(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059738
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】消臭装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20240423BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61L9/12
A61L9/01 H
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022800
(22)【出願日】2024-02-19
(62)【分割の表示】P 2019120460の分割
【原出願日】2019-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】浅野 良太
(72)【発明者】
【氏名】江崎 俊文
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、消臭効果の持続性に優れた消臭装置を提供することである。
【解決手段】消臭液を収容している消臭液収容部と、前記消臭液収容部から供給された前記消臭液を吸液し、空間の消臭を行う消臭液吸液部とを有し、前記消臭液が、(A)消臭成
分、(B)多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)水を含む、消臭装置。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭液を収容している消臭液収容部と、
前記消臭液収容部から供給された前記消臭液を吸液し、空間の消臭を行う消臭液吸液部と、を有し、
前記消臭液が、(A)消臭成分、(B)多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)水を含む、
消臭装置。
【請求項2】
更に、前記消臭液収容部から供給された消臭液を貯留する消臭液貯留部を有し、
前記消臭液吸液部が、前記消臭液貯留部から消臭液を吸い上げて消臭液を吸液するように構成されている、請求項1に記載の消臭装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭効果の持続性に優れた消臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の快適性への要求の高まりと共に、生活空間を快適にする臭気対策のニーズも高まっている。従来、日常生活における臭気対策としては、スプレー型、エアゾール型、据え置き型等の消臭剤を使用して、空間に噴霧したり、揮散させたりする手法が知られている。このような消臭剤では、消臭成分として、ジヒドラジド化合物、アミン化合物等の有機系消臭成分や、ポリフェノール等の植物抽出物が使用されている。
【0003】
従来、消臭機能の向上を目指して様々な消臭液の開発が行われている。例えば、特許文献1には、ヒドラジド化合物、アデニン硫酸塩、及び陽イオン性アミノ変性シリコーンを含む消臭剤は、常温だけでなく高温の環境下でもアルデヒド系及びアンモニア系の悪臭成分の除去に優れるだけでなく、除去した悪臭成分の再放出が少ないことが報告されている。また、特許文献2には、ヒドラジド化合物と共に、硫酸ヒドロキシルアミン、スメクタイト、及び水を含む消臭剤は、アルデヒドとアンモニアの双方に対して優れた消臭効果を奏し得ることが報告されている。しかしながら、特許文献1及び2では、ヒドラジド化合物による消臭効果の持続性の向上に関しては検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-19872号公報
【特許文献2】特開2010-5093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
臭気対策として、消臭が求められる空間(室内空間、車内空間等)に消臭液を据え置いて使用することにより、空間内の臭気を除去又は緩和する手法も有効である。このように空間内に据え置いて使用する場合には、消臭成分による消臭効果が持続することが重視される。
【0006】
このような状況の下、本発明者は、各種消臭成分を含む消臭液の持続性について検討を行ったところ、従来の消臭液では、空間内に据え置いて使用する場合には、消臭液が残存している状態では優れた消臭効果を奏するものの、時間の経過と共に乾燥した状態になると消臭効果が消失し、消臭効果を持続できないことを知見した。
【0007】
そこで、本発明は、消臭効果の持続性に優れた消臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、消臭成分及び水と共に、多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む消臭液は、消臭成分による消臭効果の持続性を飛躍的に向上しており、吸液性部材に含浸させて使用すると、消臭液に含まれる揮散性の成分が揮発して乾燥状態になっても、消臭効果を持続できることを知見し、当該消臭液を吸液性部材に吸液させた状態で消臭効果を発揮できるように構成された装置を使用することにより、持続性に優れた消臭が可能になることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 消臭液を収容している消臭液収容部と、
前記消臭液収容部から供給された前記消臭液を吸液し、空間の消臭を行う消臭液吸液部と、を有し、
前記消臭液が、(A)消臭成分、(B)多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)水を含む、
消臭装置。
項2. 更に、前記消臭液収容部から供給された消臭液を貯留する消臭液貯留部を有し、
前記消臭液吸液部が、前記消臭液貯留部から消臭液を吸い上げて消臭液を吸液するように構成されている、項1に記載の消臭装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の消臭装置によれば、空間の消臭を行う消臭液吸液部において、消臭液に含まれる揮散性の成分が揮発して乾燥状態になっても、消臭効果が持続できるので、消臭効果の持続性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の消臭装置の一実施形態の断面図を示す模式図である。
