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特開2024-58581撮像システム、撮像装置および撮像方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058581
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】撮像システム、撮像装置および撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4914 20200101AFI20240418BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20240418BHJP
   H04N 25/705 20230101ALI20240418BHJP
【FI】
G01S7/4914
G01S17/894
H04N25/705
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134288
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2022164992
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 洋義
【テーマコード(参考)】
5C024
5J084
【Fターム(参考)】
5C024CY17
5C024EX12
5C024GY31
5J084AA05
5J084AD01
5J084AD02
5J084BA01
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA07
5J084CA10
5J084CA20
5J084DA08
5J084EA04
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】距離の算出精度の低下を抑制するための複数の位相画像に対する処理を実現することができる撮像システム、撮像装置および撮像方法を提供する。
【解決手段】入力された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算部を有し、入力された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、第1の位相画像の数は、第2の位相画像の数よりも多く、加算部は、少なくとも複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の第1の位相画像間の動き量を導出し、動き量に基づいて、同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、加算処理により複数の位相毎に加算位相画像を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の前記位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算部を有し、
前記入力された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、前記第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、
前記第1の位相画像の数は、前記第2の位相画像の数よりも多く、
前記加算部は、少なくとも前記複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の前記第1の位相画像間の動き量を導出し、前記動き量に基づいて、該同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、前記加算処理により複数の位相毎に前記加算位相画像を生成する撮像システム。
【請求項2】
前記複数の第1の位相画像は、第1の期間に撮像され、
前記1以上の第2の位相画像は、前記第1の期間とは異なる第2の期間で撮像され、
前記加算部は、前記第1の期間に撮像された前記複数の第1の位相画像のうち、該第1の期間の中央よりも前記第2の期間に近い期間に撮像された前記第1の位相画像を第1の基準位相画像として選択し、前記第1の基準位相画像を用いて前記動き量を導出する請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記第1の期間は、時間的に離間した複数の期間を含む請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記入力された複数の位相画像は、前記第1の期間および前記第2の期間と異なる第3の期間に、前記第1の条件および前記第2の条件と異なる第3の条件で撮像された複数の第3の位相画像と、をさらに含み、
前記第2の期間は、前記第1の期間と前記第3の期間との間であり、
前記加算部は、前記第3の期間に撮像された前記複数の第3の位相画像のうち、前記第3の期間の中央よりも前記第2の期間に近い期間に撮像された前記第3の位相画像を第2の基準位相画像として選択し、前記第2の基準位相画像を用いて前記動き量を導出する請求項2に記載の撮像システム。
【請求項5】
照射光を照射する光源と、前記照射光が対象物で反射した反射光を受光し受光信号を出力する受光センサと、を備える撮像部と、
前記複数の位相で前記複数の位相画像を撮像するように前記撮像部を制御する撮像制御部と、
をさらに有する請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項6】
外部からの入力を受け付ける入力部を、さらに備え、
前記加算部は、前記入力部による入力に基づいて前記複数の第1の位相画像から選択された基準位相画像を用いて、前記動き量を導出する請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記複数の位相毎の前記加算位相画像に基づいて、対象物までの距離を算出する距離計測部を、さらに備えた請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記距離計測部は、前記複数の位相毎の前記加算位相画像に基づいて、前記対象物までの距離を示す距離画像を生成し、
前記距離画像を表示装置に表示させる表示制御部を、さらに備えた請求項7に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記加算部は、前記補正をせずに前記加算処理により前記加算位相画像をさらに生成し、
前記距離計測部は、前記補正をせずに前記加算処理により生成された前記加算位相画像に基づいて第1の距離画像を生成し、前記補正後における前記加算処理により生成された前記加算位相画像に基づいて第2の距離画像を生成し、
前記表示制御部は、前記第1の距離画像および前記第2の距離画像を前記表示装置に表示させる請求項8に記載の撮像システム。
【請求項10】
光源から照射された照射光が対象物で反射した反射光を受光して撮像する撮像部と、
前記反射光を受光して複数の位相毎に複数の位相画像を撮像するように前記撮像部を制御する撮像制御部と、
前記撮像部により撮像された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の前記位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算部と、
を備え、
前記撮像された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、前記第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、
前記第1の位相画像の数は、前記第2の位相画像の数よりも多く、
前記加算部は、少なくとも前記複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の前記第1の位相画像間の動き量を導出し、前記動き量に基づいて、該同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、前記加算処理により複数の位相毎に前記加算位相画像を生成する撮像装置。
【請求項11】
撮像部が、光源から照射された照射光が対象物で反射した反射光を受光して撮像する撮像ステップと、
撮像制御部が、前記反射光を受光して複数の位相毎に複数の位相画像を撮像するように前記撮像部を制御する撮像制御ステップと、
加算部が、前記撮像部により撮像された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の前記位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算ステップと、
を有し、
前記撮像された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、前記第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、
