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特開2024-57659ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057659
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164443
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 達郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB23
2C056EB30
2C056EB31
2C056EB45
2C056EC22
2C056EC57
2C056JA01
2C056JA13
2C056JA16
2C056JA17
(57)【要約】
【課題】吸引キャップを大気開放する大気開放路の詰まりによるメンテナンス性能の低下を抑制できるヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置を提供する。
【解決手段】液体を吐出するヘッド101のノズル面112をキャッピングする吸引キャップ311と、吸引キャップ311内を吸引する吸引ポンプ334と、吸引キャップ311内に通じる開閉可能な大気開放路335と、吸引キャップ311の開口を閉じる蓋部材337とを備え、蓋部材33で吸引キャップ311の開口を閉じた状態で、大気開放路335を閉じて吸引ポンプ334により吸引キャップ311内を吸引し、吸引キャップ311内を負圧にした状態で大気開放路335を開く開放路吸引動作を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、
前記吸引キャップ内を吸引する吸引手段と、
前記吸引キャップ内に通じる開閉可能な大気開放路と、
前記吸引キャップの開口を閉じる蓋部材と、を備え、
前記蓋部材で前記吸引キャップの開口を閉じた状態で、前記大気開放路を閉じて前記吸引手段により前記吸引キャップ内を吸引し、前記吸引キャップ内を負圧にした状態で前記大気開放路を開く開放路吸引動作を行う
ことを特徴とするヘッドメンテナンス装置。
【請求項2】
前記開放路吸引動作を行うときには、複数回繰り返して行う
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項3】
前記蓋部材の前記吸引キャップが当接する面には吸収体が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項4】
前記大気開放路内の前記液体を検出する液体検出手段を備え、
前記液体検出手段が前記大気開放路内の前記液体を検知していないときには、前記開放路吸引動作を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項5】
前記開放路吸引動作を複数回繰り返し行い、前記繰り返しの回数が前記環境条件で異なる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項6】
前記開放路吸引動作を複数回繰り返し行い、前記繰り返しの回数が前記液体の種類で異なる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項7】
前記開放路吸引動作の実施タイミングが環境条件及び前記液体の種類の少なくともいずれかで異なる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項8】
前記開放路吸引動作の実施タイミングが前記ヘッドから前記液体を吐出させるジョブによって異なる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項9】
前記吸引キャップで前記ノズル面をキャッピングした状態で前記吸引キャップ内を吸引するときの前記吸引手段の出力よりも、前記開放路吸引動作で前記吸引キャップ内を吸引するときの前記吸引手段の出力が強い
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドメンテナンス装置。
【請求項10】
複数の前記蓋部材と、を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
液体を吐出するヘッドと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドを備える装置では、ヘッドの状態を維持、回復(メンテナンス)するために、ヘッドのノズル面(吐出面)をキャッピングする吸引キャップを有するメンテナンス装置(維持回復機構)を備える。
【0003】
従来、吸引キャップに、ノズルから吸引した液体を回収する吸引流路と、ヘッドとの間で密閉された吸引キャップの空間内を大気圧に戻すための空気導入が可能な大気開放路とが接続されたメンテナンス装置を備えるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6098054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなメンテナンス装置にあっては、経時的に、ヘッドから吸引した液体が大気開放路内に進入して残存固化するなどして、大気開放路が詰まり、大気開放できなくなってメンテンナンス性能が低下するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、メンテナンス性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係るヘッドメンテナンス装置は、
