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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058616
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】粉体充填装置及び粉体充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/46 20060101AFI20240418BHJP
   B65B 1/16 20060101ALI20240418BHJP
   G01G 13/10 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B65B1/46
B65B1/16
G01G13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173376
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2022165424
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】高野 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】成島 勝
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 泰明
(72)【発明者】
【氏名】山根 千佳
【テーマコード(参考)】
2F046
3E118
【Fターム(参考)】
2F046BA11
2F046DA02
3E118AA02
3E118AB03
3E118BB15
3E118BB21
3E118DA02
3E118DA03
3E118EA06
3E118EA10
3E118FA04
(57)【要約】
【課題】粉体へのストレスを抑制し、かつ、粉体充填容器の粉体量を精度よく目標の粉体量にすることができる粉体充填装置および粉体充填方法を提供する。
【解決手段】粉体充填装置たるトナー充填装置は、粉体充填容器たるトナー充填容器に所定量の粉体たるトナーが充填された後、粉体計量手段たる計量器によりトナー充填容器のトナー量を計測しながらトナー充填容器の粉体量が目標の粉体量となるようにトナーの充填を行う精密充填モードを有している。この精密充填モードのときは、動作圧検知手段たる圧力計の検知結果に基づいて、容積式ポンプたる空気圧駆動ポンプの容積可変部たる移送チューブにかかる動作圧のピークツウピークが、一定に維持されるように、圧力増減手段たるポンプ駆動部のエアコンプレッサーおよび真空ポンプを制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体貯留部に貯留された粉体を粉体充填容器に充填する粉体充填装置において、
容積が可変に構成された容積可変部および前記容積可変部にかける動作圧を増減させて前記容積可変部の容積を変動させる圧力増減手段を有し、前記容積可変部の前記容積の変動で粉体を移送する容積式ポンプと、
前記粉体充填容器に充填された粉体重量を計量する粉体計量手段と、
前記動作圧を検知する動作圧検知手段とを備え、
前記粉体充填容器に所定量の粉体が充填された後、前記粉体計量手段により前記粉体充填容器の粉体量を計測しながら前記粉体充填容器の粉体量が目標の粉体量となるように前記粉体の充填を行う精密充填モードを有し、
前記精密充填モードのときは、前記動作圧検知手段の検知結果に基づいて、前記圧力増減手段を制御しながら前記粉体充填容器に前記粉体の充填を行うことを特徴とする粉体充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体充填装置において、
前記粉体充填容器内を脱気する脱気手段を備え、
前記脱気手段により前記粉体充填容器内を脱気しながら所定時間、前記粉体充填容器に前記粉体を充填する初期充填モードと、
前記初期充填モードの終了後に、前記粉体充填容器に前記所定量の前記粉体が充填されるように前記粉体計量手段により前記粉体量を計量しながら前記初期充填モードよりも遅い充填速度で充填を行う減速充填モードとを有し、
前記精密充填モードは、前記減速充填モードの終了後に実行され、前記減速充填モードよりも遅い充填速度で前記粉体の充填が行われることを特徴とする粉体充填装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粉体充填装置において、
前記減速充填モードは、前記充填速度を複数回に分けて減速することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載の粉体充填装置において、
前記初期充填モードでの粉体充填量に基づいて、前記減速充填モードの各充填速度で充填する粉体量を決定することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項5】
請求項2に記載の粉体充填装置において、
前記初期充填モードの実行時間は、過去複数回の充填速度の平均値に基づいて決定することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項6】
請求項1に記載の粉体充填装置において、
前記精密充填モードのときは、前記動作圧検知手段の検知結果に基づいて、動作圧のピークツウピークが所定範囲に維持されるように、前記圧力増減手段を制御することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項7】
粉体貯留部に貯留された粉体を粉体充填容器へ充填する粉体充填方法において、
