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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024056720
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】荷電粒子操作デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/147 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H01J37/147 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008427
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2022543183の分割
【原出願日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】20156253.5
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,ピーター,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,マルコ,ジャン-ジャコ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチビームマニピュレータデバイスは、サブビームパスを偏向させるようにマルチビームのサブビームに作用する。
【解決手段】デバイスは、平行表面対としての電極を含む。各平行表面対は、サブビームの対応するラインの一方の側に沿って配置された第1の表面と、第1の表面に平行し、及びサブビームパスの対応するラインの反対側に沿って配置された第2の表面と、を含む。第1の平行表面対が、第1の方向において、サブビームのパスに対してある偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成される。第2の平行表面対が、第2の方向において、サブビームのパスに対して別の偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスに対して作用することによって、前記複数のサブビームパスを偏向させるように構成されたマルチビームマニピュレータデバイスであって、前記サブビームが複数のラインに配置されるアレイに前記サブビームが配置され、前記マルチビームマニピュレータデバイスが、
複数の平行平面電極表面対を含む電極の1セットを含み、
前記セット内の第1の平行平面電極表面対が、前記サブビームのラインのうちの1つのラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、前記第1の平面電極表面と平行し、及び前記サブビームパスのラインのうちの前記1つのラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、
前記セット内の第2の平行平面電極表面対が、前記サブビームパスのラインのうちの別のラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、前記第1の平面電極表面と平行し、及び前記サブビームパスのラインのうちの前記別のラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、
前記第1の平行平面電極表面対が、第1の方向において、前記サブビームのパスに対して第1の偏向量を適用できるように、前記マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、
前記第2の平行平面電極表面対が、第2の方向において、前記サブビームのパスに対して第2の偏向量を適用できるように、前記マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、
前記第1の方向が前記第2の方向の反対であり、
前記複数の平行平面電極表面対が、前記アレイ内のサブビームのラインのすべてを偏向させることができるように構成され、前記サブビームのラインが、前記アレイにわたり互いに実質的に平行である、マルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項2】
前記第1の偏向量の大きさが、前記第2の偏向量の大きさとは異なる、請求項1に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項3】
前記セット内の各平行平面電極表面対が、前記マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用することによって、偏向を前記サブビームのパスに適用するように構成される、請求項1又は2に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項4】
前記セット内の各平行平面電極表面対が、前記マルチビームのサブビームの1つのラインのみを偏向させることができるように構成される、請求項1~3の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項5】
前記平行平面電極表面対のすべてが、互いに同じ平面内に配置され、前記平面が、前記荷電粒子光軸に対して実質的に直角である、請求項1~4の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項6】
各平行平面電極表面対が、サブビームのラインにおける前記サブビームのパスのすべてを静電的に偏向させるために、その第1の平面表面と第2の平面表面との間に電界を印加するように構成され、
前記印加電界が、前記荷電粒子光軸に対して実質的に直角である、請求項1~5の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項7】
使用時には、各平行平面電極表面対が、サブビームのラインにおける前記サブビームのすべてのパスを偏向させるために、その第1の平面表面と第2の平面表面との間に実質的に一定の電界を印加する、請求項1~6の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項8】
各平行平面電極表面対が、マルチビームのサブビームの各ラインに対する前記適用された偏向が方向及び/又は大きさに関して異なるように、方向及び/又は大きさに関して、他の平行平面電極表面対によって印加される前記電界とは異なる電界を印加するように構成される、請求項1~7の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項9】
1つ又は複数の平行平面電極表面対のそれぞれに関して、平行平面電極表面対による前記印加電界が、別の平行平面電極表面対による前記印加電界と大きさが等しく、且つ方向が反対である、請求項1~8の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項10】
前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記マルチビーム内の前記サブビームの位置が、実質的に正方形のグリッド、実質的に菱形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた正方形グリッドの頂点に実質的に対応する、請求項1~9の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項11】
前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記マルチビーム内の前記サブビームの位置が、実質的に六角形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた六角形グリッドの頂点に実質的に対応する、請求項1~10の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の第1のマルチビームマニピュレータデバイスと、
1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスであって、前記1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスのそれぞれが、請求項1~11の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイスである、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスと、
を含む、マルチビームマニピュレータ配置であって、
各マルチビームマニピュレータデバイスが、前記マルチビームマニピュレータ配置の前記荷電粒子光軸に沿った異なる位置に配置される、マルチビームマニピュレータ配置。
【請求項13】
前記平面電極表面対が、
各マルチビームマニピュレータデバイス内で同じ方向に、及び
各マルチビームマニピュレータデバイスにおいて異なる方向に、
アライメントされる、請求項12に記載のマルチビームマニピュレータ配置。
【請求項14】
前記マルチビームマニピュレータ配置が、第2のマルチビームマニピュレータデバイスを含み、前記第2のマルチビームマニピュレータデバイスにおける前記平面電極表面対が、前記第1のマルチビームマニピュレータデバイスに対して実質的に直角に、及びダウンパスにアライメントされる、請求項12又は13に記載のマルチビームマニピュレータ配置。
【請求項15】
荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスを偏向させる方法であって、前記サブビームが複数のラインに配置されるアレイに前記サブビームが配置され、サブビームの前記ラインが、前記アレイにわたり互いに実質的に平行であり、前記方法が、
複数の平行平面電極表面対を含む電極の1セットの第1の平行平面電極表面対を使用して、第1の偏向量が第1の方向において前記サブビームのパスに適用されるように、前記マルチビームのサブビームの第1のライン全体と静電的に相互作用することであって、前記第1の平行平面電極表面対が、前記サブビームの第1のラインにおいて前記サブビームのすべてを偏向できるように構成される、相互作用することと、
前記電極の1セットの第2の平行平面電極表面対を使用して、第2の偏向量が第2の方向において前記サブビームの前記パスに適用されるように、前記マルチビームのサブビームの第2のライン全体と静電的に相互作用することであって、前記第1の方向が前記第2の方向の反対であり、前記第2の平行平面電極表面対が、前記サブビームの第2のラインにおいて前記サブビームのすべてを偏向できるように構成される、相互作用することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年2月7日に出願された欧州特許出願第20156253.5号の優先権を主張するものであり、この特許出願は、全体として本明細書に援用される。
【0002】
分野
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、一般に、マルチビーム荷電粒子装置における荷電粒子の操作に関する。実施形態は、各電極対が複数の荷電粒子サブビームを同時に操作するように配置された、複数の電極対を提供する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際に、例えば、光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が、製作プロセス中に、基板(すなわち、ウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それによって歩留まりが低下する。したがって、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的に、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールは、物体を検査するために、例えば、パターン欠陥を検出するために使用されてきた。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子の相互作用により、二次電子、後方散乱電子、又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。発生した二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することによって、サンプルの表面にわたり二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出二次電子を収集することによって、パターン検査ツールは、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。
【0005】
[0005] 荷電粒子ビームの別の用途は、リソグラフィである。荷電粒子ビームは、基板表面上のレジスト層と反応する。レジストにおける所望のパターンは、荷電粒子ビームが誘導されるレジスト層上の場所を制御することによって作成することができる。
【0006】
[0006] 荷電粒子装置は、1つ又は複数の荷電粒子ビームを発生させ、照明し、投影し、及び/又は検出する装置でもよい。荷電粒子装置には、1つ又は複数の荷電粒子ビームを操作する公知の技術を改良する一般的な必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
概要
[0007] 本明細書に提供される実施形態は、1つ又は複数の荷電粒子ビームを操作するためのマニピュレータデバイスを開示する。マニピュレータデバイスは、マルチビームの複数のサブビームを同時に偏向させるための偏向器でもよい。マニピュレータデバイスは、荷電粒子装置によって含まれてもよい。荷電粒子装置は、1つ又は複数の荷電粒子ビームを発生させ、照明し、投影し、及び/又は検出する装置でもよい。
【0008】
[0008] 本発明の第1の態様によれば、荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスに対して作用することによって、複数のサブビームパスを偏向させるように構成されたマルチビームマニピュレータデバイスであって、サブビームが複数のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、マルチビームマニピュレータデバイスが、複数の平行平面電極表面対を含む電極の1セットを含み、セット内の第1の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの1つのラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームパスのラインのうちの上記1つのラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、セット内の第2の平行平面電極表面対が、サブビームパスのラインのうちの別のラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームパスのラインのうちの上記別のラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、第1の平行平面電極表面対が、第1の方向において、サブビームのパスに対して第1の偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、第2の平行平面電極表面対が、第2の方向において、サブビームのパスに対して第2の偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、第1の方向が第2の方向の反対である、マルチビームマニピュレータデバイスが提供される。
