IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星エスディアイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-リチウム二次電池 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056628
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】リチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20240416BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20240416BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20240416BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240416BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240416BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20240416BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240416BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M4/505
H01M4/525
H01M10/0567
H01M4/587
H01M4/38 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158404
(22)【出願日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2022-0129917
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朴 弘烈
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ヒョン▼奉
(72)【発明者】
【氏名】朴 相禹
(72)【発明者】
【氏名】金 多▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 善大
(72)【発明者】
【氏名】楊 叡知
(72)【発明者】
【氏名】金 相勳
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ07
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ10
5H050AA13
5H050BA15
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050CB12
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA10
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極の使用とともに、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極を効果的に保護できる電解液を組み合わせて、高電圧および高温条件で遷移金属の溶出を減少させることによって、正極構造の崩壊を抑制し、これによって電池の高電圧特性および高温特性が改善されたリチウム二次電池を提供することである。
【解決手段】非水性有機溶媒、第1リチウム塩およびイミド系リチウム塩を含む電解液;正極活物質を含む正極;および負極活物質を含む負極を含み、前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネートを5重量%未満で含み、前記正極活物質は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む、リチウム二次電池を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性有機溶媒、第1リチウム塩、およびイミド系リチウム塩を含む電解液;
正極活物質を含む正極;および
負極活物質を含む負極を含み、
前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネートを5重量%未満で含み、
前記正極活物質は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む、リチウム二次電池。
【請求項2】
前記イミド系リチウム塩は、ビススルホニルイミド系リチウム塩である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記イミド系リチウム塩は、Li(FSON(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide):LiFSI)、およびLiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xは、1~20の整数、yは、0~20の整数である)の少なくとも1種である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記イミド系リチウム塩は、下記の化学式1A~化学式1Dのいずれか1つで表される、請求項3に記載のリチウム二次電池:
【化1】
【請求項5】
前記第1リチウム塩と前記イミド系リチウム塩は、1:0.1~1:5のモル比で含まれるものである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記第1リチウム塩と前記イミド系リチウム塩は、1:0.5~1:2のモル比で含まれるものである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記第1リチウム塩の含有量は、0.3M~1.5Mである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記イミド系リチウム塩の含有量は、0.2M~1.0Mである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項9】
前記第1リチウム塩は、LiPF、LiBF、リチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート(lithium difluoro(oxalate)borate:LiDFOB)、LiPO、LiSbF、LiAsF、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiCl、LiIおよびLiB(C(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato) borate):LiBOB)の少なくとも1種である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記第1リチウム塩は、LiPFである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
前記非水性有機溶媒は、鎖状カーボネートのみで構成されるものである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項12】
前記鎖状カーボネートは、下記の化学式2で表される、請求項11に記載のリチウム二次電池:
