(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057926
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】トップリングおよび基板処理装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/30 20120101AFI20240418BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20240418BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B24B37/30 E
B24B37/30 A
B24B49/10
H01L21/304 622K
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164921
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】柏木 誠
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034CA16
3C034CB20
3C158AA07
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA13
3C158EB01
3C158ED00
5F057AA03
5F057BA12
5F057DA03
5F057FA19
5F057FA37
5F057GA02
(57)【要約】
【課題】研磨の均一性を向上し得るトップリングを実現すること。
【解決手段】基板を保持するためのトップリングであって、 回転シャフトに連結されたベース部材と、 基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材を含む基板吸着部材と、 前記ベース部材と前記基板吸着部材との間に配置され、前記基板吸着部材の前記基板吸着面とは反対側に配置された複数の第1加圧手段を有する第1加圧アセンブリであって、各第1加圧手段は互いに完全に独立に前記基板吸着部材に対して押圧力を加えることが可能に構成されている第1加圧アセンブリと、を備える、トップリング。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するためのトップリングであって、
回転シャフトに連結されたベース部材と、
基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材を含む基板吸着部材と、
前記ベース部材と前記基板吸着部材との間に配置され、前記基板吸着部材の前記基板吸着面とは反対側に配置された複数の第1加圧手段を有する第1加圧アセンブリであって、各第1加圧手段は互いに完全に独立に前記基板吸着部材に対して押圧力を加えることが可能に構成されている第1加圧アセンブリと、
を備える、トップリング。
【請求項2】
請求項1に記載のトップリングであって、
前記第1加圧アセンブリは、前記複数の第1加圧手段を保持する保持体を更に有し、
前記ベース部材は、前記保持体の前記複数の第1加圧手段とは反対側を流体圧で押圧する第2加圧手段を更に有する、トップリング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトップリングであって、
前記第1加圧アセンブリは、各加圧手段の前記基板吸着部材側に設けられた、伸縮性の小さい流体バッグを更に有する、トップリング。
【請求項4】
請求項3に記載のトップリングであって、
前記流体バッグは液体を保持している、トップリング。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のトップリングであって、
前記第1加圧アセンブリは、前記ベース部材及び前記基板吸着部材に対して上下方向に移動可能に構成されている、トップリング。
【請求項6】
請求項5に記載のトップリングであって、
前記ベース部材と前記基板吸着部材とは、両部材の間の隙間を密閉する外周バンドで連結されており、
前記第1加圧アセンブリは、前記ベース部材と前記基板吸着部材と前記外周バンドで囲まれた空間内に密閉されている、トップリング。
【請求項7】
請求項5に記載のトップリングであって、
前記ベース部材の内側側面と前記第1加圧アセンブリの外側側面との間に、前記ベース部材と前記第1加圧アセンブリの相対的な移動を案内するリニアガイド機構が設けられている、トップリング。
【請求項8】
請求項7に記載のトップリングであって、
前記第1加圧アセンブリは、平面視四角形であり、
前記リニアガイド機構は、前記第1加圧アセンブリの対向する一対の外側側面のみに設けられている、トップリング。
【請求項9】
請求項5に記載のトップリングであって、
前記第1加圧アセンブリは、その外周に沿って設けられた複数のローラを備え、
前記基板吸着部材は、前記複数のローラによって前記第1加圧アセンブリに対する上下方向の移動が案内される、トップリング。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のトップリングであって、
前記ベース部材は、該ベース部材に対する前記第1加圧アセンブリの下方への移動を制限する第1ストッパを有し、
前記基板吸着部材は、前記第1加圧アセンブリに対する前記基板吸着部材の下方への移動を制限する第2ストッパを有する、トップリング。
【請求項11】
請求項10に記載のトップリングであって、
前記ベース部材、前記基板吸着部材、及び前記第1加圧アセンブリは、平面視四角形であり、
前記第1ストッパは、前記第1加圧アセンブリの4つの隅部に対応して前記ベース部材に設けられ、
前記第2ストッパは、前記第1加圧アセンブリの4つの隅部に対応して前記基板吸着部材に設けられている、トップリング。
【請求項12】
請求項11に記載のトップリングであって、
前記第2ストッパの一部又は全部は、前記基板吸着部材の隅部と共に取り外し可能に構成されており、
前記第2ストッパの一部又は全部を前記基板吸着部材の隅部と共に取り外した状態で、前記基板吸着部材を前記第1加圧アセンブリから取り外し可能である、トップリング。
【請求項13】
請求項1又は2に記載のトップリングであって、
前記基板は、基板本体と、前記基板本体上に配置された複数の配線ユニットとを含み、
各第1加圧手段の寸法は、各配線ユニットの寸法に対応する、トップリング。
【請求項14】
請求項1又は2に記載のトップリングであって、
前記基板は四角形の基板である、トップリング。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のトップリングであって、
各第1加圧手段は圧電素子である、トップリング。
【請求項16】
請求項2に記載にトップリングであって、
前記第2加圧手段は、加圧室を備えるメンブレンである、トップリング。
【請求項17】
基板処理装置であって、
請求項1に記載のトップリングと、
前記トップリングに保持された基板を押し付けるための研磨パッドを保持する研磨テーブルと、
前記多孔質部材に接続された前記減圧手段と、
各第1加圧手段による押圧力を制御する第1制御手段と、
を備える基板処理装置。
【請求項18】
請求項17に記載の基板処理装置であって、
前記第1加圧アセンブリは、前記複数の第1加圧手段を保持する保持体を更に有し、
前記ベース部材は、前記保持体の前記複数の第1加圧手段とは反対側を流体圧で押圧する第2加圧手段を更に有し、
前記第2加圧手段による押圧力を調整する第2制御手段を更に備える、基板研磨装置。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の基板処理装置であって、
前記第1制御手段は、研磨中の膜厚分布の測定結果に基づいて、前記基板の膜厚分布が、目標の膜厚分布になるように各第1加圧手段による押圧力を調整する、基板研磨装置。
【請求項20】
複数の圧電素子を備えるトップリングを遺伝的アルゴリズムを使用してキャリブレーションする方法であって、
各圧電素子に供給する電圧を2進数で表したデータを並べた配列データである遺伝子データを複数準備し、
前記複数の遺伝子データに対応する電圧を前記複数の圧電素子に実際に供給して、各圧電素子による押圧力を測定し、
前記遺伝子データごとに前記複数の圧電素子による押圧力の測定値の標準偏差を算出し、
前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が、所定の許容値以上であれば、前記複数の遺伝子データに対して、遺伝的アルゴリズムによる選択、交叉及び/又は突然変異の処理を実行して、新たな複数の遺伝子データを作成し、新たな複数の遺伝子データを用いて、前記複数の圧電素子による押圧力の測定、及び各遺伝子データに対する標準偏差の算出を実行することを、前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になるまで繰り返し、
前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になったとき、当該最小の標準偏差に対応する遺伝子データを、前記複数の圧電素子に供給する電圧の組み合わせとして選択する、
方法。
【請求項21】
複数の圧電素子を備えるトップリングを遺伝的アルゴリズムを使用してキャリブレーションする方法をコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記録媒体であって、
各圧電素子に供給する電圧を2進数で表したデータを並べた配列データである遺伝子データを複数準備し、
前記複数の遺伝子データに対応する電圧を前記複数の圧電素子に実際に供給して、各圧電素子による押圧力を測定し、
前記遺伝子データごとに前記複数の圧電素子による押圧力の測定値の標準偏差を算出し、
前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が、所定の許容値以上であれば、前記複数の遺伝子データに対して、遺伝的アルゴリズムによる選択、交叉及び/又は突然変異の処理を実行して、新たな複数の遺伝子データを作成し、新たな複数の遺伝子データを用いて、前記複数の圧電素子による押圧力の測定、及び各遺伝子データに対する標準偏差の算出を実行することを、前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になるまで繰り返し、
