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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059559
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】除電方法、および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
H01L21/68 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132807
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2022166719
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】増田 圭太
(72)【発明者】
【氏名】今枝 泰三
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA18
5F131CA68
5F131EB15
5F131EB78
5F131EB84
5F131HA25
(57)【要約】
【課題】第1基体の位置ずれを低減しつつ、静電チャックのそれぞれを短時間で除電可能な除電方法および発光装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】除電方法は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する第1基体を準備する工程と、吸着面にガス供給孔の開口を有する静電チャックに電圧を印加することで、前記第1面を前記吸着面に吸着させた前記第1基体を処理容器内に配置する工程と、前記第1基体の前記第2面と第2基体とを当接させる工程と、前記第1基体の前記第2面と前記第2基体とを当接させた状態で、前記静電チャックへの電圧の印加を停止するとともに、前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に前記ガス供給孔からガスを供給する工程と、前記静電チャックから前記第1基体を離す工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する第1基体を準備する工程と、
吸着面にガス供給孔の開口を有する静電チャックに電圧を印加することで、前記第1面を前記吸着面に吸着させた前記第1基体を処理容器内に配置する工程と、
前記第1基体の前記第2面と第2基体とを当接させる工程と、
前記第1基体の前記第2面と前記第2基体とを当接させた状態で、前記静電チャックへの電圧の印加を停止するとともに、前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に前記ガス供給孔からガスを供給する工程と、
前記静電チャックから前記第1基体を離す工程と、を含む除電方法。
【請求項2】
前記第1基体を前記第2基体に当接させる工程は、前記第1基体を前記第2基体に当接させることにより、前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程を含み、
前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程、および前記ガスを供給する工程を、並行に行う、請求項1に記載の除電方法。
【請求項3】
前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程を複数回行い、
前記第1基体を処理容器内に配置する工程では、複数回の前記接合する工程ごとで前記静電チャックに印加する電圧を、順方向に印加する順電圧、または逆方向に印加する逆電圧に交互に切り替える、請求項2に記載の除電方法。
【請求項4】
前記接合する工程では、前記第1基体により前記吸着面が覆われた状態において、前記第1基体に高速原子ビームが照射される、請求項3に記載の除電方法。
【請求項5】
前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程、および前記ガスを供給する工程のそれぞれにおける処理時間を同じとする、請求項2に記載の除電方法。
【請求項6】
前記第2基体の厚みは、前記第1基体の厚みよりも薄く、
前記静電チャックに吸着される前記第1基体の下方に前記第2基体を配置する、請求項1または請求項2に記載の除電方法。
【請求項7】
前記第1基体を前記第2基体に当接した際の単位面積当たりの荷重は、0.1MPa以上0.5MPa以下である、請求項1または請求項2に記載の除電方法。
【請求項8】
前記静電チャックと前記第1基体との間の隙間は5μm以上50μm以下である、請求項1または請求項2に記載の除電方法。
【請求項9】
前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に供給する前記ガスは、希ガスを含む不活性ガスである、請求項1または請求項2に記載の除電方法。
【請求項10】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置し、発光部が配置された第2面と、を有する第1基体を準備する工程と、
吸着面にガス供給孔の開口を有する静電チャックに電圧を印加することで、前記第1面を前記吸着面に吸着させた前記第1基体を処理容器内に配置する工程と、
波長変換物質を含む第2基体に、前記第1基体を当接させることにより、前記第1基体における前記発光部と前記第2基体とを接合する工程と、
前記第1基体と前記第2基体とを当接させた状態で、前記静電チャックへの電圧の印加を停止するとともに、前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に前記ガス供給孔からガスを供給する工程と、
前記静電チャックから前記第1基体を離す工程と、を含む、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除電方法、および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、静電チャックに電圧を印加することで被処理体を吸着した後、被処理体と静電チャックとの間にガスを供給する工程を含む被処理体の除電方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-088408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、第1基体の位置ずれを低減しつつ、静電チャックを短時間で除電可能な除電方法および発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、除電方法は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する第1基体を準備する工程と、吸着面にガス供給孔の開口を有する静電チャックに電圧を印加することで、前記第1面を前記吸着面に吸着させた前記第1基体を処理容器内に配置する工程と、前記第1基体の前記第2面と第2基体とを当接させる工程と、前記第1基体の前記第2面と前記第2基体とを当接させた状態で、前記静電チャックへの電圧の印加を停止するとともに、前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に前記ガス供給孔からガスを供給する工程と、前記静電チャックから前記第1基体を離す工程と、を含む。
【0006】