前記第1の位相画像の数は、前記第2の位相画像の数よりも多く、
前記加算ステップで、前記加算部は、少なくとも前記複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の前記第1の位相画像間の動き量を導出し、前記動き量に基づいて、該同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、前記加算処理により複数の位相毎に前記加算位相画像を生成する撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システム、撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物との距離を計測するために、強度変調した参照光を照射し、対象物で反射して受光することにより、距離取得用の4種類の位相をずらした位相画像を取得して、1つの距離画像を換算して生成する間接TOF(Time оf Flight)方式が知られている。例えば、主に建設現場または屋内空間をデータ取得しておき、クラウド等の後段処理で3D空間の復元データとして点群再現をすることができる。この場合、三脚等を使用すると、データを取得するだけで機材が嵩張ったり、撮影に時間を要したり、天井裏等の狭い空間では適用しにくい等の課題がある。そのため、ハンディで手軽にデータ取得できることが顧客価値である。
【0003】
このような距離計測装置として、光源部を発光させて撮像部で位相信号を取得し、取得した位相信号の格納部への格納を複数回繰り返し、複数回の位相信号から距離データを算出し距離画像を生成する距離計測装置が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、手ぶれまたは被写体ぶれによって複数の位相画像にずれが生じる結果、その複数の位相画像に基づいて生成される距離画像の品質が落ちてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、距離の算出精度の低下を抑制するための複数の位相画像に対する処理を実現することができる撮像システム、撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、入力された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の前記位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算部を有し、前記入力された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、前記第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、前記第1の位相画像の数は、前記第2の位相画像の数よりも多く、前記加算部は、少なくとも前記複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の前記第1の位相画像間の動き量を導出し、前記動き量に基づいて、該同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、前記加算処理により複数の位相毎に前記加算位相画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、距離の算出精度の低下を抑制するための複数の位相画像に対する処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る撮像システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る受光センサ内の画素の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る撮像システムにおいて照射光と反射光との遅延を説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る撮像システムの変調信号、照射光、反射光および転送信号の関係の一例を示す図である。
図5図5は、正弦波変調方式の測距原理を示す図である。
図6図6は、パルス変調方式の測距原理を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る撮像システムにおける各位相画像の撮像タイミングの一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る撮像システムにおける各位相画像の撮像タイミングの別の例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る撮像システムにおける各位相画像の撮像タイミングの別の例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の別の例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の別の例を示す図である。
図13図13は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の別の例を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る撮像システムのブレ補正前後の位相画像の一例を示す図である。
図15図15は、実施形態に係る撮像システムのブレ補正前後の距離画像の表示例を示す図である。
図16図16は、変形例に係る撮像システムの概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る撮像システム、撮像装置および撮像方法の実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
また、コンピュータソフトウェアとは、コンピュータの動作に関するプログラム、その他コンピュータによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう(以下、コンピュータソフトウェアは、ソフトウェアという)。アプリケーションソフトとは、ソフトウェアの分類のうち、特定の作業を行うために使用されるソフトウェアの総称である。一方、オペレーティングシステム(OS)とは、コンピュータを制御し、アプリケーションソフト等がコンピュータ資源を利用可能にするためのソフトウェアのことである。オペレーティングシステムは、入出力の制御、メモリやハードディスク等のハードウェアの管理、プロセスの管理といった、コンピュータの基本的な管理・制御を行っている。アプリケーションソフトウェアは、オペレーティングシステムが提供する機能を利用して動作する。プログラムとは、コンピュータに対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう。また、プログラムに準ずるものとは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するという点でプログラムに類似する性質を有するものをいう。例えば、データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)がプログラムに準ずるものに該当する。
【0011】
(撮像システムの概略構成)
図1は、実施形態に係る撮像システムの概略構成の一例を示す図である。図2は、実施形態に係る受光センサ内の画素の構成の一例を示す図である。図3は、実施形態に係る撮像システムにおいて照射光と反射光との遅延を説明する図である。図4は、実施形態に係る撮像システムの変調信号、照射光、反射光および転送信号の関係の一例を示す図である。図1図4を参照しながら、本実施形態に係る撮像システム1の概略構成および概略動作について説明する。
【0012】
図1(a)および図1(b)に示す撮像システム1は、TOF方式を用いて、被写体である測定対象物3までの距離を測定するシステムである。撮像システム1は、図1(a)に示すように、位相画像撮像装置5と、画像処理装置6と、を含む。位相画像撮像装置5は、投光部10と、受光センサ11(撮像部)と、撮像制御部12と、を備えている。画像処理装置6は、加算・補正部13(加算部)と、距離演算部14(距離計測部)と、表示制御部15と、を備えている。なお、撮像システム1の構成は、図1に示した構成に限定されるものではなく、例えば、画像処理装置6の処理部の一部が位相画像撮像装置5に含まれるものとしてもよく、位相画像撮像装置5の処理部の一部が画像処理装置6に含まれるものとしてもよい。また、撮像システム1は、位相画像撮像装置5および画像処理装置6に含まれる処理部が、3つ以上の装置に振り分けられた構成であってもよい。また、撮像システム1が1つの装置(撮像装置)として構成されるものとしてもよい。また、画像処理装置6は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置、またはクラウド上のシステムであってもよい。また、画像処理装置6は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのICであるFPGAやASIC等を有する。
