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特開2024-58625蒸気送達装置および関連する気相反応器ならびに使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058625
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】蒸気送達装置および関連する気相反応器ならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/448 20060101AFI20240418BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240418BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/31 B
B01J7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175159
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】63/415,901
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・ロドリゲス
【テーマコード(参考)】
4G068
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4G068DA04
4G068DB06
4G068DC04
4G068DD01
4G068DD11
4G068DD13
4G068DD15
4K030AA16
4K030AA17
4K030EA01
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA09
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA12
4K030LA15
5F045AA03
5F045AA15
5F045AC11
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045EE02
5F045EE07
5F045EE10
5F045EE19
5F045EK06
5F045GB06
(57)【要約】
【課題】流動層中の固体原料前駆体粒子からガス状前駆体を生成するように構成された蒸気送達装置を提供する。
【解決手段】流動層中の固体原料前駆体粒子からガス状前駆体を生成するように構成された蒸気送達装置が開示されている。加えて、固体前駆体の流動層を含む蒸気送達装置を含む気相反応器も開示されている。流動層を含む蒸気送達システムを監視および制御するための方法も開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相反応器で使用するために、固体原材料をガス状前駆体に変換するように構成された蒸気送達装置であって、
容器内部を備える容器と、
前記容器内部内に配置された流動層領域であって、複数の固体前駆体粒子を含有するように構成された流動層領域と、
前記流動層領域を加熱するように構成された加熱システムと、
キャリアガスが、前記複数の固体前駆体粒子を通って上向きに流れて、前記流動層領域内に流動層を形成する時に、前記複数の固体前駆体粒子にわたる圧力降下(ΔP)を監視することによって、差圧信号(ΔP)を生成するように構築および配設された圧力感知システムと、
前記圧力感知システムから前記差圧信号(ΔP)を受信して、前記流動層領域内の前記複数の固体前駆体粒子の残存重量(W)を計算するように構築および配設された制御システムと、を備える装置。
【請求項2】
前記圧力感知システムが、前記流動層領域の上流に配置された第一の圧力センサ、および前記流動層領域の下流に配置された第二の圧力センサといった、二つの圧力センサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧力感知システムが、前記流動層領域の上流に流体連結された第一のポート、および前記流動層領域の下流に流体連結された第二のポートといった、二つのポートを備える差圧センサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御システムに結合された警報システムをさらに備え、前記警報システムが、前記原料容器内の前記複数の固体前駆体粒子の前記残存重量が所定の最小値に達した時に、前記制御システムから生成される警報信号によって起動されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記差圧信号(ΔP)の変動を低減するように構成されたローパスフィルタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ローパスフィルタが、前記原料容器の下流に配置されたバッファボリューム、または前記制御システム内に配置された電気回路のうちの少なくとも一つを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
キャリアガス入口と、前記流動層領域の上流に配置された分配プレートと、をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記流動層領域の下流に配置され、かつ前記生成されたガス状前駆体から固体前駆体粒子を濾過するように構成されたフィルタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載の蒸気送達装置と流体連通している気相反応器。
【請求項10】
基材の蒸気処理のために構成された気相反応器であって、
蒸気送達装置であって、
キャリアガス入口と、
前記蒸気送達装置の内部容積内に配置された流動層領域であって、キャリアガスが複数の固体前駆体粒子を持ち上げ撹拌して、流動層を形成することを可能にするように構築および配設された、流動層領域と、
前記流動層領域を加熱するように構成されたヒーターと、
前記流動層領域の下流に配置された前駆体ガス出口と、
前記流動層にわたる圧力降下(ΔP)を監視して、前記圧力降下から差圧信号(ΔP)を生成するように構築および配設された圧力感知システムと、を備える、蒸気送達装置と、
前記蒸気送達装置と流体連通している気相反応チャンバであって、前記蒸気送達装置で生成されるガス状前駆体を受容するように構成されている、気相反応チャンバと、
前記圧力感知システムから前記差圧信号(ΔPs)を受信して、前記流動層の残存重量を計算するように構築および配設された反応器制御システムと、
前記反応器制御システムに結合された警報システムであって、前記流動層の前記重量が所定の最小値に達した時に、前記反応器制御システムから生成される信号によって起動されるように構成されている、警報システムと、を備える、気相反応器。
【請求項11】
前記差圧信号(ΔP)の変動を低減するように構成されたローパスフィルタをさらに備える、請求項10に記載の気相反応器。
【請求項12】
前記ローパスフィルタが、前記原料容器の上流に配置されたバッファボリューム、または前記制御ユニット内に配置された電気回路のうちの少なくとも一つを備える、請求項11に記載の気相反応器。
【請求項13】
蒸気送達システムを監視および制御するための方法であって、
キャリアガスを複数の固体原料粒子を通して上向きに流して、初期層重量を有する流動層を形成することと、
前記複数の固体原料粒子の一部分を気化することによって、前記流動層からガス状前駆体を生成することと、
前記ガス状前駆体が生成される際に、前記流動層にわたる圧力差(ΔP)を監視することと、
前記複数の固体原料粒子の一部分の前記気化の結果として前記層重量が減少する際に、前記流動層内の前記残存層重量を計算することと、
前記残存層重量が所定の最小値よりも小さい時に、警報システムを起動することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記流動層にわたる前記差圧(ΔP)を監視することが、圧力感知システムを利用して前記差圧(ΔP)を監視することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記圧力感知システムが、前記流動層の上流に配置された第一の圧力センサ、および前記流動層の下流に配置された第二の圧力センサといった、少なくとも二つの圧力センサを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記圧力感知システムが、前記流動層の上流に流体連結された第一のポート、および前記流動層の下流に流体連結された第二のポートといった、二つのポートを備える差圧センサを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記層重量が減少する際に、前記流動層内の前記残存層重量を計算することが、前記圧力感知システムと通信する制御システムによって実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記警報システムを起動することが、一つ以上のさらなるプロセスを開始し、前記プロセスが、追加的な固体前駆体粒子で前記蒸気送達システムの再充填を開始すること、またはガス状前駆体の生成を停止することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記監視された差圧(ΔP)の任意の変動を低減するために、ローパスフィルタを用いることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記ローパスフィルタが、前記原料容器の上流に配置されたバッファボリューム、または前記制御システム内に配置された電気回路のうちの少なくとも一つを備える、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、半導体処理装置および方法の分野に関する。特に、本開示は、概して、蒸気送達装置、関連する気相反応器、ならびに前記装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスおよび集積回路の製造は、多くの場合、適切な基材上への材料の蒸着を必要とする。例えば、蒸着方法は、化学蒸着(CVD)および原子層堆積(ALD)を含みうるが、これらに限定されない。蒸着に適した原材料の拡大は、次第に、室温および大気圧で自然の状態で固体である原材料の使用につながってきた。
