(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056711
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】誘電性コポリマー材料
(51)【国際特許分類】
C08F 222/40 20060101AFI20240416BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C08F222/40
C08G73/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007831
(22)【出願日】2024-01-23
(62)【分割の表示】P 2021521013の分割
【原出願日】2019-10-15
(31)【優先権主張番号】18201357.3
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18205766.1
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ラルビッヒ グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】ミシュキェヴィッチ パウェル
(72)【発明者】
【氏名】マイアー フランク
(72)【発明者】
【氏名】パーンケ イェルク
(72)【発明者】
【氏名】コッペ カルステン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子デバイスに不動態層を調製するための誘電性材料を形成するために使用することができる重合性混合物を提供する。
【解決手段】重合性混合物は、第1のモノマー及び第2のモノマーを含み、これらは反応してコポリマーを形成し、優れたフィルム形成能力、優れた熱特性、及び優れた機械的特性を提供し得る。上記コポリマーを形成するための方法、及び上記コポリマーを誘電性材料として含む電子デバイスが更に提供される。更に、本発明は、パッケージ化マイクロ電子構造を調製するための製造方法、及び上記製造方法により形成されるパッケージ化マイクロ電子構造を含むマイクロ電子デバイスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモノマー及び第2のモノマーを含む重合性混合物であって、
前記第1のモノマーは、式(1)により表される1つ又は複数の化合物であり、
前記第2のモノマーは、前記第1のモノマーと反応してコポリマーを生成することが可能な1つ又は複数の二官能性又は多官能性化合物であり、
式(1)は、
P
1-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-P
1 式(1)
であり、式中、
mは、1~60の整数であり、
P
1は、
【化1】
を示し、式中、V
1はHであり、V
2は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNであり、又はV
1及びV
2は互いに独立して1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNであり、
Sp
1は、各出現において、スペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
MGは、好ましくは、式(2):
-(A
21-Z
21)
k-A
22-(Z
22-A
23)
l- 式(2)
から選択される棒状メソゲン基であり、式中、
A
21~A
23は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z
21及びZ
22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR
01-、-NR
01-CO-、-NR
01-CO-NR
02、-NR
01-CO-O-、-O-CO-NR
01-、-OCH
2-、-CH
2O、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
01-、-CY
01=CY
02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、F、又はCl、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられていてもよく、
R
xx及びR
yyは、互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y
01及びY
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキル、アリール、F、Cl、又はCNを示し、
k及びlは、各々及び独立して0、1、2、3、又は4である、
重合性混合物。
【請求項2】
前記スペーサー基Spは、ラジカル「P1-Sp1-」が式「P1-Sp’-X’-」に対応するように、式Sp’-X’から選択され、
式中、
Sp’は、
(a)1~40個、好ましくは1~30個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキレンであって、F、Cl、Br、I、若しくはCNにより一置換若しくは多置換されており、加えて1つ若しくは複数の非隣接CH2基は各々、O原子及び/若しくはS原子が互いに直接連結されないように、互いに独立して-O-、-S-、-NH-、-NR01-、-SiR01R02-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-NR01-CO-O-、-O-CO-NR01-、-NR01-CO-NR01-、-CH=CH-、若しくは-C≡C-により置き換えられていてもよい直鎖若しくは分岐鎖アルキレン、又は
(b)-Spx-G-Spy-であって、Spx及びSpyは、互いに独立して、1~20個のC原子を有するアルキレン又は単結合を示し、Gは、1~20個のC原子を有するアルキルにより一置換若しくは多置換されていてもよい、3~20個のC原子を有するシクロアルキレンを示す-Spx-G-Spy-を示し、
X’は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CONR01-、-NR01-CO-、-NR01-CO-NR01-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=C-、-N=N-、-CH=CR01-、-CY01=CY02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合を示し、
R01及びR02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y01及びY02は、各々互いに独立して、H、F、Cl、又はCNを示す、
請求項1に記載の重合性混合物。
【請求項3】
前記スペーサー基Spは、-(CH
2)
p1-、-(CH
2CH
2O)
q1-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2-S-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2-NH-CH
2CH
2-、-(SiR
01R
02-O)
p1-、-(CH
2)
p1-(シクロ-C
6H
8R
01R
02)-(CH
2)
p1-、及び
【化2】
からなるリストから選択され、式中、
p1は、1~60の整数であり、
q1は、1~12の整数であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示す、
請求項1又は2に記載の重合性混合物。
【請求項4】
A
21~A
23は、独立して及び複数出現する場合は互いに独立して、以下の群a)~e):
a)1つ又は複数の非隣接CH
2基が-O-及び/又は-S-により置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよいtrans-1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、及び4,4’-ビシクロヘキシレン;
b)1つ又は2つのCH基がNにより置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよい1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、2,5-チフェン、及び2,6-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン;
c)1つ又は複数の基Lで置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、シクロブタ-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、及びセレノフェン-2,5-ジイル;
d)飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和の、及び置換されていてもよい、5~20個の環C原子を有する多環式ラジカルであって、前記環C原子の1つ又は複数はまたヘテロ原子により置き換えられていてもよく、前記多環式ラジカルは、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、
【化3】
から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は、基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は、単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基は、Nにより置き換えられていてもよく、
Mは、-O-、-S-、-CH
2-、-CHY
03-、又は-CY
03Y
04-を示し、
Y
03、Y
04は、互いに独立して、R
01について上記で与えられた意味の1つ、F、Cl、CN、OCF
3、又はCF
3、好ましくはH、F、Cl、CN、OCF
3、又はCF
3を示し、
W
5、W
6は、互いに独立して、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CH
2-O-、O-CH
2-、-C(R
cR
d)-、又は-O-を示し、
R
c、R
dは、互いに独立して、H、又は1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチル、又はエチルを示し、
R
03、R
04は、互いに独立して、H、F、1つ又は複数のH原子がFにより置き換えられていてもよい1~12個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを示す、多環式ラジカル;
e)
【化4】
からなる群から選択される環式イミドであって、
式中、1つ若しくは複数のH原子は、基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は、単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基は、Nにより置き換えられていてもよい環式イミド
から選択される部分を示す、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合性混合物。
【請求項5】
前記第2のモノマーは、有機化合物、多面体シルセスキオキサン化合物、及び官能化無機ナノ粒子から選択される1つ又は複数の二官能性又は多官能性化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合性混合物。
【請求項6】
前記第2のモノマーは、好ましくはラジカル性若しくはイオン性鎖重合又は2+2環化付加でP1と反応するC=C二重結合を含む基;好ましくは4+2環化付加でP1と反応する2つの共役C=C二重結合を含む基;好ましくは求核付加でP1と反応する求核基;及び好ましくは1,3-双極性環化付加でP1と反応する1,3-双極性基から選択される2つ又はそれよりも多くの重合性基(P)を含む1つ又は複数の二官能性又は多官能性化合物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の重合性混合物。
【請求項7】
前記第2のモノマーは、
(a)式(4):
【化5】
式(4)
により表される有機化合物であって、式中、
Qは、1~50個の炭素原子を有する炭化水素基であって、1つ又は複数の置換基Lで置換されていてもよく、Lは請求項1~6のいずれか1項で規定されている通りであり、任意選択で、N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子群を含んでいてもよい炭化水素基を示し、
P
2は、請求項6で規定されている通りの重合性基(P)を示し、
xは、2~10の整数である、有機化合物;
(b)以下の構造:
【化6】
構造(1)
により表される多面体シルセスキオキサン化合物であって、構造中、
Rは、H、C
1~C
6-アルキル、C
2~C
6-アルケニル、C
6~C
10-アリール、若しくはC
1~C
6-アルコキシであり、
Lは、C
1~C
12-アルキレン若しくはC
1~C
12-オキシアルキレンであり、式中、1つ若しくは複数の非隣接C原子は、互いに独立して、-SiR