【0013】
投光部10は、測定対象物3に向けてパルス光(照射光Le)を発光する装置である。投光部10は、光源21と、駆動回路22と、を備えている。
【0014】
光源21は、測定対象物3に向けてパルス光を発光する光源である。
【0015】
駆動回路22は、光源21を駆動する回路である。駆動回路22は、撮像制御部12から変調信号を入力すると、当該変調信号に応じた電流を光源21に流す。これによって、変調されたパルス光が光源21から測定対象物3に向けて照射される。
【0016】
受光センサ11は、投光部10から照射された照射光Leが測定対象物3で反射された反射光Lrを受光するセンサである。図3に照射光Leをサイン波として表される場合の、反射光Lrの状態の一例を示している。図3に示すように、照射光Leの周期をTpとすると、照射光Leが測定対象物3で反射した反射光Lrは、照射光Leよりも遅延時間Tdだけ遅延した周期Tpの光として受光センサ11により受光される。
【0017】
また、受光センサ11は、反射光Lrを受光する複数の画素を有する。複数の画素は、例えば、二次元に配列されたエリアセンサであってもよい。各画素は、例えば、図2に示すように、PD(Photodiode)103と、変調スイッチ104a、104bと、蓄電部105a、105bと、を有する。
【0018】
PD103は、光を検出(受光)すると電流が一定方向に流すダイオード部品である。
【0019】
変調スイッチ104a、104bは、例えばMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタまたはトランスファゲート等のMOS型のデバイス、またはCCD(Charge-Coupled Device)構造のデバイス等で構成されるスイッチング素子である。変調スイッチ104a、104bは、撮像制御部12からの転送信号によりオンオフ動作を行う。
【0020】
蓄電部105a、105bは、例えばMOS、CCD、MIM(Metal Insulator Metal)等の容量素子、配線、PN接合の寄生容量等の蓄電素子である。蓄積部105a、105bは、互いに独立して電荷蓄積動作を行うように構成されている。蓄積部105a、105bは、それぞれ、PD103により受光された光に応じて光電変換で発生した電荷を蓄積する。
【0021】
受光センサ11は、画素ごとに、電荷を2箇所(蓄電部105a、105b)に振り分ける画素構造になっている。この画素構造は、例えば1度の受光期間に、0°の位相成分と180°の位相成分とに信号を振り分けることを可能にする。原理的には、画素ごとに、3箇所以上に振り分ける画素構造にして、1度の受光で3以上の位相成分に振り分けることも可能である。各画素は、測定対象物3から反射された反射光Lrを受光する。各画素は、撮像制御部12からの転送信号(後述する図4に示す転送信号TRA、TRB)に従って、電荷蓄積動作を行う。
【0022】
買体的には、受光センサ11は、後述する図4に示す転送信号TRAがアクティブレベル(例えばHレベル)の期間において、各画素の変調スイッチ104aを導通させることにより蓄電部105aに電荷を蓄積させる。また、受光センサ11は、後述する図4に示す転送信号TRBがアクティブレベル(例えばHレベル)の期間において、各画素の変調スイッチ104bを導通させることにより蓄電部105bに電荷を蓄積させる。
【0023】
また、受光センサ11は、撮像制御部12から受光データ出力指示信号を受信すると、各画素の蓄電部105a、105bに蓄積された蓄積電荷量A、Bを電圧に変換した信号をそれぞれA/D変換して、受光データLRA、LRBを生成し、加算・補正部13へ出力する。
【0024】
撮像制御部12は、変調信号のパルスを繰り返し生成して投光部10へ出力して照射光Leの照射動作を制御し、それと共に、転送信号のパルスを繰り返し生成して、受光センサ11による反射光Lrの受光動作を制御する制御回路である。具体的には、撮像制御部12は、転送信号TRAのパルスを繰り返し生成して、受光センサ11の変調スイッチ104aにオンオフ動作させ、蓄電部105aに電荷を蓄積させる。また、撮像制御部12は、転送信号TRBのパルスを繰り返し生成して、受光センサ11の変調スイッチ104bにオンオフ動作させ、蓄電部105bに電荷を蓄積させる。そして、所定の回数(所定のパルス数)の蓄電部105a、105bへの各電荷蓄積動作が繰り返された後、撮像制御部12は、変調信号、転送信号TRAおよび転送信号TRBの出力を停止させ、受光データ出力指示信号を受光センサ11へ出力し、受光センサ11から加算・補正部13へ受光データLRA、LRBを出力させる。または、撮像制御部12は、位相画像撮像装置5のRAM等の記憶部に受光センサ11からの受光データLRA、LRBを保存し、記憶部から加算・補正部13へ受光データLRA、LRBを出力させてもよい。また、図1(b)に示すように、位相画像撮像装置5は、撮像システム1とは別のPC(Personal Computer)等の情報処理装置7に受光データLRA、LRBを出力し、加算・補正部13は、情報処理装置7から受光データLRA、LRBを受信してもよい。
【0025】
加算・補正部13は、位相画像撮像装置5または情報処理装置7から出力された受光データLRA、LRBを位相信号として入力し、当該位相信号が受光センサ11の画素ごとに対応して構成された二次元の各位相の複数の位相画像について、手ぶれまたは被写体ぶれに対する補正(ブレ補正)を行い、同じ位相の複数の位相画像同士を加算処理して加算位相画像を生成する処理部である。加算・補正部13は、集積回路等のハードウェアによって実現されてもよく、または、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置によりプログラムが実行されることによって実現されるものとしてもよい。
【0026】
距離演算部14は、加算・補正部13により生成された加算位相画像に基づいて、測定対象物3等までの距離を示す距離画像を生成する処理部である。すなわち、距離演算部14は、距離画像を生成することにより測定対象物3等の距離を算出する。距離演算部14は、集積回路等のハードウェアによって実現されてもよく、または、CPU等の演算装置によりプログラムが実行されることによって実現されるものとしてもよい。なお、距離演算部14は、生成した距離画像から三次元空間の点群データを生成するものとしてもよい。また、距離演算部14は、生成した距離画像を表示制御部15へ出力する他、ネットワークI/F等を介して外部へ出力可能であるものとしてもよい。
【0027】
表示制御部15は、距離演算部14により生成された距離画像等を、図1に示す表示装置2に表示させる制御回路である。
【0028】
表示装置2は、表示制御部15による制御に従って、距離演算部14により生成された距離画像等を表示するディスプレイである。表示装置2は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)等によって実現される。
【0029】
なお、図1(a)に示す構成では、撮像システム1において、受光センサ11および撮像制御部12による撮像機能、加算・補正部13による補正・加算処理機能、距離演算部14による距離画像の生成処理機能、および表示制御部15による表示装置2への表示機能が実現されているがこれに限定されるものではない。例えば、図1(b)に示すように、撮像システム1とは別に情報処理装置7によって、撮像システム1の機能のうち一部の機能が実現されるものとしてもよい。例えば、上述の機能のうち、情報処理装置7により距離画像の生成処理機能が実現されてもよく、距離画像の生成処理機能および表示装置2への表示機能が実現されてもよく、または、表示装置2への表示機能のみが実現されてもよい。また、撮像システム1の機能のうち一部の機能が省略されてもよい。例えば、距離演算部14により生成された距離画像等を表示装置2に表示させる必要がない場合は、図1(b)に示すように、表示制御部15を備えなくてもよい。
【0030】
次に、図4を参照しながら、撮像システム1の動作の一例を説明する。図4に示すように、撮像制御部12は、パルス時間幅Twの変調信号を投光部10へ出力すると、投光部10は、当該変調信号に同期した照射光Leのパルスを測定対象物3へ向けて照射する。図4では、照射光Leの光波形の位相は、変調信号の位相からの遅れはないものとして示している。
【0031】
