(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056326
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】3次元映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/10 20200101AFI20240416BHJP
G03B 35/24 20210101ALI20240416BHJP
H04N 13/307 20180101ALI20240416BHJP
H04N 13/363 20180101ALI20240416BHJP
【FI】
G02B30/10
G03B35/24
H04N13/307
H04N13/363
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163126
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】岡市 直人
(72)【発明者】
【氏名】加納 正規
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 久幸
(72)【発明者】
【氏名】洗井 淳
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H059AA24
2H059AA35
2H059AA38
2H059AB12
2H199BA17
2H199BA19
2H199BA20
2H199BA61
2H199BB02
2H199BB03
2H199BB09
2H199BB10
2H199BB25
2H199BB43
2H199BB52
5C061AA06
5C061AA23
5C061AB14
5C061AB16
(57)【要約】
【課題】広い奥行き範囲で解像度が高い3次元映像を表示することが可能な3次元映像表示装置を提供する。
【解決手段】3次元映像表示装置1は、方向別の複数の画像を2次元配列した3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された光線を方向別の光線として射出する光線射出部11と、光線射出部11よりも狭い画素ピッチを有し、光線射出部11から射出される方向別の光線を、制御された画素ごとの透過率で透過させる透過型液晶パネル12と、光線の視域を制御する第1の視域制御レンズ13
1と、第2の視域制御レンズ13
2と、入力された多視点映像データの方向別の画像における画素ごとの輝度と、第2の視域制御レンズ13
2を透過した後の方向別の画素ごとの輝度との誤差を最小化するように、3次元映像データの輝度および透過型液晶パネル12の透過率を制御する制御部20と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元映像を表示する3次元映像表示装置であって、
方向別の複数の画像を2次元配列した3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された光線を方向別の光線として射出する光線射出部と、
前記光線射出部よりも狭い画素ピッチを有し、前記光線射出部から射出される方向別の光線を、制御された画素ごとの透過率で透過させる透過型液晶パネルと、
前記透過型液晶パネルを透過した光線を後段の第2の視域制御レンズに集光させる第1の視域制御レンズと、
前記第1の視域制御レンズの焦点距離だけ前記第1の視域制御レンズから離間して配置され、集光した光線を正面方向に発散させる前記第2の視域制御レンズと、
入力された多視点映像データの方向別の画像における画素ごとの輝度と、前記第2の視域制御レンズを透過した後の前記方向別の画素ごとの輝度との誤差を最小化するように、前記光線射出部における前記3次元映像データの輝度および前記透過型液晶パネルの透過率を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項2】
前記光線射出部は、
前記3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された映像データを表示する表示デバイスと、
前記方向別の画像に対向して要素レンズを2次元配列し、前記要素レンズの焦点距離だけ前記表示デバイスから離間して配置した要素レンズアレイと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の3次元映像表示装置。
【請求項3】
前記光線射出部は、
前記3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された映像データを映像光として照射するプロジェクタと、
前記プロジェクタから照射された映像光を平行光に変換するコリメータレンズと、
前記コリメータレンズの平行光の射出側に配置され、前記方向別の画像の光線に対向して結像レンズを2次元配列した結像レンズアレイと、
前記結像レンズの焦点距離だけ前記結像レンズアレイから離間して配置され、前記方向別の画像の光線を第2のコンデンサレンズに重畳照射する第1のコンデンサレンズと、
前記第1のコンデンサレンズと焦点距離が同じで、前記第1のコンデンサレンズからその焦点距離だけ離間して配置され、前記方向別の画像の光線を前記方向別の平行光に変換する前記第2のコンデンサレンズと、
前記第2のコンデンサレンズの光線の射出側と接して配置され、前記方向別の平行光を角度方向に連続的な輝度分布の光線に拡散する拡散スクリーンと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の3次元映像表示装置。
【請求項4】
3次元映像を表示する3次元映像表示装置であって、
方向別の複数の画像を2次元配列した3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された映像データと2次元映像の輝度が画素ごとに制御された映像データとを切り替えて表示する表示デバイスと、前記方向別の画像の光線に対向してレンズ状態および透過状態の切り替えを制御される液晶レンズを2次元配列し、前記レンズ状態の液晶要素レンズの焦点距離だけ前記表示デバイスから離間して配置した液晶レンズアレイと、を備える光線射出部と、
前記光線射出部の光線の射出側に配置され、光線を後段の第2の視域制御レンズに集光させる第1の視域制御レンズと、
前記第1の視域制御レンズの焦点距離だけ前記第1の視域制御レンズから離間して配置され、集光した光線を正面方向に発散させる前記第2の視域制御レンズと、
前記液晶レンズアレイのレンズ状態および透過状態をフレームごとに切り替え、前記レンズ状態で前記液晶レンズアレイを通過する前記方向別の画素ごとの輝度と、前記透過状態で前記液晶レンズアレイを通過する画素ごとの輝度とを時分割多重により加算させたときの前記第2の視域制御レンズを通過した後の方向別の画素ごとの輝度との誤差を最小化するように、前記光線射出部における前記レンズ状態での前記3次元映像データの輝度と、前記透過状態での前記2次元映像データの輝度とを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項5】
前記第1の視域制御レンズおよび前記第2の視域制御レンズは、それぞれ、水平方向および垂直方向に複数配置した構成であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の3次元映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元映像を表示する3次元映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dメガネを用いた2眼方式をはじめとして、多種多様な3次元映像表示装置が提案されている。なかでも、ライトフィールド方式は、物体からの光線群を忠実に再現することで、水平と垂直の両方向に視差がある自然な3次元映像を特殊なメガネを用いることなく観察者に提示することができる(特許文献1,非特許文献1-2参照)。
しかし、ライトフィールド方式には、表示画面を所定の視距離から観察したとき、3次元映像を表示する奥行き位置を深くするほど解像度が低下することが知られている。広い奥行き範囲で解像度が高い3次元映像を表示するには再生光線の角密度を増加させる必要があるが、光線の角密度は3次元映像の視域角や最大画素数といった他の表示特性のパラメータとトレードオフの関係がある(非特許文献1参照)。
【0003】
従来、3次元映像の表示特性を向上させる方法として、視点追従技術が提案されている(非特許文献2参照)。この方法では、ある一フレームにおける光学的な視域角を視点方向に狭くする代わりに、光線の角密度を増加させることで、広い奥行き範囲で解像度が高い3次元映像を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】H. Hoshino, F. Okano, H. Isono, and I. Yuyama, “Analysis of resolution limitation of integral photography,”J. Opt. Soc. Am. A, vol. 15, no. 8, pp. 2059-2065 (1998).