本開示の一態様によれば、発光装置の製造方法は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置し、発光部が配置された第2面と、を有する第1基体を準備する工程と、吸着面にガス供給孔の開口を有する静電チャックに電圧を印加することで、前記第1面を前記吸着面に吸着させた前記第1基体を処理容器内に配置する工程と、波長変換物質を含む第2基体に、前記第1基体を当接させることにより、前記第1基体における前記発光部と前記第2基体とを接合する工程と、前記第1基体と前記第2基体とを当接させた状態で、前記静電チャックへの電圧の印加を停止するとともに、前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に前記ガス供給孔からガスを供給する工程と、前記静電チャックから前記第1基体を離す工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1基体の位置ずれを低減しつつ、静電チャックを短時間で除電可能な除電方法および発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る除電方法を行う接合装置の模式的断面図である。
図2図1における第1静電チャックの模式的平面図である。
図3図2におけるIII-III線の模式的断面図である。
図4図3における領域Aの模式的拡大平面図である。
図5図4における領域Bの模式的拡大平面図である。
図6図4における領域Cの模式的拡大平面図である。
図7図4における領域Dの模式的拡大平面図である。
図8図4における領域Eの模式的拡大平面図である。
図9】第1基体を処理容器内に配置する工程を説明する模式的断面図である。
図10】第1基体の第2面と第2基体とを当接させる工程を説明する模式的断面図である。
図11】ガスを供給する工程を説明する模式的断面図である。
図12】第1静電チャックから第1基体を離す工程を説明する模式的断面図である。
図13】第2実施形態に係る発光装置の製造方法により製造される発光装置の模式的断面図である。
図14】第3実施形態に係る除電方法を行う接合装置の模式的断面図である。
図15】第4実施形態に係る除電方法を行う接合装置の模式的断面図である。
図16】第4実施形態に係る除電方法を含む接合装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る除電方法および発光装置の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための除電方法および発光装置の製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。断面図として、切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。
【0010】
各図面において、方向表現として、X軸、Y軸およびZ軸を有する直交座標を用いる。X軸、Y軸およびZ軸は互いに直交する。本明細書では、上下方向に沿う軸をZ軸とする。該上下方向に直交する軸をX軸およびY軸とする。X軸に沿うX方向で矢印が向いている方向を+X方向または+X側、+X方向の反対方向を-X方向または-X側と表記する。Y軸に沿うY方向で矢印が向いている方向を+Y方向または+Y側、+Y方向の反対方向を-Y方向または-Y側と表記する。Z軸に沿うZ方向で矢印が向いている方向を+Z方向または+Z側、+Z方向の反対方向を-Z方向または-Z側と表記する。但し、これらの方向表現は、本開示の実施形態の方向を限定するものではない。
【0011】
本明細書において、平面視とは、Z方向、すなわち上下方向から対象を見ることをいう。また本明細書において、+Z方向または+Z側を上、-Z方向または-Z側を下という。また本明細書において、X軸、Y軸およびZ軸に沿うとは、対象がこれら軸に対して±10°の範囲内の傾きを有することを含む。また直交は、90°に対して±10°以内の誤差を含んでもよい。
【0012】
以下、第1実施形態、第3実施形態および第4実施形態では、実施形態に係る除電方法の一例として、基体を接合する接合装置による除電方法を説明する。第2実施形態では、実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0013】
[第1実施形態]
<接合装置100の構成例>
図1は、第1実施形態に係る除電方法を行う接合装置100の模式的断面図である。図1の断面は、X軸に直交し、Y軸およびZ軸のそれぞれに平行な断面を示している。図1に示すように、接合装置100は、処理容器1と、真空ポンプ2と、第1静電チャック3と、載置台4と、押圧機構5と、第1ガス供給部6と、を有する。
【0014】
処理容器1は、接合装置100による接合処理が内側で行われる容器である。処理容器1は、第1基体10と第2基体20とが配置される領域S1を、予め設定された基準真空度以上の真空度で維持する。基準真空度は、10-6Pa程度が好ましい。処理容器1には真空チャンバ等を使用できる。
【0015】
処理容器1は、排気管および排気弁を介して真空ポンプ2に接続されている。排気弁を開状態にして真空ポンプ2を作動させると、処理容器1内の気体が、排気管を通して処理容器1外へ排出され、処理容器1内の気圧が減圧される。また、排気弁の開閉量を変動させて排気量を調節することにより、処理容器1内の気圧(真空度)を調節することができる。処理容器1内を減圧するための構成部は、真空ポンプ2に限らず、クライオポンプ等であってもよい。
【0016】
第1静電チャック3と載置台4は、処理容器1内において、上下方向で互いに向き合うように配置される。第1静電チャック3は、第1基体10を支持する。載置台4は、第2基体20を載置する。第1基体10は、第1面10aと第2面10bとを有する。第2面10bは、第1面10aとは反対側に位置する面である。図1に示した例では、第1面10aは、第1基体10の+Z側の面である。第2面10bは、第1基体10の-Z側の面である。
【0017】
第1静電チャック3は、第1吸着面3a(吸着面)に第1ガス供給孔31(ガス供給孔)の開口を有する静電チャックの一例である。第1静電チャック3は、電圧が印加されることにより、第1吸着面3a(-Z側の面)に第1基体10の第1面10aを吸着させ、第1基体10を支持する。例えば第1静電チャック3の第1吸着面3aには、第1基体10全体が面接触した状態で第1基体10が支持される。第1静電チャック3には、順方向に印加する順電圧または逆方向に印加する逆電圧が印加される。第1ガス供給孔31は、第1基体10の第2面10bと第2基体20とを当接させた状態で、第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aとの間に、第1ガス供給部6からのガスを供給するための孔である。後述するように、第1基体10の第2面10bと第2基体20とを当接させた状態において、第1吸着面3aと第1基体10の第1面10aとの間には隙間Gが存在する。例えば第1ガス供給孔31は、第1静電チャック3を上下方向に貫通する孔である。第1静電チャック3の第1吸着面3aは、複数の第1ガス供給孔31の開口を有していてもよい。
【0018】
載置台4は、載置面4a(+Z側の面)に第2基体20の-Z側の面が向き合うように、載置面4a上に第2基体20を載置する。例えば載置台4は、その載置面4aが第2基体20全体に面接触した状態で第2基体20を載置する。載置台4は、図1に示した例では支持台30上に固定されているが、処理容器1に固定されてもよい。
【0019】
押圧機構5は、支持部材51と、移動機構52と、移動駆動部53と、を有する。支持部材51は、ネジ部材、接着部材等により第1静電チャック3を固定することで第1静電チャック3を支持する。移動機構52は、Z方向に第1静電チャック3を移動させる機構である。移動駆動部53は、移動機構52を駆動させる。押圧機構5には、移動駆動部53として、サーボモータを用いたサーボプレス、シリンダを用いたシリンダプレス等を使用できる。
【0020】
押圧機構5は、移動駆動部53により移動機構52を駆動させることで、支持部材51により支持した第1静電チャック3の第1吸着面3aと載置台4の載置面4aとを略平行に維持しつつ、第1静電チャック3を上下方向(Z方向)に移動させる。押圧機構5は、第1静電チャック3を-Z方向に移動させることで、第1静電チャック3に吸着された第1基体10を、第1基体10の-Z方向側に配置された第2基体20に当接させることができる。また、押圧機構5は、第1静電チャック3を+Z方向に移動させることで、第1静電チャック3を第2基体20から離すことができる。なお、押圧機構5は、上記の構成部の他、X方向およびY方向に第1静電チャック3を移動させる水平移動機構、第1静電チャック3をZ軸回りに回転させる回転機構、Z軸に対する第1静電チャック3の傾きを調整する傾き調整機構等を有してもよい。