容積が可変に構成された容積可変部および前記容積可変部にかける動作圧を増減させて前記容積可変部の容積を変動させる圧力増減手段を有し、前記容積可変部の前記容積の変動で粉体を移送する容積式ポンプを備え、
前記粉体充填容器に所定量の前記粉体が充填された後、粉体計量手段により前記粉体充填容器の粉体量を計測しながら前記粉体充填容器の前記粉体量が目標の粉体量となるように前記粉体の充填を行う精密充填モードのとき、動作圧検知手段により前記容積可変部にかかる前記動作圧を検知し、その検知結果に基づいて前記圧力増減手段を制御しながら前記粉体充填容器に前記粉体の充填を行うことを特徴とする粉体充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体充填装置及び粉体充填方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体貯留部に貯留された粉体を粉体充填容器へ充填する粉体充填装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記粉体充填装置として、搬送オーガにより、粉体貯留部たる供給容器に貯留された粉体を粉体充填容器たる計量容器へ充填するものが記載されている。この粉体充填装置では、計量容器に所定量の粉体が充填されたら、充填速度を落とし、粉体計量手段たる計量部により計量容器の粉体量を計測しながら計量容器の粉体量が目標の粉体量となるように粉体の充填を行っている。さらに、この粉体充填装置では、計量容器に充填された粉体量と目標の粉体量との誤差に基づいて、搬送オーガの停止タイミングを補正している。搬送オーガの停止タイミングを補正することで、充填を重なる毎に計量容器の粉体量を精度よく目標の粉体量にできる旨が特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粉体へのストレスを低減しつつ粉体充填容器の粉体量を精度よく目標の粉体量にすることは、できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、粉体貯留部に貯留された粉体を粉体充填容器に充填する粉体充填装置において、容積が可変に構成された容積可変部および前記容積可変部にかける動作圧を増減させて前記容積可変部の容積を変動させる圧力増減手段を有し、前記容積可変部の前記容積の変動で粉体を移送する容積式ポンプと、前記粉体充填容器に充填された粉体重量を計量する粉体計量手段と、前記動作圧を検知する動作圧検知手段とを備え、前記粉体充填容器に所定量の粉体が充填された後、前記粉体計量手段により前記粉体充填容器の粉体量を計測しながら前記粉体充填容器の粉体量が目標の粉体量となるように前記粉体の充填を行う精密充填モードを有し、前記精密充填モードのときは、前記動作圧検知手段の検知結果に基づいて、前記圧力増減手段を制御しながら前記粉体充填容器に前記粉体の充填を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、粉体へのストレスを抑制し、かつ、粉体充填容器の粉体量を精度よく目標の粉体量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態のトナー充填装置1の概略構成図。
図2】空気圧駆動ポンプの駆動について説明する図。
図3】動作圧波形の一例を示す図。
図4】トナー充填動作に関する制御ブロック図。
図5】トナー充電動作中のトナー充填容器へのトナー充填量と時間との相関を示すグラフ。
図6】減速充填モードの制御フロー図。
図7】動作圧調整制御の制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用可能な粉体充填装置としてのトナー充填装置の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のトナー充填装置1の概略構成図である。
本実施形態のトナー充填装置1は、粉体としてのトナーTを貯留した粉体貯留部たるトナー貯留タンク2と、トナーTが充填される粉体充填容器たるトナー充填容器7とを備えている。また、トナー充填装置1は、トナー貯留タンク2のトナーTをトナー充填容器7へ移送する容積式ポンプたる空気圧駆動ポンプ5とを備えている。また、トナー充填装置1は、トナー充填容器7に充填されたトナー量を計量する粉体計量手段たる計量器9を有している。
【0009】
トナー貯留タンク2内には、トナー導入管2aが設けられており、このトナー導入管2a内にトナー吸引管4の一端側が配置されている。トナー吸引管4の他端は、空気圧駆動ポンプ5に接続されている。この空気圧駆動ポンプ5には、トナー輸送管6の一端が接続されており、トナー輸送管6の他端は、トナー充填容器7にトナーを吐出するトナー吐出部22に接続されている。
【0010】
トナー吐出部22は、先端にノズル8が接続されたノズル管23を有しており、ノズル昇降機21によりX方向に昇降可能に設けられている。また、トナー吐出部22には、トナー充填容器7内を脱気する脱気手段としての脱気ポンプ20が設けられている。
【0011】
ノズル管23は、内管と外管の2重管構造となっており、内管には、トナー輸送管6からのトナーが移送され、外管は、脱気ポンプ20により吸引されたトナー充填容器7内の空気が移送される。
【0012】
また、トナー貯留タンク2の底部には、トナーを流動化させる流動化部3が設けられている。流動化部3は、空気を噴出するためのトナーの粒径よりも小さい多数の微細孔が形成された通気板と、通気板の各微細孔へ空気を送り込む空気導入路とで構成されている。流動化部3には流動化エア供給部30が接続されている。流動化エア供給部30により流動化部3の空気導入路に空気が導入され、通気板の各微細孔から空気を噴出することで、トナー貯留タンク内のトナーが流動化される。流動化エア供給部30としては、流動化部3の空気導入路に空気が送り込めればよく、エアコンプレッサー、ファン、ブロワなど公知のものを用いることができる。