【化2】
前記化学式2において、
およびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。
【請求項13】
前記非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、およびエチルメチルカーボネート(EMC)の少なくとも2種である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項14】
前記非水性有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を10:90~50:50の体積比で含むものである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項15】
前記電解液は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、アジポニトリル(AN)、スクシノニトリル(SN)、1,3,6-ヘキサントリシアニド(HTCN)、プロペンスルトン(PST)、プロパンスルトン(PS)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF)、リチウムジフルオロホスフェート(LiPO)および2-フルオロビフェニル(2-FBP)の少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項16】
前記コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物は、下記の化学式3で表されるリチウム複合酸化物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池:
[化学式3]
LiaNixMnyM1 zM2 wO2±bXc
前記化学式3において、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w<0.1、0.6≦x<1.0、0<y<0.4、0<z<0.1、w+x+y+z=1であり、
およびMは、それぞれ独立して、Al、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される1つ以上の元素であり、Xは、S、F、PおよびClから選択される1つ以上の元素である。
【請求項17】
前記化学式3で表されるリチウム複合酸化物は、下記の化学式3-1で表される、請求項16に記載のリチウム二次電池:
[化学式3-1]
LiaNix1Mny1Alz1M2 w1O2±bXc
前記化学式3-1において、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w1<0.1、0.6≦x1<1.0、0<y1<0.4、0<z1<0.1、w1+x1+y1+z1=1であり、
は、それぞれ独立して、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される1つ以上の元素であり、Xは、S、F、PおよびClから選択される1つ以上の元素である。
【請求項18】
前記化学式3-1のx1は0.6≦x1≦0.79、y1は0.2≦y1≦0.39、z1は0.01≦z1<0.1である、請求項17に記載のリチウム二次電池。
【請求項19】
前記負極活物質は、黒鉛およびSi複合体の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項20】
前記リチウム二次電池は、充電上限電圧が4.45V以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、リチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は再充電可能であり、従来の、鉛蓄電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などと比較して、単位重量あたりのエネルギー密度が3倍以上高く、高速充電が可能なため、ノートパソコンや携帯電話、電動工具、電気自転車用として商品化されており、さらなるエネルギー密度向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
特に、IT機器が次第に高性能化されるにつれて高容量の電池が要求されている状況であり、電圧領域の拡張による高容量化の実現によりエネルギー密度を高められるが、高電圧領域では電解液が酸化して正極の性能を劣化させる問題点がある。
【0004】
特に、正極活物質としてコバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物は、正極活物質の組成中にコバルトを含まず、ニッケル、マンガンなどが主成分として構成された正極活物質であって、これを含む正極は、経済的であり、高いエネルギー密度を実現可能で次世代正極活物質として注目されている。
【0005】
しかし、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極は、高電圧環境での使用時、正極構造の崩壊によって遷移金属の溶出が起こり、これによるセル内部のガス発生および容量減少などの問題をもたらすことがある。このような遷移金属の溶出現象は高温環境で深刻化する傾向があり、溶出した遷移金属は負極の表面に析出して副反応を誘発する恐れがあるので、電池の抵抗増加、電池の寿命および出力特性低下の原因になる。
【0006】
これによって、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極の使用時、高電圧および高温条件においても適用可能な電解液が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極の使用とともに、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極を効果的に保護できる電解液を組み合わせて、高電圧および高温条件で遷移金属の溶出を減少させることによって、正極構造の崩壊を抑制し、これによって電池の高電圧特性および高温特性が改善されたリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、非水性有機溶媒、第1リチウム塩、およびイミド系リチウム塩を含む電解液;正極活物質を含む正極;および負極活物質を含む負極を含み、
前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネートを5重量%未満で含み、
前記正極活物質は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む、リチウム二次電池を提供する。
【0009】
前記イミド系リチウム塩は、ビススルホニルイミド系リチウム塩であってもよい。
【0010】
前記イミド系リチウム塩は、Li(FSON(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide):LiFSI)、およびLiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xは、1~20の整数、yは、0~20の整数である)の少なくとも1種であってもよい。
【0011】
前記イミド系リチウム塩は、下記の化学式1A~化学式1Dのいずれか1つで表される。
【化1】
【0012】
前記第1リチウム塩と前記イミド系リチウム塩は、1:0.1~1:5のモル比で含まれる。
【0013】
前記第1リチウム塩と前記イミド系リチウム塩は、好ましくは1:0.5~1:2のモル比で含まれる。