【0021】
第1ガス供給部6は、第1ガス供給源61と、第1ガス調整部62と、第1ガス供給管63と、を有する。第1ガス供給部6は、第1ガス供給源61により発生されたガスを、第1ガス調整部62および第1ガス供給管63を介して、第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aとの間に供給する。第1ガス供給源61は、例えばアルゴンガスをガスとして供給する。第1ガス調整部62は、第1ガス供給源61からのガスの流量、流速等を調整するレギュレータ等の調整機構である。第1ガス供給管63は、第1ガス供給孔31に接続する管状部材である。第1ガス供給部6は、第1ガス供給管63を介して、第1ガス調整部62で流量、流速等が調整されたガスを第1ガス供給孔31に供給することができる。
【0022】
第1ガス供給部6からのガスは、希ガスを含む不活性ガスであることが好ましい。希ガスは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等である。希ガスを含む不活性ガスを供給することにより、供給されたガスとの化学反応による第1基体10または第2基体20の損傷、汚染等を防止することができる。また不活性ガスは、反応しても第1基体10または第2基体20の損傷、汚染等への影響が少ない窒素、酸素、水素等のガスであってもよい。
【0023】
<第1静電チャック3の構成例>
図2図7を参照して、第1静電チャック3の構成について説明する。図2は、図1における第1静電チャック3の模式的平面図である。図3は、図2におけるIII-III線の模式的断面図である。図4は、図3における領域Aの模式的拡大平面図である。図5は、図4における領域Bの模式的拡大平面図である。図6は、図4における領域Cの模式的拡大平面図である。図7は、図4における領域Dの模式的拡大平面図である。図8は、図4における領域Eの模式的拡大平面図である。
【0024】
図2および図3に示すように、第1静電チャック3は、台部32と、台部32から下方向(-Z方向)に突出する凸部33と、誘電層34と、を有する。凸部33において最も下方に位置する下面33aは略平坦である。台部32および凸部33のそれぞれの平面視における外形形状は略円形である。但し、これに限定されず、該外形形状は、略矩形、略楕円形、略多角形であってもよい。下面33a上には、絶縁性を有する誘電層34が配置されている。誘電層34は、例えばポリイミド樹脂等を含んで構成される。誘電層34における下面33aと向き合う面とは反対側の面(-Z側の面)は、第1吸着面3aに対応する。第1ガス供給孔31は、台部32、凸部33および誘電層34のそれぞれを上下方向に貫通する孔である。
【0025】
図4図8に示すように、誘電層34は、下面33aおよび下面33a上に配置された電極330のそれぞれを覆うように配置される。
【0026】
電極330は、X方向に延伸するように配置される。また、電極330は、電極の極性がY方向において正極性および負極性が交互に並ぶように配置される。例えば、図5および図6において、電極331,333,334,336は正極性、電極332,335は負極性であり、正極性および負極性の電極が交互に並んでいる。このような電極330は、グラディエント型または櫛歯型の電極と呼ばれる。電極330において、隣り合う電極同士のY方向における中心間距離d(図5を参照)は、略0.45mmである。
【0027】
第1静電チャック3の第1吸着面3aに第1基体10を当接させた状態で、電極330に含まれる正極性の電極には正電圧を、負極性の電極には負電圧をそれぞれ印加する。第1基体10内の正電荷と負電荷が電極330の電極の極性と引き合うように移動する。この第1静電チャック3と第1基体10の間で発現する引き寄せ合う力によって、第1基体10は第1静電チャック3の第1吸着面3aに吸着される。
【0028】
<第1実施形態に係る除電方法例>
次に、第1実施形態に係る除電方法について説明する。本実施形態に係る除電方法は、(a)第1基体10を準備する工程と、(b)第1基体10を処理容器1内に配置する工程と、(c)第1基体10と第2基体とを当接させる工程と、を含む。また本実施形態に係る除電方法は、(d)第1静電チャック3と第1基体10との間にガスを供給する工程と、(e)第1静電チャック3から第1基体10を離す工程と、を含む。以下、図9図12を参照して、各工程を詳細に説明する。図9は、第1基体10を処理容器1内に配置する工程を説明する模式的断面図である。図10は、第1基体10の第2面10bと第2基体20とを当接させる工程を説明する模式的断面図である。図11は、ガスを供給する工程を説明する模式的断面図である。図12は、第1静電チャック3から第1基体10を離す工程を説明する模式的断面図である。
【0029】
(a)第1基体10を準備する工程
まず、上述した第1基体10を準備する。なお、本明細書において第1基体10を準備するとは、第1基体10を製造することの他、第1基体10の購入を含む譲受等により準備することも含む。
【0030】
(b)第1基体10を処理容器1内に配置する工程
次に、第1吸着面3aに第1ガス供給孔31の開口を有する第1静電チャック3に電圧を印加することで、第1面10aを第1吸着面3aに吸着させた第1基体10を処理容器1内に配置する。図9は、処理容器1内に配置された第1基体10を示している。第1基体10は、処理容器1内において、第1面10aが第1静電チャック3の第1吸着面3aに吸着された状態で、載置台4の載置面4a上に載置された第2基体20に向き合うように配置される。この工程では、処理容器1の内部は、予め設定された基準真空度以上の真空度で維持される。なお、この工程では、第1ガス供給孔31からガスは供給されていない。
【0031】
(c)第1基体10と第2基体とを当接させる工程
次に、第1基体10の第2面10bと第2基体20とを当接させる。図10に示すように、第1静電チャック3により吸着された第1基体10は、処理容器1内において下方向40に移動し、載置台4上に載置された第2基体20に当接する。この当接により、第1基体10と第2基体20を接合することができる。この接合は、接合力が低く、第1基体10と第2基体20を簡単に離すことが可能な仮接合であってもよいし、接合力が高く、第1基体10と第2基体20を簡単には離すことができない本接合であってもよい。第1基体10と第2基体20との接合には、例えば表面活性化接合法等の直接接合法を用いることができる。なお、この工程では、第1ガス供給孔31からガスは供給されていない。
【0032】
(d)第1静電チャック3と第1基体10との間にガスを供給する工程
次に、第1基体10の第2面10bと第2基体20とを当接させた状態で、第1静電チャック3への電圧の印加を停止するとともに、第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aとの間に第1ガス供給孔31からガスを供給する。例えば、第1ガス供給部6から供給されるアルゴンガスを第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aとの間に供給する。アルゴンガスを第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aとの間に供給する時間は、例えば、40秒以上100秒以下とすることできる。第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aの隙間におけるガス圧力は、10Pa以上10Pa以下であることが好ましい。
【0033】