前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になったとき、当該最小の標準偏差に対応する遺伝子データを、前記複数の圧電素子に供給する電圧の組み合わせとして選択する、
ことをコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、トップリングおよび基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面を平坦化するために化学機械研磨(CMP)装置が、半導体デバイスの製造に使用されている。半導体デバイスの製造に使用される基板は、多くの場合、円板形状である。また、半導体デバイスに限らず、CCL基板(Copper Clad Laminate基板)やPCB(Printed Circuit Board)基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネルなどの四角形(角形)の基板の表面を平坦化する際の平坦度の要求も高まっている。また、PCB基板などの電子デバイスが配置されたパッケージ基板の表面を平坦化することへの要求も高まっている。
【0003】
化学機械研磨装置などの基板処理装置は、例えば、基板を保持するためのトップリングを含む。このトップリングでは、基板WFを基板吸着部材によって真空吸着保持し、その状態でトップリングを回転させながら、同じく回転する研磨テーブル上の研磨パッドに押し付けて基板WFを化学的機械研磨する。
【0004】
また、トップリングによる基板の研磨パッドに対する押付力(押圧力)を調節するために、トップリングに複数の圧電素子を配置するものがある(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-225820号公報
【特許文献2】特開2000-094301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記研磨装置では、基板の厚さの不均一や、トップリングの基板吸着部を構成する多孔質部材/遮蔽部材の面内均一性が要因で、基板の被研磨面における研磨不均一が発生する可能性がある。例えば、多孔質部材は、平坦性(厚さの均一性)を得るために、平面フライス刃を用いた平面加工(フライス加工)を行うが、その加工痕が、そのまま研磨レートに転写される場合がある。
【0007】
フライスによる平面切削加工の場合、多孔質部材の基板吸着面における平面度及び/又は厚さ精度は、研磨性能に影響が出ないレベルまで高精度には加工することが困難であり、影響が出ないレベルまで追い込むためには、更に高精度な加工方法を選択する必要があり、コストが上昇する。また、角形基板は、その特性上、半導体ウエハとは異なり、厚さのバラツキが大きい傾向があり、厚さのバラツキが研磨に大きく影響するおそれもある。
【0008】
研磨レートの面内均一性を向上させるため、トップリングは、弾性膜によって隔てられた複数の加圧室を備える場合がある。各加圧室の圧力に差をつけることによって、基板を押し付ける力の均一性をある程度の補正はできるものの、微小で複雑な圧力差は付けられず、できたとしても高価な構成となる。また、一旦、設計を確定すると、変更に大きな労力が必要となる。また、複数の圧電素子を備えるトップリング(特許文献1及び特許文献2)においても、研磨レートの面内均一性を向上させる観点で、改善の余地がある。
【0009】
本願は、研磨の均一性を向上し得るトップリングを実現することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、 基板を保持するためのトップリングであって、 回転シャフトに連結されたベース部材と、 基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材を含む基板吸着部材と、 前記ベース部材と前記基板吸着部材との間に配置され、前記基板吸着部材の前記基板吸着面とは反対側に配置された複数の第1加圧手段を有する第1加圧アセンブリであって、各第1加圧手段は互いに完全に独立に前記基板吸着部材に対して押圧力を加えることが可能に構成されている第1加圧アセンブリと、 を備える、トップリング。が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による、基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】一実施形態による、研磨ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図3】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
【
図4】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
【
図8】トップリングのキャリブレーション方法の一例を説明する説明図である。
【
図9】トップリングのキャリブレーション方法の他の例を説明する説明図である。
【
図10】キャリブレーションのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るトップリングおよび基板処理装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
図1は、一実施形態による基板処理装置1000の全体構成を示す平面図である。
図1に示される基板処理装置1000は、ロードユニット100、搬送ユニット200、研磨ユニット300、乾燥ユニット500、およびアンロードユニット600を有する。図示の実施形態において、搬送ユニット200は、2つの搬送ユニット200A、200Bを有し、研磨ユニット300は、2つの研磨ユニット300A、300Bを有する。一実施形態において、これらの各ユニットは、独立に形成することができる。これらのユニットを独立して形成することで、各ユニットの数を任意に組み合わせることで異なる構成の基板処理装置1000を簡易に形成することができる。また、基板処理装置1000は、制御装置900を備え、基板処理装置1000の各構成要素は制御装置900により制御される。一実施形態において、制御装置900は、入出力装置、演算装置900a、記憶装置900bなどを備える一般的なコンピュータから構成することができる。演算装置900aは、CPU、MPU等を含み得る。記憶装置900bは、任意の不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリを含み得る。
【0014】
<ロードユニット>
ロードユニット100は、研磨および洗浄などの処理が行われる前の基板WFを基板処理装置1000内へ導入するためのユニットである。一実施形態において、ロードユニット100は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0015】
図示の実施形態において、ロードユニット100の搬送機構は、複数の搬送ローラ202と、搬送ローラ202が取り付けられる複数のローラシャフト204とを有する。
図1に示される実施形態においては、各ローラシャフト204には3つの搬送ローラ202が取り付けられている。基板WFは、搬送ローラ202上に配置され、搬送ローラ202が回転することで基板WFが搬送される。ローラシャフト204上の搬送ローラ202の取り付け位置は、基板WFを安定的に搬送することができる位置であれば任意とすることができる。ただし、搬送ローラ202は基板WFに接触するので、処理対象である基板WFに接触しても問題の無い領域に搬送ローラ202が接触するように配置すべきである。一実施形態において、ロードユニット100の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから構成することができる。一実施形態において、搬送ローラ202は、ローラシャフト204などを介して電気的に接地される。これは、基板WFが帯電して基板WFを損傷することを防止するためである。また、一実施形態において、ロードユニット100に、基板WFの帯電を防止するためにイオナイザー(図示せず)を設けてもよい。
【0016】
<搬送ユニット>
図1に示される基板処理装置1000は、2つの搬送ユニット200A、200Bを備えている。2つの搬送ユニット200A、200Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して搬送ユニット200として説明する。
【0017】
図示の搬送ユニット200は、基板WFを搬送するための複数の搬送ローラ202を備えている。搬送ローラ202を回転させることで、搬送ローラ202上の基板WFを所定の方向に搬送することができる。搬送ユニット200の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから形成されても、導電性のないポリマーから形成されてもよい。搬送ローラ202は、図示していないモータにより駆動される。基板WFは、搬送ローラ202によって基板受け渡し位置まで搬送される。
【0018】
一実施形態において、搬送ユニット200は、洗浄ノズル284を有する。洗浄ノズル284は、図示しない洗浄液の供給源に接続される。洗浄ノズル284は、搬送ローラ202によって搬送される基板WFに洗浄液を供給するように構成される。
【0019】
<研磨ユニット>
図2は、一実施形態による研磨ユニット300の構成を概略的に示す斜視図である。
図1に示される基板処理装置1000は、2つの研磨ユニット300A、300Bを備えている。2つの研磨ユニット300A、300Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して研磨ユニット300として説明する。
【0020】