05R
06-により置き換えられていてもよく、式中R
05若しくはR
06は、各々互いに独立して、H、若しくは1~6個のC原子を有するアルキルを示し、
P
2は、請求項6で規定されている通りの重合性基(P)を示し、
yは、6~12の整数であり、xは、2~12の整数であり、y-x≧0である、多面体シルセスキオキサン化合物;又は
(c)その表面に重合性基P
2を含む官能化無機ナノ粒子であって、
P
2は、請求項6で規定されている通りの重合性基(P)を示す、官能化無機ナノ粒子
の1つ又は複数である、請求項6に記載の重合性混合物。
【請求項8】
コポリマーを形成するための方法であって、
(i)請求項1~7のいずれか1項に記載の重合性混合物を準備するステップ、及び
(ii)前記重合性混合物を重合してコポリマーを得るステップ
を含む方法。
【請求項9】
前記重合性混合物は、1つ又は複数のラジカル性開始剤を更に含む、請求項8に記載のコポリマーを形成するための方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のコポリマーを形成するための方法により得ることができるコポリマー。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に規定されている通りの、前記第1のモノマーに由来する少なくとも1つの繰返し単位及び前記第2のモノマーに由来する少なくとも1つの繰返し単位を含むコポリマー。
【請求項12】
前記第1のモノマーに由来する前記繰返し単位は、式(5):
[-Sp1-(MG-Sp1)m-] 式(5)
により表される構造単位を含み、式中、Sp1、MG、及びmは、請求項1~7のいずれか1項に規定されている通りである、請求項11に記載のコポリマー。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載のコポリマーを含む電子デバイス。
【請求項14】
前記コポリマーは誘電体層を形成する、請求項13に記載の電子デバイス。
【請求項15】
基板に誘電体層が提供されるパッケージ化マイクロ電子構造を調製するための製造方法であって、
(1)請求項1~7のいずれか1項に記載の重合性混合物を基材の表面に適用するステップ、及び
(2)前記重合性混合物を硬化させて誘電体層を形成するステップ
を含む製造方法。
【請求項16】
前記重合性混合物は、1つ又は複数のラジカル性開始剤を更に含む、請求項15に記載のパッケージ化マイクロ電子構造を調製するための製造方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の製造方法により得ることができるパッケージ化マイクロ電子構造を含むマイクロ電子スデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ化電子デバイスに不動態層を調製するための誘電性材料として使用することができる新しいクラスのコポリマーに関する。コポリマーは、第1のモノマー及び第2のモノマーを含む重合性混合物から得られ、第1のモノマーは、メソゲン基を有する1つ又は複数の重合性3置換又は3,4-二置換マレイミド化合物であり、第2のモノマーは、第1のモノマーと反応してコポリマーを生成することが可能な1つ又は複数の二官能性又は多官能性化合物である。第1のモノマーは、反応性メソゲン(RM)と呼ばれる場合もある。従って、それらから得られるコポリマーは、構造が保存された液晶特徴を有する材料であり、優れたフィルム形成能力、優れた熱特性、優れた機械的特性、並びに従来の溶媒からの容易な処理を提供する。特に、コポリマーは、ケイ素(3ppm/K)及び銅(16.5ppm/K)を多く含む基板とパッケージとの間の熱膨張係数(CTE)が一致しないため、誘電率が低いこと及び熱誘導性応力を低減する熱機械的特性を有することにより特徴付けられる。更に、コポリマーは、熱応力を容易に補償することができるように、剛性と弾力性との間の好ましくバランスの取れた関係性を提供する。
【0002】
更に、コポリマーは、光構造化可能であり、例えば、導電性又は半導電性成分の不動態化及びダイ接着等の電子パッケージングにおける種々の応用に、並びにプリント回路板の基板の調製における主要成分として特に好適である。
更に、コポリマーを形成するための方法、及びコポリマーを誘電性材料として含む電子デバイスが提供される。更に、本発明は、パッケージ化マイクロ電子構造を調製するための製造方法であって、誘電性コポリマー層が重合性混合物から形成される方法に、及び上記製造方法により得られるか又は得ることができるパッケージ化マイクロ電子構造を含むマイクロ電子デバイスに関する。
本発明による製造方法は、望ましくない熱膨張による機械的変形(反り)により引き起こされる欠陥製品の数が著しく低減される、費用効果が高く信頼性の高いマイクロ電子デバイスの製造を可能にする。重合及び/又は硬化は、著しくより低い温度で生じさせることができるため、製造中の熱応力が低くなり、欠陥マイクロ電子デバイスの廃棄が低減され、それにより資源効率が高く持続可能な生産が可能になる。
【背景技術】
【0003】
反応性メソゲン(RM)は、サーモトロピック液晶(LC)相(典型的には、ネマチック、コレステリック、又はスメクチック)を呈する温度で重合させると、液晶状態が保存される異方性ポリマーを生成する。特に、光学異方性は、フラットパネルディスプレイ、特に液晶ディスプレイの補正及び輝度増強のための光学フィルムの分野で広く利用されている。
液晶ディスプレイ及びディスプレイにおける幅広い使用に加えて、液晶材料は、それらの物理的特性が特殊であるため、他の応用タイプでの利点について調査されている(R.Stannarius、Nat.Mat.2009年、8巻、617~618頁;及びJ.P.F.Lagerwallら、Current Appl.Phys.2012年、12巻、1387~1412頁)。特に、高度に規則正しい異方性ポリマーネットワークは、多様な範囲の応用を有する興味深い材料クラスである(D.J.Broerら、Lagmuir 2014年、30巻、13499~13509頁;及びR.Zentelら、Adv.Mater.2010年、22巻、3366~3387頁)。しかしながら、ほとんどの場合、LCポリマー又はポリマーを構成する対応するモノマーは、それぞれの応用に必要とされる最適な特性を有していない。
【0004】
国際公開第2012/152409号パンフレットは、少なくとも1つの反応性メソゲンのモノマー単位を含む光学異方性及び形状異方性を有するポリマー粒子、それらを調製するための方法、ポリマー粒子を含む光学、電気光学、電子、電気化学、電気写真、エレクトロウェッティング、及び電気泳動ディスプレイ並びに/又はデバイス、並びにセキュリティ、化粧品、装飾、及び診断応用、並びに電気泳動流体及びディスプレイを調製するためのこうした粒子の使用に関する。特に、ポリマー粒子は、少なくとも2つの重合性基を有する少なくとも1つのRMのモノマー単位、コモノマーとしての少なくとも1つの重合性色素、任意選択で少なくとも1つのコモノマー、任意選択で少なくとも1つの架橋コモノマー、任意選択で少なくとも1つのイオン性コモノマー、及び任意選択で少なくとも1つの重合性安定剤を有する。
【0005】
RMから液晶ポリマーを調製するための、及びRM出発材料を調製するための種々の方法は、技術水準から公知である。例えば、Siemensmeyerらには、LC化合物の混合物を生産するための方法が記載されており、出発成分の少なくとも1つは、少なくとも2つの化合物の混合物からなり、この混合物は、少なくとも1つの他の出発成分と反応して、統計的混合物を形成する(国際公開第96/04351号パンフレット)。
LC化合物の効率的な調製方法に加えて、異方性ポリマーネットワークを形成するための好適な重合方法は関心の的である。様々な反応性官能基が、光開始重合反応における応用性について調査された。最も普及している反応性官能基はアクリレート及びメタクリレートであり、これらは、重合速度が速いため、UV誘導性フリーラジカル重合に特に良好に適合する(D.J.Broerら、Lagmuir 2014年、30巻、13499~13509頁)。しかしながら、UV硬化は、全ての種類の応用に好適である訳ではない。
【0006】
重合性液晶モノマー(反応性メソゲン)の混合物を使用して、熱重合又は光開始重合により硬化させることができる薄いフィルムを調製することができる。このようにして調製されたフィルムは比較的薄く、顕著な寸法安定性を有する高度に架橋されたデュロプラスチックポリマーを含む。しかしながら、こうしたフィルムは比較的脆性であり、非常に低い弾力性を示す。その一方、架橋度が低減されると、寸法安定性ポリマーフィルムを得ることができない。
【0007】
米国特許第6,261,481号明細書には、良好な熱伝導性を提供する有機絶縁性組成物が記載されている。絶縁性組成物は、メソゲン基を有するモノマーを含む樹脂組成物の重合産物を含む液晶(LC)樹脂を含む。この組成物は、互いに対して相互に直交する方向の熱伝導性が≧0.4W/mKである。樹脂組成物に含まれるモノマーは、メソゲン基、及び好ましくは酸触媒下で熱的に重合させることができるエポキシ基を有する。好ましくは、樹脂組成物は、部分的配列に基づく異方性特性がポリマーに固定されるように、重合開始時にメソゲン基を有するモノマーが部分的に配列される条件下で加熱される。
米国特許出願公開第2008/0075961号明細書及び米国特許出願公開第2017/0152418号明細書は、イミドで伸長されたモノ、ビス、及びポリマレイミド化合物を含む熱硬化性マレイミド樹脂から調製されるマレイミド接着フィルムに関する。マレイミド接着フィルムは、光構造化可能であり、電子機器、集積回路、半導体素地、受動素子、太陽電池、太陽電池モジュール、及び/又は発光ダイオードの生産に好適である。しかしながら、マレイミド化合物は、フィルム中の化合物の優先的な方向性又は部分的な配列を付与することができるメソゲン基を一切含まない。これは、機械的安定性及び熱伝導性に関してより不良な特性をもたらす。こうした材料は、典型的には比較的低いガラス転移点も呈し、この場合も熱膨張特性に影響を及ぼす。
韓国特許出願公開第20160052234号明細書には、光硬化性絶縁性樹脂組成物及びそれを使用したプリント回路板が記載されている。光硬化性絶縁性樹脂組成物は、光硬化性液晶オリゴマー、光硬化性グラフェンオキシド、及び光硬化性金属アルコキシドを含む。しかしながら、光硬化性液晶オリゴマーは、スペーサー基により一緒に連結された複数のメソゲン基を含まない。これは、好ましくない溶解度プロファイルをもたらし、光硬化に使用されるエネルギーは非常に高い。
【0008】
電子パッケージング
半導体トランジスタが真空管技術に取って代わり始めたため、抵抗、コンデンサ、及びダイオード等の電子部品をリード線によりカードのプリント回路板に直接取り付けることが可能になり、従って依然として使用されているパッケージングの基本的な構成ブロック又はレベルが確立された。複雑な電子機能は、単一のプリント回路カード上で相互接続できるものよりも多くの個々の部品を必要とすることが多い。娘カードの多層マザーボードへの3次元パッケージングが開発されたことに伴って、多層カードが可能になった。集積回路により、抵抗及びダイオード等の個別の回路要素の多くを、集積回路チップ又はダイとして知られている個々の比較的小型の部品に組み込むことが可能になる。しかしながら、途方もない回路集積にも関わらず、部分的には集積回路技術自体のために典型的には1つよりも多くのパッケージングレベルが必要とされる。集積回路チップは非常に壊れやすく、端子が非常に小さい。第1のレベルのパッケージングは、機械的保護、冷却、及び繊細な集積回路への電気的接続能力の提供という主要機能を実現する。一部の部品(高電力抵抗、機械的スイッチ、コンデンサ)はチップへの集積が容易ではないため、プリント回路カード等の少なくとも1つの追加パッケージングレベルが使用される。メインフレームコンピュータ等の非常に複雑な応用の場合、複数のパッケージングレベルの階層化が必要とされる。
ムーアの法則の帰結として、より高出力の電子製品の開発には、高度な電子パッケージング戦略が益々重要な役割を果たしつつある。言い換えれば、より小型で、より高速であり、より機能的な可搬型及び携帯型電子デバイスの需要が増加すると共に、改良型の対費用効果が高いパッケージング技術の需要も増加しつつある。
【0009】
今日の半導体業界の要求を満たすために、幅広く様々な高度パッケージング技術が存在する。先端的な高度パッケージング技術であるウエハレベルパッケージング(WLP)、ファンアウトウエハレベルパッケージング(FOWLP)、2.5Dインターポーザ、チップオンチップ積層、パッケージオンパッケージ積層、組み込みICは全て、薄型基板、再配線層、及び高分解能相互接続のような他の部品の構造化を必要とする。最終消費者市場は、これまでになく小型化及び薄型化されたデバイスに対してより低い価格及びより高い機能を常に求めている。そのため、競争力のある製造コストでより微細な特徴及び向上した信頼性を有する次世代パッケージングが必要とされている。
【0010】
