(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059403
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】インクカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/175 131
B41J2/175 133
B41J2/175 151
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167064
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】松本 和悦
(72)【発明者】
【氏名】中村 寿久
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056KC02
2C056KC04
2C056KC05
2C056KC14
2C056KC30
(57)【要約】
【課題】取り付けがしやすく、取り付け時や作製時に気泡の混入を抑制できるインクカートリッジを提供する。
【解決手段】中継用の第1のインク収容部30と継足し用の第2のインク収容部40を有する。第1のインク収容部は、画像形成装置に装着されたときに装置本体よりも外に出る露出部を有し、露出部の上面に第2のインク収容部を設置可能である。第1のインク収容部は、継足し接続口と接続する第1の接続口を有する。第2のインク収容部は継足し接続口を有し、継足し接続口を構成するカバー部材を有する。継足し接続口又は第1接続口は管部材が設けられている。管部材は先端が鋭利形状となっており、先端乃至先端近傍に穴が設けられている。カバー部材は第1のカバー部材と、第2のカバー部材とで構成される。第1のカバー部材又は第2のカバー部材は、どちらか一方に爪形状が設けられ、他方に段差形状が設けられ、爪形状と段差形状が嵌合する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に用いられるインクカートリッジであって、
第1のインク袋を有する中継用の第1のインク収容部と、第2のインク袋を有する継足し用の第2のインク収容部とを有し、
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置に着脱可能であり、前記画像形成装置に装着されたときに前記画像形成装置の本体よりも外に出る露出部を有し、前記露出部の上面に前記第2のインク収容部を設置可能であるとともに、第1の接続口と、第2の接続口と、を有し、
前記第1の接続口は、前記露出部に設けられ、
前記第2の接続口は、前記画像形成装置のインク供給口と接続可能であり、
前記第2のインク収容部は、前記第1の接続口と接続する継足し接続口を有するとともに、前記継足し接続口を構成するカバー部材を有し、
前記継足し接続口又は前記第1接続口は、管部材が設けられており、
前記管部材は、先端が鋭利形状となっており、先端乃至先端近傍に穴が設けられており、
前記カバー部材は、第1のカバー部材と、第2のカバー部材とで構成され、
前記第1のカバー部材又は前記第2のカバー部材は、どちらか一方に爪形状が設けられ、他方に段差形状が設けられ、前記爪形状と前記段差形状が嵌合することで前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材を組付けできる
ことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置の本体側面に装着され、
前記露出部は、前記画像形成装置の本体側面から露出する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記第2のインク袋は、前記カバー部材から露出する部分を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記第2のインク袋のインク内包部の一部を覆う形状である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記第2のインク袋のインク内包部を覆わない形状である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記管部材は、前記第1接続口に設けられており、前記継足し接続口には設けられていない
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記第1のカバー部材又は前記第2のカバー部材は、前記凸形状に隣接して開口部を有し、ユーザーが前記開口部を介して前記爪形状を押すことにより、前記爪形状と前記凸形状の嵌合状態を解除できる
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に用いられるインクカートリッジであって、
中継用の第1のインク収容部と、継足し用の第2のインク収容部とを有し、
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置に着脱可能であり、前記画像形成装置に装着されたときに前記画像形成装置の本体よりも外に出る露出部を有し、前記露出部の上面に前記第2のインク収容部を設置可能であるとともに、第1の接続口と、第2の接続口と、を有し、
前記第1の接続口は、前記露出部に設けられ、
前記第2の接続口は、前記画像形成装置のインク供給口と接続可能であり、
前記第2のインク収容部は、前記第1の接続口に接続する継足し接続口を有する
ことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項9】
前記第2のインク収容部は、前記画像形成装置の本体側面に装着され、
前記露出部は、前記画像形成装置の本体側面から露出する
ことを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
液体吐出ヘッドと、
