(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006056
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 5/50 20060101AFI20240110BHJP
G06T 3/4053 20240101ALI20240110BHJP
G06T 5/73 20240101ALI20240110BHJP
【FI】
G06T5/50
G06T3/40 730
G06T5/00 710
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106600
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 康一
(72)【発明者】
【氏名】島田 智大
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE03
5B057CE04
5B057CE06
5B057CE08
5B057CH09
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC16
5B057DC32
(57)【要約】
【課題】処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像よりも、第1AI処理の影響が目立たない画像を得ることができる画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像、及び処理対象画像に対して第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得し、第1画像と第2画像とを合成することにより、第1AI処理の過不足を調整する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像、及び前記処理対象画像に対して前記第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得し、
前記第1画像と前記第2画像とを合成することにより、前記第1AI処理の過不足を調整する
画像処理装置。
【請求項2】
前記第2画像は、ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理が前記処理対象画像に行われることによって得られた画像である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって前記処理対象画像の非ノイズ要素が調整されることで得られた第1画像、及び前記処理対象画像に対して前記第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得し、
前記第1画像と前記第2画像とを合成することにより前記非ノイズ要素を調整する
画像処理装置。
【請求項4】
前記第2画像は、ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理が前記処理対象画像に行われることによって前記非ノイズ要素が調整された画像である
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2画像は、前記非ノイズ要素が調整されていない画像である
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1画像と前記第2画像とを、前記第1AI処理の過不足を調整する割合で合成する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記処理対象画像は、撮像装置によって撮像が行われることで得られた画像であり、
前記第1AI処理は、前記撮像装置の特性に起因して前記処理対象画像に現れる現象をAI方式で補正する第1補正処理を含み、
前記第1画像は、前記第1補正処理が行われることによって得られた第1補正画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1補正画像と前記第2画像とを前記割合で合成することにより、前記第1補正処理に由来する要素を調整する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記現象を非AI方式で補正する第2補正処理を行い、
前記第2画像は、前記第2補正処理が行われることによって得られた第2補正画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1補正画像と前記第2補正画像とを前記割合で合成することにより、前記第1補正処理に由来する要素を調整する
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記特性には、前記撮像装置の光学特性が含まれる
請求項7又は請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第1AI処理は、前記処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子をAI方式で変更する第1変更処理を含み、
前記第1画像は、前記第1変更処理が行われることによって得られた第1変更画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1変更画像と前記第2画像とを前記割合で合成することにより、前記第1変更処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項9の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記因子を非AI方式で変更する第2変更処理を行い、
前記第2画像は、前記第2変更処理が行われることによって得られた第2変更画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1変更画像と前記第2変更画像とを前記割合で合成することにより、前記第1変更処理に由来する要素を調整する
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記因子には、明瞭度、色、階調、解像度、ぼけ、エッジ領域の強調度、画風、及び/又は、肌に関する画質が含まれる
請求項10又は請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記処理対象画像は、撮像装置のレンズによって受光面に結像された被写体光が前記撮像装置によって撮像されることで得られた撮像画像であり、
前記第1画像は、前記撮像画像のうちの前記レンズの収差が反映された領域をAI方式で補正する収差領域補正処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1収差補正画像を含み、
前記第2画像は、前記撮像画像のうちの前記レンズの収差が反映された領域を非AI方式で補正する処理が行われることによって得られた第2収差補正画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1収差補正画像と前記第2収差補正画像とを前記割合で合成することにより、前記収差領域補正処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項12の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記第1画像は、前記処理対象画像に対して第1領域と前記第1領域と異なる領域である第2領域とをAI方式で弁別可能に彩色する彩色処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1彩色画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記処理対象画像の色を変更する処理が行われることによって得られた第2彩色画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1彩色画像と前記第2彩色画像とを前記割合で合成することにより、前記彩色処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項13の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記第2彩色画像は、前記処理対象画像に対して前記第1領域と前記第2領域とを非AI方式で弁別可能に彩色する処理が行われることによって得られた画像である
請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記処理対象画像は、第1被写体が撮像されることによって得られた画像であり、
前記第1領域は、前記処理対象画像内のうちの前記第1被写体に含まれる特定被写体が写っている領域である
請求項14又は請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像のコントラストを調整する第1コントラスト調整処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1コントラスト調整画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記処理対象画像のコントラストを調整する第2コントラスト調整処理が行われることによって得られた第2コントラスト調整画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1コントラスト調整画像と前記第2コントラスト調整画像とを前記割合で合成することにより、前記第1コントラスト調整処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項16の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記処理対象画像は、第2被写体が撮像されることによって得られた画像であり、
前記第1コントラスト調整処理は、AI方式で前記処理対象画像に対して前記第2被写体に応じてコントラストを調整する第3コントラスト調整処理を含み、
前記第2コントラスト調整処理は、非AI方式で前記処理対象画像に対して前記第2被写体に応じてコントラストを調整する第4コントラスト調整処理を含み、
前記第1画像は、前記第3コントラスト調整処理が行われることによって得られた第3コントラスト画像を含み、
前記第2画像は、前記第4コントラスト調整処理が行われることによって得られた第4コントラスト画像を含み、
前記プロセッサは、前記第3コントラスト画像と前記第4コントラスト画像とを前記割合で合成することにより、前記第3コントラスト調整処理に由来する要素を調整する
請求項17に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記第1コントラスト調整処理は、前記処理対象画像に含まれる中心画素と前記中心画素の周囲に隣接する複数の隣接画素とのコントラストをAI方式で調整する第5コントラスト調整処理を含み、
前記第2コントラスト調整処理は、前記中心画素と前記複数の隣接画素とのコントラストを非AI方式で調整する第6コントラスト調整処理を含み、
前記第1画像は、前記第5コントラスト調整処理が行われることによって得られた第5コントラスト画像を含み、
前記第2画像は、前記第6コントラスト調整処理が行われることによって得られた第6コントラスト画像を含み、
前記プロセッサは、前記第5コントラスト画像と前記第6コントラスト画像とを前記割合で合成することにより、前記第5コントラスト調整処理に由来する要素を調整する
請求項17又は請求項18に記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像の解像度を調整する第1解像度調整処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1解像度調整画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記解像度を調整する第2解像度調整処理が行われることによって得られた第2解像度調整画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1解像度調整画像と前記第2解像度調整画像とを前記割合で合成することにより、前記第1解像度調整処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項19の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記第1解像度調整処理は、AI方式で前記処理対象画像を超解像度化する処理であり、
前記第2解像度調整処理は、非AI方式で前記処理対象画像を超解像度化する処理である
請求項20に記載の画像処理装置。
【請求項22】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像のダイナミックレンジを拡げる拡張処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1ハイダイナミックレンジ画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記処理対象画像のダイナミックレンジを拡げる処理が行われることによって得られた第2ハイダイナミックレンジ画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1ハイダイナミックレンジ画像と前記第2ハイダイナミックレンジ画像とを前記割合で合成することにより、前記拡張処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項21の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項23】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像内のエッジ領域を前記エッジ領域と異なる領域である非エッジ領域よりも強調する強調処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1エッジ強調画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記エッジ領域を前記非エッジ領域よりも強調する処理が行われることによって得られた第2エッジ強調画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1エッジ強調画像と前記第2エッジ強調画像とを前記割合で合成することにより、前記強調処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項22の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項24】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像に対して点像のぼけ量を調整する点像調整処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1点像調整画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記ぼけ量を調整する処理が行われることによって得られた第2点像調整画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1点像調整画像と前記第2点像調整画像とを前記割合で合成することにより、前記点像調整処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項23の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項25】
前記処理対象画像は、第3被写体が撮像されることによって得られた画像であり、
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像に対して前記第3被写体に応じたぼけを付与する暈し処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1暈し画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記処理対象画像に対して前記ぼけを付与する処理が行われることによって得られた第2暈し画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1暈し画像と前記第2暈し画像とを前記割合で合成することにより、前記暈し処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項24の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項26】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像に対して第1玉ぼけを付与する玉ぼけ処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1玉ぼけ画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記処理対象画像から前記第1玉ぼけを調節するか、又は、非AI方式で前記処理対象画像に対して第2玉ぼけを付与する処理が行われることによって得られた第2玉ぼけ画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1玉ぼけ画像と前記第2玉ぼけ画像とを前記割合で合成することにより、前記玉ぼけ処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項25の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項27】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像の階調を調整する第1階調調整処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1階調調整画像を含み、
前記第2画像は、非AI方式で前記処理対象画像の階調を調整する第2階調調整処理が行われることによって得られた第2階調調整画像を含み、
前記プロセッサは、前記第1階調調整画像と前記第2階調調整画像とを前記割合で合成することにより、前記第1階調調整処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項26の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項28】
前記処理対象画像は、第4被写体が撮像されることによって得られた画像であり、
前記第1階調調整処理は、AI方式で前記処理対象画像の階調を前記第4被写体に応じて調整する処理であり、
前記第2階調調整処理は、非AI方式で前記処理対象画像の階調を前記第4被写体に応じて調整する処理である
請求項27の記載の画像処理装置。
【請求項29】
前記第1画像は、AI方式で前記処理対象画像の画風を変更する画風変更処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた画風変更画像を含み、
前記プロセッサは、前記画風変更画像と前記第2画像とを前記割合で合成することにより、前記画風変更処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項28の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項30】
前記処理対象画像は、肌が撮像されることによって得られた画像であり、
前記第1画像は、前記処理対象画像に写っている前記肌に関する画質をAI方式で調整する肌画質調整処理が前記第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた肌画質調整画像を含み、
前記プロセッサは、前記肌画質調整画像と前記第2画像とを前記割合で合成することにより、前記肌画質調整処理に由来する要素を調整する
請求項6から請求項29の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項31】
前記第1AI処理は、AI方式で行われる複数の目的別処理を含み、
前記第1画像は、前記処理対象画像に対して前記複数の目的別処理が行われることによって得られた複数処理画像を含み、
前記プロセッサは、前記複数処理画像と前記第2画像とを前記割合で合成する
請求項6から請求項30の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項32】
前記複数の目的別処理は、前記処理対象画像に与える影響の度合いに基づく順番で行われる
請求項31に記載の画像処理装置。
【請求項33】
前記複数の目的別処理は、前記影響の度合いが小さい目的別処理から大きい目的別処理にかけて段階的に行われる
請求項32に記載の画像処理装置。
【請求項34】
前記割合は、前記処理対象画像と前記第1画像との違い、及び/又は、前記第1画像と前記第2画像との違い基づいて定められる
請求項6から請求項33の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項35】
前記プロセッサは、前記処理対象画像に関連する関連情報に応じて前記割合を調整する
請求項6から請求項34の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項36】
請求項1から請求項35の何れか一項に記載の画像処理装置と、
イメージセンサと、を備え、
前記処理対象画像は、前記イメージセンサによって撮像が行われることで得られた画像である
撮像装置。
【請求項37】
処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像、及び前記処理対象画像に対して前記第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、
前記第1画像と前記第2画像とを合成することにより、前記第1AI処理の過不足を調整すること、を含む
画像処理方法。
【請求項38】
処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって前記処理対象画像の非ノイズ要素が調整されることで得られた第1画像、及び前記処理対象画像に対して前記第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、
前記第1画像と前記第2画像とを合成することにより前記非ノイズ要素を調整すること、を含む
画像処理方法。
【請求項39】
コンピュータに、
処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像、及び前記処理対象画像に対して前記第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、
前記第1画像と前記第2画像とを合成することにより、前記第1AI処理の過不足を調整すること、を含む処理を実行させるためのプログラム。
【請求項40】
コンピュータに、
処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって前記処理対象画像の非ノイズ要素が調整されることで得られた第1画像、及び前記処理対象画像に対して前記第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、
前記第1画像と前記第2画像とを合成することにより前記非ノイズ要素を調整すること、を含む処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力層、出力層、及び入力層と出力層との間に設けられる中間層を有するニューラルネットワークを用いて、入力層に入力される入力画像に対して処理を行う処理部と、中間層に含まれる1以上のノードの少なくとも1つの内部パラメータであって、学習によって算出される内部パラメータを、学習の後に処理を行うとき、入力画像に関連するデータに基づいて調整する調整部と、を備える画像処理システムが開示されている。
【0003】
また、特許文献1に記載の画像処理システムにおいて、入力画像は、ノイズを含む画像であり、入力画像は、処理部が行う処理により、入力画像からノイズを除去、又は低減される。
【0004】
また、特許文献1に記載の画像処理システムにおいて、ニューラルネットワークは、第1のニューラルネットワークと、第2のニューラルネットワークと、入力画像を高周波成分画像と低周波成分画像とに分割し、高周波成分画像を第1のニューラルネットワークに入力する一方、低周波成分画像を第2のニューラルネットワークに入力する分割ユニットと、第1のニューラルネットワークから出力される第1の出力画像と、第2のニューラルネットワークから出力される第2の出力画像とを合成する合成ユニットと、を有し、調整部は、第1のニューラルネットワークの内部パラメータを入力画像に関連するデータに基づいて調整する一方、第2のニューラルネットワークの内部パラメータは調整しない。
【0005】
更に、特許文献1には、ニューラルネットワークを用いて、ノイズが低減された出力画像を入力画像から生成する処理部と、ニューラルネットワークの内部パラメータを、入力画像の撮像条件に応じて調整する調整部と、を備える画像処理システムが開示されている。
【0006】
特許文献2には、被検者の所定部位の医用画像である第1の画像を取得する取得部と、機械学習エンジンを含む高画質化エンジンを用いて、第1の画像から、第1の画像と比べて高画質化された第2の画像を生成する高画質化部と、第1の画像の少なくとも一部の領域に関する情報を用いて得た割合により第1の画像と第2画像とを合成して得た合成画像を表示部に表示させる表示制御部と、を備える医用画像処理装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、少なくとも1つの命令語を保存するメモリと、メモリと電気的に接続され、命令語を実行することで、入力イメージから入力イメージの品質を示すノイズマップを獲得し、入力イメージ及びノイズマップを複数のレイヤを含む学習ネットワークモデルに適用し、入力イメージの品質の改善された出力イメージを獲得するプロセッサと、を含み、プロセッサは、複数のレイヤのうち少なくとも一つの中間レイヤにノイズマップを提供し、学習ネットワークモデルは、複数のサンプルイメージ、各サンプルイメージに対するノイズマップ及び各サンプルイメージに対する原本イメージの関係を人工知能アルゴリズムを通じて学習して獲得された学習済み人口知能モデルである電子装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-206382号公報
【特許文献2】特開2020-166814号公報
【特許文献3】特開2020-184300号公報
【発明の概要】
【0009】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像よりも、第1AI処理の影響が目立たない画像を得ることができる画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の技術に係る第1の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像、及び処理対象画像に対して第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得し、第1画像と第2画像とを合成することにより、第1AI処理の過不足を調整する画像処理装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第2の態様は、第2画像が、ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理が処理対象画像に行われることによって得られた画像である、第1の態様に係る画像処理装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第3の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって処理対象画像の非ノイズ要素が調整されることで得られた第1画像、及び処理対象画像に対して第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得し、第1画像と第2画像とを合成することにより非ノイズ要素を調整する画像処理装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第4の態様は、第2画像が、ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理が処理対象画像に行われることによって非ノイズ要素が調整された画像である、第3の態様に係る画像処理装置である。
【0014】
本開示の技術に係る第5の態様は、第2画像が、非ノイズ要素が調整されていない画像である、第3の態様に係る画像処理装置である。
【0015】
本開示の技術に係る第6の態様は、プロセッサが、第1画像と第2画像とを、第1AI処理の過不足を調整する割合で合成する第1の態様から第5の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0016】
本開示の技術に係る第7の態様は、処理対象画像が、撮像装置によって撮像が行われることで得られた画像であり、第1AI処理が、撮像装置の特性に起因して処理対象画像に現れる現象をAI方式で補正する第1補正処理を含み、第1画像が、第1補正処理が行われることによって得られた第1補正画像を含み、プロセッサが、第1補正画像と第2画像とを割合で合成することにより、第1補正処理に由来する要素を調整する第6の態様に係る画像処理装置である。
【0017】
本開示の技術に係る第8の態様は、プロセッサが、現象を非AI方式で補正する第2補正処理を行い、第2画像が、第2補正処理が行われることによって得られた第2補正画像を含み、プロセッサが、第1補正画像と第2補正画像とを割合で合成することにより、第1補正処理に由来する要素を調整する第7の態様に係る画像処理装置である。
【0018】
本開示の技術に係る第9の態様は、特性には、撮像装置の光学特性が含まれる第6の態様又は第8の態様に係る画像処理装置である。
【0019】
本開示の技術に係る第10の態様は、第1AI処理が、処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子をAI方式で変更する第1変更処理を含み、第1画像が、第1変更処理が行われることによって得られた第1変更画像を含み、プロセッサが、第1変更画像と第2画像とを割合で合成することにより、第1変更処理に由来する要素を調整する第6の態様から第9の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0020】
本開示の技術に係る第11の態様は、プロセッサが、因子を非AI方式で変更する第2変更処理を行い、第2画像が、第2変更処理が行われることによって得られた第2変更画像を含み、プロセッサが、第1変更画像と第2変更画像とを割合で合成することにより、第1変更処理に由来する要素を調整する第10の態様に係る画像処理装置である。
【0021】
本開示の技術に係る第12の態様は、因子には、明瞭度、色、階調、解像度、ぼけ、エッジ領域の強調度、画風、及び/又は、肌に関する画質が含まれる第10の態様又は第11の態様に係る画像処理装置である。
【0022】
本開示の技術に係る第13の態様は、処理対象画像が、撮像装置のレンズによって受光面に結像された被写体光が撮像装置によって撮像されることで得られた撮像画像であり、第1画像が、撮像画像のうちのレンズの収差が反映された領域をAI方式で補正する収差領域補正処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1収差補正画像を含み、第2画像が、撮像画像のうちのレンズの収差が反映された領域を非AI方式で補正する処理が行われることによって得られた第2収差補正画像を含み、プロセッサが、第1収差補正画像と第2収差補正画像とを割合で合成することにより、収差領域補正処理に由来する要素を調整する第6の態様から第12の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0023】
本開示の技術に係る第14の態様は、第1画像が、処理対象画像に対して第1領域と第1領域と異なる領域である第2領域とをAI方式で弁別可能に彩色する彩色処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1彩色画像を含み、第2画像が、非AI方式で処理対象画像の色を変更する処理が行われることによって得られた第2彩色画像を含み、プロセッサが、第1彩色画像と第2彩色画像とを割合で合成することにより、彩色処理に由来する要素を調整する第6の態様から第13の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0024】
本開示の技術に係る第15の態様は、第2彩色画像が、処理対象画像に対して第1領域と第2領域とを非AI方式で弁別可能に彩色する処理が行われることによって得られた画像である、第14の態様に係る画像処理装置である。
【0025】
本開示の技術に係る第16の態様は、処理対象画像が、第1被写体が撮像されることによって得られた画像であり、第1領域が、処理対象画像内のうちの第1被写体に含まれる特定被写体が写っている領域である、第14の態様又は第15の態様に係る画像処理装置である。
【0026】
本開示の技術に係る第17の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像のコントラストを調整する第1コントラスト調整処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1コントラスト調整画像を含み、第2画像が、非AI方式で処理対象画像のコントラストを調整する第2コントラスト調整処理が行われることによって得られた第2コントラスト調整画像を含み、プロセッサが、第1コントラスト調整画像と第2コントラスト調整画像とを割合で合成することにより、第1コントラスト調整処理に由来する要素を調整する第6の態様から第16の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0027】