ウエハレベルパッケージング(WLP)は、ウエハを薄切りして個々の回路(ダイス)にしてからパッケージングするより従来型のチップスケールパッケージング法とは対照的に、依然としてウエハの一部である間に集積回路をパッケージングする技術である。WLPは、チップスケールパッケージ技術と比較して幾つかの主要な利点を提供し、得られるパッケージは事実上ダイと同じサイズであるため、本質的に真のチップスケールパッケージ(CSP)技術である。ウエハレベルパッケージングは、ケイ素開始物質から顧客出荷までにデバイスが経る製造プロセスを合理化するために、ウエハ製造、パッケージング、試験、及びウエハレベルでのバーンインの統合を可能にする。WLPの主要な応用分野は、サイズの制約があるため、スマートフォン及びウェアラブルである。WLPがスマートフォン又はウェアラブルに提供する機能としては、コンパス、センサ、電源管理、ワイヤレス等が挙げられる。ウエハレベルチップスケールパッケージング(WL-CSP)は、市場において現在利用可能な最小パッケージの1つである。WLPは、ファンインWLP及びファンアウトWLPに分類することができる(
図1)。これらは両方とも、再配線技術を使用して、チップとはんだボールとの接続を形成する。
ファンアウトウエハレベルパッケージング(FOWLP)は、マイクロ電子機器における最新のパッケージングトレンドの1つである。FOWLPは、パッケージ容積並びにパッケージング厚の両方において高い小型化可能性を有する。FOWLPの技術的基盤は、チップが組み込まれた再構成プリントウエハ及び薄膜再配線層であり、これらは一緒になって表面実装デバイス(SMD)互換パッケージを形成する。FOWLPの主な利点は、基板レスパッケージであるため非常に薄いこと、熱抵抗が低いこと、例えばワイヤーボンド又ははんだ接点等の代わりにバンプレスチップ接続を共に有する短く平面状の電気接続であるため高周波特性が良好であることである。
【0011】
現行の材料では、WLPプロセスは、中程度のチップサイズ応用に限定される。この限定の理由は、主に現行材料の選択によるものであり、現行の材料は、シリコンダイ(CTE:3ppm/K)との熱的不一致を示すため、性能を低減させ、ダイに応力を発生させる可能性がある。より良好な物理的特性(高い機械的可撓性と共に、特にケイ素のCTEにより近い熱膨張係数(CTE))を有する新しい材料が強く求められている。現在、再配線層(RDL)は、ポリイミド(PI)、ブチルシクロブタン(BCB)、又はポリベンゾオキサゾール(PBO)等のポリマー不動態層に電気メッキされた銅層(CTE:16.5ppm/K)で製作されている。光パターン形成性に加えて低い硬化温度は、そのような材料の処理における2つの更に重要な要件である。
ポリイミドは、取扱い及び試験手順のために表面保護を必要とするメモリチップ及び他のデバイスの標準的な不動態層になっている。処理コストを低減するために、感光性樹脂が開発されている。
ポリイミド-ODAは、Du Pont社が開発した交互芳香族同素環式及び複素環式環に基づく一連の新しい高性能ポリマーの最初のメンバー:
【化1】
【0012】
ポリイミドは、分解温度が非常に高く400℃を超える場合があるという点で非常に独特である。加えて、ポリイミドの機械的特性は、200MPaを超える非常に高い引張強度と共に高い可撓性(最大で100%の破断点伸び)を保証する。PIは、依然としてIC不動態化に最も広く使用されているポリマーである。
ネガティブ感受性ポリマーPIへの改変は、ポジティブ感受性PIとも呼ばれる場合があるポリベンゾオキサゾール(PBO)により達成された。
【化2】
ポリマーフィルムは、露光後に水性現像液を使用して現像することができる。
いわゆるBCB(ベンゾシクロブテン)は、加えてビニル及びベンゾシクロブテン環系を有するシロキサン-ポリマー基の例である。
【化3】
【0013】
主要な利点は、副産物が生じないため高い原子経済性を示す重合反応(Diels-Alder反応)である。この高度に架橋された熱硬化性ポリマーは、優れた電気的性能を有するが、非常に脆性であり、破断点伸び値は低く(8%)、引張強度は87MPaと低い。
技術水準の別の手法は、米国特許出願公開第2008/0075961号明細書及び米国特許出願公開第2017/0152418号明細書に示唆されていたイミド伸長ビスマレイミド樹脂である。これらは、低応力ウエハ不動態コーティングに関して有望な結果を示す。しかしながら、ある程度の改善はあるものの、業界の厳しい要件を満たすためには依然として改善の余地がある。
【0014】
結論として、技術水準で公知の材料は、以下の欠点を示す。
・ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールは、典型的には、非常に高い処理温度を必要とするため、特に多層再配線層(RDL)における反りのリスクが増加する。それに加えて、ポリイミドは高い吸水性を示し、これはデバイスの信頼性にとって問題である。
・ベンゾシクロブテン誘導体並びにポリノルボルネンは非常に低い誘電率を示すが、この利点は、金属との接着性が非常に不良であることにより損なわれる。
・イミド伸長ビスマレイミド樹脂は、これまでのところ、有利な機械的特性及び熱的特性の好ましい組合せを示さない。イミド伸長ビスマレイミド樹脂は、可撓性(低弾性率)であるがCTE値が高いか、又は脆性(高弾性率)でありCTE値が低いかのいずれかである。
従って、先行技術で公知である上述の欠点を示さない新しい誘電性材料を開発する継続的な必要性が存在する。
【0015】
フォトリソグラフィー
フォトリソグラフィーは、長らく、フリップチップウエハバンピング、電気メッキ金、はんだバンプ、銅ピラー技術、及び再配線層のような高度パッケージング応用で使用される無機及び有機材料を構造化するための重要なパターン形成技術である。フォトリソグラフィーは、重要な製造プロセス及びコスト寄与要因であり、今日の産業的リソグラフィー応用において可能な限り最良のコスト構造を実現するためには、適正な露光手段を注意深く選択することが重要である。
半導体業界の現在の推進力及びトレンドは、将来のエンドユーザの要求を満たすためにはマイクロ電子デバイスの性能向上が必要であることを明確に示している。例えば、タブレット及びスマートフォンのような消費者向け電子デバイスは、より高い計算能力、データストレージの増加、及び通信能力の向上を獲得しつつ、益々薄型化及び小型化されている。加えて、コストを考慮することは、チップメーカー、ファウンドリ、アセンブリ、及び試験サプライヤーからデバイスメーカーまでサプライチェーン内の全ての当事者の競争環境において益々重要になっている。従って、この業界は、困難な技術要求を満たす技術を可能にすることと併せて、製造コストを削減するための革新的な手法を得るために努力を重ねている。
数十年間にわたって、フォトリソグラフィーは、マイクロ電子デバイスの製造及びパッケージングで使用される基本的なプロセスであり、依然として使用されている。任意のフォトリソグラフィープロセスの重要な構成要素は、紫外線波長範囲の光を使用して感光性レジスト又はポリマーをパターン化する露光ツールである。露光ツールは、所望の特徴を正確に作出し、その下の層に既に製造されている構造にそれらを位置合わせすることができなければならない。今日、幾つかのタイプの露光技術:近接又は接触印刷、レーザ直接イメージング、及び投影リソグラフィーが存在する。対応する機器ツールセットは、技術的能力(光学分解能、オーバーレイ性能、及び有効スループット)及び露光プロセスに関連するコストの点が異なる。(H.Hichriら、SUSS Micro Tec Photonic System Inc.社、コロナ、カリフォルニア州、アメリカ合衆国を参照)。
【発明の概要】
【0016】
発明の目的
本発明の目的は、従来技術の欠陥及び欠点を克服し、種々の電子パッケージング応用において用途の広い誘電性材料として使用することができる新しいクラスの材料を提供することである。
更に、本発明の目的は、パッケージ化電子デバイスの不動態層の形成に使用されると、優れたフィルム形成能力、例えば低熱膨張係数(CTE)等の優れた熱特性、及び優れた可撓性等の優れた機械的特性を示す新しいクラスの誘電性材料を提供することである。本発明の更なる目的は、従来の溶媒からの容易な処理を可能にする新しいクラスの誘電性材料を提供することである。
より具体的には、本発明の目的は、誘電体の熱膨張係数を、例えばUV後の破断点伸び又は200℃未満の温度での熱硬化等の機械的特性に悪影響を与えずに、例えばケイ素(Si:3ppm/K)又は銅(Cu:16.5ppm/K)の熱膨張係数と一致させることである。
更に、本発明の目的は、光構造化可能であり、例えば、導電性又は半導体性部品の不動態化及びダイ接着等の電子パッケージングにおける種々の応用に、並びにプリント回路板用の基板の調製における主要成分として特に好適である新規クラスの材料を提供することである。重要な応用分野は、パッケージ化マイクロ電子デバイスのRDLを構造化するための誘電性材料としての使用である。
本発明の更なる目的は、新規材料がそれから製作される重合性混合物を提供することである。更に、本発明の目的は、重合性混合物を使用して新規材料を形成するための方法を提供することである。最後に、本発明の目的は、新規材料を誘電性材料として含む電子デバイス、パッケージ化マイクロ電子構造を調製するための製造方法、及び上記製造方法により得ることができるパッケージ化マイクロ電子構造を含むマイクロ電子デバイスを提供することである。
【0017】
発明の要約
本発明者らは、驚くべきことに、上記の目的が、第1のモノマー及び第2のモノマーを含む重合性混合物から得られるコポリマーであって、第1のモノマーは、式(1)により表される1つ又は複数の化合物であり、第2のモノマーは、第1のモノマーと反応してコポリマーを生成することが可能な1つ又は複数の二官能性又は多官能性化合物であるコポリマーにより達成されることを見出した。
P
1-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-P
1 式(1)
式中、
mは、1~60の整数であり、
P
1は、
【化4】
を示し、式中、V
1はHであり、V
2は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、若しくはCNであるか、又はV
1及びV
2は、互いに独立して1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、若しくはCNであり、
Sp
1は、各出現において、スペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
MGは、好ましくは、式(2):
-(A
21-Z
21)
k-A
22-(Z
22-A
23)
l- 式(2)
から選択される棒状メソゲン基であり、式中、
A
21~A
23は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより任意選択で置換されているアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z
21及びZ
22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR
01-、-NR
01-CO-、-NR
01-CO-NR
02、-NR
01-CO-O-、-O-CO-NR
01-、-OCH
2-、-CH
2O、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
01-、-CY
01=CY
02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F、又はCl、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx及びR
yyは、互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y
01及びY
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキル、アリール、F、Cl、又はCNを示し、
k及びlは、各々及び独立して0、1、2、3、又は4である。
【0018】
上記重合性混合物は、低熱膨張を呈し、同時に高い機械的可撓性を示す新しいクラスのコポリマーを形成するための出発物質として使用される。上記コポリマーは、これも本発明の一部を形成する以下の方法:
コポリマーを形成するための方法であって、
(i)本発明による重合性混合物を準備するステップ、及び
(ii)上記重合可能性混合物を重合させてコポリマーを得るステップ
を含む方法により調製される。
更に、コポリマーを形成するための上述の方法により得ることができるか又は得られるコポリマーが提供される。
更に、本発明によるコポリマーを含む電子デバイスが提供される。
【0019】
最後に、基板に誘電体層が提供されるパッケージ化マイクロ電子構造を調製するための製造方法であって、
(1)本発明による重合性混合物を基板の表面に塗布するステップ、及び
(2)上記重合性組成物を重合させて、誘電体層を形成するステップ
を含む方法が提供される。
本発明による製造方法により得ることができるか又は得られるパッケージ化マイクロ電子構造を含むマイクロ電子デバイスも提供される。
本発明の好ましい実施形態は、下記に及び従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ダイ(1)及びファンアウト領域(2)を有するファンイン及びファンアウトWLPの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
「液晶」、「メソモルフィック化合物」、又は「メソゲン化合物」(略して「メソゲン」とも呼ばれる)という用語は、温度、圧力、及び濃度の好適な条件下で、中間相として又は特にLC相として存在することができる。非両親媒性メソゲン化合物は、例えば、1つ又は複数のカラミティックメソゲン基、バナナ型メソゲン基、又は円盤状メソゲン基を含む。