請求項1~9のいずれかに記載のインクカートリッジと、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記第1のインク収容部が装着可能な挿入口と、
前記第2の接続口と接続可能な前記インク供給口と、を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタなどの画像形成装置において、インクを補充する技術が提案されている。従来技術では例えば、インクジェットプリンタの本体に備わっている容器に、別容器の補充容器を着脱自在に載置し、インクの大容量化を図る試みがなされている。
【0003】
特許文献1では、インク保持容器内にインクまたは溶剤を補充する補充液補充手段を備えたインクジェット記録装置が開示されている。特許文献1において、補充液補充手段は、一定量の補充液が溜まる補充ケースと、この補充ケースに着脱自在に載置され、かつ補充ケース内に溜まる補充液が少なくなると補充供給する補充液が入っている補充容器とを備えている。また特許文献1では、補充ケースに、上カバーに補充液の流れ込む流入開口部を有する補充液受け部を設け、補充容器に、補充液の流出する流出開口部を有する補充液供給部を設けている。補充液受け部の流入開口部の上端部を補充容器の流出開口部の下端部よりも低位置に配置している。
【0004】
特許文献1では、補充容器が空になったら、その補充容器に代えて補充液が入っている新しい補充容器を補充ケースにセットすることにより、インクや溶剤の補充を簡単に済ませることができるとしている。また補充液受け部の流入開口部の上端部を補充容器の流出開口部の下端部よりも低位置にしてあるので、補充ケース内の補充液面が大気に開放しない状態になり、補充液が大気に発散してしまう無駄を抑えることができるとしている。
【0005】
特許文献2では、第1インク収納領域と、第1インク収納領域から導入したインクを記録ヘッドに供給する第2インク収納領域と、を備えたインク供給システムが開示されている。また、特許文献2では、第1インク収納領域と第2インク収納領域は分離可能に接続されること、第2インク収納領域は実質的に密閉空間を形成すること、第2インク収納領域に存在する気体を第1インク収納領域へ移送可能であること、第1インク収納領域は、第2インク収納領域から移送された気体を内部に取り込む領域を有することが開示されている。
【0006】
特許文献2によれば、接続および分離可能な接続手段を通して、第1インク収納領域から第2インク収納領域にインクを間欠的に供給する場合に、第2インク収納領域内に溜まった気体を排出しつつ、第2インク収納領域にインクを効率よく供給することができるとしている。しかも、このような内部の気体の排出を伴うインクの供給をポンプなどの動力源を用いることなく実施することが可能であり、また気体の排出のために特別な時間を必要ともしないとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、インクが大気に触れている状態になっており、インク内への気泡混入については考慮されていない。そのため、インク内に気泡が混入すると、液体吐出ヘッドでインクを吐出する際に吐出不良となってしまう確率が高くなる。また特許文献2においても同様に、インクタンク内ではインクが大気に触れている状態になっている。また、従来技術では、インクを補充する際に、インクカートリッジを取り付けにくいという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、取り付けがしやすく、取り付け時や作製時に気泡の混入を抑制できるインクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のインクカートリッジは、
液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に用いられるインクカートリッジであって、
第1のインク袋を有する中継用の第1のインク収容部と、第2のインク袋を有する継足し用の第2のインク収容部とを有し、
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置に着脱可能であり、前記画像形成装置に装着されたときに前記画像形成装置の本体よりも外に出る露出部を有し、前記露出部の上面に前記第2のインク収容部を設置可能であるとともに、第1の接続口と、第2の接続口と、を有し、
前記第1の接続口は、前記露出部に設けられ、
前記第2の接続口は、前記画像形成装置のインク供給口と接続可能であり、
前記第2のインク収容部は、前記第1の接続口と接続する継足し接続口を有するとともに、前記継足し接続口を構成するカバー部材を有し、
前記継足し接続口又は前記第1接続口は、管部材が設けられており、
前記管部材は、先端が鋭利形状となっており、先端乃至先端近傍に穴が設けられており、
前記カバー部材は、第1のカバー部材と、第2のカバー部材とで構成され、
前記第1のカバー部材又は前記第2のカバー部材は、どちらか一方に爪形状が設けられ、他方に段差形状が設けられ、前記爪形状と前記段差形状が嵌合することで前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材を組付けできる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取り付けがしやすく、取り付け時や作製時に気泡の混入を抑制できるインクカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す全体概略図である。
【
図2】
図1の要部概略図であり、本発明に係るインクカートリッジの一例を取り付けた場合の概略図である。
【
図3】中継カートリッジの一例を示す概略図である。
【
図4】中継インク袋の一例を示す概略斜視図である。
【
図5】中継インク袋の一例を示す概略側面図である。
【
図6】中継インク袋の一例を示す概略側面図であり、熱溶着部の一例を示す図である。
【
図7】中継カートリッジに設けられた接続部品の一例を示す概略図である。
【
