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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058339
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20240418BHJP
   A61F 13/536 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61F13/535 200
A61F13/535 100
A61F13/536 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165630
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】大西 和彰
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BA04
3B200BB17
3B200DB05
3B200DB15
3B200DB24
(57)【要約】
【課題】体液を繰り返し吸収する際に、吸収速度に優れるとともに、厚さが厚くなりにくい吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収コア9を備えている吸収性物品1であって、吸収性物品1が、長手方向Lの中心を通り、幅方向Wに延びている幅方向中心線WCを備えており、吸収コア9が、幅方向中心線WCにより、質量が相対的に小さい第1吸収コア部分21と、質量が相対的に大きい第2吸収コア部分23とに区画されており、吸収コア9が、幅方向中心線WCを跨いで、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に連続して配置されている、長手方向Lに沿う方向に延びている縦溝31,35を備えており、縦溝31,35が、第1吸収コア部分21に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分31a,35aと、第2吸収コア部分23に配置された、相対的に幅の広い幅広部分31b,35bと備えていることを特徴とする吸収性物品1。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向及び幅方向を有するとともに、吸収コアを備えている吸収性物品であって、
前記吸収性物品が、前記吸収性物品の前記長手方向の中心を通り、前記幅方向に延びている幅方向中心線を備えており、
前記吸収コアが、前記幅方向中心線により、質量が相対的に小さい第1吸収コア部分と、質量が相対的に大きい第2吸収コア部分とに区画されており、
前記吸収コアが、前記幅方向中心線を跨いで、第1吸収コア部分から第2吸収コア部分に連続して配置されている、前記長手方向に沿う方向に延びている縦溝を備えており、
前記縦溝が、第1吸収コア部分に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分と、第2吸収コア部分に配置された、相対的に幅の広い幅広部分と備えている、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。
【請求項2】
第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分が、それぞれ、前方及び後方に配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分が、それぞれ、後方及び前方に配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収コアが、前記幅方向の中心を通って前記長手方向に延びている長手方向中心線を備えており、
前記吸収コアが、第2吸収コア部分において、前記縦溝の前記幅広部分が、前記吸収コアの端部に近づくほど、前記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収コアが、前記幅方向の中心を通って前記長手方向に延びている長手方向中心線を備えており、
前記吸収コアが、第1吸収コア部分において、前記縦溝の前記幅狭部分が、前記吸収コアの端部に近づくほど、前記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
第1吸収コア部分が、前記長手方向に3等分され、前記吸収コアの端部から順に、第1吸収コア第1部分、第1吸収コア第2部分及び第1吸収コア第3部分に区画されており、
前記幅狭部分が、第1吸収コア第3部分に配置されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
第2吸収コア部分が、前記長手方向に3等分され、前記幅方向中心線から順に、第2吸収コア第1部分、第2吸収コア第2部分及び第2吸収コア第3部分に区画されており、
前記幅広部分が、第2吸収コア第1部分に配置されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記縦溝において、前記幅狭部分と、前記幅広部分とが、直接連結されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収コアが、第1吸収コア部分に一対のくびれ部分を備えている、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収コアが、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含み、
前記吸収コアが、肌側面及び非肌側面を備えており、
前記吸収コアの、前記肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度が、前記吸収コアの、前記非肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度よりも高い、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
長手方向及び幅方向を有する吸収コアを備えている吸収性物品であって、
前記吸収コアが、前記吸収性物品の前記長手方向の中心を通り、前記幅方向に延びている幅方向中心線により、質量が相対的に大きく且つ前記吸収性物品の前側に配置された前側吸収コア部分と、質量が相対的に小さく且つ前記吸収性物品の後側に配置された後側吸収コア部分とに区画されており、
前記吸収コアが、前記幅方向中心線を跨いで、前記前側吸収コア部分から前記後側吸収コア部分に連続して配置されている、前記長手方向に延びている縦溝を備えており、
前記縦溝が、前記前側吸収コア部分に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分と、前記後側吸収コア部分に配置された、相対的に幅の広い幅広部分と備えている、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収コアが、前記幅方向の中心を通って前記長手方向に延びている長手方向中心線を備えており、
前記吸収コアが、前記前側吸収コア部分において、前記縦溝の前記幅狭部分が、前記吸収コアの端部に近づくほど、前記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えている、
請求項11に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
体液を吸収コアの長手方向に拡散させやすくするため、吸収コアに溝部を設けた吸収性物品が検討されている。
例えば、特許文献1には、高吸収性ポリマー粒子を含む吸収コアを備えている吸収性物品であって、前記吸収性物品が、前方及び後方を含む長手方向、幅方向並びに厚さ方向を有し、そして前身頃及び後身頃に区画され、前記吸収コアが、前記厚さ方向にお互いに隣接する第1層及び第2層を備え、第1層が、前記前身頃に配置された、(i)前記長手方向に沿って延在する溝部であって、前記厚さ方向に貫通しており且つ前記後方の位置に終端を備えている溝部と、(ii)前記終端を間に挟んで、前記溝部の前記後方の位置に隣接して配置されている基部とを備え、第2層が、前記溝部及び基部と、前記厚さ方向に重複する位置に、それぞれ、溝部対応部及び基部対応部を備え、前記基部に含まれる前記高吸収性ポリマー粒子の平均密度と、前記基部対応部に含まれる前記高吸収性ポリマー粒子の平均密度とが、前記溝部対応部に含まれる前記高吸収性ポリマー粒子の平均密度よりも高い、ことを特徴とする、前記吸収性物品(請求項1)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-118722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る吸収性物品では、体液を繰り返し吸収する際に、吸収速度、吸収性物品の厚さ等の観点から、改良の余地があった。
従って、本開示は、体液を繰り返し吸収する際に、吸収速度に優れるとともに、厚さが厚くなりにくい吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示者らは、長手方向及び幅方向を有するとともに、吸収コアを備えている吸収性物品であって、上記吸収性物品が、上記吸収性物品の上記長手方向の中心を通り、上記幅方向に延びている幅方向中心線を備えており、上記吸収コアが、上記幅方向中心線により、質量が相対的に小さい第1吸収コア部分と、質量が相対的に大きい第2吸収コア部分とに区画されており、上記吸収コアが、上記幅方向中心線を跨いで、第1吸収コア部分から第2吸収コア部分に連続して配置されている、上記長手方向に沿う方向に延びている縦溝を備えており、上記縦溝が、第1吸収コア部分に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分と、第2吸収コア部分に配置された、相対的に幅の広い幅広部分と備えていることを特徴とする吸収性物品を見出した。
【発明の効果】
【0006】
本開示の吸収性物品は、体液を繰り返し吸収する際に、吸収速度に優れるとともに、厚さが厚くなりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1を説明するための図である。
図2図2は、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1を説明するための図である。
図3図3は、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1を説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1を説明するための図である。
図5図5は、第2実施形態に従う使い捨ておむつを説明するための図である。
図6図6は、第3実施形態に従う使い捨ておむつを説明するための図である。
図7図7は、第4実施形態に従う使い捨ておむつを説明するための図である。
図8図8は、第5実施形態に従う使い捨ておむつを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
長手方向及び幅方向を有するとともに、吸収コアを備えている吸収性物品であって、
上記吸収性物品が、上記吸収性物品の上記長手方向の中心を通り、上記幅方向に延びている幅方向中心線を備えており、