照射光Leが測定対象物3で反射されると、反射光Lrが受光センサ11で受光される。図4に示す反射光Lrの波形は、照射光Leの波形とほぼ同じ形状であり、各波形の周期およびデューティ比が略均等である。デューティ比は、例えば、略50%である。反射光Lrの波形は、照射光Leの波形より位相が遅延時間Tdだけ遅れた波形になっている。反射光Lrの波形は、照射光Leの照射タイミングから遅延時間Tdだけ遅れて受光センサ11に反射光Lrが入射されることを示している。遅延時間Tdは、照射光Leが投光部10から照射され、測定対象物3で反射して受光センサ11に戻ってくるまでの時間であり、測定対象物3までの距離によって変わる。つまり、遅延時間Tdが分かれば、光速cを用いて以下の式(1)によって測定対象物3までの距離Dを求めることができる。
【0032】
D=Td×c/2 ・・・(1)
【0033】
このとき、撮像制御部12から出力される転送信号TRAがHレベルの期間にの受光センサ11の各画素の変調スイッチ104aがオン動作(導通)することにより蓄電部105aに電荷が蓄積される。また、撮像制御部12から出力される転送信号TRBがHレベルの期間にの受光センサ11の各画素の変調スイッチ104bがオン動作(導通)することにより蓄電部105bに電荷が蓄積される。転送信号TRAは、照射光Leとほぼ同じタイミングでHレベルを維持し、パルス時間幅Tw後にHレベルからLレベルに遷移する。転送信号TRBは、転送信号TRAがLレベルになるのとほぼ同時にLレベルからHレベルに遷移し、その遷移のタイミングからパルス時間幅Tw経過後にHレベルからLレベルに遷移する。
【0034】
転送信号TRAがHレベルを維持する期間が蓄電部105aでの電荷の蓄積期間なので、図4にハッチングで示す期間に蓄電部105aにおいて、反射光Lrに応じた蓄積電荷量Aの電荷が蓄積される。同様に、転送信号TRBがHレベルを維持する期間が蓄電部105bでの電荷の蓄積期間なので、図4にハッチングで示す期間に蓄電部105bにおいて、反射光Lrに応じた蓄積電荷量Bの電荷が蓄積される。ここで、遅延時間Tdが0≦Td≦Twの範囲であれば、以下の式(2)に示す関係が成り立つ。
【0035】
Td/Tw=B/(A+B) ・・・(2)
【0036】
上述の式(1)および式(2)により、測定対象物3までの距離Dは、蓄電部105aにおける反射光Lrの蓄積電荷量A、および蓄電部105bにおける反射光Lrの蓄積電荷量Bから、以下の式(3)によって求めることができる。
【0037】
D=B/(A+B)×Tw×c/2 ・・・(3)
【0038】
(TOF方式の測距原理)
図5は、正弦波変調方式の測距原理を示す図である。図6は、パルス変調方式の測距原理を示す図である。図5および図6を参照しながら、TOF方式による測距原理のうち、正弦波変調方式およびパルス変調方式について説明する。
【0039】
正弦波変調方式とは、受信光(反射光)を3つ以上に時間的に分割して検出した各信号を用いて、反射光の遅延時間Tdを位相差角の演算で取得する方法である。例として、4位相式の正弦波変調方式について図5を用いて説明する。
【0040】
図5に示すように、正弦波変調方式のための1フレーム期間のうち、前半のサブフレーム期間が、0°および180°の位相信号を取得するためのフレーム期間であり、後半のサブフレーム期間が、90°および270°の位相信号を取得するためのフレーム期間である。
【0041】
リセット信号による各画素のリセットが完了した後、照射光が測定対象物に向けて周期的に照射され反射光が周期的に返ってくる。このとき、前半のサブフレーム期間では、画素の変調スイッチ104a、104bを転送信号TRA(0°)とそれから180°だけ位相がずれた転送信号TRB(180°)とで交互に所定回数オン動作させる。その後、読み出し信号により、時間的に0°、180°の位相に対応して蓄積された電荷量に応じた位相信号P0、P180が読み出されて取得される。
【0042】
続いて、後半のサブフレーム期間では、画素の変調スイッチ104a、104bを転送信号TRA(90°)とそれから180°だけ位相がずれた転送信号TRB(270°)とで交互に所定回数オン動作させる。その後、読み出し信号により、時間的に90°、270°の位相に対応し蓄積された電荷量に応じた信号信号P90、P270が読み出されて取得される。
【0043】
時間的に0°、90°、180°、270°の4つの位相に分割された位相信号P0、P90、P180、P270が取得されると、下記の式(4)を用いて位相差角Φが求められる。
【0044】
Φ=Arctan{(P90-P270)/(P0-P180)} ・・・(4)
【0045】
式(4)の位相差角Φを使って、照射光に対する反射光の遅延時間Tdが、以下の式(5)から求められる。
【0046】
Td=Φ/2π×T ・・・(5)
【0047】
式(5)において、照射光のパルス時間幅をTwとし、周期をTとすると、T=2Twである。
【0048】
位相差角Φの演算方法から、正弦波変調方式において測距性能を高める理想的な照射光の波形はサイン波形である。図2に示した受光センサ11の画素の構成のように、各画素に対し2箇所の電荷振分け先(蓄電部105a、105b)を持つ場合、最低2回の露光が必要になる。
【0049】
なお、上述の例では、各画素に対し2箇所の電荷振分け先を有するものとしたが、例えば4箇所で振り分ける画素構造、すなわち、変調スイッチおよび蓄電部の組み合わせが4組を有する構造であってもよい。この場合、4組の変調スイッチおよび蓄電部の組み合わせは、それぞれ位相0°、90°、180°、270°に対応し、1度の露光で遅延時間Tdおよび測定対象物までの距離Dの算出が可能となる。また、位相信号として読み出す位相は上述の4つの位相に限定されるものではなく、異なる数の位相の位相信号を読み出すものとしてもよい。
【0050】
パルス変調方式とは、受信光(反射光)を2つ以上に時間的に分割して検出した各信号を用いて、反射光の遅延時間Tdを求める方法である。例として、2位相式のパルス変調方式について図6を用いて説明する。
【0051】
図6に示すように、パルス変調方式のための1フレーム期間は、0°および180°の位相信号を取得するためのフレーム期間である。
【0052】
リセット信号による各画素のリセットが完了した後、照射光が測定対象物に向けて周期的に照射され反射光が周期的に返ってくる。このとき、1フレーム期間では、画素の変調スイッチ104a、104bを転送信号TRA(0°)とそれから180°ずれた転送信号TRB(180°)とで交互に所定回数オン動作させる。その後、読み出し信号により、時間的に0°、180°の位相に対応し蓄積された電荷量に応じた位相信号P0、P180が読み出されて取得される。
【0053】
時間的に0°、180°の2つの位相に分割された位相信号P0、P180が取得されると、以下の式(6)を用いて、照射光に対する反射光の遅延時間Tdを求めることができる。
【0054】
Td={P180/(P0+P180)}×Tw ・・・(6)
【0055】
遅延時間Tdの演算方法から、パルス変調方式において測距性能を高める理想的な照射光の波形は矩形波形である。
【0056】
(各位相画像の撮像タイミング)
図7は、実施形態に係る撮像システムにおける各位相画像の撮像タイミングの一例を示す図である。図8は、実施形態に係る撮像システムにおける各位相画像の撮像タイミングの別の例を示す図である。図9は、実施形態に係る撮像システムにおける各位相画像の撮像タイミングの別の例を示す図である。図7図9を参照しながら、本実施形態に係る撮像システム1における各位相画像の撮像タイミングについて説明する。なお、上述の図2では、変調スイッチおよび蓄電部の組み合わせが2組であるものとhして説明したが、上述のように、変調スイッチおよび蓄電部の組み合わせが4組を有する構造であるものとし、1フレーム期間で、0°、90°、180°、270°の4種の位相信号が取得できるものとし、例えば上述の正弦波変調方式により遅延時間Tdおよび距離Dを算出するものとする。また、この場合、各変調スイッチをオン動作させる撮像制御部12からの転送信号を総称して「転送信号TR」と称する。ここで、受光センサ11による位相信号の取得は、受光センサ11の画素ごとに対応して構成された二次元の「位相画像の撮像」と称する場合がある。
【0057】
撮像制御部12は、投光部10から照射される照射光(投光部10に出力する変調信号)に対して、0°、90°、180°、270°の各位相における転送信号TRを、対応する変調スイッチに次々に出力してオン動作させることにより、それぞれ対応する蓄電部に電荷が蓄積され、受光センサ11は、1フレーム期間で0°、90°、180°、270°の各位相の位相信号を取得することができる。この場合、測定対象物が長距離にある場合には、照射光に対する反射光の光量が近距離よりも小さくなるため、図7に示すように、投光部10は、長距離用の位相画像の取得のために照射光の露光時間を長くし、受光センサ11は、各位相において複数回の位相信号を取得する(位相画像を撮像する)。そして、加算・補正部13は、各位相での複数の位相画像を加算処理して、各位相の加算位相画像を生成する。そして、距離演算部14は、加算・補正部13により生成された加算位相画像に基づいて、測定対象物3等までの距離を示す距離画像を生成する。このように、測定対象距離が遠距離である場合、すなわち、受光センサ11で受光する反射光の光量が小さい場合、各位相において複数回の位相画像を撮像し、各位相でこれらの複数の位相画像を加算処理して得られた加算位相画像を用いることによって、距離画像として算出される距離の精度を向上させることができる。