【0003】
固体原料から生成されるガス状前駆体を使用して材料を効果的に堆積させるために、固体材料は気化されなければならない。この目標を追い求めて、固体原材料の気化を実現するために、蒸気送達装置を使用することができる。例えば、こうした蒸気送達装置は、固体原材料の蒸気圧を増加させるために、一つ以上の熱源を用いることができる。
【0004】
残念ながら、既存の蒸気送達装置はいくつかの欠点を有する可能性がある。例えば、固体原料を気化するように構成された蒸気送達システムは、固体原料表面積と所望の蒸気体積の不適切な比率、および/またはキャリアガス/原材料の不十分な接触時間を提供しうる。加えて、現在の蒸気送達システムは、キャリアガスが、固体原材料と密接に接触することなく、蒸気送達装置の入口から出口へと流れることを可能にし、それ故にキャリアガスが前駆体蒸気で飽和するのを妨げる可能性がある。
【0005】
加えて、蒸気送達装置は、動作中の装置内の原材料の残存重量を決定するためにサブシステムを用いて構成されることがよくある。原材料の再充填がいつ必要であるか決定するために、原材料の残存重量を決定することが望ましい。加えて、原材料の残存重量を決定することは、生産損失、ウエハ廃棄物、および関連する財務損失をもたらしうる、空の、またはほぼ空の原料でウエハを処理する可能性を防止することができる。従って、蒸発システム内に残っている固体原料の重量を効果的に監視しながら、固体原材料の効率的な気化を可能にする装置、システム、および方法が望ましい。
【0006】
この章に記載される問題および解決策の考察を含む任意の考察は、本開示のコンテキストを提供する目的のためにのみ、この開示に含まれるものである。こうした考察は、本発明が行われた時点で、あるいは、先行技術を構成する時点で、情報のいずれかまたはすべてが既知であったことを認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
この発明の概要は、選択された概念を単純化した形態で紹介する場合があり、これは以下でさらに詳細に説明される場合がある。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを必ずしも意図してはおらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0008】
蒸気装置が提供される。蒸気送達装置は、気相反応器で使用するために、固体原材料をガス状前駆体に変換するように構成されている。蒸気送達装置は、容器内部を備える容器と、容器内部内に配置された流動層領域であって、複数の固体前駆体粒子を含有するように構成された流動層領域と、流動層領域を加熱するように構成された加熱システムと、キャリアガスが複数の固体前駆体粒子を通って上方に流れて、流動層領域内に流動層を形成する時に、複数の固体前駆体粒子にわたる圧力降下(ΔP)を監視することによって、差圧信号(ΔP)を生成するように構築および配設された圧力感知システムと、圧力感知システムから差圧信号(ΔP)を受信して、流動層領域内の複数の固体前駆体粒子の残存重量(W)を計算するように構築および配設された制御システムと、を備える。
【0009】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、圧力感知システムが、流動層領域の上流に配置された第一の圧力センサ、および流動層領域の下流に配置された第二の圧力センサといった、二つの圧力センサを備えることを含んでもよい。
【0010】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、圧力感知システムが、流動層領域の上流に流体連結された第一のポート、および流動層領域の下流に流体連結された第二のポートといった、二つのポートを備える差圧センサを備えることを含んでもよい。
【0011】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、制御システムに結合された警報システムを備えてもよく、警報システムは、原料容器内の複数の固体前駆体粒子の残存重量が所定の最小値に達した時に、制御システムから生成される警報信号によって起動されるように構成されている。
【0012】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、差圧信号(ΔP)の変動を低減するように構成されたローパスフィルタを含んでもよい。
【0013】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、ローパスフィルタが、原料容器の下流に配置されたバッファボリューム、または制御システム内に配置された電気回路のうちの少なくとも一つを含むことを含んでもよい。
【0014】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、キャリアガス入口と、流動層領域の上流に配置された分配プレートとを含んでもよい。
【0015】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、流動層領域の下流に配置され、かつ生成されたガス状前駆体から固体前駆体粒子を濾過するように構成されたフィルタを含んでもよい。
【0016】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、蒸気送達装置と流体連通している気相反応器を含んでもよい。
【0017】
気相反応器も提供される。気相反応器は、基材の蒸気処理のために構成され、蒸気送達装置を含む。蒸気送達装置は、キャリアガス入口と、蒸気送達装置の内部容積内に配置された流動層領域であって、キャリアガスが複数の固体前駆体粒子を持ち上げて撹拌して流動層を形成することを可能にするように構築および配設された流動層領域と、流動層領域を加熱するように構成されたヒーターと、流動層領域の下流に配置された前駆体ガス出口と、流動層にわたる圧力降下(ΔP)を監視し、前記圧力降下から差圧信号(ΔP)を生成するように構築および配設された圧力感知システムと、蒸気送達装置と流体連通している気相反応チャンバであって、蒸気送達装置内で生成された気体前駆体を受容するように構成された気相反応チャンバと、圧力感知システムから差圧信号(ΔP)を受信して、流動層の残存重量を計算するように構築および配設された反応器制御システムと、反応器制御システムに結合された警報システムであって、流動層の重量が所定の最小値に達した時に、反応器制御システムから生成される信号によって起動されるように構成された警報システムと、を備える。
【0018】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、差圧信号(ΔP)の変動を低減するように構成されたローパスフィルタを含んでもよい。
【0019】
上述の特徴のうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、ローパスフィルタが、原料容器の上流に配置されたバッファボリューム、または制御ユニット内に配置された電気回路のうちの少なくとも一つを含むことを含んでもよい。
【0020】
蒸気送達システムを監視および制御するための方法も提供される。方法は、キャリアガスを複数の固体原料粒子を通して上方に流して、初期層重量を有する流動層を形成することと、複数の固体原料粒子の一部分を気化することによって、流動層からガス状前駆体を生成することと、ガス状前駆体が生成される際に、流動層にわたる圧力差(ΔP)を監視することと、複数の固体原料粒子の一部分の気化の結果として層重量が減少するにつれて、流動層内の残存層重量を計算することと、残存層重量が所定の最小値よりも小さい時に警報システムを起動することと、を含む。
【0021】
上述のプロセスのうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、流動層にわたる差圧(ΔP)を監視することを含んでもよく、これは圧力感知システムを利用して差圧(ΔP)を監視することを含む。
