(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057299
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ゼオライト成形体、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/18 20060101AFI20240417BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20240417BHJP
B01D 53/81 20060101ALI20240417BHJP
B01D 53/02 20060101ALI20240417BHJP
C01B 39/46 20060101ALI20240417BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240417BHJP
【FI】
B01J20/18 B ZAB
B01D53/62
B01D53/81
B01D53/02
C01B39/46
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163939
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 宏
(72)【発明者】
【氏名】土谷 和愛
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
4G066
4G073
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA04
4D002DA45
4D002GA01
4D002GB12
4D002GB20
4D012BA02
4D012CA03
4D012CE03
4D012CF10
4D012CG01
4G066AA61B
4G066AA63D
4G066BA01
4G066BA20
4G066BA36
4G066CA35
4G066DA01
4G066DA02
4G066FA37
4G073BD21
4G073CM06
4G073CZ17
4G073DZ03
4G073GA01
4G073UA06
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC27
4G146JD03
(57)【要約】
【課題】
工業的な適用が容易であり、なおかつ、従来のFAU型ゼオライトと比べて、窒素に対する二酸化炭素の選択率が高い二酸化炭素吸着材として適用しうるゼオライト成形体及びこれを用いた二酸化炭素の吸着方法の少なくともいずれかを提供する。
【解決手段】
CHA型ゼオライト及び結合剤を含み、かつ、ゼオライト成形体の質量に対する、25℃、相対湿度20%における水分吸着量が15質量%以下である、ゼオライト成形体。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CHA型ゼオライト及び結合剤を含み、かつ、ゼオライト成形体の質量に対する、25℃、相対湿度20%における水分吸着量が15質量%以下である、ゼオライト成形体。
【請求項2】
前記CHA型ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比が15以上40以下である、請求項1に記載のゼオライト成形体。
【請求項3】
前記結合剤が粘土である、請求項1又は2に記載のゼオライト成形体。
【請求項4】
最長径が0.5mm以上2cm以下である、請求項1又は2に記載のゼオライト成形体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のゼオライト成形体を含む二酸化炭素吸着材。
【請求項6】
請求項5に記載の二酸化炭素吸着材を使用する二酸化炭素の吸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゼオライト成形体、特に二酸化炭素吸着用のゼオライト成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスである二酸化炭素は、その排出量の削減が求められている。特に工場や発電所等の排出される排気ガスには多量の二酸化炭素を含んでいるため、これら排気ガスからの二酸化炭素の分離及び回収技術が検討されている。従来は、二酸化炭素の分離回収をするための吸着材として、FAU型ゼオライトが使用されていた。これに対し、より二酸化炭素の分離効率や回収効率を上げるため、新たな二酸化炭素吸着材が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素吸着材として、CHA型ゼオライトや、STT型ゼオライトを使用すると、従来のFAU型ゼオライトよりも二酸化炭素の選択性が高いことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のCHA型ゼオライトはピュアシリカゼオライトである。特許文献1のピュアシリカゼオライトの製造にはフッ化水素酸等のフッ化物の使用が必須であった。そのため、ピュアシリカゼオライトの製造は耐腐食性の製造設備が必要となり、コストがかかるため工業的に適していない。これに加え、ピュアシリカゼオライト自体に腐食性の高いフッ素が残存しやすいため、二酸化炭素吸着材としては取扱が困難である。
【0006】