【0014】
前記第1リチウム塩の含有量は、0.3M~1.5Mであってもよい。
【0015】
前記イミド系リチウム塩の含有量は、0.2M~1.0Mであってもよい。
【0016】
前記第1リチウム塩は、LiPF、LiBF、リチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート(lithium difluoro(oxalate)borate:LiDFOB)、LiPO、LiSbF、LiAsF、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiCl、LiIおよびLiB(C(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato) borate):LiBOB)の少なくとも1種であってもよい。
【0017】
前記第1リチウム塩は、LiPFであってもよい。
【0018】
前記非水性有機溶媒は、鎖状カーボネートのみで構成されるものであってもよい。
【0019】
前記鎖状カーボネートは、下記の化学式2で表される。
【化2】
前記化学式2において、
およびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。
【0020】
前記非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、およびエチルメチルカーボネート(EMC)の少なくとも2種であってもよい。
【0021】
前記非水性有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を10:90~50:50の体積比で含むことができる。
【0022】
前記電解液は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、アジポニトリル(AN)、スクシノニトリル(SN)、1,3,6-ヘキサントリシアニド(HTCN)、プロペンスルトン(PST)、プロパンスルトン(PS)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF)、リチウムジフルオロホスフェート(LiPO)および2-フルオロビフェニル(2-FBP)の少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。
【0023】
前記コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物は、下記の化学式3で表されるリチウム複合酸化物を含むことができる。
[化学式3]
LiaNixMnyM1 zM2 wO2±bXc
前記化学式3において、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w<0.1、0.6≦x<1.0、0<y<0.4、0<z<0.1、w+x+y+z=1であり、
およびMは、それぞれ独立して、Al、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される1つ以上の元素であり、Xは、S、F、PおよびClから選択される1つ以上の元素である。
【0024】
前記化学式3で表されるリチウム複合酸化物は、下記の化学式3-1で表される。
[化学式3-1]
LiaNix1Mny1Alz1M2 w1O2±bXc
前記化学式3-1において、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w1<0.1、0.6≦x1<1.0、0<y1<0.4、0<z1<0.1、w1+x1+y1+z1=1であり、
は、それぞれ独立して、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される1つ以上の元素であり、Xは、S、F、PおよびClから選択される1つ以上の元素である。
【0025】
前記化学式3-1のx1は0.6≦x1≦0.79、y1は0.2≦y1≦0.39、z1は0.01≦z1<0.1であってもよい。
【0026】
前記負極活物質は、黒鉛およびSi複合体の少なくとも1種を含むことができる。
【0027】
前記リチウム二次電池は、充電上限電圧が4.45V以上であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
一実施形態は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極を効果的に保護できる電解液を組み合わせ使用して、高温高電圧環境においても正極の相転移安全性を確保することができ、電解液の分解および電極との副反応を抑制してガス発生の低減と同時に電池の内部抵抗増加を抑制することによって、電池安定性および寿命特性が向上したリチウム二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池について、添付した図面を参照して詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する請求項の範疇によってのみ定義される。
【0031】
本明細書において、「置換」とは、他に定義されない限り、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換のC1~C30アミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1~C40シリル基、C1~C30アルキル基、C1~C10アルキルシリル基、C6~C30アリールシリル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、C2~C30ヘテロアリール基、C1~C20アルコキシ基、C1~C10フルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されていることを意味する。
【0032】
本発明の一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、ハロゲン基、C1~C30アルキル基、C1~C10アルキルシリル基、C6~C30アリールシリル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、C2~C30ヘテロアリール基、C1~C10フルオロアルキル基またはシアノ基で置換されていることを意味する。また、本発明の具体的な一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、ハロゲン基、C1~C20アルキル基、C6~C30アリール基、C1~C10フルオロアルキル基またはシアノ基で置換されていることを意味する。さらに、本発明の具体的な一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、ハロゲン基、C1~C5アルキル基、C6~C18アリール基、C1~C5フルオロアルキル基またはシアノ基で置換されていることを意味する。また、本発明の具体的な一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、シアノ基、ハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、トリフルオロメチル基またはナフチル基で置換されていることを意味する。
【0033】
リチウム二次電池は、使用する分離膜と電解液の種類によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池などに分類され、形態によって円筒形、角型、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプとに分けられる。これら電池の構造と製造方法はこの分野にて広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0034】