「カラミティック」という用語は、棒状又は板状/ラス状の化合物又は基を意味する。「バナナ型」という用語は、2つの通常はカラミティックメソゲン基が、同一直線上に存在しないように半剛性基を介して連結されている湾曲基を意味する。「円盤状」という用語は、円板状又はシート状の化合物又は基を意味する。
「メソゲン基」という用語又はその略語「MG」は、液晶(LC)相挙動を誘導する能力を有する基を意味する。メソゲン基、特に非両親媒性型の基は、通常は、カラミティックであるか又は円盤状であるかのいずれかである。メソゲン基を含む化合物は、それら自体が必ずしもLC相を呈する必要はない。そうした化合物は、他の化合物との混合物中においてのみ、又はメソゲン化合物若しくはそれらの混合物が重合された場合にのみ、LC相挙動を示すこともあり得る。単純化するために、「液晶」という用語は、以下では、メソゲン材料及びLC材料の両方に使用される。
カラミティックメソゲン化合物は、通常、直接的に又は連結基を介して互いに接続された1つ又は複数の芳香族又は脂環式基からなり、任意選択で棒の短端部に付着された末端基を含み、任意選択で棒の長辺に付着された1つ又は複数の側方基を含む、カラミティックな、つまり棒状又はラス状のメソゲン基を含み、こうした末端基及び側方基は、通常、例えば、カルビル若しくはヒドロカルビル基;ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ等のような極性基;又は重合性基から選択される。
【0022】
円盤状メソゲン化合物は、通常、例えばトリフェニレンのような例えば1つ又は複数の縮合芳香族又は脂環式基からなり、任意選択でメソゲン基に付着されており、上記で言及されている末端基及び側方基から選択される1つ又は複数の末端基を含む、円盤状の、つまり比較的平坦な円板状又はシート状のメソゲン基を含んでいる。
「反応性メソゲン」という用語又はその略語「RM」は、好ましくはモノマー性又はオリゴマー性化合物である重合性メソゲン又は液晶性化合物を意味する。
「スペーサー」又は「スペーサー基」という用語は、下記では「Sp」とも呼ばれ、当業者に公知であり、文献に記載されている。別様の記載がない限り、上記及び下記の「スペーサー」又は「スペーサー基」という用語は、重合性メソゲン化合物(「RM」)において、メソゲン基と重合性基とを接続する可撓性有機基を意味する。
【0023】
「ポリマー」という用語は、これらに限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、ランダム、及び交互コポリマー、ターポリマー、クォーターポリマー等、並びにそれらの配合物及び修飾物を含む。更に、特に別様の限定がない限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての考え得る立体配置異性体を含むものとする。こうした立体配置としては、これらに限定されないが、アイソタクチック対称性、シンジオタクチック対称性、及びアタクチック対称性が挙げられる。ポリマーは、相対分子量が高い分子であり、その構造は、実際に又は概念的に相対質量が低い分子(つまり、モノマー)に由来する単位(つまり、繰返し単位)の複数の反復を本質的に含む。本発明の状況では、ポリマーは、60個よりも多くのモノマーで構成される。
【0024】
「オリゴマー」という用語は、モノマーの数が原則として無制限であるポリマーとは対照的に、少数のモノマー単位からなる分子複合体である。二量体、三量体、及び四量体は、例えば、それぞれ2つ、3つ、及び4つのモノマーで構成されるオリゴマーである。本発明の状況では、オリゴマーは、最大で60個のモノマーで構成されていてもよい。
「モノマー」という用語は、本明細書で使用される場合、重合を起こし、それにより構成単位(繰返し単位)をポリマー又はオリゴマーの本質的な構造に寄与することができる重合性化合物を指す。重合性化合物は、1つ又は複数の重合性基を有する官能化化合物である。重合反応にて多数のモノマーが一緒になってポリマーを形成する。1つの重合性基を有するモノマーは「単官能性」又は「単反応性」化合物とも呼ばれ、2つの重合性基を有する化合物は「二官能性」又は「二反応性」化合物とも呼ばれ、2つよりも多くの重合性基を有する化合物は「多官能性」又は「多反応性」化合物とも呼ばれる。重合性基を有しない化合物は、「非官能性」又は「非反応性」化合物とも呼ばれる。
【0025】
「ホモポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、1つの種の(実際の、黙示的な、又は仮想の)モノマーに由来するポリマーを表す。
「コポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、1つよりも多くの種のモノマーに由来する任意のポリマーであって、1つよりも多くの種の対応する繰返し単位を含むポリマーを意味する。一実施形態では、コポリマーは、2つ又はそれよりも多く種のモノマーの反応産物であり、従って2つ又はそれよりも多くの種の対応する繰返し単位を含む。コポリマーは、2、3、4、5、又は6種の繰返し単位を含むことが好ましい。3つのモノマー種の共重合により得られるコポリマーは、ターポリマーとも呼ばれる場合がある。4つのモノマー種の共重合により得られるコポリマーは、クォーターポリマーとも呼ばれる場合がある。コポリマーは、ブロック、ランダム、及び/又は交互コポリマーとして存在してもよい。
【0026】
「ブロックコポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、隣接するブロックが構成的に異なり、つまり隣接するブロックが、異なる種のモノマーに由来する繰返し単位、又は同じ種のモノマーに由来するが、繰返し単位の組成又は配列分布が異なる繰返し単位を含むコポリマーを表す。
更に、「ランダムコポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、鎖の任意の所与の部位において所与の繰返し単位を見出す確率が、隣接する繰返し単位の性質とは無関係である巨大分子で形成されるポリマーを指す。通常、ランダムコポリマーでは、繰返し単位の配列分布は、ベルヌーイ統計に従う。
「交互コポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、配列が交互である2種の繰返し単位を含む巨大分子からなるコポリマーを表す。
【0027】
「電子パッケージング」は、電子工学の分野内における主要な領域であり、幅広く様々な技術を含む。この用語は、個別の部品、集積回路、並びにMSI(中規模集積)チップ及びLSI(大規模集積)チップ(通常は、ビームリード線によりリード線フレームに取り付けられる)を、それらが適所にはんだ付けされる、プレートの多層回路板(カードとも呼ばれる)上の貫通穴に挿入することを指す。電子装置のパッケージングでは、機械的損傷からの保護、冷却、無線周波数ノイズ放射、静電放電からの保護メンテナンス、作業者の便利性、及びコストを考慮しなければならない。
「マイクロ電子デバイス」という用語は、本明細書で使用される場合、非常に小さな電子設計の電子デバイス及び部品を指す。これは、常にというわけではないが、通常はマイクロメートル規模又はそれよりも小さいことを意味する。こうしたデバイスは、典型的には、半導体材料で製作され、パッケージ化構造において相互接続されてマイクロ電子デバイスを形成する1つ又は複数のマイクロ電子部品を含む。通常の電子設計の多くの電子部品は、マイクロ電子同等物が入手可能である。電子部品としては、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、抵抗、ダイオードが挙げられ、当然のことながら絶縁体及び導電体は、マイクロ電子デバイス全てに見出すことができる。マイクロ電子では、部品、リード線、及びパッドのサイズが極めて小さいため、ワイヤボンディング等の独特な配線技術も頻繁に使用される。
【0028】
「ナノ粒子」は、本明細書で使用される場合、1~100nmの範囲の平均直径を有する粒子である。より好ましくは、ナノ粒子は、20~80nm、より好ましくは40~60nmの範囲の平均直径を有する。
【0029】
好ましい実施形態
重合性化合物
本発明は、第1のモノマー及び第2のモノマーを含む重合性混合物であって、第1のモノマーは、式(1)により表される1つ又は複数の化合物であり、第2のモノマーは、第1のモノマーと反応してコポリマーを生成することが可能な1つ又は複数の二官能性又は多官能性化合物である重合性混合物に関する。
P
1-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-P
1 式(1)
式中、
mは、1~60の整数であり、
P
1は、
【化5】
を示し、式中、V
1はHであり、V
2は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、若しくはCNであるか、又はV
1及びV
2は、互いに独立して1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、若しくはCNであり、
Sp
1は、各出現において、スペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
MGは、好ましくは、式(2):
-(A
21-Z
21)
k-A
22-(Z
22-A
23)
l- 式(2)
から選択される棒状メソゲン基であり、式中、
A
21~A
23は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより任意選択で置換されているアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z
21及びZ
22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR
01-、-NR
01-CO-、-NR
01-CO-NR
02、-NR
01-CO-O-、-O-CO-NR
01-、-OCH
2-、-CH
2O、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
01-、-CY
01=CY
02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F、又はCl、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx及びR
yyは、互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y
01及びY
02は各々、互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキル、アリール、F、Cl、又はCNを示し、
k及びlは、各々及び独立して0、1、2、3、又は4である。
【0030】
本特許出願に提示されている構造要素の付着点(結合部位)は、
【化6】
により示されている場合があり、式中
*は構造要素を表わし、
【化7】
は、結合部位を表す。
【0031】
重合性基P1は、例えばラジカル性若しくはイオン性連鎖重合反応等の重合反応、又は重付加反応(例えば、2+2環化付加、4+2環化付加(Diels-Alder反応)、又は1,3-双極性環化付加、又はMichael反応等の求核付加)を起こすことが可能であるか、又は例えば上述の反応タイプの1つによるポリマー骨格への付加等の重合類似反応を起こすことが可能である3-置換又は3,4-二置換マレイミド基である。
指数mは、1~50、より好ましくは2~30、最も好ましくは3~20の整数であることが好ましい。
【0032】
V1及びV2は、互いに独立して、1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNから選択されることが好ましい。V1及びV2は、互いに独立して、1~3個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNから選択されることがより好ましい。1~3個の炭素原子を有する好ましいアルキルは、メチル、エチル、及びプロピルである。V1及びV2は、同一であってもよく、又は互いに異なっていてもよい。V1及びV2は同一であることが特に好ましい。
或いは、V1はHであり、V2は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNから、より好ましくは、1~3個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNから選択されることが好ましい。1~3個の炭素原子を有する好ましいアルキルは、メチル、エチル、及びプロピルである。
Z21及びZ22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-COO-、-OCO-、-CO-O-、-O-CO-、-OCH2-、-CH2O-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合である。
好ましくは、k及びlは、各々及び独立して、0、1、又は2であり、より好ましくはk及びlは1である。
【0033】
好ましいスペーサー基Spは、ラジカル「P1-Sp1-」が式「P1-Sp’-X’-」に対応するように、式Sp’-X’から選択され、