【非特許文献2】S. Hong, D. Shin, J.-J. Lee, and B.-G. Lee, “Viewing angle-improved 3D integral imaging display with eye tracking sensor,” J. Inf. Commun. Converg. Eng., vol. 12, no. 4, pp. 208-214 (2014).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように、光線の角密度は3次元映像の視域角や最大画素数といった他の表示特性のパラメータとトレードオフの関係があるため、他の表示特性を維持したまま光線の角密度を増加させようとすると膨大な映像情報量が必要になってしまうという問題がある。
また、従来の視点追従技術を用いた手法は、視聴者の両眼を包含するように3次元映像の視域角を設計する必要がある。この制約のため、視点追従技術を用いた手法は、光線の角密度を大幅に増加させることは困難である。
そこで、本発明は、再生光線の角密度を高めることで、広い奥行き範囲で解像度が高い3次元映像を表示することが可能な3次元映像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る3次元映像表示装置は、3次元映像を表示する3次元映像表示装置であって、光線射出部と、透過型液晶パネルと、第1の視域制御レンズと、第2の視域制御レンズと、制御部と、を備える構成とした。
【0008】
かかる構成において、3次元映像表示装置は、光線射出部によって、方向別の複数の画像を2次元配列した3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された光線を方向別の光線として射出する。この3次元映像データは、例えば、要素画像群、多視点映像といった3次元映像を表示するためのデータである。
そして、3次元映像表示装置は、光線射出部の光線の射出側に配置され、光線射出部よりも狭い画素ピッチを有する透過型液晶パネルによって、制御された画素ごとの透過率で、方向別の光線を透過させる。
【0009】
そして、3次元映像表示装置は、透過型液晶パネルの光線の射出側に接して配置された第1の視域制御レンズによって、光線を後段の第2の視域制御レンズ上の3次元映像の画素位置に集光させる。
そして、3次元映像表示装置は、第1の視域制御レンズの焦点距離だけ第1の視域制御レンズから離間して配置された第2の視域制御レンズによって、集光した光線を正面方向に発散させる。この発散光によって、観察者は、3次元映像を観察することができる。
【0010】
このとき、3次元映像表示装置は、制御部によって、入力された多視点映像データの方向別の画素ごとの輝度と、第2の視域制御レンズを透過した後の方向別の画素ごとの輝度との誤差を最小化するように、光線射出部が射出する3次元映像データの輝度および透過型液晶パネルの透過率を制御する。これによって、3次元映像表示装置から射出される方向別の光線が異なる輝度の複数の光線となるため、再生光線の角密度を高めることができる。
【0011】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る3次元映像表示装置は、3次元映像を表示する3次元映像表示装置であって、表示デバイスと液晶レンズアレイとを備える光線射出部と、第1の視域制御レンズと、第2の視域制御レンズと、制御部と、を備える構成とした。
【0012】
かかる構成において、3次元映像表示装置は、光線射出部の表示デバイスによって、方向別の複数の画像を2次元配列した3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された光線と2次元映像データの輝度が画素ごとに制御された光線と、を方向別の光線として時分割で切り替えて射出する。
そして、3次元映像表示装置は、方向別の画像の光線に対向した液晶レンズが2次元配列され、レンズ状態の液晶レンズの焦点距離だけ表示デバイスから離間して配置した液晶レンズアレイによって、表示デバイスの光線をレンズ状態および透過状態の切り替えを制御された状態で通過させる。
【0013】
そして、3次元映像表示装置は、光線射出部の光線の射出側に配置され第1の視域制御レンズによって、光線を後段の第2の視域制御レンズ上の3次元映像の画素位置に集光させる。
そして、3次元映像表示装置は、第1の視域制御レンズの焦点距離だけ第1の視域制御レンズから離間して配置された第2の視域制御レンズによって、集光した光線を正面方向に発散させる。この発散光によって、観察者は、3次元映像を観察することができる。
【0014】
このとき、3次元映像表示装置は、制御部によって、液晶レンズアレイのレンズ状態および透過状態をフレームごとに切り替える。そして、3次元映像表示装置は、制御部によって、レンズ状態のときには3次元映像データ、透過状態のときには2次元映像データを表示デバイスに同期して表示する。
これによって、レンズ状態で液晶レンズアレイを通過する方向別の画素ごとの輝度と、透過状態で液晶レンズアレイを通過する画素ごとの輝度とが時分割多重により加算される。
また、3次元映像表示装置は、制御部によって、入力された多視点映像データの方向別の画素ごとの輝度と、第2の視域制御レンズを通過した後の方向別の画素ごとの輝度との誤差を最小化するように、光線射出部が射出するレンズ状態での3次元映像データの輝度と、透過状態での2次元映像データの輝度とを制御する。
これによって、3次元映像表示装置から射出される方向別の光線が異なる輝度の複数の光線となるため、再生光線の角密度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、3次元映像表示装置から射出される再生光線の角密度を高めることでる。これによって、本発明は、広い奥行き範囲で解像度が高い3次元映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る3次元映像表示装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置の構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置の光線射出部の構成例を示す図であって、(a)はインテグラル方式の光線射出部の構成を示す平面図、(b)は(a)の1つの要素レンズに対応する表示デバイスを拡大した図である。
【
図4】視域制御レンズによる視域制御内容を説明するため説明図である。
【
図5】透過型液晶パネルを設けた場合の光線を模式的に示す図である。
【
図6】透過型液晶パネルを設けなかった場合の光線を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置の制御部の構成を示すブロック構成図である。
【
図8】
図7の輝度誤差最小化部の処理を説明するための説明図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置の光線射出部の他の構成例を示す図であって、多視点映像投射方式の光線射出部の構成を示す平面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る3次元映像表示装置の構成を示す平面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る3次元映像表示装置の制御部の構成を示すブロック構成図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る3次元映像表示装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
まず、
図1,
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置1について説明する。
【0018】
3次元映像表示装置1は、3次元映像を表示するものである。この3次元映像表示装置1は、水平方向および垂直方向に視差を有する3次元映像Tを表示する。