本開示は、工業的な適用が容易であり、なおかつ、従来のFAU型ゼオライトと比べて、窒素に対する二酸化炭素の選択率が高い二酸化炭素吸着材として適用しうるゼオライト成形体及びこれを用いた二酸化炭素の吸着方法の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、吸着による二酸化炭素の分離回収について検討した。その結果、特定の水分吸着特性を示すゼオライトが二酸化炭素に対して選択性を示すことを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は特許請求の範囲の記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] CHA型ゼオライト及び結合剤を含み、かつ、ゼオライト成形体の質量に対する、25℃、相対湿度20%における水分吸着量が15質量%以下である、ゼオライト成形体。
[2] 前記CHA型ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比が15以上40以下である、上記[1]に記載のゼオライト成形体。
[3] 前記結合剤が粘土である、上記[1]又は[2]に記載のゼオライト成形体。
[4] 最長径が0.5mm以上2cm以下である、上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載のゼオライト成形体。
[5] 上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載のゼオライト成形体を含む二酸化炭素吸着材。
[6] 上記[5]に記載の二酸化炭素吸着材を使用する二酸化炭素の吸着方法。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、工業的に取り扱いが容易であり、なおかつ、従来のFAU型ゼオライトと比べて、窒素に対する二酸化炭素の選択率が高い二酸化炭素吸着材として適用しうるゼオライト成形体及びこれを用いた二酸化炭素の吸着方法の少なくともいずれかを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示について実施形態の一例を示して説明する。
【0011】
本実施形態は、CHA型ゼオライト及び結合剤を含み、かつ、ゼオライト成形体の質量に対する、25℃、相対湿度20%における水分吸着量が15質量%以下である、ゼオライト成形体、である。
【0012】
本実施形態のゼオライト成形体に含まれるCHA型ゼオライトは、CHA構造を有するゼオライトであり、特にCHA構造を有する結晶性アルミノシリケートである。「CHA構造」とは、国際ゼオライト学会(INTERNATIONAL ZEOLITE ASSOCIATION)により「CHA」に分類されるゼオライト骨格構造であり、CHA構造は積層欠陥を有さない。CHA型ゼオライトを含むことにより本実施形態のゼオライト成形体は圧力スイング吸着法などによる二酸化炭素吸着用の吸着材として使用する場合に共存水分の影響を受けにくい。これにより、二酸化炭素吸着に先立つ水分除去工程(前処理)に要するエネルギーを小さくすることが期待できる。
【0013】
「アルミノシリケート」は、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)とが酸素(O)を介したネットワークの繰返しからなる構造を有する複合酸化物である。
【0014】
CHA型ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比(以下、「SiO2/Al2O3比」ともいう。)は、15以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。これにより、二酸化炭素の吸着時の水分吸着が抑制され、水分共存下であっても二酸化炭素の選択分離が期待できる。二酸化炭素吸着量が多くなりやすいため、SiO2/Al2O3比は40以下、30以下又は25以下であることが好ましい。
【0015】
本実施形態のゼオライト成形体は結合剤を含む。これにより、二酸化炭素の吸着分離における成形体形状が保持され、また、吸着材の交換などの操作性(ハンドリング)が向上する。結合剤はゼオライトの成形に使用される公知のものであればよく、粘土であることが好ましく、カオリナイト粘土、セピオライト粘土、アタパルジャイト粘土、パリゴルスカイト粘土、シリカ及びアルミナの群から選ばれる1以上であればよく、カオリナイト粘土、セピオライト粘土、アタパルジャイト粘土及びシリカの群から選ばれる1以上であることが好ましい。
【0016】
本実施形態のゼオライト成形体は、その質量に対する結合剤の質量割合(以下、「結合剤含有率」ともいう。)が、10質量%以上又は15質量%以上であることが好ましい。これにより、二酸化炭素の吸着及び脱離を繰り返しても欠陥が生じにくくなる。一方、二酸化炭素の有効吸着量を増加させため、結合剤含有量は30質量%以下又は25質量%以下であることが好ましい。
【0017】
汎用の二酸化炭素吸着設備に供する二酸化炭素吸着材となるため、本実施形態のゼオライト成形体はフッ素を含まないことが好ましい。なお、本実施形態における「フッ素を含まないこと」とは、組成分析(例えば、燃焼イオンクロマト法)における測定限界以下であればよく、例えば、フッ素含有量が1質量PPM以下であることが挙げられる。
【0018】
