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特開2024-56083通信システム、発信装置、及び通信方法
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  • 特開-通信システム、発信装置、及び通信方法 図1
  • 特開-通信システム、発信装置、及び通信方法 図2
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  • 特開-通信システム、発信装置、及び通信方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056083
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】通信システム、発信装置、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 23/02 20060101AFI20240412BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G08C23/02
H04L12/44 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024036180
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2022518464の分割
【原出願日】2020-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔久
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】椎名 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小野 央也
(72)【発明者】
【氏名】辻 幸嗣
(57)【要約】
【課題】本発明は、有線およびモバイル回線/IoT無線等によらず自動検針が可能な通信システム、発信装置、及び通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る検針システム303は、水道管50内を流れる水道水の流量を測定する流量計11と、流量計11が流量を測定する水道管50に対して音波を発信する発信機能(スピーカ)を持つ流量発信装置30と、流量計11と離れた場所に配置され、流量計11が配置された水道管と同一系統の水道管50から前記音波を受信する受信機能(マイク)を持つ流量収集装置40と、を備える。つまり、検針システム303は、流量受信装置40が、水道管50内の水または水道管50を通信媒体として、音波により流量発信装置30から流量を取得することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設された、1つから複数に分岐する配管の分岐先のそれぞれの前記配管に配置され、前記配管又は前記配管内の流体に対して音波を送信する複数の送信器と、
分岐前の前記配管に配置され、前記配管又は前記流体を伝搬する前記音波を受信する1つの受信器と、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記流体に関する物理量を測定する測定器をさらに備え、
前記送信器は、前記測定器が測定した前記物理量を任意の変調方式で変調して前記音波を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の通信システムを複数備え、
前記音波以外の媒体でそれぞれの前記受信器と通信し、前記受信器から前記音波の情報を収集する管理装置をさらに備えることを特徴とする通信システム。
【請求項4】
前記流体の物理量で発電し、前記送信器と前記受信器の少なくとも一方に電力を供給する発電器をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
敷設された、1つから複数に分岐する配管の分岐先のそれぞれの前記配管に送信器を配置すること、
分岐前の前記配管に1つの受信器を配置すること、
前記送信器から前記配管又は前記配管内の流体に対して音波を送信すること、及び
前記受信器で前記配管又は前記流体を伝搬する前記音波を受信すること、
を行う通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠方にある配管内の流体の物理量を配管や流体を利用して伝達する通信システム、発信装置、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上水道サービスにおいては、サービス利用者である家庭や事業所への水道管に流量計が設置され、その流量を計測することで、利用量に応じた、課金を行っている。この流量の計測値の取得作業を、ここでは検針と呼ぶ。