本開示の技術に係る第18の態様は、処理対象画像が、第2被写体が撮像されることによって得られた画像であり、第1コントラスト調整処理が、AI方式で処理対象画像に対して第2被写体に応じてコントラストを調整する第3コントラスト調整処理を含み、第2コントラスト調整処理が、非AI方式で処理対象画像に対して第2被写体に応じてコントラストを調整する第4コントラスト調整処理を含み、第1画像が、第3コントラスト調整処理が行われることによって得られた第3コントラスト画像を含み、第2画像が、第4コントラスト調整処理が行われることによって得られた第4コントラスト画像を含み、プロセッサが、第3コントラスト画像と第4コントラスト画像とを割合で合成することにより、第3コントラスト調整処理に由来する要素を調整する第17の態様に係る画像処理装置である。
【0028】
本開示の技術に係る第19の態様は、第1コントラスト調整処理が、処理対象画像に含まれる中心画素と中心画素の周囲に隣接する複数の隣接画素とのコントラストをAI方式で調整する第5コントラスト調整処理を含み、第2コントラスト調整処理が、中心画素と複数の隣接画素とのコントラストを非AI方式で調整する第6コントラスト調整処理を含み、第1画像が、第5コントラスト調整処理が行われることによって得られた第5コントラスト画像を含み、第2画像が、第6コントラスト調整処理が行われることによって得られた第6コントラスト画像を含み、プロセッサが、第5コントラスト画像と第6コントラスト画像とを割合で合成することにより、第5コントラスト調整処理に由来する要素を調整する第17の態様又は第18の態様に係る画像処理装置である。
【0029】
本開示の技術に係る第20の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像の解像度を調整する第1解像度調整処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1解像度調整画像を含み、第2画像が、非AI方式で解像度を調整する第2解像度調整処理が行われることによって得られた第2解像度調整画像を含み、プロセッサが、第1解像度調整画像と第2解像度調整画像とを割合で合成することにより、第1解像度調整処理に由来する要素を調整する第6の態様から第19の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0030】
本開示の技術に係る第21の態様は、第1解像度調整処理が、AI方式で処理対象画像を超解像度化する処理であり、第2解像度調整処理が、非AI方式で処理対象画像を超解像度化する処理である、第20の態様に係る画像処理装置である。
【0031】
本開示の技術に係る第22の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像のダイナミックレンジを拡げる拡張処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1ハイダイナミックレンジ画像を含み、第2画像が、非AI方式で処理対象画像のダイナミックレンジを拡げる処理が行われることによって得られた第2ハイダイナミックレンジ画像を含み、プロセッサが、第1ハイダイナミックレンジ画像と第2ハイダイナミックレンジ画像とを割合で合成することにより、拡張処理に由来する要素を調整する第6の態様から第21の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0032】
本開示の技術に係る第23の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像内のエッジ領域をエッジ領域と異なる領域である非エッジ領域よりも強調する強調処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1エッジ強調画像を含み、第2画像が、非AI方式でエッジ領域を非エッジ領域よりも強調する処理が行われることによって得られた第2エッジ強調画像を含み、プロセッサが、第1エッジ強調画像と第2エッジ強調画像とを割合で合成することにより、強調処理に由来する要素を調整する第6の態様から第22の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0033】
本開示の技術に係る第24の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像に対して点像のぼけ量を調整する点像調整処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1点像調整画像を含み、第2画像が、非AI方式でぼけ量を調整する処理が行われることによって得られた第2点像調整画像を含み、プロセッサが、第1点像調整画像と第2点像調整画像とを割合で合成することにより、点像調整処理に由来する要素を調整する第6の態様から第23の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0034】
本開示の技術に係る第25の態様は、処理対象画像が、第3被写体が撮像されることによって得られた画像であり、第1画像が、AI方式で処理対象画像に対して第3被写体に応じたぼけを付与する暈し処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1暈し画像を含み、第2画像が、非AI方式で処理対象画像に対してぼけを付与する処理が行われることによって得られた第2暈し画像を含み、プロセッサが、第1暈し画像と第2暈し画像とを割合で合成することにより、暈し処理に由来する要素を調整する第6の態様から第24の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0035】
本開示の技術に係る第26の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像に対して第1玉ぼけを付与する玉ぼけ処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1玉ぼけ画像を含み、第2画像が、非AI方式で処理対象画像から第1玉ぼけを調節するか、又は、非AI方式で処理対象画像に対して第2玉ぼけを付与する処理が行われることによって得られた第2玉ぼけ画像を含み、プロセッサが、第1玉ぼけ画像と第2玉ぼけ画像とを割合で合成することにより、玉ぼけ処理に由来する要素を調整する第6の態様から第25の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0036】
本開示の技術に係る第27の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像の階調を調整する第1階調調整処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた第1階調調整画像を含み、第2画像が、非AI方式で処理対象画像の階調を調整する第2階調調整処理が行われることによって得られた第2階調調整画像を含み、プロセッサが、第1階調調整画像と第2階調調整画像とを割合で合成することにより、第1階調調整処理に由来する要素を調整する第6の態様から第26の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0037】
本開示の技術に係る第28の態様は、処理対象画像が、第4被写体が撮像されることによって得られた画像であり、第1階調調整処理が、AI方式で処理対象画像の階調を第4被写体に応じて調整する処理であり、第2階調調整処理が、非AI方式で処理対象画像の階調を第4被写体に応じて調整する処理である、第27の態様に係る画像処理装置である。
【0038】
本開示の技術に係る第29の態様は、第1画像が、AI方式で処理対象画像の画風を変更する画風変更処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた画風変更画像を含み、プロセッサが、画風変更画像と第2画像とを割合で合成することにより、画風変更処理に由来する要素を調整する第6の態様から第28の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0039】
本開示の技術に係る第30の態様は、処理対象画像が、肌が撮像されることによって得られた画像であり、第1画像が、処理対象画像に写っている肌に関する画質をAI方式で調整する肌画質調整処理が第1AI処理に含まれる処理として行われることによって得られた肌画質調整画像を含み、プロセッサが、肌画質調整画像と第2画像とを割合で合成することにより、肌画質調整処理に由来する要素を調整する第6の態様から第29の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0040】
本開示の技術に係る第31の態様は、第1AI処理が、AI方式で行われる複数の目的別処理を含み、第1画像が、処理対象画像に対して複数の目的別処理が行われることによって得られた複数処理画像を含み、プロセッサが、複数処理画像と第2画像とを割合で合成する第6の態様から第30の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0041】
本開示の技術に係る第32の態様は、複数の目的別処理が、処理対象画像に与える影響の度合いに基づく順番で行われる第31の態様に係る画像処理装置である。
【0042】
本開示の技術に係る第33の態様は、複数の目的別処理が、影響の度合いが小さい目的別処理から大きい目的別処理にかけて段階的に行われる第32の態様に係る画像処理装置である。
【0043】
本開示の技術に係る第34の態様は、割合が、処理対象画像と第1画像との違い、及び/又は、第1画像と第2画像との違い基づいて定められる第5の態様から第32の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0044】
本開示の技術に係る第35の態様は、プロセッサが、処理対象画像に関連する関連情報に応じて割合を調整する第6の態様から第34の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置である。
【0045】
本開示の技術に係る第36の態様は、第1の態様から第34の態様の何れか1つの態様に係る画像処理装置と、イメージセンサと、を備え、処理対象画像が、イメージセンサによって撮像が行われることで得られた画像である、撮像装置である。
【0046】
本開示の技術に係る第37の態様は、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像、及び処理対象画像に対して第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、第1画像と第2画像とを合成することにより、第1AI処理の過不足を調整すること、を含む画像処理方法である。
【0047】
本開示の技術に係る第38の態様は、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって処理対象画像の非ノイズ要素が調整されることで得られた第1画像、及び処理対象画像に対して第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、第1画像と第2画像とを合成することにより非ノイズ要素を調整すること、を含む画像処理方法である。
【0048】
本開示の技術に係る第39の態様は、コンピュータに、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって得られた第1画像、及び処理対象画像に対して第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、第1画像と第2画像とを合成することにより、第1AI処理の過不足を調整すること、を含む処理を実行させるためのプログラムである。
【0049】
本開示の技術に係る第40の態様は、コンピュータに、処理対象画像に対して第1AI処理が行われることによって処理対象画像の非ノイズ要素が調整されることで得られた第1画像、及び処理対象画像に対して第1AI処理が行われずに得られた第2画像を取得すること、並びに、第1画像と第2画像とを合成することにより非ノイズ要素を調整すること、を含む処理を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】撮像装置の全体の構成の一例を示す概略構成図である。
【
図2】撮像装置の光学系及び電気系のハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
【
図3】画像処理エンジンの機能の一例を示すブロック図である。
【
図4】AI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図5】画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図6】画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図8】第1変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図9】第1変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】非AI方式処理部が非AI方式で人物領域と背景領域とを弁別可能に彩色する処理内容の一例を示す概念図である。
【
図11】第2変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図12】第2変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図13】第2変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】第1明瞭度処理及び第2明瞭度処理の内容の一例を示す概念図である。
【
図15】プロセッサが被写体に応じてコントラストを調整する処理内容の一例を示す概念図である。
【
図16】第3変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図17】第3変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図18】第3変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図19】第4変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図20】第4変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図21】第4変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図22】第5変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図23】第5変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図24】第5変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図25】第6変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図26】第6変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図27】第6変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図28】第7変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図29】第7変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図30】第7変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図31】第8変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図32】第8変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図33】第8変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図34】非AI方式処理部がAI方式で生成された第1玉ぼけをフィルタリングすることで第2玉ぼけを生成する処理内容の第1例を示す概念図である。
【
図35】非AI方式処理部がAI方式で生成された第1玉ぼけをフィルタリングすることで第2玉ぼけを生成する処理内容の第2例を示す概念図である。
【
図36】第9変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図37】第9変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図38】第9変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図39】第10変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図40】第10変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図41】第10変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図42】第11変形例に係るAI方式処理部及び非AI方式処理部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図43】第11変形例に係る画像調整部及び合成部の処理内容の一例を示す概念図である。
【
図44】第11変形例に係る画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図45】AI方式処理部がAI方式で複数の目的別処理を行う場合の態様例を示す概念図である。
【
図46】プロセッサが処理対象画像と第1画像との差分に応じて割合が導出する処理内容の一例を示す概念図である。
【
図47】プロセッサが第1画像と第2画像との差分に応じて割合が導出する処理内容の一例を示す概念図である。
【
図48】プロセッサが関連情報に基づいて割合を調整する処理内容の一例を示す概念図である。
【
図49】撮像システムの構成の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0052】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0053】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。TPUとは、“Tensor processing unit”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。fpsとは、“frame per second”の略称を指す。MFとは、“Manual Focus”の略称を指す。AFとは、“Auto Focus”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。LANとは、“Local Area Network”の略称を指す。WANとは、“Wide Area Network”の略称を指す。AIとは、“Artificial Intelligence”の略称を指す。A/Dとは、“Analog/Digital”の略称を指す。FIRとは、“Finite Impulse Response”の略称を指す。IIRとは、“Infinite Impulse Response”の略称を指す。VAEとは、“Variational Auto-Encoder”の略称を指す。GANとは、“Generative Adversarial Network”の略称を指す。FIRとは、“Finite Impulse Response”の略称を指す。
【0054】
本実施形態において、ノイズとは、撮像装置による撮像に起因して生じるノイズ(例えば、撮像されることによって得られた画像(すなわち、電子像)に現れる電気的なノイズ)を指す。換言すると、ノイズとは、不可避的に生じる電気的なノイズ(例えば、電気的な要因によって不可避的に生じるノイズ)を指す。ノイズの具体例としては、アナログゲインの増加に伴って生じるノイズ、暗電流ノイズ、画素欠陥、及び/又はヒートノイズ等が挙げられる。また、以下では、撮像されることによって得られた画像に現れるノイズ以外の要素(すなわち、ノイズ以外で画像を表現する要素)を「非ノイズ要素」と称する。
【0055】
一例として
図1に示すように、撮像装置10は、被写体を撮像する装置であり、画像処理エンジン12、撮像装置本体16、及び交換レンズ18を備えている。撮像装置10は、本開示の技術に係る「撮像装置」の一例である。交換レンズ18は、本開示の技術に係る「レンズ」の一例である。画像処理エンジン12は、本開示の技術に係る「画像処理装置」及び「コンピュータ」の一例である。
【0056】
画像処理エンジン12は、撮像装置本体16に内蔵されており、撮像装置10の全体を制御する。交換レンズ18は、撮像装置本体16に交換可能に装着される。交換レンズ18には、フォーカスリング18Aが設けられている。フォーカスリング18Aは、撮像装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)等が撮像装置10による被写体に対するピントの調整を手動で行う場合にユーザ等によって操作される。
【0057】
図1に示す例では、撮像装置10の一例として、レンズ交換式のデジタルカメラが示されている。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、レンズ固定式のデジタルカメラであってもよいし、スマートデバイス、ウェアラブル端末、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等の各種の電子機器に内蔵されるデジタルカメラであってもよい。
【0058】
撮像装置本体16には、イメージセンサ20が設けられている。イメージセンサ20は、本開示の技術に係る「イメージセンサ」の一例である。イメージセンサ20は、CMOSイメージセンサである。イメージセンサ20は、被写体を撮像することで、画像を示す画像データを生成して出力する。交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合に、被写体を示す被写体光は、交換レンズ18を透過してイメージセンサ20に結像され、画像データがイメージセンサ20によって生成される。
【0059】
本実施形態では、イメージセンサ20としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、イメージセンサ20がCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサであっても本開示の技術は成立する。
【0060】
撮像装置本体16の上面には、レリーズボタン22及びダイヤル24が設けられている。ダイヤル24は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作され、ダイヤル24が操作されることによって、撮像装置10では、動作モードとして、撮像モード、再生モード、及び設定モードが選択的に設定される。撮像モードは、撮像装置10に対して撮像を行わせる動作モードである。再生モードは、撮像モードで記録用の撮像が行われることによって得られた画像(例えば、静止画像及び/又は動画像)を再生する動作モードである。設定モードは、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値を設定する場合などに撮像装置10に対して設定する動作モードである。
【0061】
レリーズボタン22は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(全押し位置)まで押下される状態を指す。なお、以下では、「待機位置から半押し位置まで押下される状態」を「半押し状態」といい、「待機位置から全押し位置まで押下される状態」を「全押し状態」という。撮像装置10の構成によっては、撮像準備指示状態とは、ユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
【0062】
撮像装置本体16の背面には、指示キー26及びタッチパネル・ディスプレイ32が設けられている。
【0063】
タッチパネル・ディスプレイ32は、ディスプレイ28及びタッチパネル30(
図2も参照)を備えている。ディスプレイ28の一例としては、ELディスプレイ(例えば、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ)が挙げられる。ディスプレイ28は、ELディスプレイではなく、液晶ディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。
【0064】
ディスプレイ28は、画像及び/又は文字情報等を表示する。ディスプレイ28は、撮像装置10が撮像モードの場合に、ライブビュー画像用の撮像、すなわち、連続的な撮像が行われることにより得られたライブビュー画像の表示に用いられる。ここで、「ライブビュー画像」とは、イメージセンサ20によって撮像されることにより得られた画像データに基づく表示用の動画像を指す。ライブビュー画像を得るために行われる撮像(以下、「ライブビュー画像用撮像」とも称する)は、例えば、60fpsのフレームレートに従って行われる。60fpsは、あくまでも一例に過ぎず、60fps未満のフレームレートであってもよいし、60fpsを超えるフレームレートであってもよい。
【0065】
ディスプレイ28は、撮像装置10に対してレリーズボタン22を介して静止画像用の撮像の指示が与えられた場合に、静止画像用の撮像が行われることで得られた静止画像の表示にも用いられる。また、ディスプレイ28は、撮像装置10が再生モードの場合の再生画像等の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、撮像装置10が設定モードの場合に、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示、及び、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値等を設定するための設定画面の表示にも用いられる。
【0066】
タッチパネル30は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル30は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示を受け付ける。なお、以下では、説明の便宜上、上述した「全押し状態」には、撮像開始用のソフトキーに対してユーザがタッチパネル30を介してオンした状態も含まれる。
【0067】
本実施形態では、タッチパネル・ディスプレイ32の一例として、タッチパネル30がディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ32として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
【0068】
指示キー26は、各種の指示を受け付ける。ここで、「各種の指示」とは、例えば、メニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、選択内容の消去の指示、ズームイン、ズームアウト、及びコマ送り等の各種の指示等を指す。また、これらの指示はタッチパネル30によってされてもよい。
【0069】
一例として
図2に示すように、イメージセンサ20は、光電変換素子72を備えている。光電変換素子72は、受光面72Aを有しており、受光面72Aには、交換レンズ18を介して被写体光が結像される。受光面72Aは、本開示の技術に係る「受光面」の一例である。光電変換素子72は、受光面72Aの中心と光軸OAとが一致するように撮像装置本体16内に配置されている(
図1も参照)。光電変換素子72は、マトリクス状に配置された複数の感光画素を有しており、受光面72Aは、複数の感光画素によって形成されている。各感光画素は、マイクロレンズ(図示省略)を有する。各感光画素は、フォトダイオード(図示省略)を有する物理的な画素であり、受光した光を光電変換し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0070】
また、複数の感光画素には、赤(R)、緑(G)、又は青(B)のカラーフィルタ(図示省略)が既定のパターン配列(例えば、ベイヤ配列、GストライプR/G完全市松、X-Trans(登録商標)配列、又はハニカム配列等)でマトリクス状に配置されている。なお、以下では、説明の便宜上、マイクロレンズ及びRのカラーフィルタを有する感光画素をR画素と称し、マイクロレンズ及びGのカラーフィルタを有する感光画素をG画素と称し、マイクロレンズ及びBのカラーフィルタを有する感光画素をB画素と称する。
【0071】
交換レンズ18は、撮像レンズ40を備えている。撮像レンズ40は、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dを有する。対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dは、被写体側(すなわち、物体側)から撮像装置本体16側(すなわち、像側)にかけて、光軸OAに沿って、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dの順に配置されている。
【0072】
また、交換レンズ18は、制御装置36、第1アクチュエータ37、第2アクチュエータ38、及び第3アクチュエータ39を備えている。制御装置36は、撮像装置本体16からの指示に従って交換レンズ18の全体を制御する。制御装置36は、例えば、CPU、NVM、及びRAM等を含むコンピュータを有する装置である。制御装置36のNVMは、例えば、EEPROMである。また、制御装置36のRAMは、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。制御装置36において、CPUは、NVMから必要なプログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM上で実行することで撮像レンズ40の全体を制御する。
【0073】
なお、ここでは、制御装置36の一例として、コンピュータを有する装置を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、制御装置36として、例えば、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現される装置を用いてよい。
【0074】
第1アクチュエータ37は、フォーカス用スライド機構(図示省略)及びフォーカス用モータ(図示省略)を備えている。フォーカス用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にフォーカスレンズ40Bが取り付けられている。また、フォーカス用スライド機構にはフォーカス用モータが接続されており、フォーカス用スライド機構は、フォーカス用モータの動力を受けて作動することでフォーカスレンズ40Bを光軸OAに沿って移動させる。
【0075】
第2アクチュエータ38は、ズーム用スライド機構(図示省略)及びズーム用モータ(図示省略)を備えている。ズーム用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にズームレンズ40Cが取り付けられている。また、ズーム用スライド機構にはズーム用モータが接続されており、ズーム用スライド機構は、ズーム用モータの動力を受けて作動することでズームレンズ40Cを光軸OAに沿って移動させる。
【0076】
第3アクチュエータ39は、動力伝達機構(図示省略)及び絞り用モータ(図示省略)を備えている。絞り40Dは、開口40D1を有しており、開口40D1の大きさが可変な絞りである。開口40D1は、例えば、複数枚の絞り羽根40D2によって形成されている。複数枚の絞り羽根40D2は、動力伝達機構に連結されている。また、動力伝達機構には絞り用モータが接続されており、動力伝達機構は、絞り用モータの動力を複数枚の絞り羽根40D2に伝達する。複数枚の絞り羽根40D2は、動力伝達機構から伝達される動力を受けて作動することで開口40D1の大きさを変化させる。絞り40Dは、開口40D1の大きさを変化させることで露出を調節する。
【0077】
フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータは、制御装置36に接続されており、制御装置36によってフォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの各駆動が制御される。なお、本実施形態では、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの一例として、ステッピングモータが採用されている。従って、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータは、制御装置36からの命令によりパルス信号に同期して動作する。なお、ここでは、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータが交換レンズ18に設けられている例が示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータのうちの少なくとも1つが撮像装置本体16に設けられていてもよい。なお、交換レンズ18の構成物及び/又は動作方法は、必要に応じて変更可能である。
【0078】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってMFモードとAFモードとが選択的に設定される。MFモードは、手動でピントを合わせる動作モードである。MFモードでは、例えば、ユーザによってフォーカスリング18A等が操作されることで、フォーカスリング18A等の操作量に応じた移動量でフォーカスレンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点が調節される。
【0079】
AFモードでは、撮像装置本体16が被写体距離に応じた合焦位置の演算を行い、演算して得た合焦位置に向けてフォーカスレンズ40Bを移動させることで、焦点を調節する。ここで、合焦位置とは、ピントが合っている状態でのフォーカスレンズ40Bの光軸OA上での位置を指す。
【0080】
