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特開2024-59753半導体層構造の検査方法及び半導体層構造の検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059753
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】半導体層構造の検査方法及び半導体層構造の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240423BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240423BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N21/88 K
G01N21/64 Z
H01L21/66 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023355
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2021124589の分割
【原出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋平
(72)【発明者】
【氏名】上田 拓志
(72)【発明者】
【氏名】爲本 広昭
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検査が効率よくでき、かつ検査品質の高い、光の照射による半導体層構造の検査方法及び半導体層構造の検査装置を提供する。
【解決手段】発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査方法であって、発光層が発光する光よりも短波長の第1の検査光を第1照射強度で前記半導体層構造に照射して第1の検査光の照射によって取得される半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を1次判定する1次判定ステップと、発光層が発光する光よりも短波長の第2の検査光を、第1照射強度より低い第2照射強度で半導体層構造に照射して、第2の検査光の照射によって取得される半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を2次判定する2次判定ステップと、1次判定と2次判定とに基づいて各発光部の良否を判定する3次判定ステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査方法であって、
電流印加により前記発光部の良否判定をする際の電流値と、前記発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係を記憶したデータベースを準備するステップと、
前記データベースを参照して、良否判定すべき印加電流値に対応する第1照射強度を取得する照射強度取得ステップと、
前記検査光を、前記第1照射強度で前記半導体層構造に照射する照射ステップと、
前記照射ステップにより得られた半導体層構造の蛍光画像に基づいて前記発光部の良否を判定する判定ステップと、
を含む、
半導体層構造の検査方法。
【請求項2】
前記判定ステップにおいて、
(i)前記半導体層構造の前記蛍光画像と、
(ii)照射ステップにおいて照射する検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの基準蛍光画像と、
を比較することにより前記発光部の良否を判定する、
請求項1に記載の半導体層構造の検査方法。
【請求項3】
前記照射強度取得ステップと、照射ステップと、判定ステップとを、複数の照射強度で行うことを含む、
請求項1または2に記載の半導体層構造の検査方法。
【請求項4】
前記基準蛍光画像は、前記照射ステップにおいて照射する検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像である、
請求項2に記載の半導体層構造の検査方法。
【請求項5】
発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査装置であって、
電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、前記発光層が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係を記憶したデータベースと、
前記検査光を前記半導体層構造に照射する照射部と、
前記データベースを参照して、良否判定すべき印加電流値に対応する照射強度を取得し、取得した照射強度の検査光が前記半導体層構造に照射されるように検査光の出射強度を制御して、前記照射部から前記検査光を前記半導体層構造に照射させる照射制御部と、
前記検査光の照射による前記半導体層構造の蛍光画像を取得する画像取得部と、
取得した蛍光画像に基づいて前記半導体層構造の良否を判定し、前記印加電流値における半導体層構造の判定結果を出力する判定部と、
を含む、
半導体層構造の検査装置。
【請求項6】
前記データベースには、前記照射部が照射する検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの基準蛍光画像が保存されており、
前記判定部において、前記半導体層構造の蛍光画像と前記基準蛍光画像とを比較することにより前記半導体層構造の良否を判定する請求項5記載の半導体層構造の検査装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記複数の電流値における半導体層構造の判定結果を出力する、
請求項5または6に記載の半導体層構造の検査装置。
【請求項8】
前記照射部は、前記検査光を取得した照射強度で複数の前記半導体層構造に一括して照射し、
前記画像取得部は、前記検査光の一括照射により前記複数の半導体層構造がそれぞれ発する複数の蛍光を含む蛍光画像を取得し、
前記判定部は、前記複数の蛍光を含む蛍光画像に基づいて複数の前記半導体層構造の良否を判定する、
