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特開2024-59646カンナビノイド受容体1型(CB1)結合性タンパク質及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059646
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】カンナビノイド受容体1型(CB1)結合性タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240423BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240423BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240423BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240423BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240423BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240423BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240423BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240423BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00 111
A61P3/04
A61P3/10
A61P3/06
A61P1/16
A61P43/00 105
A61P13/12
A61P25/00
A61P3/00
A61P19/10
A61P9/10
A61P29/00
A61P9/00
A61P35/00
A61P29/02
A61P25/04
A61P27/06
A61P25/34
A61K47/68
【審査請求】有
【請求項の数】56
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014317
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2020558493の分割
【原出願日】2019-04-29
(31)【優先権主張番号】62/664,882
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バナジー,アンタラ
(72)【発明者】
【氏名】ファンジュール,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ホーイ,ロバート,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サッヘン,ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】スースロフ,ニコライ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む、天然に存在しない単離された操作CB1結合性タンパク質を提供する。CB1結合性タンパク質は、CB1媒介性の容態、疾患及び障害の処置及び診断において有用性を有する。
【解決手段】可変重(VH)ドメイン配列のCDR及び可変軽(VL)ドメイン配列のCDRを含む、ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、その結合性タンパク質が6つの相補性決定領域(CDR):CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含み、その際、
CDR-H1は、アミノ酸配列G-Y-T-F-T-D-Y-W(配列番号329の残基26~33)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による前記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのGの置換はSであり;3位でのTの置換はEであり;5位でのTの置換はSまたはNであり;6位でのDの置換はRまたはYであり;7位でのYの置換はHであり;かつ8位でのWの置換はAまたはNであり;
CDR-H2は、アミノ酸配列I-Y-P-Y-D-G-D-T(配列番号329の残基51~58)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による前記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのIの置換はFであり;2位でのYの置換はD、S、またはTであり;3位でのPの置換はTであり;4位でのYの置換はG、D、またはSであり;5位でのDの置換はYまたはSであり;6位でのGの置換はSであり;7位でのDの置換はE、G、またはRであり;かつ8位でのTの置換はA、S、またはIであり;
CDR-H3は、アミノ酸配列A-R-G-X-X-X-X-X-X-X-X-X-W-X10-X11-Y(配列番号329の残基98~113)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による前記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのAの置換はSであり;3位でのGの置換はSであり;4位でのXはQ、Y、K、R、もしくはGであるか、または存在せず;5位でのXはE、Y、LもしくはGであるか、または存在せず;6位でのXはYもしくはPであるか、または存在せず;7位でのXはY、R、もしくはEであるか、または存在せず;8位でのXはGであるか、または存在せず;9位でのXはTであるか、または存在せず;10位でのXはNもしくはDであるか、または存在せず;11位でのXはY、N、A、もしくはGであるか、または存在せず;12位でのXはN、Y、S、A、もしくはRであるか、または存在せず;13位でのWの置換はY、A、またはPであり;14位でのX10はL、M、F、もしくはGであるか、または存在せず;15位でのX11はP、D、A、もしくはTであるか、または存在せず;16位でのYの置換はVであり;
CDR-L1は、アミノ酸配列Q-X-I-S-S-X-Y(配列番号330の残基27~33)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による前記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのQの置換はSまたはEであり;2位でのXはE、S、T、N、G、またはRであり;3位でのIの置換はVであり;4位でのSの置換はA、R、またはGであり;5位でのSの置換はG、N、またはTであり;6位でのXはS、N、ペプチドF-R-Y-Sであるか、または存在せず;かつ7位でのYの置換はF、D、またはNであり;
CDR-L2は、アミノ酸配列:X-T-S(配列番号330の残基51~53)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による前記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのXはA、Y、G、R、D、またはSであり;2位でのTの置換はAであり;3位でのSの置換はRであり;かつ
CDR-L3は、アミノ酸配列:Q-Q-Y-X-S-X-P-Y-T(配列番号330の残基91~99)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による前記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのQの置換はLまたはHであり;2位でのQの置換はHであり;3位でのYの置換はSまたはGであり;4位でのXはS、W、H、Y、N、またはIであり;5位でのSの置換はE、R、G、T、またはNであり;6位でのXはY、I、S、T、L、またはWであり;かつ8位でのYの置換はP、L、Fであるか、または存在せず;かつその際、少なくとも1個のアミノ酸残基の前記置換、付加、または欠失が、ヒトCB1に結合する前記抗体またはその抗原結合性断片の能力を阻害しない、前記単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、前記抗体が可変重(VH)ドメイン配列のCDR及び可変軽(VL)ドメイン配列のCDRを含み、その際、前記VHドメイン配列が、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択され、及び/または前記VLドメインが、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択される、前記単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、前記抗体が可変重(VH)ドメイン配列及び可変軽(VL)ドメイン配列を含み、その際、前記VHドメイン配列が、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択され、及び/または前記VLドメインが、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択される、前記単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
配列番号18/24、30/36、42/48、54/60、66/72、78/84、90/96、102/108、114/120、126/132、138/144、150/156、162/168、174/180、186/192、198/204、210/216、222/228、234/240、246/252、258/264、270/276、282/288、294/300、306/312、及び318/324からなる群から選択されるVH/VL対の重鎖CDR及び軽鎖CDRを含む、請求項3に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
配列番号18/24、30/36、42/48、54/60、66/72、78/84、90/96、102/108、114/120、126/132、138/144、150/156、162/168、174/180、186/192、198/204、210/216、222/228、234/240、246/252、258/264、270/276、282/288、294/300、306/312、及び318/324からなる群から選択されるVH/VL対を含む、請求項4に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項6】
(20、21、22);(32、33、34);(44、45、46);(56、57、58);(68、69、70);(80、81、82);(92、93、94);(104、105、106);(116、117、118);(128、129、130);(140、141、142);(152、153、154);(164、165、166);(176、177、178);(188、189、190);(200、201、202);(212、213、214);(224、225、226);(236、237、238);(248、249、250);(260、261、262);(272、273、274);(284、285、286);(296、297、298);(308、309、310);及び(320、321、322)からなる群から選択されるHCDRセット(HCDR1、HCDR2、HCDR3)ならびに(26、27、28);(38、39、40);(50、51、52);(62、63、64);(74、75、76);(86、87、88);(98、99、100);(110、111、112);(122、123、124);(134、135、136);(146、147、148);(158、159、160);(170、171、172);(182、183、184);(194、195、196);(206、207、208);(218、219、220);(230、231、232);(242、243、244);(254、255、256);(266、267、268);(278、279、280);(290、291、292);(302、303、304);(314、315、316);及び(326、327、328)からなる群から選択されるLCDRセット(LCDR1、LCDR2、LCDR3)を含む、請求項3に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項7】
配列番号(20、21、22/26、27、28);(32、33、34/38、39、40);(44、45、46/50、51、52);(56、57、58/62、63、64);(68、69、70/74、75、76);(80、81、82/86、87、88);(92、93、94/98、99、100);(104、105、106/110、111、112);(116、117、118/122、123、124);(128、129、130/134、135、136);(140、141、142/146、147、148);(152、153、154/158、159、160);(164、165、166/170、171、172);(176、177、178/182、183、184);(188、189、190/194、195、196);(200、201、202/206、207、208);(212、213、214/218、219、220);(224、225、226/230、231、232);(236、237、238/242、243、244);(248、249、250/254、255、256);(260、261、262/266、267、268);(272、273、274/278、279、280);(284、285、286/290、291、292);(296、297、298/302、303、304);(308、309、310/314、315、316);及び(320、321、322/326、327、328)からなる群から選択される(HCDRセット/LCDRセット)対を含む、請求項6に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項8】
配列番号17/23、29/35、41/47、53/59、65/71、77/83、89/95、101/107、113/119、125/131、137/143、149/155、161/167、173/179、185/191、197/203、209/215、221/227、233/239、245/251、257/263、269/275、281/287、283/289、305/311、及び317/323からなる群から選択されるHC/LC対を含む、請求項7に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項9】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、前記抗体が可変重(VH)ドメイン配列のCDR及び可変軽(VL)ドメイン配列のCDRを含み、その際、前記VHドメイン配列が、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有し、及び/または前記VLドメイン配列が、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、前記単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項10】
前記VHが配列番号114で示され、かつ前記VLが配列番号120で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項11】
前記VHが配列番号126で示され、かつ前記VLが配列番号132で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項12】
前記VHが配列番号138で示され、かつ前記VLが配列番号144で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項13】
前記VHが配列番号150で示され、かつ前記VLが配列番号156で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項14】
前記VHが配列番号162で示され、かつ前記VLが配列番号168で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項15】
前記VHが配列番号174で示され、かつ前記VLが配列番号180で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項16】
前記VHが配列番号186で示され、かつ前記VLが配列番号192で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項17】
前記VHが配列番号198で示され、かつ前記VLが配列番号204で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項18】
前記VHが配列番号210で示され、かつ前記VLが配列番号216で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項19】
前記VHが配列番号222で示され、かつ前記VLが配列番号228で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項20】
前記VHが配列番号234で示され、かつ前記VLが配列番号240で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項21】
前記VHが配列番号246で示され、かつ前記VLが配列番号252で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項22】
前記VHが配列番号258で示され、かつ前記VLが配列番号264で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項23】
前記VHが配列番号270で示され、かつ前記VLが配列番号276で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項24】
前記VHが配列番号282で示され、かつ前記VLが配列番号288で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項25】
前記VHが配列番号294で示され、かつ前記VLが配列番号300で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項26】
前記VHが配列番号306で示され、かつ前記VLが配列番号312で示される、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項27】
前記VHが配列番号318で示され、かつ前記VLが配列番号324で示される、請求項1に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項28】
前記抗体がヒトまたはヒト化抗体である、請求項1~27のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項29】
前記断片が、Fab断片、Fab’断片、F(ab)断片またはscFv断片を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項30】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、及びIgM Fcからなる群から選択されるヒトFc領域を含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項31】
改変ヒトFc領域を含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項32】
L234A/L235A、S228P、A330S、P331S、E233P/L234V/L235A、A327G/A330S/P331S、L234F/L235E/P331S、及びN297Qからなる群から選択される変異を含む改変ヒトFc領域を含む、請求項31に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか1項に記載の抗原結合性断片を含む、多重特異性結合性タンパク質。
【請求項34】
CB1シグナル伝達活性を阻害する、請求項1~33のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項35】
CB1シグナル伝達活性を増強する、または活性化する、請求項1~33のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項36】
CB1シグナル伝達活性に対するインバースアゴニストである、請求項1~33のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項37】
ヒト化抗体である、請求項1~36のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項38】
完全ヒト型抗体である、請求項1~36のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項39】
CB1への結合について、請求項1~38のいずれか1項に記載の単離抗ヒトCB1抗体またはその抗原結合性断片と競合する、単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項40】
結合について競合する前記抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトまたはヒト化抗体である、請求項39に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項41】
請求項1~38のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と実質的に同じCB1のエピトープに特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項42】
実質的に同じCB1のエピトープに特異的に結合する前記抗体またはその抗原結合性断片がヒトまたはヒト化抗体である、請求項41に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項43】
CB1について約1μM以下の結合親和性Kdを有する、カンナビノイド1型受容体(CB1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項44】
CB1について約100nM以下の結合親和性Kdを有する、請求項43に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項45】
リモナバンと比較した場合に、脳透過の減少を示す、請求項1~44のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項46】
リモナバンと比較した場合に、少なくとも2倍高くCB1シグナル伝達を阻害する、請求項1~44のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項47】
リモナバンと比べて、CNS副作用の減少を示す、請求項1~44のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離核酸分子。
【請求項49】
請求項48に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項50】
請求項49に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項51】
CB1シグナル伝達を調節する方法であって、CB1を発現する細胞を、請求項1~47のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む、前記方法。
【請求項52】
CB1をアンタゴナイズする方法であって、CB1を発現する細胞を、請求項1~47のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む、前記方法。
【請求項53】
CB1をアゴナイズする方法であって、CB1を発現する細胞を、請求項1~47のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む、前記方法。
【請求項54】
CB1をインバースアゴナイズする方法であって、CB1を発現する細胞を、請求項1~47のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む、前記方法。
【請求項55】
請求項1~47のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片と、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項56】
それを必要とする対象においてCB1の生物学的活性を阻害するための方法であって、有効量の請求項55に記載の医薬組成物を前記対象に投与し、それにより、前記対象において前記CB1タンパク質の活性を阻害することを含む、前記方法。
【請求項57】
CB1活性と関連する疾患を処置するための方法であって、請求項55に記載の医薬組成物を、前記疾患に罹患している対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項58】
それを必要とする対象においてCB1シグナル伝達の調節に応答する疾患または障害を処置する方法であって、請求項55に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項59】
それを必要とする対象においてCB1シグナル伝達のアンタゴニズムまたはインバースアゴニズムに応答する疾患または障害を処置する方法であって、前記対象に請求項55に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項60】