【
図2】本発明の消臭装置の一実施形態の断面図を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の消臭装置は、消臭液を収容している消臭液収容部と、前記消臭液収容部から供給された前記消臭液を吸液し、空間の消臭を行う消臭液吸液部とを有し、前記消臭液が、(A)消臭成分、(B)多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)水を含むことを特徴とする。以下、本発明の消臭装置について詳述する。
【0013】
[消臭液]
本発明の消臭装置では、消臭成分((A)成分と表記することもある)、多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種((B)成分と表記することもある)、並びに水((C)成分と表記することもある)を含む消臭液を使用する。このような特定の組成の消臭液を使用することによって、空間の消臭を行う消臭液吸液部において、消臭液に含まれる揮散性の成分(水等)が揮発して乾燥状態になっても消臭効果を持続させることが可能になる。
【0014】
・(A)消臭成分
本発明で使用される消臭液は、消臭成分を含む。本発明で使用する消臭成分については、悪臭物質の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、ヒドラジド化合物、アミン化合物、ポリフェノール、ベタイン化合物、酸、塩基、金属イオン等が挙げられる。また、消臭成分の好適な例として、アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソバレルアルデヒド等)に対して吸着又は反応することにより消臭作用を示す消臭成分が挙げられる。アルデヒドに対する消臭作用を示す消臭成分としては、具体的には、ヒドラジド化合物、アミン化合物、ポリフェノール、ベタイン化合物等が挙げられる。
【0015】
前記消臭成分の内、ヒドラジド化合物とは、1分子中に1個以上のヒドラジド基(-NH-NH2)を有する化合物であり、悪臭の原因となっているアルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソバレルアルデヒド等)を吸着して消臭する作用を有する化合物である。
【0016】
本発明で使用されるヒドラジド化合物は、1分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、1分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、又は1分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物のいずれであってもよい。
【0017】
モノヒドラジド化合物としては、具体的には、アセトヒドラジド、ホルムヒドラジド、カルボヒドラジド、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、p-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0018】
ジヒドラジド化合物としては、具体的には、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、ナフトエジヒドラジド、ベンゼンジヒドラジド、ピリジンジヒドラジド、シクロヘキサンジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0019】
1分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物としては、具体的には、クエン酸トリヒドラジド、トリニトロ酢酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、ナフトエ酸テトラヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0020】
これらのヒドラジド化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
前記消臭成分の内、アミン化合物とは、1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有する化合物である。本発明で使用されるアミン化合物の種類については、消臭作用を有していることを限度として、特に制限されないが、例えば、アルカノールアミン、ポリアミン等が挙げられる。
【0022】
アルカノールアミンとしては、具体的には、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノメタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、N-メチルエタノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、N-エチルブタノールアミン等のモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等のジアルカノールアミン等が挙げられる。
【0023】
ポリアミンとしては、具体的には、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0024】
これらのアミン化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
前記消臭成分の内、ポリフェノールとは、1分子内にフェノール性水酸基を有する化合物である。本発明で使用されるポリフェノールの種類については、消臭作用を有していることを限度として、特に制限されないが、例えば、フラバノール(カテキン)、フラボン、アントシアニジン、ロイコアントシアニジン、プロアントシアニジン等が挙げられる。また、ポリフェノールは、ヒノキ、ブドウ種子、松、ヒバ、杉、茶、ツバキ、サザンカ、柿、竹、笹、セージ、タイム、ローズマリー、ユーカリ、ラベンダー、パセリ、リンゴ果実、マッシュルーム、藻類等の植物に含まれているので、本発明では、消臭成分として、これらの植物抽出物を使用することもできる。これらのポリフェノールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