請求項5~7のうちのいずれか1つに記載の半導体層構造の検査装置。
【請求項9】
前記判定部において、
前記複数の蛍光を含む蛍光画像と、
前記照射部から照射する検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに、前記複数の基準半導体層構造が発する蛍光を含む基準蛍光画像と、
を比較することにより前記複数の半導体層構造の良否を判定する、
請求項8に記載の半導体層構造の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体層構造の検査方法及び半導体層構造の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子は、基板上に発光層を含む複数の半導体層を積層して電極を形成することにより製造され、発光特性を検査した上で出荷される。一般的に、この発光特性の検査は、ウエハ状態において複数の半導体発光素子に対してそれぞれ正負のパッド電極間に電圧を印加して半導体層に電流を流して発光させることにより行われる。
【0003】
しかしながら、電流を流して行う発光検査は、個々の半導体発光素子の電極に、プローバの針(プローブ)を接触させる必要があるため、多大な時間を要する。そこで、半導体発光素子に電流を流さずに発光性能を検査する方法として、光を照射して半導体発光素子の活性層を励起し、励起された活性層から放出される蛍光を観察する検査方法が提案検討されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-128366号公報
【特許文献2】特開2013-038313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光を照射して半導体発光素子の良否を判断する検査方法は、検査が効率よくできる一方で、検査品質をより高くすることが求められている。
【0006】
そこで、本開示は、検査が効率よくでき、かつ検査品質の高い、光の照射による半導体層構造の検査方法及び半導体層構造の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために、本開示に係る一形態の半導体層構造の検査方法は、発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査方法であって、前記発光層が発光する光よりも短波長の第1の検査光を第1照射強度で前記半導体層構造に照射して、前記第1の検査光の照射によって取得される前記半導体層構造の第1蛍光画像に基づいて前記発光部の良否を1次判定する1次判定ステップと、前記発光層が発光する光よりも短波長の第2の検査光を、第1照射強度より低い第2照射強度で前記半導体層構造に照射して、前記第2の検査光の照射によって取得される前記半導体層構造の第2蛍光画像に基づいて前記発光部の良否を2次判定する2次判定ステップと、前記1次判定と前記2次判定とに基づいて各発光部の良否を判定する3次判定ステップと、を含む。
【0008】
本開示に係る一形態の半導体層構造の検査装置は、検査光を、発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造に照射して前記発光部の良否を判定する検査装置であって、照射強度及び波長が調整可能な検査光を前記半導体層構造に照射する照射部と、前記発光層の発光する光よりも短波長の第1の検査光が第1照射強度で前記半導体層構造に照射されるように前記照射部を制御し、前記発光層が発光する光よりも短波長の第2の検査光が第1照射強度より低い第2照射強度で前記半導体層構造に照射されるように前記照射部を制御する制御部と、前記第1の検査光の照射によって得られる前記半導体層構造の第1蛍光画像を取得し、前記第2の検査光の照射によって得られる前記半導体層構造の第2蛍光画像を取得する画像取得部と、第1蛍光画像及び第2蛍光画像に基づいて各発光部の良否を判定する判定部と、を含む。
【0009】
本開示に係る他の形態の半導体層構造の検査方法は、発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査方法であって、電流印加により前記発光部の良否判定をする際の電流値と、前記発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係を記憶したデータベースを準備するステップと、前記データベースを参照して、良否判定すべき印加電流値に対応する第1照射強度を取得する照射強度取得ステップと、前記検査光を、前記第1照射強度で前記半導体層構造に照射する照射ステップと、照射ステップにより得られた半導体層構造の蛍光画像に基づいて前記発光部の良否を判定する判定ステップと、を含む。
【0010】
本開示に係る他の形態の半導体層構造の検査装置は、発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査装置であって、電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、前記発光層が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係を記憶したデータベースと、前記検査光を前記半導体層構造に照射する照射部と、前記テータベースを参照して、良否判定すべき印加電流値に対応する照射強度を取得し、取得した照射強度の検査光が前記半導体層構造に照射されるように検査光の出射強度を制御して、前記照射部から前記検査光を前記半導体層構造に照射させる制御部と、前記検査光の照射による前記半導体層構造の蛍光画像を取得する画像取得部と、取得した蛍光画像に基づいて前記半導体層構造の良否を判定し、該判定結果を前記印加電流値における半導体層構造の判定結果として出力する判定部と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成された本開示に係る半導体層構造の検査方法及び検査装置によれば、検査が効率よくでき、かつ検査品質の高い、光の照射による半導体層構造の検査方法及び検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示に係る実施形態1の検査方法のフローチャートである。