【0058】
続いて、図7に示すように、投光部10は、中距離用の位相画像の取得のために露光時間で照射し、受光センサ11は、各位相において複数回の位相信号を取得する(位相画像を撮像する)。続いて、図7に示すように、投光部10は、近距離用の位相画像の取得のために露光時間で照射し、受光センサ11は、各位相において複数回の位相信号を取得する(位相画像を撮像する)。
【0059】
なお、図7では、説明を簡便にするため、長距離用の位相画像のみ複数回取得し、中距離用および近距離用では1回取得するように図示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、近距離、中距離、遠距離の順で、露光時間を長くし、取得する(撮像する)位相画像の数を多くするものとしてもよい。そして、近距離、中距離および遠距離にそれぞれにおいて、各位相での複数の位相画像を加算処理して加算位相画像を生成するものとしてもよい。
【0060】
また、加算位相画像を生成するための対象となる各位相の複数の位相画像は、図7に示すように、1つの期間(露光時間)で取得された複数の位相画像に限定されるものではなく、図8に示すように、複数の期間で取得された複数の位相画像について加算処理を行い、加算位相画像を生成するものとしてもよい。例えば、図8に示すように、1回目の長距離用の露光時間で撮像された各位相の複数の位相画像だけでなく、中距離用および近距離用の露光時間の照射光の照射動作を挟んで、次に長距離用の露光時間で撮像された各位相の複数の位相画像についても加算処理に含めて、加算位相画像を生成するものとしてもよい。なお、図8では、複数の期間として長距離用の露光時間を対象としたが、中距離用、近距離用についても同様の処理を行ってもよい。また、図8では、複数の期間として2つの期間の場合を示したが、これに限定されるものではなく、3つ以上の期間を対象としてもよい。
【0061】
また、図7に示す例では、長距離、中距離、近距離の順で、位相画像を撮像する動作について説明したが、図9に示すように、例えば近距離、中距離、長距離の順で、位相画像を撮像する動作であってもよい。
【0062】
(ブレ補正の動作)
図10は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の一例を示す図である。図11は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の別の例を示す図である。図12は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の別の例を示す図である。図13は、実施形態に係る撮像システムで撮像された位相画像のうち基準位相画像の選択の別の例を示す図である。図14は、実施形態に係る撮像システムのブレ補正前後の位相画像の一例を示す図である。まず、図10図14を参照しながら、加算・補正部13によるブレ補正を行うために用いる位相画像である基準位相画像の選択方法について説明する。
【0063】
上述のように、各位相の複数の位相画像を加算処理して得られた加算位相画像を用いることによって、距離画像として算出される距離の精度を向上するものとしても、位相画像撮像装置5を把持するユーザの手ぶれまたは被写体ぶれによって、複数の位相画像間でずれが生じる場合がある。そして、位相画像間でずれが発生した状態で加算処理を行って加算位相画像を生成したとしても、当該ずれにより距離の精度が低下してしまう可能性がある。そこで、本実施形態に係る撮像システム1では、加算・補正部13において、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じたずれを補正するためのブレ補正を行う。
【0064】
まず、加算・補正部13は、受光センサ11から各距離用の露光時間で得られた各位相の位相画像のうち、各位相の位相画像の数が多い距離用のものに着目する。図10に示す例では、長距離用の露光時間(第1の条件の一例、第1の期間の一例)で得られた各位相の位相画像(第1の位相画像の一例)の数の方が、中距離用および近距離用の露光時間(第2の条件の一例、第2の期間の一例)で得られた各位相の位相画像(第2の位相画像の一例)の数よりも多い。したがって、加算・補正部13は、各位相の位相画像が多い長距離用の位相画像に着目し、長距離用の露光時間で得られた各位相の位相画像から、ブレ補正に用いる位相画像を基準位相画像として選択する。次に、加算・補正部13は、選択した基準位相画像を用いて、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じた動き量(ずれ量)を導出する。そして、加算・補正部13は、導出した動き量を用いて、長距離用の各位相の複数の位相画像について補正(ブレ補正)を行い、各位相の補正後の位相画像を加算処理して、各位相の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、長距離用の基準位相画像から導出した動き量を用いて、中距離用および近距離用の位相画像に対しても同様のブレ補正を行う。
【0065】
具体的には、加算・補正部13は、図10に示すように、長距離用の露光時間で得られた位相0°の位相画像のうち、時間的に当該露光時間の中央の時刻に対応する位相画像ではなく、異なる露光時間(図10の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG0_1、PG0_2、PG0_3からブレ補正に用いる基準位相画像を選択する。次に、加算・補正部13は、選択した基準位相画像を用いて、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じた動き量(ずれ量)を導出する。そして、加算・補正部13は、導出した動き量を用いて、長距離用の位相0°の複数の位相画像について補正(ブレ補正)を行い、補正後の位相画像を加算処理して、位相0°の加算位相画像を生成する。同様に、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で得られた位相90°の位相画像のうち、異なる露光時間(図10の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG90_1、PG90_2、PG90_3からブレ補正に用いる基準位相画像を選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相90°の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で得られた位相180°の位相画像のうち、異なる露光時間(図10の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG180_1、PG180_2、PG180_3からブレ補正に用いる基準位相画像を選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相180°の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で得られた位相270°の位相画像のうち、異なる露光時間(図10の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG270_1、PG270_2、PG270_3からブレ補正に用いる基準位相画像を選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相270°の加算位相画像を生成する。基本的には、異なる露光時間の位相画像の撮像タイミングに最も近い位相画像PG0_1、PG90_1、PG180_1、PG270_1を基準位相画像として選択することによって、異なる露光時間の位相画像とのブレの小さい加算位相画像を生成することができるが、位相画像の状況に応じて適宜変更してもよい。
【0066】
このように、長距離用の露光時間で得られた位相画像のうち、異なる露光時間寄りの位相画像を基準位相画像として動き量(ずれ量)を導出することにより、当該異なる露光時間(中距離用、近距離用)で得られた位相画像に対して当該動き量を用いてブレ補正を行う場合に、当該異なる露光時間(中距離用、近距離用)で得られた位相画像と撮像時刻が近い基準位相画像で導出された動き量で補正されるため、補正の精度を向上させることができる。
【0067】