それを必要とする対象においてCB1シグナル伝達のアゴニズムに応答する疾患または障害を処置する方法であって、前記対象に請求項55に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項61】
CB1と関連する疾患または障害を診断するための方法であって、細胞を、請求項1~47のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む、前記方法。
【請求項62】
前記疾患または障害が、肥満、プラーダー-ヴィリ症候群(PWS)、アルストレーム症候群、バルデー-ビードル症候群(BBS)、アルブライド遺伝性骨ジストロフィー(AHO)、及びSIM1欠失症候群を含む症候性肥満;糖尿病及び関連合併症;脂質異常症;例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、及び原発性胆汁性肝硬変などの肝臓疾患;線維症、例えば、腎臓線維症;慢性腎臓疾患;糖尿病性神経障害、巣状分節性糸球体硬化症、腎疾患;代謝性疾患、骨粗鬆症、アテローム硬化症、炎症性疾患、心臓血管疾患、がん、疼痛、全身性硬化症、多発性硬化症痙縮、緑内障、及びニコチン中毒からなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項1~47のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片を含む抗体コンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、治療薬、細胞傷害薬、免疫接着分子、及びイメージング薬からなる群から選択される薬剤にコンジュゲートしている、前記抗体コンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2018年4月30日出願の米国特許仮出願第62/664,882号に対する優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、カンナビノイド受容体1型(CB1)結合性タンパク質及びその使用に関する。
【0003】
参照による組み込み
本出願を通じて引用され得るすべての引用参照文献(参考文献、特許、特許出願、及びウェブサイトを含む)の内容は、その全体があらゆる目的のために参照により明らかに本明細書に組み込まれ、そこで引用されている参照文献も同様である。本開示は、別段に示されていない限り、当技術分野で周知である免疫学、分子生物学、細胞生物学、医薬品開発及び薬物送達の従来の技術を使用することとする。
【背景技術】
【0004】
カンナビノイド受容体1型(CB1)は、主に脳において、さらには末梢では肺、肝臓、腎臓、及び脂肪組織において発現するGタンパク質共役受容体スーパーファミリーの7回膜貫通型細胞膜受容体である。CB1は、エンドカンナビノイドと呼ばれる体内で天然に生成するカンナビノイド(エイコシノイド(eicosinoid)など)、もしくは体内に導入されるカンナビノイド(カンナビスなど)、または関連合成化合物により活性化される。カンナビノイドは、CB1に可逆的に、かつ立体選択的に結合する。CB1に係合した後に、複数の細胞内シグナル伝達経路が活性化されて、アデニリルシクラーゼの阻害及びマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼの活性化、プレシナプスN型及びP/Q型カルシウムチャネル及びD型外向きカリウムチャネルの阻害、ならびに内向き整流及びA型外向きカリウムチャネルの活性化が生じる。CB1の発現は、過剰なニューロン活性の発生を阻止するように神経伝達物質の放出を調節して、疼痛及び他の炎症性症状を減少させ、さらには、食物摂取を調節すると考えられる。
【0005】
異常なCB1活性は、脂質異常症、糖尿病、線維症、脂肪肝などの肝臓疾患、腎臓疾患、心臓血管疾患及びがんなどの肥満及び関連障害を含むいくつかの疾患に関係している。
【0006】
プラダー・ウィリー症候群(PWS)は、ある特定の父系遺伝子の欠損が原因の遺伝性障害であり、肥満、2型糖尿病、発育の遅れ、及び筋力低下により特徴づけられる。CB-1は、PWSにおいて、インバースアゴニストであるリモナバンの標的として確認された(Motaghedi et al.(2011)Eur.J.Med.Genet.54:14-18)。リモナバン(SR141716、Acomplia、及びZimultiとも呼ばれる)は、経口中枢CB1アンタゴニストとしてSanofi-Aventisにより開発及び発売された食欲抑制抗肥満薬であった。この製品は、食事及び運動と併せて、2型糖尿病または脂質異常症などの関連リスク因子を有する肥満及び過体重の患者の処置に適応とされた。2006年6月に、この薬物はEMEAにより肥満について認可された。2008年に、Sanofi-Aventisは、自殺念慮を含む重篤な精神医学的問題のリスクにより、この薬物のすべての開発及びマーケティングをすべての適応症について中断した。2009年1月に、ECは、この薬物の販売許可を停止した。
【0007】
別のインバースアゴニストであるタラナバント(MK-0364)がMerckにより研究されたが、その第3相治験は、うつ病及び不安を含む高レベルの副作用により中止された。数種の他のCB1インバースアゴニスト(例えば、AM251、AM1387、及びAM4113)及びアンタゴニスト(例えば、カンナビゲロール、イビピナバント、オテナバント、スリナバント、テトラヒドロカンナビバリン、及びビロダミン)が研究されているが、それらは研究の初期段階にあるか、またはCNS副作用により、非ヒト研究に格下げされている。
【0008】
血液脳関門(BBB)を超えるCB-1インバースアゴニスト/アンタゴニストの能力を制限することにより、主に末梢で発現するCB1を標的とする、いくつかのCB-1インバースアゴニスト/アンタゴニストが開発中である。例えば、TM-38837は、肥満及び代謝障害を処置するために7TM Pharma A/Sが開発中の第1相のCB1のインバースアゴニスト/アンタゴニストである。まだ臨床に入っていない別の末梢選択的サイレントアンタゴニストは、AM6545である。末梢選択的CB-1アンタゴニズムは、いくつかの組織における末梢エンドカンナビノイド作用、すなわち(1)肝臓-脂質生成、脂肪蓄積、及びグルコース分泌の減少;(2)筋肉-グルコース取り込み及び酸化の増加;(3)脂肪細胞-脂質生成及び脂肪蓄積の減少;アディポネクチン合成の減少;ならびに(4)胃腸(GI)-満腹、GI通過及び吸収の増加(Kloet and Woods(2009)Endocrinol.150:2531-2536)を標的とするための、より安全かつより有効な方法であり得る。
【0009】
抗体及び関連結合性タンパク質などの生体分子は、治療薬を送達し、かつCNS障害及び副作用を回避するための、潜在的により安全かつ有効な方法を提供する。一般に、循環抗体のうちの約0.1%のみが、インタクトなBBBを超える(Poduslo et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5705-5709;Yu and Watts(2013)Neurotherapeut.10:459-472)。したがって、CNSへの機能性抗CB1生物製剤の本質的に低い曝露は、もっぱら末梢でCB-1に係合し、それにより、CNSにおいて小分子の薬理により駆動される有害事象を制限する機会を提供する。
【0010】
最近、CB1に対する抗体が当技術分野で記載されているが、臨床におけるそれらの利点は分かっていない。米国特許出願公開第20170210797号及び同第20160145333号を参照されたい。
【0011】
したがって、BBBを有意に透過せず、脳におけるCB1係合の有害な薬理学的作用を回避する、安全かつ有効で末梢に限定される抗CB1インバースアゴニストまたはアンタゴニストを同定することが必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、疾患の処置及び診断において有用な抗体及びその抗原結合性断片などの、カンナビノイド1型受容体(CB1)に結合する結合性タンパク質を提供する。
【0013】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、結合性タンパク質が、6つの相補性決定領域(CDR):CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含み、その際、CDR-H1は、アミノ酸配列G-Y-T-F-T-D-Y-W(配列番号329の残基26~33)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による上記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのGの置換はSであり;3位でのTの置換はEであり;5位でのTの置換はSまたはNであり;6位でのDの置換はRまたはYであり;7位でのYの置換はHであり;かつ8位でのWの置換はAまたはNであり;CDR-H2は、アミノ酸配列I-Y-P-Y-D-G-D-T(配列番号329の残基51~58)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による上記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのIの置換はFであり;2位でのYの置換はD、S、またはTであり;3位でのPの置換はTであり;4位でのYの置換はG、D、またはSであり;5位でのDの置換はYまたはSであり;6位でのGの置換はSであり;7位でのDの置換はE、G、またはRであり;かつ8位でのTの置換はA、S、またはIであり;CDR-H3は、アミノ酸配列A-R-G-X-X-X-X-X-X-X-X-X-W-X10-X11-Y(配列番号329の残基98~113)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による上記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのAの置換はSであり;3位でのGの置換はSであり;4位でのXはQ、Y、K、R、もしくはGであるか、または存在せず;5位でのXはE、Y、LもしくはGであるか、または存在せず;6位でのXはYもしくはPであるか、または存在せず;7位でのXはY、R、もしくはEであるか、または存在せず;8位でのXはGであるか、または存在せず;9位でのXはTであるか、または存在せず;10位でのXはNもしくはDであるか、または存在せず;11位でのXはY、N、A、もしくはGであるか、または存在せず;12位でのXはN、Y、S、A、もしくはRであるか、または存在せず;13位でのWの置換はY、A、またはPであり;14位でのX10はL、M、F、もしくはGであるか、または存在せず;15位でのX11はP、D、A、もしくはTであるか、または存在せず;16位でのYの置換はVであり;CDR-L1は、アミノ酸配列Q-X-I-S-S-X-Y(配列番号330の残基27~33)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による上記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのQの置換はSまたはEであり;2位でのXはE、S、T、N、G、またはRであり;3位でのIの置換はVであり;4位でのSの置換はA、R、またはGであり;5位でのSの置換はG、N、またはTであり;6位でのXはS、N、ペプチドF-R-Y-Sであるか、または存在せず;かつ7位でのYの置換はF、D、またはNであり;CDR-L2は、アミノ酸配列:X-T-S(配列番号330の残基51~53)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による上記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのXはA、Y、G、R、D、またはSであり;2位でのTの置換はAであり;3位でのSの置換はRであり;かつCDR-L3は、アミノ酸配列:Q-Q-Y-X-S-X-P-Y-T(配列番号330の残基91~99)または少なくとも1個のアミノ酸残基の置換による上記アミノ酸配列の改変形態を有し、その際、1位でのQの置換はLまたはHであり;2位でのQの置換はHであり;3位でのYの置換はSまたはGであり;4位でのXはS、W、H、Y、N、またはIであり;5位でのSの置換はE、R、G、T、またはNであり;6位でのXはY、I、S、T、L、またはWであり;かつ8位でのYの置換はP、L、Fであるか、または存在せず;かつその際、少なくとも1個のアミノ酸残基の上記置換、付加、または欠失が、ヒトCB1に結合する上記抗体またはその抗原結合性断片の能力を阻害しない、ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0014】
表5及び表6は、本発明の例示的な抗CB1抗体、及びその機能性抗原結合性断片を示している。
【0015】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、上記抗体が可変重鎖(VH)ドメイン配列のCDR及び可変軽鎖(VL)ドメイン配列のCDRを含み、その際、上記VHドメイン配列は、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択され、及び/または上記VLドメインは、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択される、ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0016】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、上記抗体が可変重鎖(VH)ドメイン配列及び可変軽鎖(VL)ドメイン配列を含み、その際、上記VHドメイン配列は、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択され、及び/または上記VLドメインは、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択される、ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0017】
一実施形態では、上記抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/24、30/36、42/48、54/60、66/72、78/84、90/96、102/108、114/120、126/132、138/144、150/156、162/168、174/180、186/192、198/204、210/216、222/228、234/240、246/252、258/264、270/276、282/288、294/300、306/312、及び318/324からなる群から選択されるVH/VL対の重鎖CDR及び軽鎖CDRを含む。
【0018】
一実施形態では、上記抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/24、30/36、42/48、54/60、66/72、78/84、90/96、102/108、114/120、126/132、138/144、150/156、162/168、174/180、186/192、198/204、210/216、222/228、234/240、246/252、258/264、270/276、282/288、294/300、306/312、及び318/324からなる群から選択されるVH/VL対を含む。
【0019】
一実施形態では、上記抗体またはその抗原結合性断片は、(20、21、22);(32、33、34);(44、45、46);(56、57、58);(68、69、70);(80、81、82);(92、93、94);(104、105、106);(116、117、118);(128、129、130);(140、141、142);(152、153、154);(164、165、166);(176、177、178);(188、189、190);(200、201、202);(212、213、214);(224、225、226);(236、237、238);(248、249、250);(260、261、262);(272、273、274);(284、285、286);(296、297、298);(308、309、310);及び(320、321、322)からなる群から選択されるHCDRセット(HCDR1、HCDR2、HCDR3)ならびに(26、27、28);(38、39、40);(50、51、52);(62、63、64);(74、75、76);(86、87、88);(98、99、100);(110、111、112);(122、123、124);(134、135、136);(146、147、148);(158、159、160);(170、171、172);(182、183、184);(194、195、196);(206、207、208);(218、219、220);(230、231、232);(242、243、244);(254、255、256);(266、267、268);(278、279、280);(290、291、292);(302、303、304);(314、315、316);及び(326、327、328)からなる群から選択されるLCDRセット(LCDR1、LCDR2、LCDR3)を含む。
【0020】
一実施形態では、上記抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号(20、21、22/26、27、28);(32、33、34/38、39、40);(44、45、46/50、51、52);(56、57、58/62、63、64);(68、69、70/74、75、76);(80、81、82/86、87、88);(92、93、94/98、99、100);(104、105、106/110、111、112);(116、117、118/122、123、124);(128、129、130/134、135、136);(140、141、142/146、147、148);(152、153、154/158、159、160);(164、165、166/170、171、172);(176、177、178/182、183、184);(188、189、190/194、195、196);(200、201、202/206、207、208);(212、213、214/218、219、220);(224、225、226/230、231、232);(236、237、238/242、243、244);(248、249、250/254、255、256);(260、261、262/266、267、268);(272、273、274/278、279、280);(284、285、286/290、291、292);(296、297、298/302、303、304);(308、309、310/314、315、316);及び(320、321、322/326、327、328)からなる群から選択される(HCDRセット/LCDRセット)対を含む。
【0021】
一実施形態では、上記抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17/23、29/35、41/47、53/59、65/71、77/83、89/95、101/107、113/119、125/131、137/143、149/155、161/167、173/179、185/191、197/203、209/215、221/227、233/239、245/251、257/263、269/275、281/287、283/289、305/311、及び317/323からなる群から選択されるHC/LC対を含む。
【0022】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、上記抗体が可変重鎖(VH)ドメイン配列のCDR及び可変軽鎖(VL)ドメイン配列のCDRを含み、その際、上記VHドメイン配列は、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有し、及び/または上記VLドメイン配列は、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0023】
一実施形態では、上記VHは配列番号114で示され、かつ上記VLは配列番号120で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号126で示され、かつ上記VLは配列番号132で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号138で示され、かつ上記VLは配列番号144で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号150で示され、かつ上記VLは配列番号156で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号162で示され、かつ上記VLは配列番号168で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号174で示され、かつ上記VLは配列番号180で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号186で示され、かつ上記VLは配列番号192で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号198で示され、かつ上記VLは配列番号204で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号210で示され、かつ上記VLは配列番号216で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号222で示され、かつ上記VLは配列番号228で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号234で示され、かつ上記VLは配列番号240で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号246で示され、かつ上記VLは配列番号252で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号258で示され、かつ上記VLは配列番号264で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号270で示され、かつ上記VLは配列番号276で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号282で示され、かつ上記VLは配列番号288で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号294で示され、かつ上記VLは配列番号300で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号306で示され、かつ上記VLは配列番号312で示される。一実施形態では、上記VHは配列番号318で示され、かつ上記VLは配列番号324で示される。
【0024】
一実施形態では、上記抗CB1抗体は、ヒトまたはヒト化抗体である。
【0025】
一実施形態では、上記抗CB1抗原結合性断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab)断片またはscFv断片を含む。
【0026】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、及びIgM Fcからなる群から選択されるヒトFc領域を含む。
【0027】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、L234A/L235A(「LALA」)、S228P、A330S、P331S、E233P/L234V/L235A、A327G/A330S/P331S、L234F/L235E/P331S、及びN297Qからなる群から選択される改変ヒトFc領域を含む。
【0028】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、CB1シグナル伝達活性を阻害するか、またはそのアンタゴニストである。
【0029】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、CB1シグナル伝達活性を増強または活性化するか、またはそれに対するアゴニストである。
【0030】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、CB1シグナル伝達活性に対するインバースアゴニストである。
【0031】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片はヒト化抗体である。
【0032】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は完全ヒト型抗体である。
【0033】
単離抗ヒトCB1抗体またはその抗原結合性断片と実質的に同じCB1のエピトープに特異的に結合する抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0034】
CB1への結合について、単離抗ヒトCB1抗体またはその抗原結合性断片と競合する抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0035】
一実施形態では、上記CB1に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片は、CB1について約1μMまたはそれ未満の結合親和性Kdを有する。
【0036】
一実施形態では、上記CB1に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片は、CB1について約100nMまたはそれ未満の結合親和性Kdを有する。
【0037】
一実施形態では、抗CB1抗体または抗原結合性断片は、リモナバンと比較した場合に、脳透過性の低下を示す。
【0038】
一実施形態では、抗CB1抗体または抗原結合性断片は、リモナバンと比較した場合に少なくとも2倍高く、CB1シグナル伝達を阻害する。
【0039】
一実施形態では、抗CB1抗体または抗原結合性断片は、リモナバンと比べてCNS副作用の減少を示す。
【0040】
抗CB1抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離核酸分子を提供する。
