(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005726
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/18 20060101AFI20240110BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H45/18
B65H37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106047
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】山崎 洋平
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA09
3F108BB11
3F108BB14
3F108CD02
3F108EA06
3F108GA01
3F108GB03
(57)【要約】
【課題】サイズが定形だけでなく不定型のシート束についても、折り位置まで適切に搬送することができる後処理装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】シート状の媒体を搬送ガイド部材の搬送経路に順次搬送し、搬送された前記媒体のシート束に対し搬送方向の所定位置に処理を行う後処理装置において、搬送された前記シート束の搬送方向の先端部を整合する第一整合手段と、搬送された前記シート束の搬送方向の後端部を整合する2種類の第二整合手段及び第三整合手段と、を備え、これら第二整合手段と第三整合手段は搬送される媒体のサイズに応じて切り替え可能であり、かつ、第二整合手段における搬送方向の可動範囲と第三整合手段における搬送方向の可動範囲とが部分的に重なっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を搬送ガイド部材の搬送経路に順次搬送し、搬送された前記媒体のシート束に対し搬送方向の所定位置に処理を行う後処理装置であって、
搬送された前記シート束の搬送方向の先端部を整合する第一整合手段と、
搬送された前記シート束の搬送方向の後端部を整合する第二整合手段と、
搬送された前記シート束の搬送方向の後端部を前記第二整合手段の下流側に整合する第三整合手段と、
整合された前記シート束の搬送方向中央部を綴じる綴じ手段と、
綴じられた前記シート束を綴じ位置で折る中折り手段と、
を備え、
前記第二整合手段と前記第三整合手段は搬送される前記媒体のサイズに応じて切り替え可能であり、かつ、前記第二整合手段における搬送方向の可動範囲と前記第三整合手段における搬送方向の可動範囲とが部分的に重なっている、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記第二整合手段は、前記媒体を搬送する搬送手段を一体的に有している、ことを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記第三整合手段は、前記搬送ガイド部材の前記搬送経路から退避可能である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記第三整合手段は、前記搬送ガイド部材の側方に前記搬送経路に沿って配置された搬送ベルトと、前記搬送ベルトの周面に取り付けられた送り爪とからなる、ことを特徴とする請求項3に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記綴じ手段は、前記中折り手段よりも上部に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記第三整合手段は、前記綴じ手段のドライバ側に対して前記搬送経路を挟んで対向側に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項7】
搬送されてくるシート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