式中、Sp’は、
(a)1~40個、好ましくは1~30個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキレンであって、任意選択でF、Cl、Br、I、若しくはCNにより一置換若しくは多置換されており、加えて1つ若しくは複数の非隣接CH2基は各々、O原子及び/若しくはS原子が互いに直接連結されないように、互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR01-、-SiR01R02-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-NR01-CO-O-、-O-CO-NR01-、-NR01-CO-NR01-、-CH=CH-、若しくは-C≡C-により置き換えられていてもよい直鎖若しくは分岐鎖アルキレン、又は
(b)-Spx-G-Spy-であって、式中、Spx及びSpyは、互いに独立して、1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有するアルキレン、若しくは単結合を示し、Gは、1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有するアルキルにより任意選択で一置換若しくは多置換されている、3~20個のC原子、好ましくは5~12個のC原子を有するシクロアルキレンを示す-Spx-G-Spy-を示し、
X’は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CONR01-、-NR01-CO-、-NR01-CO-NR01-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=C-、-N=N-、-CH=CR01-、-CY01=CY02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合、好ましくは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR0-、-NR01-CO-、-NR01-CO-NR01-、又は単結合を示し、
R01及びR02は各々、互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y01及びY02は、各々互いに独立して、H、F、Cl、又はCNを示す。
【0034】
好ましい基Sp’は、各々の場合、直鎖メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、及びオクタデシレン、シクロヘキシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン-N-メチルイミノエチレン、1-メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレン、及びブテニレンから選択される。
【0035】
より好ましいスペーサー基Spは、-(CH
2)
p1-、-(CH
2CH
2O)
q1-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2-S-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2-NH-CH
2CH
2-、-(SiR
01R
02-O)
p1-、-(CH
2)
p1-(シクロ-C
6H
8R
01R
02)-(CH
2)
p1-、及び
【化8】
からなるリストから選択され、式中、
p1は、1~60、好ましくは1~36、より好ましくは1~12の整数であり、
q1は、1~12、好ましくは1~3の整数であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示す。
【0036】
ほとんどの好ましい基Spは、-(CH2)p1-、-O-(CH2)p1-、-O-(CH2)p1-O-、-OCO-(CH2)p1-、及び-OCOO-(CH2)p1-であり、式中、p1は、1~36、好ましくは1~12の整数である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、基A
21~A
23は、独立して及び複数出現する場合は互いに独立して、以下の群a)~e):
a)1つ又は複数の非隣接CH
2基が-O-及び/又は-S-により置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよいtrans-1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、及び4,4’-ビシクロヘキシレン;
b)1つ又は2つのCH基がNにより置き換えられていてもよく、1つ又は複数のH原子が基Lにより置き換えられていてもよい1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、2,5-チフェン、及び2,6-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン;
c)1つ又は複数の基Lで置換されていてもよいテトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、シクロブタ-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、及びセレノフェン-2,5-ジイル;
d)飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和の、及び任意選択で置換された、5~20個の環C原子を有する多環式ラジカルであって、前記環C原子の1つ又は複数はまたヘテロ原子により置き換えられていてもよく、前記多環式ラジカルは、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、
【化9】
からなる群から選択され、
式中、1つ若しくは複数のH原子は、基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は、単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基は、Nにより置き換えられていてもよく、式中、
Mは、-O-、-S-、-CH
2-、-CHY
03-、又は-CY
03Y
04-を示し、
Y
03、Y
04は、互いに独立して、R
01について上記で与えられた意味の1つ、F、Cl、CN、OCF
3、又はCF
3、好ましくはH、F、Cl、CN、OCF
3、又はCF3を示し、
W
5、W
6は、互いに独立して、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CH
2-O-、O-CH
2-、-C(R
cR
d)-、又は-O-を示し、
R
c、R
dは、互いに独立して、H、又は1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチル、又はエチルを示し、
R
03、R
04は、互いに独立して、H、F、1つ又は複数のH原子がFにより置き換えられていてもよい1~12個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを示す、多環式ラジカル;
e)
【化10】
からなる基から選択される環式イミドであって、
式中、1つ若しくは複数のH原子は、基Lにより置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数の二重結合は、単結合により置き換えられていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のCH基は、Nにより置き換えられていてもよい環式イミド
から選択された部分を示す。
【0038】
本発明による重合性混合物に含まれる第1のモノマーは、式(1)により表される1、2、3、又は4つの化合物であることが好ましい。
【0039】
式(1)による好ましい化合物は、
【化11】
であり、
式中、ラジカル及び指数は、以下の意味を有する:
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F、又はCl、好ましくはF、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx及びR
yyは、互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
rは、0、1、2、3、又は4であり、
sは、0、1、2、又は3であり、
tは、0、1、又は2であり、
Z
21及びZ
22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR
01-、-NR
01-CO-、-NR
01-CO-NR
02、-NR
01-CO-O-、-O-CO-NR
01-、-OCH
2-、-CH
2O、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
01-、-CY
01=CY
02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、好ましくは-COO-、-OCO-、-CO-O-、-O-CO-、-OCH
2-、-CH
2O-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Sp
1は、各出現において、上記で規定されている通りのスペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
P
1は、
【化12】
を示し、式中、V
1はHであり、V
2は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、若しくはCNであり、又はV
1及びV
2は、互いに独立して1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、若しくはCNであり、
mは、1~60、好ましくは1~50、より好ましくは2~30、最も好ましくは3~20の整数である。
【0040】
式(1)によるより好ましい化合物は、
【化13】
であり、式中、ラジカル及び指数は、上記で規定されている通りの意味の1つを有する。
【0041】
式(1)による特に好ましい化合物は、
【化14】
であり、式中、ラジカル及び指数は、上記で規定されている通りの意味の1つを有する。
【0042】
式(1)による最も好ましい化合物は、
【化15】
であり、式中、
nは、1~60、好ましくは1~36、より好ましくは6~12の整数であり、
mは、1~60、好ましくは1~50、より好ましくは2~30、最も好ましくは3~20の整数である。
【0043】
式M1~M33及び対応する部分式の化合物では、環式基
【化16】
であり、式中、
Lは、各出現において互いに独立して、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子、好ましくは1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、任意選択で、F又はCl、好ましくはF、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられており、
R
xx及びR
yyは、上記で与えられている規定に従って規定される。
【0044】
式(1)により表される化合物は、任意の標準的な合成により調製することができる。通常、化合物は、逆合成的により小さな単位へと切断され、好適な前駆体化合物から段階的に形成される。この目的のためには、既知の標準的な反応を使用することができる。合成の後期段階、典型的には合成のまさに最終段階において、3-置換又は3,4-二置換マレイミド基P1を付着させることが特に有利であることが証明されている。そうすることにより、化合物の望ましくない副反応又は早期重合を回避することができる。
【0045】
好ましくは、式(3):
X-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-X 式(3)
により表される前駆体は、
【化17】
と反応して、式(1):
P
1-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-P
1 式(1)
により表わされる重合性化合物を形成し、
式中、XはNH
2であり、
P
1は、
【化18】
であり、
V
1、V
2、Sp
1、MG、及びmは、上記で与えられている通りの規定の1つを有する。
【0046】
本発明による重合性混合物に含まれる第2のモノマーは、第1のモノマーと反応してコポリマーを生成することが可能な1つ又は複数の、好ましくは1つ、2つ、3つ、又は4つの二官能性又は多官能性化合物である。
第2のモノマーは、有機化合物、多面体シルセスキオキサン化合物、及び官能化無機ナノ粒子から選択される1つ又は複数の、好ましくは1つ、2つ、3つ、又は4つの二官能性又は多官能性化合物であることが好ましい。
第2のモノマーは、好ましくはラジカル性若しくはイオン性連鎖重合又は2+2環化付加でP1と反応するC=C二重結合を含む基;好ましくは4+2環化付加(Diels-Alder反応)でP1と反応する2つ共役C=C二重結合を含む基;好ましくは求核付加(Michael反応)でP1と反応する求核基;及び好ましくは1,3-双極性環化付加でP1と反応する1,3-双極性基から選択される2つ又はそれよりも多くの重合性基(P)(反応性基)を含む1つ又は複数の、好ましくは1つ、2つ、3つ、又は4つの二官能性又は多官能性化合物であることが更に好ましい。
