(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058884
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】カメラ正対治具
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20240422BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240422BHJP
【FI】
G01M11/02 A
G03B17/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166282
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】正岡 顕一郎
【テーマコード(参考)】
2H105
【Fターム(参考)】
2H105EE05
(57)【要約】
【課題】構成が単純で作業がしやすくディスプレイ面を傷つけにくいカメラ正対治具を提供する。
【解決手段】カメラ正対治具1は、ディスプレイ面11に配置されてディスプレイ10とカメラ20との正対を行うものであり、ディスプレイ面11に第1面2aを対面するように配置されるハーフミラー板2と、ハーフミラー板2の第1面2aの反対面となる第2面2bに設置され、ディスプレイ面11に対面して第1面2aを当接するように支持する支持機構5と、を備え、ハーフミラー板2は、ディスプレイ面11に当接する第1面2aの周縁2cが面取りされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ面に配置されてディスプレイとカメラとの正対を行うカメラ正対治具であって、
前記ディスプレイ面に第1面を対面して配置されるハーフミラー板と、
前記ハーフミラー板の第1面の反対面となる第2面に設置され、前記ディスプレイ面に前記第1面を当接するように支持する支持機構と、を備え、
前記ハーフミラー板は、前記ディスプレイ面に当接する第1面の周縁が面取りされているカメラ正対治具。
【請求項2】
前記ハーフミラー板は、円形である請求項1に記載のカメラ正対治具。
【請求項3】
前記ハーフミラー板は、アクリル樹脂で形成されている請求項1に記載のカメラ正対治具。
【請求項4】
前記支持機構は、前記ハーフミラー板の第2面に配置される棒状のロッドと、前記ロッドの先端側に配置される当該ロッドの径よりも大きな径を有するウエイトと、前記ロッドに係合して前記ディスプレイの筐体側に支持される紐状部材とを備え、
前記ロッドが前記ディスプレイ面において前記ハーフミラー板の中央から上方となるように配置されている請求項1又は請求項2に記載のカメラ正対治具。
【請求項5】
前記支持機構は、前記ハーフミラー板の第2面の中央から下方に一端を接続する支持脚と、前記支持脚の他端を支持して設置面に配置される固定部とを備え、
前記支持脚は、折り曲げ自在となる金属線であり、前記金属線の折れ曲げられた状態を維持して前記ハーフミラー板を支持する請求項1又は請求項2に記載のカメラ正対治具。
【請求項6】
前記支持機構は、前記ハーフミラー板の第2面の中央から下方に接続部を介して配置される支持脚を有し、
前記接続部は、前記支持脚の一端に回動自在に支持されるユニバーサルジョイントである請求項1又は請求項2に記載のカメラ正対治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MTF(Modulation Transfer Function)等のディスプレイの特性を測定する前に、測定に使用するカメラと、ディスプレイとの正対を行うカメラ正対治具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、MTF等のディスプレイの特性を測定する場合には、測定する前にディスプレイ面に対して垂直になるようにカメラの光軸を調整することが行われている。例えば、カメラの光軸を整合する場合にレーザ発振器を使用して行っていることが知られている。また、カメラの光軸をディスプレイ面に正対させる場合には、例えば、小型のカメラを内蔵する測定装置(非特許文献1参照)により行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.xrite.com/ja-jp/blog/how-to-calibrate-your-monitor