図1に示すように、3次元映像表示装置1は、表示部10と、制御部20とを備える。表示部10は、
図2に示すように、光線射出部11と、透過型液晶パネル12と、2つの視域制御レンズ13(第1の視域制御レンズ13
1,第2の視域制御レンズ13
2)と、を備える。
【0019】
光線射出部11は、方向別の複数の画像を2次元配列した3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された光線を方向別の光線として射出するものである。光線射出部11は、一般的なライトフィールド方式の3次元映像表示装置(例えば、特許文献1、非特許文献1,2)を用いることができる。
光線射出部11の射出光の偏光状態は、ランダム偏光、円偏光、直線偏光のいずれであっても構わない。ただし、射出光が直線偏光であって、その偏光方向が後記する透過型液晶パネル12の入射面の偏光板の偏光透過軸と直交するときは、射出光が偏光板により遮断されてしまう。そこで、射出光を直線偏光とする場合は、偏光方向を透過型液晶パネル12の入射面の偏光板の偏光透過軸と直交しないように構成しておく。
【0020】
最も望ましい形態としては、光線射出部11の射出光を直線偏光とし、その偏光方向を透過型液晶パネル12の入射面の偏光板の偏光透過軸と同一とすることで、3次元映像表示装置1が表示する3次元映像Tを最も明るく表示することができる。
なお、ここでは、光線射出部11の画素prを分かり易く図示するため、水平方向(x方向)の5画素のみを図示している。
光線射出部11が射出する光線の方向および輝度については後で説明する。
【0021】
ここで、
図3を参照して、光線射出部11の構成例について説明する。
図3(a)は、光線射出部11をインテグラル方式の光線射出部11
1として構成した例を示す。
図3(b)は、光線射出部11
1の1つの要素レンズ111aに対応する表示デバイス110を拡大した図である。
図3(a)に示すように、光線射出部11
1は、表示デバイス110と、要素レンズアレイ111と、を備える。
【0022】
表示デバイス110は、後記する制御部20によって3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された映像データを表示するものである。
3次元映像データは、インテグラル方式の要素画像群である。表示デバイス110には、液晶ディスプレイ、有機EL(Organic Electro Luminescence)ディスプレイ等の直視型表示デバイスを用いる。
なお、表示デバイス110が表示する画素peは、分かり易く図示するため、水平方向(x方向)の50画素のみを図示している。
【0023】
要素レンズアレイ111は、微小な要素レンズ(凸レンズ)111aを2次元アレイ状に配列した光学素子である。要素レンズアレイ111は、表示デバイス110で表示される方向別の画像(要素画像)に対向して要素レンズ111aを2次元配列し、要素レンズ111aの焦点距離faだけ表示デバイス110から離間して配置される。
一般的に、要素レンズ111aのサイズは1mm程度、要素レンズアレイ111を構成する要素レンズ111aの個数は一方向につき数百個以上であるが、ここでは、分かり易く図示するため、水平方向(x方向)の5個のみを図示している。
すなわち、ここでは、表示デバイス110が表示する要素画像Ieの水平方向10画素に要素レンズ111aを1つ対応させた例を示している。
【0024】
また、
図3(a)では、水平方向の両端の要素レンズ111aに対向する画素peから射出されて、要素レンズ111aの中心(レンズ中心Lc)を通過する光線群について、主光線のみを図示している。また、
図3(a)では、主光線で最も下方向(x軸の負方向)に進行する光線を破線、それ以外の方向に進行する光線を点線で示している。
図3(b)に示すように、表示デバイス110の画素peの光線は、対向する要素レンズ111aの全面に照射され、要素レンズ111aの全面から平行光として1方向に射出される。この平行光の方向は、画素peの位置と、レンズ中心Lcとを結んだ方向と同一である。
【0025】
以上説明したように、光線射出部11
1は、要素レンズ111aの個数が光線射出部11
1の画素数となり、1つの要素レンズ111aに対向する表示デバイス110の画素数が光線射出部11
1の射出方向数になる。
図3(a)の例では、光線射出部11
1は、水平方向(x方向)に5画素、画素開口率100%の映像を画素ごとに10方向に射出することになる。
図2に戻って、3次元映像表示装置1の構成について説明を続ける。
【0026】
透過型液晶パネル12は、光線射出部11の光線の射出側に配置され、光線射出部11よりも狭い画素ピッチを有し、光線射出部11から射出される方向別の光線を、制御された画素ごとの透過率で透過させるものである。なお、射出される3次元映像データの画素とは、
図3で説明した表示デバイス110の画素である。
透過型液晶パネル12は、光線射出部11の表示面に密接して配置される。
透過型液晶パネル12は、図示を省略した液晶層、配向膜、透明電極、カラーフィルタ、偏光板等が積層された一般的な液晶パネルである。なお、
図2では、図を見やすくするため、光線射出部11と透過型液晶パネル12とを離間させている。
【0027】
透過型液晶パネル12は、制御部20によって画素ごとに電圧制御されることで、液晶分子の配光方向と偏光板とのなす角が変化し、透過率が制御される。
透過型液晶パネル12の画素密度は、光線射出部11の画素密度よりも高くする。
図2では、光線射出部11の水平方向(x方向)の1つの画素prに対して、透過型液晶パネル12の画素ppが10個対応していることを示している。
【0028】
このように、透過型液晶パネル12の画素密度が光線射出部11の画素密度よりも高い。また、透過型液晶パネル12の画素ppを透過した光線は、光線射出部11および透過型液晶パネル12による輝度変調された光線となる。
これによって、光線射出部11の画素prの1画素から射出される1方向の光線は、透過型液晶パネル12により、輝度が異なる10本の平行光線束となって進行する。
透過型液晶パネル12は、透過した光線を第1の視域制御レンズ131に照射する。
【0029】
視域制御レンズ13は、透過型液晶パネル12を透過する光線の視域を制御するものである。視域制御レンズ13は、第1の視域制御レンズ131と、第2の視域制御レンズ132と、を備える。視域制御レンズ131および視域制御レンズ132は、それぞれ、一般的な凸レンズ、フレネルレンズ、回折レンズ等で構成することができる。ここでは、視域制御レンズ131および視域制御レンズ132を、それぞれ凸レンズで構成している。
【0030】
視域制御レンズ13
1は、透過型液晶パネル12の光線を視域制御レンズ13
2に集光させるものである。ここでは、視域制御レンズ13
1は、透過型液晶パネル12から照射される画素ppごとの複数方向の光線を方向別に視域制御レンズ13
2に集光させる。視域制御レンズ13
1の直径は、光線射出部11の表示サイズ以上とする。視域制御レンズ13
1は、透過型液晶パネル12の光線の出射面に接して配置される。なお、
図2では、図を見やすくするため、透過型液晶パネル12と視域制御レンズ13
1とを離間させている。
【0031】
視域制御レンズ13
2は、視域制御レンズ13
1によって集光した光線を正面方向に発散させるものである。
ここで、光線射出部11の視域角をΨとし、
図2で示したxyz軸の原点位置を光線射出部11の表示画面の中心位置に平行移動したときのzx軸を座標軸とした極座標系を考える。光線射出部11から最大でΨ/2の角度で光線が射出されるとすると、その光線は、視域制御レンズ13
1の焦点距離をf
vとしたとき、視域制御レンズ13
1によって屈折され、視域制御レンズ13
1上のx=f
vtan(Ψ/2)の位置を通過する。そのため、視域制御レンズ13
2の直径は、2f
