社大阪ソーダ社製、数平均分子量1,400、不飽和結合を有するポリエステル樹脂
・UVAD-085:株式会社大阪ソーダ社製、数平均分子量2,000、不飽和結合を有するポリエステル樹脂
・バイロンGK-810:東洋紡株式会社製、数平均分子量6,000
・バイロン802:東洋紡株式会社製、数平均分子量3,000
[その他の重合性化合物]
・環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製
・テトラヒドロフルフリルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製
・ジプロピレングリコールジアクリレート:東京化成工業株式会社製
・トリメチロールプロパントリアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製
[重合開始剤]
・omnirad TPO:IGM社製
・omnirad 819:IGM社製
[重合禁止剤]
・BHT:東京化成工業株式会社製
【0057】
(活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物の調製)
ブラック顔料(商品名:MOGUL-E(カーボンブラック)、オリオン株式会社製)15質量部、分散剤(商品名:BYK167、ビックケミー社製)5質量部、及びテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)80質量部を、直径2mmジルコニアビーズを充填(充填率:43体積%)した300mLボールミルに入れ、分散温度25℃で70回転/分間で、180時間分散させて、ブラック顔料分散体を調製した。
表8に示す組成を常法で混合攪拌し、活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物1~3を調製した。
具体的には、まず各モノマー類、及び重合禁止剤を混合攪拌し、重合禁止剤を溶解させた。次に、重合開始剤を添加して混合攪拌し、重合開始剤を溶解させた。最後にブラック顔料分散体を添加して攪拌し、活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物を得た。
攪拌は、常温下で、撹拌機スリーワンモータ(新東科学株式会社製)を用いて行った。
【0058】
【表8】
【0059】
(実施例1)
得られた調製例1の活性エネルギー線硬化型組成物を、インクジェットヘッドMH5420(株式会社リコー製)、及びウシオ電機株式会社製のメタルハライドランプ(3000mJ/cm)を有するインクジェット印刷装置に充填し、ヘッドと基材面のギャップ1mm、1.5mg/cmの付着量となるように、ガラス基材(S9213、松浪硝子工業株式会社製)上に4cm四方のベタ画像を印刷し、印刷物1を得た。
【0060】
(実施例2~20及び比較例1~7)
実施例1において、調製例1の活性エネルギー線硬化型組成物を調製例2~27の活性エネルギー線硬化型組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、印刷物2~20、24~30を得た。
【0061】
(実施例21)
得られた調製例1の活性エネルギー線硬化型組成物を、インクジェットヘッドMH5420(株式会社リコー製)、及びウシオ電機株式会社製のメタルハライドランプ(3000mJ/cm)を有するインクジェット印刷装置に充填し、ヘッドと基材面のギャップ1mm、1.5mg/cmの付着量となるように、ガラス基材(S9213、松浪硝子工業株式会社製)上に4cm四方のベタ画像を印刷した。
続けて、印刷した調製例1の活性エネルギー線硬化型組成物の上に、得られた調製例24の活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物1を印刷し、印刷物21を得た。活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物1の印刷は、得られた活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物1を、インクジェットヘッドMH5420(株式会社リコー製)、及びウシオ電機株式会社製のメタルハライドランプ(3000mJ/cm)を有するインクジェット印刷装置に充填し、ヘッドと基材面のギャップ1mm、1.5mg/cmの付着量で、4cm四方のベタ画像を印刷するようにして行った。
【0062】
(実施例22~23)
実施例21において、活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物1を、活性エネルギー線硬化型ブラック顔料インク組成物2~3に変更した以外は、実施例21と同様にして、印刷物22~23を得た。
【0063】
次に、実施例1~23及び比較例1~7で得られた印刷物1~30において、以下のようにして、「熱水浸漬後の密着性」及び「アルカリ性の溶液浸漬後の密着性」、調製例1~27の活性エネルギー線硬化型組成物を用いた「吐出安定性」を評価した。結果を表9に示す。
【0064】
(熱水浸漬後の密着性)
得られた印刷物を、画像部分及び基材の全てが浸かるように、90℃に加熱した熱水中に20分間浸漬させた。
浸漬後、印刷物を取り出してすぐに、画像表面に付着している水滴をふき取り、テープ剥離試験を行った。
テープ剥離試験は、画像部分にテープ(CT-24、ニチバン株式会社製)を貼り付けて強く圧着した後、画像面に対して90°の方向に一気に素早く剥離し、テープを剥離した後の画像面を目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。なお、評価基準における「画像の剥がれ」とは、「活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物」が剥がれた場合を意味する。
[評価基準]
◎:テープ剥離後に画像の剥がれが見られない
〇:テープ剥離後にわずかに画像の剥がれが見られる
×:テープ剥離後に全面的に画像の剥がれが見られる、又は熱水に浸漬している最中に画像が剥がれる
【0065】
(アルカリ性の溶液浸漬後の密着性)
得られた印刷物を、画像部分及び基材の全てが浸かるように、80℃に加熱した3質量%水酸化ナトリウム水溶液中に20分間浸漬させた。
浸漬後、印刷物を取り出してすぐに、画像表面に付着している水滴をふき取り、テープ剥離試験を行った。
テープ剥離試験は、画像部分にテープ(CT-24、ニチバン株式会社製)を貼り付けて強く圧着した後、画像面に対して90°の方向に一気に素早く剥離し、テープを剥離した後の画像面を目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。なお、評価基準における「画像の剥がれ」とは、「活性エネルギー線硬化型組成物の硬化物」が剥がれた場合を意味する。
[評価基準]
◎:テープ剥離後に画像の剥がれが見られない
〇:テープ剥離後にわずかに画像の剥がれが見られる
×:テープ剥離後に全面的に画像の剥がれが見られる、又は3質量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬している最中に画像が剥がれる
【0066】
(吐出安定性)
インクジェットヘッドMH5420(株式会社リコー製)を備えた拡張型塗布装置EV2500(株式会社リコー製)において、調製例1~27の活性エネルギー線硬化型組成物をそれぞれ充填し、ヘッドのヒーターをつけてヘッド内の組成物を加温した状態で、30分間吐出し続けたときの吐出状態をカメラで観察し、以下の評価基準に従って評価した。
吐出状態の観察は、4列ある吐出口のうち、1列に対して観察を行った。
[評価基準]
◎:すべてのノズルから吐出している
〇:不吐出が観察されるノズルの数が1個以上15個未満である
△:不吐出が観察されるノズルの数が15個以上30個未満である
×:不吐出が観察されるノズルの数が30個以上である
【0067】
【表9】
【0068】