画像が形成された当該媒体を搬送ガイド部材に順次搬送し、搬送された当該記媒体のシート束に対し所定位置において処理を行う請求項1に記載の後処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体の端部を揃える「整合処理」、シート状の媒体に折り目を形成する「折り処理」、端部を整合したシートの束を綴じる「綴じ処理」及び媒体を二つ折りにして折り目位置で綴じる「中綴じ処理」などを行う後処理装置が知られている。また、媒体に画像を形成する画像形成装置と、画像が形成された媒体に対して上記の後処理を行う後処理装置と、を備えて構成される画像形成システムも知られている。
【0003】
この種の後処理装置における従来技術として、綴じ位置まで搬送したシート束にステイプルユニットを用いて綴じ処理を施した後、綴じられたシート束を折り位置まで搬送し、当該位置でシート束に折りローラとブレードを用いて折り処理を施して排出口に排紙するという中綴じ技術が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術によれば、シート束における搬送方向の後端部を整合する第1の上端押え部材と第2の上端押え部材を切り替えることにより、スモールサイズとラージサイズのシート束をそれぞれ折り位置まで搬送することができる。しかしながら、第1の上端押え部材と第2の上端押え部材の可動領域間に切れ目があるため、定型のスモールサイズとラージサイズのシート束以外のサイズの不定型シート束については、第1の上端押え部材がシート束の後端部に届かなくなり、シート束を折り位置まで搬送できなくなるという課題が発生する。
【0005】
本発明は、サイズが不定型のシート束についても、折り位置まで適切に搬送することができる後処理装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る後処理装置の一態様は、シート状の媒体を搬送ガイド部材の搬送経路に順次搬送し、搬送された前記媒体のシート束に対し搬送方向の所定位置に処理を行う後処理装置であって、搬送された前記シート束の搬送方向の先端部を整合する第一整合手段と、搬送された前記シート束の搬送方向の後端部を整合する第二整合手段と、搬送された前記シート束の搬送方向の後端部を前記第二整合手段の下流側に整合する第三整合手段と、整合された前記シート束の搬送方向中央部を綴じる綴じ手段と、綴じられた前記シート束を綴じ位置で折る中折り手段と、を備え、前記第二整合手段と前記第三整合手段は搬送される前記媒体のサイズに応じて切り替え可能であり、かつ、前記第二整合手段における搬送方向の可動範囲と前記第三整合手段における搬送方向の可動範囲とが部分的に重なっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サイズが不定型のシート束についても、折り位置まで適切に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成図。
【
図5】中綴じ機構に用いられる送り爪機構の外観斜視図。
【
図8】搬送する用紙が大サイズの場合における中綴じ機構の動作と用紙の挙動を示す説明図。
【
図9】搬送する用紙が小サイズの場合における中綴じ機構の動作と用紙の挙動を示す説明図。
【
図10】整合爪機構と送り爪機構の可動範囲を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システム600の概略構成図である。本実施形態に係る画像形成システム600は、シート状の媒体である用紙Pに画像を形成する画像形成装置200と、画像が形成された用紙Pに対して綴じ処理や中綴じ処理などを行う後処理装置300と、を備えて構成されている。
【0010】
なお、画像形成装置200と後処理装置300とからなる画像形成システム600に限らず、用紙Pに画像を形成する画像形成手段と、画像が形成された用紙Pに対して折り処理を行う折り処理手段とを備えた画像形成装置に対して本発明を適用することができる。
【0011】
本実施形態に係る画像形成システム600を構成する画像形成装置200の画像形成方式は限定されない。例えば、画像形成装置200として、画像処理回路と、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに用紙Pを搬送する搬送装置を備え、吐出された液体を用紙Pに付着させて画像を形成するインクジェット方式の画像形成ユニットを用いることができる。また、画像処理回路、感光体、光書き込み装置、現像装置、転写装置及び定着装置を備える電子写真方式を用いることもできる。また、熱転写方式の画像形成ユニットを用いることもできる。