図2に示すように、研磨ユニット300は、研磨テーブル350と、研磨対象物である基板を保持して研磨テーブル350上の研磨面に押圧する(押し付ける)研磨ヘッドを構成するトップリング302とを備えている。研磨テーブル350は、テーブルシャフト351を介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、テーブルシャフト351周りに回転可能になっている。研磨テーブル350の上面には研磨パッド352が貼付されており、研磨パッド352の表面352aが基板を研磨する研磨面を構成している。一実施形態において、研磨パッド352は、研磨テーブル350からの剥離を容易にするための層を介して貼り付けられてもよい。そのような層は、たとえばシリコーン層やフッ素系樹脂層などがあり、例えば特開2014-176950号公報などに記載されているものを使用してもよい。特開2014-176950号公報の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書を含む全ての開示は、参照により全体として本願に組み込まれる。
【0021】
研磨テーブル350の上方には研磨液供給ノズル354が設置されており、この研磨液
供給ノズル354によって研磨テーブル350上の研磨パッド352上に研磨液が供給されるようになっている。また、
図2に示されるように、研磨テーブル350およびテーブルシャフト351には、研磨液を供給するための通路353が設けられている。通路353は、研磨テーブル350の表面の開口部355に連通している。研磨テーブル350の開口部355に対応する位置において研磨パッド352には貫通孔357が形成されており、通路353を通る研磨液は、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357から研磨パッド352の表面に供給される。なお、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357は、1つであっても複数でもよい。また、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357の位置は任意であるが、一実施形態においては研磨テーブル350の中心付近に配置される。
【0022】
図2には示されていないが、一実施形態において、研磨ユニット300は、液体、または、液体と気体との混合流体、を研磨パッド352に向けて噴射するためのアトマイザ358を備える(
図1参照)。アトマイザ358から噴射される液体は、例えば、純水であり、気体は、例えば、窒素ガスである。
【0023】
トップリング302(より具体的には後述のベース部材420)は、トップリングシャフト18に接続されており、このトップリングシャフト18は、上下動機構319により揺動アーム360に対して上下動するようになっている。このトップリングシャフト18の上下動により、揺動アーム360に対してトップリング302の全体を上下動させ位置決めするようになっている。トップリングシャフト18は、図示しないトップリング回転モータの駆動により回転するようになっている。トップリングシャフト18の回転により、トップリング302がトップリングシャフト18を中心にして回転するようになっている。
【0024】
トップリング302は、その下面に四角形の基板WFを保持できるようになっている。基板WFは、CCL基板(Copper Clad Laminate基板)、PCB(Printed Circuit Board)基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネル、その他任意の四角形の基板であってよい。ある種の基板は、複数の配線ユニットが形成されており、複数の配線ユニットのそれぞれが配線パターンを有する。なお、研磨処理された基板の複数の配線ユニットにはそれぞれICチップのダイなどが実装されることがある。揺動アーム360は支軸362を中心として旋回可能に構成されている。トップリング302は、揺動アーム360の旋回により、上述の搬送ユニット200の基板受け渡し位置と研磨テーブル350の上方との間で移動可能である。トップリングシャフト18を下降させることで、トップリング302を下降させて基板WFを研磨パッド352の表面(研磨面)352aに押し付けることができる。このとき、トップリング302および研磨テーブル350をそれぞれ回転させ、研磨テーブル350の上方に設けられた研磨液供給ノズル354から、および/または、研磨テーブル350に設けられた開口部355から研磨パッド352上に研磨液を供給する。このように、基板WFを研磨パッド352の研磨面352aに押し付けて基板WFの表面を研磨することができる。基板WFの研磨中に、トップリング302が研磨パッド352の中心を通過するように(研磨パッド352の貫通孔357を覆うように)、揺動アーム360を固定あるいは揺動させてもよい。
【0025】
トップリングシャフト18およびトップリング302を上下動させる上下動機構319は、軸受321を介してトップリングシャフト18を回転可能に支持するブリッジ28と、ブリッジ28に取り付けられたボールねじ32と、支柱130により支持された支持台29と、支持台29上に設けられたACサーボモータ38とを備えている。サーボモータ38を支持する支持台29は、支柱130を介して揺動アーム360に固定されている。
【0026】
ボールねじ32は、サーボモータ38に連結されたねじ軸32aと、このねじ軸32aが螺合するナット32bとを備えている。トップリングシャフト18は、ブリッジ28と一体となって上下動するようになっている。したがって、サーボモータ38を駆動すると、ボールねじ32を介してブリッジ28が上下動し、これによりトップリングシャフト18およびトップリング302が上下動する。
【0027】
一実施形態による研磨ユニット300は、研磨パッド352の研磨面352aをドレッシングするドレッシングユニット356を備えている。このドレッシングユニット356は、研磨面352aに摺接されるドレッサ50と、ドレッサ50が連結されるドレッサシャフト51と、ドレッサシャフト51の上端に設けられたエアシリンダ53と、ドレッサシャフト51を回転自在に支持する揺動アーム55とを備えている。ドレッサ50の下部はドレッシング部材50aにより構成され、このドレッシング部材50aの下面には針状のダイヤモンド粒子が付着している。エアシリンダ53は、支柱56により支持された支持台57上に配置されており、これらの支柱56は揺動アーム55に固定されている。
【0028】
揺動アーム55は図示しないモータに駆動されて、支軸58を中心として旋回するように構成されている。ドレッサシャフト51は、図示しないモータの駆動により回転し、このドレッサシャフト51の回転により、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転するようになっている。エアシリンダ53は、ドレッサシャフト51を介してドレッサ50を上下動させ、ドレッサ50を所定の押圧力で研磨パッド352の研磨面352aに押圧する。本実施形態の研磨装置では、このドレッサ50を利用して研磨パッド352の摩耗量を測定する。すなわち、ドレッシングユニット356はドレッサ50の変位を測定する変位センサ60を備えている。この変位センサ60は、研磨パッド352の摩耗量を検知する摩耗量検知手段を構成し、揺動アーム55の上面に設けられている。ドレッサシャフト51にはターゲットプレート61が固定されており、ドレッサ50の上下動にともなって、ターゲットプレート61が上下動するようになっている。変位センサ60はこのターゲットプレート61を挿通するように配置されており、ターゲットプレート61の変位を測定することによりドレッサ50の変位を測定する。なお、変位センサ60としては、リニアスケール、レーザ式センサ、超音波センサ、もしくは渦電流式センサなどのあらゆるタイプのセンサが用いられる。なお、変位センサ60及びターゲットプレート61は省略されてもよい。
【0029】
研磨パッド352の研磨面352aのドレッシングは次のようにして行われる。ドレッサ50はエアシリンダ53により研磨面352aに押圧され、これと同時に図示しない純水供給ノズルから純水が研磨面352aに供給される。なお、図示しない純水供給ノズルからの純水に代えて又は追加して、研磨液を供給するための通路353及び/又は研磨液供給ノズル354を純水供給に切り替えて純水を研磨面352aに供給しても良い。この状態で、ドレッサ50をドレッサシャフト51周りに回転させるとともに揺動アーム55を研磨面352a上で揺動させ、ドレッシング部材50aの下面(ダイヤモンド粒子)を、回転する研磨面352aに摺接させる。このようにして、ドレッサ50により研磨パッド352が削り取られ、研磨面352aがドレッシングされる。
【0030】
研磨ユニット300は、研磨面352a上の基板WFの膜厚を測定する膜厚センサ42を備えている。膜厚センサ42は、基板WFの膜厚を直接または間接に示す膜厚指標値を生成するように構成されている。この膜厚指標値は、基板WFの膜厚に従って変化する。膜厚指標値は、基板WFの膜厚自体を表す値であってもよいし、または膜厚に換算される前の物理量または信号値であってもよい。
【0031】
膜厚センサ42の例としては、渦電流センサ、光学式膜厚センサが挙げられる。膜厚センサ42は、研磨テーブル350内に設置されており、研磨テーブル350と一体に回転
する。より具体的には、膜厚センサ42は、研磨テーブル350が一回転するたびに、研磨面352a上の基板WFを横切りながら、基板WFの複数の測定点での膜厚を測定するように構成されている。複数の測定点での膜厚は、膜厚指標値として膜厚センサ42から出力され、膜厚指標値は制御装置900に送られる。制御装置900は、膜厚指標値に基づいてトップリング302の動作を制御するように構成されている。
【0032】
制御装置900は、膜厚センサ42から出力された膜厚指標値から、基板WFの膜厚プロファイルを作成する。基板WFの膜厚プロファイルは、膜厚指標値の分布である。制御装置900は、得られた基板WFの現在の膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をなくすようにトップリング302の動作を制御する。基板WFの目標膜厚プロファイルは、制御装置900の記憶装置900b内に予め格納されている。基板WFの現在の膜厚プロファイルの例としては、
図1に示す基板処理装置1000(研磨ユニット300)で研磨される前の基板WFの初期膜厚プロファイル、および
図1に示す基板処理装置1000で基板WFを研磨しているときに膜厚センサ42から出力された膜厚指標値から作成された膜厚プロファイルが挙げられる。初期膜厚プロファイルは、例えば、図示しないスタンドアローン型の膜厚測定装置により取得された膜厚測定値、または膜厚センサを備えた他の基板処理装置1000により取得された膜厚測定値から作成される。初期膜厚プロファイルは、制御装置900の記憶装置900b内に格納される。
