(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060544
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】小型測定器およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
G01B21/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167993
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】菊池 真央
(72)【発明者】
【氏名】倉田 智陽
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA01
2F069DD12
2F069DD27
2F069GG01
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG31
2F069HH11
2F069MM04
(57)【要約】
【課題】基点(原点)設定指示や測定開始指示にあたって、ユーザの操作によって測定器の位置や姿勢にずれが生じることがなく、測定精度が向上する測定器を提供する。
【解決手段】 小型測定器は、本体部に設けられ、測定対象物の位置を検出する位置検出器と、フォトセンサと、全体の動作を制御する中央制御部と、を備える。フォトセンサが、少なくとも、ユーザによる基点設定指示を受け付ける入力デバイスとして機能する。中央制御部は、フォトセンサを介してユーザによる基点設定指示を受けたとき、位置検出器にて検出された測定対象物の位置を基点としてセッする基点設定工程を行い、その後、測定対象物の位置を基点からの相対位置として測定する測定工程を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型測定器であって、
本体部と、
前記本体部に設けられ、接触または非接触により測定対象物の位置を検出する位置検出器と、
非接触でユーザの指示を感知する非接触入力センサと、
全体の動作を制御する中央制御部と、を備え、
前記非接触入力センサが、少なくとも、ユーザによる基点設定指示を受け付ける入力デバイスとして機能でき、
前記中央制御部は、
前記非接触入力センサを介してユーザによる基点設定指示を受けたとき、
前記位置検出器にて検出された前記測定対象物の位置を基点として設定する基点設定工程を行い、
その後、前記測定対象物の位置を前記基点からの相対位置として測定する測定工程を実行する
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の小型測定器において、
前記非接触入力センサは、フォトセンサである
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項3】
請求項1に記載の小型測定器において、
前記非接触入力センサは、人感センサである
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項4】
請求項1に記載の小型測定器において、
前記非接触入力センサは、非接触タッチパネルである
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型測定器において、
さらに、時間を計測するタイマーを有し、
前記中央制御部は、ユーザが前記非接触入力センサを介して行った操作継続時間を計測し、
前記操作継続時間に応じて予め決められたモード切り替えを実行する
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型測定器において、
前記中央制御部は、前記測定工程の実行中に前記非接触入力センサを介して受け付け可能な入力指示の種類を記憶しており、
前記測定工程の実行中に前記非接触入力センサを介してユーザからの入力指示を受け付け、前記入力指示に応じたモード切り替えを実行する
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型測定器において、
前記位置検出器は、
一軸の測定軸を有する検出器である
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型測定器において、
前記位置検出器は、
前記本体部に進退可能に設けられ、測定対象物に当接する可動部材と、
前記可動部材の位置を検出するエンコーダと、を有する
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型測定器において、
当該小型測定器はユーザが手に持って持ち運びできる可搬の小型測定器であって、
測定対象に対して相対姿勢または位置を保持するようにスタンドに取り付けられるものである
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型測定器において、
さらに、時間を計測するタイマーを有し、
さらに、前記中央制御部は、ユーザによる基点再設定待機時間の設定を受けて前記基点再設定待機時間を記憶し、
前記測定工程を実行中に、前記基点再設定待機時間のインターバルで前記基点設定工程を繰り返す