【0022】
上述のプロセスのうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、圧力感知システムが、流動層の上流に配置された第一の圧力センサ、および流動層の下流に配置された第二の圧力センサの、少なくとも二つの圧力センサを備えることを含んでもよい。
【0023】
上述のプロセスのうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、圧力感知システムが、流動層の上流に流体連結された第一のポート、および流動層の下流に流体連結された第二のポートの、二つのポートを備える差圧センサを備えることを含んでもよい。
【0024】
上述のプロセスのうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、層重量が減少するにつれて、流動層内の残存層重量を計算することが、圧力感知システムと連通している制御システムによって実施されることを含んでもよい。
【0025】
上述のプロセスのうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、警報システムを起動させることが一つ以上のさらなるプロセスを開始することを含んでもよく、前記プロセスは、追加的な固体前駆体粒子で蒸気送達システムの再充填を開始すること、またはガス状前駆体の生成を停止することを含む。
【0026】
上述のプロセスのうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、監視される差圧信号(ΔP)の任意の変動を低減するためにローパスフィルタを用いることを含んでもよい。
【0027】
上述のプロセスのうちの一つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施例は、ローパスフィルタが、原料容器の上流に配置されたバッファボリューム、または制御システム内に配置された電気回路のうちの少なくとも一つを含むことを含んでもよい。
【0028】
当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のある特定の実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなる。本発明は、開示された任意の特定の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示の実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、詳細な説明および特許請求の範囲を参照することによって得られる場合がある。
【0030】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態による例示的な蒸気送達装置を示す。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態によるさらなる例示的な蒸気送達装置を示す。
図3図3は、本開示の例示的な実施形態による蒸気送達装置を用いた例示的な気相反応器を示す。
図4図4は、本開示の実施形態による蒸気送達装置内の固体原料の枯渇を監視するための例示的な方法を示す。
【0031】
当然のことながら、図内の要素は単純および明瞭のために例示されており、また必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に提供される方法、構造体、デバイス、および装置の例示的な実施形態の説明は単なる例示であり、例示のみを目的としており、以下の説明は、本開示の範囲も特許請求の範囲も限定することを意図しない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態も、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態をも排除することを意図していない。例えば、様々な実施形態が例示的な実施形態として記載され、また従属請求項において列挙されてもよい。別段の記載のない限り、例示的な実施形態またはその構成要素は、組み合わされてもよく、または互いに分離して適用されてもよい。
【0033】
本開示において、「ガス」は、常温常圧(NTP)にて気体である材料、気化した固体、および/または気化した液体を含むことができ、また状況に応じて単一の気体、また気体の混合物によって構成されることができる。プロセスガス以外のガス、すなわち、ガス分配アセンブリ、他のガス分配装置、またはこれに類するものを通過することなく導入されるガスは、例えば、反応空間を密封するために使用することができ、またシールガスを含むことができる。前駆体および反応物質はガスでありうる。例示的なシールガスには、希ガス、窒素、およびこれに類するものが含まれる。一部の事例では、「前駆体」という用語は、別の化合物を生成する化学反応に関与する化合物、および具体的には膜マトリクスまたは膜の主骨格を構成する化合物を指すことができ、「反応物質」という用語は、前駆体という用語と同じ意味で使用することができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、本開示の一実施形態による方法によって、デバイス、回路、層、もしくは膜を形成するために使用することができる、またはデバイス、回路、もしくは膜をその上に形成することができる、任意の下地材料を指すことができる。基材は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)などのバルク材料、ゲルマニウムなどの他の第IV族材料、または第II-VI族、第III-V族、もしくは第IV-IV族半導体材料などの他の半導体材料を含むことができ、かつバルク材料の上にある、または下にある一つ以上の層を含むことができる。さらに、基材は、基材の層の少なくとも一部分の中またはその上に形成される凹部、突出部、およびこれに類するものなどの、様々な特徴を含むことができる。例として、基材は、バルク半導体材料と、バルク半導体材料の少なくとも一部分の上にある絶縁または誘電材料層とを含むことができる。さらに、「基材」という用語は、使用されてもよい、またはその上にデバイス、回路、もしくは膜が形成されてもよい、任意の下地材料を指す場合がある。「基材」は、連続的または不連続的、剛性または可撓性、中実または多孔質であってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素などの材料から作製されてもよい。連続基材は、堆積プロセスが生じる、プロセスチャンバの境界を越えて延在してもよく、かつ、連続基材は、基材の端部に到達するまでプロセスが継続するように、プロセスチャンバを通って移動してもよい。連続基材は、任意の適切な形態での連続基材の製造および出力を可能にする、連続基材供給システムから供給されてもよい。連続基材の非限定的な例としては、シート、不織布膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントまたは繊維(すなわち、セラミック繊維またはポリマー繊維)の束が挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと取り付けられる担体またはシートを含んでもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「膜」および/または「層」という用語は、本明細書に開示される方法によって堆積される材料などの、任意の連続的または非連続的な構造および材料を指すことができる。例えば、膜および/または層としては、二次元材料、三次元材料、ナノ粒子、部分的もしくは完全な分子層、または部分的もしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスタを挙げることができる。膜または層は、基材の表面上の複数の分散した原子を含んでもよく、またはそれらのうち少なくとも部分的でもよく、および/または基材内にあってもよく、もしくは基材内に埋め込まれるようになってもよく、および/またはその基材上に製造されたデバイスに埋め込まれてもよく、もしくは埋め込まれるようになってもよい。膜または層は、ピンホールおよび/または分離された島を有する材料または層を備えてもよい。膜または層は、少なくとも部分的に連続的であってもよい。膜または層は、パターン形成され(例えば、細分され)てもよく、複数の半導体デバイス中に含まれてもよい。膜または層は、基材の一部の部分上で選択的に成長してもよく、他の部分上で成長しなくてもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、「堆積プロセス」という用語は、前駆体(および/または反応物質)を反応チャンバの中に導入して、基材の上に層を堆積させることを指すことができる。「周期的堆積プロセス」は、「堆積プロセス」の実施例である。
【0037】