【0041】
抗CB1抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸分子を含む発現ベクターを提供する。
【0042】
抗CB1抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸分子を含む発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0043】
CB1シグナル伝達を調節する方法であって、CB1を発現する細胞を抗CB1抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む上記方法を提供する。
【0044】
CB1をアンタゴナイズする方法であって、CB1を発現する細胞を抗CB1抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む上記方法を提供する。
【0045】
CB1をアゴナイズする方法であって、CB1を発現する細胞を抗CB1抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む上記方法を提供する。
【0046】
CB1をインバースアゴナイズする方法であって、CB1を発現する細胞を抗CB1抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む上記方法を提供する。
【0047】
単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を提供する。
【0048】
それを必要とする対象においてCB1の生物学的活性を阻害するための方法であって、有効量の単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を上記対象に投与し、それにより、上記対象におけるCB1タンパク質の活性を阻害することを含む上記方法を提供する。
【0049】
CB1活性と関連する疾患を処置するための方法であって、単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を、上記疾患に罹患している対象に投与することを含む上記方法を提供する。
【0050】
それを必要とする対象においてCB1シグナル伝達の調節に応答性の疾患または障害を処置する方法であって、単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与することを含む上記方法を提供する。
【0051】
それを必要とする対象においてCB1シグナル伝達のアンタゴニズムまたはインバースアゴニズムに応答性の疾患または障害を処置する方法であって、上記対象に、単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与することを含む上記方法を提供する。
【0052】
それを必要とする対象においてCB1シグナル伝達のアゴニズムに応答性の疾患または障害を処置する方法であって、上記対象に、単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を投与することを含む上記方法を提供する。
【0053】
CB1と関連する疾患または障害を診断するための方法であって、細胞を抗CB1抗体またはその抗原結合性断片と接触させることを含む上記方法を提供する。
【0054】
一実施形態では、上記疾患または障害は、肥満、プラーダー-ヴィリ症候群(PWS)、アルストレーム症候群、バルデー-ビードル症候群(BBS)、アルブライド遺伝性骨ジストロフィー(AHO)、及びSIM1欠失症候群を含む症候性肥満;糖尿病及び関連合併症;脂質異常症;例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、及び原発性胆汁性肝硬変などの肝臓疾患;線維症、例えば、腎臓線維症;慢性腎臓疾患;糖尿病性神経障害、巣状分節性糸球体硬化症、腎疾患;代謝性疾患、骨粗鬆症、アテローム硬化症、炎症性疾患、心臓血管疾患、がん、疼痛、全身性硬化症、多発性硬化症痙縮、緑内障、及びニコチン中毒からなる群から選択される。
【0055】
一実施形態では、上記疾患または障害は、腎臓疾患(巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、糖尿病性腎症、アルポート症候群、高血圧性腎臓疾患、ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、微小変化型ネフローゼ症候群、膜性腎症、特発性膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、イムノコンジュゲート媒介性MPGN、補体媒介性MPGN、ループス腎炎、感染後糸球体腎炎、菲薄基底膜病、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、アミロイドーシス(原発性)、clq腎症、急速進行性GN、抗GBM病、C3糸球体腎炎、高血圧性腎硬化症、IgA腎症、タンパク尿性腎臓疾患、微量アルブミン尿症、または微量アルブミン尿症腎臓疾患など)、肺動脈高血圧症、疼痛(神経障害性疼痛または内臓疼痛など)、がん(化学療法抵抗性乳癌、アドリアマイシン抵抗性乳癌、化学療法抵抗性結腸直腸癌、髄芽細胞腫、または腫瘍血管新生など)、不安、うつ病、移植関連FSGS、移植関連ネフローゼ症候群、移植関連タンパク尿、胆汁うっ滞性肝臓疾患、多発性嚢胞腎疾患、常染色体優性多発性嚢胞腎疾患(ADPKD)、肥満、インスリン抵抗性、II型糖尿病、糖尿病前症、代謝症候群、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、糖尿病性胃不全麻痺、または胃不全麻痺である。
【0056】
単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を含む抗体コンジュゲートであって、上記抗体またはその抗原結合性断片が、治療薬、細胞傷害薬、免疫接着分子、及びイメージング薬からなる群から選択される薬剤とコンジュゲートされている上記抗体コンジュゲートを提供する。
【0057】
単離抗CB1抗体またはその抗原結合性断片、及び免疫学的アッセイにおいて上記抗体を使用するための指示書を含むキットを提供する。
【0058】
次の実施形態の説明を添付の図面と併せて読むことで、本発明の上述及び他の特徴及び利点、さらには本発明自体がより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】cAMPアッセイの結果を示している。cAMP Hunter(商標)CHO-K1 CNR1 Gi細胞をCB1抗体、アイソタイプ対照、または小分子CB1アンタゴニストJD5037で処理し、続いて、フォルスコリンの存在下で30nM CP-55,940(「Plus CP」と示されている)でアゴニスト攻撃した。アンタゴニストをまた、CP-55,940を添加せずに試験して、それら自体がアゴニスト活性を有するかどうかを立証した。略語:CAB=細胞アッセイバッファー(アッセイ背景を示している);CAB/F=CAB+15μMフォルスコリン(アッセイにおけるcAMPの最大量を表している);CAB/F/CP=CAB/F+30nM CP-55,940(CP-55,940でのほぼEC80に対応する)。
図2】p-ERKアッセイの結果を示している。ホスホ/総ERKアッセイを、cAMP Hunter(商標)CHO-K1 CNR1 Gi細胞を使用して行った。細胞をマウス抗CB1抗体または小分子CB1アンタゴニストJD5037で処理し、続いて、フォルスコリンの存在下で30nM CP-55,940でアゴニスト攻撃した。処理の終了時に、プレートをp-ERK/総ERKについて、MesoScale Discovery(MSD)キットを使用して処理した。結果は、最大応答のパーセンテージとして表されている(最大%)。
図3図3Aは、huCB1-CHO細胞へのマウス抗huCB1抗体の結合を示している。精製マウス抗CB1抗体の結合曲線を、200nM抗体濃度から出発して3倍滴定した。すべての抗体がhuCB1-CHO細胞に対する特異的結合を示している。図3Bは、moCB1-CHO細胞へのマウス抗huCB1抗体の結合を示している。すべての抗体が、moCB1-CHO細胞への結合の欠如を示している。
図4】それぞれアゴニスト及びアンタゴニストCB1小分子CP5990及びJD5037の存在及び非存在下での精製抗CB1抗体の結合の評価を示している。
図5A】ハイブリドーマ抗体M1~M8からの重鎖可変領域アミノ酸配列のアラインメントから得られたコンセンサス配列を示している。
図5B】ハイブリドーマ抗体M1~M8からの軽鎖可変領域アミノ酸配列のアラインメントから得られたコンセンサス配列を示している。
図6A】ヒト化抗体M7-H1~M7-H16、M5-H1、及びM5-H2からの重鎖可変領域アミノ酸配列のアラインメントから得られたコンセンサス配列を示している。
図6B】ヒト化抗体M7-H1~M7-H16、M5-H1、及びM5-H2からの軽鎖可変領域アミノ酸配列のアラインメントから得られたコンセンサス配列を示している。
図7A】クローンM5及びM7のヒト化CB-1抗体バリアントのCHO-huCB-1及びCHO親細胞への、30μg/mLの単一抗体濃度での細胞結合を示している。
図7B】クローンM7のヒト化CB-1抗体バリアントのCHO-huCB-1及びCHO親細胞への、30μg/mLの単一抗体濃度での細胞結合を示している。
図8図8Aは、実施例3に記載のとおりのcAMPアッセイの結果を示している。図8Aは、M5抗体での異なる主鎖間のサイドバイサイド比較を示している。図8Bは、実施例3に記載のとおりのcAMPアッセイの結果を示している。図8Bは、M7抗体での異なる主鎖間のサイドバイサイド比較を示している。
図9図9Aは、実施例4に記載のとおりのp-ERKアッセイの結果を示している。図9Aは、M5抗体での異なる主鎖間のサイドバイサイド比較を示している。図9Bは、実施例4に記載のとおりのp-ERKアッセイの結果を示している。図9Bは、M7抗体での異なる主鎖間のサイドバイサイド比較を示している。
図10】実施例3に記載の方法と類似の方法を使用してのインバースアゴニズムでのcAMPアッセイの結果を示している。cAMP Hunter(商標)CHO-K1 CNR1 Gi細胞をCB1抗体またはアイソタイプ対照で処理し、続いて、フォルスコリンを添加した。紫色の点線は、フォルスコリンでの処理で放出されたcAMPのレベル、アッセイにおけるcAMPの最大量を表している。赤色の線は、アッセイで対照として使用されたCB1小分子アゴニストCP-55,940に対応する。インバースアゴニズム活性を有する化合物は、アゴニストとは逆方向に、CAB/Fラインの頂部へと進む曲線を示す。この実験は、試験したM7バリアントの両方がインバースアゴニズム活性を有することを実証している。
【発明を実施するための形態】
【0060】
別段に定義されていない限り、本明細書で使用する科学用語及び専門用語は、当業者が一般に理解する意味を有する。任意の潜在的曖昧性がある場合には、本明細書に示す定義が、いずれの辞書または外部定義にも優先される。文脈により別段に必要とされていない限り、単数形の用語は複数形を含むこととし、かつ複数形の用語は単数形を含むこととする。単語「a」または「an」は、別段に示されていない限り「少なくとも1つ」を意味する。「少なくとも1つ」という語句の意味は、「1つまたは複数」という語句の意味と同等である。単語「または」は、別段に示されていない限り「及び/または」を意味する。本明細書で使用する場合、「含む」、「含むこと」、「含有すること」、「有すること」などの用語は、米国特許法でそれらに付与されている意味を有してよく、かつ「包含する」、「包含すること」などを意味してよく;「から本質的になること」または「本質的になる」も同様に、米国特許法で付与されている意味を有し、この用語は、開放型であり、基本的または新規の特性が変化しない限り、記載されたものより多くの存在を許容するが、従来技術の実施形態は排除する。具体的に述べられていない限り、または文脈から明白でない限り、本明細書で使用する場合、「約」という用語は、当技術分野の通常の許容の範囲内、例えば、平均値の2標準偏差内と理解される。約は、記述された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%内と理解され得る。文脈から別段に明らかでない限り、本明細書に示す数値はすべて、約という用語により修飾される。
【0061】
本明細書に示す方法及び技術は一般に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、かつ別段に示されていない限り本明細書を通じて引用及び論述されている様々な一般的かつより具体的な参照文献に記載されているとおりに行われる。本明細書に記載の命名法、細胞及び組織培養の実験室手順及び技術、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学及びタンパク質及び核酸化学及びハイブリッド形成、分析化学、合成有機化学、ならびに医学及び医薬化学は、当技術分野で周知の一般に使用されるものである。標準的な技術を、酵素反応及び精製技術、化学合成、化学分析、医薬調製、処方、送達、及び患者の処置で使用する。
【0062】
本明細書において示す範囲は、その範囲内の値のすべてについての略記であると理解される。例えば、1から50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または副範囲を含むと理解される。
【0063】
「カンナビノイド受容体1型」または「CB1」という用語は、CNR1遺伝子によりコードされる、かつ配列番号1の正準アミノ酸配列を有する7回膜貫通型細胞膜受容体を意味する(https://www.uniprot.org/uniprot/P21554を参照されたい)。表1に、この配列、さらには、このタンパク質のドメインのそれぞれを開示する。
【0064】
【表1】
【0065】
「中枢性CB1」という用語は、脳及びCNSを含む身体のいずれかに局在化されるCB1を意味する。
【0066】
「末梢性CB1」という用語は、脳またはCNSに局在化されないCB1(例えば、末梢限定CB1)を意味する。
【0067】
「抗体」という用語は、特定の抗原に特異的に結合する、またはそれと相互作用する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む任意の抗原結合性分子または分子複合体を意味する。この用語には、これに限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、単一特異性、多特異性、非特異性、ヒト化、一本鎖、キメラ、合成、組換え、ハイブリッド、変異、及び移植抗体が含まれる。「インタクトな抗体」においてのように「インタクトな」という用語により別段に修飾されていない限り、本開示のこの目的では、「抗体」という用語には、抗原結合機能、すなわち、CB1に特異的に結合する能力を保持するFab、F(ab’)、Fv、scFv、Fd、dAb、及び他の抗体断片などの抗体断片も含まれる。典型的には、そのような断片は、抗原結合性ドメインを含むであろう。「抗体」という用語は、4本のポリペプチド鎖、すなわち、ジスルフィド結合により相互に連結した2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、さらにはその多量体を含む。全長抗体の一実施形態では、各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域(CH)から構成される。CHは、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(CL)から構成される。CLは、単一のCLドメインから構成される。VH及びVLは、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存的な領域に散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分され得る。一般に、各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へと次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置されている3つのCDR及び4つのFRから構成される。本発明の異なる実施形態では、抗CB1抗体のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよいし、または天然で、もしくは人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ以上のCDR及び/またはFRのサイドバイサイド分析に基づき規定することができる。抗体分子は、いずれの型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)、またはサブクラスのものであってもよい。
【0068】
「HCDRセット」及び「LCDRセット」という用語は、抗原に結合することができる重鎖または軽鎖それぞれの単一可変領域に生じる3つのCDRからなる群を指す。「(HCDRセット/LCDRセット)対」という用語は、HCDRセット及びLCDRの対合を指し、抗原結合性部位を構成する6つのCDRを示している。これらのCDRの正確な境界は、システムの違いに従って、異なって規定されている。Kabat(Kabat et al.(1987)及び(1991))により記載されるシステムは、抗体の任意の可変領域に適用可能な明確な残基ナンバリングシステムを提供するだけでなく、3つのCDRを規定する正確な残基の境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称されることもある。「Kabatナンバリング」という用語は、抗体、またはその抗原結合性断片の重鎖及び軽鎖可変領域において他のアミノ酸残基よりもさらに可変(すなわち、超可変)であるアミノ酸残基をナンバリングするシステムを意味する(Kabat et al.(1971)Ann.NY Acad.Sci.190:382-391及びKabat et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242)。重鎖可変領域では、超可変領域は、CDR1ではアミノ酸位置31~35、CDR2ではアミノ酸位置50~65、及びCDR3ではアミノ酸位置95~102の範囲である。軽鎖可変領域では、超可変領域は、CDR1ではアミノ酸位置24~34、CDR2ではアミノ酸位置50~56、及びCDR3ではアミノ酸位置89~97の範囲である。Chothia及び共同研究者ら(Chothia and Lesk(1987)J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.(1989)Nature 342:877-883)は、Kabat CDR内のある特定のサブ部分が、アミノ酸配列のレベルでは大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格構造を採用することを見出した。これらのサブ部分は、L1、L2及びL3またはH1、H2及びH3と名付けられ、その際、「L」及び「H」はそれぞれ、軽鎖領域及び重鎖領域を示している。これらの領域は、Chothia CDRと称されることもあり、これは、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを規定する他の境界が、Padlan(1995)FASEB J.9:133-139及びMaccallum(1996)J.Mol.Biol.262(5):732-45)に記載されている。さらに他のCDR境界の規定は、上記のシステムのうちの1つに厳密に従わないこともあるが、それでもなお、Kabat CDRと重複するであろうが、それらは、特定の残基または残基の群またはCDR全体さえも抗原結合性に有意な影響を及ぼさないという予測または実験所見を考慮して、短縮または伸長されてもよい。本明細書に記載の組成物及び方法は、これらのシステムのうちのいずれかに従って規定されるCDRを利用してよい。
【0069】
「VH/VL対」という用語は、対合されていて、かつ抗原に結合することができるVH及びVLを指す。
【0070】
「HC/LC対」という用語は、対合されていて、かつ抗原に結合することができるHC及びLCを指す。
【0071】
「Fc領域」という用語は、インタクトな抗体のパパイン消化により生成し得る免疫グロブリン重鎖のC末端領域を意味する。Fc領域は、天然配列Fc領域またはバリアントFc領域であってよい。免疫グロブリンのFc領域は一般に、2つの定常ドメイン、1つのCH2ドメイン及び1つのCH3ドメインを含み、かつ任意選択で1つのCH4ドメインを含む。抗体エフェクター機能を変化させるためのFc部分でのアミノ酸残基の置換が当技術分野で公知である(例えば、米国特許第5,648,260号及び同第5,624,821号)。Fc領域は、いくつかの重要なエフェクター機能、例えば、サイトカイン誘導、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、食作用、補体依存性細胞傷害(CDC)、ならびに抗体及び抗原-抗体複合体の半減期/クリアランス速度を媒介する。ある場合には、これらのエフェクター機能は、治療用免疫グロブリンに望ましいが、他の場合には、治療目標に応じて、不必要であるか、または有害でさえありうる。
【0072】
「CB1に結合する抗体」及び「抗CB1抗体」という用語は、可溶性CB1タンパク質またはその断片(例えば、CB1の細胞外ドメインの一部分)及び/または細胞表面で発現するCB1に結合する抗体、及びその抗原結合性断片を意味する。「細胞表面で発現するCB1」という表現は、インビトロまたはインビボで細胞の表面で発現して、CB1タンパク質の少なくとも一部分が細胞膜の細胞外に露出し、抗体の抗原結合性部分にアクセス可能であるようになっているCB1タンパク質またはその部分を意味する。
【0073】
「CB1結合性タンパク質」または「抗CB1結合性タンパク質」という用語は、抗原結合性断片の全部または一部分を含むCB1に結合するタンパク質を意味し、それには、組換え多価または多重特異性免疫グロブリン、さらにはコンジュゲート及び融合タンパク質などの定型抗体ドメインまたはフレームワークの代替の配置を含むタンパク質が含まれる。本発明のCB1結合性タンパク質ならびにそのバリアント及び変異体は、CB1結合及び機能を保持しているか、または追加または代替の機能を提供し得る。そのようなCB1結合性タンパク質は、本発明の範囲内であり、当業者に周知である。
【0074】
抗体などの結合性タンパク質に関する「抗原結合性ドメイン」及び「抗原結合性断片」という用語は、抗体の標的抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体、またはそのバリアントもしくは変異体の部分または断片を意味し、それには、抗原に特異的に結合して、複合体を形成する任意の天然に存在するか、酵素的に入手可能か、合成か、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質が含まれる。タンパク質分解性消化または抗体可変ドメイン及び任意選択で定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を伴う組換え遺伝子工学技術などの任意の適切な標準的な技術を使用して、抗体の抗原結合性断片を例えば完全抗体分子から得ることができる。1つまたは複数の可変及び/または定常ドメインをアレンジして適切な配置にするか、またはコドンを導入する、システイン残基を作製する、アミノ酸を改変、付加、もしくは欠失させることなどができる。抗原結合性断片を含む多数の断片、変異体またはバリアント抗体形式が当技術分野で公知である。抗原結合性断片の非限定的例には、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインを含むFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインを含むFv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)単一可変ドメインを含むdAb断片;ならびに(vii)抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識ユニット(例えば、CDR3ペプチドなどの単離相補性決定領域(CDR))、または拘束FR3-CDR3-FR4ペプチドが含まれる。ドメイン特異的抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ディアボディ、線状抗体(相補的軽鎖ポリペプチドと共に抗原結合性部位の対を形成するタンデム型Fvセグメントの対;VH-CH1-VH-CH1を含む)、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫医薬(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインなどの他の操作分子も、本明細書で使用する場合の「抗原結合性断片」という表現の範囲内に包含される。「その抗原結合性断片」という用語は、限定を意味するものではなく、追加の、または再編成された抗体領域を有してもよいバリアント分子内に含まれる断片、例えば、特定の抗原への同じ抗原結合を保持している多重特異性抗体及び抗体コンジュゲートを含む。
【0075】
抗体の抗原結合性断片は典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含むこととなる。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成のものであってよく、一般に、1つまたは複数のフレームワーク配列に隣接するか、またはそれとインフレームである少なくとも1つのCDRを含む。VLドメインと会合しているVHドメインを有する抗原結合性断片において、VH及びVLドメインは、任意の適切な配置で相互に位置していてよい。例えば、可変領域は二量体であってよく、VH-VH二量体、VH-VL二量体またはVL-VL二量体を含んでよい。別法では、抗体の抗原結合性断片は、単量体のVHドメインまたはVLドメインを含んでもよい。
【0076】