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項11】
請求項10に記載の小型測定器において、
前記基点再設定待機時間は前記非接触センサを介して入力され、
前記中央制御部は、前記非接触センサを介して入力される前記基点再設定待機時間を記憶する
ことを特徴とする小型測定器。
【請求項12】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型測定器の使用方法であって、
ユーザは、測定対象と当該小型測定器との相対位置または姿勢の調整を完了したのち、前記非接触入力センサを介して基点設定指示を入力する
ことを特徴とする小型測定器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型測定器およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の寸法等を測定する小型の測定器(スモールツール)として、ノギス、マイクロメータ、ダイヤルゲージ(インジケータ)、てこ式ダイヤルゲージ(テストインジケータ)、ハイトゲージなどが広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6472309号
【特許文献2】特許第5192144号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイヤルゲージやてこ式ダイヤルゲージでは、測定子をワーク、マスターワークあるいはゲージブロックに当接させた状態で基点(原点)設定を行うことが多い。このとき、ユーザはボタン操作で基点(原点)の取り込み設定を行っている。しかしながら、ユーザがボタン操作をすると測定器を押すことになるので、このとき測定器の位置や姿勢が動いてしまう。すると、基点(原点)もずれるし、正しい姿勢に調整した測定器とワーク(あるいはゲージ)との姿勢もズレてしまい、その後の測定に誤差を含む要因になる。
【0005】
本発明の目的は、基点(原点)設定指示や測定開始指示にあたって、ユーザの操作によって測定器の位置や姿勢にずれが生じることがなく、測定精度が向上する測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の小型測定器は、
小型測定器であって、
本体部と、
前記本体部に設けられ、接触または非接触により測定対象物の位置を検出する位置検出器と、
時間を計測するタイマーと、
全体の動作を制御する中央制御部と、を備え、
前記中央制御部は、ユーザによる基点設定待機時間の設定を受けて前記基点設定待機時間を記憶し、
前記中央制御部がユーザによる計時開始の指示を受けた後、前記基点設定待機時間の経過を計測し、
前記基点設定待機時間の経過後に、前記位置検出器にて検出された前記測定対象物の位置を基点として設定する基点設定工程を行い、
その後、前記測定対象物の位置を前記基点からの相対位置として測定する測定工程を実行する
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態では、
さらに、前記中央制御部は、前記測定工程を実行中に、前記基点設定待機時間のインターバルで前記基点設定工程を繰り返す
ことが好ましい。
【0008】
本発明の一実施形態では、
さらに、前記中央制御部は、ユーザによる基点再設定待機時間の設定を受けて前記基点再設定待機時間を記憶し、
前記測定工程を実行中に、前記基点再設定待機時間のインターバルで前記基点設定工程を繰り返す
ことが好ましい。
【0009】
本発明の一実施形態では、
前記位置検出器は、
一軸の測定軸を有する検出器である
ことが好ましい。
【0010】
本発明の一実施形態では、
前記位置検出器は、
前記本体部に進退可能に設けられ、測定対象物に当接する可動部材と、
前記可動部材の位置を検出するエンコーダと、を有する
ことが好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態では、
当該小型測定器はユーザが手に持って持ち運びできる可搬の小型測定器であって、
測定対象に対して相対姿勢または位置を保持するようにスタンドに取り付けられるものである
ことが好ましい。
【0012】
本発明の一実施形態では、
ユーザが計時開始を指示する入力デバイスは前記本体部に設けられている
ことが好ましい。
【0013】
本発明の小型測定器の使用方法では、
ユーザは、計時開始の指示の後、前記基点設定待機時間が経過するまでに、測定対象と当該小型測定器との相対位置または姿勢の調整を完了する
ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の小型測定器は、
小型測定器であって、
本体部と、
前記本体部に設けられ、接触または非接触により測定対象物の位置を検出する位置検出器と、
非接触でユーザの指示を感知する非接触入力センサと、
全体の動作を制御する中央制御部と、を備え、
前記非接触入力センサが、少なくとも、ユーザによる基点設定指示を受け付ける入力デバイスとして機能でき、
前記中央制御部は、
前記非接触入力センサを介してユーザによる基点設定指示を受けたとき、