v・tan(Ψ/2)よりも大きくする必要がある。なお、光線射出部11の視域角は、光線射出部11の方式(例えば、特許文献1、非特許文献1,2)によって異なるため、ここでは、説明を省略する。
視域制御レンズ13
2は、視域制御レンズ13
1から、視域制御レンズ13
1の焦点距離f
vだけ離間して配置される。視域制御レンズ13
2の焦点距離は、視域制御レンズ13
1の焦点距離と同じとする。
【0032】
ここで、
図4を参照して、視域制御レンズ13による視域制御について、光線を図示して説明する。
光線射出部11および透過型液晶パネル12の画素構成は、
図2,
図3で説明した構成と同じである。
ここでは、透過型液晶パネル12の水平方向の両端の画素pp1,pp50から射出された光線群について主光線のみを図示している。また、
図4では、主光線で最も下方向(x軸の負方向)に進行する光線を破線、それ以外の方向に進行する光線を点線で示している。
【0033】
図3で説明したように、光線射出部11の画素prからは、それぞれ水平方向に10方向の平行光が射出される。
すなわち、
図4に示した光線射出部11の画素pr1から射出された10方向の光線のうち、例えば、透過型液晶パネル12の画素pp1によって輝度変調された光線は、第1の視域制御レンズ13
1によって屈折されて、10方向に射出される。他の画素についても同様に、光線射出部11の画素から射出されて透過型液晶パネル12で輝度変調された光線は、第1の視域制御レンズ13
1によって屈折し、10方向に射出される。
【0034】
ここで、第2の視域制御レンズ132は、視域制御レンズ131の焦点距離fvだけ視域制御レンズ131から離間しているため、視域制御レンズ131によって屈折された光線は、視域制御レンズ132上で水平方向の10カ所の異なる位置に集光する。
第2の視域制御レンズ132上に集光した光線は、視域制御レンズ132によってさらに屈折し、z軸の正方向に所定の視域角φで広がりながら発散する。
この発散光は、透過型液晶パネル12の画素で輝度が変調されているため、光線射出部11の5画素(pr1,…,pr5)が射出する10方向の光線は、視域角φ内において50段階の輝度変化を有する。
【0035】
すなわち、
図5に示すように、光線射出部11の画素prから射出された1方向の平行光は、画素prに対向する透過型液晶パネル12の10個の画素ppによって輝度変調され、視域制御レンズ13
1によって輝度が異なる光線が視域制御レンズ13
2上に集光され、視域制御レンズ13
2によって発散される。
【0036】
これによって、観察者は、光線射出部11の画素prから射出された1方向の平行光を10方向の光線として認識することが可能になり、視域制御レンズ132上の集光位置を3次元映像表示装置1の画素ptとして、画素ptにおいて50視点を認識することができる。
【0037】
参考までに、3次元映像表示装置1から透過型液晶パネル12を省略した場合、
図6に示すように、光線射出部11の画素prから射出された1方向の平行光は、輝度変調が行われず、視域制御レンズ13
1によって視域制御レンズ13
2上に集光され、視域制御レンズ13
2によって発散される。なお、ここでは、画素prから射出された1方向の平行光の主光線のみを図示した。
これによって、観察者は、光線射出部11の画素prから射出された1方向の平行光は、そのまま、1方向としか認識できず、画素ptの発散光によって5視点しか認識できない。
【0038】
なお、ここでは、説明を簡単にするため、光線射出部11の射出光線間のクロストークについては無視し、光線射出部11は、平行光を離散的な角度間隔で射出するものとして説明した。このとき、光線は、
図4に示すように、第2の視域制御レンズ13
2上の離散的な位置に集光するため、3次元映像表示装置1の表示映像の画素開口率は0%とみなすことができる。
【0039】
しかし、3次元映像表示装置1の射出光線は角度方向にクロストークを有するため、連続的な輝度分布を有する。このとき、光線は、第2の視域制御レンズ13
2上の連続的な位置から射出され、3次元映像表示装置1の表示映像の画素開口率は100%となる。ただし、視域制御レンズ13
2から射出される光線の角密度は変わらないため、クロストークがあっても本発明の効果に影響はない。
このような輝度制御を行って視域角内における視点数(角密度)を増やす場合、再生する3次元映像Tが所望の3次元映像となるように、輝度制御を行う必要がある。この制御については
図7により後記する。
図2に戻って、3次元映像表示装置1の構成について説明を続ける。
【0040】
制御部20は、入力された多視点映像データの方向別の画像における画素ごとの輝度と、第2の視域制御レンズ132を透過した後の方向別の画素ごとの輝度との誤差を最小化するように、光線射出部11が射出する3次元映像データの輝度および透過型液晶パネル12の透過率を制御するものである。
制御部20は、3次元映像Tを表示するための多視点映像データを入力し、光線射出部11に出力する輝度を変調した3次元映像データを生成するとともに、透過型液晶パネル12に表示するパネル表示映像データを生成する。
多視点映像データは、3DCG制作ソフトやボリュメトリックキャプチャ技術で生成した一般的な3Dモデルを仮想空間中に配置し、斜投影によりレンダリングすることで得た多視点映像を使用することができる。ここで、各多視点映像の画素数、画素密度、視点方向は3次元映像Tと同じとする。
【0041】
ここで、
図7を参照(適宜
図2,
図3参照)して、制御部20の構成について説明する。
制御部20は、仕様値記憶部21と、輝度映像生成部22と、輝度誤差最小化部23と、輝度映像変換部24と、透過率変換部25と、を備える。
【0042】
仕様値記憶部21は、3次元映像表示装置1を構成する各部の仕様値を記憶するものであって、半導体メモリ等の一般的な記憶媒体で構成することができる。
この仕様値記憶部21には、光線射出部11の表示デバイス110の水平方向および垂直方向の画素数、要素レンズアレイ111の水平方向および垂直方向の要素レンズ111aの個数と焦点距離、視域制御レンズ13の焦点距離等、3次元映像表示装置1を構成する各部の仕様値が予め記憶されている。
【0043】
また、仕様値記憶部21には、表示デバイス110における画素値と輝度値との対応表、透過型液晶パネル12における透過率と画素値との対応表等が記憶されている。
画素値と輝度値との対応表は、例えば、RGBの各8ビット256階調の値(画素値)と、光学的な輝度(輝度値)とを予め対応付けた表である。
透過率と画素値との対応表は、透過型液晶パネル12の透過率(例えば、0~0.3)と、透過型液晶パネル12の画素値(例えば、0~255(8ビット256階調))とを予め対応付けた表である。ここでは、例えば、透過率“0”と画素値“0”、透過率“0.3”と画素値“255”のように、画素値に比例して透過率が大きくなるものとする。
【0044】
輝度映像生成部22は、3次元映像Tを表示するための多視点映像データから輝度映像を生成するものである。
輝度映像生成部22は、多視点映像データを入力し、仕様値記憶部21に記憶されている画素値と輝度値との対応表を参照して、画素値を輝度値に変換することで、輝度映像を生成する。
輝度映像生成部22は、多視点映像データの画素ごとに、画素の輝度値を輝度誤差最小化部23に出力する。なお、多視点映像データが輝度映像であれば、輝度映像生成部22は、入力した多視点映像データをそのまま、画素の輝度値として輝度誤差最小化部23に出力する。
ここでは、説明を簡単にするため、水平方向(x方向)の視線方向θと画素位置(x座標)に対応する多視点映像データの画素の輝度をV(x,θ)として表現する。
【0045】
輝度誤差最小化部23は、輝度映像生成部22から入力される視線方向および画素位置ごとの輝度と、表示部10(光線射出部11、透過型液晶パネル12および視域制御レンズ13)を介して3次元映像Tとして表示される視線方向および画素位置ごとの輝度との誤差を最小化する3次元映像データおよびパネル表示映像データを生成するものである。
【0046】
ここで、
