(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056137
(43)【公開日】2024-04-22
(54)【発明の名称】荷電粒子システムのための電力消費の低減
(51)【国際特許分類】
H01J 37/141 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
H01J37/141 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174011
(22)【出願日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】22200647
(32)【優先日】2022-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ファン ローイ コルネー
(72)【発明者】
【氏名】ビショフ マールテン
(72)【発明者】
【氏名】マコーマック ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】スミット カスペル
(72)【発明者】
【氏名】フェールフック マルセル
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101AA04
5C101AA05
5C101BB03
5C101BB04
5C101BB09
5C101EE53
5C101EE63
5C101EE68
5C101GG20
5C101GG22
5C101GG25
5C101LL06
(57)【要約】
【課題】先行技術の短所及び不利点を克服するかあるいは少なくとも軽減する。すなわち、待機モードにあるときに荷電粒子光学を備えているシステムの電力消費を低減する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、荷電粒子システムの電力消費を低減するための方法に関するものであり、荷電粒子システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素と、少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリと、を備え、本方法は、荷電粒子システムを待機モードで運転する工程を含み、荷電粒子システムの総電力消費は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、低減される。更に、本発明は、それぞれの荷電粒子システムに関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子システムの電力消費を低減するための方法であって、
前記荷電粒子システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素と、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリと、を備え、
当該方法は、前記荷電粒子システムを待機モードで運転する工程を含み、前記荷電粒子システムの総電力消費が、前記荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、低減される、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々が、それぞれの要素温度を備え、
当該方法は、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つのそれぞれの温度設定点を判定することを更に含み、
前記荷電粒子システムを前記待機モードで運転することは、
前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素の前記冷却を低減及び/又は停止することと、
前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素の前記それぞれの要素温度を前記それぞれの温度設定点に安定化させることと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、電流駆動され、当該方法は、それぞれの電流を前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記それぞれの要素温度を安定化させることは、関連付けられた荷電粒子光学要素にそれぞれの待機電流を提供することを含み、
前記それぞれの待機電流を提供することは、前記関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される前記それぞれの待機電流を制御することを含む、
請求項3に記載の、及び請求項2に記載の特徴を有する方法。
【請求項5】
前記関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される前記それぞれの待機電流を制御することは、前記荷電粒子システムを前記動作モードで運転することと比較して、平均電流を低減することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記関連付けられた荷電粒子光学要素の前記それぞれの要素温度を安定化させることは、前記関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することを含み、
前記それぞれの待機電流を制御することは、前記関連付けられた荷電粒子光学要素の前記現在の要素温度を前記それぞれの温度設定点と比較し、前記比較に基づいて、前記提供されたそれぞれの待機電流を調整することを含む、
請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される前記それぞれの待機電流を制御することは、前記関連付けられた荷電粒子光学要素に供給される前記平均電流を低減するように、前記待機電流を変調することを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記待機モードで運転する前記荷電粒子システムの前記電力消費は、前記荷電粒子システムを前記動作モードで運転することと比較して、少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%低減される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、電磁レンズである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記荷電粒子システムは、荷電粒子ビーム顕微鏡システムである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
荷電粒子システムであって、
少なくとも1つの荷電粒子光学要素と、
前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリと、を備え、
当該荷電粒子システムは、少なくとも2つの構成、すなわち、動作構成及び待機構成を採るように構成されている、
荷電粒子システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、電流駆動され、
前記動作構成では、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、それぞれの動作電流が提供され、
前記待機構成では、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに、少なくとも平均して前記動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される、
請求項11に記載の荷電粒子システム。
【請求項13】
前記動作構成では、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々が、それぞれの動作温度にあり、
前記それぞれの動作温度が、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々についてそれぞれの温度設定点を定義し、
前記待機構成では、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つが、前記それぞれの温度設定点に安定化される、
請求項11又は12に記載の荷電粒子システム。
【請求項14】
前記動作構成では、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、前記冷却アセンブリによって冷却され、
前記待機構成では、前記少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つが、前記冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない、
請求項11~13のいずれか一項に記載の荷電粒子システム。
【請求項15】
前記システムが、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の荷電粒子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、荷電粒子光学の分野に関するものであり、具体的には、例えば、荷電粒子ビーム顕微鏡システムで使用される電磁レンズに関する。より具体的には、本発明は、荷電粒子システム及びそれぞれの荷電粒子システムの電力消費を低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム顕微鏡システムは、マイクロスケール又はナノスケールシステム、例えば、サンプル、の正確な観察、特徴付け、及び/又は製造に広く使用されている。荷電粒子の使用により、これらのシステムは、有利には、光の使用に依存する従来の光学顕微鏡システムよりも高い解像度を提供することができる。実際には、荷電粒子ビーム顕微鏡システムでは、通常、数十pm~数百nmの範囲の解像度を可能にする。かかるシステムは、例えば、電子ビーム顕微鏡又はイオンビーム顕微鏡であり得る。
【0003】
従来の光学顕微鏡システムと同様に、荷電粒子ビーム顕微鏡システムは、荷電粒子ビームを操作する(例えば、合焦させる)ための荷電粒子光学、特にレンズ、を必要とする。かかる荷電粒子光学は、一般的には、光学媒体が光線に作用するのと同様に、荷電粒子に電磁場が作用することに基づいている。荷電粒子ビーム顕微鏡システムでは、荷電粒子光学は、特に電磁レンズを備え得る。
【0004】
具体的には、電磁レンズは、電磁石又は単にコイルとも称される少なくとも1つの電磁コイルを備え得る。これらのシステムは、配線抵抗のため、数アンペアほど、例えば、1~20Aの範囲の電流を必要とし、また、システムに相当な熱を導入する。したがって、荷電粒子光学は、システムの異なる構成要素の熱膨張及び熱収縮に起因する熱ドリフトを誘導し得る。したがって、典型的には、システムを熱的に安定化させ、かつ熱ドリフトを回避するために、更には、過熱によってコイル及び/又は他の要素が損傷するのを防止するために、能動冷却が提供される。
【0005】
しかしながら、荷電粒子光学のシステムを利用する室温でのシステムは、システム及び特に荷電粒子光学をオンにした後に安定化させるのに相当な時間かかる。すなわち、システムをオンにした後にシステムが安定になるまでに何時間もかかり得る。更に、システムが安定化する起動時間中に生じるシステムのドリフトによって、以前に行った調整が、システムの状態にもはや適合しなくなる。全体的に、これは、ユーザにはそのシステムが使用不可であることを意味する。したがって、現在の荷電粒子ビーム顕微鏡システムは、典型的には、温度の安定性及び性能を保証するために、24時間、週7日にわたって運転されている。換言すれば、現在、かかるシステムは、オフにすることが実用的ではないので、性能の可用性を保証するために24/7にわたってオンにすることが標準的である。
【0006】
しかしながら、荷電粒子光学を利用する荷電粒子システムにおける、例えば、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)などの荷電粒子ビーム顕微鏡システムにおける電力使用のかなりの部分は、温度安定性及び性能を維持するために、光学システム及び当該光学システムの冷却に起因し得る。換言すれば、温度安定性及び性能は、システムが現在使用中でないとき、すなわち、システムがアイドルモードであるときであっても、高い電力消費という代償を伴う。加えて、性能要求の増加は、一般的には、どちらも光学力及び冷却に影響を及ぼす光学力及び/又は温度安定性の要求の増加につながる。同様に、特定の荷電粒子システムの最大定電力の導入は、システムがアイドル状態であるときの荷電粒子光学の電力使用を増加させ得る。これに関して、最大定電力とは、それぞれの荷電粒子システムの最大加速電圧までの荷電粒子光学要素の正味合焦力とは無関係に電力散逸が一定であるように、荷電粒子光学要素、例えば、荷電粒子光学要素、の複数のコイルを駆動することを指し得、最大加速電圧は、例えば、120kV、200kV、300kV、又は400kvのうちの1つであり得る。
【0007】
一般的には、エネルギーを節約し、温室効果ガス当量を低減し、規則を遵守し、及び/又はコストを削減するために、電力消費を低減する必要性が存在する。しかしながら、上で提供した理由のため、電力を節約するために、単に光学(又はシステム全体)を使用しないときにオフにすることは、許容可能ではない。これは単に、実用的ではなく、システムを使用不可にし得る。
【0008】
上記を鑑みて、先行技術の短所及び不利点を克服するか、又は少なくとも軽減することが目的である。すなわち、本発明の目的は、待機モードにあるときに、荷電粒子光学を備えているシステムの電力消費を低減するための方法及びシステムを提供することである。
【0009】
これらの目的は、本発明によって満たされる。
【発明の概要】
【0010】
第1の実施形態では、本発明は、荷電粒子システムの電力消費を低減するための方法に関し、荷電粒子システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素と、少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリと、を備え、本方法は、荷電粒子システムを待機モードで運転する工程を含み、荷電粒子システムの総電力消費は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、低減される。すなわち、本方法は、荷電粒子システムのための待機モードを提供し、有利には、システムがアイドル状態であるとき、例えば、夜間及び/又は週末に、電力/エネルギーを節約することができるように、通常動作モードと比較して総電力消費が低減される。電力を節約することに加えて、ユーザに対する別の主な利益は、本方法が、電力の節約と、待機モードと動作モードとの間で切り替えるときの熱安定化時間を最小にすることとを組み合わせていることであり得る。
【0011】
少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々は、それぞれの要素温度を備え得、本方法は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つのそれぞれの温度設定点を判定することを更に含み得、荷電粒子システムを待機モードで運転することは、当該少なくとも1つの荷電粒子光学要素の冷却を低減及び/又は停止することと、当該少なくとも1つの荷電粒子光学要素のそれぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させることと、を含み得る。「当該少なくとも1つの荷電粒子光学要素」は、「少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つ」として理解されるべきであることが理解されるであろう。換言すれば、システムを待機モードで運転するときに、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つの冷却が少なくとも低減され、好ましくは停止され、一方で、当該少なくとも1つの荷電粒子光学要素の温度をそれぞれの温度設定点に安定化させる。これは、有利には、冷却アセンブリ及び少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを通じた電力消費を低減することを可能にし得、一方で、理想的には、システムの熱ドリフトを低減及び/又は回避するためにその温度を維持することを可能にし得る。その結果、これは、更に有利には、待機モードから動作モードに切り替えた後の熱安定化までの期間をより短くすることを可能にし得る。少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つの温度を、好ましくは、当該要素に提供される電流を介して安定化させ得、この電流は、冷却を伴う通常動作中に提供される電流と比較して大幅に低くなり得る。
【0012】
更に、いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの温度設定点を判定することと、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々の冷却を低減及び/又は停止することと、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させることと、を含み得る。すなわち、好ましくは、冷却は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の全てに対して低減され、それぞれの要素温度を、それぞれ、判定された温度設定点に安定化させる。