ここでは、リチウム二次電池の一例として円筒形リチウム二次電池を例として説明する。図1は、一実施形態によるリチウム二次電池の構造を概略的に示す図である。図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極114と、正極114に対向して位置する負極112と、正極114と負極112との間に配置されているセパレータ113と、正極114、負極112およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)とを含む電池セルと、前記電池セルを収めている電池容器120と、前記電池容器120を封入する封入部材140とを含む。
【0035】
以下、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池100のより詳細な構成について説明する。
【0036】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、電解液、正極、および負極を含む。
【0037】
前記電解液は、非水性有機溶媒、第1リチウム塩、およびイミド系リチウム塩を含み、
前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネートを5重量%未満で含むことができる。
【0038】
前記正極は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極活物質を含むことができる。
【0039】
コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極活物質の場合、高電圧条件で構造的な不安定性が強くて、溶媒分解および遷移金属、特にNiの溶出現象が現れる。
【0040】
このような遷移金属の溶出現象による劣化および短絡の発生により電池の寿命容量が低下し、抵抗急増現象が現れる。
【0041】
しかし、前述した非水性有機溶媒およびリチウム塩が組み合わされた電解液をともに使用する場合には、電池の寿命容量の低下および抵抗急増現象を緩和することができる。
【0042】
特に、イミド系リチウム塩の組み合わせ使用時に、高温保存時のガス発生、容量低下、および抵抗増加がさらに抑制できる。
【0043】
第1リチウム塩とともにイミド系リチウム塩を含み、エチレンカーボネートが5重量%未満で含まれる電解液内でコバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含む正極を用いることによって、高電圧および高温条件で遷移金属の溶出を効果的に減少させることができ、これによって正極構造の崩壊を抑制することによって、電池の高電圧特性および高温特性が改善できる。
【0044】
リチウム塩は、非水性有機溶媒に溶解して、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0045】
本発明によるリチウム塩は、第1リチウム塩とともにイミド系リチウム塩を含むことができる。
【0046】
具体的には、前記イミド系リチウム塩は、ビススルホニルイミド系リチウム塩であってもよい。
【0047】
さらに具体的には、前記イミド系リチウム塩は、Li(FSON(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide):LiFSI)、およびLiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xは、1~20の整数、yは、0~20の整数である)の少なくとも1種であってもよい。
【0048】
例えば、前記LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)のxは、1~10の整数であってもよいし、前記LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)のyは、0~10の整数であってもよいし、最も具体的には、xは、1~4の整数、およびyは、0~4の整数であってもよい。
【0049】
一実施例において、前記イミド系リチウム塩は、下記の化学式1A~化学式1Dのいずれか1つで表される。
【化3】
【0050】
前記第1リチウム塩と前記イミド系リチウム塩は、1:0.1~1:5のモル比で含まれる。
【0051】
第1リチウム塩とイミド系リチウム塩のモル比が前記範囲内の場合、正極集電体の腐食を防止しながらも、高電圧条件でのガス発生および寿命低下をさらに改善することができる。
【0052】
例えば、前記第1リチウム塩と前記イミド系リチウム塩は、1:0.2~1:5、または1:0.3~1:5、または1:0.4~1:5、または1:0.5~1:5または1:0.5~1:4のモル比で含まれ、最も具体的には1:0.5~1:2のモル比で含まれる。
【0053】
前記第1リチウム塩の含有量は、0.3M~1.5Mであってもよい。つまり、電解液に第1リチウム塩が0.3M~1.5Mの濃度で存在してもよい。
【0054】
第1リチウム塩が前記範囲内の場合、優れた出力特性を示すことができる。
【0055】
前記第1リチウム塩としては、LiPF、LiBF、リチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート(lithium difluoro(oxalate)borate:LiDFOB)、LiPO、LiSbF、LiAsF、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiCl、LiIおよびLiB(C(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato) borate):LiBOB)の少なくとも1種を使用することができ、特にLiPFを使用する方が、寿命および高温特性に有利なLi(1≦x≦4、1≦y≦4、0≦z≦7)被膜の形成に有利であり、Niが析出するのを防止することができる。
【0056】
前記イミド系リチウム塩の含有量は、0.2M~1.0Mであってもよい。つまり、電解液にイミド系リチウム塩が0.2M~1.0Mの濃度で存在してもよい。イミド系リチウム塩の含有量が前記範囲内の場合、第1リチウム塩のみを単独使用した時よりもイオン伝導度が高いので適切であり、LiPFの分解によって生成されるPF、HFなどの分解産物によるセル性能の劣化を遅延させることが期待される。
【0057】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たす。
【0058】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0059】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などが使用できる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使用できる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用できる。また、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使用できる。さらに、前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用可能であり、前記非プロトン性溶媒としては、R-CN(Rは、炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などが使用できる。
