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特開2024-56339通信波用反射板および通信波用反射板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056339
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】通信波用反射板および通信波用反射板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 33/00 20060101AFI20240416BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B32B33/00
H01Q15/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163141
(22)【出願日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】笠原 純也
(72)【発明者】
【氏名】武井 邦浩
【テーマコード(参考)】
4F100
5J020
【Fターム(参考)】
4F100AB00A
4F100AB00D
4F100AB04A
4F100AB10A
4F100AB10D
4F100AB17A
4F100AB17D
4F100AB24D
4F100AB25B
4F100AK02C
4F100AK03B
4F100AK04C
4F100AK04E
4F100AK07C
4F100AK07E
4F100AK09E
4F100AK12B
4F100AK25B
4F100AK41E
4F100AK42C
4F100AK46E
4F100AK48C
4F100AK49B
4F100AK49C
4F100AK53B
4F100AL06C
4F100AL07B
4F100AR00B
4F100AS00B
4F100AT00C
4F100AT00E
4F100DC30D
4F100GB41
4F100JG05B
4F100JG10
4F100JL11B
4F100YY00B
4F100YY00D
5J020AA03
5J020BA01
5J020BA06
(57)【要約】
【課題】電波の反射性能を向上させるための積層構成の実現を可能とし、特に反射効率の高い通信波用反射板および通信波用反射板の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも金属層11、基材層13、金属パターン14、保護層15をこの順で含む積層体からなり、金属パターン14が複数の幾何学的模様が繰り返しからなり回路として導通していないパターンであり、金属層11と、基材層13との間に厚さが0.1~25μmの接着剤層12を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも金属層、基材層、金属パターン、保護層をこの順で含む積層体からなり、
前記金属パターンが複数の幾何学的模様が繰り返しからなり回路として導通していないパターンであり、
前記金属層と、前記基材層との間に厚さが0.1~25μmの接着剤層を含むことを特徴とする通信波用反射板。
【請求項2】
前記接着剤層の誘電正接(Df)が0.02以下であることを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項3】
前記接着剤層の比誘電率(Dk)が3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項4】
前記接着剤層がポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン系エラストマーのいずれかから選択される接着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項5】
前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、変性ポリイミド(MPI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)のいずれかから選択される樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項6】
前記金属層が、銅、アルミニウム、ステンレスのいずれかから選択される金属からなることを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項7】
前記金属パターンが、アルミニウム、銅、金、銀のいずれかから選択される金属からなることを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項8】
前記金属パターンの前記幾何学的模様を構成する各パターンの大きさが、0.01~8mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項9】