上記吸収コアが、上記幅方向中心線により、質量が相対的に小さい第1吸収コア部分と、質量が相対的に大きい第2吸収コア部分とに区画されており、
上記吸収コアが、上記幅方向中心線を跨いで、第1吸収コア部分から第2吸収コア部分に連続して配置されている、上記長手方向に沿う方向に延びている縦溝を備えており、
上記縦溝が、第1吸収コア部分に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分と、第2吸収コア部分に配置された、相対的に幅の広い幅広部分と備えている、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
【0009】
上記吸収性物品は、吸収コアの質量が相対的に小さい第1吸収コア部分に幅狭部分を備えているとともに、吸収コアの質量が相対的に大きい第2吸収コア部分に幅広部分を備えている縦溝を備えている。従って、体液(例えば、尿)が吸収コアに到達した際に、縦溝の幅広部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に大きい第2吸収コア部分に相対的に拡散させやすくなる。第2吸収コア部分は、吸収コアの質量が相対的に大きいことから、体液の吸収容量が大きく、体液の繰り返しの吸収性及び吸収速度に優れる。
【0010】
一方、体液が吸収コアに到達した際に、縦溝の幅狭部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に小さい第1吸収コア部分に相対的に拡散させにくくなることから、体液を繰り返し吸収した場合に、第1吸収コア部分が厚くなりにくい。
以上より、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コアが厚くなりにくい。
また、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コアが厚くなりにくいことから、吸収コアを薄型化し、ひいては吸収性物品を薄型化することができる。
【0011】
[態様2]
第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分が、それぞれ、前方及び後方に配置されている、態様1に記載の吸収性物品。
【0012】
上記吸収性物品では、第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分が、それぞれ、前方及び後方に配置されているので、吸収した体液を、後方に配置された第2吸収コア部分に優先的に拡散させ、後方に配置された第2吸収コア部分で優先的に吸収することができる。従って、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、着用者の鼠径部に違和感を覚えさせにくい。
【0013】
[態様3]
第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分が、それぞれ、後方及び前方に配置されている、態様1に記載の吸収性物品。
【0014】
上記吸収性物品では、第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分が、それぞれ、後方及び前方に配置されているので、吸収した体液を、前方に配置された第2吸収コア部分に優先的に拡散させ、前方に配置された第2吸収コア部分で優先的に吸収することができる。従って、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、着用者の臀部に違和感を覚えさせにくい。
【0015】
[態様4]
上記吸収コアが、上記幅方向の中心を通って上記長手方向に延びている長手方向中心線を備えており、
上記吸収コアが、第2吸収コア部分において、上記縦溝の上記幅広部分が、上記吸収コアの端部に近づくほど、上記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えている、
態様1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0016】
上記吸収性物品では、上記縦溝の幅広部分が、所定の領域を備えているので、第2吸収コア部分が、体液を第2吸収コア部分の幅方向の外側に拡散させやすくなり、第2吸収コア部分の全体で体液を吸収しやすくなる。その結果、上記吸収性物品が、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度により優れるとともに、吸収コアの第2吸収コア部分が局所的に厚くなりにくい。
【0017】
[態様5]
上記吸収コアが、上記幅方向の中心を通って上記長手方向に延びている長手方向中心線を備えており、
上記吸収コアが、第1吸収コア部分において、上記縦溝の上記幅狭部分が、上記吸収コアの端部に近づくほど、上記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えている、
態様1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0018】
上記吸収性物品では、上記縦溝の幅狭部分が、所定の領域を備えているので、第1吸収コア部分が、体液を第1吸収コア部分の幅方向の外側に拡散させやすくなり、第1吸収コア部分の全体で体液を吸収しやすくなる。その結果、上記吸収性物品が、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度により優れるとともに、吸収コアの第1吸収コア部分が局所的に厚くなりにくい。
【0019】
[態様6]
第1吸収コア部分が、上記長手方向に3等分され、上記吸収コアの端部から順に、第1吸収コア第1部分、第1吸収コア第2部分及び第1吸収コア第3部分に区画されており、
上記幅狭部分が、第1吸収コア第3部分に配置されている、
態様1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0020】
一般的に、吸収性物品では、幅方向中心線付近に体液が排泄されやすい傾向がある。
上記吸収性物品では、幅狭部分が第1吸収コア部分の、幅方向中心線に接している第1吸収コア第3部分に配置されていることから、縦溝の幅狭部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に小さい第1吸収コア部分に相対的に拡散させにくくなる。
その結果、体液を繰り返し吸収した場合に、第1吸収コア部分が厚くなりにくく、吸収性物品が、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
【0021】
[態様7]
第2吸収コア部分が、上記長手方向に3等分され、上記幅方向中心線から順に、第2吸収コア第1部分、第2吸収コア第2部分及び第2吸収コア第3部分に区画されており、
上記幅広部分が、第2吸収コア第1部分に配置されている、
態様1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0022】
一般的に、吸収性物品では、幅方向中心線付近に体液が排泄されやすい傾向がある。
上記吸収性物品では、幅広部分が、第2吸収コア部分の、幅方向中心線に接している第2吸収コア第1部分に配置されていることから、縦溝の幅広部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に大きい第2吸収コア部分に相対的に拡散させやすくなる。
その結果、体液を繰り返し吸収した場合に、第2吸収コア部分が、体液の繰り返しの吸収性及び吸収速度に優れやすくなり、吸収性物品が、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
【0023】
[態様8]
上記縦溝において、上記幅狭部分と、上記幅広部分とが、直接連結されている、態様1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、幅狭部分と、幅広部分とが、直接連結されている連結部を有することから、上記吸収性物品が、態様1の効果をより発揮しやすくなる。
【0024】
[態様9]
上記吸収コアが、第1吸収コア部分に一対のくびれ部分を備えている、態様1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0025】
一般的に、吸収性物品では、着用者の大腿部に対応する大腿部対応部分が、吸収性物品の使用時に着用者の大腿部に挟まれることにより、その幅(幅方向の長さ)が狭まりやすくなり、大腿部対応部分が体液の吸収性(特に瞬間的な吸収性)に劣る傾向がある。また、大腿部対応部分が体液を吸収し、その厚さが厚くなると、着用者が違和感を覚えやすくなる。
【0026】
上記吸収性物品では、吸収コアが、大腿部対応部分に相当する一対のくびれ部分を、第1吸収コア部分に備えている。上記吸収性物品は、縦溝の幅狭部分が、体液を、第2吸収コア部分と比較して、吸収コアの質量が相対的に小さい第1吸収コア部分に相対的に拡散させにくく、体液を繰り返し吸収した場合に、第1吸収コア部分が厚くなりにくいものである。
【0027】
従って、上記吸収性物品は、吸収性物品の使用時に、一対のくびれ部分が幅方向に圧縮された場合であっても、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア、特に、一対のくびれ部分が厚くなりにくい。
【0028】
[態様10]
上記吸収コアが、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含み、
上記吸収コアが、肌側面及び非肌側面を備えており、
上記吸収コアの、上記肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度が、上記吸収コアの、上記非肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度よりも高い、
態様1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0029】
上記吸収性物品では、上記吸収コアの、上記肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度が、上記吸収コアの、上記非肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度よりも高いことから、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収コアが、体液を非肌側面側で拡散させることができ、体液の拡散性に優れるとともに、肌側面側における遊離水を減少させやすいため、着用者にドライ感を覚えさせやすい。
なお、上記平均密度の関係は、吸収性物品の厚さ方向において、上記吸収コアの縦溝が存在しない領域において満たすことが好ましい。当該効果の観点からである。
【0030】
[態様11]
長手方向及び幅方向を有する吸収コアを備えている吸収性物品であって、
上記吸収コアが、上記吸収性物品の上記長手方向の中心を通り、上記幅方向に延びている幅方向中心線により、質量が相対的に大きく且つ上記吸収性物品の前側に配置された前側吸収コア部分と、質量が相対的に小さく且つ上記吸収性物品の後側に配置された後側吸収コア部分とに区画されており、