【0060】
前記非水性有機溶媒は、単独でまたは1つ以上を混合して使用することができ、1つ以上を混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能に応じて適切に調節可能であり、これは当該分野にて従事する者には広く理解できる。
【0061】
一例として、前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネートを5重量%未満で含むことができる。
【0062】
エチレンカーボネートの含有量が前述した範囲を5重量%以上含まれる場合には、高電圧駆動時にNiの活性度が増加して、Niの酸化数が4価から2価に還元される傾向が強くなり、酸化安定性が低いエチレンカーボネートは酸化分解されて、結果として、Niが溶出して負極に析出する結果につながる。
【0063】
具体的な一例として、前記非水性有機溶媒は、鎖状(chain)カーボネートのみで構成される。この場合、高温保存時に抵抗増加率が顕著に緩和されることによって、優れた高温保存特性を実現することができる。
【0064】
本明細書において、鎖状カーボネートだけで構成されるとの意味は、環状カーボネートなどと混合されず、鎖状カーボネートの範疇に属する有機溶媒を単独または組み合わせて含むことを意味する。
【0065】
一実施例において、前記鎖状カーボネートは、下記の化学式2で表される。
【化4】
前記化学式2において、
およびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である。
【0066】
一例として、前記化学式2のRおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基であってもよく、例えば、前記RおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C5アルキル基であってもよい。
【0067】
一実施例において、前記化学式2のRおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のn-プロピル基、置換もしくは非置換のn-ブチル基、置換もしくは非置換のn-ペンチル基、置換もしくは非置換のiso-ブチル基、置換もしくは非置換のneo-ペンチル基であってもよい。
【0068】
例えば、具体的な一実施例による非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、およびエチルメチルカーボネート(EMC)の少なくとも2種であってもよい。
【0069】
最も具体的な一実施例による非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒であってもよい。
【0070】
前記非水性有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を10:90~50:50の体積比で含むことができる。
【0071】
前記非水性有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)を50体積%超過で含むのが、電池特性改善の面でさらに有利であり得る。
【0072】
例えば、前記非水性有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を10:90~40:60、または10:90~30:70の体積比で含むことができる。
【0073】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含んでもよい。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒は、1:1~30:1の体積比で混合される。
【0074】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、下記の化学式4の芳香族炭化水素系化合物が使用できる。
【化5】
前記化学式4において、R~R14は、互いに同一または異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0075】
前記芳香族炭化水素系溶媒の具体例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0076】
一方、前記電解液は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、アジポニトリル(AN)、スクシノニトリル(SN)、1,3,6-ヘキサントリシアニド(HTCN)、プロペンスルトン(PST)、プロパンスルトン(PS)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF)、リチウムジフルオロホスフェート(LiPO)および2-フルオロビフェニル(2-FBP)の少なくとも1種の添加剤を追加的に含むことができる。
【0077】
前記添加剤をさらに含むことによって、寿命がさらに向上したり、高温保存時に正極と負極で発生するガスを効果的に制御することができる。
【0078】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の全体100重量部に対して0.2~20重量部の含有量で含まれ、具体的には0.2~15重量部、例えば0.2~10重量部含まれる。
【0079】
添加剤の含有量が前記のような場合、被膜抵抗増加を最小化して電池性能の向上に寄与できる。
【0080】
前記正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成される正極活物質層とを含み、前記正極活物質層は、正極活物質を含む。
【0081】
前記正極活物質は、コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物を含むことができる。
【0082】
本明細書において、正極活物質としてコバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物とは、正極活物質の組成中にコバルトを含まず、ニッケル、マンガンなどが主成分として構成された正極活物質を意味する。
【0083】
一例として、前記コバルト-フリーリチウムニッケルマンガン系酸化物は、下記の化学式3で表されるリチウム複合酸化物の少なくとも1種を含むことができる。
[化学式3]
LiaNixMnyM1 zM2 wO2±bXc
前記化学式3において、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w<0.1、0.6≦x<1.0、0<y<0.4、0<z<0.1、w+x+y+z=1であり、
およびMは、それぞれ独立して、Al、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される1つ以上の元素であり、Xは、S、F、PおよびClから選択される1つ以上の元素である。
【0084】
もちろん、前記リチウム複合酸化物の表面にコーティング層を有するものも使用可能であり、または前記リチウム複合酸化物とコーティング層を有する化合物とを混合して使用してもよい。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらのコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこれらの元素を用いて正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングできればいかなるコーティング方法を用いてもよいし、これについては当該分野にて従事する者によく理解できる内容であるので、詳しい説明は省略する。