図8を参照して、輝度誤差最小化部23の処理について具体的に説明する。なお、
図8は、
図4と同じ画素構成としている。また、説明を簡単にするために一方向(z方向)のみで説明する。
光線射出部11の画素pr(
図3の要素レンズアレイ111)のx方向の画素位置(x)から、視域制御レンズ13
1,13
2のレンズ中心Lc1,Lc2を通るz軸とのなす角である角度θに射出される光線の輝度(射出光線輝度)をI(x,θ)と表記する。
透過型液晶パネル12のx方向の画素位置(x)の透過率をT(x)と表記する。
視域制御レンズ13
2上の集光位置である3次元映像表示装置1のx座標の画素ptの位置における角度θの輝度(再生光線輝度)をL(x,θ)と表記する。
なお、角度θは、光線の進行方向を示し、θの範囲は-90°<θ<90°であり、図中、z方向がθ=0°、x軸の正の方向がθ=90°、x軸の負の方向がθ=-90°である。
【0047】
この場合、光線射出部11の画素prの画素位置xからθ方向に射出された光線(輝度はI(x,θ))は、透過型液晶パネル12の画素位置xにおける透過率T(x)によって輝度変調され、視域制御レンズ132上から射出される。
そして、すべての角度θにおいて、視域制御レンズ132上から射出されるL(x,θ)と、多視点映像データの水平方向(x方向)の視線方向θと画素位置(x座標)とに対応する画素の輝度V(x,θ)との誤差を最小化することで、3次元映像Tは、再生したい所望の3次元映像となる。
すなわち、L(x,θ)と、I(x,θ)およびT(x)とは、以下の式(1)に示す関係となる。
【0048】
【0049】
そこで、輝度誤差最小化部23は、以下の式(2)を最小二乗法の目的関数として、I(x′,θ′)およびT(x′)を算出する。なお、式(2)は、一般的な最小二乗問題の最適化アルゴリズムを用いて計算することができる。
【0050】
【0051】
図7に戻って、制御部20の構成について説明を続ける。
輝度誤差最小化部23は、算出した視線方向ごとの画素位置の輝度I(x′,θ′)を輝度映像変換部24に出力する。
また、輝度誤差最小化部23は、算出した画素位置ごとの透過率T(x′)を透過率変換部25に出力する。
【0052】
輝度映像変換部24は、輝度誤差最小化部23で算出された視線方向ごとの画素位置の輝度I(x′,θ′)を3次元映像データに変換するものである。
輝度映像変換部24は、仕様値記憶部21に記憶されている画素値と輝度値との対応表と、光線射出部11の表示デバイス110の画素peと要素レンズアレイ111との位置関係とを参照して、視線方向ごとの画素位置の輝度を画素値に変換することで、3次元映像データ、すなわち、要素画像群を生成する。
輝度映像変換部24は、生成した要素画像群を3次元映像データとして光線射出部11に表示する。
【0053】
透過率変換部25は、輝度誤差最小化部23で算出された画素位置ごとの透過率をパネル表示映像データに変換するものである。
透過率変換部25は、仕様値記憶部21に記憶されている画素値と透過率との対応表を参照して、画素位置ごとの透過率を画素位置ごとの画素値に変換することで、パネル表示映像データを生成する。
透過率変換部25は、生成したパネル表示映像データを透過型液晶パネル12に表示する。
【0054】
以上説明した構成によって、3次元映像表示装置1は、3次元映像データ(要素画像群)を、透過型液晶パネル12の画素分だけ輝度を変調した光線を異なる方向に射出することができる。このように、3次元映像表示装置1は、3次元映像Tの角密度を高めることができるため、広い奥行き範囲で解像度が高い3次元映像Tを表示することができる。
【0055】
(3次元映像の表示特性)
次に、
図4を参照して、3次元映像表示装置1が表示する3次元映像Tの表示特性について説明する。
ここで、光線射出部11、光線射出部11の表示デバイス110、透過型液晶パネル12および3次元映像表示装置1の最大画素数をそれぞれN
I,N
E,N
T,N
Lとする。また、光線射出部11の光線の射出方向数と3次元映像表示装置1の視点数をそれぞれM
I,M
Lとする。
【0056】
3次元映像表示装置1は、視域制御レンズ131上の各集光点が3次元映像Tの画素ptになる。従って、3次元映像表示装置1の最大画素数NL=MIとなる。また、3次元映像表示装置1の画素ptからは、透過型液晶パネル12の画素分だけ輝度が変調された光線が異なる方向に射出される。この光線の進行方向を視点方向とみなすと、3次元映像表示装置1の視点数ML=NTとなる。
また、3次元映像表示装置1が表示する3次元映像Tの視域角φは、以下の式(3)で表される。
【0057】
【0058】
ここで、Dは光線射出部11の表示サイズ、fvは視域制御レンズ13(131,132)の焦点距離である。
この式(3)から分かるように、3次元映像表示装置1は、3次元映像Tの視域角φを視域制御レンズ13の焦点距離fvにより調整することができる。
また、3次元映像表示装置1が表示する光線の角密度ωは、以下の式(4)で表される。
【0059】
【0060】
この式(4)から分かるように、3次元映像表示装置1は、透過型液晶パネル12の画素数NTを増加させることで、光線の角密度ωを容易に向上させることができる。このように、角密度を高くすることで、ライトフィールド方式の3次元映像表示装置1は、表示画面の所定の視距離から観察者が観察したときに、広い奥行き範囲で高解像度の3次元映像Tを表示することができる。
【0061】
なお、前記式(2)において、最適化を行った場合でも、厳密にはL(x,θ)はV(x,θ)に対して誤差を有する。しかし、この誤差は、光線射出部11の表示映像の画素数(NI)を多くするほど小さくすることができる。ただし、MI=NL=NE/NIの関係があるため、NIを多くすると、光線射出部11の射出方向数(MI)が低下し、3次元映像表示装置1の最大画素数(NL)が低下してしまう。そこで、このトレードオフを考慮して、3次元映像表示装置1を設計すればよい。
【0062】
総合的に良好な特性の3次元映像Tを表示するためには、光線射出部11の画素数(N
I)に対する透過型液晶パネル12の画素数(N
T)の比、すなわち、N
T/N
Iを10~20程度とすることが好ましい。さらに、後記する3次元映像表示装置1C(
図12)のように、視域制御レンズ13Cを透過型液晶パネル12に対してタイリングする構成とし、1つの視域制御レンズ13に対向する透過型液晶パネル12の画素数を数百画素程度とすることが好ましい。
【0063】
以上、本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置1について説明した。本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置1は、ライトフィールド方式の1つであるインテグラル方式の光線射出部11,111を用いた。しかし、3次元映像表示装置1には、多視点映像投射方式の光線射出部を用いてもよい。
【0064】
(光線射出部の変形例)
ここで、
図9を参照して、多視点映像投射方式の光線射出部11,11
2の構成例について説明する。
【0065】
図9に示すように、光線射出部11
2は、プロジェクタ112と、コリメータレンズ113と、結像レンズアレイ114と、2つのコンデンサレンズ115(115
1,115
2)と、拡散スクリーン116と、を備える。
【0066】
プロジェクタ112は、制御部20によって3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された映像データを映像光として照射するものである。
ここでは、3次元映像データは、多視点映像投射方式の多視点映像である。
プロジェクタ112は、多視点映像投射方式の映像光をコリメータレンズ113に照射する。なお、ここでは、分かり易く図示するため、プロジェクトの水平方向(x方向)の画素数を50画素とする。
【0067】
コリメータレンズ113は、プロジェクタ112から照射された映像光を平行光に変換するもので、一般的な凸レンズ等で構成される。