「周期的堆積プロセス(cyclic deposition process)」または「周期的堆積プロセス(cyclical deposition process)」という用語は、前駆体(および/または反応物質)を反応チャンバ内へ連続的に導入して基材上に層を堆積させることを指すことができ、かつ、ALD成分と周期的CVD成分とを含む、原子層堆積(ALD)、周期的化学蒸着(周期的CVD)、およびハイブリッド周期的堆積プロセスなどの処理技術を含む。
【0038】
「原子層堆積」という用語は、堆積サイクル、典型的には複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバ内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。本明細書で使用される原子層堆積という用語は、関連する用語、例えば、前駆体/反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、または有機金属MBE、ならびに化学ビームエピタキシー、により示されるプロセスを含むことも意味する。パルスは、基材を前駆体または反応物質に曝露することを含みうる。これは、例えば、基材が存在する反応チャンバに前駆体または反応物質を導入することによって行うことができる。追加的または代替的に、基材を前駆体に曝露することは、反応物質または前駆体が存在する基材処理システム中の位置に、基材を移動させることを含むことができる。
【0039】
概して、ALDプロセスについては、各サイクル中に、前駆体は、反応チャンバの中へと導入され、そして堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積された材料または他の材料を含むことができる、基材表面)の上へと化学吸着され、また追加的な前駆体と容易に反応しない(すなわち、自己限定的な反応)材料の単分子層または準単分子層を形成する。その後、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体または反応ガス)がその後プロセスチャンバの中へと導入されてもよい。反応物質は、前駆体とさらに反応することができる。あらゆる過剰な前駆体をプロセスチャンバから除去するために、ならびに/またはあらゆる過剰な反応物および/または反応副生成物を反応チャンバから除去するために、一つ以上のサイクル中に(例えば各サイクルの各工程中に)、パージする工程を利用することができる。
【0040】
本明細書で使用される「流動層」という用語は、容器内に保持され、ガスの上向きの流れによって流動状態に誘導された複数の固体前駆体粒子(粒子の「層」とも呼ばれる)を指すことができる。流動状態は、ガスの上向きの流量が、複数の粒子に対する抗力が粒子の重量と等しくなるようなときに達成されうる。このガス流量は一般的に、最小流動化速度と呼ばれ、最小流動化速度に達すると、固体粒子は浮かび、混沌とした状態で移動し、衝突し始める。最小流動化速度を超えると、流動層にわたる圧力降下(ΔP)は、流動層内の残存粒子の重量に正比例する。
【0041】
本明細書で使用される「流動層圧力差」または「流動層圧力降下」という用語は、複数の固体粒子を通る上向きガスの流量が最小流動化速度以上である時の、流動層にわたる圧力降下(ΔP)を指すことができる。
【0042】
本明細書で使用される「層重量」または「流動層の重量」(W)という用語は、流動層内の固体前駆体粒子の重量、または残存重量を指すことができる。
【0043】
さらに本開示では、変数の任意の二つの数字は、その変数の実行可能な範囲を構成することができ、また示される任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。加えて、示された変数の任意の値は(それらが「約」を有して示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、かつ等価物を含み、また平均値、中央値、代表値、または大多数、またはこれに類するものを指してもよい。さらに、この開示では、「含む」「によって構成される」、および「有する」という用語は、一部の実施形態で、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的に成る」、または「から成る」を独立して指す。本開示において、任意の定義された意味は、一部の実施形態では、通常および慣習的な意味を必ずしも除外するものではない。
【0044】
本明細書では、用語「上に(on)」または「上に(over)」は、相対的位置関係を説明するために使用されることができることが理解されるであろう。別の要素、膜もしくは層は言及した層上に直接存在してもよく、または別の層(中間層)もしくは要素はその間に介在されてもよく、または層が言及した層上に配置されてもよいが言及した層の表面上を完全には覆わない。したがって、用語「直接」が個別に使用されていない限り、用語「上に(on)」または「上に(over)」は相対的概念であると解釈されるであろう。これと同様に、用語「下に(under)」、「下に(underlying)」、または「下方に(below)」は、相対的概念であると解釈されるであろう。
【0045】
本開示は、固体原料をガス状前駆体に変換するように適合された蒸気送達装置を含みうる。本開示はまた、流動層を用いた蒸気送達装置を含む気相反応器、および前記流動層を監視するためのシステムを含み得る。本開示はまた、流動層を用いた蒸気送達装置内の固体原料枯渇を監視するための方法を含む。
【0046】
より詳細には、気相堆積システムおよびプロセスにおけるガス状前駆体の生成のために固体原料を用いることは、多くの技術的課題をもたらしうる。例えば、固体原料から十分な蒸気を生成することは複雑でありうる。加えて、動作中に蒸発容器内の固体原料の枯渇、よって残存重量を監視することは困難でありうる。液体原料の固有の急速な蒸発速度、ならびに液体は原料容器中の液体原料の残存量に応じて、流体的に変化する容積を本質的に有するために、液体原料は前記問題の両方を回避しうる。しかしながら、適切な液体原料は、原料中の所望の要素の欠如に起因して、または液体原料の有害な性質もしくは液体原料の他の有害な特性に起因して、特定の所望の材料の堆積のために常に利用可能ではない場合がある。
【0047】
固体前駆体については、不十分な蒸気生成の問題は、キャリアガス流および熱源の両方と接触する固体原料の露出表面積を増加させることを通して、蒸発速度を強化することによって対処されうる。しかしながら、装置、システム、および方法は、固体原料蒸発速度を増加させるだけでなく、枯渇を監視し、よって蒸気送達装置内の固体原料の残存量を決定するための機構も提供することが望ましい。
【0048】
従って、本開示は、蒸気送達装置、および前記蒸気送達装置から前駆体が供給される気相反応器を含む。
【0049】
一部の実施形態では、蒸気送達装置は、容器内部と、容器内部内に配置された流動層領域とを備える容器を含むことができ、流動層領域は、複数の固体前駆体粒子を含有するように構成されている。蒸気送達装置はまた、流動層領域を加熱するように構成された加熱システムと、キャリアガスが複数の固体前駆体粒子を通って上向きに流れて、流動層領域内に流動層を形成する時に、複数の固体前駆体粒子にわたる圧力降下(ΔP)を監視することによって差圧信号(ΔP)を生成するように構築および配設された圧力感知システムと、を含むことができる。蒸気送達装置はまた、圧力感知システムから差圧信号(ΔP)を受信して、流動層領域内の複数の固体前駆体粒子の残存重量(W)を計算するように構築および配設された制御システムを含むことができる。
【0050】
従って、本開示の実施形態は、蒸気送達装置、特に、気相反応器で使用するための、固体原材料をガス状前駆体に変換するように構成された流動層を備える蒸気送達装置を記載する。
【0051】
前述したように、気相反応器における固体原材料の使用は、好適な固体材料の大部分が低い蒸気圧を呈するという事実によって影響されうる。これらの低い蒸気圧は次に、固体原材料からの可能な蒸発速度を制限し、よって、前記固体原材料から生成されるガス状前駆体の最終流量に影響を与えうる。固体材料からの蒸発速度を増加させる方法は、加熱された固体の増加した部分がキャリアガスと接触することができ、従って、蒸発した固体のより大きな部分がキャリアガス内に同伴されうるように、固体の表面積を増加させることである。
【0052】
本開示の実施形態は、流動層を用いて固体原材料の表面積を増加させる。流動層において、固体原料の表面積は、複数の固体前駆体粒子の形態の固体原料を用いることによって増大する。固体前駆体粒子は本質的に、バルク固体材料の等価重量と比較して、所与の重量に対してより大きい表面積を有する。加えて、流動層は、複数の固体前駆体粒子を持ち上げて混合し、固体原料粒子の加熱システムおよび入ってくるキャリアガスの両方への連続的な表面曝露を確保し、それによって蒸発速度およびガス状前駆体の生産をさらに改善することができる。
【0053】