図2】実施形態1の検査装置を模式的に示す構成図である。
図3】本開示に係る実施形態1の他の検査方法のフローチャートである。
図4】本開示に係る実施形態2の検査方法のフローチャートである。
図5】実施形態2の検査方法におけるデータベース準備ステップのフローチャートである。
図6】実施形態2の検査装置を模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本開示に係る検査方法及び検査装置について説明する。
[実施形態1]
本開示に係る実施形態1の検査方法は、照射強度の異なる検査光を照射して各照射で得られる蛍光画像においてそれぞれ発光部の良否を判定し、いずれの良否判定においても良品と判定された発光部を良品と判定する検査方法であり、以下の知見に基づきなされたものである。
【0014】
すなわち、蛍光画像により良否判定は蛍光発光の輝度が小さい場合に発光部が不良品であると判定するものである。しかし、弱い照射強度で検査光を照射した場合に良品と判定された発光部が、強い照射強度で検査光を照射した場合に不良品と判定される場合がある。そこで、検査光の照射強度を強くしていったところ、逆に、弱い照射強度で検査光を照射した場合に不良品と判定された発光部が、強い照射強度で検査光を照射した場合に良品と判定されることがあることがわかった。
上述した知見は、本発明者らが独自に見出した知見であり、本開示に係る実施形態1の検査方法は、本発明者らが独自に見出した上記知見に基づきなされたものである。
以下、実施形態1の検査方法及び検査装置について、詳細に説明する。
【0015】
図1は、本開示に係る実施形態1の検査方法のフローチャートである。
実施形態1の検査方法は、発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査方法であって、図1に示すように、1次判定ステップS510と2次判定ステップS520と、3次判定ステップS530と、を含む。ここで、特に、1次判定ステップS510は、発光層が発光する光よりも短波長の第1の検査光を第1照射強度で照射して、その照射による第1蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定し、2次判定ステップS520は、発光層が発光する光よりも短波長の第2の検査光を第1照射強度より低い第2照射強度で照射して、その照射による第2蛍光画像に基づいて前記発光部の良否を判定する。
そして、3次判定ステップS530では、1次判定ステップS510と2次判定ステップS520のいずれの判定においても良品と判定された発光部を良品と判定する。
これにより、検査が効率よくでき、かつ検査品質の高い、光の照射による半導体層構造の検査方法を提供することができる。
【0016】
より具体的には、実施形態1の検査方法において、1次判定ステップS510は、図1に示すように、発光層が発光する光よりも短波長の第1の検査光を第1照射強度で半導体層構造に照射する第1照射ステップS511と、第1の検査光の照射によって発光部が励起されて発光する蛍光発光により形成される画像(第1蛍光画像)を取得する第1蛍光画像取得ステップS512と、取得した第1蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定する第1判定ステップS513と、を含む。また、2次判定ステップS520は、発光層が発光する光よりも短波長の第2の検査光を、第1照射強度より低い第2照射強度で半導体層構造に照射する第2照射ステップS521と、第2の検査光の照射によって発光部が励起されて発光する蛍光発光により形成される画像(第2蛍光画像)を取得する第2蛍光画像取得ステップS522と、取得した第2蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定する第2判定ステップS523と、を含む。そして、3次判定ステップS530では、1次判定ステップS510と2次判定ステップS520のいずれの判定においても良品と判定された発光部を良品と判定する。
【0017】
<第1照射ステップS511、第2照射ステップS521>
1次判定ステップS510の第1照射ステップS511における第1の検査光、及び2次判定ステップS520の第2照射ステップS521における第2の検査光としては、発光層が発光する光よりも短波長の光が用いられる。例えば、発光層が発光する光が可視光である場合には、第1の検査光及び第2の検査光に可視光に近い波長の405nmに発光ピーク波長を有する光が用いられる。第1の検査光及び第2の検査光の波長は同一であってもよいし、異なっていてもよい。第1の検査光及び第2の検査光の波長は同一であれば、後述の検査装置における照射部の構成を簡略化できる。
半導体層構造とは、複数の半導体が層状あるもので、例えば発光素子の一部である。発光層は、半導体層構造のうち、発光する層のことを言う。半導体層構造は、具体的には、窒化物半導体が挙げられ、InAlGa1-x-yN(0≦X≦1、0≦Y≦1)である。発光層も同様である。
【0018】
また、第1照射ステップS511における第1の検査光の第1照射強度は、好ましくは第1の電流印加による発光現象を再現する同程度の強度の範囲、より好ましくは、第1の印加電流値相当となる照射強度の範囲に設定される。第1照射強度の好ましい範囲としては、0.75mW/cm以上、2.0mW/cm以下が挙げられ、例えば1.0mW/cmが挙げられる。第2照射ステップS521における第2の検査光の第2照射強度は、好ましくは第2の電流印加による発光現象を再現する同程度の強度の範囲、より好ましくは、第2の印加電流値相当となる照射強度の範囲に設定される。第2照射強度の好ましい範囲としては、0.05mW/cm以上、0.50mW/cm以下が挙げられ、例えば0.15mW/cmが挙げられる。第1照射強度及び第2照射強度を上記範囲に設定することにより、1次判定ステップS510で検出されなかった不良を2次判定ステップS520で検出することができ、2次判定ステップS520では検出できない不良を1次判定ステップS510で検出することができる。
【0019】
<第1画像取得ステップS512、第2画像取得ステップS522>