撮像装置本体16は、画像処理エンジン12、イメージセンサ20、システムコントローラ44、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及び入出力インタフェース70を備えている。また、イメージセンサ20は、光電変換素子72、及びA/D変換器74を備えている。
【0081】
入出力インタフェース70には、画像処理エンジン12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、メカニカルシャッタドライバ56、及びA/D変換器74が接続されている。また、入出力インタフェース70には、交換レンズ18の制御装置36も接続されている。
【0082】
システムコントローラ44は、CPU(図示省略)、NVM(図示省略)、及びRAM(図示省略)を備えている。システムコントローラ44において、NVMには、非一時的記憶媒体であり、各種パラメータ及び各種プログラムが記憶されている。システムコントローラ44のNVMは、例えば、EEPROMである。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、EEPROMに代えて、又は、EEPROMと共に、HDD、及び/又はSSD等をシステムコントローラ44のNVMとして適用してもよい。また、システムコントローラ44のRAMは、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。システムコントローラ44において、CPUは、NVMから必要なプログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM上で実行することで撮像装置10の全体を制御する。すなわち、
図2に示す例では、画像処理エンジン12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及び制御装置36がシステムコントローラ44によって制御される。
【0083】
画像処理エンジン12は、システムコントローラ44の制御下で動作する。画像処理エンジン12は、プロセッサ62、NVM64、及びRAM66を備えている。ここで、プロセッサ62は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
【0084】
プロセッサ62、NVM64、及びRAM66は、バス68を介して接続されており、バス68は入出力インタフェース70に接続されている。なお、
図2に示す例では、図示の都合上、バス68として1本のバスが図示されているが、複数本のバスであってもよい。バス68は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0085】
プロセッサ62は、CPU及びGPUを有しており、GPUは、CPUの制御下で動作し、主に画像処理の実行を担う。なお、プロセッサ62は、GPU機能を統合した1つ以上のCPUであってもよいし、GPU機能を統合していない1つ以上のCPUであってもよい。また、プロセッサ62には、マルチコアCPUが含まれていてもよいし、TPUが含まれていてもよい。
【0086】
NVM64は、非一時的記憶媒体であり、システムコントローラ44のNVMに記憶されている各種パラメータ及び各種プログラムとは異なる各種パラメータ及び各種プログラムを記憶している。NVM64は、例えば、EEPROMである。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、EEPROMに代えて、又は、EEPROMと共に、HDD、及び/又はSSD等をNVM64として適用してもよい。また、RAM66は、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。
【0087】
プロセッサ62は、NVM64から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをRAM66で実行する。プロセッサ62は、RAM66上で実行するプログラムに従って各種の画像処理を行う。
【0088】
光電変換素子72には、光電変換素子ドライバ54が接続されている。光電変換素子ドライバ54は、光電変換素子72によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を、プロセッサ62からの指示に従って光電変換素子72に供給する。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
【0089】
交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合、撮像レンズ40に入射された被写体光は、撮像レンズ40によって受光面72Aに結像される。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54の制御下で、受光面72Aによって受光された被写体光を光電変換し、被写体光の光量に応じた電気信号を、被写体光を示すアナログ画像データとしてA/D変換器74に出力する。具体的には、A/D変換器74が、露光順次読み出し方式で、光電変換素子72から1フレーム単位で且つ水平ライン毎にアナログ画像データを読み出す。
【0090】
A/D変換器74は、アナログ画像データをデジタル化することで処理対象画像75Aを生成する。処理対象画像75Aは、撮像装置10によって撮像が行われることによって得られた撮像画像であり、本開示の技術に係る「処理対象画像」及び「撮像画像」の一例である。処理対象画像75Aは、R画素、G画素、及びB画素がモザイク状に配列された画像である。
【0091】
本実施形態において、一例として、画像処理エンジン12のプロセッサ62は、A/D変換器74から処理対象画像75Aを取得し、取得した処理対象画像75Aに対して各種の画像処理を行う。
【0092】
画像メモリ46には、処理済み画像75Bが記憶される。処理済み画像75Bは、処理対象画像75Aに対してプロセッサ62によって各種の画像処理が行われることによって得られた画像である。
【0093】
UI系デバイス48は、ディスプレイ28を備えており、プロセッサ62は、ディスプレイ28に対して各種情報を表示させる。また、UI系デバイス48は、受付デバイス76を備えている。受付デバイス76は、タッチパネル30及びハードキー部78を備えている。ハードキー部78は、指示キー26(
図1参照)を含む複数のハードキーである。プロセッサ62は、タッチパネル30によって受け付けられた各種指示に従って動作する。なお、ここでは、ハードキー部78がUI系デバイス48に含まれているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、ハードキー部78は、外部I/F50に接続されていてもよい。
【0094】
外部I/F50は、撮像装置10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F50の一例としては、USBインタフェースが挙げられる。USBインタフェースには、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接的又は間接的に接続される。
【0095】
通信I/F52は、ネットワーク(図示省略)に接続されている。通信I/F52は、ネットワーク上のサーバ等の通信装置(図示省略)とシステムコントローラ44との間の情報の授受を司る。例えば、通信I/F52は、システムコントローラ44からの要求に応じた情報を、ネットワークを介して通信装置に送信する。また、通信I/F52は、通信装置から送信された情報を受信し、受信した情報を、入出力インタフェース70を介してシステムコントローラ44に出力する。
【0096】
一例として
図3に示すように、撮像装置10のNVM64には、画像合成処理プログラム80が記憶されている。画像合成処理プログラム80は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。
【0097】
撮像装置10のNVM64には、生成モデル82Aが記憶されている。生成モデル82Aの一例としては、学習済みの生成ネットワークが挙げられる。生成ネットワークの一例としては、GAN又はVAE等が挙げられる。プロセッサ62は、処理対象画像75A(
図2参照)に対してAI方式の処理を行う。AI方式の処理の一例としては、生成モデル82Aを用いた処理が挙げられる。以下では、説明の便宜上、生成モデル82Aを用いた処理については、生成モデル82Aが主体となって能動的に行う処理として説明する。すなわち、説明の便宜上、生成モデル82Aを、入力された情報に対して処理を行って処理結果を出力する機能と見立てて説明する。
【0098】
撮像装置10のNVM64には、デジタルフィルタ84Aが記憶されている。デジタルフィルタ84Aの一例としては、FIRフィルタである。なお、FIRフィルタは、あくまでも一例に過ぎず、IIRフィルタ等の他のデジタルフィルタであってもよい。以下では、説明の便宜上、デジタルフィルタ84Aを用いた処理については、デジタルフィルタ84Aが主体となって能動的に行う処理として説明する。すなわち、説明の便宜上、デジタルフィルタ84Aを、入力された情報に対して処理を行って処理結果を出力する機能と見立てて説明する。
【0099】
プロセッサ62は、NVM64から画像合成処理プログラム80を読み出し、読み出した画像合成処理プログラム80をRAM66上で実行する。プロセッサ62は、RAM66上で実行する画像合成処理プログラム80に従って画像合成処理(
図6参照)を行う。画像合成処理は、プロセッサ62が画像合成処理プログラム80に従ってAI方式処理部62A1、非AI方式処理部62B1、画像調整部62C1、及び合成部62D1として動作することによって実現される。生成モデル82Aは、AI方式処理部62A1によって用いられ、デジタルフィルタ84Aは、非AI方式処理部62B1によって用いられる。
【0100】
一例として
図4に示すように、AI方式処理部62A1及び非AI方式処理部62B1には、処理対象画像75A1が入力される。処理対象画像75A1は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。
図4に示す例では、処理対象画像75A1のうちの撮像レンズ40(
図2参照)の収差(以下、単に「収差」と称する)の影響を受けた画像領域(すなわち、収差が反映された画像領域)として画像領域75A1aが示されている。
【0101】
処理対象画像75A1は、非ノイズ要素を有する画像である。非ノイズ要素の一例として、画像領域75A1aが挙げられる。画像領域75A1aは、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「撮像装置の特性に起因して処理対象画像に現れる現象」、「ぼけ」、及び「撮像画像のうちのレンズの収差が反映された領域」の一例である。
【0102】
図4に示す例では、画像領域75A1aの一例として、像面湾曲が反映された画像領域が示されている。また、
図4に示す例では、画像領域75A1aとして、像面湾曲に起因して処理対象画像75A1の中心から径方向の外側に沿って徐々に暗くなっている態様(すなわち、後ぼけが反映された態様)が示されている。
【0103】
なお、ここでは、処理対象画像75A1に反映される収差として、像面湾曲を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、処理対象画像75A1に反映される収差は、球面収差、コマ収差、非点収差、歪曲収差、軸上色収差、又は倍率色収差等の他種類の収差であってもよい。収差は、本開示の技術に係る「撮像装置の特性」及び「撮像装置の光学特性」の一例である。
【0104】
AI方式処理部62A1は、処理対象画像75A1に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A1に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A1を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A1は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A1は、収差(ここでは、一例として、像面湾曲)の影響を低減させる学習が既に行われた生成ネットワークである。AI方式処理部62A1は、処理対象画像75A1に対して生成モデル82A1を用いた処理を行うことで第1収差補正画像86A1を生成する。換言すると、AI方式処理部62A1は、AI方式で処理対象画像75A1内の非ノイズ要素(ここでは、一例として、画像領域75A1a)を調整することにより第1収差補正画像86A1を生成する。更に換言すると、AI方式処理部62A1は、AI方式で処理対象画像75A1内の画像領域75A1a(すなわち、収差が反映された領域)を補正することにより第1収差補正画像86A1を生成する。ここで、生成モデル82A1を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1補正処理」、及び「第1収差領域補正処理」の一例である。また、ここで、「第1収差補正画像86A1を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0105】
生成モデル82A1には、処理対象画像75A1が入力される。生成モデル82A1は、入力された処理対象画像75A1に基づいて第1収差補正画像86A1を生成して出力する。第1収差補正画像86A1は、生成モデル82A1によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A1に対する生成モデル82A1を用いた処理によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像)である。換言すると、第1収差補正画像86A1は、処理対象画像75A1内の非ノイズ要素が生成モデル82A1によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A1に対する生成モデル82A1を用いた処理によって非ノイズ要素が補正された画像)である。更に換言すると、第1収差補正画像86A1は、画像領域75A1aが生成モデル82A1によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A1に対する生成モデル82A1を用いた処理によって収差の影響が低減されるように画像領域75A1aが補正された画像)である。なお、第1収差補正画像86A1は、本開示の技術に係る「第1画像」、「第1補正画像」、及び「第1収差補正画像」の一例である。
【0106】
非AI方式処理部62B1は、処理対象画像75A1に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。ここで、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A1を用いない処理が挙げられる。
【0107】
処理対象画像75A1に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A1を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A1は、収差(ここでは、一例として、像面湾曲)の影響を低減させるように構成されたデジタルフィルタである。非AI方式処理部62B1は、処理対象画像75A1に対してデジタルフィルタ84A1を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2収差補正画像88A1を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B1は、非AI方式で処理対象画像75A1内の非ノイズ要素(ここでは、一例として、画像領域75A1a)を調整することにより第2収差補正画像88A1を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B1は、非AI方式で処理対象画像75A1内の画像領域75A1a(すなわち、収差が反映された領域)を補正することにより第2収差補正画像88A1を生成する。ここで、デジタルフィルタ84A1を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、「第2補正処理」、及び「非AI方式で補正する処理」の一例である。また、ここで、「第2収差補正画像88A1を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0108】
デジタルフィルタ84A1には、処理対象画像75A1が入力される。デジタルフィルタ84A1は、入力された処理対象画像75A1に基づいて第2収差補正画像88A1を生成する。第2収差補正画像88A1は、デジタルフィルタ84A1によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A1に対するデジタルフィルタ84A1を用いた処理によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像)である。換言すると、第2収差補正画像88A1は、処理対象画像75A1内の非ノイズ要素がデジタルフィルタ84A1によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A1に対するデジタルフィルタ84A1を用いた処理によって非ノイズ要素が補正された画像)である。更に換言すると、第2収差補正画像88A1は、画像領域75A1aがデジタルフィルタ84A1によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A1に対するデジタルフィルタ84A1を用いた処理によって収差の影響が低減されるように画像領域75A1aが補正された画像)である。なお、第2収差補正画像88A1は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2補正画像」、及び「第2収差補正画像」の一例である。
【0109】
ところで、ユーザの中には、収差の影響を完全に消し去るのではなく、むしろ、収差の影響を画像内に適度に残しておくことを望むユーザが存在する。
図4に示す例では、第1収差補正画像86A1は、第2収差補正画像88A1よりも、収差の影響が低減されている。換言すると、第2収差補正画像88A1には、第1収差補正画像86A1よりも収差の影響が残されている。しかし、ユーザにとっては、第1収差補正画像86A1内の収差の影響は無さ過ぎるように感じ、第2収差補正画像88A1内の収差の影響は有り過ぎるように感じることがある。そのため、第1収差補正画像86A1及び第2収差補正画像88A1の一方のみが最終的に出力されると、ユーザの好みに合わない画像がユーザに提供されてしまうことになる。生成モデル82A1に対する学習量を増やしたり、生成モデル82A1の中間層数を増やしたりすることによって生成モデル82A1の高性能化を図れば、ユーザの好みに近い画像が得られる可能性が高まる。しかし、生成モデル82A1の作成に要するコストが嵩み、結果的に、撮像装置10の高価格化に繋がる虞がある。
【0110】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図5に示すように、第1収差補正画像86A1及び第2収差補正画像88A1に対して画像調整部62C1の処理及び合成部62D1の処理が行われることによって、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1とが合成される。
【0111】
一例として
図5に示すように、NVM64には、割合90Aが記憶されている。割合90Aは、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A1によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A1を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0112】
割合90Aは、第1割合90A1と第2割合90A2とに大別される。第1割合90A1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90A2は、“1”から第1割合90A1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90A1及び第2割合90A2は、第1割合90A1と第2割合90A2との和が“1”となるように定められている。第1割合90A1及び第2割合90A2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。ユーザからの指示は、受付デバイス76(
図2参照)によって受け付けられる。
【0113】
画像調整部62C1は、AI方式処理部62A1によって生成された第1収差補正画像86A1を、第1割合90A1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C1は、第1収差補正画像86A1の各画素の画素値に第1割合90A1を乗じることにより第1収差補正画像86A1の各画素の画素値を調整する。
【0114】
画像調整部62C1は、非AI方式処理部62B1によって生成された第2収差補正画像88A1を、第2割合90A2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C1は、第2収差補正画像88A1の各画素の画素値に第2割合90A2を乗じることにより第2収差補正画像88A1の各画素の画素値を調整する。
【0115】
合成部62D1は、画像調整部62C1によって第1割合90A1で調整された第1収差補正画像86A1と画像調整部62C1によって第2割合90A2で調整された第2収差補正画像88A1とを合成することで合成画像92Aを生成する。すなわち、合成部62D1は、第1割合90A1で調整された第1収差補正画像86A1と第2割合90A2で調整された第2収差補正画像88A1とを合成することにより、AI方式処理部62A1によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D1は、第1割合90A1で調整された第1収差補正画像86A1と第2割合90A2で調整された第2収差補正画像88A1とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、画像領域75A1a)を調整する。更に換言すると、合成部62D1は、第1割合90A1で調整された第1収差補正画像86A1と第2割合90A2で調整された第2収差補正画像88A1とを合成することにより、生成モデル82A1を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A1によって収差の影響が低減された画素の画素値)を調整する。
【0116】
合成部62D1によって行われる合成は、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1との間での対応する画素位置の画素値の加算である。ここで、加算とは、例えば、単純加算を指す。
図5に示す例では、合成画像92Aの一例として、第1割合90A1の値及び第2割合90A2の値が共に“0.5”である場合に第1画像86Aと第2収差補正画像88A1とが合成された画像が示されている。この場合、第1収差補正画像86A1の影響(すなわち、生成モデル82A1を用いた処理の影響)と第2収差補正画像88A1の影響(すなわち、デジタルフィルタ84A1を用いた処理の影響)とが半分ずつ合成画像92Aに反映される。
【0117】
第1割合90A1を第2割合90A2よりも大きくすれば、第1収差補正画像86A1の影響が第2収差補正画像88A1の影響よりも大きく合成画像92Aに反映される。逆に、第2割合90A2を第1割合90A1よりも大きくすれば、第2収差補正画像88A1の影響が第1収差補正画像86A1の影響よりも大きく合成画像92Aに反映される。
【0118】
合成部62D1は、合成画像92Aに対して各種の画像処理(例えば、オフセット補正、ホワイトバランス補正、デモザイク処理、色補正、ガンマ補正、色空間変換、輝度処理、色差処理、及びリサイズ処理等の公知の画像処理)を行う。合成部62D1は、合成画像92Aに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75B(
図2参照)として既定の出力先(例えば、
図2に示す画像メモリ46)に出力する。
【0119】
次に、撮像装置10の作用について
図6を参照しながら説明する。
図6には、プロセッサ62によって実行される画像合成処理の流れの一例が示されている。
図6に示す画像合成処理の流れは、本開示の技術に係る「画像処理方法」の一例である。
【0120】
図6に示す画像合成処理では、先ず、ステップST10で、AI方式処理部62A1は、イメージセンサ20(
図2参照)によって処理対象画像75A1が生成されたか否かを判定する。ステップST10において、イメージセンサ20によって処理対象画像75A1が生成されていない場合は、判定が否定されて、画像合成処理はステップST32へ移行する。ステップST10において、イメージセンサ20によって処理対象画像75A1が生成された場合は、判定が肯定されて、画像合成処理はステップST12へ移行する。
【0121】
ステップST12で、AI方式処理部62A1及び非AI方式処理部62B1は、イメージセンサ20から処理対象画像75A1を取得する。ステップST12の処理が実行された後、画像合成処理はステップST14へ移行する。
【0122】
ステップST14で、AI方式処理部62A1は、ステップST12で取得した処理対象画像75A1を生成モデル82A1に入力する。ステップST14の処理が実行された後、画像合成処理はステップST16へ移行する。
【0123】
ステップST16で、AI方式処理部62A1は、ステップST14で処理対象画像75A1が生成モデル82A1に入力されることによって生成モデル82A1から出力された第1収差補正画像86A1を取得する。ステップST16の処理が実行された後、画像合成処理はステップST18へ移行する。
【0124】
ステップST18で、非AI方式処理部62B1は、ステップST12で取得した処理対象画像75A1に対してデジタルフィルタ84A1を用いた処理を行うことで収差の影響(すなわち、画像領域75A1a)を補正する。ステップST18の処理が実行された後、画像合成処理はステップST20へ移行する。
【0125】
ステップST20で、非AI方式処理部62B1は、ステップST18で処理対象画像75A1に対してデジタルフィルタ84A1を用いた処理が行われることによって得られた第2収差補正画像88A1を取得する。ステップST20の処理が実行された後、画像合成処理はステップST22へ移行する。
【0126】
ステップST22で、画像調整部62C1は、NVM64から第1割合90A1及び第2割合90A2を取得する。ステップST22の処理が実行された後、画像合成処理はステップST24へ移行する。
【0127】
ステップST24で、画像調整部62C1は、ステップST22で取得した第1割合90A1を用いて第1収差補正画像86A1を調整する。ステップST24の処理が実行された後、画像合成処理はステップST26へ移行する。
【0128】
ステップST26で、画像調整部62C1は、ステップST22で取得した第2割合90A2を用いて第2収差補正画像88A1を調整する。ステップST26の処理が実行された後、画像合成処理はステップST28へ移行する。
【0129】
ステップST28で、合成部62D1は、ステップST24で調整された第1収差補正画像86A1とステップST26で調整された第2収差補正画像88A1とを合成することにより、AI方式処理部62A1によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST24で調整された第1収差補正画像86A1とステップST26で調整された第2収差補正画像88A1とが合成されることによって合成画像92Aが生成される。ステップST28の処理が実行された後、画像合成処理はステップST30へ移行する。
【0130】
ステップST30で、合成部62D1は、合成画像92Aに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D1は、合成画像92Aに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST30の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0131】
ステップST32で、合成部62D1は、画像合成処理を終了する条件(以下、「終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。終了条件としては、画像合成処理を終了させる指示が受付デバイス76によって受け付けられた、との条件等が挙げられる。ステップST32において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、画像合成処理はステップST10へ移行する。ステップST32において、終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、画像合成処理が終了する。
【0132】
以上説明したように、撮像装置10では、収差の影響が反映された画像領域75A1aを有する画像として処理対象画像75A1がAI方式処理部62A1及び非AI方式処理部62B1によって取得される。処理対象画像75A1に対しては、AI方式処理部62A1によってAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A1を用いた処理)が行われる。これにより、第1収差補正画像86A1が生成される。また、処理対象画像75A1に対しては、非AI方式処理部62B1によって非AI方式の処理(すなわち、デジタルフィルタ84A1を用いた処理)が行われる。これにより、第2収差補正画像88A1が生成される。
【0133】
ところで、仮に、ユーザに対して最終的に提供する画像として第1収差補正画像86A1をそのまま用いた場合、生成モデル82A1を用いた処理の影響が目立つため、ユーザの好みに合わない可能性がある。そこで、撮像装置10では、第1収差補正画像86A1及び第2収差補正画像88A1が割合90Aによって調整される。すなわち、第1収差補正画像86A1に対しては第1割合90A1を用いた調整が行われ、第2収差補正画像88A1に対しては第2割合90A2を用いた調整が行われる。そして、第1割合90A1を用いた調整が行われた第1収差補正画像86A1と第2割合90A2を用いた調整が行われた第2収差補正画像88A1とが合成される。これにより、第1収差補正画像86A1よりも、生成モデル82A1を用いた処理の影響(すなわち、生成モデル82A1を用いた処理によって非ノイズ要素が調整された影響)が目立たない画像(すなわち、合成画像92A)を得ることができる。
【0134】
本実施形態において、第2収差補正画像88A1は、処理対象画像75A1に対してデジタルフィルタ84A1を用いた処理が行われることによって得られた画像であり、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1とが合成されることによって合成画像92Aが生成される。これにより、合成画像92Aに、デジタルフィルタ84A1を用いた処理の影響を含ませることができる。
【0135】
本実施形態において、第2収差補正画像88A1は、処理対象画像75A1の非ノイズ要素が非AI方式の処理によって調整された画像であり、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1とが合成されることによって合成画像92Aが生成される。これにより、処理対象画像75A1の非ノイズ要素が非AI方式の処理によって調整された結果を合成画像92A1に含ませることができる。
【0136】
本実施形態において、割合90Aは、生成モデル82A1を用いた処理の過不足を調整するように定められている。そして、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1とが割合90Aで合成される。これにより、生成モデル82A1を用いた処理による影響が画像内に過度に現れることによって画像(すなわち、合成画像92A)がユーザの好みに合わなくなることを抑制することができる。また、割合90Aは、ユーザからの指示に応じて変更されるので、合成画像92Aに、生成モデル82A1を用いた処理の影響を残す度合い、及び合成画像92Aに収差の影響を残す度合いをユーザの好みに合わせることができる。
【0137】
本実施形態において、第1収差補正画像86A1は、撮像装置10の特性(ここでは、一例として、撮像レンズ40の光学特性)に起因して処理対象画像75A1に現れる現象(ここでは、一例として、収差の影響)がAI方式で補正されることで得られた画像である。また、第1収差補正画像86A1は、撮像装置10の特性に起因して処理対象画像75A1に現れる現象が非AI方式で補正されることで得られた画像である。そして、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1とが合成されることによって合成画像92Aが生成される。従って、合成画像92Aに対して、撮像装置10の特性に起因して処理対象画像75A1に現れる現象(ここでは、一例として、収差の影響)をAI方式で補正した補正量が過不足することを抑制することができる。また、収差の影響が完全に消されるわけではないので、合成画像92Aの見た目の不自然さ(すなわち、生成モデル82A1によって収差の影響が低減されたことに起因する不自然さ)を緩和することができる。また、合成画像92Aに、生成モデル82A1を用いた処理の影響が過度に反映されず、かつ、収差の影響を適度に残すことができる。
【0138】
なお、上記実施形態では、第1収差補正画像86A1と第2収差補正画像88A1とが合成される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第2収差補正画像88A1に代えて処理対象画像75A1(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)を第1収差補正画像86A1と合成させることによって、AI方式の処理に由来する要素が調整されるようにしてもよい。すなわち、第1収差補正画像86A1と処理対象画像75A1とが合成されることによって、AI方式で収差の影響が低減された画像領域(例えば、ここでは、一例として、生成モデル82A1によって収差の影響が低減された画素の画素値が調整されるようにしてもよい。この場合、AI方式の処理に由来する要素が合成画像92Aに対して及ぼす影響が、処理対象画像75A1に由来する要素(例えば、画像領域75A1a)によって緩和される。従って、合成画像92Aに対して、撮像装置10の特性に起因して処理対象画像75A1に現れる現象(ここでは、一例として、収差の影響)をAI方式で補正した補正量が過不足することを抑制することができる。なお、第1収差補正画像86A1に合成される処理対象画像75A1は、本開示の技術に係る「第2画像」の一例である。