【0013】
それぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させることは、一般的には、温度設定点からの特定の偏差、例えば、測定誤差の範囲、を許容し得ることが理解されるであろう。特に、要素温度は、システムの性能が所望の用途に対して十分に安定になるように、関連付けられた荷電粒子光学要素について維持され得る。具体的には、それぞれの要素温度を安定化させることは、関連付けられた荷電粒子光学要素のそれぞれの要素温度を、それぞれの温度設定点の90%~110%以内に、好ましくは95%~105%以内に、より好ましくは99%~101%以内に維持することを含み得、すなわち、それに応じて、要素温度を安定化させる少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの要素温度が維持され得る。
【0014】
少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの当該のもの又は各々の冷却を低減及び/又は停止することは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの当該のもの又は各々に対する冷却流体の流れをそれぞれ低減及び/又は停止することを含み得る。すなわち、冷却アセンブリ、例えば、チラーは、流体ベースであり得る。冷却流体は、水であり得る。一般的には、冷却アセンブリは、荷電粒子システムの他の要素を冷却するように構成され得る。
【0015】
荷電粒子システムを待機モードで運転することは、冷却アセンブリをオフにすることを含み得る。冷却アセンブリをオフにすることは、冷却アセンブリによって冷却されるシステムの全ての要素をオフにすること、又は当該全ての要素をそれぞれの要素固有の待機モードにすることを含み得る。換言すれば、いくつかの実施形態では、冷却アセンブリは、システムを待機モードで運転するときに完全にオフにされ得る。これは、システムの総電力消費を更に低減することを可能にし得るので有利であり得る。冷却アセンブリがシステムの他の構成要素/要素も冷却するように構成されている場合、冷却がオフにされることによりいかなる損傷も生じないことを確実にするために、これらの要素もまた、オフにされ得るか、又は要素固有の待機モードにされ得る。
【0016】
システムを動作モードで運転することは、それぞれ、少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却することを含み得る。すなわち、動作モード中に、すなわちシステムを動作モードで運転しているとき、少なくとも1つの荷電粒子光学要素が冷却され得る。
【0017】
荷電粒子システムを待機モードで運転することは、システムが待機構成を採ることを含み得る。追加的又は代替的に、荷電粒子システムを動作モードで運転することは、システムが動作構成を採ることを含み得る。すなわち、システムは、システムを運転するモードに応じて、例えば、弁位置、システム構成要素(システム要素とも称される)のオン/オフ動作の状態、などに関して、特定の構成を採り得る。
【0018】
関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点は、それぞれ、動作モード中に判定され得、すなわち、それぞれの温度設定点が判定される少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について、それぞれの温度設定点が、動作モード中にそれぞれ判定され得る。換言すれば、当該それぞれの温度設定点は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つの各々について、動作モード中にそれぞれ判定され得、特定の実施形態では、「少なくとも1つのうちの少なくとも1つについて」はまた、「少なくとも1つの各々」を包含し得ることが理解される。すなわち、動作モード中に、荷電粒子光学要素の各々は、典型的には、一定温度であり、これは、荷電粒子光学要素提供されるエネルギー、例えば、電流、及び冷却アセンブリによる冷却の結果である。典型的には、例えば、最新技術において既知であるシステムのように、通常動作中の冷却と電流との間には、いかなる能動的フィードバックループも存在し得ない。したがって、それぞれの温度は、例えば、通常動作中のそれぞれの要素温度に基づき得る。いくつかの実施形態では、単に、それぞれの要素温度又はその平均値に対応し得る。
【0019】
任意のそれぞれの温度、それぞれの電流、それぞれの設定値、などは、それぞれの荷電粒子光学要素に常に関連付けられることが理解されるであろう。したがって、「関連付けられた荷電粒子光学要素」に言及するときはいつでも、それぞれの電流、設定値、温度、などに関連付けられた荷電粒子光学要素を意味する。具体的には、本方法は、例えば、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つのそれぞれの温度設定点を判定することを含み得、したがって、簡潔さ及び読み易さのために、当該方法の工程に言及するときは、関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点を判定すること、と称され得る。したがって、「関連付けられた荷電粒子光学要素」という用語は、それぞれのパラメータ/変数が判定される、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つの各々を指し得る。同様に、関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点に言及するときは、それが、それぞれの温度設定点が判定される少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つのそれぞれの温度設定点を指すことが理解されるであろう。
【0020】
関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点は、荷電粒子システムを待機モードで運転する前にそれぞれ判定され得、すなわち、それぞれの温度設定点が判定される少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について判定され得、それぞれの温度設定点は、荷電粒子システムを待機モードで運転する前にそれぞれ判定され得る。いくつかの実施形態では、関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点は、荷電粒子システムを待機モードで運転する直前にそれぞれ判定され得る。すなわち、それぞれの温度設定点が判定される少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について、それぞれの温度設定点は、荷電粒子システムを待機モードで運転する直前にそれぞれ判定され得る。すなわち、それぞれの温度設定点は、待機モードに入る前に、好ましくは待機モードに入る直前に判定され得る。これは、有利には、それぞれの温度設定点が動作モードにおける最新の設定に対応することを確実にすることを可能にし得る。
【0021】
少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、電流駆動され得、本方法は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々にそれぞれの電流を提供することを含み得る。すなわち、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、それぞれの電流が提供され得、電流は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について異なり得る。そのような場合、本方法は、システムを動作モードで運転するときに、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々にそれぞれの動作電流を提供することを含み得る。すなわち、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々は、個々の荷電粒子光学要素の間で異なり得るそれぞれの動作電流が提供され得、動作中に、特定の必要性、例えば、電磁レンズの焦点距離、に合わせて調整され得る。本システムは、電流駆動されない荷電粒子のための他の光学要素を更に備え得ることに留意されたい。しかしながら、少なくとも1つの荷電粒子光学要素が電流駆動される実施形態では、かかる他の光学要素は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の一部であるとみなされない。
【0022】
本方法は、動作モード中に、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの電流設定点を判定することを更に含み得る。それぞれの電流設定点は、それぞれの動作電流に対応し得る。
【0023】
それぞれの要素温度を安定化させることは、関連付けられた荷電粒子光学要素に、すなわち、要素温度を安定化させる少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、それぞれの待機電流を提供することを含み得る。更に、それぞれの待機電流を提供することは、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することを含み得る。換言すれば、待機電流は、冷却がオフにされているにもかかわらずそれぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させるように制御され得る。これは、有利には、動作電流と比較して、大幅に少ない待機電流をもたらし得る。追加的に、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することは、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、平均電流を低減することを含み得る。すなわち、少なくとも、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供される平均電流が低減され得る。追加的又は代替的に、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することは、それぞれの動作電流と比較して、平均電流を低減することを含み得る。平均待機電流は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%低減され得る。
【0024】
関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することは、関連付けられた荷電粒子光学要素に供給される平均電流を低減するように当該待機電流を変調することを含み得る。更に、それぞれの待機電流を変調することは、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)を含み得る。電流を変調することは、有利には、システムがそのために設計されていない場合に、例えば、システムが1Aなどの特定の閾値よりも低い電流を安定的に提供及び/又は測定するように構成されていない場合に、電流が低くなり過ぎることを回避することを可能にし得る。変調を通じて、電流振幅をより高くすることができるが、それでも平均電流は、変調された電流のデューティサイクル及び/又はスイッチング周波数に基づいて低減される。
【0025】
一般的には、相対的な熱変動、すなわち、所望の温度の5%、好ましくは1%を超える熱変動を回避するために、電流は、例えば、数Hzを超える、スイッチング周波数で変調され得る。換言すれば、これが待機モードであるとすれば、変動は、ある程度まで許容することができるが、動作モードの熱安定性がシステムの性能にとって重要であるので、待機モードから動作モードへの移行は、許容可能な変動に関する要求がより厳しくなり得る。すなわち、熱変動自体は、待機モードにおいて問題にならない場合があるが、一般的には、システムを迅速かつ信頼性の高い様式で熱的に安定な動作モードに戻ることができることが必要であり得る。したがって、待機モードでの変動は、少なくとも、安定な動作モードに十分高速に戻ることを可能にする程度に制限され得る。それぞれの待機電流を変調することは、1Hz又は3Hzなどの、少なくとも0.01Hz、好ましくは少なくとも0.1Hzのスイッチング周波数での変調を含み得る。すなわち、典型的なシステムでは、待機電流の変調は、1/10Hzの低さであり得る。しかしながら、より一般的には、最小周波数は、システムの熱質量(したがって、熱時定数)に結びつけられ得る。したがって、スイッチング周波数は、最終的には、システムの熱質量に依存し得、例えば、典型的なシステムよりも高い熱質量を有するシステムは、より低い、例えば、0.1Hzよりも低い、潜在的に0.01Hzよりも低い、スイッチング周波数を可能にし得る。
【0026】
更に、それぞれの待機電流を変調することは、平均電流を所望のレベルまで低下させ、電気ドライバシステムの、例えば、電流源の、動作閾値よりも高く有効電流を維持するのに十分であるように選択されるデューティサイクルによる変調を含み得る。かかる平均電流のレベルは、例えば、典型的には、対物レンズについては、約2Aであり得、他のレンズについては、それよりも低くなり得る。
【0027】
システムを待機モードで運転するとき、それぞれの最大待機電流は、関連付けられた荷電粒子光学要素のそれぞれの電流設定点に維持され得る。すなわち、関連付けられた荷電粒子光学要素の電流設定点は、待機モードに切り替えるときに維持され得るが、荷電粒子光学要素に提供される平均電流は、パルス幅変調により、例えば、電流ドライブ/源のオン/オフにより、低減される。換言すれば、提供される電流は、依然として動作電流に等しくなり得るが、変調により、当該電流は、平均電流が依然としてより低くなるように、信号の変調に基づくパルスでのみ提供される。
【0028】
提供されるそれぞれの待機電流を変調することは、電流源のオン/オフを繰り返し切り替えることを含み得る。すなわち、パルス幅変調の単純な形態は、例えば、固定スイッチング周波数で、電流源のオン/オフを繰り返し切り替えることによって、例えば、それぞれの電流源/ドライバのオン/オフをトグルすることによって、達成され得る。
【0029】
荷電粒子システムは、複数の荷電粒子光学要素を備え得、本方法は、関連付けられた荷電粒子光学要素へのそれぞれの待機電流を順次変調して、パワーサージを低減及び/又は防止することを含み得る。換言すれば、それぞれの電流の変調は、例えば、最大値の重なりを可能な限り少なくすることを確実にすることによって、電力サージが低減されるように、互いに対して同調され得る。
【0030】
待機モードでは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の電力消費は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、低減され得る。特に、待機モードで運転する荷電粒子システムの電力消費は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%低減され得る。この低減は、動作電流と比較して低減された待機電流により達成され得る。
【0031】
本方法は、システムを待機モードで運転した後に、システムを動作モードでの運転に戻すことを更に含み得る。すなわち、例えば、ユーザは、例えば、サンプルの測定及び/又は撮像を実行するために、荷電粒子システムを再度動作モードにすることが必要であることを示し得る。システムを動作モードでの運転に戻すことは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの当該のもの又は各々の冷却を再確立及び/又は開始することを含み得る。更に、システムを動作モードでの運転に戻すことは、それぞれの動作電流を荷電粒子光学要素の各々に提供することを含み得る。
【0032】
追加的又は代替的に、システムを動作モードでの運転に戻すことは、それぞれの要素温度がそれぞれの温度設定点に安定化したときを判定して示すことを含み得る。これは、例えば、最長でも1時間、好ましくは最長でも30分、より好ましくは、数分などの、最長でも10分かかり得る。更に、それぞれの要素温度がそれぞれの温度設定点に安定化したときを判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することを含み得る。すなわち、システムを待機モードから動作モードに切り替えるとき、例えば、荷電粒子システムの熱慣性により、それぞれの温度設定点からのそれぞれの要素温度の偏差が存在し得る。したがって、システムは、要素温度が再びそれぞれの温度設定点に落ち着いたときを判定して示し得る。これは、有利には、再度システムが完全に動作可能になったときをユーザが知ることを可能にし得る。指示は、例えば、スクリーン上の光、例えば、LED、又はメッセージなどの、視覚的指示を提供することを指し得る。しかしながら、指示はまた、例えば、変数、例えば、ブール変数、の値を変更すること、又はメッセージを送信することを指し得る。
【0033】