【0009】
[0009] 本発明の第2の態様によれば、第1の態様による第1のマルチビームマニピュレータデバイスと、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスであって、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスのそれぞれが、第1の態様によるマルチビームマニピュレータデバイスである、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスと、を含むマルチビームマニピュレータ配置であって、各マルチビームマニピュレータデバイスが、マルチビームマニピュレータ配置の荷電粒子光軸に沿った異なる位置に配置される、マルチビームマニピュレータ配置が提供される。
【0010】
[0010] 本発明の第3の態様によれば、ビームを放出するように配置された荷電粒子源と、ビームに基づいてマルチビームを発生させるように配置されたマルチビーム発生器であって、マルチビームが複数のサブビームを含む、マルチビーム発生器と、マルチビーム発生器によって発生したマルチビームのサブビームのパスを操作するように構成された、第1の態様によるマルチビームマニピュレータデバイス、又は第2の態様によるマルチビームマニピュレータ配置の一方と、を含む、荷電粒子システムが提供される。
【0011】
[0011] 本発明の第4の態様によれば、第3の態様による荷電粒子システムを含む電子ビーム検査ツールが提供される。
【0012】
[0012] 本発明の第5の態様によれば、第3の態様による荷電粒子システムを含む電子ビームリソグラフィツールが提供される。
【0013】
[0013] 本発明の第6の態様によれば、荷電粒子マルチビームの複数のサブビームパスに対して、複数のサブビームパスを偏向させるように作用するように構成されたマルチビームマニピュレータデバイスであって、サブビームが一連のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、マルチビームマニピュレータデバイスが、複数の平行平面電極表面対を含み、第1の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含み、第2の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含み、第1の平行平面電極表面対及び第2の平行平面電極表面対が、アレイと交差するようにマルチビームにわたり延在し、動作時に、表面対の間のラインにおけるそれぞれのサブビームパスと静電的に相互作用するように構成される、マルチビームマニピュレータデバイスが提供される。
【0014】
[0014] 本発明の第7の態様によれば、荷電粒子マルチビームのサブビームパスのアレイを操作するように構成されたマルチビームマニピュレータであって、サブビームが、アレイ内でラインに配置され、ラインが、少なくとも2つの異なるライン方向にあり、マルチビームマニピュレータデバイスが、アレイ内のライン方向の数に対応し、及びマルチビームのパス上の異なる位置に配置された幾つかの偏向器デバイスを含み、各偏向器デバイスが、複数の平行平面電極表面対を含み、各偏向器デバイスの平行平面電極表面が、異なるライン方向にアライメントされ、複数の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む第1の平行平面電極表面対と、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む第2の平行平面電極表面対であって、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインが、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインと平行する、第2の平行平面電極表面対と、を含み、第1の平行平面電極表面対及び第2の平行平面電極表面対が、アレイと交差するようにマルチビームにわたり延在し、動作時に、表面対の間のラインにおけるそれぞれのサブビームパスと静電的に相互作用するように構成される、マルチビームマニピュレータが提供される。
【0015】
[0015] 本発明の第8の態様によれば、荷電粒子マルチビームのサブビームパスのアレイを操作するように構成されたマルチビームマニピュレータであって、サブビームが、アレイ内でラインに配置され、ラインが、少なくとも2つの異なるライン方向にあり、マルチビームマニピュレータデバイスが、アレイ内のライン方向の数に対応し、及びマルチビームパスに沿って位置決めされた幾つかの偏向器デバイスを含み、各偏向器デバイスが、複数の平面平行対向電極表面を含み、各偏向器デバイスの平面平行電極表面が、異なるライン方向にアライメントされ、複数の平行平面電極表面対が、少なくとも2つの対向平行平面電極表面対を含み、少なくとも2つの対向平行平面電極表面対では、動作時に、各対向平行平面電極表面対が、上記表面間のそれぞれの少なくとも1つのラインにおけるサブビームパスのすべてと静電的に相互作用するように、各対向平面平行表面対が、サブビームパスの別の少なくとも1つのラインの両側のマルチビームアレイにわたり交差するように構成された、マルチビームマニピュレータが提供される。
【0016】
[0016] 本発明の第9の態様によれば、荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスを偏向させる方法であって、サブビームが複数のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、方法が、第1の偏向量が第1の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第1のライン全体と静電的に相互作用することと、第2の偏向量が第2の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第2のライン全体と静電的に相互作用することと、を含み、第1の方向が第2の方向の反対である、方法が提供される。
【0017】
[0017] 本発明の他の利点は、実例及び例として、本発明の特定の実施形態が記載される、添付の図面と併せた以下の説明から明らかとなるだろう。
【0018】
[0018] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的実施形態の説明からより明白となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】[0019]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
図2】[0020]図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図3】[0021]図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置のソース変換ユニットの例示的な構成を示す例示的なマルチビーム装置の概略図である。
図4】[0022]ある実施形態によるマニピュレータデバイスの概略図である。
図5】[0023]ある実施形態によるマニピュレータデバイスの概略図である。
図6】[0024]ある実施形態による2つのマニピュレータデバイスの配置を示す。
図7A】[0025]サブビームのラインの配置におけるサブビームの概略図である。
図7B】[0026]ある実施形態による、どのように複数のマニピュレータデバイスがアライメントされ得るかを示す。
図8】[0027]サブビームを操作するための複数のマニピュレータを含むマニピュレータアレイを示す。
図9】[0028]荷電粒子装置の一部を通る断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0029] これより、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を、添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0021】
[0030] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、さらに小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。したがって、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは驚くに値しない。たとえ1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与える可能性がある。たった1つの「キラー欠陥」が、デバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここでは、ステップが、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るためには、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有していなければならない。個々のステップが95%の歩留まりを有する場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0022】
[0031] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方で、一時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(すなわち、ウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。したがって、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0023】
[0032] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置と、を含む。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるときに、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、すなわち、マルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれることがある。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。したがって、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0024】
[0033] マルチビーム検査装置では、一次電子ビームの幾つかのパスが、走査デバイスの中心軸、すなわち、一次電子光軸の中点から外れる。すべての電子ビームが実質的に同じ入射角で、及び/又は所望のピッチで、及び/又はサンプル表面の所望の場所で、サンプル表面に達することを確実にするために、中心軸からより大きな半径方向距離を有するサブビームパスは、中心軸により近いパスを伴うサブビームパスよりも大きな角度を移動するように操作される必要がある。このより強力な操作は、収差を生じさせることがあり、収差は、サンプル基板のぼやけた焦点外画像をもたらす。具体的には、中心軸上にないサブビームパスに関して、サブビームの収差は、これらのサブビームパスのマニピュレータが、より大きな電圧で動作することが必要とされるため、中心軸からの半径方向変位と共に増大し得る。このような収差は、二次電子の検出時に二次電子に関連付けられたままであり得る。したがって、このような収差は、検査中に生成される画像の品質を低下させる。
【0025】
[0034] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0026】
[0035] 図は、概略図である。したがって、図面では、コンポーネントの相対寸法は、明瞭にするために拡大される。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。説明及び図面は電子光学装置を対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するためには使用されないことが理解される。したがって、本文書全体を通して、電子への言及は、より一般的に、荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0027】
[0036] ここで図1を参照すると、図1は、例示的な荷電粒子ビーム検査装置100を示す概略図である。図1の荷電粒子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30、及びコントローラ50を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0028】
[0037] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の1つ又は複数の装填ポートを含んでもよい。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、検査予定の基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料で作られた基板)又はサンプルを含む基板前面開口式一体型ポッド(FOUP(front opening unified pod))を受け取ることができる(以下では、基板、ウェーハ、及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)。EFEM30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填ロックチャンバ20にサンプルを運ぶ。
【0029】
[0038] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されてもよく、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後に、サンプルは、電子ビームツールに運ばれ、サンプルは、電子ビームツールによって検査され得る。電子ビームツール40は、単一ビーム又はマルチビームのいずれかの電子光学装置を含み得る。
【0030】
[0039] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)でもよい。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもよいことが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置してもよく、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散されてもよい。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供しているが、本開示の態様は、広い意味で、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のツール及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0031】