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の光軸を整合する方法では、レーザ発振器等を使用するため、装置が大がかりになってしまう。また、小型カメラを内蔵する測定装置を使用する場合に、ディスプレイ面で位置合わせを行うため、作業者の手作業で直接装置をディスプレイ画面の適切な位置に移動する必要があり、ディスプレイ面を傷つけやすいという問題がある。さらに、測定する装置がディスプレイ面に当接する部分にカメラ等の機械的な構成を備えており、構成が単純で作業がしやすいものが望まれている。
【0006】
本発明は、前記した問題点に鑑み創案されたもので、構成が単純で作業がしやすくディスプレイ面を傷つけにくいカメラ正対治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る実施形態の一態様として、カメラ正対治具は、ディスプレイ面に配置されてディスプレイとカメラとの正対を行うカメラ正対治具であって、前記ディスプレイ面に第1面を対面して配置されるハーフミラー板と、前記ハーフミラー板の第1面の反対面となる第2面に設置され、前記ディスプレイ面に前記第1面を当接するように支持する支持機構と、を備え、前記ハーフミラー板は、前記ディスプレイ面に当接する第1面の周縁が面取りされている、構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、カメラ正対治具は、構成が単純で作業がしやすくディスプレイ面を傷つけにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るカメラ正対治具を用いる全体の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1のカメラ正対治具を用いる全体の構成を示す側面図である。
【
図3】実施形態に係るカメラ正対治具をディスプレイ面に配置した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係るカメラ正対治具の支持機構をディスプレイの背面側から示す斜視図である。
【
図5】(a)~(e)は、実施形態に係るカメラ正対治具の紐状部材を外した状態を示し、(a)はカメラ正対治具の正面図、(b)はカメラ正対治具の背面図、(c)は、カメラ正対治具の側面図、(d)は、カメラ正対治具の平面図、(e)は、カメラ正対治具の斜視図である。
【
図6】(a)は、実施形態においてディスプレイに位置決めマークを表示した状態を示す正面図、(b)は、実施形態においてPCに基準マークを表示した状態を示す正面図である。
【
図7】(a)は、実施形態においてディスプレイの位置決めマークと基準マークとを重ねてPCのモニタ画面に表示した状態を示す正面図、(b)は(a)の状態からカメラのレンズを移動させて位置合わせした状態を示す正面図である。
【
図8】(a)は、実施形態においてハーフミラーに映ったレンズの映像と基準マークとを重ねてPCのモニタ画面に表示した状態を示す正面図、(b)は(a)の状態からカメラのレンズを移動させて位置合わせした状態を示す正面図、(c)は、基準マークの基準円をカメラのレンズの直径に合わせた状態を示す平面図正面図である。
【
図9】(a)、(b)は、実施形態に係るカメラ正対治具のロッドの変形例を示す側面図、及び、斜視図である。
【
図10】(a)、(b)は、実施形態に係るカメラ正対治具の第1応用例を示す側面図、及び、斜視図である。
【
図11】(a)、(b)は、実施形態に係るカメラ正対治具の第2応用例を示す側面図、及び、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、カメラ正対治具1に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1、
図2及び