関連付けられた荷電粒子光学要素のそれぞれの要素温度を安定化させることは、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することを含み得る。すなわち、それぞれの要素温度を安定化させる荷電粒子光学要素の各々について、当該安定化させることは、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することを含み得る。更に、それぞれの待機電流を制御することは、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度をそれぞれの温度設定点と比較し、当該比較に基づいて、提供されたそれぞれの待機電流を調整することを含み得る。追加的又は代替的に、それぞれの待機電流を制御することは、それぞれの温度設定点と、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度との間の誤差を判定し、当該誤差に基づいて、提供されたそれぞれの待機電流を調整することを含み得る。
【0034】
それぞれの温度設定点は、温度及び電気抵抗のうちの少なくとも1つであり得る。すなわち、抵抗もまたそれぞれの較正測定に基づく温度を示すので、温度設定点は、温度値及び/又は抵抗値であり得る。
【0035】
関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素の電気抵抗を判定することを含み得る。すなわち、それぞれの温度設定点が判定される荷電粒子光学要素の各々について、当該それぞれの温度設定点を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素の電気抵抗を判定することを含み得る。追加的又は代替的に、関連付けられた荷電粒子光学要素に対する(すなわち、それぞれの温度設定点が判定される荷電粒子光学要素の各々に対する)それぞれの温度設定点を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素に取り付けられた、又はその中にある専用の測定コイル及び/又は熱電対を通して、関連付けられた荷電粒子光学要素の温度を判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、関連付けられた荷電粒子光学要素に対する(すなわち、それぞれの温度設定点が判定される荷電粒子光学要素の各々に対する)それぞれの温度設定点を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素の平均温度及び/又は電気抵抗を判定することを含み得る。温度又は電気抵抗を平均することは、有利には、例えば、変調された電流などを通して、小さい変動を補償することを可能にし得る。
【0036】
一般的には、(平均)温度及び/又は抵抗の測定は、この変動が、待機モードの後に動作モードに戻るための許容可能な時間について判定される範囲内にあることを確実にするために十分であるように繰り返され得る。例えば、かかる測定は、少なくとも1分、2分、3分、5分、7分、又は10分ごとに繰り返され得る。しかしながら、一般的には、繰り返しレートはまた、急な温度勾配に対しては増加され得、温度が相対的に安定であるときには減少され得る。換言すれば、繰り返しレートは、現在の温度安定性に基づいて、及び/又は温度の変化中に、例えば、動作モードに戻すときに、調整され得る。
【0037】
一般的には、平均温度及び/又は抵抗は、ある測定間隔にわたって温度又は抵抗を平均することによって判定され得る。測定間隔は、例えば、1秒であり得る。しかしながら、測定間隔は、測定のノイズレベルに応じて増加又は減少され得る。いくつかの実施形態では、関連付けられた荷電粒子光学要素の平均温度及び/又は抵抗を判定することは、0.2~30秒、好ましくは0.5秒~10秒、より好ましくは、1秒などの、0.5秒以上~2秒にわたって温度及び/又は抵抗を平均することを含み得る。
【0038】
それぞれの温度設定点は、動作モード中の関連付けられた荷電粒子光学要素の温度及び/若しくは電気抵抗に、又はその平均に対応し得る。すなわち、それぞれの温度設定点は、動作モード中のそれぞれの関連付けられた荷電粒子光学要素の温度及び/若しくは電気抵抗に、又はその平均に対応し得る。
【0039】
現在の要素温度は、温度及び電気抵抗のうちの少なくとも1つであり得る。関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することは、その電気抵抗を判定することを含み得る。追加的又は代替的に、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素に取り付けられた、又はその中にある専用の測定コイル及び/又は熱電対を通じて、関連付けられた荷電粒子光学要素の温度を判定することを含み得る。関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素のための平均温度及び/又は電気抵抗を判定することを含み得る。
【0040】
ここでも、平均温度及び/又は抵抗は、ある測定間隔にわたって温度又は抵抗を平均することによって判定され得る。測定間隔は、一般的には、安定値が得られ得るように選択され得る。代替的に、より短い期間の複数のサンプルにわたって運転平均が使用され得る。測定間隔は、例えば、1秒であり得る。しかしながら、測定間隔は、測定のノイズレベルに応じて増加又は減少され得る。いくつかの実施形態では、関連付けられた荷電粒子光学要素の平均温度及び/又は抵抗を判定することは、0.2~30秒、好ましくは0.5秒~10秒、より好ましくは、1秒などの、0.5秒~2秒にわたって温度及び/又は電気抵抗を平均することを含む。
【0041】
上述したように、繰り返しレートは、一般的には、待機モードの後に動作モードに戻るための許容可能な時間について判定される範囲内にあることを確実にするために十分であるように選択され得る。例えば、かかる測定は、少なくとも1分、2分、3分、5分、7分、又は10分ごとに繰り返され得る。しかしながら、繰り返しレートは、急な温度勾配に対しては増加され得、温度が相対的に安定であるときには減少され得る。換言すれば、繰り返しレートは、現在の温度安定性及び/又は急な温度勾配の存在に基づいて調整され得る。場合によっては、繰り返しレートはまた、例えば、繰り返しレートの増加が望ましくあり得る、より短いサンプルの移動平均を使用することに起因して調整され得る。
【0042】
それぞれの温度設定点を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素の各々の個々の温度設定点をそれぞれ判定することを含み得る。すなわち、それぞれの温度設定点が判定される荷電粒子光学要素の各々について、それぞれの温度設定点を判定することは、個々の温度設定点を判定することを含み得る。個々の温度設定点は、他の荷電粒子光学要素のそれぞれの温度設定点から独立し得るが、必ずしも異なるとは限らない。
【0043】
それぞれの電流設定点は、動作モード中に、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される電流に、又はその平均に対応し得る。
【0044】
本方法は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の過熱を防止するために、システムを待機モードで運転するときに、少なくとも1つの安全対策を用いることを更に含み得る。少なくとも1つの安全対策は、最大電流閾値を設定し、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を、最大でも当該最大電流閾値に制限することを含み得る。最大電流閾値は、関連付けられた荷電粒子光学要素の各々について個々に設定され得る。すなわち、最大電流閾値は、それぞれの待機電流が提供される荷電粒子光学要素の各々について個々に設定され得る。代替的に、最大電流閾値は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の全てについて同じ値に設定され得る。最大電流閾値は、動作電流の5%~70%、好ましくは10%~50%、より好ましくは10%~30%の範囲であり得る。
【0045】
少なくとも1つの安全対策は、最大抵抗閾値を設定し、当該電流駆動される荷電粒子光学要素の電気抵抗が最大でも最大抵抗閾値になるように、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制限することを含み得る。最大抵抗閾値は、関連付けられた荷電粒子光学要素の各々について個々に設定され得る。すなわち、最大抵抗閾値は、それぞれの待機電流が提供される荷電粒子光学要素の各々について個々に設定され得る。代替的に、最大抵抗閾値は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の全てについて同じ値に設定され得る。最大抵抗閾値は、20℃で関連付けられた荷電粒子光学要素の抵抗の最大でも150%、好ましくは130%であり得る。例えば、関連付けられた荷電粒子光学要素のそれぞれの最大抵抗閾値は、その要素についてR20値の130%であり得、ここで、R20は、20℃の周囲温度での要素の抵抗である。
【0046】
関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流は、システムを待機モードで運転するときの動作電流の5%~70%、好ましくは10%~50%の範囲であり得る。システムを動作モードで運転するとき、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供される電流は、1Aを超え得る。
【0047】
本方法は、荷電粒子システムを動作モードでの運転から待機モードでの運転に自動的に切り替えるための待機時間をスケジュールすることを含み得る。追加的又は代替的に、本方法は、荷電粒子システムを待機モードでの運転から動作モードでの運転に自動的に切り替えるための動作時間をスケジュールすることを含み得る。更に、荷電粒子システムを待機モードでの運転から動作モードでの運転に自動的に切り替えるための動作時間をスケジュールすることは、スケジュールされた動作時間の前に、それぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させることを含み得る。これは、例えば、有利には、時間をスケジュールすることを可能にし得、システムは、必要に応じて戻って動作可能になることを確実にしながら、自動的に待機モードで運転する。例えば、システムは、典型的には使用されていない期間中に、例えば、夜間及び/又は週末に、待機モードに自動的に切り替えられ得る。当然ながら、かかる自動スケジュールは、例えば、勤務時間を超えて作業する場合に、ユーザによってオーバライド可能であり得ることが理解されるであろう。
【0048】
少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、電磁レンズであり得る。更に、電磁レンズは、コイルを備え得る。電磁レンズは、1つを超えるコイル、例えば、複数のコイルを備え得ることが理解されるであろう。
【0049】
荷電粒子システムは、荷電粒子ビーム顕微鏡システムであり得る。更に、荷電粒子システムは、電子顕微鏡であり得る。電子顕微鏡は、走査型電子顕微鏡であり得る。代替的に、電子顕微鏡は、透過型電子顕微鏡であり得る。更に、透過型電子顕微鏡は、走査型透過電子顕微鏡であり得る。
【0050】
本方法は、動作モードで運転しているときの荷電粒子システムの最大加速電圧までの全ての加速電圧にわたるそれぞれの荷電粒子光学要素の正味合焦力とは無関係に電力散逸が一定であるように、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを駆動することを含み得る。最大加速電圧は、例えば、120kV、200kV、300kV、又は400kVのうちの1つであり得る。これはまた、電力散逸がそれぞれのシステムのホール加速電圧範囲にわたって一定に保たれるので、「最大定電力」とも称され得る。
【0051】
本方法は、コンピュータ実装され得る。すなわち、本方法は、有利には、前述の方法に従ってシステムを制御する、コンピュータ、例えば、処理デバイス上で実施され得る。
【0052】
荷電粒子システムを待機モードで運転することは、それぞれの要素温度を安定化させる前に、待機移行期間を含み得る。すなわち、非常に一般的には、システムの待機モードでの運転の開始時に、それぞれの要素温度が安定化する前に、例えば、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の熱慣性により、冷却のスイッチをオフにして電流を低減した後に、移行期間が存在し得る。本方法は、待機移行期間中に、それぞれの動作電流からそれぞれの待機電流まで、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流をランプダウンさせることを更に含み得る。更に、ランプダウンは、関連付けられた光学要素及び/又はその冷却の熱慣性が補償されるように選択され得る。すなわち、提供された冷却と組み合わせた光学要素の熱慣性、例えば、冷却流体の熱慣性が補償され得る。例えば、ランプダウンレートは、熱慣性を補償するように選択され得る。追加的又は代替的に、電流のランプの進行は、熱慣性を補償するように選択され得、例えば、ランプは、線形的進行、多項式的進行、及び/若しくは指数関数的進行、又はそれらの組み合わせに従い得、傾斜もまた、それに応じて調整され得る。かかる電流のランプは、待機移行期間中の温度変動を低減及び/若しくは回避すること、並びに/又は待機移行期間を短縮することを可能にし得る。
【0053】
システムを動作モードでの運転に戻すことは、動作移行期間を含み得、本方法は、動作移行期間中にそれぞれの電流をそれぞれの動作電流までランプアップさせることを更に含み得る。更に、ランプアップは、関連付けられた光学要素及び/又はその冷却の熱慣性が補償されるように選択され得る。すなわち、提供された冷却と組み合わせた光学要素の熱慣性が補償され得、例えば、冷却流体の熱慣性が補償され得る。同様に、かかる電流のランプは、有利には、動作移行期間中の温度変動を低減及び/若しくは回避すること、並びに/又は動作移行期間を短縮することを可能にし得る。
【0054】
電気抵抗及び/又は平均電気抵抗を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される所与の電流によって生じる電圧を判定することを含み得る。すなわち、電気抵抗を判定するために、既知の電流に対する電圧が判定、例えば、測定され得る。電流と、電圧と、抵抗との関係により、それが抵抗を判定することを可能にすることが理解されるであろう。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、プログラムがコンピュータによって実行されたときに、コンピュータに上で説明した方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0056】
更なる一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素と、少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリと、を備える、荷電粒子システムに関する。少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、電流駆動され得る。
【0057】
本システムは、少なくとも2つの構成、すなわち、動作構成及び待機構成を採るように構成され得る。動作構成では、本システムを動作モードで運転し得、待機構成では、本システムを待機モードで運転し得る。動作構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、冷却アセンブリによって冷却され得る。対照的に、待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つは、冷却アセンブリによってあまり冷却され得ないか又は冷却され得ない。好ましくは、待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々は、冷却アセンブリによってあまり冷却され得ないか又は冷却され得ない。システムの構成は、例えば、弁位置、システム構成要素/要素のオン/オフの状態、設定点、などに関連し得る。
【0058】
動作構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、それぞれの動作電流が提供され得る。更に、待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供され得る。これは、有利には、待機モードでの電力消費を、したがって、システムの寿命にわたる全体的な電力消費を低減することを可能にすることができる。好ましくは、冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに、待機構成では、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される。更に好ましくは、待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供され得る。
【0059】