液体を吐出するヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、
前記吸引キャップ内を吸引する吸引手段と、
前記吸引キャップ内に通じる開閉可能な大気開放路と、
前記吸引キャップの開口を閉じる蓋部材と、を備え、
前記蓋部材で前記吸引キャップの開口を閉じた状態で、前記大気開放路を閉じて前記吸引手段により前記吸引キャップ内を吸引し、前記吸引キャップ内を負圧にした状態で前記大気開放路を開く開放路吸引動作を行う
構成とした。
【0008】
本発明によれば、メンテナンス性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
図2】同実施形態におけるメンテナンス動作制御手段によるメンテナンス動作の制御の説明に供する説明図である。
図3】同じくメンテナンス動作の制御の説明に供する説明図である。
図4】同じくメンテナンス動作の制御の説明に供する説明図である。
図5】同じくメンテナンス動作の制御の説明に供する説明図である。
図6】比較例のヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
図7】同比較例の開放路吸引動作の説明に供する説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
図10】本発明の第4実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
図12】同じく吐出ユニットの平面説明図である。
図13】同じくメンテナンスユニットの説明に供するとメンテナンスユニットとヘッドアレイの平面説明図である。
図14】同じく正面説明図である。
図15】同じくメンテナンスユニットの斜視説明図である。
図16】同じくメンテナンスユニットの移動機構部の一例の説明に供する説明図である。
図17】同じく吸引キャップの昇降機構(進退動機構部)の一例の説明に供する説明図である。
図18】同じくメンテナンス制御に係る部分の説明に供するブロック説明図である。
図19】本発明の第6実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の機構部の平面説明図である。
図20】同じく要部側面説明図である。
図21】同じく制御部の一例の説明に供するブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1を参照して説明する。図1は同実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
【0011】
ヘッドメンテナンス装置3は、メンテナンスユニット300と、メンテナンスユニット300によるメンテナンス動作を制御するメンテナンス制御手段830とを含む。
【0012】
メンテナンスユニット300は、液体を吐出するヘッド101のノズル面112をキャッピングする吸引キャップ311を備えている。吸引キャップ311内には吸収体332が配置されている。吸引キャップ311の吸引穴331aには排出経路333が接続されて、排出経路333には、吸引キャップ311内を吸引する吸引手段としての吸引ポンプ334が設けられている。
【0013】
また、ヘッドメンテナンス装置3は、吸引キャップ311内に通じる大気開放路335を備え、大気開放路335には開閉弁336が設けられている。開閉弁336を開閉することによって大気開放路335を開閉可能である。
【0014】
さらに、ヘッドメンテナンス装置3は、吸引キャップ311の開口部を閉じる蓋部材337を備えている。蓋部材337は、平坦面を有する剛性体からなり、例えば樹脂や板金などで形成している。蓋部材337は、ヘッド101のノズル面112と同じ高さに配置している。
【0015】
ここで、ヘッド101と吸引キャップ311とは、X方向において、相対的に移動可能である。同様に、蓋部材337と吸引キャップ311とも、X方向において、相対的に移動可能である。ヘッド101と蓋部材337とは一体的に移動可能でも、個別に移動可能でもよい。また、ヘッド101、蓋部材337と吸引キャップ311とは、Z方向において、相対的に移動可能である。
【0016】
本実施形態においては、吸引キャップ311は、メンテナンスユニット移動機構部320によってX方向に往復移動可能とし、進退動機構部325によってZ方向に昇降(進退動)可能としている。なお、ヘッド101及び蓋部材337が、X方向に往復移動可能で、かつ、Z方向に昇降可能である構成、あるいは、吸引キャップ311がX方向に往復移動可能で、ヘッド101及び蓋部材337が、Z方向に昇降可能である構成とすることもできる。
【0017】
メンテナンス制御手段830は、メンテナンスユニット移動機構部320、キャップ進退動機構部325、吸引ポンプ334、開閉弁336を駆動制御し、本発明に係る開放路吸引動作を含むメンテナンス動作の制御を行う。
【0018】
次に、本実施形態におけるメンテナンス制御手段によるメンテナンス動作の制御について図2ないし図5を参照して説明する。図2ないし図5は、同メンテナンス動作の制御の説明に供する説明図である。
【0019】
メンテナンス制御手段830は、メンテナンス動作を開始すると、図1に示すように、大気開放弁336を閉状態にして大気開放路335を閉じる。また、メンテナンス制御手段830は、図1に示すように、吸引キャップ311がヘッド101に対向する位置でキャップ進退動機構部325を駆動制御して吸引キャップ311を上昇させ、ノズル面112をキャッピングする。
【0020】
次いで、メンテナンス制御手段830は、吸引ポンプ334を駆動し、吸引キャップ311内を負圧にして、図2に示すように、ヘッド101から吸引キャップ311内に廃液400となる液体を吸引排出させる(ノズル吸引動作という。)。