なお、加算・補正部13が、選択した基準位相画像を用いて、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じた動き量(ずれ量)を導出する方法として、例えば、基準位相画像から測定対象物の特徴点として当該測定対象物のエッジを抽出し、抽出した当該測定対象物の各エッジの特徴点を比較して、基準位相画像の位置合わせを実行することによって動き量を導出する公知技術を用いることができる。
【0068】
また、加算・補正部13が、選択した基準位相画像を用いて、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じた動き量(ずれ量)を導出する別の方法として、例えば、ある基準位相画像と別の位相画像との時間Ntの間の動き量ΔX、ΔYを、一般的なオプティカルフローを求める処理、または、以下の参考論文で開示されている機械学習の手法で導出することもできる。
【0069】
論文名
Tackling 3D ToF Artifacts Through Learning and the FLAT Dataset
著者
Qi Guo (SEAS, Harvard University)、
Iuri Frosio
Orazio Gallo
Todd Zickler(SEAS, Harvard University)
Jan Kautz
公開日
Monday,September 10, 2018
公開元
ECCV( European Conference on Computer Vision) 2018
U R L ( Uniform Resource Locator)
https://research.nvidia.com/publication/2018-09_Tackling-3D-ToF
【0070】
また、手ぶれによる機体振動モデルまたは加速度センサ等を導入して、その情報と長距離用の露光時間で得られた複数の位相画像の動き量情報とから動きを予測することも可能である。
【0071】
また、上述した図8に示すように、複数の期間で取得された複数の位相画像について加算処理を行う場合、すなわち、具体的には、1回目の長距離用の露光時間で撮像された各位相の複数の位相画像だけでなく、中距離用および近距離用の露光時間の照射光の照射動作を挟んで、次に長距離用の露光時間で撮像された各位相の複数の位相画像についても加算処理に含める場合には、図11に示すように、基準位相画像を選択することができる。
【0072】
具体的には、加算・補正部13は、図11に示すように、時間的に離間した長距離用の複数の露光時間で得られた位相0°の位相画像のうち、異なる露光時間(図11の例では中距離用および近距離用の露光時間)寄りの位相画像PG0_1、PG0_1’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択する。次に、加算・補正部13は、選択した基準位相画像を用いて、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じた動き量(ずれ量)を導出する。そして、加算・補正部13は、導出した動き量を用いて、長距離用の位相0°の複数の位相画像について補正(ブレ補正)を行い、補正後の位相画像を加算処理して、位相0°の加算位相画像を生成する。同様に、加算・補正部13は、時間的に離間した長距離用の複数の露光時間で得られた位相90°の位相画像のうち、異なる露光時間(図11の例では中距離用および近距離用の露光時間)寄りの位相画像PG90_1、PG90_1’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相90°の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、時間的に離間した長距離用の複数の露光時間で得られた位相180°の位相画像のうち、異なる露光時間(図11の例では中距離用および近距離用の露光時間)寄りの位相画像PG180_1、PG180_1’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相180°の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、時間的に離間した長距離用の複数の露光時間で得られた位相270°の位相画像のうち、異なる露光時間(図11の例では中距離用および近距離用の露光時間)寄りの位相画像PG270_1、PG270_1’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相270°の加算位相画像を生成する。
【0073】
また、上述した図9に示すように、近距離、中距離、長距離の順で、位相画像が撮像された場合に長距離用の露光時間で取得された複数の位相画像について加算処理を行う場合には、図12に示すように、基準位相画像を選択することができる。
【0074】
具体的には、加算・補正部13は、図12に示すように、長距離用の露光時間で得られた位相0°の位相画像のうち、時間的に当該露光時間の中央の時刻に対応する位相画像ではなく、異なる露光時間(図12の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG0_1’、PG0_2’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択する。次に、加算・補正部13は、選択した基準位相画像を用いて、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じた動き量(ずれ量)を導出する。そして、加算・補正部13は、導出した動き量を用いて、長距離用の位相0°の複数の位相画像について補正(ブレ補正)を行い、補正後の位相画像を加算処理して、位相0°の加算位相画像を生成する。同様に、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で得られた位相90°の位相画像のうち、異なる露光時間(図12の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG90_1’、PG90_2’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相90°の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で得られた位相180°の位相画像のうち、異なる露光時間(図12の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG180_1’、PG180_2’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相180°の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で得られた位相270°の位相画像のうち、異なる露光時間(図12の例では中距離用の露光時間)寄りの位相画像PG270_1’、PG270_2’をブレ補正に用いる基準位相画像として選択し、動き量を導出してブレ補正を行い、位相270°の加算位相画像を生成する。
【0075】
このように、図11および図12に示した場合においても、長距離用の露光時間で得られた位相画像のうち、異なる露光時間寄りの位相画像(基準位相画像)を用いて動き量(ずれ量)を導出することにより、当該動き量を当該異なる露光時間(中距離用、近距離用)で得られた位相画像に対して当該動き量を用いてブレ補正を行う場合に、当該異なる露光時間(中距離用、近距離用)で得られた位相画像と撮像時刻が近い基準位相画像を基準に導出された動き量で補正されるため、補正の精度を向上させることができる。
【0076】
また、図13に示すように、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で取得された複数の位相画像について加算処理を行うと共に、中距離用の露光時間で取得された複数の位相画像について加算処理を行ってもよい。この場合、例えば、撮像制御部12は、長距離、近距離、中距離の順で位相画像を撮像するように受光センサ11を制御することによって、加算・補正部13は、長距離用の露光時間で得られた位相画像のうち異なる露光時間(近距離用)寄りの位相画像(PG0_1、PG90_1、PG180_1、PG270_1)を基準位相画像として選択すると共に、中距離用の露光時間で得られた位相画像のうち異なる露光時間(近距離用)寄りの位相画像(PG0_1´、PG90_1´、PG180_1´、PG270_1´)を基準位相画像として選択することができ、補正の精度を向上させることができる。
【0077】
なお、図10図13では、いずれも各位相の露光時間が同一である期間(例えば、長距離用の露光時間)の複数の位相画像から基準位相画像を選択するものとしたが、これに限定されるものではなく、異なる露光時間の位相画像に跨って動き量を導出するための基準位相画像を選択するものとしてもよい。例えば、図10に示す位相画像の撮像タイミングである場合、長距離用の複数の位相画像のうち中距離用の位相画像に隣接する位相画像(例えば、位相0°の場合の位相画像PG0_1)と、中距離用の位相画像のうち長距離用の位相画像に隣接する位相画像と、を基準位相画像として選択してもよい。