第1蛍光画像取得ステップS512で取得される第1蛍光画像は、第1の検査光の照射によって発光部が励起されて蛍光発光し、その光が半導体層構造から放出される際の半導体層構造から得られる画像である。例えば、第1蛍光画像は、蛍光発光の強度に対応する明るさ及び位置により変化する明るさの指標であるコントラストの情報を含む。同様に、第2蛍光画像取得ステップS52で取得される第2蛍光画像は、第2の検査光の照射によって発光部が励起されて発光する蛍光発光し、その光が半導体層構造から放出される際の半導体層構造から得られる画像である。例えば、第2蛍光画像は、蛍光発光の強度に対応する明るさ及び位置により変化する明るさの指標であるコントラストの情報を含む。
【0020】
<第1判定ステップS513、第2判定ステップS523>
1次判定ステップS510の第1判定ステップS513は、第1蛍光画像における発光が第1基準強度より小さい発光部を不良品と判定することを含む。第1基準強度は、判定対象とする半導体層構造と同一の構成を有し、電流印加による良否判定により良品と認定された基準半導体層構造に第1の検査光を第1照射強度で照射したときの蛍光発光により得られる画像に基づき設定する。ここで、第1基準強度は、例えば、画像における最も高い明度に基づき算出した発光強度のピークの値、画像における明度の平均値に基づき算出した発光強度の平均値等である。第1基準強度は、発光強度のピークの値及び画像における明度の平均値に基づき算出した発光強度の平均値の両方を含むものであってもよい。
【0021】
2次判定ステップS520の第2判定ステップS523は、第2蛍光画像における発光が第1基準強度と異なる第2基準強度より小さい発光部を不良品と判定することを含む。第2基準強度は、第1基準強度と同様、判定対象とする半導体層構造と同一の構成を有し、電流印加による良否判定により良品と認定された基準半導体層構造に第2の検査光を第2照射強度で照射したときの蛍光発光により形成された画像に基づき設定する。ここで、第2基準強度は、例えば、画像における最も高い明度に基づき算出した発光強度のピークの値、画像における明度の平均値に基づき算出した発光強度の平均値等である。第2基準強度は、発光強度のピークの値及び画像における明度の平均値に基づき算出した発光強度の平均値の両方を含むものであってもよい。
ここで、基準半導体層構造とは、従来の半導体層構造の検査であって、電流印加により良品と判断された半導体層構造のことをいう。あとで説明するように、この基準半導体層構造は電流印加による検査を行い、良品と判断したものを用いるが、あらかじめ基準半導体層構造を準備しておいてもよく、具体的には良品と判断された基準半導体層構造の購入品を準備しておいてもよい。
また、2次判定ステップS520の第2判定ステップS523は、第2蛍光画像において第2基準強度より大きい第3基準強度以上の発光が確認される発光部を不良品と判定することを含むことが好ましい。これにより、発光強度が弱い発光部を不良品と判定することに加え、異常に強く発光する強発光部を含む半導体層構造を不良品と判定することができる。強発光部とは、いわゆるピット構造に代表されるような半導体の欠陥部分への励起光照射により観測し得る発光部を指す。
【0022】
1次判定ステップS510の第1判定ステップS513において、検査対象である半導体層構造の第1蛍光画像と、第1の検査光と同一の光を第1照射強度で良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの第1基準蛍光画像と、を比較することにより良否を判定するようにしてもよい。また、2次判定ステップS520の第2判定ステップS523において、検査対象である半導体層構造の第2蛍光画像と、第2の検査光と同一の光を第2照射強度で良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの第2基準蛍光画像と、を比較することにより良否を判定するようにしてもよい。これにより、検査が効率よくでき、かつ検査品質の高い、半導体層構造の検査をすることができる。
【0023】
第1基準蛍光画像は、第1の検査光と同一の光を良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像であってもよく、複数の基準半導体層構造の画像を含む第1基準蛍光画像を用いると、例えば、検査対象である複数の半導体層構造の画像を含む蛍光画像と比較して一括して効率よく良否判定をすることができる。
また、第2基準蛍光画像は、第2の検査光と同一の光を良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像であってもよく、複数の基準半導体層構造の画像を含む第2基準蛍光画像を用いると、例えば、検査対象である複数の半導体層構造の画像を含む蛍光画像と比較して一括して効率よく良否判定をすることができる。
【0024】
ここで、複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像を含む第1基準蛍光画像及び第2基準蛍光画像と、検査対象である複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像を含む第1蛍光画像及び第2蛍光画像とは、例えば、複数の基準半導体層構造が形成された1枚のウエハ全体に検査光を照射して得られる画像である。
また、3次判定ステップは、1次判定ステップで良品と判定され、かつ2次判定ステップで良品と判定されたものを良品と判定する。1次判定ステップと2次判定ステップのいずれかで不良品と判定されたものは、3次判定ステップで不良品と判定される。
【0025】
以上の本開示に係る実施形態1の検査方法は、1次判定ステップS510と2次判定ステップS520において照射強度の異なる検査光を照射して各照射で得られる蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定しているので、検査が効率よくでき、かつ検査品質の高い半導体層構造の検査方法を提供することができる。
【0026】
また、図3は、本開示に係る実施形態1の他の検査方法のフローチャートである。1次判定ステップと2次判定ステップとは、図1に示すように、先に1次判定ステップを行ってから、2次判定ステップを行ってもよいし、図3に示すように、先に2次判定ステップを行ってから、1次判定ステップを行ってもよい。