[0040] ここで図2を参照すると、図2は、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では、装置40とも呼ばれる)は、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、一次投影装置230、電動ステージ209、及びサンプルホルダ207を含む。電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220は、マルチビーム電子ビームツール40によって包含される照明装置のコンポーネントである。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するために、電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子ビームツール40は、二次投影装置250及び関連する電子検出デバイス240をさらに含み得る。一次投影装置230は、対物レンズ231を含み得る。電子検出デバイス240は、複数の検出要素241、242、及び243を含み得る。ビームセパレータ233及び偏向走査ユニット232は、一次投影装置230内に配置され得る。
【0032】
[0041] 一次ビームを発生させるために使用されるコンポーネントは、装置40の一次電子光軸とアライメントされ得る。これらのコンポーネントは、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、ビームセパレータ233、偏向走査ユニット232、及び一次投影装置230を含み得る。二次投影装置250及びそれに関連した電子検出デバイス240は、装置40の二次電子光軸251とアライメントされ得る。
【0033】
[0042] 一次電子光軸204は、照明装置である電子ビームツール40の部分の電子光軸によって構成される。二次電子光軸251は、検出装置である電子ビームツール40の部分の電子光軸である。一次電子光軸204は、本明細書では、(参照しやすいように)主光軸、又は一次荷電粒子光軸とも呼ばれることがある。二次電子光軸251は、本明細書では、副光軸又は二次荷電粒子光軸とも呼ばれることがある。
【0034】
[0043] 電子源201は、カソード(図示せず)、及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中に、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されることによって、一次ビームクロスオーバー(虚像又は実像)203を形成する一次電子ビーム202を形成する。一次電子ビーム202は、一次ビームクロスオーバー203から放出されると視覚化することができる。
【0035】
[0044] この配置では、一次電子ビームは、それがサンプルに到達する時までには、好ましくは、それが投影装置に到達する前には、マルチビームである。このようなマルチビームは、多くの異なるやり方で、一次電子ビームから発生させることができる。例えば、マルチビームは、クロスオーバーの前に位置するマルチビームアレイ、ソース変換ユニット220に位置するマルチビームアレイ、又はこれらの場所の間にある任意の地点に位置するマルチビームアレイによって発生させることができる。マルチビームアレイは、ビームパスにわたりアレイに配置された複数の電子ビーム操作要素を含み得る。各操作要素は、サブビームを発生させるように一次電子ビームに影響を与え得る。したがって、マルチビームアレイは、入射一次ビームパスと相互作用することによって、マルチビームアレイのダウンビームでマルチビームパスを生成する。
【0036】
[0045] ガンアパーチャプレート271は、動作時に、クーロン効果を低減するために、一次電子ビーム202の周辺電子をブロックするように構成される。クーロン効果は、一次サブビーム211、212、213のプローブスポット221、222、及び223のそれぞれのサイズを拡大し、したがって、検査分解能を低下させ得る。ガンアパーチャプレート271は、クーロンアパーチャアレイとも呼ばれることがある。
【0037】
[0046] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させるように構成される。集光レンズ210は、平行ビームとなり、ソース変換ユニット220に垂直に入射するように一次電子ビーム202を集束させるように設計され得る。集光レンズ210は、第1の主平面の位置が可動であるように構成され得る可動集光レンズでもよい。可動集光レンズは、磁性を持つように構成されてもよい。集光レンズ210は、回転防止集光レンズでもよく、及び/又はそれは可動であってもよい。
【0038】
[0047] ソース変換ユニット220は、像形成要素アレイ、収差補償器アレイ、ビーム制限アパーチャアレイ、及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイを含み得る。事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、ビーム制限アパーチャアレイ、像形成要素アレイ、及び収差補償器アレイに垂直に入るように、一次電子ビーム202の複数の一次サブビーム211、212、213を偏向させ得る。この配置では、像形成要素アレイは、マルチビームパスにおいて複数のサブビーム、すなわち一次サブビーム211、212、213を発生させるためのマルチビームアレイとして機能し得る。像形成アレイは、一次電子ビーム202の複数の一次サブビーム211、212、213に影響を与えるため、及び一次ビームクロスオーバー203の複数の平行像(虚像又は実像)を形成するために、マイクロ偏向器、マイクロレンズ(又は両者の組み合わせ)などの複数の電子ビームマニピュレータを含み得る(一次サブビーム211、212、及び213のそれぞれに対して1つずつ)。収差補償器アレイは、像面湾曲補償器アレイ(図示せず)、及び非点収差補償器アレイ(図示せず)を含み得る。像面湾曲補償器アレイは、一次サブビーム211、212、及び213の像面湾曲収差を補償するための複数のマイクロレンズを含み得る。非点収差補償器アレイは、一次サブビーム211、212、及び213の非点収差を補償するための複数のマイクロ非点収差補正装置を含んでもよい。ビーム制限アパーチャアレイは、個々の一次サブビーム211、212、及び213の直径を制限するように構成され得る。図2は、一例として3つの一次サブビーム211、212、及び213を示すが、ソース変換ユニット220は、任意の数の一次サブビームを形成するように構成され得ることが理解されるものとする。コントローラ50は、ソース変換ユニット220、電子検出デバイス240、一次投影装置230、又は電動ステージ209などの図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。以下により詳細に説明するように、コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0039】
[0048] 集光レンズ210はさらに、集光レンズ210の集束力を異ならせることによって、ソース変換ユニット220のダウンビームで一次サブビーム211、212、213の電流を調整するように構成され得る。代替的又は追加的に、一次サブビーム211、212、213の電流は、個々の一次サブビームに対応するビーム制限アパーチャアレイ内のビーム制限アパーチャの半径方向サイズを変えることによって変更され得る。電流は、ビーム制限アパーチャの半径方向サイズ、及び集光レンズ210の集束力の両方を変えることによって変更され得る。集光レンズが可動であり、及び磁性を持つ場合、回転角度を有してソース変換ユニット220を照明するオフアクシスサブビーム212及び213が生じ得る。回転角度は、集束力又は可動集光レンズの第1の主平面の位置と共に変化する。回転防止集光レンズである集光レンズ210は、集光レンズ210の集束力が変化する間に、回転角度が不変のままであるように構成され得る。可動でもある、このような集光レンズ210は、集光レンズ210の集束力及びそれの第1の主平面の位置が変化するときに、回転角度を変化させないことが可能である。
【0040】
[0049] 対物レンズ231は、検査のためにサンプル208上にサブビーム211、212、及び213を集束させるように構成することができ、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成することができる。
【0041】
[0050] ビームセパレータ233は、例えば、静電双極子場及び磁気双極子場(図2では図示せず)を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタでもよい。動作時には、ビームセパレータ233は、静電双極子場によって、一次サブビーム211、212、及び213の個々の電子に対して静電力をかけるように構成され得る。この静電力は、ビームセパレータ233の磁気双極子場によって個々の電子にかかる磁力に対して、大きさは等しいが、方向は反対方向である。したがって、一次サブビーム211、212、及び213は、少なくとも実質的にゼロの偏向角度で、ビームセパレータ233を少なくとも実質的に真っすぐに通過し得る。
【0042】
[0051] 偏向走査ユニット232は、動作時に、サンプル208の表面の一セクションの個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222、及び223を走査するために、一次サブビーム211、212、及び213を偏向させるように構成される。サンプル208上への一次サブビーム211、212、及び213又はプローブスポット221、222、及び223の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子を含む電子が、サンプル208から発生する。二次電子は、3つの二次電子ビーム261、262、及び263において伝搬する。二次電子ビーム261、262、及び263は、一般的に、(50eV以下の電子エネルギーを有する)二次電子を有し、(50eVと一次サブビーム211、212、及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する)後方散乱電子の少なくとも一部も有し得る。ビームセパレータ233は、二次電子ビーム261、262、及び263のパスを二次投影装置250に向けて偏向させるように配置される。続いて、二次投影装置250は、二次電子ビーム261、262、及び263のパスを電子検出デバイス240の複数の検出領域241、242、及び243上に集束させる。検出領域は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出するように配置された別個の検出要素241、242、及び243でもよい。検出領域は、対応する信号を生成し、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、コントローラ50又は信号処理システム(図示せず)に送られる。
【0043】
[0052] 検出要素241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出することができる。検出要素241、242、及び243への二次電子ビームの入射時に、要素は、対応する強度信号出力(図示せず)を生成し得る。出力は、画像処理システム(例えば、コントローラ50)に向けられ得る。各検出要素241、242、及び243は、1つ又は複数のピクセルを含み得る。検出要素の強度信号出力は、検出要素内のすべてのピクセルによって生成された信号の合計でもよい。
【0044】
[0053] コントローラ50は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含む画像処理システムを含み得る。例えば、コントローラは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。したがって、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機、又はこれらの組み合わせなどの信号通信を可能にする装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。したがって、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体でもよい。ストレージは、画像取得器と結合されてもよく、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存したり、後処理された画像を保存したりするために使用することができる。
【0045】
[0054] 画像取得器は、電子検出デバイス240から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージに保存することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。各領域は、サンプル208の特徴を含む1つの撮像エリアを含み得る。取得画像は、ある期間にわたって複数回サンプリングされたサンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに保存することができる。コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを行うように構成され得る。
【0046】
[0055] コントローラ50は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212、及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。したがって、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0047】
[0056] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中に、好ましくは継続的に、例えば、一定の速度で、ある方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラは、走査プロセスの検査ステップの特性に応じて、ステージ速度(その方向を含む)を制御することができる。
【0048】
[0057] 図2は、装置40が3つの一次電子サブビームを使用することを示しているが、装置40は、2つ以上の数の一次電子サブビームを使用し得ることが理解される。本開示は、装置40で使用される一次電子ビームの数を限定しない。
【0049】
[0058] ここで図3を参照すると、図3は、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置のソース変換ユニットの例示的な構成を示す例示的なマルチビーム装置の概略図である。装置300は、電子源301、プレサブビーム形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310(図2の集光レンズ210に類似)、ソース変換ユニット320、対物レンズ331(図2の対物レンズ231に類似)、及びサンプル308(図2のサンプル208に類似)を含み得る。電子源301、プレサブビーム形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310は、装置300によって包含される照明装置のコンポーネントであり得る。ソース変換ユニット320、対物レンズ331は、装置300によって包含される投影装置のコンポーネントであり得る。ソース変換ユニット320は、図2のソース変換ユニット220に類似してもよく、ソース変換ユニット320では、図2の像形成要素アレイは、像形成要素アレイ322であり、図2の収差補償器アレイは、収差補償器アレイ324であり、図2のビーム制限アパーチャアレイは、ビーム制限アパーチャアレイ321であり、図2の事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323である。電子源301、プレサブビーム形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310、ソース変換ユニット320、及び対物レンズ331は、装置の一次電子光軸304とアライメントされる。電子源301は、概ね一次電子光軸304に沿って、及びソースクロスオーバー(虚像又は実像)301Sを有する一次電子ビーム302を発生させる。プレサブビーム形成アパーチャアレイ372は、結果として生じるクーロン効果を低減するために、一次電子ビーム302の周辺電子をカットする。クーロン効果は、異なるサブビームパスの電子間の相互作用による、サブビームに対する収差の原因である。一次電子ビーム302は、プレサブビーム形成機構のプレサブビーム形成アパーチャアレイ372によって、指定された数のサブビーム(3つのサブビーム311、312、及び313など)に削減され得る。3つのサブビーム及びそれらのパスが、前述及び以下の説明で参照されるが、この説明は、任意の数のサブビームを用いた装置、ツール、又はシステムへの適用を意図したものであることが理解されるものとする。