図8】中継カートリッジに設けられた接続部品の一例における分解概略図である。
【
図9】継足しカートリッジの一例を示す概略図である。
【
図10】継足しインク袋の一例を示す概略図である。
【
図11】継足しインク袋が有する接続部品の一例を示す概略図である。
【
図12】中継カートリッジと継足しカートリッジの接続の一例を説明するための概念図である。
【
図13】中継カートリッジと継足しカートリッジの接続の一例を説明するための概念図であり、インクの量の変化の一例を説明するための概念図である。
【
図14】中継カートリッジと継足しカートリッジの接続の他の例を説明するための概念図である。
【
図15】継足しカートリッジの他の例を示す概略図である。
【
図16】継足しカートリッジにおけるカバーの他の例を示す分解概略図である。
【
図17】継足しカートリッジの他の例を示す概略図である。
【
図19】中継カートリッジの一例及び継足しカートリッジの他の例を示す概略図である。
【
図21】挿入口の一例を示す要部側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るインクカートリッジ及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態のインクカートリッジは、
液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に用いられるインクカートリッジであって、
第1のインク袋を有する中継用の第1のインク収容部と、第2のインク袋を有する継足し用の第2のインク収容部とを有し、
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置に着脱可能であり、前記画像形成装置に装着されたときに前記画像形成装置の本体よりも外に出る露出部を有し、前記露出部の上面に前記第2のインク収容部を設置可能であるとともに、第1の接続口と、第2の接続口と、を有し、
前記第1の接続口は、前記露出部に設けられ、
前記第2の接続口は、前記画像形成装置のインク供給口と接続可能であり、
前記第2のインク収容部は、前記第1の接続口と接続する継足し接続口を有するとともに、前記継足し接続口を構成するカバー部材を有し、
前記継足し接続口又は前記第1接続口は、管部材が設けられており、
前記管部材は、先端が鋭利形状となっており、先端乃至先端近傍に穴が設けられており、
前記カバー部材は、第1のカバー部材と、第2のカバー部材とで構成され、
前記第1のカバー部材又は前記第2のカバー部材は、どちらか一方に爪形状が設けられ、他方に段差形状が設けられ、前記爪形状と前記段差形状が嵌合することで前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材を組付けできる
ことを特徴とする。
【0014】
本実施形態の画像形成装置は、液体吐出ヘッドと、本実施形態のインクカートリッジと、を有することを特徴とする。また本実施形態の画像形成装置は、例えば前記第1のインク収容部が装着可能な挿入口と、前記第2の接続口と接続可能な前記インク供給口と、を有する。
【0015】
画像形成装置としては、例えば、液体を吐出する装置、インクジェット記録装置、インクジェット印刷機、インクジェットプリンタなどとすることができる。また、画像形成装置を印刷機、印刷装置などと称してもよい。また、上記の着脱を挿抜などと称してもよく、装着を挿入などと称してもよい。
【0016】
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例における斜視図である。本実施形態の画像形成装置は、記録媒体(被記録媒体、媒体などと称してもよい)に液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えている。本体1にインクカートリッジ2が挿入され、色ごとにインク補充ができる構成となっている。ただし、このインクカートリッジ2は、本実施形態のインクカートリッジには含まれない。
【0017】
本体1には、インクカートリッジ10(
図2等参照)の挿入口3が設けられている。
図1では、画像形成装置が有するインク供給口は見えない位置にある。挿入口3の奥にインク供給口が設けられており、インク供給口を介してインクカートリッジからインクの供給を受けることができる。
【0018】
図2は、本実施形態のインクカートリッジ10を用いた場合の一例を示す斜視図である。本例は、
図1における一番手間の挿入口3に、インクカートリッジ10を装着させた場合の例である。
【0019】
本実施形態のインクカートリッジは、第1のインク袋を有する中継用の第1のインク収容部と、第2のインク袋を有する継足し用の第2のインク収容部とを有する。図示されるインクカートリッジ10は、中継カートリッジ30と、継足しカートリッジ40とで構成されている。
【0020】
中継カートリッジ30は、第1のインク収容部の一例であり、画像形成装置にインクを供給(補充などと称してもよい)する。中継カートリッジ30を中継インクカートリッジなどと称してもよい。
【0021】
継足しカートリッジ40は、第2のインク収容部の一例であり、中継カートリッジ30にインクを供給(補充、継足すなどと称してもよい)する。継足しカートリッジ40を継足しインクカートリッジなどと称してもよい。
【0022】
中継カートリッジ30は、画像形成装置(本体1)に着脱可能であり、本体1に装着されたときに本体1よりも外に出る露出部30Aを有している。露出部30Aの上面に継足しカートリッジ40を設置可能である。
図2は、中継カートリッジ30における露出部30Aの上面に継足しカートリッジ40が設置された状態を示している。
【0023】
上記では、本体1が有する挿入口3にインクカートリッジ10を装着させたと記載しているが、具体的には、挿入口3は、中継カートリッジ30が装着可能な挿入口となっている。本実施形態における中継カートリッジ30は、本体1に装着されたときに、本体1の外側に出る大きさとなっており、すなわち露出部30Aを有する大きさである。