【0033】
<乾燥ユニット>
乾燥ユニット500は、基板WFを乾燥させるための装置である。
図1に示される基板処理装置1000においては、乾燥ユニット500は、研磨ユニット300で研磨された後に、搬送ユニット200の洗浄部で洗浄された基板WFを乾燥させる。
図1に示されるように、乾燥ユニット500は、搬送ユニット200の下流に配置される。乾燥ユニット500は、搬送ローラ202上を搬送される基板WFに向けて気体を噴射するためのノズル530を有する。気体は、たとえば圧縮された空気または窒素とすることができる。搬送される基板WF上の水滴を乾燥ユニット500によって吹き飛ばすことで、基板WFを乾燥させることができる。
【0034】
<アンロードユニット>
アンロードユニット600は、研磨および洗浄などの処理が行われた後の基板WFを基板処理装置1000の外へ搬出するためのユニットである。
図1に示される基板処理装置1000においては、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500で乾燥された後の基板を受け入れる。
図1に示されるように、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500の下流に配置される。一実施形態において、アンロードユニット600は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェ
ース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0035】
<トップリング>
次に、一実施形態による研磨ユニット300におけるトップリング302について説明する。
図3及び
図4は、一実施形態のトップリング302を概略的に示す断面図である。
図3は、基板WFを研磨パッド352に接触させて、メンブレン422及び圧電素子432を加圧状態にしたときのトップリング302の断面図を示す。
図4は、基板WFが研磨パッド352に接触せず、メンブレン422及び圧電素子432が未加圧状態のときのトップリング302の断面図を示す。
【0036】
トップリング302は、基板吸着部材410と、ベース部材420と、基板吸着部材410とベース部材420との間に配置された圧電素子部材430と、を備えている。基板吸着部材410と、ベース部材420と、圧電素子部材430とは、互いに上下方向に沿ってスライド可能に構成されており、圧電素子部材430は、ベース部材420及び基板
吸着部材410に対して上下方向に沿ってスライド可能である。
【0037】
基板吸着部材410は、ベース部材420及び圧電素子部材430の下方に配置され、多孔質部材411と、多孔質部材411が取り付けられる遮蔽部材412とを備える。多孔質部材411は、減圧手段(真空源)415を用いた真空引きによって基板WFを真空吸着することができる部材であればよく、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、またはPVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂に多数の細孔が形成された樹脂ポーラス材で構成することができる。また、多孔質部材411は、多数の細孔が形成されたセラミックで構成することもできる。多孔質部材411は、本実施形態では板状に形成されており、基板WFを吸着するための基板吸着面411aと、減圧手段(真空源)415と連通する減圧部411bとを有する。減圧手段(真空源)415によって多孔質部材411を減圧することにより、基板WFが多孔質部材411に吸着保持される。
【0038】
遮蔽部材412は、気体の流れを遮蔽することができる気密な部材であればよく、例えば比較的軟質なPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、またはPVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂板で形成することができる。遮蔽部材412は、本実施形態では、多孔質部材411の基板吸着面411aとは反対側の面および側面を遮蔽するように形成される。遮蔽部材412は、多孔質部材411と連通するように形成された吸引孔414を含む。減圧部411bは、吸引孔414が形成された位置に設けられる。本実施形態では、吸引孔414は、多孔質部材411の側面に連通するように遮蔽部材412に形成されており、減圧部411bは多孔質部材411の側面に設けられている。吸引孔414の一方の端部は多孔質部材411の側面に接続され、他方の端部は吸引路423を介して減圧手段415に接続される。
【0039】
遮蔽部材412を設けることによって、減圧手段(真空源)415によって多孔質部材411を真空引きした場合に、負圧を基板吸着面411aに効率よく形成することができる。これにより、基板WFを基板吸着部材410に確実に吸着することができるので、基板WFの周囲にリテーナ部材を設けることなく、研磨中に基板WFが外側に飛び出す(スリップアウトする)のを防止することができる。また、研磨中に基板WFまたはトップリング302がリテーナ部材と接触して破損するのを防止することができる。
【0040】
基板吸着部材410は、圧電素子部材430の少なくとも一部の周囲を囲むように遮蔽部材412に設けられた枠部材413を含む。枠部材413は、遮蔽部材412の上面の周縁部に枠状に設けられる。基板吸着部材410は、圧電素子部材430の周囲に設けられた支持ローラ438により、圧電素子部材430ひいてはベース部材420に対する上下方向の移動が案内されるように配置されている。枠部材413の内側側面には、
図6に示すように、各支持ローラ438に対応して支持パッド418が設けられている。支持パッド418が支持ローラ438に接触して案内されることにより、圧電素子部材430に対して基板吸着部材410の上下方向の移動が案内される。なお、支持パッド418は、複数の支持ローラ438に対して共通に設けられても良い。基板吸着部材410は、研磨パッド352の研磨面に平行な平面方向に圧電素子部材430に対して若干移動可能になるように、圧電素子部材430に取り付けられている。また、枠部材413には、基板吸着部材410の下方への移動を制限するためのストッパ413A(
図6参照)が、圧電素子部材430の4隅に対応して設けられている。
【0041】
また、トップリング302は、ベース部材420のベース本体421の外側側面と基板吸着部材410の枠部材413の外側側面とを接続する外周バンド419をさらに含む。外周バンド419は、トップリング302の全周を囲むように設けられる。外周バンド419は、基板吸着部材410のベース部材420に対する変位を許容するとともに、基板
吸着部材410とベース部材420との間の空間(内部空間)に研磨液などが浸入するのを防止する。この例では、ベース部材420の下方に開口する凹部と、基板吸着部材410の上方に開口する凹部とが、内部空間を形成している。
【0042】
ベース部材420は、トップリングシャフト18に接続されたベース本体421と、ベース本体421に取り付けられ加圧室422Aを形成するメンブレン(弾性膜)422と、を備えている。メンブレン(弾性膜)422は、例えば、シリコーンゴム、FKM、EPDMで構成することができる。ベース本体421は、下方に開口する凹部である内部空間を有し、内部空間の上方(凹部の底面側)にメンブレン422が配置され、メンブレン422の下方に圧電素子部材430の少なくとも一部を収容するようになっている。メンブレン422内の加圧室422Aは、流路424を通じて圧縮空気供給源425に接続されており、メンブレン422は、圧縮空気供給源425からの圧縮空気(加圧流体)によって加圧膨張されるように構成されている。
【0043】
ベース本体421の対向する2つの内側側面には、
図3及び
図5に示すように、リニアガイド426が設けられている。この例では、
図5に示すように、対向する2つの内側側面の各々に2つずつのリニアガイド426が設けられる。リニアガイド426は、圧電素子部材430の対応する位置に設けられたリニアガイド437と係合し、ベース部材420に対する圧電素子部材430の上下移動を案内する。リニアガイド426及びリニアガイド437は、例えば、一方がレールであり、他方がレールに係合する摺動部材とすることができる。この例では、ベース本体421の4つの内側側面のうち対向する一対の内側側面(2つの内側側面)のみにリニアガイドを設けることで、ベース部材420と圧電素子部材430との間の上下移動をスムーズに行い易くしている。なお、ベース部材420と圧電素子部材430との間の上下移動に特段の支障がなければ、ベース本体421の全ての内側側面にリニアガイド426を設けても良い。
【0044】
圧電素子部材430は、ハウジングとしての保持体(ホルダ)431と、保持体431の内部に収容配置された複数の圧電素子432と、各圧電素子432の下方に配置された流体バッグ433と、圧電素子432と流体バッグ433との間に配置された押付力測定装置434と、を備えている。押付力測定装置434は、各圧電素子432による押圧力(各圧電素子432の位置において基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力)を測定できる限り、流体バッグ433の下方、その他の位置に配置してもよい。
【0045】
複数の圧電素子432は、例えば、
図6に示すように、マトリクス状に配置される。但し、複数の圧電素子432は、
図6の配置に限定されず、任意の配置をとることができる。各圧電素子432は、略同一の寸法及び特性を備えているものを使用することが好ましい。圧電素子の特性は、印加電圧に対する伸長量(ストローク)等を含む。各圧電素子432は、電気配線436を介して駆動電圧印加装置435に接続される。この例では、駆動電圧印加装置435がベース本体421に内蔵された例を示すが、駆動電圧印加装置435は、トップリング302の外部に配置されてもよい。駆動電圧印加装置435は、制御装置900から制御信号/電圧を受信し、制御信号/電圧に対応する駆動電圧を各圧電素子432に供給する。各圧電素子432は、個別のアクチュエータを構成し、互いに完全に独立に基板吸着部材410の各部(各圧電素子に対応する各領域)に対して押圧力を加えることが可能である。
【0046】