【0050】
[0059] ソース変換ユニット320は、一次電子ビーム302のサブビーム311、312、及び313を制限するように構成されたビーム制限アパーチャを備えたビームレット制限アパーチャアレイ321を含み得る。ソース変換ユニット320は、像形成マイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3を備えた像形成要素アレイ322も含み得る。各サブビームのパスに関連付けられたそれぞれのマイクロ偏向器が存在する。マイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3は、サブビーム311、312、及び313のパスを電子光軸304に向けて偏向させるように構成される。偏向されたサブビーム311、312、及び313は、ソースクロスオーバー301Sの虚像を形成する。虚像は、対物レンズ331によってサンプル308上に投影され、及びサンプル上にプローブスポットを形成し、これらのプローブスポットは、3つのプローブスポット391、392、及び393である。各プローブスポットは、サンプル表面上のサブビームパスの入射場所に対応する。ソース変換ユニット320は、各サブビームの収差を補償するように構成された収差補償器アレイ324をさらに含み得る。各サブビームの収差は、一般的に、サンプル表面上に形成されるプローブスポット391、392、及び393上に存在する。収差補償器アレイ324は、マイクロレンズを備えた像面湾曲補償器アレイ(図示せず)を含み得る。像面湾曲補償器及びマイクロレンズは、プローブスポット391、392、及び393において顕著な像面湾曲収差に関してサブビームを補償するように構成される。収差補償器アレイ324は、マイクロ非点収差補正装置を備えた非点収差補償器アレイ(図示せず)を含み得る。マイクロ非点収差補正装置は、そうでなければプローブスポット391、392、及び393に存在する非点収差を補償するためにサブビームに対して作用するように制御される。
【0051】
[0060] ソース変換ユニット320は、サブビーム311、312、及び313をそれぞれ屈曲させる事前屈曲マイクロ偏向器323_1、323_2、及び323_3を備えた事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323をさらに含み得る。事前屈曲マイクロ偏向器323_1、323_2、及び323_3は、サブビームのパスをビームレット制限アパーチャアレイ321上へと屈曲させることができる。ビームレット制限アパーチャアレイ321への入射のサブビームパスは、ビームレット制限アパーチャアレイ321の配向平面に対して直角となり得る。集光レンズ310は、サブビームのパスをビームレット制限アパーチャアレイ321上へと誘導し得る。集光レンズ310は、一次電子光軸304に沿って平行ビームとなるように、3つのサブビーム311、312、及び313を集束させることができ、したがって、このサブビームは、ソース変換ユニット320に垂直に入射し、ソース変換ユニット320は、ビームレット制限アパーチャアレイ321に対応し得る。
【0052】
[0061] 像形成要素アレイ322、収差補償器アレイ324、及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323は、サブビーム操作デバイスの複数の層を含んでもよく、サブビーム操作デバイスの幾つかは、形式又はアレイでもよい(例えば、マイクロ偏向器、マイクロレンズ、又はマイクロ非点収差補正装置)。
【0053】
[0062] ソース変換ユニット320では、一次電子ビーム302のサブビーム311、312、及び313は、一次電子光軸304に向けて、それぞれ像形成要素アレイ322のマイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3によって偏向される。サブビーム311のパスは、マイクロ偏向器322_1に到達する前に既に電子光軸304と対応し得るため、サブビーム311のパスは、マイクロ偏向器322_1によって偏向されなくてもよいことが理解されるものとする。
【0054】
[0063] 対物レンズ331は、サブビームをサンプル308の表面上に集束させ、すなわち、対物レンズ331は、3つの虚像をサンプル表面上に投影する。3つのサブビーム311~313によってサンプル表面上に形成された3つの像は、サンプル表面上に3つのプローブスポット391、392、及び393を形成する。サブビーム311~313の偏向角度は、3つのプローブスポット391~393のオフアクシス収差を低減するように、対物レンズ311によって調整される。3つの偏向されたサブビームは、結果として、対物レンズ331の前側焦点を通過し、又は対物レンズ331の前側焦点に近づく。
【0055】
[0064] 図2及び図3の上記のコンポーネントの少なくとも幾つかは、それらが、1つ又は複数の荷電粒子ビーム又はサブビームを操作するため、個々に、又は互いに組み合わせて、マニピュレータアレイ、又はマニピュレータと呼ばれることがある。
【0056】
[0065] 上記のマルチビーム検査ツールは、単一の荷電粒子源を備えたマルチビーム荷電粒子装置を含み、マルチビーム荷電粒子装置は、マルチビーム荷電粒子光学装置又はマルチビーム荷電粒子システムと呼ばれることがある。マルチビーム荷電粒子装置は、照明装置及び投影装置を含む。照明装置は、ソースの電子ビームから荷電粒子マルチビームを発生させることができる。投影装置は、サンプルに向けて荷電粒子マルチビームを投影する。サンプル表面の少なくとも一部は、荷電粒子マルチビームで走査される。
【0057】
[0066] 上記のマルチビーム荷電粒子装置によって、マルチビームのサブビームに対して同時操作を適用することを複雑にする幾つかの問題が経験され得る。
【0058】
[0067] 個々のサブビームパスがそれぞれサンプル表面に向けて適切に誘導されるためには、例えば、マニピュレータアレイにおいて、各サブビームのパスを個別に操作するために、個々のコンポーネントが設けられ得る。適用される操作は、例えば、サブビームのパスの偏向であり得る。マニピュレータアレイは、例えば、欧州特許出願公開第2715768A2号の図2~4及び6を参照して記載されたようなマニピュレータアレイでもよい。
【0059】
[0068] 個々のコンポーネントがサブビームに対して適切に操作を適用できるために満たされるべき要件は、操作によって生じる収差が過度でないことである。収差の程度は、操作コンポーネント内の電界の均一性、操作コンポーネントのフィルファクタ、及び操作コンポーネント内の電界の大きさに依存する。電界の大きさは、操作コンポーネント内の電極に印加される電圧に依存する。
【0060】
[0069] 収差の程度は、サブビームパスが通過する電界の均一性に依存する。コンポーネントにわたる理想的な電界は、線形であるだろう。しかしながら、平面視で、開口は円形であり、線形電界は、開口の周りに複数の電極を設け、及び各電極で適切に印加された電圧を提供することによって、近似できるにすぎない。達成可能な線形電界の近似の品質は、使用される電極の数が増えるにつれて向上する。しかしながら、コンポーネント内の電極数の増加は、そのサイズを増大させる。電極数の増加は、各コンポーネントのすべての電極に対する配線及び関連するドライバ回路を設ける複雑さも増大させる。
【0061】
[0070] フィルファクタとは、操作コンポーネント内の開口の直径に対する、操作コンポーネント内のサブビームの直径の比である。平面視で、コンポーネント内の最も均一な電界は、開口の中央に存在し、電界は、開口のエッジに向かって均一性が最も低い。開口の中央から離れたサブビームの割合が増えるため、収差の程度は、フィルファクタが増加するにつれて増大する。ある特定のサブビーム直径に関して、コンポーネントの開口の直径を増加させることによって、フィルファクタを減少させることができる。
【0062】
[0071] 収差の程度は、電界を生じさせるためにコンポーネント内で印加される電圧の大きさにも依存する。より大きな電圧では、電界の非均一性が、サブビームパスに対してより大きな影響を与え、これは、収差を増大させる。
【0063】
[0072] 少なくとも、低フィルファクタ及び/又は多数の電極を有するという上記の要件により、個々のコンポーネントが比較的大きいことが必要であり、配線及びドライバ回路要件が複雑になる。各サブビームを操作するために、比較的大きな個々のコンポーネントが必要とされる場合、荷電粒子装置内の空間的制限が、提供することができるサブビームの数及びサブビームの密度の両方に制約を課す。
【0064】
[0073] さらに、サブビームパスの幾つかに比較的大きな偏向が適用されるためには、電界を生じさせるための比較的大きな電圧が必要とされる。しかしながら、上記で説明した通り、比較的大きな電圧の使用は、収差の程度を増大させる。
【0065】
[0074] 実施形態は、マルチビームの複数のサブビームのパスの幾つか又はすべてに対して、実質的に一定の偏向を同時に適用するためのマニピュレータデバイスを提供する。
【0066】
[0075] 実施形態によるマニピュレータデバイスは、サブビームごとに個々のコンポーネントを含むマニピュレータアレイの操作要件(具体的には、偏向要件)の少なくとも幾つかを減らすことができる。実施形態によるマニピュレータデバイスは、偏向されるすべてのサブビームパスの主偏向を提供することができる。これは、マニピュレータアレイを設ける複雑さを低減するとともに、荷電粒子装置内のサブビームパスの制御を向上させる。実施形態によるマニピュレータデバイスは、サブビームのラインに対して実質的に一定の偏向を適用することができ、複雑な制御回路を必要としない。
【0067】
[0076] 実施形態によるマニピュレータデバイスが使用される場合、マニピュレータアレイは、個々のサブビームパスに対して微細な偏向を適用することだけが必要とされる。個々のアレイ内のコンポーネントは、大きな偏向を適用することは必要とされず、したがって、比較的小さな電圧のみを適用する必要がある、よりシンプルなコンポーネント設計が使用されてもよい。よりシンプルなコンポーネント設計は、より少ない数の電極を含み得、それによって、各コンポーネントに関する配線及びドライバ要件の複雑さを低減することができる。低電圧の使用は、より大きな電圧が使用されたときと比較して、収差の程度を低減する。これは、ある特定の収差の程度に関して、コンポーネントのフィルファクタを増大させることができるとともに、電極の数を減少させることができるため、サブビームごとに、より小さな個々のコンポーネントが使用されることを可能にする。マニピュレータアレイ内のより小さな個々のコンポーネントの使用は、サブビームの密度、及び/又はサポートされ得るサブビームの数を増加させる。
【0068】
[0077] 実施形態によるマニピュレータデバイスは、荷電粒子装置内の荷電粒子のパスの事前屈曲操作などのパッシブ電子光学操作デバイスを提供するのに特に適している。事前屈曲操作は、動作条件範囲にわたり実質的に不変の適用される偏向を含み得る。事前屈曲は、荷電粒子ビームのパスを収束させ得る。別のパッシブ要素は、荷電粒子ビームのパスをコリメートするコリメータである。コリメートされたマルチビームは、収束した、又は発散したサブビームパスから生成され得る。
【0069】
[0078] 図4は、ある実施形態によるマニピュレータデバイスの概略図である。図4は、マルチビームの平面図であり、マルチビームは、荷電粒子軸に沿い得る。マニピュレータデバイスは、第1の電極対402、第2の電極対403、及び第3の電極対404を含む。これらの平行平面電極対のそれぞれの間は、マルチビームの3つのサブビーム401の異なるラインのパスである。各平行平面電極対は、ストリップ電極と呼ばれることがある。
【0070】
[0079] 各電極は、平面プレートでもよい。各電極は、両端部のそれぞれで、又は両端部の一方で機械的に支持されてもよい。各電極は、その両端部の一方又は両方で機械的に支持されるだけでもよい。各電極は、少なくともその両端部の一方で、電気的に接続されてもよい。各電極は、金属製でもよい(金属板、又は金属化若しくは金属被覆表面など)。各電極はそれぞれ、例えば、電極のサポート構造又は本体の表面上の金属コーティングでもよい。各電極対は、互いに平行して、及び互いに対向して配置された、2つのこのような平面プレートを含み得る。電界Eは、各電極対の間に印加される。電極対ごとに、電極(すなわち、平面プレート)の表面に対して直角であり、且つ電極対の間の各サブビームのパスに実質的に直角な方向に、電界が印加される。それによって、各電極対は、それらの間を通過する複数のサブビームと静電的に相互作用することができ、それによって、サブビームパスを偏向させることができる。
【0071】
[0080] 荷電粒子マルチビームは、サブビームの複数のラインを含む。したがって、マルチビームは、サブビームの2次元アレイであり、これは、サブビームの一連の複数のラインであり得る。各電極対は、サブビームのライン全体におけるすべてのサブビームのパスを偏向させるように配置される。
【0072】
[0081] 各電極対によって適用されるサブビームの各ラインのパスに対する偏向量は、電極間の電位差に依存する。したがって、荷電粒子ビームのパスのラインの偏向の大きさは、ビームパスのラインの両側の平行プレート間に印加される電位差のサイズによって決定され得る。したがって、対向する電極表面間に、より大きな電位差を印加することによって、比較的大きな偏向を達成することができる。
【0073】
[0082] 各電極対の間の電位差は、個々に、及び別々に制御可能であり得る。これは、複数の電極対のそれぞれが、サブビームのラインのパスに対して異なる偏向量を適用することを可能にする。したがって、アレイにわたり適用される偏向量は、設定可能であり、及び能動的に制御可能である。加えて、印加電界の方向は、複数の電極対間で異なり得る。これは、サブビームのラインのパスに対する偏向量が、反対方向に適用されることを可能にする。
【0074】
[0083] ある実施形態では、動作中に、マニピュレータアレイにおける1つ又は複数の電極対が、それらの間でゼロの電位差を有するように設定され得る。したがって、各電極対は、サブビームのラインにおいて、サブビームのパスを偏向させ得るが、電極対の1つ又は複数は、電界が電極間に印加されないように操作され得る。このような電極対は、それらの間を進むサブビームのパスを偏向させない。
【0075】