動作構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々は、それぞれの動作温度にあり得る。それぞれの動作温度は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々についてそれぞれの温度設定点を定義し得る。待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを、それぞれの温度設定点に安定化させ得る。これは、有利には、熱ドリフトを低減及び/又は回避することを可能にすることができる。好ましくは、待機構成では、冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを、及び/又は少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを、それぞれの温度設定点に安定化させ得る。更に好ましくは、待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々を、それぞれの温度設定点に安定化させ得る。
【0060】
本システムは、上で説明した方法を実行するように構成され得る。すなわち、本システムは、それぞれの方法を実行するための手段を備えている。
【0061】
本システムは、制御ユニットを備え得る。制御ユニットは、上で説明した方法を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、処理デバイスを備え得る。処理デバイスは、上で説明した方法を実行するように構成され得る。処理デバイスは、マイクロプロセッサ、CPU、GPU、若しくはFPGAのうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0062】
本システムは、複数の荷電粒子光学要素を備え得る。追加的又は代替的に、少なくとも1つの荷電粒子光学要素は、電磁レンズであり得る。電磁レンズは、コイルを備え得る。電磁レンズはまた、1つを超えるコイル、例えば、複数のコイルを備え得ることが理解されるであろう。
【0063】
少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々は、それぞれの要素温度を備え得る。システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々の電気抵抗及び/又は温度を判定するように構成され得る。判定された電気抵抗及び/又は温度は、それぞれの要素温度を示す。
【0064】
少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つは、それぞれの要素温度を示す信号を提供するように構成された熱電対を備え得る。追加的又は代替的に、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つは、それぞれの要素温度を示す信号を提供するために、専用の測定コイルを備え得る。
【0065】
本システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つの電気抵抗を判定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々の電気抵抗を判定するように構成され得る。判定された電気抵抗は、それぞれの温度設定点に対するそれぞれの要素温度を示し得る。ここでも、抵抗は、既知の電流に対する電圧を判定すること、例えば、測定することを通して判定され得る。
【0066】
本システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つのそれぞれの要素温度を、それぞれの温度設定点に安定化させるように構成された少なくとも1つの閉ループ制御システムを備え得る。いくつかの実施形態では、本システムは、それぞれの要素温度を、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの温度設定点に安定化させるように構成された閉ループ制御システムを備え得る。閉ループ制御システムは、PIDコントローラであり得る。例えば、閉ループ制御システムは、それぞれの要素温度を温度設定点に安定化させるために、現在の要素温度及びそれぞれの温度設定点に基づいて、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される待機電流を制御し得る。
【0067】
本システムは、変調された電流を提供するための少なくとも1つのパルス幅変調(pulse-width-modulation、PWM)コントローラを備え得る。ここでも、かかる変調は、例えば、待機電流の振幅が、別様に構成されているシステムのその振幅よりも低いときに有利であり得る。
【0068】
本システムは、システムによって採られる構成を変更するための物理的及び/又は仮想的なボタンを備え得る。これは、有利には、ユーザが、システムによって採られる構成及び/又はシステムが動作しているモードを故意に変更することを可能にし得る。
【0069】
荷電粒子システムは、荷電粒子ビーム顕微鏡システムであり得る。更に、荷電粒子システムは、電子顕微鏡であり得る。電子顕微鏡は、走査型電子顕微鏡であり得る。代替的に、電子顕微鏡は、透過型電子顕微鏡である。更に、透過型電子顕微鏡は、走査型透過電子顕微鏡であり得る。
【0070】
冷却アセンブリは、冷却流体の流れを提供するように構成され得る。更に、冷却流体は、水であり得る。待機構成では、冷却アセンブリは、冷却流体の低減された流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供し得る。好ましくは、待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の低減された流れを、冷却アセンブリによってあまり冷却され得ないか又は冷却され得ない、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供され得る、及び/又はそれぞれの温度設定点に安定化させる、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供し得る。更に好ましくは、待機構成では、冷却アセンブリは、冷却流体の低減された流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に提供し得る。追加的又は代替的に、待機構成では、冷却アセンブリは、冷却流体の流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供し得ない。好ましくは、待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の流れを、冷却アセンブリによってあまり冷却され得ないか又は冷却され得ない、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供され得る、及び/又はそれぞれの温度設定点に安定化させる、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供し得ない。更に好ましくは、待機構成では、冷却アセンブリは、冷却流体の流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に提供し得ない。いくつかの実施形態では、待機構成では、冷却アセンブリは、冷却流体の低減された流れを、任意のシステム構成要素に提供し得る。更に、待機構成では、冷却アセンブリは、冷却流体の流れを、いかなるシステム構成要素にも提供し得ない。
【0071】
本システムは、荷電粒子源を備え得る。荷電粒子源は、電子銃などの電子源であり得る。
【0072】
本システムは、検出器を更に備え得る。検出器は、電荷結合素子(charge-coupled device、CCD)を備え得る。いくつかの実施形態では、冷却アセンブリは、検出器を冷却するように更に構成され得る。検出器は、検出器待機モードを備え得る。更に、検出器は、検出器待機モードにあるときに冷却を必要としないように構成され得る。
【0073】
本システムは、少なくとも1つの電源ユニット(power supply unit、PSU)を備え得、少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、少なくとも1つの電源ユニットのうちの少なくとも1つに接続され得る。
【0074】
本システムは、本システムの最大加速電圧までの加速電圧にわたるそれぞれの荷電粒子光学要素の正味合焦力とは無関係に電力散逸が一定であるように、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを駆動するように構成され得る。最大加速電圧は、例えば、120kV、200kV、300kV、又は400kVのうちの1つであり得る。これはまた、電力散逸がそれぞれのシステムのホール加速電圧範囲にわたって一定に保たれるので、「最大定電力」とも称され得る。
【0075】
記載される方法の荷電粒子システムは、上で説明したシステムであり得る。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、上で説明した方法による、記載される粒子システムの使用に関する。
【0077】
本発明はまた、以下の番号付けされた実施形態によって定義される。
【0078】
以下では、方法の実施形態について考察する。これらの実施形態は、文字「M」とそれに続く数字によって略される。本明細書で「方法の実施形態」に言及するときはいつでも、これらの実施形態を意味する。
【0079】
M1.荷電粒子システムの電力消費を低減するための方法であって、荷電粒子システムが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素と、少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリと、を備え、本方法が、
荷電粒子システムを待機モードで運転する工程を含み、荷電粒子システムの総電力消費が、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、低減される、方法。
M2.少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々が、それぞれの要素温度を備え、
本方法が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つのそれぞれの温度設定点を判定することを更に含み、
荷電粒子システムを待機モードで運転することが、
当該少なくとも1つの荷電粒子光学要素の冷却を低減及び/又は停止することと、
当該少なくとも1つの荷電粒子光学要素のそれぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させることと、を含む、M1の方法の実施形態に記載の方法。
M3.本方法が、
少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの温度設定点を判定することと、
少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々の冷却を低減及び/又は停止することと、
少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させることと、を含む、M2の方法の実施形態に記載の方法。
M4.それぞれの要素温度を安定化させることが、対応する荷電粒子光学要素のそれぞれの要素温度を、それぞれの温度設定点の90%~110%以内に、好ましくは95%~105%以内に、より好ましくは99%~101%以内に維持することを含む、M2又はM3の方法の実施形態に記載の方法。
M5.少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの当該のもの又は各々の冷却を低減及び/又は停止することが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの当該のもの又は各々に対する冷却流体の流れをそれぞれ低減及び/又は停止することを含む、M2~M4の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M6.冷却流体が、水である、M5の方法の実施形態に記載の方法。
M7.冷却アセンブリが、荷電粒子システムの他の要素を冷却するように更に構成される、M1~M6の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M8.荷電粒子システムを待機モードで運転することが、冷却アセンブリをオフにすることを含む、M1~M7の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M9.冷却アセンブリをオフにすることが、冷却アセンブリによって冷却されるシステムの全ての要素をオフにすること、又は当該全ての要素をそれぞれの要素固有の待機モードにすることを含む、M8の方法の実施形態に記載の方法。
M10.システムを動作モードで運転することが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素をそれぞれ冷却することを含む、M1~M9の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M11.荷電粒子システムを待機モードで運転することが、システムが待機構成を採ることを含む、M1~M10の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M12.荷電粒子システムを動作モードで運転することが、システムが動作構成を採ることを含む、M1~M11の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M13.関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点が、それぞれ、動作モード中に判定される、M1~M12の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M14.関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点が、荷電粒子システムを待機モードで運転する前にそれぞれ判定される、M1~M13の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M15.関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点が、荷電粒子システムを待機モードで運転する直前にそれぞれ判定される、M14の方法の実施形態に記載の方法。
M16.少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、電流駆動され、本方法が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々にそれぞれの電流を提供することを含む、M1~M15の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
すなわち、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、それぞれの電流が提供され得、電流は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について異なり得る。
M17.本方法が、システムを動作モードで運転するときに、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々にそれぞれの動作電流を提供することを含む、M16の方法の実施形態に記載の方法。
M18.動作モード中に、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの電流設定点を判定することを更に含む、M16又はM17の方法の実施形態に記載の方法。
M19.それぞれの電流設定点が、それぞれの動作電流に対応する、M18の方法の実施形態に記載の、及びM17に記載の特徴を有する方法。
M20.それぞれの要素温度を安定化させることが、関連付けられた荷電粒子光学要素に、それぞれの待機電流を提供することを含む、M16~M19の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M21.それぞれの待機電流を提供することが、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することを含む、M20の方法の実施形態に記載の方法。
M22.関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することが、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、平均電流を低減することを含む、M21の方法の実施形態に記載の方法。
すなわち、少なくとも、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供される平均電流が低減される。
M23.関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することが、それぞれの動作電流と比較して、平均電流を低減することを含む、M21又はM22の方法の実施形態に記載の、及びM17に記載の特徴を有する方法。
