(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060377
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】感光性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/46 20060101AFI20240424BHJP
C08F 20/18 20060101ALI20240424BHJP
C08F 20/28 20060101ALI20240424BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240424BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240424BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
C08F2/46
C08F20/18
C08F20/28
C08K3/22
C08L101/00
C08F2/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167708
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】浦川 一樹
(72)【発明者】
【氏名】浅羽 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】西條 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】千坂 博樹
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BG021
4J002BG041
4J002DE096
4J002DE136
4J002EW147
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD070
4J002FD147
4J002FD150
4J002FD310
4J002GP00
4J002GP03
4J002GQ00
4J002HA06
4J011PA07
4J011PB15
4J011PB16
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA06
4J011QA08
4J011QA13
4J011QA15
4J011QA17
4J011QA19
4J011QA22
4J011QA23
4J011QA24
4J011QA32
4J011QA33
4J011QA34
4J011QA36
4J011QA37
4J011QA40
4J011QA45
4J011QA46
4J011QB24
4J011QC06
4J011RA10
4J011SA02
4J011SA03
4J011SA04
4J011SA05
4J011SA06
4J011SA12
4J011SA14
4J011SA15
4J011SA16
4J011SA17
4J011SA19
4J011SA20
4J011SA22
4J011SA25
4J011SA26
4J011SA27
4J011SA28
4J011SA29
4J011SA32
4J011SA34
4J011SA42
4J011SA54
4J011SA58
4J011SA61
4J011SA63
4J011SA64
4J011SA76
4J011SA77
4J011SA78
4J011SA79
4J011SA83
4J011SA84
4J011TA07
4J011TA09
4J011UA01
4J011UA02
4J011UA10
4J011VA01
4J011WA07
4J011WA10
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100BA02Q
4J100BA15P
4J100BA15Q
4J100BC43P
4J100CA04
4J100EA06
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA21
4J100HE22
4J100JA32
4J100JA37
4J100JA43
(57)【要約】
【課題】加熱されても硬化物の質量の過度の減少が生じにくく、良好な硬化性を示す感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物とを提供すること。
【解決手段】光重合性化合物(A)と、開始剤(C)とを含む感光性組成物において、光重合性化合物(A)として、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有する特定の構造の化合物と、当該特定の構造の化合物とは異なる多官能化合物とを組み合わせて用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合性化合物(A)と、開始剤(C)とを含み、
前記光重合性化合物(A)が、下記式(A1):
(Ra01-Xa01-Ra02)ma1-Ara01-C(=O)-Ara02-(Ra03-Xa02-Ra04)ma2・・・(A1)
(式(A1)中、Ara01は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma1+1)価の芳香族基であり、Ara02は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma2+1)価の芳香族基であり、Ra01、及びRa04は、それぞれ独立に、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基であり、Xa01、及びXa02は、それぞれ独立に、O、又はSであり、Ra02、及びRa03は、それぞれ独立に、アルキレン基であり、ma1は、1以上3以下の整数であり、ma2は、0以上3以下の整数である。)
で表される化合物(A1)と、前記化合物(A1)以外の他の光重合性化合物(A2)とを含み、
前記他の光重合性化合物(A2)が、2以上の重合性基を有する多官能化合物(A2-1)を含み、
前記開始剤(C)が、前記化合物(A1)とは異なる、感光性組成物。
【請求項2】
無機微粒子(B)を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記無機微粒子(B)が、金属酸化物微粒子(B1)を含み、
前記金属酸化物微粒子(B1)が、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、及び酸化ニオブ微粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記多官能化合物(A2-1)が、4以上の重合性基を有する、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記光重合性化合物(A)の質量に対する前記化合物(A1)の質量の比率が、40質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記ラジカル重合性基含有基が、(メタ)アクリロイル基含有基であり、前記カチオン重合性基含有基がエポキシ基含有基である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記Ara01が、ベンゼン又はナフタレンから(ma1+1)個の水素原子を除いた基であり、前記Ara02が、ベンゼン又はナフタレンから(ma2+1)個の水素原子を除いた基である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記Ra02、及び前記Ra03が、それぞれ独立に、炭素原子数1以上5以下のアルキレン基である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の感光性組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の機能性の硬化物を形成するために、光重合性化合物と、当該光重合性化合物を硬化させるための開始剤とを含む種々の感光性組成物が用いられている。かかる感光性組成物は、硬化物に付与する性質に応じて、種々の添加剤が加えられることが多い。例えば、光学部材の形成に、高屈折率材料が用いられている。高屈折材料として、例えば、酸化チタンや酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子を有機成分中に分散させた組成物が用いられている。
このような高屈折材料を形成するための組成物として、特定の粒子径の金属酸化物(A)と、(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)とを含有するエネルギー線硬化性組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の組成物を用いると、上記の通り、屈折率の高い硬化物を形成できる。しかし、特許文献1に記載されるような従来知られる組成物を用いて高屈折材料のような機能性材料を形成する場合、露光後に硬化物をベークする際に、硬化物の質量が過度に減少しやすい。
また、特許文献1に記載されるような従来知られる感光性組成物は、その組成によっては硬化しにくい場合がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、加熱されても硬化物の質量の過度の減少が生じにくく、良好な硬化性を示す感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、光重合性化合物(A)と、開始剤(C)とを含む感光性組成物において、光重合性化合物(A)として、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有する特定の構造の化合物と、当該特定の構造の化合物とは異なる多官能化合物とを組み合わせて用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には本発明は以下のものを提供する。
【0007】
[1]光重合性化合物(A)と、開始剤(C)とを含み、
前記光重合性化合物(A)が、下記式(A1):
(Ra01-Xa01-Ra02)ma1-Ara01-C(=O)-Ara02-(Ra03-Xa02-Ra04)ma2・・・(A1)
(式(A1)中、Ara01は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma1+1)価の芳香族基であり、Ara02は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma2+1)価の芳香族基であり、Ra01、及びRa04は、それぞれ独立に、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基であり、Xa01、及びXa02は、それぞれ独立に、O、又はSであり、Ra02、及びRa03は、それぞれ独立に、アルキレン基であり、ma1は、1以上3以下の整数であり、ma2は、0以上3以下の整数である。)
で表される化合物(A1)と、前記化合物(A1)以外の他の光重合性化合物(A2)とを含み、
前記他の光重合性化合物(A2)が、2以上の重合性基を有する多官能化合物(A2-1)を含み、
前記開始剤(C)が、前記化合物(A1)とは異なる、感光性組成物。
【0008】
[2]無機微粒子(B)を含む、[1]に記載の感光性組成物。
【0009】
[3]前記無機微粒子(B)が、金属酸化物微粒子(B1)を含み、
前記金属酸化物微粒子(B1)が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化ニオブからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[2]に記載の感光性組成物。
【0010】
[4]前記多官能化合物(A2-1)が、4以上の重合性基を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【0011】
[5]前記光重合性化合物(A)の質量に対する前記化合物(A1)の質量の比率が、40質量%以上60質量%以下である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【0012】
[6]前記ラジカル重合性基含有基が、(メタ)アクリロイル基含有基であり、前記カチオン重合性基含有基がエポキシ基含有基である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【0013】
[7]前記Ara01が、ベンゼン又はナフタレンから(ma1+1)個の水素原子を除いた基であり、前記Ara02が、ベンゼン又はナフタレンから(ma2+1)個の水素原子を除いた基である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【0014】
[8]前記Ra02、及び前記Ra03が、それぞれ独立に、炭素原子数1以上5以下のアルキレン基である、[1]~[7]のいずれかに記載の感光性組成物。
【0015】
[9][1]~[8]のいずれか一項に記載の感光性組成物の硬化物。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加熱されても硬化物の質量の過度の減少が生じにくく、良好な硬化性を示す感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
≪感光性組成物≫
感光性組成物は、光重合性化合物(A)と、開始剤(C)とを含む。
光重合性化合物(A)は、
(Ra01-Xa01-Ra02)ma1-Ara01-C(=O)-Ara02-(Ra03-Xa02-Ra04)ma2・・・(A1)
(式(A1)中、Ara01は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma1+1)価の芳香族基であり、Ara02は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma2+1)価の芳香族基であり、Ra01、及びRa04は、それぞれ独立に、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基であり、Xa01、及びXa02は、それぞれ独立に、O、又はSであり、Ra02、及びRa03は、それぞれ独立に、アルキレン基であり、ma1は、1以上3以下の整数であり、ma2は、0以上3以下の整数である。)
で表される化合物(A1)と、化合物(A1)以外の他の光重合性化合物(A2)とを含む。
他の光重合性化合物(A2)は、2以上の重合性基を有する多官能化合物(A2-1)を含む。
感光性組成物が上記式(A1)で表される化合物(A1)と、多官能化合物(A2-1)を含むことにより、加熱されても硬化物の質量の過度の減少が生じにくく、良好な硬化性を示す。
以下、感光性組成物が含みうる、必須、又は任意の成分について説明する。
【0018】
<光重合性化合物(A)>
感光性組成物は、光重合性化合物(A)を含む。光重合性化合物(A)は、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有する化合物である。
【0019】
ラジカル重合性基含有基としては、典型的には、エチレン性不飽和二重結合を含有する基が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合含有基としては、ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基を含むアルケニル基含有基が好ましく、(メタ)アクリロイル基含有基がより好ましい。
カチオン重合性基含有基としては、典型的には、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、ビニルオキシ基含有基、及びビニルチオ基含有基等が挙げられる。これらの中では、エポキシ基含有基、及びビニルオキシ基含有基が好ましい。エポキシ基含有基としては、脂環式エポキシ基含有基や、グリシジル基が好ましい。なお、脂環式エポキシ基とは、脂肪族環式基において隣接する環構成原子としての2つの炭素原子が酸素原子を介して結合している脂肪族環式基である。つまり、脂環式エポキシ基は、脂肪族環上に、2つの炭素原子と1つの酸素原子とからなる3員環を含むエポキシ基を有する。
【0020】
本出願の明細書及び特許請求の範囲において、(メタ)アクリルは、アクリル、及びメタクリルの双方を意味し、(メタ)アクリロイルは、アクリロイル、及びメタクリロイルの双方を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート、及びメタクリレートの双方を意味する。
【0021】
〔化合物(A1)〕
前述の通り、光重合性化合物(A)は、下記式(A1):
(Ra01-Xa01-Ra02)ma1-Ara01-C(=O)-Ara02-(Ra03-Xa02-Ra04)ma2・・・(A1)
(式(A1)中、Ara01は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma1+1)価の芳香族基であり、Ara02は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma2+1)価の芳香族基であり、Ra01、及びRa04は、それぞれ独立に、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基であり、Xa01、及びXa02は、それぞれ独立に、O、又はSであり、Ra02、及びRa03は、それぞれ独立に、アルキレン基であり、ma1は、1以上3以下の整数であり、ma2は、0以上3以下の整数である。)
で表される化合物(A1)を含む。
【0022】
式(A1)中、Ara01は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma1+1)価の芳香族基である。また、Ara02は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよく、炭素原子数6以上12以下である、(ma2+1)価の芳香族基である。
当該芳香族基は、芳香族炭化水素基であっても、芳香族複素環基であってもよい。
当該芳香族基としては、ベンゼン、ナフタレン、及びビフェニル等の芳香族炭化水素から(ma1+1)又は(ma2+1)個の水素原子を除いた基や、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、キナゾリン、フタラジン、ナフチリジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、及びイソベンゾフラン等の芳香族複素環化合物から(ma1+1)個又は(ma2+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0023】
Ara01、及びAra02としての芳香族基は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。
Ara01、及びAra02としての芳香族基に結合する、置換基の数は特に限定されない。
炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec-ペンチル基、及びtert-ペンチル基が挙げられる。これらの基の中では、メチル基、及びエチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
以上説明したAra01、及びAra02としての芳香族基としては、ベンゼン又はナフタレンから(ma1+1)個又は(ma2+1)個の水素原子を除いた基が好ましく、ベンゼンから(ma1+1)個又は(ma2+1)個の水素原子を除いた基がより好ましい。
【0024】
Ra01、及びRa04は、それぞれ独立に、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基である。ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基については前述した通りである。Ra01、及びRa04としてのラジカル重合性基含有基としては、(メタ)アクリロイル基含有基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。Ra01、及びRa04としてのカチオン重合性基含有基としては、ビニル基、ビニルオキシ基含有基、及びエポキシ基含有基が好ましく、ビニル基、エポキシ基含有基がより好ましく、脂環式エポキシ基含有基、及びグリシジル基が好ましい。
ビニル基は、一般的にはラジカル重合性基であるが、式(A1)において、Ra01、及びRa04がビニル基である場合、当該ビニル基は、O又はSであるXa01、及びXa02とともに、カチオン重合性基である、ビニルオキシ基、又はビニルチオ基を形成する。このため、式(A1)において、Ra01、及びRa04としてのビニル基は、ラジカル重合性基ではなく、カチオン重合性基とする。
脂環式エポキシ基含有基としては、後述する式(a1-IIIa)又は式(a1-IIIb)で表される脂環式エポキシ基含有基が好ましい。
【0025】
Ra02、及びRa03は、それぞれ独立に、アルキレン基である。
当該アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
当該アルキレン基の炭素原子数としては、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上5以下がさらに好ましい。
当該アルキレン基の好適な例としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、n-ブタン-1,4-ジイル基、n-ペンタン-1,5-ジイル基、n-ヘキサン-1,6-ジイル基、n-ヘプタン-1,7-ジイル基、n-オクタン-1,8-ジイル基、n-ノナン-1,9-ジイル基、及びn-デカン-1,10-ジイル基が挙げられる。これらの中では、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基が好ましい。
【0026】
式(A1)において、Xa01、及びXa02は、それぞれ独立に、O、又はSである。
【0027】
式(A1)において、ma1は、1以上3以下の整数であり、ma2は、0以上3以下の整数である。
化合物(A1)を用いることにより所望する効果を得やすいことから、ma1は、好ましくは1又は2であり、ma2は、好ましくは0又は1である。
【0028】
化合物(A1)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化1】
【0029】
【0030】
光重合性化合物(A)は、以上説明した化合物(A1)以外の他の光重合性化合物(A2)を含む。光重合性化合物(A)の質量に対する、化合物(A1)の質量の比率は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましく、40質量%以上60質量%以下が特に好ましい。
【0031】
〔他の光重合性化合物(A2)〕
前述の通り、感光性組成物は、化合物(A1)とともに他の光重合性化合物(A2)を含む。化合物(A1)が、ラジカル重合性基含有基を有する場合、他の光重合性化合物(A2)もラジカル重合性基含有基を有する。化合物(A1)がカチオン重合性基含有基を有する場合、他の光重合性化合物(A2)もカチオン重合性基含有基を有する。
【0032】
他の光重合性化合物(A2)は、2以上の重合性基を有する多官能化合物(A2-1)を含む。他の光重合性化合物(A2)は、1つの重合性基を有する単官能化合物を含んでいてもよい。
【0033】
多官能化合物(A2-1)が1分子中に有する重合性基の数は、硬化性を高める傾向にある点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。多官能化合物(A2-1)が1分子中に有する重合性基の数の上限は特に限定されない。多官能化合物(A2-1)が1分子中に有する重合性基の数は、例えば、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
【0034】
ラジカル重合性基含有基を有する多官能化合物(A2-1)としては、(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリルアミド化合物等の2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
【0035】