前記位置検出器にて検出された前記測定対象物の位置を基点として設定する基点設定工程を行い、
その後、前記測定対象物の位置を前記基点からの相対位置として測定する測定工程を実行する
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の一実施形態では、
前記非接触入力センサは、フォトセンサである
ことが好ましい。
【0016】
本発明の一実施形態では、
前記非接触入力センサは、人感センサである
ことが好ましい。
【0017】
本発明の一実施形態では、
前記非接触入力センサは、非接触タッチパネルである
ことが好ましい。
【0018】
本発明の一実施形態では、
さらに、時間を計測するタイマーを有し、
前記中央制御部は、ユーザが前記非接触入力センサを介して行った操作継続時間を計測し、
前記操作継続時間に応じて予め決められたモード切り替えを実行する
ことが好ましい。
【0019】
本発明の一実施形態では、
前記中央制御部は、前記測定工程の実行中に前記非接触入力センサを介して受け付け可能な入力指示の種類を記憶しており、
前記測定工程の実行中に前記非接触入力センサを介してユーザからの入力指示を受け付け、前記入力指示に応じたモード切り替えを実行する
ことが好ましい。
【0020】
本発明の一実施形態では、
前記位置検出器は、
一軸の測定軸を有する検出器である
ことが好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態では、
前記位置検出器は、
前記本体部に進退可能に設けられ、測定対象物に当接する可動部材と、
前記可動部材の位置を検出するエンコーダと、を有する
ことが好ましい。
【0022】
本発明の一実施形態では、
当該小型測定器はユーザが手に持って持ち運びできる可搬の小型測定器であって、
測定対象に対して相対姿勢または位置を保持するようにスタンドに取り付けられるものである
ことが好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態では、
さらに、時間を計測するタイマーを有し、
さらに、前記中央制御部は、ユーザによる基点再設定待機時間の設定を受けて前記基点再設定待機時間を記憶し、
前記測定工程を実行中に、前記基点再設定待機時間のインターバルで前記基点設定工程を繰り返す
ことが好ましい。
【0024】
本発明の一実施形態では、
前記基点再設定待機時間は前記非接触センサを介して入力され、
前記中央制御部は、前記非接触センサを介して入力される前記基点再設定待機時間を記憶する
ことが好ましい。
【0025】
本発明の小型測定器の使用方法では、
ユーザは、測定対象と当該小型測定器との相対位置または姿勢の調整を完了したのち、前記非接触入力センサを介して基点設定指示を入力する
ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図3】インジケータの使用にあたってユーザ操作の手順を表したフローチャートである。
【
図4】インジケータの動作を表したフローチャートである。
【
図5】インジケータでワークWの振れ測定をする様子を例示した図である。
【
図7】第二実施形態におけるインジケータの外観および動作例を示す図である。
【
図8】第二実施形態において、インジケータの使用にあたってユーザ操作の手順を表したフローチャートである。
【
図9】第二実施形態において、インジケータの動作を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態を説明する。
本実施形態の小型測定器は、ユーザが手に持って持ち運びできる可搬式の小型測定器であって、測定対象物に対して相対姿勢または位置を保持するようにスタンドに取り付けられた状態で使用されることを想定している。測定対象としては、測定対象物の表面性状、輪郭形状、寸法(例えば比較測長による高さや幅)、円周振れ、全振れ、平面度、平行度といった微小変位測定や、マスターワーク(またはブロックゲージ)に対する加工製品の加工誤差などを想定している。このような測定器としては、例えば、ダイヤルゲージ、てこ式ダイヤルゲージがある。(この種の測定器の呼び方としては、インジケータ、テストインジケータ、デジタルインジケータ、デジタルテストインジケータ、リニアゲージ、ハイトゲージなどとも呼称される。)
【0028】
本実施形態では、いわゆるデジタルインジケータ100(以下、インジケータという)を例に説明する。
図1は、インジケータ100の外観図である。
インジケータ100は、スピンドル120の変位を表示部130にデジタル表示する。
インジケータ100は、測定器本体部110と、スピンドル(可動部材)120と、表示部130と、複数のボタン(入力手段)140と、電気回路部150と、を備える。
【0029】
測定器本体部110は、短円筒状のケース体である。
スピンドル120は、先端に測定子を有し、測定器本体部110を貫くように軸方向に進退可能に支持されている。測定器本体部110の内部にはスピンドル120の変位を検出するエンコーダ151が内蔵されている。エンコーダ151は、対象物の変位(あるいは絶対位置)に応じて電気信号を出力するセンサであり、リニアエンコーダ、ロータリーエンコーダがある。エンコーダの検出方式としては、光電式、静電容量式、電磁誘導式、磁気式などの検出方式がある。