【0013】
空気圧駆動ポンプ5は、容積式ポンプであり、動作圧により伸縮/拡張する容積可変部としての移送チューブ5aと、この移送チューブ5aを収容し、移送チューブ5aに動作圧を作用させるエアチャンバー部5bとを有している。また、移送チューブ5aの両端には、逆止弁が設けられており、トナーが逆流しないようになっている。
【0014】
空気圧駆動ポンプ5のエアチャンバー部5b内の空気を吸排気し、エアチャンバー部5b内の圧力を変動させて空気圧駆動ポンプ5を駆動する圧力増減手段としてのポンプ駆動部10を有している。ポンプ駆動部10は、方向制御弁たる3ポート電磁弁11と、エアチャンバー部5bに圧縮空気を送り込むエアコンプレッサー12と、エアチャンバー部5bから空気を抜き出す真空ポンプ13とを有している。
【0015】
図2は、空気圧駆動ポンプ5の駆動について説明する図である。
図2(a)に示すように電磁弁11がOFFのときは、真空ポンプ13との通気が遮断され、エアコンプレッサー12との通気が開放され、圧縮空気が空気圧駆動ポンプ5のエアチャンバー部5bに送り込まれる。これにより、エアチャンバー部5bの正圧力が高まり、移送チューブ5aが収縮する。その結果、移送チューブ5a内のトナーが、トナー輸送管6へ吐出され、トナーがトナー輸送管6へ移送される。
【0016】
一方、図2(b)に示すように、電磁弁11がONのときは、エアコンプレッサー12との通気が遮断され、真空ポンプ13との通気が開放され真空ポンプ13によりエアチャンバー部5b内の空気が抜かれる。これにより、エアチャンバー部5b内が負圧となり、移送チューブ5aが拡張する。その結果、トナー貯留タンク2のトナーが吸い上げられ、トナー吸引管4から移送チューブ5a内へトナーが移送される。
【0017】
空気圧駆動ポンプ5によりトナーを移送することで、スクリュウ状の搬送オーガでトナーを移送する場合に比べて、トナーに係る加圧等のストレスを低減することができる。これにより、トナーの外添剤が表面から脱離あるいは埋没を抑制し、外添剤による狙いの効果が損なわれるのを抑制することができる。また、トナー同士の付着を抑制でき、凝集体となるのを抑制することができる。
【0018】
上記電磁弁11のON/OFFの切り替えにより、図3に示すようにエアチャンバー部5b内の動作圧を変動させることで、移送チューブ5aが収縮と拡張を繰り返し、トナー貯留タンク2のトナーが継続的にトナー充填容器7に移送される。そして、この電磁弁11のON/OFFの切替速度を変更することで、トナーの充填速度(トナー充填容器7への単位時間当たりのトナー充填量)を切り替えることができる。
【0019】
また、本実施形態では、図1に示すように、電磁弁11と空気圧駆動ポンプ5との間の空気流路に動作圧検知手段としての圧力計14(圧力表示PI)が設けられている。この圧力計14によりエアチャンバー部5bの圧力(動作圧)を検知し、この圧力計14が検知した圧力に基づいて、エアコンプレッサー12および真空ポンプ13が制御される。
【0020】
具体的には、図3に示すように、エアチャンバー部5b内の最大動作圧が、図3に示す最大動作圧の下限値と上限値との間に入るようにエアコンプレッサー12が制御される。また、エアチャンバー部5b内の最小動作圧が、図3に示す最小動作圧の下限値と上限値との間に入るように真空ポンプ13が制御される。
【0021】
図4は、トナー充填動作に関する制御ブロック図である。
同図において、制御部100は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリなどから構成され、トナー充填装置1における各種の機器の駆動を制御したり、各種の演算処理をしたりするものである。この制御部100には、ノズル昇降機21、脱気ポンプ20、流動化エア供給部30、計量器9、タイマー101、圧力計14、電磁弁11、エアコンプレッサー12、真空ポンプ13などが接続されている。
【0022】
図5は、トナー充電動作中のトナー充填容器7へのトナー充填量と時間との相関を示すグラフである。
図5では、トナー充填容器7に190gのトナーを充填する場合である。図5に示すように、約185gまでは、なるべく早くトナーを充填したい領域であり、約185g以上からは、目標の充填量(190g)となるように、精度よく充填したい領域である。また、トナー充填容器7内のトナー充填量が約170gを超えたあたりから、充填速度のばらつき等によるトナー充填容器7からの溢れ出しに気を付ける必要がある。
【0023】
本実施形態では、早く、溢れずに、精度よくトナー充填が行えるように、初期充填モードたる高速充填モードと、減速充填モードと、精密充填モードとを有している。高速充填モードは、脱気ポンプ20によりトナー充填容器7内の空気を抜きながらトナー充填を行う所謂脱気充填である。
【0024】
トナー充填動作が開始されると、制御部100は、流動化エア供給部30を駆動し、トナー貯留タンク2のトナーを空気により流動化する。また、高速で電磁弁11のON/OFFの切り替えを行うともにエアコンプレッサー12と真空ポンプ13とを駆動する。
【0025】
電磁弁11のON/OFFを切り替える切替速度によって、空気圧駆動ポンプ5のエアチャンバー部5b内の動作圧の正圧と負圧の周期変動の周期が変わる。これにより、空気圧駆動ポンプ5から吐出される単位時当たりの吐出量が変わり、トナー充填速度が変更される。本実施形態では、高速充填モードのときは、電磁弁11のON/OFFの切替速度を高速にして、速いトナー充填速度でトナー充填を行う。減速充填モードでは、高速充填モードよりも電磁弁11のON/OFFの切替速度を遅くし、高速充填モードよりもトナー充填速度を落としてトナー充填を行う。精密充填モードでは、減速充填モードよりもさらに電磁弁11のON/OFFの切替速度を遅くし、減速充填モードよりもトナー充填速度を落としてトナー充填を行う。