ラジカル重合性基含有基を有する多官能化合物(A2-1)としては、ペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能化合物や、トリアクリルホルマール等が挙げられる。硬化性を高める観点から、これらの多官能化合物の中でも、ペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましい。これらの多官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
ペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO付加物ジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールEO付加物ジ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する2官能(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO付加物トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO付加物トリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールEO付加物トリ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する3官能(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO付加物テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO付加物テトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールEO付加物テトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する4官能(メタ)アクリレート;
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO付加物ペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールEO付加物ペンタ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する5官能(メタ)アクリレート;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO付加物ヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールEO付加物ヘキサ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する6官能(メタ)アクリレート;
トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールEO付加物ヘプタ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する7官能(メタ)アクリレート;
トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールEO付加物オクタ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する8官能(メタ)アクリレート;
等が挙げられる。
【0037】
光重合性化合物(A)の質量に対する、多官能化合物(A2-1)の質量の比率は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましく、40質量%以上60質量%以下が特に好ましい。
【0038】
ラジカル重合性基含有基を有する単官能化合物としては、(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリルアミド化合物等の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
【0039】
ラジカル重合性基含有基を有する単官能化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
感光性組成物は、後述する無機微粒子(B)を含んでいてもよい。感光性組成物の組成によっては、感光性組成物を用いて形成される膜中に、無機微粒子(B)がリッチな層と、無機粒子(B)がプアな層とが形成されるような無機微粒子(B)の局在化が生じる場合がある。
かかる局在化を抑制する観点や、架橋性を向上させる観点、加熱時における硬化物の過度の質量減少を抑制する観点、硬化性を向上させる観点からは、感光性組成物は、ラジカル重合性基含有基を有する他の光重合性化合物(A2)として、下記式(A-2a)、又は下記式(A-2b)で表される化合物を含むのが好ましい。
【化3】
(MA-(O-R
a1)
na1-X-CH
2)
2-CH-X-(R
a1-O)
na1-MA・・・(A-2b)
(式(A-2a)、及び式(A-2b)中、MAは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基であり、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、-NH-、又は-N(CH
3)-であり、R
a1は、それぞれ独立に、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、又はプロパン-1,3-ジイル基であり、R
a2は、水酸基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は-X-(R
a1-O)
na1-MAで表される基であり(Xは前記と同様であり)、na1、及びna2は、それぞれ独立に、0又は1である。)
【0041】
式(A-2a)において、Ra2としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基、及びエチル基が好ましい。
【0042】
式(A-2a)で表される化合物、及び式(A-2b)で表される化合物の好ましい例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及び下記の1)~32)の化合物が挙げられる。下記1)~32)の化合物においてMAは(メタ)アクリロイル基である。
1)(MA-NH-CH2)4-C
2)(MA-N(CH3)-CH2)4-C
3)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)4-C
4)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)4-C
5)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)4-C
6)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)4-C
7)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)4-C
8)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)4-C
9)(MA-NH-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-NH-MA)3
10)(MA-N(CH3)-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-N(CH3)-MA)3
11)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-O-CH2CH2CH2-O-MA)3
12)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-O-CH2CH2-O-MA)3
13)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-NH-CH2CH2CH2-O-MA)3
14)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-NH-CH2CH2-O-MA)3
15)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-N(CH3)-CH2CH2CH2-O-MA)3
16)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2-O-CH2-C-(CH2-N(CH3)-CH2CH2-O-MA)3
17)(MA-NH-CH2)2-CH-NH-MA
18)(MA-N(CH3)-CH2)2-CH-N(CH3)-MA
19)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)2-CH-O-CH2CH2CH2-O-MA
20)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)2-CH-C-O-CH2CH2-O-MA
21)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)2-CH-NH-CH2CH2CH2-O-MA
22)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)2-CH2-NH-CH2CH2-O-MA
23)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)2-CH2-N(CH3)-CH2CH2CH2-O-MA
24)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)2-CH2-N(CH3)-CH2CH2-O-MA
25)(MA-NH-CH2)3-C-CH2CH3
26)(MA-N(CH3)-CH2)3-C-CH2CH3
27)(MA-O-CH2CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2CH3
28)(MA-O-CH2CH2-O-CH2)3-C-CH2CH3
29)(MA-O-CH2CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2CH3
30)(MA-O-CH2CH2-NH-CH2)3-C-CH2CH3
31)(MA-O-CH2CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2CH3
32)(MA-O-CH2CH2-N(CH3)-CH2)3-C-CH2CH3
【0043】
感光性組成物を用いて形成される材料中での無機微粒子(B)の局在の抑制の点で、光重合性化合物(A)の質量に対する、式(A-2a)で表される化合物の質量と、式(A-2b)で表される化合物の質量との合計の比率は、20質量%以上50質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましく、40質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。
【0044】
感光性組成物用いて高屈折率の材料を形成しやすい点から、感光性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する他の光重合性化合物(A2)として下記式(A-2c)で表される化合物を含むのが好ましい。
【化4】
式(A-2c)中、R
1、及びR
2は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基である。R
3、及びR
4は、それぞれ独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。p、及びqはそれぞれ独立に0又は1である。
【0045】
R1、及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基である。R1、及びR2は、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。式(A-2c)で表される化合物の合成や入手が容易であることから、R1、及びR2が同一であるのが好ましい。
【0046】
R3、及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。R3、及びR4は、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。式(A-2c)で表される化合物の合成や入手が容易であることから、R3、及びR4が同一であるのが好ましい。
【0047】
R3、及びR4としての炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R3、及びR4としての炭素原子数1以上5以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基が挙げられる。
【0048】
式(A-2c)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化5】
【0049】
感光性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する他の光重合性化合物(A2)として式(A-2c)で表される化合物を含む場合、光重合性化合物(A)の質量に対する式(A-2c)で表される化合物の質量の比率は、10質量%以上50質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。
【0050】
感光性組成物を用いて形成される材料中での無機微粒子(B)の局在を抑制しやすい点で、感光性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する他の光重合性化合物(A2)として、下記式(A-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートを含むのが好ましい。
Ara1-Ra21-S-Ra22-O-CO-CRa23=CH2・・・(A-2d)
(式(A-2d)中、Ara1は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基であり、Ra21は、単結合、又は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基であり、Ra22は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基であり、Ra23は、水素原子、又はメチル基である。)
【0051】
Ara1は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である。フェニル基がハロゲン原子で置換されている場合、フェニル基に結合するハロゲン原子の数は特に限定されない。フェニル基に結合するハロゲン原子の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。フェニル基に2以上のハロゲン原子が結合する場合、フェニル基に結合する複数のハロゲン原子は、同種のハロゲン原子のみからなってもよく、2種以上のハロゲン原子からなってもよい。フェニル基に結合しうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。
Ara1としては、無置換のフェニル基が好ましい。
【0052】
Ra21は、単結合、又は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、及びヘキサン-1,6-ジイル基が挙げられる。
Ra21としては、単結合、及びメチレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
【0053】
Ra22は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、及びヘキサン-1,6-ジイル基が挙げられる。
Ra22としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、及びプロパン-1,3-ジイル基が好ましく、エタン-1,2-ジイル基、及びプロパン-1,3-ジイル基がより好ましい。
【0054】
含硫黄(メタ)アクリレートの入手の容易さや、感光性組成物を用いて形成される材料中での無機微粒子(B)の局在の抑制の点で、式(A-2d)において、Ara1がフェニル基であり、Ra21が単結合であるのが特に好ましい。
【0055】
式(A-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートの好適な具体例としては、2-フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルチオプロピル(メタ)アクリレート、2-ベンジルチオエチル(メタ)アクリレート、3-ベンジルチオプロピル(メタ)アクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(4-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、2-(2-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(4-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、2-(2-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、及び3-(4-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0056】
感光性組成物が、ラジカル重合性基含有基を有する他の光重合性化合物(A2)として式(A-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートを含む場合、光重合性化合物(A)の質量に対する式(A-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートの質量の比率は、40質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0057】
化合物(A1)が、カチオン重合性基含有基を有する場合、他の光重合性化合物(A2)は、1つのカチオン重合性基を有する単官能化合物であっても、2つ以上のカチオン重合性基を有する多官能化合物であってもよく、多官能化合物が好ましい。
【0058】
化合物(A1)が、カチオン重合性基含有基としてビニルオキシ基含有基を有する場合、感光性組成物は、他の光重合性化合物(A2)として、ビニルエーテル化合物を含んでいてもよい。かかるビニルエーテル化合物は、単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
【0059】
ビニルエーテル化合物の好適な具体例としては、ビニルフェニルエーテル、4-ビニロキシトルエン、3-ビニロキシトルエン、2-ビニロキシトルエン、1-ビニロキシ-4-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-3-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-2-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-2,3-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,4-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,5-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,6-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-3,4-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-3,5-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシナフタレン、2-ビニロキシナフタレン、2-ビニロキシフルオレン、3-ビニロキシフルオレン、4-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、3-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、2-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、6-ビニロキシテトラリン、及び5-ビニロキシテトラリン等の芳香族モノビニルエーテル化合物;1,4-ジビニロキシベンゼン、1,3-ジビニロキシベンゼン、1,2-ジビニロキシベンゼン、1,4-ジビニロキシナフタレン、1,3-ジビニロキシナフタレン、1,2-ジビニロキシナフタレン、1,5-ジビニロキシナフタレン、1,6-ジビニロキシナフタレン、1,7-ジビニロキシナフタレン、1,8-ジビニロキシナフタレン、2,3-ジビニロキシナフタレン、2,6-ジビニロキシナフタレン、2,7-ジビニロキシナフタレン、1,2-ジビニロキシフルオレン、3,4-ジビニロキシフルオレン、2,7-ジビニロキシフルオレン、4,4’-ジビニロキシビフェニル、3,3’-ジビニロキシビフェニル、2,2’-ジビニロキシビフェニル、3,4’-ジビニロキシビフェニル、2,3’-ジビニロキシビフェニル、2,4’-ジビニロキシビフェニル、及びビスフェノールAジビニルエーテル等の芳香族ジビニルエーテル化合物が挙げられる。
これらの、ビニルエーテル化合物は、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0060】
化合物(A1)が、カチオン重合性基含有基としてエポキシ基含有基を有する場合、感光性組成物は他の光重合性化合物(A2)として、種々のエポキシ化合物を含んでいてもよい。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂;2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物は、EHPE-3150(ダイセル社製)として市販される。
【0061】
また、オリゴマー又はポリマー型の多官能エポキシ化合物も好ましく用いることができる。
オリゴマー又はポリマー型の多官能エポキシ化合物の典型的な例としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルソクレゾールノボラック型エポキシ化合物、キシレノールノボラック型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールADノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等が挙げられる。
【0062】
好適なエポキシ化合物の他の例として、脂環式エポキシ基を有する多官能の脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
【0063】
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β-メチル-δ-バレロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、及びエポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂や、下記式(a01-1)~(a01-5)で表される化合物が挙げられる。
【0064】
これらの脂環式エポキシ化合物の具体例の中では、感光性組成物を用いて高硬度の材料を形成できることから、下記式(a01-1)~(a01-5)で表される脂環式エポキシ化合物が好ましい。
【0065】
【化6】
(式(a01-1)中、Z
01は単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。R
a01~R
a018は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
【0066】
連結基Z01としては、例えば、2価の炭化水素基、-O-、-O-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CBr2-、-C(CBr3)2-、-C(CF3)2-、及び-Ra019-O-CO-からなる群より選択される2価の基及びこれらが複数個結合した基等を挙げることができる。