図5(a)~(e)に示すように、カメラ正対治具1は、ディスプレイ面11に配置されてディスプレイ10とカメラ20との正対を行うものである。カメラ正対治具1は、一例として、ディスプレイ面11に第1面2aを対面して配置されるハーフミラー板2と、ハーフミラー板2の第1面2aの反対面となる第2面2bに設置され、ディスプレイ面11に第1面2aを当接するように支持する支持機構5と、を備えている。そして、ハーフミラー板2は、ディスプレイ面11に当接する第1面2aの周縁2cが面取りされている。
【0011】
カメラ正対治具1が使用されるディスプレイ10は、例えば、MTFの測定対象である。ディスプレイ10は、脚部13に支持された枠体12内に配置されたディスプレイ面11を備え、ディスプレイ面11に映像を映し出すための筐体部14をディスプレイ面11の背面側に一体に有している。また、ディスプレイ10は、作業台Tに脚部13を介して載置されたときに振動等に対して影響がでないように固定器具15により固定されていることが好ましい。ディスプレイ10は、ディスプレイ面11にカメラ20のレンズ21の位置を適正位置に移動させる基準となる位置決めマークP1をPC30の操作により表示することができるようになっている。
【0012】
固定器具15は、一例として、貫通孔を有する組立ブロック16と、この組立ブロック16の貫通孔に挿通する垂直支持棒17と、垂直支持棒17に直交する方向となるように組立ブロック16の貫通孔に挿通される水平支持棒18と、ディスプレイ10に当接する当接部19とを備えている。そして、当接部19は、水平支持棒18の一端側に設置されディスプレイ10の裏面側に当接する第1当接部19aと、ディスプレイ10の脚部13を固定するように当接する第2当接部19bとを備えている。なお、作業台Tは、その載置面に図示を省略している凹部が一定間隔で複数形成されており、固定器具15の垂直支持棒17の一端に配置される係合凸部17aが作業第Tの凹部に係合できるようになっている。また、作業台Tの凹部には、当接部19の第2当接部19bの係合ピン19b1が係合できるようになっている。
【0013】
第1当接部19aは、水平支持棒18の一端側に設置されたゴムなどの弾性部材で形成されている。第1当接部19aは、一例として、所定の厚みのある円板状に形成されている。また、第2当接部19bは、一例として、脚部13の上面に当接する第1部分と、作業台Tの上面に当接する第2部分と、第1部分と第2部分とを繋ぐ部分と、を備え、第2部分に形成した貫通孔を介して係合ピン19b1を作業第Tの凹部に差し込むことで、脚部13側を固定している。このように当接部19は、第1当接部19aがディスプレイ10の裏面側に複数の箇所で当接し、第2当接部19bがディスプレイの前側となる脚部13側の複数の箇所に当接することで、ディスプレイ10を振動しないように固定している。なお、第1当接部19a及び第2当接部19bの設置数は、任意でありディスプレイ10を振動しないように固定することができればその設置数は限定されるものではない。
【0014】
組立ブロック16は、少なくとも垂直支持棒17と水平支持棒18の二本を挿通する貫通孔を備えているブロックである。この組立ブロック16は、垂直支持棒17を挿通する一つ目の貫通孔と、この一つ目の貫通孔に挿通した垂直支持棒17に当接してその位置で垂直支持棒17を位置決めするための垂直位置決ネジ16aと、水平支持棒18を挿通する二つめの貫通孔と、この2つ目の貫通孔に挿通した水平支持棒18に当接してその位置で水平支持棒18を位置決めするための水平位置決ネジ16bとを取り付けることができるようになっている。
なお、固定器具15は、一般的なものでディスプレイ10を作業台Tに対して固定することができるものであれば限定されるものではない。また、後記するように、組立ブロック16の一つは、一例として、他の組立ブロック16とは使用する向きを90度変えた状態で、支持機構5の回転軸棒8を組立ブロック16で支持している。そして、水平位置決ネジ16bの締め付け状態で、回転軸棒8を回転自在あるいは保持する状態となるようにしている。
【0015】
支持機構5は、ハーフミラー板2をディスプレイ面11とカメラ20とに正対する位置に支持すると共に、ハーフミラー板2をディスプレイ面11に当接させるものである。
支持機構5は、一例として、ハーフミラー板2の第2面2bに配置される棒状のロッド3と、ロッド3の先端側に配置される当該ロッド3の径よりも大きな径を有するウエイト4と、ロッド3に係合してディスプレイ10の筐体側に支持される紐状部材6とを備えている。なお、支持機構5は、ここでは、紐状部材6を巻き取り送り出し自在に支持する回転軸棒8を、組立ブロック16に回動自在に支持している。また、支持機構5は、紐状部材6を、取付リング7を介してロッド3に取り付けている。