【0030】
ここでは、スピンドル120とエンコーダ151とにより、測定対象物の位置(または変位)を検出する位置検出器が構成されている。
【0031】
表示部130は、測定器本体部110の正面側端面のほぼ中央領域に配置されている。表示部130は、例えば液晶表示パネルである。なお、表示部130として、セグメント方式あるいはドットマトリックス方式の液晶表示パネルの他、有機ELパネル、あるいは、電子ペーパーでもよい。
【0032】
表示部130には、数値表示領域と、アナログスケール表示領域と、がある。
数値表示領域には、数値が示される。ここに示される数値の意味は、そのとき選択されているモードによって異なる。例えば、測定モードであれば、数値表示領域の数値は測定値そのものである。測定値は、例えば、校正によって設定された基点(原点)からの差として表される。
【0033】
あるいは、ホールドモードのときは、測定値(表示値)を固定して表示する。例えば、ユーザ設定により、最大値(Max)をホールド表示する場合や、最小値(Min)をホールド表示する場合がある。あるいは、最大値と最小値との真ん中の値(ここではこれを中間値とする)をホールド表示(中間値ホールド表示)するようにしてもよい。さらに、振れ測定における振れ幅(最大値-最小値、Tir)をホールド表示するようにしてもよい。
【0034】
あるいは、公差設定モードやプリセットモードのとき、数値表示領域の数値は、ユーザが入力手段(ボタン140)で入力した公差やプリセット値を示す。
【0035】
アナログスケール表示領域には、円弧状の目盛と、目盛と合わせて表示制御されるいくつかのマークと、が表示される。円弧状の目盛には、測定値(表示値)に合わせて、指針メータを模したマークが点灯、移動、または増減するように表示される。また、円弧状の目盛に合わせて、上限値である最大公差を示すマークや、下限値である最小公差を示すマークが表示されてもよい。
【0036】
次に、入力手段について説明する。
入力手段としては、複数のボタン140が設けられている。複数のボタン140は、測定器本体部110の正面側端面において表示部130の下に配置されている。これらのボタン140には、例えば、モードの切り替え指示や、数値の取込み指示などの機能が割り当てられている。本実施形態では、ボタン140の操作によって、ユーザは、任意の長さの時間を設定入力できる。
"時間"については後述する。
また、本実施形態では、ボタン140の操作によって、ユーザは、計時開始の指示を入力できる。
【0037】
図2は、電気回路部150の機能ブロック図である。
電気回路部150として、全体動作を制御する中央制御部160と、時間を計測するタイマー170と、各種の設定値あるいは測定値を記憶する記憶部180と、を有する。
【0038】
中央制御部160は、エンコーダ151からの検出信号に基づいてスピンドル120の位置(あるいは変位)をカウントするカウンタを有している。中央制御部160は、カウンタの値等を表示部130に表示させる。中央制御部160の具体的な機能およびその制御動作については後述する。
【0039】
図3、
図4のフローチャートを参照しながら本実施形態のインジケータ100の使用方法を説明する。
図3は、インジケータ100の使用にあたってユーザ操作の手順を表したフローチャートである。
図4は、インジケータ100の動作であり、主として中央制御部160の動作を表したフローチャートである。
【0040】
まず、ST111およびST112において、ユーザはインジケータ100とワーク(測定対象物)Wの設置を行う。
ここでは、
図5に例示するような旋盤20で円筒(または円柱)形のワークWを回転させながら、ワークWの振れ(円周振れまたは全振れ)を測定する場合を説明する。
ユーザは、インジケータ100をスタンド10に取り付ける。また、ユーザは、ワークWを旋盤20のチャックに取り付ける。このとき、ユーザは、インジケータ100のスピンドル120(の延長線)が旋盤20の回転軸(の延長線)に対して垂直になるようにする。旋盤20の回転軸が水平であるならば、インジケータ100のスピンドル120が鉛直線に平行になるようにインジケータ100をスタンド10に取り付ける。そして、鉛直線に沿って真上から、スピンドル120をワークWにアプローチさせるようにする。
【0041】
この時点でインジケータ100とワークWとの相対姿勢を正確に調整しておくことが望ましい。ただし、このあとに最終調整の機会があるので、相対姿勢の調整が完全でなくてもよい。
【0042】
次に、ユーザは、ST113において、ボタン140の操作により、基点設定の待機時間および繰り返し回数の設定を行う。ここでは、基点設定の待機時間として、二つの時間を設定できるものとする。一つは、基点設定待機時間であり、もう一つは、基点"再"設定待機時間である。例えば、基点設定待機時間として30秒を設定し、基点再設定待機時間として60秒を設定する。
【0043】
繰り返し回数というのは、基点再設定を繰り返す回数のことである。繰り返し回数というのは、いわゆる測定回数と言い換えてもよい。例えば、繰り返し回数を10回に設定する。
