(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005802
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】スイッチング電源制御回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240110BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20240110BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20240110BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M1/08 A
H03K17/16 Z
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106181
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三添 公義
【テーマコード(参考)】
5H730
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
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5H740BA12
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5J055AX08
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5J055GX01
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5J055GX04
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】軽負荷時のバースト動作中の出力電圧におけるリップルを抑制する。
【解決手段】実施形態のスイッチング電源制御回路1は、出力電圧Voutに基づく信号Ser、Sinと所定の信号Scとの比較結果に基づいて入出力間の電路を開閉するスイッチングを行うことにより目標の電圧を出力すると共に負荷電流に応じてスイッチングが停止期間を挟んで断続するバースト動作を行うスイッチング電源100を制御する。スイッチング電源制御回路1は、スイッチング電源100における所定の軽負荷状態を検出する検出回路6と、検出回路6による軽負荷状態の検出中のバースト動作におけるスイッチングの回数を減少させるスイッチング制限回路7と、を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧に基づく信号と所定の信号との比較結果に基づいて入出力間の電路を開閉するスイッチングを行うことにより目標の電圧を出力すると共に負荷電流に応じて前記スイッチングが停止期間を挟んで断続するバースト動作を行うスイッチング電源を制御するスイッチング電源制御回路であって、
前記スイッチング電源における所定の軽負荷状態を検出する検出回路と、
前記検出回路による前記軽負荷状態の検出中の前記バースト動作における前記スイッチングの回数を減少させるスイッチング制限回路と、
を含んでいる、スイッチング電源制御回路。
【請求項2】
前記スイッチング制限回路は、前記スイッチングをもたらす前記比較結果に基づくパルスの生成を抑制するように構成されている、請求項1記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項3】
前記出力電圧に基づく信号と前記所定の信号とを比較して前記スイッチングをもたらすパルスを出力する比較回路をさらに含み、
前記所定の信号は所定の振幅で振動する周期信号であり、
前記検出回路は、前記出力電圧に基づく信号のレベルが、前記周期信号の振幅の最低値以下の第1閾値以下であるときに前記軽負荷状態を検出するように構成されている、請求項1又は2記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項4】
前記スイッチング制限回路は、前記軽負荷状態が検出されている間に、前記出力電圧に基づく信号のレベルシフトを行うように構成されている、請求項1又は2記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項5】
前記スイッチング制限回路は、前記レベルシフトのシフト量を逓増させるように構成されている、請求項4に記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項6】
前記スイッチング制限回路は、前記比較結果に基づいて生成されて前記スイッチング制限回路に入力される一連のパルスの一部をスキップしてパルス出力を行うように構成されている、請求項1又は2記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項7】
前記スイッチング制限回路は、前記パルス出力の度に、前記パルス出力同士の間でスキップする前記一部の数を増加させるように構成されている、請求項6記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項8】
前記スイッチング制限回路は、
前記軽負荷状態が検出されている間に前記出力電圧に基づく信号のレベルシフトを行うように構成され、且つ、
前記出力電圧に基づく信号のレベルが前記周期信号の振幅の最低値以下の第2閾値以下になるときに、前記レベルシフトを停止するように構成されている、
請求項3記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項9】
前記第1閾値が前記第2閾値よりも小さい、請求項8記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項10】
前記スイッチング制限回路は、前記検出回路による前記軽負荷状態の検出後の最初の前記スイッチングのときに前記レベルシフトを開始するように構成されている、請求項8記載のスイッチング電源制御回路。
【請求項11】
前記スイッチング制限回路は、前記検出回路による前記軽負荷状態の検出後に前記出力電圧に基づく信号のレベルが前記周期信号の振幅の最低値以上になるときに前記レベルシフトを開始するように構成されている、請求項8記載のスイッチング電源制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力系統からの直流への変換やバッテリなどによって得られる直流電圧を、使用機器に応じた所望の大きさの電圧に変換するスイッチングレギュレータのようなスイッチング電源が広く用いられている。スイッチング電源では、出力電圧に基づくフィードバック信号が所定の信号と比較され、その比較結果に応じた時間で入出力間の電路が開閉(スイッチング)されるフィードバック制御によって、入力側から出力側に供給されるエネルギーが調整される。出力側に供給されたエネルギーは、平滑回路のキャパシタに蓄えられると共に、所望の大きさの電圧で負荷電流として出力される。スイッチングによる電路の遮断時には、負荷が求める電流は、キャパシタの放電によって供給される。従ってスイッチング電源では、負荷電流の大きさに応じて出力電圧が変動する。そのため、負荷電流の大きさが、出力電圧に基づくスイッチングの時間、例えばスイッチングに用いられるスイッチング素子のオン時間やスイッチング周波数などに影響する。