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合性断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合性に連結した少なくとも1つの可変ドメインを含んでもよい。本発明の抗体の抗原結合性断片内で見い出され得る可変及び定常ドメインの非限定的な例示的配置には:(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;及び(xiv)VL-CLが含まれる。上に列挙した例示的な配置のいずれも含めて、可変及び定常ドメインのいずれの配置においても、可変及び定常ドメインは、直接相互に連結していてもよいし、または完全もしくは部分的なヒンジまたはリンカー領域により連結していてもよい。ヒンジ領域は、単一ポリペプチド分子中の隣接する可変及び/または定常ドメイン間にフレキシブルまたは半フレキシブルな連結をもたらす、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上)のアミノ酸からなってよい。さらに、本発明の抗体の抗原結合性断片は、相互に、及び/または1つまたは複数の単量体VHもしくはVLドメイン(例えば、ジスルフィド結合により)と非共有結合性会合で、上に列挙した可変及び定常ドメイン配置のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含み得る。
【0077】
完全抗体分子を含むとき、抗原結合性断片は、単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性)であり得る。抗体の多重特異性抗原結合性断片は典型的には通常、各可変ドメインが別の抗原または同じ抗原上の異なるエピトープと特異的に結合することができる少なくとも2つの異なる可変ドメインを含むであろう。本明細書に開示の例示的な二重特異性抗体形式を含む、任意の多重特異性抗体形式を、当技術分野で利用可能なルーチン的な技術を用いて、本発明の抗体の抗原結合性断片の状況で使用するために採用することができる。
【0078】
結合性タンパク質に関する「特異的」または「に特異的な」という用語は、例えば任意の他の標的または抗原についてよりも高い親和性(すなわち、低いKd値)で、標的または抗原に選択的に結合する結合性タンパク質の能力を意味する。
【0079】
本発明の抗体は、ある特定の実施形態では、補体依存性細胞傷害(CDC)または抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)を介して機能し得る。CDCは、補体の存在下での本発明の抗体による抗原発現性細胞の溶解を指す。ADCCは、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が標的細胞上に結合した抗体を認識して標的細胞の溶解をもたらす細胞媒介性反応を指す。CDC及びADCCは、当技術分野で周知かつ利用可能なアッセイを使用して測定することができる(例えば、米国特許第5,500,362号及び同第5,821,337号、ならびにClynes et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:652-656を参照されたい)。
【0080】
「マウス抗体」という用語は、マウス生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を意味する。マウス抗体は、例えばCDR、殊にCDR3に、マウス生殖細胞系免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロで無作為もしくは部位特異的変異誘発により、またはインビボで体細胞変異により導入される変異)を含んでもよい。しかしながら、「マウス抗体」という用語は、ヒトなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がマウスフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことを意図されていない。
【0081】
「組換え抗体」という用語は、宿主細胞にトランスフェクトした組換え発現ベクターを使用して発現させる抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離される抗体、免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離される抗体または他のDNA配列への免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う任意の他の手段により調製、発現、作製もしくは単離される抗体など、組換え手段により調製、発現、作製、または単離される抗体を意味する。ある特定の実施形態では、そのような組換え抗体を、インビトロ変異誘発(または、免疫グロブリン配列についてトランスジェニックな動物を使用する場合には、インビボ体性変異誘発)に掛けるので、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、生殖細胞系VH配列及びVL配列由来に由来し、それに関連しても、インビボで特定の抗体生殖細胞系レパートリー内に天然には存在し得ない配列である。
【0082】
「単離抗体」という用語は、その天然環境の少なくとも1つの構成要素から同定及び分離及び/または回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの構成要素から、または抗体が天然に存在するか、もしくは天然に産生される組織もしくは細胞から分離または除去された抗体が、本発明の目的での「単離抗体」である。単離抗体には、組換え細胞内のその場の抗体も含まれる。単離抗体は、少なくとも1つの精製または単離ステップに掛けられた抗体である。ある特定の実施形態によると、単離抗体は、他の細胞物質及び/または化学物質を実質的に含まないこともある。
【0083】
「中和」または「遮断」抗体という用語は、そのリガンドまたは抗原への結合がリガンドまたは抗原の生物学的活性を妨げる抗体を意味する。一実施形態では、中和結合性タンパク質は、抗原(例えば、サイトカイン)に結合して、その生物学的活性を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上低下させる。CB1に結合する中和抗体は:(i)CB1またはCB1断片とCB1リガンド(例えば、カンナビノイドなど)との相互作用に干渉する、及び/または(ii)CB1の少なくとも1つの生物学的機能の阻害をもたらす。CB1中和または遮断抗体に起因する阻害は、適切なアッセイを使用して検出可能である限り、完全である必要はない。CB1阻害を検出するための例示的なアッセイを本明細書に記載する。
【0084】
「親和性」という用語は、結合性タンパク質とその標的抗原との間の相互作用の強度を意味し、結合性タンパク質のCDRの配列により、さらには、それらのサイズ、形状、及び/または電荷などの抗原及び抗体の性質により決定される。結合性タンパク質を、マイナスの副作用を最小限にしつつ所望の治療上の終点をもたらす親和性で選択することができる。親和性は、当業者に公知の方法を使用して測定することができる。
【0085】
「親和性成熟抗体」という用語は、1つまたは複数の改変がその1つまたは複数のCDRまたはFRで行われていて、それらが、それらの改変(複数可)を持たない改変されていない「親」抗体と比較して、その標的抗原についての抗体の親和性の改善をもたらしていることを意味する。例示的な親和性成熟抗体は、標的抗原についてナノモルの、またはピコモルの親和性さえも有する。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手順により生成される。例えば、Marks et al.(1992)BioTechnology 10:779-783には、VHドメイン及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟が記載されている。CDR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発は、Barbas et al.(1994)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 91:3809-3813;Schier et al.(1995)Gene 169:147-155;Yelton et al.(1995)J.lmmunol.155:1994-2004;Jackson et al.(1995)J.lmmunol.154(7):3310-9;Hawkins et al.(1992)J.Mol.Biol.226:889-896に記載されており、かつ活性増強性アミノ酸残基を有する選択的変異誘発位置、接触または超変異位置における変異は、米国特許第6,914,128号に記載されている。
【0086】
「CDR移植抗体」という用語は、VHの、及び/またはVLのCDR領域のうちの1つまたは複数の配列が別の抗体のCDR配列で置き換えられている重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を含む抗体を意味する。例えば、マウス重鎖可変領域及びマウス軽鎖可変領域を有する抗体であって、マウスCDR配列のうちの1つまたは複数がヒトCDR配列で置き換えられている抗体など、その2つの抗体は異なる種に由来してよい。
【0087】
「ヒト化抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系配列に、より類似するように変更されている非ヒト種からの抗体を意味する。ヒト化抗体の1種は、1つまたは複数のCDR配列が非ヒトであり、かつフレームワーク領域(FR)配列がヒトまたは実質的にヒトである(例えば、それらは、ヒト抗体のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一である)CDR移植抗体である。ヒト化抗体は、CDR領域のすべてまたは実質的にすべての配列が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつFR領域のすべてまたは実質的にすべての配列がヒト免疫グロブリンのものである、可変ドメインの実質的にすべて、少なくとも1つ、典型的には2つを含んでよい(Fab、Fab’、F(ab’)2、FabC、Fv)。ヒト化抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域を含んでよい。一実施形態では、ヒト化抗体はまた、ヒト免疫グロブリンFc領域の少なくとも一部を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖を含むだけである。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖を含むだけである。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖のヒト化可変ドメイン及び/または重鎖のヒト化可変ドメインを含むだけである。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖、さらには少なくとも重鎖の可変ドメインを含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、重鎖、さらには少なくとも軽鎖の可変ドメインを含む。
【0088】
「効力」という用語は、所望の作用を達成する結合性タンパク質の能力を意味し、かつその治療有効性の尺度である。効力は、当業者に公知の方法を使用して評価することができる。
【0089】
「有効量」という用語は、CB1の活性を減少させて、患者において症状の寛解をもたらす、または所望の生物学的結果を達成するために十分な投薬量または量を意味する。所望の生物学的結果には、例えば、CB1活性の低下または上昇が含まれる。
【0090】
「交差反応性」という用語は、抗体を生じさせた抗原以外の標的抗原に結合する結合性タンパク質の能力を意味する。一般に、結合性タンパク質は、その標的抗原に適切に高い親和性で結合するはずであるが、別の種の同じ標的抗原に結合し得るか、または非標的抗原について低い親和性を示し得る。個々の結合性タンパク質を一般に、2つの基準:(1)抗体標的の既知の発現に適した組織染色;及び(2)同じ器官からのヒト組織と毒性試験種(例えば、マウス及びカニクイザル)の組織とで類似の染色パターンを満たすように選択する。交差反応性を評価するこれらの及び他の方法は当業者に公知である。
【0091】
「生物学的機能」という用語は、天然に存在するか、または組換え手段により可能となるかにかかわらず、結合性タンパク質の特異的なインビトロ活性またはインビボ活性を意味する。結合性タンパク質は、複数のクラスの抗原を標的とし、複数の作用機序を介して所望の治療結果を達成し得る。結合性タンパク質は、それらの標的の活性をアゴナイズ、アンタゴナイズ、または中和し得る。結合性タンパク質は、それが結合する標的のクリアランスを援助し得るか、または細胞に結合した場合に細胞傷害性をもたらし得る。2つ以上の抗体の部分を1つの多価形式に組み込んで、単一の結合性タンパク質分子において別個の機能を達成してもよい。生物学的活性には、これに限定されないが、受容体への結合、細胞増殖の誘導、細胞成長の阻害、他のサイトカインの誘導、アポトーシスの誘導、及び酵素活性が含まれる。生物学的機能を評価するために使用されるインビトロアッセイ及びインビボモデルは当業者に公知である。
【0092】
「安定な」という用語は、その物理的、化学的、及び/または生物学的完全性または活性を所与の時間または貯蔵条件内で保持することができることを意味する。長期間にわたって様々な温度で、インビトロで安定な結合性タンパク質が一般に望ましい。結合性タンパク質を安定化させる、及び様々な温度でのそれらの安定性を評価する方法は当業者に公知である。
【0093】
「溶解性」という用語は、水溶液内で分散し続けるタンパク質の能力を意味する。水性製剤におけるタンパク質の溶解性は、疎水性アミノ酸残基及び親水性アミノ酸残基の適正な分布に依存し、したがって、溶解性は、正確にフォールディングされたタンパク質の生成と関与し得る。当業者は、ルーチン的なHPLC技術及び当業者に公知の方法を使用して結合性タンパク質の溶解性の上昇または低下を検出することができるであろう。
【0094】
用語「免疫原性」は、免疫応答を誘導する物質の能力を意味する。治療用結合性タンパク質の投与は、免疫応答のある特定の発生率をもたらし得る。抗体及び結合性タンパク質の免疫原性を低下させる方法は当業者に公知である。
【0095】
「検出可能な標識」という用語は、抗体またはその分析物などの、特異的な結合対のメンバーに付着して、その特異的な結合対のメンバー間の反応(例えば、結合)を検出可能にする部分を意味する。特異的な結合対の標識付きメンバーは、「検出可能に標識付けされた」と称される。したがって、「標識付き結合性タンパク質」という用語は、結合性タンパク質の同定をもたらす検出可能な標識が組み込まれているタンパク質を指す。一実施形態では、検出可能な標識は、視覚的または機器による手段により検出可能なシグナルを生ずることができ、例えば、放射標識アミノ酸の組み込み、またはアビジン(例えば、光学的または比色方法により検出することができる蛍光マーカーまたは酵素活性を含有するストレプトアビジン)により検出することができるビオチニル部分のポリペプチドへの付着である。ポリペプチドのための検出可能な標識の例には、これに限定されないが、放射性同位体または放射性核種(例えば、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho、または153Sm);色素原;蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド発光体(phosphors);酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);化学発光マーカー;ビオチニル基;二次レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ);及びガドリニウムキレートなどの磁気作用物質が含まれる。イムノアッセイで一般に用いられる標識の代表的な例には、光を生じる部分、例えば、アクリジニウム化合物、及び蛍光を生じる部分、例えば、フルオレセインが含まれる。これに関して、その部分自体は、検出可能に標識付けされていなくてもよいが、また別の部分と反応すると検出可能になり得る。
【0096】
「コンジュゲート」という用語は、治療薬、細胞傷害薬、細胞増殖抑制薬、またはイメージング薬などの別の機能性分子または第2の化学的部分に化学的に連結している抗体などの結合性タンパク質を指す(例えば、第7,850,962号を参照されたい)。「薬剤」という用語には、化学化合物、化学化合物の混合物、タンパク質のペプチドなどの生物高分子、または生物物質から作製された抽出物が含まれる。一実施形態では、治療薬または細胞傷害薬には、これに限定されないが、代謝拮抗薬、アルキル化薬、抗生物質、成長因子、サイトカイン、抗血管新生薬、抗有糸分裂薬、アンスラサイクリン、毒素、及びアポトーシス薬が含まれる。有用な薬剤には、例えば、百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアンスラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシンならびにそれらの及び類似体または同族体が含まれる。抗CB1結合性タンパク質コンジュゲートの作製において有用なイメージング薬には、これに限定されないが、放射標識、酵素、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、磁気標識、及びビオチンが含まれる。イムノアッセイの文脈において用いる場合、コンジュゲート抗体は、検出抗体として使用される検出可能に標識された抗体であってよい。抗体を化学的架橋または組換え方法により連結することができる。抗体をまた、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号;または同第4,179,337号に示されている方法で、様々な非タンパク質ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンのいずれかに連結することもできる。抗体をポリマーへの共有結合性のコンジュゲーションにより化学的に改変して、例えば、それらの循環半減期を延長することができる。例示的なポリマー及びそれらを結合するための方法は、米国特許第4,766,106号;同第4,179,337号;同第4,495,285号、及び同第4,609,546号にも示されている。
【0097】
「結晶化(された)」という用語は、結晶の形態で存在する結合性タンパク質を意味する。結晶は、物質の固体状態の1つの形態であり、これは、非晶質固体状態または液晶状態などの他の形態とは別個である。結晶は、原子、イオン、分子(例えば、抗体などのタンパク質)、または分子アセンブリー(例えば、抗原/抗体複合体)の規則的で繰り返しの三次元アレイから構成される。
【0098】
「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つの型が「プラスミド」であり、これは、別のDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の型はウイルスベクターであり、この場合、追加のDNAセグメントをウイルスゲノム中にライゲートすることができる。他のベクターにはRNAベクターが含まれる。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中において自律複製し得る(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクターは、宿主細胞に導入する際に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、それにより、宿主ゲノムと共に複製される(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)。「組換え発現ベクター」または「発現ベクター」は、作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」を互換的に使用することができ、それというのも、プラスミドは、最も一般的に使用されるベクターの形態であるためである。しかしながら、等価な機能を供する、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などの他の形態の発現ベクターも含まれる。
【0099】
「組換え宿主細胞」または「宿主細胞」という用語は、外因性DNAまたはRNAが導入された細胞を意味する。このような用語は、特定の対象細胞だけではなく、そのような細胞の後代も指す。ある特定の改変は、変異または環境のいずれかの影響に起因して、後の世代において生じ得るので、このような後代は、実際には、親細胞と同一ではないかもしれないが、なお本明細書で使用する場合の用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。一実施形態では、宿主細胞には、原核細胞及び真核細胞が含まれる。一実施形態では、真核細胞には、原生生物細胞、真菌細胞、植物細胞及び動物細胞が含まれる。別の実施形態では、宿主細胞には、これに限定されないが、原核細胞系E.coli;哺乳動物細胞系CHO、HEK293、COS、NSO、SP2及びPER.C6;昆虫細胞系Sf9;ならびに真菌細胞Saccharomyces cerevisiaeが含まれる。
【0100】
「トランスフェクション」という用語は、宿主細胞に外因性核酸を導入するために一般に使用される様々な技術、例えば、電気穿孔法、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを意味する。
【0101】
「生体サンプル」という用語は、生物または死んだ生物からのある量の物質を意味する。そのような物質には、これに限定されないが、血液、血漿、血清、尿、羊水、滑液、内皮細胞、白血球、単球、他の細胞、器官、組織、骨髄、リンパ節及び脾臓が含まれる。
【0102】
「対照」という用語は、分析物を含まない(「陰性対照」)、または分析物を含む(「陽性対照」)ことが分かっている組成物を指す。陽性対照は、既知の濃度の分析物を含んでよいか、またはアッセイ性能特性を立証するために使用することができ、試薬の完全性の有用な指標である。
【0103】
「特異的結合対」という用語は、化学的または物理的手段を介して相互に特異的に結合する2種の異なる分子を意味する。特異的な結合対には、例えば、抗体とその抗原、ビオチンとアビジン(またはストレプトアビジン)、炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターと受容体分子、補因子と酵素、酵素阻害薬と酵素、ならびに特異的な結合を保持するその断片及び類似体が含まれる。特異的結合対の例は、抗体のVH及びVL領域(「VH/VL」)である。
【0104】
「リンカー」という用語は、2つのポリペプチド(例えば、2つのVHドメインまたは2つのVLドメイン)を連結させるために使用される、1個のアミノ酸残基またはペプチド結合により一緒になった2個以上のアミノ酸残基を含むポリペプチドを意味する。リンカーは、当技術分野で周知である(例えば、Holliger et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak et al.(1994)Structure 2:1121-1123を参照されたい)。
【0105】
「エピトープ」という用語は、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域中の特異的抗原結合性部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が、1つよりも多いエピトープを有することがある。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域と結合することもあり、かつ異なる生物学的作用を有することがある。エピトープは、立体構造または線状のいずれかであり得る。立体構造エピトープは、線状ポリペプチド鎖の種々のセグメントから、空間的に並列に並ぶアミノ酸により生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基により生成されるものである。ある特定の状況では、エピトープは、抗原上のアミノ酸、糖、ホスホリル基、またはスルホニル基の部分を含み得、かつ特異的三次元構造特性、及び/または特異的電荷特性を有し得る。結合性タンパク質は、抗原上の同じアミノ酸に結合するならば「同じエピトープに結合する」、また、交差競合し得る(一方の抗体が、他方の結合または調節作用を阻止し得る)。加えて、エピトープの構造的規定(重複、類似、同一)は情報を与えるものであり;機能的規定は、構造(結合)及び機能(調節、競合)パラメーターを包含する。
【0106】
「薬物動態」という用語は、薬物が生物により吸収され、分散され、代謝され、かつ排出されるプロセスを意味する。
【0107】
「生物学的利用能」という用語は、投与後に、その標的に達する実薬の量を意味する。生物学的利用能は、安定性、溶解性、免疫原性及び薬物動態を含む複数の特性の関数であり、当業者に公知の方法を使用して評価することができる。
【0108】
「表面プラスモン共鳴」という用語は、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出により、例えば、BIAcore(登録商標)システム(BIAcore International AB、Uppsala、Sweden and Piscataway、NJ;Jonsson et al.(1993)Ann.Biol.Clin.51:19-26)を使用して、リアルタイム生物特異的相互作用の分析を可能にする光学的現象を意味する。
【0109】
「Kon」、「会合速度定数」、及び「Ka」は、結合性タンパク質/抗原複合体を形成するための、抗原への結合性タンパク質(例えば、抗体)の会合についてのオンレート定数を意味する。この値は、下式により示されるとおり、結合性タンパク質とその標的抗原との結合速度、または結合性タンパク質と抗原との間での複合体形成の速度を示している:
抗体(「Ab」)+抗原(「Ag」)→「Ab-Ag」
【0110】
「Koff」及び「解離速度定数」という用語は、結合性タンパク質/抗原複合体からの結合性タンパク質(例えば、抗体)の解離についてのオフレート定数を意味する。この値は、下式により示されるとおり、その標的抗原からの結合性タンパク質の解離速度、または遊離抗体及び抗原への経時的なAb-Ag複合体の分離を示している:
Ab+Ag←Ab-Ag
【0111】
「Kd」及び「平衡解離定数」という用語は、平衡時の滴定測定で、または解離速度定数(Koff)を会合速度定数(Kon)で割ることにより得られる値を意味する。会合及び解離速度定数を決定するための方法は、当技術分野で周知である。蛍光ベースの技術が、平衡時の生理学的バッファー中のサンプルを調べる高い感度及び能力を提供する。BIAcore(登録商標)アッセイ(BIAcore international AB,Uppsala,Sweden)またはKinExA(登録商標)アッセイ(Sapidyne Instruments,Boise,Idaho)などの他の実験アプローチ及び機器を使用することもできる。
【0112】
「バリアント」という用語は、アミノ酸の付加、挿入、欠失、または保存的置換によりアミノ酸配列が所与のポリペプチドとは異なるが、所与のポリペプチドの生物学的活性を保持しているポリペプチドを意味する(例えば、バリアント抗体は、その標的への結合について、天然の抗体と競合し得る)。アミノ酸の保存的置換は、あるアミノ酸を、類似の特性(例えば、親水性ならびに荷電領域の程度及び分布)の異なるアミノ酸で置き換えるものであり、典型的にはわずかな変化を伴うと当技術分野で認識されている。これらのわずかな変化は一部では、当技術分野で理解されるとおり、アミノ酸のハイドロパシー指数を検討することにより同定することができる。アミノ酸のハイドロパシー指数は、その疎水性及び電荷の検討に基づく。タンパク質において類似のハイドロパシー指数のアミノ酸は置換することができ、そのタンパク質はタンパク質機能をなお保持する。一態様では、±2のハイドロパシー指数を有するアミノ酸を置換する。アミノ酸の親水性を使用して、生物学的機能を保持しているタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにすることもできる。ペプチドの状況におけるアミノ酸の親水性の考慮は、そのペプチドの最大の局所平均親水性の計算を可能にし、これは、抗原性及び免疫原性とよく相関することが報告されている有用な尺度である。類似の親水性の値を有するアミノ酸の置換は、当技術分野で理解されるとおり、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドをもたらし得る。一態様では、相互に±2以内の親水性の値を有するアミノ酸で置換を行う。アミノ酸の疎水性指数及び親水性の値は両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖により影響される。その観察と一致して、生物学的機能と適合性であるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、及び他の特性により明らかになるとおり、アミノ酸、及び特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存することが理解される。「バリアント」という用語にはまた、タンパク質分解、リン酸化、または他の翻訳後修飾などにより差別的にプロセシングされているが、生物学的活性または抗原反応性をまだ保持しているポリペプチドまたはその断片が含まれる。「バリアント」という用語は、別段に定義されていない限り、バリアントの断片を包含する。バリアントは、野生型配列に対して99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、または75%同一であり得る。
【0113】
本明細書に開示の抗CB1抗体は、その抗体が由来する対応する生殖細胞系配列と比較した場合に、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/またはCDR領域に1つまたは複数のアミノ酸置換、付加、挿入及び/または欠失を含んでよい。そのような変異は、本明細書に開示のアミノ酸配列を公共の抗体配列データベースから入手可能な生殖細胞系配列と比較することにより容易に確認することができる。本発明は、本明細書に開示のアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体、及びその抗原結合性断片であって、1つまたは複数のフレームワーク及び/またはCDR領域内の1個または複数のアミノ酸が、その抗体が由来する生殖細胞系配列の対応する残基(複数可)に、または別のヒト生殖細胞系配列の対応する残基(複数可)に、または対応する生殖細胞系残基(複数可)の保存的アミノ酸置換に変異している抗体、及びその抗原結合性断片を含む(そのような配列変化は本発明では総じて「生殖細胞系変異」と称される)。当業者は、本明細書に開示の重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列から出発して、1つもしくは複数の個々の生殖細胞系変異またはそれらの組み合わせを含む多数の抗体及び抗原結合性断片を容易に生成することができる。ある特定の実施形態では、VHドメイン及び/またはVLドメイン内のフレームワーク及び/またはCDR残基のすべてを、その抗体が由来する元の生殖細胞系配列において見い出される残基に戻し変異させる。他の実施形態では、ある特定の残基のみを、例えば、FR1の最初の8個のアミノ酸内で、もしくはFR4の最後の8個のアミノ酸内で見い出される変異残基のみを、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内で見い出される変異残基のみを元の生殖細胞系配列に戻し変異させる。他の実施形態では、フレームワーク及び/またはCDR残基(複数可)の1個または複数を、異なる生殖細胞系配列(すなわち、その抗体が元々由来する生殖細胞系配列とは異なる生殖細胞系配列)の対応する残基(複数可)に変異させる。さらに、本発明の抗体は、フレームワーク及び/またはCDR領域内に2つ以上の生殖細胞系変異の任意の組み合わせを含んでもよく、例えば、その際、ある特定の個々の残基を特定の生殖細胞系配列の対応する残基に変異させる一方で、元の生殖細胞系配列とは異なるある特定の他の残基は維持するか、または異なる生殖細胞系配列の対応する残基に変異させる。得られたら、1つまたは複数の生殖細胞系変異を含む抗体及び抗原結合性断片を、結合特異性の改善、結合親和性の上昇、アンタゴニスト生物学的特性またはアゴニスト生物学的特性の向上または増強(場合により)、免疫原性の低下などの1つまたは複数の所望の特性について容易に試験することができる。この一般手法で得られる抗体及び抗原結合性断片は本発明に包含される。
【0114】
核酸に関する場合の「実質的同一性」及び「実質的に同一な」という用語は、適切なヌクレオチド挿入または欠失で別の核酸(またはその相補的ストランド)と最適にアラインさせた場合に、下に論述するとおりのFASTA、BLASTまたはGapなどの配列同一性の任意の周知のアルゴリズムにより測定して、それぞれヌクレオチド塩基の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%においてヌクレオチド配列同一性が存在することを示す。参照核酸分子に対して実質的同一性を有する核酸分子は、ある特定の状況で、参照核酸分子がコードするポリペプチドと同じか、または実質的に同様のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。
【0115】
ポリペプチドに関する場合の「実質的類似性」及び「実質的に類似な」という用語は、2つのポリペプチド配列が、デフォルトのギャップウェイト(default gap weights)を用いるGAPプログラムまたはBESTFITプログラムなどにより最適にアラインさせた場合に、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を共有することを意味する。一実施形態では、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換により異なる。本発明はまた、1つまたは複数の保存的置換を有する本明細書に開示のVH、VL、及び/またはCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗CB1抗体を含む。例えば、本発明は、本明細書に開示のVH、VL、及び/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比べて、例えば、10以下、8以下、6以下、4以下などの保存的アミノ酸置換を含むVH、VL、及び/またはCDRアミノ酸配列を有する抗CB1抗体を含む。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を持つ側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基により置換されるものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させないはずである。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換により相互に異なる場合、配列同一性パーセントまたは類似性の程度を上方調節して、置換の保存的性質を修正することができる。この調節を行う手段は、当業者に周知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれるPearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307-331を参照されたい。類似の化学的特性を持つ側鎖を有するアミノ酸の群の例には(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;(2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリン及びトレオニン;(3)アミド含有側鎖:アスパラギン及びグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、及びヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパルタート及びグルタマート、ならびに(7)硫黄含有側鎖:システイン及びメチオニンが含まれる。好ましい保存的アミノ酸置換基は:バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタマート-アスパルタート、及びアスパラギン-グルタミンである。別法では、保存的置き換えは、参照により本明細書に組み込まれるGonnet et al.(1992)Science 256:1443-1445に開示のPAM250対数尤度マトリックスにおいて正の値を有する任意の変化である。「適度な保存的」置き換えは、1443-1445に開示のPAM250対数尤度マトリックスにおいて負ではない値を有する任意の変化である。
【0116】
配列同一性とも称されるポリペプチドでの配列類似性は典型的には、配列解析ソフトウェアを用いて測定される。タンパク質解析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む、様々な置換、欠失及び他の改変に割り当てられた類似性の尺度を用いて類似の配列を一致させる。例えば、GCGソフトウェアは、異なる種の生物からの相同的ポリペプチドなどの密接に関係があるポリペプチド間、または野生型タンパク質とその変異タンパク質との間の配列相同性または配列同一性を決定するためのデフォルトパラメーターを用いて使用され得るGap及びBestfitなどのプログラムを含む。例えば、GCG Version 6.1を参照されたい。ポリペプチド配列を、デフォルトまたは推奨パラメーターを用いて、FASTAを使用して比較することもでき、GCGバージョン6.1.FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)のプログラムは、クエリ配列と検索配列との間の最適オーバーラップの領域のアラインメント及び配列同一性パーセンテージを提供する(Pearson(2000)前出)。本発明の配列を、異なる生物からの多数の配列を含むデータベースと比較するとき、別の好ましいアルゴリズムは、デフォルトパラメーターを用いた、コンピュータープログラムBLAST、特に、BLASTPまたはTBLASTNである。例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれるAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410 and Altschul et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-402を参照されたい。
【0117】
抗体の生物学的特徴
本発明は、CB1に高親和性で結合する抗CB1抗体及びその抗原結合性断片を含む。
【0118】
表面プラスモン共鳴により測定した場合に、CB1に対して少なくとも約10-1-1;少なくとも約10-1-1;少なくとも約10-1-1;少なくとも約10-1-1;及び少なくとも約10-1-1からなる群から選択されるオンレート定数(Kon)を有する、本発明の抗CB1抗体及びその抗原結合性断片を提供する。
【0119】
表面プラスモン共鳴により測定した場合に、上記標的に対して高くても約10-3-1;高くても約10-4-1;高くても約10-5-1;及び高くても約10-6-1からなる群から選択されるオフレート定数(Koff)を有する、本発明の抗CB1抗体及びその抗原結合性断片を提供する。
【0120】
上記標的に対して高くても約10-7M;高くても約10-8M;高くても約10-9M;高くても約10-10M;高くても約10-11M;高くても約10-13M;及び高くても10-14Mからなる群から選択される解離定数(KD)を有する、本発明の抗CB1抗体及びその抗原結合性断片を提供する。抗CB1抗体及びその断片は、CB1について約0.01nM~約500nM、約0.02nM~約250nM、約0.02~約200nM、約0.05~約100nM、約0.05~約50nMの範囲の結合親和性Kd値を有し得る。上記抗体及びその断片は、CB1について約500nM以下、約250nM以下、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約75nM以下、約50nM以下、約25nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約1nM以下、約500pM以下、約250pM以下、約100pM以下、約50pM以下、または約10pM以下の結合親和性Kd値を有し得る。ある特定の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性断片は、約15pM未満、約10pM未満、約8pM未満、約6pM未満、約4pM未満、約2pM未満、または約1pM未満のKdでCB1に結合する。
【0121】
一部の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、リモナバン、タラナバント、AM251、AM1387、AM4113、カンナビゲロール、イビピナバント、オテナバント、スリナバント、テトラヒドロカンナビバリン、及びビロダミン、及びAM6545などの小分子CB1受容体調節物質と少なくとも同様の効力がある。一部の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、リモナバン、タラナバント、AM251、AM1387、AM4113、カンナビゲロール、イビピナバント、オテナバント、スリナバント、テトラヒドロカンナビバリン、及びビロダミン、及びAM6545などの小分子CB1受容体調節物質よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、または少なくとも20倍高いCB1アンタゴニストまたはインバースアゴニスト活性を有する。一部の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片はCB1アゴニスト媒介性シグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、CB1アゴニスト媒介性シグナル伝達の阻害を、細胞内cAMPレベル及び/または下流のERKリン酸化を決定することにより測定する。
【0122】
一部の実施形態では、上記抗CB1抗体及びその抗原結合性断片は、BBB透過または脳曝露の減少または非存在という利点を有する。一部の実施形態では、上記抗CB1抗体及びその抗原結合性断片のBBB透過は、小分子CB1アゴニスト、アンタゴニスト、またはインバースアゴニスト(例えば、リモナバン、タラナバント、AM251、AM1387、AM4113、カンナビゲロール、イビピナバント、オテナバント、スリナバント、テトラヒドロカンナビバリン、及びビロダミン、及びAM6545)と比べて脳透過の減少を示す。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗CB1抗体及びその抗原結合性断片は治療効果を、小分子CB1受容体アゴニスト、アンタゴニスト、またはインバースアゴニストと比べてCNS副作用の減少と共に提供する。小分子CB1受容体アンタゴニストのリモナバンと関連するCNS副作用には、例えば、不安、うつ病、激昂、摂食障害、過敏性、攻撃性、及び不眠症が含まれる(Moreira(2009)Rev.Bras.Psiquiatr.31(2):145-153)。
【0123】
エピトープマッピング及び関連技術
本発明は、ヒトCB1の細胞外ドメイン内で(例えば、アミノ酸1~116、及び/または細胞外ループe1(アミノ酸176~187;配列番号6)、e2(アミノ酸256~273;配列番号10)、及び/またはe3(アミノ酸366~377;配列番号14)内で)見い出される1個または複数のアミノ酸と相互作用する抗CB1抗体を含む。上記抗体が結合するエピトープは、CB1の細胞外ドメイン内に位置する3個以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上)のアミノ酸の単一連続配列から成り得る。別法では、上記エピトープは、CB1の細胞外ドメイン内に位置する複数の非連続アミノ酸(またはアミノ酸配列)から成り得る。さらに、CB抗体が結合するエピトープは、構造変化または結合による曝露により細胞外ではないCB1の部分を含んでよい。CB1及びその様々なドメインの配列を表1に示す。
【0124】
当業者に公知の様々な技術を使用して、抗体がポリペプチドまたはタンパク質内で「1個または複数のアミノ酸と相互作用する」かどうかを決定することができる。例示的な技術には、例えばAntibodies,Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harb.,N.Y.)に記載されたものなどのルーチン的なクロスブロッキングアッセイ、アラニンスキャニング変異解析、ペプチドブロット解析((Reineke(2004)Methods Mol.Biol.248:443-463)、及びペプチド切断解析が含まれる。加えて、エピトープ切り出し、エピトープ抽出及び抗原の化学修飾などの方法を用いることができる(Tomer(2000)Protein Science 9:487-496)。抗体が相互作用するポリペプチド内のアミノ酸を同定するために使用することができる別の方法は、質量分析法により検出される水素/重水素交換である。一般に、水素/重水素交換法は、目的のタンパク質を重水素標識すること、続いて、抗体を、その重水素標識タンパク質と結合させることを伴う。次に、タンパク質/抗体複合体を水に移して、水素-重水素交換が、抗体により保護されている残基を除くすべての残基で生じることを可能にする(重水素標識を維持する)。抗体の解離後に、標的タンパク質をプロテアーゼ切断及び質量分析に掛け、それにより、抗体が相互作用する特異的なアミノ酸に対応する重水素標識残基を明らかにする。例えば、Ehring(1999)Analytical Biochem.267(2):252-259;Engen and Smith(2001)Anal.Chem.73:256A-265Aを参照されたい。
【0125】
本発明はさらに、本明細書に記載の特異的な例示的な抗体(例えば、M1、M2、M3、M4、M5(及びそのヒト化バリアント)、M6、M7(及びそのヒト化バリアント)、及びM8)のいずれかと同じエピトープに結合する抗CB1抗体を含む。同様に、本発明は、CB1への結合について、本明細書に記載の特異的な例示的な抗体(例えば、M1、M2、M3、M4、M5(及びそのヒト化バリアント)、M6、M7(及びそのヒト化バリアント)、及びM8)のいずれかと競合する抗CB1抗体も含む。
【0126】
当技術分野で公知のルーチン的な方法を使用することにより、ある抗体が、参照抗CB1抗体と同じエピトープに結合するか、またはそれと、結合について競合するかを容易に決定することができる。例えば、試験抗体が本発明の参照抗CB1抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体をCB1タンパク質(例えば、CB1細胞外ドメインの可溶性部分または細胞表面で発現するCB1)に結合させる。次に、そのCB1分子に結合する試験抗体の能力を評価する。その試験抗体が、参照抗CB1抗体との飽和結合後に、CB1に結合することができれば、その試験抗体は参照抗CB1抗体とは異なるエピトープに結合すると結論することができる。他方で、その試験抗体が、参照抗CB1抗体との飽和結合後に、CB1に結合することができなければ、その試験抗体は、本発明の参照抗CB1抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合し得る。次いで、追加のルーチン的な実験(例えば、ペプチド変異及び結合分析)を実施して、試験抗体の結合が観察されなかったことが実際に、参照抗体と同じエピトープへの結合によるのか、または立体的遮断(または別の現象)が、結合が観察されなかったことの原因かを確認することができる。この種の実験は、当技術分野で利用可能なELISA、RIA、Biacore、フローサイトメトリーまたは任意の他の定量的もしくは定性的抗体結合アッセイを使用して行うことができる。本発明の特定の実施形態では、競合結合アッセイで測定して、例えば、1倍、5倍、10倍、20倍または100倍過剰の1つの抗体が、他方の結合を少なくとも50%、しかし好ましくは75%、90%またはさらに99%も阻害するならば、その2つの抗体は、同じ(または重複する)エピトープに結合する(例えば、Junghans et al.(1990)Cancer Res.50:1495-1502を参照されたい)。別法では、一方の抗体の結合を減少させる、または除去する抗原における本質的にすべてのアミノ酸変異が、他方の結合を減少させる、または除去するならば、その2つの抗体は同じエピトープに結合すると考えられる。一方の抗体の結合を減少させる、または除去するアミノ酸変異のサブセットのみが、他方の結合を減少させる、または除去するならば、その2つの抗体は「重複エピトープ」を有すると考えられる。
【0127】
一部の実施形態では、本発明は、CB1への結合について本明細書に開示の抗体またはその抗原結合性断片と競合し得る抗CB1抗体またはその抗原結合性断片を提供する。そのような抗体は、ルーチン的な競合結合アッセイを使用して同定することができる。例えば、ある抗体が、結合について参照抗CB1抗体と競合するかを決定するために、上記結合方法を、2つの方向で行う:第1の方向性では、参照抗体を飽和条件下でCB1タンパク質(例えば、CB1細胞外ドメインの可溶性部分または細胞表面で発現するCB1)に結合させ、続いて、CB1分子への試験抗体の結合を評価する。第2の方向性では、試験抗体を飽和条件下でCB1分子に結合させ、続いて、CB1分子への参照抗体の結合を評価する。両方の方向性において、第1の(飽和)抗体のみがCB1分子に結合することができるならば、試験抗体及び参照抗体はCB1への結合について競合すると結論される。結合について参照抗体と競合する抗体は、参照抗体と同じエピトープに必ずしも結合しなくてもよいが、参照抗体の結合を、例えば、重複または隣接エピトープへの結合により立体的に遮断し得る。競合は、ELISA、フローサイトメトリー、または表面プラスモン共鳴(SPR)アッセイにより測定することができる。さらに、交差競合及びエピトープビニングアッセイを、Octet HTX System(Pall ForteBio LLC,Fremont,CA 94538)を使用して行うことができる。
【0128】
一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号20、32、44、56、68、80、92、104、116、128、140、152、164、176、188、200、212、224、236、248、260、272、284、296、308、及び320からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する重鎖CDR1配列を含む。別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号21、33、45、57、69、81、93、105、117、129、141、153、165、177、189、201、213、225、237、249、261、273、285、297、309、及び321からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する重鎖CDR2配列を含む。別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号22、34、46、58、70、82、94、106、118、130、142、154、166、178、190、202、214、226、238、250、262、274、286、298、310、及び322からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する重鎖CDR3配列を含む。別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号26、38、50、62、74、86、98、110、122、134、146、158、170、182、194、206、218、230、242、254、266、278、290、302、314、及び326からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する軽鎖CDR1配列を含む。別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号27、39、51、63、75、87、99、111、123、135、147、159、171、183、195、207、219、231、243、255、267、279、291、303、315、及び327からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する軽鎖CDR2配列を含む。別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号28、40、52、64、76、88、100、112、124、136、148、160、172、184、196、208、220、232、244、256、268、280、292、304、316、及び328からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する軽鎖CDR3配列を含む。