上記吸収コアが、上記幅方向中心線を跨いで、上記前側吸収コア部分から上記後側吸収コア部分に連続して配置されている、上記長手方向に延びている縦溝を備えており、
上記縦溝が、上記前側吸収コア部分に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分と、上記後側吸収コア部分に配置された、相対的に幅の広い幅広部分と備えている、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
【0031】
一般的に、吸収性物品では、前側吸収コア部分は、着用時に、着用者の大腿部によって挟まれるため、その幅(幅方向の長さ)が狭まりやすくなり、狭まった部分においては、その面積(液透過性シート側の面積)が小さくなりやすいことから、体液の吸収性に劣る傾向があるとともに、仮に体液を吸収した場合には、吸収コアが厚くなって着用感が悪化しやすい傾向がある。
【0032】
上記吸収性物品では、吸収コアの質量が相対的に大きい前側吸収コア部分に幅狭部分を備えているとともに、吸収コアの質量が相対的に小さい後側吸収コア部分に幅広部分を備えている縦溝を備えている。
【0033】
従って、体液の吸収の初期においては、体液(例えば、尿)が吸収コアに到達した際に、縦溝の幅広部分が、体液を、後側吸収コア部分に優先的に拡散させやすくなる。従って、体液を後側吸収コア部分にて積極的に吸収し、保持することができる。また、体液の吸収の初期では、体液(例えば、尿)が吸収コアに到達した際に、縦溝の幅狭部分が、体液を、前側吸収コア部分に相対的に拡散させにくくなり、前側吸収コア部分が厚くなりにくく、前側吸収コア部分の着用感が悪化しにくい。
【0034】
次いで、体液を繰り返し吸収する場合には、体液の量によっては、後側吸収コア部分が体液を吸収しにくくなるときもある。しかし、そのような場合には、上記吸収性物品では、前側吸収コア部分の質量を相対的に大きくしていることから、前側吸収コア部分が体液を吸収することができるため、吸収性物品が、体液の吸収速度に優れる。
以上より、上記吸収性物品は、吸収コアが厚くなりにくく、着用感が悪化しにくいとともに、体液を繰り返し吸収する場合であっても、吸収速度に優れる。
【0035】
[態様12]
上記吸収コアが、上記幅方向の中心を通って上記長手方向に延びている長手方向中心線を備えており、
上記吸収コアが、上記前側吸収コア部分において、上記縦溝の上記幅狭部分が、上記吸収コアの端部に近づくほど、上記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えている、
態様11に記載の吸収性物品。
【0036】
上記吸収性物品では、上記縦溝の幅狭部分が、所定の領域を備えているので、体液を繰り返し吸収する場合に、前側吸収コア部分が、体液を前側吸収コア部分の幅方向の外側に拡散させやすくなり、前側吸収コア部分の全体で体液を吸収しやすくなる。その結果、上記吸収性物品が、体液を繰り返し吸収する場合に、吸収速度により優れるとともに、吸収コアの前側吸収コア部分が局所的に厚くなりにくい。
【0037】
[態様13]
上記吸収コアが、上記幅方向の中心を通って上記長手方向に延びている長手方向中心線を備えており、
上記吸収コアが、上記後側吸収コア部分において、上記縦溝の上記幅広部分が、上記吸収コアの端部に近づくほど、上記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えている、
態様11又は12に記載の吸収性物品。
【0038】
上記吸収性物品では、上記縦溝の幅広部分が、所定の領域を備えているので、後側吸収コア部分が、体液を後側吸収コア部分の幅方向の外側に拡散させやすくなり、後側吸収コア部分の全体で体液を吸収しやすくなる。その結果、態様11の効果をより発揮しやすくなる。
【0039】
[態様14]
上記前側吸収コア部分が、上記長手方向に3等分され、上記吸収コアの端部から順に、前側吸収コア第1部分、前側吸収コア第2部分及び前側吸収コア第3部分に区画されており、
上記幅狭部分が、前側吸収コア第3部分に少なくとも配置されている、
態様11~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0040】
一般的に、吸収性物品では、幅方向中心線付近に体液が排泄されやすい傾向がある。
上記吸収性物品では、幅狭部分が前側吸収コア部分の、幅方向中心線に接している前側吸収コア第3部分に少なくとも配置されていることから、体液を繰り返し吸収して、後側吸収コア部分が体液を吸収しにくくなった場合に、縦溝の幅狭部分が、体液を前側吸収コア部分で吸収させやすくなる。
【0041】
[態様15]
上記縦溝において、上記幅狭部分と、上記幅広部分とが、直接連結されている、態様11~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、幅狭部分と、幅広部分とが、直接連結されている連結部を有することから、上記吸収性物品が、態様11の効果をより発揮しやすくなる。
【0042】
[定義]
・「所定の方向に沿う方向」
本明細書では、「所定の方向に沿う方向」とは、所定の方向と、45°未満の交差角を有する方向を意味する。上記所定の方向に沿う方向は、所定の方向と、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下、そしてさらに好ましくは5°以下の交差角を有する方向を意味する。
【0043】
なお、本明細書では、「所定の方向と平行な方向」とは、所定の方向との交差角が5°以下である方向を意味する。上記所定の方向と平行な方向は、所定の方向と好ましくは3°以下、より好ましくは1°以下、そしてさらに好ましくは0°の交差角を有する。
上記所定の方向としては、例えば、長手方向、幅方向、厚さ方向等が挙げられる。
なお、本明細書において、単に、所定の方向に延びている、所定の方向における(長さ)等と称する場合には、所定の方向と0°の交差角を有する方向を意味する。
【0044】
本開示に係る吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1図4は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する場合がある)に従う吸収性物品、具体的には、使い捨ておむつ1を説明するための図である。具体的には、図1は、使い捨ておむつ1の平面図である。図2は、使い捨ておむつ1の吸収体7の平面図(吸収コア9の非肌側面13の平面図)である。図3は、使い捨ておむつ1の吸収コア9の非肌側面13の平面図である。図4は、図3のIV-IV端面における端面図である。
【0045】
使い捨ておむつ1は、お互いに直交する、前方FD及び後方RDを含む長手方向Lと、幅方向Wと、厚さ方向Tとを有する。また、使い捨ておむつ1は、使い捨ておむつ1の幅方向Wの中心を通り、使い捨ておむつ1の長手方向Lに延びている長手方向中心線LCと、使い捨ておむつ1の長手方向Lの中心を通り、使い捨ておむつ1の幅方向Wに延びている幅方向中心線WCとを有する。
使い捨ておむつ1は、液透過性シート3と、液不透過性シート5と、液透過性シート3及び液不透過性シート5の間の吸収体7とを備えている。
【0046】
使い捨ておむつ1は、図1に示されるように、弾性部材103を含む一対の防漏壁101、防漏壁101を液透過性シート3に固定するための固定部105、弾性部材107、テープファスナ109等を有するが、これらは、当技術分野で公知のものであるため、説明を省略する。
【0047】
吸収体7は、使い捨ておむつ1と同一の、お互いに直交する、長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、液透過性シート3側の肌側面11及び液不透過性シート5側の非肌側面13を有する吸収コア9と、吸収コア9の肌側面11及び非肌側面13を覆う、ティッシュからなるコアラップ15とから構成されている。
【0048】
吸収コア9は、パルプ繊維17と、高吸水性ポリマー19とを含んでいる。
吸収コア9は、幅方向中心線WCよりも前方FDに配置された、第1吸収コア部分21と、幅方向中心線WCより後方RDに配置された、第2吸収コア部分23とに区画される。第1吸収コア部分21は、第2吸収コア部分23よりも質量が相対的に小さい。第1吸収コア部分21が前方FDに配置され、そして第2吸収コア部分23が後方RDに配置されることにより、使い捨ておむつ1が、体液を繰り返し吸収した場合に、着用者の鼠径部に違和感を覚えさせにくくなる。
【0049】
第1吸収コア部分21は、長手方向Lに3等分され、吸収コア9の前方FD側の端部から順に、第1吸収コア第1部分21F、第1吸収コア第2部分21S及び第1吸収コア第3部分21Tに区画される。また、第2吸収コア部分23は、長手方向Lに3等分され、幅方向中心線WCから順に、第2吸収コア第1部分23F、第2吸収コア第2部分23S及び第2吸収コア第3部分23Tに区画される。
【0050】
吸収コア9は、幅方向中心線WCを跨いで、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に連続して配置されている、長手方向Lに沿って延びている3本の縦溝である、右縦溝31、中央縦溝33及び左縦溝35を備えている。なお、右縦溝31、中央縦溝33及び左縦溝35は、着用者の右から左に向かって順に配置されている。また、右縦溝31、中央縦溝33及び左縦溝35は、吸収コア9の非肌側面13に配置されている。すなわち、右縦溝31、中央縦溝33及び左縦溝35は、吸収コア9の非肌側面13から、吸収コア9の肌側面11に向かって窪んでいる。
【0051】
右縦溝31は、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に渡って連続的に配置されている右縦溝第1幅狭部分31aと、第2吸収コア部分23に配置されている右縦溝第2幅広部分31bと、第2吸収コア部分23に配置されている右縦溝第3幅狭部分31cとから構成されている。
右縦溝第1幅狭部分31aと、右縦溝第2幅広部分31bと、右縦溝第3幅狭部分31cとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0052】
右縦溝第1幅狭部分31a及び右縦溝第2幅広部分31bは、長手方向L(長手方向中心線LC)延びるように配置されており、右縦溝第3幅狭部分31cは、後方RDほど、長手方向中心線LCから遠ざかるように配置されている。
【0053】
右縦溝第1幅狭部分31aと、右縦溝第2幅広部分31bと、右縦溝第3幅狭部分31cとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、右縦溝第1幅狭部分31aの幅方向Wにおける幅W31aと、右縦溝第2幅広部分31bの幅方向Wにおける幅W31bと、右縦溝第3幅狭部分31cの幅方向Wにおける幅W31cとの関係は、以下の通りである。
幅W31b>幅W31a=幅W31c
【0054】
左縦溝35は、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に渡って連続的に配置されている左縦溝第1幅狭部分35aと、第2吸収コア部分23に配置されている左縦溝第2幅広部分35bと、第2吸収コア部分23に配置されている左縦溝第3幅狭部分35cとから構成されている。