【0021】
このとき、排出経路333の内の吸引キャップ311から吸引ポンプ334までの間も負圧になるので廃液400が入り込む。更に、大気開放路335の内の吸引キャップ311から開閉弁336までの間も負圧になるので、大気開放路335内にも廃液400が侵入する。
【0022】
そして、メンテナンス制御手段830は、吸引ポンプ334の駆動開始から所定時間が経過するまで吸引動作を継続した後、図3に示すように、開閉弁336を開状態にして大気開放路335を開く。
【0023】
これにより、負圧になっている吸引キャップ311内に大気開放路335を通じて大気が導入されるので、吸引キャップ311内の廃液400が吸引ポンプ334の吸引によって排出経路333を通じて廃液収容容器などに排出される。
【0024】
また、大気開放路335に侵入した廃液400も吸引キャップ311内に排出されて排出経路333を通じて廃液収容容器などに排出されることになる。ただし、大気開放路335内に侵入した廃液400は、大気開放路335を通じて大気が吸引キャップ311内に導入されるだけではすべて排出されずに、図3に示すように、大気開放路335内に一部の廃液400が残存することがある。
【0025】
その後、メンテナンス制御手段830は、吸引ポンプ334の駆動を停止し、キャップ進退動機構部325を駆動制御して吸引キャップ311を下降させ、ヘッド101のノズル面112から退避させるデキャップを行う。
【0026】
その後、メンテナンス制御手段830は、蓋部材337で吸引キャップ311の開口部を閉じた状態で、大気開放路335を閉じて吸引ポンプ334により吸引キャップ311内を吸引し、吸引キャップ311内を負圧にした状態で大気開放路335を開く開放路吸引動作の制御を行う。
【0027】
この開放路吸引動作において、まず、メンテナンス制御手段830は、メンテナンスユニット移動機構部320を駆動制御して、図4に示すように、相対的に、吸引キャップ311を蓋部材337に対向する位置に移動させる。
【0028】
そして、メンテナンス制御手段830は、図4に示すように、キャップ進退動機構部325を駆動制御して吸引キャップ311を上昇させ、吸引キャップ311を蓋部材337に当接させて吸引キャップ311の開口部が蓋部材337で閉じられて状態にする。更に、メンテナンス制御手段830は、開閉弁336を閉じる。
【0029】
この状態で、メンテナンス制御手段830は、吸引ポンプ334を所定時間駆動することで、吸引キャップ311内及び大気開放路335の吸引キャップ311から開閉弁336までの経路内が負圧になる。
【0030】
そして、吸引ポンプ334の駆動開始から所定時間経過後、メンテナンス制御手段830は、図5に示すように、開閉弁336を開状態にする。これにより、大気開放路335内に一気に大気が流れ込み、大気開放路335内の残存する廃液400が吸引キャップ311内に流れ込み、排出経路333を通じて排出される。
【0031】
このとき、吸引キャップ311に蓋部材337で蓋をした状態で吸引ポンプ334を駆動するので、吸引キャップ311内及び大気開放路335内を高い負圧にできる。この状態で、開閉弁336を開くと大気開放路335内に一気に大気が流れ込み残留する廃液400が吸引キャップ311側に押し流されるため、残存する廃液400が無くなり、経時的に廃液400の固着による大気開放路335の詰まりの発生が抑制される。したがって、メンテナンス性能の経時的な低下が抑制される。
【0032】
上述した開放路吸引動作は、複数回繰り返して行うことができる。これにより、大気開放路335内に侵入した廃液を確実に排出ことができる。このとき、開放路吸引動作の繰り返し回数は、環境条件、或いは、液体の種類などによって異ならせることができる。これにより、より効率的なメンテナンス動作を行うことができる。
【0033】
ここで、比較例のメンテナンス装置について図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は同比較例の説明に供する説明図である。
【0034】
比較例のメンテナンス装置は、前記第1実施形態の蓋部材337を備えない構成としたものである。
【0035】
この比較例のメンテナンス装置において、吸引キャップ311内の廃液400を排出する動作を行ったとき、前記第1実施形態の図3で説明したように、大気開放路335内に侵入した廃液400が排出されずに残存することがある。
【0036】
大気開放路335内に廃液400が残存すると、経時的に廃液400が固化して大気開放路335の一部ないし全部を塞ぐことになる。そうすると、吸引キャップ311内の大気開放を行うときに、大気が流入せず、あるいは、流入に時間がかかり、吸引キャップ311内の廃液400を排出できなくなる。
【0037】
ここで、吸引ポンプ334の吸引力を高くして大気開放路335内の廃液400を吸引しようとしても、図7に示すように、ヘッド101から液体(廃液400)を吸引するだけで、大気開放路335の残留廃液400を吸引キャップ311内に排出することはできない。
【0038】
これに対し、前記第1実施形態では、吸引キャップ311の開口部をヘッド101のノズル面をキャッピングした状態ではなく、蓋部材337で閉じた状態で、大気開放路335から吸引を行う。これにより、吸引ポンプ334の吸引力を高くして大気開放路335内の廃液400を吸引排出でき、廃液400の残存量を低減できる。
【0039】
つまり、メンテナンス制御手段830は、ノズル吸引動作を行うときの吸引ポンプ334の出力よりも開放路吸引動作を行うときの吸引ポンプ334の出力を高く制御するようにできる。これにより、大気開放路335内の残留廃液をより確実に排出できる。