【0129】
本明細書で提供する抗CB1抗体の重鎖CDR及び軽鎖CDRを独立に選択及びマッチングして、本明細書で提供する抗体からの任意の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3;ならびに任意の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む抗体またはその抗原結合性断片を形成してもよい。本明細書で提供する抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を独立に選択及びマッチングして、本明細書で提供する抗体からの任意の重鎖及び軽鎖を含む抗体または抗原結合性断片を形成してもよい。
【0130】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する可変重(VH)鎖配列を含む。
【0131】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95% 少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する可変軽(VL)鎖配列を含む。
【0132】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17、29、41、53、65、77、89、101、113、125、137、149、161、173、185、197、209、221、233、245、257、269、281、283、305、及び317からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する重鎖配列を含む。
【0133】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号23、35、47、59、71、83、95、107、119、131、143、155、167、179、191、203、215、227、239、251、263、275、287、299、311、及び323からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する軽鎖配列を含む。
【0134】
ある特定の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片、CDR、VH、VL、重鎖及び/または軽鎖は、少なくとも約20%、少なくとも約15%、少なくとも約10%、少なくとも約5%、少なくとも約4%、少なくとも約3%、少なくとも約2%、または少なくとも約1%の保存的バリアントアミノ酸を含む。
【0135】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、(20、21、22);(32、33、34);(44、45、46);(56、57、58);(68、69、70);(80、81、82);(92、93、94);(104、105、106);(116、117、118);(128、129、130);(140、141、142);(152、153、154);(164、165、166);(176、177、178);(188、189、190);(200、201、202);(212、213、214);(224、225、226);(236、237、238);(248、249、250);(260、261、262);(272、273、274);(284、285、286);(296、297、298);(308、309、310);及び(320、321、322)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDRセットを含む。
【0136】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号(26、27、28);(38、39、40);(50、51、52);(62、63、64);(74、75、76);(86、87、88);(98、99、100);(110、111、112);(122、123、124);(134、135、136);(146、147、148);(158、159、160);(170、171、172);(182、183、184);(194、195、196);(206、207、208);(218、219、220);(230、231、232);(242、243、244);(254、255、256);(266、267、268);(278、279、280);(290、291、292);(302、303、304);(314、315、316);及び(326、327、328)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDRセットを含む。
【0137】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/24、30/36、42/48、54/60、66/72、78/84、90/96、102/108、114/120、126/132、138/144、150/156、162/168、174/180、186/192、198/204、210/216、222/228、234/240、246/252、258/264、270/276、282/288、294/300、306/312、及び318/324からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH/VLセットを含む。
【0138】
別の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17/23、29/35、41/47、53/59、65/71、77/83、89/95、101/107、113/119、125/131、137/143、149/155、161/167、173/179、185/191、197/203、209/215、221/227、233/239、245/251、257/263、269/275、281/287、283/289、305/311、及び317/323からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖セット及び軽鎖セットを含む。
【0139】
一部の実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、CB1に結合し、かつ例えば、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、食作用、オプソニン作用、及びトランスサイトーシスなどのエフェクター機能の低下を示す。一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、CB1に結合し、かつ1つまたは複数のエフェクター機能を減少させる、減退させる、または除去する1つまたは複数のFc領域の改変を含む。例えば、一実施形態では、本明細書に開示の抗CB1抗体及びその抗原結合性断片は、CB1に結合するが、C1q結合及び/またはCDC及び/またはADCCの減少、減退、または非存在を示す。Fc改変は、アミノ酸の挿入、欠失、もしくは置換であってもよいし、または化学的改変であってもよい。例えば、Fc領域の改変を行って、補体結合を増加もしくは減少させる、ADCCもしくはCDCを増加もしくは減少させる、またはグリコシル化を改変することができる。様々なFc改変が当技術分野で公知であり、例えば、Labrijin et al.(2009)Nature Biotech.27(8):767-771;Greenwood et al.(1993)Eur.J.Immunol.23:1098-1104;Mueller et al.(1997)Mol.Immunol.34:441-452;及びRother et al.(2007)Nature Biotechnol.25:1256-1264に記載されている。エフェクター機能を変更するために、当技術分野で公知のFc改変のいずれも、本明細書に開示の例示的なCB1抗体に適用することができる。一実施形態では、上記抗CB1抗体またはその抗原結合性断片は、ある特定の変異、例えば、L234A/L235A(「LALA」)、S228P、A330S、P331S、E233P/L234V/L235A、A327G/A330S/P331S、L234F/L235E/P331S、及びN297Qを有する。
【0140】
本明細書で提供する結合性タンパク質は、当技術分野で公知のいくつかの技術のうちのいずれかにより生成することができる。例えば、宿主細胞からの発現であり、その場合、CB1結合性タンパク質をコードする発現ベクター(複数可)を、標準的な技術により宿主細胞にトランスフェクトする。本明細書で提供するCB1結合性タンパク質を原核または真核宿主細胞のいずれでも発現させることは可能であるが、原核細胞よりも哺乳動物宿主細胞が、適正にフォールディングされた免疫学的に活性な結合性タンパク質を組み立て、分泌する可能性が高い。
【0141】
CB1結合性タンパク質の組換え発現のための例示的なシステムでは、CB1抗体重鎖及び軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターをリン酸カルシウム媒介トランスフェクションによりdhfr-CHO細胞に導入する。組換え発現ベクター内で、上記CB1抗体重鎖配列及び抗体軽鎖配列をそれぞれ、CMVエンハンサー及びプロモーター調節エレメントに作動可能に連結して、高レベルの遺伝子の転写を駆動する。組換え発現ベクターは、メトトレキサート選択/増幅を用いて、このベクターをトランスフェクトしたCHO細胞の選択を可能にするDHFR遺伝子も保有する。選択した形質転換宿主細胞を培養して、CB1抗体の重鎖及び軽鎖の発現を可能にし、インタクトなCB1抗体を培地から回収する。標準的な分子生物学的技術を用いて、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトして、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培養培地からCB1抗体を回収する。
【0142】
生物学的同等物
本開示の抗CB1抗体及び抗体断片は、上記抗体のものからは変化しているが、ヒトCB1に結合する能力を保持しているアミノ酸配列を有するタンパク質を包含する。そのようなバリアント抗体及び抗体断片は、親配列と比較すると、アミノ酸の1つまたは複数の追加、欠失、または置換を含むが、上記抗体の生物学的活性と本質的に同等である生物学的活性を示す。同様に、本発明の抗CB1抗体コーディングDNA配列は、開示の配列と比較すると、ヌクレオチドの1つまたは複数の追加、欠失、または置換を含むが、本発明の抗CB1抗体または抗体断片と本質的に生物学的に同等である抗CB1抗体または抗体断片をコードする配列を包含する。そのようなバリアントアミノ酸及びDNA配列の例は上に論述している。
【0143】
2つの抗原結合性タンパク質、または抗体が、例えば、類似の実験条件下で同モル用量を単回投与あるいは反復投与で投与した場合に、その吸収の速度及び程度が有意な差を示さない医薬同等物または医薬代替物であるならば、それらは生物学的に同等と判断される。一部の抗体は、それらの吸収の程度では同等であるが、それらの吸収速度では同等でなければ、同等物または医薬代替物と判断されるであろうし、かつそのような吸収速度の差異が意図的であり、標識に反映され、例えば、長期使用で有効な体内薬物濃度の達成に本質的でなく、かつ研究される特定の薬物製品にとって医学的に重要ではないので、生物学的に同等と判断されることもある。
【0144】
一実施形態では、2つの抗原結合性タンパク質は、それらの安全性、純度、及び効力において臨床的に有意な差異がなければ、それらは生物学的に同等である。一実施形態では、2つの抗原結合性タンパク質は、患者が、そのような切り換えを伴わない持続的治療と比較した場合に、免疫原性での臨床的有意差、または有効性の減少を含む、有害作用のリスクの上昇が予測されずに、基準製品と生物学的製品との間で、1回または複数回切り換えされ得るならば、それらは生物学的に同等である。一実施形態では、2つの抗原結合性タンパク質は、その両方が、1つもしくは複数の使用条件について1つまたは複数の共通の作用機序により作用するならば、そのような機序が公知である限りにおいて、それらは生物学的に同等である。
【0145】
生物学的同等物は、インビボ及び/またはインビトロの方法により実証することができる。生物学的同等性測定には、例えば、(a)抗体濃度または1種もしくは複数のその代謝産物を、時間の関数として、血液、血漿、血清、または他の生体液中で測定する、ヒトまたは他の哺乳動物でのインビボ試験;(b)ヒトインビボ生物学的利用能データと相関があり、合理的に予測され得るインビトロ試験;(c)抗体(またはその標的)の適切な急性型薬理作用を時間の関数として測定する、ヒトまたは他の哺乳動物でのインビボ試験;及び(d)抗体の安全性、有効性、または生物学的利用能もしくは生物学的同等性を確立する、十分制御された臨床試験が含まれる。
【0146】
抗CB1抗体の生物学的に同等なバリアントは、例えば、残基もしくは配列の様々な置換の実施、または生物学的活性に不要な末端もしくは内部残基もしくは配列の欠失により、構築することができる。例えば、生物学的活性に必須ではないシステイン残基を、再生時の不必要なまたは間違った分子内ジスルフィド架橋形成を防止するため、欠失させる、または、他のアミノ酸で置き換えることができる。他の状況では、生物学的に同等な抗体には、抗体のグリコシル化特性を改変するアミノ酸変化、例えば、グリコシル化を脱離または除去する変異を含む抗CB1抗体バリアントが含まれ得る。
【0147】
種選択性及び種交差反応性
本発明はまた、ヒトCB1に、かつ1種または複数の非ヒト種からのCB1に結合する抗CB1抗体を含む。例えば、本発明の抗CB1抗体は、ヒトCB1に結合し得て、かつマウス、ラット、モルモット、ハムスター、アレチネズミ、ブタ、ネコ、イヌ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダ、カニクイザルサル、マーモセット、アカゲザルまたはチンパンジーCB1のうちの1種または複数に結合し得る。本発明のある特定の実施形態では、抗CB1抗体は、ヒトCB1には結合するが、他の種からのCB1には結合しない。
【0148】
イムノコンジュゲート
本発明は、細胞毒素、化学療法薬、免疫抑制薬または放射性同位体などの治療薬部分にコンジュゲートした抗CB1抗体(「イムノコンジュゲート」)を包含する。細胞傷害薬には、細胞に有害な任意の薬剤が含まれる。イムノコンジュゲートを形成するための適切な細胞傷害薬及び化学療法薬の例は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている。
【0149】
多重特異性結合性タンパク質
本発明の抗体は、単一特異性、二重特異性、または多重特異性であってよい。多重特異性抗体は、1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープについて特異的であってもよいし、または1つよりも多い標的ポリペプチドについて特異的な抗原結合性ドメインを含んでもよい。例えば、Tutt et al.(1991)J.Immunol.147:60-69;Kufer et al.(2004)Trends Biotechnol.22:238-244を参照されたい。本発明の抗CB1抗体を、別の機能性分子、例えば、別のペプチドまたはタンパク質に連結させる、またはそれと共に同時発現させることができる。例えば、抗体またはその断片を、別の抗体または抗体断片などの1種または複数の他の分子実体に作動可能に連結させて(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合性会合により、または別段に)、第2の結合特異性を有する二重特異性抗体または多重特異性抗体を生成することができる。例えば、本発明は、免疫グロブリンの一方のアームがヒトCB1またはその断片について特異的であり、かつその免疫グロブリン他方のアームが第2の治療標的について特異的であるが、または治療薬部分にコンジュゲートしている二重特異性抗体を含む。
【0150】
様々な疾患における結合性タンパク質の使用
本発明の抗体及び結合性タンパク質は、CB1発現もしくは活性と関連する、もしくはそれらに媒介されるか、またはCB1とCB1リガンド(例えば、カンナビノイド)との間の相互作用の遮断により、もしくは別段に、CB1活性及び/またはシグナル伝達の阻害により、及び/または受容体内在化の促進及び/または細胞表面受容体数の低減により処置可能な任意の疾患または障害を処置する、予防する、及び/または寛解させるために有用である。「CB1活性が有害である障害」という用語は、障害に罹患している対象におけるCB1の存在または活性(例えば、異常または過剰活性)が、その障害もしくは疾患の病態生理の原因であるか、またはその障害または疾患の悪化に寄与する因子である障害または疾患を意味する。したがって、CB1活性が有害である障害は、CB1活性の低下がその障害の症状及び/または進行を緩和させると予測される障害である。
【0151】
本明細書で提供する結合性タンパク質分子は、例えば、CB1タンパク質が有害である様々な疾患または容態を処置するための治療用分子として有用である。例えば、本明細書で提供する結合性分子は、CB1の過剰発現、上方制御、または活性もしくはシグナル伝達の増大か、またはその場合に生じ得る健康上の恒常性制御機構の不全により特徴づけられる任意の疾患または容態を含む。そのような疾患及び容態には、肥満、プラーダー-ヴィリ症候群(PWS)、アルストレーム症候群、バルデー-ビードル症候群(BBS)、アルブライド遺伝性骨ジストロフィー(AHO)、及びSIM1欠失症候群を含む症候性肥満;糖尿病及び関連合併症;脂質異常症;例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、及び原発性胆汁性肝硬変などの肝臓疾患;線維症、例えば、腎臓線維症;慢性腎臓疾患;腎疾患;代謝性疾患、骨粗鬆症、アテローム硬化症、炎症性疾患、心臓血管疾患、がん、疼痛、全身性硬化症、多発性硬化症痙縮、緑内障、ならびにニコチン中毒が含まれる。
【0152】
医薬組成物
本発明は、抗CB1結合性タンパク質、例えば、抗体またはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物を、抗CB1結合性タンパク質の安定性、送達、忍容性、及び有効性を改善する適切な添加剤、担体、予防薬、治療薬、及び他の薬剤と共に製剤化する。多数の適切な製剤を、すべての薬剤師に公知の処方集において見い出すことができる:Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA。これらの製剤には、例えば、散剤、ペースト剤、軟膏剤、ゼリー剤、ワックス剤、油剤、脂質、小胞(LIPOFECTIN(商標)、Life Technologies,Carlsbad,CAなど)を含む脂質(カチオン性またはアニオン性)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト剤、水中油型及び油中水型乳剤、エマルションカーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル剤、ならびにカーボワックスを含む半固体混合物が含まれる。Powell et al.(1998)J.Pharm.Sci.Technol.52:238-311も参照されたい。
【0153】
本明細書で提供するCB1結合性タンパク質を含む医薬組成物は、これに限定されないが、障害の診断、検出、または看視において、障害またはその1種もしくは複数の症状の予防、処置、管理、または寛解において、及び/または研究において使用するためのものである。
【0154】
様々な送達系が公知であり、本発明の医薬組成物を投与するために使用することができ、例えば、リポソーム中でのカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現可能な組み換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシスがある(例えば、Wu et al.,1987,J.Biol.Chem.262:4429-4432を参照されたい)。組成物を任意の従来の経路により、例えば、注入もしくは大量注射により、上皮層もしくは粘膜皮膚層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介した吸収により投与することができ、かつ他の生物学的活性薬剤と一緒に投与することができる。投与は、全身的または局所的であってよい。
【0155】
本明細書で提供する予防薬または治療薬を投与する方法には、これに限定されないが、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与、粘膜投与(例えば、鼻腔内及び口腔投与)及び肺投与(例えば、吸入器または噴霧器を用いてのエアロゾル化化合物の投与)が含まれる。特異的投与経路のための医薬組成物の製剤、ならびに様々な投与方法に必要な材料及び技術が利用可能であり、かつ当業者に公知である。
【0156】
最適な所望の応答(例えば、治療応答または予防応答)を得るために、投与計画を調節することができる。例えば、単一のボーラス剤を投与することもできるし、複数の分割した用量を、時間をかけて投与することもできるし、または用量を治療状況の緊急性により示されるとおりに比例して減少または増加させてもよい。投与の容易さ、及び投薬量の均一性のためには、非経口組成物を単位剤形で製剤化することが特に有利である。「単位剤形」という用語は、処置されるべき哺乳動物対象のための単位投薬量として適合させた物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本明細書で提供する単位剤形の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療または予防の作用、ならびに(b)個体における感受性を処置するためにこのような活性化合物を配合する際の当技術分野で固有の限定により規定され、それらに直接的に依存する。
【0157】
本発明の医薬組成物は、標準的な針及びシリンジで皮下または静脈内に送達することができる。加えて、皮下送達に関して、ペン型送達器具が、本発明の医薬組成物の送達において容易に適用される。そのようなペン型送達器具は、再利用可能または使い捨てであってよい。再利用可能なペン型送達器具は一般に、医薬組成物を含む交換可能なカートリッジを利用する。そのカートリッジ内のすべての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄して、医薬組成物を含む新しいカートリッジと交換することができる。次いで、そのペン型送達器具を再利用することができる。使い捨てのペン型送達器具では、交換可能なカートリッジはない。むしろ、使い捨てペン型送達器具では、器具内のレザバーに医薬組成物が予め充填されて保持される。そのレザバーから医薬組成物が空になったら、器具全体が廃棄される。
【0158】
多数の再利用可能なペン型及び自動注入型送達器具が、本発明の医薬組成物の皮下送達で適用される。例には、これに限定されないが、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、CH)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標) I、II及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、ならびにOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。本発明の医薬組成物の皮下送達に適用される使い捨てペン型送達器具の例には、これに限定されないが、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)Autoinjector(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、及びHUMIRA(商標)Pen(AbbVie,Inc.、Abbott Park、IL)が含まれる。
【0159】
ある特定の状況では、医薬組成物を制御放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Sefton(1987)CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201-240)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),1974,CRC Pres.,Boca Raton,FL)。別の実施形態では、制御放出系を組成物の標的の近くに配置して、全身用量の何分の1かだけが必要であるようにすることができる(Goodson(1984)in Medical Applications of Controlled Release,supra,2:115-138)。他の制御放出系は、Langer(1990)Science 249:1527-1533の概説において論述されている。
【0160】