【0003】
この検針は、従来、検針者による目視による読み取りで行われてきた。しかし、検針者による検針は、設置個所による読み取りの困難さが発生することや、また取得日時の差が生じることや、人手であることによるコスト増、また、検針者の確保に課題があった。
【0004】
そこで、人手によらない検針(ここでは自動検針と呼ぶ)のために、通信回線が用いられてきた(例えば、非特許文献1を参照。)。具体的には、従来は、アナログ電話回線やISDN回線を用いることが多かったが、近年では、モバイル回線、ADSLや光回線の利用も行われる(例えば、非特許文献2を参照。)。
【0005】
自動検針のシステムモデルを図1に示す。流量計11を持つセンタ端末10が、有線/無線で接続されたセンタ装置20にその流量を報告することで、センタ装置は、複数の家庭、事業所などに設置された流量計を、人手によらず検針することができる。更に、有線の通信回線やモバイルを避け、LPWA(Low Power Wide Area)などのIoT用の無線を利用した自動化も提案されている(例えば、非特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】渡辺征二,“最近の自動検針システム,計測と制御”,1978,17巻,12号,p.899-906
【非特許文献2】https://www.ntt-tc.co.jp/service/kensin/water.html(2020年3月31日検索)
【非特許文献3】松井進,“IoT システムの技術動向と実用化に向けた取り組み”,電子情報通信学会論文誌C,J100-C,4,p.151-158 (2017).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水道の流量計は、ガスメータや電気メータと異なり、地上/屋外露出部ではなく、地中などの配線が困難な場所や電波の届きにくい場所に設置されることが多い。このため、有線およびモバイル回線/IoT無線等による自動検針が困難という課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、有線およびモバイル回線/IoT無線等によらず自動検針が可能な通信システム、発信装置、及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る通信システムは、水道の流量計による計測データを水道管または水道管内の水を媒体とした音波信号によって伝送することとした。
【0010】
具体的には、本発明に係る通信システムは、
敷設された配管又は前記配管内の流体に対して音波を送信する送信器と、
前記配管又は前記流体を伝搬する前記音波を受信する受信器と、
を備える。
【0011】
また、本発明に係る発信装置は、
敷設された配管内の流体の物理量を測定する測定器と、
前記測定器が測定した前記物理量を任意の変調方式で変調して音波を生成し、前記配管又は前記流体に対して前記音波を送信する送信器と、
を備える。
【0012】
さらに、本発明に係る通信方法は、
敷設された配管又は前記配管内の流体に対して音波を送信すること、及び
前記配管又は前記流体を伝搬する前記音波を受信すること、
を行う。
【0013】
本通信システム、本発信装置及び本通信方法は、敷設されている配管及びその内部の流体を利用して通信を行うため、配線が困難な場所や電波の届きにくい場所であっても自動検針が可能である。従って、本発明は、有線およびモバイル回線/IoT無線等によらず自動検針が可能な通信システム、発信装置、及び通信方法を提供することができる。
【0014】
本発明に係る通信システムは、前記流体に関する物理量を測定する測定器をさらに備え、前記送信器は、前記測定器が測定した前記物理量を任意の変調方式で変調して前記音波を生成することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る通信システムは、前記音波以外の媒体で前記受信器と通信し、前記受信器から前記音波の情報を収集する管理装置をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る通信システムは、前記流体の物理量で発電し、前記送信器と前記受信器の少なくとも一方に電力を供給する発電器をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、有線およびモバイル回線/IoT無線等によらず自動検針が可能な通信システム、発信装置、及び通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】自動検針システムを説明する図である。