【0027】
以上の本開示に係る実施形態1の検査方法において、検査対象である複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる第1及び第2蛍光画像と複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる第1及び第2基準蛍光画像と、を比較して良否判定することにより、例えば、1枚のウエハ上の形成された複数の半導体層構造を一括して良品判定することができ、より効率的に良否判定ができる。
【0028】
次に、実施形態1に係る検査方法を実施する実施形態1の検査装置について説明する。
実施形態1の検査装置は、検査光を、発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造に照射して発光部の良否を判定する検査装置100であって、照射強度が調整可能な検査光を半導体層構造に照射する照射部112と、発光層の発光する光よりも短波長の第1の検査光が第1照射強度で半導体層構造に照射されるように照射部112を制御し、発光層が発光する光よりも短波長の第2の検査光が第1照射強度より低い第2照射強度で半導体層構造に照射されるように照射部112を制御する照射制御部124と、第1の検査光の照射によって得られる半導体層構造の第1蛍光画像を取得し、第2の検査光の照射によって得られる半導体層構造の第2蛍光画像を取得する画像取得部111と、第1蛍光画像及び第2蛍光画像に基づいて各発光部の良否を判定する判定部121と、を含む。
ここで、照射部112は、照射強度に加え検査光の波長が調整可能であってもよい。
【0029】
図2は、検査装置100の構成を示すブロック図であり、照射部112と画像取得部111を含む検査部110と、照射制御部124と判定部121とを含む制御部120と、出力部130とを含む。
以下、より具体的に説明する。
【0030】
検査部110は、照射部112及び画像取得部111に加え、例えば、検査試料を載置する支持部113を含む。
照射部112は、例えば、検査対象である半導体層構造に検査光を照射する1又は2以上の光源を含む。光源は、例えば、一定の広がりをもつ光を支持部113に載置された半導体層構造全体に照射する発光ダイオード、レーザーダイオード、エキシマ光源等を用いることができる。光源の光は、例えば、発光層が発光する光が可視光である場合には、可視光に近い波長の405nmに発光ピーク波長を有する光を用いることができる。
2以上の照射部112を有する場合は、それぞれが異なる位置に設けられていてよい。照射部112は、それぞれ第1の検査光及び第2の検査光を切り替えて発光する複数の光源を含み、異なる方向から照射対象である半導体層構造に第1の検査光または第2の検査光を照射するようにしてよい。
また、第1の検査光と第2の検査光は同一波長の光であってよい。
【0031】
画像取得部111は、例えば、支持部113に対向して設けられたカメラである。画像取得部111は、第1の検査光の照射によって励起された発光部の発光により半導体層構造の表面に形成される第1蛍光画像、第2の検査光の照射によって励起された発光部の発光により半導体層構造の表面に形成された第2蛍光画像を取得する(撮影する)ことができる。
【0032】
尚、図2には、検査対象として複数の半導体層構造が設けられたウエハ115を図示している。検査対象がウエハ115である場合、例えば、照射部112の光源は、ウエハ115全体に光を照射するように配置され、複数の半導体層構造に一括して検査光を照射する。これにより、画像取得部111では、複数の半導体層構造からの第1蛍光画像または第2蛍光画像を取得することができる。
【0033】
制御部120は、照射制御部124及び判定部121に加え、例えば、画像取得制御部122及び記憶部123を含む。
照射制御部124は、光源の発光強度、光源と照射対象である半導体層構造との距離、光源から出射する配光特性、半導体層構造の表面に対する出射角等のいずれか1つ以上を制御することにより、検査光(第1又は第2の検査光)が所定の照射強度(第1又は第2照射強度)で半導体層構造に照射されるように照射部112から検査光を出射させる。また、検査対象がウエハ115である場合、例えば、ウエハ115の表面全体に検査光(第1又は第2の検査光)が所定の照射強度(第1又は第2照射強度)で、かつ照射むらを低減して照射されるように照射部112を制御する。
尚、照射制御部124による第1の検査光及び第2の検査光の照射制御は、同時ではなくずらして行うことは言うまでもない。第1の検査光又は第2の検査光の照射制御は、半導体層構造の発光部の蛍光特性を考慮して所定の間隔をおいて照射させることが好ましい。例えば、第1の検査光の照射を先に行う場合、第1の検査光の照射による蛍光がある程度、弱くなってから、第2の検査光の照射を行うことが好ましく、このようにすると品質の高い検査が可能になる。
【0034】
画像取得制御部122は、照射制御部124が照射部112から検査光を出射させたタイミングに基づき画像取得部111が画像を取得するタイミング、例えば、カメラのシャッターを切るタイミングを制御する。通常は、数ミリ秒(ms)後、すなわち、検査光を出射後ほぼ同時に画像取得部111により画像取得させる。しかしながら、例えば、検査光が半導体層構造に照射されてから発光部が発光するまでの時間差及び発光部が発光してから半導体層構造の表面に安定した最適な画像が形成されるまでの時間差がある場合には、画像取得制御部122はそれらの時間差を考慮して画像取得部111が画像を取得するタイミングを制御する。
【0035】
判定部121は、第1蛍光画像に基づき半導体層構造の良否を1次判定し、第2蛍光画像に基づいて半導体層構造の良否を2次判定し、1次判定と2次判定に基づき半導体層構造の良否を3次判定する。
