(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056260
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20240416BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20240416BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240416BHJP
【FI】
C08L23/00
C08L67/02
C08K3/013
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163012
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521067751
【氏名又は名称】ニューライト テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】関 尊文
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB121
4J002CF032
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002FD016
4J002GB00
4J002GC00
4J002GG00
4J002GK01
4J002GL00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】脂肪族ポリエステル系重合体を含みながら成形後の臭気の発生を低減できる組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】組成物は、オレフィン系重合体Aと、脂肪族ポリエステル系重合体Bと、無機粉体Cと、を含む。無機粉体CのJIS M 8016-1991で評価されるpHが6.5~11.5である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系重合体Aと、脂肪族ポリエステル系重合体Bと、無機粉体Cと、を含む組成物であって、前記無機粉体CのJIS M 8016-1991で評価されるpHが6.5~11.5である組成物。
【請求項2】
前記無機粉体Cが、脂肪酸金属塩を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪族ポリエステル系重合体Bは、150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記無機粉体CのJIS M 8016-1991で評価されるpHが8.5~9.5である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記無機粉体Cのレーザー回折法により測定される重量基準の粒度分布のメディアン径D50が0.05~30μmである請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記オレフィン系重合体A及び前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの合計100質量部に対して、前記オレフィン系重合体Aの含有量は51~99.9質量部であり、前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの含有量は0.1~49質量部である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記オレフィン系重合体A及び前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの合計100質量部に対して、前記無機粉体Cの含有量は、0.1~40質量部である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの含有量が0.1~20質量部である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
前記オレフィン系重合体Aがプロピレン系共重合体である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
前記脂肪族ポリエステル系重合体Bと前記無機粉体Cとの合計100質量部に対して前記無機粉体Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が1.0以下である請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ポリエステル系重合体は、化石資源を用いることなく、再生可能資源により合成が可能な環境負荷の低い樹脂であり、かつ、成形加工性、機械的特性に優れる樹脂である。このため、各種包装材料、ボトルなどの各種容器、食品用包装材料、容器のキャップ、文具、日用雑貨、カーペットやソファ用の繊維、自動車用内外装材、電気・電子機器部品、ビルや住宅の内装材などの建築材料などに、脂肪族ポリエステル系重合体を添加することで、環境負荷を低下させられる。
【0003】
このような脂肪族ポリエステル系重合体を含む組成物として、特許文献1~3に記載されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-239858号公報
【特許文献2】特開2006-241445号公報
【特許文献3】特開2019-178206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の脂肪族ポリエステル系重合体を含む組成物では、成形後の成形体から臭気が発生する場合があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、脂肪族ポリエステル系重合体を含みながら成形後の臭気の発生を低減できる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]オレフィン系重合体Aと、脂肪族ポリエステル系重合体Bと、無機粉体Cと、を含む組成物であって、前記無機粉体CのJIS M 8016-1991で評価されるpHが6.5~11.5である組成物。
【0008】
[2]前記無機粉体Cが、脂肪酸金属塩を含まない、[1]に記載の組成物。
【0009】
[3]前記脂肪族ポリエステル系重合体Bは、150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体である、[2]に記載の組成物。
【0010】
[4]前記無機粉体CのJIS M 8016-1991で評価されるpHが8.5~9.5である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
【0011】
[5]前記無機粉体Cのレーザー回折法により測定される重量基準の粒度分布のメディアン径D50が0.05~30μmである[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