消臭成分の内、ベタイン化合物とは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷を持つ原子には解離しうる水素が結合しておらず、分子全体としては電荷を持たない化合物である。本発明で使用されるベタイン化合物の種類については、消臭作用を有していることを限度として、特に制限されないが、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。これらのベタイン化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
前記消臭成分の内、酸としては、消臭作用を有していることを限度として特に制限されないが、例えば、クエン酸等が挙げられる。酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
前記消臭成分の内、塩基としては、消臭作用を有していることを限度として特に制限されないが、例えば、重層等が挙げられる。塩基は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
前記消臭成分の内、金属イオンとしては、消臭作用を有していることを限度として特に制限されないが、例えば、銀イオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、チタンイオン、銅イオン等が挙げられる。これらの金属イオンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
これらの消臭成分の中でも、消臭効果の持続性をより一層向上させるという観点から、好ましくはヒドラジド化合物、アミノ化合物;より好ましくはアルカノールアミン、ポリアミン、モノヒドラジド化合物、ジヒドラジド化合物;更に好ましくはアセトヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、プロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、エチレンジアミンが挙げられる。とりわけ、アセトヒドラジドは、後述する(B)成分によって、消臭効果の持続性が向上するだけでなく消臭効果自体(使用初期の消臭効果)も高まるため、特に好適に使用できる。
【0031】
本発明で使用される消臭液における(A)成分の含有量については、使用する消臭成分の種類、消臭対象、付与すべき消臭効果の程度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、更に好ましくは1~5重量%が挙げられる。
【0032】
・(B)多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル
本発明で使用される消臭液は、(B)成分として、多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。このように、(B)成分を含有することにより、消臭成分による消臭効果の持続性を向上させることが可能になる。
【0033】
(B)成分の内、多価アルコールとしては、例えば、2~4価のアルコールが挙げられる。多価アルコールとして、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソプレングリコール等の2価アルコール;グリセリン、ブタントリオール(1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール)等の3価アルコール;エリトリトール、ペンタエリトリトール等の4価アルコールが挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
(B)成分の内、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとは、ポリオキシエチレン鎖がアルキル基とエーテル結合している化合物である。ポリオキシエチレンアルキルエーテル鎖のエチレンオキサイドの平均付加モル数については、特に制限されないが、例えば、2~30、好ましくは5~20、更に好ましくは8~12が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルを構成するアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルを構成するアルキル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば、8~22、好ましくは8~14、更に好ましくは8~10が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、具体的には、POEオクチルエーテル、POEイソオクチルエーテル、POEデシルエーテル、POEイソデシルエーテル、POEラウリルエーテル、POEミリスチルエーテル、POEセチルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEアラキジルエーテル、POEベヘニルエーテル等が挙げられる。ここで、「POE」はポリオキシエチレン、これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
本発明で使用される消臭液において、(B)成分として、多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの中から1種を選択して単独で使用してもよく、また、これらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
これらの(B)成分の中でも、消臭効果の持続性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ブタントリオール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0037】