左縦溝第1幅狭部分35aと、左縦溝第2幅広部分35bと、左縦溝第3幅狭部分35cとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0055】
左縦溝第1幅狭部分35a及び左縦溝第2幅広部分35bは、長手方向L(長手方向中心線LC)に延びるように配置されており、左縦溝第3幅狭部分35cは、後方RDほど、長手方向中心線LCから遠ざかるように配置されている。
【0056】
左縦溝第1幅狭部分35aと、左縦溝第2幅広部分35bと、左縦溝第3幅狭部分35cとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、右縦溝第1幅狭部分31aの幅方向Wにおける幅W35aと、右縦溝第2幅広部分31bの幅方向Wにおける幅W35bと、右縦溝第3幅狭部分31cの幅方向Wにおける幅W35cとの関係は、以下の通りである。
幅W35b>幅W35a=幅W35c
【0057】
右縦溝第1幅狭部分31a及び右縦溝第2幅広部分31bが、幅W31b>幅W31aの関係を満たすことにより、そして左縦溝第1幅狭部分35a及び左縦溝第2幅広部分35bが幅W35b>幅W35aの関係を満たすことにより、使い捨ておむつ1が、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れやすくなるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0058】
図4に示されるように、吸収コア9の、肌側面11における高吸水性ポリマー19の平均密度が、吸収コア9の、非肌側面13における高吸水性ポリマー19の平均密度よりも高い。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収コア9が、体液を非肌側面13側で拡散させることができ、体液の拡散性に優れるとともに、肌側面11側における遊離水を減少させやすいため、着用者にドライ感を覚えさせやすくなる。
【0059】
右縦溝第1幅狭部分31a及び左縦溝第1幅狭部分35aのそれぞれは、第1吸収コア第3部分21Tに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第1吸収コア部分21が厚くなりにくくなる。
右縦溝第2幅広部分31b及び左縦溝第2幅広部分35bのそれぞれは、第2吸収コア第1部分23Fに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第2吸収コア部分23が、体液の繰り返しの吸収性及び吸収速度に優れやすくなる。
【0060】
吸収コア9は、砂時計型の形状をしており、第1吸収コア部分21が、長手方向中心線LCに向かって窪んでいる、一対のくびれ部分37を備えている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、使い捨ておむつ1が吸収速度に優れるとともに、吸収コア9、特に、一対のくびれ部分37が厚くなりにくくなる。
【0061】
右縦溝第1幅狭部分31a及び右縦溝第2幅広部分31bは直接連結されている連結部(図示せず)を有しており、左縦溝第1幅狭部分35a及び左縦溝第2幅広部分35bは直接連結されている連結部(図示せず)を有している。それにより、使い捨ておむつ1が、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0062】
吸収コア9は、第1吸収コア部分21において、非肌側面13に配置された6本の縦溝51と、肌側面11から非肌側面13まで貫通している貫通孔である開孔部55とを備えている。また、吸収コア9は、第2吸収コア部分23において、非肌側面13に配置された8本の縦溝53と、肌側面11から非肌側面13まで貫通している貫通孔である開孔部57とを備えているが、これらについての説明は省略する。
【0063】
<第2実施形態>
図5は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する場合がある)に従う使い捨ておむつ(図示せず)を説明するための図である。具体的には、図5は、使い捨ておむつが備えている吸収コア9の非肌側面13の平面図である。
なお、第2実施形態に従う使い捨ておむつは、吸収コア9を除き、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1と同一であるため、吸収コア9以外の部分については、説明を省略する。また、第2実施形態に係る吸収コア9に関しても、第1実施形態に係る吸収コア9と同一の部分については、説明を省略する。
【0064】
吸収コア9は、幅方向中心線WCを跨いで、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に連続して配置されている、長手方向Lに沿って延びている4本の縦溝である、最右縦溝201、右縦溝203、左縦溝205及び最左縦溝207を備えている。なお、最右縦溝201、右縦溝203、左縦溝205及び最左縦溝207は、着用者の右から左に向かって順に配置されている。また、最右縦溝201、右縦溝203、左縦溝205及び最左縦溝207は、吸収コア9の非肌側面13に配置されている。すなわち、最右縦溝201、右縦溝203、左縦溝205及び最左縦溝207は、吸収コア9の非肌側面13から、吸収コア9の肌側面11に向かって窪んでいる。
【0065】
右縦溝203は、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に渡って連続的に配置されている右縦溝第1幅狭部分203aと、第2吸収コア部分23に配置されている右縦溝第2幅広部分203bと、第2吸収コア部分23に配置されている右縦溝第3幅狭部分203cとから構成されている。
右縦溝第1幅狭部分203aと、右縦溝第2幅広部分203bと、右縦溝第3幅狭部分203cとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0066】
右縦溝第1幅狭部分203a及び右縦溝第3幅狭部分203cは、長手方向L(長手方向中心線LC)に延びるように配置されており、右縦溝第2幅広部分203bは、後方RDほど、長手方向中心線LCから遠ざかるように配置されている。
【0067】
右縦溝第1幅狭部分203aと、右縦溝第2幅広部分203bと、右縦溝第3幅狭部分203cとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、右縦溝第1幅狭部分203aの幅方向Wにおける幅W203aと、右縦溝第2幅広部分203bの幅方向Wにおける幅W203bと、右縦溝第3幅狭部分203cの幅方向Wにおける幅W203cとの関係は、以下の通りである。
幅W203b>幅W203a=幅W203c
【0068】
左縦溝205は、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に渡って連続的に配置されている左縦溝第1幅狭部分205aと、第2吸収コア部分23に配置されている左縦溝第2幅広部分205bと、第2吸収コア部分23に配置されている左縦溝第3幅狭部分205cとから構成されている。
左縦溝第1幅狭部分205aと、左縦溝第2幅広部分205bと、左縦溝第3幅狭部分205cとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0069】
左縦溝第1幅狭部分205a及び左縦溝第3幅狭部分205cは、長手方向L(長手方向中心線LC)に延びるように配置されており、左縦溝第2幅広部分205bは、後方RDほど、長手方向中心線LCから遠ざかるように配置されている。
【0070】
左縦溝第1幅狭部分205aと、左縦溝第2幅広部分205bと、左縦溝第3幅狭部分205cとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、左縦溝第1幅狭部分205aの幅方向Wにおける幅W205aと、左縦溝第2幅広部分205bの幅方向Wにおける幅W205bと、左縦溝第3幅狭部分205cの幅方向Wにおける幅W205cとの関係は、以下の通りである。
幅W205b>幅W205a=幅W205c
【0071】
右縦溝第1幅狭部分203a及び右縦溝第2幅広部分203bが、幅W205b>幅W205aの関係を満たすことにより、そして左縦溝第1幅狭部分205a及び左縦溝第2幅広部分205bが幅W205b>幅W205aの関係を満たすことにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れやすくなるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0072】
吸収コア9では、第2吸収コア部分23において、右縦溝第2幅広部分203b及び左縦溝第2幅広部分205bが、吸収コア9の端部に近づくほど、すなわち、後方RDほど、長手方向中心線LCから遠ざかるように配置されている。それにより、第2吸収コア部分23が、体液を第2吸収コア部分23の幅方向Wの外側に拡散させやすくなり、第2吸収コア部分23の全体で体液を吸収しやすくなる。
【0073】
右縦溝第1幅狭部分203a及び左縦溝第1幅狭部分205aのそれぞれは、第1吸収コア第3部分21Tに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第1吸収コア部分21が厚くなりにくくなる。
右縦溝第2幅広部分203b及び左縦溝第2幅広部分205bのそれぞれは、第2吸収コア第1部分23Fに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第2吸収コア部分23が、体液の繰り返しの吸収性及び吸収速度に優れやすくなる。
【0074】
右縦溝第1幅狭部分203a及び右縦溝第2幅広部分203bは直接連結されている連結部(図示せず)を有し、左縦溝第1幅狭部分205a及び左縦溝第2幅広部分205bは直接連結されている連結部(図示せず)を有している。それにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0075】
吸収コア9は、第1吸収コア部分21において、非肌側面13に配置された6本の縦溝221と、肌側面11から非肌側面13まで貫通している貫通孔である開孔部225とを備えている。また、吸収コア9は、第2吸収コア部分23において、非肌側面13に配置された8本の縦溝223と、肌側面11から非肌側面13まで貫通している貫通孔である開孔部227とを備えているが、これらについての説明は省略する。
【0076】
<第3実施形態>
図6は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する場合がある)に従う使い捨ておむつ(図示せず)を説明するための図である。具体的には、図6は、使い捨ておむつが備えている吸収コア9の肌側面11の平面図である。
なお、第3実施形態に従う使い捨ておむつは、吸収コア9を除き、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1と同一であるため、吸収コア9以外の部分については、説明を省略する。また、第3実施形態に係る吸収コア9に関しても、第1実施形態に係る吸収コア9と同一の部分については、説明を省略する。
【0077】