例えば、判定部121は、例えば、第1蛍光画像において発光が第1基準強度より小さい発光部を不良品と判定(1次判定)し、第2蛍光画像において発光が第2基準強度より小さい発光部を不良品と判定(2次判定)する。判定部121は、第2蛍光画像において第2基準強度より大きい第3基準強度以上の発光が確認される発光部を不良品と判定することを2次判定に含むことが好ましく、これにより異常発光する発光部の不良判定が可能になる。そして、判定部121は、1次判定と2次判定に基づき、すなわち、1次判定及び2次判定においていずれも良品であると判定された半導体層構造を良品と判定することにより半導体層構造の良否を3次判定する。
【0036】
第1基準強度、第2基準強度、第3基準強度は、例えば、記憶部123に記憶されており、判定部121は、第1蛍光画像及び第2蛍光画像に基づく発光強度と、記憶部123に記憶された第1基準強度、第2基準強度、第3基準強度等とを比較することにより良否を判定する。また、例えば、1次判定の結果を一時的に記憶部123に保存し、2次判定が終わった後に1次判定の結果と2次判定の結果に基づき3次判定することができる。
【0037】
第1蛍光画像及び第2蛍光画像に基づく発光強度と第1基準強度、第2基準強度、第3基準強度等との比較は、種々の方法で比較することができるが、例えば、画像の明度、コントラスト等に基づき行うことができる。
例えば、判定部121は、半導体層構造の第1蛍光画像と、第1の検査光と同一の光を第1照射強度で良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの第1基準蛍光画像とを、画像の明度、コントラスト等を比較することにより良否を判定する。また、判定部121は、半導体層構造の第2蛍光画像と、第2の検査光と同一の光を前記第2照射強度で良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの第2基準蛍光画像とを、画像の明度、コントラスト等を比較することにより良否を判定する、
【0038】
第1蛍光画像及び第2蛍光画像は、例えば、1枚のウエハの上に設けられた複数の半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像であってよい。この場合、第1基準蛍光画像は、1つの基準半導体層構造に照射したときに得られる画像であってよいが、第1の検査光と同一の光を良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像であることが好ましい。これにより、例えば、1枚のウエハ上の形成された複数の半導体層構造を一括して良品判定するように構成することができ、より効率的に良否判定ができる。
【0039】
出力部130は、判定部221で判定した結果を出力する。出力部130は例えばディスプレイである。
【0040】
以上の本開示に係る実施形態1の検査装置によれば、検査が効率よくでき、かつ検査品質の高い半導体層構造の検査装置を提供することができる。
【0041】
[実施形態2]
本開示に係る実施形態2の検査方法は、発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査方法であって、電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係を記憶したデータベースを準備するステップと、データベースを参照して、良否判定すべき印加電流値に対応する第1照射強度を取得する照射強度取得ステップと、検査光を、第1照射強度で前記半導体層構造に照射する照射ステップと、照射ステップにより得られた半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定する判定ステップと、を含む。
ここで、発光部の良否判定をする際の電流値と検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係とは、電流印加による発光部の良否判定の結果と検査光の照射による良否判定の結果とが一致する電流値と照射強度のことをいう。
【0042】
以上の実施形態2の検査方法は、半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定しているので、電流印加することなく、言い換えると電流印加のためのプローブを用いることなく良否判定することができ、効率よく良否判定することができる。
また、実施形態2の検査方法は、電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係に基づき発光部の良否を判定しているので、電流印加と同等の検出精度で発光部の良否を判定することができる。
以下、実施形態2に係る検査方法の各ステップについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
ここで、実施形態2の検査方法は、上述したように、図4のフローチャートに示す、データベース準備ステップS610と、照射強度取得ステップS620と、照射ステップS630と、判定ステップS640と、を含む。図5は、データベース準備ステップS610のフローチャートである。
【0043】
<データベース準備ステップS610>
データベース準備ステップS610では、上述したように、電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係を記憶したデータベースを準備する。
データベース準備ステップS610は、図5に示す、品種選定ステップS611と、電流印加測定ステップS612と、光励起測定ステップS613と、データ保存ステップS614を含む。
【0044】
まず、品種選定ステップS611において、検査対象とする発光素子の半導体層構造を選定する。
次に、電流印加測定ステップS612において、例えば、選定した半導体層構造の電流印加時の良否判定を行う。また、ウエハ上に設けられた複数の半導体層構造の電流印加時の良否判定を行う。複数の半導体層構造についてそれぞれ良否判定を行う場合には、プローブを移動させて電流印加する。例えば、半導体層構造に1mA以下もしくは品種毎に設定される定格電流の100分の1以下の一定電流を流し、それぞれの半導体層構造の電圧を測定する。そして、例えば、選定する半導体層構造に設けられる閾値電圧(一定の許容される幅があってよい)を満たすものを良品、閾値電圧以下のものを不良品と判定する。
【0045】