【0040】
また、ノズル吸引動作を行う毎に開放路吸引動作を実施する必要はなく、環境条件や液体の種類によって実施タイミングが異ならせることができるとともに、ヘッドから液体を吐出させるジョブ(印刷ジョブ)によって実施タイミングを異ならせることもできる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
【0042】
本実施形態では、蓋部材337の吸引キャップ311が当接する面側に吸収体338を設けている。吸収体338としては、スポンジなどの多孔質体や不織布を使用している。
【0043】
このように構成したので、メンテナンス動作において、吸引キャップ311を蓋部材337に押し付けて吸引キャップ311の開口部を閉じるとき、吸引キャップ311のニップ部(当接部)331aに付着している廃液を吸収体338で吸収できる。
【0044】
つまり、本実施形態では、蓋部材337は吸引キャップ311のニップ部331bの排液を除去するスタンパ動作を行うときのスタンパ部材としても機能している。
【0045】
これにより、スタンパ部材を別途設けてスタンパ動作を行う場合に比べて、メンテナンス時間の短縮を図ることができる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
【0047】
本実施形態では、大気開放路335内の廃液400を検知する液体検知手段としての侵入検知センサ339(339a、339b)を備えている。侵入検知センサ339aは大気開放路335の吸引キャップ311側に、侵入検知センサ339bは大気開放路335の侵入検知センサ339aよりも開閉弁336に近い側に配置している。
【0048】
ここで、大気開放路335は、吸引キャップ311の周壁部311cから吸引キャップ311内に臨ませている。これにより、大気開放路335の吸引キャップ311側の入口部分付近における廃液400を検知できるように侵入検知センサ339aを配置できる。
【0049】
侵入検知センサ339として反射型或いは透過型の光センサを使用する場合には、大気開放路335は透明チューブなどで形成する。なお、侵入検知センサ339は光センサに限るものではなく静電センサなどを使用することもできる。また、侵入検知センサ339の個数、配置位置などは上記の例に限るものではない。
【0050】
これらの侵入検知センサ339の検知出力はメンテナンス制御手段830に入力されている。
【0051】
そこで、メンテナンス制御手段830は、メンテナンス動作を行うとき、侵入検知センサ339が廃液400を検知しているか否かを判別する。このとき、侵入検知センサ339が廃液400を検知しているときには、メンテナンス制御手段830は、前述した開放路吸引動作を予め定めた所定回数実施する制御をする。これに対し、侵入検知センサ339が廃液400を検知していないときには、メンテナンス制御手段830は、メンテナンス動作の一環としての開放路吸引動作を行わないように制御する。
【0052】
これにより、不要な開放路吸引動作を行わなくて済むので、メンテナンス時間を短縮できる。
【0053】
また、侵入検知センサ339aが廃液400を検知し(有り)、侵入検知センサ339bが廃液400を検知していない(無し)ときには、開放路吸引動作を所定回数であるN回(N=1以上の整数)を行う。侵入検知センサ339a、339bがいずれも廃液400を検知している(有り)ときには、開放路吸引動作を所定回数であるN+n回(N、n=1以上の整数)を行う。つまり、大気開放路335に対する廃液400の侵入領域の長さに応じて、開放路吸引動作の実施回数を変化させるようにすることができる。
【0054】
これにより、より効率的な開放路吸引動作を行うことができるとともに、確実に大気開放路335内に侵入した廃液400を排出できる。
【0055】
次に、本発明の第4実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態に係るヘッドメンテナンス装置の説明に供する説明図である。
【0056】
本実施形態では、複数(ここでは4個)のヘッド101(101a~101d)が配列され、各ヘッド101で共用する1個の吸引キャップ311を備えている。また、各ヘッド101の並びの両側に、それぞれ蓋部材337(337a、337b)を配置している。
【0057】
このように構成した場合、図10(a)に示すように、ヘッド101cのメンテナンス動作を行うときには、図10(b)に示すように、相対的に近い距離にある蓋部材337bに吸引キャップ311を移動させて開放路吸引動作を行う。ヘッド101dのメンテナンス動作を行うときも同様である。
【0058】
一方、図10(c)に示すように、ヘッド101bのメンテナンス動作を行うときには、図10(d)に示すように、相対的に近い距離にある蓋部材337aに吸引キャップ311を移動させて開放路吸引動作を行う。ヘッド101aのメンテナンス動作を行うときも同様である。
【0059】
これにより、複数のヘッド101が配列されている場合、蓋部材337が一箇所に配置されている場合に比べて、開放路吸引動作を行うための吸引キャップ311の相対的な移動距離が短くなり、全体のメンテナンスに要する時間を短縮できる。
【0060】
なお、ヘッドの個数、吸引キャップの個数、蓋部材の個数は、上記各実施形態で説明した例に限るものではない。例えば、前記第1実施形態などの構成においても、ヘッドの両側にそれぞれ蓋部材を配置することもできる。
【0061】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図11及び図12を参照して説明する。図11は同印刷装置の概略説明図、図12は同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【0062】