【0078】
次に、撮像システム1が測定対象物3aに対して撮像を行う場合に、各位相の位相画像に対して、上述のブレ補正を行う前に加算処理した加算位相画像と、ブレ補正を行った後に加算処理した加算位相画像の状態の一例を、図14に示す。図14(a)には、位相0°、90°、180°、270°の位相画像についてブレ補正を行っていない場合の加算位相画像示されている。図14(a)に示すように、手ぶれまたは被写体ぶれにより生じた複数の位相画像で生じたずれが原因で、加算処理により得られた加算位相画像において、測定対象物3aのエッジ部分がぼやけていることが把握される。一方、図14(b)には、位相0°、90°、180°、270°の位相画像についてブレ補正を行った場合の加算位相画像示されている。図14(b)に示すように、手ぶれまたは被写体ぶれにより生じた複数の位相画像で生じたずれが動き量として導出され補正されることにより、加算処理により得られた加算位相画像において、測定対象物3aのエッジ部分が明確になっていることが把握される。
【0079】
(距離画像の表示動作)
図15は、実施形態に係る撮像システムのブレ補正前後の距離画像の表示例を示す図である。図15を参照しながら、本実施形態に係る撮像システム1による距離画像の表示動作について説明する。
【0080】
図15に示す表示画像1000は、撮像システム1の画像処理装置6の表示制御部15により表示装置2に表示された、距離演算部14により生成された距離画像を表示する画面である。表示画像1000は、図15に示すように、距離画像DIG1と、距離画像DIG2と、を含む。
【0081】
距離画像DIG1は、加算・補正部13によるブレ補正が行われない場合の加算位相画像に基づいて距離演算部14により生成された距離画像(第1の距離画像の一例)である。
【0082】
距離画像DIG2は、加算・補正部13によるブレ補正が行われた場合の加算位相画像に基づいて距離演算部14により生成された距離画像(第2の距離画像の一例)である。
【0083】
このように、ブレ補正がない場合の距離画像と、ブレ補正がある場合の距離画像とを、並べて表示することによって、ブレ補正の効果を明示することができる。
【0084】
なお、例えば、手ぶれの量が大きすぎて補正しきれないような場合、または、測定対象物側での動きが生じたことにより画像の一部にブレが含まれたり、画像の一部に正しい距離が算出できない部分があったりする場合に、ブレの含まれる領域を画像上に表示したり、距離画像の再生成をユーザに勧める表示を行ったりしてもよい。これによって、ユーザは撮影した位相画像に手ぶれまたは被写体ぶれが存在することを知ることができ、これらのぶれが発生しないように、再度の処理を行うことができる。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る撮像システム1では、受光センサ11は、光源21から照射された照射光が測定対象物3で反射した反射光を受光して撮像し、撮像制御部12は、反射光を受光して複数の位相毎に複数の位相画像を撮像するように受光センサ11を制御し、加算・補正部13は、受光センサ11により撮像された同じ位相の複数の位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成し、それぞれの位相における複数の位相画像は、第1の条件(例えば長距離用の露光時間)で撮像された複数の第1の位相画像(例えば長距離用の位相画像)と、第1の条件と異なる第2の条件(例えば中距離用、近距離用の露光時間)で撮像された1以上の第2の位相画像(例えば中距離用、近距離用の位相画像)と、を含み、加算・補正部13は、第2の位相画像の数よりも大きい数の第1の位相画像について、同じ位相の第1の位相画像間の動き量を導出し、動き量に基づいて、該同じ位相の第1の位相画像に対して補正を行い、加算処理により複数の位相毎に加算位相画像を生成するものとしている。このように、手ぶれまたは被写体ぶれに対する補正(ブレ補正)が行われることにより、距離の算出精度の低下を抑制するための複数の位相画像に対する処理を実現することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る撮像システム1では、距離演算部14は、複数の位相毎の加算位相画像に基づいて、測定対象物3までの距離を算出する。さらに、距離演算部14は、複数の位相毎の前記加算位相画像に基づいて、測定対象物3等までの距離を示す距離画像を生成し、表示制御部15は、距離画像を表示装置2に表示させるものとしている。これによって、測定対象物3等までの距離を視覚的に確認することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る撮像システム1では、加算・補正部13は、補正をせずに加算処理により加算位相画像をさらに生成し、距離演算部14は、補正をせずに加算処理により生成された加算位相画像に基づいて第1の距離画像(例えば距離画像DIG1)を生成し、補正後における加算処理により生成された加算位相画像に基づいて第2の距離画像(例えば距離画像DIG2)を生成し、表示制御部15は、第1の距離画像および第2の距離画像を表示装置2に表示させるものとしている。補正がない場合の距離画像と、補正がある場合の距離画像とを、表示することによって、補正(ブレ補正)の効果を明示することができる。
【0088】
(変形例)
変形例に係る撮像システムについて、上述の実施形態に係る撮像システム1と相違する点を中心に説明する。上述の実施形態では、受光センサ11により撮像された位相画像から、加算・補正部13により、動き量を導出するための基準位相画像を自動で選択するものとしていた。本変形例では、ユーザにより手動で基準位相画像を選択する動作について説明する。
【0089】
図16は、変形例に係る撮像システムの概略構成の一例を示す図である。図16を参照しながら、本実施形態に係る撮像システム1aの概略構成および概略動作について説明する。
【0090】
撮像システム1aは、図16に示すように、位相画像撮像装置5と、画像処理装置6と、入力部16と、を含む。位相画像撮像装置5は、投光部10と、受光センサ11(撮像部)と、撮像制御部12と、を備えている。画像処理装置6は、加算・補正部13(加算部)と、距離演算部14(距離計測部)と、表示制御部15と、を備えている。なお、このうち、投光部10、受光センサ11、撮像制御部12、距離演算部14および表示制御部15の動作は、上述の実施形態に係る撮像システム1と同様である。また、撮像システム1aの構成は、図16に示した構成に限定されるものではなく、例えば、画像処理装置6の処理部の一部が位相画像撮像装置5に含まれるものとしてもよく、位相画像撮像装置5の処理部の一部が画像処理装置6に含まれるものとしてもよい。また、撮像システム1aは、位相画像撮像装置5および画像処理装置6に含まれる処理部が、3つ以上の装置に振り分けられた構成であってもよい。また、撮像システム1aが1つの装置(撮像装置)として構成されるものとしてもよい。
【0091】
加算・補正部13は、受光センサ11から出力された受光データLRA、LRBを位相信号として入力し、当該位相信号が受光センサ11の画素ごとに対応して構成された二次元の各位相の複数の位相画像について、手ぶれまたは被写体ぶれに対する補正(ブレ補正)を行い、同じ位相の複数の位相画像同士を加算処理して加算位相画像を生成する。具体的には、加算・補正部13は、ユーザによる入力部16を介して入力された操作により選択された位相画像を基準位相画像として、手ぶれまたは被写体ぶれにより複数の位相画像間で生じた動き量(ずれ量)を導出する。そして、加算・補正部13は、導出した動き量を用いて、長距離用の各位相の複数の位相画像について補正(ブレ補正)を行い、各位相の補正後の位相画像を加算処理して、各位相の加算位相画像を生成する。また、加算・補正部13は、長距離用の基準位相画像から導出した動き量を用いて、中距離用および近距離用の位相画像に対しても同様のブレ補正を行う。
【0092】
入力部16は、例えば、撮像システム1aに含まれる、ユーザの操作を受け付けるタッチパネルまたは操作パネル等の入力装置である。なお、入力部16は、外部の情報処理装置等に入力されたユーザの操作信号を受信する入力インターフェース回路等であってもよい。いずれに場合においても、ユーザは、入力部16を介して画像処理装置6に対して操作入力を行うことができ、上述のように、各位相の位相画像のうち基準位相画像の選択操作を行うことができる。
【0093】
なお、ユーザによる入力部16を介した基準位相画像の選択のために、例えば、表示制御部15は、図7図9に示すような、位相画像、および当該位相画像の撮像タイミング等を示すような情報を表示装置2に表示させるものとしてもよい。また、表示装置2は、入力部16を有するPCまたはタブレット端末等のディスプレイであってもよい。