【0139】
上記実施形態では、撮像装置10の特性に起因して処理対象画像75A1に現れる現象の一例として収差の影響(
図4に示す例では、画像領域75A1a)を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、撮像装置10の特性に起因して処理対象画像75A1に現れる現象は、撮像レンズ40に起因して生じるフレア及び/又はゴースト等であってもよく、この場合も、AI方式の処理及び非AI方式の処理によってフレア及び/又はゴーストが低減されるようにすればよい。また、撮像レンズ40の口径に応じて定まる明るさがAI方式の処理及び非AI方式の処理によって調整されるようにしてもよい。
【0140】
上記実施形態では、処理対象画像75A1に対して非AI方式の処理が行われることによって得られた画像として第2収差補正画像88A1を例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A1とは異なる画像(例えば、連写されることによって得られた処理対象画像75A1を含む複数の画像のうちの処理対象画像75A1以外の画像)に対して生成モデル82A1を用いた処理が行われずに得られた画像を、第2収差補正画像88A1に代えて適用してもよい。なお、これと同様のことは、以下の第1変形例以降についても当て嵌まる。
【0141】
[第1変形例]
一例として
図7に示すように、本第1変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A2を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B2を有する点が異なる。本第1変形例では、本第1変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第1変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0142】
AI方式処理部62A2及び非AI方式処理部62B2には、処理対象画像75A2が入力される。処理対象画像75A2は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A2は、有彩色画像であり、人物領域94及び背景領域96を有する。人物領域94は、人物が写っている画像領域である。背景領域96は、背景が写っている画像領域である。
【0143】
ここで、処理対象画像75A2に写っている人物及び背景は、本開示の技術に係る「第1被写体」の一例である。人物領域94は、本開示の技術に係る「第1領域」及び「特定被写体が写っている領域」の一例である。背景領域96は、本開示の技術に係る「第1領域と異なる領域である第2領域」の一例である。人物領域94の色及び背景領域96の色は、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「色」の一例である。
【0144】
AI方式処理部62A2は、処理対象画像75A2に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A2に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A2を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A2は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A2は、人物領域94と背景領域96とが弁別可能となるように人物領域94の色及び背景領域96の色を変更する学習が既に行われた生成ネットワークである。
【0145】
AI方式処理部62A2は、AI方式で、処理対象画像75A2から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A2は、処理対象画像75A2に対して生成モデル82A2を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A2の非ノイズ要素として、処理対象画像75A2から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A2から与えられる視覚的に印象を司る因子は、人物領域94の色及び背景領域96の色である。
図7に示す例において、AI方式処理部62A2は、処理対象画像75A2に対して生成モデル82A2を用いた処理を行うことで第1彩色画像86A2を生成する。第1彩色画像86A2は、人物領域94と背景領域96とが弁別可能に彩色された画像である。例えば、人物領域94には有彩色が付けられ、背景領域96には無彩色が付けられる。
【0146】
ここで、生成モデル82A2を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「彩色処理」の一例である。第1彩色画像86A2は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1彩色画像」の一例である。「第1彩色画像86A2を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0147】
生成モデル82A2には、処理対象画像75A2が入力される。生成モデル82A2は、入力された処理対象画像75A2に基づいて第1彩色画像86A2を生成して出力する。
【0148】
非AI方式処理部62B2は、処理対象画像75A2に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第1変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A2を用いない処理が挙げられる。
【0149】
処理対象画像75A2に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A2を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A2は、処理対象画像75A2内の有彩色を無彩色に変更するように構成されたデジタルフィルタである。非AI方式処理部62B2は、処理対象画像75A2に対してデジタルフィルタ84A2を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2彩色画像88A2を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B2は、非AI方式で処理対象画像75A2内の非ノイズ要素(ここでは、一例として、色)を調整することにより第2彩色画像88A2を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B2は、非AI方式で処理対象画像75A2内の有彩色を無彩色に変更することにより第2彩色画像88A2を生成する。
【0150】
ここで、デジタルフィルタ84A2を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2彩色画像88A2を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0151】
デジタルフィルタ84A2には、処理対象画像75A2が入力される。デジタルフィルタ84A2は、入力された処理対象画像75A2に基づいて第2彩色画像88A2を生成する。第2彩色画像88A2は、デジタルフィルタ84A2によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A2に対するデジタルフィルタ84A2を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2彩色画像88A2は、処理対象画像75A2内の色がデジタルフィルタ84A2によって変更された画像(すなわち、処理対象画像75A2に対するデジタルフィルタ84A2を用いた処理によって有彩色が無彩色に変更された画像)である。なお、第2彩色画像88A2は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2彩色画像」の一例である。
【0152】
ところで、処理対象画像75A2に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1彩色画像86A2には、生成モデル82A2の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なる色が含まれてしまうことがある。処理対象画像75A2に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みとは異なる色が目立ってしまうことも考えられる。
【0153】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図8に示すように、第1彩色画像86A2及び第2彩色画像88A2に対して画像調整部62C2の処理及び合成部62D2の処理が行われることによって、第1彩色画像86A2と第2彩色画像88A2とが合成される。
【0154】
一例として
図8に示すように、NVM64には、割合90Bが記憶されている。割合90Bは、第1彩色画像86A2と第2彩色画像88A2とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A2によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A2を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0155】
割合90Bは、第1割合90B1と第2割合90B2とに大別される。第1割合90B1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90B2は、“1”から第1割合90B1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90B1及び第2割合90B2は、第1割合90B1と第2割合90B2との和が“1”となるように定められている。第1割合90B1及び第2割合90B2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0156】
画像調整部62C2は、AI方式処理部62A2によって生成された第1彩色画像86A2を、第1割合90B1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C2は、第1彩色画像86A2の各画素の画素値に第1割合90B1を乗じることにより第1彩色画像86A2の各画素の画素値を調整する。
【0157】
画像調整部62C2は、非AI方式処理部62B2によって生成された第2彩色画像88A2を、第2割合90B2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C2は、第2彩色画像88A2の各画素の画素値に第2割合90B2を乗じることにより第2彩色画像88A2の各画素の画素値を調整する。
【0158】
合成部62D2は、画像調整部62C2によって第1割合90B1で調整された第1彩色画像86A2と画像調整部62C2によって第2割合90B2で調整された第2彩色画像88A2とを合成することで合成画像92Bを生成する。すなわち、合成部62D2は、第1割合90B1で調整された第1彩色画像86A2と第2割合90B2で調整された第2彩色画像88A2とを合成することにより、AI方式処理部62A2によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D2は、第1割合90B1で調整された第1彩色画像86A2と第2割合90B2で調整された第2彩色画像88A2とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、色)を調整する。更に換言すると、合成部62D2は、第1割合90B1で調整された第1彩色画像86A2と第2割合90B2で調整された第2彩色画像88A2とを合成することにより、生成モデル82A2を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A2によって色が変更された画素の画素値)を調整する。
【0159】
合成部62D2によって行われる合成は、第1彩色画像86A2と第2彩色画像88A2との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D2による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Bに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D2によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Bは、合成部62D2によって既定の出力先に出力される。
【0160】
図9には、本第1変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図9に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST50~ステップST68を適用した点が異なる。
【0161】
図9に示す画像合成処理では、ステップST50で、AI方式処理部62A2及び非AI方式処理部62B2は、イメージセンサ20から処理対象画像75A2を取得する。ステップST50の処理が実行された後、画像合成処理はステップST52へ移行する。
【0162】
ステップST52で、AI方式処理部62A2は、ステップST50で取得した処理対象画像75A2を生成モデル82A2に入力する。ステップST52の処理が実行された後、画像合成処理はステップST54へ移行する。
【0163】
ステップST54で、AI方式処理部62A2は、ステップST52で処理対象画像75A2が生成モデル82A2に入力されることによって生成モデル82A2から出力された第1彩色画像86A2を取得する。ステップST54の処理が実行された後、画像合成処理はステップST56へ移行する。
【0164】
ステップST56で、非AI方式処理部62B2は、ステップST50で取得した処理対象画像75A2に対してデジタルフィルタ84A2を用いた処理を行うことで処理対象画像75A2内の色を調整する。ステップST56の処理が実行された後、画像合成処理はステップST58へ移行する。
【0165】
ステップST58で、非AI方式処理部62B2は、ステップST56で処理対象画像75A2に対してデジタルフィルタ84A2を用いた処理が行われることによって得られた第2彩色画像88A2を取得する。ステップST58の処理が実行された後、画像合成処理はステップST60へ移行する。
【0166】
ステップST60で、画像調整部62C2は、NVM64から第1割合90B1及び第2割合90B2を取得する。ステップST60の処理が実行された後、画像合成処理はステップST62へ移行する。
【0167】
ステップST62で、画像調整部62C2は、ステップST60で取得した第1割合90B1を用いて第1彩色画像86A2を調整する。ステップST62の処理が実行された後、画像合成処理はステップST64へ移行する。
【0168】
ステップST64で、画像調整部62C2は、ステップST60で取得した第2割合90B2を用いて第2彩色画像88A2を調整する。ステップST64の処理が実行された後、画像合成処理はステップST66へ移行する。
【0169】
ステップST66で、合成部62D2は、ステップST62で調整された第1彩色画像86A2とステップST64で調整された第2彩色画像88A2とを合成することにより、AI方式処理部62A2によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST62で調整された第1彩色画像86A2とステップST64で調整された第2彩色画像88A2とが合成されることによって合成画像92Bが生成される。ステップST66の処理が実行された後、画像合成処理はステップST68へ移行する。
【0170】
ステップST68で、合成部62D2は、合成画像92Bに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D2は、合成画像92Bに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST68の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0171】
以上説明したように、本第1変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A2から与えられる視覚的な印象を司る因子(ここでは、一例として、色)がAI方式の処理で変更されることによって第1彩色画像86A2が生成される。また、処理対象画像75A2から与えられる視覚的な印象を司る因子が非AI方式の処理で変更されることによって第2彩色画像88A2が生成される。また、第1彩色画像86A2は第1割合90B1に従って調整され、第2彩色画像88A2は第2割合90B2に従って調整される。そして、第1割合90B1に従って調整された第1彩色画像86A2と第2割合90B2に従って調整された第2彩色画像88A2とが合成されることによって合成画像92Bが生成される。これにより、AI方式の処理に由来する要素(例えば、第1彩色画像86A2内の色)が調整される。すなわち、AI方式の処理に由来する要素が合成画像92Bに対して及ぼす影響が、非AI方式の処理に由来する要素(例えば、第2彩色画像88A2内の色)によって緩和される。従って、合成画像92Bに対して、処理対象画像75A2から与えられる視覚的な印象を司る因子をAI方式で変更した変更量が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Bは、第1彩色画像86A2に比べ、AI方式の処理の影響が目立ち難い画像になり、AI方式の処理の影響を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0172】
本第1変形例では、処理対象画像75A2内の人物領域94と背景領域96とがAI方式で弁別可能に彩色されることによって第1彩色画像86A2が生成される。そして、第1彩色画像86A2と第2彩色画像88A2とが合成される。これにより、合成画像92Bに対して、AI方式の処理での彩色が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Bは、第1彩色画像86A2に比べ、AI方式の処理での彩色が目立ち難い画像になり、AI方式の処理での彩色を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0173】
本第1変形例では、処理対象画像75A2内の人物領域94と背景領域96とがAI方式で弁別可能に彩色された上で、第1彩色画像86A2と第2彩色画像88A2とが合成されるので、人物領域94に対して、AI方式の処理での彩色が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Bは、第1彩色画像86A2に比べ、人物領域94に対するAI方式の処理での彩色が目立ち難い画像になり、人物領域94に対するAI方式の処理での彩色を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0174】
図7~
図9に示す例では、非AI方式処理部62B2は、処理対象画像75A2内に写っている被写体とは無関係に処理対象画像75A2内の色を有彩色から無彩色に変更する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、非AI方式処理部62B2は、非AI方式で、人物領域94と背景領域96とを弁別可能に彩色するようにしてもよい。
【0175】
この場合、例えば、
図10に示すように、非AI方式処理部62B2は、処理対象画像75A2に対してデジタルフィルタ84A2aを用いた処理を行う。デジタルフィルタ84A2aは、処理対象画像75A2内の人物領域94と背景領域96とを弁別可能に彩色するように構成されたデジタルフィルタである。デジタルフィルタ84A2aは、人物領域94及び背景領域96のうちの一方を有彩色とし、他方を無彩色とするように構成されたデジタルフィルタであってもよい。また、デジタルフィルタ84A2aは、人物領域94及び背景領域96の両方を有彩色又は無彩色とし、かつ、人物領域94と背景領域96とで階調を変更するように構成されたデジタルフィルタであってもよい。
【0176】
非AI方式処理部62B2は、処理対象画像75A2に対してデジタルフィルタ84A2aを用いた処理を行うことで、人物領域94と背景領域96とが弁別可能に彩色された画像を第2彩色画像88A2として生成する。このように生成された第2彩色画像88A2と第1彩色画像86A2とが合成されることにより、ユーザは、合成画像92B内の人物領域94と背景領域86との違いを視覚的に容易に認識することが可能となる。
【0177】
本第1変形例では、本開示の技術に係る「第1領域」及び「特定被写体が写っている領域」の一例として人物領域94を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、人物領域94以外の領域(例えば、特定の車両が写っている領域、特定の動物が写っている領域、特定の植物が写っている領域、特定の建物が写っている領域、及び/又は特定の航空機が写っている領域等)であっても本開示の技術は成立する。
【0178】
本第1変形例では、第1彩色画像86A2と第2彩色画像88A2とが合成される形態例を挙げて説明したが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、第2彩色画像88A2に代えて処理対象画像75A2(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)を第1彩色画像86A2と合成させることによって、AI方式の処理に由来する要素(例えば、第1彩色画像86A2内の色)が調整されるようにしてもよい。この場合、AI方式の処理に由来する要素が合成画像92Bに対して及ぼす影響が、処理対象画像75A2に由来する要素(例えば、処理対象画像75A2内の色)によって緩和される。従って、合成画像92Bに対して、処理対象画像75A2から与えられる視覚的な印象を司る因子をAI方式で変更した変更量が過不足することを抑制することができる。なお、第1彩色画像86A2に合成される処理対象画像75A2は、本開示の技術に係る「第2画像」の一例である。
【0179】
[第2変形例]
一例として
図11に示すように、本第2変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A3を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B3を有する点が異なる。本第2変形例では、本第2変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第2変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0180】
AI方式処理部62A3及び非AI方式処理部62B3には、処理対象画像75A3が入力される。処理対象画像75A3は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A3は、有彩色画像であり、人物領域98及び背景領域100を有する。人物領域98は、人物が写っている画像領域である。背景領域100は、背景が写っている画像領域である。なお、ここでは、処理対象画像75A3として、有彩色画像を例示しているが、処理対象画像75A3は、無彩色画像であってもよい。
【0181】
AI方式処理部62A3及び非AI方式処理部62B3は、入力された処理対象画像75A3のコントラストを調整する処理を行う。本第2変形例において、コントラストを調整する処理とは、コントラストを強めたり弱めたりする処理を指す。処理対象画像75A3のコントラストは、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「処理対象画像のコントラスト」の一例である。
【0182】
AI方式処理部62A3は、処理対象画像75A3に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A3に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A3を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A3は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A3は、処理対象画像75A3のコントラストを調整する学習が既に行われた生成ネットワークである。
【0183】
AI方式処理部62A3は、AI方式で、処理対象画像75A3から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A3は、処理対象画像75A3に対して生成モデル82A3を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A3の非ノイズ要素として、処理対象画像75A3から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A3から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A3のコントラストである。
図11に示す例において、AI方式処理部62A3は、処理対象画像75A3に対して生成モデル82A3を用いた処理を行うことで第1コントラスト調整画像86A3を生成する。第1コントラスト調整画像86A3は、AI方式で処理対象画像75A3のコントラストが調整された画像である。
【0184】
ここで、生成モデル82A3を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「第1コントラスト調整処理」の一例である。第1コントラスト調整画像86A3は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1コントラスト調整画像」の一例である。「第1コントラスト調整画像86A3を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0185】
生成モデル82A3には、処理対象画像75A3が入力される。生成モデル82A3は、入力された処理対象画像75A3に基づいて第1コントラスト調整画像86A3を生成して出力する。
図11に示す例では、第1コントラスト調整画像86A3の一例として、処理対象画像75A3よりもコントラストが高められた画像が示されている。
【0186】
非AI方式処理部62B3は、処理対象画像75A3に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第2変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A3を用いない処理が挙げられる。
【0187】
処理対象画像75A3に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A3を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A3は、処理対象画像75A3のコントラストを調整するように構成されたデジタルフィルタである。非AI方式処理部62B3は、処理対象画像75A3に対してデジタルフィルタ84A3を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2コントラスト調整画像88A3を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B3は、非AI方式で処理対象画像75A3の非ノイズ要素(ここでは、一例として、コントラスト)を調整することにより第2コントラスト調整画像88A3を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B3は、非AI方式で処理対象画像75A3のコントラストに変更することにより第2コントラスト調整画像88A3を生成する。
【0188】
ここで、デジタルフィルタ84A3を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2コントラスト調整画像88A3を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0189】
デジタルフィルタ84A3には、処理対象画像75A3が入力される。デジタルフィルタ84A3は、入力された処理対象画像75A3に基づいて第2コントラスト調整画像88A3を生成する。第2コントラスト調整画像88A3は、デジタルフィルタ84A3によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A3に対するデジタルフィルタ84A3を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2コントラスト調整画像88A3は、処理対象画像75A3のコントラストがデジタルフィルタ84A3によって変更された画像(すなわち、処理対象画像75A3に対するデジタルフィルタ84A3を用いた処理によってコントラストが変更された画像)である。
図11に示す例では、第2コントラスト調整画像88A3の一例として、処理対象画像75A3よりもコントラストが高く、かつ、第1コントラスト調整画像86A3よりもコントラストが低い画像が示されている。なお、第2コントラスト調整画像88A3は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2コントラスト調整画像」の一例である。
【0190】
ところで、処理対象画像75A3に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1コントラスト調整画像86A3には、生成モデル82A3の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なるコントラストが含まれてしまうことがある。処理対象画像75A3に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みとは異なるコントラストが目立ってしまうことも考えられる。
【0191】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図12に示すように、第1コントラスト調整画像86A3及び第2コントラスト調整画像88A3に対して画像調整部62C3の処理及び合成部62D3の処理が行われることによって、第1コントラスト調整画像86A3と第2コントラスト調整画像88A3とが合成される。
【0192】
一例として
図12に示すように、NVM64には、割合90Cが記憶されている。割合90Cは、第1コントラスト調整画像86A3と第2コントラスト調整画像88A3とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A3によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A3を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0193】
割合90Cは、第1割合90C1と第2割合90C2とに大別される。第1割合90C1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90C2は、“1”から第1割合90C1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90C1及び第2割合90C2は、第1割合90C1と第2割合90C2との和が“1”となるように定められている。第1割合90C1及び第2割合90C2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0194】
画像調整部62C3は、AI方式処理部62A3によって生成された第1コントラスト調整画像86A3を、第1割合90C1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C3は、第1コントラスト調整画像86A3の各画素の画素値に第1割合90C1を乗じることにより第1コントラスト調整画像86A3の各画素の画素値を調整する。
【0195】
画像調整部62C3は、非AI方式処理部62B3によって生成された第2コントラスト調整画像88A3を、第2割合90C2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C3は、第2コントラスト調整画像88A3の各画素の画素値に第2割合90C2を乗じることにより第2コントラスト調整画像88A3の各画素の画素値を調整する。
【0196】
合成部62D3は、画像調整部62C3によって第1割合90C1で調整された第1コントラスト調整画像86A3と画像調整部62C3によって第2割合90C2で調整された第2コントラスト調整画像88A3とを合成することで合成画像92Cを生成する。すなわち、合成部62D3は、第1割合90C1で調整された第1コントラスト調整画像86A3と第2割合90C2で調整された第2コントラスト調整画像88A3とを合成することにより、AI方式処理部62A3によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D3は、第1割合90C1で調整された第1コントラスト調整画像86A3と第2割合90C2で調整された第2コントラスト調整画像88A3とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、コントラスト)を調整する。更に換言すると、合成部62D3は、第1割合90C1で調整された第1コントラスト調整画像86A3と第2割合90C2で調整された第2コントラスト調整画像88A3とを合成することにより、生成モデル82A3を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A3によってコントラストが変更された画素の画素値)を調整する。