次に、光励起測定ステップS613において、電流印加測定ステップS612で良品と判定された半導体層構造と不良品と判定された半導体層構造に対してそれぞれ、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射強度を変化させながら照射する。そして、各照射強度における蛍光発光を確認し、(i)電流印加測定により良品と判定された半導体層構造を良品と判定でき、不良品と判定された半導体層構造と判定できる検査光の照射強度と、(ii)当該照射強度における良品の蛍光画像と不良品の蛍光画像とを取得する。
【0046】
また、例えば、ウエハ上に設けられた複数の半導体層構造についてそれぞれ電流印加して良否判定を行った場合には、光照射による良否判定に最適な検査光の照射強度を以下のようにして決定することができる。具体的には、電流印加による良否判定を行ったウエハ上に設けられた複数の半導体層構造に対して、一括して検査光を照射して複数の半導体層構造の蛍光画像を一括して取得する。そして、その一括して取得した画像における各半導体層構造における蛍光画像と、各半導体層構造についての電流印加により判定した良否とを、各半導体層構造の位置情報に基づいて対応させて、検査光の照射による良否判定と電流印加による良否判定とが一致する検査光の照射強度を良否判定に適した照射強度とすることができる。
【0047】
そして、データ保存ステップS614において、電流印加による発光部の良否判定と相関関係のある、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度とその照射強度における蛍光画像、すなわち、(i)電流印加測定により良品と判定された半導体層構造を良品と判定でき、不良品と判定された半導体層構造と判定できる検査光の照射強度と、(ii)当該照射強度における良品の蛍光画像と不良品の蛍光画像とを、データベースに保存する。ここで、(ii)の良品の蛍光画像及び不良品の蛍光画像は、良否判定の基準とする基準蛍光画像である。また、基準蛍光画像は、照射ステップにおいて照射する検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像であってもよい。
【0048】
さらにステップS615でデータベース化すべき他の品種の有無を確認し、他の品種がある場合にはステップS611~S614を繰り返して他の品種についてデータベース化し、データベース化すべき他の品種がない場合にデータベースの準備を終了する。
【0049】
<照射強度取得ステップS620>
照射強度取得ステップS620では、データベースを参照して、検査対象である半導体層構造の品種の良否を判定する際の印加電流値に対応する照射強度を取得する。
【0050】
<照射ステップS630>
照射ステップS630では、検査光を、照射強度で半導体層構造に照射する。
【0051】
<判定ステップS640>
判定ステップS640では、検査光の照射により得られた半導体層構造の蛍光画像を取得し、データベースを参照しながら、取得した半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定する。
例えば、判定ステップS640において、
(i)半導体層構造の蛍光画像と、
(ii)照射ステップにおいて照射する検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの基準蛍光画像と、
を比較することにより前記発光部の良否を判定する。
データベースには、電流印加により半導体層構造の良否判定をする際の複数の電流値と、電流値にそれぞれ対応する複数の照射強度との相関関係が保存されている。そして、照射強度取得ステップと、照射ステップと、判定ステップとを、複数の照射強度で行ってもよい。例えば、第1の照射強度よりも小さい第2照射強度を用いて、検査光を、第2照射強度で半導体層構造に照射する照射ステップと、照射ステップにより得られた半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定する判定ステップと、を行ってもよい。また、第1の照射強度よりも大きい第2照射強度を用いて、検査光を、第2の照射強度で半導体層構造に照射する照射ステップと、照射ステップにより得られた半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定する判定ステップと、を行ってもよい。
【0052】
以上の実施形態2の検査方法によれば、半導体層構造の蛍光画像に基づいて発光部の良否を判定しているので、電流印加することなく、言い換えると電流印加のためのプローブを用いることなく良否判定することができ、効率よく良否判定することができる。
また、実施形態2の検査方法によれば、電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係に基づき発光部の良否を判定しているので、電流印加と同等の検出精度で発光部の良否を判定することができる。
【0053】
次に、実施形態2の検査方法を実施する検査装置について説明する。
【0054】
この実施形態2の検査装置は、
発光層を含む発光部を複数備える半導体層構造の良否を判定する検査装置200であって、
電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、発光層が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度との相関関係を記憶したデータベース240と、
検査光を半導体層構造に照射する照射部112と、
テータベースを参照して、良否判定すべき印加電流値に対応する照射強度を取得し、取得した照射強度の検査光が半導体層構造に照射されるように検査光の出射強度を制御して、照射部から検査光を半導体層構造に照射させる照射制御部224と、
検査光の照射による半導体層構造の蛍光画像を取得する画像取得部111と、
取得した蛍光画像に基づいて半導体層構造の良否を判定し、該判定結果を印加電流値における半導体層構造の判定結果として出力する判定部221と、
を含む。
【0055】
以下、実施形態2の検査装置について詳細に説明する。
図6は、検査装置200の構成を示すブロック図であり、検査部110と、制御部220と、データベース240と、出力部130とを含む。