流体バッグ433は、伸縮性の小さい材質(高硬度のシリコンゴム、EPDM、FKM、または、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム、PETフィルム及びそれらフィルムを多層構造としたフィルム等。一般的に市販されている非常用などのウォーターバッグのバッグ材料が該当。)の袋体の内部に流体を保持し、全体として伸縮性が小さい袋体部材(中に入っている流体の形状に伴って袋体部材/バッグは変形するが、膨張しない袋体
部材/バッグである非膨張袋体部材/バッグ)を構成したものである。即ち、流体バッグ433は、ほとんど伸縮せずに圧電素子432による圧力を基板吸着部材410に伝達する部材である。流体バッグ433の伸縮を更に避けるために、流体バッグ433が保持する流体は、非圧縮性の流体であることが好ましく、例えば、水、油等の液体であることが好ましい。また、液体充填後の液体バッグ433が伸縮性の小さい部材となるように、液体バッグ433の袋体に液体を十分充填することが好ましい。但し、流体バッグ433が保持する流体が気体であっても、流体バッグ433全体として伸縮性が小さい部材を構成できる場合には、流体は気体であってもよい。この場合も、液体バッグ433の袋体に気体を十分充填することが好ましい。このように伸縮性が小さい流体バッグ433によれば、基板吸着部材410におけるそれぞれの圧電素子432直下の領域において均一に圧力を伝達させることができ、基板吸着部材410の各部に伝達される圧力を均一化することができる。
【0047】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、隣接する流体バッグ433間には、薄い仕切りが設けられているが、隣接する流体バッグ433は実質的に隙間なく基板側(基板吸着部材410)を押圧することができる。従って、各圧電素子432に設けられた流体バッグ433により基板吸着部材410ひいては基板WFの各部位を隙間なく押圧することができる(研磨パッド352に押し付けることができる)。言い換えれば、流体バッグ433によって、各圧電素子432による押しムラを低減ないし防止することができる。
【0048】
駆動電圧印加装置435が複数の圧電素子432に駆動電圧を印加すると、これら圧電素子432は流体バッグ433に向かって伸長する。この圧電素子432の伸長は、加圧室422Aが基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力を局所的に調節する。これにより、加圧室422Aが圧電素子432を介して基板WFを研磨パッド352に押し付ける押しムラ(押圧力のバラツキ)を抑制ないし防止する。以下、圧電素子の伸長量をストロークと称す場合がある。このように、駆動電圧が印加された圧電素子432は、各圧電素子432の領域ごとに基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力を調節することができる。これにより、「多孔質部材411、基板等」(基板WF、多孔質部材411、及び/又は遮蔽部材412)の厚みにバラツキがある場合であっても、基板WF等の厚みのバラツキに応じて圧電素子のストロークを適切に調整することで、基板WFの各部位(領域)を均一な押圧力で研磨パッド352に押し付けることができ(面圧分布を均一化することができ)、研磨レートの面内均一性を向上し得る。
【0049】
例えば、基板WFに厚みのバラツキがある場合、基板WFの各部位(領域)を加圧室422Aによる均一なストロークで押圧したのでは、厚みの大きい部位がより大きな押圧力で研磨パッド352に押し付けられ、厚みの小さい部位がより小さな押圧力で研磨パッド352に押し付けられることになるが、本実施形態によれば、厚みの大きい部位(研磨レートが上昇傾向にある部位)にある圧電素子のストロークを、厚みの小さい部位(研磨レートが減少傾向にある部位)にある圧電素子のストロークより相対的に小さく調整することで、加圧室422Aが基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力を、基板WFの各部位(領域)で均一にすることができる(面圧分布を均一化することができる)。多孔質部材411及び/又は遮蔽部材412に厚みのバラツキがある場合も同様に、基板WFの各部位(領域)で圧電素子のストロークを適切に調整することで、加圧室422Aが基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力を、基板WFの各部位(領域)で均一にすることができる(面圧分布を均一化することができる)。このように、本実施形態によれば、基板WF、多孔質部材411、及び/又は遮蔽部材412の厚みにバラツキがある場合であっても、基板WF、多孔質部材411、及び/又は遮蔽部材412の厚みのバラツキに応じて圧電素子のストロークを適切に調整することで、基板WFの各部位(領域)を均一な押圧力で研磨パッド352に押し付けることができ(面圧分布を均一化することができ)、研磨レートの面内均一性を向上し得る。
【0050】
押付力測定装置434は、各圧電素子432の位置における押圧力(基板WFを研磨パッド352に押し付ける力)を計測する装置であり、例えば、圧力ゲージとすることができる。本実施形態では、各押付力測定装置434は、圧電素子432および流体バッグ433と直列に配置されている。より具体的には、各押付力測定装置434は、圧電素子432と流体バッグ433との間に配置されている。このように配置された押付力測定装置434は、各圧電素子432において基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力を別々に測定することができる。押付力測定装置434の配置は、
図3及び
図4に示す実施形態に限られない。各圧電素子432において基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力を別々に測定することができる限りにおいて、押付力測定装置434は、基板吸着部材410と流体バッグ433との間に配置されてもよいし、あるいは流体バッグ433の横に配置されてもよい。
【0051】
押付力測定装置434は、測定した押圧力[N]を圧力[Pa]に換算するように構成されてもよい。押付力測定装置434の例として、複数の圧電素子432に連結されたロードセル、圧電シートが挙げられる。圧電シートは、複数の圧電センサを有しており、これら圧電シートに加えられた力に応じた電圧を発生し、電圧の値を力または圧力に変換するように構成されている。
【0052】
圧電素子部材430の保持体431の対向する2つの外側側面には、
図5に示すように、リニアガイド437が設けられている。この例では、保持体431の各外側側面に、2つのリニアガイド437が設けられている。リニアガイド437は、ベース部材420のリニアガイド426に係合して、ベース部材420に対する圧電素子部材430の上下移動を案内する。また、
図5に示すように、ベース部材420のベース本体421には、圧電素子部材430の4つの隅部に対応して4つのストッパ421Aが設けられている。これらのストッパ421Aが、圧電素子部材430の下方への移動を制限する。
【0053】
保持体431の各外側側面には、
図3及び
図6に示すように、複数の支持ローラ438が設けられている。この例では、本体431の各外側側面に3つの支持ローラ438が配置されているが、支持ローラ438の数は任意である。支持ローラ438は、
図3に示すように、リニアガイド437より下方に設けられる。各支持ローラ438に対応して、基板吸着部材410の枠部材413の内側側面には、支持パッド418が設けられている。各支持ローラ438が支持パッド418上を転動することで、基板吸着部材410及び圧電素子部材430の上下移動が互いに案内される。また、
図6に示すように、基板吸着部材410の枠部材413には、圧電素子部材430の4つの隅部に対応して4つのストッパ413Aが設けられている。これらのストッパ413Aは、圧電素子部材430に対する基板吸着部材410の下方への移動を制限する。
【0054】
即ち、
図4の状態において、ベース部材420のストッパ421Aによって、ベース部材420に対する圧電素子部材430の下方への移動が制限されると共に、基板吸着部材410のストッパ413Aによって、圧電素子部材430に対する基板吸着部材410の下方への移動が制限される。また、ベース部材420に対する圧電素子部材430の上方への移動を制限するストッパ(図示略)を、ベース本体421の内側側面に設けもよい。このようなストッパは、例えば、圧電素子部材430の保持体431の4隅の上方に向かって、ベース本体421の内壁を突出させるようにして設けることができる。
【0055】
図7は、基板吸着部材の枠部材の変形例である。同図に示すように、枠部材413のストッパ413Aの部分を、枠部材413の他の部分から取り外し可能に構成してもよい。例えば、ストッパ413Aは、枠部材413の他の部分に対してねじ等の締結部材413Bで取り外し可能に連結することができる。このように構成すれば、ストッパ413Aを
取り外して、基板吸着部材410をトップリング302から容易に取り外すことができる。これにより、基板吸着部材に含まれる消耗部品である多孔質部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。なお、4つのストッパ413Aの全てを取り外すことなく、基板吸着部材410をトップリング302から取り外せる場合には、一部のストッパ413Aのみを取り外し可能に構成してもよい。
【0056】
図4に示すトップリング302の未加圧状態では、トップリング302(基板WF)が研磨パッド352に接触していない。また、圧電素子部材430の圧電素子432に駆動電圧が印加されていない(圧電素子が未加圧状態)。また、加圧室422Aに十分な圧縮空気が導入されずメンブレン422が加圧されていない(未加圧状態)。圧電素子部材430は、その保持体431の4つの隅部が、ベース部材420のストッパ421A(
図5)に係合するまでベース部材420に対して下降し、基板吸着部材410は、そのストッパ413A(
図6)が圧電素子部材430の四隅に係合するまで圧電素子部材430に対して下降している。
【0057】