【0067】
連結基Z01である2価の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。炭素原子数が1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等を挙げることができる。
【0068】
Ra019は、炭素原子数1以上8以下のアルキレン基であり、メチレン基又はエチレン基であるのが好ましい。
【0069】
【化7】
(式(a01-2)中、R
a01~R
a018は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
a02及びR
a010は、互いに結合してもよい。R
a013及びR
a016は互いに結合して環を形成してもよい。m
a1は、0又は1である。)
【0070】
上記式(a01-2)で表される脂環式エポキシ化合物としては、上記式(a01-2)におけるm
a1が0である化合物に該当する、下記式(a01-2-1)で表される化合物が好ましい。
【化8】
(式(a01-2-1)中、R
a01~R
a012は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
a02及びR
a010は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0071】
【化9】
(式(a01-3)中、R
a01~R
a010は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
a02及びR
a08は、互いに結合してもよい。)
【0072】
【化10】
(式(a01-4)中、R
a01~R
a012は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
a02及びR
a010は、互いに結合してもよい。)
【0073】
【化11】
(式(a01-5)中、R
a01~R
a012は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
【0074】
式(a01-1)~(a01-5)中、Ra01~Ra018が有機基である場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともにハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
【0075】
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。有機基の炭素原子数は1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上5以下が特に好ましい。
【0076】
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、及びn-イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-n-プロペニル基(アリル基)、1-n-ブテニル基、2-n-ブテニル基、及び3-n-ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、ビフェニル-4-イル基、ビフェニル-3-イル基、ビフェニル-2-イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、α-ナフチルエチル基、及びβ-ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0077】
ハロゲン化炭化水素基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2-クロロシクロヘキシル基、3-クロロシクロヘキシル基、4-クロロシクロヘキシル基、2,4-ジクロロシクロヘキシル基、2-ブロモシクロヘキシル基、3-ブロモシクロヘキシル基、及び4-ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,3-ジクロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;2-クロロフェニルメチル基、3-クロロフェニルメチル基、4-クロロフェニルメチル基、2-ブロモフェニルメチル基、3-ブロモフェニルメチル基、4-ブロモフェニルメチル基、2-フルオロフェニルメチル基、3-フルオロフェニルメチル基、4-フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基である。
【0078】
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例は、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、及び4-ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2-ヒドロキシシクロヘキシル基、3-ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4-ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2-ヒドロキシフェニル基、3-ヒドロキシフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、2,3-ジヒドロキシフェニル基、2,4-ジヒドロキシフェニル基、2,5-ジヒドロキシフェニル基、2,6-ジヒドロキシフェニル基、3,4-ジヒドロキシフェニル基、及び3,5-ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2-ヒドロキシフェニルメチル基、3-ヒドロキシフェニルメチル基、及び4-ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、及びn-イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、2-n-プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1-n-ブテニルオキシ基、2-n-ブテニルオキシ基、及び3-n-ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、p-トリルオキシ基、α-ナフチルオキシ基、β-ナフチルオキシ基、ビフェニル-4-イルオキシ基、ビフェニル-3-イルオキシ基、ビフェニル-2-イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α-ナフチルメチルオキシ基、β-ナフチルメチルオキシ基、α-ナフチルエチルオキシ基、及びβ-ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロポキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、3-エトキシ-n-プロピル基、3-n-プロポキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、4-エトキシ-n-ブチル基、及び4-n-プロポキシ-n-ブチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-n-プロポキシエトキシ基、3-メトキシ-n-プロポキシ基、3-エトキシ-n-プロポキシ基、3-n-プロポキシ-n-プロポキシ基、4-メトキシ-n-ブチルオキシ基、4-エトキシ-n-ブチルオキシ基、及び4-n-プロポキシ-n-ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、及び4-メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2-メトキシフェノキシ基、3-メトキシフェノキシ基、及び4-メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α-ナフトイル基、及びβ-ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、及びn-デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α-ナフトキシカルボニル基、及びβ-ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、α-ナフトイルオキシ基、及びβ-ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基である。
【0079】
Ra01~Ra018は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基からなる群より選択される基が好ましく、特に感光性組成物を用いて機械的特性に優れる材料を形成しやすいことから、Ra01~Ra018が全て水素原子であるのがより好ましい。
【0080】
式(a01-2)~(a01-5)中、Ra01~Ra018は、式(a01-1)におけるRa01~Ra018と同様である。式(a01-2)及び式(a01-4)において、Ra02及びRa010が、互いに結合する場合、式(a01-2)において、Ra013及びRa016が、互いに結合する場合、及び式(a01-3)において、Ra02及びRa08が、互いに結合する場合に形成される2価の基としては、例えば、-CH2-、-C(CH3)2-が挙げられる。
【0081】
式(a01-1)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(a01-1a)、式(a01-1b)、及び式(a01-1c)で表される脂環式エポキシ化合物や、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)プロパン[=2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン]等を挙げることができる。
【化12】
【0082】
式(a01-2)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(a01-2a)及び下記式(a01-2b)で表される脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
【化13】
【0083】
式(a01-3)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、Sスピロ[3-オキサトリシクロ[3.2.1.02,4]オクタン-6,2’-オキシラン]等が挙げられる。
【0084】
式(a01-4)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、4-ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジペンテンジオキシド、リモネンジオキシド、1-メチル-4-(3-メチルオキシラン-2-イル)-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等が挙げられる。
【0085】
式(a01-5)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
【0086】
さらに、下記式(a1-I)で表される化合物をエポキシ化合物として好適に使用し得る。
【化14】
(式(a1-I)中、X
a1、X
a2、及びX
a3は、それぞれ独立に、水素原子、又はエポキシ基を含んでいてもよい有機基であり、X
a1、X
a2、及びX
a3が有するエポキシ基の総数が2以上である。)
【0087】
上記式(a1-I)で表される化合物としては、下記式(a1-II)で表される化合物が好ましい。
【化15】
(式(a1-II)中、R
a20~R
a22は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、-O-、-C(=O)-、-NH-及びこれらの組み合わせからなる基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。E
1~E
3は、エポキシ基、オキセタニル基、エチレン性不飽和基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、チオール基、カルボキシ基、水酸基及びコハク酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基又は水素原子である。ただし、E
1、E
2、及びE
3が有するエポキシ基の総数が2以上である。)
【0088】
式(a1-II)中、Ra20とE1、Ra21とE2、及びRa22とE3で示される基は、例えば、少なくとも2つが、それぞれ、下記式(a1-IIa)で表される基であることが好ましく、いずれもが、それぞれ、下記式(a1-IIa)で表される基であることがより好ましい。1つの化合物に結合する複数の式(a1-IIa)で表される基は、同じ基であることが好ましい。
-L-Ca (a1-IIa)
(式(a1-IIa)中、Lは直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、-O-、-C(=O)-、-NH-及びこれらの組み合わせからなる基であり、Caはオキシラニル基(エポキシ基)である。式(a1-IIa)中、LとCaとが結合して環状構造を形成していてもよい。)
【0089】
式(a1-IIa)中、Lとしての直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基としては、炭素原子数1以上10以下であるアルキレン基が好ましく、また、Lとしてのアリーレン基としては、炭素原子数5以上10以下であるアリーレン基が好ましい。式(a1-IIa)中、Lは、直鎖状の炭素原子数が1以上3以下であるアルキレン基、フェニレン基、-O-、-C(=O)-、-NH-及びこれらの組み合わせからなる基であることが好ましく、メチレン基等の直鎖状の炭素原子数が1以上3以下であるアルキレン基及びフェニレン基の少なくとも1種、又は、これらと、-O-、-C(=O)-及びNH-の少なくとも1種との組み合わせからなる基が好ましい。
【0090】
式(a1-IIa)中、LとC
aとが結合して環状構造を形成している場合としては、例えば、分岐鎖状のアルキレン基とエポキシ基とが結合して環状構造(脂環構造のエポキシ基を有する構造)を形成している場合、下記式(a1-IIb)~(a1-IId)で表される有機基が挙げられる。
【化16】
(式(a1-IIb)中、R
a23は、水素原子又はメチル基である。)
【0091】
以下、式(a1-II)で表される化合物の例としてオキシラニル基、又は脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。
【化17】
【0092】
【0093】
また、分子内に2以上のグリシジル基又は脂環式エポキシ基を有するシロキサン化合物(以下、単に「シロキサン化合物」とも記す。)をエポキシ化合物として好適に使用し得る。
【0094】
シロキサン化合物は、シロキサン結合(Si-O-Si)により構成されたシロキサン骨格と、2以上のグリシジル基又は脂環式エポキシ基とを分子内に有する化合物である。
【0095】
シロキサン化合物におけるシロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格やかご型やラダー型のポリシルセスキオキサン骨格を挙げることができる。
【0096】
シロキサン化合物としては、なかでも、下記式(a1-III)で表される環状シロキサン骨格を有する化合物(以下、「環状シロキサン」という場合がある)が好ましい。
【化19】
【0097】
式(a1-III)中、Ra24、及びRa25は、エポキシ基を含有する1価の基又はアルキル基を示す。ただし、式(a1-III)で表される化合物におけるx1個のRa24及びx1個のRa25のうち、少なくとも2個はエポキシ基を含有する1価の基である。また、式(a1-III)中のx1は3以上の整数を示す。尚、式(a1-III)で表される化合物におけるRa24、Ra25は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、複数のRa24は同一であってもよいし、異なっていてもよい。複数のRa25も同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が1以上18以下である(好ましくは炭素原子数1以上6以下、特に好ましくは炭素原子数1以上3以下)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
【0098】
式(a1-III)中のx1は3以上の整数を示し、なかでも、感光性組成物用いて機能性の材料を形成する際の架橋反応性に優れる点で3以上6以下の整数が好ましい。
シロキサン化合物が分子内に有するエポキシ基の数は2個以上であり、感光性組成物を用いて機能性の材料を形成する際の架橋反応性に優れる点から2個以上6個以下が好ましく、特に好ましくは2個以上4個以下である。
【0099】
上記エポキシ基を含有する1価の基としては、脂環式エポキシ基、及び-D
A-O-R
a26で表されるグリシジルエーテル基[D
Aはアルキレン基を示し、R
a26はグリシジル基を示す]が好ましく、脂環式エポキシ基がより好ましく、下記式(a1-IIIa)又は下記式(a1-IIIb)で表される脂環式エポキシ基がさらに好ましい。上記D
A(アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等の炭素原子数が1以上18以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等を挙げることができる。
【化20】
(上記式(a1-IIIa)及び式(a1-IIIb)中、D
1及びD
2は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、msは0以上2以下の整数を表す。)
【0100】
感光性組成物は、エポキシ化合物として、式(a1-III)で表されるシロキサン化合物以外にも、脂環式エポキシ基含有環状シロキサン、特開2008-248169号公報に記載の脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、及び特開2008-19422号公報に記載の1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等のシロキサン骨格を有する化合物を含有していてもよい。
【0101】
シロキサン化合物としては、より具体的には、下記式で表される、分子内に2以上のグリシジル基を有する環状シロキサン等を挙げることができる。また、シロキサン化合物としては、例えば、商品名「X-40-2670」、「X-40-2701」、「X-40-2728」、「X-40-2738」、「X-40-2740」(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0102】
【0103】
【0104】
感光性組成物を用いて高屈折率の材料を形成しやすい点で、感光性組成物は、他の光重合性化合物(A2)として、下記式(A-2e)で表される化合物を含むのが好ましい。
【化23】
(式(A-2e)中、R
A1、R
A2、及びR
A3は、それぞれ独立に有機基であり、R
A1、としての有機基、R
A2としての有機基、及びR
A3としての有機基のうちの少なくとも2つがラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有する。)
【0105】
式(A-2e)で表される化合物の好ましい例として、下記式(A-2e-a)で表される化合物が挙げられる。
【化24】
【0106】
式(A-2e-a)中、RA01は、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、又は置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基である。
2-置換ベンゾチアゾリル基は2位に-S-RA0で表される基を有する。RA0は、水素原子、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基である。
RA02、及びRA03は、ともにラジカル重合性基含有基を有する芳香環含有基であるか、ともにカチオン重合性基含有基を有する芳香環含有基である。
トリアジン環に結合している-NH-基は、RA02、及びRA03中の芳香環に結合する。
【0107】
置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、及び置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基はいずれも分極率が大きく、官能基としての体積が小さい。このため、RA01が、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、又は置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基であることが、感光性組成物を用いて形成される材料の屈折率の高さに寄与していると考えられる。
【0108】
RA01としてのキノリニル基としては、キノリン-2-イル基、キノリン-3-イル基、キノリン-4-イル基、キノリン-5-イル基、キノリン-6-イル基、キノリン-7-イル基、及びキノリン-8-イル基のいずれでもよい。これらの基の中では、式(A2e-a)で表される化合物の原料化合物の入手が容易であることや、式(A2e-a)で表される化合物の合成が容易であること等から、キノリン-3-イル基、及びキノリン-4-イル基が好ましい。
【0109】
RA01としてのイソキノリニル基としては、イソキノリン-1-イル、イソキノリン-3-イル基、イソキノリン-4-イル基、イソキノリン-5-イル基、イソキノリン-6-イル基、イソキノリン-7-イル基、及びイソキノリン-8-イル基のいずれでもよい。
【0110】
RA01としてのキノリニル基、及びイソキノリニル基が有してもよい置換基は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、及び1価の有機基が挙げられる。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
1価の有機基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、及び脂肪族アシルチオ基等が挙げられる。
また、後述するラジカル重合性基含有基、及びカチオン重合性基含有基も1価の有機基として好ましい。
【0111】
置換基としての1価の有機基の炭素原子数は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。置換基としての1価の有機基の炭素原子数としては、例えば1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下がさらに好ましい。アルコキシアルキル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキルチオ基、及び脂肪族アシルチオ基については、その炭素原子数の下限は2である。
【0112】
置換基としてのアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、及びn-オクチル基が挙げられる。
【0113】
置換基としてのアルコキシ基の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-へプチルオキシ基、及びn-オクチルオキシ基が挙げられる。
【0114】
置換基としてのアルコキシアルキル基の好ましい具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロピルオキシメチル基、n-ブチルオキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロピルオキシエチル基、2-n-ブチルオキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピルオキシ基、3-エトキシ-n-プロピルオキシ基、3-n-プロピルオキシ-n-プロピルオキシ基、3-n-ブチルオキシ-n-プロピルオキシ基、4-メトキシ-n-ブチルオキシ基、4-エトキシ-n-ブチルオキシ基、4-n-プロピルオキシ-n-ブチルオキシ基、4-n-ブチルオキシ-n-ブチルオキシ基が挙げられる。