【0003】
フィードバック制御において出力電圧に応じてスイッチング素子のオン時間が調整されるPWM(Pulse Width Modulation)制御では、出力電圧に依らず単位時間のスイッチング回数が不変なので一定のスイッチングロスが生じる。そのため、負荷電流が小さく、よって出力電力の小さな軽負荷時には変換効率が低下する。また、例えば特許文献1に開示されているような疑似共振型のスイッチング電源においても、軽負荷時にはスイッチング周波数が増大し、その結果、スイッチングロスが増加して変換効率が低下する。特許文献1に開示のスイッチング電源制御回路では、変換効率の低下を抑制すべく、軽負荷時には負荷の大きさに応じたスイッチング停止期間を設けてスイッチング周波数の増大を抑制している。特許文献1では、さらに、極めて軽負荷の状態でのスイッチングノイズの増大や、スイッチングロスの増加に伴う効率低下を防ぐべく、所定の回数の連続スイッチングを行う期間と、スイッチングを停止する期間とを繰り返すバーストスイッチングを行っている。なお、特許文献1ではPWM制御によるスイッチングがバーストスイッチングと称されているが、以下の説明では、特許文献1で行われているような、連続的にスイッチングを行う期間とスイッチングを停止する期間とを繰り返すスイッチングが「バーストスイッチング」又は「バースト動作」と称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のスイッチング電源制御回路が行なっているような軽負荷時におけるバーストスイッチングは出力リップル電圧を増大させることがある。この点について、PWM制御によるスイッチング電源を例に、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10には、従来のPWM制御によるスイッチング電源の一例であるスイッチング電源Pswの概略の構成が示され、
図11には、
図10の各部の信号の波形の一例が示されている。
図11の上段には、
図10に示される比較信号Scと共に誤差増幅器92の出力信号であるエラー信号Serが示され、中段にはPWMコンパレータ94の出力信号Sが示され、下段にはスイッチング電源Pswの出力電圧Voutが示されている。
【0006】
スイッチング電源Pswは、トランジスタ96及び制御回路Pcなどを含んでいる。制御回路Pcは、比較信号Scを出力する発振回路91、誤差増幅器92、基準電圧Vrefの生成回路93、PWMコンパレータ94などを含んでいる。誤差増幅器92は、非反転入力に印加される基準電圧Vrefに対する反転入力の電圧の大小に応じて増減するエラー信号Serを出力する。なお、誤差増幅器92の負帰還動作が安定するように、誤差増幅器92の負帰還ループには抵抗921及びキャパシタ922が挿入されている。PWMコンパレータ94は、エラー信号Serのレベルが比較信号Scのレベルを上回っている間にハイレベルとなるパルスを含む信号Sを出力する。トランジスタ96は、ドライバ95を介して入力される信号Sのデューティ比で入力電圧Vinをスイッチングして平滑回路98に供給する。なお、ドライバ95は、信号Sの反転信号でトランジスタ96を駆動するように構成されており、信号Sがハイレベルの時にトランジスタ96がオン状態となる。平滑回路98はトランジスタ96及びダイオード97を介して信号Sのデューティ比で充電され、平滑化された出力電圧Voutが出力される。出力電圧Voutは、直列接続抵抗99で分圧されて帰還電圧Vfbとして誤差増幅器92に戻される。このようなフィードバック制御によって所望の出力電圧Voutが負荷Loに出力される。
【0007】
図11は、
図10のスイッチング電源Pswにおける軽負荷状態での各信号の波形を示している。負荷電流が小さいので、信号Sがロウレベル(トランジスタ96がオフ状態)の期間でも出力電圧Voutの低下が緩やかで、そのため
図11に示される期間全般に渡って、出力電圧Voutが目標電圧Vta付近で推移している。
図11の時点T1までの期間では、出力電圧Voutが目標電圧Vtaを上回るか僅かに下回っている程度であり、エラー信号Serが時点T1までの期間全体に渡って、鋸波状の比較信号Scの最低値を下回っている。そのため時点T1までの期間では、信号Sはハイレベルのパルスを含まず、すなわちトランジスタ96はオフ状態を継続しているが、出力電圧Voutの低下が緩やかなため、エラー信号Serは比較信号Scのレベルよりも低いレベルで緩やかに上昇している。
【0008】
その後、エラー信号Serが時点T1で比較信号Scの最低値に達してエラー信号Serのレベルが比較信号Scのレベルよりも大きくなると、PWMコンパレータ94から信号Sとしてハイレベルのパルスが出力される。そのパルス幅の時間だけトランジスタ96がオン状態となり、その間、出力電圧Voutが上昇する。時点T2でエラー信号Serのレベルが比較信号Scのレベルを下回るためトランジスタ96がオフ状態となるが、負荷電流が小さいため、そのオフ状態の期間中に出力電圧Voutが大きく低下しないまま、時点T3でトランジスタ96が再度オン状態となり、出力電圧Voutがさらに上昇する。
【0009】
この出力電圧Voutの変動は、本来、誤差増幅器92にフィードバックされてその出力であるエラー信号Serの変化を減少方向に転じさせる。しかし、フィードバックループ上の、平滑回路98や、キャパシタ922の作用のためにエラー信号Serは時点T1や時点T3などで直ちには減少方向に転じずに、それらの作用に基づく遅延時間を経てから減少方向へと転じる。例えば
図11では、時点T5においてようやくエラー信号Serが減少方向に転じている。そのため、時点T4でも、時点T1及び時点T3と同様に、トランジスタ96がオン状態となって信号Sのパルス幅に応じて出力電圧Voutが上昇している。さらに、時点T5で減少に転じたエラー信号Serが時点T8で比較信号Scの振幅の最低値を下回るまで、時点T6及び時点T7でもトランジスタ96がオン状態となって出力電圧Voutが増加する。そして、時点T8以降では、エラー信号Serが比較信号Scの振幅の最低値を下回っている間、トランジスタ96はスイッチングをせずにオフ状態を維持する。このスイッチングの停止は、低下中の出力電圧Voutが時点T1での電圧と同程度まで低下してエラー信号Serが比較信号Scの最低値に達するまで継続する。
【0010】
このように、負荷電流が小さいためにスイッチングの停止が一定の期間継続し易い軽負荷状態となり得るスイッチング電源では、連続的にスイッチングを行う期間とスイッチングを停止する期間とを繰り返すバースト動作が行われることがある。そして、軽負荷状態では、バースト動作中のスイッチングによる出力電圧Voutの上昇分の蓄積により、大きなリップル電圧が生じることがある。例えば
図11では、5回に及ぶ出力電圧Voutの上昇分の蓄積に基づくリップル電圧Vopが生じている。
【0011】