ここで、検査部及び出力部は、実施形態1の検査装置100の検査部110及び出力部130と同様に構成されており、それらについては、図6において図2と同一の符号を付して示している。また、図6においても、検査対象として複数の半導体層構造が設けられたウエハ115を図示している。
【0056】
データベース240には、照射部112が照射する検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された基準半導体層構造に照射したときの基準蛍光画像が保存されている。
データベース240には、品種ごとに、電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値と、その電流値による良否判定と結果が一致する、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度とが、基準蛍光画像とともに保存されている。
また、基準蛍光画像がウエハ上に設けられた複数の半導体層構造の蛍光画像を含む画像である場合には、データベース240には、品種ごとに、電流印加により発光部の良否判定をする際の電流値、その電流値による良否判定と結果が一致する、発光部が発光する光よりも短波長の検査光の照射により良否判定をする際の照射強度、基準蛍光画像に加え、ウエハ上の各半導体層構造の位置情報が保存されている。
【0057】
検査部110は、上述したように、実施形態1と同様に構成されており、説明は省略する。
【0058】
制御部220は、照射制御部224、判定部221及び画像取得制御部222を含む。
照射制御部224は、検査対象である半導体層構造(発光素子)の品種に照射する検査光の照射強度をデータベース240から取得し、取得した照射強度で検査光が半導体層構造に照射されるように照射部112を制御する。例えば、照射制御部224は、光源の発光強度、光源と照射対象である半導体層構造との距離、光源から出射する配光特性、半導体層構造の表面に対する出射角等のいずれか1つ以上を制御することにより、検査光が所定の照射強度で半導体層構造に照射されるように照射部112から検査光を出射させる。また、検査対象がウエハ115である場合、例えば、ウエハ115の表面全体に検査光が所定の照射強度でかつ照射むらを低減して照射されるように照射部112を制御する。
【0059】
画像取得制御部222は、照射制御部224が照射部112から検査光を出射させたタイミングに基づき画像取得部111の画像取得タイミング、例えば、カメラのシャッターを切るタイミングを制御する。通常は、数ミリ秒(ms)後、すなわち、検査光を出射後ほぼ同時に画像取得部111により画像取得させる。しかしながら、例えば、検査光が半導体積層構造に照射されてから発光部が発光するまでの時間差及び発光部が発光してから半導体積層構造の表面に安定した最適な画像が形成されるまでの時間差がある場合には、それらの時間差を考慮して画像取得部111の画像取得タイミングを制御する。
【0060】
判定部221は、画像取得制御部222が取得した蛍光画像に基づき半導体層構造の良否を判定する。例えば、判定部221は、照射部112により検査光を照射して得られた半導体層構造の蛍光画像とデータベース240に保存された基準蛍光画像とを比較することにより半導体層構造の良否を判定する。
【0061】
良否判定における蛍光画像と基準蛍光画像との比較は、種々の方法で行うことができる。例えば、半導体層構造の蛍光画像における画像の明度及びコントラストを基準蛍光画像における画像の明度及びコントラストと比較し、明度及びコントラストが所定の範囲内での相違である場合には良品と判定し、半導体層構造の蛍光画像における明度等が所定の範囲を超えて低い場合には不良品と判定する。また、判定部221は、例えば、蛍光画像の明度等に基づき算出した発光強度が基準蛍光画像の明度等に基づき算出した第1基準強度より大きい場合には良品と判定し、小さい場合には不良品と判定するようにしてもよい。
【0062】
蛍光画像は、例えば、1枚のウエハの上に設けられた複数の半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像であってもよく、その場合、基準蛍光画像は、1つの基準半導体層構造に照射したときに得られる画像であってもよいが、検査光と同一の光を良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる画像であることが好ましい。
【0063】
以上のように構成された実施形態2の検査装置200において、データベースには、電流印加により半導体層構造の良否判定をする際の複数の電流値と、電流値にそれぞれ対応する複数の照射強度との相関関係が保存されている。そして、判定部221では、複数の電流値における半導体層構造の良否を判定することができる。
検査装置200において、例えば、照射制御部224は、検査光を取得した照射強度で複数の半導体層構造に一括して照射するよう照射部112を制御し、照射部112は、検査光を取得した照射強度で複数の半導体層構造に一括して照射する。
画像取得部111は、検査光の一括照射により複数の半導体層構造がそれぞれ発する複数の蛍光を含む蛍光画像を取得する。
そして、判定部221は、複数の蛍光を含む蛍光画像に基づいて複数の半導体層構造の良否を判定する。
【0064】
検査装置200において、複数の半導体層構造に一括して検査光を照射して複数の蛍光を含む蛍光画像を取得するようにした場合、判定部221は、その蛍光画像と、検査光と同一の光を電流印加により良品と判定された複数の基準半導体層構造に一括して照射したときに得られる複数の基準半導体層構造が発する蛍光を含む基準蛍光画像と、を比較することにより複数の半導体層構造の良否を判定することが好ましい。
【符号の説明】
【0065】
100、200 検査装置
110 検査部
111 画像取得部
112 照射部
113 支持部
115 ウエハ
120、220 制御部
121、221 判定部
122、222 画像取得制御部
123 記憶部
124、224 照射制御部
130 出力部
240 データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6