【0044】
設定モードでは、表示部130にユーザが設定入力した基点設定待機時間、基点再設定待機時間、繰り返し回数が表示されるようになっているとよい。
【0045】
設定入力された待機時間(基点設定待機時間、基点再設定待機時間)および繰り返し回数は、インジケータ100の中央制御部160によって受け付けられ、記憶部180に記憶される(
図4のST121)。
【0046】
必要な設定項目が入力された時点で、中央制御部160は、測定開始の指示を待つ待機状態(モード)となる。このあと、ユーザからのタイマースタート指示(ST114)の操作(合図)が測定開始の指示となる。タイマースタートの操作(合図)を受けると、中央制御部160は、設定された待機時間を経過するのを待ってから、基点(原点)設定を行い、さらに、測定動作を行うモードに自動的に遷移する。
【0047】
設定操作(ST113)において、ユーザは、インジケータ100の測定器本体部110に設けられたボタン140を押すことになるから、先にセッティングしたインジケータ100の位置や姿勢が少しずれることになる。そこで、この時点でインジケータ100とワークWとの相対姿勢を再度正確に調整しておくことが望ましい。ただし、このあとに最終調整の機会があるので、相対姿勢の調整が完全でなくてもよい。
【0048】
各種の設定入力が完了したところで、ユーザは、ST114において、ボタン140の操作により、タイマー170の計時開始を指示する。そして、インジケータ100とワークWとの相対姿勢を正確に最終調整する(ST115)。これ以降、ユーザはインジケータ100とワークWとに直接手を触れないようにする。必要であれば、旋盤20の回転スイッチを押すか、旋盤20を手動で回転させることはあるとしても、インジケータ(測定器)100およびワークWに直接手が触れることがないようにする。このあとは、ユーザはインジケータ100の表示値を注視すればよい(ST116)。
【0049】
さて、
図4のST122において、インジケータ100がユーザによるタイマースタート指示(
図3のST114)を受けた場合(ST122:YES)、インジケータ100はタイマー170による時間の計測(計時)を開始し(ST123)、設定された基点設定待機時間(30秒)が経過するのを待つ(ST124)。この基点設定待機時間(30秒間)に、ユーザは、先述のインジケータ100とワークWを最終調整する(ST115)。
【0050】
基点設定待機時間が経過したら(ST124:YES)、中央制御部160は、その時点で基点(原点)設定を行う(基点設定工程:ST125)。すなわち、この時点でエンコーダ151のカウンタ値をゼロにリセットする。(あるいは、この時点の測定値がゼロになるように、オフセット校正するとしてもよい。)表示部130の表示はこの瞬間ゼロになる。
【0051】
基点設定工程(ST125)のあと、中央制御部160は、通常の測定工程(ST126)を実行する。すなわち、測定値を取得して表示部130に表示する。本実施形態では、ワークWの輪郭に歪み(真円からのズレ)があれば、その歪みの分が測定値として表示部130に表示される。
【0052】
測定値は、表示部130に表示される他、測定器(インジケータ100)の内部のメモリ(記憶部180)に記録され、また、無線通信等で外部のデータ収集装置(例えば専用のパソコンやサーバなど)に転送される。
【0053】
また、中央制御部160は、測定工程(ST126)を実行することと並行して基点再設定待機時間を計測(ST123)し、基点再設定待機時間のインターバルで基点設定工程(ST125)を繰り返す。すなわち、設定された繰り返し回数に達していない場合(ST127:NO)、中央制御部160は、タイマー170により、基点再設定待機時間(60秒)の計測(ST123)を行う。(この基点再設定待機時間(60秒)の間は測定工程(ST126)が並行して実行されている。)
【0054】
基点再設定待機時間が経過したら(ST124:YES)、中央制御部160は、その時点で基点(原点)設定(ST125)を行う。このように新たに設定された基点(原点)からの振れが測定値として取得され、表示部130に表示される。これにより、一定時間ごと(60秒ごと)の振れの大きさを捉えることができる。
【0055】
設定された繰り返し回数(10回)に達するまでST123-ST127を繰り返し、所定回数の測定データを取得できたところで終了となる。
【0056】
このような本実施形態の構成によれば、基点(原点)設定工程(ST125)および測定工程(ST126)においてユーザが測定器(インジケータ100)に触れることがなくなる。ユーザは、計時開始指令(タイマースタート指示ST114)でボタン140を押したあと、所定時間(基点設定待機時間)で姿勢調整を完了させる。このあと、待機時間の経過により自動的にインジケータ100が基点(原点)設定を行う。したがって、測定器の測定姿勢が極めて正確となり、測定値にブレがなくなる。また、計時開始指令でボタン140を押す(ST114)ときにはまだ旋盤20は回転しておらず、回転しているワークWに人体や衣服が巻き込まれるような危険が低減する。そして、所定時間(基点再設定待機時間)ごとに自動的に基点(原点)の再設定が行われる。したがって、逐一基点(原点)設定のボタン操作も必要ない。これにより、測定精度、測定効率、安全性のすべてが向上する。