前記保護層が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のいずれかから選択される樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の通信波用反射板。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の通信波用反射板の製造方法であって、
ロールtoロールにより前記積層体を製造することを特徴とする通信波用反射板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信波用反射板および通信波用反射板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入射角に対して所望の反射角が得られるように設計することが可能なメタサーフェス反射板が提案されている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-048465号公報
【特許文献2】特開2021-141359号公報
【特許文献3】特開2021-175054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の金属板を反射板に用いると、金属板は電波を鏡面反射するので反射方向が限られる。このため、従来の電波よりも直進性が高い高周波数の電波は、遮蔽物があると端末に届にくい問題がある。メタサーフェス反射板は、電波のビーム方向の制御を行える反射板として注目されている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電波の反射性能を向上させるための積層構成の実現を可能とし、特に反射効率の高い通信波用反射板および通信波用反射板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を含む。
【0007】
本発明の第1の態様は、少なくとも金属層、基材層、金属パターン、保護層をこの順で含む積層体からなり、前記金属パターンが複数の幾何学的模様が繰り返しからなり回路として導通していないパターンであり、前記金属層と、前記基材層との間に厚さが0.1~25μmの接着剤層を含むことを特徴とする通信波用反射板である。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記接着剤層の誘電正接(Df)が0.02以下であることを特徴とする第1の態様の通信波用反射板である。
本発明の第3の態様は、前記接着剤層の比誘電率(Dk)が3.0以下であることを特徴とする第1または第2の態様の通信波用反射板である。
【0009】
本発明の第4の態様は、前記接着剤層がポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン系エラストマーのいずれかから選択される接着剤を含むことを特徴とする第1~3のいずれか1の態様の通信波用反射板である。
【0010】
本発明の第5の態様は、前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、変性ポリイミド(MPI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)のいずれかから選択される樹脂からなることを特徴とする第1~4のいずれか1の態様の通信波用反射板である。
【0011】
本発明の第6の態様は、前記金属層が、銅、アルミニウム、ステンレスのいずれかから選択される金属からなることを特徴とする第1~5のいずれか1の態様の通信波用反射板である。
【0012】
本発明の第7の態様は、前記金属パターンが、アルミニウム、銅、金、銀のいずれかから選択される金属からなることを特徴とする第1~6のいずれか1の態様の通信波用反射板である。
本発明の第8の態様は、前記金属パターンの前記幾何学的模様を構成する各パターンの大きさが、0.01~8mmの範囲内であることを特徴とする第1~7のいずれか1の態様の通信波用反射板である。
【0013】
本発明の第9の態様は、前記保護層が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のいずれかから選択される樹脂からなることを特徴とする第1~8のいずれか1の態様の通信波用反射板である。
【0014】
本発明の第10の態様は、第1~9のいずれか1の態様の通信波用反射板の製造方法であって、ロールtoロールにより前記積層体を製造することを特徴とする通信波用反射板の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電波の反射性能を向上させるための積層構成の実現を可能とし、特に反射効率の高い通信波用反射板することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】通信波用反射板の実施形態を示す分解斜視図である。
図2】通信波用反射板の実施形態を示す断面図である。
図3】通信波用反射板の改変例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好適な実施形態に基づいて、図面を参照して、本発明を説明する。これらの図面は、概念を表す説明図であって、各部の形状、寸法、個数、比率などの詳細は、実際と異なる場合がある。