【0115】
置換基としての脂肪族アシル基の好ましい具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、及びオクタノイル基が挙げられる。
【0116】
置換基としての脂肪族アシルオキシ基の好ましい具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、及びオクタノイルオキシ基が挙げられる。
【0117】
置換基としてのアルコキシカルボニル基の好ましい具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-へプチルオキシカルボニル基、及びn-オクチルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0118】
置換基としてのアルキルチオ基の好ましい具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、n-へプチルチオ基、及びn-オクチルチオ基が挙げられる。
【0119】
置換基としての脂肪族アシルチオ基の好ましい具体例としては、アセチルチオ基、プロピオニルチオ基、ブタノイルチオ基、ペンタノイルチオ基、ヘキサノイルチオ基、ヘプタノイルチオ基、及びオクタノイルチオ基が挙げられる。
【0120】
キノリニル基、及びイソキノリニル基が置換基を有する場合、置換基の数は、所望する効果が損なわれない限りにおいて特に限定されない。キノリニル基、及びイソキノリニル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
キノリニル基、及びイソキノリニル基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は互いに異なっていてもよい。
【0121】
RA01としての2-置換ベンゾチアゾリル基は、2位に-S-RA0で表される基を有する。RA01としての2-置換ベンゾチアゾリル基は、2以外の位置に、-S-RA0で表される基以外の他の置換基を有していてもよい。RA0は、水素原子、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基である。ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基については後述する。
【0122】
2-置換ベンゾチアゾリル基の好ましい例としては、下記の基が挙げられる。
【化25】
【0123】
RA01としての2-置換ベンゾチアゾリル基が有してもよい置換基としては、キノリニル基、及びイソキノリニル基が有してもよい置換基と同様である。
2-置換ベンゾチアゾリル基が置換基を有する場合、置換基の数は、所望する効果が損なわれない限りにおいて特に限定されない。2-置換ベンゾチアゾリル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
2-置換ベンゾチアゾリル基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は互いに異なっていてもよい。
【0124】
RA02、及びRA03は、ともにラジカル重合性基含有基を有する芳香環含有基であるか、ともにカチオン重合性基含有基を有する芳香環含有基である。
なお、トリアジン環に結合している-NH-基は、RA02、及びRA03中の芳香環に結合する。
RA02、及びRA03としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の結合位置は特に限定されない。
【0125】
RA02としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の数と、RA03としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の数とは特に限定されない。RA02としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の数と、RA03としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の数とは、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
【0126】
RA02、及びRA03としての芳香環含有基は、1つの単環式芳香環、又は1つの縮合式芳香環のみを含んでいてもよく、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含んでいてもよい。RA02、及びRA03としての芳香環含有基が、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含む場合、単環式芳香環同士、縮合式芳香環同士、又は単環式芳香環と縮合式芳香環とを連結する連結基の種類は特に限定されない。当該連結基は、2価の連結基であってもよく、3価以上の連結基であってもよく、2価の連結基が好ましい。
【0127】
2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価のハロゲン化脂肪族炭化水素基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-、並びにこれのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0128】
また、2価の連結基としては、-CRa001Ra002-で表される基も好ましい。
Ra001及びRa002は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基である。Ra001とRa002とは互いに結合して環を形成してもよい。-CRa001Ra002-で表される基の具体例としては、メチレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、及びシクロヘプチリデン基が挙げられる。
【0129】
RA02、及びRA03としての芳香環含有基は、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有する。ラジカル重合性基含有基、及びカチオン重合性基含有基について、前述した通りである。
【0130】
ラジカル重合性基含有基の好適な例としては、下記式(A-I)又は下記式(A-II)で表される基であって、ビニルオキシ基含有基に該当しない基が挙げられる。
-(A01)na-R01・・・(A-I)
-(A01)na-R02-A02-R01・・・(A-II)
【0131】
式(A-I)及び式(A-II)において、R01は、炭素原子数2以上10以下のアルケニル基である。R02は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基である。
A01は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-CO-S-、-O-CO-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
A02は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-CO-S-、-O-CO-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
naは、0又は1である。
【0132】
ラジカル重合性基含有基の好適な具体例としては、
-O-R03、
-S-R03、
-O-CH2CH2-O-R03、
-O-CH2CH2CH2-O-R03、
-O-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-O-CH2CH2-O-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-O-CH2CH2-NH-R03、
-O-CH2CH2CH2-NH-R03、
-O-CH2CH2CH2CH2-NH-R03、
-CO-O-CH2CH2-NH-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2-NH-R03、
-CO-O-CH2CH2CH2CH2-R03、
-NH-R03、
-NH-CH2CH2-O-R03、
-NH-CH2CH2CH2-O-R03、
-NH-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-NH-CH2CH2-O-R03、
-CO-NH-CH2CH2CH2-O-R03、
-CO-NH-CH2CH2CH2CH2-O-R03、
-NH-CH2CH2-NH-R03、
-NH-CH2CH2CH2-NH-R03、
-NH-CH2CH2CH2CH2-NH-R03、
-CO-NH-CH2CH2-NH-R03、
-CO-NH-CH2CH2CH2-NH-R03、及び、
-CO-NH-CH2CH2CH2CH2-NH-R03で表される基が挙げられる。これらの基におけるR03は、アリル基、又は(メタ)アクリロイル基である。
【0133】
カチオン重合性基含有基の好適な例としては、ビニルオキシ基、及び下記式(A3)~式(A8)で表される基が挙げられる。
-(A01)na-R04・・・(A3)
-(A01)na-R02-R05・・・(A4)
-(A01)na-R02-(CO)nb-A03-R04・・・(A5)
-(A01)na-R02-(CO)nb-A03-R07-R05・・・(A6)
-(A01)na-R02-O-R06・・・(A7)
-(A01)na-R02-(CO)nb-A03-R07-O-R06・・・(A8)
【0134】
式(A3)~式(A8)において、R02は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基である。R04は、炭素原子数2以上20以下のエポキシアルキル基、又は炭素原子数3以上20以下の脂環式エポキシ基である。R05は、炭素原子数3以上20以下の脂環式エポキシ基である。R06は、ビニル基である。R07は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基である。
A01は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-CO-S-、-O-CO-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
A03は、-O-又は-NH-である。
nbは0又は1である。
【0135】
カチオン重合性基含有基の好適な具体例としては、
-R08、
-O-CH2CH2-R08、
-O-CH2CH2CH2-R08、
-O-CH2CH2CH2CH2-R08、
-CO-O-CH2CH2-R08、
-CO-O-CH2CH2CH2-R08、
-CO-O-CH2CH2CH2CH2-R08、
-NH-CH2CH2-R08、
-NH-CH2CH2CH2-R08、
-NH-CH2CH2CH2CH2-R08、
-CO-NH-CH2CH2-R08、
-CO-NH-CH2CH2CH2-R08、及び、
-CO-NH-CH2CH2CH2CH2-R08で表される基が挙げられる。これらの基におけるR08は、ビニルオキシ基、グリシジルオキシ基、グリシジルチオ基、エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、又はエポキシシクロヘプチル基である。
【0136】
R
A02、及びR
A03としての芳香環含有基が、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を1つ有する場合、R
A02、及びR
A03の好適な例としては下記式の基が挙げられる。下記式中、PGは、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基である。
【化26】
【0137】
式(A-2e)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。下記式において、XAは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルチオ基、3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシ-n-プロピルオキシカルボニル基、及びグリシジルオキシ基からなる群より選択される基である。
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
式(A-2e-a)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。典型的には、塩化シアヌル等のハロゲン化シアヌルを、RA01-NH2、RA02-NH2、及びRA03-NH2で表される芳香族アミンと反応させることにより製造することができる。これらの複数種のアミンは、同時にハロゲン化シアヌルと反応させても、順次ハロゲン化シアヌルと反応させてもよく、順次ハロゲン化シアヌルと反応させるのが好ましい。
【0142】
また、式(A-2e-a)中のRA02、及びRA03は、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基を有する芳香族アミンをハロゲン化シアヌルと反応させた後に、これらの官能基に、ラジカル重合性基含有基や、カチオン重合性基含有基を与える化合物を反応させることによっても生成させることができる。ラジカル重合性基含有基や、カチオン重合性基含有基を与える化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ハライド、ハロゲン化オレフィン、エピクロロヒドリン、グリシジル(メタ)アクリレート等の重合性基を有する化合物が挙げられる。
水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基と、重合性基を有する化合物との反応としては、エーテル結合、カルボン酸エステル結合、カルボン酸アミド結合、及びチオエーテル結合を生成させる周知の反応を採用できる。
【0143】
ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を形成する反応は多段階の反応であってもよい。例えば、ハロゲン化シアヌルにフェノール性水酸基を有する芳香族アミンを反応させた後、フェノール性水酸基をエピクロロヒドリンと反応させてグリシジル化し、次いで、グリシジル基にアクリル酸を反応させることにより、下記式で表されるラジカル重合性基含有基を芳香環上に導入することができる。
-O-CH2-CHOH-CH2-O-CO-CH=CH2
上記の反応は一例であり、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基は、種々の反応を組み合わせて実施することにより形成され得る。
【0144】
式(A-2e-a)で表される化合物は、通常、有機溶媒中で合成される。かかる有機溶媒としては、ハロゲン化シアヌル、芳香族アミン、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基等と反応しない不活性な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、後述する溶媒(S)の具体例として例示される有機溶媒等を用いることができる。
式(A-2e-a)で表される化合物を製造する際に、ハロゲン化シアヌルと、RA01-NH2、RA02-NH2、及びRA03-NH2で表される芳香族アミン等の芳香族アミン類とを反応させる際の温度は特に限定されない。典型的には、反応温度は、0℃以上150℃以下が好ましい。
【0145】
式(A-2e)で表される化合物の他の好ましい例として、下記式(A-2e-b)で表される化合物が挙げられる。
【化30】
【0146】
式(A-2e-b)中、R
A11、R
A12、及びR
A13は、それぞれ芳香環含有基である。
R
A12、及びR
A13の少なくとも1つは下記式(A-2e-b1)で表される基である。
【化31】
トリアジン環に結合している-NH-基は、それぞれ、R
A11、R
A12、及びR
A13中の芳香環に結合する。
式(A-2e-b1)中、R
a11及びR
a12は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子である。
nA1及びnA2は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。
R
a13及びR
a14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基、又はフェニル基である。
R
a13とR
a14とは互いに結合して環を形成してもよい。
R
A14は、ラジカル重合性基含有基か、カチオン重合性基含有基である。
R
A12、及びR
A13がともに式(A-2e-b1)で表される基である場合、R
A12、及びR
A13は、ともにラジカル重合性基含有基を有するか、又はともにカチオン重合性基含有基を有する。
【0147】
上記の通り、式(A-2e-b)中、RA11、RA12、及びRA13は、それぞれ芳香環含有基である。式(A-2e-b)において、トリアジン環に結合している-NH-基は、それぞれ、RA11、RA12、及びRA13中の芳香環に結合する。
芳香環含有基が、式(A-2e-b1)で表される基以外の基である場合、芳香環含有基は、上記の所定の要件を満たす限りにおいて特に限定されない。
【0148】
式(A-2e-b1)で表される基以外の芳香環含有基は、1つの単環式芳香環、又は1つの縮合式芳香環のみを含んでいてもよく、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含んでいてもよい。芳香環含有基が、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含む場合、単環式芳香環同士、縮合式芳香環同士、又は単環式芳香環と縮合式芳香環とを連結する連結基の種類は特に限定されない。当該連結基は、2価の連結基であってもよく、3価以上の連結基であってもよく、2価の連結基が好ましい。
【0149】
2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価のハロゲン化脂肪族炭化水素基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-、並びにこれのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0150】
芳香環含有基の好ましい例としては、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、及び置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基が挙げられる。これらの基は、式(A-2e-a)中のRA01に関して説明した、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、及び置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基と同様である。
【0151】
芳香環含有基としての他の好ましい例としては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいビフェニリル基、置換基を有してもよいフェニルチオフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシフェニル基、置換基を有してもよいフェニルスルホニルフェニル基、置換基を有してもよいベンゾチアゾリル基、置換基を有してもよいベンゾオキサゾリル基、及び置換基を有してもよいターフェニル基等が挙げられる。
これらの基が置換基を有する場合、当該置換基は、キノリニル基、及びイソキノリニル基が有してもよい置換基と同様である。これらの基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は互いに異なっていてもよい。
【0152】
置換基を有してもよいフェニル基の好適な具体例としては、フェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、2-シアノフェニル基、2,3-ジシアノフェニル基、2,4-ジシアノフェニル基、2,5-ジシアノフェニル基、2,6-ジシアノフェニル基、3,4-ジシアノフェニル基、3,5-ジシアノフェニル基、4-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、2-ニトロフェニル基、4-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、2-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、2-ブロモフェニル基、4-ヨードフェニル基、3-ヨードフェニル基、2-ヨードフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、及び2-メチルフェニル基が挙げられる。
【0153】
置換基を有してもよいナフチル基の好適な具体例としては、ナフタレン-1-イル基、及びナフタレン-2-イル基が挙げられる。
【0154】
置換基を有してもよいビフェニリル基の好適な例としては、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、4-(4-ニトロフェニル)フェニル基、3-(4-ニトロフェニル)フェニル基、2-(4-ニトロフェニル)フェニル基、4-(4-シアノフェニル)フェニル基、3-(4-シアノフェニル)フェニル基、及び2-(4-シアノフェニル)フェニル基が挙げられる。
【0155】
置換基を有してもよいフェニルチオフェニル基の好適な具体例としては、4-フェニルチオフェニル基、3-フェニルチオフェニル基、及び2-フェニルチオフェニル基が挙げられる。
【0156】
置換基を有してもよいフェノキシフェニル基の好適な具体例としては、4-フェノキシフェニル基、3-フェノキシフェニル基、及び2-フェノキシフェニル基が挙げられる。
【0157】
置換基を有してもよいフェニルスルホニルフェニル基の好適な具体例としては、4-フェニルスルホニルフェニル基、3-フェニルスルホニルフェニル基、及び2-フェニルスルホニルフェニル基が挙げられる。
【0158】
置換基を有してもよいベンゾチアゾリル基の好適な具体例としては、ベンゾチアゾール-2-イル基、ベンゾチアゾール-4-イル基、ベンゾチアゾール-5-イル基、ベンゾチアゾール-6-イル基、及びベンゾチアゾール-7-イル基が挙げられる。
【0159】
置換基を有してもよいベンゾオキサゾリル基の好適な具体例としては、ベンゾオキサゾール-2-イル基、ベンゾオキサゾール-4-イル基、ベンゾオキサゾール-5-イル基、ベンゾオキサゾール-6-イル基、及びベンゾオキサゾール-7-イル基が挙げられる。
【0160】
置換基を有してもよいターフェニル基の好適な例としては、4-(4-フェニルフェニル)フェニル基、3-(4-フェニルフェニル)フェニル基、2-(4-フェニルフェニル)フェニル基、4-(3-フェニルフェニル)フェニル基、3-(3-フェニルフェニル)フェニル基、2-(3-フェニルフェニル)フェニル基、4-(2-フェニルフェニル)フェニル基、3-(2-フェニルフェニル)フェニル基、及び2-(2-フェニルフェニル)フェニル基が挙げられる。
【0161】
前述の通り、式(A-2e-b1)で表される基以外の芳香環含有基は、置換基としてラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有していてもよい。
芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の結合位置は特に限定されない。
【0162】
芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の数は特に限定されない。芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基の数は、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
【0163】
芳香環含有基が、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を1つ有する場合、そのような基の好適な例としては下記式の基が挙げられる。下記式中、PGは、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基である。