このようなリップル電圧は、負荷への安定した電圧の供給を妨げると共に、スイッチング電源及びその周辺回路に影響を及ぼし得るノイズの発生源にもなり得る。特に軽負荷状態では、スイッチング停止期間がスイッチング電源の稼働期間の多くを占めるため本来出力電圧にリップルが生じ難くノイズも生じ難いので、このような軽負荷状態でのバースト動作によるリップル電圧の増大やノイズの発生は問題となり易い。また近年では、各種機器の制御の高度化に伴って使用分野や使用数が拡大及び増大するセンサーの周辺回路などのような、比較的小さな電流で動作する機器向けの用途が増加している。そのため、スイッチング電源において上記のような軽負荷時の大きなリップル電圧の発生は、益々問題視され易いと考えられる。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑み、軽負荷時のバースト動作中の出力電圧におけるリップルを抑制し得るスイッチング電源制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態のスイッチング電源制御回路は、出力電圧に基づく信号と所定の信号との比較結果に基づいて入出力間の電路を開閉するスイッチングを行うことにより目標の電圧を出力すると共に負荷電流に応じて前記スイッチングが停止期間を挟んで断続するバースト動作を行うスイッチング電源を制御するスイッチング電源制御回路であって、前記スイッチング電源における所定の軽負荷状態を検出する検出回路と、前記検出回路による前記軽負荷状態の検出中の前記バースト動作における前記スイッチングの回数を減少させるスイッチング制限回路と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスイッチング電源制御回路によれば、軽負荷時のバースト動作中の出力電圧におけるリップルを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態のスイッチング電源制御回路の一例を示す回路図である。
【
図2】
図1の例のスイッチング電源制御回路の各部の信号の波形の一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態(
図1)のスイッチング電源制御回路に含まれる検出回路の一例を示す回路図である。
【
図4】
図1のスイッチング電源制御回路に含まれるレベルシフト回路の一例を示す回路図である。
【
図5】本発明の一実施形態のスイッチング電源制御回路の他の例を示す回路図である。
【
図6】
図5の例のスイッチング電源制御回路の各部の信号の波形の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図5のスイッチング電源制御回路に含まれるスイッチング制限回路の一例を示す回路図である。
【
図8】
図5のスイッチング電源制御回路に含まれるスイッチング制限回路の他の例を示す回路図である。
【
図9】
図8の例のスイッチング制限回路の各部の信号の波形の一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】従来のスイッチング電源の概略の構成を示す回路図である。
【
図11】
図10の各部の信号の波形の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら本発明のスイッチング電源制御回路の実施形態を説明する。しかし、本発明は、以下に説明される実施形態に限定されない。
【0017】
<本実施形態のスイッチング電源制御回路の構成及び基本動作>
図1には、一実施形態のスイッチング電源制御回路の一例であるスイッチング電源制御回路1(以下、単に「制御回路1」とも称される)が示されている。制御回路1と、制御回路1の出力端1aに接続されているトランジスタTと、トラジスタTに接続されているダイオードD及び平滑回路LCと、平滑回路LCに接続されている二つの分圧抵抗R1、R2とによってスイッチング電源100の主要部が構成されている。
図1のスイッチング電源100は、入力電圧Vin以下の目標電圧を出力電圧Voutとして出力するように構成されている降圧型スイッチングレギュレータである。
【0018】
スイッチング電源100は、出力電圧Voutに基づく信号(
図1の例では誤差増幅回路3から出力されるエラー信号Ser)と所定の信号(
図1の例では発振回路2から出力される比較信号Sc)との比較結果に基づいて入出力間の電路を開閉するスイッチングを行うことによって目標の電圧を出力電圧Voutとして出力する。
図1のスイッチング電源100では、このスイッチングはトランジスタTによって行われる。すなわち、トランジスタTは、導通状態と非導通状態との間を遷移するスイッチングによってスイッチング電源100の入力端101と出力端102との間の導通状態を断続的に切り替える。制御回路1は、このトランジスタTのスイッチングのタイミングをフィードバック制御で制御することによってスイッチング電源100を制御する。
【0019】
制御回路1の出力端1aには、トランジスタTの制御端子(
図1の例ではゲート)が接続され、トランジスタTの一方の被制御端子(
図1の例ではソース)はスイッチング電源100の入力端101に接続されており、入力端101には入力電圧Vinが入力される。トランジスタTの他方の被制御端子(
図1の例ではドレイン)は、アノードがGNDに接続されているダイオードDのカソードに接続されている。平滑回路LCは、直列接続されたコイルL及びキャパシタCを含んでいて、コイルLの一端は、トランジスタTの他方の被制御端子及びダイオードDのカソードに接続され、キャパシタCの一端がGNDに接続されている。コイルLとキャパシタCとの接続ノードが、スイッチング電源100の出力端102に接続されており、出力端102から出力電圧Voutが負荷Loへと出力される。そして出力端102とGNDとの間に分圧抵抗R1、R2の直列回路が接続され、分圧抵抗R1と分圧抵抗R2との接続ノードが、誤差増幅回路3の反転入力に接続されていて帰還電圧Vfbを提供する。
【0020】
図1の制御回路1は、発振回路2と、誤差増幅回路3と、基準電圧生成回路31と、比較回路4(PWMコンパレータ)と、ドライバ5と、を含んでいる。
図1の例において、比較信号Scを出力する発振回路2の出力端が比較回路4の反転入力に接続され、比較回路4の非反転入力には、エラー信号Serを出力する誤差増幅回路3の出力端が抵抗71を介して接続されている。誤差増幅回路3の非反転入力に基準電圧Vrefが入力され、誤差増幅回路3の反転入力にはスイッチング電源100の出力電圧Voutの帰還電圧Vfbが入力される。誤差増幅回路3の安定動作(位相補償)のためにその反転入力と出力との間には抵抗32及びキャパシタ33が直列に挿入されている。比較回路4の出力信号Sはドライバ5に入力され、ドライバ5の出力は制御回路1の出力端1aから出力される。
【0021】
制御回路1が含む発振回路2、基準電圧生成回路31、誤差増幅回路3、比較回路4、及びドライバ5は、それぞれ、
図10に例示の従来のスイッチング電源制御回路Pcが含む発振回路91、基準電圧Vrefの生成回路93、誤差増幅器92、PWMコンパレータ94、及びドライバ95と同様の機能を有し得る。以下にその概略が説明される。
【0022】
発振回路2は比較信号Scを生成する。比較信号Scは、所定の振幅で振動して信号波形が一定の周期で反復される周期信号であり得る。発振回路2は、例えば、比較信号Scとして三角波信号や鋸波信号のようなランプ信号を生成する。発振回路2は、例えばランプ信号のような比較信号Scを生成できるものであれば特にその回路構成について限定されない。発振回路2は、そのような周期信号を生成するように構成された集積回路装置(IC)であってもよく、周期信号を生成するように個別半導体素子と受動部品との組み合わせによって構成された発振回路であってもよい。
【0023】