【0026】
高速充填モードのときは、計量器9によりトナー充填容器7のトナーの充填量の計測は行わず、タイマー101により目標時間まで充填を行う。これは、脱気充填では、脱気ポンプ20による空気の吸引により、トナー充填容器7が吸い上げられることで、計量器9で精度よくトナー充填容器7内のトナー充填量を計測できない。よって、計量器9で計量したトナー充填容器7内のトナー充填量が、理想充填量となるまで高速充填モードの充填を行うと、最悪の場合、トナー充填容器7からトナーが溢れるおそれがある。また、トナー充填容器7からトナーが溢れないように高速充填モードにおける理想充填量を少なめに設定すると、減速充填モードの時間が長くなり、充填時間が長くなるおそれがある。よって、脱気充填の高速充填モードでは、計量器9によるトナー充填容器7のトナーの充填量の計測は行わずに充填を行うようにしている。
【0027】
しかし、空気圧駆動ポンプ5のエアチャンバー部5b内の動作圧の変動等によって、空気圧駆動ポンプ5から吐出されるトナー吐出量が変動する等により、トナー充填速度(単位時間当たりのトナー充填量)が変動する。充填速度が速いほど、充填速度のばらつきが大きくなり、充填速度が高速の高速充填モードにおける上記目標時間到達時のトナー充填容器7内のトナー充填量のばらつきが大きくなるおそれがある。
【0028】
そこで、本実施形態では、目標時間到達時のトナー充填容器7内のトナー充填量のばらつきを抑えるために、上記目標時間を、過去3回の高速充填モードでのトナー充填速度の平均値に基づいて決定している。具体的には、制御部100の不揮発性メモリには、過去3回分の高速充填モードでのトナー充填速度が記憶されている。上記目標時間に達し、高速充填モードが終了したら、制御部100は、脱気ポンプ20を停止し、ノズル昇降機21によりノズル8を上昇させて、ノズル8をトナー充填容器7に充填されたトナーよりも上方に位置させる。次に、制御部100は、計量器9により計測されたトナー充填容器7のトナーの充填量と、このときの目標時間とから、トナー充填速度を算出する。そして、不揮発性のメモリに記憶された過去3回分の高速充填モードでのトナー充填速度のうち、最も古いトナー充填速度を削除し、このとき算出したトナー充填速度を不揮発性のメモリに記憶する。高速充填モードを実行するときは、不揮発性のメモリに記憶されている過去3回分の高速充填モードでのトナー充填速度から平均値を求め、求めた平均値と、高速充填モードでの理想充填量とに基づいて目標時間を算出する。
【0029】
なお、上述では目標時間の算出に、過去3回の高速充填モードでのトナー充填速度の平均値を用いているが、平均値の算出に用いる過去データは、4回以上であってもよい。
【0030】
このように、過去複数回の高速充填モードでのトナー充填速度の平均値を用いて高速充填モードの目標時間を決めることで、トナー充填速度が変動しても自動で追随することができる。これにより、高速充填モード時のトナー充填量の理想充填量に対するばらつきを抑えることができる。その結果、高速充填モード時のトナー充填量が理想充填量に対して少なくなりすぎ、その後の減速充填モードが長くなるのを抑制でき、充填時間が長くなるのを抑制することができる。また、高速充填モード時のトナー充填量が理想充填量に対して多くなりすぎ、トナー充填容器7からトナーが溢れ出すのも抑制することができる。
【0031】
高速充填モードが終了したら、高速充填モードのときよりもトナー充填速度(電磁弁11の切替速度)を落とした減速充填モードを実行する。この減速充填モードは、脱気は行わずに、計量器9によりトナー充填容器7のトナー充填量を計測しながら充填を行う所謂計量充填である。脱気を行わないことで、計量器9で精度よくトナー充填容器7内のトナー充填量を計測することができ、精度よく所定のトナー量を充填することができる。
【0032】
また、高速充填モードよりもトナー充填速度を落とすことで、トナー充填速度の変動によるトナー充填量のばらつきを抑えることができ、目標充填量よりも多く充填され、トナー充填容器7からトナーが溢れてしまうのを抑制することができる。また、減速充填モードでは、3回に分けてトナー充填速度を減速していくことで、トナーの溢れ出しを抑制し、かつ、早期に所定量のトナーを充填できるようにしている。また、減速3回目は、十分に減速された充填速度で充填を行っており、ある程度、精度のよい充填が行える。そのため、図5に示すように、減速充填モードは、精度よく入れたい充填量以上の充填量となるまで実行できる。これにより、精密充填モードの時間を短くすることが可能となり、充填時間の短縮化を図ることができる。
【0033】
図6は、減速充填モードの制御フロー図である。
制御部100は、高速充填モードを終了したら、上述したように、脱気ポンプ20を停止し、ノズル昇降機21によりノズル8を上昇させて、ノズル8をトナー充填容器7に充填されたトナーよりも上方に位置させる。次に、制御部100は、計量器9により高速充填モードでのトナーの充填量を計測する。次に、制御部100は、不揮発性メモリから初期パラメータを読み出すとともに、計測したトナー充填量に基づいて、減速充填量等を算出する(S1)。
【0034】
S1に示す「減速回数」の初期パラメータは、「3」であり、トナー充填速度(電磁弁11の切替速度)を変更する度に、減速回数をデクリメントする。また、「切替速度」は、電磁弁11のON/OFFを切り替える速度であり、電磁弁11の切替速度を変更することで、空気圧駆動ポンプ5のチャンバー室内の動作圧の正圧と負圧の周期変動の周期が変更される。これにより、空気駆動ポンプから吐出される単位時当たりの吐出量が変更され、トナー充填速度が変更される。
【0035】
