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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058224
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】粉体搬送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240418BHJP
   G03G 21/10 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G03G15/08 347
G03G21/10
G03G15/08 341
G03G15/08 364
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165449
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】川島 直大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓
【テーマコード(参考)】
2H077
2H134
【Fターム(参考)】
2H077AA37
2H077AC02
2H077AC07
2H077CA02
2H134GA01
2H134GA06
2H134JA02
(57)【要約】
【課題】搬送部材に一端側が装着された搖動部材を外れにくくする。
【解決手段】所定方向に回転することによってトナー(粉体)を搬送する第1搬送スクリュ71(搬送部材)が内設された第1水平搬送経路91(第1搬送経路)と、第1水平搬送経路91に対して交差する方向に延在して第1水平搬送経路91に連通する落下経路93(第2搬送経路)と、が設けられている。また、第1搬送スクリュ71の回転に連動して搖動する搖動部材73が、落下経路93に内設されている。また、搖動部材73は、一端側が、第1搬送スクリュ71に対して所定方向に離脱可能に装着されている。そして、第1水平搬送経路91(又は、落下経路93)に、搖動部材73の所定方向の移動を規制する凸部91c(規制部)が設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に回転することによって粉体を搬送する搬送部材が内設された第1搬送経路と、
前記第1搬送経路に対して交差する方向に延在して、前記第1搬送経路に連通する第2搬送経路と、
前記第2搬送経路に内設されて、前記搬送部材の回転に連動して搖動する搖動部材と、
を備え、
前記搖動部材は、一端側が、前記搬送部材に対して前記所定方向に離脱可能に装着され、
前記第1搬送経路又は前記第2搬送経路に、前記搖動部材の前記所定方向の移動を規制する規制部が設けられたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
前記搖動部材は、前記一端側に、前記搬送部材の軸部に引っ掛けられる引っ掛け部が形成され、
前記規制部は、前記引っ掛け部に対向する位置において、前記第1搬送経路又は前記第2搬送経路の内壁面から前記引っ掛け部に近づく方向に突出する凸部であることを特徴とする請求項1に記載の粉体搬送装置。
【請求項3】
前記搬送部材の前記軸部に対する前記引っ掛け部の引っ掛け代をAとして、前記軸部に対する前記凸部の対向距離をBとしたときに、
A>B
なる関係が成立することを特徴とする請求項2に記載の粉体搬送装置。
【請求項4】
前記引っ掛け部の内径をCとして、前記引っ掛け部と前記凸部との距離をDとしたときに、
C/2>D
なる関係が成立することを特徴とする請求項2に記載の粉体搬送装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記第1搬送経路又は前記第2搬送経路に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体搬送装置。
【請求項6】
前記搖動部材は、前記第2搬送経路が延在する方向に搖動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体搬送装置。
【請求項7】
前記規制部は、前記搖動部材が搖動しても当接しない位置であって、前記搬送部材が回転しても当接しない位置に配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体搬送装置。
【請求項8】
前記第1搬送経路は、水平搬送経路であって、
前記第2搬送経路は、落下経路であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体搬送装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の粉体搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナー、廃トナーなどの粉体を搬送する粉体搬送装置と、それを備えた画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置において、トナーや廃トナーなどの粉体を搬送する粉体搬送装置として、第1搬送経路に交差する第2搬送経路に、搖動部材を設置したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における粉体搬送装置は、水平方向に延在する第1搬送経路に、垂直方向に延在する第2搬送経路(落下経路)が連通するように設置されている。また、第1搬送経路には、トナーを搬送するための搬送スクリュ(搬送部材)が内設されている。また、第2搬送経路には、トナーの凝集を防止するために、搬送スクリュの回転に連動して上下に搖動する搖動部材(搖動棒)が設置されている。搖動部材は、その一端側にフックが形成されていて、そのフックが搬送スクリュの軸部に引っ掛けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の粉体搬送装置は、組付け工程時などに、搬送部材に一端側が装着された搖動部材が、搬送部材から外れてしまうことがあった。