【0016】
ロッド3は、ハーフミラー板2の第2面2bに設置されている。ロッド3はハーフミラー板2と異なる材料や、同じ樹脂素材であってもよい。ロッド3は、例えば、ハーフミラー板2がアクリル樹脂で形成されていた場合、同様にアクリル樹脂で形成されることが、接着強度の観点から好ましい。ロッド3は、一例として、円柱形状に形成されている。そして、ロッド3は、ディスプレイ面11にハーフミラー板2を配置したときに、ハーフミラー板2の中央から上方となるように配置されている。ロッド3の長さは、ウエイト4をロッド3の一端側に配置したときに、紐状部材6で吊り下げられるハーフミラー板2の第1面2aがディスプレイ面11に当接することができる範囲で設定されている。
【0017】
ウエイト4は、ハーフミラー板2をディスプレイ面11に当接させやすくするものである。ウエイト4は、ロッド3の一端側に設置されている。ウエイト4は、一例として、円筒状の部材であり、ロッド3の材料より比重が大きい材料が好ましい。ウエイト4は、ここではゴム、合成ゴム、シリコンゴム等を使用している。なお、ウエイト4は、ロッド3に接着材等により固定されていることや、あるいは、ロッド3に抜き差し自在に接続されていてもよい。ウエイト4があることで、紐状部材6により吊り下げられているハーフミラー板2がディスプレイ面11に当接する方向に常に力がかかるようになる。なお、カメラ20と正対するディスプレイ10の構成は、様々なものがあるため、ウエイト4がロッド3に抜き差し自在に接続されていると、ディスプレイ10の構成に併せてウエイト4の位置をロッド3において変更することで、ハーフミラー板2を適切にディスプレイ面11に当接するように調整することが可能となる。なお、ウエイト4をロッド3の長手方向において位置の調整ができるようにするには、ウエイト4をロッド3に接着材等を介することなく、ウエイト4の貫通孔にロッド3を着脱自在に挿入した状態としていることで実現できる。
【0018】
紐状部材6は、一端側に取付リング7を介してロッド3に取り付けられると共に、他端側を巻き取り送り出し自在な回転軸棒8に巻き付けられている。紐状部材6は、一般的な素材、例えば、綿や、ナイロン等の樹脂であってもよい。また、紐状部材6は、断面形状は、特に限定されず、円形であっても扁平形状であっても構わない。さらに、紐状部材6の太さは、ハーフミラー板2、ロッド3及びウエイト4を保持できる強度が確保できるものであれば限定されるものではない。
【0019】
取付リング7は、紐状部材6をロッド3に取り付けるためのものである。取付リング7は、円環の一部が連続していないC字形状の樹脂や金属のリング状に形成されている。取付リング7は、そのC字形状の開口部分を強制的に広げることで、ロッド3の直径よりも大きくして、ロッド3に着脱自在に取り付けることができるものである。なお、取付リング7は、円環状として、予めロッド3に取り付けた状態で、その後、ロッド3にウエイト4を取り付ける構成として設置しても構わない。
【0020】
回転軸棒8は、組立ブロック16に回動自在に支持され、紐状部材6の巻き取りや送り出しを行うものである。回転軸棒8は、他の組立ブロック16とは90度向きを変えた状態で、組立ブロック16の水平支持棒18を入れる2つ目の貫通孔に挿通されて水平位置決ネジ16bで支持されている。そのため、回転軸棒8は、水平位置決ネジ16bの締め付け状態を解除して作業者が手指で回転軸棒8を回転させることで、紐状部材6の送り出し、及び、巻き取りを行っている。なお、回転軸棒8は、固定器具15の組立ブロック16を介して回転自在に支持することとして説明したが、固定器具15とは独立した巻き取り送り出しを行うことができる器具に支持して使用するようにしても構わない。また、回転軸棒8は、作業者の手指の操作により回転させることとして説明したが、駆動モータを介して電動で回転させるように構成しても構わない。
【0021】
図1、
図5(a)~(e)及び