コリメータレンズ113は、プロジェクタ112の光源からコリメータレンズ113の焦点距離fbだけ離間して配置される。
コリメータレンズ113は、平行光を結像レンズアレイ114に照射する。
【0068】
結像レンズアレイ114は、コリメータレンズ113から照射される多視点映像の各視点映像Viに相当する映像光に対向して、結像レンズ(凸レンズ)114aを2次元アレイ状に配列した光学素子である。結像レンズアレイ114は、方向別の画像(多視点映像を構成する各視点映像)の光線に対向して結像レンズを2次元配列し、コリメータレンズ113から照射される多視点映像の各視点映像Viに相当する映像光を第1のコンデンサレンズ115
1面上に集光させるとともに、第2のコンデンサレンズ115
2面上に結像させる。
ここでは、結像レンズアレイ114は、コリメータレンズ113から照射される多視点映像の各視点映像Viに対向して、水平方向(x方向)の10個のみを図示している。
なお、
図9では光線の進行経路を分かり易くするために各視点映像Vi同士および各結像レンズ114a同士を離間させているが、離間させずに接続させてもよい。
【0069】
コンデンサレンズ115は、結像レンズアレイ114で結像される光線の視域を制御するものである。コンデンサレンズ115は、第1のコンデンサレンズ1151および第2のコンデンサレンズ1152を備える。コンデンサレンズ1151およびコンデンサレンズ1152は、一般的な凸レンズ、フレネルレンズ、回折レンズ等で構成することができる。ここでは、コンデンサレンズ1151を凸レンズ、コンデンサレンズ1152を平凸レンズで構成している。
【0070】
コンデンサレンズ1151は、結像レンズアレイ114のそれぞれの結像レンズ114aで結像される光線を、コンデンサレンズ1152の同じ所定範囲に照射させるものである。すなわち、コンデンサレンズ1151は、結像レンズ114aで結像される視点映像Viを、コンデンサレンズ1152の同じ所定範囲に重畳照射する。なお、コンデンサレンズ1151は、結像レンズアレイ114から結像レンズ114aの焦点距離fcだけ離間して配置される。
【0071】
コンデンサレンズ1152は、コンデンサレンズ1151から重畳照射された方向別の画像(視点映像Vi)の光線を方向別の平行光に変換するものである。すなわち、コンデンサレンズ1152は、重畳された視点映像Viを、視点ごとの離散的な角度間隔の光線として射出する。
なお、コンデンサレンズ1152は、コンデンサレンズ1151からコンデンサレンズ1151の焦点距離fdだけ離間して配置される。また、コンデンサレンズ1152の焦点距離はコンデンサレンズ1151の焦点距離と同じ(fd)とする。
コンデンサレンズ1152から射出される視点ごとの離散的な角度間隔の光線は、拡散スクリーン116に照射される。
【0072】
拡散スクリーン116は、コンデンサレンズ1152から入射された光線を拡散するものである。拡散スクリーン116は、水平方向および垂直方向に離散的な角度間隔で入射する光線を拡散することで光線間を補間する。
【0073】
以上説明した光線射出部112において、プロジェクタ112は、制御部20によって画素ごとの輝度が変調された多視点映像投射方式の映像(多視点映像)光をコリメータレンズ113に照射する。
コリメータレンズ113に照射された映像光は、平行光となって結像レンズアレイ114に照射される。
結像レンズアレイ114は、照射された映像光を結像レンズ114aごとにコンデンサレンズ1151に集光させる。ここでは、映像光は、10個の結像レンズ114aによって、コンデンサレンズ1151上の10個の位置に集光される。
【0074】
コンデンサレンズ1151は、集光した各位置の映像光を屈折させて、コンデンサレンズ1152上に重畳照射する。
コンデンサレンズ1152は、重畳照射された10枚分の映像光を屈折させ、平行光として10方向に射出する。
拡散スクリーン116は、離散的な角度間隔で入射された10方向の平行光を、僅かに拡して、光線の角度方向の輝度分布を連続的な光線に変換する。
【0075】
この光線射出部11
2では、1個の結像レンズ114aに入射するプロジェクタ112からの投射映像の画素数が、光線射出部11
2の表示映像の画素数となる。また、光線射出部11
2では、結像レンズ114aの個数が光線射出部11
2の射出方向数になる。
従って、
図9の例では、光線射出部11
2は、水平方向(x方向)に5画素、画素開口率100%の映像を画素ごとに10方向に射出することになる。なお、
図9では、拡散スクリーン116から射出される光線群の中で最も下方向(x軸の負方向)に進行する光線を破線、それ以外の方向に進行する光線を点線で示している。
【0076】
<第2実施形態>
次に、
図1,
図10を参照して、本発明の第2実施形態に係る3次元映像表示装置1Bについて説明する。
【0077】
3次元映像表示装置1Bは、3次元映像表示装置1と同様、3次元映像を表示するものである。この3次元映像表示装置1Bは、水平方向および垂直方向に視差を有する3次元映像Tを表示する。
【0078】
図1に示すように、3次元映像表示装置1Bは、表示部10Bと、制御部20Bとを備える。表示部10Bは、
図10に示すように、光線射出部11Bと、2つの視域制御レンズ13(13
1,13
2)と、を備える。視域制御レンズ13は、3次元映像表示装置1と同じ構成であるため説明を省略する。
光線射出部11Bは、時分割で輝度が異なる映像を多方向に射出するものである。光線射出部11Bは、表示デバイス110と、液晶レンズアレイ117と、を備える。
【0079】
表示デバイス110は、方向別の複数の画像を2次元配列した3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された光線を方向別の光線として射出するものである。
表示デバイス110は、後記する制御部20Bによって3次元映像データの輝度が画素ごとに制御された映像データと、輝度映像である2次元映像データとを切り替えてを表示する。3次元映像データは、インテグラル方式の要素画像群である。
なお、表示デバイス110は、
図3で説明した表示デバイス110と同じものである。
ここでは、表示デバイス110が表示する画素は、分かり易く図示するため、水平方向(x方向)の50画素のみを図示している。
【0080】
液晶レンズアレイ117は、レンズ状態と透過状態とを切り替える液晶レンズ117aを2次元アレイ状に配列したものである。液晶レンズアレイ117は、表示デバイス110の表示面から、液晶レンズ117aの焦点距離faだけ離間して配置される。
液晶レンズ117aは、レンズ状態では凸レンズとして機能する。また、液晶レンズ117aは、透過状態ではガラス板として機能する。
【0081】
液晶レンズアレイ117の液晶レンズ117aは、後記する制御部20Bによってレンズ状態および透過状態が切り替えられる。
なお、このように、レンズ状態および透過状態を切り替える液晶レンズは、公知のものを用いることができる。例えば、以下の参考文献1,2に記載の液晶レンズを用いることができる。
【0082】
(参考文献1)J. Kim, J. Kim, J. H. Na, B. Lee, and S. D. Lee, "Liquid crystal-based square lens array with tunable focal length," Opt. Express, vol. 22, no. 3, pp. 3316-3324 (2014).
(参考文献2)F. Chu, Y. Q. Guo, Y. X. Zhang, W. Duan, H. L. Zhang, L. L. Tian, L. Li, and Q. H. Wang, "Four-mode 2D/3D switchable display with a 1D/2D convertible liquid crystal lens array," Opt. Express, vol. 29, no. 23, pp. 37464-37475 (2021).