【0012】
[6]前記オレフィン系重合体A及び前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの合計100質量部に対して、前記オレフィン系重合体Aの含有量は51~99.9質量部であり、前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの含有量は0.1~49質量部である[1]~[5]に記載の組成物。
【0013】
[7]前記重合体A及び重合体Bの合計100質量部に対して、前記無機粉体Cの含有量は、0.1~40質量部である[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物。
【0014】
[8]前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの含有量が0.1~20質量部である[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
【0015】
[9]前記オレフィン系重合体Aがプロピレン系共重合体である[1]~[8]のいずれか一項に記載の組成物。
【0016】
[10]前記脂肪族ポリエステル系重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
前記脂肪族ポリエステル系重合体Bと前記無機粉体Cとの合計100質量部に対して前記無機粉体Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が1.0以下である[1]~[9]のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、脂肪族ポリエステル系重合体を含みながら成形後の臭気の発生を低減できる組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(組成物)
発明の実施形態にかかる組成物は、オレフィン系重合体A、脂肪族ポリエステル系重合体B、及び、無機粉体Cを含む。
【0020】
<オレフィン系重合体A>
オレフィン系重合体Aとは、炭素原子数2以上10以下のオレフィンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体である(ただし、オレフィン系重合体の全量を100質量%とする)。炭素原子数2以上10以下のオレフィンの例は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンである。
【0021】
オレフィン系重合体Aは、炭素原子数2以上10以下のオレフィン以外の単量体に由来する構造単位を含有していてもよい。炭素原子数2以上10以下のオレフィン以外の単量体の例は、スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)などの共役ジエン;及び、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの非共役ジエンである。
【0022】
オレフィン系重合体Aは、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、及びブテン系重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることができ、これらの内の任意の2種以上の組み合わせであってもよい。
【0023】
エチレン系共重合体とは、エチレンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、エチレン単独重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、及び、エチレン-1-ブテン-1-ヘキセン共重合体である。エチレン系共重合体は、2以上のエチレン系共重合体の組み合わせであってもよい。
【0024】
プロピレン系共重合体とは、プロピレンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、及び、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体である。プロピレン系共重合体は、2種以上のプロピレン系共重合体の組み合わせであってもよい。オレフィン系重合体Aがプロピレン系共重合体であることは好適である。
【0025】
ブテン系共重合体とは、1-ブテンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、1-ブテン単独重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-1-オクテン共重合体、1-ブテン-エチレン-プロピレン共重合体、1-ブテン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-エチレン-1-オクテン共重合体、1-ブテン-プロピレン-1-ヘキセン共重合体、及び、1-ブテン-プロピレン-1-オクテン共重合体である。ブテン系共重合体は、2種以上のブテン系共重合体の組み合わせであってもよい。
【0026】
上記のオレフィン系重合体Aは、公知の重合用触媒を用いた公知の重合方法を用いて製造することができる。
【0027】
JIS K7210-2014に従って温度230℃又は190℃、荷重2.16kgfの条件で測定されるオレフィン系重合体Aのメルトマスフローレート(MFR)は、好ましくは0.1g/10分以上200g/10分以下である。
【0028】
<脂肪族ポリエステル系重合体B>
【0029】
脂肪族ポリエステル系重合体とは、脂肪族多価カルボン酸成分と脂肪族多価アルコール成分との重縮合体、又は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重縮合体の構造を有し、繰り返し単位の主鎖は、芳香族炭化水素構造を含まない。
【0030】
脂肪族ポリエステル系重合体の例は、ヒドロキシカルボン酸又はラクトンの重合体、ジオールとジカルボン酸の重縮合体、及びそれらの共重合体が挙げられる。重合体Bが共重合体の場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。
【0031】
また、これらは、少なくとも一部が、キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート等のような多価イソシアネートや、セルロース、アセチルセルロース、エチルセルロース等のような多糖類等の架橋剤で架橋されたものでもよい。さらに、これらは、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造等のいずれの構造をとってもよく、何ら制限はなく、ポリオレフィン系樹脂との共重合体や、ポリオレフィン系樹脂とのグラフト重合体であってもよい。
【0032】