【0024】
図示する例において、中継カートリッジ30は、本体1の側面に装着され、露出部30Aは、本体1の側面から露出する。中継カートリッジ30が本体1の側面に装着されることで、装着させやすく、またカートリッジ10が邪魔になりにくい。なお、本体1の側面は、例えば本体1の上面及び底面を除くといった意味である。
【0025】
本実施形態のように、中継カートリッジ30が本体1に着脱可能であり、中継カートリッジ30の露出部30Aの上面に継足しカートリッジ40が設置可能とすることで、ユーザーが扱いやすく、簡易にインクの補充を行うことができる。また、インクの補充を行う際には、ユーザーは継足しカートリッジ40のみを新しいものに変えるだけでよく、簡易にインクの補充を行うことができる。
【0026】
図3は、中継カートリッジ30の全体斜視図である。中継カートリッジ30は、露出部30Aと、非露出部30Bとを有している。中継カートリッジ30が本体1に装着されたとき、露出部30Aは、本体1よりも外側に出る部分であり、非露出部30Bは、本体1の内側に挿入される部分である。ただし、中継カートリッジ30が装置に挿入されていない場合、非露出部30Bは露出していることになる。
【0027】
特に制限されるものではないが、非露出部30Bは、例えば
図1のインクカートリッジ2と同様の形状になっており、インクカートリッジ2と同様に本体に装着することができる。
【0028】
中継カートリッジ30は、第1の接続口31と、第2の接続口と、を有している。第1の接続口31は、露出部30Aに設けられ、継足しカートリッジ40の継足し接続口と接続可能である。第2の接続口は、画像形成装置のインク供給口と接続可能である。なお、
図1~
図3では、紙面上、第2の接続口と画像形成装置のインク供給口は見えない位置にある。
【0029】
中継カートリッジ30の上面に継足しカートリッジ40が設置されて、継足しカートリッジ40からインクが中継カートリッジ30に供給される。このとき、第1の接続口31を介してインクが中継カートリッジ30に供給される。継足しカートリッジ40は、中継カートリッジ30にインクを供給することから、継足し用のインク収容部などと称する。中継カートリッジ30は、継足しカートリッジ40からのインクの供給を受けたり、本体1にインクを供給したりするため、中継用のインク収容部などと称する。
【0030】
本実施形態において、中継カートリッジ30は第1のインク袋を有し、継足しカートリッジ40は第2のインク袋を有する。以下、第1のインク袋を中継インク袋とも称することがあり、第2のインク袋を継足しインク袋とも称することがある。
【0031】
図2に示す例において、中継カートリッジ30及び継足しカートリッジ40は、筐体の内部にインク袋を有する。本実施形態はこれに限られず、後述のように、継足しカートリッジ40が有するインク袋は、全部又は一部が露出していてもよい。また、中継カートリッジ30は、装置に取り付けられたときに、装置に挿入される非露出部と、装置から露出する露出部を有していればよく、インク袋の一部が露出していてもよい。
【0032】
特に制限されるものではないが、例えば、中継カートリッジ30内のインク及び継足しカートリッジ40内のインクがなくなった場合、ユーザーは継足しカートリッジ40を交換して、インクが充填された新しい継足しカートリッジ40を中継カートリッジ30に接続する。これにより、中継カートリッジ30にインクが補充され、装置にインクを供給することができる。
【0033】
なお、上記において、補充、供給は、同じ意味である。また特に制限されるものではないが、例えば、継足しカートリッジ40は、インクを脱気(気泡抜き)してインク袋に詰めるという方法で気泡混入を防止していることが好ましい。また、中継カートリッジ30と継足しカートリッジ40を用いる方式をダブルカートリッジ方式などと称してもよい。
【0034】
図4~
図6に、中継カートリッジ30が有する中継インク袋32の一例を示す。中継インク袋32は第1のインク袋の一例である。
図4は、中継インク袋32の斜視図であり、
図5は、中継インク袋32の側面図であり、
図6は、中継インク袋32における熱溶着部34を説明するための図である。
【0035】
中継インク袋32には、接続部品33A、33Bが設けられている。
接続部品33Aは、画像形成装置の本体1のインク供給部につながる。ここでは、インク供給部の図示を省略している。また、第2の接続口の符号を省略しているが、第2の接続口は、接続部品33Aに設けられている。本体1のインク供給部におけるインク供給口と、中継インク袋32における第2の接続口とが接続されて、中継カートリッジ30から液体吐出ヘッドにインクが供給される。
接続部品33Bは、継足しカートリッジ40からのインクを受け取るための部品である。
【0036】
本実施形態では、中継カートリッジ30が第1の接続口と第2の接続口を有するとしているが、中継インク袋32が第1の接続口と第2の接続口を有するとしてもよい。この他にも、接続部品33Bが第1の接続口を有するとしてもよいし、接続部品33Aが第2の接続口を有するとしてもよい。
図3に示す例において、中継カートリッジ30は、筐体と、筐体内部に中継インク袋32とを有する。
【0037】
中継インク袋32としては、例えば、樹脂とアルミニウム等の複合積層シートを用いることができる。
【0038】
図6における斜線部分の範囲は、熱溶着部34を示している。
中継カートリッジ30の中継インク袋32としては、例えば、複数枚のシートを熱溶着して熱溶着部34を形成し、閉じた袋形状にすることが好ましい。このように閉じた袋形状にすることで、インク袋32の内部にインクを溜めることができるとともに、外気に更に触れにくくなる。また、このように複数枚のシートを熱溶着してインク袋32を形成することで、簡易に形成でき、インク袋32の形状を所望の形状にしやすくなる。
【0039】
図7は、接続部品33Bの一例を示す斜視図である。接続部品33Bは、例えば、ベース部材35、キャップ部材36、ゴム部材37とで構成される。