【0047】
C=C二重結合を含む好ましい基は、
CH
2=CW
1-COO-、CH
2=CW
1-CO-、
【化19】
CH
2=CW
2-(O)
k3-、CW
1
2=CH-CO-(O)
k3-、CW
1
2=CH-CO-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
3-CH=CH-O-、CH
2=CH-CH
2-O-、(CH
2=CH)
2CH-O-CO-、(CH
2=CH-CH
2)
2CH-O-CO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-CO-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
2=CH-(CO-O)
k1-Phe-(O)
k2-、CH
2=CH-(CO)
k1-Phe-(O)
k2-、又はPhe-CH=CH-;
から選択され、式中、
W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、1~5個のC原子を有するフェニル又はアルキル、好ましくはH又はCH
3を示し、
W
2は、H、又は1~5個のC原子を有するアルキル、好ましくはH又はCH
3を示し、
W
3及びW
4は、各々互いに独立して、H、Cl、又は1~5個のC原子を有するアルキル、好ましくはH又はCH
3を示し、
Pheは、上記で規定されている通りの1つ又は複数のラジカルLにより任意選択で置換されている1,4-フェニレンを示し、
k
1、k
2、及びk
3は、各々互いに独立して0又は1を示し、
k
4は、1~10の整数である。
【0048】
2つの共役C=C二重結合を含む好ましい基は、CW1
2=CW1-CW1=CW1-から選択され、式中、
W1は、H、F、Cl、CN、CF3、1~5個のC原子を有するフェニル又はアルキル、好ましくはH又はCH3を示す。
【0049】
好ましい求核基は、HS-(CH2)k5-CO-(O)k3-、HS-(CH2)k5-CO-、HS-(CH2)k5-(O)k3-、HS-(CH2)k5-O-CO-、HS-(CH2)k5-CO-NH-、HS-(CH2)k5-NH-CO-、HS-Phe-(O)k2-、H2N-(CH2)k5-CO-(O)k3-、H2N-(CH2)k5-CO-、H2N-(CH2)k5-(O)k3-、H2N-(CH2)k5-O-CO-、H2N-(CH2)k5-CO-NH-、H2N-(CH2)k5-NH-CO-、又はH2N-Phe-(O)k2から選択され、式中、
k2及びk3は、各々互いに独立して0又は1を示し、
k5は、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0、1、又は2の整数である。
【0050】
好ましい1,3-双極性基は、
【化20】
から選択され、式中、
W
5は、各出現において互いに独立して、H、1~5個のC原子を有するフェニル又はアルキル、好ましくはフェニル又はCH
3を示す。
【0051】
特に好ましい重合性基(P)は、CH
2=CW
1-COO-、CH
2=CW
1-CO-、
【化21】
、
CH
2=CW
2-(O)
k3-、CW
1
2=CH-CO-(O)
k3-、CH
3-CH=CH-O-、CH
2=CH-CH
2-O-、HS-(CH
2)
k5-CO-(O)
k3-、HS-(CH
2)
k5-CO-、HS-(CH
2)
k5-(O)
k3-、HS-(CH
2)
k5-O-CO-、H
2N-(CH
2)
k5-CO-(O)
k3-、H
2N-(CH
2)
k5-CO-、H
2N-(CH
2)
k5-(O)
k3-、又はH
2N-(CH
2)
k5-O-CO-から選択され、式中、
W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、1~5個のC原子を有するフェニル又はアルキル、好ましくはH又はCH
3を示し、
W
2は、H、又は1~5個のC原子を有するアルキル、好ましくはH又はCH
3を示し、
W
3及びW
4は、各々互いに独立して、H、Cl、又は1~5個のC原子を有するアルキル、好ましくはH又はCH
3を示し、
k
3は、0又は1を示し、
k
5は、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0、1、又は2の整数である。
【0052】
第2のモノマーとして使用される好ましい有機化合物は、式(4)により示され、
【化22】
式(4)
式中、
Qは、1~50個の炭素原子、好ましくは1~30個の炭素原子を有する炭化水素基であって、任意選択で1つ又は複数の置換基Lで置換されていてもよく、Lは上記で規定されている通りであり、任意選択で、N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示し、
P
2は、上記で規定されている通りの重合性基(P)を示し、
xは、2~10、好ましくは2~4の整数であり、より好ましくはx=2である。
式(4)から明らかなように、基Qは、x個の結合部位を有し、それらの各々は、x個の重合性基P
2の1つに結合する。
【0053】
好ましい実施形態では、Qは、O(Sp2)2、N(Sp2)3、NH(Sp2)2、C(Sp2)4、CH(Sp2)3、又はCH2(Sp2)2により表され、式中、Sp2は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する線形アルキレン鎖、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有する分岐アルキレン鎖、又は3~14個の炭素原子を有する芳香族部分若しくはヘテロ芳香族部分、好ましくは、6~14個の炭素原子を有する芳香族部分であり、各Sp2は、重合性基P2に結合している。
更に好ましい実施形態では、Qは、「Ar-Sp3-Ar」により表され、式中、Arは、3~14個の炭素原子を有する芳香族部分又はヘテロ芳香族部分、好ましくは6~14個の炭素原子を有する芳香族部分であり、Sp3は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する線形アルキレン鎖、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有する分岐アルキレン鎖、又は3~14個の炭素原子を有する芳香族部分若しくはヘテロ芳香族部分、好ましくは、6~14個の炭素原子を有する芳香族部分であり、各Arは重合性基P2に結合している。
【0054】
更に好ましい実施形態では、Qは、「Sp4-Y-Sp4」により表され、式中、Yは、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有する単環式又は多環式アルカン部分であり、Sp4は存在しないか、或いは1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する線形アルキレン鎖、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有する分岐アルキレン鎖、又は3~14個の炭素原子を有する芳香族部分若しくはヘテロ芳香族部分、好ましくは、6~14個の炭素原子を有する芳香族部分であり、各Sp4は重合性基P2に結合している。
【0055】
特に好ましい実施形態では、Qは、
【化23】
から選択される。
【0056】
特に好ましい有機化合物は、
【化24】
からなる群から選択される。
【0057】
第2のモノマーとして使用される好ましい多面体シルセスキオキサン化合物は、以下の構造:
【化25】
(構造1)
により表され、構造中、
Rは、H、C
1~C
6-アルキル、C
2~C
6-アルケニル、C
6~C
10-アリール、又はC
1~C
6-アルコキシであり、
Lは、C
1~C
12-アルキレン又はC
1~C
12-オキシアルキレン、より好ましくはC
1~C
6-アルキレン又はC
1~C
6-オキシアルキレンであり、1つ又は複数の非隣接C原子は、互いに独立して、-SiR
05R
06-により置き換えられていてもよく、式中、R
05及びR
06は、各々互いに独立して、H、又は1~6個のC原子を有するアルキル、より好ましくはH、CH
3、又はCH
2CH
3を示し、
P
2は、上記で規定されている通りの重合性基(P)を示し、
yは6~12の整数であり、xは2~12の整数であり、y-x≧0である。
【0058】
好ましいC1~C6-アルキル置換基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルである。
好ましいC2~C6-アルケニル置換基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルである。
好ましいC6~C10-アリール置換基は、フェニル、トリル、キシリル、及びナフチルである。
好ましいC1~C6-アルコキシ置換基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、及びヘキソキシである。
好ましいC1~C12-アルキレン置換基は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、及びヘキシレンである。
好ましいC1~C12-オキシアルキレン置換基は、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、ペンチレンオキシ、及びヘキシレンオキシである。
好ましいC1~C4-アルキル置換基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルである。
【0059】
特に好ましい実施形態では、構造(1)の基Lは、-(CH2)n-、-O-(CH2)n-、-SiH2-(CH2)n-、-OSiH2-(CH2)n-、-Si(CH3)2-(CH2)n-、-OSi(CH3)2-(CH2)n-、-Si(CH2CH3)2-(CH2)n-、及び-OSi(CH2CH3)2-(CH2)n-からなる群から選択され、式中nは、1~6、好ましくは2~4の整数、より好ましくは3である。
【0060】
特に好ましい多面体シルセスキオキサン化合物は、以下の構造2~5:
【化26】
(構造2)
【化27】
(構造3)
【化28】
(構造4)
【化29】
(構造5)
に基づき、式中x個のR置換基は、x個の(-L-P
2)に置き換えられており、
構造中、R、L、及びP
2は、上記で規定されているものと同じ意味を有し、xは、構造2では2~6の整数であり、xは、構造3では2~8の整数であり、xは、構造4では2~10の整数であり、xは、構造体5では2~12の整数である。
【0061】
上記に示されている多面体シルセスキオキサン化合物は、入手可能な前駆体から直ちに調製することができ、好適な混合条件により重合性混合物へと容易に組み込むことができる。例えば、マレイミド置換多面体シルセスキオキサン及びそれらの調製物は、米国特許出願公開第2006/0009578号明細書に記載されており、この文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
第2のモノマーとして使用される好ましい官能化無機ナノ粒子は、それらの表面上に重合性基P2を含む無機ナノ粒子であり、P2は、上記で規定されている通りの重合性基(P)を示す。官能化無機ナノ粒子の好ましい重合性基(P)は、マレイミド基、ジメチルマレイミド基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基、及びビニルエーテル基から選択され、これらは、無機ナノ粒子の表面に直接的に又は基Lを介してのいずれか結合されている。
【0063】
好ましい官能化無機ナノ粒子は、以下の構造:
【化30】
(構造6)
【化31】
(構造7)
により表され、構造中、
【化32】
は、無機ナノ粒子を表わし、
P
2は、重合性基(P)を示し、
Lは、C
1~C
12-アルキレン又はC
1~C
12-オキシアルキレン、より好ましくはC
1~C
6-アルキレン又はC
1~C
6-オキシアルキレンであり、
xは、≧2の整数である。
【0064】
無機ナノ粒子の好ましい材料は、SiO2、TiO2、ZrO2、Fe2O3、MgTiO3、CaTiO3、SrTiO3、及びBaTiO3から選択される。無機ナノ粒子は、中実であってもよく又は中空であってもよい。
【0065】
本発明において第2のモノマーとして使用される特に好ましい官能化無機ナノ粒子は、
【化33】
であり、式中L及びxは、上記の通りに規定される。
官能化無機ナノ粒子の上記表示は、説明のためのものに過ぎず、限定として解釈されるべきではない。
【0066】
本発明において第2のモノマーとして使用される官能化無機ナノ粒子は、0.001~5ミリモル/g、より好ましくは0.01~1ミリモル/g、最も好ましくは0.05~0.5ミリモル/gの官能化度を有することが好ましい。官能化度は、官能化無機ナノ粒子の単位質量当たりの重合性基P2のモル量を示す。