図6に示すように、ハーフミラー板2は、カメラ20の中心と、ディスプレイ面11に当接するハーフミラー板2の中心とを正対させるものである。ハーフミラー板2は、一例として、透明なアクリル樹脂を円形にすることで形成されている。このハーフミラー板2は、第1面2aあるいは第2面2bの一方又は両方に金属薄膜や誘電体多層膜を設けることや、貼り付けることで形成することができる。そして、ハーフミラー板2は、第1面2aの周縁2cのエッジを面取りしている。なお、ハーフミラー板2では、第1面2aの周縁2cのエッジを面取りしている状態として示しているが、第2面2bの周縁のエッジをさらに面取りすることとしてもよい。
【0022】
ハーフミラー板2の第1面2aの周縁2cが面取りされていることで、ハーフミラー板2をディスプレイ面11に所定位置に操作して配置するときに、ハーフミラー板2の周縁2cがディスプレイ面11に接触してもディスプレイ面11に傷がつくことがない。ハーフミラー板2の大きさは、カメラ20のレンズの全体を反射して映像として撮影できる大きさであることが好ましい。また、ハーフミラー板2の形状は、円形として示しているが矩形や正多角形等、カメラ20の正面からのレンズの映像を撮影することができる形であれば大きさと併せて限定されるものではない。ハーフミラー板2は、ディスプレイ面11に表示される位置決めマークP1を略中央となる位置に支持機構5を介して配置される。
【0023】
カメラ20は、
図1及び
図2に示すように、レンズ21と、カメラ本体22と、姿勢制御機構23とを備えている。このカメラ20は、ディスプレイ10の特性を判定することができる精度を備えているものが好ましい。カメラ20は、例えば、MTFを測定することができるものである。カメラ20は、ディスプレイに表示される位置決めマークP1をレンズ21の中心と合わせるように姿勢制御される。なお、カメラ20で撮影した映像は、ここでは、作業台T上に準備されたパーソナルコンピュータ(以下PCという)30のモニタ画面31に表示されるように設定されている。
【0024】
なお、カメラ20の姿勢制御機構23は、テーブル上に搭載したカメラ20の位置を調整するものである。姿勢制御機構23は、作業台Tの作業面をXY平面としたときに、そのX方向、X方向に直交するY方向、XY平面に直交するZ方向、Z方向周りとなるθ方向にツマミを回転させるような操作することでテーブル面を移動させてカメラ20の姿勢制御を行なっている。姿勢制御機構23は、傾斜回転ステージやX/Y/Zステージなど、この種のカメラで用いられる一般的な構成のものを使用することができる。なお、ここで使用されるカメラ20は、ブルートゥース(登録商標)等の無線、又は、有線により、撮影した映像をPC30のモニタ画面31に表示するように設定されている。なお、PC30は、一例として、カメラ20の撮影及びディスプレイ10の操作ができるように設定されている。
【0025】
つぎに、カメラ正対治具1の使用方法について説明する。
初めに、作業台Tにディスプレイ10を固定器具15により固定する。ここでは、ディスプレイ10の脚部13を当接部19の第2当接部19bで固定すると共に、組立ブロック16に挿通した垂直支持棒17と、水平支持棒18とにより当接部19の第1当接部19aをディスプレイ10の裏面となる筐体部14側に当接させることで、ディスプレイ10を作業台T上に固定している。なお、作業台Tには、予め凹部が所定間隔で行列方向に多数形成されているため、その凹部に固定器具15の係合ピン19b1や、垂直支持棒17の係合凸部17aを係合することで固定器具15によりディスプレイ10を作業台Tに固定している。
【0026】
ディスプレイ10は、作業台Tの上に固定器具15で固定されると、カメラ正対治具1の回転軸棒8を組立ブロック16の一つに設置する。そして、カメラ正対治具1は、紐状部材6の一端側が、回転軸棒8に巻き付けられ、紐状部材6の他端側が、取付リング7を介してロッド3に取り付けられる状態で、ハーフミラー板2の第1面2aをディスプレイ10のディスプレイ面11に対面させて配置する。さらに、位置決めマークP1がハーフミラー板2のほぼ中央に位置するように、回転軸棒8を回転させて紐状部材6の長さを調整する。ハーフミラー板2は、ロッド3を介してウエイト4を有しているので、ウエイト4により常にディスプレイ面11側に付勢されており、第1面2aをディスプレイ面11に当接する状態となっている。また、ウエイト4があることでハーフミラー板2は、常にディスプレイ面11に当接した状態で、ハーフミラー板2を適切な位置に移動調整させる場合、ハーフミラー板2の第1面2aの周縁2cが面取りされており、エッヂ部分がないので、ディスプレイ面11をハーフミラー板2により傷つけることがない。カメラ正対治具1の設定が終わったら、カメラ20の姿勢を調整する。なお、