【0040】
図8は、接続部品33Bの分解斜視図である。ベース部材35には、円筒部35aが設けられている。円筒部35aは空洞部を有しており、空洞部をインクが流れる。円筒部35aは段差部35cを有しており、円筒部35aの先端は段差部35cを経て太くなっている。更に、円筒部35aの先端には、凹部35bが設けられている。
【0041】
図示するように、接続部品33Bの組み立ては、例えば(1)、(2)の順で行う。(1)のように凹部35bにゴム部材37をはめ込んだ後、(2)のようにキャップ部材36を被せる。キャップ部材36には爪部36aが設けられており、段差部35cに嵌合する。
【0042】
なお、接続部品33Aは、接続部品33Bと同様の形状とすることができるため、図示と説明は省略する。
【0043】
図9は、継足しカートリッジ40の全体斜視図である。ただし、
図9に示す継足しカートリッジ40は、
図2に示すものとは向きが異なっている。
図9に示す継足しカートリッジ40は、中継カートリッジ30側から見た場合の例であるともいえる。
【0044】
図示するように、継足しカートリッジ40には、継足し接続口41が設けられている。継足し接続口41は、接続開口部などと称されてもよい。
【0045】
図10は、継足しカートリッジ40が有する継足しインク袋42の斜視図である。継足しインク袋42は、第2のインク袋の一例である。継足しインク袋42は、中継インク袋32と同様に、樹脂とアルミニウム等の複合積層シートとすることができる。また、周囲を熱溶着することで、内部にインクを溜めることができる。
【0046】
図3や
図9に示す例において、継足しカートリッジ40は、筐体内部に継足しインク袋が収容されている。筐体は、カバー部材と称されてもよく、その形状は適宜変更することができる。本実施形態では、後述するように、第1のカバー部材と、第2のカバー部材とで構成されるカバー部材としており、組付け方式を工夫している。
【0047】
継足しインク袋42には、接続部品43が設けられている。本例において、接続部品43の先端は、針状形状になっている。
【0048】
図11は、継足しインク袋42の接続部品43を示す斜視図である。接続部品43は、管部材44(管形状などと称してもよい)が設けられている。管部材44は、先端が鋭利形状となっており、先端乃至先端近傍に穴45が設けられている。管部材44は、中継インク袋32の接続部品33Bのゴム部材37に刺さり、中継インク袋32の内部と連通する。この状態で、穴45からインクが中継インク袋32に供給される。
【0049】
鋭利形状としては、例えば針形状などの先細り形状にすることが挙げられる。
図11では鋭利形状の符号を省略しているが、図示するように、管部材44の先端が鋭利形状になっている。
【0050】
なお、管部材44は、接続部品43ではなく、接続部品33Bに設けられていてもよい。このため、ここでは、管部材44を含んでいない部分を接続部品43と称する。ただし、管部材44が接続部品43に設けられている場合に、管部材44を含めて接続部品43と称しても差支えはない。また、管部材44には、管部材44を第1の接続口31又は継足し接続口41に固定するための管支持部材48が設けられている。
【0051】
上記の構成により、中継カートリッジ30と、継足しカートリッジ40をそれぞれ密閉されたインク袋同士で接続させることができ、インクが大気に触れることを防止できる。このため、本実施形態のインクカートリッジは、取り付け時に気泡の混入を抑制できる。また、管部材44を用いることにより、中継カートリッジ30や継足しカートリッジ40の作製時にも気泡の混入を抑制できる。インク液面が空気に触れると気泡混入の恐れがあり、本実施形態は、インクカートリッジの取り付け時や作製時に気泡が混入することを抑制できる。
【0052】
図12は、インク袋のみを表した概念図であり、印刷前の初期状態の一例を示す図である。継足しインク袋42の接続部品43と、中継インク袋32の接続部品33とが接続する。
【0053】
ここで、仮に中継インク袋32の容量を500ccとし、継足しインク袋42の容量を500ccとする。この場合、印刷前の初期状態では、総容量1000ccのインクが装備されていることになる。その後、印刷やメンテナンスなどで徐々にインクが消費されていく。そして、全容量を使いきるとインク袋の内部のインクは、両方とも0ccになる。
【0054】
なお、
図12の継足しインク袋と、
図13の新しい継足しインク袋とを区別して説明するため、符号42aで示している。
【0055】
図13は、総容量が0ccになった後に、継足しをする場合の状態を示した概念図である。新品の継足しインク袋42bには、500ccのインクが入っている。継足しインク袋42bが中継インク袋32に接続することで、インクが下に流れていき、最終的には、中継インク袋32の中身が500ccとなり、継足しインク袋42の中身が0ccとなる。図中、それぞれの数値の変化を図示している。
【0056】
このようにすることで、継足しインク袋42から中継インク袋32にインクを供給することができる。
図13に示す状態の後に、更に別の継足しインク袋42を接続すると、
図12に示すような初期状態の総容量1000ccとなる。
【0057】
本実施形態において、継足し接続口41又は第1の接続口31のどちらかに管部材44が設けられている。
図3~
図13に示す例では、継足しカートリッジ40側に管部材44が設けられている。本実施形態はこれに限られず、管部材44が中継カートリッジ30側に設けられていてもよい。この場合の概念図を
図14に示す。
【0058】
図14は、管部材44が中継カートリッジ30側に設けられている場合の例を示す概念図である。ユーザーがインクサプライとして購入するのは継足しカートリッジ40側であることが想定される。このため、
図14に示す例のように、管部材44が継足しカートリッジ40側に設けられている方が、ユーザーの費用負担を抑えることができる。
【0059】