【0018】
図1および図2に、実施形態の通信波用反射板を例示する。図1は、保護層15が基材層13および金属パターン14から分離したように示す分解斜視図である。図2は、厚さ方向に沿う断面図である。
【0019】
実施形態の通信波用反射板10は、少なくとも金属層11、接着剤層12、基材層13、金属パターン14、保護層15をこの順で含む積層体からなる。
【0020】
金属パターン14は、複数の幾何学的模様が繰り返しからなり回路として導通していないパターンである。金属層11と、基材層13との間には、厚さが0.1~25μmの接着剤層12を含む。
【0021】
金属パターン14は、例えば、メタサーフェス反射板に関する技術を用いて、複数の幾何学的模様が繰り返しからなり回路として導通していないパターンとして設計される。金属パターン14の周期、間隔、寸法等は、所望の方向へ指向する反射波が発生するように、決定される。
【0022】
例えば建造物の壁面などに反射板を設置する場合、鏡面反射の特性を有する金属板を用いると、反射面に垂直な法線方向に対して、入射方向と反射方向とが対称には配置される必要がある。このため、反射板を設置するのに制約が生じ、壁面に沿って設置することが困難になる場合がある。これに対して、メタサーフェス反射板の場合は、壁面に沿って反射板を設置しながら、反射方向が入射方向と非対称でも反射が可能になる。
【0023】
金属パターン14を形成する材質は、電気伝導体であれば特に限定されないが、アルミニウム、銅、金、銀のいずれかから選択される金属が好ましい。これらの金属を主成分とする合金を用いて金属パターン14を形成してもよい。加工性の観点やコストの観点からは、金属パターン14の材質が銅であることが好ましい。
【0024】
金属パターン14は、基材層13上に2種以上の金属層を積層して形成してもよい。この場合、少なくとも1種の金属層が、アルミニウム、銅、金、銀のいずれかから選択される金属からなることが好ましい。他の金属層としては、特に限定されないが、ニッケル、クロム、チタン、スズ、あるいは、これらの1種以上を含む合金などが挙げられる。
【0025】
金属パターン14の幾何学的模様は、正方形、長方形などの凸多角形(凹角を有しない多角形)、十字形などの凹多角形(凹角を有する多角形)、円形、楕円形などの曲線を含む形状、ループ形状など内部に空隙を有する形状等が挙げられる。
【0026】
金属パターン14の幾何学的模様を構成する各パターンの大きさが、0.01~8mmの範囲内であることが好ましい。各パターンの大きさとしては、特に限定されないが、直径、長径、短径、長さ、幅等が挙げられる。各パターンの大きさの最小値および最大値が、上述の数値範囲に含まれることが好ましい。
【0027】
例えば、第5世代移動通信システム(5G)に用いられる3~30GHz程度の周波数の場合、各パターンの大きさが、6~8mm程度であってもよい。ミリ波とされる30~300GHzの周波数の場合、各パターンの大きさが、1~2mm程度であってもよい。第6世代移動通信システム(6G)に用いられると想定される100GHz程度を超える周波数の場合、各パターンの大きさが、0.01~0.2mm程度であってもよい。
【0028】
金属パターン14により反射される電磁波の周波数帯は、特に限定されないが、空中を伝搬して通信に使用される周波数帯が挙げられる。通信波用反射板10は、例えば電波、マイクロ波、ミリ波、サブミリ波などの通信波を反射する用途に設計されてもよい。周波数帯の具体例としては、例えば3.0~3000GHzの範囲内から適宜設定されてもよい。中でも第5世代移動通信システム(5G)に用いられる3~30GHz程度の周波数や、ミリ波とされる30~300GHzの周波数用途に設計されることが好ましい。
【0029】
金属パターン14を形成する方法は特に限定されないが、蒸着、メッキ、塗布、ナノインプリント、インクジェット、フォトリソグラフィー、パターニング塗工などが挙げられる。
【0030】
基材層13の上に金属等の導体を付与する際に、所定のパターン形状となるようにして金属パターン14が形成されてもよい。例えば、塗布パターンの制御、レジスト、マスク等を用いて、所定の領域のみに金属材料が付着されるようにすることで、所望のパターン形状を得ることができる。
【0031】
基材層13の上の所定領域に金属等の導体を付与した後で、不要な部分を除去することで金属パターン14が形成されてもよい。例えば、エッチング、打ち抜き、トリミング等を用いて、所定の領域以外の金属材料が除去されるようにすることで、所望のパターン形状を得ることができる。
【0032】
基材層13は、金属パターン14の基材となる部材である。基材層13は、樹脂、ガラス、セラミックスなどの電気絶縁体から形成されることが好ましい。取り扱い性の観点からは、基材層13の樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板などの樹脂材料を用いることが好ましい。
【0033】