[0084] 図5は、ある実施形態によるマニピュレータデバイスの概略図である。図5は、5つの別個のサブビームパスのラインを示す。ラインごとに、そのラインにおけるサブビームパスのうちの2つが示される。サブビームの各ラインに関して、間をサブビームのラインが進む、それぞれの電極対が存在する。電極は、電極サポート501、502、503、504、505、及び506によって支持される。各電極サポートは、その両端のそれぞれにおいて、又はその両端の一方において、機械的に支持され得る。各電極サポートは、その両端の一方又は両方において、機械的に支持されるだけでもよい。各電極サポートは、例えば、ガラス、又はそれから電極が作られる基板の材料(例えばシリコン)で作られてもよい。各電極対間の電位差は、大きさ及び/又は方向が異なり得る。実施形態は、電極対の1つ又は複数の間に電位差がないことを含む。図に示されるように、一例は、中央の電極対(E0を参照)の間である。電極対間の印加される電位差は、図5において、E1、E2、E3、及びE4として示される。電界E1の大きさは、E2の大きさよりも大きく、今度は、E2が、E0よりも大きい。同様に、E4は、電界の大きさに関してE3よりも大きく、今度は、E3が、E0よりも大きい。E3及びE4は、方向的にE1及びE2のそれぞれに対向するように見える電界を有する。実際、E1及びE4は、反対方向であるが、類似の大きさ又は全く同じ大きさの電界を有し得、E3及びE4は、反対方向であるが、類似の大きさ又は同じ大きさを有し得る。ある代替配置では、E0がゼロでないように、電位差が中央の電極対に印加されてもよい。
【0076】
[0085] 図5に示されるように、印加された電位差の効果は、サブビームの別個のラインのパスのダウンビームクロスオーバーポイントを生成することであり得る。サブビームの中央ラインが通過する電極対の間には、電位差が印加されない(すなわち、E0)。したがって、サブビームの中央ラインのパスは、電極対によって実質的に偏向されない。図において、サブビームの一番左のラインが通過する電極対の間に印加される電位差E1は、サブビームの一番右のラインが通過する電極対の間に印加される電位差E4と同じ大きさで、反対の記号を有し得る。サブビームの左から2つ目のラインが通過する電極対の間に印加される電位差E2は、サブビームの右から2つ目のラインが通過する電極対の間に印加される電位差E3と同じ大きさで、反対の記号を有し得る。電位差E1及びE4の大きさは、サブビームの一番左のライン及び一番右のラインのパスが、サブビームの左から2つ目のライン及び右から2つ目のラインのパスよりも多く偏向されるように、電位差E2及びE3よりも大きくなり得る。
【0077】
[0086] マニピュレータからダウンビームにあるサブビームの各ラインにおける第1のサブビームのパスは、実質的に同じ第1のダウンビーム位置にあるサブビームの他のラインにおける第1のサブビームのパスと交差し得る。サブビームの各ラインにおける第2のサブビームのパスは、実質的に同じ第2のダウンビーム位置にあるサブビームの他のラインにおける他方の第2のサブビームのパスと交差し得る。第1のダウンビーム位置は、第2のダウンビーム位置とは異なり得る。
【0078】
[0087] 図5は、サブビームの各ラインに2つのサブビームを示すが、実施形態は、サブビームの各ラインに任意の数のサブビームが存在することを含む。
【0079】
[0088] 図5は、サブビームの5つの別個のラインを示すが、実施形態は、任意の数のサブビームのライン、及びサブビームのラインごとにそれぞれの電極対が存在することを含む。
【0080】
[0089] 実施形態は、電極対の1つ又は複数に印加された電位差により、サブビームのラインのうちの2つ以上のラインのパスが、収束する代わりに発散させられることも含む。
【0081】
[0090] 図5では、間をサブビームのラインが通過する平行構造が概略的に示されている。これらの平行構造が、間をサブビームのラインが進む電極、及び電極のためのサポート構造の両方を表すことが理解されるものとする。電極がどのようにサポート構造によって支持されるかの具体的配置は、多数の異なる技術によるものでよい。
【0082】
[0091] 図4及び図5に示されるように、サブビームは、サブビームパスを偏向させるための電極対における隣接する電極間のみを進む。サブビームは、隣接する電極のそれぞれが、サブビームパスを偏向させるための異なる電極対にある場合は、これらの隣接する電極間を進まない。各電極が異なる電極対内にある隣接する電極の場合、これらの隣接する電極は、図5に示されるように、基板などの固体サポート構造によって支持され得る。代替的に、隣接する電極は、図4に示されるように、ギャップによって分離されてもよい。
【0083】
[0092] 隣接する電極のそれぞれの間で、サポート構造に接触する電極の端部を互いに電気的に絶縁するための高電圧シールドが、電極のサポート構造に設けられてもよい。
【0084】
[0093] 実施形態は、サブビームのラインのパスを偏向させるための電極対の2つ以上のセットが存在することも含む。電極対の各セットは、図4及び図5を参照して上記で説明したような平行プレート電極対の1セットでもよい。電極対の各セットは、荷電粒子軸、すなわち、マルチビームのパスに沿った異なる位置に設けられてもよい。
【0085】
[0094] 電極対の各セット(又は電極対のアレイ)内で、及び印加電界が存在する電極対に関して、印加電界のすべては、電極対のセットと同じ軸に直角にアライメントされ得る。電極対間の印加電位差は、印加電界の幾つかが互いに反対方向であることをもたらし得るが、それでもやはり、印加電界は、同じ軸に対して直角にアライメントされる。各セット内の平行電極対は、セットの軸に対して平行にアライメントされる。図5に示されるように、向かい合う平行プレート対間に印加される電位差は、アレイの中点からの距離に依存し得る。例えば、電界は、平行プレートのアレイの中点からの距離に比例し得る。したがって、適用された偏向は、マニピュレータアレイのダウンビームのビームパスを、パスのラインが互いに交差するそれぞれのライン位置でビームパスと交差するポイントまで誘導し得る。
【0086】
[0095] 実施形態は、マルチビームパスに沿って直列に配置された電極対の複数のセットが存在することを含む。これらのセットのうちの2つ以上のセットの軸が、異なる方向にアライメントされてもよい。すべてのセットの軸が異なる方向にアライメントされてもよい。これらのセットのうちの2つ以上のセットの軸が異なる方向にアライメントされる場合、異なってアライメントされたセットは、マルチビームのサブビームのパスに対して、異なって誘導される偏向を適用する。したがって、電極対の2つ以上のセットを有することにより、サブビームのパスに対して適用することができる制御量が増加する。
【0087】
[0096] 図6に示されるように、電極対601の第1のセット又はアレイ、及び電極対602の第2のセット又はアレイが存在してもよい。これらの2つのアレイは、互いに対して、及びマルチビームパスに対しても直角にアライメントされた平行プレート対を有し得る。電極対の第1及び第2のセットは、マルチビームのパス603に沿った異なる位置に設けられる。電極対の第1及び第2のセットのそれぞれの軸は、異なる方向にアライメントされる。図6は、電極の2つのセットを示すが、実施形態は、電極の任意の数のセットが存在することを含む。
【0088】
[0097] 電極のアレイを(直交面において)互いに直交するものとして説明したが、それらは、軸が考察当時に本発明によって使用された軸、又は考察を予定したときに知られていた軸を表す限り、互いに対して任意の相対角度を有してもよい。
【0089】
[0098] 電極対の各セットが、サブビームのラインの異なる配置を偏向可能であるために必要に応じて、実施形態は、電極対のセットの多数の異なる配置を含む。
【0090】
[0099] 図7Aは、サブビームのラインの配置におけるサブビームの概略平面図(すなわち、荷電粒子光軸に沿った)である。サブビームの図示される配置は、サブビームの実質的にすべてが複数の六角形環の頂点に位置するため、六角形配置と呼ばれることがある。ビームの配置は、六方最密配置に従ってもよく、六方最密配置は、2次元アレイの望ましい通常の形式であり得る。サブビームは、複数の異なるラインに配置される。図7Aに示される水平軸及び垂直軸に対して、すべてのサブビームは、水平軸と平行するライン及び垂直軸と平行するラインの両方においてアライメントされる。サブビームは、水平軸及び垂直軸に対して斜めのラインにおいてもアライメントされる。ある変形形態では、例えばサブビームパスの重なりを防ぐために、ビーム配置のオフセット、シフト、又はスキューによって調整されたビーム配置を有することによって、アレイは、構成を走査するために最適化され得る。
【0091】
[00100] したがって、マルチビーム配置におけるすべてのサブビームは、マルチビーム配置のパターンの軸とアライメントされた軸を有する電極対の1セットによって偏向され得る。図7Aに示される配置の場合、軸は、水平であり、垂直であり、並びに水平軸に対する対角線及び垂直軸に対する対角線のどちらか一方に沿う。
【0092】
[00101] 図7Bは、六角形ビーム配置を有する一実施形態による、どのように電極対の複数のセットがアライメントされ得るかを示す。電極対の各アレイは、マルチビームのパスに沿った異なる位置に存在する。すなわち、電極対の複数のアレイは、マルチビームパスに沿って連続的に配置されてもよい。図7Bに示されるように、電極対の第1のセット、第2のセット、及び第3のセットが存在し得る。第1のセットの軸は、水平軸と平行にアライメントされ得、第2のセットの軸は、一方の対角線に沿ってアライメントされ得、第3のセットの軸は、他方の対角線に沿ってアライメントされ得る。このようなアライメントを有する電極対の3つのセットが使用される場合、各セット内の異なる電極対間のピッチ、すなわち間隔は、電極対の2つの直交アライメントされたセットのみが使用される場合に必要とされるピッチよりも小さくなり得る。図7Bに示されるように、各セット内の電極対はまた、互いに対して僅かにミスアライメントされ得る。つまり、セット内の各電極対は、同じ方向にアライメントされ、互いに同じ長さを有する。しかしながら、各電極対の端部は、セット内の各電極対がアライメントされる方向と直交する方向において互いにアライメントされない。
【0093】
[00102] 電極対の複数の異なってアライメントされたセットの使用により、マルチビームのサブビームのパスの方向に対する制御の向上が可能となる。さらに、それは、電極対のアレイが、六角形ビーム配置用に設計された電子光学アーキテクチャ内に簡単に組み込まれることを可能にする。
【0094】
[00103] カウンタ偏向(counter deflection)なしの荷電粒子ビームの偏向が、偏向された荷電粒子ビームの収差を誘発し得ることに留意されたい。この配置では、電子光軸からさらに遠いサブビームは、より多く偏向され、そのため、より大きな収差を示し得る。したがって、平行プレートの複数のアレイのマニピュレータが荷電粒子サブビームを焦点に導いた後に、このようなマルチビームは、収差を含み得る。これらの収差は、マルチビームのパスに配置された1つ又は複数の非点収差補正装置によって操作されるサブビームを準備することによって補正され得る。
【0095】
[00104] 実施形態は、マルチビームのサブビームの他の配置も含む。荷電粒子光軸に沿って見たときに、マルチビーム内のサブビームの位置は、実質的に正方形のグリッド、実質的に菱形のグリッド、実質的にゆがんだ(skewed)正方形グリッド、実質的にシフトされた正方形グリッド、実質的に押しつぶされた(squashed)正方形グリッド、実質的にオフセットされた正方形グリッド、実質的に六角形のグリッド、実質的にシフトされた六角形グリッド、実質的に押しつぶされた六角形グリッド、実質的にオフセットされた六角形グリッド、及び/又は実質的にゆがんだ六角形グリッドの頂点に実質的に対応し得る。各マニピュレータデバイスの平面電極表面の対の配置は、各電極対がサブビームのラインを偏向させるように配置されるようなマルチビームのサブビームの配置に従って決定され得る。
【0096】
[00105] 具体的には、マルチビーム内のサブビームの位置が実質的に正方形のグリッドの頂点に対応する場合、電極対の2つのセットが設けられ得る。これらは、電極対601の第1のセット、及び電極対602の第2のセットでもよい。第1の電極対及び第2の電極対は、すべてのサブビームパスが荷電粒子光軸及び単一のクロスオーバー場所に向けて偏向され得るように、直交方向にアライメントされ得る。代替的に、マルチビーム内のサブビームの位置が、実質的に六角形のグリッドの頂点に対応する場合、電極対の3つのセットが設けられ得る。これらは、すべてのサブビームパスが荷電粒子光軸及び単一のクロスオーバー場所に向けて偏向され得るように、すべての隣接するアライメント間の角度間隔が同じである状態で、異なる方向にアライメントされ得る。このような配置では、マルチビームマニピュレータは、直列に配置された平行プレートの幾つかのアレイを有し得、各アレイは、マルチビームのビーム配置の異なる軸に対応し、及びそれにアライメントされる。
【0097】
[00106] 実施形態は、実質的に六角形のグリッドの頂点に対応するマルチビーム内のサブビームの位置も含む(ただし、電極対の2つの直交アライメントされたセットのみが設けられる)。図7Bには、サブビームのサブセットを示す正方形がある。サブビームの基本的な六角形パターンにもかかわらず、サブビームがやはり直交方向に線形にアライメントされることが、正方形の辺から明らかであり、直交方向は、図7Bに示される表示では、水平及び垂直ラインである。例えば、図7Bに示される表示に基づいて、サブビームの水平ラインのすべては、電極対の第1のセットによって偏向され得、サブビームの垂直ラインのすべては、電極対の第2のセットによって偏向され得る。電極対の第1のセット内で、サブビームの異なるラインを偏向させるように配置された隣接する電極間のピッチ、すなわち間隔は、電極対の第2のセット内の対応するピッチよりも大きいことに留意されたい。サブビームの位置が正六角形グリッドに対応する場合、ピッチの比例差は、((√3)/2)となり得る。しかしながら、実施形態は、実質的にオフセットされた、シフトされた、ゆがんだ、及び/又は押しつぶされた六角形グリッドに配置されたサブビームを使用することによって、このピッチ差を減少させること、及び/又は増加させることを含む。
【0098】
[00107] したがって、実施形態は、荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスを偏向させるための1つ又は複数のマルチビームマニピュレータデバイスを提供する。サブビームのパスに対する主偏向は、各マルチビームマニピュレータデバイスによって適用することができる。サブビームは、サブビームが複数のラインに配置されるアレイに配置される。各マルチビームマニピュレータデバイスは、平行平面電極表面の複数の対を含む電極の1セットを含む。各電極対は、サブビームのラインのうちの1つのラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームのラインのうちの上記1つのラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含む。各平行平面電極表面対は、サブビームのパスに対してある偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成される。電極のセットのセット内で、すべての電極対は、マルチビームのサブビームのパスを同じ方向に偏向させ得る。代替的に、1つ又は複数の電極対が、1つ又は複数の他の電極対とは反対方向にサブビームのパスを偏向させ得る。セット内の1つ又は複数の電極対は、サブビームのパスに対して全く偏向を適用しなくてもよい。
【0099】
[00108] 各マルチビームマニピュレータデバイス内の電極対は、異なる複数の偏向量をサブビームに適用するように配置され得る。
【0100】
[00109] 各マルチビームマニピュレータデバイス内のすべての電極対は、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用することによって、サブビームのパスに対して偏向を適用するように構成されてもよい。代替的に、各マルチビームマニピュレータデバイス内の電極対のうちの1つ又は複数(ただし、すべてではない)が、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用することによって、サブビームのパスに対して偏向を適用するように構成されてもよい。
【0101】