また、この脂肪族ポリエステル系重合体Bは、単独又は組合せて用いることが可能である。
【0033】
ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数が2~18のヒドロキシカルボン酸が挙げられ、好ましくは炭素数6以下であり、炭素数が4のヒドロキシカルボン酸が最も好ましい。具体的には、グリコール酸、L-乳酸、D-乳酸、D,L-乳酸、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシプロピオネート、4-ヒドロキシブチレート、4-ヒドロキシバレレート、5-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシペンテノエート、3-ヒドロキシヘキサノエート、3-ヒドロキシヘプタノエート、3-ヒドロキシオクタノエート、3-ヒドロキシノナノエート及び3-ヒドロキシデカノエート等が挙げられる。
【0034】
また、ラクトンとしては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトン等が挙げられる。
【0035】
ジオールとしては、炭素数が2~10のジオールであることが好ましい。中でも炭素数2~4の脂肪族ジオール、又は、炭素数5乃至6の脂環式ジオールであることがより好ましい。具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジメチロール等が挙げられる。
【0036】
ジカルボン酸としては、炭素数が2~12の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。中でも炭素数2~6の脂肪族ジカルボン酸、又は炭素数5乃至6の脂環式ジカルボン酸であることがより好ましい。具体的には、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸及びその水添物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等が挙げられる。また、これらのジカルボン酸は炭素数1~4のアルキルエステル、酸無水物等の誘導体であってもよい。
【0037】
上記脂肪族ポリエステル系重合体のうち、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリグリコール酸を用いることが好ましい。
【0038】
脂肪族ポリエステル系重合体Bとしてポリ乳酸を用いる場合、ポリ乳酸としてはそれを構成している乳酸成分中のL体の比率が94モル%以上のものであることが好ましい。L体の比率をこのような範囲とすることにより融点の低下を防ぐことが可能となる。
【0039】
(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体)
重合体Bは150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体であることができる。
【0040】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体とは、ポリヒドロキシアルカノエートすなわちヒドロキシアルカン酸の重縮合体(ポリエステル)であって、かつ、(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートの繰り返し単位を必ず含む。(1)式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~15のアルキル基、シアノ基、炭素原子数1~11のアミノ基、炭素原子数1~11のアルコキシ基(アルキルオキシ基)、炭素原子数2~20のアミド基、炭素原子数6~12のアリール基、又は、炭素原子数1~9の1価の複素環基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。特に、組成物に含まれる重合体B以外の成分(例えば、重合体A)との相溶性の観点から、Rは、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~20のアミド基、又は、炭素原子数6~8のアリール基が好ましい。
【0041】
[-O-CHR-CH2-CO-]…(1)
【0042】
ハロゲン原子の例は、F、Cl、Br、及びIである。
【0043】
炭素原子数1~15のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基の炭素原子数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、3,7-ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル墓である。
【0044】
炭素原子数1~18のアミノ基の例は、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基である。
【0045】
アルキルアミノ基の例は、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基である。
【0046】
ジアルキルアミノ基の例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、ジシクロプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基である。
【0047】
アリールアミノ基の例としては、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基である。
【0048】
アルキルアリールアミノ基としては、N-メチルアニリノ基、N-エチルアニリノ基、N-プロピルアニリノ基、N-ブチルアニリノ基、N-イソプロピルアニリノ基、N-ペンチルアニリノ基である。
【0049】
炭素原子数1~11のアルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペントキシ基である。
【0050】
「アミド基」とは、カルボン酸アミドから窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味する。炭素原子数1~20のアミド基の例は、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチルアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基等の-NH-C(=O)-RAで表される基(ただし、RAは、水素原子、又は、1価の有機基)、及び、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基のように-N(-C(=O)-RA)(-C(=O)-RB)で表される基(ただし、RA