そして、そのように搖動部材が外れてしまうと、搖動部材によって第2搬送経路のトナー凝集を軽減する効果が発揮されないことになる。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、搬送部材に一端側が装着された搖動部材が外れにくい、粉体搬送装置、及び、画像形成装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における粉体搬送装置は、所定方向に回転することによって粉体を搬送する搬送部材が内設された第1搬送経路と、前記第1搬送経路に対して交差する方向に延在して、前記第1搬送経路に連通する第2搬送経路と、前記第2搬送経路に内設されて、前記搬送部材の回転に連動して搖動する搖動部材と、を備え、前記搖動部材は、一端側が、前記搬送部材に対して前記所定方向に離脱可能に装着され、前記第1搬送経路又は前記第2搬送経路に、前記搖動部材の前記所定方向の移動を規制する規制部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送部材に一端側が装着された搖動部材が外れにくい、粉体搬送装置、及び、画像形成装置、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す断面図である。
図3】トナー補給装置(粉体搬送装置)とその近傍とを示す全体構成図である。
図4】トナー収納容器の要部を示す断面図である。
図5】トナー収納容器に第1搬送経路が装着される動作を示す概略図である。
図6】トナー補給装置(粉体搬送装置)を示す概略図である。
図7】トナー補給装置の駆動手段を示す図である。
図8】トナー補給装置の要部の内部を示す斜視図である。
図9】(A)引っ掛け部の引っ掛け代と、軸部に対する凸部の対向距離と、の関係を示す概略図と、(B)引っ掛け部の内径と、引っ掛け部と凸部との距離と、の関係を示す概略図と、である。
図10】(A)搖動部材の引っ掛け部が搬送スクリュの軸部に正常に装着された状態を示す斜視図と、(B)搖動部材の引っ掛け部が搬送スクリュの軸部から外れた状態を示す斜視図と、である。
図11】変形例1としての、トナー補給装置の要部の内部を示す斜視図である。
図12】変形例2としての、トナー補給装置の要部を軸方向に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1図3にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2は作像部を示す拡大図であり、図3は粉体搬送装置としてのトナー補給装置とその近傍とを示す構成図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方にある設置部31(トナー容器受台)には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4色の略円筒状のトナー収納容器32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に載置されている。
また、設置部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Y(像担持体)と、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Yの表面にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体としての感光体ドラム1Yは、モータによって図2の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(書込み部)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置(不図示)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光装置7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、中間転写ユニット15は、中間転写体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、2次転写対向ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14、中間転写クリーニング装置10等で構成される。中間転写ベルト8は、3つのローラ12~14によって張架・支持されるとともに、1つのローラ12の回転駆動によって図1の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)の位置に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0024】
次に、図2にて、作像部における現像装置(供給先)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51と、現像ローラ51に対向するドクターブレード52と、現像剤収容部53、54内に配設された2つの搬送スクリュ55と、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56と、等で構成される。現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53、54内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0025】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51のスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー収納容器32Yに収容されているトナーが、粉体搬送装置としてのトナー補給装置90を介して現像剤収容部54内に補給される。