【0012】
なお、画像処理回路は、画像形成装置200が複写機である場合のスキャナ部で読み取った画像データやパーソナルコンピュータ等の外部の情報処理装置から入力される画像データを画像形成処理に適する画像データに変換する。そして、変換した画像データを画像形成ユニットに出力する。
【0013】
画像形成装置200がインクジェット方式の画像形成ユニットを備える場合、画像処理回路から入力される画像データに基づいて、液体吐出ヘッドがインク滴を吐出するタイミングを、インク滴が着弾する位置に対する用紙Pに搬送を制御し、所定のタイミングでインク滴を吐出して用紙Pに付着させて画像を形成する。また、用紙Pに付着したインク滴を定着させるために乾燥ユニットにより乾燥させて後段に排出する。
【0014】
画像形成装置200が電子写真方式の画像形成ユニットを備える場合、光書き込み装置が画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行い感光体の表面に静電潜像を形成する。 そして、現像装置が光書き込みにより感光体の表面に形成された静電潜像をトナー現像し、転写装置が現像装置によって顕像化された感光体の表面上のトナー像を用紙Pに転写する。その後、定着装置が用紙P上に転写されたトナー像を用紙Pに定着させる。
【0015】
画像形成装置200でトナー像が定着された用紙Pは、後処理装置300に送り出され、後処理装置300によって所望の後処理が行われる。
【0016】
本実施形態に係る後処理装置300は、
図1に示すように、画像形成装置200の側部に取り付けられており、画像形成装置200から排出された用紙Pは後処理装置300に導かれる。
【0017】
後処理装置300には、CPUや記憶素子などのハードウェアにより構成される制御部において実行される制御プログラムによって、後処理装置300内の各種部材の動作制御などを行い、所定の後処理を実行可能に構成されている。なお、
図1において後処理装置300を含む制御部は図示していない。制御部は、画像形成装置200及び後処理装置300のそれぞれに備えられていてもよいし、いずれか一方に備えられていて、画像形成システム600の全体を制御するように構成されていてもよい。
【0018】
画像形成装置200から後処理装置300に搬入された用紙Pは、入口搬送路Aを通過して内部へと搬送される。入口搬送路Aには、穴あけ処理を実行する後処理ユニットとしての穿孔ユニット311が配置されている。なお、穴あけ処理を行なわない場合は、用紙Pは単に入口搬送路Aを通過して下流側に搬送される。その他の後処理も行なわない場合は、第一分岐爪312を
図1に示すように上搬送路Bへ用紙Pを案内する状態にする。これによって、用紙Pは、プルーフトレイ313へと排出される。
【0019】
また、用紙Pの端部を整合して綴じる「端綴じ処理」を行う場合は、第一分岐爪312を
図1の状態から、第二分岐爪314へと用紙Pを案内する状態に切り替える。そして、第二分岐爪314を
図1の状態のように、用紙Pを中間搬送路Cからステイプルトレイ323へと案内する状態にする。この状態で用紙Pが複数搬入されてきたときは、ステイプルトレイ323に所定枚数の用紙Pを案内して綴じ処理を行うことが可能になる。
【0020】
そして、ステイプルトレイ323に所定枚数の用紙Pがスタックして形成される用紙束(シート束)Pbの端部を整合し、端綴じステイプルユニット321によって端綴じ処理を行い、綴じられた用紙束を排紙トレイ324に排出する。
【0021】
また、中折り又は中綴じ及び中折り処理を行う場合は、第一分岐爪312を
図1の状態から切り替えるとともに第二分岐爪314を
図1の状態にして、用紙Pを中間搬送路Cに案内する。そして、用紙Pの搬送方向後端が第二分岐爪314を通過したら、第二分岐爪314を切り替えて、中間搬送ローラ325を逆転させる。そして、下搬送路Dを介して用紙Pを中綴じ処理ユニット400へと搬送する。
【0022】
以下、上記の構成に関し、より詳細に説明する。入口搬送路Aは、上搬送路B、中間搬送路C、下搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路である。入口搬送路Aには、画像形成装置200から受け入れる用紙Pを検出する入口センサ315、その下流に入口ローラ316、穿孔ユニット311、その下流に第一分岐爪312及び第二分岐爪314が順次配置される。