【0197】
合成部62D3によって行われる合成は、第1コントラスト調整画像86A3と第2コントラスト調整画像88A3との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D3による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Cに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D3によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Cは、合成部62D3によって既定の出力先に出力される。
【0198】
図13には、本第2変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図13に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST100~ステップST118を適用した点が異なる。
【0199】
図13に示す画像合成処理では、ステップST100で、AI方式処理部62A3及び非AI方式処理部62B3は、イメージセンサ20から処理対象画像75A3を取得する。ステップST100の処理が実行された後、画像合成処理はステップST102へ移行する。
【0200】
ステップST102で、AI方式処理部62A3は、ステップST100で取得した処理対象画像75A3を生成モデル82A3に入力する。ステップST102の処理が実行された後、画像合成処理はステップST104へ移行する。
【0201】
ステップST104で、AI方式処理部62A3は、ステップST102で処理対象画像75A3が生成モデル82A3に入力されることによって生成モデル82A3から出力された第1コントラスト調整画像86A3を取得する。ステップST104の処理が実行された後、画像合成処理はステップST106へ移行する。
【0202】
ステップST106で、非AI方式処理部62B3は、ステップST100で取得した処理対象画像75A3に対してデジタルフィルタ84A3を用いた処理を行うことで処理対象画像75A3のコントラストを調整する。ステップST106の処理が実行された後、画像合成処理はステップST108へ移行する。
【0203】
ステップST108で、非AI方式処理部62B3は、ステップST106で処理対象画像75A3に対してデジタルフィルタ84A3を用いた処理が行われることによって得られた第2コントラスト調整画像88A3を取得する。ステップST108の処理が実行された後、画像合成処理はステップST110へ移行する。
【0204】
ステップST110で、画像調整部62C3は、NVM64から第1割合90C1及び第2割合90C2を取得する。ステップST110の処理が実行された後、画像合成処理はステップST112へ移行する。
【0205】
ステップST112で、画像調整部62C3は、ステップST110で取得した第1割合90C1を用いて第1コントラスト調整画像86A3を調整する。ステップST112の処理が実行された後、画像合成処理はステップST114へ移行する。
【0206】
ステップST114で、画像調整部62C3は、ステップST110で取得した第2割合90C2を用いて第2コントラスト調整画像88A3を調整する。ステップST114の処理が実行された後、画像合成処理はステップST116へ移行する。
【0207】
ステップST116で、合成部62D3は、ステップST112で調整された第1コントラスト調整画像86A3とステップST114で調整された第2コントラスト調整画像88A3とを合成することにより、AI方式処理部62A3によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップS112で調整された第1コントラスト調整画像86A3とステップST114で調整された第2コントラスト調整画像88A3とが合成されることによって合成画像92Cが生成される。ステップST116の処理が実行された後、画像合成処理はステップST118へ移行する。
【0208】
ステップST118で、合成部62D3は、合成画像92Cに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D3は、合成画像92Cに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST118の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0209】
以上説明したように、本第2変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A3のコントラストがAI方式で調整されることによって第1コントラスト調整画像86A3が生成される。また、処理対象画像75A3のコントラストが非AI方式で調整されることによって第2コントラスト調整画像88A3が生成される。そして、第1コントラスト調整画像86A3と第2コントラスト調整画像88A3とが合成される。これにより、合成画像92Cに対して、AI方式の処理でのコントラストが過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Cは、第1コントラスト調整画像86A3に比べ、AI方式の処理でのコントラストが目立ち難い画像になり、AI方式の処理でのコントラストを過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0210】
図11~
図13に示す例では、プロセッサ62が、処理対象画像75A3の全体を対象にしてコントラストを調整する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されず、プロセッサ62は、処理対象画像75A3の明瞭度を調整する処理を行ってもよい。明瞭度とは、複数の画素からなる画素ブロック内の中心画素と中心画素の周囲に隣接する画素とのコントラストを指す。明瞭度を調整する処理には、AI方式で明瞭度を調整する処理と非AI方式で明瞭度を調整する処理とがある。
【0211】
AI方式で明瞭度を調整する処理は、例えば、生成モデル82A3aを用いた処理である。この場合、生成モデル82A3aは、上述した要領でコントラストを調整し、かつ、第1明瞭度処理を行う学習が既に行われた生成ネットワークである。第1明瞭度処理とは、AI方式で明瞭度を調整する処理、すなわち、AI方式でコントラストを局所的に調整する処理を指す。AI方式でのコントラストの局所的な調整は、例えば、
図14に示すように、人物領域98のエッジ領域を構成する複数の画素104のうちの中心画素104Aの画素値と中心画素104Aの周囲に隣接する複数の隣接画素104Bとの画素値の差分を大きくしたり小さくしたりすることによって実現される。
【0212】
非AI方式で明瞭度を調整する処理は、例えば、生成モデル82A3aを用いた処理である。この場合、デジタルフィルタ84A3aは、上述した要領でコントラストを調整し、かつ、第2明瞭度処理を行うように構成されたデジタルフィルタである。第2明瞭度処理とは、非AI方式で明瞭度を調整する処理、すなわち、非AI方式でコントラストを局所的に調整する処理を指す。非AI方式でのコントラストの局所的な調整は、例えば、
図14に示すように、人物領域98のエッジ領域を構成する複数の画素106のうちの中心画素106Aの画素値と中心画素106Aの周囲に隣接する複数の隣接画素106Bとの画素値の差分を大きくしたり小さくしたりすることによって実現される。
【0213】
ここで、第1明瞭度処理が行われると、第1コントラスト調整画像86A3の明瞭度が強められ過ぎることによって、人物領域98に不自然な縁取りが現れたり、逆に、第1コントラスト調整画像86A3の明瞭度が弱められ過ぎることによって、人物領域98の微細な部分が不明瞭になったりする虞がある。そこで、第1明瞭度処理が行われた第1コントラスト調整画像86A3と第2明瞭度処理が行われた第2コントラスト調整画像88A3は、割合90Cで合成される。これにより、第1明瞭度処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A3aによってコントラストが変更された画素の画素値)が調整される。この結果、合成画像92Cとして、第1明瞭度処理の影響が緩和された画像を得ることができる。
【0214】
ここでは、第1明瞭度処理が行われた第1コントラスト調整画像86A3と第2明瞭度処理が行われた第2コントラスト調整画像88A3が合成される形態例を挙げたが、第1明瞭度処理が行われた第1コントラスト調整画像86A3と、第2明瞭度処理が行われていない第2コントラスト調整画像88A3又は処理対象画像75A3とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0215】
なお、第1明瞭度処理は、本開示の技術に係る「第5コントラスト調整処理」の一例である。第2明瞭度処理は、本開示の技術に係る「第6コントラスト調整処理」の一例である。第1明瞭度処理が行われることによって得られた第1コントラスト調整画像86A3は、本開示の技術に係る「第5コントラスト画像」の一例である。第2明瞭度処理が行われることによって得られた第2コントラスト調整画像88A3は、本開示の技術に係る「第6画像」の一例である。
【0216】
図11~
図13に示す例では、処理対象画像74A3に人物が写っている場合について説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、
図15に示すように、処理対象画像74A3に人物と車両(ここでは、一例として、自動車)が写っていてもよい。この場合、処理対象画像74A3は、人物領域98及び車両領域108を有する。車両領域108は、車両が写っている画像領域である。
【0217】
AI方式処理部62Aは、AI方式で、処理対象画像75A3に対して被写体に応じてコントラストを調整する。これを実現するために、
図15に示す例では、AI方式処理部62Aによって、生成モデル82A3bを用いた処理が行われる。生成モデル82A3bは、被写体に応じてコントラストを調整する学習が既に行われた生成ネットワークである。AI方式処理部62Aは、生成モデル82A3bを用いて、処理対象画像75A3内の人物領域98及び車両領域108に応じてコントラストを調整する。すなわち、人物領域98に対しては、人物領域98により示される人物に応じたコントラストが付され、車両領域108に対しては、車両領域108により示される車両に応じたコントラストが付される。
図15に示す例では、車両領域108のコントラストが人物領域98のコントラストよりも高くなっている。
【0218】
非AI方式処理部62Bは、非AI方式で、処理対象画像75A3に対して被写体に応じてコントラストを調整する。これを実現するために、
図15に示す例では、非AI方式処理部62Bによって、デジタルフィルタ84A3bを用いた処理が行われる。デジタルフィルタ84A3bは、被写体に応じてコントラストを調整するように構成されたデジタルフィルタである。非AI方式処理部62Bは、デジタルフィルタ84A3bを用いて、処理対象画像75A3内の人物領域98及び車両領域108に応じてコントラストを調整する。
図15に示す例では、車両領域108のコントラストが人物領域98のコントラストよりも高くなっている。また、第2コントラスト調整画像88A3内の車両領域108のコントラストは、第1コントラスト調整画像86A3内の車両領域108のコントラストよりも低くなっている。また、第2コントラスト調整画像88A3内の人物領域98のコントラストは、第1コントラスト調整画像86A3内の人物領域98のコントラストよりも低くなっている。
【0219】
ここで、第1コントラスト調整画像86A3が、生成モデル82A3bを用いた処理の影響を過度に受けてしまうと、第1コントラスト調整画像86A3内の人物領域98及び車両領域108のコントラストがユーザの好みに合わなくなる虞がある。例えば、ユーザが、第1コントラスト調整画像86A3内の人物領域98及び車両領域108のコントラストを高過ぎると感じてしまう可能性がある。そこで、処理対象画像75A3に対して生成モデル82A3bを用いた処理が行われることによって得られた第1コントラスト調整画像86A3と処理対象画像75A3に対してデジタルフィルタ84A3bを用いた処理が行われることによって得られた第2コントラスト調整画像88A3が、割合90Cで合成される。これにより、生成モデル82A3bを用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A3bによってコントラストが変更された画素の画素値)が調整される。これにより、合成画像92Cとして、生成モデル82A3bを用いた処理の影響が緩和された画像を得ることができる。
【0220】
ここでは、処理対象画像75A3に対して生成モデル82A3bを用いた処理が行われることによって得られた第1コントラスト調整画像86A3と処理対象画像75A3に対してデジタルフィルタ84A3bを用いた処理が行われることによって得られた第2コントラスト調整画像88A3が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A3に対して生成モデル82A3bを用いた処理が行われることによって得られた第1コントラスト調整画像86A3と、デジタルフィルタ84A3bを用いた処理が行われていない第2コントラスト調整画像88A3又は処理対象画像75A3とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0221】
なお、生成モデル82A3bを用いた処理は、本開示の技術に係る「第3コントラスト調整処理」の一例である。デジタルフィルタ84A3bを用いた処理は、本開示の技術に係る「第4コントラスト調整処理」の一例である。処理対象画像75A3に対して生成モデル82A3bを用いた処理が行われることによって得られた第1コントラスト調整画像86A3は、本開示の技術に係る「第3コントラスト調整画像」の一例である。処理対象画像75A3に対してデジタルフィルタ84A3bを用いた処理が行われることによって得られた第2コントラスト調整画像88A3は、本開示の技術に係る「第4コントラスト調整画像」の一例である。
【0222】
[第3変形例]
一例として
図16に示すように、本第3変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A4を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B4を有する点が異なる。本第3変形例では、本第3変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第3変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0223】
AI方式処理部62A4及び非AI方式処理部62B4には、処理対象画像75A4が入力される。処理対象画像75A4は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A4は、有彩色画像であり、人物領域110を有する。人物領域110は、人物が写っている画像領域である。なお、ここでは、処理対象画像75A4として、有彩色画像を例示しているが、処理対象画像75A4は、無彩色画像であってもよい。
【0224】
AI方式処理部62A4及び非AI方式処理部62B4は、入力された処理対象画像75A4の解像度を調整する処理を行う。本第3変形例において、解像度を調整する処理とは、解像度を高くしたり低くしたりする処理を指す。処理対象画像75A4の解像度は、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「処理対象画像の解像度」の一例である。
【0225】
AI方式処理部62A4は、処理対象画像75A4に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A4に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A4を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A4は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A4は、処理対象画像75A4の解像度を調整する学習が既に行われた生成ネットワークである。本第3変形例において、処理対象画像75A4の解像度を調整する学習とは、処理対象画像75A4を超解像度化する学習を指す。
【0226】
AI方式処理部62A4は、AI方式で、処理対象画像75A4から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A4は、処理対象画像75A4に対して生成モデル82A4を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A4の非ノイズ要素として、処理対象画像75A4から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A4から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A4の解像度である。
図16に示す例において、AI方式処理部62A4は、処理対象画像75A4に対して生成モデル82A4を用いた処理を行うことで第1解像度調整画像86A4を生成する。第1解像度調整画像86A4は、AI方式で処理対象画像75A4の解像度が調整された画像である。ここで、AI方式で処理対象画像75A4の解像度が調整された画像とは、AI方式で処理対象画像75A4が超解像度化された画像を指す。
【0227】
ここで、生成モデル82A4を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「第1解像度調整処理」の一例である。第1解像度調整画像86A4は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1解像度調整画像」の一例である。「第1解像度調整画像86A4を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0228】
生成モデル82A4には、処理対象画像75A4が入力される。生成モデル82A4は、入力された処理対象画像75A4に基づいて第1解像度調整画像86A4を生成して出力する。
図16に示す例では、第1解像度調整画像86A4の一例として、処理対象画像75A4が超解像度化された画像が示されている。
【0229】
非AI方式処理部62B4は、処理対象画像75A3に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第3変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A4を用いない処理が挙げられる。
【0230】
処理対象画像75A4に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A4を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A4は、処理対象画像75A4の解像度を調整するように構成されたデジタルフィルタである。以下では、デジタルフィルタ84A4として、処理対象画像75A4を超解像度化するように構成されたデジタルフィルタを例に挙げて説明する。
【0231】
非AI方式処理部62B4は、処理対象画像75A4に対してデジタルフィルタ84A4を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2解像度調整画像88A4を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B4は、非AI方式で処理対象画像75A4の非ノイズ要素(ここでは、一例として、解像度)を調整することにより第2解像度調整画像88A4を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B4は、非AI方式で処理対象画像75A4の解像度に調整することにより第2解像度調整画像88A4を生成する。非AI方式で処理対象画像75A4の解像度が調整された画像とは、非AI方式で処理対象画像75A4が超解像度化された画像を指す。
【0232】
ここで、デジタルフィルタ84A4を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2解像度調整画像88A4を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0233】
デジタルフィルタ84A4には、処理対象画像75A4が入力される。デジタルフィルタ84A4は、入力された処理対象画像75A4に基づいて第2解像度調整画像88A4を生成する。第2解像度調整画像88A4は、デジタルフィルタ84A4によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A4に対するデジタルフィルタ84A4を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2解像度調整画像88A4は、処理対象画像75A4の解像度がデジタルフィルタ84A4によって調整された画像(すなわち、処理対象画像75A4に対するデジタルフィルタ84A4を用いた処理によって解像度が調整された画像)である。
図16に示す例では、第2解像度調整画像88A4の一例として、処理対象画像75A4が超解像度化されており、かつ、解像度が第1解像度調整画像86A4よりも低い画像が示されている。なお、第2解像度調整画像88A4は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2解像度調整画像」の一例である。
【0234】
ところで、処理対象画像75A4に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1解像度調整画像86A4の解像度は、生成モデル82A4の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なる解像度になってしまうことがある。処理対象画像75A4に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みよりも解像度が高過ぎたり、逆に、低過ぎたりしてしまうことも考えられる。
【0235】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図17に示すように、第1解像度調整画像86A4及び第2解像度調整画像88A4に対して画像調整部62C4の処理及び合成部62D4の処理が行われることによって、第1解像度調整画像86A4と第2解像度調整画像88A4とが合成される。
【0236】
一例として
図17に示すように、NVM64には、割合90Dが記憶されている。割合90Dは、第1解像度調整画像86A4と第2解像度調整画像88A4とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A4によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A4を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0237】
割合90Dは、第1割合90D1と第2割合90D2とに大別される。第1割合90D1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90D2は、“1”から第1割合90D1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90D1及び第2割合90D2は、第1割合90D1と第2割合90D2との和が“1”となるように定められている。第1割合90D1及び第2割合90D2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0238】
画像調整部62C4は、AI方式処理部62A4によって生成された第1解像度調整画像86A4を、第1割合90D1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C4は、第1解像度調整画像86A4の各画素の画素値に第1割合90D1を乗じることにより第1解像度調整画像86A4の各画素の画素値を調整する。
【0239】
画像調整部62C4は、非AI方式処理部62B4によって生成された第2解像度調整画像88A4を、第2割合90D2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C4は、第2解像度調整画像88A4の各画素の画素値に第2割合90D2を乗じることにより第2解像度調整画像88A4の各画素の画素値を調整する。
【0240】
合成部62D4は、画像調整部62C4によって第1割合90D1で調整された第1解像度調整画像86A4と画像調整部62C4によって第2割合90D2で調整された第2解像度調整画像88A4とを合成することで合成画像92Dを生成する。すなわち、合成部62D4は、第1割合90D1で調整された第1解像度調整画像86A4と第2割合90D2で調整された第2解像度調整画像88A4とを合成することにより、AI方式処理部62A4によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D4は、第1割合90D1で調整された第1解像度調整画像86A4と第2割合90D2で調整された第2解像度調整画像88A4とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、解像度)を調整する。更に換言すると、合成部62D4は、第1割合90D1で調整された第1解像度調整画像86A4と第2割合90D2で調整された第2解像度調整画像88A4とを合成することにより、生成モデル82A4を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A4によって解像度が調整された画素の画素値)を調整する。
【0241】
合成部62D4によって行われる合成は、第1解像度調整画像86A4と第2解像度調整画像88A4との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D4による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Dに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D4によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Dは、合成部62D4によって既定の出力先に出力される。
【0242】
図18には、本第3変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図18に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST150~ステップST168を適用した点が異なる。
【0243】
図18に示す画像合成処理では、ステップST150で、AI方式処理部62A4及び非AI方式処理部62B4は、イメージセンサ20から処理対象画像75A4を取得する。ステップST150の処理が実行された後、画像合成処理はステップST152へ移行する。
【0244】
ステップST152で、AI方式処理部62A4は、ステップST150で取得した処理対象画像75A4を生成モデル82A4に入力する。これにより、処理対象画像75A4がAI方式で超解像度化される。ステップST152の処理が実行された後、画像合成処理はステップST154へ移行する。
【0245】
ステップST154で、AI方式処理部62A4は、ステップST152で処理対象画像75A4が生成モデル82A4に入力されることによって生成モデル82A4から出力された第1解像度調整画像86A4を取得する。ステップST154の処理が実行された後、画像合成処理はステップST156へ移行する。
【0246】
ステップST156で、非AI方式処理部62B4は、ステップST150で取得した処理対象画像75A4に対してデジタルフィルタ84A4を用いた処理を行うことで処理対象画像75A4の解像度を調整する。これにより、処理対象画像75A4が非AI方式で超解像度化される。ステップST156の処理が実行された後、画像合成処理はステップST158へ移行する。
【0247】
ステップST158で、非AI方式処理部62B4は、ステップST156で処理対象画像75A4に対してデジタルフィルタ84A4を用いた処理が行われることによって得られた第2解像度調整画像88A4を取得する。ステップST158の処理が実行された後、画像合成処理はステップST160へ移行する。
【0248】
ステップST160で、画像調整部62C4は、NVM64から第1割合90D1及び第2割合90D2を取得する。ステップST160の処理が実行された後、画像合成処理はステップST162へ移行する。
【0249】
ステップST162で、画像調整部62C4は、ステップST160で取得した第1割合90D1を用いて第1解像度調整画像86A4を調整する。ステップST162の処理が実行された後、画像合成処理はステップST164へ移行する。
【0250】
ステップST164で、画像調整部62C4は、ステップST160で取得した第2割合90D2を用いて第2解像度調整画像88A4を調整する。ステップST164の処理が実行された後、画像合成処理はステップST166へ移行する。
【0251】
ステップST166で、合成部62D4は、ステップST162で調整された第1解像度調整画像86A4とステップST164で調整された第2解像度調整画像88A4とを合成することにより、AI方式処理部62A4によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST162で調整された第1解像度調整画像86A4とステップST164で調整された第2解像度調整画像88A4とが合成されることによって合成画像92Dが生成される。ステップST166の処理が実行された後、画像合成処理はステップST168へ移行する。
【0252】
ステップST168で、合成部62D4は、合成画像92Dに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D4は、合成画像92Dに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST168の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0253】
以上説明したように、本第3変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A4の解像度がAI方式で調整されることによって第1解像度調整画像86A4が生成される。そして、第1解像度調整画像86A4と第2解像度調整画像88A4とが合成される。これにより、合成画像92Dに対して、AI方式の処理での解像度が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Dは、第1解像度調整画像86A4に比べ、AI方式の処理での解像度が目立ち難い画像になり、AI方式の処理での解像度を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0254】
本第3変形例では、第1解像度調整画像86A4は、AI方式で処理対象画像75A4が超解像度化された画像であり、第2解像度調整画像88A4は、非AI方式で処理対象画像75A4が超解像度化された画像である。そして、AI方式で処理対象画像75A4が超解像度化された画像と非AI方式で処理対象画像75A4が超解像度化された画像とが合成されることによって合成画像92Dが生成される。従って、合成画像92Dに対して、AI方式の超解像度化によって得られた解像度が過不足することを抑制することができる。
【0255】
ここでは、処理対象画像75A4に対して生成モデル82A4を用いた処理が行われることによって得られた第1解像度調整画像86A4と処理対象画像75A4に対してデジタルフィルタ84A4を用いた処理が行われることによって得られた第2解像度調整画像88A4が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A4に対して生成モデル82A4を用いた処理が行われることによって得られた第1解像度調整画像86A4と処理対象画像75A4(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0256】
[第4変形例]
一例として
図19に示すように、本第4変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A5を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B5を有する点が異なる。本第4変形例では、本第4変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第4変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0257】
AI方式処理部62A5及び非AI方式処理部62B5には、処理対象画像75A5が入力される。処理対象画像75A5は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A5は、有彩色画像である。なお、ここでは、処理対象画像75A5として、有彩色画像を例示しているが、処理対象画像75A5は、無彩色画像であってもよい。
【0258】
AI方式処理部62A5及び非AI方式処理部62B5は、入力された処理対象画像75A5のダイナミックレンジを拡げる処理を行う。処理対象画像75A5のダイナミックレンジは、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「処理対象画像のダイナミックレンジ」の一例である。
【0259】
AI方式処理部62A5は、処理対象画像75A5に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A5に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A5を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A5は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A5は、処理対象画像75A5のダイナミックレンジを拡げる学習が既に行われた生成ネットワークである。本第4変形例において、処理対象画像75A5のダイナミックレンジを調整する学習とは、処理対象画像75A5をハイダイナミックレンジ化する学習を指す。なお、以下では、「ハイダイナミックレンジ」を「HDR」と称する。