【0083】
液晶レンズアレイ117は、レンズ状態において、表示デバイス110が表示する要素画像群を3次元映像Tとして表示するインテグラル方式の要素レンズアレイとして機能する。
液晶レンズアレイ117は、透過状態において、表示デバイス110が表示する2次元映像をそのまま表示することになる。
【0084】
制御部20Bは、液晶レンズアレイ117のレンズ状態および透過状態をフレームごとに切り替え、レンズ状態のときには3次元映像データ、透過状態のときには2次元映像データを同期して表示デバイス110に表示するものである。これによって、レンズ状態で液晶レンズアレイ117を通過する方向別の画素ごとの輝度と、透過状態で液晶レンズアレイ117を通過する画素ごとの輝度とが時分割多重により加算される。
また、制御部20Bは、入力された多視点映像データの方向別の画素ごとの輝度と、第2の視域制御レンズ132を通過した後の方向別の画素ごとの輝度との誤差を最小化するように、光線射出部11Bが射出するレンズ状態での3次元映像データの輝度と、透過状態での2次元映像データの輝度とを制御する。
この制御部20Bは、3次元映像Tを表示するための多視点映像データを入力し、光線射出部11Bの表示デバイス110に出力する輝度を変調したフレームごとの3次元映像データおよび2次元映像データを生成するとともに、フレームに同期して、液晶レンズアレイ117のレンズ状態および透過状態の切り替えを制御する。
【0085】
ここで、
図11を参照して、制御部20Bの構成について説明する。
制御部20Bは、仕様値記憶部21Bと、輝度映像生成部22と、輝度誤差最小化部23Bと、輝度映像変換部24Bと、透過切替部26と、を備える。
輝度映像生成部22は、
図7で説明した制御部20の構成と同じであるため、説明を省略する。
【0086】
仕様値記憶部21Bは、3次元映像表示装置1Bを構成する各部の仕様値を記憶するものであって、半導体メモリ等の一般的な記憶媒体で構成することができる。
この仕様値記憶部21Bには、光線射出部11Bの表示デバイス110の水平方向および垂直方向の画素数、液晶レンズアレイ117の水平方向および垂直方向の液晶レンズ117aの個数と焦点距離、視域制御レンズ13の焦点距離等、3次元映像表示装置1Bを構成する各部の仕様値が予め記憶されている。
また、仕様値記憶部21Bには、表示デバイス110における画素値と輝度値との対応表が記憶されている。この対応表は、
図7で説明した制御部20の仕様値記憶部21の記憶内容と同じであるため、説明を省略する。
【0087】
輝度誤差最小化部23Bは、輝度映像生成部22から入力される視線方向および画素位置ごとの輝度と、表示部10B(光線射出部11Bおよび視域制御レンズ13)を介して3次元映像Tとして表示される視線方向および画素位置ごとの輝度との誤差を最小化するフレームごとの3次元映像データおよび2次元映像データを生成するものである。
なお、輝度誤差最小化部23Bは、生成した3次元映像データおよび2次元映像データをフレームごとに切り替えて輝度映像変換部24Bに出力する。すなわち、輝度誤差最小化部23Bは、奇数フレームの表示タイミングでは3次元映像データを輝度映像変換部24Bに出力し、偶数フレームの表示タイミングでは2次元映像データを輝度映像変換部24Bに出力する処理をフレームごとに切り替えて行う。
また、輝度誤差最小化部23Bは、この切り替えのタイミングを透過切替部26に指示(切替指示)する。
このフレームの切り替えは、フリッカが知覚されない速度(例えば、1/120秒ごと)で行う。
【0088】
ここで、
図10を参照して、輝度誤差最小化部23Bの処理について具体的に説明する。
奇数フレームで光線射出部11Bの液晶レンズアレイ117上の画素位置xから射出された、視域制御レンズ13
1,13
2のレンズ中心Lc1,Lc2を通るz軸とのなす角である角度θの方向に進行する光線の輝度(射出光線輝度)をI′(x,θ)と表記する。
偶数フレームでは、光線射出部11Bの表示デバイス110の各画素から角度方向に一様な輝度分布を持つ光線が射出されるものとし、画素位置xから射出される光線の輝度をA(x)と表記する。
【0089】
ここで、連続するフレームの光線の輝度が時分割多重により加算されたとき、視域制御レンズ132上の画素位置xから射出される角度θの方向に進行する光線の輝度(再生光線輝度)をL′(x,θ)と表記する。
この場合、光線射出部11Bの液晶レンズアレイ117上の画素位置x′からθ′方向に射出された奇数フレームの光線(輝度はI′(x′,θ′))と、表示デバイス110上の画素位置x″から射出された偶数フレームの光線(輝度はA(x″))とが加算されて、視域制御レンズ132上の画素位置xから角度θの方向に射出される。x,θ,x′,x″,θ′の関係は後述する。
【0090】
そして、すべての画素位置xと角度θにおいて、視域制御レンズ132から射出されるL′(x,θ)と、入力された多視点映像データの水平方向(x方向)の視線方向θと画素位置(x座標)に対応する画素の輝度V(x,θ)との誤差を最小化することで、3次元映像Tは、再生したい所望の3次元映像となる。
すなわち、L′(x,θ)と、I′(x,θ)およびA(x)とは、以下の式(5)に示す関係となる。
【0091】
【0092】
そこで、輝度誤差最小化部23Bは、前記式(2)のL(x,θ)をL′(x,θ)に置き換えたうえで、前記式(2)を最小二乗法の目的関数として、I′(x′,θ′)およびA(x″)を算出する。
図11に戻って、制御部20Bの構成について説明を続ける。
【0093】
輝度誤差最小化部23Bは、算出した視線方向ごとの画素位置の輝度I′(x′,θ′)を奇数フレームの表示タイミングで輝度映像変換部24Bに出力する。
また、輝度誤差最小化部23Bは、算出した画素位置ごとの輝度A(x″)を偶数フレームの表示タイミングで輝度映像変換部24Bに出力する。
そして、輝度誤差最小化部23Bは、奇数フレームの表示タイミングで透過切替部26に液晶レンズアレイ117をレンズ状態とする旨を指示する。
また、輝度誤差最小化部23Bは、偶数フレームの表示タイミングで透過切替部26に液晶レンズアレイ117を透過状態とする旨を指示する。
【0094】
輝度映像変換部24Bは、輝度誤差最小化部23Bで生成された輝度映像の各画素の輝を画素値に変換するものである。輝度映像変換部24Bは、仕様値記憶部21Bに記憶されている画素値と輝度値との対応表を参照して、画素値に変換する。また、輝度映像変換部24Bは、仕様値記憶部21Bに記憶されている表示デバイス110の画素と液晶レンズアレイ117との位置関係を参照して、輝度I′(x′,θ′)を要素画像群(3次元映像データ)に変換する。
【0095】
輝度誤差最小化部23Bから輝度I′(x′,θ′)が入力された場合、輝度映像変換部24Bは、画素位置の輝度を画素値に変換することで、3次元映像Tを表示するための要素画像群(3次元映像データ)を生成することになる。
輝度誤差最小化部23Bから輝度A(x″)が入力された場合、輝度映像変換部24Bは、画素位置の輝度を画素値に変換することで、2次元映像データを生成することになる。