図2】本発明に係る通信システムを説明する図である。
図3】本発明に係る通信システムを説明する図である。
図4】本発明に係る通信システムを説明する図である。
図5】本発明に係る通信システムを説明する図である。
図6】本発明に係る通信システムを説明する図である。
図7】本発明に係る通信システムを説明する図である。
図8】本発明に係る通信システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
なお、以下の説明では、配管が水道管であり、流体が水道水である例を説明するが、本発明は、この例に限定されず、気体や液体を流すシステムに適用することができる。
【0021】
(実施形態1)
本実施形態では、敷設された配管又は前記配管内の流体に対して音波を送信する送信器と、前記配管又は前記流体を伝搬する前記音波を受信する受信器と、を備える通信システムを説明する。当該通信システムは、前記流体に関する物理量を測定する測定器をさらに備える。前記送信器は、前記測定器が測定した前記物理量を任意の変調方式で変調して前記音波を生成する。
【0022】
図2は、本実施形態の通信システムを水道の検針システム301に適用した例である。検針システム301は、
水道管50内を流れる水道水の流量を測定する流量計11と、
流量計11が流量を測定する水道管50に対して音波を発信する発信機能(スピーカ)を持つ流量発信装置30と、
流量計11と離れた場所に配置され、流量計11が配置された水道管と同一系統の水道管50から前記音波を受信する受信機能(マイク)を持つ流量収集装置40と、
を備える。
つまり、検針システム301は、流量受信装置40が、水道管50内の水または水道管50を通信媒体として、音波により流量発信装置30から流量を取得することができる。
【0023】
なお、前記送信器が流量発信装置30に、前記受信器が流量収集装置40に、前記測定器が流量計11に相当する。
【0024】
(実施形態2)
ここで、流量発信装置30と流量受信装置40は、水道の流れの向きに依存しない。
【0025】
まず、流量発信装置30が上流、流量受信装置40が下流にある検針システム302を説明する。図3は、検針システム302を説明する図である。検針システム302は、図2で説明した検針システム301に、音波以外の媒体で受信器(流量受信装置40)と通信し、受信器(流量受信装置40)から音波の情報(流量)を収集する管理装置(センタ装置20)をさらに備える。
【0026】
検針システム302は、水道管50に配置したセンタ端末10と、センタ端末10と有線/無線の回線60などで別の場所に設置されたセンタ装置20を備える。センタ端末10は、検針システム301で説明した流量計11、流量発信装置30及び流量受信装置40を有する。検針システム302は、流量計11が測定した流量を流量発信装置30から水道管50を介して流量受信装置40に通知し、さらに、流量受信装置40から回線60でセンタ装置20に流量情報を報告することができる。
【0027】
回線60は、家庭/事業所内に別途設けられ、外部と通信する既存の回線である。その家庭/事業所内の水道管50に配置された流量計11が測定した流量を流量発信装置30と流量受信装置40を介して回線60に伝え、センタ装置20に通知することができる。検針システム302には、流量受信装置40を回線60と接続しやすい場所に配置すれば、流量計10の位置を移動することや新たな配線を設置することの必要が無いという効果がある。
【0028】
(実施形態3)
次に、流量受信装置40が上流、流量発信装置30が下流にある検針システム303を説明する。図4は、検針システム303を説明する図である。検針システム303は、センタ型システムであって、センタ装置20として流量受信装置40が、利用者の異なる複数のセンタ端末10の流量発信装置30からの情報を収集することができる。この時、流量受信装置40が、異なる流量発信装置30を識別するために、流量発信装置30は発信する情報にユニークな識別子を付けることが好ましい。
【0029】
検針システム303は、流量発信装置30と流量受信装置40を用いることで、複数の家庭/事業所(センタ端末10)の流量計11とセンタ装置20を接続することができる。検針システム303は、水道管50を利用することで新たな回線を利用することなく複数の家庭/事業所の自動検針を行うことができる。
【0030】
(実施形態4)
図5は、本実施形態のセンタ型の検針システム304を説明する図である。図5では水道管50の記載を省いている。検針システム304は、1つのセンタ装置20が複数のセンタ端末10と回線60で接続された構成である。さらに、それぞれのセンタ端末10は、図4で説明したように、1つの流量受信装置40が複数の流量発信装置30から流量を受信する構成である。
【0031】