M24.関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制御することが、関連付けられた荷電粒子光学要素に供給される平均電流を低減するように当該待機電流を変調することを含む、M21~M23の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M25.それぞれの待機電流を変調することが、パルス幅変調(PWM)を含む、M24の方法の実施形態に記載の方法。
M26.それぞれの待機電流を変調することが、1Hz又は3Hzなどの、少なくとも0.01Hz、好ましくは少なくとも0.1Hzのスイッチング周波数での変調を含む、M24又はM25の方法の実施形態に記載の方法。
M27.システムを待機モードで運転するとき、それぞれの最大待機電流が、関連付けられた荷電粒子光学要素のそれぞれの電流設定点に維持される、M24~M26の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM18に記載の特徴を有する方法。
すなわち、関連付けられた荷電粒子光学要素のそれぞれの電流設定点は、待機モードに切り替えるときに維持され得るが、荷電粒子光学要素に提供される平均電流は、パルス幅変調により、例えば、電流ドライブ/源のオン/オフにより、低減される。
M28.提供されるそれぞれの待機電流を変調することが、電流源のオン/オフを繰り返し切り替えることを含む、M24~M27の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
すなわち、パルス幅変調の単純な形態は、例えば、固定スイッチング周波数で、電流源のオン/オフを繰り返し切り替えることによって、例えば、それぞれの電流源/ドライバのオン/オフをトグルすることによって、達成され得る。
M29.荷電粒子システムが、複数の荷電粒子光学要素を備え、本方法が、関連付けられた荷電粒子光学要素へのそれぞれの待機電流を順次変調して、パワーサージを低減及び/又は防止することを含む、M24~M28の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M30.待機モードでは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の電力消費が、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、低減される、M1~M29の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M31.本方法が、システムを待機モードで運転した後に、システムを動作モードでの運転に戻すことを更に含む、M1~M30の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M32.システムを動作モードでの運転に戻すことが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの当該のもの又は各々の冷却を再確立及び/又は開始することを含む、M31の方法の実施形態に記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M33.システムを動作モードでの運転に戻すことが、それぞれの動作電流を荷電粒子光学要素の各々に提供することを含む、M31又はM32の方法の実施形態に記載の、及びM17に記載の特徴を有する方法。
M34.システムを動作モードでの運転に戻すことが、それぞれの要素温度がそれぞれの温度設定点に安定化したときを判定して示すことを含む、M31~M33の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M35.それぞれの要素温度がそれぞれの温度設定点に安定化したときを判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することを含む、M34の方法の実施形態に記載の方法。
M36.関連付けられた荷電粒子光学要素のそれぞれの要素温度を安定化させることが、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することを含む、M1~M35の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M37.それぞれの待機電流を制御することが、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度をそれぞれの温度設定点と比較し、当該比較に基づいて、提供されたそれぞれの待機電流を調整することを含む、M36の方法の実施形態に記載の、及びM21に記載の特徴を有する方法。
M38.それぞれの待機電流を制御することが、それぞれの温度設定点と、関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度との間の誤差を判定し、当該誤差に基づいて、提供されたそれぞれの待機電流を調整することを含む、M36又はM37の方法の実施形態に記載の、及びM21に記載の特徴を有する方法。
M39.それぞれの温度設定点が、温度及び電気抵抗のうちの少なくとも1つである、M1~M38の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M40.関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点を判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素の電気抵抗を判定することを含む、M1~M39の方法の実施形態のいずれかに記載の、並びにM2及びM16に記載の特徴を有する方法。
M41.関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点を判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素に取り付けられた、又はその中にある専用の測定コイル及び/又は熱電対を通じて、関連付けられた荷電粒子光学要素の温度を判定することを含む、M1~M40の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M42.関連付けられた荷電粒子光学要素に対するそれぞれの温度設定点を判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素の平均温度及び/又は電気抵抗を判定することを含む、M1~M41の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M43.関連付けられた荷電粒子光学要素の平均温度及び/又は抵抗を判定することが、0.2~30秒、好ましくは0.5秒~10秒、より好ましくは、1秒などの、0.5秒~2秒にわたって温度及び/又は電気抵抗を平均することを含む、M42の方法の実施形態に記載の方法。
M44.それぞれの温度設定点が、動作モード中の関連付けられた荷電粒子光学要素の温度及び/若しくは電気抵抗に、又はその平均に対応する、M1~M43の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M45.現在の要素温度が、温度及び電気抵抗のうちの少なくとも1つである、M1~M44の方法の実施形態のいずれかに記載の、並びにM35及び/又はM36に記載の特徴を有する方法。
M46.関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することが、その電気抵抗を判定することを含む、M1~M45の方法の実施形態のいずれかに記載の、並びにM16及びM35及び/又はM36に記載の特徴を有する方法。
M47.関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素に取り付けられた、又はその中にある専用の測定コイル及び/又は熱電対を通じて、関連付けられた荷電粒子光学要素の温度を判定することを含む、M1~M46の方法の実施形態のいずれかに記載の、並びにM35及び/又はM36に記載の特徴を有する方法。
M48.関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度を判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素のための平均温度及び/又は電気抵抗を判定することを含む、M1~M47の方法の実施形態のいずれかに記載の、並びにM35及び/又はM36に記載の特徴を有する方法。
M49.関連付けられた荷電粒子光学要素の平均温度及び/又は抵抗を判定することが、0.2~30秒、好ましくは0.5秒~10秒、より好ましくは、1秒などの、0.5秒~2秒にわたって温度及び/又は電気抵抗を平均することを含む、M48の方法の実施形態に記載の方法。
M50.それぞれの温度設定点を判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素に対する個々の温度設定点をそれぞれ判定することを含む、M1~M49の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM2に記載の特徴を有する方法。
M51.それぞれの電流設定点が、動作モード中に、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される電流に、又はその平均に対応する、M1~M50の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM18に記載の特徴を有する方法。
M52.本方法が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の過熱を防止するために、システムを待機モードで運転するときに、少なくとも1つの安全対策を用いることを含む、M1~M51の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M53.少なくとも1つの安全対策が、最大電流閾値を設定し、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を、最大でも当該最大電流閾値に限定することを含む、M52の方法の実施形態に記載の、及びM20に記載の特徴を有する方法。
M54.最大電流閾値が、関連付けられた荷電粒子光学要素の各々について個々に設定される、M53の方法の実施形態に記載の方法。
M55.最大電流閾値が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の全てについて同じ値に設定される、M54の方法の実施形態に記載の方法。
M56.最大電流閾値が、動作電流の5%~70%、好ましくは10%~50%、より好ましくは10%~30%の範囲である、M53~M55の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM17に記載の特徴を有する方法。
M57.少なくとも1つの安全対策が、最大抵抗閾値を設定して、当該電流駆動される荷電粒子光学要素の電気抵抗が最大でも最大抵抗閾値になるように、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流を制限することを含む、M52~M56の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM20に記載の特徴を有する方法。
M58.最大抵抗閾値が、関連付けられた荷電粒子光学要素の各々について個々に設定される、M57の方法の実施形態に記載の方法。
M59.最大抵抗閾値が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の全てについて同じ値に設定される、M58の方法の実施形態に記載の方法。
M60.最大抵抗閾値が、20℃で関連付けられた荷電粒子光学要素の抵抗の最大でも150%、好ましくは130%である、M57~M59の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M61.関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの待機電流が、システムを待機モードで運転するときの動作電流の5%~70%、好ましくは10%~50%の範囲である、M1~M60の方法の実施形態のいずれかに記載の、並びにM20及びM17に記載の特徴を有する方法。
M62.システムを動作モードで運転するときに、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流が、1A超である、M1~M61の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM16に記載の特徴を有する方法。
M63.平均待機電流が、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%低減される、M1~M62の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM22に記載の特徴を有する方法。
M64.待機モードで運転する荷電粒子システムの電力消費が、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%低減される、M1~M63の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M65.本方法が、荷電粒子システムを動作モードでの運転から待機モードでの運転に自動的に切り替えるための待機時間をスケジュールすることを含む、M1~M64の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M66.本方法が、荷電粒子システムを待機モードでの運転から動作モードでの運転に自動的に切り替えるための動作時間をスケジュールすることを含む、M1~M65の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M67.荷電粒子システムを待機モードでの運転から動作モードでの運転に自動的に切り替えるための動作時間をスケジュールすることが、スケジュールされた動作時間の前に、それぞれの要素温度をそれぞれの温度設定点に安定化させることを含む、M66の方法の実施形態に記載の方法。
M68.少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、電磁レンズである、M1~M67の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M69.電磁レンズが、コイルを備える、M68の方法の実施形態に記載の方法。
M70.荷電粒子システムが、荷電粒子ビーム顕微鏡システムである、M1~M69の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M71.荷電粒子システムが、電子顕微鏡である、M1~M70の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M72.電子顕微鏡が、走査型電子顕微鏡である、M71の方法の実施形態に記載の方法。
M73.電子顕微鏡が、透過型電子顕微鏡である、M72の方法の実施形態に記載の方法。
M74.透過型電子顕微鏡が、走査型透過電子顕微鏡である、M73の方法の実施形態に記載の方法。
M75.本方法が、コンピュータ実装される、M1~M74の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M76.荷電粒子システムを待機モードで運転することが、それぞれの要素温度を安定化させる前に、待機移行期間を含む、M1~M75の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
M77.本方法が、待機移行期間中に、それぞれの動作電流からそれぞれの待機電流まで、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流をランプダウンさせることを更に含む、M76の方法の実施形態に記載の、並びにM17及びM20に記載の特徴を有する方法。
M78.ランプダウンが、関連付けられた光学要素及び/又はその冷却の熱慣性が補償されるように選択される、M77の方法の実施形態に記載の方法。
M79.システムを動作モードでの運転に戻すことが、動作移行期間を含み、本方法が、動作移行期間中にそれぞれの電流をそれぞれの動作電流までランプアップさせることを更に含む、M1~M78の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM31に記載の特徴を有する方法。
M80.ランプアップが、関連付けられた光学要素及び/又はその冷却の熱慣性が補償されるように選択される、M79の方法の実施形態に記載の方法。
M81.電気抵抗及び/又は平均電気抵抗を判定することが、関連付けられた荷電粒子光学要素に提供される所与の電流によって生じる電圧を判定することを含む、M1~M80の方法の実施形態のいずれかに記載の、並びにM40、M42、M46、及びM48に記載のうちの少なくとも1つの特徴を有する方法。
M82.動作モードで運転しているときの荷電粒子システムの最大加速電圧までの全ての加速電圧にわたるそれぞれの荷電粒子光学要素の正味合焦力とは無関係に電力散逸が一定であるように、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを駆動することを含む、M1~M81の方法の実施形態のいずれかに記載の、及びM16に記載の特徴を有する方法。