【0026】
その後、現像剤収容部54内に補給された粉体としてのトナーは、2つの搬送スクリュ55によって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53、54を循環する(図2の紙面垂直方向の長手方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
現像ローラ51上に担持された現像剤は、図3中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0027】
次に、図3にて、粉体搬送装置としてのトナー補給装置90の構成・動作について、簡単に説明する。
トナー補給装置90(粉体搬送装置)は、設置部31に設置されたトナー収納容器32Yの容器本体33を所定方向(図3の矢印方向である。)に回転駆動して、トナー収納容器32Yの内部に収納された粉体としてのトナーを容器外に排出して、第1搬送経路としての第1水平搬送経路91、第2搬送経路としての落下経路93(第1落下経路)、第2水平搬送経路92、搬送管96を介して現像装置5Yに導くためのものであって、トナー補給経路(トナー搬送経路)を形成している。
【0028】
画像形成装置本体100の設置部31に設置された各トナー収納容器32Y、32M、32C、32K内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置を経て適宜に各現像装置内に補給される。4つのトナー補給装置は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。
詳しくは、図3(及び図5)を参照して、トナー収納容器32Yが装置本体100の設置部31にセットされると、トナー収納容器32Yのシャッタ部材35が装置本体100の第1水平搬送経路91(ノズル部)に押動されて、第1水平搬送経路91が貫通穴部34a1を介してトナー収納容器32Y(容器本体33)の内部に挿入される。これにより、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーの排出(第1水平搬送経路91を介した排出である。)が可能になる。
なお、トナー収納容器32Yの底部(図3の左方である。)には、トナー収納容器32Yの設置部31への装着操作を容易にするための把持部33dが形成されている。ユーザーは、把持部33dを把持しながら、トナー収納容器32Yを設置部31にセットしたり、設置部31からトナー収納容器32Yを取り出したりすることになる。
【0029】
ここで、図3を参照して、トナー収納容器32Yには、長手方向(図3の左右方向であって、容器本体33の回転軸方向である。)に螺旋状の溝33aが形成された容器本体33が設けられている。具体的に、この螺旋状の溝33aは、容器本体33の外周面から内周面にかけて形成されていて、容器本体33を回転駆動して容器本体33内のトナーを図3の左方から右方に搬送するためのものである。容器本体33の内部において図3の左方から右方に搬送されたトナーは、第1水平搬送経路91(第1搬送経路)を介して容器外部に排出されることになる。
また、容器本体33の頭部側(図3の右方である。)の外周面には、画像形成装置本体100(トナー補給装置90)の駆動機構110(図7参照)のギア115に噛合するギア部37が形成されている。トナー収納容器32Yが設置部31に装着されると、容器本体33のギア部37が画像形成装置本体100のギア115(図7参照)に噛合することになる。そして、駆動モータ111(図7参照)が駆動されると、ギア列を介してギア部37に駆動が伝達されて、容器本体33が回転駆動されることになる。
なお、トナー補給装置90やの構成・動作については、後で図6図9等を用いてさらに詳しく説明する。
【0030】
以下、図4図5等を用いて、トナー収納容器32Y(32M、32C、32K)について、さらに詳しく説明する。
なお、図4図5はトナー収納容器32Yの側断面図であるが、図3におけるトナー収納容器32Yの図示方向とは逆方向から図示したものである(左右反転した図になっている)。
【0031】
先に図1図3等を用いて説明したように、トナー収納容器32Yは、その内部にトナーを収納して、画像形成装置本体100(トナー補給装置90)に対して着脱可能に設置されるものである。
図4図5等を参照して、トナー収納容器32Yは、容器本体33と、シャッタユニット34~36、38と、で構成されている。また、シャッタユニットは、保持部材34、シャッタ部材35、ロッド部材36、圧縮スプリング38、などで構成されている。保持部材34には、キャップ部として機能する立設部34aが形成されている。容器本体33は、立設部34a(保持部材34)に対して固定されるとともに、内周面(内周部)に螺旋状の溝33a(図3参照)が形成されたボトル状部材である。
そして、トナー収納容器32Yが画像形成装置本体100(設置部31)に装着された状態で、立設部34aが形成された保持部材34(及び、シャッタ部材35、ロッド部材36、圧縮スプリング38)と容器本体33は画像形成装置本体100に設置された駆動モータ111(駆動機構110)によって回転駆動されて、トナー収納容器32Yの内部に収容されたトナーが第1水平搬送経路91を介して排出されることになる。
【0032】
図4図5等を参照して、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100へのトナー収納容器32Yの装着動作に連動して、第1水平搬送経路91(トナー補給装置90に設置されている。)が挿入される貫通穴部34a1を開閉するものである。シャッタ部材35は、樹脂材料からなり、後述するロッド部材36とともに一体成型によって形成されたものである。シャッタ部材35は、貫通穴部34a1に対して容器の内側から嵌合して係止されて、容器外には外れないように構成されている。シャッタ部材35が貫通穴部34a1を閉鎖した状態ではトナー収納容器32Yから外部にトナーは排出されず、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を開放した状態でトナー収納容器32Yから外部へのトナーの排出が可能になる。