基材層13に用いられる樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられる。基材層13に用いられる熱可塑性樹脂としては、芳香族または脂肪族のポリエステル系樹脂、芳香族または脂肪族のポリアミド系樹脂、環状または非環状のポリオレフィン系樹脂、芳香族または脂肪族のポリアミド系樹脂、芳香族または脂肪族のポリイミド系樹脂などが挙げられる。
【0034】
基材層13は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、変性ポリイミド(MPI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)のいずれかから選択される樹脂からなることが好ましい。これらの樹脂を主成分とする混合物、共重合体、変性樹脂などを基材層13に用いてもよい。
【0035】
コストの観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の汎用樹脂を用いて、基材層13を形成してもよい。
【0036】
高周波信号に対して低誘電性となる観点からは、ポリエチレン(PE)、シクロオレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)等を用いて、基材層13を形成してもよい。これにより、高周波信号の損失を抑制し、反射効率を一層高めることができる。
【0037】
基材層13の厚さは特に限定されないが、50~500μm程度であってもよく、100~300μm程度がより好ましい。
【0038】
基材層13の可視光領域における光学特性は特に限定されないが、基材層13が透明であると、金属パターン14の形成、点検などにおける作業性に優れるので、好ましい。基材層13は、金属パターン14と直接に接してもよく、基材層13と金属パターン14との間に他の層が介在してもよい。
【0039】
基材層13は、1層の材料から構成されてもよく、2層以上の材料から構成されてもよい。基材層13と金属パターン14の積層構造が、積層体の厚さ方向に2回以上繰り返されてもよい。
【0040】
特に図示しないが、通信波用反射板10は、例えば、金属層11、接着剤層12、基材層13、第1の金属パターン14、基材層13、第2の金属パターン14、保護層15をこの順で含む積層体であってもよい。第1の金属パターン14と第2の金属パターン14とが、異なる周波数に対する反射特性を有してもよい。第1の金属パターン14と、基材層13との間には、接着剤層12が設けられてもよい。
【0041】
金属層11は、金属パターン14を通過した電波を消去するためのグランド層として利用される。基材層13は、金属層11と金属パターン14との間を電気的に絶縁している。積層体がメタサーフェス反射板となるには、少なくとも金属層11、基材層13、金属パターン14をこの順で含むことが好ましい。
【0042】
金属層11を形成する材質は、電気伝導体であれば特に限定されないが、銅、アルミニウム、ステンレスのいずれかから選択される金属が好ましい。これらの金属を主成分とする合金を用いて金属層11を形成してもよい。
【0043】
金属層11を形成する方法は特に限定されないが、蒸着、メッキ、塗布、ナノインプリント、インクジェット、金属箔の貼付などが挙げられる。金属層11は、金属パターン14のように複数の幾何学的模様が繰り返しからなるパターン形状は不要である。
【0044】
金属層11は、基材層13の金属パターン14が積層された側とは反対側の面に、均一に連続したベタ状であってもよい。生産性の観点からは、金属層11が金属箔から構成されることが好ましい。
【0045】
金属層11に用いられる金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔のいずれかから選択される金属箔が好ましい。銅、アルミニウム、ステンレスのいずれかを主成分とする合金箔を用いて金属層11を形成してもよい。
【0046】
実施形態では、金属層11と基材層13との間に接着剤層12が含まれる。これにより、金属層11と基材層13との接着性を向上し、金属パターン14の反射効率を高めることができる。また、金属層11と基材層13との積層に際し、生産性を向上することができる。
【0047】
接着剤層12は、金属層11と基材層13との間に積層される。接着剤層12が金属層11と直接に接してもよく、接着剤層12と金属層11との間に他の層が介在してもよい。接着剤層12が基材層13と直接に接してもよく、接着剤層12と基材層13との間に他の層が介在してもよい。
【0048】
接着剤層12と、金属層11または基材層13との間に他の層が介在する場合、他の層は、接着剤層12による接着力を妨げないことが好ましく、接着剤層12による接着力を向上する層であってもよい。他の層としては、特に限定されないが、表面処理層、アンチブロッキング層、自然酸化膜などが挙げられる。
【0049】
接着剤層12は、金属層11と基材層13との間を接着する接着剤から形成されることが好ましい。この場合、接着剤層12が、金属層11の少なくとも一部の領域に接着していてもよい。さらに、接着剤層12が、基材層13の少なくとも一部の領域に接着していてもよい。
【0050】