[00110] マルチビーム内のサブビームのラインはすべて、互いに平行でもよく、各マルチビームマニピュレータデバイス内のすべての電極対は、マルチビーム内のすべてのサブビームを偏向することができるように構成されてもよい。
【0102】
[00111] 各マルチビームマニピュレータデバイス内のすべての電極対は、各電極対が、マルチビームのサブビームの1つのラインのみを偏向できるように構成されてもよい。代替的に、各マルチビームマニピュレータデバイス内の電極対のうちの1つ又は複数は、それらがマルチビームのサブビームの2つ以上のラインを偏向できるように構成されてもよい。
【0103】
[00112] 各マルチビームマニピュレータデバイス内のすべての電極対は、それらが、互いに同じ平面内に配置されるように構成されてもよく、この平面は、マルチビームの荷電粒子光軸(すなわち、マルチビームのパス)に対して実質的に直角である。
【0104】
[00113] 各マルチビームマニピュレータデバイス内のすべての電極対は、各電極対の間の印加電界が、荷電粒子光軸に対して実質的に直角であるように構成されてもよい。各電極対の間の印加電界は、マルチビームマニピュレータデバイスの動作時には、実質的に一定でもよい。
【0105】
[00114] 各マルチビームマニピュレータデバイス内の各電極対は、印加電界が、方向及び/又は大きさに関して、他の電極対によって印加される電界と異なるように構成され得る。したがって、マルチビームのサブビームのラインのパスの何れか1つに対して適用される偏向は、方向及び/又は大きさに関して、サブビームのラインのパスのその他の1つによる適用される偏向とは異なり得る。各印加電界は、別の印加電界による印加電界と大きさが等しく、方向が反対であり得る。マルチビームマニピュレータデバイスにおける印加電界は、サブビームの各ラインのパスが、マルチビームマニピュレータデバイスからダウンビームにあるサブビームのすべての他のラインのパスと交差するようにサブビームのラインのパスを偏向させるように配置され得る。ある配置では、印加電界は、アレイの中間点からのそれぞれの平行プレート対の距離に依存し得、追加的又は代替的に、平行プレート対間に印加される電界の方向は、アレイの中間点に対する対の方向に依存し得る。中間点は、(ある特定のアレイに関してビームのラインに沿うとは対照的に)平行プレートのアレイを横切る方向にある電子光軸の場所に対応し得る。
【0106】
[00115] 上記の通り、実施形態は、マルチビームマニピュレータ配置も含む。マルチビームマニピュレータ配置は、荷電粒子光軸及び/又はマルチビームのパスに沿った異なる位置に配置された複数のマルチビームマニピュレータデバイスを含む。各マルチビームマニピュレータデバイスの軸は、異なる方向にアライメントされ得る。例えば、マルチビームマニピュレータ配置は、互いに対して直角にアライメントされた軸を有するマルチビームマニピュレータデバイス、及び/又は互いに対して30度、60度、90度、120度、又は150度にアライメントされた軸を有するマルチビームマニピュレータデバイスを含み得る。
【0107】
[00116] イルミネータなどのマルチビーム荷電粒子装置は、荷電粒子ビームを放出するように配置された荷電粒子源と、ビームに基づいて荷電粒子マルチビームを発生させるように配置されたマルチビーム発生器とを含み得る。荷電粒子装置は、荷電粒子マルチビームのサブビームのラインを操作可能な上記の実施形態によれば、マルチビームマニピュレータデバイス、及び/又はマルチビームマニピュレータ配置を含み得る。
【0108】
[00117] マルチビーム荷電粒子装置の荷電粒子光軸は、マルチビーム発生器から出力されたマルチビームのサブビームの平均方向と平行と定義され得る。
【0109】
[00118] マルチビーム荷電粒子装置は、サブビームのそれぞれに対して、サブビーム及び/又はサブビームのパスを操作するための1つ又は複数のマニピュレータをさらに含み得る。それによって、サブビーム又はサブビームパスのすべては、マニピュレータアレイによって個々に操作され得る。マニピュレータアレイは、マルチビームのサブビームのパスを実質的にコリメートするように、又は任意の他のタイプの操作を適用するように構成され得る。マニピュレータアレイ内の個々のマニピュレータのそれぞれは、例えば、4極、8極、又は12極電極配置を含み得る。上記の通り、実施形態による1つ又は複数のマニピュレータデバイスの使用は、マニピュレータがサブビームパスに対して微細な操作を適用することだけが必要とされることをもたらすことができ、これは、設計及びマニピュレータアレイの実装の単純化、並びにマニピュレータアレイ内の個々のマニピュレータの数及び密度の増加などの幾つかの利点を提供することができる。微細な操作は、低動作電圧で達成され得、配線及びルーティング要件が低減される。
【0110】
[00119] 図8に示されるように、サブビームを操作するための個々のマニピュレータは、マニピュレータアレイに配置され得る。図8は、正方形グリッドに配置された25のサブビームを操作するためのマニピュレータアレイを示す。マニピュレータアレイは、マルチビームのサブビームの数及び配置での動作のために必要に応じて、異なる数及び配置のマニピュレータを含み得る。
【0111】
[00120] 図9は、荷電粒子装置の一部を通るz-y面の断面を示す概略図である。図9に示されるように、902は、x軸に沿ってアライメントされた、実施形態によるマニピュレータデバイスであり得る。904は、y軸に沿ってアライメントされた、実施形態によるマニピュレータデバイスであり得る。マニピュレータアレイは、位置901、903、又は905の1つ又は複数におけるマルチビームパスに設けられてもよい。したがって、2つ以上のマニピュレータアレイが設けられ得る。マニピュレータアレイ内のマニピュレータによって生じる収差量は、マニピュレータを通るサブビームパスがすべて、マニピュレータアレイの平面に対して実質的に垂直である場合に最小となり得る。これは、荷電粒子軸に沿ったこのような位置にマニピュレータアレイの1つ又は複数を位置決めする利点となり得、例えば、マニピュレータアレイのすべてが、マニピュレータデバイスのアップビームに(例えば、図9の位置901に)配置され得る。
【0112】
[00121] 図9に示される荷電粒子装置の部分は、複数のサブビームを焦点に収束させるように配置される。サブビームの収束により、マニピュレータアレイ内の隣接するコンポーネント間のピッチ、すなわち分離は、y方向において、903に位置決めされたマニピュレータアレイの場合、901に位置決めされたマニピュレータアレイの場合よりも小さくなり得る。同様に、マニピュレータアレイ内の隣接するコンポーネント間のピッチは、x方向において、905に位置決めされたマニピュレータアレイの場合、901及び/又は903に位置決めされたマニピュレータアレイの場合よりも小さくなり得る。
【0113】
[00122] マニピュレータデバイス及び/又はマニピュレータアレイの駆動信号は、荷電粒子光軸に沿ってサブビームの焦点の位置を制御するため、及び/又はx-y面において焦点の位置を制御するために変更され得る。マニピュレータデバイスは、サブビームのx位置及び/又はy位置における誤差に対して修正を適用するようにも構成され得る。
【0114】
[00123] 実施形態は、マルチビームが広がりビームであるように、荷電粒子装置の一部に入ったサブビームが発散することも含む。マニピュレータデバイスは、発散サブビームをコリメートするように配置され得る。この構成では、マニピュレータアレイのコンポーネント間のピッチは、代替的に、マニピュレータアレイのダウンビーム場所と共に増大し得る。
【0115】
[00124] 図9は、一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。荷電粒子装置の一般的な実装において、マニピュレータアレイ及びマニピュレータデバイスのそれぞれの間のz方向の分離は、数ミリメートルでもよい。サブビームの焦点までのz方向距離は、マニピュレータデバイスの場所から数百ミリメートルでもよい。
【0116】
[00125] 実施形態は、マルチビームのパスに1つ又は複数の非点収差補正装置を設けることも含む。マニピュレータアレイの構造を有する非点収差補正装置アレイは、図9の場所901、903、及び905の1つ又は複数に、及び/又は荷電粒子装置のこの部分のアップビーム及び/又はダウンビームに位置決めされてもよい。各非点収差補正装置要素は、多極電極デバイスである。各非点収差補正装置は、保護のためのシールドを含み得る。このシールドは、非点収差補正装置要素を滞在電子から保護するために、非点収差補正装置要素のアレイのすぐアップビームにあってもよい。このシールドは、非点収差補正装置アレイのアパーチャと適切な位置で対応したアパーチャを有する基板の形を取り得る。
【0117】
[00126] 実施形態は、マルチビーム内に任意の数及び配置のサブビームが存在することを含む。例えば、マルチビームのサブビームの配置は、n×mでもよく、nは、3、11、又は1000以上であり、mは、3、11、又は1000以上である。
【0118】
[00127] マニピュレータデバイスの各電極の高さ、すなわち、荷電粒子光軸に沿った長さは、約300μmなどの数百マイクロメートルでもよい。
【0119】
[00128] 電極対の2つの電極間の空間は、約50μm~数百マイクロメートルでもよい。
【0120】
[00129] 各電極は、例えば、金属被覆シリコン又は高濃度ドープシリコンから作られてもよい。
【0121】
[00130] 実施形態は、上記の技術に対する幾つかの変更形態及び変形形態を含む。
【0122】
[00131] マルチビーム荷電粒子装置は、検査(若しくはメトロ検査(metro-inspection))ツールのコンポーネント、又は電子ビームリソグラフィツールの一部でもよい。実施形態によるマルチビーム荷電粒子装置は、SEMだけではなく電子顕微鏡法一般、及びリソグラフィを含む幾つかの異なる用途において使用され得る。
【0123】
[00132] 実施形態は、実施形態による上記のマニピュレータデバイスを含むマルチビーム検査及び/又はメトロロジツールを含む。マニピュレータデバイスは、荷電粒子マルチビームをサンプル上に投影するように配置された走査デバイスの一部でもよい。マルチビーム検査ツールは、照明されたサンプルから受け取った荷電粒子(二次電子など)を検出するように配置された検出器を含み得る。
【0124】
[00133] 実施形態は、実施形態による上記のマニピュレータデバイスを含むマルチビームリソグラフィツールも含む。
【0125】
[00134] 具体的には、マルチビーム荷電粒子装置は、実施形態によるマニピュレータデバイス、及び図1~3を参照して上記で説明した装置のコンポーネントの何れかの両方を含み得る。
【0126】
[00135] マルチビーム荷電粒子装置は、図1~3に示されるように、単一の荷電粒子源を含み得る。代替的に、マルチビーム荷電粒子装置は、複数の荷電粒子源を含んでもよい。ソースごとに別個のコラム、及び各コラムに設けられた、実施形態によるマニピュレータデバイスが存在してもよい。代替的に、マルチビーム荷電粒子装置は、複数の荷電粒子源及びたった1つのコラムを含んでもよい。実施形態による1つ又は複数のマニピュレータデバイスが、単一のコラムに設けられてもよい。
【0127】
[00136] 実施形態全体を通して、荷電粒子光軸が記載されている。この軸は、照明装置を通る、及び照明装置から出力された荷電粒子のパスを表す。出力されたマルチビームのサブビームはすべて、荷電粒子光軸と実質的に平行でもよい。荷電粒子光軸は、照明装置の機械軸と同じでもよく、又はそれとは異なってもよい。
【0128】
[00137] 実施形態は、以下の記述を含む。
【0129】
[00138] 本発明の第1の態様によれば、荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスに対して作用することによって、複数のサブビームパスを偏向させるように構成されたマルチビームマニピュレータデバイスであって、サブビームが複数のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、マルチビームマニピュレータデバイスが、複数の平行平面電極表面対を含む電極の1セットを含み、セット内の第1の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの1つのラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームパスのラインのうちの上記1つのラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、セット内の第2の平行平面電極表面対が、サブビームパスのラインのうちの別のラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームパスのラインのうちの上記別のラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、第1の平行平面電極表面対が、第1の方向において、サブビームのパスに対して第1の偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、第2の平行平面電極表面対が、第2の方向において、サブビームのパスに対して第2の偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、第1の方向が第2の方向の反対である、マルチビームマニピュレータデバイスが提供される。
【0130】
[00139] 好ましくは、第1の偏向量の大きさは、第2の偏向量の大きさとは異なる。
【0131】
[00140] 好ましくは、セット内の各平行平面電極表面対は、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用することによって、偏向をサブビームのパスに適用するように構成される。
【0132】
[00141] 好ましくは、複数の平行平面電極表面対は、アレイ内のサブビームのラインのすべてを偏向させることができるように構成され、サブビームのラインは、アレイにわたり互いに実質的に平行する。
【0133】
[00142] 好ましくは、複数の平行平面電極表面対は、アレイ内のサブビームのラインのうちのすべてではないが少なくとも2つを偏向させることができるように構成され、サブビームのラインは、アレイにわたり互いに実質的に平行する。
【0134】
[00143] 好ましくは、セット内の各平行平面電極表面対は、マルチビームのサブビームの1つのラインのみを偏向させることができるように構成される。
【0135】
[00144] 好ましくは、平行平面電極表面対のすべてが、互いに同じ平面内に配置され、平面は、荷電粒子光軸に対して実質的に直角である。
【0136】
[00145] 好ましくは、各平行平面電極表面対は、サブビームのラインにおけるサブビームのパスのすべてを静電的に偏向させるために、それの第1の平面表面と第2の平面表面との間に電界を印加するように構成され、印加電界は、荷電粒子光軸に対して実質的に直角である。
【0137】
[00146] 好ましくは、使用時には、各平行平面電極表面対は、サブビームのラインにおけるサブビームのすべてのパスを偏向させるために、それの第1の平面表面と第2の平面表面との間に実質的に一定の電界を印加する。
【0138】
[00147] 好ましくは、各平行平面電極表面対は、マルチビームのサブビームの各ラインに対する適用された偏向が方向及び/又は大きさに関して異なるように、方向及び/又は大きさに関して、他の平行平面電極表面対によって印加される電界とは異なる電界を印加するように構成される。
【0139】
[00148] 好ましくは、1つ又は複数の平行平面電極表面対のそれぞれに関して、平行平面電極表面対による印加電界は、別の平行平面電極表面対による印加電界とは大きさが等しく、且つ方向が反対である。