【化32】
【0164】
式(A-2e-b)において、R
A12、及びR
A13の少なくとも1つは下記式(A-2e-b1):
【化33】
で表される基である。
式(A-2e-b1)中、R
a11及びR
a12は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子である。
nA1及びnA2は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。
R
a13及びR
a14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基、又はフェニル基である。
R
a13とR
a14とは互いに結合して環を形成してもよい。
R
A14は、ラジカル重合性基含有基か、カチオン重合性基含有基である。
R
A12、及びR
A13がともに式(A-2e-b1)で表される基である場合、R
A12、及びR
A13は、ともにラジカル重合性基含有基を有するか、又はともにカチオン重合性基含有基を有する。
【0165】
Ra11、及びRa12としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。
Ra11、及びRa12としての炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、及びtert-ブチルオキシ基が挙げられる。
Ra11、及びRa12としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0166】
Ra13、及びRa14としての、炭素原子数1以上4以下のアルキル基の具体例は、Ra11、及びRa12としての、炭素原子数1以上4以下のアルキル基の具体例と同様である。
Ra13、及びRa14としての、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、3,3,3-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基、及びヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0167】
式(A-2e-b1)で表される基の好適な例としては、下記式で表される基が挙げられる。
【化34】
【0168】
式(A-2e-b1)で表される基は、RA14として、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を有する。ラジカル重合性基含有基、及びカチオン重合性基含有基について前述した通りである。
ラジカル重合性基含有基の好適な具体例、及びカチオン重合性基含有基の好適な具体例は、式(A-2e-a)で表される化合物について説明した、ラジカル重合性基含有基の好適な具体例、及びカチオン重合性基含有基の好適な具体例と同様である。
【0169】
式(A-2e-b)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。下記式において、XAは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルチオ基、3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシ-n-プロピルオキシカルボニル基、及びグリシジルオキシ基からなる群より選択される基である。
YAは、キノリン-3-イル基、フェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、2-シアノフェニル基、3,4-ジシアノフェニル基、4-ニトロフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-フェニルチオフェニル基、4-フェニルスルホニルフェニル基、4-ヨードフェニル基、ベンゾチアゾール-2-イル基、2-メルカプトベンゾチアゾール-5-イル基、4-フェニルフェニル基、4-(4-ニトロフェニル)フェニル基、4-(4-シアノフェニル)フェニル基、ナフタレン-1-イル基、及び4-(4-フェニルフェニル)フェニル基からなる群より選択される基である。
【0170】
【0171】
式(A-2e-b)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。典型的には、塩化シアヌル等のハロゲン化シアヌルを、RA11-NH2、RA12-NH2、及びRA13-NH2で表される芳香族アミンと反応させることにより製造することができる。これらの複数種のアミンは、同時にハロゲン化シアヌルと反応させても、順次ハロゲン化シアヌルと反応させてもよく、順次ハロゲン化シアヌルと反応させるのが好ましい。
【0172】
また、-NH-を介してトリアジン環に結合する芳香環含有基がラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性含有基を有する場合、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基を有する芳香族アミンをハロゲン化シアヌルと反応させた後に、これらの官能基に、ラジカル重合性基含有基や、カチオン重合性基含有基を与える化合物を反応させることによってもラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性含有基を生成させることができる。ラジカル重合性基含有基や、カチオン重合性基含有基を与える化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ハライド、ハロゲン化オレフィン、エピクロロヒドリン、グリシジル(メタ)アクリレート等の重合性基を有する化合物が挙げられる。
水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基と、重合性基を有する化合物との反応としては、エーテル結合、カルボン酸エステル結合、カルボン酸アミド結合、及びチオエーテル結合を生成させる周知の反応を採用できる。
【0173】
ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を形成する反応は多段階の反応であってもよい。例えば、ハロゲン化シアヌルにフェノール性水酸基を有する芳香族アミンを反応させた後、フェノール性水酸基をエピクロロヒドリンと反応させてグリシジル化し、次いで、グリシジル基にアクリル酸を反応させることにより、下記式で表されるラジカル重合性基含有基を芳香環上に導入することができる。
-O-CH2-CHOH-CH2-O-CO-CH=CH2
上記の反応は一例であり、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基は、種々の反応を組み合わせて実施することにより形成され得る。
【0174】
式(A-2e-b)で表される化合物は、通常、有機溶媒中で合成される。かかる有機溶媒としては、ハロゲン化シアヌル、芳香族アミン、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基等と反応しない不活性な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、溶媒(S)の具体例として例示される有機溶媒等を用いることができる。
式(A-2e-b)で表される化合物を製造する際に、ハロゲン化シアヌルと、RA11-NH2、RA12-NH2、及びRA13-NH2で表される芳香族アミン等の芳香族アミン類とを反応させる際の温度は特に限定されない。典型的には、反応温度は、0℃以上150℃以下が好ましい。
【0175】
光重合性化合物(A)の質量に対する、他の光重合性化合物(A2)の質量の比率は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましく、40質量%以上60質量%以下が特に好ましい。
【0176】
感光性組成物における光重合性化合物(A)の含有量は、所望する効果が阻害されない範囲で特に限定されない。感光性組成物における光重合性化合物(A)の含有量は、後述する溶媒(S)の質量を除いた感光性組成物の質量を100質量部としたときに、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.5質量部以上40質量部以下がより好ましく、1質量部以上25質量部以下が特に好ましい。
【0177】
<無機微粒子(B)>
感光性組成物は、無機微粒子(B)を含んでいてもよい。無機微粒子(B)の材質は、無機材料であれば特に限定されない。無機微粒子(B)は、金属酸化物微粒子(B1)、及び金属微粒子(B2)からなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。
感光性組成物が金属酸化物微粒子(B1)を含む場合、感光性組成物を用いて屈折率の高い材料を形成しやすい。感光性組成物が金属微粒子(B2)を含む場合、感光性組成物を用いて形成される材料に導電性が付与されたり、感光性組成物を用いて形成される材料の特定波長の光吸収を強めたりする。このため、金属微粒子(B2)を含む感光性組成物は、バンドパスフィルターに適用し得る材料の形成に用いられる。
金属酸化物微粒子(B1)を構成する金属酸化物の種類は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。金属酸化物微粒子(B1)の好ましい例としては、酸化ジルコニウム微粒子、酸化チタン微粒子、チタン酸バリウム微粒子、酸化セリウム微粒子、及び酸化ニオブ微粒子からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
金属微粒子(B2)構成する金属の種類は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。金属微粒子(B2)を構成する金属は、単体であっても、合金であってもよい。金属微粒子(B2)の好ましい例としては、金微粒子、及び白金微粒子が挙げられる。その他の好ましい無機微粒子(B)としては、半金属微粒子であるシリコン微粒子(SiNC(シリコンナノ粒子))が挙げられる。
以上説明した無機微粒子の具体例の中では、金属酸化物微粒子(B1)である酸化チタン微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、及び酸化ニオブ微粒子からなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
感光性組成物は、これらの無機微粒子(B)のうちの1種を単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0178】
無機微粒子(B)の平均粒子径は、感光性組成物を用いて形成される材料の透明性の点や、感光性組成物中での無機微粒子(B)の分散の安定性の点から、500nm以下が好ましく、2nm以上100nm以下が好ましい。
【0179】
金属酸化物微粒子(B1)について、その表面が、エチレン性不飽和二重結合含有基で修飾されているものが好ましい。
金属酸化物微粒子(B1)の表面がエチレン性不飽和二重結合含有基で修飾されている場合、金属酸化物微粒子(B1)の凝集が起こりにくくなるため、金属酸化物微粒子(B1)の表面がエチレン性不飽和二重結合含有基で修飾されていると、感光性組成物を用いて形成される材料における金属酸化物微粒子(B1)の局在を特に抑制しやすい。
【0180】
例えば、金属酸化物微粒子(B1)の表面に、エチレン性不飽和二重結合を含むキャッピング剤を作用させることにより、共有結合等の化学結合を介してその表面が、エチレン性不飽和二重結合含有基で修飾された金属酸化物微粒子(B1)が得られる。
【0181】
金属酸化物微粒子(B1)の表面に、エチレン性不飽和二重結合を含むキャッピング剤を、共有結合等の化学結合を介して結合させる方法は特に限定されない。金属酸化物微粒子(B1)の表面には通常、水酸基が存在している。かかる水酸基とキャッピング剤が有する反応性基とを反応させることにより、金属酸化物微粒子(B1)の表面にキャッピング剤が共有結合する。
キャッピング剤が有する反応性基の好ましい例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシリル基等のトリアルコキシシリル基;ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基;モノメトキシシリル基、モノエトキシシリル基等のモノアルコキシシリル基;トリクロロシリル基等のトリハロシリル基;ジクロロシリル基等のジハロシリル基;モノクロロシリル基等のモノハロシリル基;カルボキシ基;クロロカルボニル基等のハロカルボニル基;水酸基;ホスホノ基(-P(=O)(OH)2);ホスフェート基(-O-P(=O)(OH)2)が挙げられる。
【0182】
トリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、モノアルコキシシリル基、トリハロシリル基、ジハロシリル基、及びモノハロシリル基は、金属酸化物ナノ粒子(B)の表面とシロキサン結合を形成する。
カルボキシ基、及びハロカルボニル基は、金属酸化物微粒子(B1)の表面と、(金属酸化物-O-CO-)で表される結合を形成する。
水酸基は、金属酸化物微粒子(B)の表面と、(金属酸化物-O-)で表される結合を形成する。
ホスホノ基、及びホスフェート基は、金属酸化物微粒子(B1)の表面と、(金属酸化物-O-P(=O)<)で表される結合を形成する。
【0183】
キャッピング剤において、上記の反応性基に結合する基としては、水素原子と、種々の有機基が挙げられる。有機基は、O、N、S、P、B、Si、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
上記の反応性基に結合する基としては、例えば、直鎖状でも分岐鎖状であってもよく、酸素原子(-O-)で中断されていてもよいアルキル基、直鎖状でも分岐鎖状であってもよく、酸素原子(-O-)で中断されていてもよいアルケニル基、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、酸素原子(-O-)で中断されていてもよいアルキニル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、及び複素環基等が挙げられる。
これらの基は、ハロゲン原子、グリシジル基等のエポキシ基含有基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びイソシアネート基等の置換基で置換されていてもよい。また、置換基の数は特に限定されない。
【0184】
また、上記の反応性基に結合する基としては、-(SiRb1Rb2-O-)r-(SiRb3Rb4-O-)s-Rb5で表される基も好ましい。Rb1、Rb2、Rb3、及びRb4は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい有機基である。有機基の好適な例としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基等の芳香族炭化水素基;3-グリシドキシプロピル基等のエポキシ基含有基;(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
上記式中Rb5としては、例えば、-Si(CH3)3、-Si(CH3)2H、-Si(CH3)2(CH=CH2)、及び-Si(CH3)2(CH2CH2CH2CH3)等の末端基が挙げられる。
上記式中のr及びsは、それぞれ独立に0以上60以下の整数である。上記式中のr及びsは双方が0であることはない。
【0185】
キャッピング剤の好適な具体例としては、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン,1-ヘキセニルトリエトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、等の不飽和基含有アルコキシシラン;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、及び3-アリルオキシプロパノール等の不飽和基含有アルコール類;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸クロライド等の(メタ)アクリル酸ハライド等が挙げられる。
【0186】
金属酸化物微粒子(B1)の表面に、キャッピング剤を共有結合等の化学結合を介して結合させる際のキャッピング剤の使用量は特に限定されない。好ましくは、金属酸化物微粒子(B1)の表面の水酸基のほぼ全てと反応するのに十分な量のキャッピング剤が使用される。
【0187】
感光性組成物中の無機微粒子(B)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感光性組成物中の無機微粒子(B)の含有量は、感光性組成物の溶媒(S)の質量を除いた質量に対して、5質量%以上95質量%以下が好ましく、35質量%以上93質量%以下がより好ましく、40質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。
感光性組成物中の無機微粒子(B)の含有量が上記の範囲内であることにより、無機微粒子(B)が安定して分散した感光性組成物を得やすく、また、感光性組成物を用いて、無機微粒子(B)の使用によりもたらされる所望する効果を有する材料を形成しやすい。
無機微粒子(B)が、金属酸化物微粒子(B1)である場合、特に屈折率が高い材料を形成しやすい点からは、感光性組成物中の金属酸化物微粒子(B1)の含有量は、感光性組成物の溶媒(S)の質量を除いた質量に対して、70質量%以上が好ましく、75質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
なお、金属酸化物微粒子(B1)の表面に、エチレン性不飽和二重結合含有基で修飾されている場合、金属酸化物微粒子(B1)の表面に存在するエチレン性不飽和二重結合含有基を有するキャッピング剤の質量を、金属酸化物微粒子(B1)の質量に含める。
【0188】
<開始剤(C)>
光重合性化合物(A)を硬化させるために、感光性組成物は、開始剤(C)を含む。化合物(A1)は開始剤としての作用を示す場合があるが、本明細書における開始剤(C)は、化合物(A1)とは異なる化合物を意味する。光重合性化合物(A)が、ラジカル重合性基を有する場合、開始剤(C)として、ラジカル重合開始剤(C1)が使用される。光重合性化合物(A)が、カチオン重合性基を有する場合、開始剤(C)として、カチオン重合開始剤(C2)が使用される。感光性組成物の位置選択的な硬化を行うことができたり、感光性組成物の成分の熱による劣化、揮発、昇華等の懸念が無い点等から、開始剤(C)としては光開始剤が使用される。
開始剤(C)としては、特に限定されず、従来公知の種々の重合開始剤を用いることができる。
【0189】
ラジカル重合開始剤(C1)として有用な光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]メタノンO-アセチルオキシム、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0190】
光ラジカル重合開始剤の中では、感光性組成物の感度の点で、オキシムエステル化合物が好ましい。
オキシムエステル化合物としては、下記式(c1)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0191】
【化36】
(式(c1)中、
n1は、0、又は1であり、
R
c2は、一価の有機基であり、
R
c3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
*は結合手である。)
【0192】
式(c1)で表される部分構造を有する化合物は、カルバゾール骨格、フルオレン骨格、ジフェニルエーテル骨格や、フェニルスルフィド骨格を有することが好ましい。
式(c1)で表される部分構造を有する化合物は、式(c1)で表される部分構造を1つ又は2つ有することが好ましい。
【0193】
式(c1)で表される部分構造を有する化合物としては、下記式(c2)で表される化合物が挙げられる。
【0194】
【化37】
(式(c2)中、R
c1は、下記式(c3)、(c4)、又は(c5)で表される基であり、
n1は、0、又は1であり、
R
c2は、一価の有機基であり、
R
c3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。)
【0195】
【化38】
(式(c3)中、R
c4及びR
c5は、それぞれ独立に、1価の有機基であり、
n2は、0以上3以下の整数であり、
n2が2又は3の場合、複数のR
c5は同一でも異なっていてもよく、複数のR
c5は互いに結合して環を形成してもよい。
*は結合手である。)
【0196】
【化39】
(式(c4)中、R
c6及びR
c7は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、
R
c6とR
c7とは互いに結合して環を形成してもよく、
R
c7とフルオレン骨格中のベンゼン環とが互いに結合して環を形成してもよく、
R
c8は、ニトロ基、又は1価の有機基、であり、
n3は、0以上4以下の整数であり、
*は結合手である。)
【0197】
【化40】
(式(c5)中、R
c9は、1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
Aは、S又はOであり、
n4は、0以上4以下の整数であり、
*は結合手である。)
【0198】
式(c3)中、Rc4は、1価の有機基である。Rc4は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子、並びにH、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子からなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
Rc4の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下の置換基を有してもよいアルキル基、炭素原子数3以上20以下の置換基を有してもよいシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよい飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0199】
Rc4の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。式(c3)で表される化合物の感光性組成物中での溶解性が良好である点から、Rc4としてのアルキル基の炭素原子数は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が特に好ましい。また、感光性組成物中での、式(c3)で表される化合物と、他の成分との相溶性が良好である点から、Rc4としてのアルキルの基の炭素原子数は、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
【0200】
Rc4が置換基を有する場合、当該置換基の好適な例としては、水酸基、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシルオキシ基、フェノキシ基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、-PO(OR)2で表される基(Rは炭素原子数1以上6以下のアルキル基)、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロシクリル基等が挙げられる。
【0201】
Rc4が、ヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基は、脂肪族複素環基であっても、芳香族複素環基であってもよい。Rc4がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
Rc4がヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0202】
以上説明したRc4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンタン-3-イル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。
また、感光性組成物中での式(c3)で表される化合物の溶解性が良好である点から、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。