接着剤層12に用いられる接着剤としては、特に限定されないが、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン系エラストマーのいずれかから選択される接着剤を含むことが好ましい。変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)等の変性ポリフェニレン樹脂を接着剤に用いてもよい。
【0051】
接着剤層12は、1種の接着剤を含んでもよく、2種以上の接着剤を含んでもよい。接着剤層12には、金属に対する接着性と、樹脂に対する接着性とを兼ね備えた接着剤を用いることが好ましい。
【0052】
接着剤層12の厚さは、0.1~25μmの範囲内であることが好ましく、0.5~10μmがより好ましく、1~5μmがさらに好ましい。接着剤層12が薄すぎると、金属層11と基材層13との間の接着性が低下するおそれがある。接着剤層12は均一な厚さで形成されることが好ましい。接着剤層12が厚すぎると、電波の反射性が悪化するおそれがある。
【0053】
接着剤層12は、反射を必要とする帯域の電波に対して、優れた誘電特性を有することが好ましい。接着剤層12の誘電正接(Df)は、0.02以下であることが好ましい。接着剤層12の比誘電率(Dk)は、3.0以下であることが好ましい。
【0054】
接着剤層12と基材層13の誘電正接(Df)の差や、接着剤層12と基材層13の比誘電率(Dk)の差が小さいと、接着剤層12と基材層13の界面による電波への悪影響が出にくいものと考えられ、反射率も良くなる。
接着剤層12の誘電正接(Df)と基材層13の誘電正接(Df)の差は0.005以下であることが好ましく、更に好ましくは0.001以下、特に好ましくは0.0005以下である。
接着剤層12の比誘電率(Dk)と基材層13の比誘電率(Dk)の差は0.6以下であることが好ましく、更に好ましくは0.3以下である。
【0055】
誘電正接(Df)および比誘電率(Dk)が周波数に依存する場合、これらの値は、通信波用反射板10により反射される設計周波数における測定値であってもよい。高周波における誘電特性を測定する場合の代表例として、例えば、1MHz、10GHz、30GHz等の特定の周波数を選択して、DfまたはDkの値を測定してもよい。
【0056】
通信波用反射板10は、最表面が金属パターン14となると接触や帯電によりパターンが欠落することがあることがあり、屋外に設置される場合もある。金属パターン14を保護するため、通信波用反射板10は、基材層13の金属パターン14が積層された側の面に保護層15を有することが好ましい。保護層15は、取り扱い性の観点からは、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板などの樹脂材料を用いることが好ましい。
【0057】
金属パターン14の上に保護層15が積層されていることにより、通信波用反射板10の耐久性が向上し、耐候性がよくなる。
保護層15があると、通信波用反射板10の製造時や運搬時にロール状に巻き取る際に金属パターン14が欠落を起こさないといった利点もある。
また、実施形態の通信波用反射板10を設置する際には保護層15の更に表面側に化粧板、壁紙、床材、木材、板などの保護部材を、通信波用反射板10とは別部材にして、設置することもできる。
【0058】
保護層15に用いられる樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられる。保護層15に用いられる熱可塑性樹脂としては、芳香族または脂肪族のポリエステル系樹脂、芳香族または脂肪族のポリアミド系樹脂、環状または非環状のポリオレフィン系樹脂、芳香族または脂肪族のポリアミド系樹脂、芳香族または脂肪族のポリイミド系樹脂などが挙げられる。
【0059】
保護層15が、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のいずれかから選択される樹脂からなることが好ましい。これらの樹脂を主成分とする混合物、共重合体、変性樹脂などを保護層15に用いてもよい。
【0060】
保護層15の厚さとしては、特に限定されないが、20~200μm程度が挙げられる。保護層15は、1層の材料から構成されてもよく、2層以上の材料から構成されてもよい。特に図示しないが、保護層15が2層以上の材料から構成される場合、各層が異なる機能を有してもよい。
【0061】
コストの観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の汎用樹脂の単層フィルムを用いて、保護層15を形成してもよい。また、これらの単層フィルムを支持体として、塗工、ラミネートにより適宜の機能層を積層することで、多層の保護層15を作製してもよい。
【0062】
保護層15は、金属パターン14を有する基材層13に対して、熱圧着性を有する材料であってもよい。例えば、基材層13として、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)のポリオレフィン樹脂を用いる場合、保護層15にもポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)のポリオレフィン樹脂を用いることができる。
