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特開2024-59853核剤、これを含む合成樹脂組成物およびその成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059853
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】核剤、これを含む合成樹脂組成物およびその成形体
(51)【国際特許分類】
   C08K 5/3492 20060101AFI20240423BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C08K5/3492
C08L23/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027467
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2020549282の分割
【原出願日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2018180529
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】福井 聡
(72)【発明者】
【氏名】上田 直人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】合成樹脂に優れた透明性を付与することができる新規な核剤、これを含む合成樹脂組成物およびその成形体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物の1種以上を含有する核剤である。ここで、一般式(1)中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、無置換のフェニル基または置換基を有するフェニル基を表し、一般式(1)において、置換基を有するフェニル基の置換基の数が1であるものや、一般式(1)のAr、ArおよびArがすべて異なった基であるもの等が好ましい。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物の1種以上を含有することを特徴とする核剤。
(一般式(1)中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、無置換のフェニル基または置換基を有するフェニル基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)において、置換基を有するフェニル基の置換基の数が1である請求項1記載の核剤。
【請求項3】
前記一般式(1)において、置換基を有するフェニル基の置換基の位置がパラ位である請求項2記載の核剤。
【請求項4】
前記一般式(1)のAr、ArおよびArがすべて異なった基である請求項1~3のうちいずれか一項記載の核剤。
【請求項5】
前記一般式(1)のArおよびArが同一の基であり、ArがArおよびArとは異なった基である請求項1~3のうちいずれか一項記載の核剤。
【請求項6】
前記一般式(1)のArおよびArが、無置換のフェニル基である請求項5記載の核剤。
【請求項7】
前記一般式(1)のAr、ArおよびArが、すべて置換基を有するフェニル基である請求項1~5のうちいずれか一項記載の核剤。
【請求項8】
前記一般式(1)のArおよびArの有する置換基が同一であり、Arの有する置換基が、ArおよびArの有する置換基とは異なる請求項7記載の核剤。
【請求項9】
前記一般式(1)の置換基を有するフェニル基のうち少なくとも1つが、構造中にカルボニル基を有する置換基を有する請求項1~8のうちいずれか一項記載の核剤。
【請求項10】
前記一般式(1)のArが、構造中にカルボニル基を有する置換基を有する請求項9記載の核剤。
【請求項11】
合成樹脂と、請求項1~10のうちいずれか一項記載の核剤と、を含有し、
前記核剤の含有量が、前記合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であり、前記合成樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする合成樹脂組成物。
【請求項12】
請求項11記載の合成樹脂組成物から得られることを特徴とする成形体。
【請求項13】
合成樹脂に、請求項1~10のうちいずれか一項記載の核剤を配合する工程を含み、
前記核剤の配合量が、前記合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であり、
前記合成樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする合成樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
合成樹脂に、請求項1~10のうちいずれか一項記載の核剤を配合する工程を含むことを特徴とする合成樹脂の透明性改善方法。
【請求項15】
前記合成樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である請求項14記載の合成樹脂の透明性改善方法。
【請求項16】
前記核剤の配合量が、前記合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部である請求項14または15記載の合成樹脂の透明性改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核剤、これを含む合成樹脂組成物およびその成形体に関し、詳しくは、合成樹脂に優れた透明性を付与することができる新規な核剤、これを含む合成樹脂組成物およびその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂、特にポリオレフィン系樹脂は、その成形加工性、耐熱性、力学的特性および低比重等に優れている利点があり、フィルム、シートおよび各種成形品(構造部品等)に広く利用されている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂自身は、一般的には優れた物性を有しているものの、ある種の用途によっては、その樹脂本来の優れた性能が引き出せないために、その適用が制限される場合があった。
【0003】
この欠点は、ポリオレフィン系樹脂の結晶性に由来するものである。ポリオレフィン系樹脂の結晶性を改善して樹脂の透明性を向上させるために、種々の核剤を用いることが広く行われている。
【0004】
かかる核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4-第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4-第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートおよびリチウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールおよびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体等の化合物が挙げられる。
【0005】
また、特許文献1では、ポリマーの曇りを減少させる核剤として、トリスアミド化合物が提案されている。また、特許文献2では、塩化ビニル樹脂等の含ハロゲン樹脂の熱安定性を改善するための安定化剤として、トリスアリールオキシトリアジン化合物が提案されている。さらに、特許文献3では、合成樹脂の流動性改良剤として、トリスアリールオキシトリアジン化合物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2006-518402号公報
【特許文献2】特開昭54-4950号公報
【特許文献3】特開昭61-14261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案されているような核剤は、合成樹脂の核剤としての性能は充分ではなく、透明性等の光学特性の改善は満足いくものではなかった。また、特許文献2で提案されているトリスアリールオキシトリアジン化合物や、特許文献3で提案されているトリスアリールオキシトリアジン化合物は、合成樹脂の核剤としての検討がなされていないというのが現状である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、合成樹脂に優れた透明性を付与することができる新規な核剤、これを含む合成樹脂組成物およびその成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の構造を有するトリアジン化合物が、合成樹脂の優れた核剤となり、これを用いることで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の核剤は、下記一般式(1)、