【0085】
一例として、前記化学式3で表されるリチウム複合酸化物は、下記の化学式3-1で表される。
[化学式3-1]
LiaNix1Mny1Alz1M2 w1O2±bXc
前記化学式3-1において、
0.5≦a<1.8、0≦b≦0.1、0≦c≦0.1、0≦w1<0.1、0.6≦x1<1.0、0<y1<0.4、0<z1<0.1、w1+x1+y1+z1=1であり、
は、それぞれ独立して、Mg、Ti、Zr、Cr、Sr、V、B、W、Mo、Nb、Si、Ba、Ca、Ce、Cr、FeおよびNbから選択される1つ以上の元素であり、Xは、S、F、PおよびClから選択される1つ以上の元素である。
【0086】
一実施例において、前記化学式3-1において、0.6≦x1≦0.9、0.1≦y1<0.4、および0<z1<0.1であってもよく、0.6≦x1≦0.8、0.2≦y1<0.4、および0<z1<0.1であってもよい。
【0087】
例えば、前記化学式3-1のx1は0.6≦x1≦0.79、y1は0.2≦y1≦0.39、z1は0.01≦z1<0.1であってもよい。
【0088】
前記正極活物質の含有量は、正極活物質層の全体重量に対して90重量%~98重量%であってもよい。
【0089】
本発明の一実施形態において、前記正極活物質層は、バインダーを含むことができる。この時、前記バインダーの含有量は、正極活物質層の全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。
【0090】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いによく付着させ、また、正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンラバー、アクリル化スチレン-ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
前記正極集電体としては、Alを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0092】
前記負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成される負極活物質を含む負極活物質層とを含む。
【0093】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離可能な物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0094】
前記リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離可能な物質としては、炭素物質であって、リチウム二次電池において一般に使用される炭素系負極活物質はいかなるものでも使用可能であり、その代表例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらをともに使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0095】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムと、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属との合金が使用できる。
【0096】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si、Si-C複合体、SiO(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、Siを除いた14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素)、Sn、SnO、Sn-R11(前記R11は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、Snを除いた14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素)などが挙げられ、また、これらの少なくとも1つとSiOとを混合して使用してもよい。
【0097】
前記元素QおよびR11としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0098】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物またはリチウムチタン酸化物などが挙げられる。
【0099】
具体的な一実施例において、前記負極活物質は、黒鉛およびSi複合体の少なくとも1種を含むことができる。
【0100】
前記Si複合体は、Si系粒子を含むコアおよび非晶質炭素コーティング層を含み、例えば、前記Si系粒子は、シリコン粒子、Si-C複合体、SiO(0<x≦2)およびSiアロイ(alloy)のうちの1種以上を含むことができる。
【0101】
一例として、前記Si系粒子を含むコアの中心部に空隙を含み、前記中心部の半径は、前記Si複合体の半径の30%~50%に相当し、前記Si複合体の平均粒径は、5μm~20μmであり、前記Si系粒子の平均粒径は、10nm~200nmであってもよい。
【0102】
本明細書において、平均粒径は、累積分布曲線(cumulative size-distribution curve)において体積比で50%での粒子サイズ(D50)であってもよい。
【0103】
前記Si系粒子の平均粒径が前記範囲に含まれる場合、充放電時に発生する体積膨張を抑制することができ、充放電時に粒子の破砕による導電性経路(conductive path)の断絶を防ぐことができる。
【0104】
前記Si系粒子を含むコアは、非晶質炭素を追加的に含み、この時、前記中心部は、非晶質炭素を含まず、非晶質炭素は、Si複合体の表面部にのみ存在できる。
【0105】
この時、表面部とは、中心部の最表面からSi複合体の最表面までの領域を意味する。
【0106】
また、Si系粒子は、Si複合体に全体として実質的に均一に含まれるものであって、つまり、中心部と表面部に実質的に均一な濃度で存在できる。
【0107】
前記非晶質炭素は、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークス、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0108】
例えば、前記Si-C複合体は、シリコン粒子と、結晶質炭素とを含むことができる。
【0109】
前記シリコン粒子は、前記Si-C複合体の全体重量に対して1~60重量%含まれ、例えば3~60重量%含まれる。
【0110】
前記結晶質炭素は、例えば、黒鉛であってもよいし、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0111】
前記結晶質炭素の平均粒径は、5μm~30μmであってもよい。
【0112】
前記負極活物質が黒鉛およびSi複合体とともに含む場合、前記黒鉛およびSi複合体は、混合物の形態で含まれてもよいし、この場合、前記黒鉛およびSi複合体は、99:1~50:50の重量比で含まれてもよい。
【0113】
さらに具体的には、前記黒鉛およびSi複合体は、97:3~80:20、または95:5~80:20の重量比で含まれてもよい。
【0114】