【0063】
基材層13と保護層15とがいずれもポリエチレン(PE)からなる場合、金属パターン14が介在しても、基材層13と保護層15とが接触する領域の熱圧着によって、保護層15を良好に密着させることができる。基材層13と保護層15とがいずれもポリプロピレン(PP)からなる場合も同様に、熱圧着によって、保護層15を良好に密着させることができる。
【0064】
金属パターン14を有する基材層13に対して、熱圧着で保護層15を積層する場合、ゴム板、ゴム台、ゴムロール等の柔軟な材質からなる部材を用いて加圧することが好ましい。これにより、基材層13上に金属パターン14による凹凸があっても、均等な加圧が可能になる。加圧部材に一対のゴムロールを用い、その間に熱圧着される材料を通過させると、長尺の材料を効率的に処理することができる。
【0065】
基材層13に保護層15を熱圧着する場合には、少なくとも基材層13、金属パターン14、保護層15を含む材料を処理することが好ましい。熱圧着する前の基材層13に金属層11が接着されている場合は、金属層11から金属パターン14までを含む材料と、保護層15とを熱圧着処理することが好ましい。
【0066】
金属パターン14を有する基材層13に対して、接着剤または粘着剤を用いて保護層15を接着してもよい。保護層15の支持体が樹脂フィルムから構成される場合、接着剤または粘着剤からなる接着層は、基材層13に対向する側で層状に形成される。
【0067】
保護層15の接着に用いる接着剤または粘着剤としては、特に限定されないが、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン系エラストマーのいずれかから選択される接着剤を含んでもよい。
【0068】
例えば、凹凸への追従性に優れたアクリル系粘着剤を用いて保護層15を接着してもよい。これにより、基材層13上に金属パターン14による凹凸があっても、均等な接着が可能になる。
【0069】
保護層15は、ハードコート層を有してもよい。ハードコート層の材質は、特に限定されないが、熱硬化、光硬化などにより硬化する樹脂組成物を用いてもよい。ハードコート層に用いられる樹脂としては、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0070】
保護層15の支持体が樹脂フィルムから構成される場合、ハードコート層は、基材層13とは反対側の外表面に形成されることが好ましい。保護層15のハードコート層と金属パターン14との間に樹脂フィルムが介在する場合、樹脂フィルムが緩衝層として機能することにより、ハードコート層に作用した外力が直接に金属パターン14に加わることを抑制することができる。
【0071】
保護層15は、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤などの耐候性向上剤を含有する層を1層以上有してもよい。例えば、支持体フィルムに耐候性向上剤を添加してもよく、接着層に耐候性向上剤を添加してもよく、ハードコート層に耐候性向上剤を添加してもよい。
【0072】
保護層15は、導電性粒子、イオン性化合物、界面活性剤、導電性高分子等の帯電防止剤を含有する帯電防止層を有してもよい。
帯電防止層に用いられる導電性粒子としては、特に限定されないが、銅、アルミニウム、スズ等の金属粒子やカーボン粒子などが挙げられる。
【0073】
帯電防止層に用いられるイオン性化合物としては、特に限定されないが、アルカリ金属塩等の金属塩;アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等の有機または無機オニウム塩;イオン性液体などが挙げられる。
帯電防止層に用いられる界面活性剤としては、特に限定されないが、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0074】
カチオン性界面活性剤としては、アルキル基等の有機基Rで置換されてもよいアンモニウム基(R-)、ホスホニウム基(R-)、スルホニウム基(R-)等のカチオン性官能基を有する化合物が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩基(-SO )、硫酸エステル塩基(-OSO )、リン酸エステル塩基(-OPO 2-)、ホスホン酸塩基(-PO 2-)、カルボン酸塩基(-COO)等のアニオン性官能基を有する化合物が挙げられる。
【0075】
ノニオン性界面活性剤としては、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性官能基を有する化合物が挙げられる。
両性界面活性剤としては、同一分子中にカチオン性官能基およびアニオン性官能基を有する化合物が挙げられる。
【0076】
帯電防止層に用いられる導電性高分子としては、上述したカチオン性官能基、アニオン性官能基、ノニオン性官能基などの少なくとも1種を有する高分子化合物が挙げられる。
【0077】
帯電防止層は、金属パターン14に接しないように、保護層15のうち基材層13とは反対側の外表面に形成されることが好ましい。保護層15の中間層に帯電防止層が形成されてもよく、保護層15に含まれる樹脂層に帯電防止剤が練り込まれてもよい。