なお、継足し接続口41又は第1の接続口31のどちらに管部材44が設けられているかを判別するには、例えば、中継カートリッジ30と継足しカートリッジ40が接続していない状態で管部材44がどちらにあるかを視認することで判別できる。中継カートリッジ30と継足しカートリッジ40が接続している場合には、継足し接続口41又は第1の接続口31のどちらに管部材44が設けられているかを判別しにくいが、中継カートリッジ30と継足しカートリッジ40の接続を解除することで、継足し接続口41又は第1の接続口31のどちらに管部材44が設けられているかを判別することができる。
【0060】
次に、本実施形態におけるカバー部材について説明する。
図15は、本実施形態におけるカバー部材の一例を説明するための図である。
図15に示す例は、
図2や
図9に示す例における継足しカートリッジ40の筐体を縮小化してカバー部材とした場合の例である。組付け方式については、
図15で説明する方式を
図2や
図9に示す例においても適用可能である。
【0061】
継足しカートリッジ40は、継足し接続口を覆うカバー部材を取り付け可能であり、中継カートリッジ30に設置される際には前記カバー部材が取り付けられる。本実施形態において、カバー部材は、第1のカバー部材46と、第2のカバー部材47とを有している。第1のカバー部材46は、接続部品43(
図15では隠れている)の近傍のみを覆っている。第1のカバー部材46と第2のカバー部材47は分離可能であり、第1のカバー部材46と第2のカバー部材47が組付けられた状態で継足しカートリッジ40に装着される。なお、例えばネジなどの固定部材を更に用いてもよい。
【0062】
図15に示す例では、
図2等に示すカバー部材よりも小さくしており、これにより継足しカートリッジ40のコストを下げることができる。また、本例におけるインク袋42は、カバー部材から露出する部分を有しており、これにより、継足しインク袋42の状態を直接見ることができる。このため、例えば継足しインク袋42の膨らみ具合を見ることにより、継足しインク袋42のインクの減り具合を目視することができる。継足しインク袋42のインクの減り具合を目で見て確認することで、新たな継足しカートリッジ40の準備をする等の対応を行いやすくなり、インク切れによる印刷できない事態を防止できる。
【0063】
また、
図15に示す例において、カバー部材は、継足しインク袋42のインク内包部を覆わない形状としている。この場合、継足しインク袋42のインクの減り具合を目視しやすくなる。また、継足しインク袋42内のインクの量が少ない場合に、指でインク袋を押すなどの対応も可能になる。
【0064】
図16は、
図15のカバー部材を説明するための図であり、第1のカバー部材46と第2のカバー部材47は分離させた状態を示す図である。本実施形態においてカバー部材は、継足し接続口41を構成しており、本例では、第1のカバー部材46と第2のカバー部材47が組付けられることで継足し接続口41を構成する。
【0065】
図示するように、第1のカバー部材46には、爪60が2箇所に設けられている。また、第2のカバー部材47の内側には、爪60と対応する位置に凸形状61が2箇所に設けられている。第1のカバー部材46と第2のカバー部材47を矢印方向に組み付けると、爪60と凸形状61とが嵌合する。このようにして組み付ける方式は、パッチン止め方式などと称される。
【0066】
凸形状61は、上記の段差形状の一例である。段差形状としては、爪形状と嵌合する形状であればよく、凸形状に限られない。
【0067】
なお、第1のカバー部材46と第2のカバー部材47を組み付けるとあるのは、組み合わせる、嵌める、取り付けるなどと称してもよい。
【0068】
また、第2のカバー部材47には、凸形状61に隣接して開口部62(穴と称してもよい)が設けられている。これにより、第1のカバー部材46と第2のカバー部材47が嵌合した状態のときに、開口部62を介してマイナスドライバーなどで爪60の先端を押すことができる。このように爪60の先端を押すことで、爪60と凸形状61との嵌合状態を容易に解除することができ、第1のカバー部材46と第2のカバー部材47を外すことができる。このようなカバー取り付け方式を採用することで、ユーザーが簡単にカバーの付け外しを行うことができる。
【0069】
すなわち、第1のカバー部材46又は第2のカバー部材47は、凸形状61に隣接して開口部62を有し、ユーザーが開口部62を介して爪60を押すことにより、爪60と凸形状61の嵌合状態を解除できる。
【0070】
また、本実施形態によれば、ユーザーへ提供する継足しカートリッジ40としては、継足しインク袋42と接続部品43だけの構成とすることができる。例えば、ユーザーは、継足しインク袋42と接続部品43で構成された継足しカートリッジ40を購入すればよく、カバー部材は使い回すことができる。一方、提供側は、継足しインク袋42と接続部品43で構成された継足しカートリッジ40を作製すればよく、カバー部材の作製を省くことができる。そのため、更に低コスト化が可能となる。
【0071】
次に、カバー部材の形状を変えた場合の例について説明する。
図17は、本例を説明するための図である。本例では、
図15に示す例と比べて、継足しカートリッジ40のカバー部材を大きくしている。本例におけるカバー部材は、継足しインク袋42のインク内包部の一部を覆う形状としている。
【0072】
図15に示す例の場合、継足しインク袋42の剛性によっては、継足しインク袋42が倒れてしまう懸念がある。継足しインク袋42が倒れると、インクの供給がスムーズに行えない場合がある。一方、
図17に示す例の場合、カバー部材が継足しインク袋42のインク内包部の一部を覆っていることで、継足しインク袋42が倒れにくくなる。
【0073】
図18は、
図17の概念断面図である。斜線で示す部分は、継足しインク袋42におけるインク内包部分51である。継足しカートリッジ40のカバー部材(第1のカバー部材46及び第2のカバー部材47)を継足しインク袋42のインク内包部分51と重なる範囲Dまで広げている。これにより、継足しインク袋42の剛性が小さい場合でも、継足しインク袋42が倒れることを抑制できる。