【0140】
[00149] 好ましくは、荷電粒子光軸に沿って見たときに、マルチビーム内のサブビームの位置が、実質的に正方形のグリッド、実質的に菱形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた正方形グリッドの頂点に実質的に対応する。
【0141】
[00150] 好ましくは、荷電粒子光軸に沿って見たときに、マルチビーム内のサブビームの位置が、実質的に六角形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた六角形グリッドの頂点に実質的に対応する。
【0142】
[00151] 本発明の第2の態様によれば、第1の態様による第1のマルチビームマニピュレータデバイスと、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスであって、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスのそれぞれが、第1の態様によるマルチビームマニピュレータデバイスである、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスと、を含むマルチビームマニピュレータ配置であって、各マルチビームマニピュレータデバイスが、マルチビームマニピュレータ配置の荷電粒子光軸に沿った異なる位置に配置される、マルチビームマニピュレータ配置が提供される。
【0143】
[00152] 好ましくは、平面電極表面対が、各マルチビームマニピュレータデバイス内で同じ方向に、及び各マルチビームマニピュレータデバイスにおいて異なる方向にアライメントされる。
【0144】
[00153] 好ましくは、マルチビームマニピュレータ配置は、第2のマルチビームマニピュレータデバイスを含み、第2のマルチビームマニピュレータデバイスにおける平面電極表面対が、第1のマルチビームマニピュレータデバイスに対して実質的に直角に、及びダウンパスにアライメントされる。
【0145】
[00154] 好ましくは、マルチビームマニピュレータ配置は、第2のマルチビームマニピュレータデバイスを含み、マルチビームマニピュレータ配置は、第3のマルチビームマニピュレータデバイスを含み、第1のマルチビームマニピュレータデバイス、第2のマルチビームマニピュレータデバイス、及び第3のマルチビームマニピュレータデバイスにおける平面電極表面対がそれぞれ異なる方向にアライメントされる。
【0146】
[00155] 好ましくは、アレイは、ラインの3つの異なるセットを含み、ラインの各セットは、異なる方向にアライメントされる。
【0147】
[00156] 好ましくは、マルチビームマニピュレータデバイスの少なくとも1つに関して、サブビームの各ラインのパスが、マルチビームマニピュレータデバイスの少なくとも1つからダウンビームにあるサブビームの他のラインのすべてのパスと交差するように、1つ又は複数の平行電極表面対が、サブビームの各ラインのパスを偏向させるように構成される。
【0148】
[00157] 本発明の第3の態様によれば、ビームを放出するように配置された荷電粒子源と、ビームに基づいてマルチビームを発生させるように配置されたマルチビーム発生器であって、マルチビームが複数のサブビームを含む、マルチビーム発生器と、マルチビーム発生器によって発生したマルチビームのサブビームのパスを操作するように構成された、第1の態様によるマルチビームマニピュレータデバイス、又は第2の態様によるマルチビームマニピュレータ配置の一方と、を含む、荷電粒子システムが提供される。
【0149】
[00158] 好ましくは、荷電粒子光軸は、マルチビーム発生器から出力されたマルチビームのサブビームの平均方向と平行と定義される。
【0150】
[00159] 好ましくは、システムは、サブビームのそれぞれに対して、サブビームのパスを個々に操作することができるように、サブビームパスを操作するための1つ又は複数のマニピュレータをさらに含む。
【0151】
[00160] 好ましくは、サブビームを操作するためのマニピュレータは、マルチビームのサブビームパスを実質的にコリメートするように構成される。
【0152】
[00161] 好ましくは、荷電粒子は電子である。
【0153】
[00162] 本発明の第4の態様によれば、第3の態様による荷電粒子システムを含む電子ビーム検査ツールが提供される。
【0154】
[00163] 本発明の第5の態様によれば、第3の態様による荷電粒子システムを含む電子ビームリソグラフィツールが提供される。
【0155】
[00164] 本発明の第6の態様によれば、荷電粒子マルチビームの複数のサブビームパスに対して、複数のサブビームパスを偏向させるように作用するように構成されたマルチビームマニピュレータデバイスであって、サブビームが一連のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、マルチビームマニピュレータデバイスが、複数の平行平面電極表面対を含み、第1の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含み、第2の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含み、第1の平行平面電極表面対及び第2の平行平面電極表面対が、アレイと交差するようにマルチビームにわたり延在し、動作時に、表面対の間のラインにおけるそれぞれのサブビームパスと静電的に相互作用するように構成される、マルチビームマニピュレータデバイスが提供される。
【0156】
[00165] 本発明の第7の態様によれば、荷電粒子マルチビームのサブビームパスのアレイを操作するように構成されたマルチビームマニピュレータであって、サブビームが、アレイ内でラインに配置され、ラインが、少なくとも2つの異なるライン方向にあり、マルチビームマニピュレータデバイスが、アレイ内のライン方向の数に対応し、及びマルチビームのパス上の異なる位置に配置された幾つかの偏向器デバイスを含み、各偏向器デバイスが、複数の平行平面電極表面対を含み、各偏向器デバイスの平行平面電極表面が、異なるライン方向にアライメントされ、複数の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む第1の平行平面電極表面対と、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む第2の平行平面電極表面対であって、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインが、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインと平行する、第2の平行平面電極表面対と、を含み、第1の平行平面電極表面対及び第2の平行平面電極表面対が、アレイと交差するようにマルチビームにわたり延在し、動作時に、表面対の間のラインにおけるそれぞれのサブビームパスと静電的に相互作用するように構成される、マルチビームマニピュレータが提供される。
【0157】
[00166] 本発明の第8の態様によれば、荷電粒子マルチビームのサブビームパスのアレイを操作するように構成されたマルチビームマニピュレータであって、サブビームが、アレイ内でラインに配置され、ラインが、少なくとも2つの異なるライン方向にあり、マルチビームマニピュレータデバイスが、アレイ内のライン方向の数に対応し、及びマルチビームパスに沿って位置決めされた幾つかの偏向器デバイスを含み、各偏向器デバイスが、複数の平面平行対向電極表面を含み、各偏向器デバイスの平面平行電極表面が、異なるライン方向にアライメントされ、複数の平行平面電極表面対が、少なくとも2つの対向平行平面電極表面対を含み、少なくとも2つの対向平行平面電極表面対では、動作時に、各対向平行平面電極表面対が、上記表面間のそれぞれの少なくとも1つのラインにおけるサブビームパスのすべてと静電的に相互作用するように、各対向平面平行表面対が、サブビームパスの別の少なくとも1つのラインの両側のマルチビームアレイにわたり交差するように構成された、マルチビームマニピュレータが提供される。
【0158】
[00167] 好ましくは、マルチビームマニピュレータは、サブビームを焦点に偏向させるように構成される。
【0159】
[00168] 本発明の第9の態様によれば、荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスを偏向させる方法であって、サブビームが複数のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、方法が、第1の偏向量が第1の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第1のライン全体と静電的に相互作用することと、第2の偏向量が第2の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第2のライン全体と静電的に相互作用することと、を含み、第1の方向が第2の方向の反対である、方法が提供される。
【0160】
[00169] 様々な実施形態に関連して本発明を説明したが、ここに開示される本発明の明細書及び実施に鑑みて、本発明の他の実施形態が当業者には明らかとなるだろう。本明細書及び実施例は、単なる例示と見なされることが意図され、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0161】
[00170] 上記の説明は、限定ではなく、理解を助けるものであることが意図される。したがって、以下に記載される請求項の範囲から逸脱することなく、説明されたように変更を加えることができることが当業者には明らかとなるだろう。
【0162】
[00171] 以下の条項による配置において開示される。
【0163】
[00172] 条項1:荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスに対して作用することによって、複数のサブビームパスを偏向させるように構成されたマルチビームマニピュレータデバイスであって、サブビームが複数のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、マルチビームマニピュレータデバイスが、複数の平行平面電極表面対を含む電極の1セットを含み、
[00173] セット内の第1の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの1つのラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームパスのラインのうちの上記1つのラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、
[00174] セット内の第2の平行平面電極表面対が、サブビームパスのラインのうちの別のラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームパスのラインのうちの上記別のラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含み、
[00175] 第1の平行平面電極表面対が、第1の方向において、サブビームのパスに対して第1の偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、
[00176] 第2の平行平面電極表面対が、第2の方向において、サブビームのパスに対して第2の偏向量を適用できるように、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用するように構成され、
[00177] 第1の方向が第2の方向の反対である、マルチビームマニピュレータデバイス。
【0164】
[00178] 条項2:第1の偏向量の大きさが、第2の偏向量の大きさとは異なる、条項1に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0165】
[00179] 条項3:セット内の各平行平面電極表面対が、マルチビームのサブビームのライン全体と静電的に相互作用することによって、偏向をサブビームのパスに適用するように構成される、条項1又は2に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0166】
[00180] 条項4:複数の平行平面電極表面対が、アレイ内のサブビームのラインのすべてを偏向させることができるように構成され、サブビームのラインが、アレイにわたり互いに実質的に平行する、条項1~3の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0167】
[00181] 条項5:複数の平行平面電極表面対が、アレイ内のサブビームのラインのうちのすべてではないが少なくとも2つを偏向させることができるように構成され、サブビームのラインが、アレイにわたり互いに実質的に平行する、条項1~3の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0168】
[00182] 条項6:セット内の各平行平面電極表面対が、マルチビームのサブビームの1つのラインのみを偏向させることができるように構成される、条項1~5の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0169】
[00183] 条項7:平行平面電極表面対のすべてが、互いに同じ平面内に配置され、平面が、荷電粒子光軸に対して実質的に直角である、条項1~6の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0170】
[00184] 条項8:各平行平面電極表面対が、サブビームのラインにおけるサブビームのパスのすべてを静電的に偏向させるために、それの第1の平面表面と第2の平面表面との間に電界を印加するように構成され、印加電界が、荷電粒子光軸に対して実質的に直角である、条項1~7の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0171】
[00185] 条項9:使用時には、各平行平面電極表面対が、サブビームのラインにおけるサブビームのすべてのパスを偏向させるために、その第1の平面表面と第2の平面表面との間に実質的に一定の電界を印加する、条項1~8の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0172】
[00186] 条項10:各平行平面電極表面対が、マルチビームのサブビームの各ラインに対する適用された偏向が方向及び/又は大きさに関して異なるように、方向及び/又は大きさに関して、他の平行平面電極表面対によって印加される電界とは異なる電界を印加するように構成される、条項1~9の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0173】
[00187] 条項11:1つ又は複数の平行平面電極表面対のそれぞれに関して、平行平面電極表面対による印加電界が、別の平行平面電極表面対による印加電界とは大きさが等しく、且つ方向が反対である、条項1~10の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0174】
[00188] 条項12:荷電粒子光軸に沿って見たときに、マルチビーム内のサブビームの位置が、実質的に正方形のグリッド、実質的に菱形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた正方形グリッドの頂点に実質的に対応する、条項1~11の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0175】