【0023】
第一分岐爪312はバネなどの弾性部材によって一定の方向に付勢されている。綴じ処理などの後処理を実行しないときは、第一分岐爪312は
図1に示すように、用紙Pを上搬送路Bへ案内する状態で保持されている。第一分岐爪312を駆動するソレノイドがON状態になり、バネの付勢に抗う方向への駆動力が与えられて回動すると、第一分岐爪312は用紙Pを中間搬送路C方向へ案内する状態になる。したがって、ソレノイドがOFFならば上搬送路Bへ用紙Pを振り分けて、ソレノイドがONならば、中間搬送路Cへ用紙Pを振り分ける。上搬送路Bへと振り分けられた用紙Pは、プルーフ中間ローラ317とプルーフ排紙ローラ318によりプルーフトレイ313に排紙される。
【0024】
また、第二分岐爪314も第一分岐爪312と同様に、バネなどの弾性部材によって一定の方向に付勢されていて、通常は、
図1に示すように、用紙Pを中間搬送路Cからステイプルトレイ323へと案内する状態で保持されている。用紙Pを綴じ処理せずに排出するときは、排紙トレイ324へと排出される。
【0025】
このとき、中間搬送路Cへ送られた用紙Pを、駆動手段により用紙Pの搬送方向と直角方向に一定量移動するように構成されたシフト排出ローラ326によって、用紙Pは搬送方向と直角方向に一定量ずれながら排紙トレイ324に積載される。なお、シフト排出ローラ326のシフト量は、入口センサ315が検知する用紙検知情報及び用紙Pのサイズ情報等に基づき決定される。
【0026】
用紙束Pbを端綴じ処理する場合、中間搬送ローラ325まで搬送された用紙Pは、用紙Pの整合を行う叩きコロ327の振り子運動によりステイプルトレイ323上に接触搬送され、戻しローラによってシート搬送方向とは逆方向に搬送され、その後端を後端フェンスに突き当てられて搬送方向における位置を整合される。
【0027】
ステイプルトレイ323上には用紙Pの幅方向位置を揃えるジョガーフェンス328が配設されている。また、ステイプルトレイ323の下方にはステイプルトレイ323上における用紙Pの有無を検知するステイプルトレイ紙有無センサ329が配設されている。また、ステイプルトレイ323に載置された用紙Pの綴じ位置となる後端側(画像形成装置200からの搬送方向に対する後端側)には、複数枚の用紙Pから形成される用紙束Pbの端部への綴じ処理を行う端綴じステイプルユニット321が配設されている。
【0028】
中綴じ処理及び中折り処理を行う場合には、中間搬送ローラ325及び第二分岐爪314に下搬送路Dに案内された用紙Pを、スイッチバック搬送ローラ341及び移動ローラ対342により、下方に配置されている中綴じ処理ユニット400へと搬送する。
【0029】
中綴じ処理ユニット400には、搬送された用紙Pを受け入れる搬送ガイド部材490と、第一整合手段である後端フェンス410と、第二整合手段である整合爪機構470と、第三整合手段である送り爪機構480とが配設されている。搬送ガイド部材490に送られた用紙Pは、先端部が後端フェンス410に当接する位置まで搬送される。その際、画像形成装置200からの用紙サイズ情報(用紙Pの搬送方向の大きさ(長さ)を示す情報)に応じて、狙いの位置で中綴じ処理及び中折り処理が行われるように後端フェンス410を移動させて、用紙Pの先端の突き当て位置を変更し、所定位置で待機させる。
【0030】
以上の搬送動作を複数枚の用紙Pについて繰り返し行うことで、搬送ガイド部材490内に複数枚の用紙Pを積載した用紙束Pbが形成される。その際、移動ローラ対342から一枚ずつ送られてきた用紙Pを、整合爪機構470にて先行の用紙の後端と次の用紙の先端が接触しないように搬送ガイド部材490内に積載する。
【0031】
次いで、整合爪機構470を用紙束Pbの上端部に当接させて、用紙束Pbの下端部を後端フェンス410に押し付けることにより、用紙束Pbの搬送方向端部の整合動作が行われる。これに続いて、中綴じジョガーフェンス420によって用紙束Pbの幅方向の整合動作が行われる。
【0032】
その後、用紙束Pbの中央部が中綴じステイプルユニット430の位置となるように後端フェンス410を移動し、ステイプルユニット430のステッチャを駆動して、クリンチャとの間で綴じ処理が行われることで、用紙束Pbに対する中綴じ処理が行なわれる。