本実施形態のゼオライト成形体は、ゼオライト成形体の質量に対する、25℃、相対湿度20%における水分吸着率(以下、単に「水分吸着率」ともいう。)が15質量%以下である。この様な水分吸着量を有することで、本実施形態のゼオライト成形体は二酸化炭素の吸着における水分の影響を受けにくくなる。その結果、二酸化炭素吸着工程に先立つ、二酸化炭素含有気体からの水分除去工程に要するエネルギーの低減が期待できる。水分吸着率は低いことが好ましいが、本実施形態のゼオライト成形体は多少なりとも水分を吸着する性質を有する。そのため、水分吸着率は0質量%を超え、5質量%以上であることが例示できる。
【0019】
本実施形態における水分吸着率は、質量測定で求められるゼオライト成形体の質量に対する、以下の条件により得られる水の吸着等温線における、相対湿度20%の水分吸着量、から求めればよい。
測定温度 :25℃
測定圧力(平衡吸着圧力)
:5Pa~2.9kPa
測定範囲 :相対湿度0.1%~90%
測定試料量:25±5mg
【0020】
水の吸着等温線は、一般的な定容量式吸着測定装置(例えば、BELSORP MAX:マイクロトラック・ベル社製)を使用して得られるものであればよい。
【0021】
水の吸着等温線の測定に先立ち、前処理として、測定試料を0.01kPa以下の減圧下、350℃で2時間処理すればよい。
【0022】
本実施形態のゼオライト成形体の形状は、用途に応じた任意の形状であればよいが、例えば、球状、略球状、立方体状、直方体状、多面体状、錐体状、柱状、円柱状、俵型、三つ葉型及びリング状の群から選ばれる1種以上、好ましくは円柱状、球状、三つ葉型及びリング状の群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0023】
本実施形態のゼオライト成形体のサイズは、用途に応じて適宜調整すればよく、最長径が0.5mm以上2cm以下であることが例示できる。例えば、本実施形態のゼオライト成形体が円柱状である場合、直径が0.1mm以上3mm以下であり、長さが0.5mm以上2cm以下であることが挙げられる。
【0024】
本実施形態のゼオライト成形体は、これを含む二酸化炭素吸着材として使用すること、に適しているが、また、ゼオライトの公知の用途に使用することができ、触媒、吸着材及びこれらの担体として使用することができる。本実施形態のゼオライト成形体は、例えば、各種気体の吸着材、分離材、回収材、浄化材及び除去材の群から選ばれる1以上として使用することができ、また、脱硝触媒及び炭化水素転化触媒の少なくともいずれかに使用できる。更には、該二酸化炭素吸着材を使用する二酸化炭素の吸着方法、に使用することもできる。
【0025】
次に、本実施形態のゼオライト成形体の製造方法について説明する。
【0026】
上述の構成を満たすゼオライト成形体が得られれば、本実施形態のゼオライト成形体の製造方法は任意である。本実施形態のゼオライト成形体の好ましい製造方法として、CHA型ゼオライト及び結合剤を混練して混練物を得る混錬工程、該混錬物を成形して成形物を得る成形工程、該成形物を乾燥して乾燥物を得る乾燥工程、並びに、該乾燥物を焼成する焼成工程、を有する製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう。)、が挙げられる。
【0027】
本実施形態の製造方法は、CHA型ゼオライト及び結合剤を混練して混練物を得る混練工程を有する。混練工程に供するCHA型ゼオライト及び結合剤の種類、並びに、その使用量は、上述と同様なものであればよい。
【0028】
CHA型ゼオライト及び結合剤の混練方法は、これらを均一に混合できる方法であればよいが、湿式及び乾式の少なくともいずれかであればよく、ミックスマラー、ヘンシェルミキサー、バッチ式ニーダー及び連続式ニーダーの群から選ばれる1以上を使用した混練が挙げられる。
【0029】
成形体の強度が性向上するため、混練工程において、CHA型ゼオライト及び結合剤と、成形助剤とを混練してもよい。成形助剤を使用する場合、CHA型ゼオライト及び結合剤に加え、成形助剤を同時に混練すればよい。
【0030】
成形助剤は、ゼオライトの成形に使用される公知のものであればよく、例えば、結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、リグニン、スターチ及びグァーガムの群から選ばれる1以上、更にはセルロース、ポリビニルアルコール及びエチレングリコールの群から選ばれる1以上が挙げられる。成形助剤は、CHA型ゼオライトの質量に対する成形助剤の質量割合が、1質量%以上5質量%以下、好ましくは1質量%以上4質量%以下となるように混合すればよい。
【0031】
混練工程では、CHA型ゼオライト及び結合剤に加え、水溶性ナトリウム溶液を混練することが好ましい。水溶性ナトリウム溶液の種類及び量は上述のものと同様なものであればよい。水溶性ナトリウム溶液を使用する場合、CHA型ゼオライト及び結合剤に加え、水溶性ナトリウム溶液を同時に混練してもよく、一方、CHA型ゼオライト及び結合剤を混錬した後に、水溶性ナトリウム溶液を添加して混練してもよい。
【0032】
混練中の混練物の流動性に応じ、必要に応じて、水を添加して混練してもよい。
【0033】
混練時間は、混練に供するCHA型ゼオライト等の量や、混練方式により任意に設定すればよいが、20分以上120分以下が例示できる。
【0034】
本実施形態の製造方法は、混錬物を成形して成形物を得る成形工程を有する。これにより、上述した形状など、目的とする所期の形状を有する成形体が得られる。成形工程における成形方法は、ゼオライトの成形に適用し得る成形方法であればよく、転動造粒、撹拌造粒、押出成形及び噴霧造粒の群から選ばれる1以上であればよく、押出成形及び転動造粒の少なくともいずれかであることが好ましい。