図1は、本開示の例示的な蒸気送達装置100を示す。簡潔に述べると、蒸気送達装置100は、容器内部106内に配置された流動層領域104を含む容器102を備える。流動層領域104は、複数の固体前駆体粒子108を保持および含有するように構築および配設されうる。加えて、流動層領域104は、複数の固体粒子108の流動化を可能にして、容器内部106内に流動層をもたらすように(追加の構成要素と共に)構築および配設されうる。図1に図示した複数の前駆体粒子108は、流動状態、すなわち非静止状態で示されていることに留意されたい。例示的な蒸気送達装置100はまた、キャリアガス入口110および分配器プレート112を含むことができ、分配器プレート112はキャリアガス入口110の下流に配置されている。加えて、フィルタ114は、流動層領域104の下流に配置されることができ、前駆体ガス出口116は、フィルタ114の下流に配置されうる。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、本明細書に記載の装置を通るガス流の方向に関連し、「下流」はキャリアガス流の方向であり、「上流」はキャリアガス流と反対方向である。
【0054】
例示的な蒸気送達装置100は、流体化層領域104、よって容器内部106内に配置された複数の固体前駆体粒子108を加熱するように配設および構成された加熱システム118構築物をさらに含むことができる。例示的な蒸気送達装置100は、図1の例示的な実施形態における圧力センサ136および138によって部分的に図示される圧力感知システム、ならびに制御システム150および警報システム160をさらに含むことができる。
【0055】
より詳細には、図示した容器102は、側壁126、底部プレート128、および上部プレート130を含み、側壁126は、容器内部106内の流動層領域104を囲む。本開示の一部の実施形態では、容器102は、円筒(すなわち、管状)形状を有してもよいが、代替的な実施形態では、容器102は、他の形態を取ってもよい。容器102は、その範囲の一部にわたって明確に画定された内部断面積を有しうる。例えば、流動層領域104全体の容器内部106の断面積は、十分に確立された寸法を有する流動層の形成を可能にする断面積(A)を有するとして明確に画定されうる。
【0056】
例示的な蒸気送達装置100内で利用される固体原材料は、複数の固体前駆体粒子108を含んでもよい。非限定的な例として、固体前駆体粒子は、塩化ハフニウム(HfCl4)、塩化ジルコニウム(ZrCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、または塩化モリブデン(例えば、MoCl、MoOCl、またはMoOClなど)の複数の固体粒子を含んでもよい。一部の実施形態では、複数の固体粒子は、粉末、ビーズ、円筒、ロッド、フィラメント、繊維などの形態でありうる。
【0057】
容器内部106内の流動層領域104は、複数の固体前駆体粒子108を含有するように構成された領域であり、また複数の固体前駆体粒子108からの流動層の形成を可能にするように(追加の構成要素とともに)構築および配設されている。一部の実施形態では、流動層領域104は、流動層が形成、維持、および制御されうる、容器内部106内の領域として画定されうる。非限定的な例として、および図1に示すように、流動層領域104は、分配器プレート112の上面から、フィルタ114の下面まで、下面を含んで延在することができる。
【0058】
前述したように、「流動層」という用語は、粒子を持ち上げて移動させることができる流量で、固体粒子を通して上向きに通過するキャリアガスの流れを有する、固体前駆体粒子の層を指すことができる。こうした状態において、重力は、キャリアガス流の粘性力とバランスを取り、固体前駆体粒子とキャリアガスの間の相互混合が激しい流体様状態を形成する。キャリアガス流量が増加し、粒子が移動して離れる時、流動層が形成される。流動状態では、固体粒子は目に見えるほど振動してあちこち動き回ることができ、固体前駆体粒子の一部またはすべてが浮遊しうる。キャリアガス流量は、固体粒子の形状、サイズ、および密度、流動層の設計、ガス粘度、ならびに他の要因に応じて大きく変化しうることに留意されたい。流動層中の固体粒子は、重力下で自由に流れる能力、および/または流体タイプ技術を使用してポンプ注入される能力など、通常の流体の特性および特徴を有することができる。
【0059】
本開示の一部の実施形態では、キャリアガス入口110は、キャリアガスの大量の流れを図1の例示的な蒸気送達装置100に提供することができるキャリアガス源(図示せず)と流体連通している。キャリアガスは、一つ以上の不活性ガスまたは非不活性ガスを含んでもよい。不活性キャリアガスの例としては、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)、または前述のものの二つ以上の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、例えば酸素(O)などの非不活性キャリアガスを、不活性ガスの代替として使用することができる。一部の実施形態では、流動層領域104の温度および圧力で複数の固体前駆体粒子と反応しないキャリアガスを選択することができる。一部の実施形態では、キャリアガス源から供給されるキャリアガスは、流動層領域104に流動層を形成および維持することを可能にする流量を有してもよい。流動層を形成および維持するために必要な流量は、流動層領域104中の固体前駆体粒子のタイプに基づいて変化しうる。例えば、塩化ハフニウム(HfCl)などのより高い重量を有する一部の粒子は、ほぼ等しい寸法の粒子サイズを想定すると、塩化ジルコニウム(ZrCl)などのより小さい重量を有する他の粒子よりも高い流量を必要としうる。
【0060】
一部の実施形態では、キャリアガスは、分配器プレート112を介して流動層領域104に導入される。分配器プレート112は、流動化前の静止状態にある時に、複数の固体前駆体粒子を支持する働きをすることができる。加えて、分配器プレート112は、キャリアガスがそれを通って、容器内部の中に上向き方向に(キャリアガス流の方向矢印132によって示されるように)流れることを可能にする。分配器プレート112は、固体前駆体粒子がそれを通過するのを防止するために、固体前駆体粒子よりもサイズが小さい複数の開口(図示せず)を含むことができる。加えて、分配器プレート112を備える複数の開口は、最小流動化速度を超えるキャリアガスの速度を可能にするように、ならびに流動層領域104の断面積全体にわたって均一な高速キャリアガス流を提供するように構成および分配されうる。分配器プレート112は、複数の機械加工された開口を有する中実プレートを含んでもよく、または代替的に、多孔性フリットを分配器プレート112として用いてもよい。一部の実施形態では、キャリアガス入口110および分配器プレート112は、流動層領域104の上流に配置される。
【0061】
一部の実施形態では、例示的な蒸気送達装置100は、固体前駆体粒子が容器102から漏れ出るのを防止するために用いられるフィルタ114を含むことができる。フィルタ114は、複数の前駆体粒子108よりも小さい開口部を含むことができる。他の実施形態では、フィルタ112は省略されてもよく、またフィルタは、例えば、蒸気送達装置100と流体連通している反応チャンバ(図示せず)の前駆体入口の前に、蒸気送達システム100の外側に位置付けられてもよい。従って、本開示の一部の実施形態では、蒸気送達装置100は、流動層領域104の下流に配置され、かつ生成された前駆体から固体前駆体粒子を濾過するように構成されたフィルタ112をさらに備えてもよい。
【0062】
例示的な蒸気送達装置100は、容器内部106内に配置された複数の固体前駆体粒子108から形成される蒸発したガス状前駆体の出口として機能する前駆体ガス出口116をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、前駆体ガス出口116は、ガスラインを介して反応チャンバと流体連通している。前駆体ガス出口116には、生成されたガス状前駆体内に同伴された前駆体の濃度を測定および/または制御するように構成された随意の監視装置134が提供されてもよい。例えば、前駆体濃度監視装置134は、赤外線または紫外線センサを備えてもよい。
【0063】
一部の実施形態では、蒸気送達装置100は、容器内部106内の流動層領域104を加熱するように構成された加熱システム118をさらに含むことができる。より詳細には、加熱システム118は、流動層領域104およびその中に配置された複数の固体前駆体粒子108を、固体前駆体粒子の蒸発が促進される温度に加熱する働きをする。加熱システム118は、放射ヒーターおよび/または抵抗ヒーターを備えてもよい。図1に示す図示した実施形態において、抵抗ワイヤは、容器側壁126の周りにらせん状に巻かれる。他の実施形態では、加熱システムは、容器内部106の内側に位置付けられたヒーターロッドまたは他の内部加熱機構を含んでもよい。さらに他の実施形態では、蒸気送達システム100は、分配器プレート112とキャリアガス入口110の間に配置された加熱システムを含んでもよい。さらなる実施形態において、蒸気送達装置100は、誘導、マイクロ波、および/または光を使用して、容器内部106内の流動層領域104を加熱してもよい。一部の実施形態では、前述のまたは様々な他のタイプのヒーターおよび加熱システムの組み合わせは、流動層領域104およびその中に配置された複数の固体前駆体粒子108を加熱するために適合されうる。加熱システム118が容器壁126を加熱するか、またはより直接的に流動層領域104を加熱するかにかかわらず、流動層領域104は、複数の固体前駆体粒子108への効率的な熱分布を促進する。加熱された固体前駆体粒子の高い表面積は、効率的な蒸発速度、および気化した前駆体内のキャリアガスの飽和をより容易にすることを促進する。