なお、貫通穴部34a1は、容器本体33の回転中心を中心とする略円柱状の穴部である。シャッタ部材35は、そのような形状の貫通穴部34a1に嵌合するように形成された栓状部材である。
【0033】
ここで、トナー収納容器32Yには、シャッタ部材35が貫通穴部34a1を閉鎖した状態で、シャッタ部材35と貫通穴部34a1との間を封止するシール部材40が設けられている。
また、ロッド部材36は、シャッタ部材35に対して一体的に設置されている。ロッド部材36は、トナー収納容器32Yの内部においてシャッタ部材35の開閉方向(図4図5の左右方向である。)に延在するように形成されている。
また、図4に示すように、ロッド部材36は、その軸中心が、容器本体33の回転中心に略一致するように配置されている。これにより、容器本体33が回転駆動されるときに、シャッタ部材35の位置がズレてしまう不具合などが生じにくくなる。
【0034】
図4図5を参照して、保持部材34は、立設部34a(キャップ部)、延在部34b、等で構成され、容器本体33に固定される部材であり、装置本体100からの回転駆動力を受けて容器本体33とともに第1水平搬送経路91の周りを回転する。
保持部材34の立設部34a(キャップ部)は、貫通穴部34a1が形成されていて、第1水平搬送経路91が挿入される方向(挿入方向であって、図4図5の左右方向である。)に立設されている。
立設部34aには、第1水平搬送経路91が挿入される方向の手前側(挿入方向上流側であって、図4図5の左方である。)に開口する開口部34a2(空洞部)が形成されている。開口部34a2は、容器本体33の回転中心を中心とする略円柱状の凹部である。
【0035】
保持部材34の延在部34bは、トナー収納容器32Yの内部においてシャッタ部材35が設置された側に対して反対側(図4図5の右方である。)でロッド部材36を開閉方向に移動可能に保持するように形成されている。延在部34bは、トナー収納容器32Y(容器本体33)の内部において図4図5の左右方向に延在するように略コの字状に形成されている。
付勢手段としての圧縮スプリング38は、シャッタ部材35と延在部34bの壁部との間でロッド部材36に巻装されている。圧縮スプリング38は、貫通穴部34a1が閉鎖される方向(図4図5の左方である。)にシャッタ部材35を付勢するものである。
【0036】
このような構成により、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100(設置部31)への装着動作に連動して、第1水平搬送経路91に押動されて、圧縮スプリング38(付勢手段)の付勢力に抗するように、ロッド部材36とともにトナー収納容器32Yの内部に移動して、貫通穴部34a1を開放することになる。具体的に、シャッタ部材35(及び、ロッド部材36)は、開放時に図5(A)、(B)の順番で動作することになる。
これに対して、シャッタ部材35は、画像形成装置本体100(設置部31)からの離脱動作に連動して、第1水平搬送経路91の押動が解除されて、圧縮スプリング38の付勢力によって、ロッド部材36とともに貫通穴部34a1の側に移動して貫通穴部34a1を閉鎖することになる。具体的に、シャッタ部材35(及び、ロッド部材36)は、閉鎖時に図5(B)、(A)の順番で動作することになる。
なお、図5(B)に示すように、装置本体100へのトナー収納容器32Yのセットが完了した状態のとき、シャッタ部材35は延在部34bの壁部に当接した状態になり、圧縮スプリング38はシャッタ部材35の凹部に収納された状態になる。これにより、装置本体100にトナー収納容器32Yがセットされた状態のとき、圧縮スプリング38に容器内のトナーが付着する不具合を防止することができる。
【0037】
また、図5を参照して、本実施の形態において、第1水平搬送経路91には、貫通穴部34a1への挿入動作に連動して開口部34a2に嵌合する嵌合部94が設けられている。
詳しくは、嵌合部94は、第1水平搬送経路91の主部の外径よりも大きな外径で形成されていて、立設部34aの開口部34a2に嵌合可能に略円柱状に形成されている。また、嵌合部94は、第1水平搬送経路91の主部に対して装着方向にスライド移動可能に設置されている。また、第1水平搬送経路91には、嵌合部94を挿入方向下流側(図5の右方である。)に付勢する圧縮スプリング97が設置されている。嵌合部94は、第1水平搬送経路91の第1流入口91aをカバーするカバー部材としても機能する。トナー収納容器32Yがセットされていない状態では図5(A)に示すように第1流入口91aを覆い、トナー収納容器32Yがセットされることで図5(B)に示すように嵌合部94がスライド移動して第1水平搬送経路91の主部が容器本体33の内部に挿入される。なお、図5(A′)は、嵌合部94をスライド移動させて第1流入口91aが露出した状態を示している。
このような構成により、嵌合部94は、トナー収納容器32Yの装着動作に連動して、第1水平搬送経路91がトナー収納容器32Y内に挿入されると、圧縮スプリング97に付勢されて開口部34a2に嵌合することになる。これに対して、嵌合部94は、トナー収納容器32Yの離脱動作に連動して、第1水平搬送経路91がトナー収納容器32Yから引き抜かれると、開口部34a2から引出されることになる。
【0038】
以下、図6図10等を用いて、本実施の形態における粉体搬送装置としてのトナー補給装置90において、特徴的な構成・動作について説明する。
なお、図6は、理解を容易にするために、第1水平搬送経路91に対する第2水平搬送経路92の配置方向を変えて図示している。実際には、図3図7に示すように、第2水平搬送経路92は第1水平搬送経路91に対して略直交するように配置されている。