【0080】
以下では、コンピュータプログラム実施形態について考察する。これらの実施形態は、文字「C」とそれに続く数字によって略される。本明細書で「コンピュータプログラムの実施形態」に言及するときはいつでも、これらの実施形態を意味する。
【0081】
C1.コンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータによって実行されたときに、コンピュータに、前述の方法の実施形態のいずれかに記載の方法を実行させる命令を備える、コンピュータプログラム製品。
【0082】
以下では、荷電粒子システムの実施形態に言及する。これらの実施形態は、文字「S」とそれに続く数字によって略される。本明細書で「システムの実施形態」に言及するときはいつでも、これらの実施形態を意味する。
【0083】
S1.荷電粒子システムであって、
少なくとも1つの荷電粒子光学要素と、
少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリと、を備える、荷電粒子システム。
S2.少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、電流駆動される、S1のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S3.本システムが、少なくとも2つの構成、すなわち、動作構成及び待機構成を採るように構成されている、S1又はS2のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S4.動作構成では、本システムを動作モードで運転し、待機構成では、本システムを待機モードで運転する、S3のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S5.動作構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、冷却アセンブリによって冷却される、S3又はS4のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S6.待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つが、冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない、S3~S5のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S7.待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々が、冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない、S3~S6のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S8.動作構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、それぞれの動作電流が提供される、S3~S7のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS2に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S9.待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される、S8のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S10.待機構成では、冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される、S8又はS9のシステムの実施形態に記載の、及びS6に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S11.待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される、S10のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S12.動作構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々が、それぞれの動作温度にある、S1~S11のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS3に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S13.それぞれの動作温度が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々についてそれぞれの温度設定点を定義する、S12のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S14.待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを、それぞれの温度設定点に安定化させる、S13のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S15.待機構成では、冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを、及び/又は少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを、それぞれの温度設定点に安定化させる、S13又はS14のシステムの実施形態に記載の、及びS6又はS11に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S16.待機構成では、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々を、それぞれの温度設定点に安定化させる、S13~S15のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S17.本システムが、前述の方法の実施形態のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている、S1~S16のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
すなわち、本システムは、それぞれの方法を実行するための手段を備える。
S18.本システムが、制御ユニットを備える、S1~S17のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S19.制御ユニットが、前述の方法の実施形態のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている、S18のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S20.制御ユニットが、処理デバイスを備える、S18又はS19のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S21.処理デバイスが、前述の方法の実施形態のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている、S20のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S22.処理デバイスが、マイクロプロセッサ、CPU、GPU、若しくはFPGAのうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせである、S20又はS21のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S23.本システムが、複数の荷電粒子光学要素を備える、S1~S22のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S24.少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、電磁レンズである、S1~S23のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S25.電磁レンズが、コイルを備える、S24のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S26.少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々が、それぞれの要素温度を備える、S1~S25のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S27.本システムが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々の電気抵抗及び/又は温度を判定するように構成されている、S1~S26のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S28.判定された電気抵抗及び/又は温度が、それぞれの要素温度を示す、S27のシステムの実施形態に記載の、及びS26に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S29.少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つが、それぞれの要素温度を示す信号を提供するように構成された熱電対を備える、S1~S28のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS26に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S30.少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つが、それぞれの要素温度を示す信号を提供するために、専用の測定コイルを備える、S1~S29のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS26に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S31.本システムが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つの電気抵抗を判定するように構成されている、S1~S30のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S32.本システムが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々の電気抵抗を判定するように構成されている、S1~S31のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S33.判定された電気抵抗が、それぞれの温度設定点に対するそれぞれの要素温度を示す、S31又はS32のシステムの実施形態に記載の、及びS26に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S34.本システムが、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つのそれぞれの要素温度を、それぞれの温度設定点に安定化させるように構成された少なくとも1つの閉ループ制御システムを備える、S1~S33のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS26に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S35.本システムが、それぞれの要素温度を、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々のそれぞれの温度設定点に安定化させるように構成された閉ループ制御システムを備える、S1~S34のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS26に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S36.閉ループ制御システムが、PIDコントローラである、S34又はS35のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S37.本システムが、変調された電流を提供するための少なくとも1つのパルス幅変調(PWM)コントローラを備える、S1~S36のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S38.本システムが、システムによって採られる構成を変更するための物理的及び/又は仮想的なボタンを備える、S1~S37のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S39.荷電粒子システムが、荷電粒子ビーム顕微鏡システムである、S1~S38のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S40.荷電粒子システムが、電子顕微鏡である、S39のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S41.電子顕微鏡が、走査型電子顕微鏡である、S40のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S42.電子顕微鏡が、透過型電子顕微鏡である、S41のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S43.透過型電子顕微鏡が、走査型透過電子顕微鏡である、S42のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S44.冷却アセンブリが、冷却流体の流れを提供するように構成されている、S1~S43のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S45.冷却流体が、水である、S44のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S46.待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の低減された流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供する、S1~S45のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS3に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S47.冷却流体の低減された流れが、システムの実施形態S6、S9、又はS14の少なくとも1つに記載の荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供される、S46のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S48.待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の低減された流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に提供する、S1~S47のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS3に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S49.待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供しない、S1~S48のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS3に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S50.待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の流れを、システムの実施形態S6、S9、又はS14の少なくとも1つに記載の荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに提供しない、S49のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S51.待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の流れを、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々に提供しない、S1~S50のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS3に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S52.待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の低減された流れを、任意のシステム構成要素に提供する、S1~S51のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS3に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S53.待機構成では、冷却アセンブリが、冷却流体の流れを、いかなるシステム構成要素にも提供しない、S1~S52のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS3に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S54.本システムが、荷電粒子源を備える、S1~S53のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S55.荷電粒子源が、電子銃などの電子源である、S54のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S56.本システムが、検出器を更に備える、S1~S55のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S57.検出器が、電荷結合素子(CCD)を備える、S56のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S58.冷却アセンブリが、検出器を冷却するように更に構成されている、S56又はS57のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S59.検出器が、検出器待機モードを備える、S55~S58のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システム。