図3に示すトップリング302の加圧状態では、トップリング302が保持する基板WFが研磨パッド352に接触し、加圧室422Aに加圧流体が導入されて、メンブレン422が膨張して圧電素子部材430を下方に押圧し、複数の圧電素子432及び流体バッグ433を介して基板吸着部材410を下方に押圧し、これにより、基板WFが研磨パッド352に押し付けられる。また、各圧電素子432のストロークが調整され、加圧室422Aから各圧電素子432を介して基板WFの各部(各領域)に加えられる押圧力が調整される。即ち、基板WFは、メンブレン422による押圧力により研磨パッド352に押し付けられるとと共に、基板WFの各部(各領域)に加えられる押圧力が複数の圧電素子432により調整されることにより、加圧室422Aが基板WFを研磨パッド352に押し付ける押圧力の面圧の分布が均一化される。
【0058】
この構成では、基板WFの全領域に対するメンブレン422による押圧力によって基板WFを研磨パッド352に押し付けると共に、基板WFの各領域に対応する複数の圧電素子432のストロークによって基板WFの各領域の押圧力を調節するため、多孔質部材411、遮蔽部材412、及び/又は基板WFの厚みのバラツキがある場合であっても、基板WFの各部位を均一な力で研磨パッド352に押し付けることができる(面圧分布を均一化できる)。これにより、研磨レート(研磨量)の面内均一性を向上させることができる。
【0059】
上述した基板処理装置1000による研磨処理の膜厚制御は、例えば、以下のように行うことができる。制御装置900は、基板WFの現在の膜厚プロファイル(前述の膜厚センサ42から出力された膜厚指標値(基板WFの膜厚を直接または間接に示す指標値)から作成される基板WFの膜厚プロファイル)と、記憶装置900b内に予め格納されている目標膜厚プロファイルとの差を算定し、基板WFの被研磨面での目標研磨量の分布を作成する。さらに、制御装置900は、作成された目標研磨量の分布に基づき、所定の研磨時間内に目標研磨量を達成するために、圧電素子432に印加すべき電圧の指令値を決定する。例えば、制御装置900は、目標研磨量の分布と、上記所定の研磨時間とから、目標研磨レートの分布を作成し、目標研磨レートを達成できる電圧の指令値を研磨レート相関データから決定する。研磨レート相関データは、研磨レートと電圧の指令値との関係を示すデータである。
【0060】
制御装置900は、電圧の指令値(制御信号/電圧)を駆動電圧印加装置435に送る。駆動電圧印加装置435は、電圧の指令値(制御信号/電圧)に従って、圧電素子432に所定の駆動電圧を印加し、基板WFの膜厚プロファイルの調整を行う。なお、基板WFの研磨中においては、例えば一定時間ごと、または研磨テーブル350の一回転周期ご
とに、膜厚プロファイルの調整を行う。
【0061】
トップリング302の動作の別の例では、制御装置900は、目標研磨量の分布を作成せずに、膜厚センサ42により得られた基板WFの現在の膜厚プロファイルに基づいて、圧電素子432に印加すべき電圧の指令値を決定する。例えば、目標膜厚プロファイルが平坦な膜厚プロファイルである場合、制御装置900は、現在の膜厚プロファイルを平坦な膜厚プロファイルに近づけるために、膜厚指標値(前述の膜厚センサ42が生成する基板WFの膜厚を直接または間接に示す指標値)の大きい領域に対応する圧電素子432には、現在印加している電圧よりも所定の変更量だけ高い電圧を印加し、膜厚指標値の小さい領域に対応する圧電素子432には、現在印加している電圧よりも所定の変更量だけ低い電圧を印加するような電圧の指令値を決定する。なお、これらの電圧の変更量は、パラメータとして予め制御装置900に設定される。
【0062】
(キャリブレーション)
複数の圧電素子432のキャリブレーションについて説明する。圧電素子432のキャリブレーションは、各圧電素子432の印加電圧(ストローク)と、基板WFを研磨パッド352に押し付けた際の面圧分布均一性との関係を調整することを目的とする(圧電素子432の変形ヒステリシス、圧電素子432の設置高さ、及び基板吸着部材410(多孔質部材411、遮蔽部材412)の厚さなどの不均一に起因する押圧力の差を考慮するものである)。
【0063】
(キャリブレーション方法の一例)
図8は、トップリングのキャリブレーション方法の一例を説明する説明図である。このキャリブレーション方法では、研磨パッド352上に面圧分布測定器500を置き、その面圧分布測定器500の上に、基板WFを吸着させたトップリング302を置き、トップリング302の加圧室422A(
図3)に圧縮空気を供給して、基板WFを研磨パッド352に押し付ける。なお、このとき、WFを保持しない状態で多孔質部材411(
図3)を研磨パッド352に押し付けても良い。面圧分布測定器500は、例えば、シート状の感圧センサ又はタクタイルセンサとすることができる。なお、面圧分布測定器500の感圧部は、基板WF全体をカバーできる大きさとし、面圧分布測定器500の面圧分布測定範囲を基板WFの寸法より大きく構成するものとする。
【0064】
そして、面圧分布測定器500を接続したコンピュータ(PC)501において、面圧分布測定器500により測定された圧力分布を見て、複数の圧電素子432のストローク(電圧値)を調整し、面圧分布測定器500の出力(圧力分布)が均一になるようにする。このとき、人工知能によってAutoキャリブレーションしてもよい。上記で得られた圧電素子432の電圧値をキャリブレーション値としてコンピュータ(PC)501内部又は外部の記憶装置に記憶させる。コンピュータ501として、制御装置900を使用してもよい。
【0065】
この方法によれば、トップリング302が押付力測定装置434(
図3)を備えていない場合であっても、圧電素子432のキャリブレーションを行うことができる。
【0066】
他の方法として、実際の研磨結果(研磨レートの分布)から圧電素子のストロークを決定してもよい(特開2021-154421号公報を参照)。特開2021-154421号公報の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書を含む全ての開示は、参照により全体として本願に組み込まれる。
【0067】
(キャリブレーション方法の他の例)
図9は、トップリングのキャリブレーション方法の他の例を説明する説明図である。図
10は、圧電素子のキャリブレーションのフローチャートである。この例では、各圧電素子432に印加する電圧値の2進数表示を含む配列を遺伝子データとして遺伝的アルゴリズム(GA:genetic algorithm)によって、各圧電素子432の電圧値をキャリブレーションする。
【0068】
例えば、圧電素子432への印加電圧範囲が0~5[V]である場合に、印加電圧範囲の分割数を2
7=128とする。2進法で表す電圧値を「1001011」とすると、1001011(2進法)=75(10進法)であり、75/128×5[V]≒2.93[V]となる。これらの計算手順の逆算にて圧電素子432の電圧を2値化することができる。即ち、V1(10進法)を2値化する場合、V1(10進法)/5×128=V1’(分割数基準の電圧値、10進数)を算出し、V1’を2進法で表せばよい。なお、ここでは、V1を整数に近似した後に2値化するものとする。例えば、V1=3[V]の場合、V1’=76.8となるが、V1’=76.8≒77として2値化する(2進法で表す)。このようにして、各圧電素子432の電圧値を2値化した例を
図9に示す。なお、少数まで含めた値V1’を2値化してもよい。
【0069】
同図において、xaは遺伝子データ(遺伝子に相当するデータ)を示す。ここでは、N個(≧2)の遺伝子データx1、x2、・・xa・・、xNを準備する場合を示す。n(≧2)は、圧電素子432の総数を示し、iは、各圧電素子432を識別する番号(i番目の圧電素子)を示す。例えば、遺伝子データx1には、1番目の圧電素子の電圧値「0111001」、2番目の圧電素子の電圧値「0110001」、3番目の圧電素子の電圧値「0110011」、・・・・、n番目の圧電素子の電圧値「0110011」が含まれる。遺伝子データx2、x3、・・・・、xNについても同様である。圧電素子に印加する電圧値に代えて、圧電素子のストローク(変位)を2値化してもよい。
【0070】
このキャリブレーション方法では、
図9に示すような遺伝子データを複数個(N個)作成し、記憶装置900b等のメモリに記憶しておく。そして、遺伝子データに基づき各圧電素子432に電圧を印加し、
図3の状態で基板WFを研磨パッド352に押し付けた状態とした時の、押付力測定装置434の測定値を取得し、それらの圧力値から数1で算出される評価関数値(標準偏差)σを得る(1つの遺伝子データに対して1つのσ値を得る)。
【数1】
σ:標準偏差
n:圧電素子の数
i:圧電素子の番号
Pi:i番目の圧電素子の押付力測定装置の圧力測定値
【数2】
:1~nの圧電素子の押付力測定装置の圧力測定値の平均値
【0071】
N個の遺伝子データの標準偏差σの何れもがσT(許容値)以上である場合には、N個の遺伝子データにおいて選択、交叉、及び/又は突然変異を実行する。一方、N個の遺伝子データのうち標準偏差σがσT未満のものがある場合には、σT未満を満たす遺伝子データのうちσ最小のものをキャリブレーション値として選択し、記憶装置(メモリ)に記憶させる。なお、σTは、標準偏差σの許容値であり、この値未満であれば、面圧分布と
して許容可能である値として設定されるものである。
【0072】
「選択」とは、1~Nの遺伝子データのうち、設定数の優れた遺伝子(ここでは、σが小さい遺伝子データ)を残し、他をランダムな遺伝子データに入れ替えることである。つまり、劣っている遺伝子データが淘汰され優れた遺伝子データが残るようにする。「交叉」とは、遺伝子データx1・・・xNの値のうち一部の値(1又は複数の値)を互いに入れ替えることである。例えば、遺伝子データx2の1番目の圧電素子の電圧値の3ビット目の値「0」と、遺伝子データx3の1番目の圧電素子の電圧値の5ビット目の値「1」とを入れ替える。連続する2つ以上の数値の部分を、異なる遺伝子データ間で互いに入れ替えても良い。「突然変異」とは、遺伝子データx1・・・xNの値の一部をランダムに選択し、反転(0から1、又は、1から0)させることである。
【0073】
N個の遺伝子データの何れの標準偏差σもσT以上である場合には、標準偏差σがσT未満の遺伝子データを検出するまで、N個の遺伝子データの選択、交叉、及び/又は突然変異の実行と、遺伝子データ毎の圧電素子の圧力分布の測定及び標準偏差σの算出とを繰り返す。
【0074】