図11に示すように、第1静電チャック3の第1吸着面3aおよび第1基体10の第1面10aのそれぞれは、加工における平面度誤差、表面粗さ等に応じて表面に微小な凹凸を含む。この微小な凹凸に応じて、第1吸着面3aと第1面10aとの間には隙間Gが存在する。本実施形態では、第1基体10の第2面10bと第2基体20とを当接させた状態で、第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aとの間に第1ガス供給孔31からガスを上記の隙間G内に供給する。隙間Gにガスを供給することで、第1静電チャック3および第1基体10のそれぞれを除電できる。
【0034】
(e)第1静電チャック3から第1基体10を離す工程
次に、第1静電チャック3から第1基体10を離す。図12に示すように、第1静電チャック3により吸着された第1基体10は、処理容器1内において上方向50に移動し、載置台4上に載置された第2基体20から第1基体10が離される。これにより、第1基体10と第2基体20とが接合された基体を得ることができる。
【0035】
<第1実施形態に係る除電方法の主な作用効果>
図9図12を引き続き参照しながら、本実施形態に係る除電方法の主な作用効果について説明する。
【0036】
従来、第1基体と第2基体とを接合した後、第1基体を吸着した静電チャックを第1基体から離す際には、静電チャックへの電圧の印加を停止させ、静電チャックと第1基体の間における引き寄せ合う力を低減させる。しかしながら、静電チャックへの電圧の印加を停止させても、静電チャックおよび第1基体のそれぞれに電荷が残ることで、静電チャックが第1基体を吸着する力が残り、静電チャックを第1基体から離せない場合がある。
【0037】
静電チャックおよび第1基体のそれぞれに残った電荷が自然に除電されて、静電チャックを第1基体から離せる状態になるには、長い時間がかかる。その間、接合装置を使用できなくなる。従って、自然に除電する方法では、接合装置の生産性が低下する場合がある。
【0038】
また、静電チャックおよび第1基体に電荷が残った状態で、静電チャックと第1基体との間にガスを供給したり、リフトピン等で第1基体を静電チャックから離れる方向に押したりすることで、静電チャックから第1基体を強制的に離すと、第1基体の破損、位置ずれ等が生じる。これにより、接合装置による接合品質が低下する場合がある。また、静電チャックに電荷が残った状態で静電チャックによる第1基体の吸着を繰り返すと、静電チャックが故障する場合がある。
【0039】
本実施形態では、第1基体10を第2基体20に当接させた状態で、第1静電チャック3と第1基体10の第1面10aとの間に第1ガス供給孔31からガスを供給するため、ガスの供給に伴う第1基体の位置ずれを低減できる。また第1静電チャック3と第1基体10との間のガス圧力が、処理容器1内における第1静電チャック3と第1基体10との間以外の領域のガス圧力よりも高くなるため、第1静電チャック3と第1基体10との間におけるガス内の気体分子の密度が高くなる。これにより、第1静電チャック3と第1基体10に残った電荷が気体分子により中和することを促進し、第1静電チャック3および第1基体10のそれぞれを短時間で除電することができる。また処理容器1内全体のガス圧力を上げず、処理容器1内のガス圧力を上げるために必要な時間が不要であるため、除電にかかる時間を短くできる。これらにより、第1基体10の位置ずれを低減しつつ、第1基体10および第1静電チャック3のそれぞれを短時間で除電可能な除電方法を提供することができる。
【0040】
また、本実施形態では、(c)第1基体10を第2基体20に当接させる工程は、第1基体10を第2基体20に当接させることにより、(c-1)第1基体10と第2基体20とを接合する工程を含み、(c-1)第1基体10と第2基体20とを接合する工程、および(d)ガスを供給する工程を、並行に行ってもよい。これにより、実施形態に係る除電方法の工程数および工程にかかる時間を増やすことなく除電でき、工程を簡素化するとともに、工程にかかる時間を短縮することができる。なお、「(c)第1基体10を第2基体20に当接させる工程が、(c-1)第1基体10と第2基体20とを接合する工程を含む」とは、第1基体10を第2基体20に当接させることにより、第1基体10と第2基体20とを接合することを意味する。例えば、上記の(c)当接させる工程は、第1基体10と第2基体20を接合させるために必要な力よりも大きな力で、第1基体10を第2基体20に当接させることによって、上記の(c-1)接合させる工程を含むことができる。
【0041】
また、本実施形態では、(c-1)第1基体10と第2基体20とを接合する工程、および(d)ガスを供給する工程のそれぞれにおける処理時間を同じとしてもよい。この処理時間は、例えば70秒である。上記の処理時間を同じにすることにより、実施形態に係る除電方法の工程数および工程にかかる時間を増やすことなく除電でき、工程を簡素化するとともに、工程にかかる時間を短縮することができる。
【0042】
また、本実施形態では、第2基体20の厚みを第1基体10の厚みよりも薄くし、第1静電チャック3に吸着される第1基体10の下方に第2基体20を配置してよい。これにより、第1基体10と第2基体20とを接合するために、第1基体10よりも薄い第2基体20を第1基体10よりも下方に配置した状態で、主に第1静電チャック3を用いて第1基体10をハンドリングできる。この結果、第1基体10と比較して薄くてハンドリングしにくい第2基体20のハンドリングを低減できるため、接合処理を行う際の第1基体10および第2基体20のハンドリング性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、第1基体10を第2基体20に当接させた際の単位面積当たりの荷重は、0.1MPa以上0.5MPa以下であってもよい。この荷重をかけることにより、第1基体10と第1静電チャック3との間にガスを供給した際に、第1基体10の位置ずれを低減することができる。これにより、第1基体10の位置ずれを低減しつつ、供給したガスの作用で第1基体10および第1静電チャック3のそれぞれを短時間で除電することができる。
【0044】
また、本実施形態では、第1静電チャック3と第1基体10との間の隙間は5μm以上50μm以下であってもよい。このような隙間を確保することにより、第1基体10および第1静電チャック3それぞれに残った電荷を短時間で中和するために必要なガス量を第1静電チャック3と第1基体10との間に供給できる。この結果、第1基体10の位置ずれを低減しつつ、第1基体10および第1静電チャック3のそれぞれを短時間で除電することができる。
【0045】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一の名称、符号については、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。この点は以降に示す実施形態においても同様とする。
【0046】
<発光装置200の構成例>
まず、本実施形態に係る発光装置の製造方法により製造される発光装置の構成について説明する。図13は、本実施形態に係る発光装置の製造方法により製造される発光装置200の模式的断面図である。発光装置200は、第1基体10Aと、第2基体20Aと、を有する。第1基体10Aは、基板101と、樹脂層102と、発光部103と、を含む。基板101、樹脂層102および発光部103は、上から下に向けてこの順に配置される。以下、基板101、樹脂層102、発光部103および第2基体20Aのそれぞれについて詳細に説明する。
【0047】
(基板101)
基板101は、発光部103を支持する。基板101の材料としては、例えば、サファイア、シリコン、ガラス、樹脂を用いることができる。本実施形態では一例として、基板101はサファイアからなる基板である。基板101の厚みは、例えば、800μm以上1000μm以下である。
【0048】
(樹脂層102)