前記非晶質炭素前駆体としては、石炭系ピッチ、メソフェーズピッチ、石油系ピッチ、石炭系オイル、石油系重質油またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂を使用することができる。
【0115】
前記負極活物質層における負極活物質の含有量は、負極活物質層の全体重量に対して95重量%~99重量%であってもよい。
【0116】
本発明の一実施形態において、前記負極活物質層は、バインダーを含み、選択的に導電材をさらに含んでもよい。前記負極活物質層におけるバインダーの含有量は、負極活物質層の全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。また、導電材をさらに含む場合には、負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、そして導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0117】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いによく付着させ、また、負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダー、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0118】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミド、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
前記水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。前記ゴム系バインダーは、スチレン-ブタジエンラバー、アクリル化スチレン-ブタジエンラバー(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンラバー、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。前記高分子樹脂バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0120】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与できるセルロース系化合物を増粘剤としてさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としては、Na、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含有量は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であってもよい。
【0121】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こすことなく電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0122】
前記負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、導電性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0123】
リチウム二次電池の種類によって、正極と負極との間にセパレータが存在してもよい。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド、またはこれらの2層以上の多層膜が使用可能であり、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜が使用可能であることは言うまでもない。
【0124】
前記リチウム二次電池は、充電上限電圧が4.45V以上であってもよい。例えば、充電上限電圧は、4.45V~4.55Vであってもよい。
【0125】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。そのような下記の実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例0126】
リチウム二次電池の作製
比較例1
正極活物質としてLiNi0.75Mn0.23Al0.02、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド、および導電材としてアセチレンブラックをそれぞれ96:3:1の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて正極活物質スラリーを製造した。
【0127】
前記正極活物質スラリーを15μmの厚さのAl箔上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0128】
負極活物質として人造黒鉛とSi複合体とが93:7の重量比で混合された混合物を使用し、負極活物質とスチレン-ブタジエンゴムバインダーおよびカルボキシメチルセルロースをそれぞれ98:1:1の重量比で混合して、蒸留水に分散させて負極活物質スラリーを製造した。
【0129】
前記Si複合体は、人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面に石炭系ピッチがコーティングされたものを使用した。
【0130】
前記負極活物質スラリーを10μmの厚さのCu箔上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して負極を製造した。
【0131】
前記製造された正極および負極と厚さ10μmのポリエチレン材質のセパレータを組み立てて電極組立体を製造し、電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0132】
電解液の組成は、下記の通りである。
(電解液の組成)
リチウム塩:LiPF 1.5M
非水性有機溶媒:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート(EMC:DMC=20:80の体積比)
【0133】
実施例1
前記リチウム塩の含有量をLiPF 0.75MおよびLiFSI0.75Mに変更したことを除けば、前記比較例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0134】
実施例2
前記リチウム塩の含有量をLiPF 0.75Mおよび下記の化学式1Bで表されるLiTFSI0.75Mに変更したことを除けば、前記比較例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【化6】
【0135】
実施例3
前記リチウム塩の含有量をLiPF 0.75Mおよび下記の化学式1Dで表されるLiTFTSI0.75Mに変更したことを除けば、前記比較例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【化7】
【0136】
実施例4
前記リチウム塩の含有量をLiPF 1.0MおよびLiFSI0.5Mに変更したことを除けば、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0137】
実施例5
前記リチウム塩の含有量をLiPF 0.5MおよびLiFSI1.0Mに変更したことを除けば、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0138】
実施例6