基準電圧生成回路31は、誤差増幅回路3の非反転入力に入力される基準電圧Vrefを生成する。基準電圧生成回路31は、例えばバンドギャップリファレンスのような、定電圧の生成が可能な任意の回路で構成され得る。好ましくは、基準電圧生成回路31は、スイッチング電源100の出力電圧Voutに求められる目標電圧の(r2/(r1+r2))倍である基準電圧Vrefを生成する。r1、r2は、それぞれ、分圧抵抗R1、R2が有する抵抗値である。なお、制御回路1は基準電圧生成回路31を含んでいなくてもよく、基準電圧Vrefは制御回路1の外部から入力されてもよい。
【0024】
誤差増幅回路3は、
図1が示す回路記号で示されるように演算増幅器で構成され得る。誤差増幅回路3は、演算増幅器を構成するICであってもよく、個別半導体素子と受動部品との組み合わせによって実現されてもよい。演算増幅器で構成される誤差増幅回路3の非反転入力には、前述したように、スイッチング電源100の目標電圧の(r2/(r1+r2))倍の基準電圧Vrefが入力され得る。一方、反転入力には、現に出力されている出力電圧Voutの(r2/(r1+r2))倍の帰還電圧Vfbが入力される。そして、誤差増幅回路3は、スイッチング電源100の目標電圧と現に出力されているスイッチング電源100の出力電圧Voutとの差に応じてその信号レベルを増加又は減少させるエラー信号Serを出力する。すなわち誤差増幅回路3は、出力電圧Voutに基づいていて目標電圧と出力電圧Voutとの差を示すエラー信号Serを出力する。
【0025】
比較回路4は、
図1が示す回路記号で示されるようにコンパレータで構成され得る。比較回路4は、コンパレータを構成するICであってもよく、個別半導体素子と受動部品との組み合わせによって実現されてもよい。
図1の例において比較回路4は、出力電圧Voutに基づくエラー信号Serのレベルをシフトさせることによって得られる信号Sinと発振回路2から入力される比較信号Scとを比較する。比較回路4は、信号Sinのレベルが比較信号Scのレベルよりも大きい状態が継続する時間と略同じ時間幅を有するパルスを含む信号Sをドライバ5に出力する。信号Sが含むパルスと略同じ時間幅のパルスが、ドライバ5からトランジスタTに入力されてトラジスタTの導通状態を切り替える。比較回路4は、このように比較信号Scと、エラー信号Serに基づく、すなわち出力電圧Voutにも基づく信号Sinとを比較してトランジスタTのスイッチングをもたらすパルスを出力する。
【0026】
ドライバ5は、比較回路4から入力される信号Sに基づいてトランジスタTの導通状態を切り替える駆動信号を出力する。ドライバ5は、トランジスタの導通状態を切り替え得る適切な電圧及び電流を供給できるものであれば特に限定されず、任意のバッファ回路やトランジスタ回路で構成され得る。
図1の例では、ドライバ5は、入力される信号のハイレベル及びロウレベルを反転させて出力する反転バッファであり得る。なおドライバ5は、反転バッファで構成されなくてもよく、基準電圧生成回路31、誤差増幅回路3、発振回路2、及び比較回路4相互の接続形態次第では、例えば非反転タイプのバッファであってもよい。また、ドライバ5は、比較回路4がトランジスタTに対する十分な駆動能力を備えている場合には備わっていなくてもよい。
【0027】
図1の例においてトランジスタTはP型FETである。しかし、トランジスタTはN型FETであってもよい。その場合、前述したようにドライバ5が非反転タイプのバッファ回路であってもよく、備わっていなくてもよい。また、トランジスタTは、バイポーラトランジスタであってもよい。ダイオードD、コイルL、及びキャパシタCは、スイッチング電源100が備えるべき特性や定格に適した特性、定格、及び定数を有する任意のダイオード、コイル、及びキャパシタで構成され得る。また、分圧抵抗R1、R2の抵抗値は、前述したように、スイッチング電源100の目標電圧及び基準電圧Vrefに応じて適宜選択され得る。
【0028】
スイッチング電源100の出力電圧Voutが分圧抵抗R1、R2によって分圧されて帰還電圧Vfbとして誤差増幅回路3の反転入力に入力される。誤差増幅回路3、比較回路4、ドライバ5、トランジスタT、平滑回路LC、及び分圧抵抗R1を含む負帰還回路が構成される。そして誤差増幅回路3が動作することにより、目標電圧に対する出力電圧Voutの高/低に応じて、エラー信号Serが低下/上昇し、よって信号Sのデューティ比が増加/減少し、それに伴ってトランジスタTの導通時間が減少/増加することによって出力電圧Voutが低下/上昇する。その結果、目標電圧が出力電圧Voutとして継続的に出力される。
【0029】
本実施形態の制御回路1は、さらに、検出回路6と、スイッチング制限回路7と、を含んでいる。制御回路1は、検出回路6及びスイッチング制限回路7を含んでいる点で、
図10に一例が示されている従来のスイッチング電源制御回路と異なっている。検出回路6は、スイッチング電源100における所定の軽負荷状態を検出する。スイッチング制限回路7は、後述されるように、検出回路6によって軽負荷状態が検出されている間に生じる前述したようなバースト動作における、出力電圧Voutに基づく信号と所定の信号(
図1では信号Sinと比較信号Sc)との比較結果に基づくスイッチングの回数を減少させる。具体的には、スイッチング制限回路7は、トランジスタTのスイッチングをもたらす、比較回路4の比較結果に基づくパルスの生成を抑制するように構成されている。
【0030】
スイッチング制限回路7は、比較回路4による比較結果に基づくトランジスタTのスイッチングの回数を、スイッチング制限回路7が設けられていないときよりも減少させる。
図1の例のスイッチング制限回路7は、抵抗71及びレベルシフト回路72を含んでいる。抵抗71とレベルシフト回路72との接続ノードであるノードNが、比較回路4の非反転入力と接続されている。比較回路4は、エラー信号Serの抵抗71の通過後の信号である信号Sinと比較信号Scとを比較する。
図1のスイッチング制限回路7は、信号Sinと比較信号Scとが比較されることによってエラー信号Serと比較信号Scとが比較されるときよりもスイッチングの回数が減少するように、エラー信号Serのレベルが減少方向にシフトされた信号である信号Sinを生じさせる。
【0031】
すなわち、
図1の例のレベルシフト回路72は、そのような信号Sinを生じさせるべく、抵抗71の誤差増幅回路3側から、電流Ishを吸い込むように構成されている。電流Ishによる抵抗71での電圧降下によって、誤差増幅回路3から出力されるエラー信号Serのレベルよりも低いレベルを有する信号Sinが生成される。このように
図1の例のスイッチング制限回路7は、検出回路6によって軽負荷状態が検出されている間に、出力電圧Voutに基づくエラー信号Serのレベルシフトを行うように構成されている。
【0032】
前述したように、制御回路1が含む発振回路2、基準電圧生成回路31、誤差増幅回路3、比較回路4、及びドライバ5は、それぞれ、
図10に例示されるような従来のスイッチング電源制御回路の対応する各構成要素と同様の機能を有し得る。そのため、
図1のスイッチング電源100も、その負荷電流に応じて、トランジスタTによるスイッチングが停止期間を挟んで断続するバースト動作を行う。しかし、本実施形態の制御回路1は検出回路6及びスイッチング制限回路7を含んでいるので、軽負荷状態でのバースト動作における比較回路4での比較結果に基づくスイッチングの回数が、従来に比べて減少する。従って、軽負荷時のバースト動作中の出力電圧Voutにおけるリップルを小さくすることができる。この軽負荷状態の検出回路6及びスイッチング制限回路7による作用について、引き続き
図1を参照すると共に
図2を参照して説明する。
【0033】
<検出回路及びスイッチング制限回路の動作と作用>