注射用製剤には、静脈内、皮下、皮内及び筋肉内注射、点滴などのための剤形が含まれ得る。これらの注射用製剤は公知の方法により調製することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、上記抗体またはその塩を、注射剤のために従来使用されている滅菌水性媒体または油性媒体に溶解、懸濁、または乳化させることにより調製することができる。注射剤用の水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコース及び他の補助剤などを含有する等張液があり、これらをアルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50モル)付加物))などの適切な可溶化剤と組み合わせて使用してもよい。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、ダイズ油などが使用され、これらを、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用してもよい。こうして調製される注射剤を好ましくは、適切なアンプルに充填する。
【0161】
有利には、上記経口使用または非経口使用のための医薬組成物を、活性成分の用量に合うように適合させた単位用量の剤形に調製する。単位用量でのそのような剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル剤)、坐剤などが含まれる。含まれる上記抗体の量は一般に、単位用量で;特に注射剤の形態で剤形あたり約5~約500mgであり、上記抗体が約5~約100mg、かつ他の剤形では約10~約250mg含まれていることが好ましい。
【0162】
患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢及び体格、標的疾患、疾患段階、性別、医学的合併症の存在、他の薬物療法、容態、投与経路などに応じて変化し得る。好ましい用量は典型的には、体重または体表面積により計算される。本発明の抗体を成人患者において、CB1活性と関連する容態または疾患を処置するために使用する場合、本発明の抗体を通常、約0.01~約100mg/体重の単回用量で静脈内投与することが有利であり得る。容態の重症度に応じて、処置の頻度及び期間を調節することができる。抗CB1抗体を投与するための有効な投薬量及びスケジュールは、経験的に決定することができ;例えば、患者の進行を定期評価により看視し、それに従って用量を調節することができる。さらに、当技術分野で周知の方法を使用して、投薬量の種間スケーリングを行うことができる(例えば、Mordenti et al.(1991)Pharmaceut.Res.8:1351-1359)。任意の特定の対象について、具体的な投与計画を、個々の必要性及び組成物を投与する、またはその投与を管理する人の専門的判断に従って経時的に調節してもよいこと、及び本明細書に示す投薬量範囲は例示に過ぎず、かつ特許請求の範囲に記載の組成物の範囲及び実施を限定することを意図したものではないことはさらに理解されるべきである。
【0163】
併用療法
本明細書で提供する結合性タンパク質はまた、様々な疾患の処置において有用な1種または複数の追加の治療薬と共に投与することができ、その際、追加の薬剤は、その意図されている目的のために、当業者が選択する。例えば、追加の薬剤は、本明細書で提供するCB1結合性タンパク質により処置される疾患または容態を処置するために有用であると当技術分野において承認されている治療薬であり得る。その組み合わせは、1種よりも多い追加の薬剤を含んでもよい。
【0164】
そのような追加の治療活性な成分の非限定的例には、他のCB1アンタゴニスト(例えば、第2の抗CB1抗体またはCB1の小分子阻害薬(例えば、リモナバン、タラナバント、AM251、AM1387、AM4113、カンナビゲロール、イビピナバント、オテナバント、スリナバント、テトラヒドロカンナビバリン、及びビロダミン、及びAM6545)、別のCB1ファミリーメンバーのアンタゴニストが含まれる。
【0165】
本発明はまた、本明細書に記載の抗CB1抗体のいずれかと、追加の阻害薬とを含み、その阻害薬が、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、siRNA、ペプチボディ、ナノボディまたは抗体断片(例えば、Fab断片;F(ab’)2断片;Fd断片;Fv断片;scFv;dAb断片;またはディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ及び最小認識単位などの他の操作分子)である、治療用組み合わせを含む。本発明の抗CB1抗体を、追加の治療薬と組み合わせて投与する、及び/または同時製剤化することもできる。追加の治療活性な成分(複数可)を本発明の抗CB1抗体の投与の直前、それと同時、またはその直後に投与してもよい;(本開示の目的では、そのような投与レジメンは、追加の治療活性な成分と「組み合わせての」抗CB1抗体の投与と判断される)。本発明は、本発明の抗CB1抗体が本明細書の他の箇所に記載のとおりの追加の治療活性な成分(複数可)のうちの1種または複数と共に同時製剤化されている医薬組成物を含む。
【0166】
本発明はまた、「アンタゴニスト抗体」及び「インバースアゴニスト抗体」の組み合わせを含む組成物及び方法を含む。「アンタゴニスト抗CB1抗体」は、CB1のリガンド(例えば、カンナビノイド)のシグナル伝達活性を阻害する、縮小させる、または阻止する抗CB1抗体を意味する。本発明のアンタゴニスト抗体の非限定的例は、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M7-H1、M7-H2、M7-H3、M7-H4、M7-H5、M7-H6、M7-H7、M7-H8、M7-H9、M7-H10、M7-H11、M7-H12、M7-H13、M7-H14、M7-H15、M7-H16、M5-H1、M5-H2である。「インバースアゴニスト抗CB1抗体」は、アゴニストとは反対の薬理学的応答の誘導をもたらす抗CB1抗体を意味する。アゴニストが受容体の活性を、その基礎レベルを超えて上昇させる一方で、インバースアゴニストは、その活性を基礎レベル未満に低下させる。本発明のインバースアゴニスト抗体の非限定的例には、M7が含まれる。本発明者らは、有効性を相乗的に、または別段に改善するためにアンタゴニスト抗体及びインバースアゴニスト抗体を組み合わせることを考えている。したがって、本発明は、少なくとも1種のアンタゴニスト抗体及び少なくとも1種のインバースアゴニスト抗体を含む医薬組成物を含む。本発明はまた、対象に、アンタゴニスト抗体及びインバースアゴニスト抗体の組み合わせ(別々の投与として、または同時製剤として)を投与することを含む治療方法を含む。
【0167】
併用療法の薬剤には、これに限定されないが、抗新生物薬、放射線療法、化学療法薬、例えば、DNAアルキル化薬、シスプラチン、カルボプラチン、抗チューブリン薬、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、ドキソルビシン、ゲムシタビン(gerncitabine)、ジェムザール、アンスラサイクリン、アドリアマイシン、トポイソメラーゼI阻害薬、トポイソメラーゼII阻害薬、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、イリノテカン、受容体チロシンキナーゼ阻害薬(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ)、COX-2阻害薬(例えば、セレコキシブ)、キナーゼ阻害薬、及びsiRNAが含まれる。
【0168】
診断
本開示は、これに限定されないが、診断アッセイ方法、1種または複数のCB1結合性タンパク質を含む診断キット、ならびに自動及び/または半自動システムで使用するための方法及びキットの適応を含む、診断用途を提供する。提供する方法、キット、及び適応を、個体における疾患または障害の検出、看視、及び/または処置で使用することができる。
【0169】
本発明の抗CB1抗体はまた、例えば、診断目的で、サンプルにおいてCB1、またはCB1発現細胞を検出及び/または測定するために使用することができる。例えば、抗CB1抗体、またはその断片を使用して、CB1の異常な発現(例えば、過剰発現、過小発現、発現の欠如など)により特徴づけられる容態または疾患を診断することができる。CB1のための例示的な診断アッセイは、例えば、患者から得られたサンプルを本発明の抗CB1抗体と接触させることを含んでよく、その際、抗CB1抗体は、検出可能な標識またはレポーター分子で標識されている。別法では、標識されていない抗CB1抗体を診断用途で、それ自体検出可能に標識されている二次抗体と組み合わせて使用することができる。適切な検出可能な物質には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、化学発光物質及び放射性物質が含まれる。適切な酵素の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれ;適切な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、及びフィコエリトリンが含まれる。発光物質の例はルミノールであり、適切な放射性物質の例には、(例えば、H、14C、32P、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho、及び153Smが含まれる。
【0170】
本開示が提供するイムノアッセイにはとりわけ、サンドイッチイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、競合-阻害イムノアッセイ、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、酵素増幅イムノアッセイ技術(EMIT)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、及び均一系化学発光アッセイが含まれ得る。
【0171】
化学発光微粒子イムノアッセイを使用することができ、これは、ARCHITECT(登録商標)自動分析器(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を使用してよい。
【0172】
質量分析法を使用する方法を本開示は提供し、これには、これに限定されないが、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法)またはSELDI(表面増強レーザー脱離/イオン化法)が含まれる。
【0173】
生物学的試験サンプルを収集し、取り扱い、処理し、かつイムノアッセイ及び質量分析法を使用して分析するための方法は当業者に周知である。
【0174】
キット
試験サンプル中で分析物、またはその断片の存在、量または濃度について試験サンプルをアッセイするためのキットも提供する。上記キットは、分析物、またはその断片について試験サンプルをアッセイするための少なくとも1つの構成要素と、分析物、またはその断片について試験サンプルをアッセイするための指示書とを含む。分析物、またはその断片について試験サンプルをアッセイするための少なくとも1つの構成要素には、任意選択で固相に固定化されている、本明細書に開示のとおりの結合性タンパク質を含む組成物、及び/または抗分析物結合性タンパク質(またはその断片、バリアント、またはバリアントの断片)が含まれ得る。
【0175】
任意選択で、上記キットは、単離されたまたは精製された分析物を含んでもよい較正物質または対照を含んでもよい。上記キットは、イムノアッセイ及び/または質量分析法により、分析物について試験サンプルをアッセイするための少なくとも1つの構成要素を含むことができる。分析物、結合性タンパク質、及び/または抗分析物結合性タンパク質、またはその断片を含むキット構成要素を任意選択で、任意の当技術分野で公知の検出可能な標識を使用して標識してもよい。本開示の実施の際に用意される物質及び生成方法は、当業者に公知であろう。
【0176】
上記キット(またはその構成要素)、さらには本明細書に記載のイムノアッセイなどのアッセイにより試験サンプル中の分析物の存在、量または濃度を決定する方法は、例えば、米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号に記載されているとおりで、かつ例えば、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)によりARCHITECT(登録商標)として市販されているとおりの様々な自動及び半自動システム(固相が微粒子を含むものを含む)で使用するために適応させることができる。Abbott Laboratoriesから入手可能な他のプラットフォームには、これに限定されないが、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)(例えば、米国特許第5,294,404号を参照されたい)、PRISM(登録商標)、EIA(ビーズ)、及びQuantum TM II、さらには他のプラットフォームが含まれる。加えて、上記アッセイ、キット及びキット構成要素を、他の形式で、例えば、電気化学的または他の携帯型または臨床現場即時型アッセイシステムで用いることができる。本開示は例えば、サンドイッチイムノアッセイを行う市販のAbbott Point of Care(i-STAT(登録商標)、Abbott Laboratories)電気化学イムノアッセイシステムに適用可能である。イムノセンサーならびにそれらの製造及び使い捨てデバイスにおける操作方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、同第7,419,821号、同第7,682,833号、同第7,723,099号、及び同第9.035,027号;ならびに米国特許出願公開第20040018577号及び同第20060160164号に記載されている。
【0177】
本明細書に記載の方法の他の適切な変更及び適応が明白であり、かつ本明細書に開示の実施形態の範囲から逸脱することなく、適切な同等物を使用して、それを行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。ある特定の実施形態を詳細に記載してきたが、本発明の実施は、例示のためだけに本明細書に示されており、本発明を多少なりとも限定するものと解釈されるべきではない次の実施例により、さらに完全に理解されるであろう。
【実施例0178】
実施例1:機能性評価のための抗CB1抗体の生成及び選択
CD2F1マウスを、CB-1アンタゴニストJD5037(Cayman Chemical、Ann Arbor、MI;Cat.No.1205)の存在または非存在下で、ヒトCB-1抗原で免疫化して、タンパク質を潜在的に安定化させ、それ自体、免疫化の間に十分な構造で存在するようにした。マウスを両方の踵関節において、Titer Max Goldアジュバント(St.Loui、MO;Sigma Aldrich;Cat.No.T2684)を含む抗原約5μg/30μl/踵関節で免疫化した。続いて、マウスをCpG(InvivoGen、San Diego、CA;Cat.No.ODN1826)及びAlhydrogel(InvivoGen、San Diego、CA;Cat.No.vac-alu-250)で、週2回、約30日間にわたって免疫化した。13及び26日目に血清を採取し、抗体力価及びその上昇を経時的に決定した。30日目にマウスを安楽死させ、膝窩及び鼠径リンパ節を融合のために収集し、培地B(栄養素を添加されていない、RPMI1640(Thermo Fisher Scientific-Gibco、San Diego、CA;Cat.No.11879020)及びIMDM(Lonza、Anaheim、CA;Cat.No.12-722F)の1:1混合物)中で洗浄し、単細胞懸濁液を調製した。P3Ag8.563骨髄腫細胞(ATCC、Manasas、VA;Cat.No.PTA-9393)を培養物から採取し、培地B中で洗浄した。リンパ球及び骨髄腫細胞を1:1の比で混合し、電気細胞融合BTX Harvard装置ECM2001(BTX Harvard Apparatus、Holliston、MA;Cat.No.45-0012)を使用して融合させた。融合細胞を回収培地C(Stem Cell Technologies,Seattle,WA;Cat.No.03803)に再懸濁させ、かつT75cmフラスコ中で終夜、37℃で回復させた。翌日、融合細胞を採取し、抗マウスIgG FITC Clone Detect(Molecular Devices、San Jose、CA;Cat No.K8220)を含有するハイブリドーマ選択メチルセルロース培地D(Stem Cell Technologies、Seattle、WA;Cat.No.03804)中に再懸濁させた。細胞を混合し、培地D10mLあたり1×10でプレーティングした。プレーティングした細胞を37℃で7日間にわたってインキュベートした。Clone Pix2(Molecular Devices、San Jose、CA)を使用してコロニーのサイズと、IgG産生を示す強いFITCハローを示すその能力とに基づき、ハイブリドーマコロニーを取り出し、ハイブリドーマ成長培地E(Stem Cell Technologies、Seattle、WA;Cat.No.03805)を含む96ウェル組織培養プレートに移した。巨視的コロニーが観察された場合には、上清を、CHO親細胞及びCHO-huCB-1過剰発現細胞を使用して細胞結合についてスクリーニングした。この一次スクリーニングのために、ハイブリドーマ親CHO細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)(Invitrogen、Anaheim、CA;Cat.No.34554)で標識し、非CFSE標識CHO-huCB1過剰発現細胞と混合して、両方の細胞系での効率的かつ同時のスクリーニングを可能にし、かつhuCB-1特異的結合体を同定した。CHO-huCB-1過剰発現細胞には特異的に結合し、かつ親CHO細胞には結合しなかったクローンを選択し、確認スクリーニングのために先に進めた。合計97のクローンを、小規模精製に進めるために選択した。関連融合及び一次スクリーニングの概要を表2に示す。
【0179】
【表2】
【0180】
実施例2:マウス抗huCB-1特異的結合クローンの精製
確認一次スクリーニングに基づき選択されたハイブリドーマクローンをさらに、低Ig培地50mL(100mMピルビン酸ナトリウム溶液5mL(Invitrogen、Grand Island、NY;Cat.No.11360070)、100mMの非必須アミノ酸5ml(Invitrogen、Grand Island、NY;Cat.No.11140050)及び100mMグルタミン5mL(Invitrogen、Grand Island、NY;Cat.No.35050061)を含有する、1:1のIMDM(Lonza、Anaheim、CA;Cat.No.12-722F):5%低Ig血清(Invitrogen、Grand Island、NY;Cat.No.1625007)を含むハムF12-K(Gibco、Anheim、CA;Cat.No.21127022)培地)中で、T75cmフラスコ内で3~4週間にわたって増やした。上清を採取し、標準的なプロテインA精製方法を使用して精製した。
【0181】
実施例3:cAMPアッセイにおけるマウス抗CB1抗体の機能的特性解析
単離されたマウス抗huCB-1抗体を、それらのアンタゴニスト活性についてcAMPアッセイにおいて評価した。天然にGi結合型野生型Gタンパク質共役受容体(GPCR)を過剰発現し、かつ受容体のアゴニスト刺激に応じて細胞内cAMPレベルの上昇を検出するように設計されているcAMP Hunter(商標)CHO-K1 CNR1 Gi細胞系(DiscoverX/Eurofins、Fremont、CA;Cat.No.95-0071C2)を使用して、cAMPアッセイを行った。cAMP Hunter(商標)CHO-K1 CNR1 Gi細胞をCB1抗体、アイソタイプ対照、または小分子CB1アンタゴニストJD5037で処理し、続いて、フォルスコリンの存在下で30nM CP-55,940でアゴニスト攻撃した(「Plus CP」と表示)。アンタゴニストをまた、CP-55,940を添加せずに試験して、それら自体がアゴニスト活性を有するかどうかを立証した。フォルスコリンは、酵素のアデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPの細胞内レベルを上昇させる。Gi受容体では、アゴニストの結合は、フォルスコリンにより誘導される細胞内cAMP蓄積を阻害する。そのため、Gi-共役受容体を測定するために、アゴニスト化合物のCP-55,940をフォルスコリンの存在下で添加した。したがって、Gi-共役受容体の活性化は、cAMPのフォルスコリン誘導産生を阻害し、結果として、アゴニスト及びフォルスコリンの存在下で生じる用量反応曲線は負の勾配を有するはずである。簡単に述べると、細胞をCell Plating 2 Medium(DiscoverX/Eurofins;Fremont、CA;Cat.No.93-0563R2A)中で、1.5×10細胞/ウェルで、96ウェルプレート(Costar、Fisher Scientific、San Diego、CA;Cat.No.3909)に播種し、終夜、37℃、5%COでインキュベートした。翌日、培養培地をCell Assay Buffer 30μl(CAB;1倍HBSS/10nM HEPES(ThermoFisher、Anaheim、CA;それぞれCat.Nos.14025134及び15630080)に置き換え、試験抗体またはアイソタイプ対照(6倍濃縮作業用希釈液7.5μl)で処理した。プレートを30分間にわたって37℃、5%COでインキュベートした。アゴニスト攻撃7.5μl(90μMフォルスコリンを含有するCAB中0.18μM CP55,940)を各ウェルに添加し、プレートをさらに30分間にわたって37℃、5%COでインキュベートした。HitHunter(登録商標)cAMP Assay Detection Kit for Biologics(DiscoverX/Eurofins;Fremont、CA;Cat.No.90-0075LM25)を製造者指示に従って使用して、プレートをcAMP読取りのために処理した。単離されたクローンの当初評価を30μg/mLの単一濃度で行った。
【0182】
試験した112のクローンのうち、8種のクローンのみがアンタゴニスト活性を示した。2種のクローンはアゴニストの非存在下で、ある程度のアンタゴニズムを示した(M3及びより低い程度でM1)。この8種の抗体M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、及びM8を、Abの濃度を滴定することによりさらに評価して、用量反応曲線及び実際EC50値(表3及び図1)を得た。
【0183】
実施例4:pERKアッセイにおけるマウス抗CB1抗体の機能的特性解析
cAMPアッセイで機能性アンタゴニストであった8種の抗体を、cAMP Hunter(商標)CHO-K1 CNR1 Gi Cell Line(DiscoverX/Eurofins、Fremont、CA;Cat.No.95-0071C2)を使用して行われるpERKリン酸化アッセイでさらに評価した。簡単に述べると、細胞を96ウェルプレートに、2×10細胞/ウェルで、800μg/mL G418を含むKit-107のAssay Complete Cell Culture Medium(DiscoverX/Eurofins、Fremont、CA;Cat.No.92-3107G)中で播種し、37℃、5%COでインキュベートした。翌日、培養培地を、100μl/ウェルの血清非含有F-12K飢餓培地(Invitrogen、Grand Island、NY;Cat.No.11765054)に取り換えた。プレートをもう1日、37℃、5%COでインキュベートした。処理の日に、F-12K培地を30μl/ウェルの新鮮なF-12K培地に取り換えた。次いで、試験抗体またはアイソタイプ対照(6倍濃縮作業用希釈液7.5μl)をウェルに添加し、プレートを10分間にわたって37℃、5%COでインキュベートした。アゴニスト7.5μl(90μMフォルスコリンと共にCAB中0.18μM CP55,940を含む6倍作業用溶液)を各ウェルに添加し、プレートをさらに10分間にわたって37℃、5%COでインキュベートした。Meso Scale Discovery(MSD)キット(Meso Scale Discovery、Rockville、Maryland;Cat.No.K15107D)を製造者指示に従って使用して、プレートをp-ERK/総ERKのために処理した(表3及び図2)。
【0184】
【表3】
【0185】
実施例5:CB-1 CHO過剰発現細胞へのマウス抗CB-1抗体のEC50結合
抗体結合を蛍光活性化セルソーティング(FACS)ベースのアッセイで、親CHO細胞、ヒトCB-1過剰発現CHO細胞及びマウスCB-1過剰発現CHO細胞に結合するマウス抗CB1抗体の能力について試験して、結合曲線及びEC50値を得た。3つの細胞系を採取し、洗浄し、v底96ウェルポリカーボネートFACSプレート(Corning、Corning、NY、Cat.No.3357)のウェルあたり1×10細胞で、FACSバッファー50μl(1倍PBS/2mM EDTA及び1%FBS(ThermoFisher Scientific、Anaheim、CA;Cat.No.10438-026)中に分配した。抗体の系列希釈液を2倍濃縮で200nMから出発して調製し、3倍系列希釈した。滴定された抗体を、3つの異なる細胞系(親、ヒト及びマウスCB-1 CHO細胞)を含むプレートに添加し、4℃で1時間にわたってインキュベートした。プレートをFACSバッファーで3回洗浄した。細胞を1/5,000希釈のヤギ抗マウスIgG-HRP 50μl(Jackson Immuno Research、West Grove、PA;Cat.No.115-035-003)に再懸濁させ、4℃で30分間にわたってインキュベートし、FACSバッファーで3回洗浄し、データをBD FACS Canto(BD Biosciences、San Jose、CA;Cat.No.338962)で収集し、FlowJo(FlowJo LLC、Ashland、OR)を使用して解析した(表4)。試験した8種の機能性抗体のいずれも、マウス交差反応性ではなかった(図3)。
【0186】
【表4】
【0187】
実施例6:機能性抗CB-1抗体のEC50分析及び配座結合についての評価