印刷装置1は、シート材Sを搬入する搬入部10と、塗布部である前処理部20と、印刷部30と、第1乾燥部40と、第2乾燥部50と、反転機構部60と、搬出部70とを備えている。
【0063】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Sに対し、前処理部20で必要に応じて塗布液としての前処理液を付与(塗布)し、印刷部30でシート材Sに対して所要の液体を付与して所要の印刷を行う。
【0064】
そして、印刷装置1は、第1乾燥部40、第2乾燥部50でシート材Sに付着した液体を乾燥させた後、反転機構部60を介して、そのまま、又は、シート材Sの両面に印刷を行った後、シート材Sを搬出部70に排出する。
【0065】
搬入部10は、複数のシート材Sを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Sを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Sを前処理部20に供給する。
【0066】
前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Sの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布手段21などを備えている。
【0067】
印刷部30は、シート材Sを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Sに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0068】
印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Sを受け取ってドラム31との間でシート材Sを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Sを受け取って第1乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0069】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Sは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Sは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0070】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Sの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0071】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Sは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0072】
液体吐出部32は、液体付与手段である吐出ユニット33(33A~33E)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。吐出ユニット33Eは、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。
【0073】
吐出ユニット33は、例えば、液体吐出手段であるヘッドアレイ100を有している。ヘッドアレイ100は、複数のノズル111をノズル面112に配列したノズル列を複数列有する複数のヘッド101をベース部材103に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドを含む。ヘッドアレイ100の各ヘッド101に供給する液体を貯留するサブタンク(液体収容容器)も備える。
【0074】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Sが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0075】
乾燥部40は、例えばIRヒータなどの加熱手段42を備え、搬送ベルトなどを含む搬送部41で搬送される液体が付与されたシート材Sに赤外線を照射して加熱乾燥する。
【0076】
反転機構部60は、乾燥部40を通過して一面に液体が付与されて乾燥されたシート材Sに対して両面印刷を行うときに、スイッチバック方式で、シート材Sを反転する反転部61と、反転されたシート材Sを印刷部30の渡し胴34よりも上流側に逆送する両面搬送部62とを備えている。
【0077】
搬出部70は、複数のシート材Sが積載される搬出トレイ71を備えている。反転機構部60から搬送されてくるシート材Sは、搬出トレイ71上に順次積み重ねられて保持される。
【0078】
なお、本実施形態では、シート材がカットシート材である例で説明しているが、壁紙などの大判のシート材を使用する装置、連帳紙などの連続体、ウェブ状のシート材などにも本発明を適用することができる。
【0079】
次に、メンテナンスユニットについて図13ないし図15を参照して説明する。図13は同メンテナンスユニットとヘッドアレイの平面説明図、図14は同じく正面説明図、図15は同じく斜視説明図である。なお、図13はドラム31を展開した状態で示している。また、図14では保湿キャップによるキャッピング位置で一方の列のみ図示している。
【0080】
各吐出ユニット33(33A~33E)に対応してメンテナンスユニット300(300A~300E)がヘッド並び方向である矢印X方向に移動可能に配置されている。