【0057】
測定器に触れないで基点設定操作(あるいは測定動作開始の指示)を遠隔で行う方法としては、カメラのレリーズのように測定器本体部110から有線ケーブルによってボタンを離しておくことも考えられる。しかし、旋盤20で回転するワークWを測定する場合を考えると有線ケーブルは危険である。
無線通信のリモコンで測定器を操作することも考えられる。しかし、多数の測定器に多数のリモコンが用意されるとなると、多数のリモコンを管理するのも大変だし、どのリモコンがどの測定器に対応しているかわからなくなる。また、測定器本体と別体のリモコンは紛失することも多い。
したがって、本実施形態のように、操作ボタン140は測定器本体に設けられていながらも、基点設定や測定時にはユーザの手が測定器に触れないように工夫された測定器は実際のユーザニーズに合致しており利便性が高い。
【0058】
なお、上記実施形態では、基点設定待機時間と基点再設定待機時間とは異なるものとしたが、同じ時間が設定されてもよい。この場合、基点設定待機時間と基点再設定待機時間とは区別する必要はなく、一つの設定時間を用いればよい。
【0059】
ボタン140というのは、機械式の押しボタンの他、例えば、感圧式タッチパネルに表示される「ボタン」であってもよい。
【0060】
測定器としては、接触式の小型測定器に限られず、例えば、非接触式の距離計(測距器)でも本発明は適用できる。レーザー距離センサ(レーザー測距器)、静電容量式変位センサ、焦点式(共焦点、クロマチック式)距離センサなどがある。これらは、インジケータ(ダイヤルゲージ)と同様に測定対象物の表面に垂直な一軸の測定軸を有する測定器(検出器)である点で共通する。
測定軸がワークに垂直でなくてもよく、ワークと測定器との相対姿勢のセッティングが測定精度に影響するような測定器であれば、本発明は効果を発揮できる。
【0061】
なお、接触式の小型測定器として、ノギスやマイクロメータ(マイクロメータヘッド)が本発明の機能を搭載してもよい。
【0062】
(第二実施形態)
次に本発明の第二実施形態を説明する。
第二実施形態の測定器は、基本的には第一実施形態と同じインジケータ100を例とするが、第二実施形態では、フォトセンサを介して基点(原点)設定の指示(測定開始の指示)を行う。
図6は、第二実施形態の機能ブロック図である。
また、
図7は、第二実施形態におけるインジケータ100の外観および動作例を示す図である。
【0063】
フォトセンサ210(例えばフォトトランジスタ)が測定器本体部110の表面に設けられている(
図7)。
フォトセンサ210で光電変換された電気信号は中央制御部160に入力される。中央制御部160は、光電気信号の値が所定閾値(ΔIth)以上変化したとき、ユーザからの基点(原点)設定指示があったと認識する。
ここでは、ユーザがフォトセンサ210の前に手あるいは光遮蔽物をかざして光を遮蔽して(
図7)、直前の光強度(IA)から現在の光強度(IB)への変化量(ΔI)が所定閾値(ΔIth)以上となるとき、すなわち、光電気信号の値が所定閾値(ΔIth)下がったら、基点(原点)設定指示があったと認識する。
【0064】
図8、
図9のフローチャートを参照しながら第二実施形態のインジケータ100の使用方法を説明する。
図8は、インジケータ100の使用にあたってユーザ操作の手順を表したフローチャートである。
図9は、インジケータ100の動作であり、主として中央制御部160の動作を表したフローチャートである。
【0065】
ST211およびST212において、ユーザはインジケータ100とワークW(測定対象物)の設置を行い、続けて、この時点でインジケータ100とワークWとの相対姿勢を正確に調整しておく(ST213)。必要であれば、旋盤20の回転スイッチを押す。
インジケータ100の中央制御部160は、この時点で測定開始の指示を待つ待機状態(モード)としておく。このあと、ユーザからのフォトセンサ210を介した操作(合図)が基点(原点)設定、すなわち、測定開始の指示となる。フォトセンサ210を介した操作を受けると、中央制御部160は、基点(原点)設定を行い、さらに、測定動作を行うモードに自動的に遷移する。
【0066】
ユーザは、フォトセンサ210に手をかざして(
図7)、光を遮蔽する(ST214)。これが基点(原点)設定、すなわち、測定開始の指示となる。なお、手をかざすといっても、必ずしもインジケータ100に手を接近させる必要はなく、光を遮ればよい。例えば、フォトセンサ210が手の影に入るようにすればよい。あるいは、手でなくても、光を遮蔽する板などをかざして、電灯の照明を遮るようにすればよい。
【0067】
図9に示すように、ユーザによるフォトセンサ210を介した操作指示を受けた場合(ST221:YES)、中央制御部160は、その時点で基点(原点)設定を行う(ST222)。すなわち、この時点でエンコーダ151のカウンタ値をゼロにリセットする。
【0068】
基点設定工程(ST222)のあと、中央制御部160は、通常の測定工程(ST223)を実行し、すなわち、測定値を取得して表示部130に表示する。本実施例では、ワークWの輪郭(真円度)に歪みがあれば、その歪みの分が測定値として表示部130に表示される。