【0074】
次に、本実施形態の補足説明をする。
図19は、中継カートリッジ30と継足しカートリッジ40の接続例を説明するための図である。中継カートリッジ30の第1の接続口31は、例えば円筒形状であり、内部に先端を鋭利形状(例えば針形状)とした管部材44を有している。継足しカートリッジ40を中継カートリッジ30に設置することで、管部材44が継足しカートリッジ40の接続部品43に刺さり、継足しカートリッジ40と中継カートリッジ30とが接続される。なお、
図19では、継足しカートリッジ40におけるカバー部材を省略している。
【0075】
図19では、図で表す便宜上、第1の接続口31における針形状が露出するように図示しているが、ユーザー保護の観点からは、針形状は露出していないことが好ましい。すなわち、第1の接続口31における管部材44は、図示するところよりも下に位置していることが好ましい。また、ユーザーが購入する継足しカートリッジ40側には、管部材44を設けず、中継カートリッジ30側に管部材44を設けることがユーザー保護の観点から好ましい。
【0076】
本実施形態について補足する。
図20は、管部材44の一例を説明するための図である。
管部材44は、中継インク袋32(第1のインク袋)側に突き出た部分(符号44a)と、継足しインク袋42(第2のインク袋)側に突き出た部分(符号44b)とを有していることが好ましい。便宜的に、中継インク袋32側に突き出た部分を、第1針部44aと称し、継足しインク袋42側に突き出た部分を、第2針部44bと称する。第1針部44aと第2針部44bの両方で先端が針形状になっており、両方の先端乃至先端近傍に穴45が設けられている。便宜的に、第1針部44aが有する穴を穴45aと称し、第2針部44bが有する穴を穴45bと称する。
【0077】
管支持部材48は、例えば、管部材44を第1の接続口31又は継足し接続口41に固定するために用いられる。管支持部材48は管部材44の付属部品として扱うことができる。
【0078】
このように、第1針部44aと第2針部44bの両方で先端が針形状になっており、両方の先端乃至先端近傍に穴45が設けられていることで、継足しカートリッジ40と中継カートリッジ30とを接続しやすくなる。更に、継足しカートリッジ40と中継カートリッジ30とを接続する際に、気泡の混入を抑制しやすくなる。
【0079】
図21は、本体1における挿入口3がある面を示す要部概略図であり、挿入口3を挿入方向から見た場合の図である。また、この図は、本実施形態のカートリッジ支持部材20を取り付ける前の状態を示す図である。なお、挿入口3を差し込み開口部、インクカートリッジ差し込み部などと称してもよく、挿入方向を差し込み方向などと称してもよい。
【0080】
図示する例では、4つのインクカートリッジを取り付けることが可能な場合の例としている。図中の黒塗りの部分は、インクカートリッジ2を差し込んだ状態を模式的に示している。そのため、図示する例は、2つのインクカートリッジ2を差し込んだ状態である。
【0081】
図示するように、本体1にはインク供給口9が設けられている。インク供給口9は、中継カートリッジ30の第2の接続口と接続する。インク供給口9は、インクカートリッジ2の接続口とも接続することができる。このため、本実施形態の画像形成装置は、本実施形態のインクカートリッジ10を使用可能であるとともに、従来のインクカートリッジ2、例えばインク収容部が1つのインクカートリッジを使用することができる。
【0082】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るインクカートリッジにおける他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0083】
本実施形態のインクカートリッジは、
液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に用いられるインクカートリッジであって、
中継用の第1のインク収容部と、継足し用の第2のインク収容部とを有し、
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置に着脱可能であり、前記画像形成装置に装着されたときに前記画像形成装置の本体よりも外に出る露出部を有し、前記露出部の上面に前記第2のインク収容部を設置可能であり、
前記第2のインク収容部は、前記第1のインク収容部にインクを供給する継足し接続口を有し、
前記第1のインク収容部は、第1の接続口と、第2の接続口と、を有し、
前記第1の接続口は、前記露出部に設けられ、前記継足し接続口と接続可能であり、
前記第2の接続口は、前記画像形成装置のインク供給口と接続可能である
ことを特徴とする。
【0084】
上記実施形態では、インク袋を有する形態としていた。本発明においては、インク袋を有することが好ましいが、インク袋を省略することも可能である。本発明においては、第1のインク収容部(例えば中継カートリッジ30)がインクの中継をできればよく、第2のインク収容部(例えば継足しカートリッジ40)がインクの継足しをできればよい。
【0085】
また本実施形態においても、第2のインク収容部は、画像形成装置の本体側面に装着され、露出部は、画像形成装置の本体側面から露出することが好ましい。
【0086】
また本実施形態においても、上記と同様の画像形成装置とすることができる。
本実施形態の画像形成装置は、液体吐出ヘッドと、本実施形態のインクカートリッジにおける前記第1のインク収容部が装着可能な挿入口と、前記第2の接続口と接続可能な前記インク供給口と、を有することを特徴とする。
【0087】
(画像形成装置についての補足説明)