次に、調製例1、3、8、9、13、14、18及び21の活性エネルギー線硬化型組成物において、以下のようにして、「積層体の密着性」を評価した。結果を表10に示す。
【0069】
(積層体の密着性)
ポリエステルフィルム(A4360、厚み:75μm、東洋紡株式会社製)上に、調製した活性エネルギー線硬化型組成物を、硬化後の平均厚みが10μmとなるように基材の幅方向(塗布方向に対して垂直な方向)全面の領域に塗布した。次に、塗布した活性エネルギー線硬化型組成物の上に、ガラス板(G-leaf、日本電気硝子株式会社製)を重ねた後、LED照射装置(365nm、3000mJ/cm、Heraeus社製)にてLEDを照射し、積層体を作製した。
作製した積層体において、ポリエステルフィルムの端部に切れ目を入れ、そこからポリエステルフィルムを手で引っ張って剥がし、以下の評価基準に従って評価した。
[評価基準]
〇:容易に剥がすことができない
×:容易に剥がれる
【0070】
【表10】
【0071】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> リン酸エステル基を有する重合性モノマー、及びポリエステル樹脂を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物である。
<2> 分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーをさらに有する前記<1>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<3> 前記分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーの含有量が、25質量%以下である前記<2>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<4> 前記ポリエステル樹脂が、不飽和結合を有するポリエステル樹脂である前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<5> 前記ポリエステル樹脂の含有量が、3質量%以上15質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<6> 前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が、2,000以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<7> 前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーの含有量が、3質量%以上10質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<8> 前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーが、分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーである前記<1>から<7>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<9> 前記リン酸エステル基を有する重合性モノマーが、分子内に3個の重合性官能基を有する前記多官能モノマーである前記<8>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク組成物である。
<11> 前記<10>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を含有することを特徴とするインクジェット用インク組成物である。
<12> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<10>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<11>に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかが収容されていることを特徴とする組成物収容容器である。
<13> 前記<12>に記載の組成物収容容器と、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置である。
<14> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<10>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<11>に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかに、活性エネルギー線を照射する照射工程を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法である。
<15> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<10>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<11>に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかを硬化させてなることを特徴する硬化物である。
<16> 基材と、前記<15>に記載の硬化物を有し、
前記基材上に前記硬化物からなる表面装飾を有することを特徴とする加飾体である。
<17> 前記基材の形状が円筒形である前記<16>に記載の加飾体である。
<18> ガラス板と、
前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<10>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<11>に記載のインクジェット用インク組成物の少なくともいずれかの硬化物と、
樹脂フィルムと、をこの順に積層して有することを特徴とする積層体である。
<19> 前記<18>に記載の積層体を有することを特徴とするフレキシブルデバイス用部材である。
<20> 前記<18>に記載の積層体を有することを特徴とするフレキシブルデバイスである。
【0072】
前記<1>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<10>に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、及び前記<11>に記載のインクジェット用インク組成物、前記<12>に記載の組成物収容容器、前記<13>に記載の2次元又は3次元の像形成装置、前記<14>に記載の2次元又は3次元の像形成方法、前記<15>に記載の硬化物、前記<16>から<17>に記載の加飾体、前記<18>に記載の積層体、前記<19>に記載のフレキシブルデバイス用部材、及び前記<20>に記載のフレキシブルデバイスによると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 貯留プール
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
3 可動ステージ
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31、32 支持体用吐出ヘッドユニット
33、34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
38 可動ステージ
39 像形成装置
4 活性エネルギー線
5 活性エネルギー線硬化型組成物
6 硬化層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2015-034240号公報
【特許文献2】特開2012-162615号公報
【特許文献3】特開2015-513601号公報
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D