、RBはそれぞれ独立に、水素原子、又は、1価の有機基)である。有機基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基であることができる。なかでも、アミド基は、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基が好ましい。
【0051】
炭素原子数6~12のアリール基の例は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基であり、なかでも、フェニル基、トリル基、キシリル基がより好ましい。
【0052】
炭素原子数1~9の1価の複素環基のヘテロ原子の例は、N、O、及び、Sであり、飽和していても不飽和であってもよく、ヘテロ原子が単数であっても複数であっても異種のヘテロ原子を有していてもよい。このような複素環基の例は、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チアゾリル基が挙げられる。
【0053】
脂肪族ポリエステル系重合体Bの繰り返し単位は、1又は複数種の(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートのみからなってもよく、1又は複数種の(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエート、及び、1又は複数種の他のヒドロキシアルカノエートを有してもよい。
【0054】
脂肪族ポリエステル系重合体Bは、(1)式で示される3-ヒドロキシルカノエートの繰り返し単位を、ヒドロキシアルカノエートの全繰り返し単位(100モル%)に対して50モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0055】
(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートの例は、Rが水素原子またはCnH2n+1で表されるアルキル基であって、nは1~15の整数である場合、n=1である3-ヒドロキシブチレート(以降、3HBと記載することがある)、n=2である3-ヒドロキシバリレート(以降、3HVと記載することがある)、n=3である3-ヒドロキシヘキサノエート(以降、3HHと記載することがある)、n=5の3-ヒドロキシオクタネート、n=15である3-ヒドロキシオクタデカネート、Rが水素原子である3-ヒドロキシプロピオネートである。
【0056】
(1)式で表される1種の繰り返し単位のみを有する重合体Bの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(以降、P3HBと記載することがある)である。
【0057】
(1)式で表される複数種の繰り返し単位のみを有する重合体Bの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(以下、P3HB3HHと記載することがある。)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)(以下、P3HB3HVと記載することがある)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシプロピオネート(以下P3HB3HPと記載することがある)である。
【0058】
(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエート以外の他のヒドロキシアルカノエートの例は、(2)式で示される繰り返し単位(式中、R1は水素原子またはCnH2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数であり、mは、2~10の整数である。)である。
【0059】
[-O-CHR1-CmH2m+1-CO-]…(2)
【0060】
(1)式および(2)式の繰り返し単位を含む重合体Bの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)(例えば下式(P3HB4HB))である。
【0061】
融点を高くする観点から、脂肪族ポリエステル系重合体Bの繰り返し単位が、(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートの中でも3-ヒドロキシブチレートを少なくとも含むことが好ましい。
【0062】
脂肪族ポリエステル系重合体Bは、3-ヒドロキシブチレートの繰り返し単位を、ヒドロキシアルカノエートの全繰り返し単位(100モル%)に対して50モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0063】
脂肪族ポリエステル系重合体Bは2種以上のエステルの繰り返し単位を有してもよく、例えば、上記のように2種の繰り返し単位を有するジ-ポリマー、3種の繰り返し単位を有するトリ-コポリマー、及び、4種の繰り返し単位を有するテトラ-コポリマーであってもよい。
【0064】
例えば、トリ-コポリマーの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバリレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(以下、(P3HB3HV3HH)と記載することがある。)である。
【0065】
上述のように、脂肪族ポリエステル系重合体Bは、(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートの繰り返し単位の中でも3-ヒドロキシブチレートを含むことが好ましい。全ヒドロキシアルカノエートのエステル繰り返し単位100モルに対して、3-ヒドロキシブチレートの繰り返し単位の割合XXは、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98.0モル%以上であることが更に好ましい。
【0066】
割合XXは、通常、100モル%以下であり、99.9モル%以下であることが好ましく、99.8モル%以下であることが好ましい。
【0067】
コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。
【0068】
脂肪族ポリエステル系重合体Bは、(1)式及び(2)式以外の他のエステル繰り返し単位を有してもよいが、当該他のエステル繰り返し単位の主鎖は芳香族炭化水素構造を含まない。すなわち、脂肪族ポリエステル系重合体Bは脂肪族ポリエステルである。ただし、当該他のエステル繰り返し単位の主鎖の炭素に芳香族炭化水素基を有する基が結合していることは可能である。
【0069】
脂肪族ポリエステル系重合体Bにおける繰り返し単位の構成比は、L.Tripathi.,M.C.Factories,11,44(2012)に記載されているように、1H-NMRや13C-NMR等のNMR測定結果から算出して求めることができる。
【0070】
また、脂肪族ポリエステル系重合体Bは、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体の2種以上の重合体の混合物であってもよい。
【0071】