で表されるトリアジン化合物の1種以上を含有することを特徴とするものである。ここで、一般式(1)中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、無置換のフェニル基または置換基を有するフェニル基を表す。
【0011】
本発明の核剤においては、前記一般式(1)において、置換基を有するフェニル基の置換基の数が1であるものが好ましく、この場合、前記一般式(1)において、置換基を有するフェニル基の置換基の位置がパラ位であることが好ましい。また、前記一般式(1)のAr、ArおよびArがすべて異なった基であるものも好ましい。さらに、前記前記一般式(1)のArおよびArが同一の基であり、ArがArおよびArとは異なった基であってもよく、この場合、前記一般式(1)のArおよびArが、無置換のフェニル基であることが好ましい。さらにまた、前記一般式(1)のAr、ArおよびArが、すべて置換基を有するフェニル基であるものであってもよく、この場合、前記一般式(1)のArおよびArの有する置換基が同一であり、Arの有する置換基が、ArおよびArの有する置換基とは異なるものが好ましい。さらに、前記一般式(1)の置換基を有するフェニル基のうち少なくとも1つが、構造中にカルボニル基を有する置換基を有するものも好ましく、前記一般式(1)のArが、構造中にカルボニル基を有する置換基を有するものが好ましい。
【0012】
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂と、本発明の核剤の1種以上と、を含有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の合成樹脂組成物においては、前記合成樹脂はポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0014】
本発明の成形体は、本発明の合成樹脂組成物から得られることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、合成樹脂に優れた透明性を付与することができる新規な核剤、これを含む合成樹脂組成物およびその成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の核剤は、下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物の1種以上を含有する。
【0017】
【0018】
ここで、一般式(1)中、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、無置換のフェニル基または置換基を有するフェニル基を表す。
【0019】
一般式(1)のAr、ArおよびArの有する置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミノカルボニル基(カルバモイル基ともいう)、ニトロ基、シアノ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、ホルミル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数12~20のジアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアルキルアリールアミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3~20のジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数13~20のジアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数8~20のアルキルアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールカルボニルアミノ基、置換基を有してもよい炭素原子数2~20の複素環基等が挙げられる。また、カルボキシ基、スルホ基は塩を形成していてもよい。また、Ar、ArおよびArの有する置換基で、置換基を有していてもよい場合、その置換基としては、以下のものが挙げられる。
【0020】
例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、tert-アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1-メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、イソヘプチル、tert-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、tert-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;
メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、tert-アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、tert-ヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、tert-オクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;
メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、tert-アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、tert-ヘプチルチオ、n-オクチルチオ、イソオクチルチオ、tert-オクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;
ビニル、1-メチルエテニル、2-メチルエテニル、2-プロペニル、1-メチル-3-プロペニル、3-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、イソブテニル、3-ペンテニル、4-ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;
ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;
フェニル、ナフチル等のアリール基;
フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;
フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;
ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2-ピロリジノン-1-イル、2-ピペリドン-1-イル、2,4-ジオキシイミダゾリジン-3-イル、2,4-ジオキシオキサゾリジン-3-イル等の複素環基;
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;
アセチル、2-クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4-トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、n-オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;
アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;
アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2-エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N-メチル-アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2-ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N-ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t-ブトキシカルボニルアミノ、n-オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N-メチル-メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換又は無置換アミノ基;
スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシ基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基等が挙げられ、これらの基はさらに置換されていてもよい。また、カルボキシ基およびスルホ基は、塩を形成していてもよい。
【0021】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、ハロゲン原子の例を挙げると、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0022】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基の例を挙げると、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-アミル、1,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、1,3-ジメチルブチル、1-イソプロピルプロピル、1,2-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、1,4-ジメチルペンチル、tert-ヘプチル、2-メチル-1-イソプロピルプロピル、1-エチル-3-メチルブチル、n-オクチル、tert-オクチル、2-エチルヘキシル、2-メチルヘキシル、2-プロピルヘキシル、n-ノニル、イソノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、イソウンデシル、n-ドデシル、イソドデシル、n-トリデシル、イソトリデシル、n-テトラデシル、イソテトラデシル、n-ペンタデシル、イソペンタデシル、n-ヘキサデシル、イソヘキサデシル、n-ヘプタデシル、イソヘプタデシル、n-オクタデシル、イソオクタデシル、n-ノナデシル、イソノナデシル、n-イコシル、イソイコシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル等が挙げられる。アルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合またはウレタン結合により1~5回中断されていてもよい。
【0023】
一般式(1)のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリール基の例としては、フェニル、p-メチルフェニル、o-メチルフェニル、p-tert-ブチルフェニル、p-メトキシフェニル、p-クロルフェニル、p-ニトロフェニル、p-シアノフェニル、o-ビフェニリル、m-ビフェニリル、p-ビフェニリル、α-ナフチル、β-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル等が挙げられる。
【0024】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールアルキル基の例としては、ベンジル、フェネチル、2-フェニルプロパン-2-イル、スチリル、シンナミル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル等が挙げられる。
【0025】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルコキシ基の例としては、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、1,2-ジメチル-プロポキシ、n-ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、1,3-ジメチルブトキシ、1-イソプロピルプロポキシ等が挙げられる。
【0026】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリールオキシ基の例としては、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、フェノキシ、ナフチルオキシ、p-メチルフェノキシ、o-メチルフェノキシ、p-tert-ブチルフェノキシ、p-メトキシフェノキシ、p-クロルフェニノキシ、p-ニトロフェノキシ、p-シアノフェノキシ、o-ビフェニリルオキシ、m-ビフェニリルオキシ、p-ビフェニリルオキシ、α-ナフチルオキシ、β-ナフチルオキシ、1-アントリルオキシ、2-アントリルオキシ、9-アントリルオキシ、1-フェナントリルオキシ、2-フェナントリルオキシ、3-フェナントリルオキシ、4-フェナントリルオキシ、9-フェナントリルオキシ等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキルチオ基の例としては、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基等が挙げられる。
【0028】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキルアミノ基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、シクロブチルアミノ、1-ペンチルアミノ、2-ペンチルアミノ、3-ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、tert-ペンチルアミノ、シクロペンチルアミノ、1-ヘキシルアミノ、2-ヘキシルアミノ、3-ヘキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ、1-メチル-n-ペンチルアミノ、1,1,2-トリメチル-n-プロピルアミノ、1,2,2-トリメチル-n-プロピルアミノ、3,3-ジメチル-n-ブチルアミノ等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のジアルキルアミノ基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジシクロプロピルアミノ、ジ-n-ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ-sec-ブチルアミノ、ジ-tert-ブチルアミノ、ジシクロブチルアミノ、ジ-1-ペンチルアミノ、ジ-2-ペンチルアミノ、ジ-3-ペンチルアミノ、ジイソペンチルアミノ、ジ-ネオペンチルアミノ、ジ-tert-ペンチルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジ-1-ヘキシルアミノ、ジ-2-ヘキシルアミノ、ジ-3-ヘキシルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジ-(1-メチル-n-ペンチル)アミノ、ジ-(1,1,2-トリメチル-n-プロピル)アミノ、ジ-(1,2,2-トリメチル-n-プロピル)アミノ、ジ-(3,3-ジメチル-n-ブチル)アミノ、メチル(エチル)アミノ、メチル(n-プロピル)アミノ、メチル(イソプロピル)アミノ、メチル(シクロプロピル)アミノ、メチル(n-ブチル)アミノ、メチル(イソブチル)アミノ、メチル(sec-ブチル)アミノ、メチル(tert-ブチル)アミノ、メチル(シクロブチル)アミノ、エチル(n-プロピル)アミノ、エチル(イソプロピル)アミノ、エチル(シクロプロピル)アミノ、エチル(n-ブチル)アミノ、エチル(イソブチル)アミノ、エチル(sec-ブチル)アミノ、エチル(tert-ブチル)アミノ、エチル(シクロブチル)アミノ、n-プロピル(イソプロピル)アミノ、n-プロピル(シクロプロピル)アミノ、n-プロピル(n-ブチル)アミノ、n-プロピル(イソブチル)アミノ、n-プロピル(sec-ブチル)アミノ、n-プロピル(tert-ブチル)アミノ、n-プロピル(シクロブチル)アミノ、イソプロピル(シクロプロピル)アミノ、イソプロピル(n-ブチル)アミノ、イソプロピル(イソブチル)アミノ、イソプロピル(sec