この実験の目的は、抗CB1アンタゴニスト抗体が中性、アンタゴニスト、またはアゴニスト状態の確認においてCB1について結合能力差を有するかどうかを決定することであった。4種の異なる細胞系調製物を使用した:CHO-huCB1(社内で生成)、インバースアゴニストJD5037(Cayman Chemicals、Ann Arbor、MI;Cat.No.1392116-14-1)と共に事前インキュベートしたCHO-huCB1、アゴニストCP-55,940(TOCRIS、Minneapolis、MN;Cat.No.0949)と共に事前インキュベートしたCHO-huCB1、及び親CHO-S細胞(ThermoFisher Scientific、VA;Cat.No.R80007)。2×10の親CHO-S及びCHO-hu CB1細胞はFACSバッファー中に残しておいた。加えて、インバースアゴニストJD5037またはアゴニストCP-55,940でコーティングされた2×10のCHO-huCB1細胞は4℃で1時間にわたってインキュベートした。インキュベーション後に、これらの2種のコーティングされた細胞系をFACSバッファーで2回洗浄し、かつ2×10で、インバースアゴニストまたはアゴニスト分子をそれぞれ含有するFACSバッファー中に再懸濁させた。4種すべての細胞系をv底FACSプレート(Corning、Corning、NY;Cat.No.3357)にプレーティングし、事前滴定した抗CB1試験抗体を細胞に添加し、BD FACS Canto(BD Biosciences、San Jose、CA;Cat.No.338962)により結合について評価した。図4に示されているとおり、抗体は、CHO親細胞(青色の曲線)に結合せず、上記8種の機能性Ab(M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、及びM8)は、すべての条件下で観察された結合により示されたとおり、アゴニストまたはアンタゴニストの存在下で優先的結合を示さなかった(赤色、紫色及び緑色の曲線)。別段にcAMPまたはpERKアッセイにおいて非機能性であった2種の試験抗体のみが、アンタゴニストの存在下で、かつアゴニストの非存在下でそれぞれ、優先的結合を示した。これは、機能性抗CB1抗体が、既知の受容体アゴニストまたはアンタゴニストの存在下で生じる結合配座と会合し得ないことを示唆している。
【0188】
実施例7:マウス抗CB1抗体の配列の同定及び解析
上記8種のマウス抗huCB-1抗体のハイブリドーマを細胞ペレットとして採取し、上清を、標準的なマウスアイソタイピングELISAキット(Pierce/ThermoFisher Scientific、San Diego、CA;Cat.No.37503)を使用してハイブリドーマのそれぞれのアイソタイプを決定するために使用した。抗体のうちの4種(M1、M3、M4、及びM6)はIgG2a,Kであり、抗体のうちの4種(M2、M5、M7、及びM8)はIgG2b,Kであった。ペレットをRNA及びcDNAについて処理し、SMARTER RACE Amplification kit(Clontech、Mountain View、CA;Cat.No.634859)を使用して、シーケンシングのためにcDNAを処理した。抗体のそれぞれのアイソタイプを使用して、重鎖及び軽鎖カッパ定常領域の定常領域のためのリバースプライマーならびにフォワードプライマーとしてSeqAmpポリメラーゼ(CloneTech、Mountain View、CA;Cat.No.638504)を設計した。多くの場合にシーケンシングプロセスの間に現れて、実際の軽鎖可変領域配列の同定に干渉し得る異常な軽鎖の増幅を阻止するために、MOPC21 PNAプライマー(配列に基づき合成)を含めた。合計8つの固有の配列及び7つの固有のファミリーが同定された。8種のクローンの配列を表5に示す。ハイブリドーマ抗体の重鎖及び軽鎖のコンセンサス配列をそれぞれ図5A及び図5Bに示す。
【0189】
【表5-1】
【0190】
【表5-2】
【0191】
【表5-3】
【0192】
【表5-4】
【0193】
【表5-5】
【0194】
【表5-6】
【0195】
【表5-7】
【0196】
【表5-8】
【0197】
実施例8:ヒト化のためのマウス抗CB1抗体の選択
機能データに基づき、PHEnon(商標)ソフトウェアパッケージ(Xoma、Berkley、CA)に由来する予測ヒトエンジニアリングツール(predictive human engineering tool)(米国特許第5,766,886号)を使用して、マウス抗huCB-1クローンM7及びM5をヒト化のために選択した。各クローンでのVH及びVL配列がクエリとして提示され、アウトプット配列が、Kabatデータベースから最も近いヒト生殖細胞系マッチに基づき生成された。VH及びVL配列をヒトフレームワークマッチへと発展させるために、フレームワーク領域における変異のリストを生成した。個々の残基の変異リスクを、一連の基準を介して評価した(米国特許第5,766,886号)。累積的に、変異をグループ分けして、「低リスク」及び「中間リスク」クローンプールを構成した。アウトプット配列及び導入変異を相同性モデリングによりインシリコで確認した。最終ヒト化VH及びVL抗体配列をヒトIgG1ベクター骨格(TCAL DGVベクター)にクローニングし、CHO細胞で発現させ、標準的な方法に従ってプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。ヒト化クローンの配列を表6に示す。ヒト化M7抗体及びヒト化M5抗体の重鎖及び軽鎖のコンセンサス配列をそれぞれ図6A及び図6Bに示す
【0198】
【表6-1】
【0199】
【表6-2】
【0200】
【表6-3】
【0201】
【表6-4】
【0202】
【表6-5】
【0203】
【表6-6】
【0204】
【表6-7】
【0205】
【表6-8】
【0206】
【表6-9】
【0207】
【表6-10】
【0208】
【表6-11】
【0209】
【表6-12】
【0210】
【表6-13】
【0211】
【表6-14】
【0212】
【表6-15】
【0213】
【表6-16】
【0214】
実施例9:細胞結合及び機能性アッセイにおけるヒト化抗CB1抗体の再評価
ヒト化抗CB1バリアントを、CHO-huCB-1細胞に結合するそれらの能力について再評価し、マウス親クローンM5及びM7(図7A及び図7B)と比較して、結合が保持されていることを確認した。使用したアッセイ条件は、実施例5に記載の条件と同様であった。結合分析の後に、試験バリアントを、実施例3及び4によるcAMP及びpERKアッセイにおいてアンタゴニストとしての機能についても評価して(図8A図8B、図9A、及び図9B)、ヒト化後に結合及び活性が保持されていることを確認した。すべてのクローンが、それらの結合及びアンタゴニスト活性を保持した。図10には、ヒト化抗CB1 Ab M7-H5及びIgG2b形式により示されるインバースアゴニズムが示されている。
【0215】
同等物
本開示は、その意図または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で実施することができる。したがって、上述の実施形態はあらゆる点で、本開示を限定するものではなく例示と考えられるべきである。したがって、本開示の範囲は、上述の記載によってではなく、添付の特許請求の範囲により示され、したがって、特許請求の範囲の同等性の意味及び範囲内に該当するすべての変化は、本開示に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
【配列表】
2024059646000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、前記抗体が可変重(VH)ドメイン配列のCDR及び可変軽(VL)ドメイン配列のCDRを含み、その際、前記VHドメイン配列が、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択され、及び前記VLドメインが、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択される、前記単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、前記抗体が可変重(VH)ドメイン配列及び可変軽(VL)ドメイン配列を含み、その際、前記VHドメイン配列が、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択され、及び/または前記VLドメインが、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択される、前記単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
配列番号18/24、30/36、42/48、54/60、66/72、78/84、90/96、102/108、114/120、126/132、138/144、150/156、162/168、174/180、186/192、198/204、210/216、222/228、234/240、246/252、258/264、270/276、282/288、294/300、306/312、及び318/324からなる群から選択されるVH/VL対の重鎖CDR及び軽鎖CDRを含む、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
配列番号18/24、30/36、42/48、54/60、66/72、78/84、90/96、102/108、114/120、126/132、138/144、1
50/156、162/168、174/180、186/192、198/204、210/216、222/228、234/240、246/252、258/264、270/276、282/288、294/300、306/312、及び318/324からなる群から選択されるVH/VL対を含む、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
(20、21、22);(32、33、34);(44、45、46);(56、57、58);(68、69、70);(80、81、82);(92、93、94);(104、105、106);(116、117、118);(128、129、130);(140、141、142);(152、153、154);(164、165、166);(176、177、178);(188、189、190);(200、201、202);(212、213、214);(224、225、226);(236、237、238);(248、249、250);(260、261、262);(272、273、274);(284、285、286);(296、297、298);(308、309、310);及び(320、321、322)からなる群から選択されるHCDRセット(HCDR1、HCDR2、HCDR3)ならびに(26、27、28);(38、39、40);(50、51、52);(62、63、64);(74、75、76);(86、87、88);(98、99、100);(110、111、112);(122、123、124);(134、135、136);(146、147、148);(158、159、160);(170、171、172);(182、183、184);(194、195、196);(206、207、208);(218、219、220);(230、231、232);(242、243、244);(254、255、256);(266、267、268);(278、279、280);(290、291、292);(302、303、304);(314、315、316);及び(326、327、328)からなる群から選択されるLCDRセット(LCDR1、LCDR2、LCDR3)を含む、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項6】
配列番号(20、21、22/26、27、28);(32、33、34/38、39、40);(44、45、46/50、51、52);(56、57、58/62、63、64);(68、69、70/74、75、76);(80、81、82/86、87、88);(92、93、94/98、99、100);(104、105、106/110、111、112);(116、117、118/122、123、124);(128、129、130/134、135、136);(140、141、142/146、147、148);(152、153、154/158、159、160);(164、165、166/170、171、172);(176、177、178/182、183、184);(188、189、190/194、195、196);(200、201、202/206、207、208);(212、213、214/218、219、220);(224、225、226/230、231、232);(236、237、238/242、243、244);(248、249、250/254、255、256);(260、261、262/266、267、268);(272、273、274/278、279、280);(284、285、286/290、291、292);(296、297、298/302、303、304);(308、309、310/314、315、316);及び(320、321、322/326、327、328)からなる群から選択される(HCDRセット/LCDRセット)対を含む、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項7】
配列番号17/23、29/35、41/47、53/59、65/71、77/83、89/95、101/107、113/119、125/131、137/143、149/155、161/167、173/179、185/191、197/203、209/215、221/227、233/239、245/251、257/263、269/275、281/287、283/289、305/311、及び317/323からなる群から選択されるHC/LC対を含む、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項8】
ヒトカンナビノイド1型受容体(CB1)(配列番号1)に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片であって、前記抗体が可変重(VH)ドメイン配列のCDR及び可変軽(VL)ドメイン配列のCDRを含み、その際、前記VHドメイン配列が、配列番号18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234、246、258、270、282、294、306、及び318からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有し、及び前記VLドメイン配列が、配列番号24、36、48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240、252、264、276、288、300、312、及び324からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有している、前記単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項9】
前記VHが配列番号114で示され、かつ前記VLが配列番号120で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項10】
前記VHが配列番号126で示され、かつ前記VLが配列番号132で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項11】
前記VHが配列番号138で示され、かつ前記VLが配列番号144で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項12】
前記VHが配列番号150で示され、かつ前記VLが配列番号156で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項13】
前記VHが配列番号162で示され、かつ前記VLが配列番号168で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項14】
前記VHが配列番号174で示され、かつ前記VLが配列番号180で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項15】
前記VHが配列番号186で示され、かつ前記VLが配列番号192で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項16】
前記VHが配列番号198で示され、かつ前記VLが配列番号204で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項17】
前記VHが配列番号210で示され、かつ前記VLが配列番号216で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項18】
前記VHが配列番号222で示され、かつ前記VLが配列番号228で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項19】
前記VHが配列番号234で示され、かつ前記VLが配列番号240で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項20】
前記VHが配列番号246で示され、かつ前記VLが配列番号252で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項21】
前記VHが配列番号258で示され、かつ前記VLが配列番号264で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項22】
前記VHが配列番号270で示され、かつ前記VLが配列番号276で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項23】
前記VHが配列番号282で示され、かつ前記VLが配列番号288で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項24】
前記VHが配列番号294で示され、かつ前記VLが配列番号300で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項25】
前記VHが配列番号306で示され、かつ前記VLが配列番号312で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項26】
前記VHが配列番号318で示され、かつ前記VLが配列番号324で示される、請求項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項27】
前記抗体がヒトまたはヒト化抗体である、請求項1~26のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項28】
前記断片が、Fab断片、Fab’断片、F(ab)2断片またはscFv断片を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項29】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、及びIgM Fcからなる群から選択されるヒトFc領域を含む
、請求項1~28のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項30】
改変ヒトFc領域を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項31】
L234A/L235A、S228P、A330S、P331S、E233P/L234V/L235A、A327G/A330S/P331S、L234F/L235E/P331S、及びN297Qからなる群から選択される変異を含む改変ヒトFc領域を含む、請求項30に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか1項に記載の抗原結合性断片を含む、多重特異性結合性タンパク質。
【請求項33】
CB1シグナル伝達活性を阻害する、請求項1~31のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項34】
CB1シグナル伝達活性を増強する、または活性化する、請求項1~31のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項35】
CB1シグナル伝達活性に対するインバースアゴニストである、請求項1~31のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項36】
ヒト化抗体である、請求項1~31または33~35のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項37】
完全ヒト型抗体である、請求項1~31または33~35のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項38】
CB1への結合について、請求項1~31または33~37のいずれか1項に記載の単離抗ヒトCB1抗体またはその抗原結合性断片と競合する、単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項39】
結合について競合する前記抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトまたはヒト化抗体である、請求項38に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項40】
請求項1~31または33~37のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片と実質的に同じCB1のエピトープに特異的に結合する、単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項41】
実質的に同じCB1のエピトープに特異的に結合する前記抗体またはその抗原結合性断片がヒトまたはヒト化抗体である、請求項40に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項42】
カンナビノイド1型受容体(CB1について約1μM以下の結合親和性Kdを有する、C1に結合する単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項43】
CB1について約100nM以下の結合親和性Kdを有する、請求項42に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項44】
リモナバンと比較した場合に、脳透過の減少を示す、請求項1~31または33~43のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項45】
リモナバンと比較した場合に、少なくとも2倍高くCB1シグナル伝達を阻害する、請求項1~31または33~43のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項46】
リモナバンと比べて、CNS副作用の減少を示す、請求項1~31または33~43のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合性断片。
【請求項47】
請求項1~31または33~46のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードする単離核酸分子。
【請求項48】
請求項47に記載の単離核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項49】
請求項48に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項50】
請求項1~31または3346のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片と、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項51】
請求項50に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、それを必要とする対象におけるCB1の生物学的活性の阻害のためのものであり、前記阻害は、有効量の請求項50に記載の医薬組成物を前記対象に投与し、それにより、前記対象においてCB1タンパク質の活性を阻害することによって達成される、医薬組成物。
【請求項52】
請求項50に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、CB1活性と関連する疾患の処置のためのものであって、前記処置は、請求項50に記載の医薬組成物を、前記疾患に罹患している対象に投与することによって達成される、医薬組成物。
【請求項53】
請求項50に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、それを必要とする対象における、CB1シグナル伝達の調節に応答する疾患または障害の処置のためのものであり、前記処置は、請求項50に記載の医薬組成物を投与することによって達成される、医薬組成物。
【請求項54】
請求項50に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、それを必要とする対象における、CB1シグナル伝達のアンタゴニズムまたはインバースアゴニズムに応答する疾患または障害の処置のためのものであり、前記処置は、前記対象に請求項50に記載の医薬組成物を投与することによって達成される、医薬組成物。
【請求項55】
請求項50に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、それを必要とする対象における、CB1シグナル伝達のアゴニズムに応答する疾患または障害の処置のためのものであり、前記処置は、前記対象に請求項50に記載の医薬組成物を投与することによって達成される、医薬組成物。
【請求項56】
請求項1~31または33~46のいずれか1項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片を含む抗体コンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、治療薬、細胞傷害薬、免疫接着分子、及びイメージング薬からなる群から選択される薬剤にコンジュゲートしている、前記抗体コンジュゲート。
【外国語明細書】