樹脂層102は、基板101と発光部103との間に配置される。樹脂層102は、基板101と発光部103を接着するために使用される。樹脂層102の材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料を用いることができる。樹脂層102の材料として、具体的にはポリイミド樹脂を使用できる。樹脂層102の厚みは、例えば、3μm以上20μm以下である。
【0049】
(発光部103)
発光部103は、発光ダイオード等の半導体発光素子である。発光部103からの出射光のピーク波長に特に制限はない。発光部103からの出射光は、例えば紫外光、青色光から緑色光の可視光である。本実施形態では、発光装置200は1つの発光部103を含んでいるが、複数の発光部103を含んでいてもよい。発光部103の厚みは、例えば、50μm以上200μm以下である。
【0050】
発光部103は、積層された複数の半導体層を含む。例えば、発光部103は、発光層と、発光層を挟む第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)と、を含む。発光層は、例えば、複数の障壁層と、複数の井戸層とを含む多重量子井戸構造とすることができる。発光層は、第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との間に位置している。発光部103は、発光層に含まれる井戸層のバンドギャップに対応した波長の光を出射する。紫外光、青色光から緑色光の可視光を発光可能な半導体層は、例えば、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等の半導体材料を含んでいてもよい。具体的には、発光部103は、InAlGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等組成を有する窒化物系の半導体材を含んでもよい。
【0051】
(第2基体20A)
第2基体20Aは、波長変換物質を含む。第2基体20Aは、例えば、発光部103から入射する光の一部の波長を変換して出射する波長変換部材である。以下では、第2基体20Aが波長変換部材である場合の形態について説明する。
【0052】
第2基体20Aは、発光部103と直接接している。第2基体20Aは、発光部103から入射する光の一部の波長を変換して放射する蛍光体等の波長変換物質を含む。第2基体20Aが波長変換物質を含むことにより、第2基体20Aから外部に出射される光は、発光部103からの出射光と、波長変換物質により波長変換された光との混色光となる。例えば、発光部103から出射された青色光と、その青色光の一部が波長変換物質により波長変換された黄色光とを混合させることにより、白色系の光を発する発光装置200を得ることができる。
【0053】
第2基体20Aは、例えば、波長変換物質の焼結体、あるいは、セラミックス、ガラス等の無機材料に波長変換物質を含有させたものである。波長変換物質には、発光部103が出射する光で励起可能なものが使用される。例えば、波長変換物質としては、以下に示す具体例のうちの1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。波長変換物質としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)Si11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)Si:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K(Si1-xAl)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I) ここで、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、又はカルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se))等を用いることができる。これらの波長変換物質と、青色発光素子または紫外線発光素子と組み合わせることにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を得ることができる。例えば、第2基体20Aに含まれる波長変換物質の種類および濃度を調整することにより白色光を出射する発光装置200を得ることができる。第2基体20A中の波長変換物質の含有量は、例えば、5~50質量%程度である。
【0054】
第2基体20Aは、波長変換物質の他に光拡散材を含んでもよい。光拡散材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等を用いることができる。第2基体20Aが無機材料のみを含むことにより、つまり、有機材料を含まないことにより、第2基体20Aの熱伝導率を大きくし、放熱性を高めることができる。第2基体20Aの厚みは、例えば30μm以上200μm以下である。
【0055】
<発光装置200の製造方法例>
次に、本実施形態に係る発光装置200の製造方法について説明する。本実施形態に係る発光装置200の製造方法には、第1実施形態で示した接合装置100を使用できる。本実施形態では、第1基体10Aが第1静電チャック3により吸着され、第2基体20Aが載置台4に載置される点が、上述した第1実施形態とは異なる。
【0056】
本実施形態に係る発光装置200の製造方法は、(f)第1基体10Aを準備する工程と、(g)第1基体10Aを処理容器1内に配置する工程と、(h)第1基体10Aと第2基体Aとを接合する工程と、を含む。また本実施形態に係る発光装置200の製造方法は、(i)第1静電チャック3と第1基体10Aとの間にガスを供給する工程と、(j)第1静電チャック3から第1基体10Aを離す工程と、を含む。
【0057】
(f)第1基体10Aを準備する工程は、第1基体10が第1基体10Aである点を除き、上述した第1実施形態における(a)第1基体10を準備する工程とほぼ同じである。(g)第1基体10Aを処理容器1内に配置する工程は、第1基体10が第1基体10Aである点を除き、上述した第1実施形態における(b)第1基体10を処理容器1内に配置する工程とほぼ同じである。
【0058】
(h)第1基体10Aと第2基体20Aとを接合する工程は、波長変換物質を含む第2基体20Aに、第1基体10Aを当接させることにより、第1基体10Aにおける発光部103と第2基体20Aとを接合する。第1基体10Aと第2基体20Aとを接合する工程は、第1基体10の基板101が第1静電チャック3に吸着された状態で行われる。
【0059】
(i)ガスを供給する工程は、第1基体10が第1基体10Aである点を除き、上述した第1実施形態における(d)ガスを供給する工程とほぼ同じである。(j)第1静電チャック3から第1基体10Aを離す工程は、第1基体10が第1基体10Aである点を除き、上述した第1実施形態における(e)第1静電チャック3から第1基体10を離す工程とほぼ同じである。
【0060】
本実施形態に係る発光装置200の製造方法の作用効果は、上述した第1実施形態に係る除電方法の作用効果とほぼ同じである。
【0061】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る除電方法について説明する。図14は、第3実施形態に係る除電方法を行う接合装置100aの模式的断面図である。接合装置100aは、静電チャックを備えない載置台4に替えて、第2静電チャック7と、第2ガス供給部8と、を有する点が、上述した第1実施形態に係る除電方法を行う接合装置100とは異なる。
【0062】
第1静電チャック3と第2静電チャック7は、処理容器1内において、上下方向で互いに向き合うように配置されている。第1静電チャック3は、第1基体10を支持する。第2静電チャック7は、第2基体20を支持する。第2基体20は、第1面20aと第2面20bとを有する。第2面20bは、第1面20aとは反対側に位置する面である。図14に示した例では、第1面20aは、第2基体20の-Z側の面である。第2面20bは、第2基体20の+Z側の面である。
【0063】