S60.検出器が、検出器待機モードにあるときに冷却を必要としないように構成されている、S59のシステムの実施形態に記載の荷電粒子システム。
S61.本システムが、少なくとも1つの電源ユニット(PSU)を備え、少なくとも1つの荷電粒子光学要素が、少なくとも1つの電源ユニットのうちの少なくとも1つに接続される、S1~S60のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS2に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
S62.本システムが、本システムの最大加速電圧までの加速電圧にわたるそれぞれの荷電粒子光学要素の正味合焦力とは無関係に電力散逸が一定であるように、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを駆動するように構成されている、S1~S61のシステムの実施形態のいずれかに記載の、及びS2に記載の特徴を有する荷電粒子システム。
M83.荷電粒子システムが、前述のシステムの実施形態のいずれかに記載のシステムである、M1~M82の方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0084】
以下では、使用の実施形態に言及する。これらの実施形態は、文字「U」とそれに続く数字によって略される。本明細書で「使用の実施形態」に言及するときはいつでも、これらの実施形態を意味する。
【0085】
U1.M1~M83の方法の実施形態のいずれかの方法に記載のS1~S62のシステムの実施形態のいずれかに記載の荷電粒子システムの使用。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1a】例示的なTEMシステムのkWh消費を描示する。
【
図1b】例示的なTEMシステムの関連するkWh消費を描示する。
【
図4】本発明による方法の別の実施形態を描示する。
【発明を実施するための形態】
【0087】
全ての図面が、全ての参照符号を有しているわけではないことに留意されたい。代わりに、いくつかの図面では、例解を簡潔かつ簡単にするために、参照符号のいくつかは省略されている。ここで、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。これらの実施形態は、本発明を例示するものに過ぎず、限定するものではない。わかりやすくするために、いくつかの特徴はいくつかの図にのみ示され、他の特徴は、省略されていることがある。しかしながら、省略された特徴が存在し得、描示及び考察された特徴は全ての実施形態に存在する必要はない。
【0088】
エネルギーを節約し、温室効果ガス当量を低減し、規則を遵守し、及び/又はコストを削減するために、あらゆる種類の領域において電力消費を低減する必要性が存在する。しかしながら、TEMなどの荷電粒子システムに関して、現時点では、システムをシャットダウンすることは、システム冷却に起因するシステムの熱ドリフト及び位置ずれ、並びに全てが適切に調整されて、安定になるまでの数時間の安定化時間、という代償を伴うので、エネルギーを節約することは困難である。
【0089】
図1a及び
図1bからわかるように、典型的なTEMシステムのエネルギー消費のうちで最も大きい部分は、光学の電源ユニット(PSU)、すなわち、荷電粒子光学要素及びチラーとも称される冷却アセンブリに由来する。具体的には、
図1aは、異なるシステム構成要素ごとに分けられた、例示的なTEMシステムのkWh消費を描示する。総エネルギー消費は、この実施例ではおよそ12kWhになる。
図1bには、総エネルギー消費におけるシステム構成要素のエネルギー消費の相対的な割合が描示されている。冷却アセンブリと一緒に組み合わせた荷電粒子光学要素のPSUが、例示的なTEMシステムの総エネルギー消費の67%になることがわかる。その結果、システムがアイドル状態であるとき、すなわち、使用されていないときにエネルギーを節約する潜在性が最も高いのは、これらの2つの構成要素であることが特定されている。更に、冷却アセンブリのエネルギー消費は、主に荷電粒子光学要素のPSUに、より一般的には、荷電粒子光学要素のエネルギー消費に依存する。
【0090】
換言すれば、例示的なシステムの解析に基づいて、TEM顕微鏡における電力使用のかなりの部分が、光学システムに、及び温度安定性及び性能を維持するためのそのシステムの(水を介した)冷却に起因し得ることがわかっている。すなわち、光学、及び冷却アセンブリ、例えば、チラー、を介した安定化が、主に電力を使用する。上記の分析は、特定のシステム関して実行されているが、同様のことが他の荷電粒子システムにも当てはまる。簡潔には、システムのアイドル時間中に荷電粒子光学要素をオフにすることができるが、それでも、熱安定性を少なくともある程度維持すれば、システムの(寿命にわたる)電力使用(及び温室効果ガス相当物)にとって望ましく、これは、システムを完全にオフにした状態から起動することと比較して、大幅に短い時間量の範囲内で完全動作に復帰させることを可能にする。
【0091】
上記の発見の観点から、本発明は、荷電粒子システム及び対応する荷電粒子システムの電力消費を低減することを可能にする方法を目的とする。すなわち、基本的な概念は、電力を完全にオフにしないことによって熱ドリフトを回避又は最小にするが、荷電粒子光学要素を同じ温度に保ちながら、電力消費を低減することである。したがって、簡潔に要約すると、待機モードは、荷電粒子光学要素の冷却、例えば、水冷、をオフにするが、それでも、その温度を維持するための十分な電流を荷電粒子光学要素に提供することによって提供される。
【0092】
図2aを参照すると、本発明による荷電粒子システム1の非常に基本的な例が概略的に描示されており、荷電粒子システムは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11と、少なくとも1つの荷電粒子光学要素を冷却するように構成された冷却アセンブリ12と、を備えている。本システムは、少なくとも2つの構成、すなわち、動作構成及び待機構成を採るように更に構成される。典型的には、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11は、電流駆動される。したがって、この荷電粒子光学要素は、電源ユニットに接続され得る。いくつかの実施形態では、複数の荷電粒子光学要素11は、電源ユニット(PSU)を共有し得、例えば、全ての荷電粒子光学要素11が単一の電源ユニット(PSU)を共有し得、このPSUは、個々のそれぞれの電流を荷電粒子光学要素11に提供するように構成され得る。他の実施形態では、各荷電粒子光学要素11は、個々のPSUに接続され得る。
【0093】
荷電粒子システム1は、例えば、電子顕微鏡、例えば、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)、又は走査型透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope、STEM)などの、荷電粒子ビーム顕微鏡システムであり得る。具体的には、荷電粒子システムはまた、生命科学、材料科学、及び/又は半導体のためのTEMシステムに関し得る。
図2bは、例えば、電子ビームを提供するための電子銃14(より一般的には荷電粒子源14)とも称される電子源14と、特定のタイプの荷電粒子光学要素11であって、例えば、凝縮器レンズシステム、回折レンズ、対物レンズ、投射レンズ、などであり得る、複数の電磁レンズ11、11A~11Dと、を備えている、透過型電子顕微鏡を概略的に描示する。更に、TEMは、サンプル16又はより一般的にはサンプルを提供するためのサンプルポートと、CCDなどの検出器18と、を備え得る。
【0094】
当業者には、荷電粒子システム1及び特にまたTEMは、真空システム、制御ユニットなどの、
図2a及び
図2bに描示されていない更なる構成要素を備え得ることが理解されるであろう。すなわち、
図2a及び
図2bは、必ずしも全てのシステム構成要素を描示しているとは限らず、本発明に関連する構成要素及びその理解に焦点を当てている。
【0095】
かかる荷電粒子システム1が動作構成にあるとき、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、例えば、少なくとも1つの電磁レンズ11、11A~11Dは、冷却アセンブリ12によって冷却され得る。冷却アセンブリは、冷却される構成要素の各々に冷却液、例えば、水の流れを提供し得、例えば、追加的に検出器18を含み得る。加えて、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの各々に、それぞれの動作電流が提供され得る。動作電流は、荷電粒子システム1の通常動作に必要とされる電流であり得る。それぞれの動作電流は、対応する荷電粒子光学要素の加熱につながり得るが、これは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの各々がそれぞれの動作温度にあり得るように、冷却アセンブリを冷却することによって相殺され得る。具体的には、荷電粒子光学要素11、11A~11Dの各々の温度は、荷電粒子システムが熱的に安定であり、熱ドリフトが少なくとも大幅に低減されるように、又は好ましくは回避されるように、それぞれの動作温度に安定化し得る/落ち着き得る。したがって、それぞれの動作温度は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの温度設定点を定義し得る。
【0096】
対照的に、TEMなどの荷電粒子システム1は、待機構成を採ったとき、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Bのうちの少なくとも1つ又は全てが、冷却アセンブリによってあまり冷却されないか又は冷却されない。したがって、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Bへの冷却液の流れが低減され得るか、又は完全にオフにされ得る。それぞれの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの冷却の低減(又は無冷却)を相殺するために、少なくとも平均して動作電流よりも低いそれぞれの待機電流が提供される。具体的には、荷電粒子光学要素11、11A~11Dの少なくとも1つ又は各々の温度を、それぞれの温度設定点に安定化させる。非常に一般的には、これは、提供されるそれぞれの待機電流を制御することによって達成され得る。温度の安定化、したがって、待機電流の制御は、閉ループ制御システム、例えば、PIDコントローラによって提供され得る。
【0097】
それぞれの待機電流は、少なくとも平均してそれぞれの動作電流よりも低くなるように、パルス幅変調され得る。これに関して、荷電粒子システム1(単にシステム1とも称される)は、パルス幅変調(PWM)コントローラを備え得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、システム1は、システムによって採られる構成を変更するための、物理的及び/又は仮想的なボタン、例えば、ソフトウェアボタンを備え得る。すなわち、システム1は、ユーザがシステムを動作構成から待機構成に切り替えることを可能にするボタンを備え得る。
【0099】
非常に一般的には、システム1は、以下で更に説明する本発明による方法を実行するように構成され得る。システム1は、マイクロプロセッサ、CPU、GPU、又はFPGAなどの処理デバイスを備え得る、制御ユニット(例えば、PC)を備え得る。制御ユニット及び/又は処理デバイスは、本発明による方法を実行するように構成され得る。
【0100】
非常に一般的には、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dと、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dを冷却するように構成された冷却アセンブリ12と、を備えている荷電粒子システム1の電力消費を低減するための方法は、荷電粒子システム1を待機モードで運転する工程22であって、荷電粒子システム1の総電力消費が、荷電粒子システム1を動作モードで運転することと比較して低減される、工程22を含む。
【0101】
図3に関して、本方法は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの各々のそれぞれの温度設定点を判定する、工程211と、荷電粒子システム1を待機モードで運転する工程22であって、荷電粒子システム1の総電力消費が、荷電粒子システム1を動作モードで運転することと比較して低減される、工程22と、システム1を待機モードで運転したときに、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つを冷却することを低減及び/又は停止する工程221と、少なくとも1つの荷電粒子光学要素(関連付けられた荷電粒子要素とも称される)のうちの当該少なくとも1つのそれぞれの要素温度を、それぞれの温度設定点に安定化させる工程222と、を含み得る。
【0102】
換言すれば、それぞれの温度設定点は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について、好ましくは、待機モードに入る前に、すなわち、動作モードにおいて判定され得る(工程211)。すなわち、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの各々について、それぞれの温度設定点が、例えば、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々の個々の温度設定点が、それぞれ判定され得る。それぞれの温度設定点を判定することは、関連付けられた荷電粒子光学要素の温度、電気抵抗、平均温度、及び/又は平均電気抵抗を判定することを含み得る。
【0103】
非常に一般的には、荷電粒子光学要素の抵抗は、所与の電流によって生じる電圧を判定/測定ことによって判定され得る。抵抗は、一般的には、荷電粒子光学要素の温度の尺度であり得、温度は、既知の温度で較正された荷電粒子光学要素の抵抗値を利用し、その差にわたって、荷電粒子光学要素の伝導材料、例えば、銅のそれぞれの熱係数を適用することによって判定され得る。
【0104】
システムを待機モードで運転すること(工程221)は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の少なくとも1つ、好ましくは各々の冷却を低減及び/又は停止することを含み得る。換言すれば、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11D、好ましくは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dのうちの少なくとも1つの冷却が低減及び/又は停止され得、好ましくは停止され得る。これは、少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つへの冷却流体の流れを低減及び/停止することを含み得る。いくつかの実施形態では、冷却アセンブリによって冷却される全ての要素を収容することができる場合、冷却アセンブリは、完全にオフにされ得る。冷却アセンブリ12が荷電粒子システム1の他の要素を冷却するように更に構成される実施形態では、これらの要素はまた、オフにされ得るか、又はそれぞれの要素固有の待機モードにされ得る。
【0105】
図1a及び
図1bの測定が提供されるTEMシステムなどの、例示的なTEMシステムのチラーは、冷却流体、例えば、水によって約3~4kWの熱を奪うものと推定され得る。したがって、かかるシステムにおける荷電粒子光学の水冷をオフにするとき、光学の散逸は、同じ温度を維持しながら、この量だけ低減され得、チラーに提供する必要がある冷却電力がより少ないため、追加的にまた、約1~2kW(チラー効率に基づく)が節約される。