【0064】
一部の実施形態では、図1の蒸気送達装置100はまた、圧力感知システムを含む。例示的な圧力感知システムが図1に示され、第一の圧力センサ136および第二の圧力センサ138、ならびに通信リンク(二重線140および142によって図示される)を備えてもよい。通信リンク140および142は、圧力制御システムとコントローラ150の間で情報を伝達するための電気的、光学的、または他の手段を備えてもよい。代替的な実施形態において、通信リンク140および142は省略されてもよく、圧力感知システムとコントローラ150の間の通信は無線で実施されてもよい。圧力感知システムは、キャリアガスが、最小流動化流量を上回る流量で複数の固体粒子を通って上向きに通過して、流動層領域104内に流動層を形成する時に、複数の固体前駆体粒子にわたる圧力降下(ΔP)を監視することによって、差圧信号(ΔP)を生成するように構築および配設されうる。
【0065】
より詳細には、流動層内の残存固体粒子の重量は、流動層にわたる圧力降下(ΔP)を監視することによって決定することができる。簡潔に述べると、キャリアガス流が最小流動化速度を超えるときの流動層にわたる圧力降下は、式(I)によって表すことができる。
【数1】
式中、ΔPは流動層にわたる圧力降下であり、Mは流動層中の固体の総残存質量であり、gは重力による加速度であり、Aは流動層の断面積であり、ρは固体粒子の見かけ密度であり、ρは流動流体(すなわち、キャリアガス)の密度である。本開示の実施形態では、キャリアガス密度は、固体粒子の密度と比較して極小であり、従って、式(I)の第二の項は無視することができる。加えて、Mgの項は、流動層内の残存粒子の重量(W)と等しい。従って、流動層にわたる圧力降下(ΔP)は、式(II)によって表すことができる。
【数2】
【0066】
従って、本開示の実施形態では、流動層にわたる圧力降下(ΔP)を監視し、流動層(A)の断面積、すなわち、流動層領域104の断面積を知ることにより、流動層(W)内の固体前駆体粒子の残存重量を決定することが可能になる。
【0067】
容器内部106内に配置された流動層にわたる圧力降下または差圧は、様々な手段によって決定されてもよい。本開示の一部の実施形態では、流動層にわたる圧力降下(ΔP)は、二つの圧力センサを備える圧力感知システムによって決定および監視されうる。図1に示すように、本開示の例示的な蒸気送達システム100は、流動層領域104の上流に配置された第一の圧力センサ136、および流動層領域104の下流に配置された第二の圧力センサ138といった、二つの圧力センサを備える圧力感知システムを備えてもよい。第一の圧力センサ136および第二の圧力センサ138は、圧電圧力センサ、静電容量型圧力センサ、マノメーターなどのうちの一つ以上を含んでもよい。当然のことながら、図1に示す第一および第二の圧力センサ(136、138)の位置は例示的であり、本開示の代替的な実施形態は、第一および第二の圧力センサを代替的な位置に位置付ける一方で、流動層にわたる圧力降下(ΔP)の測定を依然として可能にしうる。例えば、第一の圧力センサ136は、代替的に、分配器プレート112の上流の容器102内に位置することができ、第二の圧力センサ138は代替的に、フィルタ114の下流の容器102内に位置することができる。
【0068】
本開示の代替的な実施形態において、容器内部106内に配置された流動層にわたる圧力降下(ΔP)は、差圧センサを用いることによって決定されてもよい。図2は、本開示のさらなる例示的な蒸気送達システム200を示す。図2の蒸気送達システム200は、蒸気送達システム100の二つの圧力センサ(すなわち、圧力センサ136および138)が単一の差圧センサ202(この例示的な実施形態ではコントローラ150に無線で結合される)によって置き換えられることを除いて、蒸気送達システム100のものと類似していてもよい。従って、本開示の一部の実施形態では、圧力感知システムは差圧センサ202を備える。非限定的な例として、差圧センサ202は、流動層領域104の上流に流体連結された第一のポート206と、流動層領域104の下流に流体連結された第二のポート208との二つのポートを備えてもよい。一部の実施形態では、差圧センサ202は、ピエゾ抵抗センサ、静電容量センサ、および微小電気機械(MEMS)センサのうちの少なくとも一つを含んでもよい。蒸気送達装置100(図1)に関して前述したように、図2に示す第一および第二のポート(206、208)の位置は例示的であり、代替的な位置を用いて、流動層にわたる差圧を決定することができる。
【0069】
本開示の蒸気送達装置(図1の装置100または図2の装置200によって例示される)は、制御システム150をさらに備えてもよい。一部の実施形態では、制御システム150は、圧力感知システムから差圧信号(ΔP)を受信して、本明細書に上述の式(II)によって与えられるように、差圧(ΔP)と複数の固体前駆体粒子の残存重量の間の正比例関係に基づいて、流動層領域内の複数の固体前駆体粒子の残存重量(W)を計算するように構築および配設されうる。
【0070】
より詳細には、制御システム150は、蒸気送達装置の構成要素もしくはサブシステムを備えてもよく、または別の方法として、本開示の蒸気送達装置を用いた気相反応器の構成要素もしくはサブシステムを備えてもよく、すなわち、制御システム150は、蒸気送達装置を制御するように構成されているだけでなく、以下でより詳細に説明されるように、本開示の蒸気送達装置を含む気相反応器全体を制御および動作するように構成されうる反応器制御システムを備えてもよい。
【0071】
本開示の一部の実施形態では、コントローラ150は、装置インターフェース152、プロセッサ154、ユーザーインターフェース156、およびメモリ158を含む。装置インターフェース152は、プロセッサ154を通信リンク140、142に接続する(または代替手段は、圧力センサに無線で結合される)。プロセッサ154は、(例えば、ユーザー入力を受信し、および/またはそれを通してユーザー出力を提供するために)ユーザーインターフェース156に動作可能に接続され、メモリ158と通信して配置される。メモリ158は、プロセッサ154によって読み取られると、プロセッサ154に特定の動作を実行させる命令を含む、その上に記録された複数のプログラムモジュール160を有する非一時的機械可読媒体を含む。本開示を考慮して当業者によって理解されるように、コントローラ150は、他の実施例において異なる配設を有してもよく、本開示の範囲内に留まりうる。
【0072】
制御システム150はまた、蒸気送達システム100および200の動作を制御するために必要なその他の構成要素を含むことができることに留意されたい。例えば、制御システム150は、(通信リンクを介した、または無線通信を介した)装置100の第一の圧力センサ136および第二の圧力センサ138、または代替的に(通信リンクを介した、または無線通信を介した)装置200の差圧202などの一つ以上の圧力センサを備える圧力感知システムと通信するように構成されうる。特に、制御システム150は、制御システム150が蒸気送達装置100または蒸気送達装置200に配置された流動層の残存重量を計算することができる圧力感知システムから差圧信号(ΔP)を受信するように構成されうる。例えば、制御システム150は、式(II)を利用して、かつ流動層領域(A)の断面積および圧力感知システムによって提供される瞬間差圧(ΔP)を知ることで、流動層領域内の固体前駆体粒子の残存重量を計算することができる。
【0073】
本開示の蒸気送達装置はまた、圧力感知システムによって生成される差圧信号(ΔP)の望ましくない変動を低減するための手段を含んでもよい。例えば、本開示の一部の実施形態では、蒸気送達装置100(または代替的に蒸気送達装置200)は、ローパスフィルタ(LPF)をさらに備えてもよく、ローパスフィルタは、圧力感知システムによって生成される差圧信号(ΔP)の変動を低減するように構成されている。非限定的な例として、ローパスフィルタは、容器102の下流に配置され、かつ容器102内に配置された流動層にわたる圧力変動を平滑にするように構成された随意のバッファボリューム162を備えてもよい。一部の実施形態では、ローパスフィルタは、例えば、制御システム150内のローパスフィルタとして動作するように構成された電気回路164など、制御システム150のサブコンポーネントを含んでもよい。追加の実施形態では、ソフトウェアベースのローパスフィルタを用いて、制御システム150から動作および実行してもよい。従って、本開示の蒸気送達装置は、機械的ローパスフィルタ、電気的ローパスフィルタ、またはソフトウェアベースのローパスフィルタのうちの一つ以上を含むローパスフィルタを備えてもよく、ソフトウェアベースのローパスフィルタは制御システム150から保存、実行、および動作される。
【0074】
本開示の蒸気送達装置(100または200)はまた、例えば、例示的な通信リンク166を介して、または無線通信を介して、制御システム150に結合された警報システム164を含むことができる。一部の実施形態では、警報システム160は、制御システム150に結合することができ、制御システム150から生成される警報信号によって起動されるように構成されうる。代替的な実施形態において、警報システム160は、制御システム150のサブコンポーネントを備えてもよい。