【0033】
中綴じ処理後に、中綴じされた用紙束Pbの中央部が折りブレード440に対向する折り位置まで後端フェンス410を移動し、同時に、用紙束Pbの搬送方向端部の整合動作が再度行われる。詳細については後述するが、この再度の整合動作は、用紙束Pbのサイズに応じて整合爪機構470と送り爪機構480のいずれか一方を用紙束Pbの上端部に当接することで行われる。用紙束Pbが折り位置まで搬送されたら、用紙束Pbの綴じられた針部近傍に対して折りブレード440を略直角方向から差し込む。
【0034】
用紙束Pbは、折りブレード440により押されて折りローラ対450のニップへと導かれ、予め回転していた折りローラ対450のニップに押し込まれる。折りローラ対450は、ニップに押し込まれた用紙束Pbを加圧して、排出方向へと搬送する。この加圧搬送動作により用紙束Pbの中央に折り処理が施され、簡易製本された用紙束Pbが形成される。
【0035】
その後、簡易製本された用紙束Pbは、横折りローラ460にて増し折りされた後、中綴じ排紙ローラ461を経て中綴じトレイ344に排出される。
【0036】
図2は、中綴じ処理ユニット400に備えられる中綴じ機構の構成図である。
図2に示すように、第一整合手段である後端フェンス410は搬送ガイド部材490の下端位置に配置されている。第二整合手段である整合爪機構470は搬送ガイド部材490の上端位置に配置されている。綴じ手段である中綴じステイプルユニット430は、折り手段である折りブレード440及び折りローラ対450よりも上部に配置されている。第三整合手段である送り爪機構480は、整合爪機構470の下部に配置されており、綴じ手段であるステイプルユニット430のドライバ(ステッチャ)側に対して搬送ガイド部材490の搬送経路を挟んで対向側に位置している。
【0037】
図3は、中綴じ機構に備えられる整合爪機構470の構成図である。
図3に示すように、整合爪機構470は、移動ローラ対342と整合爪471で構成されており、これら移動ローラ対342と整合爪471が連動して動作するようになっている。整合爪471の機能としては、用紙搬送時に先行紙と後続紙を衝突させない、用紙の積載順を乱さないなどの役割を持っている。
【0038】
図4は、紙搬送時における整合爪機構470の動作説明図である。用紙Pが搬送ガイド部材490に送られると、
図4(a)~
図4(c)に示すように、用紙Pは、移動ローラ対342を経て整合爪471のガイド面を沿うように搬送される。そして、
図4(d)に示すように、用紙Pの後端が整合爪471のガイド面を通過する。用紙Pがガイド面を通過すると、
図4(e)に示すように、用紙Pは自重により用紙先端が後端フェンス410に当接するまで搬送ガイド部材490の搬送経路内を滑落する。その後、整合爪471は元の位置に戻り(
図4(a))、以後、設定された載置枚数となるまで同じ動作が繰り返される。
【0039】
なお、整合爪機構470は、移動ローラ対342と整合爪471を一体化した構成に限らない。例えば、移動ローラ対342と整合爪471を分離した構成とし、整合爪471の動作だけで用紙上端の整合を行うようにしてもよい。その場合、構成の簡略化や省スペース化を図れる、などの付加的な効果が得られる。
【0040】
図5は、中綴じ機構に備えられる送り爪機構480の外観斜視図である。
図6は、送り爪機構480の断面図である。
図5と
図6に示すように、送り爪機構480は、送り爪481及び搬送ベルト482から構成されている。搬送ベルト482は、一対のプーリ間に巻回された無端状ベルトからなり、搬送ガイド部材490の側方に搬送経路に沿って配置されている。送り爪481は、搬送ベルト482の周面に固着されており、搬送ベルト482の回転に伴って、搬送ガイド部材490の搬送経路から退避する退避位置と、搬送経路の内部の押し位置との間を移動する。また、搬送ベルト482の所定箇所にはフィラー483が取り付けられており、このフィラー483をセンサ484が検知することで、送り爪481を退避位置に待機させることができる。
【0041】
送り爪機構480は、中綴じされた用紙束Pbを折りブレード440に対向する折り位置まで搬送する際に、用紙束Pbを形成する用紙Pの用紙サイズが小サイズの場合に、整合爪機構470の代わりに用紙束Pbを折り位置まで搬送する送り機構として用いられる。以下、送り爪機構480の動作と用紙束Pbの挙動について説明する。