【0069】
このような第二実施形態によっても、基点設定工程(ST222)および測定工程(ST223)においてユーザが測定器(インジケータ100)に直に触れる必要はなくなる。したがって、測定精度、測定効率、安全性のすべてが向上する。
【0070】
なお、本実施例では、フォトセンサ210の光電気信号の値が所定閾値下がったら基点(原点)設定指示があったと認識するとした。そこで、手をかざすことに代えて、例えば懐中電灯やLEDライトの光をフォトセンサ210に当ててから、光を外すようにしてもよい。懐中電灯やLEDライトの光が強ければ、フォトセンサ210からの光電気信号の変化を大きくできる。この場合、閾値を大きくしてもよく、誤動作(誤認識)を防止しやすくなる。
【0071】
あるいは、手(あるいは光遮蔽物)をかざして光電気信号が下がったあと、手(あるいは光遮蔽物)を離して、光電気信号が所定閾値以上上がったことを検出したとき、基点(原点)設定指示があったと認識するようにしてもよい。測定器(インジケータ)の前から手(あるいは光遮蔽物)がなくなってから測定器(インジケータ)の動作(基点設定)がスタートするので、インジケータ100の表示値が見やすいし、見落としにくくなる。
【0072】
ユーザによるフォトセンサ210を介した操作指示を認識するための所定閾値を固定の参照値(Ir)としてもよい。ユーザがフォトセンサ210の前に手あるいは光遮蔽物をかざして光を遮蔽して(
図7)、光強度が閾値(参照値(Ir))を下回ったとき、ユーザ操作があったと認識するようにしてもよい。
【0073】
(変形例1)
上記第二実施形態では、フォトセンサ210を基点設定指示(測定開始指示)に用いる例を説明した。
変形例としては、さらに、フォトセンサ210をモード切り替えスイッチとして使用できるようにしてもよい。
例えば、フォトセンサ210の一回目の操作(明暗信号)で上記の基点(原点)設定および測定モードへ自動移行する動作とする。そして、動作モードが測定モードに入っているとき、フォトセンサ210の操作(明暗信号)で最大値ホールドモードに遷移する。この場合、例えば円筒ワークWを回転させながら測定している場合、測定値の最大値をホールド表示する。そして、次にフォトセンサ210の操作(明暗信号)で最小値ホールドモードに遷移するようにモード切り替えが行われるようにする。このようにすれば、モード切り替えにあたってもユーザが測定器(インジケータ)に直に触れる必要はなくなる。
さらに、続けてフォトセンサ210が操作されたら、最小値ホールド表示→中間値ホールド表示→振れ幅ホールド表示→リアルタイム測定値表示→最大値ホールド表示のように表示モードを順に遷移させるようにしてもよい。
【0074】
(変形例2)
手をかざす回数ではなく、光を遮る時間によって指示内容を変更できるようにしてもよい。この場合、測定器(インジケータ)は、フォトセンサ210に加えて、時間を計測するタイマー170を併せ持つこととする。例えば、手をかざして光を遮る時間が10秒以内で、その後、手を離して、光電気信号が所定閾値以上上がったことを中央制御部160が検出したとき、基点(原点)設定の後、通常の測定モードとする。一方、例えば、手をかざして光を遮る時間が10秒を超え、その後、手を離して、光電気信号が所定閾値以上上がったことを中央制御部160が検出したとき、基点(原点)設定の後、最大値ホールドモードとする。ユーザは手をかざす時間の長短によって基点(原点)設定のあとに移行する測定モードを選択できるので、測定モードに入ってから追加の選択操作をする手間がなくなる。もちろん、測定器(インジケータ)に直に触れる必要はない。
【0075】
(変形例3)
上記変形例2のようにフォトセンサ210に加えて時間を計測するタイマー170を併せ持つ場合、第一実施形態で説明したように、基点再設定待機時間のインターバルで基点設定工程(ST222)を所定回数繰り返すようにしてもよい。
また、フォトセンサ(非接触入力センサ)210を使って「基点再設定待機時間」の長さを設定できるようにするとよい。例えば、基点(原点)設定指示の操作として、手(あるいは光遮蔽物)をかざして光電気信号が下がったあと、手(あるいは光遮蔽物)を離して、光電気信号が所定閾値以上上がったことを検出したとき、基点(原点)設定指示があったと認識するとする。ここで、手(あるいは光遮蔽物)をかざして光電気信号が下がった時点から次に光電気信号が所定閾値以上上がるまでの時間を計測しておき、この時間を「基点再設定待機時間」とする。(非接触センサが人、手、遮蔽物を検知して入力状態の継続があると検知する時間が「基点再設定待機時間」として中央制御部に記憶される。)
ユーザは、短めの「基点再設定待機時間」(つまり基点設定を繰り返すインターバル)を設定したいなら、手でフォトセンサを遮ったあと短い時間で直ぐに手を離して基点(原点)設定指示(つまり測定開始指示)を与える。ユーザは、長めの「基点再設定待機時間」を設定したいなら、手でフォトセンサを遮ったあとしばらくその状態をキープし、その後、手を離して、基点(原点)設定指示(つまり測定開始指示)を与える。ユーザはフォトセンサの前に手をかざすという単純な一つの動作(ワンアクション)で、基点(原点)設定指示(つまり測定開始指示)とともに基点再設定待機時間(つまり基点設定を繰り返すインターバル)を入力指示できる。