【0078】
帯電防止層に含まれる帯電防止剤は、1種でも2種以上でもよい。帯電防止層は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、特に限定されないが、帯電防止剤との親和性が高い樹脂が好ましく、例えば、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0079】
図3に、改変例の通信波用反射板20を例示する。通信波用反射板20は、基材層13と金属パターン14との間に密着層16を含むこと以外は、上述した実施形態の通信波用反射板10と同様にすることができる。
【0080】
通信波用反射板20に含まれる金属層11、接着剤層12、基材層13、金属パターン14、保護層15には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0081】
密着層16は、金属パターン14と基材層13との間を接着する接着剤から形成されてもよい。この場合、密着層16が、金属パターン14の少なくとも一部の領域に接着していてもよい。さらに、密着層16が、基材層13の少なくとも一部の領域に接着していてもよい。
【0082】
密着層16に用いられる接着剤としては、特に限定されないが、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン系エラストマーのいずれかから選択される接着剤を含むことが好ましい。変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)等の変性ポリフェニレン樹脂を密着層16に用いてもよい。
【0083】
密着層16は、1種の接着剤を含んでもよく、2種以上の接着剤を含んでもよい。密着層16には、金属に対する接着性と、樹脂に対する接着性とを兼ね備えた接着剤を用いることが好ましい。
【0084】
密着層16の厚さは、特に限定されないが、0.1~25μmの範囲内であることが好ましく、0.5~10μmがより好ましく、1~5μmがさらに好ましい。
【0085】
密着層16は、反射を必要とする帯域の電波に対して、優れた誘電特性を有することが好ましい。密着層16の誘電正接(Df)は、0.02以下であることが好ましい。密着層16の比誘電率(Dk)は、3.0以下であることが好ましい。
【0086】
通信波用反射板10,20は、ロールtoロールにより積層体を製造することが好ましい。例えば、基材層13の樹脂フィルム、樹脂シート等をロールtoロールにより搬送し、基材層13に他の層を適宜の順序で積層することにより、通信波用反射板10,20を製造してもよい。
【0087】
積層体を製造する際、基材層13の片面に接着剤層12を介して金属層11を積層した後に、金属パターン14を形成し、さらに保護層15を積層してもよい。
基材層13の片面に金属パターン14を形成し、さらに保護層15を積層した後に、基材層13の反対側に接着剤層12を介して金属層11を積層してもよい。
基材層13の片面に金属パターン14を形成し、その反対側に接着剤層12を介して金属層11を積層した後で、金属パターン14の上に保護層15を積層してもよい。
【0088】
ロールtoロールによる積層工程としては、ラミネート、塗布、熱圧着、蒸着、メッキ、塗布、ナノインプリント、インクジェット、フォトリソグラフィー、パターニング塗工などの1種または2種以上が挙げられる。
【0089】
金属層11については、例えば、ロールtoロールにより搬送される基材層13に対し、接着剤層12を介して、金属層11の金属箔をラミネートしてもよい。接着剤層12は、基材層13または金属層11の少なくとも一方に接着剤を塗布することで形成することができる。
【0090】
金属パターン14については、例えば、ロールtoロールにより搬送される基材層13に対し、蒸着、メッキ、塗布、ナノインプリント、インクジェット、フォトリソグラフィー、パターニング塗工などにより、金属パターン14を積層してもよい。
【0091】
保護層15については、例えば、ロールtoロールにより搬送される基材層13に対し、熱圧着、接着剤、粘着剤などを用いて、保護層15の樹脂フィルムまたは樹脂シートをラミネートしてもよい。
【0092】
接着剤、導電材等を塗工で積層する場合、塗工には適宜の塗布装置を用いることができる。塗布装置としては、特に限定されないが、グラビアコーター、ナイフコーター、リバースコーター、バーコーター、スプレーコーター、スピンコーター、ダイコーター、スリットコーター、ロールコーター、ディップコーター等が挙げられる。
【0093】
塗工に用いる材料は、無溶剤でもよく、溶剤を含む溶液または分散液でもよい。溶剤としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;2-メトキシエタノール、ジメトキシエタン等のグリコールエーテル系溶剤;酢酸エチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤などが挙げられる。溶剤は1種でもよく、2種以上の混合溶剤でもよい。
【0094】