なお、N個の遺伝子データの初期値は、全くランダムな遺伝子データを使用しても良いが、予め実験で得られた面圧分布が均一になる可能性が高い電圧の組み合わせを遺伝子データの一部としても良い。そのようにすれば、キャリブレーションの収束が早くなることが期待できる(つまり、キャリブレーションに要する測定回数の低減が期待できる)。
【0075】
図10を参照して、圧電素子のキャリブレーションのフローチャートの一例を説明する。
【0076】
ステップS11では、遺伝子データの識別番号aを1に設定し、キャリブレーションを開始する。
【0077】
ステップS12では、a番目の遺伝子データの電圧値を各圧電素子に印加して、
図3の状態における各圧電素子の押付力測定装置434の測定値を取得し(圧力分布/面厚分布を測定し)、数1によってa番目の遺伝子データに対する標準偏差σaを算出し、記憶装置900b等に記憶させる。
【0078】
ステップS13では、a=Nか否かを判定する。a=Nでなければ、ステップS14においてa=a+1とし、ステップS12からの処理を繰り返す。一方、a=Nであれば、ステップS15に移行する。即ち、N個の遺伝子データの全てに対して圧力分布を測定し、N個の遺伝子データの全てに対する標準偏差σ1・・・σNを算出するまで、S12-S14の処理を繰り返す。
【0079】
ステップS15では、N個の遺伝子データの標準偏差σ1・・・σNのうち最小の標準偏差σminが許容値σTより小さいか否かを判定する。なお、その他任意の方法で、N個の遺伝子データの標準偏差σ1・・・σNのうちσT未満のものがあるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、S17において、σT未満を満たす標準偏差σa(a=1・・・N)のうち最小のもの又は任意のものをキャリブレーション値として選択してもよい。
【0080】
ステップS15において標準偏差σminが許容値σT以上であれば、S16において、N個の遺伝子データx1・・・xNに対して、選択、交叉、及び/又は突然変異の処理を実行して、新たなN個の遺伝子データx1・・・xNを作成し、及びa=1に設定し直した後、作成された新たなN個の遺伝子データx1・・・xN対してステップS12から
の処理を繰り返す。
【0081】
ステップS15において標準偏差σminが許容値σTより小さい場合には、ステップS17に移行する。ステップS17では、許容値σTより小さい標準偏差σminに対応する遺伝子データ(キャリブレーション値)を記憶装置900b等に記憶させ、キャリブレーションを完了させる。なお、2値化データである遺伝子データを記憶装置900b等に記憶させる代わりに、遺伝子データに含まれる電圧値(2進数)を10進数に変換して10進法による電圧値を記憶装置900b等に記憶させてもよい。
【0082】
(他の実施形態)
(1)上記では、複数の圧電素子を備えるトップリングを例に挙げたが、圧電素子に代えて、複数の押圧力を互いに完全に独立に発生させることができる他のタイプの複数のアクチュエータを用いても良い。このような複数のアクチュエータを構成するアクチュエータとしては、油圧シリンダ・モータのような油圧式アクチュエータ、空気圧モータや空気圧シリンダのような空気圧式アクチュエータ、電動モータのような電気式アクチュエータ、磁歪素子を使った磁歪アクチュエータ、リニアモータのような電磁アクチュエータ、小型ピストン、等が挙げられる。
(2)上記では、四角形の基板を例に挙げたが、円形のウエハの研磨に使用するトップリングに上記実施形態を適用してもよい。
(3)上記では、加圧室422A(メンブレン422)が基板WFの各部(各領域)を研磨パッド352に押し付ける押圧力を、複数の圧電素子432で局所的に調整する構成の例を挙げたが、加圧室422A(メンブレン422)を省略し、上下動機構319によってトップリング302の高さを調整して、基板WFを研磨パッド352に接触又は微小な押圧力で押し付ける高さに維持した後に、複数の圧電素子432によって基板WFの各部(各領域)を押圧して、基板WFの各部(各領域)に加わる押圧力を調整するようにしてもよい。
【0083】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0084】
本願は、一実施形態として、基板を保持するためのトップリングであって、 回転シャフトに連結されたベース部材と、 基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材を含む基板吸着部材と、 前記ベース部材と前記基板吸着部材との間に配置され、前記基板吸着部材の前記基板吸着面とは反対側に配置された複数の第1加圧手段を有する第1加圧アセンブリであって、各第1加圧手段は互いに完全に独立に前記基板吸着部材に対して押圧力を加えることが可能に構成されている第1加圧アセンブリと、 を備える、トップリングを開示する。互いに完全に独立に押圧力を加えることが可能な複数の第1加圧手段は、例えば、各々独立のアクチュエータで駆動される押圧部材(圧電素子等)である。
この形態によれば、トップリングの複数の第1加圧手段が多孔質部材を介して基板を研磨パッドに押し付け、各第1加圧手段の押圧力を互いに完全に独立に/個別に調整可能である。このため、多孔質部材、多孔質部材を支持する遮蔽部材、及び/又は基板に厚みのバラツキがある場合であっても、各第1加圧手段の押圧力を個別に調整して、基板の各部位(領域)を均一な押圧力で研磨パッドに押し付けることができ、研磨レートの面内均一性を向上することができる。この結果、基板上の被研磨層をより均一な研磨量で研磨することができる。
【0085】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記第1加圧アセンブリは、前記複数の第1加圧手段を保持する保持体を更に有し、 前記ベース部材は、前記保持体の前記複数の第1加圧手段とは反対側を流体圧で押圧する第2加圧手段を更に有する、トップリングを開示する。
この形態によれば、第2加圧手段により基板全体を押す押圧力を調整しながら、複数の第1加圧手段によって基板の各部位への押圧力を調整することができるので、基板の各部位を所望の均一な押圧力で研磨パッドに押し付けることができる。言い換えれば、基板を研磨パッドに押し付ける押圧力は、主に第2加圧手段で発生させ、複数の第1加圧手段(例えば、複数の圧電素子)は、基板の各領域への押圧力を調整する手段(面圧分布を均一化する手段)として用いることができる。例えば、各圧電素子のストロークを制御することにより、第2加圧手段からの基板の各領域への押圧力を調整し、基板全域にわたる面圧分布を均一化することができる。
【0086】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記第1加圧アセンブリは、各加圧手段の前記基板吸着部材側に設けられた、伸縮性の小さい流体バッグを更に有する、トップリングを開示する。伸縮性の小さい流体バッグは、例えば、伸縮性の小さい材料からなる非膨張袋体部材に流体を十分に充填した構成とすることができる。
この形態によれば、伸縮性の小さい非膨張流体バッグを介して各第1加圧手段からの押圧力を多孔質部材に伝達することで、各第1加圧手段による押しムラを低減できる。この結果、基板の全域に隙間なく適切な押圧力を与えることができる。
【0087】
さらに、本願は、一実施形態として、前記流体バッグは液体を保持している、トップリングを開示する。
この形態によれば、流体として液体を保持することにより、伸縮性が小さい非膨張流体バッグを容易に構成することができる。
【0088】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1加圧アセンブリは、前記ベース部材及び前記基板吸着部材に対して上下方向に移動可能に構成されている、トップリングを開示する。
この形態によれば、ベース部材に対して第1加圧アセンブリが移動するので、ベース部材に追加の加圧手段(第2加圧手段)を配置して第1加圧アセンブリを基板方向に容易に押すことができる。この場合、基板を研磨パッドに押し付ける押圧力は、主に第2加圧手段で発生させ、複数の第1加圧手段(例えば、複数の圧電素子)は、基板の各領域への押圧力を調整する手段(面圧分布を均一化する手段)として用いることができる。また、基板吸着部材に対して第1加圧アセンブリが移動するので、多孔質部材、多孔質部材を支持する遮蔽部材、及び/又は基板に厚みのバラツキがある場合であっても、第1加圧アセンブリを介して、追加の加圧手段(第2加圧手段)によって適切な押圧力で基板吸着部材及び基板を研磨パッドに押し付けることが容易になる。さらに、基板吸着部材に対して第1加圧アセンブリが移動するので、ベース部材が研磨パッドに対して一定の位置であり、基板の厚さが変化する場合、及び/又は、研磨パッドの摩耗による基板研磨面の高さ位置が変化する場合であっても、均一にかつ安定して基板を研磨パッドに押し付けることができる。
【0089】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記ベース部材と前記基板吸着部材とは、両部材の間の隙間を密閉する外周バンドで連結されており、 前記第1加圧アセンブリは、前記ベース部材と前記基板吸着部材と前記外周バンドで囲まれた空間内に密閉されている、トップリングを開示する。
この形態によれば、第1加圧アセンブリを研磨液(スラリー)等から保護することができる。
【0090】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記ベース部材の内側側面と前記第1加圧アセンブリの外側側面との間に、前記ベース部材と前記第1加圧アセンブリの相対的な移動を案内するリニアガイド機構が設けられている、トップリングを開示する。
この形態によれば、第1加圧アセンブリ及びベース部材の間の適切な位置関係を維持しつつ、両者を相対移動させることができる(第1加圧アセンブリをベース部材に対して移動させることができる)。
【0091】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1加圧アセンブリは、平面視四角形であり、 前記リニアガイド機構は、前記第1加圧アセンブリの対向する一対の外側側面のみに設けられている、トップリングを開示する。
この形態によれば、第1加圧アセンブリ及びベース部材の間の相対移動をスムーズに行い易い。