【0076】
(変形例4)
上記第二実施形態では、測定器(インジケータ)にフォトセンサ210を設け、フォトセンサ210を介した操作指示を行う場合を説明した。変形例3としては、フォトセンサ210に代えて、人感センサ220を利用してもよい(
図10)。人感センサ220としては、例えば、赤外線方式や静電方式がある。ユーザが測定器(インジケータ)の人感センサ220に手を接近させたことを中央制御部160が検知したとき、操作指示を受けたと認識するようにする。制御動作の内容は、フォトセンサ210の場合と同様にできる。
【0077】
(変形例5)
変形例5としては、フォトセンサ210に代えて、非接触式タッチパネル240を利用するようにしてもよい。非接触タッチパネル240としては、検知距離が長い静電容量方式を利用してもよい。ボタンが空中にでるようなホログラムと空中の指位置をレーザー等で検知するホログラム式でもよい。非接触式タッチパネル240であれば、非接触(タッチレス)でありながらやや複雑な操作指示をわかりやすいGUI(グラフィカルユーザインターフェース)によって実現できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施例では、円筒形(円柱形)のワークWを回転させながらワークWの振れ(円周振れまたは全振れ)を測定する場合を例示したが、本発明の測定器を適用できる場面はワークと測定器とが相対変位(回転や平行移動)するような場合だけではない。マスターワーク(あるいはブロックゲージ)とワークとの寸法差を単純に比較するような場合でも本発明は適用できる。
マスターワーク(あるいはブロックゲージ)で基点設定した後、ワークを測定すればよい。基点設定する時点でユーザが測定器に直に触れないので基点設定が正確になる。マスターワーク(あるいはブロックゲージ)からワークに段替えするときに例えばスピンドルを持ち上げることはあるかもしれないが、測定器本体を押す(ボタンを押す)などのセッティングをずらしてしまうような操作はない。
【0079】
一つの測定器に二以上のタイマーを設けてもよく、例えば、第一のタイマーは基点設定待機時間の計測に用いられ、第二のタイマーが基点再設定待機時間の計測に用いられてもよい。
【0080】
一つの測定器に二以上の非接触入力センサを設けてもよい。
複数(二以上)の非接触入力センサを設ける場合、同種の非接触入力センサが二以上でもよいし、異種の非接触入力センサが二以上あってもよい。
例えば、一つの測定器に二以上のフォトセンサを設けてもよい。一のフォトセンサが故障した場合でも他方のフォトセンサによって入力検知機能が維持されるように同じ機能のフォトセンサをスペアとして設けるようにしてもよい。
あるいは、第一のフォトセンサと、第二のフォトセンサと、第三のフォトセンサ・・・が異なる入力検知を担うようにすることも考えられる。
第一のフォトセンサは基点設定の指示(測定開始の指示)を検知するためのフォトセンサとし、第二のフォトセンサは基点再設定時間の入力用とし、第三、第四・・・のフォトセンサはモード切り替え用(最大値ホールド、最小値ホールド、中間値ホールド表示)としてもよい。
一つの測定器が一つまたは二以上のフォトセンサと一つまたは二以上の人感センサとを備えるようにしてもよい。
一つの測定器が一つまたは二以上のフォトセンサと一つまたは二以上の非接触タッチパネルとを備えるようにしてもよい。
一つの測定器がフォトセンサ、人感センサおよび非接触タッチパネルをそれぞれ一つまたは二以上備えていてもよい。
【0081】
測定器の入力デバイスをすべて非接触入力センサにしてもよい。この場合、ユーザが測定器に直に触れる必要はなくなる。ただし、すべての操作を非接触入力センサで行うとなると、そのような数、サイズ、感度の非接触入力センサ(フォトセンサ、人感センサ、非接触タッチパネル)を揃え、さらに、表示制御や入出力制御の設計を全て見直すことになるので部品コスト、設計コストがかなり増加するなどの問題が考えられる。また、やや複雑な設定入力操作を非接触入力センサ(フォトセンサ、人感センサ、非接触タッチパネル)だけで行うのはユーザにとっても設計者にとっても難しいことかもしれない。そこで、従来の押しボタンと非接触入力センサとをうまく使いわけるとよい。やや複雑な設定を測定前の準備段階で行うには押しボタンでよいしユーザも使い慣れている。対して、基点設定(測定開始の指令)や測定中のモード変更指示などのように測定器に直に触れないことが望ましく、また、指示内容が単純であれば非接触入力センサを介して入力指示することが理に適っている。このように従来の押しボタンと非接触入力センサと合わせもち、機能を使い分けるようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0082】
100 インジケータ
110 測定器本体部
120 スピンドル
130 表示部
140 ボタン
150 電気回路部
151 エンコーダ
160 中央制御部
170 タイマー
180 記憶部
210 フォトセンサ
220 人感センサ
240 非接触タッチパネル
10 スタンド
W ワーク
20 旋盤