官能化度は、無機ナノ粒子を官能化するための条件に応じて様々であってもよい。当業者であれば、異なる重合性基及び異なる官能化度を有する個々に適合化された官能化ナノ粒子を調製することができるように、文献にある既知の手順から無機ナノ粒子の官能化に好適な条件を選択することができる。好適な官能化無機ナノ粒子及びそれらの前駆体は、例えば、Sigma Aldrich社(例えば、3-アミノプロピル官能化シリカ、660442 Aldrich)又はnanoComposix、Inc.社、米国サンディエゴ等の商業的供給源からも入手可能である。
【0067】
本発明は、第1のモノマーに由来する繰返し単位及び第2のモノマーに由来する繰返し単位を含むコポリマーを形成するための方法を更に提供する。コポリマーは、線形であってもよく又は架橋されていてもよい誘電性コポリマーである。
【0068】
コポリマーを形成するための方法は、
(i)本発明による重合性混合物を準備するステップ、及び
(ii)上記重合可能性混合物を重合してコポリマーを得るステップ
を含む。
重合性混合物は、上記で規定されている通りの第1のモノマー及び第2のモノマーを含む。重合性混合物中の第1のモノマーの総含有量は、重合性モノマーの総質量に基づき、50~99.9質量%、より好ましくは80~99質量%、最も好ましくは90~95質量%であることが好ましい。重合性混合物中の第2のモノマーの総含有量は、重合性モノマーの総質量に基づき、0.1~50質量%、より好ましくは1~20質量%、最も好ましくは5~10質量%であることが好ましい。
【0069】
ステップ(i)で提供される重合性混合物は、実質的に溶媒を含まないことが好ましい。溶媒を実質的に含まないということは、重合性出発材料中の総残留溶媒の含有量が、重合性モノマーの総質量に基づき10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることを意味する。或いは、ステップ(i)で提供される重合性混合物は、重合性モノマーの総質量に基づき、好ましくは10質量%よりも多くの量の、より好ましくは25質量%よりも多くの量の、最も好ましくは50質量%よりも多くの量の1つ又は複数の溶媒を含む。
重合性混合物は、ステップ(ii)において、ラジカル性若しくはイオン性連鎖重合反応又は重付加反応により重合されることが好ましい。好ましい重付加反応は、2+2環化付加、4+2環化付加(Diels-Alder反応)、若しくは1,3-双極性環化付加等の環化付加、又はMichael反応等の求核付加である。
【0070】
上述の反応タイプ及び関連反応条件(例えば、触媒、溶媒、温度、時間、濃度等)は、当業者に公知である。
例えば、ラジカル性又はイオン性重合は、熱的に及び/又は光化学的に活性化することができるラジカル性又はイオン性重合開始剤の存在下で実施することができる。当業者であれば、好適なラジカル性及びイオン性重合開始剤に精通している。例えば、付加環化は、光化学的に又はルイス酸の存在下で生じさせることができる。当業者であれば、好適な光化学条件及び好適なルイス酸に精通している。
【0071】
ステップ(i)で提供される重合性混合物は、1つ又は複数のラジカル性開始剤を更に含むことが好ましい。好ましいラジカル性開始剤は、熱的に活性化されるラジカル性開始剤及び/又は光化学的に活性化されるラジカル性開始剤である。
好ましい熱的に活性化されるラジカル性開始剤は、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、クメンヒドロペルオキシド(CHP)、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、ラウロイルペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、及び過硫酸カリウムである。
【0072】
好ましい光化学的に活性化されるラジカル性開始剤は、アセトフェノン、p-アニシル、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、4-ベンゾイル安息香酸、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’ビイミダゾール、メチル2-ベンゾイルベンゾエート、2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、(±)-カンファーキノン、2-クロロチオキサントン、4、4’-ジクロロベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、1,4-ジベンゾイルベンゼン、2-エチルアントラキノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2-イソプロピルチオキサントン、リチウムフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノ-プロピオフェノン、2-イソニトロソプロピオフェノン、2-フェニル-2-(p-トルエンスルホニル-オキシ)アセトフェノン、及びフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである。典型的には、そのような開始剤は、光化学的に活性化することができるラジカル性重合開始剤である。
【0073】
更に好ましい光化学的に活性化されるラジカル性開始剤は、
【化34】
である。
【0074】
好ましくは、ラジカル性重合の開始剤は、熱への曝露により熱的に、又はUV光及び/若しくは可視光等の放射への曝露により光化学的に活性化される。
熱への暴露は、好ましくは40~200℃、より好ましくは50~180℃の範囲の高温への暴露を含む。
放射への曝露は、可視光及び/又はUV光への曝露を含む。可視光は、>380~780nm、より好ましくは>380~500nmの波長を有する電磁放射であることが好ましい。UV光は、≦380nmの波長、より好ましくは100~380nmの波長を有する電磁放射であることが好ましい。より好ましくは、UV光は、315~380nmの波長を有するUV-A光、280~315nmの波長を有するUV-B光、及び100~280nmの波長を有するUV-C光から選択される。
【0075】
UV光源としては、Hg蒸気ランプ又はUVレーザが可能であり、IR光源としては、セラミック放射体又はIRレーザダイオードが可能であり、可視領域の光の場合はレーザダイオードが可能である。
好ましいUV光源は、a)例えば254nm及び185nmのHg低圧放電ランプ、193nmのArFエキシマレーザ、及び172nmのXe2レーザー(layer)等の最大<255nmの単一波長放射、又はb)例えば非ドープHg低圧放電ランプ等の、<255mの波長成分を有する広波長分布放射である。
本発明の好ましい実施形態では、光源は、キセノン閃光である。好ましくは、キセノン閃光は、約200nmまでの短波長成分を有する広域発光スペクトルを有する。
【0076】
ステップ(ii)における重合は、最大で5時間、より好ましくは最大で1時間、最も好ましくは最大で0.5時間の時間範囲で行われることが好ましい。
ステップ(ii)における重合性混合物の重合は、高温で、好ましくは25~200℃の範囲の温度で、より好ましくは25~150℃の範囲の温度で行われることが更に好ましい。
本発明によるコポリマーを形成するための上述の方法により得ることができるか又は得られるコポリマーが更に提供される。コポリマーは、好ましくは、線形コポリマー又は架橋コポリマー、より好ましくは線形コポリマーである。
上記で規定されている通りの、第1のモノマーに由来する少なくとも1つの繰返し単位、及び第2のモノマーに由来する少なくとも1つの繰返し単位を含むコポリマーも提供される。
【0077】
より好ましくは、上記コポリマーの第1のモノマーに由来する繰返し単位は、以下の式(5):
[-Sp1-(MG-Sp1)m-] 式(5)
により表される構造単位を含み、式中、Sp1、MG、及びmは、上述の規定の1つを有する。
好ましくは、本発明によるコポリマーは、GPCにより決定して、少なくとも2000g/モル、より好ましくは少なくとも4,000g/モル、更により好ましくは少なくとも5000g/モルの分子量Mwを有する。好ましくは、コポリマーの分子量Mwは、50,000g/モル未満である。より好ましくは、コポリマーの分子量Mwは、5,000~20,000g/モルの範囲である。
【0078】
更に、本発明によるコポリマーを含む電子デバイスが提供される。電子デバイスの場合、コポリマーは、誘電体層、より好ましくは再配線層の一部を形成する誘電体層を形成することが好ましい。誘電体層は、電子デバイスの一部である1つ又は複数の電子部品を互いに電気的に分離する役目を果たす。
【0079】
最後に、基板に誘電体層が提供されるパッケージ化マイクロ電子構造を調製するための製造方法であって、
(1)本発明による重合性混合物を基板の表面に塗布するステップ、及び
(2)上記重合性混合物を硬化させて誘電体層を形成するステップ
を含む方法が提供される。
【0080】
重合性混合物は、1つ又は複数の無機フィラー材料を更に含むことが好ましい。好ましい無機フィラー材料は、窒化物、チタン酸塩、ダイヤモンド、酸化物、硫化物、亜硫酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、及び炭化物から選択され、これらは、任意選択で、キャッピング剤で表面修飾されていてもよい。より好ましくは、フィラー材料は、AlN、Al2O3、BN、BaTiO3、B2O3、Fe2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、PbS、SiC、ダイヤモンド、及びガラス粒子からなるリストから選択される。
好ましくは、重合性混合物中の無機フィラー材料の総含有量は、重合性混合物の総質量に基づき、0.001~90質量%、より好ましくは0.01~70質量%、最も好ましくは0.01~50質量%の範囲である。
【0081】
ステップ(1)で塗布される重合性混合物は、実質的に溶媒を含まないことが好ましい。溶媒を実質的に含まないということは、重合性混合物中の総残留溶媒の含有量が、重合性モノマーの総質量に基づき、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることを意味する。
しかしながら、ステップ(1)において重合性混合物を塗布するために使用される塗布方法の種類に応じて、重合性混合物は、重合性モノマーの総質量に基づき、好ましくは10質量%よりも多くの量の、より好ましくは25質量%よりも多くの量の、最も好ましくは50質量%よりも多くの量の1つ又は複数の溶媒を含むことが好ましい。
ステップ(1)において重合性混合物を塗布する方法は、特に限定されない。ステップ(1)の好ましい塗布方法は、計量分配、浸漬、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ローラーコーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、スピンコーティング、ステレオリソグラフィー、グラビア印刷、フレキソ印刷、又はインクジェット印刷である。
【0082】
本発明の重合性混合物は、グラビア印刷、フレキソ印刷、及び/又はインクジェット印刷に好適な調合物の形態で提供することができる。そのような調合物の調製には、技術水準で公知のインクベースの調合物を使用することができる。
或いは、本発明の重合性混合物は、フォトリソグラフィーに好適な調合物の形態で提供されてもよい。フォトリソグラフィープロセスは、光を使用して、幾何学的パターンをフォトマスクから光硬化性組成物に転写することにより光パターンの作出を可能にする。典型的には、そのような光硬化性組成物は、光化学的に活性化可能なラジカル性重合開始剤を含む。そのような調合物の調製には、技術水準で公知のフォトレジストベースの調合物を使用することができる。
【0083】
ステップ(1)において塗布される重合性混合物の層は、好ましくは1~50μm、より好ましくは2~30μm、最も好ましくは3~15μmの平均厚さを有する。
ステップ(2)における硬化は、ラジカル性又はイオン性連鎖重合反応又は重付加反応により実施されることが好ましい。好ましい重付加反応は、2+2環化付加、4+2環化付加(Diels-Alder反応)、若しくは1,3-双極性環化付加等の環化付加、又はMichael反応等の求核付加である。好ましい硬化条件は、コポリマーを形成するための方法について上記で与えられている通りの好ましい重合条件に相当する。
ステップ(1)で塗布される重合性混合物は、1つ又は複数のラジカル性開始剤を更に含むことが好ましい。好ましいラジカル性開始剤は、上記に記載されている。
上述の製造方法に従って調製されたパッケージ化マイクロ電子構造を含むマイクロ電子スデバイスも提供される。
【0084】
本発明は、以下に続く実施例により更に説明されるが、これらは、いかなる点でも限定として解釈されないものとする。当業者であれば、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の改変、追加、及び変更を本発明に対してなすことができることを認識するだろう。
【0085】
実施例
ホスト材料オリゴマーの合成
オリゴマー4の合成
【化35】
ステップ1:トリエチルアミン(49.7g、0.49モル)を0.7lの無水トルエンに溶解し、続いて無水メタンスルホン酸(48.6g、0.5モル)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌した後、ジアミン2(Priamine(登録商標)、Croda社、77.4g、0.14モル)及び二無水物1(50g、0.07モル)を注意深く添加した。次に、反応混合物を加熱して、ディーンスターク装置を使用して12時間還流した。