図2には、
図1の例の制御回路1の各部の信号の波形の一例が示されている。
図2の上段には、先に参照した
図10と同様に比較信号Sc及びエラー信号Serが示されると共に、スイッチング制限回路7によってエラー信号Srのレベルがシフトされてなる信号Sinが示されている。そして、それらの下に、順に、検出回路6が出力する検出信号Sd、抵抗71を通ってレベルシフト回路72に流れ込む電流Ish、比較回路4が出力する信号S、及び、スイッチング電源100の出力電圧Voutが示されている。
【0034】
検出回路6は、スイッチング電源100が所定の軽負荷状態にあることを検出して、検出結果に応じた検出信号Sdを出力する。「所定の軽負荷状態」は、スイッチング電源100から負荷Loに供給される負荷電流の値が特定の値よりも小さい状態を意味している。例えば「特定の値」は、
図1の降圧型スイッチングレギュレータにおいて、動作モードが電流臨界モードから電流不連続モードに切り替わる際の負荷電流の値であり得る。また、電流不連続モードの動作からバースト動作が開始される直前の負荷電流の値も「特定の値」として選択され得る。
【0035】
負荷電流が多く流れない軽負荷状態では出力電圧Voutが目標電圧よりも低下し難いので、トランジスタTを導通状態にさせないレベルの信号が比較回路4の非反転入力に入力され易い。従って、
図1に示す制御回路1では、出力電圧Voutに基づいて誤差増幅回路3から出力されるエラー信号Serのレベルが比較信号Scの最低値以下である状態が、軽負荷状態として検出されてもよい。
図2に検出信号Sdが示される
図1の例の検出回路6は、そのようにエラー信号Scのレベルが、周期信号である比較信号Scの振幅の最低値以下の閾値(第1閾値)以下であるときに軽負荷状態を検出するように構成されている。
図2の例において検出回路6は、軽負荷状態の検出時にハイレベルとなる検出信号Sdをスイッチング制限回路7(具体的にはレベルシフト回路72)に出力する。
【0036】
図2に示されるように、低下しているエラー信号Serが時点T11で第1閾値電圧Vth1まで低下すると、検出回路6が軽負荷状態を検出して検出信号Sdをハイレベルに遷移させる。
図2において第1閾値電圧Vth1は、比較信号Scの振幅の最低値よりも低い値に設定されている。なお、時点T11までの期間でエラー信号Serが低下方向に変化しているのは、
図2に示されていない、より早い時間帯で出力電圧Voutが上昇方向に変化していたためである。
【0037】
時点T11の後、エラー信号Serは上昇に転じて時点T12で、第1閾値電圧Vth1を超えるが、検出回路6による軽負荷状態の検出状態が維持されてハイレベルの検出信号Sdが出力されている。このように検出回路6は、エラー信号Serが第1閾値電圧Vth1以下のときに軽負荷状態を検出する場合でも、その後にエラー信号Serが第1閾値電圧Vth1を超えたときに、必ずしも軽負荷状態の検出状態を解除しない。軽負荷状態の検出状態を維持することで、その後のバースト動作におけるスイッチングの回数を減少させることができる。
【0038】
その後、エラー信号Serのレベルが比較信号Scのレベルを上回る時点T13において、それら両信号の比較結果に基づいて比較回路4が信号SでパルスP1を出力する。そのため、トランジスタTが導通状態となり、出力電圧Voutが上昇に転じ、パルスP1が出力されている間、上昇する。そして、
図2の例では、このパルスP1が出力される時点T13で、すなわちパルスP1の立ち上がり時に、レベルシフト回路72が、電流Ishを流し始める。電流Ishが流れるので、エラー信号Serのレベルがシフトされてなる信号Sinが生成される。すなわち、比較回路4の非反転入力に、エラー信号Serのレベルよりも、電流Ishと抵抗71の抵抗値との積だけ低いレベルを有する信号Sinが入力される。レベルシフト回路72は、検出回路6による軽負荷状態の検出状態が維持されている間、電流Ishを流し続ける。
【0039】
その後、時点T14で、信号Sinと比較信号Scとの比較結果に基づいてパルスP2が出力される。しかし、信号Sinのレベルはエラー信号Serのレベルよりも低下方向にシフトされているので、パルスP2の時間幅は、エラー信号Serと比較信号Scとが比較される場合に出力されると考えられるパルスP3の時間幅よりも短い。出力電圧Voutは、この短いパルスP2の時間幅に応じた時間の間だけ上昇する。そのためパルスP2に基づくスイッチングによる出力電圧Voutの上昇幅は、パルスP3に基づく出力電圧Voutの上昇幅よりも小さい。
【0040】
その後、時点T15及び時点T16において、エラー信号Serのレベルは比較信号Scのレベルを上回っている。しかし、信号Sinのレベルは、エラー信号Serのレベルよりも低く、比較信号Scのレベルと略同じか比較信号Scのレベルを下回っている。そのため、エラー信号Serと比較信号Scとが比較される場合に出力されると考えられるパルスP4、P5は出力されない。従って、トランジスタTのスイッチングの回数を減少させることができる。結果として、出力電圧Voutのリップル電圧Vopを、従来のスイッチング電源におけるリップル電圧よりも小さくすることができる。
【0041】
図2の例では、電流Ishの吸い込みの開始後、電流Ishの電流値は、略ゼロアンペアから徐々に増加している。そのため、
図2においてエラー信号Serと信号Sinとの縦軸方向の間隔で示されるように、エラー信号Serのレベルシフトのシフト量が逓増している。そのようにシフト量が逓増しているので、
図2に示されるように時間と共に上昇するエラー信号Serのレベルを、信号Sinのレベルが継続的に比較信号Scのレベル以下となるようにシフトさせることができる。また、電流Ishを一定の値としてエラー信号Serのレベルシフトを行うと、電流Ishの吸い込みの開始直後にエラー信号Serがさほど大きくないにも拘わらずレベルシフトのシフト量が大き過ぎる場合に、比較回路4からトランジスタTを導通状態とさせるためのパルスP1が出力されずに、出力電圧Voutがさらに下降して出力電圧Voutのリップルを増大させることを防止することができる。このように、本実施形態においてスイッチング制限回路7は、レベルシフト回路72によるエラー信号Serのレベルシフトのシフト量を逓増させるように構成されていてもよい。
【0042】
図2では、時点T15と時点T16との間で、時点T13などでのスイッチングによる作用が遅延時間を経てエラー信号Serに表れて、エラー信号Serが低下を始めている。その後、時点T17でエラー信号Serが第2閾値電圧Vth2以下に低下すると、検出回路6が軽負荷状態の検出状態を解除して、検出信号Sdをロウレベルに遷移させる。それに伴ってレベルシフト回路72が電流Ishの吸い込みを停止する。すなわち、エラー信号Serのレベルシフトが停止され、エラー信号Serのレベルが略そのまま比較回路4に入力される。
【0043】
図2の例において第2閾値電圧Vth2は、周期信号である比較信号Scの振幅の最低値と略等しい電圧に設定されている。エラー信号Serが比較信号Scの最低値以下の電圧レベルまで低下している状況では、エラー信号Serのレベルをシフトさせなくても出力電圧Voutのリップルを増大させるスイッチングは生じ得ない。従って、レベルシフトを停止することによって電流Ishによる無用な電力消費を防止することができる。なお、第2閾値電圧Vth2は、比較信号Scの振幅の最低値よりも低い電圧であってもよい。その場合、電流Ishによるレベルシフトが停止する際に信号Serが比較信号Scの最低値付近であった場合でも、信号Sにパルスが出力されることはないため、より確実に、出力電圧Voutのリップルを増大させるスイッチングの発生を防止できることがある。このように、スイッチング制限回路7は、出力電圧に基づくエラー信号Serのレベルが比較信号Scの振幅の最低値以下の閾値(第2閾値)以下になるときに、エラー信号Serのレベルシフトを停止するように構成されていてもよい。