【0260】
AI方式処理部62A5は、AI方式で、処理対象画像75A5から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A5は、処理対象画像75A5に対して生成モデル82A5を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A5の非ノイズ要素として、処理対象画像75A5から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A5から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A5のダイナミックレンジである。
図19に示す例において、AI方式処理部62A5は、処理対象画像75A5に対して生成モデル82A5を用いた処理を行うことで第1HDR画像86A5を生成する。第1HDR画像86A5は、AI方式で処理対象画像75A5のダイナミックレンジが拡げられた画像である。
【0261】
ここで、生成モデル82A5を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「拡張処理」の一例である。第1HDR画像86A5は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1HDR画像」の一例である。「第1HDR画像86A5を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0262】
生成モデル82A5には、処理対象画像75A5が入力される。生成モデル82A5は、入力された処理対象画像75A5に基づいて第1HDR画像86A5を生成して出力する。
【0263】
非AI方式処理部62B5は、処理対象画像75A5に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第4変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A5を用いない処理が挙げられる。
【0264】
処理対象画像75A5に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A5を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A5は、処理対象画像75A5のダイナミックレンジを拡げるように構成されたデジタルフィルタである。以下では、デジタルフィルタ84A5として、処理対象画像75A5をHDR化するように構成されたデジタルフィルタを例に挙げて説明する。
【0265】
非AI方式処理部62B5は、処理対象画像75A5に対してデジタルフィルタ84A5を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2HDR画像88A5を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B5は、非AI方式で処理対象画像75A5の非ノイズ要素を変更することにより第2HDR画像88A5を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B5は、非AI方式で処理対象画像75A5のダイナミックレンジに拡げることにより第2HDR画像88A5を生成する。
【0266】
ここで、デジタルフィルタ84A5を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2HDR画像88A5を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0267】
デジタルフィルタ84A5には、処理対象画像75A5が入力される。デジタルフィルタ84A5は、入力された処理対象画像75A5に基づいて第2HDR画像88A5を生成する。第2HDR画像88A5は、デジタルフィルタ84A5によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A5に対するデジタルフィルタ84A5を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2HDR画像88A5は、処理対象画像75A5のダイナミックレンジがデジタルフィルタ84A5によって変更された画像(すなわち、処理対象画像75A5に対するデジタルフィルタ84A5を用いた処理によってダイナミックレンジが拡げられた画像)である。なお、第2HDR画像88A5は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2HDR画像」の一例である。
【0268】
ところで、処理対象画像75A5に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1HDR画像86A5のダイナミックレンジは、生成モデル82A5の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なるダイナミックレンジになってしまうことがある。処理対象画像75A5に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みよりもダイナミックレンジが拡がり過ぎていたり、逆に、狭くなり過ぎていたりしまうことも考えられる。
【0269】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図20に示すように、第1HDR画像86A5及び第2HDR画像88A5に対して画像調整部62C5の処理及び合成部62D5の処理が行われることによって、第1HDR画像86A5と第2HDR画像88A5とが合成される。
【0270】
一例として
図20に示すように、NVM64には、割合90Eが記憶されている。割合90Eは、第1HDR画像86A5と第2HDR画像88A5とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A5によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A5を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0271】
割合90Eは、第1割合90E1と第2割合90E2とに大別される。第1割合90E1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90E2は、“1”から第1割合90E1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90E1及び第2割合90E2は、第1割合90E1と第2割合90E2との和が“1”となるように定められている。第1割合90E1及び第2割合90E2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0272】
画像調整部62C5は、AI方式処理部62A5によって生成された第1HDR画像86A5を、第1割合90E1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C5は、第1HDR画像86A5の各画素の画素値に第1割合90E1を乗じることにより第1HDR画像86A5の各画素の画素値を調整する。
【0273】
画像調整部62C5は、非AI方式処理部62B5によって生成された第2HDR画像88A5を、第2割合90E2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C5は、第2HDR画像88A5の各画素の画素値に第2割合90E2を乗じることにより第2HDR画像88A5の各画素の画素値を調整する。
【0274】
合成部62D5は、画像調整部62C5によって第1割合90E1で調整された第1HDR画像86A5と画像調整部62C5によって第2割合90E2で調整された第2HDR画像88A5とを合成することで合成画像92Eを生成する。すなわち、合成部62D5は、第1割合90E1で調整された第1HDR画像86A5と第2割合90E2で調整された第2HDR画像88A5とを合成することにより、AI方式処理部62A5によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D5は、第1割合90E1で調整された第1HDR画像86A5と第2割合90E2で調整された第2HDR画像88A5とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、ダイナミックレンジ)を調整する。更に換言すると、合成部62D5は、第1割合90E1で調整された第1HDR画像86A5と第2割合90E2で調整された第2HDR画像88A5とを合成することにより、生成モデル82A5を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A5によってダイナミックレンジが拡げられた画素の画素値)を調整する。
【0275】
合成部62D5によって行われる合成は、第1HDR画像86A5と第2HDR画像88A5との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D5による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Eに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D5によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Eは、合成部62D5によって既定の出力先に出力される。
【0276】
図21には、本第4変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図21に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST200~ステップST218を適用した点が異なる。
【0277】
図21に示す画像合成処理では、ステップST200で、AI方式処理部62A5及び非AI方式処理部62B5は、イメージセンサ20から処理対象画像75A5を取得する。ステップST200の処理が実行された後、画像合成処理はステップST202へ移行する。
【0278】
ステップST202で、AI方式処理部62A5は、ステップST200で取得した処理対象画像75A5を生成モデル82A5に入力する。これにより、処理対象画像75A5がAI方式でHDR化される。ステップST202の処理が実行された後、画像合成処理はステップST204へ移行する。
【0279】
ステップST204で、AI方式処理部62A5は、ステップST202で処理対象画像75A5が生成モデル82A5に入力されることによって生成モデル82A5から出力された第1HDR画像86A5を取得する。ステップST204の処理が実行された後、画像合成処理はステップST206へ移行する。
【0280】
ステップST206で、非AI方式処理部62B5は、ステップST200で取得した処理対象画像75A5に対してデジタルフィルタ84A5を用いた処理を行うことで処理対象画像75A5のダイナミックレンジを拡げる。これにより、処理対象画像75A5が非AI方式でHDR化される。ステップST206の処理が実行された後、画像合成処理はステップST208へ移行する。
【0281】
ステップST208で、非AI方式処理部62B5は、ステップST206で処理対象画像75A5に対してデジタルフィルタ84A5を用いた処理が行われることによって得られた第2HDR画像88A5を取得する。ステップST208の処理が実行された後、画像合成処理はステップST210へ移行する。
【0282】
ステップST210で、画像調整部62C5は、NVM64から第1割合90E1及び第2割合90E2を取得する。ステップST210の処理が実行された後、画像合成処理はステップST212へ移行する。
【0283】
ステップST212で、画像調整部62C5は、ステップST210で取得した第1割合90E1を用いて第1HDR画像86A5を調整する。ステップST212の処理が実行された後、画像合成処理はステップST214へ移行する。
【0284】
ステップST214で、画像調整部62C5は、ステップST210で取得した第2割合90E2を用いて第2HDR画像88A5を調整する。ステップST214の処理が実行された後、画像合成処理はステップST216へ移行する。
【0285】
ステップST216で、合成部62D5は、ステップST212で調整された第1HDR画像86A5とステップST214で調整された第2HDR画像88A5とを合成することにより、AI方式処理部62A5によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST212で調整された第1HDR86A5とステップST214で調整された第2HDR画像88A5とが合成されることによって合成画像92Eが生成される。ステップST216の処理が実行された後、画像合成処理はステップST218へ移行する。
【0286】
ステップST218で、合成部62D5は、合成画像92Eに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D5は、合成画像92Eに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST218の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0287】
以上説明したように、本第4変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A5のダイナミックレンジがAI方式でHDR化されることによって第1HDR画像86A5が生成される。そして、第1HDR画像86A5と第2HDR画像88A5とが合成される。これにより、合成画像92Eに対して、AI方式の処理でのダイナミックレンジが過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Eは、第1HDR画像86A5に比べ、AI方式の処理でのダイナミックレンジが目立ち難い画像になり、AI方式の処理でのダイナミックレンジを過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0288】
ここでは、処理対象画像75A5に対して生成モデル82A5を用いた処理が行われることによって得られた第1HDR画像86A5と処理対象画像75A5に対してデジタルフィルタ84A5を用いた処理が行われることによって得られた第2HDR画像88A5が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A5に対して生成モデル82A5を用いた処理が行われることによって得られた第1HDR画像86A5と処理対象画像75A5(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0289】
[第5変形例]
一例として
図22に示すように、本第5変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A6を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B6を有する点が異なる。本第5変形例では、本第5変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第5変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0290】
AI方式処理部62A6及び非AI方式処理部62B6には、処理対象画像75A6が入力される。処理対象画像75A6は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A6は、有彩色画像であり、エッジ領域112を有する。エッジ領域112は、被写体のエッジが写っている画像領域(例えば、一定値以上の高周波成分)である。なお、ここでは、処理対象画像75A6として、有彩色画像を例示しているが、処理対象画像75A6は、無彩色画像であってもよい。
【0291】
AI方式処理部62A6及び非AI方式処理部62B6は、入力された処理対象画像75A6内のエッジ領域112を、エッジ領域112と異なる領域である非エッジ領域(以下、単に「非エッジ領域」と称する)よりも強調する処理を行う。エッジ領域112は、本開示の技術に係る「処理対象画像内のエッジ領域」の一例である。エッジ領域112の強調度は、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「エッジ領域の強調度」の一例である。
【0292】
AI方式処理部62A6は、処理対象画像75A6に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A6に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A6を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A6は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A6は、処理対象画像75A6内のエッジ領域112を非エッジ領域よりも強調する学習が既に行われた生成ネットワークである。
【0293】
AI方式処理部62A6は、AI方式で、処理対象画像75A6から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A6は、処理対象画像75A6に対して生成モデル82A6を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A6の非ノイズ要素として、処理対象画像75A6から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A6から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A6内のエッジ領域112である。
図22に示す例において、AI方式処理部62A6は、処理対象画像75A6に対して生成モデル82A6を用いた処理を行うことで第1エッジ強調画像86A6を生成する。第1エッジ強調画像86A6は、AI方式で処理対象画像75A6内のエッジ領域112が非エッジ領域よりも強調された画像である。
【0294】
ここで、生成モデル82A4を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「強調処理」の一例である。第1エッジ強調画像86A6は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1エッジ強調画像」の一例である。「第1エッジ強調画像86A6を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0295】
生成モデル82A6には、処理対象画像75A6が入力される。生成モデル82A6は、入力された処理対象画像75A6に基づいて第1エッジ強調画像86A6を生成して出力する。
【0296】
非AI方式処理部62B6は、処理対象画像75A6に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第5変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A6を用いない処理が挙げられる。
【0297】
処理対象画像75A6に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A6を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A6は、処理対象画像75A6内のエッジ領域112を非エッジ領域よりも強調するように構成されたデジタルフィルタである。
【0298】
非AI方式処理部62B6は、処理対象画像75A6に対してデジタルフィルタ84A6を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2エッジ強調画像88A6を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B6は、非AI方式で処理対象画像75A6の非ノイズ要素(ここでは、一例として、エッジ領域112)を非エッジ領域よりも強調することにより第2エッジ強調画像88A6を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B6は、非AI方式で処理対象画像75A6内のエッジ領域112を非エッジ領域よりも強調することにより第2エッジ強調画像88A6を生成する。
【0299】
ここで、デジタルフィルタ84A6を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2エッジ強調画像88A6を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0300】
デジタルフィルタ84A6には、処理対象画像75A6が入力される。デジタルフィルタ84A6は、入力された処理対象画像75A6に基づいて第2エッジ強調画像88A6を生成する。第2エッジ強調画像88A6は、デジタルフィルタ84A6によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A6に対するデジタルフィルタ84A6を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2エッジ強調画像88A6は、処理対象画像75A6内のエッジ領域112がデジタルフィルタ84A6によって調整された画像(すなわち、処理対象画像75A6に対するデジタルフィルタ84A6を用いた処理によってエッジ領域112が非エッジ領域よりも強調された画像)である。第2エッジ強調画像88A6内のエッジ領域112の強度は、第1エッジ強調画像86A6内のエッジ領域112の強度よりも低い。第1エッジ強調画像86A6内のエッジ領域112に対する第2エッジ強調画像88A6内のエッジ領域112の強度の低さは、例えば、少なくとも第2エッジ強調画像88A6内のエッジ領域112と第1エッジ強調画像86A6内のエッジ領域112との違いが視覚的に認識可能な程度である。なお、第2エッジ強調画像88A6は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2エッジ強調画像」の一例である。
【0301】
ところで、処理対象画像75A6に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1エッジ強調画像86A6の強度(例えば、明るさ)は、生成モデル82A6の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なる強度になってしまうことがある。処理対象画像75A6に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みよりも強度が高過ぎたり、逆に、低過ぎたりしてしまうことも考えられる。
【0302】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図23に示すように、第1エッジ強調画像86A6及び第2エッジ強調画像88A6に対して画像調整部62C6の処理及び合成部62D6の処理が行われることによって、第1エッジ強調画像86A6と第2エッジ強調画像88A6とが合成される。
【0303】
一例として
図23に示すように、NVM64には、割合90Fが記憶されている。割合90Fは、第1エッジ強調画像86A6と第2エッジ強調画像88A6とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A6によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A6を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0304】
割合90Fは、第1割合90F1と第2割合90F2とに大別される。第1割合90F1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90F2は、“1”から第1割合90F1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90F1及び第2割合90F2は、第1割合90F1と第2割合90F2との和が“1”となるように定められている。第1割合90F1及び第2割合90F2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0305】
画像調整部62C6は、AI方式処理部62A6によって生成された第1エッジ強調画像86A6を、第1割合90F1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C6は、第1エッジ強調画像86A6の各画素の画素値に第1割合90F1を乗じることにより第1エッジ強調画像86A6の各画素の画素値を調整する。
【0306】
画像調整部62C6は、非AI方式処理部62B6によって生成された第2エッジ強調画像88A6を、第2割合90F2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C6は、第2エッジ強調画像88A6の各画素の画素値に第2割合90F2を乗じることにより第2エッジ強調画像88A6の各画素の画素値を調整する。
【0307】
合成部62D6は、画像調整部62C6によって第1割合90F1で調整された第1エッジ強調画像86A6と画像調整部62C6によって第2割合90F2で調整された第2エッジ強調画像88A6とを合成することで合成画像92Fを生成する。すなわち、合成部62D6は、第1割合90F1で調整された第1エッジ強調画像86A6と第2割合90F2で調整された第2エッジ強調画像88A6とを合成することにより、AI方式処理部62A6によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D6は、第1割合90F1で調整された第1エッジ強調画像86A6と第2割合90F2で調整された第2エッジ強調画像88A6とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、エッジ領域112)を調整する。更に換言すると、合成部62D6は、第1割合90F1で調整された第1エッジ強調画像86A6と第2割合90F2で調整された第2エッジ強調画像88A6とを合成することにより、生成モデル82A6を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A6によってエッジ領域112が非エッジ領域よりも強調された画素の画素値)を調整する。
【0308】
合成部62D6によって行われる合成は、第1エッジ強調画像86A6と第2エッジ強調画像88A6との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D6による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Fに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D6によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Fは、合成部62D6によって既定の出力先に出力される。
【0309】
図24には、本第5変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図24に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST250~ステップST268を適用した点が異なる。
【0310】
図24に示す画像合成処理では、ステップST250で、AI方式処理部62A6及び非AI方式処理部62B6は、イメージセンサ20から処理対象画像75A6を取得する。ステップST250の処理が実行された後、画像合成処理はステップST252へ移行する。
【0311】
ステップST252で、AI方式処理部62A6は、ステップST250で取得した処理対象画像75A6を生成モデル82A6に入力する。ステップST252の処理が実行された後、画像合成処理はステップST254へ移行する。
【0312】
ステップST254で、AI方式処理部62A6は、ステップST252で処理対象画像75A6が生成モデル82A6に入力されることによって生成モデル82A6から出力された第1エッジ強調画像86A6を取得する。ステップST254の処理が実行された後、画像合成処理はステップST256へ移行する。
【0313】
ステップST256で、非AI方式処理部62B6は、ステップST250で取得した処理対象画像75A6に対してデジタルフィルタ84A6を用いた処理を行うことで処理対象画像75A6内のエッジ領域112を非エッジ領域よりも強調する。ステップST256の処理が実行された後、画像合成処理はステップST258へ移行する。
【0314】
ステップST258で、非AI方式処理部62B6は、ステップST256で処理対象画像75A6に対してデジタルフィルタ84A6を用いた処理が行われることによって得られた第2エッジ強調画像88A6を取得する。ステップST258の処理が実行された後、画像合成処理はステップST260へ移行する。
【0315】
ステップST260で、画像調整部62C6は、NVM64から第1割合90F1及び第2割合90F2を取得する。ステップST260の処理が実行された後、画像合成処理はステップST262へ移行する。
【0316】
ステップST262で、画像調整部62C6は、ステップST260で取得した第1割合90F1を用いて第1エッジ強調画像86A6を調整する。ステップST262の処理が実行された後、画像合成処理はステップST264へ移行する。
【0317】
ステップST264で、画像調整部62C6は、ステップST260で取得した第2割合90F2を用いて第2エッジ強調画像88A6を調整する。ステップST264の処理が実行された後、画像合成処理はステップST266へ移行する。
【0318】
ステップST266で、合成部62D6は、ステップST262で調整された第1エッジ強調画像86A6とステップST264で調整された第2エッジ強調画像88A6とを合成することにより、AI方式処理部62A6によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST262で調整された第1エッジ強調画像86A6とステップST264で調整された第2エッジ強調画像88A6とが合成されることによって合成画像92Fが生成される。ステップST266の処理が実行された後、画像合成処理はステップST268へ移行する。
【0319】
ステップST268で、合成部62D6は、合成画像92Fに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D6は、合成画像92Fに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST268の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0320】
以上説明したように、本第5変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A6内のエッジ領域112がAI方式で非エッジ領域よりも強調されることによって第1エッジ強調画像86A6が生成される。また、処理対象画像75A6内のエッジ領域112が非AI方式で非エッジ領域よりも強調されることによって第2エッジ強調画像88A6が生成させる。そして、第1エッジ強調画像86A6と第2エッジ強調画像88A6とが合成される。これにより、合成画像92Fに対して、AI方式の処理でのエッジ領域112の強度が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Fは、第1エッジ強調画像86A6に比べ、AI方式の処理でのエッジ領域112の強度が目立ち難い画像になり、AI方式の処理でのエッジ領域112の強度を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0321】
ここでは、処理対象画像75A6に対して生成モデル82A6を用いた処理が行われることによって得られた第1エッジ強調画像86A6と処理対象画像75A6に対してデジタルフィルタ84A6を用いた処理が行われることによって得られた第2エッジ強調画像88A6が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A6に対して生成モデル82A6を用いた処理が行われることによって得られた第1エッジ強調画像86A6と処理対象画像75A6(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0322】
[第6変形例]
一例として
図25に示すように、本第6変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A7を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B7を有する点が異なる。本第6変形例では、本第6変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第6変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0323】
一例として
図25に示すように、AI方式処理部62A7及び非AI方式処理部62B7には、処理対象画像75A7が入力される。処理対象画像75A7は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。
図25に示す例では、処理対象画像75A7には点像114が含まれている。点像114は、点被写体を示す被写体光が受光面72Aで結像されることで得られる被写体像であり、撮像レンズ40の光学特性に由来する点拡がり現象によって、本来の被写体像に比べ、ぼけた状態で処理対象画像75A7内に現れる。点像114のぼけ量は、一般的に知られている点拡がり関数によって表現される。
【0324】