図6(a)に示すように、ディスプレイ10では、PC30の操作により正対するための位置決めマークP1を表示する状態とする。
【0027】
カメラ20は、ディスプレイ10の正面側に一定距離を隔てて配置されている。なお、カメラ20は、ディスプレイ10に向かって移動することができるレールに載置されている場合が多く、ラフなカメラ20とディスプレイ10との位置関係を、そのレール(図示を省略)を介して移動することで調整することができるようにしていると都合がよい。
カメラ20とディスプレイ10との間の距離の調整は、支持機構5を介してハーフミラー板2がディスプレイ面11に配置された後に行われている。なお、カメラ20とディスプレイ10との距離の調整は、カメラ20で撮影した映像をPC30のモニタ画面31に映しながら行い、撮影したハーフミラー板2の全体がモニタ画面31に映しだされる位置までカメラ20を移動させることで行う。
【0028】
ちなみに、
図6(a)に示すように、ディスプレイ10には、基準位置を示すマークである位置決めマークP1を表示させる。また、
図6(b)に示すように、PC30のモニタ画面31には、予め測定を行うためのMTF測定ソフトによる撮影カメラ20のレンズ21の位置合わせの基準マークSが表示されている。
図7(a)に示すように、ディスプレイ面11上の位置決めマークP1にカメラ20の焦点をあわせてPC30のモニタ画面31に基準マークSと重ねて位置決めマークP1の映像P1gを表示する。そして、カメラ20の姿勢制御機構23を操作して、
図7(b)に示すように、基準マークSの中心交点に、撮影している位置決めマークP1の映像P1gを一致させる。姿勢制御機構23は、カメラ20のレンズ21の位置と傾斜と回転を調整することができるので、作業者が操作してカメラ20の位置調整をすることで画像上のレンズ21の位置を調整する。なお、図面では、各方向に移動させる姿勢制御機構23の各ツマミを操作することでレンズ21の位置を調整する。
【0029】
次に、
図8(a)で示すように、カメラの焦点をハーフミラー2に映っているカメラ20のレンズ21の映像21gに切り替える。そして、レンズ21の映像21gをPC30のモニタ画面31上において基準マークSと重ねて表示する。そして、
図8(b)に示すように、レンズ21の映像21が基準マークSの中心に位置するように、カメラ20の姿勢制御機構23を操作してレンズ21の位置を調整する。なお、
図8(c)に示すように、基準マークSの基準円S2の直径をレンズ21の映像21gの直径に一致するように調整することで、レンズ21の映像21gと基準マークSとの整合をとることができる。つまり、基準円S2の直径をレンズ21の映像21gの直径と合わせることで、位置ずれの判断がより分かり易くなり、精度の高い整合を行うことが可能となる。
【0030】
さらに、再び、
図7(a)、
図7(b)で行った作業を行い、その後、
図8(a)、
図8(b)で行った作業を行い、
図7(a)で表示したPC30でのモニタ画面31で、位置決めマークP1の映像P1gと基準マークSの基準線S1との交点が一致し、かつ、
図8(a)で示したPC30でのモニタ画面31で、レンズ21の映像21gと基準マークSの基準円S2とが中央で重なり一致する状態になるまで、繰り返し姿勢制御機構23を操作する。このような位置合わせ作業を行うことで、カメラ20のレンズ21の光軸と、ディスプレイ10の位置決めマークP1との位置合わせをしてカメラ20のレンズ21とディスプレイ10の正対を行っている。
【0031】
なお、ここでは、初めにディスプレイ10の位置決めマークP1の映像P1gと基準マークSとの位置合わせ作業をした後に、カメラ20のレンズ21の映像21gと基準マークSとの位置合わせ作業をして、それらの作業を繰り返し行うことで、ディスプレイ10とカメラ20の正対作業をするように説明した。この正対作業は、初めにカメラ20のレンズ21の映像21gと基準マークSとの位置合わせ作業を行い、次に、ディスプレイ10の位置決めマークP1と基準マークSとの位置合わせ作業を行い、これらの作業を交互に繰り返すことであっても構わない。