【0075】
一部の実施形態では、警報システム160は、流動層領域104内の固体前駆体粒子の残存重量(W)が所定の最小値に達したと制御システム150が判定するとき、制御システム150(または制御システム150のサブシステム)によって起動されうる。一部の実施形態では、容器102内の固体前駆体粒子の残存重量が予定されたプロセスを完了するのに不十分であると判定すると、蒸気送達装置100/200の動作を防ぐために警報システム160が起動されうる。他の実施形態では、容器102内の固体前駆体粒子の残存重量が所定の最小値に達したと判定すると、蒸気送達装置100/200の追加的な動作機能を開始するために警報システム160が起動されうる。例えば、流動層領域内の固体前駆体粒子の所定の最小重量に応答して警報システム160を起動すると、容器102内の固体原料が補充されて、蒸気送達装置100/200からの前駆体の継続的な送達を可能にしてもよい。
【0076】
本開示の実施形態はまた、基材の蒸気処理のために構成された気相反応器、特に本明細書に記載の蒸気送達システムを用いた気相反応器を含むことができる。
【0077】
従って、本開示の実施形態は、基材の蒸気処理のために構成された気相反応器を含む。気相反応器は、キャリアガス入口と、蒸気送達装置の内部容積内に配置された流動層領域であって、キャリアガスが複数の固体前駆体粒子を持ち上げ撹拌して流動層を形成することを可能にするように構築および配設された流動層領域と、流動層領域を加熱するように構成されたヒーターと、流動層領域の下流に配置された前駆体ガス出口と、流動層にわたる圧力降下(ΔP)を監視し、前記圧力降下から差圧信号(ΔP)を生成するように構築および配設された圧力感知システムと、を備える、蒸気送達装置を含むことができる。本開示の気相反応器はまた、蒸気送達装置と流体連通している気相反応チャンバを含むことができ、気相反応チャンバは、蒸気送達装置で生成されるガス状前駆体を受容するように構成されている。気相反応器はまた、圧力感知システムから差圧信号(ΔP)を受信して、流動層の残存重量を計算するように構築および配設された反応器制御システムを含むことができる。気相反応器は、反応器制御システムに結合された警報システムをさらに備えてもよく、警報システムは、流動層の重量が所定の最小値に達した時に、反応器制御システムから生成される信号によって起動されるように構成されている。
【0078】
より詳細には、図3は、図1および図2に関して本明細書で前述した蒸気送達装置100/200を含む例示的な気相反応器300を示す。蒸気送達システム100/200、反応器制御システム314、および警報システム316に関する様々な詳細は、本明細書で前に詳細に記載されており、従って、以下では例示的な気相反応300を参照して簡単に概観する。
【0079】
従って、本開示の一部の実施形態では、例示的な気相反応器300は、固体前駆体粒子の流動層からガス状前駆体を生成するように構成された蒸気送達システム100/200を含む。図示した気相反応器300は、反応チャンバ302、キャリアガス源304、キャリアガスライン306、ガス状前駆体ガスライン308、随意のバッファボリューム310、およびガス流制御弁312をさらに含む。気相反応器300はまた、一部の実施形態では、蒸気送達装置100/200の動作および制御を含む、気相反応器300の動作を制御するように構成された反応器制御システム350と、警報システム360とを含むことができる。特に、蒸気送達システム100/200内に残存する固体原料前駆体の所定の最小重量に達すると警報信号が生成されうるように、反応器制御システム350は、(例示的な通信リンク320を介して、または代替的に無線通信を介して)蒸気送達装置100/200、および(例示的な通信リンク330を介して、または代替的に無線通信を介して)警報システム360の両方と通信する。
【0080】
一部の実施形態では、反応チャンバ302は、一つ以上の基材を処理できる反応空間を画定する。反応チャンバ302は、複数の基材を同時に処理することができるバッチ型チャンバ、または単一ウェーハチャンバとすることができる。反応チャンバ302は連続的に動作してもよく、蒸気送達装置100/200に対する前駆体供給は、臨機応変にまたは堆積実行と堆積実行の間に、補充または再充填することができる。一部の実施形態では、反応チャンバ302は、化学蒸着(CVD)反応チャンバまたは原子層堆積(ALD)反応チャンバであってもよい。特定の実施形態では、反応チャンバ302はまた、in-situプラズマまたは遠隔プラズマを提供するように構成されてもよい。様々なタイプの反応チャンバが、本明細書に記載の蒸気送達装置と組み合わせて使用するためのチャンバとして使用するために適合されうることに留意されたい。
【0081】
本開示の一部の実施形態では、固体前駆体粒子を蒸気送達装置100/200に補充するために、追加の固体前駆体容器(図示せず)を用いることができる。一部の実施形態では、複数の固体前駆体粒子は、動作と動作の間または堆積実行と堆積実行の間に蒸気送達装置100/200に提供されうる。他の実施形態では、複数の固体前駆体粒子を蒸気送達装置100/200に連続的に供給して、固体原料の連続バルク再充填を可能にすることができる。他の実施形態では、蒸気送達装置への追加の固体前駆体粒子の提供は、反応器制御システム350および警報システム360の両方と併せて、圧力感知システムによってトリガおよび制御されてもよい。
【0082】
キャリアガス源304は、キャリアガスライン306を介して蒸気送達装置100/200にキャリアガスの(最小流動化流量以上での)高い容積流量を提供して、蒸気送達装置100/200内の流動層形成を可能にするように構成されうる。キャリアガスは、前述のように不活性ガスまたは非不活性ガスを含んでもよい。一部の実施形態では、反応器制御システム350は、蒸気送達装置内のキャリアガス流量、圧力、およびその他のパラメータを制御して、蒸気送達装置100/200内の流動層の形成および制御を可能にするように構成されうる。
【0083】
ガス状前駆体ライン308は、蒸気送達装置100/200から生成される気化したガス状前駆体が反応チャンバ302に送達されるための通路として機能する。ガス状前駆体ライン308は、反応チャンバ302および蒸気送達装置100/200と流体連通している。
【0084】
一部の実施形態では、ガス状前駆体ライン308は、蒸気送達装置100/200によって生成される差圧信号の変動を低減するためのローパスフィルタとして作用するように構成されうる、随意のバッファボリューム310を含んでもよい。随意のバッファボリューム310は、(図1および図2を参照して記載したように)蒸気送達装置100/200内で用いられる様々なローパスフィルタ機構に加えて利用されてもよく、または別の方法として、蒸気送達装置100/200の随意のローパスフィルタ機構は省略されてもよく、随意のバッファボリューム310(図3)が、差圧信号を平滑にするためのローパスフィルタ機構として単独で用いられてもよい。加えて、随意のバッファボリューム310は、ガス状前駆体の高い容積および/または流れを保持し、その後、必要に応じて反応チャンバ302に提供するように構成されうる。一部の実施形態では、ガス状前駆体ライン308は、凝縮を防止するために加熱されてもよく、蒸気送達装置100/200から反応チャンバへのガス状前駆体流の最適な性能を可能にするために、様々な加熱および制御構成が可能であることが注目される。
【0085】
例示的な気相反応器300は、生成されたガス状前駆体の反応チャンバ302への流れを制御するように機能することができるガス流制御弁312をさらに備えてもよい。ガス流制御弁312はまた、ガス状前駆体の反応チャンバ302への流れを止めうる。様々な好適なガスバルブが、反応器制御システム350によって、採用および制御されうる。
【0086】
一部の実施形態では、例示的な気相反応器300は反応器制御システム350を含み、これは気相反応器300の動作を制御する役割を果たす。気相反応器300の反応器制御システム350は、図1のコントローラ150と類似または同一であってもよいが、ここでは簡略化された形態で示されている。反応器制御システム350は、反応チャンバ302、蒸気送達装置100/200、キャリアガス源304、キャリアガスライン、および前駆体ガス流バルブ312のうちの一つ以上の動作を制御してもよく、例えば、例示的な通信リンク320および330を介して、または代替的に無線通信を介して、前述の構成要素のすべてと通信してもよい。気相反応器300および反応器制御システム350の様々な構成要素と、警報システム360の間の様々な追加の通信リンクは、簡潔にするために示されていないことに留意されたい。加えて、図3に示す例示的な気相反応器300は、本開示の実施形態を強調するために簡略化された形態で図示されており、気相反応器の製造で知られているように、多数の追加の構成要素、ガスライン、通信リンク、ならびに他の構成要素、およびサブシステムが用いられうることが理解されるべきである。
【0087】