脂肪族ポリエステル系重合体Bの重量平均分子量(Mw)は、1万~100万であることができ、2万~80万であることが好ましく、より好ましくは3万~60万である。重量平均分子量(Mw)を1万以上とすることにより、衝撃強度及び引張伸びに優れた成形体を得ることが可能となる。また、重量平均分子量を50万以下にすることにより、オレフィン系重合体A中での分散性が良好となる。重量平均分子量は、40万以下でもよく、30万以下でもよく、20万以下でもよく、10万以下でもよい。なお本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、GPCにより、標準ポリスチレンを分子量標準物質として用いて測定される。
【0072】
脂肪族ポリエステル系重合体Bは、熱可塑性樹脂であり、結晶性であることが好適である。
【0073】
JIS K7210-2014に従って、温度190℃又は170℃および荷重2.16kgfの条件で測定される脂肪族ポリエステル系重合体Bのメルトマスフローレート(MFR(B))は、好ましくは0.1g/10分以上、200g/10分以下である。MFR(B)は、1g/10分以上でもよく、3g/10分以上でもよく、5g/10分以上でもよく、7g/10分以上でもよく、8g/10分以上でもよく、10g/10分以上でもよく、20g/10分以上でもよい。MFR(B)は、150g/10分以下でもよく、100g/10分以下でもよい。
【0074】
脂肪族ポリエステル系重合体Bの融点(Tm)は150℃以上であることが好ましく、155℃以上、160℃以上、165℃以上、170℃以上、または、175℃以上であってもよい。重合体Bの融点(Tm)は、220℃以下であることができ、200℃以下であってもよく、190℃以下であってもよい。
【0075】
脂肪族ポリエステル系重合体Bの融点(Tm)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる結晶の融解に基づく主ピークの位置により測定される。
【0076】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体は、微生物が生産したものであってもよいし、石油または植物原料から誘導された化合物(例えば環状ラクトンなど)由来のものであってもよい。
【0077】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体は、微生物から生産されたもののようにヒドロキシアルカノエートの各繰り返し単位がD体(R体)のみからなってもよいが、D体(R体)及びL体(S体)の混合物から誘導されたもののようにヒドロキシアルカノエートの繰り返し単位がD体(R体)及びL体(S体)を両方含むものでもよい。
【0078】
微生物から生産されたポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体において、(1)式の繰り返し単位は下式のように表すことができる。(BI-1)式中、nは重合度を表す。
【化1】
【0079】
そして、例えば、微生物から生産されたポリ-(3-ヒドロキシブチレート)は以下のような構造を有する。(BI-2)式中、nは重合度を表す。
【化2】
【0080】
また、微生物から生産されたポリ-(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)は以下のような構造を有する。(BI-3)式中、m及びnは重合度を表す。
【化3】
【0081】
また、微生物から生産されたポリ-(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)は以下のような構造を有する。(BI-4)式中、m及びnは重合度を表す。
【化4】
【0082】
脂肪族ポリエステル系重合体Bは、生分解性を有することができる。
【0083】
例えば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体は、AlcaligeneseutrophusにAeromonascaviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32株(ブダペスト条約に基づく国際寄託、国際寄託当局:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)、原寄託日:平成8年8月12日、平成9年8月7日に移管、受託番号FERMBP-6038(原寄託FERMP-15786より移管))(J.Bacteriol.,179,4821(1997))等の微生物によって産生することができる。
【0084】
(無機粉体C)
無機粉体とは、無機材料の粉体のことをいう。無機材料の例は、金属又は半金属の単体、金属及び半金属からなる群から選択される2以上の元素の合金、及び、金属及び半金属からなる群から選択される1つの元素又は2つ以上の元素を含む、酸化物、硫化物、窒化物、水酸化物、塩(硫酸塩、リン酸塩など)等の化合物である。
無機材料を構成する金属の例は、Al,Li,Ti,Fe、Mg,K,Na,Ca、Zn、Pb、Cu、Cr、Ba,Rb,Cs、Mn,V,Be,Ni、Coである。半金属の例は、Si、Bである。また、本明細書において、無機材料は炭素であってもよい。
無機材料は、天然鉱物でもよいし、人工的に合成したものでもよい。無機材料の粉体は、表面改質されていてもよい。
【0085】
無機粉体CのJIS M 8016-1991で評価されるpHは、6.5~11.5である。無機粉体CのJIS M 8016-1991で評価されるpHは、8.5以上であってよく、9.5以下であってもよい。
【0086】
上記の無機粉体CのpHは、80mLの純水に20gの無機粉体Cを投入して攪拌し、液体のpHを測定することにより得られる。
【0087】
なお、無機粉体CのpHは、無機粉体の表面の状態、すなわち、表面官能基によって定まる。したがって、本実施形態で例示するタルクなどの無機粉体であれば必ずpHが6.5~11.5の範囲内に入るわけでなく、無機粉体の製法、表面処理の有無や処理剤の種類等に応じて、無機粉体のpHは変わる。
【0088】
無機粉体Cは、無機粉体のpHが6.5~11.5を示す単一の単体又は化合物の粉体であってもよく、無機粉体CのpHが6.5~11.5を示す単体及び化合物からなる群から選択される2種以上の材料の粉体の混合物であってもよい。
【0089】
無機粉体Cの例は、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、カルシウム系化合物、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、酸化チタン、カオリナイト、ワラストナイト、けい藻土、グラファイト、軽石、及び、硫酸バリウム、からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0090】