【0039】
図6図7等を参照して、粉体搬送装置としてのトナー補給装置90には、第1搬送経路としての第1水平搬送経路91、第2搬送経路としての落下経路93(第1落下経路)、第2水平搬送経路92、搬送管96(第2落下経路)などが設けられている。そして、これらの搬送経路91~93、96を介してトナー収納容器32Y(供給元)から排出された粉体としてのトナーが現像装置5Y(供給先)に向けて搬送されることになる。
【0040】
ここで、第1搬送経路としての第1水平搬送経路91は、所定方向に回転することによってトナー(粉体)を略水平方向に搬送する搬送部材としての第1搬送スクリュ71が内設されている。
搬送部材としての第1搬送スクリュ71は、軸部71aにスクリュ部71bが螺旋状に巻装されたものであって、金属材料(又は、樹脂材料)で形成されている。
また、第1水平搬送経路91(第1搬送経路)は、円形の断面を有する搬送管であって、金属材料(又は、樹脂材料)で形成されている。第1水平搬送経路91には、上流側にトナー収納容器32Yに連通する第1流入口91aが形成され、下流側に落下経路93に連通する第1流出口91b(流出口)が形成されている。
なお、第1水平搬送経路91(第1搬送経路)には、下流側の天上部に、凸部91c(規制部)が設けられているが、これについては後で詳しく説明する。
【0041】
第2搬送経路としての落下経路93は、第1水平搬送経路91(第1搬送経路)に対して交差する方向に延在していて、第1水平搬送経路91に連通している。
具体的に、落下経路93(第2搬送経路)は、第1水平搬送経路91の流出口(第1流出口91b)から流出されたトナーが落下(自重落下)する経路であって、略垂直方向に延びるように形成されている。落下経路93は、円形の断面を有する搬送管であっても良いし、多角形の断面を有する搬送管であっても良い。
なお、第2搬送経路としての落下経路93には、落下経路93でトナーが凝集するのを防止するための搖動部材73が設置されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0042】
第2水平搬送経路92は、落下経路93で落下したトナーが流入口(第2流入口92a)から流入されて、そのトナーを略水平方向に搬送する第2搬送スクリュ72(第2搬送部材)が内設されている。
第2搬送スクリュ72は、軸部72aにスクリュ部72bが螺旋状に巻装されたものであって、エラストマ等のゴム材料(又は、金属材料や樹脂材料)で形成されている。
また、第2水平搬送経路92は、円形の断面を有する搬送管であって、金属材料(又は、樹脂材料)で形成されている。第2水平搬送経路92には、上流側に落下経路93に連通する第2流入口92aが形成され、下流側に搬送管96(第2落下経路)に連通する第2流出口92bが形成されている。
【0043】
搬送管96(第2落下経路)は、第2水平搬送経路92の第2流出口92bから流出されたトナーが自重落下する経路であって、略垂直方向に延びるように形成されている。そして、搬送管96を自重落下したトナーは、現像装置5Y内に供給されることになる。
なお、本実施の形態では、第2水平搬送経路92から搬送管96を介して現像装置5Yにトナーが搬送されるように構成したが、第2水平搬送経路92から現像装置5Yに直接的にトナーが搬送されるように構成することもできる。
【0044】
このように構成されたトナー補給装置90(粉体搬送装置)において、図6に示すように、トナー収納容器32Yから第1水平搬送経路91に白矢印方向に流入されたトナーは、所定方向(図6の矢印方向である。)に回転する第1搬送スクリュ71によって略水平方向(破線矢印方向)に左方から右方に搬送された後に、落下経路93を破線矢印方向(上方から下方)に自重落下する。その後、落下経路93から第2水平搬送経路92に流入されたトナーは、所定方向(図6の矢印方向である。)に回転する第2搬送スクリュ72によって略水平方向(破線矢印方向)に右方から左方に搬送される。その後、第2水平搬送経路92から搬送管96に流入されたトナーは、搬送管96を自重落下した後に、現像装置5Y内に流入される。
【0045】
このようにトナー補給装置90に複数の搬送経路91~93、96を設けることで、供給元となるトナー収納容器32Yと、供給先となる現像装置5Yと、が離れていたり向きが異なっていたりしても、トナーの供給が可能になる。換言すると、トナー収納容器32Yと現像装置5Yとのレイアウトの自由度を高めることができる。
特に、図7を参照して、本実施の形態では、第1水平搬送経路91においてトナー(粉体)が搬送される搬送方向と、第2水平搬送経路92においてトナーが搬送される搬送方向と、が交差する関係(本実施の形態では、略直交する関係)にある。そのため、トナー収納容器32Yと現像装置5Yとのレイアウトの自由度をさらに高めることができる。
【0046】
ここで、図7を参照して、本実施の形態におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)には、第1搬送スクリュ71(搬送部材)を駆動するとともに、第2搬送スクリュ72を駆動する駆動手段としての駆動機構110が設けられている。
すなわち、本実施の形態では、第1搬送スクリュ71を駆動する駆動手段と、第2搬送スクリュ72を駆動する駆動手段と、を別々に独立して設けるのではなくて、双方の駆動手段を共通化している。さらに、本実施の形態では、第1搬送スクリュ71と第2搬送スクリュ72とをそれぞれ駆動する駆動手段によって、トナー収納容器32Y(容器本体33)をも駆動するようにしている。
そのため、複数の駆動手段を別々に独立して設ける場合に比べて、装置を低コスト化、小型化することができる。
【0047】
具体的に、図7を参照して、駆動手段としての駆動機構110は、駆動モータ111、複数のギア列112~118などで構成されている。
駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア112から、アイドラギア114、115を介して、トナー収納容器32Yのギア部37に伝達されて、トナー収納容器32Y(容器本体33)が回転駆動される。
また、駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア112から、2段ギア113の平歯車113a、アイドラギア117を介して、第1水平搬送経路91における第1搬送スクリュ71の従動ギア118に伝達されて、第1搬送スクリュ71が回転駆動される。
また、駆動モータ111の駆動力は、モータ軸に設置された駆動ギア112から、2段ギア113(平歯車113a、かさ歯車113bが段状に設けられている。)を介して、第2水平搬送経路92における第2搬送スクリュ72のかさ歯車116に伝達されて、第2搬送スクリュ72が回転駆動される。
このように構成された駆動機構110は、制御部による制御によって駆動モータ111が駆動されると、トナー収納容器32Y(容器本体33)、第1、第2搬送スクリュ71、72がそれぞれ回転駆動されることになる。
なお、駆動モータ111は、現像装置5Y内の現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が濃度検知センサ56(図2参照)で検知されて、その検知結果が所定の範囲内になるように適宜駆動される。具体的に、濃度検知センサ56で検知されたトナー濃度が所定値を下回るたびに、駆動モータ111が所定時間だけ駆動されることになる。
【0048】
ここで、図6図8図10等を参照して、本実施の形態におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)は、第1搬送スクリュ71(搬送部材)の回転に連動して搖動する搖動部材73が、第2搬送経路としての落下経路93に内設されている。
そして、搖動部材73は、その一端側(図6の上部である。)が、第1搬送スクリュ71(搬送部材)に対して所定方向(図6図9の上方であって、図10(B)の矢印方向である。)に離脱可能に装着されている。
【0049】
詳しくは、搖動部材73は、金属材料(又は、樹脂材料)からなるコイル状部材であって、その一端側に、第1搬送スクリュ71(搬送部材)の軸部71aに引っ掛けられる引っ掛け部73aが形成されている。
引っ掛け部73aは、線材からなるコイル状の搖動部材73の一端側にフック状に形成されたものであって、第1搬送スクリュ71の軸部71aの外径よりも僅かに大きな内径からなっている。そして、軸部71aに対して、図10(B)の矢印方向の反対方向に搖動部材73を移動させて、引っ掛け部73aを嵌合させて(引っ掛けて)装着することになる(図10(A)に示すように装着される)。
【0050】
なお、図10(A)に示すように組付けられた第1搬送スクリュ71及び搖動部材73は、図8に示すように分割可能に形成された第1水平搬送経路91及び落下経路93に装着された後に、分割されていた第1水平搬送経路91及び落下経路93の残りの部分が装着される。こうして、第1搬送スクリュ71及び搖動部材73が内設された状態の第1水平搬送経路91及び落下経路93が完成することになる。
また、引っ掛け部73a(フック部)は、200~300°程度の円弧状に形成されていて、軸部71a(偏心部71a´)に対して装着しやすく外れにくいようになっている。
さらに、引っ掛け部73a(フック部)は、軸部71a(偏心部71a´)に対してややルーズに嵌合するように、その内径が設定されていて、軸部71a(偏心部71a´)が回転しても一緒に回転しにくいようになっている。
【0051】
そして、そのようにして組付けられたトナー補給装置90において、搖動部材73は、落下経路93(第2搬送経路)が延在する方向(図6図9の上下方向である。)に搖動することになる。
詳しくは、図8を参照して、第1搬送スクリュ71は、下流側端部(図6の右側端部に相当する部分である。)にはスクリュ部71bが形成されておらず、2箇所の大径部71cに挟まれる位置に偏心部71a´が設けられている。
2つの大径部71cは、軸方向の離れた位置に形成されていて、軸部71a(及び、偏心部71a´)の外径よりも大きな外径であって、スクリュ部71bの外径よりも小さな外径で形成されている。2つの大径部71cは、軸部71a(偏心部71a´)に装着された引っ掛け部73aの軸方向の移動を制限するものであって、上方から投影して見たときに落下経路93の範囲内に位置するように配置されている。
偏心部71a´(偏心軸部)は、その軸中心が、軸部71aの軸中心に対して偏心している。偏心部71a´は、軸方向に投影して見たときにスクリュ部71bの外径の範囲内に形成されている。また、本実施の形態において、偏心部71a´は、軸部71aと同径に形成されているが、大径部71cよりも小径であれば軸部71aより小径であっても良い。
このような構成により、第1搬送スクリュ71が回転することで、搖動部材73が落下経路93内を上下方向に搖動して、落下経路93内でトナーが凝集する不具合や内壁面にトナーが付着する不具合などが軽減されることになる。
なお、図6図9等では、簡単のため、偏心部71a´や大径部71cの図示を省略している。
【0052】
ここで、図6図8図9等を参照して、第1搬送経路としての第1水平搬送経路91には、搖動部材73の所定方向(図10(B)の矢印方向であって、離脱方向である。)の移動を規制する規制部としての凸部91cが設けられている。
詳しくは、規制部としての凸部91cは、引っ掛け部73aに対向する位置において、第1水平搬送経路91(第1搬送経路)の内壁面から引っ掛け部73aに近づく方向(図6図9の下方である。)に突出している。なお、本実施の形態では、第1水平搬送経路91を形成するケースの内壁の一部に略長方体状の凸部91cを一体的に形成している。
【0053】
また、規制部としての凸部91cは、搖動部材73が搖動しても当接しない位置であって、第1搬送スクリュ71(搬送部材)が回転しても当接しない位置に配置されている。