吸収コア9は、幅方向中心線WCを跨いで、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に連続して配置されている、長手方向Lに延びている2本の縦溝である、右縦溝301及び左縦溝303を備えている。なお、右縦溝301及び左縦溝303は、着用者の右から左に向かって順に配置されている。また、右縦溝301及び左縦溝303は、吸収コア9の肌側面11に配置されている。すなわち、右縦溝301及び左縦溝303は、吸収コア9の肌側面11から、吸収コア9の非肌側面13に向かって窪んでいる。
【0078】
右縦溝301は、第1吸収コア部分21に配置されている右縦溝第1幅狭部分301aと、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に渡って連続して配置されている右縦溝第2幅広部分301bとから構成されている。
右縦溝第1幅狭部分301aと、右縦溝第2幅広部分301bとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0079】
右縦溝第1幅狭部分301aと、右縦溝第2幅広部分301bとは、直接連結されていると連結部(図示せず)を有するともに、右縦溝第1幅狭部分301aの幅方向Wにおける幅W301aと、右縦溝第2幅広部分301bの幅方向Wにおける幅W301bとの関係は、以下の通りである。
幅W301b>幅W301a
【0080】
左縦溝303は、第1吸収コア部分21に配置されている左縦溝第1幅狭部分303aと、第1吸収コア部分21から第2吸収コア部分23に渡って連続的に配置されている左縦溝第2幅広部分303bとから構成されている。
左縦溝第1幅狭部分303aと、左縦溝第2幅広部分303bとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0081】
左縦溝第1幅狭部分303aと、左縦溝第2幅広部分303bとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、左縦溝第1幅狭部分303aの幅方向Wにおける幅W303aと、左縦溝第2幅広部分303bの幅方向Wにおける幅W303bとの関係は、以下の通りである。
幅W303b>幅W303a
【0082】
右縦溝第1幅狭部分301a及び右縦溝第2幅広部分301bが、幅W301b>幅W301aの関係を満たすことにより、そして左縦溝第1幅狭部分303a及び左縦溝第2幅広部分303bが幅W303b>幅W303aの関係を満たすことにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れやすくなるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0083】
右縦溝第1幅狭部分301a及び左縦溝第1幅狭部分303aのそれぞれは、第1吸収コア第3部分21Tに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第1吸収コア部分21が厚くなりにくくなる。
右縦溝第2幅広部分301b及び左縦溝第2幅広部分303bのそれぞれは、第2吸収コア第1部分23Fに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第2吸収コア部分23が、体液の繰り返しの吸収性及び吸収速度に優れやすくなる。
【0084】
右縦溝第1幅狭部分301a及び右縦溝第2幅広部分301bは直接連結されている連結部(図示せず)を有し、左縦溝第1幅狭部分303a及び左縦溝第2幅広部分303bは直接連結されている連結部(図示せず)を有している。それにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0085】
吸収コア9は、肌側面11において、第1吸収コア部分21のみに配置された4本の縦溝321と、第2吸収コア部分23のみに配置された2本の縦溝323とを備えているが、これらについての説明は省略する。
【0086】
<第4実施形態>
図7は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第4実施形態」と称する場合がある)に従う使い捨ておむつ(図示せず)を説明するための図である。具体的には、図7は、使い捨ておむつが備えている吸収コア9の肌側面11の平面図である。
なお、第4実施形態に従う使い捨ておむつは、吸収コア9を除き、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1と同一であるため、吸収コア9以外の部分については、説明を省略する。また、第4実施形態に係る吸収コア9に関しても、第1実施形態に係る吸収コア9と同一の部分については、説明を省略する。
【0087】
吸収コア9は、パルプ繊維(図示せず)と、高吸水性ポリマー(図示せず)とを含んでいる。
吸収コア9は、幅方向中心線WCよりも後方RDに配置された、第1吸収コア部分401と、幅方向中心線WCより前方FDに配置された、第2吸収コア部分403とに区画される。第1吸収コア部分401が後方RDに配置され、そして第2吸収コア部分403が前方FDに配置されることにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、着用者の臀部に違和感を覚えさせにくくなる。
【0088】
第1吸収コア部分401は、第2吸収コア部分403よりも質量が相対的に小さい。第1吸収コア部分401は、長手方向Lに3等分され、吸収コア9の後方RD側の端部から順に、第1吸収コア第1部分401F、第1吸収コア第2部分401S及び第1吸収コア第3部分401Tに区画される。また、第2吸収コア部分403は、長手方向Lに3等分され、幅方向中心線WCから順に、第2吸収コア第1部分403F、第2吸収コア第2部分403S及び第2吸収コア第3部分403Tに区画される。
吸収コア9は、液透過性シート3側の肌側面11と、液不透過性シート5側の非肌側面13とを備えている。
【0089】
吸収コア9は、幅方向中心線WCを跨いで、第1吸収コア部分401から第2吸収コア部分403に連続して配置されている、長手方向Lに延びている2本の縦溝である、右縦溝411及び左縦溝413を備えている。なお、右縦溝411及び左縦溝413は、着用者の右から左に向かって順に配置されている。また、右縦溝411及び左縦溝413は、吸収コア9の肌側面11に配置されている。すなわち、右縦溝411及び左縦溝413は、吸収コア9の肌側面11から、吸収コア9の非肌側面13に向かって窪んでいる。
【0090】
右縦溝411は、第1吸収コア部分401から第2吸収コア部分403に渡って連続して配置されている右縦溝第1幅狭部分411aと、第2吸収コア部分403に配置されている右縦溝第2幅広部分411bとから構成されている。
右縦溝第1幅狭部分411aと、右縦溝第2幅広部分411bとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0091】
右縦溝第1幅狭部分411aと、右縦溝第2幅広部分411bとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、右縦溝第1幅狭部分411aの幅方向Wにおける幅W411aと、右縦溝第2幅広部分411bの幅方向Wにおける幅W411bとの関係は、以下の通りである。
幅W411b>幅W411a
【0092】
左縦溝413は、第1吸収コア部分401から第2吸収コア部分403に渡って連続して配置されている左縦溝第1幅狭部分413aと、第2吸収コア部分403に配置されている左縦溝第2幅広部分413bとから構成されている。
左縦溝第1幅狭部分413aと、左縦溝第2幅広部分413bとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0093】
吸収コア9は、砂時計型の形状をしており、第1吸収コア部分401が、長手方向中心線LCに向かって窪んでいる、一対のくびれ部分37を備えている。それにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア9、特に、一対のくびれ部分37が厚くなりにくくなる。
【0094】
左縦溝第1幅狭部分413aと、左縦溝第2幅広部分413bとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、左縦溝第1幅狭部分413aの幅方向Wにおける幅W413aと、左縦溝第2幅広部分413bの幅方向Wにおける幅W413bとの関係は、以下の通りである。
幅W413b>幅W413a
【0095】
右縦溝第1幅狭部分411a及び右縦溝第2幅広部分411bが、幅W411b>幅W411aの関係を満たすことにより、そして左縦溝第1幅狭部分413a及び左縦溝第2幅広部分413bが幅W413b>幅W413aの関係を満たすことにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れやすくなるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0096】
右縦溝第1幅狭部分411a及び左縦溝第1幅狭部分413aのそれぞれは、第1吸収コア第3部分401Tに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第1吸収コア部分401が厚くなりにくくなる。
右縦溝第2幅広部分411b及び左縦溝第2幅広部分413bのそれぞれは、第2吸収コア第1部分403Fから第2吸収コア第3部分403Tに渡って配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、第2吸収コア部分403が、体液の繰り返しの吸収性及び吸収速度に優れやすくなる。
【0097】
右縦溝第1幅狭部分411a及び右縦溝第2幅広部分411bは直接連結されている連結部(図示せず)を有し、左縦溝第1幅狭部分413a及び左縦溝第2幅広部分413bは直接連結されている連結部(図示せず)を有している。それにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0098】
吸収コア9は、肌側面11において、第1吸収コア部分401のみに配置された4本の縦溝431と、第2吸収コア部分403のみに配置された2本の縦溝433とを備えているが、これらについての説明は省略する。
【0099】
<第5実施形態>
図8は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第5実施形態」と称する場合がある)に従う使い捨ておむつ(図示せず)を説明するための図である。具体的には、図8は、使い捨ておむつが備えている吸収コア9の肌側面11の平面図である。
なお、第5実施形態に従う使い捨ておむつは、吸収コア9を除き、第1実施形態に従う使い捨ておむつ1と同一であるため、吸収コア9以外の部分については、説明を省略する。また、第5実施形態に係る吸収コア9に関しても、第1実施形態に係る吸収コア9と同一の部分については、説明を省略する。
【0100】
吸収コア9は、パルプ繊維(図示せず)と、高吸水性ポリマー(図示せず)とを含んでいる。