【0044】
その後、時点T18で、エラー信号Serが第1閾値電圧Vth1以下まで低下すると、検出回路6が、再度軽負荷状態を検出し、検出信号Sdをハイレベルに遷移させる。その後、図示されていないが、エラー信号Serの変化に応じて時点T13~時点T17の期間のようにエラー信号Serのレベルシフトが行われてもよい。
図2の例では、第1閾値電圧Vth1(第1閾値)は第2閾値電圧Vth2(第2閾値)よりも小さい。そのため、エラー信号Serにノイズなどによる一時的な変動があっても、スイッチング制限回路7の動作が不安定になり難いと考えられる。また、第1閾値電圧Vth1と第2閾値電圧Vth2との電圧差を適切に設定することにより、負荷電流が増加して電流不連続モードから電流連続モードとなった際に、検出回路6が軽負荷状態を誤検出することを防ぎ、電流Ishの吸い込みが短時間で再開されてスイッチングが抑制され過ぎることによる出力電圧の過剰な低下が防止されることがある。
【0045】
前述したように
図2の例では、軽負荷状態の検出後に、時点T13においてパルスP1が出力されるのに合わせてエラー信号Serのレベルシフトが開始されている。すなわち、スイッチング制限回路7は、検出回路6による軽負荷状態の検出後のトランジスタTによる最初のスイッチングのときに、電流Ishを流し始めてエラー信号Serのレベルシフトを開始するように構成されている。このようにスイッチング制限回路7が構成されていると、検出回路6による軽負荷状態の検出と共に電流Ishを流し始める場合と比べて、トランジスタTを導通状態とするパルスP1が出力されずに、出力電圧Voutのリップルが増大することや電流Ishを無用に流すことによる電力消費を抑制できることがある。このようなタイミングでのレベルシフトの開始が可能なように、
図1の例では、比較回路4の出力端がレベルシフト回路72と接続されて信号Sがレベルシフト回路72に入力されている。
【0046】
なお、スイッチング制限回路7は、検出回路6による軽負荷状態の検出後に、出力電圧Voutに基づくエラー信号Serのレベルが、比較信号Scの振幅の最低値(
図2の例では第2閾値電圧Vth2)以上になるときにレベルシフトを開始するように構成されていてもよい。この場合でも、少なくとも検出回路6による軽負荷状態の検出と共に電流Ishを流し始める場合と比べて出力電圧Voutのリップルの増大や電力消費を抑制できることがある。また、エラー信号Serのレベルが比較信号Scの振幅の最低値以上に上昇しているのであれば、間もなく信号SにおいてパルスP1が出力されるので、
図2のレベルシフトの開始と比べてもロスする電力はさほど多くないと考えられる。この場合は、
図1のように比較回路4の出力端とレベルシフト回路72とが接続されていなくてもよい。
【0047】
図1及び
図2の例では、検出回路6が軽負荷状態の検出のためにモニタする信号(エラー信号Ser)と、比較回路4で比較信号Scと比較される信号(信号Sin)とを異ならせることによって、所定の軽負荷状態を適切に検出しつつ、リップル電圧を増大させるスイッチングの回数の減少を可能にしている。
【0048】
<検出回路及びレベルシフト回路の例>
図3及び
図4には、それぞれ、
図1の制御回路1が含む検出回路6及びレベルシフト回路72の一例が示されている。なお、
図3及び
図4に示される回路は、検出回路6及びレベルシフト回路72の一例に過ぎず、両回路は
図3又は
図4に示される回路に何ら限定されない。
【0049】
図3の例の検出回路6は、二つのコンパレータ6a、6bと、非同期リセット端子付きのDフリップフロップ6cと、第1閾値電圧生成回路6dと、第2閾値電圧生成回路6eとを含んでいる。コンパレータ6a、6bそれぞれの非反転入力にエラー信号Serが入力される。Dフリップフロップ6cの反転出力端子QBから検出信号Sdが出力される。
【0050】
エラー信号Serが第1閾値電圧Vth1を下回ると、Dフリップフロップ6cのリセット端子RESにロウレベル信号が入力されるので、その反転出力端子QBからはハイレベルの検出信号Sdが出力される。入力端子Dにも反転出力端子QBからハイレベル信号が入力される。なお、エラー信号Serがその後第1閾値電圧Vth1を上回っても、コンパレータ6aからのハイレベル信号はDフリップフロップ6cの動作に作用しない。その後、エラー信号Serが一旦上昇後に第2閾値電圧Vth2を下回ると、コンパレータ6bの出力が反転してDフリップフロップ6cのクロック端子CKに立下りエッジが入力されるため、Dフリップフロップ6cの反転出力端子QBからは、入力端子Dに入力されていたハイレベル信号の反転信号であるロウレベルの検出信号Sdが出力される。このように、例えば
図3に示す回路によって、
図2の例のように検出信号Sdを出力する検出回路6を構成することができる。
【0051】
図4の例のレベルシフト回路72、非同期リセット端子付きのDフリップフロップ7aと、MOS型電界効果型トランジスタ(MOSFET)7b、7cと、定電流源7dと、キャパシタ7eと、演算増幅器7fと、抵抗7gとを含んでいる。Dフリップフロップ7aの入力端子D及びリセット端子RESに検出回路6から検出信号Sdが入力され、クロック端子CKには、比較回路4から信号Sが入力される。MOSFET7cのドレインが、
図1の制御回路1のノードNに接続されていて、MOSFET7cのドレイン-ソース間に誤差増幅回路3から吸い込まれる電流Ishが流れる。
【0052】
検出回路6が軽負荷状態を検出していない状態では、ロウレベルの検出信号SdがDフリップフロップ7aの入力端子D及びリセット端子RESに入力されるので、Dフリップフロップ7aがリセットされて反転出力端子QBからはハイレベル信号が出力される。MOSFET7bがオン状態となるためキャパシタ7eは放電状態となり、演算増幅器7fの入力間をイマジナリーショートの状態にすべく、MOSFET7cのソースが略GND電位となって電流Ishは殆ど流れない。検出回路6で軽負荷状態が検出されても、それだけでは、Dフリップフロップ7aの入力端子D及びリセット端子RESにハイレベル信号が入力されるだけでこの状態は変化しない。そこに信号Sによって
図2のパルスP1のようなパルスの立ち上がりエッジがクロック端子CKに入力されると、入力端子Dのレベルの反転であるロウレベル信号が反転出力端子QBから出力されてMOSFET7bがオフ状態となる。定電流源7dからの電流によるキャパシタ7eの充電が開始され、その両端子間の電圧に応じた電位差が抵抗7gの両端子間に現れるように、逓増する電流Ishが流れる。その後、検出回路6が軽負荷検出状態を解除すると、検出信号Sdによるリセット端子RESへのロウレベル入力によって、反転出力端子QBからハイレベル信号が出力され、MOSFET7bのオフ状態への遷移と共に、キャパシタ7eが急速に放電されて、電流Ishの吸い込みが停止する。このように、例えば
図4に示す回路によって、
図2の例のように電流Ishを流すレベルシフト回路72を構成することができる。なお、エラー信号Serのレベルシフトの開始と共に一定電流を流す場合には、例えば、