【0042】
図7は、送り爪機構480の動作説明図である。搬送する用紙Pの用紙サイズが小サイズの場合、中綴じステイプルユニット430により用紙束Pbの中央部で中綴じ処理を行った後、
図7(a)に示すように、退避位置に待機していた送り爪481が搬送ベルト482を介して搬送ガイド部材490の搬送経路内に回転移動する。搬送経路に移動した送り爪481が用紙束Pbの後端を整合し、後端フェンス410が用紙束Pbの先端を整合することにより、
図7(b)に示すように、用紙束Pbを折り位置まで搬送させる。折り位置に搬送された用紙束Pbは、
図7(c)に示すように、折りブレード440及び折りローラ対450によって搬送方向中央部で中折りされると同時に、送り爪481が搬送ベルト482によって搬送経路を搬送方向と逆側に移動される。そして、
図7(d)に示すように、送り爪481は最終的に退避位置に戻ることになるが、その際に、センサ484が搬送ベルト482に取り付けられたフィラー483を検知することで、送り爪481は退避位置に戻って待機される。
【0043】
なお、送り爪機構480内にある送り爪481は、爪単体の構成に限らない。例えば、前述した整合爪機構470のように、送り爪481がローラ対を有する構成であってもよい。その場合、用紙搬送時に先行紙と後続紙を衝突させない、用紙の積載順を狂わせないなどの付加的な効果が得られる。
【0044】
次に、搬送する用紙Pの用紙サイズが大サイズの場合における中綴じ機構の動作及び用紙Pの挙動について、
図8を参照しつつ説明する。
【0045】
図8(a)~(b)に示すように、中綴じ機構の搬送ガイド部材490に1枚ずつ搬送された用紙Pは、後端フェンス410に随時セットされる。その結果、用紙束Pbが形成される。そして、整合爪機構470の整合爪471を用いて用紙束Pbの縦方向の整合を、またジョガーフェンス420を用いて用紙束Pbの幅方向の整合を行う。続いて、
図8(c)に示すように、整合された用紙束Pbは、後端フェンス410が上方へ移動することで中綴じステイプルユニット430の位置まで束搬送される。そして、
図8(d)に示すように、用紙束Pbの搬送方向中央の位置で中綴じ処理される。続いて、
図8(e)に示すように、綴じられた用紙束Pbは、後端フェンス410が下方へ移動することで折り位置まで移動し、同じく下方向へ移動した整合爪471によって再度整合される。
【0046】
折り位置に搬送された用紙束Pbは、
図8(f)に示すように、折りブレード440及び折りローラ対450によって搬送方向中央部で中折りされる。そして、
図8(g)~(h)に示すように、中折された用紙束Pbに横折りローラ460を用いて増し折りを行った後、中綴じ排紙ローラ461を通った用紙束Pbは中綴じトレイ344に排紙される。
【0047】
搬送する用紙Pの用紙サイズが大サイズの場合の特異な点としては、
図8(e)に示すように、綴じられた用紙束Pbが折り位置まで移動する際に、後端フェンス410と整合爪471を用いて折り位置まで送られることである。
【0048】
次に、搬送する用紙Pの用紙サイズが小サイズの場合における中綴じ機構の動作及び用紙の挙動について、
図9を参照しつつ説明する。
【0049】
まず、中綴じ機構の搬送ガイド部材490に搬送される小サイズの用紙Pを綴じ位置で整合させるため、用紙が搬送される前に後端フェンス410を綴じ位置まで持ち上げる。続いて、
図9(a)に示すように、搬送ガイド部材490に1枚ずつ搬送された用紙Pは、後端フェンス410に随時セットされて用紙束Pbが形成される。そして、整合爪機構470の整合爪471を用いて用紙束Pbの縦方向の整合を、またジョガーフェンス420を用いて用紙束Pbの幅方向の整合を行う。しかる後、
図9(b)に示すように、中綴じステイプルユニット430において用紙束Pbの搬送方向中央の位置で中綴じ処理される。続いて、綴じられた用紙束Pbを折り位置まで搬送するのだが、
図8(e)で示した大サイズで用いた整合爪機構470の整合爪471を送り機構として用いると、整合爪471が届かずに用紙束Pbを折り位置まで送れないため、小サイズの用紙Pで形成される用紙束Pbの場合は送り爪機構480を用いる。
【0050】