吸収コア9は、幅方向中心線WCよりも前方FDに配置された、前側吸収コア部分501と、幅方向中心線WCより後方RDに配置された、後側吸収コア部分503とに区画される。前側吸収コア部分501は、後側吸収コア部分503よりも質量が相対的に大きい。前側吸収コア部分501は、長手方向Lに3等分され、吸収コア9の前方FD側の端部から順に、前側吸収コア第1部分501F、前側吸収コア第2部分501S及び前側吸収コア第3部分501Tに区画される。また、後側吸収コア部分503は、長手方向Lに3等分され、幅方向中心線WCから順に、後側吸収コア第1部分503F、後側吸収コア第2部分503S及び後側吸収コア第3部分503Tに区画される。
吸収コア9は、液透過性シート3側の肌側面11と、液不透過性シート5側の非肌側面13とを備えている。
【0101】
吸収コア9は、幅方向中心線WCを跨いで、前側吸収コア部分501から後側吸収コア部分503に配置されている、長手方向Lに沿って延びている2本の縦溝である、右縦溝505及び左縦溝507を備えている。なお、右縦溝505及び左縦溝507は、着用者の右から左に向かって順に配置されている。また、右縦溝505及び左縦溝507は、吸収コア9の肌側面11に配置されている。すなわち、右縦溝505及び左縦溝507は、吸収コア9の肌側面11から、吸収コア9の非肌側面13に向かって窪んでいる。
【0102】
右縦溝505は、前側吸収コア部分501に配置されている右縦溝第1幅狭部分505aと、前側吸収コア部分501から後側吸収コア部分503に渡って連続して配置されている右縦溝第2幅広部分505bとから構成されている。
右縦溝第1幅狭部分505aと、右縦溝第2幅広部分505bとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0103】
右縦溝第1幅狭部分505aと、右縦溝第2幅広部分505bとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、右縦溝第1幅狭部分505aの幅方向Wにおける幅W505aと、右縦溝第2幅広部分505bの幅方向Wにおける幅W505bとの関係は、以下の通りである。
幅W505b>幅W505a
【0104】
左縦溝507は、前側吸収コア部分501に配置されている左縦溝第1幅狭部分507aと、前側吸収コア部分501から後側吸収コア部分503に渡って連続して配置されている左縦溝第2幅広部分507bとから構成されている。
左縦溝第1幅狭部分507aと、左縦溝第2幅広部分507bとのそれぞれは、幅方向Wに延びている複数の横溝(符号を付せず)を備えている。
【0105】
左縦溝第1幅狭部分507aと、左縦溝第2幅広部分507bとは、直接連結されている連結部(図示せず)を有するとともに、左縦溝第1幅狭部分507aの幅方向Wにおける幅W507aと、左縦溝第2幅広部分507bの幅方向Wにおける幅W507bとの関係は、以下の通りである。
幅W507b>幅W507a
【0106】
右縦溝第1幅狭部分505a及び右縦溝第2幅広部分505bが、幅W505b>幅W505aの関係を満たすことにより、そして左縦溝第1幅狭部分507a及び左縦溝第2幅広部分507bが幅W507b>幅W507aの関係を満たすことにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れやすくなるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0107】
右縦溝第1幅狭部分505a及び左縦溝第1幅狭部分507aのそれぞれは、前側吸収コア第2部分501S及び前側吸収コア第3部分501Tに配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、前側吸収コア部分501が厚くなりにくくなる。
右縦溝第2幅広部分505b及び左縦溝第2幅広部分507bのそれぞれは、前側吸収コア第3部分501Tから後側吸収コア第3部分503Tに渡って連続して配置されている。それにより、体液を繰り返し吸収した場合に、後側吸収コア部分503が、体液の繰り返しの吸収性及び吸収速度に優れやすくなる。
【0108】
右縦溝第1幅狭部分505a及び右縦溝第2幅広部分505bは直接連結されている連結部(図示せず)を有し、左縦溝第1幅狭部分507a及び左縦溝第2幅広部分507bは直接連結されている連結部(図示せず)を有している。それにより、使い捨ておむつが、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア9が厚くなりにくくなる。
【0109】
吸収コア9では、前側吸収コア部分501において、右縦溝第1幅狭部分505a及び左縦溝第1幅狭部分507aのそれぞれが、吸収コア9の前方FD側の端部に近づくほど、長手方向中心線LCから遠ざかるように配置されている領域(図示せず)を備えている。それにより、前側吸収コア部分501が、体液を前側吸収コア部分501の幅方向Wの外側に拡散させやすくなり、前側吸収コア部分501の全体で体液を吸収しやすくなる。
【0110】
吸収コア9は、肌側面11において、前側吸収コア部分501のみに配置された6本の縦溝521と、後側吸収コア部分503のみに配置された2本の縦溝523とを備えているが、これらについての説明は省略する。
【0111】
本開示(以下、「第1開示」と称する場合がある)に係る吸収性物品としては、特に制限されず、例えば、使い捨ておむつ、尿取りパッド、失禁パッド、失禁ライナー等が挙げられる。
本開示では、長手方向及び幅方向は、特に言及のない限り、それぞれ、吸収性物品の長手方向及び幅方向を有する。なお、本開示に係る吸収コアは、吸収性物品の長手方向及び幅方向とそれぞれ同一の長手方向及び幅方向を有する場合が多い。
【0112】
本開示に係る吸収性物品は、吸収性物品の長手方向の中心を通り、吸収性物品の幅方向に延びている幅方向中心線を備えている。また、本開示に係る吸収性物品は、吸収性物品の幅方向の中心を通り、吸収性物品の長手方向に延びている長手方向中心線を備えている。
なお、本開示では、上記幅方向中心線及び長手方向中心線は、それぞれ、吸収性物品における幅方向中心線及び長手方向中心線を意味する。特に、吸収コアの第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分を確定する幅方向中心線は、吸収性物品における上述の幅方向中心線であることに留意すべきである。
【0113】
本開示に係る吸収コアでは、第1吸収コア部分は、上記長手方向に3等分され、上記吸収コアの端部から順に、第1吸収コア第1部分、第1吸収コア第2部分及び第1吸収コア第3部分に区画されることができる。なお、上記端部は、第1吸収コア部分が前方に配置されている場合には、前方の端部を意味し、第1吸収コア部分が後方に配置されている場合には、後方の端部を意味する。
【0114】
また、本開示に係る吸収コアでは、第2吸収コア部分が、上記長手方向に3等分され、上記幅方向中心線から順に、第2吸収コア第1部分、第2吸収コア第2部分及び第2吸収コア第3部分に区画されることができる。
【0115】
本開示に係る吸収性物品では、吸収コアは、パルプ繊維、高吸収性ポリマー粒子等を含むことができる。上記吸収コアは、当該吸収コアと、当該吸収コアを、肌側及び/又は非肌側から覆うコアラップとを備える吸収体として配置されることができる。上記コアラップとしては、当技術分野で公知のもの、例えば、ティッシュ、不織布(例えば、スパンボンド不織布、SMS不織布、スパンレース不織布等)等が挙げられる。
上記吸収コアは、その製法は特に制限されないが、例えば、一体成形されたものが挙げられる。
【0116】
上記パルプ繊維としては、当技術分野で公知のものが特に制限なく採用され、例えば、木材パルプ繊維及び非木材パルプ繊維が挙げられる。上記木材パルプ繊維としては、例えば、針葉樹パルプ繊維及び広葉樹パルプ繊維が挙げられる。上記非木材パルプ繊維としては、例えば、ワラパルプ繊維、バガスパルプ繊維、ヨシパルプ繊維、ケナフパルプ繊維、クワパルプ繊維、竹パルプ繊維、麻パルプ繊維、綿パルプ繊維(例えば、コットンリンター繊維)等が挙げられる。
【0117】
上記高吸収性ポリマー粒子としては、当技術分野で公知のものが特に制限なく採用され、そして、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸収性ポリマー粒子;デンプン-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等のデンプン系又はセルロース系の高吸収性ポリマー粒子等が挙げられる。
【0118】
本開示に係る吸収コアは、当技術分野で公知の他の資材、例えば、パルプ繊維以外の繊維、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維等をさらに含むことができる。上記天然繊維としては、再生セルロース繊維が挙げられる。上記再生セルロース繊維としては、レーヨン繊維、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン、ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン繊維(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル及びテンセル等が挙げられる。上記半合成繊維としては、半合成セルロース繊維、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート繊維及びジアセテート繊維が挙げられる。
【0119】
本開示に係る吸収コアがパルプ繊維を含む場合には、上記吸収コアは、パルプ繊維を、好ましくは50~400g/m2、そしてより好ましくは100~350g/m2の坪量で含む。また、本開示に係る吸収コアが高吸収性ポリマー粒子を含む場合には、上記吸収コアは、高吸収性ポリマー粒子を、好ましくは50~400g/m2、そしてより好ましくは100~350g/m2の坪量で含む。本開示の観点からである。
【0120】
本開示では、吸収コア及び高吸水性ポリマー粒子の坪量は、以下の通り測定される。
(1)吸収性物品から吸収コアを当技術分野で公知の方法により取り出し、所定のサイズ(例えば、5cm×5cm)のサンプルAを切り出し、100℃以上の雰囲気にて乾燥した後に、サンプルAの質量:mA(g)と、サンプルAの面積:SA(m2)を測定する。
(2)サンプルAの坪量:bsA(g/m2)を次の式:
bsA(g/m2)=mA/SA
により算出する。
【0121】
(3)同様の測定を計10回繰り返し、10個のサンプルAの坪量:bsA(g/m2)の平均を、吸収コアの坪量:BSA(g/m2)とする。
(4)吸収コアから所定のサイズ(例えば、4mm×4mm)のサンプルBを切り出し、、100℃以上の雰囲気にて乾燥した後に、サンプルBの質量:mB(g)を測定する。
(5)サンプルBに含まれるパルプ繊維と、高吸収性ポリマー粒子とを選別し、パルプ繊維の質量:mpf(g)と、高吸収性ポリマー粒子のmsap(g)とを測定する。
【0122】
(6)サンプルB中のパルプ繊維の坪量:bspf(g/m2)を、次の式:
bspf(g/m2)=BSA×mpf/mB
により算出する。
(7)同様の測定を計10回繰り返し、10個のパルプ繊維の坪量:bspf(g/m2)の平均を、パルプ繊維の坪量:BSpf(g/m2)とする。
(8)サンプルB中の高吸収性ポリマー粒子の坪量:bssap(g/m2)を、次の式:
bssap(g/m2)=BSA×msap/mB
により算出する。