-ブチル)アミノ、イソプロピル(tert-ブチル)アミノ、イソプロピル(シクロブチル)アミノ、シクロプロピル(n-ブチル)アミノ、シクロプロピル(イソブチル)アミノ、シクロプロピル(sec-ブチル)アミノ、シクロプロピル(tert-ブチル)アミノ、シクロプロピル(シクロブチル)アミノ、n-ブチル(イソブチル)アミノ、n-ブチル(sec-ブチル)アミノ、n-ブチル(tert-ブチル)アミノ、n-ブチル(シクロブチル)アミノ、イソブチル(sec-ブチル)アミノ、イソブチル(tert-ブチル)アミノ、イソブチル(シクロブチル)アミノ、sec-ブチル(tert-ブチル)アミノ、sec-ブチル(シクロブチル)アミノ、tert-ブチル(シクロブチル)アミノ等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリールアミノ基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、p-メチルフェニルアミノ、o-メチルフェニルアミノ、p-tert-ブチルフェニルアミノ、p-メトキシフェニルアミノ、p-クロルフェニルアミノ、p-ニトロフェニルアミノ、p-シアノフェニルアミノ、o-ビフェニリルアミノ、m-ビフェニリルアミノ、p-ビフェニリルアミノ、α-ナフチルアミノ、β-ナフチルアミノ、1-アントリルアミノ、2-アントリルアミノ、9-アントリルアミノ、1-フェナントリルアミノ、2-フェナントリルアミノ、3-フェナントリルアミノ、4-フェナントリルアミノ、9-フェナントリルアミノ等が挙げられる。
【0031】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数12~20のジアリールアミノ基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、フェニルナフチルアミノ等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアルキルアリールアミノ基の例を挙げると、上記アルキル基およびアリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、イソプロピルフェニルアミノ、sec-ブチルフェニルアミノ、tert-ブチルフェニルアミノ、n-ヘキシルフェニルアミノ、シクロヘキシルフェニルアミノ、メチルナフチルアミノ、エチルナフチルアミノ等が挙げられる。
【0033】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルカルボニル基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルカルボニル(アセチルともいう)、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、1-ペンチルカルボニル、2-ペンチルカルボニル、3-ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、tert-ペンチルカルボニル、1-ヘキシルカルボニル、2-ヘキシルカルボニル、3-ヘキシルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等が挙げられる。
【0034】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールカルボニル基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、ベンゾイル、p-メチルベンゾイル、p-tert-ブチルベンゾイル、p-メトキシベンゾイル、p-クロルベンゾイル、p-ニトロベンゾイル、p-シアノベンゾイル、o-ビフェニリルカルボニル、m-ビフェニリルカルボニル、p-ビフェニリルカルボニル、α-ナフチルカルボニル、β-ナフチルカルボニル、1-アントリルカルボニル、2-アントリルカルボニル、9-アントリルカルボニル、1-フェナントリルカルボニル、2-フェナントリルカルボニル、3-フェナントリルカルボニル、4-フェナントリルカルボニル、9-フェナントリルカルボニル等が挙げられる。
【0035】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルカルボニルオキシ基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n-プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、n-ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec-ブチルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ、ペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ヘプチルカルボニルオキシ、ヘプタン-3-イルカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0036】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールカルボニルオキシ基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、ベンゾイルオキシ、p-メチルベンゾイルオキシ、p-tert-ブチルベンゾイルオキシ、p-メトキシベンゾイルオキシ、p-クロルベンゾイルオキシ、p-ニトロベンゾイルオキシ、p-シアノベンゾイルオキシ、o-ビフェニリルカルボニルオキシ、m-ビフェニリルカルボニルオキシ、p-ビフェニリルカルボニルオキシ、α-ナフチルカルボニルオキシ、β-ナフチルカルボニルオキシ、1-アントリルカルボニルオキシ、2-アントリルカルボニルオキシ、9-アントリルカルボニルオキシ、1-フェナントリルカルボニルオキシ、2-フェナントリルカルボニルオキシ、3-フェナントリルカルボニルオキシ、4-フェナントリルカルボニルオキシ、9-フェナントリルカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0037】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルコキシカルボニル基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、1-ペンチルオキシカルボニル、2-ペンチルオキシカルボニル、3-ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、tert-ペンチルオキシカルボニル、1-ヘキシルオキシカルボニル、2-ヘキシルオキシカルボニル、3-ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0038】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールオキシカルボニル基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、フェノキシカルボニル、p-メチルフェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル、ビフェニリルオキシカルボニル、アントリルオキシカルボニル、フェナントリルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0039】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルアミノカルボニル基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n-プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n-ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、sec-ブチルアミノカルボニル、tert-ブチルアミノカルボニル、1-ペンチルアミノカルボニル、2-ペンチルアミノカルボニル、3-ペンチルアミノカルボニル、i-ペンチルアミノカルボニル、ネオペンチルアミノカルボニル、tert-ペンチルアミノカルボニル、1-ヘキシルアミノカルボニル、2-ヘキシルアミノカルボニル、3-ヘキシルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