【0203】
式(c3)中、Rc5は、1価の有機基である。Rc5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子、並びにH、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子からなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
Rc5として好適な1価の有機基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、HX2C-又はH2XC-で表される基を含む置換基(ただし、Xは、各々独立に、ハロゲン原子である)等が挙げられる。
【0204】
Rc5がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc5がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc5がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc5がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0205】
Rc5がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc5がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc5がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc5がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0206】
Rc5がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rc5がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc5がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0207】
Rc5が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc5が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc5が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0208】
Rc5がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc5がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0209】
Rc5がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rc5がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rc5がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rc5がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc5が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc5は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0210】
Rc5がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、式(c3)中のRc4がヘテロシクリル基である場合と同様であり、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rc5がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc5がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0211】
Rc5が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc5と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0212】
Rc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、HX2C-又はH2XC-で表される基を含む置換基(例えば、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基)、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ベンゾイル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1以上4以下が好ましい。Rc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0213】
Rc5に含まれる、ベンゾイル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、2-テノイル基(チオフェン-2-イルカルボニル基)、フラン-3-イルカルボニル基及びフェニル基等が挙げられる。
【0214】
Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
【0215】
HX2C-又はH2XC-で表される基を含む置換基としては、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基を有する基等が挙げられ、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、又はHX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基であることがより好ましい。
【0216】
HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基を有する基としては、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されている芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されているシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられ、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されている芳香族基であることが好ましい。
【0217】
HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基としては、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されている芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されているアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等)、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されているシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられ、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されている芳香族基であることが好ましい。
【0218】
また、Rc5としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc5に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0219】
1価の有機基の中でも、Rc5としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0220】
式(c3)で表される基において、Rc5が複数存在し、複数のRc5が互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、炭化水素環や、複素環等が挙げられる。複素環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、N、OやSが挙げられる。複数のRc5が互いに結合して形成する環としては、特に芳香族環が好ましい。かかる芳香族環は、芳香族炭化水素環であっても、芳香族複素環であってもよい。かかる芳香族環としては、芳香族炭化水素環が好ましい。式(c3)において、複数のRc5が互いに結合してベンゼン環を形成した場合の具体例を、以下に示す。
【0221】
【0222】
式(c4)で表される基において、Rc8は、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc8は、式(c4)中の縮合環上で、-(CO)n1-で表される基に結合する芳香環とは異なる6員芳香環に、結合する。式(c4)中、Rc8の結合位置は特に限定されない。式(c4)で表される基が1以上のRc8を有する場合、式(c4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc8のうちの1つが、フルオレン骨格の7位の位置に結合することが好ましい。すなわち、式(c4)で表される基が1以上のRc8を有する場合、式(c4)で表される基は、下記式(c6)で示されることが好ましい。Rc8が複数の場合、複数のRc8は同一であっても異なっていてもよい。
【0223】
【化42】
(式(c6)中、R
c6、R
c7、R
c8、n3は、それぞれ式(c4)におけるR
c6、R
c7、R
c8、n3と同様である。)
【0224】
Rc8が1価の有機基である場合、Rc8は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子、並びにH、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子からなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
Rc8が1価の有機基である場合の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基の好適な例と同様の基が挙げられる。
【0225】
式(c4)中、Rc6及びRc7は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc6及びRc7とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc6及びRc7として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc6及びRc7が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
【0226】
Rc6及びRc7が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc6及びRc7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0227】
Rc6及びRc7が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
【0228】
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc8がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc8がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc8がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0229】
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0230】
Rc6及びRc7が置換基を持たない鎖状アルコキシ基である場合、鎖状アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc6及びRc7が鎖状アルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc6及びRc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0231】
Rc6及びRc7が置換基を有する鎖状アルコキシ基である場合に、アルコキシ基が有してもよい置換基は、Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0232】
Rc6及びRc7が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6及びRc7が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0233】
Rc6及びRc7が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0234】
Rc6及びRc7が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0235】
Rc6及びRc7がヘテロシクリル基である場合、式(c3)中のRc5としてのヘテロシクリル基と同様の基が挙げられる。
【0236】
Rc6及びRc7とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc6及びRc7とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc6及びRc7とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環~6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0237】
Rc7とフルオレン骨格のベンゼン環と環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。
【0238】
Rc6及びRc7が結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0239】
以上説明したRc6及びRc7の中でも好適な基の例としては、式-A1-A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
【0240】
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc6及びRc7が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc6及びRc7が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0241】
Rc6及びRc7の好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロロエチル基、3-クロロ-n-プロピル基、4-クロロ-n-ブチル基、5-クロロ-n-ペンチル基、6-クロロ-n-ヘキシル基、7-クロロ-n-ヘプチル基、8-クロロ-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0242】
Rc6及びRc7として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
【0243】
式(c5)中、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、AはSであることが特に好ましい。
【0244】
式(c5)中、Rc9は、1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。
式(c5)におけるRc9が1価の有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子、並びにH、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子からなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
式(c5)においてRc9が有機基である場合の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基と同様の基が挙げられる。
【0245】
Rc9の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基;置換基を有していてもよいベンゾフラニルカルボニル基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0246】
また、式(c5)において、n4は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n4が1である場合、Rc9の結合する位置は、Rc9が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0247】
式(c1)及び(c2)中、Rc2としての1価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子、並びにH、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子からなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
Rc2としての1価の有機基の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基と同様の基が挙げられる。これらの基の具体例は、式(c3)中のRc5について説明した基と同様である。
また、Rc2としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、式(c3)中のRc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基と同様である。
【0248】
有機基の中でも、Rc2としては、上記HX2C-又はH2XC-で表される基を含む置換基、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数、シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数、シクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数、又は芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基については、式(c3)のRc5と同様である。
【0249】
また、Rc2としては、-A3-CO-O-A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
【0250】
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
【0251】
A4の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0252】
-A3-CO-O-A4で表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
【0253】
また、R
c2としては、下記式(c7)又は(c8)で表される基も好ましい。
【化43】
(式(c7)及び(c8)中、R
c10及びR
c11は、それぞれ独立に、1価の有機基であり、
n5は0以上4以下の整数であり、
R
c10及びR
c11がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
c10とR
c11とが互いに結合して環を形成してもよく、
R
c12は、1価の有機基であり、
n6は1以下8以下の整数であり、
n7は1以上5以下の整数であり、
n8は0以上(n7+3)以下の整数である。)
【0254】
式(c7)中のRc10及びRc11としての有機基は、式(c4)中のRc8と同様である。Rc10としては、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HX2C-又はH2XC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc10とRc11とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c7)で表される基であって、Rc10とRc11とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。
上記式(c7)中、n5は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0255】
上記式(c8)中、Rc12は有機基である。有機基としては、式(c4)中のRc8について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc12としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0256】
上記式(c8)中、n7は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(c8)中、n8は0以上(n7+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。
上記式(c8)中、n8は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0257】
式(c2)中、Rc3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc3が脂肪族炭化水素基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。
【0258】
式(c1)及び(c2)中、Rc3としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-シクロペンチルエチル基、2-シクロブチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0259】
式(c2)で表され、且つR
c1として式(c3)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化44】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
式(c2)で表され、且つR
c1として式(c4)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化48】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
式(c2)で表され、且つR
c1として式(c5)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化53】
【0269】
ラジカル重合開始剤(C1)としては、感光性組成物の深部硬化性が良好である点から、フォスフィンオキサイド化合物も好ましい。フォスフィンオキサイド化合物としては、下記式(c9)で表される部分構造を含むフォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
【化54】
式(c9)中、R
c21及びR
c22は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシル基、又は炭素原子数7以上20以下の芳香族アシル基である。ただし、R
c21及びR
c22の双方が脂肪族アシル基又は芳香族アシル基ではない。
【0270】
Rc21及びRc22としてのアルキル基の炭素原子数は、1以上12以下が好ましく、1以上8以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましい。Rc21及びRc22としてのアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2,4,4,-トリメチルペンチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基が挙げられる。