減速1回目の切替速度は、減速初期切替速度である。減速2回目のときは、この減速初期切替速度よりも遅い切替速度に変更される。また、減速3回目のときは、減速2回目の切替速度よりも遅い切替速度に変更される。減速2回目の切替速度は、減速初期切替速度からS1で示す式により算出される「減速値」を差し引くことで算出される。また、減速3回目の切替速度は、減速2回目の切替速度から「減速値」を差し引くことで算出される。
【0036】
S1に示す「減速充填量」は、減速充填モードで充填するトナー量であり、減速充填モードを終了する充填量である「精密前開始充填量」から高速充填モードでのトナーの充填量を差し引くことで算出される。
【0037】
算出された「減速充填量」から、S1に示す式に基づいて「加算重量」が算出され、この「加算重量」と減速回数とから、S1に示す式に基づいて、「加算値」が算出される。上述したように、減速1回目のときは、「減速回数」が3であり、減速2回目のときは、「減速回数」が2となり、減速3回目のときは、「減速回数」が1となる。そのため、S1に示す加算値を求める式からわかるように、減速回数が増えるにつれて、「加算値」は小さくなる。
【0038】
S1に示す「理想充填量」は、減速回数毎の目標充填量であり、充填量がこの「理想充填量」以上となったら、切替速度を切り替える。減速1回目は、高速充填モードでの充填量に上述した「加算値」を加算することで算出される。減速2回目の「理想充填量」は、減速1回目の理想充填量に「加算値」を加算することで算出される。減速3回目の「理想充填量」は、減速2回目の理想充填量に「加算値」を加算することで算出される。この減速3回目の「理想充填量」は、「精密前開始充填量」と同一である。
【0039】
S1に示すように、減速1回目に対応する初期パラメータを設定したら、減速初期切替速度で電磁弁11を切り替え、高速充填モードのトナー充填速度よりも遅いトナー充填速度により減速1回目の充填が行われる。
【0040】
そして、計量器9が計測したトナー充填容器7の現在のトナー充填量が、減速1回目の「理想充填量」以上(S2のYES)、かつ、「精密前開始充填量」未満(S3のNO)の場合は、以下の4つパラメータを変更する(S4)。すなわち、減速回数、切替速度、加算値および理想充填量の4つのパラメータである。
【0041】
具体的には、「減速回数」を、「3」から「2」にデクリメントする。また、電磁弁11の「切替速度」を現在の切替速度である「減速初期切替速度」から減速値を差し引いた2回目の「切替速度」に変更する。また、「加算値」を算出しなおし、この算出しなおした「加算値」を、減速一回目の理想充填量に加算し、減速2回目の「理想充填量」を算出する。そして、変更した2回目の「切替速度」で電磁弁11のON/OFFを切り替え、減速1回目よりも遅いトナー充填速度で減速2回目の充填を行う。
【0042】
そして、計量器9が計測したトナー充填容器7の現在のトナー充填量が、減速2回目の「理想充填量」以上(S2のYES)、かつ、「精密前開始充填量」未満(S3のNo)の場合は、上述と同様に各パラメータを変更する(S4)。すなわち、電磁弁11の「切替速度」を現在の切替速度である減速2回目の「切替速度」から減速値を差し引いた3回目の「切替速度」に変更する。また、「減速回数」を、「2」から「1」にデクリメントする。また、「加算値」を算出しなおし、この「加算値」を減速2回目の理想充填量に加算し、減速3回目の「理想充填量」を算出する。上述したように、この減速3回目の「理想充填量」は、「精密前開始充填量」と同一である。
【0043】
そして、変更した3回目の「切替速度」で電磁弁11のON/OFFを切り替え、減速2回目よりも遅いトナー充填速度で減速3回目の充填を行う。この減速3回目においては、「理想充填量」が「精密前開始充填量」と同一である。そのため、計量器9が計測したトナー充填容器7の現在のトナー充填量が、減速3回目の「理想充填量」以上(S2のYES)のときは、「精密前開始充填量」以上(S3のYES)となる。従って、減速充填モードを終了し、精密充填モードへ移行する。
【0044】
なお、減速1回目、減速2回目において、計量器9が計測した現在のトナー充填量が「精密前開始充填量」以上のとき(S3のYES)も、減速充填モードを終了し、精密充填モードへ移行する。
【0045】
精密充填モードでは、減速3回目の電磁弁11の切替速度よりもさらに切替速度を落とし、さらに充填速度を落として充填を行う。精密充填モードも、脱気は行わずに、計量器9によりトナー充填容器7のトナー充填量を計測しながら充填を行う所謂計量充填である。
【0046】
図5に示すように、計量器9による最終計量は、精密充填モード終了してから数秒後に行われる。これは、精密充填モードが終了し空気圧駆動ポンプ5が停止した後も、トナー輸送管6やノズル管23内のトナーがトナー充填容器7へ移動し、トナー充填容器7にトナーが充填される。そのため、精密充填モード終了直後では、計量器9の計量が安定しない。従って、トナー輸送管6やノズル管23内のトナーがトナー充填容器7に落ちきって計量器9の計量が安定してから最終計量を行って、トナー充填容器7が目標充填量の誤差範囲内であるかの最終判定が行われる。
【0047】
このように、空気圧駆動ポンプ5の駆動停止後もトナー充填容器7にトナーが充填されるため、精密理想充填量は、目標充填量をよりも僅かに少なくしている。精密理想充填量は、例えば、次のようにして設定している。すなわち、精密充填モードにおける設定充填速度に基づいて、空気圧駆動ポンプ5停止時点でのトナー輸送管6およびノズル管23内のトナー量を把握する。そして、目標充填量から把握したトナー輸送管6およびノズル管23内のトナー量を差し引くことで、精密理想充填量を設定している。
【0048】