実施形態の通信波用反射板10,20は、可撓性を有するフィルム状またはシート状でもよく、一定の寸法に裁断したときに剛性を有する板状であってもよい。通信波用反射板10,20が剛性を有する場合、壁面等に設置するときに、入射方向と反射方向を合わせる作業が容易になる。
【0095】
通信波用反射板10,20が可撓性を有する場合、長尺でもロール状に巻き取ることができ、輸送や保管が容易になる。可撓性を有する通信波用反射板10,20を壁面等に設置するときは、金属板、樹脂板等の支持板に貼り合わせて法線方向を固定してもよい。
【0096】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【実施例0097】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0098】
表1の「金属層」、「接着剤層」、「基材層」、「金属パターン」、「保護層」に示す材料を用い、「積層方法」に示すように、積層体を作製して、実施例1~12および比較例1~4の通信波用反射板を得た。
得られた通信波用反射板を用いて、「反射率」、「浮き」、「耐候性」を評価した。
【0099】
金属層に用いた材料の種類は、次の略記号を用いて表示した。
Al箔:アルミニウム箔
Cu箔:銅箔
Cuメッキ:銅メッキ
【0100】
接着剤層に用いた接着剤の種類は、次の略記号を用いて表示した。
AP:酸変性ポリオレフィン樹脂
EP:エポキシ樹脂
IM:イミド系接着剤
MI:マレイミド樹脂
PE:ポリエチレン樹脂
UR:ウレタン系接着剤
【0101】
基材層に用いた樹脂の種類は、次の略記号を用いて表示した。
COP:シクロオレフィンポリマー
PE:ポリエチレン
PI:ポリイミド
【0102】
金属パターンの形成方法および金属の種類は、次の略記号を用いて表示した。
Ph:フォトリソグラフィー
Cu:銅
【0103】
保護層に用いた材料の種類は、次の略記号を用いて表示した。
PE:ポリエチレン
SPF:表面保護フィルム(粘着剤層+樹脂フィルムの積層体)
【0104】
保護層が帯電防止層を有する場合、表1では帯電防止ありとした。帯電防止ありの場合、帯電防止層は、基材層および金属パターンから遠い側に積層されている。例えば、ポリエチレンに帯電防止ありの場合の保護層は、ポリエチレン+帯電防止層の構成である。また、表面保護フィルムに帯電防止ありの場合の保護層は、粘着剤層+樹脂フィルム+帯電防止層の構成である。
【0105】
保護層が2層以上の場合、保護層の厚さは、基材層および金属パターンに近い側から順に各層の厚さ(μm)をプラス符号(+)で連結して表示した。
【0106】
積層方法は、次の略記号を用いて表示した。
RTR:ロールtoロールによる積層
枚葉:枚葉で作製
【0107】
「反射率」の評価は、後述する耐久性試験を実施する前のサンプルの反射率(%)をn=10で測定した。
【0108】
「浮き」の評価は、10cm角で切り出したサンプルの耐久性(耐候性)試験として、サンプルを40℃、90%RHの高温高湿条件に設定された恒温恒湿槽に100時間投入し、恒温恒湿槽から取り出した後の浮きの発生を目視にて確認し、次の基準で評価した。
【0109】
◎:面内で浮きが発生していなかった。
○:若干の平面性の劣化は見られるものの面内で浮きが発生していなかった。
△:面内いずれかの層間で浮きまたは剥がれが見られた。
×:面内いずれかの層間で激しい剥がれが見られた。
【0110】
「耐候性」の評価は、10cm角で切り出したサンプルの耐久性(耐候性)試験として、サンプルを40℃、90%RHの高温高湿条件に設定された恒温恒湿槽に100時間投入し、恒温恒湿槽から取り出した後の反射率(%)をn=10で測定し、反射率の劣化の程度から、次の基準で評価した。
【0111】
◎:耐久性評価後の反射率の劣化が見られなかった。
○:耐久性評価後の反射率の劣化が10%未満であった。
△:耐久性評価後の反射率の劣化が10%以上30%未満であった。
×:耐久性評価後の反射率の劣化が30%以上であった。
【0112】
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0113】
【表1】
【0114】
表1に示すように、金属層と基材層との間に厚さが0.1~25μmの接着剤層を含む実施例1~12では、反射効率の高い通信波用反射板が得られた。
【0115】
厚さ0.04μmの接着剤層を用いて金属箔を積層した比較例1では、通信波用反射板の反射効率が低く、高温高湿条件で浮きが発生した。
接着剤層を用いないで金属箔を積層した比較例2では、通信波用反射板の反射効率が低く、高温高湿条件で浮きが発生し、高温高湿条件で放置した後の反射率も劣化した。
【0116】
接着剤層を用いないでメッキにより金属層を積層した比較例3では、通信波用反射板の反射効率が低く、高温高湿条件で放置した後の反射率も劣化した。
保護層を用いないで作製した比較例4では、通信波用反射板の反射効率が低く、高温高湿条件で浮きが発生し、高温高湿条件で放置した後の反射率も劣化した。
【符号の説明】
【0117】
10,20…通信波用反射板、11…金属層、12…接着剤層、13…基材層、14…金属パターン、15…保護層、16…密着層。
図1
図2
図3