【0081】
メンテナンスユニット300は、ベース部材301上に、ヘッド101のノズル面112をキャッピングする吸引キャップ311及び保湿キャップ312と、ノズル面112を払拭するブレード状払拭部材314とが配置されている。
【0082】
また、メンテナンスユニット300は、吐出ユニット33のベース部材103のヘッド101の列の両側に保持された蓋部材337(337a、337b)を備えている。蓋部材337は、前記第2実施形態のようにスタンパ部材と兼用することができる。
【0083】
吸引キャップ311には、前記第1実施形態で説明したように、吸引手段としての吸引ポンプが設けられた排出経路、開閉弁が設けられた大気開放路が接続されている。吸引キャップ311は、ベース部材301に対して上下動可能に配置され、ヘッド101のノズル面112に対して進退動する。一方、保湿キャップ312は、ベース部材301上に弾性部材317を介して保持されている。
【0084】
これにより、吸引キャップ311と保湿キャップ312とは、ノズル面112に対して別々に進退可能である。
【0085】
また、図14に示すように、吸引キャップ311と保湿キャップ312は、ノズル面112に当接するときの高さが異なる。つまり、吸引キャップ311でノズル面112をキャッピングした状態では、保湿キャップ312はノズル面112には当接しない。
【0086】
吸引キャップ311、保湿キャップ312、払拭部材313、314は、それぞれ千鳥状に配置されたヘッド101の各列に対応してそれぞれ配置されている。
【0087】
ここで、保湿キャップ312の数はヘッド101の数と同じであり、すべてのヘッド101を保湿キャップ312でキャッピングできる。そして、保湿キャップ312でノズル面112をキャッピングするときには、吸引キャップ311はノズル面112をキャッピングしない。
【0088】
次に、メンテナンスユニットの移動機構部について図16を参照して説明する。図16は同メンテナンスユニットの移動機構部の説明に供する説明図であり、(a)が斜視説明図、(b)は側面説明図である。
【0089】
メンテナンスユニット300は、ベース部材301の長手方向(移動方向)の両端部に回転可能なコロ302が取り付けられている。そして、メンテナンスユニット300はコロ302を介してヘッド並び方向に沿って配置されるガイド部材303に移動可能に保持されている。
【0090】
一方、メンテナンスユニット移動機構部320は、ステッピングモータ321のモータプーリ322とプーリ323との間に掛け回したタイミングベルト324を備えている。そして、ベース部材301の一端部に設けた連結部材304とタイミングベルト324とを連結している。
【0091】
これにより、ステッピングモータ321を駆動することにより、メンテナンスユニット300をX方向に移動させることができる。
【0092】
次に、吸引キャップの昇降機構(進退動機構部)の一例について図17を参照して説明する。図17は同説明に供する説明図である。
【0093】
キャップ進退動機構部325は、吸引キャップ311は当接するカムフォロア343を有し、カムフォロア343はキャップ進退動モータ344によって回転される軸342で回転するカム341の周面に倣って移動する。これにより、吸引キャップ311が上下動(進退動)する。
【0094】
次に、この印刷装置のメンテナンス制御に係る部分について図18のブロック説明図を参照して説明する。
【0095】
メンテナンス制御手段830は、メンテナンスユニット移動機構部320のモータ321を駆動制御して、メンテナンスユニット300の移動を制御する。メンテナンス制御手段830は、キャップ進退動機構部325のモータ344を駆動制御して吸引キャップ311の進退動を制御する。メンテンス制御手段830は、吸引ポンプ334の駆動及び停止を制御して、吸引キャップ311内の吸引を制御し、開閉弁336の開閉駆動を制御して大気開放路335の開閉を制御する。
【0096】
メンテナンス制御手段830は、前記侵入検知センサ339の検知出力を入力する。
【0097】
そして、メンテナンス制御手段830は、前記第1実施形態で説明したと同様なメンテナンス動作の制御を行い、侵入検知センサ339が大気開放路335内の廃液400を検知しているときには開放路吸引動作を所定回数(1回又は複数回)実施する制御をする。
【0098】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図19及び図20を参照して説明する。図19は同印刷装置の機構部の平面説明図、図20は同じく要部側面説明図である。
【0099】
印刷装置1は、シリアル型印刷装置である。左右の側板1010A、1010Bに架け渡されるガイド部材1001などのガイド部材でキャリッジ1003を主走査方向に往復移動可能に保持している。そして、キャリッジ1003は、主走査モータ1005によって、駆動プーリ1006と従動プーリ1007間に架け渡したタイミングベルト1008を介して主走査方向(X方向)に往復移動する。
【0100】
このキャリッジ1003には、4つの液体吐出ユニット1004を搭載している。液体吐出ユニット1004は、液体を吐出するヘッド101とサブタンク1035を一体化して構成している。
【0101】
ヘッド101は複数のノズル111を配列した2列のノズル列を有し、各ノズル列には、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、白(W)、透明(V)の液体を吐出するように割当てられている。
【0102】
サブタンク1035は、それぞれ各ヘッド101に供給する各色の液体を収容するタンク部を備えている。