図4のキャパシタ7eに代えて電流源7dとGNDとの間に抵抗が接続されればよく、より簡単に、検出信号Sdと信号Sとを入力とする論理回路とトランジスタのようなスイッチング素子と定電流源との組み合わせで、レベルシフト回路72が構成されてもよい。
【0053】
<本実施形態のスイッチング電源制御回路の他の例>
図5には、本実施形態のスイッチング電源制御回路の他の例であるスイッチング電源制御回路10(以下、単に「制御回路10」とも称される)が示されている。
図5の制御回路10は、
図1の例のスイッチング制限回路7に代えてスイッチング制限回路70を含んでいる。制御回路10は、スイッチング制限回路70に関する構成のみにおいて
図1の制御回路1と異なっている。
図1の制御回路1と同様の構成要素については、
図1に付された符号と同じ符号が
図5に付されるか適宜省略され、それら同様の構成要素についての繰り返しとなる説明も適宜省略される。
【0054】
図5の制御回路10では、スイッチング制限回路70は、比較回路4とドライバ5との間に挿入されている。スイッチング制限回路70は、
図1のスイッチング制限回路7と同様に検出回路6と接続されており、検出回路6から検出信号Sdが入力される。そしてスイッチング制限回路70は、比較回路4によるエラー信号Serと比較信号Scとの比較結果に基づいて生成されてスイッチング制限回路に入力される一連のパルスPsの一部をスキップしてパルス出力を行うように構成されている。すなわち、
図5の例においてスイッチング制限回路70は、検出回路6で軽負荷状態が検出されている間、比較回路4から出力される信号Sに含まれる一連のパルスPsの一部を間引き、一連のパルスPsのうちの間引かなかったパルスに対応するパルスPtを含む信号Stをドライバ5へと出力する。比較回路4から出力されるパルスが間引かれて、間引かれなかったパルスだけに基づいてトランジスタTがスイッチングするのでスイッチングの回数が減少する。従って、軽負荷時のバースト動作中の出力電圧Voutにおけるリップルを抑制することができる。
【0055】
図6には、
図5の例の制御回路10の各部の信号の波形の一例が示されている。
図5の上段には、先に参照した
図2と同様に比較信号Sc及びエラー信号Serが示され、その下に、順に、検出回路6が出力する検出信号Sd、比較回路4が出力する信号S、スイッチング制限回路7が出力する信号St、及び、スイッチング電源100の出力電圧Voutが示されている。なお
図6では、
図6に示されている時間帯の前に既に軽負荷状態が検出されている。
【0056】
図6において、時点T21でエラー信号Serが比較信号Scを上回ると、信号SにおいてパルスP1が比較回路4から出力される。その後、比較回路4は、エラー信号Serと比較信号Scとの比較結果に基づいてパルスP2~P5を順次出力する。スイッチング制限回路7は、これらパルスP1~P5を含む一連のパルスPsの一部をスキップし、スキップしなかったパルスに対応するパルスPtを含む信号Stを出力する。なお、「スキップしなかったパルスに対応するパルス」は、スキップしなかったパルスと略同時に立ち上がって略同時に立ち下がるパルスを意味する。
【0057】
図6の例では、時点T21でパルスP1に対応するパルスPt1が出力されるが、時点T22ではパルスP2がスキップされ、信号Sにおいてパルスは出力されない。そして、時点T23でパルスP3に対応するパルスPt2が出力されている。すなわち、スイッチング制限回路7は、パルスPt1の出力からパルスPt2の出力までの間に一連のパルスPsのうちの一つのパルスをスキップしている。そのため、時点T22では、出力電圧Voutは上昇せずに低下方向の変化を継続する。その結果、時点T23での出力電圧Voutは、時点T22でパルスがスキップされない場合と比べて低い電圧レベルに達し得る。時点T23ではパルスPt2に基づいて出力電圧Voutが上昇に転じるが、その上昇において、出力電圧Voutは、時点T22でパルスがスキップされない場合よりも低い電圧にしか達し得ない。従って、出力電圧Voutに生じるリップル電圧Vopを、従来のスイッチング電源におけるリップル電圧よりも小さくすることができる。
【0058】
時点T23の後、パルスP3に続くパルスP4だけでなく、時点T24においてその次のパルスP5もスキップされている。その後、時点T25で、軽負荷検出状態が解除されている。すなわち、スイッチング制限回路7は、パルスPt2の出力後、次のパルスの出力までの間に比較回路4から送られる少なくとも二つのパルスをスキップしている。このように、スイッチング制限回路7が自らの二つの連続するパルス出力の間でスキップする、一連のパルスPsのうちのスキップするパルスの数は、1以外の任意の数であり得る。
【0059】
また、このスキップするパルスの数は、軽負荷状態の一つの検出期間中、一定であってもよく、変化していてもよい。
図6の例では、スイッチング制限回路7は、パルスPt1とパルスPt2との間でスキップするパルスの数と比べて、パルスPt2の出力から、仮に次のパルス出力(図示せず)がある場合にそのパルス出力までの間にスキップするパルスの数を増加させている。このように、スイッチング制限回路7は、検出回路6による軽負荷状態の一つの検出期間中に、比較回路4からの一連のパルスPsに基づくパルスPt1やパルスPt2などのパルス出力の度に、スイッチング制限回路7自身が行うこれらパルス出力同士の間でスキップする一部のパルスの数を増加させてもよい。スキップするパルスの数を徐々に増加することによって、一連のパルスPsおけるパルス毎のその時間幅の増加に対して、出力電圧Voutの上昇を効果的に抑制してリップル電圧Vopを小さくできることがある。
【0060】
なお、スイッチング制限回路7は、スキップするパルスの数を、1から順に1ずつ増加させてもよく、2以上の任意の数ずつ増加させてもよい。スイッチング制限回路7は、スキップするパルスの数を2以上の任意の特定の数から増加させてもよい。またスイッチング制限回路7は、軽負荷状態の一つの検出期間中にスキップするパルスの数を増加させる場合、次の軽負荷状態の検出期間では、増加させる前の数から、スキップするパルスの数を増加させてもよい。スキップするパルスの数、及びそのスキップするパルスの数の増加数は、軽負荷状態を検出する負荷電流の大きさや、入力電圧Vin及び出力電圧Voutなどに応じて適宜選択され得る。
【0061】
<パルスをスキップするスイッチング制限回路の例>
図7には、
図5の制御回路10に含まれる、パルスをスキップするスイッチング制限回路70の一例であるスイッチング制限回路701が示されている。スイッチング制限回路701は、
図6に示される一連のパルスPsを、パルスの出力の度に一つずつスキップするスイッチング制限回路70の例である。スイッチング制限回路701は、非同期セット端子付きDフリップフロップ70aと、二つのインバータ70b、70cと、ANDゲート70dとを含んでいる。検出回路6からの検出信号Sdがインバータ70bに入力され、比較回路4が出力する信号Sがインバータ70cに入力されると共に、ANDゲート70dの一方の入力端子に入力される。ANDゲート70dから、スキップされなかったパルスに対応するパルスを含む信号Stが出力される。Dフリップフロップ70aの反転出力端子QBと入力端子Dとが接続されていてクロック端子CKへの立ち上りエッジの入力毎に反転する信号が出力端子Qから出力されてANDゲート70dの他方の入力端子に入力される。
【0062】