【0271】
Rc21及びRc22としてのシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上12以下が好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、及びシクロドデシル基が挙げられる。
【0272】
Rc21及びRc22としてのアリール基の炭素原子数は、6以上12以下が好ましい。アリール基は置換基を有してもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基等が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、及びナフチル基が挙げられる。
【0273】
Rc21及びRc22としての脂肪族アシル基の炭素原子数は、2以上20以下であり、2以上12以下が好ましく、2以上8以下がより好ましく、2以上6以下がさらに好ましい。脂肪族アシル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
脂肪族アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、ノナデカノイル基、及びイコサノイル基が挙げられる。
【0274】
Rc21及びRc22としての芳香族アシル基の炭素原子数は、7以上20以下である。芳香族アシル基は置換基を有してもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基等が挙げられる。芳香族アシル基の具体例としては、ベンゾイル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,6-ジメチルベンゾイル基、2,6-ジメトキシベンゾイル基、2,4,6-トリメチルベンゾイル基、α-ナフトイル基、及びβ-ナフトイル基が挙げられる。
【0275】
式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物の好ましい具体例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
感光性組成物の深部硬化性の観点からは、式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物は、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンのようなα-ヒドロキシアルキルフェノン系の開始剤とともに使用されるのも好ましい。
式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物と、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンのようなα-ヒドロキシアルキルフェノン系の開始剤とを併用する場合、両者の質量の合計に対する、式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物の質量の比率は、20質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましく、40質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。
【0276】
カチオン重合開始剤(C2)としては、従来知られるカチオン重合開始剤を特に限定なく用いることができる。カチオン重合開始剤(C2)の典型的な例としては、オニウム塩類が挙げられる。カチオン重合開始剤(C2)としては、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が挙げられ、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が好ましく、スルホニウム塩がより好ましい。
【0277】
感光性組成物における、開始剤(C)の含有量は、特に限定されない。開始剤(C)の含有量は、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基の種類や、開始剤(C)の種類に応じて適宜決定される。
感光性組成物における開始剤(C)の含有量は、後述する溶媒(S)の質量を除いた感光性組成物の質量を100質量部としたときに、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
【0278】
〔可塑剤(D)〕
感光性組成物は、可塑剤(D)を含んでいてもよい。可塑剤(D)は、感光性組成物を用いて形成される材料の高屈折率等の諸物性を大きく損なうことなく、感光性組成物を低粘度化させる成分である。
【0279】
可塑剤(D)としては、下記式(d-1)で表される化合物が好ましい。
Rd1-Rd3
r-Xd-Rd4
s-Rd2・・・(d-1)
(式(d-1)中、Rd1、及びRd2は、それぞれ独立に、1以上5以下の置換基を有してもよいフェニル基であり、前記置換基が、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択され、Rd3、及びRd4は、それぞれ独立にメチレン基、又はエタン-1,2-ジイル基であり、r、及びsは、それぞれ独立に0、又は1であり、Xdは、酸素原子、又は硫黄原子である。)
【0280】
感光性組成物がかかる可塑剤(D)を含むことにより、感光性組成物を用いて形成される材料の高屈折率等の諸物性を大きく損なうことなく、感光性組成物が低粘度化される。
感光性組成物の低粘度化の観点で、可塑剤(D)の、25℃においてE型粘度計により測定される粘度は、10cP以下が好ましく、8cP以下がより好ましく、6cP以下がさらに好ましい。
また、可塑剤(D)が揮発しにくく、感光性組成物の低粘度化の効果を維持しやすい点から、可塑剤(D)の大気圧下での沸点が250℃以上であるのが好ましく、260℃以上であるのがより好ましい。可塑剤(D)の大気圧下での沸点の上限は特に限定されないが、例えば、300℃以下でよく、350℃以下でもよい。
【0281】
式(d-1)におけるRd1、及びRd2は、それぞれ独立に、1以上5以下の置換基を有してもよいフェニル基である。フェニル基に結合する置換基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される基である。フェニル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。置換基の数は、1以上5以下であり、1又は2が好ましく、1が好ましい。感光性組成物の低粘度化の観点からは、Rd1、及びRd2がそれぞれ無置換のフェニル基であるのが好ましい。
【0282】
置換基としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。置換基としての炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、及びtert-ブチルオキシ基が挙げられる。置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0283】
式(d-1)におけるRd3、及びRd4は、それぞれ独立にメチレン基、又はエタン-1,2-ジイル基である。また、r、及びsは、それぞれ独立に0、又は1である。
式(d-1)におけるXdは、酸素原子、又は硫黄原子である。
【0284】
以上説明した式(d-1)で表される化合物の好ましい具体例としては、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド、ジベンジルエーテル、ジベンジルスルフィド、ジフェネチルエーテル、及びジフェネチルスルフィドが挙げられる。これらの中では、ジフェニルスルフィド、及び/又はジベンジルエーテルがより好ましい。
【0285】
感光性組成物の可塑剤(D)の含有量は、感光性組成物全体の質量に対して、粘度調整と無機微粒子(B)の分散性との両立の点で、0質量%超35質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0286】
〔含窒素化合物(E)〕
感光性組成物を用いて形成される材料における無機微粒子(B)の局在を抑制しやすくする目的で、感光性組成物は、下記式(e1)で表されるアミン化合物(E1)、及び/又は下記式(e2)で表されるイミン化合物(E2)を、含窒素化合物(E)として含んでいてもよい。
NRe1Re2Re3・・・(e1)
(式(e1)中、Re1、Re2、及びRe3は、それぞれ独立に水素原子、又は有機基である。)
Re4-N=CRe5Re6・・・(e2)
(式(e2)中、Re4、Re5、及びRde6は、それぞれ独立に水素原子、又は有機基である。)
【0287】
式(e1)、及び式(e2)において、Re1、Re2、Re3、Re4、Re5、及びRde6が有機基である場合、当該有機基は、所望する効果が損なわれない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子、並びにH、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子からなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
有機基の好適な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基等が挙げられる。
【0288】
有機基としてのアルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。アルキル基の構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0289】
有機基としてのシクロアルキル基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。
【0290】
有機基としてのフェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、有機基としてのナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。フェニルアルキル基の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。ナフチルアルキル基の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0291】
有機基としてのヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、式(c3)中のRc4がヘテロシクリル基である場合と同様であり、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0292】
有機基としてのヘテロシクリル基は、脂肪族複素環基であっても、芳香族複素環基であってもよい。ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基であるのが好ましい。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0293】
上記の有機基中に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のハロゲン化アルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、ベンゾイル基、ハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
有機基中に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が置換基を有する場合、その置換基の数は、特に限定されず、1以上4以下が好ましい。有機基中に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0294】
式(e1)中、Re1、Re2、及びRe3は、それぞれ独立に水素原子、又は有機基であり、Re1、Re2、及びRe3の少なくとも1つが芳香族基含有基である。
また、式(e2)中、Re4、Re5、及びRde6は、それぞれ独立に水素原子、又は有機基であり、Re4、Re5、及びRde6の少なくとも1つが芳香族基含有基である。
芳香族基含有基中の芳香環は、芳香族炭化水素環でも、芳香族複素環でもよい。芳香族基含有基としては、炭化水素基が好ましい。芳香族基含有基としては、芳香族炭化水素基(アリール基)、及びアラルキル基が好ましい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、及びナフタレン-2-イル基が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基の中では、フェニル基が好ましい。
アラルキル基としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。
【0295】
式(e1)において、Re1、Re2、及びRe3の少なくとも1つがAre1-CH2-で表される基であるのが好ましい。また、式(d2)において、Re4がAre1-CH2-で表される基であるのが好ましい。Are1は、置換基を有してもよい芳香族基である。
Are1としての芳香族基は、芳香族炭化水素基でも、芳香族複素環基でもよい。Are1としての芳香族基としては、芳香族炭化水素基が好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、及びナフタレン-2-イル基が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基の中では、フェニル基が好ましい。
Are1としての芳香族基が有してもよい置換基は、Re1、Re2、Re3、Re4、Re5、及びRe6としての有機基がフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基である場合に、これらの基が有してもよい置換基と同様である。
【0296】
式(e1)で表されるアミン化合物の好適な具体例としては、トリフェニルアミン、N,N-ジフェニルベンジルアミン、N-フェニルジベンジルアミン、トリベンジアルミン、N,N-ジメチルフェニルアミン、N-メチルジフェニルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルジベンジルアミン、N-メチル-N-ベンジルフェニルアミン、N,N-ジエチルフェニルアミン、N-エチルジフェニルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、N-エチルジベンジルアミン、及びN-エチル-N-ベンジルフェニルアミンが挙げられる。
【0297】
式(e2)で表されるイミン化合物の好適な具体例としては、N-ベンジルフェニルメタンイミン、N-ベンジルジフェニルメタンイミン、N-ベンジル-1-フェニルエタンイミン、及びN-ベンジルプロパン-2-イミンが挙げられる。
【0298】
感光性組成物における含窒素化合物(E)の含有量は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。含窒素化合物(E)の含有量は、光重合性化合物(A)の質量に対して、5質量%以上25質量%以下が好ましく、7質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0299】
<トリアジン化合物(F)>
感光性組成物を用いて形成される材料を高屈折率化させる目的で、感光性組成物は、トリアジン化合物(F)として、下記式(F1)で表される化合物を含んでいてもよい。
【化55】
【0300】
式(F1)中、RF1、RF2、及びRF3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい単環式芳香族基、又は置換基を有してもよい縮合式芳香族基である。
ただし、RF1、RF2、及びRF3は、ラジカル重合性基含有基、又はカチオン重合性基含有基を含まない。
単環式芳香族基、又は縮合式芳香族基が置換基を有する場合、置換基が芳香環を含まない。
トリアジン環に結合している3つの-NH-基は、それぞれ、RF1、RF2、及び、RF3中の芳香環に結合する。
【0301】
RF1、RF2、及びRF3としての単環式芳香族基は、芳香族炭化水素基であっても、芳香族複素環基であってもよい。単環式芳香族基としては、フェニル基、ピリジニル基、ピミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、フラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、及びチアゾリル基等が挙げられる。
【0302】
単環式芳香族基が有してもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、及び1価の有機基が挙げられる。ただし、1価の有機基は、芳香環を含まない。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
1価の有機基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、及び脂肪族アシルチオ基等が挙げられる。
【0303】
置換基としての1価の有機基の炭素原子数は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。置換基としての1価の有機基の炭素原子数としては、例えば1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下がさらに好ましい。アルコキシアルキル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキルチオ基、及び脂肪族アシルチオ基については、その炭素原子数の下限は2である。
【0304】
置換基としてのアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、及びn-オクチル基が挙げられる。
【0305】
置換基としてのアルコキシ基の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-へプチルオキシ基、及びn-オクチルオキシ基が挙げられる。
【0306】
置換基としてのアルコキシアルキル基の好ましい具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロピルオキシメチル基、n-ブチルオキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロピルオキシエチル基、2-n-ブチルオキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピルオキシ基、3-エトキシ-n-プロピルオキシ基、3-n-プロピルオキシ-n-プロピルオキシ基、3-n-ブチルオキシ-n-プロピルオキシ基、4-メトキシ-n-ブチルオキシ基、4-エトキシ-n-ブチルオキシ基、4-n-プロピルオキシ-n-ブチルオキシ基、4-n-ブチルオキシ-n-ブチルオキシ基が挙げられる。
【0307】
置換基としての脂肪族アシル基の好ましい具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、及びオクタノイル基が挙げられる。
【0308】
置換基としての脂肪族アシルオキシ基の好ましい具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、及びオクタノイルオキシ基が挙げられる。
【0309】
置換基としてのアルコキシカルボニル基の好ましい具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-へプチルオキシカルボニル基、及びn-オクチルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0310】
置換基としてのアルキルチオ基の好ましい具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、n-へプチルチオ基、及びn-オクチルチオ基が挙げられる。
【0311】
置換基としての脂肪族アシルチオ基の好ましい具体例としては、アセチルチオ基、プロピオニルチオ基、ブタノイルチオ基、ペンタノイルチオ基、ヘキサノイルチオ基、ヘプタノイルチオ基、及びオクタノイルチオ基が挙げられる。
【0312】
単環式芳香族基が置換基を有する場合、置換基の数は、所望する効果が損なわれない限りにおいて特に限定されない。単環式芳香族基が置換基を有する場合、置換基の数は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
単環式芳香族基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は互いに異なっていてもよい。
【0313】
以上説明した、置換基を有してもよい単環式芳香族基としては、フェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、2-シアノフェニル基、2,3-ジシアノフェニル基、2,4-ジシアノフェニル基、2,5-ジシアノフェニル基、2,6-ジシアノフェニル基、3,4-ジシアノフェニル基、3,5-ジシアノフェニル基、4-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、2-ニトロフェニル基、4-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、2-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、2-ブロモフェニル基、4-ヨードフェニル基、3-ヨードフェニル基、2-ヨードフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、及び2-メチルフェニル基が挙げられる。
【0314】
これらの基の中では、フェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、2-シアノフェニル基、4-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、及び2-ニトロフェニル基が好ましく、フェニル基、及び4-シアノフェニル基がより好ましい。
【0315】
RF1、RF2、及びRF3としての縮合式芳香族基は、2以上の芳香族単環が縮合した縮合多環から1つの水素原子を除いた基である。縮合式芳香族基を構成する芳香族単環の数は特に限定されない。縮合式芳香族基を構成する芳香族単環の数は、2又は3が好ましく、2がより好ましい。つまり、縮合式芳香族基としては、二環縮合式芳香族基、又は三環縮合式芳香族基が好ましく、二環縮合式芳香族基がより好ましい。
縮合式芳香族基は、芳香族炭化水素基であっても、芳香族複素環基であってもよい。
【0316】
二環縮合式芳香族基としては、例えば、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、キノリン-2-イル基、キノリン-3-イル基、キノリン-4-イル基、キノリン-5-イル基、キノリン-6-イル基、キノリン-7-イル基、キノリン-8-イル基、イソキノリン-1-イル、イソキノリン-3-イル基、イソキノリン-4-イル基、イソキノリン-5-イル基、イソキノリン-6-イル基、イソキノリン-7-イル基、及びイソキノリン-8-イル基、ベンゾオキサゾール-2-イル基、ベンゾオキサゾール-4-イル基、ベンゾオキサゾール-5-イル基、ベンゾオキサゾール-6-イル基、ベンゾオキサゾール-7-イル基、ベンゾチアゾール-2-イル基、ベンゾチアゾール-4-イル基、ベンゾチアゾール-5-イル基、ベンゾチアゾール-6-イル基、及びベンゾチアゾール-7-イル基等が挙げられる。
【0317】
三環縮合式芳香族基としては、例えば、アントラセン-1-イル基、アントラセン-2-イル基、アントラセン-9-イル基、フェナントレン-1-イル基、フェナントレン-2-イル基、フェナントレン-3-イル基、フェナントレン-4-イル基、フェナントレン-9-イル基、アクリジン-1-イル基、アクリジン-2-イル基、アクリジン-3-イル基、アクリジン-4-イル基、及びアクリジン-9-イル基が挙げられる。
【0318】
二環縮合式芳香族基、及び三環縮合式芳香族基等の多環縮合式芳香族基が有してもよい置換基は、単環式芳香族基が有してもよい置換基と同様である。