【0103】
そして、装置本体側には、各色の液体を収容したメインタンク1050が交換可能に装着されるカートリッジホルダ1051が配置されている。このカートリッジホルダ1051には送液ポンプ部1052が設けられ、メインタンク1050から送液ポンプ部1052によって各色の供給チューブ(液体供給経路ともいう。)1056を介して各サブタンク1035に各色の液体が供給される。
【0104】
一方、シート材Sを搬送するために、シート材Sを吸着してヘッド101に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト1012を備えている。この搬送ベルト1012は、無端状ベルトであり、搬送ローラ1013とテンションローラ1014との間に掛け渡されている。なお、搬送ベルト1012は静電吸着やエアー吸引でシート材Sを吸着する。
【0105】
そして、搬送ベルト1012は、副走査モータ1016によってタイミングベルト1017及びタイミングプーリ1018を介して搬送ローラ1013が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0106】
さらに、キャリッジ1003の主走査方向の一方側には搬送ベルト1012の側方にヘッド101の維持回復を行うメンテナンスユニット300が配置されている。
【0107】
メンテナンスユニット300は、ヘッド101のノズル面をキャッピングする1つの保湿キャップを兼ねる吸引キャップ311及び3つの保湿キャップ312と、ノズル面112を払拭するブレード状払拭部材314などとで構成されている。
【0108】
吸引キャップ311には、前記第1実施形態で説明したように、吸引手段としての吸引ポンプが設けられた排出経路、開閉弁が設けられた大気開放路が接続されている。また、本実施形態では、吸引キャップ311及び保湿キャップ312は共通のキャップ進退動モータ344で駆動されて同じタイミングで、各ヘッド101に対して、キャッピング位置への移動、デキャップ位置への進退移動を行う。
【0109】
そして、メンテナンスユニット300の蓋部材337(337a、337b)は、キャリッジ1003のヘッド並び方向の両側に配置されている。
【0110】
この印刷装置1においては、シート材Sが搬送ベルト1012上に給送されて吸着され、搬送ベルト1012の周回移動によって副走査方向に搬送される。
【0111】
そこで、キャリッジ1003を主走査方向に移動させながら画像信号に応じてヘッド101を駆動することにより、停止しているシート材Sに液体を吐出して1行分を記録する。そして、シート材Sを所定量搬送後、次の行の記録を行う。
【0112】
記録終了信号又はシート材Sの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、シート材Sを排出する。
【0113】
次に、この印刷装置の制御部の一例について図21のブロック説明図を参照して説明する。
【0114】
制御部800は、装置全体の制御を司るCPU801と、CPU801が実行する各種プログラムなどの固定データを格納するROM802と、画像データ等を一時格納するRAM803とを含む主制御部800Aを備えている。
【0115】
また、制御部800は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)804と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する画像処理部805とを備えている。
【0116】
また、制御部800は、ヘッド101を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含むヘッド駆動制御部808と、キャリッジ1003側に設けたヘッド101を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)809とを備えている。
【0117】
また、制御部800は、キャリッジ1003を移動走査する主走査モータ1005、搬送ローラ1013を駆動する副走査モータ1016の駆動などを行なう走査駆動制御部81を備えている。
【0118】
また、制御部800は、メンテナンスユニット300の吸引ポンプ334、開閉弁336、キャップ進退動モータ344を駆動制御するメンテナンス駆動制御部831を備えている。本実施形態では、キャリッジ1003を主走査方向に移動させて、蓋部材337を吸引キャップ311に対向する位置にする。つまり、前記各実施形態で説明したメンテン明日制御手段830は、走査駆動制御部810とメンテナンス駆動制御部831を含むことになる。
【0119】
また、制御部800は、I/O部813を備えている。I/O部813は、侵入検知センサ339の検知出力の他、温度センサ、その他装置に装着されている各種のセンサなどからの情報を取得し、装置の制御に必要な情報を抽出し、各種の制御に使用する。
【0120】
また、制御部800には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル814が接続されている。
【0121】
制御部800は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F806を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置、撮像装置などのホスト側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F806で受信する。
【0122】