【0106】
更に、システムを待機モードで運転することはまた、冷却が低減及び/又は停止される少なくとも1つの荷電粒子光学要素のそれぞれの要素温度を、それぞれの温度設定点に安定化させることを含み得る。これは、典型的には、工程221と同時に起こり得る。すなわち、システムを動作モードで運転する(工程22)とき、工程221及び工程222は、典型的には、同時に実行され得る。特に、工程221及び工程222は、工程22に含まれ、すなわち、これらの工程は、方法の工程22のサブ工程とみなされ得る。
【0107】
非常に一般的には、本方法は、システム1を動作モードで運転する(工程21)ことと、システムを待機モードで運転する(工程22)ことと、を含み得る。システム1を待機モードで運転することは、システム1が待機構成を採ることを含み得、システム1を動作モードで運転することは、システム1が動作構成を採ることを含み得る。
【0108】
システム1の実施形態に関して既に考察されたように、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dは、好ましくは、電流駆動され得、したがって、本方法は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの各々にそれぞれの電流を提供することを含み得、提供される電流は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について異なり得る。電流は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素が接続されるそれぞれのPSUによって提供され得る。例えば、荷電粒子光学要素の各々が個々のPSUに接続され得るか、又は複数の(例えば、全ての)荷電粒子光学要素が、荷電粒子光学要素の各々にそれぞれの電流を個々に提供するように構成された単一のPSUに接続され得る。
【0109】
図3を参照すると、システムを動作モードで運転するとき、それぞれの動作電流が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素11、11A~11Dの各々に提供され得る(工程212)。更に、動作モード中に、すなわち、システムの動作モードでの運転中に、それぞれの電流設定点が、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について判定される(工程213)。当該それぞれの電流設定点は、それぞれの動作電流に対応し得る。
【0110】
ここでも、工程211、212、及び213が工程21に含まれること、すなわち、これらの工程が、例えば、同時に実行され得る、工程21のサブ工程を表すことが理解されるであろう。
【0111】
図2を参照すると、ここでも、それぞれの要素温度を安定化させる工程222は、それぞれの待機電流を少なくとも1つの荷電粒子光学要素のうちの少なくとも1つに、好ましくは各々に提供することを含み得る。当該それぞれの待機電流は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、又は換言すれば、それぞれの動作電流と比較して、平均電流が低減されるように制御され得る。
【0112】
具体的には、それぞれの/関連付けられた荷電粒子光学要素の現在の要素温度は、例えば、電気抵抗(単に抵抗とも称される)の測定を通じて、又は専用の温度センサを通じて判定されて、それぞれの温度設定点と比較され得る。この比較に基づいて、提供されたそれぞれの待機電流が調整され得る。比較することは、特に、それぞれの温度設定点と現在の要素温度との間の誤差を判定し、当該誤差に基づいて、それぞれの待機電流を調整することを含み得る。場合によっては、現在の要素温度及び/又はそれぞれの温度設定点を判定するときに、平均温度又は電気抵抗が判定され得る。特に、関連付けられた荷電粒子光学要素及びそれぞれの温度設定点の現在の要素温度は、温度及び/又は電気抵抗を指し得る。
【0113】
換言すれば、少なくとも1つの電流駆動される荷電粒子光学要素の電気抵抗が、温度の尺度として測定され得、この値は、当該少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流を制御するためのそれぞれの温度設定点として、待機モードに入るときに使用され得る。荷電粒子光学要素の抵抗は、有利には、例えば、ソフトウェアルーチンを使用して、通常使用中の過熱保護のために、既知の荷電粒子システムにおいて既に測定されている。したがって、例えば、ソフトウェアルーチンは、待機モードに入ることが要求されているときに、荷電粒子光学要素の冷却が好ましくはオフである間に、抵抗(又は平均抵抗)を温度設定点として記録及び使用して、荷電粒子光学要素のそれぞれの電流を駆動するように設定することができる。有利には、待機モードで提供されるそれぞれの電流は、冷却がオフにされた時点で大幅に低下し得、一方で、対応する荷電粒子光学要素は、それぞれの温度設定点に安定化する。それぞれの電流は、例えば、少なくとも33%低下し得る。
【0114】
専用の温度センサは、例えば、専用の測定コイル及び/又は熱電対であり得る。かかる専用のセンサは、有利には、より堅牢な及び/又はより簡単な実装形態を達成することを可能にし得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、それぞれの待機電流を制御することは、提供される電流を変調することを含み得る。これは、特に、読み取り/制御が困難であり得る非常に小さい待機電流だけが別様に必要とされる場合に有益であり得る。電流の変調を通じて、限られた時間量にわたって、より高い電流がコイルに印加され得る。換言すれば、提供される電流は、それぞれの待機電流が変調されて、平均して動作電流よりも低くなるように変調され得る。かかる変調は、それぞれの/関連付けられた荷電粒子光学要素、例えば、1つ以上のコイル、の温度のわずかな変動につながり得るが、この変動は、荷電粒子光学要素の温度を判定するための正しい抵抗値を選択することを可能にし得る変調のデューティサイクルに基づいて知られることになる。例えば、電流駆動される荷電粒子光学要素、例えば、コイルの抵抗を十分な精度で判定するには、少なくとも1アンペアの電流が必要であり得る。したがって、例えば、それぞれの待機電流が、それぞれの要素温度を安定化させるために1アンペアよりも低い場合、変調は、有利には、それでも正確に抵抗を判定することを可能にし得る。電流の変調は、デューティサイクル変調とも称されるパルス幅変調(PWM)を含み得る。
【0116】
それぞれの待機電流を変調する場合、変調された電流の最大値が、すなわち、「オン」の間の部分が、動作モードのそれぞれの電流設定点に維持され得る。当然ながら、変調により、平均待機電流は、より低くなる。したがって、非常に簡略化された変形例では、PSUユニットは、基本的に、「オン」状態において提供される電流が動作モードの電流設定点に維持されている間にオン/オフが切り替えられ得る。
【0117】
複数の荷電粒子光学要素のそれぞれの待機電流を変調するときの電力サージを低減及び/又は防止するために、それぞれの待機電流は、順次変調され得る。すなわち、それぞれの待機電流の変調は、必要とされる全体の最大電力を低減するために、異なる待機電流の最大値が異なる時間に現れるような方式で調整され得る。かかる変調は、そのスイッチング周波数及び/又はデューティサイクルによって特徴付けられ得る。システムの電源を入れるための既知の方法と同様である。
【0118】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の過熱を防止するために、システムを待機モードで運転するときに、少なくとも1つの安全対策を用いることを更に含み得る。例えば、それぞれの待機電流を制限するために、最大電流閾値及び/又は最大抵抗閾値が設定され得る。これらの閾値は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の各々について個々に設定され得る(同じ閾値を有するいかなる荷電粒子光学要素も除外しない)か、又は代替的に、かかる閾値は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の全てについて同じ値に設定され得る。待機モード中にも機械の安全性を確実にすることが必要であるので、かかる閾値を提供することは特に有利であり得る。これに関して、現在の荷電粒子システムでは、冷却流体が流れているときにだけ、すなわち、インターロックが存在し得るときにだけ、荷電粒子光学要素が動作され得る。しかしながら、待機モードに入るには、かかる保護を上書きしなければならず、したがって、システム及び特に荷電粒子光学要素の安全性のための他の手段を確立することが必要である。
【0119】
更に、いくつかの実施形態では、荷電粒子システムを待機モードで運転することは、それぞれの要素温度を安定化させる前に、待機移行期間を含むことに留意されたい。すなわち、動作モードでの運転から待機モードでの運転に切り替える時点で、初期待機移行期間に入り得る。待機移行期間中に、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流は、動作電流からそれぞれの待機電流へとランプダウンされ得る。好ましくは、ランプダウンは、それぞれの光学要素の熱慣性が補償されるように選択される。
【0120】
それによって、全体的に、本方法は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、少なくとも1つの荷電粒子光学要素及び冷却アセンブリの電力消費を低減することを可能にし得る。しかしながら、温度をそれぞれの温度設定点に安定化させるので、熱ドリフトが、回避されないとしても、少なくとも低減され、システムは、システム1をオフにして再度オンにすることと比較して、動作モードでの運転に復帰した後に極めて速く安定化する。例えば、平均待機電流は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%低減され得る。同様に、荷電粒子システムを待機モードで運転する際の電力消費は、荷電粒子システムを動作モードで運転することと比較して、少なくとも33%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%低減され得る。
【0121】
図4に関して、本方法は、システムを待機モードで運転した後に、システムを動作モードでの運転に戻す工程23を更に含み得る。
図4に示されるように、システムを再度動作モードで運転すると(工程21)、このシステムは、待機モードでの運転(工程22)に再度切り替えられ得る。システムを動作モードでの運転に戻すことは、動作移行期間を含み得、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流が、それぞれの動作電流へとランプアップされる。ランプアップは、それぞれの光学要素の熱慣性が補償されるように選択/構成され得る。
【0122】
再度システムを動作モードで運転する工程23は、少なくとも1つの荷電粒子光学要素の冷却及び/又は荷電粒子光学要素の各々に対するそれぞれの動作電流の提供を再確立及び/又は開始することを含み得る。換言すれば、システムを待機モードから戻すときには、冷却を復帰させ、荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流を、通常の駆動方法及び通常の印加レベルに復帰させる。工程23は、それぞれの要素温度がそれぞれの温度設定点に安定化しているときを判定して示すことを更に含み得る。これは、例えば、最長でも1時間、好ましくは最長でも30分、より好ましくは、数分などの、最長でも10分かかり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、待機モード及び復帰を切り替えるための自動夜間ルーチンが提供され得、これは、ユーザが勤務時間を超えて作業するために無効にすることができる。これはまた、システムが、要求された時間までに使用可能になり、すなわち、ウォームアップして安定化し、したがって、動作モードにおいて完全に安定化するための時間を補償するのに十分早く動作モードでの運転に復帰するように行われ得る。換言すれば、本方法は、荷電粒子システムを動作モードでの運転から待機モードでの運転に自動的に切り替えるための待機時間をスケジュールすることを含み得る。更に、本方法は、荷電粒子システムを待機モードでの運転から動作モードでの運転に自動的に切り替えるための動作時間をスケジュールすることを含み得る。更に、荷電粒子システムを待機モードでの運転から動作モードでの運転に自動的に切り替えるための動作時間をスケジュールすることは、スケジュールされた動作時間の前に、それぞれの要素温度を安定化させることを含み得る。換言すれば、待機モードを出た後に、システムは、荷電粒子光学要素の温度(抵抗)、例えば、コイル温度が安定化したときにだけ、ウォームアップし、正常であることを示し得る。これは、待機モードで運転した後に通常動作を再開する要求の後に、荷電粒子光学要素の温度、例えば、コイル抵抗が観察され得、それが通常動作値(待機モードに入る前に記録される)であるときにだけ、システムがそれをユーザに示すことを意味する。
【0124】
開示される方法は、コンピュータ実装され得る。すなわち、本方法は、本方法を実行する処理ユニット、コンピュータ、及び/又は制御ユニットによって実行され得、それによって、荷電粒子システムを制御し得る。
【0125】
したがって、本発明は、システムのスイッチをオンにした後にシステムを安定化させるために数時間かかるという不利な面を伴うことなく、システムが、アイドル状態である、すなわち、ユーザによって使用されていないときの電力消費の低減を可能にする、荷電粒子システム及び方法を提供する。
図1a及び
図1bに基づけば、荷電粒子光学要素及び冷却アセンブリの電力消費の低減により、4.6kWの電力低減が節約され得ると推定される。荷電粒子システムの平均動作時間、すなわち、撮像を考慮した場合、18~25%の年次エネルギー消費の低減を可能にし得る。
【0126】
換言すれば、約3~4kWの熱が、冷却流体において廃棄され得る。したがって、待機モードが提供され、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に対する流体の流れがオフにされるが、それらの温度は、所望の温度を設定点(それぞれの温度設定点)、例えば、電磁レンズのコイル抵抗として使用することによって維持され、少なくとも1つの荷電粒子光学要素に提供されるそれぞれの電流は、変数として使用され、すなわち、制御される。冷却がなければ、これは、動作モードよりも大幅に低い電流をもたらし、その結果、電力の低減をもたらす。粒子電流システムを動作モードに戻すと、冷却が再確立され、提供される電流は、通常の電流駆動、すなわち動作電流に戻される。
【0127】
全体的に、提供される方法及びシステムは、相当な電力の節約を提供する待機モードを可能にし得るが、それでも、ユーザが、システムを数時間にわたって落ち着かせることを必要とせずに、再度動作モードに切り替えることを可能にする。すなわち、本システムは、コールドスタートを必要とするのではなく、荷電粒子光学要素は、待機モードであっても、少なくともその動作温度に近い温度、好ましくは動作温度にあるので、荷電粒子光学要素の温度を安定化させ、同時に、冷却を停止する方法/システムにより、動作モードに切り替えるときにシステムの安定性を大幅に速く達成することができる。
【0128】
「約(about)」、「実質的に(substantially)」、又は「およそ(approximately)」などの相対的用語が本明細書で使用されるときはいつでも、そのような用語はまた、正確な用語も含むと解釈されるべきである。すなわち、例えば、「実質的にまっすぐ(substantially straight)」は、「(厳密に)まっすぐ((exactly) straight)」も含むと解釈されるべきである。
【0129】
工程が上記又は更に添付の特許請求の範囲に列挙されるときはいつでも、本文で工程が列挙される順序は偶発的であり得ることに留意されるべきである。すなわち、別段の指定がない限り、又は当業者に明らかでない限り、工程が列挙される順序は、偶発的なものであり得る。すなわち、本明細書が、例えば、方法が工程(A)及び(B)を含むことを記載している場合、これは、工程(A)が工程(B)に先行することを必ずしも意味するものではなく、工程(A)が工程(B)と(少なくとも部分的に)同時に実施されるか又は工程(B)が工程(A)に先行することも可能である。更に、工程(X)が別の工程(Z)に先行すると記載されている場合、これは、工程(X)と工程(Z)の間に工程がないことを意味するものではない。すなわち、工程(Z)に先行する工程(X)は、工程(Z)の直前に工程(X)が実施される状況を包含するが、工程(Z)が続く1つ以上の工程(Y1)、...の前に工程(X)が実施される状況も包含する。対応する考慮事項は、「後」又は「前」などの用語が使用される場合に適用される。
【0130】
上記において、好ましい実施形態が、添付の図面を参照して説明されてきたが、当業者は、この実施形態が例解目的のためのみとして提供されたものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではないことを理解するであろう。
【外国語明細書】