処理対象画像75A7は、非ノイズ要素として点像114を有する画像である。点像114は、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「撮像装置の特性に起因して処理対象画像に現れる現象」、及び「ぼけ」の一例である。点像114のぼけ量は、本開示の技術に係る「点像のぼけ量」の一例である。点拡がり現象は、本開示の技術に係る「撮像装置の特性」及び「撮像装置の光学特性」の一例である。
【0325】
AI方式処理部62A7は、処理対象画像75A7に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A7に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A7を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A7は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A7は、点像114のぼけ量を調整する学習が既に行われた生成ネットワークである。以下では、点像114のぼけ量の調整として、点像114のぼけ量の低減(すなわち、点拡がりの縮小)を例に挙げて説明する。
【0326】
AI方式処理部62A7は、処理対象画像75A7に対して生成モデル82A7を用いた処理を行うことで第1点像調整画像86A7を生成する。換言すると、AI方式処理部62A7は、AI方式で処理対象画像75A7内の非ノイズ要素(ここでは、一例として、点像114)を調整することにより第1点像調整画像86A7を生成する。更に換言すると、AI方式処理部62A7は、AI方式で処理対象画像75A7内の点像114のぼけ量を低減することにより第1点像調整画像86A7を生成する。ここで、生成モデル82A7を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1補正処理」、及び「点像調整処理」の一例である。また、ここで、「第1点像調整画像86A7を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0327】
生成モデル82A7には、処理対象画像75A7が入力される。生成モデル82A7は、入力された処理対象画像75A7に基づいて第1点像調整画像86A7を生成して出力する。第1点像調整画像86A7は、生成モデル82A7によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A7に対する生成モデル82A7を用いた処理によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像)である。換言すると、第1点像調整画像86A7は、処理対象画像75A7内の非ノイズ要素が生成モデル82A7によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A7に対する生成モデル82A7を用いた処理によって非ノイズ要素が補正された画像)である。更に換言すると、第1点像調整画像86A7は、点像114の点拡がりが生成モデル82A7によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A7に対する生成モデル82A7を用いた処理によって点像114の点拡がりが縮小されるように補正された画像)である。なお、第1点像調整画像86A7は、本開示の技術に係る「第1画像」、「第1補正画像」、及び「第1点像調整画像」の一例である。
【0328】
非AI方式処理部62B7は、処理対象画像75A7に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。ここで、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A7を用いない処理が挙げられる。
【0329】
処理対象画像75A7に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A7を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A7は、点像114の点拡がりが縮小されるように構成されたデジタルフィルタである。点像114の点拡がりが縮小されるように構成されたデジタルフィルタの一例としては、点像114を表現する点拡がり関数により示される点拡がりを相殺する解像度補正フィルタが挙げられる。解像度補正フィルタは、点拡がり現象によって本来の可視光画像よりもぼけた状態の可視光画像に対して適用されるフィルタである。解像度補正フィルタの一例としては、FIRフィルタが挙げられる。なお、解像度補正フィルタは、公知のフィルタであるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0330】
非AI方式処理部62B7は、処理対象画像75A7に対してデジタルフィルタ84A7を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2点像調整画像88A7を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B7は、非AI方式で処理対象画像75A7内の非ノイズ要素を調整することにより第2点像調整画像88A7を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B7は、非AI方式で処理対象画像75A7内の点拡がりが縮小されるように処理対象画像75A7を補正することにより第2点像調整画像88A7を生成する。ここで、デジタルフィルタ84A7を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、「第2補正処理」、及び「非AI方式でぼけ量を調整する処理」の一例である。また、ここで、「第2点像調整画像88A7を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0331】
デジタルフィルタ84A7には、処理対象画像75A7が入力される。デジタルフィルタ84A7は、入力された処理対象画像75A7に基づいて第2点像調整画像88A7を生成する。第2点像調整画像88A7は、デジタルフィルタ84A7によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A7に対するデジタルフィルタ84A7を用いた処理によって非ノイズ要素が調整されることで得られた画像)である。換言すると、第2点像調整画像88A7は、処理対象画像75A7内の非ノイズ要素がデジタルフィルタ84A7によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A7に対するデジタルフィルタ84A7を用いた処理によって非ノイズ要素が補正された画像)である。更に換言すると、第2点像調整画像88A7は、処理対象画像75A7がデジタルフィルタ84A1によって補正された画像(すなわち、処理対象画像75A7に対するデジタルフィルタ84A7を用いた処理によって点拡がりが縮小されるように補正された画像)である。なお、第2点像調整画像88A7は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2補正画像」、及び「第2点像調整画像」の一例である。
【0332】
ところで、ユーザの中には、点拡がり現象を完全に消し去るのではなく、むしろ、点拡がり現象を画像内に適度に残しておくことを望むユーザが存在する。
図25に示す例では、第1点像調整画像86A7は、第2点像調整画像88A7よりも、点像114の点拡がりが縮小されている。換言すると、第2点像調整画像88A7には、第1点像調整画像86A7よりも点像114のぼけが残されている。しかし、ユーザにとっては、第1点像調整画像86A7内の点像114のぼけ量は足りな過ぎるように感じ、第2点像調整画像88A7内の点像114のぼけ量は多過ぎるように感じることがある。そのため、第1点像調整画像86A7及び第2点像調整画像88A7の一方のみが最終的に出力されると、ユーザの好みに合わない画像がユーザに提供されてしまうことになる。生成モデル82A7に対する学習量を増やしたり、生成モデル82A7の中間層数を増やしたりすることによって生成モデル82A7の高性能化を図れば、ユーザの好みに近い画像が得られる可能性が高まる。しかし、生成モデル82A7の作成に要するコストが嵩み、結果的に、撮像装置10の高価格化に繋がる虞がある。
【0333】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図26に示すように、第1点像調整画像86A7及び第2点像調整画像88A7に対して画像調整部62C7の処理及び合成部62D7の処理が行われることによって、第1点像調整画像86A7と第2点像調整画像88A7とが合成される。
【0334】
一例として
図26に示すように、NVM64には、割合90Gが記憶されている。割合90Gは、第1点像調整画像86A7と第2点像調整画像88A7とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A7によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A7を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0335】
割合90Gは、第1割合90G1と第2割合90G2とに大別される。第1割合90G1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90G2は、“1”から第1割合90G1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90G1及び第2割合90G2は、第1割合90G1と第2割合90G2との和が“1”となるように定められている。第1割合90G1及び第2割合90G2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0336】
画像調整部62C7は、AI方式処理部62A7によって生成された第1点像調整画像86A7を、第1割合90G1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C7は、第1点像調整画像86A7の各画素の画素値に第1割合90G1を乗じることにより第1点像調整画像86A7の各画素の画素値を調整する。
【0337】
画像調整部62C7は、非AI方式処理部62B7によって生成された第2点像調整画像88A7を、第2割合90G2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C7は、第2点像調整画像88A7の各画素の画素値に第2割合90G2を乗じることにより第2点像調整画像88A7の各画素の画素値を調整する。
【0338】
合成部62D7は、画像調整部62C7によって第1割合90G1で調整された第1点像調整画像86A7と画像調整部62C7によって第2割合90G2で調整された第2点像調整画像88A7とを合成することで合成画像92Gを生成する。すなわち、合成部62D7は、第1割合90G1で調整された第1点像調整画像86A7と第2割合90G2で調整された第2点像調整画像88A7とを合成することにより、AI方式処理部62A7によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D7は、第1割合90G1で調整された第1点像調整画像86A7と第2割合90G2で調整された第2点像調整画像88A7とを合成することにより非ノイズ要素を調整する。更に換言すると、合成部62D7は、第1割合90G1で調整された第1点像調整画像86A7と第2割合90G2で調整された第2点像調整画像88A7とを合成することにより、生成モデル82A7を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A7によって点拡がりが縮小された画素の画素値)を調整する。
【0339】
合成部62D7によって行われる合成は、第1点像調整画像86A7と第2点像調整画像88A7との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D7による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Gに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D7によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Gは、合成部62D7によって既定の出力先に出力される。
【0340】
図27には、本第6変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図27に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST300~ステップST318を適用した点が異なる。
【0341】
図27に示す画像合成処理では、ステップST300で、AI方式処理部62A7及び非AI方式処理部62B7は、イメージセンサ20から処理対象画像75A7を取得する。ステップST300の処理が実行された後、画像合成処理はステップST302へ移行する。
【0342】
ステップST302で、AI方式処理部62A7は、ステップST300で取得した処理対象画像75A7を生成モデル82A7に入力する。ステップST302の処理が実行された後、画像合成処理はステップST304へ移行する。
【0343】
ステップST304で、AI方式処理部62A7は、ステップST302で処理対象画像75A7が生成モデル82A7に入力されることによって生成モデル82A7から出力された第1点像調整画像86A7を取得する。ステップST304の処理が実行された後、画像合成処理はステップST306へ移行する。
【0344】
ステップST306で、非AI方式処理部62B7は、ステップST300で取得した処理対象画像75A7に対してデジタルフィルタ84A7を用いた処理を行うことで処理対象画像75A7の点拡がり現象を補正する。ステップST306の処理が実行された後、画像合成処理はステップST308へ移行する。
【0345】
ステップST308で、非AI方式処理部62B7は、ステップST306で処理対象画像75A7に対してデジタルフィルタ84A7を用いた処理が行われることによって得られた第2点像調整画像88A7を取得する。ステップST308の処理が実行された後、画像合成処理はステップST310へ移行する。
【0346】
ステップST310で、画像調整部62C7は、NVM64から第1割合90G1及び第2割合90G2を取得する。ステップST310の処理が実行された後、画像合成処理はステップST312へ移行する。
【0347】
ステップST312で、画像調整部62C7は、ステップST310で取得した第1割合90G1を用いて第1点像調整画像86A7を調整する。ステップST312の処理が実行された後、画像合成処理はステップST314へ移行する。
【0348】
ステップST314で、画像調整部62C7は、ステップST310で取得した第2割合90G2を用いて第2点像調整画像88A7を調整する。ステップST314の処理が実行された後、画像合成処理はステップST316へ移行する。
【0349】
ステップST316で、合成部62D7は、ステップST312で調整された第1点像調整画像86A7とステップST314で調整された第2点像調整画像88A7とを合成することにより、AI方式処理部62A7によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST312で調整された第1点像調整画像86A7とステップST314で調整された第2点像調整画像88A7とが合成されることによって合成画像92Gが生成される。ステップST316の処理が実行された後、画像合成処理はステップST318へ移行する。
【0350】
ステップST318で、合成部62D7は、合成画像92Gに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D7は、合成画像92Gに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST318の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0351】
以上説明したように、本第6変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A7内の点像114の点拡がりがAI方式で縮小されることによって第1点像調整画像86A7が生成される。また、処理対象画像75A7内の点像114の点拡がりが非AI方式で縮小されることによって第2点像調整画像88A7が生成される。そして、第1点像調整画像86A7と第2点像調整画像88A7とが合成される。これにより、合成画像92Gに対して、AI方式の処理での点拡がり現象の補正量(すなわち、点像114のぼけ量の補正量)が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Gは、第1点像調整画像86A7に比べ、AI方式の処理での点拡がり現象の補正量が目立ち難い画像になり、AI方式の処理での点拡がり現象の補正量を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0352】
ここでは、処理対象画像75A7に対して生成モデル82A7を用いた処理が行われることによって得られた第1点像調整画像86A7と処理対象画像75A7に対してデジタルフィルタ84A7を用いた処理が行われることによって得られた第2点像調整画像88A7が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A7に対して生成モデル82A7を用いた処理が行われることによって得られた第1点像調整画像86A7と処理対象画像75A7(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0353】
[第7変形例]
一例として
図28に示すように、本第7変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A8を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B8を有する点が異なる。本第7変形例では、本第7変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第7変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0354】
AI方式処理部62A8及び非AI方式処理部62B8には、処理対象画像75A8が入力される。処理対象画像75A8は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A8は、有彩色画像であり、人物領域116を有する。人物領域116は、人物が写っている画像領域である。なお、ここでは、処理対象画像75A8として、有彩色画像を例示しているが、処理対象画像75A8は、無彩色画像であってもよい。
【0355】
AI方式処理部62A8及び非AI方式処理部62B8は、入力された処理対象画像75A8内に写っている被写体に応じたぼけを処理対象画像75A8に付与する処理を行う。本第7変形例において、処理対象画像75A8内に写っている被写体とは、人物を指す。処理対象画像75A8に写っている人物は、本開示の技術に係る「第3被写体」の一例である。被写体に応じたぼけは、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「第3被写体に応じたぼけ」の一例である。
【0356】
AI方式処理部62A8は、処理対象画像75A8に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A8に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A8を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A8は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A8は、人物領域116に対してぼけを付与する学習が既に行われた生成ネットワークである。
【0357】
AI方式処理部62A8は、AI方式で、処理対象画像75A8から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A8は、処理対象画像75A8に対して生成モデル82A8を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A8の非ノイズ要素として、処理対象画像75A8から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A8から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A8内の人物領域116に応じたぼけである。
図28に示す例において、AI方式処理部62A8は、処理対象画像75A8に対して生成モデル82A8を用いた処理を行うことで第1暈し画像86A8を生成する。第1暈し画像86A8は、AI方式で処理対象画像75A8内の人物領域116にぼけが付与された画像である。
【0358】
ここで、生成モデル82A8を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「暈し処理」の一例である。第1暈し画像86A8は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1暈し画像」の一例である。「第1暈し画像86A8を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0359】
生成モデル82A8には、処理対象画像75A8が入力される。生成モデル82A8は、入力された処理対象画像75A8に基づいて第1暈し画像86A8を生成して出力する。
【0360】
非AI方式処理部62B8は、処理対象画像75A8に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第7変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A8を用いない処理が挙げられる。
【0361】
処理対象画像75A8に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A8を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A8は、処理対象画像75A8内の人物領域116にぼけを付与するように構成されたデジタルフィルタである。
【0362】
非AI方式処理部62B8は、処理対象画像75A8に対してデジタルフィルタ84A8を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2暈し画像88A8を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B8は、非AI方式で処理対象画像75A8の非ノイズ要素を変更することにより第2暈し画像88A8を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B8は、非AI方式で処理対象画像75A8内の人物領域116にぼけを付与することにより第2暈し画像88A8を生成する。
【0363】
ここで、デジタルフィルタ84A8を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2暈し画像88A8を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0364】
デジタルフィルタ84A8には、処理対象画像75A8が入力される。デジタルフィルタ84A8は、入力された処理対象画像75A8に基づいて第2暈し画像88A8を生成する。第2暈し画像88A8は、デジタルフィルタ84A8によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A8に対するデジタルフィルタ84A8を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2暈し画像88A8は、処理対象画像75A8内の人物領域116がデジタルフィルタ84A8によって調整された画像(すなわち、処理対象画像75A8に対するデジタルフィルタ84A8を用いた処理によって人物領域116にぼけが付与された画像)である。第2暈し画像88A8内の人物領域116に付与されたぼけの度合いは、第1暈し画像86A8内の人物領域116に付与されたぼけの度合いよりも小さい。なお、第2暈し画像88A8は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2暈し画像」の一例である。
【0365】
ところで、処理対象画像75A8に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1暈し画像86A8のぼけ量は、生成モデル82A8の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なるぼけ量になってしまうことがある。処理対象画像75A8に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みよりもぼけ量が多過ぎたり、逆に、少な過ぎたりしてしまうことも考えられる。
【0366】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図29に示すように、第1暈し画像86A8及び第2暈し画像88A8に対して画像調整部62C8の処理及び合成部62D8の処理が行われることによって、第1暈し画像86A8と第2暈し画像88A8とが合成される。
【0367】
一例として
図29に示すように、NVM64には、割合90Hが記憶されている。割合90Hは、第1暈し画像86A8と第2暈し画像88A8とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A8によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A8を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0368】
割合90Hは、第1割合90H1と第2割合90H2とに大別される。第1割合90H1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90H2は、“1”から第1割合90H1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90H1及び第2割合90H2は、第1割合90H1と第2割合90H2との和が“1”となるように定められている。第1割合90H1及び第2割合90H2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0369】
画像調整部62C8は、AI方式処理部62A8によって生成された第1暈し画像86A8を、第1割合90H1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C8は、第1暈し画像86A8の各画素の画素値に第1割合90H1を乗じることにより第1暈し画像86A8の各画素の画素値を調整する。
【0370】
画像調整部62C8は、非AI方式処理部62B8によって生成された第2暈し画像88A8を、第2割合90H2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C8は、第2暈し画像88A8の各画素の画素値に第2割合90H2を乗じることにより第2暈し画像88A8の各画素の画素値を調整する。
【0371】
合成部62D8は、画像調整部62C8によって第1割合90H1で調整された第1暈し画像86A8と画像調整部62C8によって第2割合90H2で調整された第2暈し画像88A8とを合成することで合成画像92Hを生成する。すなわち、合成部62D8は、第1割合90H1で調整された第1暈し画像86A8と第2割合90H2で調整された第2暈し画像88A8とを合成することにより、AI方式処理部62A8によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D8は、第1割合90H1で調整された第1暈し画像86A8と第2割合90H2で調整された第2暈し画像88A8とを合成することにより非ノイズ要素を調整する。更に換言すると、合成部62D8は、第1割合90H1で調整された第1暈し画像86A8と第2割合90H2で調整された第2暈し画像88A8とを合成することにより、生成モデル82A8を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A8によってぼけが付与された画素の画素値)を調整する。
【0372】
合成部62D8によって行われる合成は、第1暈し画像86A8と第2暈し画像88A8との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D8による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Hに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D8によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Hは、合成部62D8によって既定の出力先に出力される。
【0373】
図30には、本第7変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図30に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST350~ステップST368を適用した点が異なる。
【0374】
図30に示す画像合成処理では、ステップST350で、AI方式処理部62A8及び非AI方式処理部62B8は、イメージセンサ20から処理対象画像75A8を取得する。ステップST350の処理が実行された後、画像合成処理はステップST352へ移行する。
【0375】
ステップST352で、AI方式処理部62A8は、ステップST350で取得した処理対象画像75A8を生成モデル82A8に入力する。ステップST352の処理が実行された後、画像合成処理はステップST354へ移行する。
【0376】
ステップST354で、AI方式処理部62A8は、ステップST352で処理対象画像75A8が生成モデル82A8に入力されることによって生成モデル82A8から出力された第1暈し画像86A8を取得する。ステップST354の処理が実行された後、画像合成処理はステップST356へ移行する。
【0377】
ステップST356で、非AI方式処理部62B8は、ステップST350で取得した処理対象画像75A8に対してデジタルフィルタ84A8を用いた処理を行うことで処理対象画像75A8内の人物領域116にぼけを付与する。ステップST356の処理が実行された後、画像合成処理はステップST358へ移行する。
【0378】
なお、ステップST352の処理及びステップST356の処理では、人物領域116にぼけが付与される例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、人物領域116以外の画像領域に対しても、人物領域116に応じて定められたぼけが付与されるようにしてもよい。人物領域116に対してぼけが付与されずに、人物領域116以外の画像領域に対して、人物領域116に応じて定められたぼけが付与されるようにしてもよい。また、ここでは、人物領域116を例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、人物以外の被写体(例えば、特定の車両、特定の植物、特定の動物、特定の建物、又は特定の航空機等)が写っている画像領域であってもよい。この場合も、同様の要領で、画像に対して被写体に応じたぼけが付与されるようにすればよい。
【0379】
ステップST358で、非AI方式処理部62B8は、ステップST356で処理対象画像75A8に対してデジタルフィルタ84A8を用いた処理が行われることによって得られた第2暈し画像88A8を取得する。ステップST358の処理が実行された後、画像合成処理はステップST360へ移行する。
【0380】
ステップST360で、画像調整部62C8は、NVM64から第1割合90H1及び第2割合90H2を取得する。ステップST360の処理が実行された後、画像合成処理はステップST362へ移行する。
【0381】
ステップST362で、画像調整部62C8は、ステップST360で取得した第1割合90H1を用いて第1暈し画像86A8を調整する。ステップST362の処理が実行された後、画像合成処理はステップST364へ移行する。
【0382】
ステップST364で、画像調整部62C8は、ステップST360で取得した第2割合90H2を用いて第2暈し画像88A8を調整する。ステップST364の処理が実行された後、画像合成処理はステップST366へ移行する。
【0383】
ステップST366で、合成部62D8は、ステップST362で調整された第1暈し画像86A8とステップST364で調整された第2暈し画像88A8とを合成することにより、AI方式処理部62A8によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST362で調整された第1暈し画像86A8とステップST364で調整された第2暈し画像88A8とが合成されることによって合成画像92Hが生成される。ステップST366の処理が実行された後、画像合成処理はステップST368へ移行する。
【0384】
ステップST368で、合成部62D8は、合成画像92Hに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D8は、合成画像92Hに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST368の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0385】