前記非水性有機溶媒の組成をEMC:DMC=30:70の体積比に変更したことを除けば、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0139】
比較例2
前記リチウム塩をLiFSI1.5Mに変更したことを除けば、前記比較例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0140】
比較例3
前記電解液の組成中、非水性有機溶媒の全体重量に対してエチレンカーボネートを5重量%添加したことを除けば、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0141】
比較例4
前記エチレンカーボネートを10重量%添加したことを除けば、前記比較例3と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0142】
実施例7
前記非水性有機溶媒の組成をEMC:DMC=40:60の体積比に変更したことを除けば、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0143】
実施例8
前記非水性有機溶媒の組成をEMC:DMC=60:40の体積比に変更したことを除けば、前記比較例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0144】
比較例5
前記正極活物質をLiNi0.8Co0.1Mn0.1に変更したことを除けば、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0145】
比較例6
前記フルオロエチレンカーボネートを10重量%添加したことを除けば、前記比較例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0146】
評価1:常温寿命特性および直流抵抗(DC-IR)増加率評価
実施例1~実施例8、および比較例1~比較例6によるリチウム二次電池を下記の条件で充放電後にサイクル特性を評価し、その結果を下記表1~表6に示した。
【0147】
25℃、0.33C充電(CC/CV、4.45V、0.025C Cut-off)/1.0C放電(CC、2.5V Cut-off)条件で200サイクルの充放電を実施しながら、放電容量および直流抵抗の変化を測定した。
【0148】
初期放電容量に対する200サイクル後の放電容量の比を計算して、下記表1に示した。
【0149】
△V/△I(電圧の変化/電流の変化)値で初期直流抵抗(DC-IR)を測定した後、電池内部の最大エネルギー状態を50%充電状態(SOC50%)にし、0.5Cの電流を印加して放電し、変化した電圧に基づいてオームの法則(△V/△I)に算入し、直流内部抵抗(DC-IR:Direct current internal resistance)の変化を測定した。
【0150】
直流内部抵抗増加率は、下記式により計算した。
[{(200サイクル後のDC-IR)/(初期DC-IR)}*100]
【0151】
評価2:高温寿命特性評価
実施例1~実施例8、および比較例1~比較例6により作製されたリチウム二次電池を下記の条件で充放電後にサイクル特性を評価し、その結果を下記表7~表12に示した。
【0152】
45℃、0.33C充電(CC/CV、4.45V、0.025C Cut-off)/1.0C放電(CC、2.5V Cut-off)条件で200サイクルの充放電を実施しながら、放電容量および直流抵抗の変化を測定した。
【0153】
初期放電容量に対する200サイクル後の放電容量の比を計算して、下記表1に示した。
【0154】
△V/△I(電圧の変化/電流の変化)値で初期直流抵抗(DC-IR)を測定した後、電池内部の最大エネルギー状態を50%充電状態(SOC50%)にし、0.5Cの電流を印加して放電し、変化した電圧に基づいてオームの法則(△V/△I)に算入し、直流内部抵抗(DC-IR:Direct current internal resistance)の変化を測定した。
【0155】
直流内部抵抗増加率は、下記式により計算した。
[{(200サイクル後のDC-IR)/(初期DC-IR)}*100]
【0156】
評価3:金属(NiおよびMn)溶出評価
実施例1~8および比較例1~6で製造されたリチウム二次電池に対して、下記の方法でNiおよびMn溶出量を測定した。
【0157】
評価1および評価2により200サイクルの充放電を実施したリチウム二次電池を解体して、正極極板を分離した。ICP-MS分析によりNiおよびMn含有量を測定し、その結果を表1~表12に示した。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
【表3】
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
【表7】
【0165】
【表8】
【0166】
【表9】
【0167】
【表10】
【0168】
【表11】
【0169】
【表12】
【0170】
表1、表2、表7および表8を参照すれば、本願によるリチウム塩、非水性有機溶媒およびCo-free正極活物質が組み合わされた組成中、特にリチウム塩が組み合わされた組成において常温充放電特性と高温充放電特性がすべて改善され、DC-IR増加率が減少して常温寿命特性の改善と同時に高温寿命特性も改善されることが分かる。
【0171】
表3および表9を参照すれば、本願によるリチウム塩、非水性有機溶媒およびCo-free正極活物質が組み合わされた組成にECが5重量%以上含まれる場合には、常温充放電特性と高温充放電特性がすべて低下し、DC-IR増加率が高くなって常温寿命特性と高温寿命特性がすべて低下することが分かる。
【0172】
表4および表10を参照すれば、本願によるリチウム塩、非水性有機溶媒およびCo-free正極活物質が組み合わされた組成中、特に非水性有機溶媒の特定の組み合わせにおいて常温充放電特性と高温充放電特性がすべて改善され、DC-IR増加率が減少して常温寿命特性の改善と同時に高温寿命特性も改善されることが分かる。このうち、EMCが50体積%以下の時、性能がさらに改善されることを確認することができた。
【0173】
表5および表11を参照すれば、本願によるリチウム塩、非水性有機溶媒およびCo-free正極活物質が組み合わされた組成中、特に正極活物質がCo-free正極活物質の場合に、Co-含有正極活物質に比べて常温充放電特性と高温充放電特性がすべて改善され、DC-IR増加率が減少して常温寿命特性の改善と同時に高温寿命特性も改善されることが分かる。
【0174】
表6および表12を参照すれば、本願によるリチウム塩、非水性有機溶媒およびCo-free正極活物質が組み合わされた組成の場合、公知の負極の被膜形成剤を含む組成に比べて常温充放電特性と高温充放電特性がすべて改善され、DC-IR増加率が減少して常温寿命特性の改善と同時に高温寿命特性も改善されることが分かる。
【0175】
また、実施例1~8によるリチウム二次電池は、極板におけるNiおよびMn溶出量が非常に低いのに対し、比較例1~6によるリチウム二次電池は、実施例と比較する時、顕著に多量のニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)が溶出することが確認された。したがって、本願発明によるリチウム二次電池の場合、電解液と反応による金属イオンの溶出量を減少させられることが分かる。
【0176】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0177】
100:リチウム二次電池
112:負極
113:セパレータ
114:正極
120:電池容器
140:封入部材
図1