0040】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールアミノカルボニル基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、フェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、p-メチルフェニルアミノカルボニル、o-メチルフェニルアミノカルボニル、p-tert-ブチルフェニルアミノカルボニル、p-メトキシフェニルアミノカルボニル、p-クロルフェニルアミノカルボニル、p-ニトロフェニルアミノカルボニル、p-シアノフェニルアミノカルボニル、o-ビフェニリルアミノカルボニル、m-ビフェニリルアミノカルボニル、p-ビフェニリルアミノカルボニル、α-ナフチルアミノカルボニル、β-ナフチルアミノカルボニル、1-アントリルアミノカルボニル、2-アントリルアミノカルボニル、9-アントリルアミノカルボニル、1-フェナントリルアミノカルボニル、2-フェナントリルアミノカルボニル、3-フェナントリルアミノカルボニル、4-フェナントリルアミノカルボニル、9-フェナントリルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0041】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数3~20のジアルキルアミノカルボニル基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジ-n-プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジシクロプロピルアミノカルボニル、ジ-n-ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル、ジ-sec-ブチルアミノカルボニル、ジ-tert-ブチルアミノカルボニル、ジシクロブチルアミノカルボニル、ジ-1-ペンチルアミノカルボニル、ジ-2-ペンチルアミノカルボニル、ジ-3-ペンチルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノカルボニル、ジ-ネオペンチルアミノカルボニル、ジ-tert-ペンチルアミノカルボニル、ジシクロペンチルアミノカルボニル、ジ-1-ヘキシルアミノカルボニル、ジ-2-ヘキシルアミノカルボニル、ジ-3-ヘキシルアミノカルボニル、ジシクロヘキシルアミノカルボニル、ジ-(1-メチル-n-ペンチル)アミノカルボニル、ジ-(1,1,2-トリメチル-n-プロピル)アミノカルボニル、ジ-(1,2,2-トリメチル-n-プロピル)アミノカルボニル、ジ-(3,3-ジメチル-n-ブチル)アミノカルボニル、メチル(エチル)アミノカルボニル、メチル(n-プロピル)アミノカルボニル、メチル(イソプロピル)アミノカルボニル、メチル(シクロプロピル)アミノカルボニル、メチル(n-ブチル)アミノカルボニル、メチル(イソブチル)アミノカルボニル、メチル(sec-ブチル)アミノカルボニル、メチル(tert-ブチル)アミノカルボニル、メチル(シクロブチル)アミノカルボニル、エチル(n-プロピル)アミノカルボニル、エチル(イソプロピル)アミノカルボニル、エチル(シクロプロピル)アミノカルボニル、エチル(n-ブチル)アミノカルボニル、エチル(イソブチル)アミノカルボニル、エチル(sec-ブチル)アミノカルボニル、エチル(tert-ブチル)アミノカルボニル、エチル(シクロブチル)アミノカルボニル、n-プロピル(イソプロピル)アミノカルボニル、n-プロピル(シクロプロピル)アミノカルボニル、n-プロピル(n-ブチル)アミノカルボニル、n-プロピル(イソブチル)アミノカルボニル、n-プロピル(sec-ブチル)アミノカルボニル、n-プロピル(tert-ブチル)アミノカルボニル、n-プロピル(シクロブチル)アミノカルボニル、イソプロピル(シクロプロピル)アミノカルボニル、イソプロピル(n-ブチル)アミノカルボニル、イソプロピル(イソブチル)アミノカルボニル、イソプロピル(sec-ブチル)アミノカルボニル、イソプロピル(tert-ブチル)カルボニルアミノ、イソプロピル(シクロブチル)アミノカルボニル、シクロプロピル(n-ブチル)アミノカルボニル、シクロプロピル(イソブチル)アミノカルボニル、シクロプロピル(sec-ブチル)アミノカルボニル、シクロプロピル(tert-ブチル)アミノカルボニル、シクロプロピル(シクロブチル)アミノカルボニル、n-ブチル(イソブチル)アミノカルボニル、n-ブチル(sec-ブチル)アミノカルボニル、n-ブチル(tert-ブチル)アミノカルボニル、n-ブチル(シクロブチル)アミノカルボニル、イソブチル(sec-ブチル)アミノカルボニル、イソブチル(tert-ブチル)アミノカルボニル、イソブチル(シクロブチル)アミノカルボニル、sec-ブチル(tert-ブチル)アミノカルボニル、sec-ブチル(シクロブチル)アミノカルボニル、tert-ブチル(シクロブチル)アミノカルボニル等が挙げられる。
【0042】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数13~20のジアリールアミノカルボニル基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、ジフェニルアミノカルボニル、ジナフチルアミノカルボニル、ジ(p-メチルフェニル)アミノカルボニル、フェニルナフチルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0043】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数8~20のアルキルアリールアミノカルボニル基の例を挙げると、上記アルキル基およびアリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、イソプロピルフェニルアミノ、sec-ブチルフェニルアミノ、tert-ブチルフェニルアミノ、n-ヘキシルフェニルアミノ、シクロヘキシルフェニルアミノ、メチルナフチルアミノ、エチルナフチルアミノ等が挙げられる。
【0044】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキルカルボニルアミノ基の例を挙げると、上記アルキル基に対応したものが挙げられ、具体的には、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n-プロピルカルボニルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノ、n-ブチルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec-ブチルカルボニルアミノ、tert-ブチルカルボニルアミノ、1-ペンチルカルボニルアミノ、2-ペンチルカルボニルアミノ、3-ペンチルカルボニルアミノ、イソペンチルカルボニルアミノ、ネオペンチルカルボニルアミノ、tert-ペンチルカルボニルアミノ、1-ヘキシルカルボニルアミノ、2-ヘキシルカルボニルアミノ、3-ヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0045】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数7~20のアリールカルボニルアミノ基の例を挙げると、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ、p-メチルフェニルカルボニルアミノ、o-メチルフェニルカルボニルアミノ、p-tert-ブチルフェニルカルボニルアミノ、p-メトキシフェニルカルボニルアミノ、p-クロルフェニルカルボニルアミノ、p-ニトロフェニルカルボニルアミノ、p-シアノフェニルカルボニルアミノ、o-ビフェニリルカルボニルアミノ、m-ビフェニリルカルボニルアミノ、p-ビフェニリルカルボニルアミノ、α-ナフチルカルボニルアミノ、β-ナフチルカルボニルアミノ、1-アントリルカルボニルアミノ、2-アントリルカルボニルアミノ、9-アントリルカルボニルアミノ、1-フェナントリルカルボニルアミノ、2-フェナントリルカルボニルアミノ、3-フェナントリルカルボニルアミノ、4-フェナントリルカルボニルアミノ、9-フェナントリルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0046】