すなわち、搖動部材73が第1搬送スクリュ71から外れることなく正常に装着された状態で上下に搖動しているとき、搖動部材73(引っ掛け部73a)が凸部91cにぶつかることはなく、また、回転中の第1搬送スクリュ71が凸部91cにぶつかることもない。
具体的に、凸部91cは、2つの大径部71cの間(偏心部71a´)の軸方向の範囲内に形成されていて、搖動部材73の搖動範囲において引っ掛け部73aが最上方に移動してもぶつからない位置に配置されている。なお、本実施の形態において、凸部91cは、軸方向に投影して見たときにスクリュ部71bの外径の範囲外に形成されている。
このように構成することで、第1搬送スクリュ71や搖動部材73などが破損することなく、第1搬送スクリュ71によるトナー搬送する機能と、搖動部材73によるトナー凝集を軽減する機能と、が良好に発揮されることになる。
【0054】
このように、本実施の形態では、搖動部材73の離脱方向(外れ方向)の移動を規制する凸部91c(規制部)が設けられているため、トナー補給装置90の稼働時はもちろんのこと、トナー補給装置90の組付け工程時などであっても、第1搬送スクリュ71に一端側が装着された搖動部材73が、第1搬送スクリュ71から外れてしまう不具合が生じにくくなる。そのため、搖動部材73によって落下経路93のトナー凝集を軽減する効果が安定的に発揮されることになる。
なお、本実施の形態では、搖動部材73の離脱方向(外れ方向)の移動を規制する規制部として、略長方体状の凸部91cを用いたが、規制部は、搖動部材73の離脱方向の移動を規制するものであれば、これに限定されることはない。
【0055】
ここで、図9(A)を参照して、本実施の形態では、第1搬送スクリュ71(搬送部材)の軸部71a(偏心部71a´)に対する引っ掛け部73aの引っ掛け代をAとして、軸部71a(偏心部71a´)に対する凸部91cの対向距離をBとしたときに、
A>B
なる関係が成立するように構成されている。
このように構成することで、搖動部材73(引っ掛け部73a)が、第1搬送スクリュ71(軸部71a)から外れる不具合がさらに生じにくくなる。
なお、本願明細書等において、引っ掛け部73aの引っ掛け代Aとは、凸部91cが存在しないと仮定したときに、軸部71aに正常に装着された状態の引っ掛け部73aが軸部71aから外れるのに要する移動距離(外れに対する余裕度、クリアランス)であるものと定義する。
【0056】
また、図9(B)を参照して、本実施の形態では、引っ掛け部73a(フック部)の内径をCとして、引っ掛け部73aと凸部91cとの距離をDとしたときに、
C/2>D
なる関係が成立するように構成されている。
すなわち、引っ掛け部73a(フック部)の半径(C/2)が、引っ掛け部73a(フック部)の外周と凸部91cの対向面との距離Dに比べて大きくなるように構成されている。
このように構成することで、搖動部材73(引っ掛け部73a)が、第1搬送スクリュ71(軸部71a)から外れそうになっても、引っ掛け部73aの弾性によって、搖動部材73が正常な装着位置に戻りやすくなる。
【0057】
<変形例1>
図11に示すように、変形例1におけるトナー補給装置90において、規制部としての凸部95aは、第1水平搬送経路91(第1搬送経路)に対して着脱可能に設置されている。
詳しくは、第1水平搬送経路91には、搖動部材73(引っ掛け部73a)に対向する天井部に、略矩形状の穴部91dが形成されている。また、第1水平搬送経路91には、穴部91dを覆うようにカバー部材95が着脱可能に設置されている。そして、カバー部材95の対向面(第1水平搬送経路91の外周面に対向する面である。)には規制部としての凸部95aが形成されていて、カバー部材95が第1水平搬送経路91に装着されたときに穴部91dから凸部95aが挿入されることになる。そして、凸部95aは、第1水平搬送経路91の内壁(天井面)から下方に突出して、引っ掛け部73aの外れを防止する規制部として機能することになる。
このように構成した場合にも、第1搬送スクリュ71に一端側が装着された搖動部材73が外れにくくなる。特に、変形例1では、第1水平搬送経路91に穴部91dが形成されているため、穴部91dから搖動部材73(引っ掛け部73a)の装着状態を目視確認することが可能になる。
なお、変形例1では、第1水平搬送経路91とは別部品として形成されたカバー部材95に凸部95a(規制部)を一体的に設けたが、カバー部材95に対して凸部95aをさらに着脱可能に構成することもできる。
【0058】
<変形例2>
図12に示すように、変形例2におけるトナー補給装置90において、搖動部材73は、一端側が、第1搬送スクリュ71に対して右方向(上方向ではない。)に離脱可能に装着されている。
詳しくは、搖動部材73の引っ掛け部73a(フック部)の開口が左方向に形成されている。そして、搖動部材73の右方向(所定方向、離脱方向)の移動を規制する規制部としての凸部93aが、第1水平搬送経路91(第1搬送経路)ではなくて、落下経路93(第2搬送経路)に設けられている。
このように構成した場合にも、第1搬送スクリュ71に一端側が装着された搖動部材73が外れにくくなる。
なお、変形例2において、規制部としての凸部93aを、落下経路93(第2搬送経路)に対して着脱可能に設置することもできる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態におけるトナー補給装置90(粉体搬送装置)は、所定方向に回転することによってトナー(粉体)を搬送する第1搬送スクリュ71(搬送部材)が内設された第1水平搬送経路91(第1搬送経路)と、第1水平搬送経路91に対して交差する方向に延在して第1水平搬送経路91に連通する落下経路93(第2搬送経路)と、が設けられている。また、第1搬送スクリュ71の回転に連動して搖動する搖動部材73が、落下経路93に内設されている。また、搖動部材73は、一端側が、第1搬送スクリュ71に対して所定方向に離脱可能に装着されている。そして、第1水平搬送経路91(又は、落下経路93)に、搖動部材73の所定方向の移動を規制する凸部91c(規制部)が設けられている。