送り爪機構480を動作させる際に、送り爪機構480の送り爪481の動作経路に整合爪機構470の整合爪471が存在していると、両者の爪同士が干渉してしまうため、
図9(c)に示すように、送り爪機構480が動作する前に整合爪471を送り爪481の退避位置よりも上方に移動させる。続いて、
図9(d)~(e)に示すように、後端フェンス410と送り爪481を用いて用紙束Pbが折り位置まで送られる。折り位置に搬送された用紙束Pbは、
図9(f)に示すように、折りブレード440及び折りローラ対450によって搬送方向中央部で中折りされる。そして、
図9(g)に示すように、中折された用紙束Pbに横折りローラ460を用いて増し折りを行った後、中綴じ排紙ローラ461を通った用紙束Pbは中綴じトレイ344に排紙される。
【0051】
搬送する用紙Pの用紙サイズが小サイズの場合の特異な点としては、
図9(c)~(e)に示すように、綴じられた用紙束Pbが折り位置まで移動する際に、後端フェンス410と送り爪481を用いて折り位置まで送られることである。また、整合爪471と送り爪481の2つの整合部材の搬送方向における可動範囲はオーバーラップしているため、定型の小サイズ紙だけでなく不定型紙等の各種紙サイズに対応することができる。
【0052】
図10は、整合爪機構470の整合爪471と送り爪機構480の送り爪481の可動範囲を示す説明図である。整合爪機構470の整合爪471は、用紙搬送方向を上下に移動し、その上限位置は整合爪471のHP位置(退避位置)である。また、整合爪471の下限位置は中綴じステイプルユニット430の上部に位置するストッパ500であり、整合爪471がストッパ500に突き当たることにより、整合爪471がストッパ500の位置より下部に動作しない構成となっている。
【0053】
したがって、整合爪471の可動範囲としてはHP位置からストッパ500までとなる。一方、送り爪機構480の送り爪481は、搬送ベルト482を介して搬送経路に出入動作する。
図10に示す位置で送り爪481は搬送経路内に入り、搬送ベルト482の回転動作に伴って搬送方向を上下に移動する。したがって、送り爪481の可動範囲としては搬送ベルト482の周上となる。
【0054】
このような整合爪471と送り爪481の可動範囲により、
図10に示す搬送経路内の領域Rにおいて2種類の爪の可動範囲が部分的に重なっている。前述したように、搬送する用紙束Pbを構成する用紙Pの用紙サイズが小サイズの場合、用紙搬送時は整合爪機構470の整合爪471がHP位置まで移動した後に送り爪機構480の送り爪481が動作を開始するため、爪同士の干渉は起こらないが、このように用紙束Pbの搬送方向後端部を整合する整合爪471と送り爪481の可動範囲が部分的に重なっていることで、部品のバラツキによる影響を受けることなく用紙束Pbを搬送することが可能となる。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る後処理装置は、搬送された用紙束Pbの搬送方向の先端部を整合する後端フェンス(第一整合手段)410と、搬送された用紙束Pbの搬送方向の後端部を整合する整合爪機構(第二整合手段)470と、搬送された用紙束Pbの搬送方向の後端部を整合爪機構470の下流側に整合する送り爪機構(第三整合手段)480と、整合された用紙束Pbの搬送方向中央部を綴じる中綴じステイプルユニット(綴じ手段)430と、綴じられた用紙束Pbを綴じ位置で折る折りブレード440及び折りローラ対450(中折り手段)と、を備え、整合爪機構470と送り爪機構480は搬送される用紙束Pbの紙サイズに応じて切り替え可能であり、かつ、整合爪機構470の整合爪471と送り爪機構480の送り爪481における搬送方向の可動範囲が部分的に重なっているため、搬送される用紙Pの用紙サイズに応じて整合爪機構470と送り爪機構480のいずれか一方を用いて、用紙束Pbを折り位置まで搬送させることにより、中綴じ機構内においてあらゆる用紙サイズの用紙Pを搬送することが可能となる。
【0056】
また、整合爪機構470の整合爪471が用紙Pを搬送する移動ローラ対342を一体的に有しているため、整合爪機構470の小型化を図ることができる。
【0057】
また、送り爪機構480の送り爪481が搬送ガイド部材490の搬送経路から退避可能となっているため、整合爪機構470と送り爪機構480による整合動作を両立させることができる。