一般式(1)中のAr、ArおよびArの有する置換基の、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20複素環基の例を挙げると、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ベンゾオキサゾール-2-イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル等の5~7員複素環等が挙げられる。
【0047】
一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、合成樹脂の透明性の点から、置換基を有するフェニル基の置換基の数が1であることが好ましい。
【0048】
この場合、一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、置換基を有するフェニル基の置換基の位置がパラ位であるであることが特に好ましい。
【0049】
さらに、一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、合成樹脂の透明性の点から、一般式(1)のAr、ArおよびArがすべて異なった基であることが好ましい。
【0050】
さらにまた、一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、合成樹脂の透明性の点から、ArおよびArが同一の基であり、ArがArおよびArとは異なった基であることが好ましい。
【0051】
この場合、一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、合成樹脂の透明性の点から、ArおよびArが、無置換のフェニル基であることが好ましい。
【0052】
また、一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、合成樹脂の透明性の点から、一般式(1)のAr、ArおよびArが、すべて置換基を有するフェニル基であることが好ましい。
【0053】
この場合、ArおよびArの有する置換基が同一であり、Arの有する置換基が、ArおよびArの有する置換基とは異なることが好ましい。
【0054】
また、一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、合成樹脂の透明性の点から、置換基を有するフェニル基のうち少なくとも1つが、構造中にカルボニル基を有する置換基を有することが好ましい。この場合、Arが、構造中にカルボニル基を有する置換基を有することが好ましい。
【0055】
構造中に、カルボニル基を有する置換基の例を挙げると、カルボキシ基、アミノカルボニル基、炭素原子数2~20のアルキルカルボニル基、炭素原子数7~20のアリールカルボニル基、炭素原子数2~20のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数7~20のアリールカルボニルオキシ基、炭素原子数2~20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数7~20のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数2~20アルキルアミノカルボニル基、炭素原子数7~20のアリールアミノカルボニル基、炭素原子数3~20のジアルキルアミノカルボニル基、炭素原子数13~20のジアリールアミノカルボニル基、炭素原子数8~20のアルキルアリールアミノカルボニル基、炭素原子数2~20のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数7~20のアリールカルボニルアミノ基等が挙げられ、これらは前述の置換基で置換されていてもよい。また、カルボキシ基は塩を形成していてもよい。
【0056】
これら構造中に、カルボニル基を有する置換基の中でも、合成樹脂の透明性の点から、カルボキシ基、アミノカルボニル基、炭素原子数2~20アルキルアミノカルボニル基、炭素原子数7~20のアリールアミノカルボニル基、炭素原子数3~20のジアルキルアミノカルボニル基、炭素原子数13~20のジアリールアミノカルボニル基、炭素原子数8~20のアルキルアリールアミノカルボニル基であることが好ましく、カルボキシ基、アミノカルボニル基であることがより好ましく、アミノカルボニル基がさらにより好ましい。
【0057】
また、一般式(1)で表されるトリアジン化合物は、Ar、ArおよびArのうち、いずれか一つが構造中にカルボニル基を有した置換基を有するフェニル基であることが、合成樹脂の透明性の点から好ましく、いずれか一つが構造中にカルボニル基を有した置換基を有するフェニル基であり、残りの二つが構造中にカルボニル基を有さない置換基を有するフェニル基であるもの、または、いずれか一つが構造中にカルボニル基を有した置換基を有するフェニル基であり、残りの二つが置換基を有さないフェニル基であるものがより好ましく、いずれか一つが構造中にカルボニル基を有した置換基を有するフェニル基であり、残りの二つが構造中にカルボニル基を有さない置換基を有したフェニル基であるものがさらにより好ましい。
【0058】
これら構造中に、カルボニル基を有する置換基は、合成樹脂の透明性の点から、カルボキシ基、アミノカルボニル基、炭素原子数2~20アルキルアミノカルボニル基、炭素原子数7~20のアリールアミノカルボニル基、炭素原子数3~20のジアルキルアミノカルボニル基、炭素原子数13~20のジアリールアミノカルボニル基、炭素原子数8~20のアルキルアリールアミノカルボニル基であることが好ましく、カルボキシ基、アミノカルボニル基であることがより好ましく、アミノカルボニル基がさらにより好ましく、また構造中に、カルボニル基を有さない置換基は、合成樹脂の透明性の点から、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリール基が好ましく、炭素原子数1~8のアルキル基または炭素原子数6~12のアリール基がより好ましく、メチル基、シクロヘキシル基、置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましく、フェニル基またはシクロヘキシル基がさらにより好ましい。
【0059】
一般式(1)で表されるトリアジン化合物の具体例としては、例えば、下記の化合物No.1~No.59が挙げられる。これらの中では、合成樹脂に特に優れた透明性を付与する観点から、化合物No.49、化合物No.50、化合物No.58または化合物No.59のトリアジン化合物が特に好ましい。
【0060】
【0061】
一般式(1)で表される化合物の製造方法としては、例えば、有機溶媒下でシアヌル酸クロリドを原料とし、それぞれ1当量のAr、Ar、Arに対応するフェノール化合物をそれぞれ1当量の塩基(トリアチルアミン、水酸化ナトリウム等)存在下で順次反応させて得ることができる。
【0062】
本発明の核剤は、一般式(1)で表されるトリアジン化合物を1種以上含有するものである。本発明の核剤は、合成樹脂に配合して使用する。本発明の核剤は、合成樹脂の透明性を改善させることができる。そのため、本発明の核剤は、合成樹脂の透明性を改善する透明化剤として優れた効果を発揮するため、透明化剤としての使用も好ましい。
【0063】
本発明の核剤の合成樹脂に対する配合量は、合成樹脂100質量部に対して、合成樹脂の透明性の点から、0.001~10質量部が好ましく、0.01~2.0質量部がより好ましく、0.02~1.0質量部がさらに好ましく、0.02~0.5質量部がさらに好ましく、0.02~0.3質量部が特に好ましい。
【0064】
次に、本発明の核剤を含有する合成樹脂組成物について、さらに詳しく説明する。