センタ型システムにおける流量受信装置40は、必ずしも水の送出設備に配置する必要はない。音波の到達範囲を考慮し、図5のように水道管50毎の流量発信装置30を水道管50の枝でまとめた単位で流量受信装置40を配置することが好ましい。そして、センタ装置20は、図3で説明したように、回線60を用いて複数の流量受信装置40を管理してもよい。つまり、複数の流量発信装置30と流量受信装置40を一体のセンタ端末10とみなし、センタ装置20に接続する構成とすることができる。
【0032】
(実施形態5)
また、図6のような構成とすることもできる。図6は、検針システム305を説明する図である。検針システム305は、図4の検針システム303と図5の検針システム304とを組み合わせた構成である。流量発信装置(30-1、30-2)と流量受信装置40-1は図4の検針システム303の構成である。一方、流量発信装置30-3、流量受信装置40-2、及びセンタ装置20は、図5の検針システム304の構成である。
【0033】
(実施形態6)
実施形態1から5で、測定器が水道水の流量を測定する流量計11である場合を説明した。測定器は、流量に限らず、物理量として濁りや色、残留塩素濃度等の水道管および水道水の状態や品質を測定してもよい。この場合、流量発信装置30は、流量受信装置40にその物理量を音波で伝達する。
【0034】
(実施形態7)
本実施形態では、流量発信装置30と流量受信装置40について説明する。図7は、流量発信装置30と流量受信装置40の構成を説明する図である。
【0035】
流量発信装置30は、流量計11、スピーカ等の発信部13、および読取/制御部12を有する。読取/制御部12は、流量計11の値を取得し、これを送信するタイミングを制御し、適切な音波の変調方式で変調する。発信部13は、変調された流量の値を音波に変換して水道管50又は水道管50中の水に発信する。
【0036】
流量受信信装置40は、マイク等の受信部24、および制御部/出力部22を有する。受信部24は、水道管50又は水道管50中の水から、流量発信装置30が発信した音波を取得する。制御部/出力部22は、受信部24が取得した音波信号を流量値に変換し、外部装置で読み取り可能な信号を出力する。
【0037】
読取/制御部12が流量を取得し、音波を発信するタイミングはタイマや時刻に基づいてもよい。また、当該タイミングは、流量受信装置40からの要求に応じてもよい。この場合、流量発信装置30と流量受信装置40との間で双方向通信する必要がある。双方向通信する場合、流量発信装置30はマイク等の受信部14をさらに有し、流量受信装置40はスピーカなどの発信部23をさらに有する。流量受信装置40の制御部/出力部22は、所望のタイミングで発信部23から指示信号の音波を水道管50又は水道管50中の水に出力させる。
【0038】
流量受信装置40の制御部/出力部22は、所望のタイミングで発信部23から指示信号の音波を水道管50又は水道管50中の水に出力させる。流量発信装置30の受信部14は、水道管50又は水道管50中の水を介して流量受信装置40から送信されてきた指示信号の音波を受信する。読取/制御部12は、当該指示信号に基づいて流量計11から流量を取得する。このように、流量受信装置40から流量発信装置30の動作を制御することができる。
【0039】
なお、発信部13や発信部23は、発信する音波として、超音波、可聴音波のいずれかまたは両方を使うことができる。
【0040】
また、受信部(14、24)は、対向装置の発信部(23、13)の音波を取得するだけでなく、自装置の発信部(13、23)の音波も取得することがあり、近端漏話による通信品質劣化を防ぐための発信時のエコーキャンセルを行うことができる。
【0041】
また、双方向通信にするために、発信部(13、23)は、それぞれの発信タイミングを時分割する。時分割は、流量受信装置40からのタイミング信号に基づくことができる。また、水道管の伝搬時間を想定したガードタイムを設けることができる。
また、双方向通信にするために、発信部(13、23)は、それぞれの周波数を分割してもよい。時分割と周波数分割を組み合わせることもできる。
【0042】
センタ型の検針システムは、流量の自動発信する場合、それぞれの流量発信装置30の発信時刻をずらすか、周波数をずらすか、その両方の組み合わせにより、複数の流量発信装置30からの信号が混信しないようにする。
【0043】
信号は、エラー検知をするための、符号化を行うこともできる。
【0044】
信号は、改ざん、盗聴を防ぐために、暗号化を行うこともできる。
【0045】
水流による雑音で受信部(14、24)が音波を受信できない場合、発信部(13、23)は、時間を改めて再送する。例えば、家庭における水利用は瞬間的であることが多く、多くの時間に水流が停止しており、発信部(13、23)は、この時間に再送することが好ましい。