中でも、無機粉体Cは、マイカ、カルシウム系化合物、タルク、シリカ、ハイドロタルサイト、及び、ワラストナイトからなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、マイカ、カルシウム系化合物、タルク、シリカ、及び、ハイドロタルサイトからなる群から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましく、マイカ、カルシウム系化合物、及び、タルクからなる群から選択される少なくとも1つを含むことがさらに好ましい。
【0091】
マイカの例は、白雲母、アルミノセラドン石、鉄アルミノセラドン石、セラドン石、鉄セラドン石、ロスコ―雲母、Chromphyllite、Boromuscovite、ソーダ雲母、Nanpingite、砥部雲母、鉄雲母、金雲母、シデロフィライト、イーストナイト、白水雲母、Hendricksite、Montdorite、楊主明雲母、Tainiolite、ポリリシオ雲母、トリリシオ雲母、益富雲母、Norrishite、tetra-ferri-annite、tetra-ferriphlogopite、ソーダ金雲母、Preiswerkite、Ephesite、真珠雲母、Chernykhite、クリントン石、Bityite、Anandite、木下雲母、弗素木下雲母、イライト、海緑石、Brammallite、Wonesite、黒雲母、リチア雲母、チンワルド雲母である。
白雲母の例は、ヤマグチマイカ製白雲母(A-11、A-21S、AB-25S、J-31M、SYA-21R)である。
【0092】
カルシウム系化合物の例は、アスコルビン酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、一リン化カルシウム、エジプシャンブルー、塩化カルシウム、塩化水酸化カルシウム、塩素酸カルシウム、過酸化カルシウム、カゼインホスホペプチド、カリメート、過リン酸石灰、カルシウムシアナミド、ギ酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、クロム酸カルシウム、クロムスズピンク、ケイ酸カルシウム、硬石膏、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、シアン化カルシウム、臭化カルシウム、重過リン酸石灰、シュウ酸カルシウム、臭素酸カルシウム、酒石酸カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、水素化カルシウム、石膏、炭化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、チタン酸カルシウム、乳酸カルシウム、二リン化三カルシウム、フッ化カルシウム、POs-Ca、ポリカルポフィルカルシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、リソールルビンBK、硫化カルシウム、硫酸カルシウム、リン化カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸二水素カルシウムである。
炭酸カルシウムの例は、林化成製FP#300、KS#500、KS#800、KS#1000、KS#1200、ACE#25、SST#40、寒水石3分、エスカロン#200、エスカロン#1500、エスカロン#2000、エスカロン#2300
【0093】
タルクの例は、林化成製タルカンパウダーシリーズ、ミクロンホワイトシリーズ、GHシリーズ、KHPシリーズ、日本タルク製ナノエースシリーズ、超微粉タルクシリーズである。
【0094】
(無機粉体Cが含有しないことが好ましい成分)
無機粉体Cが含有しないことが好ましい成分の例は、長鎖脂肪酸金属塩などの脂肪酸金属塩である。長鎖脂肪酸とは、炭素数が13以上の脂肪酸を言う。脂肪酸の例は、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸である。金属塩の例は、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、リチウム塩、バリウム塩である。とくに、無機粉体の表面に長鎖脂肪酸金属塩を有さないことが好適である。
【0095】
長鎖脂肪酸金属塩の具体例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸の金属塩、ラウリン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウムである。無機粉体Cの表面に長鎖脂肪酸金属塩などの脂肪酸金属塩が存在すると、pHが低下する傾向があり、pHが6.5~11.5の範囲から外れる傾向がある。
【0096】
(組成物が含有しないことが好ましい成分)
組成物は、JIS M 8016-1991で評価されるpHが6.5未満である、又は、11.5超である無機粉体を含まないことが好適である。
【0097】
(無機粉体Cの粒径:レーザー回折法により測定されるメディアン径D50)
無機粉体Cのメディアン径D50は、曲げ弾性率等の機械的強度を向上させる観点から、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。D50が大きすぎると、曲げ弾性率等の機械的強度が低下しやすくなる。
無機粉体Cのメディアン径D50は、曲げ弾性率等の機械的強度を向上させる観点から、0.05μm以上であってよく、0.5μm以上であってよく、1μm以上であってよく、5μm以上であってよい。
【0098】
メディアン径D50は、レーザー回折法粒度分布測定機を用いて、JISR1629に従って重量基準の粒度分布を測定し、得られた粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値から求めることができる。レーザー回折法粒度分布測定機としては、例えば、日機装株式会社MT-3300EX-IIが挙げられる。
【0099】
(MFR(X)/MFR(B))
脂肪族ポリエステル系重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
脂肪族ポリエステル系重合体Bと無機粉体Cとの合計100質量部に対して無機粉体Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が1.0以下を満たすことが好ましい。
【0100】
無機粉体Cの添加により脂肪族ポリエステル系重合体Bの劣化が起きると、MFR(X)はMFR(B)よりも大きくなる。無機粉体Cの添加により脂肪族ポリエステル系重合体Bの劣化が抑制されると、MFR(X)はMFR(B)よりも小さくなる。すなわち、MFR(X)/MFR(B)が1.0以下とは、無機粉体Cが、脂肪族ポリエステル系重合体Bの加熱による劣化を大きく起こしにくい化合物であることを意味する。
【0101】
(添加剤)
組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、安定剤、防菌剤、防黴剤、分散剤、可塑剤、難燃剤、粘着付与剤、着色剤、金属粉末、有機粉末、無機繊維、有機繊維、有機及び無機の複合繊維、無機ウィスカー、及び、充填剤からなる群から選択される少なくとも一種であることができる。