(9)同様の測定を計10回繰り返し、10個の高吸収性ポリマー粒子の坪量:bssap(g/m2)の平均を、高吸収性ポリマー粒子の坪量:BSsap(g/m2)とする。
【0123】
本開示に係る吸収性物品では、吸収コアは、上記幅方向中心線により、質量が相対的に小さい第1吸収コア部分と、質量が相対的に大きい第2吸収コア部分(すなわち、第1吸収コア部分よりも質量が大きい第2吸収コア部分)とに区画される。
【0124】
本開示に係る吸収性物品では、第2吸収コア部分は、好ましくは1~60質量%、より好ましくは5~50質量%、そしてさらに好ましくは15~45質量%の比率で、第1吸収コア部分よりも質量が大きい。それにより、体液(例えば、尿)が吸収コアに到達した際に、縦溝の幅広部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に大きい第2吸収コア部分に相対的に拡散させやすくなるとともに、縦溝の幅狭部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に小さい第1吸収コア部分に相対的に拡散させにくくなる。
【0125】
本明細書では、第1吸収コア部分の質量と、第2吸収コア部分の質量とは、吸収性物品から、当技術分野で公知の方法によって吸収コアを取り出し、第1吸収コア部分の質量と、第2吸収コア部分の質量とを直接測定することによって、比較することができる。
【0126】
第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分は、それぞれ、吸収性物品の前方及び後方に配置されることができる。それにより、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、着用者の鼠径部に違和感を覚えさせにくくなる。
また、第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分は、それぞれ、吸収性物品の後方及び前方に配置されることができる。それにより、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、着用者の臀部に違和感を覚えさせにくくなる。
【0127】
本開示に係る吸収性物品では、吸収コアは、上記幅方向中心線を跨いで、第1吸収コア部分から第2吸収コア部分に連続して配置されている、長手方向に沿う方向に延びている縦溝を備えている。
上記縦溝は、1本であっても、複数本であってもよい。上記縦溝は、上述の長手方向中心線を基準として線対称に配置されることができる。
上記縦溝は、吸収コアの肌側面及び非肌側面のいずれに配置されてもよい。本開示の効果の観点からである。
【0128】
上記縦溝は、上記幅方向に沿った方向に延びている一又は複数の横溝をさらに備えていてもよい。主溝である上記縦溝が、従溝である横溝をさらに備えることにより、体液を幅方向に拡散させることができる。
従溝である横溝の幅(吸収性物品の長手方向における長さ)は、主溝である縦溝の幅(吸収性物品の幅方向における長さ)よりも、幅が狭いことが好ましい。体液を長手方向に拡散させるためである。
【0129】
なお、上記横溝は、末端を有する横溝(他の縦溝に接続していない横溝)であることができ、そして上記横溝は、末端を有せず、複数の縦溝を連結するものであってもよいが、末端を有する横溝であることが好ましい。体液を長手方向に優先的に拡散させるためである。
【0130】
なお、上記縦溝が上記横溝を備えていることは、上記縦溝が第1吸収コア部分から第2吸収コア部分に連続して配置されていることには影響しない。上記縦溝が横溝をさらに備えていても、上記縦溝が、吸収性物品が吸収した体液を縦溝に沿って長手方向に流すことができることに変わりはないためである。
【0131】
上記縦溝は、第1吸収コア部分に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分と、第2吸収コア部分に配置された、相対的に幅の広い幅広部分(すなわち、幅狭部分よりも幅が広い幅広部分)と備えている。それにより、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コアが厚くなりにくくなる。
【0132】
なお、上記幅狭部分及び幅広部分のそれぞれの幅は、縦溝の幅と同様に、上記幅方向における長さを意味する。
本開示に係る吸収コアが、複数の縦溝を備えている場合には、複数の縦溝のうちの一部の縦溝が上記幅狭部分及び幅広部分を備えていればよい。本開示の効果の観点からである。
【0133】
上記幅広部分は、好ましくは4.0~8.0mm、より好ましくは4.5~7.5mm、そしてさらに好ましくは5.0~7.0mmの幅を有する。上記幅狭部分は、上記幅広部分よりも小さな幅を有することを前提として、好ましくは2.0~6.0mm、より好ましくは2.5~5.5mm、そしてさらに好ましくは3.0~6.0mmの幅を有する。また、上記幅広部分は、上記幅狭部分よりも大きな幅を有し、好ましくは1.0~3.0mm、より好ましくは1.3~2.7mm、そしてさらに好ましくは1.5~2.5mmの大きさで上記幅狭部分よりも大きな幅を有する。それにより、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コアが厚くなりにくくなる。
【0134】
本開示では、縦溝(上記幅狭部分及び幅広部分)の幅は、以下の通り測定される。
(1)吸収性物品を液体窒素に含浸させて凍結させた後、剃刀等を用いて、吸収性物品を、縦溝を通る複数箇所でカットし、複数の断面サンプルを得る。なお、上記複数の断面サンプルは、幅方向且つ厚さ方向に形成する。
(2)複数の断面サンプルを常温に戻し、電子顕微鏡(例えば、キーエンス社VE7800)を用いて、50倍の倍率の断面画像を得る。そして当該複数の断面画像から、表面(肌側面又は非肌側面)における縦溝の幅を求める。
(3)10個のサンプルにおける縦溝の幅の平均値を、縦溝の幅として採用する。
(4)所望による横溝についても、上記吸収性物品を、横溝を通る複数箇所で、複数の断面サンプル(長手方向且つ厚さ方向に形成する)を得る以外は、同様に測定する。
【0135】
上記縦溝の上記幅狭部分と、上記縦溝の上記幅広部分とは、同一の深さ(吸収性物品の厚さ方向の深さ)を備えていることができる。それにより、本願発明に係る効果を発揮しやすくなる。
また、上記縦溝の上記幅狭部分と、上記縦溝の上記幅広部分とは、幅広部分の深さが、幅狭部分の深さよりも深くともよい。それにより、本願発明に係る効果をより発揮しやすくなる。
【0136】
吸収性物品は、着用者の排泄口が当接する排泄口当接域を備えているとともに、吸収コアは、上記排泄口当接域に相当する排泄口当接域相当域を備えている。なお、上記排泄口当接域相当域は、上記排泄口当接域と、吸収性物品の厚さ方向に完全に重複している。
【0137】
上記縦溝において、上記幅狭部分及び幅広部分は、排泄口当接域相当域を介して連結していれば、直接連結していなくともよい。着用者の排泄口から排泄された体液は、吸収性物品の上記排泄口当接域から吸収コアの排泄口当接域相当域に到達するため、上記幅狭部分及び幅広部分が排泄口当接域相当域を介して連結していれば、本開示の効果を発揮することができるからである。
【0138】
本開示に係る縦溝において、上記幅狭部分及び幅広部分が排泄口当接域相当域を介して連結している場合には、上記縦溝は、排泄口当接域相当域において、上記幅狭部分よりも幅が狭くともよく、上記幅狭部分よりも幅が広く且つ上記幅広部分よりも幅が狭くともよく、そして上記幅広部分よりも幅が広くともよい。
【0139】
本開示に係る吸収コアでは、上記縦溝において、上記幅狭部分と、上記幅広部分とが直接連結されている連結部を有することが好ましい。それにより、上記吸収性物品は、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コアが厚くなりにくくなる。
【0140】
本開示に係る吸収コアにおいて、上記幅狭部分及び上記幅広部分が上記連結点を有する場合には、上記連結点は、第1吸収コア第3部分、幅方向中心線又は第2吸収コア第1部分に存在することが好ましい。それにより、上記吸収性物品が体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コアが厚くなりにくい。
【0141】
なお、上記縦溝が横溝をさらに備えている場合において、当該横溝の前方及び後方において、縦溝の幅が変化する(すなわち、横溝の前方又は後方に幅狭部分が存在し、且つ横溝の後方又は前方に幅広部分が存在する)ときには、横溝の長手方向の中央にて、幅狭部分及び幅広部分がスタートするものとする。
【0142】
本開示に係る吸収コアでは、上記吸収コアが、第2吸収コア部分において、上記縦溝の上記幅広部分が、上記吸収コアの端部に近づくほど、上記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えていることができる。それにより、第2吸収コア部分が、体液を第2吸収コア部分の幅方向の外側に拡散させやすくなり、第2吸収コア部分の全体で体液を吸収しやすくなる。
【0143】
本開示に係る吸収コアでは、上記吸収コアが、第1吸収コア部分において、上記縦溝の上記幅狭部分が、上記吸収コアの端部に近づくほど、上記長手方向中心線から遠ざかるように配置されている領域を備えていることができる。それにより、第1吸収コア部分が、体液を第1吸収コア部分の幅方向の外側に拡散させやすくなり、第1吸収コア部分の全体で体液を吸収しやすくなる。
【0144】
上記幅狭部分は、上述の第1吸収コア第3部分に少なくとも配置されている。それにより、縦溝の幅狭部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に小さい第1吸収コア部分に相対的に拡散させにくくなる。
また、上記観点から、上記幅狭部分は、第1吸収コア第1部分側の端部が、第1吸収コア第1部分、第1吸収コア第2部分又は第1吸収コア第3部分に配置されることができる。また、上記幅狭部分は、第2吸収コア第3部分側の端部が、第1吸収コア第3部分又は第2吸収コア第1部分に配置されることができる。
【0145】
上記観点から、上記幅狭部分は、例えば、第1吸収コア第3部分のみに配置されることができ、第2吸収コア第1部分から第1吸収コア第3部分まで配置されることができ、第1吸収コア第3部分から第1吸収コア第2部分まで配置されることができ、そして第1吸収コア第3部分から、第1吸収コア第2部分を介して第1吸収コア第1部分まで配置されることができる。
【0146】
上記幅狭部分は、第1吸収コア第3部分の長手方向における長さの、好ましくは5%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上、さらにいっそう好ましくは70%以上、そしてさらにいっそう好ましくは100%以上の長手方向における長さを有する。また、上記幅狭部分は、第1吸収コア第3部分の長手方向における長さの、好ましくは300%以下、より好ましくは250%以下、さらに好ましくは200%以下、そしてさらにいっそう好ましくは150%以下の長手方向における長さを有する。それにより、縦溝の幅狭部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に小さい第1吸収コア部分に一定程度拡散させつつも、第2吸収コア部分よりも相対的に拡散させにくくすることができる。
【0147】