しかしながら、空気圧駆動ポンプ5は、様々な要因により実際の動作圧が狙いの動作圧から外れ、空気圧駆動ポンプ5からの吐出量のばらつきが大きく、充填速度が安定しない。また、空気圧駆動ポンプ5の移送チューブ5a内のトナー密度が変動することでも動作圧が変動する。移送チューブ5a内のトナー密度が変動することで吐出量も変動する。
【0049】
このように、動作圧の変動により充填速度が安定しないことで、空気圧駆動ポンプ5停止時点でのトナー輸送管6およびノズル管23内のトナー量にばらつきが生じる。その結果、精密充填モード終了して空気圧駆動ポンプ5を停止した後にトナー充填容器7に充填されるトナー量にばらつきが生じ、トナー充填容器7のトナー充填量が、目標充填量の誤差範囲から外れてしまうおそれがあり、最終計量がNGとなるおそれがある。
【0050】
そこで、本実施形態では、精密充填モードでは、圧力計14により計測したエアチャンバー部5bの圧力(動作圧)に基づいて、エアコンプレッサー12および真空ポンプ13をフィードバック制御している。具体的には、空気圧駆動ポンプ5のエアチャンバー部5b内の最大および最小動作圧が、図3に示す下限値と上限値との間に入るようにエアコンプレッサー12および真空ポンプ13を制御し、動作圧のピークツウピークを一定に維持している。
【0051】
図7は、動作圧調整制御の制御フロー図である。
制御部100は、精密充填モードが開始されると、圧力計14により空気圧駆動ポンプ5のエアチャンバー部5b内の動作圧を監視する。圧力計14により図3に示すような動作圧力波形が得られる。制御部100は、圧力計14により得られた動作圧力波形について複数周期(本実施形態では3周期)監視し、その複数周期において、最も大きな動作圧である最大動作圧と、最も小さな動作圧である最小動作圧とを検出する。
【0052】
図7に示すように、検出した最小動作圧が、最小動作圧下限値未満(S11のYES)で、検出した最大動作圧が、最大動作圧下限値未満(S12のYES)のときは、圧縮圧値と拡張圧値とを調整する(S13)。具体的には、現在設定されているエアコンプレッサーの圧縮空気の吐出圧力である圧縮圧値に対して規定の圧縮加算値を加算し、新たな圧縮圧値を算出する。また、現在設定されている真空ポンプ13の空気の吸気圧力である拡張圧値に対して規定の拡張減算値を減算し、新たな拡張圧値を算出する。
【0053】
検出した最小動作圧が、最小動作圧下限値未満で、検出した最大動作圧が、最大動作圧上限値を超える場合(S11のYES,S12のNO,S14のYES)は、圧縮圧値、拡張圧値を減少させる。具体的には、現在設定されている圧縮空気の圧縮圧に対して、規定の圧縮減算値を減算するとともに、現在設定されている拡張圧値に対して規定の拡張減算値を減算する(S15)。
【0054】
検出した最小動作圧が、最小動作圧下限値未満で、検出した最大動作圧が、最大動作圧下限値以上、最大動作圧上限値以下(S11のYES,S12のNO,S14のNO)のときは、最大動作圧は、狙いの範囲にある。従って、圧縮圧値は、調整せず、拡張圧値のみ現在設定されている拡張圧値に対して規定の拡張減算値を減算する(S16)。
【0055】
検出した最小動作圧が、最小動作圧上限値を超え、検出した最大動作圧が、最大動作圧下限値未満(S11のNO,S17のYES,S18のYES)のときは、圧縮圧値をと拡張圧値とを増加させる(S19)。具体的には、現在設定されている圧縮圧に対して、規定の圧縮加算値を加算するとともに、現在設定されている拡張圧値に対して規定の拡張加算値を加算する。
【0056】
検出した最小動作圧、検出動作圧がともに上限値を超える(S11のNO,S17のYES,S18のNO,S20のYES)ときは、圧縮圧値は減少させ、拡張圧値は増加させる(S21)。具体的には、現在設定されている圧縮圧に対して、規定の圧縮減算値で減算するとともに、現在設定されている拡張圧値に対して規定の拡張加算値を加算する。
【0057】
検出した最小動作圧が、最小動作圧上限値を超え、検出した最大動作圧が、最大動作圧下限値以上、最大動作圧上限値以下(S11のNO,S17のYES,S18のNO,S20のNO)のときは、最大動作圧は、狙いの範囲にある。従って、圧縮圧値は、調整せず、拡張圧値のみ、現在設定されている拡張圧値に対して規定の拡張加算値を加算する(S22)。
【0058】
検出した最小動作圧が、最小動作圧下限値以上、最小動作圧上限値以下(S11のNO,S17のNO)のときは、最小動作圧は、狙いの範囲にある。従って、このときは、拡張圧値は調整しない。そして、検出した最大動作圧が、最大動作圧下限値未満(S11のNO,S17のNO,S23のYES)のときは、圧縮圧値を増加させる(S24)。一方、検出した最大動作圧が、最大動作圧上限値を超える(S11のNO,S17のNO,S23のNO,S25のYES)のときは、圧縮圧値を減少させる。例えば、制御部100は、ステップS26において現在設定されている圧縮圧値から圧縮減算値を減算する。
【0059】
一方、最小動作圧、最大動作圧ともに、下限値以上、上限値以下(S11のNO,S17のNO,S23のNO,S25のNO)のときは、最小動作圧、最大動作圧ともに、狙いの範囲にある。従って、このときは、圧縮圧値、拡張圧値ともに調整しない。
【0060】
制御部100は、図7のフローによって設定された拡張圧値(吸気圧)となるように真空ポンプ13を制御し、設定された圧縮圧値(吐出圧)となるようにエアコンプレッサー12を制御する。
【0061】
最小動作圧が、最小動作圧下限値未満のとき(S11のYES)は、S13,S15,S16に示すように、現在設定されている拡張圧値に対して規定の拡張減算値を減算し、真空ポンプ13の拡張圧(吸気圧)を減少させる。拡張圧(吸気圧)が減少することで、真空ポンプ13によるエアチャンバー部5b内の負圧が低減され、最小動作圧が上昇し、最小動作圧を下限値以上にできる。これにより、最小動作圧を、最小動作圧の下限値と上限値との間に調整することができる。