【0102】
安定剤の例は、滑剤、老化防止剤、熱安定剤、耐光剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、及び、銅害防止剤からなる群から選択される少なくとも一種である。耐光剤の例はヒンダードアミン系耐光剤である。
【0103】
着色剤の例は、酸化チタン、カーボンブラック及び有機顔料からなる群から選択される少なくとも一種である。金属粉末の例はフェライトである。
【0104】
有機粉末の例はタンパク質である。無機繊維の例は、ガラス繊維及び金属繊維である。有機繊維の例は、炭素繊維及びアラミド繊維である。無機ウィスカーの例はチタン酸カリウムウィスカーである。
【0105】
充填剤の例は、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、セルロースパウダー、及び、木粉からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0106】
組成物は、上記の添加剤を1種のみ含んでもよく、2種以上の組み合わせを含んでもよい。
【0107】
(組成物の組成)
オレフィン系重合体A及び脂肪族ポリエステル系重合体Bの合計100質量部に対して、オレフィン系重合体A及び脂肪族ポリエステル系重合体Bの含有量に特段の限定はないが、曲げ弾性率等の機械的強度を高める観点から、オレフィン系重合体Aの含有量は51~99.9質量部であってよく、脂肪族ポリエステル系重合体Bの含有量は0.1~49質量部であってよい。
オレフィン系重合体A及び脂肪族ポリエステル系重合体Bの合計100質量部に対して、オレフィン系重合体Aの含有量は60質量部以上、70質量部以上、80質量部以上、90質量部以上であってよい。
【0108】
オレフィン系重合体Aと脂肪族ポリエステル系重合体Bの合計100質量部に対して、無機粉体Cの含有量に特段の限定はないが、0.01~40質量部であることが好適である。無機粉体Cの含有量は0.1質量部以上でもよく、1質量部以上でもよく、20質量部以下でもよい。
【0109】
組成物の全体に占める、オレフィン系重合体Aと脂肪族ポリエステル系重合体Bと無機粉体Cとの合計の割合は20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であってよい。
【0110】
オレフィン系重合体Aが組成物の50質量%超を占めることができ、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上を占めることができる。
【0111】
脂肪族ポリエステル系重合体Bが組成物の0.1~20質量部を占めてよい。
【0112】
(効果)
本実施形態の組成物によれば、特定のpHの無機粉体Cを含んでいることにより臭気の発生が抑制される。この理由は明らかでは無いが、例えば、脂肪族ポリエステル系重合体Bの熱分解の抑制であることが考えられる。
また、オレフィン系重合体A及び脂肪族ポリエステル系重合体Bの組成比が特定の範囲、かつ、無機粉体Cのメディアン径D50が上述した特定の範囲内の場合、さらに、成形品の曲げ弾性率(FM)等の機械強度が増加する。この理由は明らかでは無いが、無機粉体Cにより、成形時(溶融混練時)に脂肪族ポリエステル系重合体Bのみならずオレフィン系重合体Aの熱分解をも抑制できることに起因することが考えられる。
【0113】
(組成物の製造方法)
組成物は、各原料成分を溶融混練することにより得ることができる。
【0114】
混練温度(混練機の設定温度)を150~300℃とすることが好ましく、170℃~280℃とすることがより好ましい。210℃以上で加工することも可能である。
【0115】
組成物は、オレフィン系重合体A、脂肪族ポリエステル系重合体B、無機粉体C、及び、必要に応じて添加される添加剤の全部を一度に溶融混練して製造することができる。
【0116】
組成物は、一部のオレフィン系重合体A、全部の脂肪族ポリエステル系重合体B、一部または全部の無機粉体C、及び、必要に応じて添加される添加剤の一部または全部を先ず溶融混練して予備組成物を製造する第1工程と、その後、予備組成物と、残部のオレフィン系重合体A、残部の無機粉体C、及び、必要に応じて添加される添加剤の残部とを溶融混練する第2工程とにより製造してもよい。第1工程でオレフィン系重合体を一切添加しなくてもよい。
【0117】
当該無機粉体Cを第1工程で添加することが好適である。
【0118】
(組成物の成形体の製造方法)
射出成形法、押出成形法、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法、発泡成形法、ブロー成形法、回転成形法などの公知の樹脂の成形方法を用いて、所要の形状を有する上記の組成物の成形体を得ることができる。
【0119】
また、上記の組成物を、他の樹脂、金属、紙、皮革等の他の材料と張り合わせ、多層構造体をえることができる。
【0120】
本発明の組成物の成形体の表面には、表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、エンボス処理、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の方法が挙げられる。
【0121】
上記の組成物は、樹脂材料として広く利用できる。
【0122】
本発明の樹脂組成物の用途としては、繊維材、外構部材、家具及び室内装飾部材、家部材、玩具部材、園芸部材、自動車部材、包装材が挙げられる。繊維材として、例えば、衣料用ファブリック部材、インテリア用ファブリック部材、産業用繊維部材などが挙げられ、外構部材として、例えば、カーポート部材、フェンス部材、門扉部材、門柱部材、ポスト部材、サイクルポート部材、デッキ部材、サンルーム部材、屋根部材、テラス部材、手すり部材、シェード部材、オーニング部材などが挙げられ、家具及び室内装飾部材として、例えば、ソファ部材、テーブル部材、チェア部材、ベッド部材、タンス部材、キャブネット部材、ドレッサー部材などが挙げられ、家電部材として、例えば、時計用部材、携帯電話部材、白物家電部材、などが挙げられ、玩具部材として、例えば、プラモデル部材、ジオラマ部材、ビデオゲーム本体部材などが挙げられ、園芸部材として、例えば、プランター部材、花瓶部材、植木鉢用部材などが挙げられ、自動車部材として、例えば、バンパー材、インパネ材、エアバッグカバー材などが挙げられ、包装材としては、例えば、食品用包装材、繊維用包装材、雑貨用包装材などが挙げられる。さらに、その他の用途としては、例えば、モニター用部材、オフィスオートメーション(OA)用機器部材、医療用部材、排水パン、トイレタリー部材、ボトル、コンテナー、除雪用品部材、各種建築用部材などが挙げられる。
【実施例0123】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明する。実施例及び比較例で使用したオレフィン系重合体A、脂肪族ポリエステル系重合体B、無機粉体Cを下記に示す。