【0032】
なお、カメラ20の姿勢制御機構23の操作は、作業者が手動で行うこととして説明したが、PC30に連動させ制御できる構成の姿勢制御機構を用い、PC30の矢印ボタンを押下することで、カメラ20の姿勢制御機構23の操作を行うような構成のものを使用しても構わない。また、カメラ20の姿勢制御機構23がレンズ21を移動させて、カメラの映像21gの中心と、位置決めマークP1の映像P1gとが一致したことが分かるように、一致したときに音や表示をPCが出すことができるように、予めPC30を設定することとしても構わない。
【0033】
ディスプレイ面11の位置決めマークP1とカメラ20のレンズ21の中心との位置合わせが終了すると、カメラ正対治具1をディスプレイ10から取り除き、ディスプレイ10と正対したカメラ20を使用して、例えば、ディスプレイ10のMTFを測定する等の作業を正確に行うことができる。なお、ディスプレイ10のMTFを測定する場合には、例えば、作業台Tに予め準備している基準板40(
図1及び
図2参照)を使用して行うことができる。
このように、カメラ正対治具1は、簡単な構造で操作性もよく、また、ディスプレイ10とカメラ20との正対も容易に行うことができる。
【0034】
なお、カメラ正対治具1は、例えば、
図9から
図11に示すような構成であっても構わない。以下の説明において、カメラ正対治具は、すでに説明した構成について、図示を省略し、また、同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
図9に示すように、カメラ正対治具1Aは、ロッド3Aが、長手方向に直交する方向に溝部又は凹部を備えている。カメラ正対治具1Aは、一例として、ロッド3Aに凸部3A1及び凹部3A2を複数長手方向に連続して備える構成としてもよい。ロッド3Aに凸部3A1及び凹部3A2を備えることで、紐状部材6の取付リング7の位置が固定されて作業中にずれることを防止できる。また、ロッド3A上における取付リング7の位置を変えることで、ウエイト4の荷重の係る状態を変えることができ、ハーフミラー板2が的確にディスプレイ面11に当接することができる。なお、凸部3A1及び凹部3A2の形状は、鋭角の凹凸形状として示しているが、波型の凹凸形状となるようにしてもよく、凹凸形状の形状を限定するものではない。
【0035】
図10に示すように、カメラ正対治具1Bは、ハーフミラー板2の第2面2bに支持機構5Bを備えている。支持機構5Bは、ハーフミラー板2の第2面2bの中央より下方側に一端を接続する支持脚6Bと、支持脚6Bの他端を支持して設置面に配置される固定部8Bとを備えている。そして、支持脚6Bは、折り曲げ自在となる金属線であり、金属線の折れ曲げられた状態を維持してハーフミラー板2を支持するように構成されている。
支持脚6Bの一端部7B2は、ここでは、球状に形成され第2面2bに設置した受け部7B1に回動自在に接続されている。
【0036】
つまり、支持脚6Bは、接続部7Bがユニバーサルサルジョイントとなるように構成されていることが好ましい。また、支持脚6Bの他端部は、台座となる固定部8Bに接続されている。支持脚6Bは、一例として、内部に金属線を有してその金属線の外側に樹脂やゴムやシリコンゴム等の被覆部材で被覆されている構成を備えている。また、支持脚6Bは、第1支持脚及び第2支持脚の2本がハーフミラー板2の第2面2bの中央より下方側の位置に接続しており、2本の支持脚6Bを作業者が手指で自在に湾曲させることで、ディスプレイ面11にハーフミラー板2の第1面2aを当接させている。固定部8Bは、一例として円盤状に形成され、素材は金属であることが好ましい。また、支持脚6Bの一端がハーフミラー板2の第2面2bの中央より下方側にあることで、支持脚が画像に映り込むことを避け、レンズの位置調整に邪魔にならないようにしている。
【0037】
カメラ正対治具1Bは、ディスプレイ面11にハーフミラー板2の第1面2aを当接した状態で作業台T上に配置すると、ハーフミラー板2の第1面2aが常にディスプレイ面11に沿って当接するように接続部7Bの部分が作動するようになっている。つまり、接続部7Bでの支持脚6Bとの接続している状態が緩やかであるため、接続部7Bで接続しているハーフミラー板2が当接している側の位置に沿って追随することができる状態になっている。また、第1支持脚及び第2支持脚である支持脚6Bが自在に湾曲させることができるので、ハーフミラー板2の作業台Tからの高さ位置を自在に調整することが可能となる。