【0062】
最小動作圧が、最小動作圧上限値を超えるとき(S11のNO,S17のYES)は、現在設定されている拡張圧値に対して規定の拡張加算値を加算し、真空ポンプ13の拡張圧(吸気圧)を増加させる(S19,S21,S22参照)。拡張圧(吸気圧)が増加ことで、真空ポンプ13によるエアチャンバー部5b内の負圧が高まり、最小動作圧が減少し、最小動作圧を最小動作圧上限値以下にできる。これにより、最小動作圧を、最小動作圧の下限値と上限値との間に調整することができる。
【0063】
このように、最小動作圧が最小動作圧下限値と上限値との間に入るように、真空ポンプ13の拡張圧(吸気圧)を調整することで、移送チューブ5aに吸引されるトナー量を一定に維持できる。
【0064】
最大動作圧が、最大動作圧下限値未満のとき(S12のYES,S18YES,S23YES)は、現在設定されている圧縮圧値に対して規定の圧縮加算値を加算し、エアコンプレッサー12の圧縮圧(吐出圧)を増加させる(S13、SS19、S24参照)。圧縮圧(吐出圧)が増加することで、エアコンプレッサー12によるエアチャンバー部5b内の正圧が高まり、最大動作圧が上昇し、最大動作圧を最大下限値以上にできる。これにより、最大動作圧を、最大動作圧の下限値と上限値との間に調整することができる。
【0065】
最大動作圧が、最大動作圧上限値を超えるとき(S14のYES,S20のYES、S25のYES)は、現在設定されている圧縮圧に対して規定の圧縮減算値で減算し、エアコンプレッサー12の圧縮圧(吐出圧)を減少させる(S15,S21,S26参照)。圧縮圧が減少することで、エアコンプレッサー12によるエアチャンバー部5b内の正圧が弱まり、最大動作圧が減少し、最大動作圧を最大動作圧上限値以下にできる。これにより、最大動作圧を、最大動作圧の下限値と上限値との間に調整することができる。
【0066】
このように、最大動作圧が最大動作圧下限値と上限値との間に入るように、エアコンプレッサー12の圧縮圧(吐出圧)を調整することで、移送チューブ5aから吐出されるトナー量を一定に維持できる。
【0067】
このように、真空ポンプ13およびエアコンプレッサー12を制御して、最小動作圧および最大動作圧を下限値と上限値との間に入るようにすることで、精密充填モードにおける充填速度を一定に維持することができる。その結果、トナー充填容器7内のトナー充填量が精密理想充填量となり、空気圧駆動ポンプ5を停止したときのトナー輸送管6およびノズル管23内のトナー量のばらつきを抑制できる。よって、空気圧駆動ポンプ5を停止した後にトナー充填容器7に充填される充填量をほぼ一定にでき、精度よくトナー充填容器7内のトナー充填量を、目標の充填量にすることができる。
【0068】
なお、上述では、現在の圧縮圧値および拡張圧値に対して規定の値を加算または減算しているが、これに限られない。例えば、検出した動作圧と、動作圧下限値と上限値との間の中央値との差分値を求め、その差分値に基づいて減算値または加算値を求めるようにしてもよい。
【0069】
また、上述では、移送チューブ5aに動作圧をかける圧力媒体として空気(気体)を用いているが、上記圧力媒体としては、油などの液体を用いてもよい。また、空気圧駆動ポンプ5として、移送搬送路の一部を弾性の薄膜とし、その薄膜に動作圧をかけて移送搬送路を拡張/伸縮させるダイヤフラムポンプを用いてもよい。
【0070】
また、上述では、粉体としてトナーを用いた場合について説明したが、粉体としてはトナーに限られず、例えば、粉末状や顆粒状の薬剤および食材であってもよい。
【0071】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
トナー貯留タンク2などの粉体貯留部に貯留されたトナーなどの粉体をトナー充填容器7などの粉体充填容器に充填するトナー充填装置1などの粉体充填装置において、容積が可変に構成された移送チューブ5aなどの容積可変部および容積可変部にかける動作圧を増減させて容積可変部の容積を変動させるポンプ駆動部10などの圧力増減手段を有し、容積可変部の容積の変動で粉体を移送する空気圧駆動ポンプ5などの容積式ポンプと、粉体充填容器に充填された粉体重量を計量する計量器9などの粉体計量手段と、粉体搬送路にかかる動作圧を検知する圧力計14などの動作圧検知手段とを備え、粉体充填容器に所定量の粉体が充填された後、粉体計量手段により粉体充填容器の粉体量を計測しながら粉体充填容器の粉体量が目標の粉体量となるように粉体の充填を行う精密充填モードを有し、精密充填モードのときは、動作圧検知手段の検知結果に基づいて、圧力増減手段を制御しながら粉体充填容器に粉体の充填を行う。
特許文献1に記載のように搬送オーガにより粉体を搬送する場合、搬送オーガの回転によって粉体に加圧等のストレスを与えることになり、粉体を劣化させるおそれがある。また、搬送オーガの回転による加圧等のストレスによって粉体同士が付着し凝集体をつくり、粉体搬送路を塞ぎ、粉体の充填ができないおそれがある。
これに対し、本実施形態では、粉体の搬送に容積式ポンプを用いることで、搬送オーガによる粉体搬送に比べて粉体にかかるストレスを抑制できる。これにより、粉体の劣化や粉体搬送路内での粉体の凝集を抑制することができる。
ポンプを停止したらただちに粉体充填容器への充填が停止するのではなく、停止後もポンプと粉体充填容器との間の粉体搬送路内の粉体が粉体充填容器に充填される。そのため、上述したように、本実施形態では、精密充填モードにおいて、粉体計量手段が、粉体充填容器の粉体量が目標の粉体量の手前の粉体量を計測したら、ポンプを停止するようにしている。上記「手前の粉体量」は、精密充填モード時の設定充填速度に基づいてポンプと粉体充填容器との間の粉体搬送路内の粉体がどのくらいあるかを把握した粉体量を、目標の粉体量から差し引いた粉体量である。