【0092】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1加圧アセンブリは、その外周に沿って設けられた複数のローラを備え、 前記基板吸着部材は、前記複数のローラによって前記第1加圧アセンブリに対する上下方向の移動が案内される、トップリングを開示する。
この形態によれば、第1加圧アセンブリ及び基板吸着部材の間の適切な位置関係を維持しつつ、両者を相対移動させることができる。
【0093】
さらに、本願は、一実施形態として、前記ベース部材は、該ベース部材に対する前記第1加圧アセンブリの下方への移動を制限する第1ストッパを有し、 前記基板吸着部材は、前記第1加圧アセンブリに対する前記基板吸着部材の下方への移動を制限する第2ストッパを有する、トップリングを開示する。
この形態によれば、トップリングを研磨パッドから離間させて上昇させたときに、トップリングの各部が衝突、脱落等することを防止して、トップリングの適切な動作を保証することができる。
【0094】
さらに、本願は、一実施形態として、前記ベース部材、前記基板吸着部材、及び前記第1加圧アセンブリは、平面視四角形であり、 前記第1ストッパは、前記第1加圧アセンブリの4つの隅部に対応して前記ベース部材に設けられ、 前記第2ストッパは、前記第1加圧アセンブリの4つの隅部に対応して前記基板吸着部材に設けられている、トップリングを開示する。
この形態によれば、ベース部材、基板吸着部材、及び第1加圧アセンブリの各部材が平面視四角形である場合に、第1及び第2ストッパをベース部材及び基板吸着部材の4つの隅部に設けることで、簡易な構成で確実に各部材間の相対移動の範囲を制限することができる。
【0095】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第2ストッパの一部又は全部は、前記基板吸着部材の隅部と共に取り外し可能に構成されており、 前記第2ストッパの一部又は全部を前記基板吸着部材の隅部と共に取り外した状態で、前記基板吸着部材を前記第1加圧アセンブリから取り外し可能である、トップリングを開示する。
この形態によれば、第2ストッパの一部又は全部を取り外して基板吸着部材をトップリングから取り外すことができるので、基板吸着部材の取り外しが容易である。これにより、基板吸着部材に含まれる消耗部品である多孔質部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0096】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記基板は、基板本体と、前記基板本体上に配置された複数の配線ユニットとを含み、 各第1加圧手段の寸法は、各配線ユニットの寸法に対応する、トップリングを開示する。基板処理装置は、複数の配線ユニットが形成さ
れた基板を研磨する場合がある。この種の基板は、複数の配線ユニットのそれぞれが配線パターンを有する。なお、研磨処理された基板の複数の配線ユニットにはそれぞれICチップのダイなどが実装されることがある。
この形態によれば、基板が複数の配線ユニットを含む場合に、研磨対象である各配線ユニットを各第1加圧手段で適切に押圧することができる。これにより、各配線ユニットの配線パターンの高さを平坦に研磨できる。
【0097】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記基板は四角形の基板である、トップリングを開示する。
この形態によれば、厚さのバラツキが大きい傾向にある角形基板の各部位を均一な押圧力で研磨パッドに押し付けることができ、均一な研磨レートで研磨することができる。
【0098】
さらに、本願は、一実施形態として、各第1加圧手段は圧電素子である、トップリングを開示する。
この形態によれば、第1加圧手段として圧電素子を用いることで、コンパクトかつ簡易な構成で、基板の各部位への押圧力を正確に制御することができる。
【0099】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記第2加圧手段は、加圧室を備えるメンブレンである、トップリングを開示する。
この形態によれば、第2加圧手段としてメンブレンを用いることで、コンパクトかつ簡易な構成で、基板全体を押す押圧力を正確に制御することができる。
【0100】
さらに、本願は、一実施形態として、 基板処理装置であって、 上述のトップリングと、 前記トップリングに保持された基板を押し付けるための研磨パッドを保持する研磨テーブルと、 前記多孔質部材に接続された前記減圧手段と、 各第1加圧手段による押圧力を制御する第1制御手段と、を備える基板処理装置を開示する。
この形態によれば、上述した作用効果を奏する。特に、第1制御手段により複数の第1加圧手段による押圧力を制御して、基板の各部位を均一な押圧力で研磨パッドに押し付けることができる。
【0101】
さらに、本願は、一実施形態として、 前記第1加圧アセンブリは、前記複数の第1加圧手段を保持する保持体を更に有し、 前記ベース部材は、前記保持体の前記複数の第1加圧手段とは反対側を流体圧で押圧する第2加圧手段を更に有し、 前記第2加圧手段による押圧力を調整する第2制御手段を更に備える、基板研磨装置を開示する。
この形態によれば、上述した作用効果を奏する。特に、第2制御手段により複数の第2加圧手段による押圧力を制御して、基板全体に適切な押圧力を与えることができる。また、基板を研磨パッドに押し付ける押圧力は、主に第2加圧手段で発生させ、複数の第1加圧手段(例えば、複数の圧電素子)は、基板の各領域への押圧力を調整する手段(面圧分布を均一化する手段)として用いることができる。例えば、各圧電素子(第1加圧手段)のストロークを制御することにより、第2加圧手段からの基板の各領域への押圧力を調整し、基板全域にわたる面圧分布を均一化することができる。
【0102】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1制御手段は、研磨中の膜厚分布の測定結果に基づいて、前記基板の膜厚分布が、目標の膜厚分布になるように各第1加圧手段による押圧力を調整する、基板研磨装置を開示する。
この形態によれば、研磨中の膜厚分布の測定結果に基づいて各第1加圧手段の押圧力を調整することにより、基板の膜厚分布を目標の膜厚分布に近づけるので、基板の膜厚分布の正確な制御が可能である。
【0103】
さらに、本願は、一実施形態として、 複数の圧電素子を備えるトップリングを遺伝的
アルゴリズムを使用してキャリブレーションする方法であって、 各圧電素子に供給する電圧を2進数で表したデータを並べた配列データである遺伝子データを複数準備し、 前記複数の遺伝子データに対応する電圧を前記複数の圧電素子に実際に供給して、各圧電素子による押圧力を測定し、 前記遺伝子データごとに前記複数の圧電素子による押圧力の測定値の標準偏差を算出し、 前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が、所定の許容値以上であれば、前記複数の遺伝子データに対して、遺伝的アルゴリズムによる選択、交叉及び/又は突然変異の処理を実行して、新たな複数の遺伝子データを作成し、新たな複数の遺伝子データを用いて、前記複数の圧電素子による押圧力の測定、及び各遺伝子データに対する標準偏差の算出を実行することを、前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になるまで繰り返し、 前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になったとき、当該最小の標準偏差に対応する遺伝子データを、前記複数の圧電素子に供給する電圧の組み合わせとして選択する、方法を開示する。
この形態によれば、複数の圧電素子のキャリブレーションを簡易且つ正確に行うことができる。
【0104】
さらに、本願は、一実施形態として、複数の圧電素子を備えるトップリングを遺伝的アルゴリズムを使用してキャリブレーションする方法をコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記録媒体であって、 各圧電素子に供給する電圧を2進数で表したデータを並べた配列データである遺伝子データを複数準備し、 前記複数の遺伝子データに対応する電圧を前記複数の圧電素子に実際に供給して、各圧電素子による押圧力を測定し、 前記遺伝子データごとに前記複数の圧電素子による押圧力の測定値の標準偏差を算出し、 前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が、所定の許容値以上であれば、前記複数の遺伝子データに対して、遺伝的アルゴリズムによる選択、交叉及び/又は突然変異の処理を実行して、新たな複数の遺伝子データを作成し、新たな複数の遺伝子データを用いて、前記複数の圧電素子による押圧力の測定、及び各遺伝子データに対する標準偏差の算出を実行することを、前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になるまで繰り返し、 前記複数の遺伝子データに対する標準偏差のうち最小の標準偏差が前記所定の許容値未満になったとき、当該最小の標準偏差に対応する遺伝子データを、前記複数の圧電素子に供給する電圧の組み合わせとして選択する、 ことをコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記録媒体を開示する。記録媒体は、記憶媒体又は記憶装置とも称す。
【符号の説明】
【0105】
18 トップリングシャフト(回転シャフト)
300 研磨ユニット
302 トップリング
350 研磨テーブル
351 テーブルシャフト
352 研磨パッド
410 基板吸着部材
411 多孔質部材
411a 基板吸着面
411b 減圧部
412 遮蔽部材
413 枠部材
413A ストッパ
413B 締結部材
414 吸引孔
415 減圧手段
418 支持パッド
419 外周バンド
420 ベース部材
421 ベース本体
421A ストッパ
422 メンブレン(弾性膜)
422A 加圧室
423 吸引路
424 流路
425 圧縮空気供給源
426 リニアガイド
430 圧電素子部材
431 保持体(ホルダ)
432 圧電素子
433 流体バッグ
434 押付力測定装置
435 駆動電圧印加装置
436 電気配線
437 リニアガイド
438 支持ローラ
500 面圧分布測定器
501 PC
900 制御装置
1000 基板処理装置
WF 基板