特に、(A)成分としてアセトヒドラジドを使用する場合であれば、消臭効果の持続性をより一層向上させるという観点から、(B)成分として、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル;更に好ましくは、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。また、(A)成分としてコハク酸ジヒドラジドを使用する場合であれば、消臭効果の持続性をより一層向上させるという観点から、(B)成分として、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ブタントリオール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル;更に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ブタントリオール、エリトリトール、及びペンタエリトリトール;特に好ましくは、グリセリン、ブタントリオール、エリトリトール、及びペンタエリトリトールが挙げられる。また、(A)成分としてアジピン酸ジヒドラジド及び/又はカルボヒドラジドを使用する場合であれば、消臭効果の持続性をより一層向上させるという観点から、(B)成分として、好ましくはグリセリンが挙げられる。また、(A)成分としてプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、及び/又は2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールを使用する場合であれば、消臭効果の持続性をより一層向上させるという観点から、(B)成分として、好ましくはグリセリンが挙げられる。
【0038】
本発明で使用される消臭液における(B)成分の含有量については、使用する(B)成分の種類、消臭対象等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、更に好ましくは1~10重量%が挙げられる。
【0039】
また、本発明で使用される消臭液において、(A)成分と(B)成分の比率については、例えば、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が10~1000重量部、好ましくは50~500重量部、更に好ましくは100~400重量部が挙げられる。
【0040】
・(C)水
本発明で使用される消臭液は、基剤として水が含まれる。消臭液における水の含有量については、前記(A)及び(B)成分、並びに必要に応じて添加される他の添加剤の残部であればよいが、例えば、50重量%以上、好ましくは60~99重量%、更に好ましくは70~97重量%が挙げられる。
【0041】
・1価低級アルコール
本発明で使用される消臭液には、必要に応じて1価低級アルコールが含まれていてもよい。1価低級アルコールとしては、例えば、炭素数2~5の1価アルコールが挙げられ、より具体的には、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、sec-アミルアルコール、イソアミルアルコール、tert-アミルアルコール、ネオペンチルアルコール等が挙げられる。これらの1価低級アルコールは、1種単独で含まれていてもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0042】
本発明で使用される消臭液に1価低級アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、1~30重量%が挙げられる。
【0043】
・その他の成分
本発明で使用される消臭液には、前述する成分以外に、本発明の効果を妨げないことを限度として、他の添加剤を含有してもよい。このような他の添加剤としては、例えば、他の溶剤、pH調整剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、香料、界面活性剤、増粘剤等が挙げられる。
【0044】
[装置の構造]
本発明の消臭装置では、前記消臭液による消臭効果を発揮させる装置として、前記消臭液を収容している消臭液収容部と、前記消臭液収容部から供給された前記消臭液を吸液し、空間の消臭を行う消臭液吸液部とを有する装置を使用する。
【0045】
本発明の消臭装置において、消臭液収容部から消臭液吸液部に消臭液を供給するための手段については、特に制限されず、例えば、消臭液収容部中の消臭液に消臭液吸液部の一部を含浸させる方法;消臭液収容部中の消臭液を消臭液吸液部に対して添加させる方法;別途設けられた消臭液貯留部に消臭液収容部から消臭液を供給し、消臭液貯留部中の消臭液に消臭液吸液部の一部を含浸させる方法等が挙げられる。
【0046】
本発明の消臭装置の例として、
図1に示す消臭装置(以下、「第1の態様」)、及び
図2に示す消臭装置(以下、「第2の態様」)が挙げられる。
【0047】
第1の態様の消臭装置では、前記消臭液を収容する消臭液収容部1と、前記消臭液収容部1から供給された消臭液を貯留する消臭液貯留部2と、前記消臭液貯留部2から消臭液を吸い上げて消臭液を吸液する消臭液吸液部3を有している。
【0048】
第1の態様の消臭装置では、消臭液収容部1は開口部が下になるように配されており、重力落下によって消臭液収容部1の開口部から消臭液貯留部2に消臭液が供給されるように構成されている。また、第1の態様の消臭装置において、消臭液収容部1の開口部には、消臭液の供給速度を制御するための制御弁が設けられていてもよい。
【0049】
第1の態様の消臭装置において、消臭液貯留部2は、消臭液収容部1から供給された消臭液を貯留するように構成されている。
【0050】
第1の態様の消臭装置において、消臭液吸液部3は、その一部が消臭液貯留部に貯留された消臭液に含浸するように配され、消臭液を吸い上げて消臭対象となる空間内の空気と接するように構成されている。
【0051】
また、第1の態様の消臭装置では、消臭液吸液部3に対して送風を行う送風部が設けられていてもよい。このような送風部を設けることにより、消臭液吸液部3に吸液されている消臭液と空間内の空気とを効率的に接触させることができ、効率的に消臭することができる。
【0052】
第1の態様の消臭装置における消臭液収容部1の素材については、特に制限されず、プラスチック製、ガラス製、陶器製等のいずれであってもよいが、好ましくはプラスチック製が挙げられる。
【0053】
第1の態様の消臭装置における消臭液貯留部2の素材についても、特に制限されず、プラスチック製、ガラス製、陶器製等のいずれであってもよいが、好ましくはプラスチック製が挙げられる。
【0054】