【0058】
また、送り爪機構480が、搬送ガイド部材490の側方に搬送経路に沿って配置された搬送ベルト482と、搬送ベルト482の周面に取り付けられた送り爪481とからなるため、送り爪機構480を狭いスペースに配置することができる。
【0059】
また、綴じ手段としての中綴じステイプルユニット(綴じ手段)430が、中折り手段である折りブレード440及び折りローラ対450よりも上部に位置しているため、スティプラの針交換時や、メンテナンス時の視認性・作業性が良好になる。
【0060】
また、送り爪機構480が中綴じステイプルユニット430のドライバ側に対して搬送ガイド部材490の搬送経路を挟んで対向側に位置しているため、小型化を図ることができると共に、メンテナンス時の視認性・作業性が良好になる。
【0061】
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0062】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
【0063】
<1>シート状の媒体を搬送ガイド部材の搬送経路に順次搬送し、搬送された前記媒体のシート束に対し搬送方向の所定位置に処理を行う後処理装置であって、
搬送された前記シート束の搬送方向の先端部を整合する第一整合手段と、
搬送された前記シート束の搬送方向の後端部を整合する第二整合手段と、
搬送された前記シート束の搬送方向の後端部を前記第二整合手段の下流側に整合する第三整合手段と、
整合された前記シート束の搬送方向中央部を綴じる綴じ手段と、
綴じられた前記シート束を綴じ位置で折る中折り手段と、
を備え、
前記第二整合手段と前記第三整合手段は搬送される前記媒体のサイズに応じて切り替え可能であり、かつ、前記第二整合手段における搬送方向の可動範囲と前記第三整合手段における搬送方向の可動範囲とが部分的に重なっている、
ことを特徴とする後処理装置である。
【0064】
<2>前記第二整合手段は、前記媒体を搬送する搬送手段を一体的に有している、ことを特徴とする前記<1>に記載の後処理装置である。
【0065】
<3>前記第三整合手段は、前記搬送ガイド部材の前記搬送経路から退避可能である、ことを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載の後処理装置である。
【0066】
<4>前記第三整合手段は、前記搬送ガイド部材の側方に前記搬送経路に沿って配置された搬送ベルトと、前記搬送ベルトの周面に取り付けられた送り爪とからなる、ことを特徴とする前記<3>に記載の後処理装置である。
【0067】
<5>前記綴じ手段は、前記中折り手段よりも上部に位置している、ことを特徴とする前記<1>乃至前記<4>のいずれかに記載の後処理装置である。
【0068】
<6>前記第三整合手段は、前記綴じ手段のドライバ側に対して前記搬送経路を挟んで対向側に位置している、ことを特徴とする前記<1>乃至前記<5>のいずれかに記載の後処理装置である。
【0069】
<7>搬送されてくるシート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
画像が形成された当該媒体を搬送ガイド部材に順次搬送し、搬送された当該記媒体のシート束に対し所定位置において処理を行う前記<1>乃至前記<6>のいずれかに記載の後処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0070】
200 :画像形成装置
300 :後処理装置
342 :移動ローラ対(搬送手段)
400 :中綴じ処理ユニット
410 :後端フェンス(第一整合手段)
420 :ジョガーフェンス
430 :中綴じステイプルユニット(綴じ手段)
440 :折りブレード(中折り手段)
450 :折りローラ対(中折り手段)
460 :横折りローラ
461 :排紙ローラ
470 :整合爪機構(第二整合手段)
471 :整合爪
480 :送り爪機構(第三整合手段)
481 :送り爪
482 :搬送ベルト
483 :フィラー
484 :センサ
490 :搬送ガイド部材
600 :画像形成システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】