第2静電チャック7は、第2吸着面7aに第2ガス供給孔71の開口を有する静電チャックである。第2静電チャック7は、電圧が印加されることにより、第2吸着面7a(+Z側の面)に第2基体20の第1面20aを吸着させ、第2基体20を支持する。例えば第2静電チャック7は、その第2吸着面7aが第2基体20に当接した状態で第2基体20を支持する。第2ガス供給孔71は、第1基体10と第2基体20の第2面20bとを当接させた状態で、第2静電チャック7と第2基体20の第1面20aとの間に、第2ガス供給部8からのガスを供給するための孔である。第1基体10と第2基体20の第2面20bとを当接させた状態において、第2吸着面7aと第2基体20の第1面20aとの間には隙間が存在する。例えば第2ガス供給孔71は、第2静電チャック7を上下方向に貫通する。第2静電チャック7は、図14に示した例では支持台30上に固定されているが、処理容器1に固定されてもよい。第2静電チャック7の第2吸着面7aは、複数の第2ガス供給孔71の開口を有していてもよい。
【0064】
第2ガス供給部8は、第2ガス供給源81と、第2ガス調整部82と、第2ガス供給管83と、を有する。第2ガス供給部8は、第2ガス供給源81により発生されたガスを、第2ガス調整部82および第2ガス供給管83を介して、第2静電チャック7と第2基体20の第1面20aとの間に供給する。第2ガス供給源81は、例えばアルゴンガスを供給する。第2ガス調整部82は、第2ガス供給源81からのガスの流量、流速等を調整するレギュレータ等の調整機構である。第2ガス供給管83は、第2ガス供給孔71に接続する管状部材である。第2ガス供給部8は、第2ガス供給管83を介して、第2ガス調整部82で流量、流速等が調整されたガスを第2ガス供給孔71に供給することができる。
【0065】
第2ガス供給部8からのガスは、希ガスを含む不活性ガスであることが好ましい。希ガスは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等である。希ガスを含む不活性ガスを供給することにより、供給されたガスとの化学反応による第1基体10または第2基体20の損傷、汚染等を防止することができる。また不活性ガスは、反応しても第1基体10または第2基体20の損傷、汚染等への影響が少ない窒素、酸素、水素等のガスであってもよい。
【0066】
本実施形態に係る除電方法は、第2基体20を吸着する第2静電チャック7を有する接合装置100aによっても行うことができる。すなわち、第2静電チャック7により第2基体20を吸着した後、第2基体20を離す際に、第2基体20の第2面20bと第1基体10とを当接させた状態で、第2静電チャック7の第2吸着面7aと第2基体20の第1面20aとの間にガスを供給する。これにより、第2基体20の位置ずれを低減しつつ、第2基体20および第2静電チャック7のそれぞれを短時間で除電可能な除電方法を提供できる。
【0067】
第1静電チャック3により上述した第1基体10Aを支持し、第2静電チャック7により上述した第2基体20Aを支持することにより、接合装置100aを発光装置200の製造方法に適用することもできる。
【0068】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る除電方法について説明する。本実施形態に係る除電方法は、第1基体10と第2基体20とを接合する工程(以下、単に接合工程という)を複数回行う。また、第1基体10を処理容器1内に配置する工程では、複数回の接合工程ごとで静電チャックに印加する電圧を、順方向に印加する順電圧または逆方向に印加する逆電圧に交互に切り替える。
【0069】
本実施形態に係る除電方法は、第1実施形態に係る除電方法と同様に、静電チャックの吸着面と第1基体との間に残る電荷を短時間で除電することができることに加えて、後述するように、複数回の接合工程を行う場合であっても、静電チャック内に電荷が蓄積されることによる静電チャックの吸着力の低下を低減することができる。
【0070】
静電チャックは、電圧を印加されることにより第1基体10等の対象物を吸着できるが、吸着を繰り返し行うと、静電チャック内に電荷が蓄積されることによって吸着力が低下する可能性がある。本実施形態において、後述するように、第1基体10の第2面10bと第2基体20とを直接接合法により接合するために、第1基体10の第2面10b及び第2基体20の第2面20bに高速原子ビームが照射される。このとき、第1基体10の第2面10bおよび第2基体20の第2面20bに高速原子ビームから照射された荷電粒子が第1基体10を介して静電チャックに供給される。このような接合工程を複数回行うにあたり、静電チャックに対して同じ順電圧を印加する場合、静電チャックの一方の極性側に電荷が蓄積されやすくなり吸着力が低下すると推測される。本実施形態に係る除電方法では、複数回の接合工程ごとで静電チャックに印加する電圧を順電圧または逆電圧に交互に切り替える。これにより、静電チャックの一方の極性側に電荷が蓄積されにくくなる、または静電チャック内に蓄積される電荷と第1基体10または第2基体20から供給される荷電粒子とが中和される等して、静電チャックに蓄積される電荷を低減し、静電チャックの吸着力の低下を低減することができる。
【0071】
<接合装置100bの構成例>
図15は、本実施形態に係る除電方法を行う接合装置100bの一例を示す模式的断面図である。図15に示すように、接合装置100bは、第1静電チャック3の第1吸着面3aに吸着された第1基体10に第1高速原子ビーム(FAB:Fast Atom Beam)B1を照射する第1FABガン300と、第1FABガン300を支持する第1支持部材301と、を有する。また接合装置100bは、第2静電チャック7の第2吸着面7aに吸着された第2基体20に第2高速原子ビームB2を照射する第2FABガン400と、第2FABガン400を支持する第2支持部材401と、を有する。
【0072】
また、図15に示す例では、接合装置100bは、第3ガス供給部310と、第4ガス供給部410と、を有する。第3ガス供給部310は、第3ガス供給源311と、第3ガス調整部312と、第3ガス供給管313と、を有する。第4ガス供給部410は、第4ガス供給源411と、第4ガス調整部412と、第4ガス供給管413と、を有する。第3ガス供給部310は、第3ガス供給源311により発生されたガスを、第3ガス調整部312および第3ガス供給管313を介して、第1FABガン300に供給する。第4ガス供給部410は、第4ガス供給源411により発生されたガスを、第4ガス調整部412および第4ガス供給管413を介して、第2FABガン400に供給する。
【0073】
図15において、第1静電チャック3および第2静電チャック7のそれぞれは、複数回の接合工程ごとで静電チャックに印加する電圧を、順電圧または逆電圧に交互に切り替えることができる。例えば、第1静電チャック3および第2静電チャック7に順電圧を印加することによる接合工程を行った後、第1静電チャック3および第2静電チャック7に逆電圧を印加することによる接合工程を行う。
【0074】
第3ガス供給源311は、ガスの一例としてアルゴンガスを供給する。第3ガス調整部312は、第3ガス供給源311からのガスの流量、流速等を調整するレギュレータ等の調整機構である。第3ガス供給管313は、第1FABガン300に接続する管状部材である。第3ガス供給部310は、第3ガス調整部312で流量、流速等が調整されたガスを、第3ガス供給管313を介して第1FABガン300に供給することができる。
【0075】
第4ガス供給源411は、ガスの一例としてアルゴンガスを供給する。第4ガス調整部412は、第4ガス供給源411からのガスの流量、流速等を調整するレギュレータ等の調整機構である。第4ガス供給管413は、第2FABガン400に接続する管状部材である。第4ガス供給部410は、第4ガス調整部412で流量、流速等が調整されたガスを、第4ガス供給管413を介して第2FABガン400に供給することができる。
【0076】