本発明の画像形成装置は、液体を吐出する装置としてもよい。この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0088】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0089】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0090】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0091】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0092】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0093】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0094】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0095】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に用いられるインクカートリッジであって、
第1のインク袋を有する中継用の第1のインク収容部と、第2のインク袋を有する継足し用の第2のインク収容部とを有し、
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置に着脱可能であり、前記画像形成装置に装着されたときに前記画像形成装置の本体よりも外に出る露出部を有し、前記露出部の上面に前記第2のインク収容部を設置可能であるとともに、第1の接続口と、第2の接続口と、を有し、
前記第1の接続口は、前記露出部に設けられ、
前記第2の接続口は、前記画像形成装置のインク供給口と接続可能であり、
前記第2のインク収容部は、前記第1の接続口と接続する継足し接続口を有するとともに、前記継足し接続口を構成するカバー部材を有し、
前記継足し接続口又は前記第1接続口は、管部材が設けられており、
前記管部材は、先端が鋭利形状となっており、先端乃至先端近傍に穴が設けられており、
前記カバー部材は、第1のカバー部材と、第2のカバー部材とで構成され、
前記第1のカバー部材又は前記第2のカバー部材は、どちらか一方に爪形状が設けられ、他方に段差形状が設けられ、前記爪形状と前記段差形状が嵌合することで前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材を組付けできる
ことを特徴とするインクカートリッジ。
<2>前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置の本体側面に装着され、
前記露出部は、前記画像形成装置の本体側面から露出する
ことを特徴とする<1>に記載のインクカートリッジ。
<3>前記第2のインク袋は、前記カバー部材から露出する部分を有する
ことを特徴とする<1>又は<2>に記載のインクカートリッジ。
<4>前記カバー部材は、前記第2のインク袋のインク内包部の一部を覆う形状である
ことを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載のインクカートリッジ。
<5>前記カバー部材は、前記第2のインク袋のインク内包部を覆わない形状である
ことを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載のインクカートリッジ。
<6>前記管部材は、前記第1接続口に設けられており、前記継足し接続口には設けられていない
ことを特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載のインクカートリッジ。
<7>前記第1のカバー部材又は前記第2のカバー部材は、前記凸形状に隣接して開口部を有し、ユーザーが前記開口部を介して前記爪形状を押すことにより、前記爪形状と前記凸形状の嵌合状態を解除できる
ことを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載のインクカートリッジ。
<8>液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に用いられるインクカートリッジであって、
中継用の第1のインク収容部と、継足し用の第2のインク収容部とを有し、
前記第1のインク収容部は、前記画像形成装置に着脱可能であり、前記画像形成装置に装着されたときに前記画像形成装置の本体よりも外に出る露出部を有し、前記露出部の上面に前記第2のインク収容部を設置可能であるとともに、第1の接続口と、第2の接続口と、を有し、
前記第1の接続口は、前記露出部に設けられ、
前記第2の接続口は、前記画像形成装置のインク供給口と接続可能であり、
前記第2のインク収容部は、前記第1の接続口に接続する継足し接続口を有する
ことを特徴とするインクカートリッジ。
<9>前記第2のインク収容部は、前記画像形成装置の本体側面に装着され、
前記露出部は、前記画像形成装置の本体側面から露出する
ことを特徴とする<8>に記載のインクカートリッジ。
<10>液体吐出ヘッドと、
<1>から<9>のいずれかに記載のインクカートリッジと、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
<11>前記第1のインク収容部が装着可能な挿入口と、
前記第2の接続口と接続可能な前記インク供給口と、を有する
ことを特徴とする<10>に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0096】
1 本体
2 インクカートリッジ
3 挿入口
9 インク供給口
10 インクカートリッジ
30 中継カートリッジ
30A 露出部
30B 非露出部
32 中継インク袋
33A、33B 接続部品
34 熱溶着部
35 ベース部材
40 継足しカートリッジ
42 継足しインク袋
46 第1のカバー部材
47 第2のカバー部材
48 管支持部材
60 爪
61 凸形状
62 開口部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【特許文献1】特開平10-100430号公報
【特許文献2】特開2004-142442号公報