本発明の核剤を使用する合成樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン-1、ポリ-3-メチルペンテン等のα-オレフィン重合体またはエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂およびこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステルおよびポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2-オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタムおよびポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物あるいはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴムポリエーテルスルホン、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。さらに合成樹脂の具体例を挙げると、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ニトリル系熱可塑性エラストマー、ナイロン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これら合成樹脂は、1種でも2種以上を使用してもよい。また合成樹脂はアロイ化されていてもよい。
【0065】
本発明で使用する合成樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず、使用することができる。これら合成樹脂の中でも、透明性の向上の点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0066】
これらのポリオレフィン系樹脂の例を挙げると、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、ハイインパクトコポリマーポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ-3-メチル-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ペンテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロックまたはランダム共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のα-オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0067】
また、本発明の合成樹脂組成物には、必要に応じて、従来公知の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、抗カビ剤、本発明の結晶核剤以外の結晶核剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0068】
本発明の合成樹脂組成物において、合成樹脂に本発明の核剤を配合する方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、合成樹脂粉末あるいはペレットと核剤(必要に応じて他の各種添加剤)をドライブレンドで混合してもよく、核剤(必要に応じて他の各種添加剤)の一部をプレブレンドした後、残りの成分とドライブレンドしてもよい。ドライブレンドの後に、例えば、ミルロール、バンバリーミキサー、スーパーミキサー等を用いて混合し、単軸あるいは二軸押出機等を用いて混練してもよい。この混合混練は、例えばポリオレフィン系樹脂の場合、通常120~220℃程度の温度で行われる。また、合成樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂)の重合段階で添加剤を添加する方法、バインダー、ワックス、溶剤、シリカ等の造粒助剤等と共に予め所望の割合で混合した後、造粒してワンパック複合添加剤とし、このワンパック複合添加剤を合成樹脂に添加する方法、核剤(必要に応じて他の添加剤)を高濃度で含有するマスターバッチを作製し、このマスターバッチを合成樹脂に添加する方法等を用いることができる。
【0069】
本発明の合成樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の各種添加剤をさらに添加することができ、これにより、本発明の樹脂組成物を安定化させることができる。これら酸化防止剤等の各種添加剤は、合成樹脂に配合する前に、本発明の核剤中に配合しておいてもよい。
【0070】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ第三ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’-チオビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-第三ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-第三ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-第二ブチル-6-第三ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0071】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、2-エチル-2-ブチルプロピレングリコールと2,4,6-トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0072】
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、および、ペンタエリスリトールテトラ(β-アルキルチオプロピオン酸)エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0073】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
【0074】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、1,2,3,4-ブタンカルボン酸/2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール/3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパナール/1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル重縮合物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)=デカンジオアート/メチル=1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル=セバカート混合物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1-ウンデシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオクタデカノエート等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
【0075】
また、合成樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、ポリオレフィン樹脂中の残渣触媒を中和するために、公知の中和剤を添加することが好ましい。中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩、または、エチレンビス(ステアロアミド)、エチレンビス(12-ヒドロキシステアロアミド)、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド化合物が挙げられ、これら中和剤は混合して用いてもよい。
【0076】
本発明の合成樹脂組成物には、その他の添加剤として、必要に応じてさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香族カルボン酸金属塩、脂環式アルキルカルボン酸金属塩、p-第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の造核剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、充填剤、顔料、滑剤、発泡剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0077】
トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3-ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0078】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0079】
リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0080】
縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
【0081】
(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
【0082】
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイト等の無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R-680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT-4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等の種々の市販品を用いることができる。また、その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0083】
その他、本発明の合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0084】
本発明の樹脂組成物に配合される添加剤は、合成樹脂に直接添加してもよく、本発明の核剤に配合してから、合成樹脂に添加してもよい。
【0085】
本発明の成形品は、本発明の合成樹脂組成物から得られるものである。本発明の合成樹脂組成物を成形することにより、優れた透明性を有した成形体を効率良く得ることができる。成形方法としては、特に限定されるものではなく、押出加工、押出成形、カレンダー加工、射出成形、真空成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、ボトル、棒、容器、繊維、異形品等の種々の形状の成形品を得ることができる。
【実施例0086】
以下、本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
〔一般式(1)で表される化合物の合成〕
核剤(化合物No.5)の合成
水300mLに水酸化ナトリウム4.8g、フェノール11.29gを溶解した溶液を調整した。別のフラスコでシアヌル酸クロリド11.1gをアセトン300mLに溶解し、氷浴で5℃まで冷却した。調整したフェノール溶液を30分かけて系内の温度が10℃以下に保たれるようゆっくり滴下し、滴下後室温にて1時間撹拌した。その後、反応液に水300mLを加え、沈殿をろ別、蒸留水で洗浄し、減圧で乾燥させ、白色固体を得た。
【0088】
その後、別のフラスコに4-ヒドロキシベンズアミド2.06g、炭酸ナトリウム1.59gを蒸留水60mL/アセトン90mL混合溶媒に溶解させ、先ほどの白色固体を4.49g加え室温で3時間撹拌した。その後水を120mL加え生じた沈殿をろ別、蒸留水で洗浄、乾燥させることで化合物No.5を白色固体として約5g得た。
【0089】
同様の手順で、表1~8記載の化合物No.1~No.4、No.6~No.11、No.30~No.35、No.49~No.59を合成した。
【0090】
〔実施例1~51〕
ポリプロピレン(メルトフローレート=12g/10分)100質量部に対し、テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン(フェノール系酸化防止剤 アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.05質量部、トリス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤 アデカスタブ2112(株)ADEKA製)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.05質量部、および下記の表1~8に記載の核剤を、表1~8記載の配合量(質量部)、ヘンシェルミキサー(FM200;三井鉱山株式会社製)で1000rpm、1分間混合し、2軸押出機((株)日本製鋼所製 TEX-28V)を用いて、220℃、150rpmのスクリュー速度の加工条件で押出加工してペレットを製造した。得られたペレットについて、80℃で4時間乾燥後、下記の評価を実施した。なお、核剤としては、混合前に、乳鉢で粉砕し、300μmのメッシュを通過したもののみを使用した。
【0091】
ただし、実施例3については、上記ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.05質量部を配合しないこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造し、評価を実施し、実施例4については、上記ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.05質量部を配合しないこと以外は、実施例2と同様にしてペレットを製造し、評価を実施した。
【0092】
〔比較例1〕
核剤を配合しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1を評価した。
【0093】
〔比較例2〕
上記ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.05質量部を配合しないこと以外は、比較例1と同様にして評価した。
【0094】
〔比較例3、4〕
核剤として、下記比較化合物-1、-2を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例3、4を評価した。
【0095】
【0096】
〔結晶化温度測定方法〕
各ペレットを、示差走査熱量測定機(ダイアモンド;パーキンエルマー社製)にて、50℃/minの速度で230℃まで昇温し、10分間保持後-10℃/minの速度で50℃まで冷却して得られたチャートにおいて、冷却過程で現れる発熱ピークのピークトップを結晶化温度とした。これらの結果について下記の表1~8に併記する。
【0097】
〔透明性評価(Haze値)〕
各ペレットを、射出成型機(EC100-2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度および40~60MPaの射出圧力で金型に40秒間充填し、40℃の金型内で20秒間冷却後金型からシートを取り出す条件で射出成形を行って、一辺が60mm四方の正方形で厚みが1mmのシートを得た。得られたシートは射出成形後ただちに槽内温度が23℃である恒温槽で1週間静置した後、ヘイズ・ガード2(株式会社東洋精機製作所製)にて、試験片のHaze値を求めた。なお、この数値が低いほど試験片の透明性は良好であることを示す。これらの結果について下記の表1~8に併記する。
【0098】
〔曲げ弾性率評価〕
各ペレットを、射出成型機(EC100-2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度および40~60MPaの射出圧力で金型に40秒間充填し、40℃の金型内で20秒間冷却後金型から取り出す条件で射出成形を行って、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの曲げ試験片を作成した。得られた曲げ試験片は射出成形後ただちに槽内温度が23℃である恒温槽で1週間静置した後、曲げ試験機(株式会社島津製作所製;AG-IS)にて、曲げ弾性率(MPa)を求めた。これらの結果について下記の表1~8に併記する。
【0099】
〔荷重たわみ温度(HDT)〕
各ペレットを、射出成型機(EC100-2A;東芝機械株式会社製)にて、200℃の射出温度および40~60MPaの射出圧力で金型に40秒間充填し、40℃の金型内で20秒間冷却後金型から取り出す条件で射出成形を行って、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmのHDT試験片を作成した。得られたHDT試験片は射出成形後ただちに槽内温度が23℃である恒温槽で1週間静置した後、自動HDT試験装置(東洋精機(株)製)にて、フラットワイズ法で測定した。昇温速度120℃/hおよび曲げ応力1.8MPaで試験を行い、荷重による試験片の変異量が0.34mmに達した温度を荷重たわみ温度(HDT)とした。これらの結果について下記の表1~8に併記する。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】
表1~8中に示す結果から、本発明の核剤により、合成樹脂の透明性が改善できていることがわかる。