図15に示す例では、第1FABガン300は、第3ガス供給部310から供給されるアルゴン原子を、第1高速原子ビームB1として第1基体10に照射することにより、第1基体10の第2面10bを活性化させる。また、第2FABガン400は、第4ガス供給部410から供給されるアルゴン原子を、第2高速原子ビームB2として第2基体20に照射することにより、第2基体20の第2面20bを活性化させる。接合装置100bは、活性化した第1基体10の第2面10bと、活性化した第2基体20の第2面20bと、を当接させて接合する直接接合法によって第1基体10と第2基体20とを接合することができる。
【0077】
ここで、第1高速原子ビームB1および第2高速原子ビームB2の照射に応じて、第1吸着面3aおよび第2吸着面7aにイオンが照射されると、第1静電チャック3および第2静電チャック7に電荷が蓄積することにより、第1静電チャック3および第2静電チャック7が絶縁破壊を起こす可能性がある。このため、本実施形態に係る除電方法は、第1基体10と第2基体20とを接合する工程では、第1基体10により第1吸着面3aが覆われた状態において、第1基体10に第1高速原子ビームB1を照射することが好ましい。また、本実施形態に係る除電方法は、第1基体10と第2基体20とを接合する工程では、第2基体20により第2吸着面7aが覆われた状態において、第2基体20に第2高速原子ビームB2を照射することが好ましい。これらにより、第1吸着面3aおよび第2吸着面7aに直接的に第1高速原子ビームB1および第2高速原子ビームB2が照射されないため、第1静電チャック3および第2静電チャック7が絶縁破壊を起こすことを回避することができる。
【0078】
<接合装置100bの動作例>
図16は、本実施形態に係る除電方法を含む接合装置の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、接合装置100bは、接合装置100bが備える操作部を介して動作開始の操作入力を受け付けたときに、図16に示す動作を開始する。
【0079】
まず、ステップS11において、接合装置100bは、第1静電チャック3および第2静電チャック7のそれぞれに順電圧を印加する。これにより、第1静電チャック3の第1吸着面3aに第1基体10を吸着可能になるとともに、第2静電チャック7の第2吸着面7aに第2基体20を吸着可能になる。第1面10aを第1吸着面3aに吸着させた第1基体10、並びに第1面20aを第2吸着面7aに吸着させた第2基体20を、それぞれ処理容器1内に配置する。
【0080】
続いて、ステップS12において、接合装置100bは、第1FABガン300により、第1吸着面3aに吸着された第1基体10の第2面10bに第1高速原子ビームB1を照射する。また、接合装置100bは、第2FABガン400により、第2吸着面7aに吸着された第2基体20の第2面20bに第2高速原子ビームB2を照射する。これらにより、第1基体10の第2面10bおよび第2基体20の第2面20bをそれぞれ活性化させることができる。また、第1FABガン300による第1高速原子ビームB1の照射に応じて、第1基体10の第2面10bに照射された荷電粒子が第1基体10を介して第1静電チャック3に供給される。また、第2FABガン400による第2高速原子ビームB2の照射に応じて、第2基体20の第2面20bに照射された荷電粒子が第2基体20を介して第2静電チャック7に供給される。
【0081】
続いて、ステップS13において、接合装置100bは、第1FABガン300による第1高速原子ビームB1の照射、並びに第2FABガン400による第2高速原子ビームB2の照射をそれぞれ停止する。
【0082】
続いて、ステップS14において、接合装置100bは、移動機構52により第1静電チャック3を第2静電チャック7に向けて移動させる。これにより、第1基体10の第1面10aと第2基体20の第1面20aが当接する。活性化した第1基体10の第2面10bと第2基体20の第2面20bが当接することにより、第1基体10と第2基体20が、直接接合法によって接合される。
【0083】
続いて、ステップS15において、接合装置100bは、第1静電チャック3および第2静電チャック7のそれぞれへの順電圧の印加を停止する。
【0084】
続いて、ステップS16において、接合装置100bは、第1ガス供給部6により、第1吸着面3aと第1基体10の第1面10aとの間に、第1ガス供給孔31からガスを供給する。また、接合装置100bは、第2ガス供給部8により、第2吸着面7aと第2基体20の第1面20aとの間に、第2ガス供給孔71からガスを供給する。これらにより、第1静電チャック3と第1基体10の間および、第2静電チャック7と第2基体20との間に残る電荷を短時間で除電することができる。
【0085】
続いて、ステップS17において、接合装置100bは、移動機構52により第1静電チャック3を第2静電チャック7が位置する方向とは反対方向に移動させる。これにより、第1静電チャック3から第1基体10を、また第2静電チャック7から第2基体20を、それぞれ離すことが可能な状態になる。離す動作は、例えば接合装置100bの操作者が手動で行うことができる。
【0086】
続いて、ステップS18において、接合装置100bは、第1静電チャック3および第2静電チャック7のそれぞれに逆電圧を印加する。これにより、第1静電チャック3の第1吸着面3aに第1基体10を吸着可能になるとともに、第2静電チャック7の第2吸着面7aに第2基体20を吸着可能になる。第1面10aを第1吸着面3aに吸着させた第1基体10、並びに第1面20aを第2吸着面7aに吸着させた第2基体20を、それぞれ処理容器1内に配置する。なお、ステップS18で第1静電チャック3に吸着させた第1基体10および第2静電チャック7に吸着させた第2基体20は、ステップS11で第1静電チャック3に吸着させた第1基体10および第2静電チャック7に吸着させた第2基体20とは別の基体である。
【0087】
また、ステップS18では、第1静電チャック3および第2静電チャック7のそれぞれに逆電圧を印加することにより、順電圧が印加されたときとは逆方向に電荷が移動する。これにより、順電圧を繰り返し印加する場合と比較して、第1静電チャック3および第2静電チャック7のそれぞれに蓄積する電荷を低減することができる。
【0088】
続いて、ステップS19において、接合装置100bは、第1FABガン300により、第1吸着面3aに吸着された第1基体10の第2面10bに第1高速原子ビームB1を照射する。また接合装置100bは、第2FABガン400により、第2吸着面7aに吸着された第2基体20の第2面20bに第2高速原子ビームB2を照射する。これらにより、第1基体10の第2面10bおよび第2基体20の第2面20bをそれぞれ活性化させることができる。また、第1FABガン300による第1高速原子ビームB1の照射に応じて、第1基体10の第2面10bに照射された荷電粒子が第1基体10を介して第1静電チャック3に供給される。ステップ19では、ステップS12とは異なり第1静電チャック3に順電圧ではなく逆電圧が印加されている。そのため、第1基体10の第2面10bから第1基体10を介して静電チャックに供給される荷電粒子および第1静電チャック3内の電荷は、ステップ19とは異なる第1静電チャック3の極性側に移動しやすい。これにより、第1静電チャック3の一方の極性側に電荷が蓄積されることを低減し、第1静電チャック3への電荷の蓄積を低減することができる。また、第2FABガン400による第2高速原子ビームB2の照射に応じて、第2基体20の第2面20bに照射された荷電粒子が第2基体20を介して第2静電チャック7に供給される。第2基体20の第2面10bから第2基体20を介して静電チャックに供給される荷電粒子および第2静電チャック7内の電荷は、ステップ19とは異なる第2静電チャック7の極性側に移動しやすい。これにより、第2静電チャック7の一方の極性側に電荷が蓄積されることを低減し、第2静電チャック7への電荷の蓄積を低減することができる。
【0089】