本開示の一部の実施形態では、図3の例示的な気相反応器300の反応器制御システム350および警報システム360は、図1および図2を参照して記載される蒸気送達装置100/200の制御システム150および警報システム160と類似していてもよく、かつ制御システム150および警報システム160を参照して記載されるように構成および動作されてもよい。
【0088】
一部の実施形態では、反応器制御システム350は、制御システム150を参照して記載されるものに対して追加の制御および動作サブシステムをさらに備えてもよく、追加の制御および動作サブシステムは、例示的な気相反応器300の全体の動作を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、(前述の)蒸気送達装置100/200の制御システム150は、随意に省略されてもよく、蒸気送達装置100/200の制御は、反応器制御システム350を利用して達成されてもよい。他の実施形態では、例示的な気相反応器300は、気相反応器300の全体を(制御システム150と併せて)動作させるように構成されうる反応器制御システム350に加えて、蒸気送達装置100/200の動作および制御のための制御システム150の両方を備えて用いてもよい。
【0089】
一部の実施形態では、反応器制御システム350は、蒸気送達装置100/200から差圧信号(ΔP)を受信するように構築および配設されうる。例えば、反応器制御システム350は、蒸気送達装置100/200の圧力感知システムから差圧信号(ΔP)を受信するように構築および配設されることができ、さらに反応器制御システム350は、制御システム150を参照して前に詳述したように、流動層の残存重量を計算することができる。
【0090】
追加的な実施形態において、反応器制御システム350は、蒸気送達システム100/200によって生成される差圧信号の変動を低減するように構成されたローパスフィルタとして動作する電気回路(図示せず)をさらに含んでもよく、その詳細は本明細書に前述したとおりである。
【0091】
例示的な気相反応器300はまた、一部の実施形態では、図1および図2を参照して記載される蒸気送達装置100/200の警報システム164に類似していてもよく、かつ警報システム164を参照して記載するように構成および動作されうる警報システム360を含んでもよい。例えば、警報システム360は、(例えば、通信リンク330を介して)反応器制御システムに結合されることができ、警報システム360は、流動層の重量が(前述のように)所定の最小値に達した時に、反応器制御システム350から生成される信号によって起動されるように構成されている。
【0092】
一部の実施形態では、警報システム360は、蒸気送達システム100/200内の固体前駆体粒子の残存重量(W)が所定の最小値に達したと反応器制御システム350が判定する時、反応器制御システム350によって起動されうる。一部の実施形態では、蒸気送達装置100/200内の固体前駆体粒子の残存重量が予定されたプロセスを完了するのに不十分であると判定すると、蒸気相反応器、特に蒸気送達装置100/200の動作を防ぐために警報システム360が用いられうる。他の実施形態では、蒸気送達装置100/200内の固体前駆体粒子の残存重量が所定の最小値に達したと判定すると、蒸気相反応器300、特に蒸気送達装置100/200の追加的な動作機能をトリガするために警報システム360が用いられうる。例えば、蒸気送達装置内の固体前駆体粒子の所定の最小重量に応答して警報システム360を起動すると、蒸気送達装置100/200内の固体原料は、蒸気送達装置100/200から反応チャンバ302への前駆体の連続的な送達を可能にするために補充されてもよい。
【0093】
本開示の実施形態はまた、蒸気送達システムを監視および制御するための方法を含むことができる。例示的な方法400が図4に示されており、方法は、キャリアガスを複数の固体原料粒子を通して上向きに流して、初期層重量を有する流動層を形成すること(工程402)を含む。キャリアガス流は、固体原料粒子の特性に応じて調整することができ、キャリアガス流は、選択された固体原料粒子の流動層を形成および維持するために必要な最小流動化流量以上の高流量に設定することができる。
【0094】
例示的な方法400は、複数の固体前駆体粒子の一部分を気化することによって、流動層からガス状前駆体を生成すること(工程404)をさらに含んでもよい。流動層内の固体前駆体粒子の気化は、容器内の流動層領域を加熱し、次いで固体前駆体粒子を加熱するように構成された加熱システムによって開始および維持することができる。加えて、気化プロセスは、流動層が形成される容器内の圧力によって部分的に制御されてもよい。
【0095】
方法400は、ガス状前駆体が生成される際に、流動層にわたる圧力差(ΔP)を監視すること(工程406)をさらに含んでもよい。例えば、流動層にわたる差圧(ΔP)を監視することは、圧力感知システムを利用して差圧(ΔP)を監視することを含んでもよい。一部の実施形態では、圧力感知システムは、流動層の上流に配置された第一の圧力センサ、および流動層の下流に配置された第二の圧力センサの、少なくとも二つの圧力センサを備える。一部の実施形態では、圧力感知システムは、流動層の上流に流体連結された第一のポート、および流動層の下流に流体連結された第二のポートの、二つのポートを備える差圧センサを備える。差圧(ΔP)は、リアルタイムで連続的に監視されてもよく、または代替的に、差圧(ΔP)は、ガス状前駆体の生成中に所定の時間間隔で監視されてもよい。
【0096】
方法400は、複数の固体原料粒子の一部分の気化の結果として層重量が減少する際に、流動層内の残存層重量を計算すること(工程408)をさらに含んでもよい。例えば、層重量が減少する際に、流動層内の残存層重量を計算することは、圧力感知システムと通信する制御システムによって実施されてもよい。圧力感知システムは、連続的にまたは所定の時間間隔で差圧(ΔP)を監視してもよく、圧力感知システムから生成された異なる圧力信号(ΔP)によって、差圧(ΔP)を制御システムに伝達する。制御システムは、式(II)および流動層の既知の断面積(A)に基づいて、残存層重量を計算することができる。例えば、制御システムの装置インターフェースは、前記データ(すなわち、ΔPおよびA)を、流動層内の時間変動する残存層重量を計算するプロセッサに提供することができる。
【0097】
方法400は、監視された差圧(ΔP)および差圧信号(ΔP)の望ましくない変動を低減するために、一つ以上のローパスフィルタをさらに用いてもよい。例えば、一部の実施形態では、ローパスフィルタは、原料容器の下流に配置されたバッファボリューム、または制御システム内に配置された電気回路、またはプログラムとして記憶され、制御システムから実行されるソフトウェアベースのローパスフィルタのうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0098】
反応器制御システム150は、最小層重量に対して保存された値をさらに含み、前記最小量に達すると、警報システム360が起動されうる。従って、例示的な方法400は、決定ゲート408を含み、決定は、流動層内の固体前駆体粒子の残存重量の計算値に基づく。残存固体原料粒子の計算された重量が閾値最小値を上回る場合、例示的なプロセス400は、ガス前駆体を生成し続け(工程404)、一方で流動層にわたる圧力差を監視し(工程406)、修正された差圧信号(ΔP)に基づいて、流動層内の販売された前駆体粒子の残存重量を再計算する(408)ことになる。流動化内の固体前駆体粒子の計算された残存重量が所定の値の最小値に達するか、またはそれより下回ると、決定ゲート408は、工程410として示される次のプロセス工程に移動することになる。工程410において、例示的な方法400は、残存層重量が所定の最小値未満であるときに警報システムを起動すること(工程410)によって進むことができる。例えば、警報システムは、固体前駆体粒子の最小重量に達したと判定すると、制御システムによって起動されうる。
【0099】
警報システムの起動の際に取られるアクションは、ユーザーまたはプロセスに依存しうる。例えば、一部の実施形態では、警報システムの起動は、すなわち、追加的な固体前駆体粒子を容器に供給すること(随意の工程412)によって、追加的な前駆体粒子で蒸気送達システムの再充填を開始するために使用されてもよい。他の実施形態では、警報システムの起動は、蒸気送達システムからのガス状前駆体の生成を停止しうる。警報システムの起動はまた、ユーザーのニーズまたはプロセスのニーズに応じて、多数の他のプロセスまたはアクションを開始するために使用されてもよい。
【0100】
上述の本開示の例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって定義される、本発明の実施形態の単なる実施例であるので、本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、記述される要素の代替的な有用な組み合わせなどの、本明細書に示されかつ記述されるものに加えて、本開示の様々な修正は、当業者には記述から明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】