上記幅広部分は、上述の第2吸収コア第1部分に少なくとも配置されている。それにより、縦溝の幅広部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に大きい第2吸収コア部分に相対的に拡散させやすくなる。
また、上記観点から、上記幅広部分は、第1吸収コア第1部分側の端部が、第1吸収コア第3部分又は第2吸収コア第1部分に配置されることができる。また、上記幅広部分は、第2吸収コア第3部分側の端部が、第2吸収コア第1部分、第2吸収コア第2部分又は第2吸収コア第3部分に配置されることができる。
【0148】
上記観点から、上記幅広部分は、例えば、第2吸収コア第1部分のみに配置されることができ、第1吸収コア第3部分から第2吸収コア第1部分まで配置されることができ、第2吸収コア第1部分から第2吸収コア第2部分まで配置されることができ、そして第2吸収コア第1部分から、第2吸収コア第2部分を介して第2吸収コア第3部分まで配置されることができる。
【0149】
上記幅広部分は、第2吸収コア第1部分の長手方向における長さの、好ましくは5%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上、さらにいっそう好ましくは70%以上、そしてさらにいっそう好ましくは100%以上の長手方向における長さを有する。また、上記幅広部分は、第2吸収コア第1部分の長手方向における長さの、好ましくは300%以下、より好ましくは250%以下、さらに好ましくは200%以下、そしてさらにいっそう好ましくは150%以下の長手方向における長さを有する。それにより、縦溝の幅広部分が、体液を、吸収コアの質量が相対的に大きい第2吸収コア部分に相対的に拡散させやすくなる。
【0150】
上記吸収コアは、当技術分野で通常採用される外形形状を有することができ、例えば、矩形形状、一対のくびれ部分を有する砂時計形状であることができる。
上記吸収コアが一対のくびれ部分を備えている砂時計形状を有する場合には、一対のくびれ部分は、第1吸収コア部分に配置されていることが好ましい。それにより、上記吸収性物品が、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収速度に優れるとともに、吸収コア、特に、一対のくびれ部分が厚くなりにくくなる。
【0151】
本開示に係る吸収性物品では、吸収コアがパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む場合に、上記吸収コアの、上記肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度が、上記吸収コアの、上記非肌側面における高吸水性ポリマーの平均密度よりも高いことが好ましい。それにより、上記吸収性物品が、体液を繰り返し吸収した場合に、吸収コアが、体液を非肌側面側で拡散させることができ、体液の拡散性に優れるとともに、肌側面側における遊離水を減少させやすいため、着用者にドライ感を覚えさせやすい。
なお、上記平均密度の関係は、吸収性物品の厚さ方向において、上記吸収コアの縦溝が存在しない領域において満たすことが好ましい。
【0152】
本開示では、高吸水性ポリマーの平均密度の高低は、例えば、以下の通り評価することができる。
吸収性物品を液体窒素に含浸させて凍結させた後、剃刀等を用いて、吸収性物品を厚さ方向にカットし、縦溝が延びている方向と交差する面における断面のサンプルを得る。次いで、当該サンプルを常温に戻し、電子顕微鏡(例えば、キーエンス社VE7800)を用いて、50倍の倍率の断面画像を得る。そして当該断面画像において、高吸収性ポリマー粒子の平均密度の高低を目視により評価する。
【0153】
本開示の別の開示(以下、「第2開示」と称する場合がある)に係る吸収性物品では、吸収コアが、上述の第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分による区画に代わって、前側吸収コア部分及び後側吸収コア部分により区画されることができる。上記前側吸収コア部分は、上記幅方向中心線により吸収性物品の前側に配置されており、質量が後側吸収コア部分よりも相対的に大きい。上記後側吸収コア部分は、上記幅方向中心線により吸収性物品の後側に配置されており、質量が前側吸収コア部分よりも相対的に小さい。
【0154】
第2開示では、上記吸収コアは、上記幅方向中心線を跨いで、上記前側吸収コア部分から上記後側吸収コア部分に連続して配置されている、上記長手方向に延びている縦溝を備えており、上記縦溝は、上記前側吸収コア部分に配置された、相対的に幅の狭い幅狭部分と、上記後側吸収コア部分に配置された、相対的に幅の広い幅広部分と備えている。それにより、上記吸収性物品は、吸収コアが厚くなりにくく、着用感が悪化しにくいとともに、体液を繰り返し吸収する場合であっても、吸収速度に優れる。
【0155】
なお、第2開示において、前側吸収コア部分及び後側吸収コア部分以外については、第1開示と同様である、特に、第2開示における幅狭部分及び幅広部分は、それぞれ、第1開示における幅狭部分及び幅広部分と同様の好ましい範囲を有することから、説明を省略する。なお、第1開示において、第1吸収コア部分及び第2吸収コア部分は、それぞれ、前側吸収コア部分及び後側吸収コア部分と読み替えることができる。
【0156】
本開示に係る吸収性物品、特に吸収コアは、特許文献1の開示等に基づいて製造することができる。
【0157】
[実施例]
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
図3に示される吸収コアNo.1を、特許文献1を参照して製造し、吸収コアNo.1を備える使い捨ておむつNo.1を製造した。
吸収コアNo.1は、平均坪量:580g/m2(パルプ繊維:300g/m2,高吸水性ポリマー:280g/m2)であり、第1吸収コア部分の質量:13.8g、第2吸収コア部分の質量:18.5gを有していた。
31a=W31c=W35a=W35c=4.0mmであり、W31b=W35b=6.0mmであった。
使い捨ておむつNo.1の厚さは、長手方向中心線及び幅方向中心線の交点を中心として、尾崎製作所株式会社製のピーコックダイヤルゲージを用いて測定したところ、3.5mmであった。
【0158】
[比較製造例1]
31b=W35b=4.0mmとした以外は、製造例1と同様にして、吸収コアNo.2を備える使い捨ておむつNo.2を製造した。
【0159】
[製造例2]
図8に示される吸収コアNo.3を、特許文献1を参照して製造し、吸収コアNo.3を備える使い捨ておむつNo.3を製造した。
吸収コアNo.3は、平均坪量:540g/m2(パルプ繊維:300g/m2,高吸水性ポリマー:240g/m2)であり、第1吸収コア部分の質量:10.1g、第2吸収コア部分の質量:7.9gを有していた。
505a=W507a=4.0mmであり、W505b=W507b=6.0mmであった。
使い捨ておむつNo.2の厚さは、長手方向中心線及び幅方向中心線の交点を中心として、尾崎製作所株式会社製のピーコックダイヤルゲージで測定したところ、3.0mmであった。
【0160】
[比較製造例2]
505b=W507b=4.0mmとした以外は、製造例2と同様にして、吸収コアNo.4を備える使い捨ておむつNo.4を製造した。
【0161】
[実施例1及び比較例1,並びに実施例2及び比較例2]
使い捨ておむつNo.1~No.4に、以下に規定する吸収性試験を行い、吸収時間を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0162】
[吸収性試験]
(1)使い捨ておむつを、側面視が略U字型であるU字器具にセットする。なお、使い捨ておむつは、U字器具に、使い捨ておむつの長手方向中心線と、U字器具中央部(最も高さが低い位置)との位置を合わせるようにセットする。
【0163】
<第1サイクル>
(2)吸収体の中央位置に、ビュレットから、120mL(又は80mL)の人工尿(1回目)を、100mL/10秒の速度で注入する。
(3)1回目の人工尿の注入開始から、液透過性シート上の人工尿がなくなるまでの時間を、吸収時間(120mL又は80mL)として記録する。
(4)1回目の人工尿の注入開始から3分後、吸収体の長手方向の中央位置から、腹側及び背側の人工尿の拡散長(120mL又は80mL)を、液透過性シート(TS)側及び液不透過性シート(BS)側の両面から記録する。
【0164】
<第2サイクル>
(5)1回目の人工尿の注入開始から10分後、吸収体の中央位置に、ビュレットから、120mL(又は80mL)の人工尿(2回目)を、100mL/10秒の速度で注入する。
(6)2回目の人工尿の注入開始から、液透過性シート上の人工尿がなくなるまでの時間を、吸収時間(240mL又は160mL)として記録する。
(7)2回目の人工尿の注入開始から3分後、吸収体の長手方向の中央位置から、腹側及び背側の人工尿の拡散長(240mL又は160mL)を、液透過性シート(TS)側及び液不透過性シート(BS)側の両面から記録する。
(8)2回目の人工尿の注入開始から4分後、使い捨ておむつNo.1の厚さを、尾崎製作所株式会社製のピーコックダイヤルゲージを用いて、その長手方向中心線及び幅方向中心線の交点を中心として測定する。
【0165】
<第3サイクル>
(9)2回目の人工尿の注入開始から10分後、吸収体の中央位置に、ビュレットから、120mL(又は80mL)の人工尿(3回目)を、100mL/10秒の速度で注入する。
(10)3回目の人工尿の注入開始から、液透過性シート上の人工尿がなくなるまでの時間を、吸収時間(360mL又は240mL)として記録する。
(11)3回目の人工尿の注入開始から3分後、吸収体の長手方向の中央位置から、腹側及び背側の人工尿の拡散長(360mL又は240mL)を、液透過性シート(TS)側及び液不透過性シート(BS)側の両面から記録する。
【0166】
(12)3回目の人工尿の注入開始から4分後、使い捨ておむつをU字器具から外して、水平面上に拡げた状態で静置し、3回目の人工尿の注入開始から5分後に、100mm×100mmのろ紙約75gを、人工尿注入点を中心として使い捨ておむつの液透過性シート上に静置する。さらに、その上に3.5kg、100mm×100mm×50mm(高さ)の錘を静置する。なお、ろ紙については事前に試験前の質量を測定する。
(13)3回目の人工尿の注入開始から8分後、錘を取り除いて、ろ紙の質量を測定し、試験前のろ紙の質量を差し引き、その差分をリウェット(g)とする。
【0167】
なお、人工尿は、イオン交換水10Lに、尿素200g、塩化ナトリウム80g、硫酸マグネシウム8g、塩化カルシウム3g及び色素:青色1号約1gを溶解させることにより調製した。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【符号の説明】
【0170】
1 使い捨ておむつ
3 液透過性シート
5 液不透過性シート
7 吸収体
9 吸収コア
11 肌側面
13 非肌側面
15 コアラップ
17 パルプ繊維
19 高吸水性ポリマー
21 第1吸収コア部分
23 第2吸収コア部分
31 右縦溝
33 中央縦溝
35 左縦溝
L 長手方向
W 幅方向
T 厚さ方向
FD 前方
RD 後方
LC 長手方向中心線
WC 幅方向中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8