これにより、第1搬送スクリュ71に一端側が装着された搖動部材73が外れにくくなる。
【0060】
なお、本実施の形態では、粉体としてのトナーを搬送するトナー補給装置90(粉体搬送装置)に対して本発明を適用したが、本発明が適用される粉体搬送装置はこれに限定されることなく、例えば、粉体として廃トナーやリサイクルトナーや2成分現像剤(トナーとキャリアとからなる現像剤である。)などを搬送する粉体搬送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、供給元としてのトナー収納容器32Yから供給先としての現像装置5Yに向けてトナー(粉体)を搬送するトナー補給装置90(粉体搬送装置)に対して本発明を適用したが、本発明が適用される粉体搬送装置の供給元と供給先とはこれらに限定されることなく、種々の供給元と供給先とを設定することが可能である。
また、本実施の形態では、供給元としてのトナー収納容器32Yとして容器本体33を回転させてトナーを排出するボトル状のものを用いたが、供給元としてのトナー収納容器はこれに限定されることなく、例えば、トナーを排出口に向けて搬送する搬送部材が容器内に設置されたものや、箱型のものなどを用いることもできる。
また、本実施の形態では、2つの搬送経路91、92にそれぞれ搬送部材71、72が設置された粉体搬送装置(トナー補給装置90)に対して本発明を適用したが、1つの搬送経路に1つの搬送部材が設置された粉体搬送装置や、3つ以上の搬送経路にそれぞれ搬送部材が設置された粉体搬送装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、第1搬送経路として水平搬送経路91が設置されて、第2搬送経路として落下経路93が設置された粉体搬送装置(トナー補給装置90)に対して本発明を適用したが、第1搬送経路と第2搬送経路との関係はこれに限定されることはなく、種々の搬送経路の組み合わせとすることができる。
また、本実施の形態では、第1搬送経路として水平搬送経路91に対して、第2搬送経路として落下経路93が略90°の角度で交差した粉体搬送装置(トナー補給装置90)に対して本発明を適用したが、第1搬送経路と第2搬送経路との交差角度はこれに限定されることはない。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0062】
5Y 現像装置(供給先)、
32Y、32M、32C、32K トナー収納容器(供給元)、
71 第1搬送スクリュ(第1搬送部材、搬送部材)、
71a 軸部、 71a´ 偏心部、
71b スクリュ部、
71c 大径部、
72 第2搬送スクリュ(第2搬送部材)、
73 搖動部材、
73a 引っ掛け部(フック部)、
90 トナー補給装置(粉体搬送装置)、
91 第1水平搬送経路(第1搬送経路)、
91c 凸部(規制部)、
91d 穴部、
92 第2水平搬送経路、
93 落下経路(第2搬送経路)、
95 カバー部材、
95a 凸部(規制部)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)。
【0063】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~9の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
所定方向に回転することによって粉体を搬送する搬送部材が内設された第1搬送経路と、
前記第1搬送経路に対して交差する方向に延在して、前記第1搬送経路に連通する第2搬送経路と、
前記第2搬送経路に内設されて、前記搬送部材の回転に連動して搖動する搖動部材と、
を備え、
前記搖動部材は、一端側が、前記搬送部材に対して前記所定方向に離脱可能に装着され、
前記第1搬送経路又は前記第2搬送経路に、前記搖動部材の前記所定方向の移動を規制する規制部が設けられたことを特徴とする粉体搬送装置。
(付記2)
前記搖動部材は、前記一端側に、前記搬送部材の軸部に引っ掛けられる引っ掛け部が形成され、
前記規制部は、前記引っ掛け部に対向する位置において、前記第1搬送経路又は前記第2搬送経路の内壁面から前記引っ掛け部に近づく方向に突出する凸部であることを特徴とする付記1に記載の粉体搬送装置。
(付記3)
前記搬送部材の前記軸部に対する前記引っ掛け部の引っ掛け代をAとして、前記軸部に対する前記凸部の対向距離をBとしたときに、
A>B
なる関係が成立することを特徴とする付記2に記載の粉体搬送装置。
(付記4)
前記引っ掛け部の内径をCとして、前記引っ掛け部と前記凸部との距離をDとしたときに、
C/2>D
なる関係が成立することを特徴とする付記2又は付記3に記載の粉体搬送装置。
(付記5)
前記規制部は、前記第1搬送経路又は前記第2搬送経路に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする付記1~付記4のいずれかに記載の粉体搬送装置。
(付記6)
前記搖動部材は、前記第2搬送経路が延在する方向に搖動することを特徴とする付記1~付記5のいずれかに記載の粉体搬送装置。
(付記7)
前記規制部は、前記搖動部材が搖動しても当接しない位置であって、前記搬送部材が回転しても当接しない位置に配置されたことを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載の粉体搬送装置。
(付記8)
前記第1搬送経路は、水平搬送経路であって、
前記第2搬送経路は、落下経路であることを特徴とする付記1~付記7のいずれかに記載の粉体搬送装置。
(付記9)
付記1~付記8のいずれかに記載の粉体搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2002-311712号公報
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