【0319】
以上説明した、置換基を有してもよい縮合環式芳香族基としては、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、キノリン-2-イル基、キノリン-3-イル基、キノリン-4-イル基、キノリン-5-イル基、キノリン-6-イル基、キノリン-7-イル基、キノリン-8-イル基、ベンゾチアゾール-2-イル基、2-メルカプトベンゾチアゾール-6-イル基が好ましい。
【0320】
これらの基の中では、ナフタレン-1-イル基、及びキノリン-3-イル基、キノリン-4-イル基、及び2-メルカプトベンゾチアゾール-6-イル基が好ましく、ナフタレン-1-イル基がより好ましい。
【0321】
以上説明した式(F1)で表される化合物の中では、感光性組成物を用いて形成される材料の屈折率と、表面外観と、耐熱性とがバランスよく優れることから、RF1、RF2、及びRF3のうちの1つ又は2つが、置換基を有してもよいナフチル基であり、RF1、RF2、及びRF3のうちの1つ又は2つが、4-シアノフェニル基、又はベンゾチアゾリル基である化合物が好ましい。置換基を有してもよいナフチル基としては、ナフタレン-1-イル基が好ましい。
【0322】
式(F1)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。
【0323】
【0324】
式(F1)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。典型的には、塩化シアヌル等のハロゲン化シアヌルを、RF1-NH2、RF2-NH2、及びRF3-NH2で表される芳香族アミンと反応させることにより製造することができる。これらの複数種のアミンは、同時にハロゲン化シアヌルと反応させても、順次ハロゲン化シアヌルと反応させてもよく、順次ハロゲン化シアヌルと反応させるのが好ましい。
【0325】
式(F1)で表される化合物は、通常、有機溶媒中で合成される。かかる有機溶媒としては、ハロゲン化シアヌル、芳香族アミン、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基等と反応しない不活性な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、後述する溶媒(S)の具体例として例示される有機溶媒等を用いることができる。
式(F1)で表される化合物を製造する際に、ハロゲン化シアヌルと、RF1-NH2、RF2-NH2、及びRF3-NH2で表される芳香族アミン等の芳香族アミン類とを反応させる際の温度は特に限定されない。典型的には、反応温度は、0℃以上150℃以下が好ましい。
【0326】
感光性組成物におけるトリアジン化合物(F)の含有量は、所望する効果が阻害されない範囲で特に限定されない。感光性組成物におけるトリアジン化合物(F)の含有量は、後述する溶媒(S)の質量を除いた感光性組成物の質量を100質量部としたときに、例えば、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.3質量部以上20質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。
【0327】
<溶媒(S)>
感光性組成物は、塗布性の調整の目的等で溶媒(S)を含んでいてもよい。溶媒(S)の種類は、所望する効果が阻害されない限り特に限定されない。
【0328】
溶媒(S)の好適な例としては、としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-C(CH3)HCH2-O-CH3、又はH3C-O-C(CH3)HCH2-OH)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH2CH3)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-C(CH3)HCH2-O-CH2CH3、又はH3CH2C-O-C(CH3)HCH2-OH)、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH2CH2CH3)、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-C(CH3)HCH2-O-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-C(CH3)HCH2-OH)、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH2CH2CH2CH3)、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-C(CH3)HCH2-O-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-C(CH3)HCH2-OH)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH3)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH3、又はH3C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH3)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH3、又はH3CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-(CH2CH2CH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-(CH2CH2CH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)3-CH2CH3)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(H3C-O-(C(CH3)HCH2-O)3-H)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)3-CH2CH3)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)3-CH2CH3、又はH3CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)3-H)等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられ、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
【0329】
インクジェット印刷法による塗布を良好に行える点から、溶媒(S)が、大気圧下での沸点が140℃以上である溶媒を含むのが好ましく、大気圧下での沸点が170℃以上である高沸点溶媒(S1)を含むのがより好ましい。
【0330】
大気圧下での沸点が140℃以上である溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH3)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH2CH3)、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH2CH2CH3)、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-C(CH3)HCH2-O-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-C(CH3)HCH2-OH)、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH2CH2CH2CH3)、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-C(CH3)HCH2-O-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-C(CH3)HCH2-OH)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH3)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH3、又はH3C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH3)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH3、又はH3CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-(CH2CH2CH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-(CH2CH2CH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)3-CH2CH3)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(H3C-O-(C(CH3)HCH2-O)3-H)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)3-CH2CH3)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)3-CH2CH3、又はH3CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)3-H)、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酪酸n-ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0331】
高沸点溶媒(S1)の具体例としては、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-CH2CH2CH2-O-CH2CH2CH2CH3)、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-C(CH3)HCH2-O-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-C(CH3)HCH2-OH)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH3)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH3、又はH3C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH3)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH3、又はH3CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-(CH2CH2CH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)2-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-(CH2CH2CH2-O)2-H)、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)2-CH2CH2CH2CH3、又はH3CH2CH2CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)2-H)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)3-CH2CH3)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(H3C-O-(C(CH3)HCH2-O)3-H)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(CH2CH2CH2-O)3-CH2CH3)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(HO-(C(CH3)HCH2-O)3-CH2CH3、又はH3CH2C-O-(C(CH3)HCH2-O)3-H)、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ヒドロキシ酢酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル、及びN-メチルピロリドンが挙げられる。
【0332】
所望する効果を得やすい点で、溶媒(S)の質量に対する、沸点140℃以上の溶媒、又は沸点170℃以上の高沸点溶媒(S1)の質量の比率は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がさらにより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
【0333】
溶媒(S)の含有量は、感光性組成物の溶媒(S)以外の成分の濃度が1質量%以上99質量%以下となる量が好ましく、5質量%以上50質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
【0334】
<その他の成分>
感光性組成物は、必要に応じて、上記の成分以外のその他成分として各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、分散剤、シランカップリング剤等の密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
これらの添加剤の使用量は、感光性組成物においてこれらの添加剤が通常使用される量を勘案して適宜定められる。
【0335】
≪硬化物の製造方法≫
以上説明した感光性組成物を、所望する形状に成形した後、開始剤(C)の種類に応じて感光性組成物に対して露光を行うことにより硬化物を製造できる。
【0336】
感光性組成物の成形方法としては特に限定されず、硬化物の形状に応じて適宜選択される。成形方法としては、例えば、塗布や、型への注型等が挙げられる。
以下、硬化物の製造方法の代表例として、硬化膜の製造方法について説明する。
【0337】
まず、感光性組成物を、所望する基板上に塗布して塗布膜を形成した後に、必要に応じて、塗布膜から溶媒(S)の少なくとも一部を除去して塗布膜を形成する。
【0338】
基板上に感光性組成物を塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて、硬化性組成物を基板上に所望の膜厚となるよう塗布して塗布膜を形成できる。
また、塗布膜の形成方法として、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法等の印刷法を適用することもできる。前述の通り、上記の感光性組成物は、急激に乾燥、インクジェットヘッドにおいて増粘したり固化したりしにくい。このため、上記の感光性組成物を用いることにより、インクジェット印刷法による塗布を良好に行うことができる。
【0339】
感光性組成物を基板上に塗布した後に、必要に応じて塗布膜をベークして、塗布膜から溶媒(S)の少なくとも一部を除去するのが好ましい。ベーク温度は、溶媒(S)の沸点等を勘案して適宜定められる。ベークは、減圧条件下に低温で行われてもよい。
【0340】
ベークの方法としては、特に限定されず、例えばホットプレートを用いて80℃以上150℃以下、好ましくは85℃以上120℃以下の温度において60秒以上500秒以下の時間乾燥する方法が挙げられる。
【0341】
以上のようにして形成される塗布膜の膜厚は特に限定されない。塗布膜の膜厚は、硬化膜の用途に応じて適宜決定される。塗布膜の膜厚は、典型的には、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは0.2μm以上5μm以下の膜厚の硬化膜が形成されるように適宜調整される。
【0342】
上記の方法により塗布膜を形成した後、塗布膜に対して露光を行うことにより、硬化膜を得ることができる。
【0343】
塗布膜を露光する条件は、硬化が良好に進行する限り特に限定されない。露光は、例えば、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射することにより行われる。照射するエネルギー線量は特に制限はないが、例えば30mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下が挙げられる。露光後には塗布後の加熱と同様の方法により、露光された塗布膜をベークしてもよい。
【実施例0344】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0345】
〔合成例1〕
容量500mLの反応器に、炭酸カリウム(16.05g,0.12mol)、アクリル酸(8.37g,0.12mol)、及びNMP200mLを加えた。得られた溶液を室温で10分間攪拌した。この溶液に、4-(ブロモメチル)ベンゾフェノン(21.30g,0.08mol)を加えた。4-(ブロモメチル)ベンゾフェノンが加えられた溶液を、40℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却し、トルエンで分液し、生成物を有機相に抽出した。有機相から溶媒を除去して得られた粗組成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物1を20.1g(収率97%)得た。化合物1の
1H-NMRの測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(DMSO):5.12(s、2H)、5.83(dd、1H)、6.12(dd、1H)、6.41(dd、1H)、7.30-7.81(m、9H)
【化57】
【0346】
以下、実施例、及び比較例において、化合物(A1)として、化合物1を用いた。また、多官能化合物(A2-1)として、下記化合物2及び化合物3を用いた。さらに、化合物(A1)に対する比較化合物として、下記化合物4を用いた。
化合物2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
化合物3:ジペンタエリスリトールEO付加物ヘキサ/ペンタアクリレート(主成分はジペンタエリスリトールEO付加物ヘキサアクリレートだが、ジペンタエリスリトールEO付加物ペンタアクリレートも含む)
化合物4:2-(2-アクリロイルオキシエチル)オキシビフェニル
【0347】
無機微粒子(B)としては、平均粒子径10nmの表面処理された酸化チタン微粒子(TiO2)と、平均粒子径10nmの表面処理された酸化ジルコニウム微粒子(ZrO2)を用いた。
溶媒(S)としては、下記のS1~S3を用いた。
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S2:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
S3:トリプロピレングリコールモノメチルエーテルと、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルとの等量(質量)混合溶媒
【0348】
〔実施例1、及び比較例1〕
表1に記載の種類及び量の光重合性化合物(A)と、開始剤(C)としてのビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド1質量部とを、これらの成分の質量の合計が、感光性組成物の質量に対して10質量%であるように、表1に記載の種類の溶媒(S)に溶解、分散させて、実施例1、及び比較例1の感光性組成物を得た。
【0349】
得られた感光性組成物を用いて、以下の方法に従い、硬化膜の作製と、硬化率及び膜減りの評価とを行った。これらの評価結果を表1に記す。
【0350】
<硬化率評価>
シリコン基板上に、感光性組成物を塗布した後、感光性組成物からなる膜を100℃で2分間加熱して、膜厚0.2μmの塗布膜を形成した。形成された塗布膜に、露光量5J/cm2で露光を行った。露光前後での、炭素-炭素不飽和二重結合の反応率を、FT-IR分析におけるC=Cに相当するピーク(1408cm-1)の減少率に基づいて算出した。FT-IR分析には、FT-IR分光装置(Thermo Fisher Scientific社製)を用いた。算出された減少率から、以下の基準に従い硬化率を評価した。
〇:減少率95%以上
△:減少率90%以上95%未満
×:減少率90%未満
【0351】
<膜減り評価>
シリコン基板上に、感光性組成物を塗布した後、感光性組成物からなる膜を100℃で2分間加熱して、膜厚0.2μmの塗布膜を形成した。形成された塗布膜に、露光量5J/cm2で露光を行った。露光により得られた硬化膜を、100℃で10分間加熱した。加熱前後の硬化膜の厚さから、硬化膜の膜厚減少率を求めた。硬化膜の膜厚は回転補償型高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam Japan社製)を用いて測定した。算出された膜厚減少率から、以下の基準に従い膜減りを評価した。
○:膜厚減少率5%以下
△:膜厚減少率5%超10%以下
×:膜厚減少率10%超
【0352】
【0353】
実施例1と、比較例1との比較によれば、前述の式(A1)に含まれる構造の光重合性化合物(A)である化合物(A1)と、多官能化合物(A2-1)とを組み合わせて含む実施例の感光性組成物は、良好に硬化しやすく、加熱により質量減少しにくい硬化膜を与えることが分かる。
他方、光重合性化合物(A)として、前述の式(A1)に含まれる構造の化合物(A1)を含まない、比較例の感光性組成物は、良好に硬化しにくく、加熱により質量減少しやすい硬化膜を与えることが分かる。
【0354】
〔実施例2~37、比較例2、及び比較例3〕
それぞれ表2及び表3に記載の種類及び量の、光重合性化合物(A)、及び無機微粒子(B)と、開始剤(C)としてのビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド1質量部とを、これらの成分の質量の合計が、感光性組成物の質量に対して10質量%であるように、表2及び表3に記載の種類の溶媒(S)に溶解、分散させて、実施例2~37、比較例2、及び比較例3の感光性組成物を得た。
【0355】
得られた感光性組成物を用いて、以下の方法に従い、硬化膜の作製と、硬化率及び膜減りの評価とを行った。これらの評価結果を表2及び表3に記す。
【0356】
<硬化率評価>
シリコン基板上に、感光性組成物を塗布した後、感光性組成物からなる膜を100℃で2分間加熱して、膜厚0.2μmの塗布膜を形成した。形成された塗布膜に、露光量5J/cm2で露光を行った。露光前後での、炭素-炭素不飽和二重結合の反応率を、FT-IR分析におけるC=Cに相当するピーク(1408cm-1)の減少率に基づいて算出した。FT-IR分析には、FT-IR分光装置(Thermo Fisher Scientific社製)を用いた。算出された減少率から、以下の基準に従い硬化率を評価した。
◎:減少率90%以上
〇:減少率85%以上90%未満
△:減少率80%以上85%未満
×:減少率80%未満
【0357】
<膜減り評価>
シリコン基板上に、感光性組成物を塗布した後、感光性組成物からなる膜を100℃で2分間加熱して、膜厚0.2μmの塗布膜を形成した。形成された塗布膜に、露光量5J/cm2で露光を行った。露光により得られた硬化膜を、100℃で10分間加熱した。加熱前後の硬化膜の厚さから、硬化膜の膜厚減少率を求めた。硬化膜の膜厚は回転補償型高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam Japan社製)を用いて測定した。算出された膜厚減少率から、以下の基準に従い膜減りを評価した。
○:膜厚減少率1%以下
△:膜厚減少率1%超5%以下
×:膜厚減少率5%超
【0358】
【0359】
【0360】
実施例2~37と、比較例2及び比較例3との比較によれば、前述の式(A1)に含まれる構造の光重合性化合物(A)である化合物(A1)と、多官能化合物(A2-1)とを組み合わせて含む実施例の感光性組成物は、良好に硬化しやすく、加熱により質量減少しにくい硬化膜を与えることが分かる。
他方、光重合性化合物(A)として、前述の式(A1)に含まれる構造の化合物(A1)を含まない、比較例の感光性組成物は、良好に硬化しにくく、加熱により質量減少しやすい硬化膜を与えることが分かる。