本実施形態においてヘッド101に対するメンテナンス動作を行うときには、走査駆動制御部510がキャリッジ1003を移動させて対象ヘッド101を吸引キャップ311に対向する位置に移動させる。
【0123】
そして、メンテナンス駆動制御部831によって、前記第1実施形態で説明したと同様なメンテナンス動作の制御を行い、侵入検知センサ339が大気開放路335内の廃液400を検知しているときには開放路吸引動作を所定回数実施する制御をする。この開放路吸引動作を行うとき、走査駆動制御部510がキャリッジ1003を移動させて蓋部材337を吸引キャップ311に対向する位置に移動させる制御を行うことになる。
【0124】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0125】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0126】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0127】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0128】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0129】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0130】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0131】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0132】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0133】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0134】
本発明の態様は、例えば、次のとおりである。
[1]
液体を吐出するヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、
前記吸引キャップ内を吸引する吸引手段と、
前記吸引キャップ内に通じる開閉可能な大気開放路と、
前記吸引キャップの開口を閉じる蓋部材と、を備え、
前記蓋部材で前記吸引キャップの開口を閉じた状態で、前記大気開放路を閉じて前記吸引手段により前記吸引キャップ内を吸引し、前記吸引キャップ内を負圧にした状態で前記大気開放路を開く開放路吸引動作を行う
ことを特徴とするヘッドメンテナンス装置。
[2]
前記開放路吸引動作を行うときには、複数回繰り返して行う
ことを特徴とする[1]に記載のヘッドメンテナンス装置。
[3]
前記蓋部材の前記吸引キャップが当接する面には吸収体が設けられている
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載のヘッドメンテナンス装置。
[4]
前記大気開放路内の前記液体を検出する液体検出手段を備え、
前記液体検出手段が前記大気開放路内の前記液体を検知していないときには、前記開放路吸引動作を行わない
ことを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置。
[5]
前記開放路吸引動作を複数回繰り返し行い、前記繰り返しの回数が前記環境条件で異なる
ことを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置。
[6]
前記開放路吸引動作を複数回繰り返し行い、前記繰り返しの回数が前記液体の種類で異なる
ことを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置。
[7]
前記開放路吸引動作の実施タイミングが環境条件及び前記液体の種類の少なくともいずれかで異なる
ことを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置。
[8]
前記開放路吸引動作の実施タイミングが前記ヘッドから前記液体を吐出させるジョブによって異なる
ことを特徴とする[1]ないし[7]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置。
[9]
前記吸引キャップで前記ノズル面をキャッピングした状態で前記吸引キャップ内を吸引するときの前記吸引手段の出力よりも、前記開放路吸引動作で前記吸引キャップ内を吸引するときの前記吸引手段の出力が強い
ことを特徴とする[1]ないし[8]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置。
[10]
複数の前記蓋部材と、を備えている
ことを特徴とする[1]ないし[9]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置。
[11]
液体を吐出するヘッドと、
[1]ないし[10]のいずれかに記載のヘッドメンテナンス装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【符号の説明】
【0135】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
32 吐出ユニット
40 乾燥部
60 反転機構部
70 搬出部
100 ヘッドアレイ
101 ヘッド
112 ノズル面
300 メンテナンスユニット
311 吸引キャップ
334 吸引ポンプ
335 大気開放路
336 開閉弁
337 蓋部材
830 メンテナンス制御手段
1003 キャリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21