【0094】
また、ユーザは、入力部16を介して基準位相画像を選択することのほか、加算・補正部13による加算処理の対象外とする位相画像の選択、基準位相画像以外の位相画像の選択等が行えるものとしてもよい。
【0095】
以上のように、本変形例に係る撮像システム1aでは、入力部16は、外部からの入力を受け付け、加算・補正部13は、入力部16による入力に基づいて複数の第1の位相画像から選択された基準位相画像を用いて、動き量を導出するものとしている。これによって、ユーザの意図に沿った基準位相画像を用いて補正を行うことが可能となる。
【0096】
なお、上述の実施形態および変形例において、撮像システム1、1aの機能の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態および変形例において、撮像システム1、1aで実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態および変形例において、撮像システム1、1aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態および変形例において、撮像システム1、1aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態および変形例において、撮像システム1、1aで実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【0097】
本発明の態様は、以下の通りである。
<1>入力された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の前記位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算部を有し、
前記入力された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、前記第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、
前記第1の位相画像の数は、前記第2の位相画像の数よりも多く、
前記加算部は、少なくとも前記複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の前記第1の位相画像間の動き量を導出し、前記動き量に基づいて、該同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、前記加算処理により複数の位相毎に前記加算位相画像を生成する撮像システムである。
<2>前記複数の第1の位相画像は、第1の期間に撮像され、
前記1以上の第2の位相画像は、前記第1の期間とは異なる第2の期間で撮像され、
前記加算部は、前記第1の期間に撮像された前記複数の第1の位相画像のうち、該第1の期間の中央よりも前記第2の期間に近い期間に撮像された前記第1の位相画像を第1の基準位相画像として選択し、前記第1の基準位相画像を用いて前記動き量を導出する前記<1>に記載の撮像システムである。
<3>前記第1の期間は、時間的に離間した複数の期間を含む前記<2>に記載の撮像システムである。
<4>前記入力された複数の位相画像は、前記第1の期間および前記第2の期間と異なる第3の期間に、前記第1の条件および前記第2の条件と異なる第3の条件で撮像された複数の第3の位相画像と、をさらに含み、
前記第2の期間は、前記第1の期間と前記第3の期間との間であり、
前記加算部は、前記第3の期間に撮像された前記複数の第3の位相画像のうち、前記第3の期間の中央よりも前記第2の期間に近い期間に撮像された前記第3の位相画像を第2の基準位相画像として選択し、前記第2の基準位相画像を用いて前記動き量を導出する前記<2>に記載の撮像システムである。
<5>照射光を照射する光源と、前記照射光が対象物で反射した反射光を受光し受光信号を出力する受光センサと、を備える撮像部と、
前記複数の位相で前記複数の位相画像を撮像するように前記撮像部を制御する撮像制御部と、
をさらに有する前記<1>~<4>のいずれか一項に記載の撮像システムである。
<6>外部からの入力を受け付ける入力部を、さらに備え、
前記加算部は、前記入力部による入力に基づいて前記複数の第1の位相画像から選択された基準位相画像を用いて、前記動き量を導出する前記<1>~<5>のいずれか一項に記載の撮像システムである。
<7>前記複数の位相毎の前記加算位相画像に基づいて、対象物までの距離を算出する距離計測部を、さらに備えた前記<1>~<6>のいずれか一項に記載の撮像システムである。
<8>前記距離計測部は、前記複数の位相毎の前記加算位相画像に基づいて、前記対象物までの距離を示す距離画像を生成し、
前記距離画像を表示装置に表示させる表示制御部を、さらに備えた前記<7>に記載の撮像システムである。
<9>前記加算部は、前記補正をせずに前記加算処理により前記加算位相画像をさらに生成し、
前記距離計測部は、前記補正をせずに前記加算処理により生成された前記加算位相画像に基づいて第1の距離画像を生成し、前記補正後における前記加算処理により生成された前記加算位相画像に基づいて第2の距離画像を生成し、
前記表示制御部は、前記第1の距離画像および前記第2の距離画像を前記表示装置に表示させる前記<8>に記載の撮像システムである。
<10>光源から照射された照射光が対象物で反射した反射光を受光して撮像する撮像部と、
前記反射光を受光して複数の位相毎に複数の位相画像を撮像するように前記撮像部を制御する撮像制御部と、
前記撮像部により撮像された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の前記位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算部と、
を備え、
前記撮像された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、前記第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、
前記第1の位相画像の数は、前記第2の位相画像の数よりも多く、
前記加算部は、少なくとも前記複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の前記第1の位相画像間の動き量を導出し、前記動き量に基づいて、該同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、前記加算処理により複数の位相毎に前記加算位相画像を生成する撮像装置である。
<11>撮像部が、光源から照射された照射光が対象物で反射した反射光を受光して撮像する撮像ステップと、
撮像制御部が、前記反射光を受光して複数の位相毎に複数の位相画像を撮像するように前記撮像部を制御する撮像制御ステップと、
加算部が、前記撮像部により撮像された複数の位相画像に対し、同じ位相の複数の前記位相画像同士の加算処理を行って加算位相画像を生成する加算ステップと、
を有し、
前記撮像された複数の位相画像は、第1の条件で撮像された複数の第1の位相画像と、前記第1の条件と異なる第2の条件で撮像された1以上の第2の位相画像と、を含み、
前記第1の位相画像の数は、前記第2の位相画像の数よりも多く、
前記加算ステップで、前記加算部は、少なくとも前記複数の第1の位相画像について、同じ位相の複数の前記第1の位相画像間の動き量を導出し、前記動き量に基づいて、該同じ位相の複数の第1の位相画像に対して補正を行い、前記加算処理により複数の位相毎に前記加算位相画像を生成する撮像方法である。
【符号の説明】
【0098】
1、1a 撮像システム
2 表示装置
3、3a 測定対象物
5 位相画像撮像装置
6 画像処理装置
7 情報処理装置
10 投光部
11 受光センサ
12 撮像制御部
13 加算・補正部
14 距離演算部
15 表示制御部
16 入力部
21 光源
22 駆動回路
103 PD
104a、104b 変調スイッチ
105a、105b 蓄電部
1000 表示画面
A、B 蓄積電荷量
DIG1、DIG2 距離画像
Le 照射光
Lr 反射光
LRA、LRB 受光データ
P0、P90、P180、P270 位相信号
PG0_1、PG0_1’、PG0_2、PG0_2’、PG0_3 位相画像
PG90_1、PG90_1’、PG90_2、PG90_2’、PG90_3 位相画像
PG180_1、PG180_1’、PG180_2、PG180_2’、PG180_3 位相画像
PG270_1、PG270_1’、PG270_2、PG270_2’、PG270_3 位相画像
T 周期
Td 遅延時間
Tp 周期
TR、TRA、TRB 転送信号
Tw パルス時間幅
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2021-148745号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16