続いて、ステップS20において、接合装置100bは、第1FABガン300による第1高速原子ビームB1の照射、並びに第2FABガン400による第2高速原子ビームB2の照射をそれぞれ停止する。
【0090】
続いて、ステップS21において、接合装置100bは、移動機構52により第1静電チャック3を第2静電チャック7に向けて移動させる。これにより、第1基体10の第2面10bと第2基体20の第2面20bが当接する。活性化した第1基体10の第2面10bと第2基体20の第2面20bが当接することにより、第1基体10と第2基体20が、直接接合法によって接合される。
【0091】
続いて、ステップS22において、接合装置100bは、第1静電チャック3および第2静電チャック7のそれぞれへの逆電圧の印加を停止する。
【0092】
続いて、ステップS23において、接合装置100bは、第1ガス供給部6により、第1吸着面3aと第1基体10の第1面10aとの間に、第1ガス供給孔31からガスを供給する。また、接合装置100bは、第2ガス供給部8により、第2吸着面7aと第2基体20の第1面20aとの間に、第2ガス供給孔71からガスを供給する。第1静電チャック3と第1基体10の間および、第2静電チャック7と第2基体20との間に残る電荷を短時間で除電することができる。
【0093】
続いて、ステップS24において、接合装置100bは、移動機構52により第1静電チャック3を第2静電チャック7が位置する方向とは反対方向に移動させる。これにより、第1静電チャック3から第1基体10を、また第2静電チャック7から第2基体20を、それぞれ離すことが可能な状態になる。離す動作は、例えば接合装置100bの操作者が手動で行うことができる。
【0094】
続いて、ステップS25において、接合装置100bは、接合動作を終了するか否かを判定する。例えば、接合装置100bは、接合装置100bの操作部を介した操作者の操作入力に基づき、接合動作を終了するか否かを判定することができる。
【0095】
ステップS25において、終了しないと判定した場合には(ステップS25、NO)、接合装置100bは、ステップS11以降の動作を再度行い、終了すると判定するまでステップS11以降の動作を繰り返す。一方、ステップS25において、終了すると判定した場合には(ステップS25、YES)、接合装置100bは、動作を終了する。
【0096】
以上のようにして、接合装置100bは、本実施形態に係る除電方法を含む、第1基体10と第2基体20との接合動作を行うことができる。
【0097】
以上、具体例を参照しつつ、本開示の実施形態について説明した。しかし、本開示は、これらの具体例に限定されるものではない。本開示の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本開示の要旨を包含する限り、本開示の範囲に属する。その他、本開示の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本開示の範囲に属するものである。
【0098】
本開示の態様は、例えば、以下のとおりである。
<項1> 第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する第1基体を準備する工程と、吸着面にガス供給孔の開口を有する静電チャックに電圧を印加することで、前記第1面を前記吸着面に吸着させた前記第1基体を処理容器内に配置する工程と、前記第1基体の前記第2面と第2基体とを当接させる工程と、前記第1基体の前記第2面と前記第2基体とを当接させた状態で、前記静電チャックへの電圧の印加を停止するとともに、前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に前記ガス供給孔からガスを供給する工程と、前記静電チャックから前記第1基体を離す工程と、を含む除電方法である。
<項2> 前記第1基体を前記第2基体に当接させる工程は、前記第1基体を前記第2基体に当接させることにより、前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程を含み、前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程、および前記ガスを供給する工程を、並行に行う、前記<項1>に記載の除電方法である。
<項3> 前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程を複数回行い、前記第1基体を処理容器内に配置する工程では、複数回の前記接合する工程ごとで前記静電チャックに印加する電圧を、順方向に印加する順電圧、または逆方向に印加する逆電圧に交互に切り替える、前記<項2>に記載の除電方法である。
<項4> 前記接合する工程では、前記第1基体により前記吸着面が覆われた状態において、前記第1基体に高速原子ビームが照射される、前記<項3>に記載の除電方法である。
<項5> 前記第1基体と前記第2基体とを接合する工程、および前記ガスを供給する工程のそれぞれにおける処理時間を同じとする、前記<2>に記載の除電方法である。
<項6> 前記第2基体の厚みは、前記第1基体の厚みよりも薄く、前記静電チャックに吸着される前記第1基体の下方に前記第2基体を配置する、前記<項1>から前記<項5>のいずれか1つに記載の除電方法である。
<項7> 前記第1基体を前記第2基体に押し当てた際の単位面積当たりの荷重は、0.1MPa以上0.5MPa以下である、前記<項1>から前記<項6>のいずれか1つに記載の除電方法である。
<項8> 前記静電チャックと前記第1基体との間の隙間は5μm以上50μm以下である、前記<項1>から前記<項7>のいずれか1つに記載の除電方法である。
<項9> 前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に供給する前記ガスは、希ガスを含む不活性ガスである、前記<項1>から前記<項8>のいずれか1つに記載の除電方法である。
<項10> 第1面と、前記第1面とは反対側に位置し、発光部が配置された第2面と、を有する第1基体を準備する工程と、吸着面にガス供給孔の開口を有する静電チャックに電圧を印加することで、前記第1面を前記吸着面に吸着させた前記第1基体を処理容器内に配置する工程と、波長変換物質を含む第2基体に、前記第1基体を当接させることにより、前記第1基体における前記発光部と前記第2基体とを接合する工程と、前記第1基体と前記第2基体とを当接させた状態で、前記静電チャックへの電圧の印加を停止するとともに、前記静電チャックと前記第1基体の前記第1面との間に前記ガス供給孔からガスを供給する工程と、前記静電チャックから前記第1基体を離す工程と、を含む、発光装置の製造方法である。
【符号の説明】
【0099】
1 処理容器
2 真空ポンプ
3 第1静電チャック
3a 第1吸着面
31 第1ガス供給孔
32 台部
33 凸部
33a 下面
330 電極
331~336 電極
34 誘電層
4 載置台
4a 載置面
5 押圧機構
51 支持部材
52 移動機構
53 移動駆動部
6 第1ガス供給部
61 第1ガス供給源
62 第1ガス調整部
63 第1ガス供給管
7 第2静電チャック
7a 第2吸着面
71 第2ガス供給孔
8 第2ガス供給部
81 第2ガス供給源
82 第2ガス調整部
83 第2ガス供給管
10、10A 第1基体
10a 第1面
10b 第2面
101 基板
102 樹脂層
103 発光部
20、20A 第2基体
20a 第1面
20b 第2面
30 支持台
40 下方向
50 上方向
100、100a 接合装置
200 発光装置
300 第1FABガン
301 第1支持部材
310 第3ガス供給部
311 第3ガス供給源
312 第3ガス調整部
313 第3ガス供給管
400 第2FABガン
401 第2支持部材
410 第4ガス供給部
411 第4ガス供給源
412 第4ガス調整部
413 第4ガス供給管
B1 第1高速原子ビーム
B2 第2高速原子ビーム
G 隙間
S1 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16