【0086】
ステップ2:反応混合物を室温に冷却し、無水マレイン酸(8.7g、0.09モル)をゆっくりと添加し、続いて追加の10g無水メタンスルホン酸を添加した。混合物を再加熱し、ディーンスタークトラップを使用して約12時間還流した。室温に冷却した後、追加の200mlトルエンを添加し、撹拌を停止した。上部(トルエン溶液)画分を注意深く分離し、塩画分をトルエンで2回洗浄した(2×500ml)。トルエン溶液を一緒にし、シリカゲルを緊密に充填したガラス漏斗を通して濾過した。シリカゲルを追加の100mlトルエンで洗浄し、トルエンを減圧下で除去して、70g(85%)の黄色ワックス状樹脂を生成した。
【0087】
オリゴマー5の合成
【化36】
ジメチルマレイン酸無水物(ABCR、20g、0.16モル)を、化合物3の反応混合物(ステップ1に記載の合成)にゆっくりと添加し、続いて追加の10g無水メタンスルホン酸を添加した。混合物を再加熱し、ディーンスタークトラップを使用して約12時間還流した。室温に冷却した後、追加の200mlトルエンを添加し、撹拌を停止した。上部(トルエン溶液)画分を注意深く分離し、塩画分をトルエンで2回洗浄した(2×500ml)。トルエン溶液を一緒にし、シリカゲルを緊密に充填したガラス漏斗を通して濾過した。シリカゲルを追加の100mlトルエンで洗浄し、トルエンを減圧下で除去して、87gの黄色ワックス状樹脂を生成した。
【0088】
B)添加剤の合成
Tris-(2-マレイミドエチル)-アミン(6)の合成
【化37】
ステップ1:フラン-無水マレイン酸付加物(Alfa Aesar社、28.5g、0.17モル)を750mlのメタノールに溶解した。250mlのメタノールに溶解したTris(2-アミノエチル)アミン(Alfa Aesar社、5g、0.03モル)を、0℃で滴加した。次に、反応混合物を還流しながら4時間にわたって加熱した。メタノールを除去し、濃縮溶液(およそ350ml)を一晩4℃で静置して結晶化させた。得られた黄色結晶を濾過し、酢酸エチル(19.6g、38%)で洗浄した。
【0089】
ステップ2:ステップ1で得られた産物7.4g(0.013モル)を300mlのトルエンに溶解した。溶液を加熱して還流した。20時間後、溶媒を減圧下で除去し、残留固形物を酢酸エチルに溶解し、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/酢酸エチル60/40)により精製した。収量:4g(84%)。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=6.68(s,6H)、3.52(t,J=6.6Hz,6H)、2.71(t,J=6.6Hz,6H)ppm。
【0090】
1,1’,1’’-(ニトリロトリス(エタン-2,1-ジイル))tris(3,4-ジメチル-1H-ピロール-2,5-ジオン)(7)の合成
【化38】
Tris(2-アミノエチル)アミン(Alfa Aesar社、10g、0.066モル)を、0℃で氷酢酸(75ml)にゆっくりと滴加した。2,3-ジメチルマレイン酸無水物(Merck社、25.9g、0.199モル)を添加し、反応混合物を還流しながら加熱した。20時間後、酢酸エチル(750ml)及び水(375ml)を添加し、相を分離させ、水溶液を酢酸エチルで2回洗浄した。一緒にした有機相をNaOH(1N、2×250ml)及びブライン(250ml)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下で除去し、残留固形物をクロマトグラフィー(SiO
2、トルエン/酢酸エチル(2:1、容積/容積))で精製した。収量:白色固形物として26g(83%)。
1H-NMR(500MHz、CDCl
3):δ=3.49(t、J=6.7Hz、6H)、2.70(t、J=6.7Hz、6H)、1.94(s、18H)ppm。
【0091】
C)配合物&自立フィルムの調製
配合物調製の基本手順:オリゴマー4又は5のトルエン溶液(25質量%)を、様々な量の添加剤(必要に応じて、DMAc又はシクロペンタノンに溶解した)及び適切な量のラジカル性誘発剤と混合した。
【0092】
自立フィルムの調製:自立ポリマーフィルムを、熱硬化又は光誘導硬化のいずれかでドクターブレード法によりガラス基材上に調製した(より具体的な条件は、様々な例を参照)。ポリマーを水ですすぐことにより、フィルムをガラス基材から取り外すことができた。
【0093】
機械的及び熱的特性:
引張強度及び破断点伸び(E2B)を、機械的試験機(500N Zwicki社)で測定した。引張応力を、物理的応力-歪曲線の弾性(初期、線形)部分の伸長歪で除算することにより、ヤング率(弾性率)を算出した。フィルム寸法は、典型的には、長さ25mm、幅15mm、厚さ25~100μmだった。測定は、以下のパラメータセットに従って実施した:測定前:10mm/分の伸長速度にて0.1N;50mm/分の主伸長速度。実験は全て、室温(23±2℃)で実施した。
熱機械分析(TMA)を、引張モードの402F3 TMA(Netzsch社)で実施した。熱膨張係数(CTE)を、N2雰囲気下20~300℃の範囲で測定した。
【0094】
実施例1:オリゴマー4又は5及び1,1’-(メチレンジ-4,1-フェニレン)-ビスマレイミド(Aldrich社、BMI1)
【化39】
(a)硬化条件:オリゴマー4又は5+10質量%BMI1;室温で10分間+100℃で10分間(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、175℃で30分間(ホットプレート)。
【表1】
#140~170℃でのCTE。
オリゴマー5と10質量%のBMI1との硬化フィルムは、オリゴマー4との配合物と比較して、より高い伸縮性(E2B)を示しつつ、ほぼ3倍高いヤング弾性率を呈した。加えて、CTEは、好ましい領域まで劇的に減少している。
(b)硬化条件:オリゴマー4又は5+10質量%BMI1+5質量%Irgacure OXE-02(BASF社)、室温で10分間+100℃で10分間(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、175℃で30分間(ホットプレート)。
【表2】
#140~170℃でのCTE。
【0095】
OXE-02を使用したオリゴマー5と10質量%BMI1との硬化フィルムは、低いCTE値に加えて、より高い伸縮性を示した。
(c)硬化条件:オリゴマー4又は5+10質量%BMI1+5質量%Irgacure OXE-02(BASF社)+5質量%ジクミルペルオキシド(Aldrich社)、室温で10分間+100℃で10分間(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、175℃で30分間(ホットプレート)。
【表3】
#140~170℃でのCTE。
【0096】
光開始剤(OXE-02)と組み合わせてラジカル性熱開始剤を使用したオリゴマー5と10質量%BMI1との硬化フィルムは、弾性率、E2B、及びCTEの点でより好ましい値を示した。
(d)硬化条件:オリゴマー5+10質量%BMI1+5質量%N1919T(Adeka社)、室温で10分間+100℃で10分間(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、175℃で30分間(ホットプレート)。
【表4】
#140~170℃でのCTE。
(e)硬化条件:オリゴマー5+10質量%BMI1+5質量%N1919T(Adeka社)+5質量%ジクミルペルオキシド(Aldrich社)、室温で10分間+100℃で10分間(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、175℃で30分間(ホットプレート)。
【表5】
#140~170℃でのCTE。
【0097】
実施例2:オリゴマー4又は5及びマレイミド6
【化40】
硬化条件:オリゴマー4又は5+5質量%マレイミド6、10分間室温、10分間100℃(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、30分間175℃(ホットプレート)。
【表6】
#25~35℃でのCTE。
オリゴマー5と5質量%のマレイミド6との硬化フィルムは、オリゴマー4と比較して、弾性率、E2B、及びCTEに関してより好ましい値を示した。
【0098】
実施例3:オリゴマー4又は5及びジメチルマレイミド7
【化41】
硬化条件:オリゴマー4又は5+5質量%ジメチルマレイミド7、10分間室温、10分間100℃(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、30分間175℃(ホットプレート)。
【表7】
#25~35℃でのCTE。
【0099】
実施例4:オリゴマー4又は5並びに1,1’-(メチレンジ-4,1-フェニレン)-ビスマレイミド(Aldrich社、BMI1)及びジメチルマレイミド-SiO
2(50nm、nanoComposix社)
【化42】
硬化条件:オリゴマー4又は5+10質量%BMI1+5質量%DMMI-SiO
2(nanoComposix,Inc.社、50nm)、10分間室温、10分間100℃(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、30分間175℃(ホットプレート)。
【表8】
#140~170℃でのCTE。
上記に記載の構成を有するオリゴマー5の硬化フィルムは、好ましいCTE値に加えて、非常により高い弾性率値を示した。
【0100】
実施例5:オリゴマー4又は5並びに1,1’-(メチレンジ-4,1-フェニレン)-ビスマレイミド(Aldrich社、BMI1)及びジメチルマレイミド-POSS(DMMI-POSS)
【化43】
硬化条件:オリゴマー4又は5+10質量%BMI1+5質量%DMMI-POSS、10分間室温、10分間100℃(ホットプレート)、10J/cm
2(ブロードバンド)、30分間175℃(ホットプレート)。
【表9】
#140~170℃でのCTE。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモノマー及び第2のモノマーを含む重合性混合物であって、
前記第1のモノマーは、式(1)により表される1つ又は複数の化合物であり、
前記第2のモノマーは、前記第1のモノマーと反応してコポリマーを生成することが可能な1つ又は複数の二官能性又は多官能性化合物であり、
式(1)は、
P
1-Sp
1-(MG-Sp
1)
m-P
1 式(1)
であり、式中、
mは、1~60の整数であり、
P
1は、
【化1】
を示し、式中、V
1はHであり、V
2は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNであり、又はV
1及びV
2は互いに独立して1~6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、又はCNであり、
Sp
1は、各出現において、スペーサー基(Sp)又は単結合を示し、
MGは、好ましくは、式(2):
-(A
21-Z
21)
k-A
22-(Z
22-A
23)
l- 式(2)
から選択される棒状メソゲン基であり、式中、
A
21~A
23は、独立して及び各出現において互いに独立して、1つ又は複数の同一の又は異なる基Lにより置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基、複素環基、脂環基、又は環式イミド基であり、
Z
21及びZ
22は、独立して及び各出現において互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CONR
01-、-NR
01-CO-、-NR
01-CO-NR
02、-NR
01-CO-O-、-O-CO-NR
01-、-OCH
2-、-CH
2O、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
01-、-CY
01=CY
02-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合であり、
R
01及びR
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Lは、F、Cl、Br、I、-CN、-NO
2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
xxR
yy、-C(=O)OR
xx、-C(=O)R
xx、-NR
xxR
yy、-OH、-SF
5、又は1~20個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシであり、1つ又は複数のH原子は、F、又はCl、-CN、又は1~6個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、若しくはアルコキシカルボニルオキシで置き換えられていてもよく、
R
xx及びR
yyは、互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキルを示し、
Y
01及びY
02は、各々互いに独立して、H、又は1~12個のC原子を有するアルキル、アリール、F、Cl、又はCNを示し、
k及びlは、各々及び独立して0、1、2、3、又は4である、
重合性混合物。
【外国語明細書】