【0046】
流量発信装置30と流量受信装置40の間の通信は、水道管媒体による伝番時間と水媒体による伝搬時間の差による音波の波形歪が起きる。あるいは水媒体における音波の多重反射による波形歪が起きる。これらを補正するために、流量発信装置30と流量受信装置40の間の通信をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調で行うことが好ましい。
【0047】
流量発信装置30は、流量の他、自装置のエラー/電池残量などの自装置状態を流量受信装置40へ発信することができる。これにより、センタ装置20は、検針の他、メンテナンスの要否のための情報をリモートで取得できる。結果として、管理者は、流量計11の設置からの経過年月などの一律のメンテナンスではなく、必要な機器のみへのメンテナンスが可能となる。同様に、管理者は、各装置の停止や故障前にメンテナンスを行うことができる。
【0048】
(実施形態8)
図2から図6で説明した検針システムは、前記流体の物理量で発電し、前記送信器と前記受信器の少なくとも一方に電力を供給する発電器をさらに備えることができる。
流量発信装置30または流量受信装置40は、自身で電力を調達するため、熱電変換装置または水流による発電装置等(以下、水力発電装置)の発電器を有することができる。また、流量発信装置30または流量受信装置40は、蓄電池も有しており、前記発電器は、蓄電池を充電することができる。
【0049】
例えば、流量発信装置30または流量受信装置40は、水流による水道管の振動、または、設置された場所の地殻の振動を電力へ変換することができる。発電器により流量発信装置30または流量受信装置40の動作のための一次電池の寿命を延伸、または、一次電池を不要とすることができる。
【0050】
図8は、水道管と地中又は外気の温度差を利用する熱電変換装置70の例を説明する図である。熱電変換装置70は、第1熱交換部71、第2熱交換部72、熱伝達部73、及び設置箱蓋74を備える。
第1熱交換部71は、水道管50および水道管50中の水との熱交換を行う。ここで、第1熱交換部71は流量発信装置30と一体とすることもできる。
第2熱交換部72は、蓋74の表表面に設置することで、地表と効率よく熱交換を行うことができる。熱交換部73は、熱伝達率の高い物質であり、蓋74の裏表面に取り付けるか、金属製の蓋74と一体とすることで、効率的に熱交換ができる。
【0051】
第1熱交換部71の熱を熱伝達部73で第2熱交換部72に具備された熱電素子に伝達する、又は第2熱交換部72の熱を熱伝達部73で第1熱交換部71に具備された熱電素子に伝達する。これにより地表付近温度と、水温との温度差を利用した熱電変換が可能となる。水温はほぼ安定しており、一方の外気温は、天気、季節、昼夜などの環境変化で大きく変化し、水温との温度差が生じやすい。この温度差を利用して電力を発生し、流量発信装置30または流量受信装置40に供給する。
【0052】
発電器として水力発電装置を用いてもよい。水力発電装置には、水道管の水中に水流を電力に変換するタービン発電機を利用することができる。また、流量計として羽車式が使われている場合、その羽車式を共用し、その回転軸の回転を歯車等で発電モータに伝えてもよい。また、水力発電装置は、水流に負荷を与え、水道の送出ポンプへの負荷、または、蛇口水圧を低下させることとなる。そのため、水圧低下などの発電効率低下の際には、発電を停止することができる。また、蓄電池に十分に電荷が充電された際には、発電を停止することができる。
【0053】
(効果)
本検針システムは、水道管や水道管の水を音波信号の通信媒体とすることで、無線/有線の回線が物理的に利用しにくい場所での自動検針を行うことができる。例えば、本検針システムは、有線/無線の回線が利用しやすい場所まで、流量などの情報を伝達することができる。また、電力供給が困難な場合、本検針システムは、発電器および蓄電池を備えることとで継続的に動作させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る通信システムは、家庭や事業所に設置された水道の流量計の検針および水道管および水道水の品質測定に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10:センタ端末
11:流量計
12:読取/制御部
13:発信部
14:受信部
20:センタ装置
22:制御/出力部
23:発信部
24:受信部
30:流量発信装置
40:流量受信装置
50:水道管
60:回線
70:熱電変換装置
71:第1熱交換部
72:第2熱交換部
73:熱交換部
74:蓋
301~305:検針システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8