しかし、上記容積式ポンプによる粉体搬送においては、様々な要因により実際の動作圧が狙いの動作圧から外れ、充填速度(単位時間当たりの充填粉体量)が安定しない。その結果、ポンプ停止時のポンプと粉体充填容器との間の粉体搬送路内の粉体量がばらつき、粉体充填容器の粉体量が目標の粉体量にならないおそれがあった。
そこで、態様1では、粉体充填容器に所定量の粉体が充填された後に実行する精密充填モードにおいて、動作圧検知手段により実際に容積可変部にかかっている動作圧を検知し、その検知結果に基づいて圧力増減手段を制御して充填を行うようにした。これにより、例えば、動作圧検知手段により実際に容積可変部にかかっている動作圧が狙いの動作圧よりも低いときは、圧力増減手段の圧力を高めることで、容積可変部にかかる動作圧を狙いの動作圧にすることができる。また、動作圧検知手段により実際に容積可変部にかかっている動作圧が狙いの動作圧よりも高いときは、圧力増減手段により発生させる圧力を弱めることで、容積可変部にかかる動作圧を狙いの動作圧にすることができる。これにより、精密充填モードにおいて、充填速度を安定的に設定充填速度で充填を行うことができる。その結果、粉体充填容器に充填される粉体量を精度よく目標の粉体量にすることができる。
【0072】
(態様2)
態様1において、トナー充填容器7などの粉体充填容器内を脱気する脱気ポンプ20などの脱気手段を備え、脱気手段により粉体充填容器内を脱気しながら所定時間粉体充填容器に粉体を充填する高速充填モードなどの初期充填モードと、初期充填モードの終了後に、粉体充填容器に所定量の粉体が充填されるように計量器9などの粉体計量手段により粉体重量を計量しながら初期充填モードよりも遅い充填速度で充填を行う減速充填モードとを有し、精密充填モードは、減速充填モード終了後に実行され、減速充填モードよりも遅い充填速度で粉体の充填が行われる。
これによれば、実施形態で説明したように、充填時間の短縮化を図ることができ、トナー充填容器7などの粉体充填容器から粉体が溢れるのを抑制し、かつ、精度よく粉体充填容器内の粉体量を目標の粉体量にすることができる。
【0073】
(態様3)
態様2において、減速充填モードは、充填速度を複数回に分けて減速する。
これによれば、実施形態で説明したように、トナー充填容器7などの粉体充填容器内の粉体量の目標の粉体量に対する差に応じて、充填速度を減速することができ、充填速度のばらつきによる粉体充填容器からの粉体の溢れを抑制し、かつ、充填時間の短縮化を図ることができる。
【0074】
(態様4)
態様3において、初期充填モードでの粉体充填量に基づいて、減速充填モードの各充填速度で充填する粉体量を決定する。
これによれば、トナー充填容器7などの粉体充填容器内の粉体量の目標の粉体量に対する差に応じて、充填速度を減速することができ、粉体充填容器からの粉体の溢れを抑制し、かつ、充填時間の短縮化を図ることができる。
【0075】
(態様5)
態様2乃至4いずれかにおいて、高速充填モードなどの初期充填モードの実行時間は、過去複数回の充填速度の平均値に基づいて決定する。
これによれば、実施形態で説明したように、高速充填モードなどの初期充填モード終了時のトナー充填容器7などの粉体充填容器内の粉体量のばらつきを抑制することができる。
【0076】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、精密充填モードのときは、圧力計14などの動作圧検知手段の検知結果に基づいて、動作圧のピークツウピークが所定範囲に維持されるように、ポンプ駆動部10などの圧力増減手段を制御する。
これによれば、実施形態で説明したように、精密充填モード時の充填速度を一定に維持することができ、精度よく粉体充填容器内の粉体量を目標の粉体量にすることができる。
【0077】
(態様7)
トナー貯留タンク2などの粉体貯留部に貯留されたトナーなどの粉体をトナー充填容器7などの粉体充填容器に充填する粉体充填方法において、容積が可変に構成された移送チューブ5aなどの容積可変部および容積可変部にかける動作圧を増減させて容積可変部の容積を変動させるポンプ駆動部10などの圧力増減手段を有し、容積可変部の容積の変動で粉体を移送する空気圧駆動ポンプ5などの容積式ポンプを備え、粉体充填容器に所定量の粉体が充填された後、計量器9などの粉体計量手段により粉体充填容器の粉体量を計測しながら粉体充填容器の粉体量が目標の粉体量となるように粉体の充填を行う精密充填モードのとき、圧力計14などの動作圧検知手段により容積可変部にかかる動作圧を検知し、その検知結果に基づいて圧力増減手段を制御しながら粉体充填容器に粉体の充填を行う。
これによれば、態様1と同様、粉体に与えるストレスを抑制し、かつ、精度よく粉体充填容器の粉体量を目標の粉体量にすることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 :トナー充填装置
2 :トナー貯留タンク
2a :トナー導入管
3 :流動化部
4 :トナー吸引管
5 :空気圧駆動ポンプ
5a :移送チューブ
5b :エアチャンバー部
6 :トナー輸送管
7 :トナー充填容器
8 :ノズル
9 :計量器
10 :ポンプ駆動部
11 :電磁弁
12 :エアコンプレッサー
13 :真空ポンプ
14 :圧力計
20 :脱気ポンプ
21 :ノズル昇降機
22 :トナー吐出部
23 :ノズル管
30 :流動化エア供給部
100 :制御部
101 :タイマー
T :トナー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特許第4860777号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7