検出回路6で軽負荷状態が検出されていない間は、ロウレベルの検出信号Sdが入力されるので、Dフリップフロップ70aのSET端子には、インバータ70bからハイレベル信号が入力される。Dフリップフロップ70aの出力端子Qがハイレベルにセットされるので、ANDゲート70dからは、信号Sのレベルと同じレベルの信号Stが出力される。すなわち信号Sのパルスはスキップされない。
【0063】
一方、軽負荷状態が検出されると、クロック端子CKがインバータ70cの出力端子に接続されているDフリップフロップ70aの出力端子Qからは、信号Sの立ち上りエッジでは不変で立ち下りエッジで反転する信号がANDゲート70dへと出力される。このDフリップフロップ70aからの入力信号と信号Sとの論理積がANDゲート70dから信号Stとして出力される。そのため、信号Sの一連のパルスが一つ置きにスキップされ、スキップされないパルスに対応するパルスを含む信号StがANDゲート70dから出力される。このように、例えば
図7に示す回路によって、入力される一連のパルスを、パルスの出力の度に一つずつスキップするスイッチング制限回路を構成することができる。
【0064】
図8には、
図5の制御回路10に含まれる、パルスをスキップするスイッチング制限回路70の他の例であるスイッチング制限回路702が示されている。スイッチング制限回路702は、スキップするパルスの数を、1から順に、パルスの出力の度に一つずつ増加させるスイッチング制限回路70の例である。スイッチング制限回路702は、リングカウンタ71a、エッジ検出回路71b、Dフリップフロップ(DFF)群71c、ANDゲート群71d、及び、ANDゲート71eなどを含んでいる。比較回路4からの信号Sは、ANDゲート71eの一方の入力端子71fに入力されると共に、反転されてDFF群71cそれぞれのクロック端子CKに入力される。検出回路6からの検出信号Sdは、反転後にエッジ検出回路71bの出力信号Sfとの論理和として、DFF群71cそれぞれのリセット端子RESに入力される。ANDゲート71eからスイッチング制限回路702の出力信号である信号Stが出力され、信号Stはエッジ検出回路71bにも入力される。信号Stの立ち下りエッジが検出される毎に、所定時間ハイレベルとなる信号Sfがエッジ検出回路71bから出力される。
【0065】
図8及び
図9を参照してスイッチング制限回路702の動作を説明する。
図9には、最上段から順に、比較回路4から出力される信号S、スイッチング制限回路702の出力信号St、エッジ検出回路から出力される信号Sf、DFF群71cの各FFの出力信号である信号SH1~SH4、及び、リングカウンタ71aの出力Q1~Q4が順に示されている。なお、信号Sの各パルスは、理解され易いように全て同じ時間幅で示されている。また
図9は、検出回路6で軽負荷状態が検出されている状態での各信号の波形を示している。軽負荷状態が検出されていない図示されない状態では、リングカウンタ71aが検出信号Sdの反転信号によってリセットされるため、ANDゲート71eにおける信号Sの入力端子ではない他方の入力端子71gに常にハイレベルが入力される。そのため、信号Sのパルスと略同じパルスを含む信号Stが出力される。すなわち信号Sのパルスはスキップされない。
【0066】
一方、軽負荷状態が検出されている状態では、リングカウンタ71aは、スイッチング制限回路702の出力信号Stにおいてパルスが出力されてそのパルスが立ち下がる度に、出力信号Q1→Q2→Q3→Q4の順で、ハイレベルのパルス出力をシフトさせる(時点T31、T33、T35、T37)。DFF群71cの各DFF同士はカスケード接続されており、そのうちの初段のDFF(信号SH1を出力するDFF)の入力端子Dはその反転出力端子QBと接続されている。さらに、信号Stの立ち下がりエッジの度に、信号Sfによってハイレベル信号が各DFFのリセット端子RESに入力される。そのため、DFF群71cにおいて、初段のDFFは、信号Stの立ち下がりと重ならない信号Sの立ち下がり毎に出力信号SH1をハイレベルに遷移させる(時点T32など)。その後段の各DFFは、前段のDFFがハイレベルの出力信号SH1~SH3を出力している状況下での信号Stの立ち下がりと重ならない信号Sの立ち下がり毎に、それぞれ出力信号SH2~SH4をハイレベルに遷移させる(時点T34、T36、T38)。そして信号Stの立ち下がりエッジの度に、各DFFは、出力信号SH1~SH4それぞれをロウレベルに遷移させる。
【0067】
このようにレベルが遷移する信号SH1、SH2、SH3、SH4と、信号Q1、Q2、Q3、Q4それぞれとの論理積が、ANDゲート群71dの各ANDゲートから出力される。これら各ANDゲートの出力全部の論理和がANDゲート71eの他方の端子71gに入力される。そのため、ANDゲート71eの他方の端子71gには、信号SH1及び信号Q1の両方、信号SH2及び信号Q2の両方、信号SH3及び信号Q3の両方、又は、信号SH4及び信号Q4の両方が、ハイレベルになっている期間(時点T32~時点T33、時点T34~時点T35、時点T36~時点T37、及び、時点T38~時点T39)だけハイレベルとなる信号が入力される。この信号がロウレベルとなっている各期間に含まれる信号Sのパルスの数は、時点T31~時点T39へと進むに従って1ずつ増加している。このANDゲート71eの端子71gに入力される信号と端子71fに入力される信号Sとの論理積が、信号Stとして出力される。そのため、信号Sに含まれるパルスからスキップするパルスの数を、パルスの出力の度に1ずつ増加させることができる。
【0068】
このように、例えば
図8に示す回路によって、入力される一連のパルスをスキップさせることができ、そのスキップさせるパルスの数をパルスの出力の度に1ずつ増加させるスイッチング制限回路を構成することができる。なお、
図8は、スキップするパルスの数を4まで増やし得るスイッチング制限回路の例であるが、リングカウンタ71aの出力数、DFF群71c内のDFFの数、及びANDゲート群71d内のANDゲートの数を増減することによって、4以外の任意の数まで、スキップするパルスの数を増やすことができる。
【0069】
なお、
図7及び
図8に示すスイッチング制限回路701、702は、
図5の例のスイッチング制限回路70の一例に過ぎない。
図5及び
図6に示すような比較回路4から出力されるパルスをスキップする回路は、入力されるパルスの一部を間引いて出力することが可能な任意の回路によって構成され得る。
【0070】
図1及び
図5を参照してPWM制御によるスイッチング制御回路1、10を例に本実施形態のスイッチング制御回路が説明されたが、本実施形態の思想の適用対象は、PWM制御のスイッチング制御回路に限定されない。すなわち、軽負荷時のバースト動作中のスイッチングの回数を減らして出力電圧のリップルを低減するという思想は、軽負荷時にバースト動作を行う任意の制御方式のスイッチング電源に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1、10 スイッチング電源制御回路(制御回路)
100 スイッチング電源
2 発振回路
3 誤差増幅回路
4 比較回路(PWMコンパレータ)
6 検出回路
7、70、701、702 スイッチング制限回路
71 抵抗
72 レベルシフト回路
Ps 一連のパルス
S 比較回路の出力信号(スイッチングをもたらす信号)
Sc 比較信号(所定の信号)
Ser エラー信号(出力電圧に基づく信号)
Sin エラー信号がレベルシフトされて得られる信号(出力電圧に基づく信号)
St スイッチング制限回路の出力信号
Vout 出力電圧
Vop リップル電圧