【0035】
本実施形態の製造方法は、成形物を乾燥して乾燥物を得る乾燥工程、を有する。これにより、過剰な水分等を除去し、成形体の強度が向上する。乾燥工程における乾燥方法は、成形物から水分を除去しうる任意の方法であればよいが、大気雰囲気又は窒素雰囲気で、50℃以上200℃以下で乾燥する方法が例示できる。乾燥時間は、乾燥工程供する成形物の量や、乾燥方式に応じて適宜設定すればよく、例えば、1時間以上24時間以下が挙げられる。
【0036】
本実施形態の製造方法は、乾燥物を焼成する焼成工程、を有する。これにより、本実施形態のゼオライト成形体が得られる。焼成方法は、ゼオライト成形体の焼成に適用し得る任意の方法であればよいが、大気圧下、大気雰囲気又は窒素雰囲気で、400℃以上700℃以下で焼成する方法が例示でき、マッフル炉、ロータリーキルン及びシャフトキルンの群から選ばれる1以上を使用し、大気雰囲気、400℃以上700℃以下で焼成する方法、であることが好ましい。
【0037】
必要に応じ、得られるゼオライト成形体の形状を調整するため、焼成工程に先立ち、乾燥物を分級や切断等の処理をしてもよい。
【実施例0038】
以下、実施例により本開示をさらに具体的に説明する。しかしながら、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0039】
<水分吸着率>
定容量式吸着測定装置(BELSORP MAX:マイクロトラック・ベル社製)を用い、以下の条件で、測定試料の水の25℃における吸着等温線を測定した。得られた吸着等温線から相対湿度20%における水分吸着量を求めた。該水分吸着量を、質量測定により得られた測定試料の質量で除すことで、水分吸着率(質量%)を求めた。
【0040】
測定温度 :25℃
測定圧力(平衡吸着圧力)
:5PA~2.9kPa
測定範囲 :相対湿度0.1%~90%
測定試料量:25±5mg
吸着等温線の測定に先立ち、測定試料は、0.01kPa以下の減圧下、350℃で2時間処理した。
【0041】
<二酸化炭素の選択的吸着>
定容量式吸着測定装置(BELSORP MINI-X及びBELSORP HP、いずれもマイクロトラック・ベル社製)を用い、以下の条件で、試料の二酸化炭素、および窒素の吸着等温線をそれぞれ測定した。
【0042】
測定温度 :25℃
測定圧力(平衡吸着圧力)
:0.05kPa~900kPa
測定試料量:0.10±0.02g
0.05~常圧(100kPa)まではBELSORP MINI-Xを使用し、また、常圧を超え900kPaまではBELSORP HPを使用して測定を行った。
【0043】
吸着等温線の測定に先立ち、測定試料は、0.01kPa以下の減圧下、350℃で2時間処理した。
【0044】
各吸着圧における二酸化炭素の分圧(20%)から、10kPaにおける二酸化炭素の吸着量を引いた値(差分)をもって、二酸化炭素の有効吸着量とした。また、各吸着圧の窒素の分圧(80%)から、10kPaにおける窒素の吸着量を引いた値(差分)をもって窒素の有効吸着量とした。窒素の有効吸着量に対する二酸化炭素の有効吸着量をもって、二酸化炭素選択性とした。
【0045】
二酸化炭素選択性
=[二酸化炭素の有効吸着量]÷[窒素の有効吸着量]
実施例1
CHA型ゼオライト(SiO2/Al2O3=24)を100重量部(5830g;水分含有量6%)に対し、アタパルジャイト型粘土(製品名:ミニゲルMB、アクティブミネラルズ社製)20重量部(1361g;水分含有量24%)、カルボキシメチルセルロースナトリウムを3重量部(165g)量り取り、ミックスマラー(装置名:MSG-05S、新東工業社製)で5分間混練した後、水3200gに混合したポリアクリル酸ナトリウム水溶液1重量部(125g;水分含有量56%)を添加した。添加後、40分間混練した後に1800gの水を添加して20分間混練して混合物を得た。
【0046】
得られた混合物を押出成形により、直径1.5mmの円柱状に成形した後、大気雰囲気、100℃、12時間で乾燥した。乾燥後の成形体を大気雰囲気、600℃、2時間で焼成し、直径1.5mm×長さ6±4mm(すなわち、最長径が10mm)の円柱状の成形体を得、これを本実施例のゼオライト成形体とした。本実施例のゼオライト成形体の結合剤含有量は17質量%であった。
【0047】
比較例1
市販のX型ゼオライト成形体(SiO2/Al2O3=2、直径1.5mm、円柱状。商品名;F-9HA、東ソー社製)を本比較例のゼオライト成形体とした。
【0048】
表1に、各平衡吸着圧力における二酸化炭素選択性を、表2に各平衡吸着圧力における二酸化炭素の有効吸着量(mL/g)を、表3に各平衡吸着圧力における窒素の有効吸着量(mL/g)を示す。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
実施例のゼオライト成形体は、いずれの平衡吸着圧力においても二酸化炭素選択性が、比較例のゼオライト成形体よりも高くなることが確認できた。さらに、実施例のゼオライト成形体の水分吸着率は11質量%であるのに対し、比較例較例のゼオライト成形体の水分吸着率は29質量%であり、実施例のゼオライト成形体は比較例のゼオライト成形体と比べ、水分吸着率が低いことが確認できた。これより、本実施形態のゼオライト成形体は、二酸化炭素の分離回収において、二酸化炭素含有ガス中の水分の影響を受けにくいと考えられる。