【0124】
(1)オレフィン系重合体A
(A-1)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):7g/10分
融点(Tm):163℃
【0125】
(2)脂肪族ポリエステル系重合体B
(B-1)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)
構造式:(BI-3)式
コモノマー(3HH)成分の含有量(モル%):0.4モル%
重量平均分子量(Mw):397800
MFR(190℃、2.16kg荷重):8g/10分
MFR(B-1)(210℃、2.16kg荷重):171g/10分
融点(Tm):175℃
【0126】
(3)無機粉体C
(C-1)タルク
製品名:日本タルク製ナノエースD-600
pH:9.0
粒径D50:0.6μm
(C-2)タルク
製品名:日本タルク製ナノエースFG-15
pH:8.7
粒径D50:1.5μm
(C-3)タルク
製品名:林化成製ミクロンホワイトTT-H
pH:8.7
粒径:4.8μm
(C-4)ワラストナイト
製品名:林化成製ワラストナイトVN-8N
pH:9.9
粒径:11.0μm
(C-5)カオリナイト
製品名:林化成製PoleStar450
pH:5.9
粒径:1.5μm
(C-6)カオリナイト
製品名:林化成製GlomaxLL
pH:6.2
粒径:1.5μm
【0127】
各重合体、無機粉体、及び組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
【0128】
(1)メルトマスフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210-2014に規定された方法に従って測定した。測定温度は230℃又は210又は190℃、荷重は2.16kgとした。溶融混練されるシリンダは金属製であり、樹脂に対して光は照射されない。
上記のMFR(X)は、重合体B-1と無機粉体C-1~C-5のいずれかとの合計100質量部に対して無機粉体C-1~C-5の当該いずれかを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートである。
MFR(B-1)は、重合体B-1の、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートである。
【0129】
(2)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果に基づき算出した。GPCの測定において、測定装置としてウォーターズ社製GPC-150Cを用い、ポリマー濃度0.05重量%のオルトジクロロベンゼン溶液を用い、カラムとして混合ポリスチレンゲルカラム(東ソー(株)社製PSKgelGMH6-HT)を使用し、測定温度を135℃とした。
【0130】
(3)重合体の融点(Tm)
JIS K7121に規定された方法に従って、測定した。測定温度は-50℃~200℃もしくは、-50℃~250℃で、昇温速度は10℃/分で測定した。
【0131】
(4)脂肪族ポリエステル系重合体Bのコモノマー成分の含有量
コモノマー成分の含有量は、脂肪族ポリエステル系重合体Bのヒドロキシアルカノエートの全エステル繰り返し単位の数に対する、3-ヒドロキシブチレート以外の他の繰り返し単位(3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)又は4-ヒドロキシブチレート(4HB))のモル比のことである。
【0132】
コモノマー成分の含有量は、L.Tripathi.,M.C.Factories,11,44(2012)に記載されている1H-NMRスペクトルを使用する方法で求めた。
〔測定条件〕
機種:Bruker AVANCE600
プローブ:10mmクライオプローブ
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:1秒
パルス幅:45°
積算回数:700回
磁場強度:600MHz
【0133】
(5)曲げ弾性率(FM)
東洋機械金属製SI30III型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの大きさの曲げ試験片を得た。測定条件はJIS-K-7171に従い、23℃における曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
【0134】
(6)検知量
東洋機械金属製SI30III型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの大きさの曲げ試験片を得た。得られた曲げ試験片を50g秤量し、4mm幅で裁断した。裁断した試験片をポリエチレン製の袋に入れ封を行い、オーブン中で40℃・2時間の条件で加温した。加温したサンプルの入ったポリエチレン製の袋に、ガステック製気体検知管(81L:酢酸)を取りつけたガステック製気体検知器(GV-100)を差し込み、検知量(単位:ppm)を評価した。検知量が高いほど、試験片の臭気が強いことを意味する。
【0135】
(7)無機粉体のpH
無機粉体のpHは、JIS M 8016-1991に従い、80mLの純水に20gの無機粉体を投入して攪拌し、堀場アドバンスドテクノ製LAQUAtwinを用いて液体のpHを評価した。
【0136】
(実施例1)
5.0質量%の重合体(B-1)と、85質量%の重合体(A-1)と、10.0質量%の無機粉体(C-1)とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:210℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0137】
(実施例2)
無機粉体(C-2)とした以外は、実施例1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0138】
(実施例3)
無機粉体(C-3)とした以外は、実施例1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0139】
(実施例4)
無機粉体(C-4)とした以外は、実施例1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0140】
(比較例1)
無機粉体(C-5)とした以外は、実施例1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0141】
(比較例2)
無機粉体(C-6)とした以外は、実施例1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
結果を表1に示す。
【0142】
【0143】
6.5~11.5の範囲内のpHを示す無機粉体C1~C4を使用した実施例1~4では、比較例1、2に比べて検知量が少なかった。特に、pHが9.5以下の実施例1~3では、特に、検知量が少なかった。