第1の態様の消臭装置における消臭液吸液部3の素材については、消臭液を吸液できることを限度として特に制限されないが、例えば、綿、植物繊維、パルプ等の天然繊維、レーヨン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維、又はそれらの混合繊維等の繊維質材料;木片、籐、竹、ソラ等の木質材料;発泡ウレタンの樹脂製スポンジ材料等が挙げられる。また、消臭液吸液部3が繊維質材料で形成されている場合、不織布であることが好ましいが、織物、編物等であってもよい。
図1において、消臭液吸液部3の形状は、シート状であるが、棒状、紐状等であってもよい。
【0055】
前記第2の態様の消臭装置では、開口部を有する消臭液収容部1と、収容部内の消臭液を吸い上げて消臭液を保持する消臭液吸液部3とを有している。
【0056】
第2の態様の消臭装置では、消臭液吸液部3が収容部の開口部から差し込まれ、消臭液を吸い上げると共に、消臭液収容部外に露出している消臭液吸液部3によって空間の消臭が行われるように構成されている。
【0057】
第2の態様の消臭装置における消臭液収容部1の素材については、特に制限されず、プラスチック製、ガラス製、陶器製等のいずれであってもよいが、好ましくはプラスチック製が挙げられる。
【0058】
第2の態様の消臭装置における消臭液吸液部3の素材については、消臭液を吸液できることを限度として特に制限されないが、例えば、綿、植物繊維、パルプ等の天然繊維、レーヨン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維、又はそれらの混合繊維等の繊維質材料;木片、籐、竹、ソラ等の木質材料;発泡ウレタンの樹脂製スポンジ材料等が挙げられる。また、消臭液吸液部3が繊維質材料で形成されている場合、不織布であることが好ましいが、織物、編物等であってもよい。
図2において、消臭液吸液部3の形状は、シート状であるが、棒状、紐状等であってもよい。
【0059】
[使用方法]
本発明の消臭装置は、例えば、室内空間、車内空間、ペットの飼育エリア等に存在する悪臭を除去又は緩和する目的で使用される。
【0060】
本発明の消臭装置は、消臭が求められる空間(室内空間、車内空間等)に設置し、消臭液吸液部から消臭液の揮散性成分(水等)が揮発させることによって、消臭効果が奏される。また、本発明の消臭装置では、使用時間の経過と共に、消臭液がなくなって消臭液吸液部が乾燥した状態になっても、消臭液吸液部に残留している消臭成分によって消臭効果が奏されるので、消臭液の補給、消臭液吸液部の交換、消臭装置の交換等を行うことなく、乾燥状態の消臭液吸液部のままで継続して使用することができる。消臭液吸液部が乾燥した時点から継続使用できる期間については、消臭液の組成、消臭対象となる空間等に応じて異なるが、例えば、消臭液吸液部が乾燥した時点から120日間程度、好ましくは30日間程度まで継続使用できる。
【実施例0061】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0062】
試験例
表1~4に示す組成の消臭液を調製し、以下に示す試験を行い、消臭効果の持続性を評価した。
【0063】
先ず、各消臭液0.4gを試験用添付白布(綿カナキン3号、5cm×5cm、日本規格協会)に滴下して、シャーレの上にのせて、ドライヤーで20分間送風乾燥(熱風は使用せず)させた後に、室温で60分間静置した。次いで、前記処理を行った試験用添付白布を、10L容のテドラーバックに5L無臭空気とともに封入した。その後、テドラーバック内にアセトアルデヒドを濃度が約100ppmになるように導入した。アセトアルデヒドを導入した時点を0分として、0分と60分後のテドラーバック内のアセトアルデヒド濃度をガス検知管(アセトアルデヒド92M、株式会社ガステック)を用いて測定し、下記式に基づいて、消臭率を算出した。
【数1】
【0064】
なお、本試験では、消臭液0.4gを滴下した試験用添付白布に対して20分間の送風乾燥と60分間の静置を行った後に、消臭率を測定しているので、当該消臭率が高い場合には、消臭効果の持続性に優れているといえる。消臭液0.4gを試験用添付白布して、乾燥及び静置をすることなく前記と同条件で消臭率を測定すると、実施例及び比較例の全てにおいて消臭率が30~80%であることが確認されている。
【0065】
結果を表1~4に示す。ヒドラジド化合物又はアミド化合物を単独で含む消臭液では、20分間の乾燥と60分間の静置を行った後には、消臭率が0%であり、ヒドラジド化合物の消臭効果は持続できていなかった(比較例1~8)。一方、ヒドラジド化合物又はアミド化合物と共に、多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む消臭液では、20分間の乾燥と60分間の静置を行った後でも、消臭率が高く、消臭効果の持続性に優れていた(実施例1~28)。
【0066】
なお、アセトヒドラジドを単独で含む消臭液(比較例1)を用いて乾燥及び静置をすることなく測定した消臭率(初期の消臭率)は31%であった。これに対して、ヒドラジド化合物としてアセトヒドラジドを使用し、多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む消臭液(実施例1~7)では、20分間の乾燥と60分間の静置を行った後の消臭率が31%以上であった。即ち、実施例1~7の消臭液では、多価アルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むことによって、アセトヒドラジドの消臭効果の持続性が高まることに加え、アセトヒドラジドの消臭効果率(初期の消臭効果)自体も向上していることが確認された。
【0067】
一方で、コハク酸ジヒドラジドを単独で含む消臭液(比較例2)を用いて乾燥及び静置をすることなく測定した消臭率(初期の消臭率)は75%であった。これに対して、ヒドラジド化合物として、コハク酸ジヒドラジドを使用し、(B)成分として多価アルコール、特に、3価以上の多価アルコールを使用した場合(実施例11~15)は、消臭効果の持続性が高まることが確認された。特に(B)成分として、ブタントリオールを使用した
場合には持続性が高まることに加えて、消臭効果率の自体も向上していることが確認された。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】