【0038】
図11に示すように、カメラ正対治具1Cは、ハーフミラー板2の第2面2bに支持機構5Cを備えている。支持機構5Cは、ハーフミラー板2の中央から下方に接続部7Cを介して配置される支持脚6Cを有している。そして、接続部7Cは、支持脚6Cの一端部7C2を回動自在に支持するユニバーサルジョイントである。接続部7Cは、受け部7C1に球状の一端部7C2を回動自在に支持している。支持脚6Cの他端部には、作業台T上に支持するための固定部8Cが取り付けられている。この固定部8Cは、ゴム、合成ゴム、シリコンゴム、合成シリコンゴム等の弾性部材で形成されており、作業台Tに載置する側が半球状に形成されている。支持脚6Cは、一例として、第1支持脚及び第2支持脚の2本を備え、樹脂製、金属製、木製等で棒状に形成されている。そして、接続部7Cは、ハーフミラー板2の高さ方向の中央で左右の端部に配置されていることが好ましい。
【0039】
カメラ正対治具1Cは、ディスプレイ面11にハーフミラー板2の第1面2aを当接した状態で作業台T上に配置すると、ハーフミラー板2の第1面2aが常にディスプレイ面11に沿って当接するように接続部7Cが作動するようになっている。つまり、接続部7Cでの支持脚6Cとの接続している状態が緩やかであるため、自重で当接状態を維持して、接続部7Cで接続しているハーフミラー板2が当接している側の位置に沿って追随することができる状態になっている。また、支持脚6Cの作業台Tとの傾斜角度を大きくすることで、ハーフミラー板2の作業台Tからの高さ位置を自在に調整することが可能となる。支持脚6Cの作業台Tとの傾斜角度を大きくしても、固定部8Cの一端側が半球状であるために、作業台T上においてハーフミラー板2を適切に支持することができる状態を維持できる。
【0040】
なお、ハーフミラー板2の中心には、中心点を示す中心マークをディスプレイ面11に表示される位置決めマークとは異なる形状として設けることとしてもよい。この中心マークは、例えば、ハーフミラー板2の表面に直接描かれていることや、シールなどで張り付けられていることや、あるいは、レーザや機械的に表面を削って、又は穴を開けることで形成されている。中心マークは、例えば、十字であり、カメラ20のレンズ中心とディスプレイ面11の位置決めマークP1との位置合わせを行う前に整合させおく。つまり、ディスプレイ面11の位置決めマークP1と、ハーフミラー板2の中心マークとが一致するようにハーフミラー板2を移動させることで、ハーフミラー板2をより適切な位置に配置することができる。
【0041】
以上の通り、本発明の実施形態および変形例を説明した。本発明は、上記した実施形態および変形例に限定されるものではない。発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。また、実施形態の態様と変形例の態様は、必ずしも独立に用いられる必要は無い。実施形態の態様と変形例の態様を組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0042】
1、1A、1B、1C カメラ正対治具
2 ハーフミラー板
2a 第1面
2b 第2面
2c 周縁
3、3A ロッド
3A1 凸部
3A2 凹部
4 ウエイト
5、5B 支持機構
6 紐状部材
6B、6C 支持脚
7 取付リング
7B2、7C2 一端部
7B1、7C1 受け部
7B、7C 接続部
8 回転軸棒
8B、8C 固定部
10 ディスプレイ
11 ディスプレイ面
12 枠体
13 脚部
14 筐体部
15 固定器具
16 組立ブロック
16a 垂直位置決ネジ
16b 水平位置決ネジ
17 垂直支持棒
17a 係合凸部
18 水平支持棒
19 当接部
19b1 係合ピン
19a 第1当接部
19b 第2当接部
20 カメラ
21 レンズ
21g (レンズの)映像
22 カメラ本体
23 姿勢制御機構
30 PC
31 モニタ画面
40 基準板
P1 位置決めマーク
P1g (位置決めマークの)映像
T 作業台