[00189] 条項13:荷電粒子光軸に沿って見たときに、マルチビーム内のサブビームの位置が、実質的に六角形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた六角形グリッドの頂点に実質的に対応する、条項1~11の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス。
【0176】
[00190] 条項14:条項1~13の何れか一項に記載の第1のマルチビームマニピュレータデバイスと、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスであって、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスのそれぞれが、条項1~13の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイスである、1つ又は複数のさらなるマルチビームマニピュレータデバイスと、を含むマルチビームマニピュレータ配置であって、各マルチビームマニピュレータデバイスが、マルチビームマニピュレータ配置の荷電粒子光軸に沿った異なる位置に配置される、マルチビームマニピュレータ配置。
【0177】
[00191] 条項15:平面電極表面対が、各マルチビームマニピュレータデバイス内で同じ方向に、及び各マルチビームマニピュレータデバイスにおいて異なる方向にアライメントされる、条項14に記載のマルチビームマニピュレータ配置。
【0178】
[00192] 条項16:マルチビームマニピュレータ配置が、第2のマルチビームマニピュレータデバイスを含み、第2のマルチビームマニピュレータデバイスにおける平面電極表面対が、第1のマルチビームマニピュレータデバイスに対して実質的に直角に、及びダウンパスにアライメントされる、条項14又は15に記載のマルチビームマニピュレータ配置。
【0179】
[00193] 条項17:マルチビームマニピュレータ配置が、第2のマルチビームマニピュレータデバイスを含み、マルチビームマニピュレータ配置が、第3のマルチビームマニピュレータデバイスを含み、第1のマルチビームマニピュレータデバイス、第2のマルチビームマニピュレータデバイス、及び第3のマルチビームマニピュレータデバイスにおける平面電極表面対がそれぞれ異なる方向にアライメントされる、条項14又は15に記載のマルチビームマニピュレータ配置。
【0180】
[00194] 条項18:アレイが、ラインの3つの異なるセットを含み、ラインの各セットが、異なる方向にアライメントされる、条項17に記載のマルチビームマニピュレータ配置。
【0181】
[00195] 条項19:マルチビームマニピュレータデバイスの少なくとも1つに関して、サブビームの各ラインのパスが、マルチビームマニピュレータデバイスの少なくとも1つからダウンビームにあるサブビームの他のラインのすべてのパスと交差するように、1つ又は複数の平行電極表面対が、サブビームの各ラインのパスを偏向させるように構成される、条項14~18の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータ配置。
【0182】
[00196] 条項20:ビームを放出するように配置された荷電粒子源と、ビームに基づいてマルチビームを発生させるように配置されたマルチビーム発生器であって、マルチビームが複数のサブビームを含む、マルチビーム発生器と、マルチビーム発生器によって発生したマルチビームのサブビームのパスを操作するように構成された、条項1~13の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータデバイス、又は条項14~19の何れか一項に記載のマルチビームマニピュレータ配置の一方と、を含む、荷電粒子システム。
【0183】
[00197] 条項21:荷電粒子光軸が、マルチビーム発生器から出力されたマルチビームのサブビームの平均方向と平行と定義される、条項20に記載の荷電粒子システム。
【0184】
[00198] 条項22:システムが、サブビームのそれぞれに対して、サブビームのパスを個々に操作することができるように、サブビームパスを操作するための1つ又は複数のマニピュレータをさらに含む、条項20又は21に記載の荷電粒子システム。
【0185】
[00199] 条項23:サブビームを操作するためのマニピュレータが、マルチビームのサブビームパスを実質的にコリメートするように構成される、条項20~22の何れか一項に記載の荷電粒子システム。
【0186】
[00200] 条項24:荷電粒子が電子である、条項20~23の何れか一項に記載の荷電粒子システム。
【0187】
[00201] 条項25:条項20~24の何れか一項に記載の荷電粒子システムを含む電子ビーム検査ツール。
【0188】
[00202] 条項26:条項20~24の何れか一項に記載の荷電粒子システムを含む電子ビームリソグラフィツール。
【0189】
[00203] 条項27:荷電粒子マルチビームの複数のサブビームパスに対して、複数のサブビームパスを偏向させるように作用するように構成されたマルチビームマニピュレータデバイスであって、サブビームが一連のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、マルチビームマニピュレータデバイスが、複数の平行平面電極表面対を含み、
[00204] 第1の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含み、
[00205] 第2の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含み、
[00206] 第1の平行平面電極表面対及び第2の平行平面電極表面対が、アレイと交差するようにマルチビームにわたり延在し、動作時に、表面対の間のラインにおけるそれぞれのサブビームパスと静電的に相互作用するように構成される、マルチビームマニピュレータデバイス。
【0190】
[00207] 条項28:荷電粒子マルチビームのサブビームパスのアレイを操作するように構成されたマルチビームマニピュレータであって、サブビームが、アレイ内でラインに配置され、ラインが、少なくとも2つの異なるライン方向にあり、マルチビームマニピュレータデバイスが、アレイ内のライン方向の数に対応し、及びマルチビームのパス上の異なる位置に配置された幾つかの偏向器デバイスを含み、各偏向器デバイスが、複数の平行平面電極表面対を含み、各偏向器デバイスの平行平面電極表面が、異なるライン方向にアライメントされ、複数の平行平面電極表面対が、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む第1の平行平面電極表面対と、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインに沿った両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む第2の平行平面電極表面対であって、サブビームのラインのうちの少なくとも別の1つのラインが、サブビームのラインのうちの少なくとも1つのラインと平行する、第2の平行平面電極表面対と、を含み、第1の平行平面電極表面対及び第2の平行平面電極表面対が、アレイと交差するようにマルチビームにわたり延在し、動作時に、表面対の間のラインにおけるそれぞれのサブビームパスと静電的に相互作用するように構成される、マルチビームマニピュレータ。
【0191】
[00208] 条項29:荷電粒子マルチビームのサブビームパスのアレイを操作するように構成されたマルチビームマニピュレータであって、サブビームが、アレイ内でラインに配置され、ラインが、少なくとも2つの異なるライン方向にあり、マルチビームマニピュレータデバイスが、アレイ内のライン方向の数に対応し、及びマルチビームパスに沿って位置決めされた幾つかの偏向器デバイスを含み、各偏向器デバイスが、複数の平面平行対向電極表面を含み、各偏向器デバイスの平面平行電極表面が、異なるライン方向にアライメントされ、複数の平行平面電極表面対が、少なくとも2つの対向平行平面電極表面対を含み、少なくとも2つの対向平行平面電極表面対では、動作時に、各対向平行平面電極表面対が、上記表面間のそれぞれの少なくとも1つのラインにおけるサブビームパスのすべてと静電的に相互作用するように、各対向平面平行表面対が、サブビームパスの別の少なくとも1つのラインの両側のマルチビームアレイにわたり交差するように構成された、マルチビームマニピュレータ。
【0192】
[00209] 条項30:マルチビームマニピュレータが、サブビームを焦点に偏向させるように構成される、条項29に記載のマルチビームマニピュレータ。
【0193】
[00210] 条項31:荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスを偏向させる方法であって、サブビームが複数のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、方法が、第1の偏向量が第1の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第1のライン全体と静電的に相互作用することと、第2の偏向量が第2の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第2のライン全体と静電的に相互作用することと、を含み、第1の方向が第2の方向の反対である、方法。
【0194】
[00211] 条項32:荷電粒子マルチビームの複数のサブビームのパスを偏向させる方法であって、サブビームが複数のラインに配置されるアレイにサブビームが配置され、サブビームのラインが、アレイにわたり互いに実質的に平行であり、方法が、複数の平行平面電極表面対を含む電極の1セットの第1の平行平面電極表面対を使用して、第1の偏向量が第1の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第1のライン全体と静電的に相互作用することであって、第1の平行平面電極表面対が、サブビームの第1のラインにおいてサブビームのすべてを偏向できるように構成される、相互作用することと、電極の1セットの第2の平行平面電極表面対を使用して、第2の偏向量が第2の方向においてサブビームのパスに適用されるように、マルチビームのサブビームの第2のライン全体と静電的に相互作用することであって、第1の方向が第2の方向の反対であり、第2の平行平面電極表面対が、サブビームの第2のラインにおいてサブビームのすべてを偏向できるように構成される、相互作用することと、を含む、方法。
【0195】
[00212] 条項33:セット内の第1の平行平面電極表面対が、サブビームの第1のラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームの上記第1のラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含む。
【0196】
[00213] 条項34:セット内の第2の平行平面電極表面対が、サブビームの第2のラインの一方の側に沿って配置された第1の平面電極表面と、第1の平面電極表面と平行し、及びサブビームの上記第2のラインの反対側に沿って配置された第2の平面電極表面とを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子サブビームの複数のサブビームを操作するように構成されたマニピュレータであって、前記複数のサブビームは、二次元アレイにおける複数のラインに配置され、前記マニピュレータは、
前記二次元アレイにおける第1のラインのサブビームの両側に配置され、前記第1のラインのサブビームの偏向用に構成された第1の平行電極セットと、
前記二次元アレイにおける第2のラインのサブビームの両側に配置され、前記第1の平行電極セットの下流に位置する第2の平行電極セットであって、前記第2の平行電極セットは前記第2のラインのサブビームの偏向用に構成され、荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記第1のラインのサブビームは前記第2のラインのサブビームに非平行かつ非垂直である、第2の平行電極セットと、を含み、
前記第1の平行電極セットは、前記第1のラインのサブビームの両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む、マニピュレータ。
【請求項2】
前記第2の平行電極セットは、前記第2のラインのサブビームの両側に配置された2つの対向する平面平行電極表面を含む、請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記第1のラインのサブビーム及び前記第2のラインのサブビームは、前記複数のサブビームのうちの1つのサブビームを共有する、請求項1又は2に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記第1のラインのサブビーム及び前記第2のラインのサブビームは60度の角度で配置される、請求項1から3の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項5】
前記二次元アレイにおける第3のラインのサブビームの両側に配置され、前記第2の平行電極セットの下流に位置する第3の平行電極セットであって、前記第3の平行電極セットは前記第3のラインのサブビームの偏向用に構成され、前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記第1のラインのサブビームは前記第2のラインのサブビーム及び前記第3のラインのサブビームに非平行かつ非垂直である、第3の平行電極セットをさらに含む、請求項1から4の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項6】
前記第1のラインのサブビーム、前記第2のラインのサブビーム、及び前記第3のラインのサブビームは、前記複数のサブビームのうちの1つのサブビームを共有する、請求項5に記載のマニピュレータ。
【請求項7】
前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記二次元アレイにおける前記複数のサブビームの位置は、実質的に正方形のグリッド、実質的に菱形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた正方形グリッドの頂点に実質的に対応する、請求項1から6の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項8】
前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記二次元アレイにおける前記複数のサブビームの位置は、実質的に六角形のグリッド、及び/又は実質的にゆがんだ、若しくはシフトされた六角形グリッドの頂点に実質的に対応する、請求項1から7の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項9】
前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記二次元アレイにおける前記複数のサブビームの前記位置は、六方最密配置に従う、請求項8に記載のマニピュレータ。
【請求項10】
前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記二次元アレイにおける前記複数のサブビームは、前記二次元アレイの水平軸と平行するライン及び前記二次元アレイの垂直軸と平行するラインの両方に整列される、請求項1から9の何れか一項に記載のマニピュレータ。
【請求項11】
前記荷電粒子光軸に沿って見たときに、前記二次元アレイにおける前記複数のサブビームは、前記二次元アレイの水平軸及び垂直軸に対して斜めのラインに整列される、請求項1から10の何れか一項に記載のマニピュレータ。

【外国語明細書】