輝度映像変換部24Bは、変換後の映像データ(3次元映像データまたは2次元映像データ)を光線射出部11の表示デバイス110に表示する。
透過切替部26は、輝度映像変換部24Bからの指示に基づいて、液晶レンズアレイ117のレンズ状態と透過状態とを切り替えるものである。
【0096】
以上説明した構成によって、3次元映像表示装置1Bは、時分割多重により、3次元映像データ(要素画像群)の光線の輝度を変調することで、光線を異なる方向に射出することができる。このように、3次元映像表示装置1Bは、3次元映像Tの角密度を高めることができるため、広い奥行き範囲で解像度が高い3次元映像Tを表示することができる。
【0097】
また、3次元映像表示装置1では光線の輝度を透過型液晶パネル12により減衰させるのに対し、3次元映像表示装置1Bは、時分割多重により光線の輝度を加算することで、角密度の高い3次元映像Tを表示している。そのため、3次元映像表示装置1Bは、透過型液晶パネル12の画素の最大透過率が50%未満のときは、
図2の3次元映像表示装置1よりも明るい3次元映像を表示することができる。
【0098】
<第3実施形態>
次に、
図1,
図12を参照して、本発明の第3実施形態に係る3次元映像表示装置1Cについて説明する。
3次元映像表示装置1Cは、3次元映像表示装置1と同様、3次元映像を表示するものである。この3次元映像表示装置1Cは、水平方向および垂直方向に視差を有する3次元映像Tを表示する。
【0099】
図1に示すように、3次元映像表示装置1Cは、表示部10Cと、制御部20とを備える。表示部10Cは、
図12に示すように、光線射出部11と、透過型液晶パネル12と、視域制御レンズ13C(第1の視域制御レンズ13C
1,第2の視域制御レンズ13C
2)と、を備える。
【0100】
表示部10Cは、
図2で説明した表示部10と比べて、視域制御レンズ13Cの構成のみが異なっている。
図2で説明した表示部10では、2つの視域制御レンズ13(13
1,13
2)のそれぞれを1枚のレンズで構成している。
表示部10Cでは、2つの視域制御レンズ13C(13C
1,13C
2)のそれぞれを水平方向および垂直方向に複数のレンズを配列して構成している。
ここでは、第1の視域制御レンズ13C
1を水平方向(x方向)に2つ配置し、第2の視域制御レンズ13C
2を水平方向(x方向)に2つ配置した例を示している。
【0101】
このように、3次元映像表示装置1Cは、2つの視域制御レンズ13C(13C1,13C2)のそれぞれを複数配列することで、視域制御レンズとして口径の小さいレンズを使用することができる。
そのため、3次元映像表示装置1Cは、視域制御レンズの収差による光線の進行方向の誤差が少なくなり、3次元映像Tの表示品質を高めることができる。
【0102】
ここで、第1の視域制御レンズ13C1および第2の視域制御レンズ13C2の個数を、それぞれNP、光線射出部11の射出方向数をMIとすると、3次元映像Tの最大画素数NLは、NL=MINPとなる。このように、3次元映像表示装置1Cでは、表示特性に影響を与えるパラメータとして、視域制御レンズ13Cの個数が新たに加わることになる。その結果、3次元映像表示装置1Cは、設計をより柔軟に行うことが可能になる。
また、光線射出部11の視域制御レンズ13Cの1つのレンズの大きさに対応する表示サイズをD′としたとき、3次元映像Tの視域角φ′は、以下の式(6)で表される。
【0103】
【0104】
なお、3次元映像表示装置1Cにおいて、3次元映像Tの画素位置を表示画面全体で等間隔にするためには、3次元映像表示装置1Cの視域角φ′と、光線射出部11の視域角Ψと、を同一にすることが好ましい。
また、ここでは、3次元映像表示装置1Cは、3次元映像表示装置1の第1の視域制御レンズ13
1および第2の視域制御レンズ13
2を、それぞれ1枚のレンズから複数のレンズに代えて構成した。
同様に、3次元映像表示装置1B(
図10参照)の第1の視域制御レンズ13
1および第2の視域制御レンズ13
2を、それぞれ1枚のレンズから複数のレンズに代えて構成しても構わない。
【0105】
(設計例)
ここで、
図12に示した3次元映像表示装置1Cの設計例として、設計値の例を示す。ここでは、光線射出部11をインテグラル方式の光線射出部11
1(
図3)とし、水平方向(x方向)のみの設計値を示す。
光線射出部11を構成する表示デバイス110の画素数を4000画素、画素ピッチを100μm、要素レンズアレイ111の要素レンズ111aの個数を400個、レンズピッチを1mm、焦点距離f
aを2.836mmとする。
このとき,光線射出部11の表示映像の画素数は400画素、射出方向数は10方向、視域角は20度、光線の角密度は0.5本/度になる。
【0106】
次に,3次元映像表示装置1Cを構成する透過型液晶パネル12の画素数を4000画素、画素ピッチを100μmとする。また、視域制御レンズ13Cのレンズ個数を40組、レンズピッチを10mm、焦点距離fvを28.36mmとする。
このとき、3次元映像表示装置1Cの表示映像の画素数は400画素、視点数は100方向、視域角は20度、光線の角密度は0.05本/度になる。光線射出部11と3次元映像表示装置1Cとを比べたとき、表示映像の画素数と視域角は同一でありながら、3次元映像表示装置1Cは光線の角密度が10倍高い光線を再生することができる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、ここでは、説明を簡単にするため、水平方向(x方向)についてのみ、角密度を高める例で説明した。
しかし、本発明は、垂直方向(y方向)に対しても同様に角密度を増加させることができる。
【0108】
具体的には、式(1)や式(5)における画素位置xおよび視線方向θを、それぞれ、画素位置(x,y)および視線方向(θx,θy)として、垂直方向の画素位置yと、垂直方向の視線方向θyとを加味して、輝度制御を行えばよい。
例えば、式(1)の代わりに、以下の式(7)を用いればよい。
【0109】
【0110】
そして、輝度誤差最小化部23(
図7)は、以下の式(8)を最小二乗法の目的関数として、I(x′,y′,θx′,θy′)およびT(x′,y′)を算出すればよい。
式(5)についても同様である。
【0111】
【符号の説明】
【0112】
1,1B,1C 3次元映像表示装置
10,10B,10C 表示部
11,11B 光線射出部
110 表示デバイス
111 要素レンズアレイ
112 プロジェクタ
113 コリメータレンズ
114 結像レンズアレイ
1151 第1のコンデンサレンズ
1152 第2のコンデンサレンズ
116 拡散スクリーン
117 液晶レンズアレイ
12 透過型液晶パネル
131 第1の視域制御レンズ
132 第2の視域制御レンズ
20,20B 制御部
21、21B 仕様値記憶部
22 輝度映像生成部
23,23B 輝度誤差最小化部
24,24B 輝度映像変換部
25 透過率変換部
26 透過切替部