以上説明したように、本第7変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A8内の人物領域116に対してAI方式で人物領域116に応じたぼけが付与されることによって第1暈し画像86A8が生成される。また、処理対象画像75A8内の人物領域116に対して非AI方式で人物領域116に応じたぼけが付与されることによって第2暈し画像88A8が生成される。そして、第1暈し画像86A8と第2暈し画像88A8とが合成される。これにより、合成画像92Hに対して、AI方式の処理での人物領域116に応じたぼけが過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Hは、第1暈し画像86A8に比べ、AI方式の処理での人物領域116に応じたぼけが目立ち難い画像になり、AI方式の処理での第1暈し画像86A8内のぼけを過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0386】
ここでは、処理対象画像75A8に対して生成モデル82A8を用いた処理が行われることによって得られた第1暈し画像86A8と処理対象画像75A8に対してデジタルフィルタ84A8を用いた処理が行われることによって得られた第2暈し画像88A8が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A8に対して生成モデル82A8を用いた処理が行われることによって得られた第1暈し画像86A8と処理対象画像75A8(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0387】
[第8変形例]
一例として
図31に示すように、本第8変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A9を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B9を有する点が異なる。本第8変形例では、本第8変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第8変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0388】
AI方式処理部62A9及び非AI方式処理部62B9には、処理対象画像75A9が入力される。処理対象画像75A9は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A9は、有彩色画像である。なお、ここでは、処理対象画像75A9として、有彩色画像を例示しているが、処理対象画像75A9は、無彩色画像であってもよい。
【0389】
AI方式処理部62A9及び非AI方式処理部62B9は、入力された処理対象画像75A9に対して玉ぼけを付与する処理を行う。処理対象画像75A9に対して付与される玉ぼけは、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、「第1玉ぼけ」、及び「第2玉ぼけ」の一例である。
【0390】
AI方式処理部62A9は、処理対象画像75A9に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A9に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A9を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A9は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A9は、処理対象画像75A9に対して玉ぼけを付与する学習が既に行われた生成ネットワークである。
【0391】
AI方式処理部62A9は、AI方式で、処理対象画像75A9から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A9は、処理対象画像75A9に対して生成モデル82A9を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A9の非ノイズ要素として、処理対象画像75A9から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A9から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A9に対して付与する玉ぼけである。
図31に示す例において、AI方式処理部62A9は、処理対象画像75A9に対して生成モデル82A9を用いた処理を行うことで第1玉ぼけ画像86A9を生成する。第1玉ぼけ画像86A9は、AI方式で処理対象画像75A9に第1玉ぼけ118が付与された画像である。
【0392】
ここで、生成モデル82A8を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」、及び「玉ぼけ処理」の一例である。第1玉ぼけ118は、本開示の技術に係る「第1玉ぼけ」の一例である。第1玉ぼけ画像86A9は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1玉ぼけ画像」の一例である。「第1玉ぼけ画像86A9を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0393】
生成モデル82A9には、処理対象画像75A9が入力される。生成モデル82A9は、入力された処理対象画像75A9に基づいて第1玉ぼけ画像86A9を生成して出力する。
【0394】
非AI方式処理部62B9は、処理対象画像75A9に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第8変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A9を用いない処理が挙げられる。
【0395】
処理対象画像75A9に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A9を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A9は、処理対象画像75A9に玉ぼけを付与するように構成されたデジタルフィルタである。
【0396】
非AI方式処理部62B9は、処理対象画像75A9に対してデジタルフィルタ84A9を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2玉ぼけ画像88A9を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B9は、非AI方式で処理対象画像75A9の非ノイズ要素を変更することにより第2玉ぼけ画像88A9を生成する。更に換言すると、非AI方式処理部62B9は、非AI方式で処理対象画像75A9に第2玉ぼけ120を付与することにより第2玉ぼけ画像88A9を生成する。
【0397】
ここで、デジタルフィルタ84A9を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2玉ぼけ画像88A9を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0398】
デジタルフィルタ84A9には、処理対象画像75A9が入力される。デジタルフィルタ84A9は、入力された処理対象画像75A9に基づいて第2玉ぼけ画像88A9を生成する。第2玉ぼけ画像88A9は、デジタルフィルタ84A9によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A9に対するデジタルフィルタ84A9を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2玉ぼけ画像88A9は、処理対象画像75A9に対して第2玉ぼけ120が付与された画像(すなわち、処理対象画像75A9に対するデジタルフィルタ84A9を用いた処理によって第2玉ぼけ120が付与された画像)である。第2玉ぼけ120の特性(例えば、色、鮮明度、及び/又はサイズ等)は、第1玉ぼけ118の特性と異なっている。なお、第2玉ぼけ画像88A9は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2玉ぼけ画像」の一例である。
【0399】
ところで、処理対象画像75A9に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1玉ぼけ画像86A9の特性は、生成モデル82A9の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なる特性になってしまうことがある。処理対象画像75A9に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みの玉ぼけが表現されなくなってしまうことも考えられる。
【0400】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図32に示すように、第1玉ぼけ画像86A9及び第2玉ぼけ画像88A9に対して画像調整部62C9の処理及び合成部62D9の処理が行われることによって、第1玉ぼけ画像86A9と第2玉ぼけ画像88A9とが合成される。
【0401】
一例として
図32に示すように、NVM64には、割合90Iが記憶されている。割合90Iは、第1玉ぼけ画像86A9と第2玉ぼけ画像88A9とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A9によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A9を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0402】
割合90Iは、第1割合90I1と第2割合90I2とに大別される。第1割合90I1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90I2は、“1”から第1割合90I1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90I1及び第2割合90I2は、第1割合90I1と第2割合90I2との和が“1”となるように定められている。第1割合90I1及び第2割合90I2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0403】
画像調整部62C9は、AI方式処理部62A9によって生成された第1玉ぼけ画像86A9を、第1割合90I1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C9は、第1玉ぼけ画像86A9の各画素の画素値に第1割合90I1を乗じることにより第1玉ぼけ画像86A9の各画素の画素値を調整する。
【0404】
画像調整部62C9は、非AI方式処理部62B9によって生成された第2玉ぼけ画像88A9を、第2割合90I2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C9は、第2玉ぼけ画像88A9の各画素の画素値に第2割合90I2を乗じることにより第2玉ぼけ画像88A9の各画素の画素値を調整する。
【0405】
合成部62D9は、画像調整部62C9によって第1割合90I1で調整された第1玉ぼけ画像86A9と画像調整部62C9によって第2割合90I2で調整された第2玉ぼけ画像88A9とを合成することで合成画像92Iを生成する。すなわち、合成部62D9は、第1割合90I1で調整された第1玉ぼけ画像86A9と第2割合90I2で調整された第2玉ぼけ画像88A9とを合成することにより、AI方式処理部62A9によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D9は、第1割合90I1で調整された第1玉ぼけ画像86A9と第2割合90I2で調整された第2玉ぼけ画像88A9とを合成することにより非ノイズ要素を調整する。更に換言すると、合成部62D9は、第1割合90I1で調整された第1玉ぼけ画像86A9と第2割合90I2で調整された第2玉ぼけ画像88A9とを合成することにより、生成モデル82A9を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A9によって第1玉ぼけ118が付与された画素の画素値)を調整する。
【0406】
合成部62D9によって行われる合成は、第1玉ぼけ画像86A9と第2玉ぼけ画像88A9との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D9による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Iに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D9によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Iは、合成部62D9によって既定の出力先に出力される。
【0407】
図33には、本第8変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図33に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST400~ステップST418を適用した点が異なる。
【0408】
図33に示す画像合成処理では、ステップST400で、AI方式処理部62A9及び非AI方式処理部62B9は、イメージセンサ20から処理対象画像75A9を取得する。ステップST400の処理が実行された後、画像合成処理はステップST402へ移行する。
【0409】
ステップST402で、AI方式処理部62A9は、ステップST400で取得した処理対象画像75A9を生成モデル82A9に入力する。ステップST402の処理が実行された後、画像合成処理はステップST404へ移行する。
【0410】
ステップST404で、AI方式処理部62A9は、ステップST402で処理対象画像75A9が生成モデル82A9に入力されることによって生成モデル82A9から出力された第1玉ぼけ画像86A9を取得する。ステップST404の処理が実行された後、画像合成処理はステップST406へ移行する。
【0411】
ステップST406で、非AI方式処理部62B9は、ステップST400で取得した処理対象画像75A9に対してデジタルフィルタ84A9を用いた処理を行うことで処理対象画像75A9に第2玉ぼけ120を付与する。ステップST406の処理が実行された後、画像合成処理はステップST408へ移行する。
【0412】
なお、ステップST402の処理及びステップST406の処理では、処理対象画像75A9に写っている被写体とは無関係に玉ぼけが生成される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、処理対象画像75A9に写っている被写体(例えば、特定の人物、特定の車両、特定の植物、特定の動物、特定の建物、及び/又は特定の航空機等)に応じた定められた玉ぼけが生成されて処理対象画像75A9に付与されるようにしてもよい。
【0413】
ステップST408で、非AI方式処理部62B9は、ステップST406で処理対象画像75A9に対してデジタルフィルタ84A9を用いた処理が行われることによって得られた第2玉ぼけ画像88A9を取得する。ステップST408の処理が実行された後、画像合成処理はステップST410へ移行する。
【0414】
ステップST410で、画像調整部62C9は、NVM64から第1割合90I1及び第2割合90I2を取得する。ステップST410の処理が実行された後、画像合成処理はステップST412へ移行する。
【0415】
ステップST412で、画像調整部62C9は、ステップST410で取得した第1割合90I1を用いて第1玉ぼけ画像86A9を調整する。ステップST412の処理が実行された後、画像合成処理はステップST414へ移行する。
【0416】
ステップST414で、画像調整部62C9は、ステップST410で取得した第2割合90I2を用いて第2玉ぼけ画像88A9を調整する。ステップST414の処理が実行された後、画像合成処理はステップST416へ移行する。
【0417】
ステップST416で、合成部62D9は、ステップST412で調整された第1玉ぼけ画像86A9とステップST414で調整された第2玉ぼけ画像88A9とを合成することにより、AI方式処理部62A9によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST412で調整された第1玉ぼけ画像86A9とステップST414で調整された第2玉ぼけ画像88A9とが合成されることによって合成画像92Iが生成される。ステップST416の処理が実行された後、画像合成処理はステップST418へ移行する。
【0418】
ステップST418で、合成部62D9は、合成画像92Iに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D9は、合成画像92Iに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST418の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0419】
以上説明したように、本第8変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A9に対してAI方式で第1玉ぼけ118が付与されることによって第1玉ぼけ画像86A9が生成される。また、処理対象画像75A9に対して非AI方式で第2玉ぼけ120が付与されることによって第2玉ぼけ画像88A9が生成される。そして、第1玉ぼけ画像86A9と第2玉ぼけ画像88A9とが合成される。これにより、合成画像92Iに対して、AI方式の処理での第1玉ぼけ118の要素が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Iは、第1玉ぼけ画像86A9に比べ、AI方式の処理での第1玉ぼけ118が目立ち難い画像になり、AI方式の処理での第1玉ぼけ画像86A9の特性を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0420】
ここでは、処理対象画像75A9に対して生成モデル82A9を用いた処理が行われることによって得られた第1玉ぼけ画像86A9と処理対象画像75A9に対してデジタルフィルタ84A9を用いた処理が行われることによって得られた第2玉ぼけ画像88A9が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A9に対して生成モデル82A9を用いた処理が行われることによって得られた第1玉ぼけ画像86A9と処理対象画像75A9(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0421】
図31~
図33に示す例では、非AI方式処理部62B9が、処理対象画像75A9に対して非AI方式の処理を行うことで、処理対象画像75A9に第2玉ぼけ120を付与する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、
図34に示すように、非AI方式処理部62B9は、AI方式処理部62A9によって生成された第1玉ぼけ画像86A9に対して非AI方式の処理を行うことで、第2玉ぼけ120を含む第2玉ぼけ画像86B9を生成するようにしてもよい。
【0422】
また、例えば、
図35に示すように、非AI方式処理部62B9は、AI方式処理部62A9によって生成された第1玉ぼけ画像86A9に対して非AI方式の処理を行うことで、第2玉ぼけ120よりも鮮明度が高い第2玉ぼけ120を含む第2玉ぼけ画像88A9を生成するようにしてもよい。
【0423】
また、
図31~
図35に示す例では、処理対象画像75A9に対してAI方式で第1玉ぼけ118が付与される形態例を挙げて説明したが、処理対象画像75A9に玉ぼけが写っている場合に、AI方式処理部62A9は、AI方式で処理対象画像75A9から玉ぼけを除去するようにしてもよい。
【0424】
[第9変形例]
一例として
図36に示すように、本第9変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A10を有する点、及び非AI方式処理部62B1に代えて非AI方式処理部62B10を有する点が異なる。本第9変形例では、本第9変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第9変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0425】
AI方式処理部62A10及び非AI方式処理部62B10には、処理対象画像75A10が入力される。処理対象画像75A10は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A10は、有彩色画像であり、人物領域124及び背景領域126を有する。人物領域124は、人物が写っている画像領域である。背景領域126は、背景が写っている画像領域である。ここでは、処理対象画像75A10として有彩色画像を例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、処理対象画像75A10は、無彩色画像であってもよい。
【0426】
ここで、処理対象画像75A10に写っている人物は、本開示の技術に係る「第4被写体」の一例である。処理対象画像75A10の階調は、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「処理対象画像の階調」の一例である。
【0427】
AI方式処理部62A10は、処理対象画像75A10に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A10に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A10を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A10は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A10は、人物領域124に応じて処理対象画像75A10の階調を調整する学習が既に行われた生成ネットワークである。人物領域124に応じて処理対象画像75A10の階調を調整する学習としては、例えば、処理対象画像75A10に人物が写っているか否かに応じて処理対象画像75A10の階調を変更する学習、又は、処理対象画像75A10に写っている人物が有する特徴に応じて処理対象画像75A10の階調を変更する学習が挙げられる。
【0428】
AI方式処理部62A10は、AI方式で、処理対象画像75A10から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A10は、処理対象画像75A10に対して生成モデル82A10を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A10の非ノイズ要素として、処理対象画像75A10から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A10から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A10の階調である。
図36に示す例において、AI方式処理部62A10は、処理対象画像75A10に対して生成モデル82A10を用いた処理を行うことで第1階調調整画像86A10を生成する。第1階調調整画像86A10は、処理対象画像75A10の階調が人物領域124に応じて変更された画像である。例えば、R画素の画素値、G画素の画素値、及びB画素の画素値が同程度に上げたり下げたりすることによって処理対象画像75A10の階調が変更される。また、R画素、G画素、及びB画素のうちの指定された少なくとも1つの画素の画素値を上げたり下げたりすることによって処理対象画像75A10の階調が変更されるようにしてもよい。何れの色の画素値をどの程度変更するかは人物領域124(例えば、人物領域124の有無、又は、人物領域124により示される人物の特徴等)に応じて定まる。
【0429】
ここで、生成モデル82A10を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「第1階調調整処理」の一例である。第1階調調整画像86A10は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「第1階調調整画像」の一例である。「第1階調調整画像86A10を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0430】
生成モデル82A10には、処理対象画像75A10が入力される。生成モデル82A10は、入力された処理対象画像75A10に基づいて第1階調調整画像86A10を生成して出力する。
【0431】
非AI方式処理部62B10は、処理対象画像75A10に対して非AI方式の処理を行う。非AI方式の処理とは、ニューラルネットワークを用いない処理を指す。本第9変形例において、ニューラルネットワークを用いない処理としては、例えば、生成モデル82A10を用いない処理が挙げられる。
【0432】
処理対象画像75A10に対する非AI方式の処理の一例としては、デジタルフィルタ84A10を用いた処理が挙げられる。デジタルフィルタ84A10は、処理対象画像75A10の階調を調整するように構成されたデジタルフィルタである。例えば、デジタルフィルタ84A10は、処理対象画像75A10に人物領域124が含まれている場合に用いられる。この場合、例えば、非AI方式処理部62B10は、処理対象画像75A10に対して公知の人物検出処理を行うことで処理対象画像75A10に人物領域124が含まれている否かを判定する。そして、非AI方式処理部62B10は、処理対象画像75A10に人物領域124が含まれていると判定した場合に、処理対象画像75A10に対してデジタルフィルタ84A10を用いた処理を行う。
【0433】
なお、人物領域124により示される人物の特徴毎にデジタルフィルタ84A10が事前に準備されていてもよく、この場合、例えば、非AI方式処理部62B10は、処理対象画像75A10に対して公知の画像認識処理を行うことで、人物領域124により示される人物の特徴を取得し、取得した特徴に対応するデジタルフィルタ84A10を用いた処理を処理対象画像75A10に対して行うようにすればよい。
【0434】
非AI方式処理部62B10は、処理対象画像75A10に対してデジタルフィルタ84A10を用いた処理(すなわち、フィルタリング)を行うことで第2階調調整画像88A10を生成する。換言すると、非AI方式処理部62B10は、非AI方式で処理対象画像75A10の非ノイズ要素(ここでは、一例として、処理対象画像75A10の階調)を調整することにより第2階調調整画像88A10を生成する。
【0435】
ここで、デジタルフィルタ84A10を用いた処理は、本開示の技術に係る「ニューラルネットワークを用いない非AI方式の処理」、及び「因子を非AI方式で変更する第2変更処理」の一例である。「第2階調調整画像88A10を生成する」とは、本開示の技術に係る「第2画像を取得する」の一例である。
【0436】
デジタルフィルタ84A10には、処理対象画像75A10が入力される。デジタルフィルタ84A10は、入力された処理対象画像75A10に基づいて第2階調調整画像88A10を生成する。第2階調調整画像88A10は、デジタルフィルタ84A10によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像(すなわち、処理対象画像75A10に対するデジタルフィルタ84A10を用いた処理によって非ノイズ要素が変更されることで得られた画像)である。換言すると、第2階調調整画像88A10は、処理対象画像75A10の階調がデジタルフィルタ84A10によって変更された画像(すなわち、処理対象画像75A10に対するデジタルフィルタ84A10を用いた処理によって階調が変更された画像)である。なお、第2階調調整画像88A10は、本開示の技術に係る「第2画像」、「第2変更画像」、及び「第2階調調整画像」の一例である。
【0437】
ところで、処理対象画像75A10に対してAI方式の処理が行われることによって得られた第1階調調整画像86A10の階調は、生成モデル82A10の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なる階調になってしまうことがある。処理対象画像75A10に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みとは異なる階調が目立ってしまうことも考えられる。
【0438】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図37に示すように、第1階調調整画像86A10及び第2階調調整画像88A10に対して画像調整部62C10の処理及び合成部62D10の処理が行われることによって、第1階調調整画像86A10と第2階調調整画像88A10とが合成される。
【0439】
一例として
図37に示すように、NVM64には、割合90Jが記憶されている。割合90Jは、第1階調調整画像86A10と第2階調調整画像88A10とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A10によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A10を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0440】
割合90Jは、第1割合90J1と第2割合90J2とに大別される。第1割合90J1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90J2は、“1”から第1割合90J1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90J1及び第2割合90J2は、第1割合90J1と第2割合90J2との和が“1”となるように定められている。第1割合90J1及び第2割合90J2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0441】
画像調整部62C10は、AI方式処理部62A10によって生成された第1階調調整画像86A10を、第1割合90J1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C10は、第1階調調整画像86A10の各画素の画素値に第1割合90J1を乗じることにより第1階調調整画像86A10の各画素の画素値を調整する。
【0442】
画像調整部62C10は、非AI方式処理部62B10によって生成された第2階調調整画像88A10を、第2割合90J2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C10は、第2階調調整画像88A10の各画素の画素値に第2割合90J2を乗じることにより第2階調調整画像88A10の各画素の画素値を調整する。
【0443】
合成部62D10は、画像調整部62C10によって第1割合90J1で調整された第1階調調整画像86A10と画像調整部62C10によって第2割合90J2で調整された第2階調調整画像88A10とを合成することで合成画像92Jを生成する。すなわち、合成部62D10は、第1割合90J1で調整された第1階調調整画像86A10と第2割合90J2で調整された第2階調調整画像88A10とを合成することにより、AI方式処理部62A10によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D10は、第1割合90J1で調整された第1階調調整画像86A10と第2割合90J2で調整された第2階調調整画像88A10とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、処理対象画像75A10の階調)を調整する。更に換言すると、合成部62D10は、第1割合90J1で調整された第1階調調整画像86A10と第2割合90J2で調整された第2階調調整画像88A10とを合成することにより、生成モデル82A10を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A10によって階調が変更された画素の画素値)を調整する。
【0444】
合成部62D10によって行われる合成は、第1階調調整画像86A10と第2階調調整画像88A10との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D10による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Jに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D10によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Jは、合成部62D10によって既定の出力先に出力される。
【0445】
図38には、本第9変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図38に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST450~ステップST468を適用した点が異なる。
【0446】
図38に示す画像合成処理では、ステップST450で、AI方式処理部62A10及び非AI方式処理部62B10は、イメージセンサ20から処理対象画像75A10を取得する。ステップST450の処理が実行された後、画像合成処理はステップST452へ移行する。
【0447】
ステップST452で、AI方式処理部62A10は、ステップST450で取得した処理対象画像75A10を生成モデル82A10に入力する。ステップST452の処理が実行された後、画像合成処理はステップST454へ移行する。
【0448】
ステップST454で、AI方式処理部62A10は、ステップST452で処理対象画像75A10が生成モデル82A10に入力されることによって生成モデル82A10から出力された第1階調調整画像86A10を取得する。ステップST454の処理が実行された後、画像合成処理はステップST456へ移行する。
【0449】
ステップST456で、非AI方式処理部62B10は、ステップST450で取得した処理対象画像75A10に対してデジタルフィルタ84A10を用いた処理を行うことで処理対象画像75A10の階調を調整する。ステップST456の処理が実行された後、画像合成処理はステップST458へ移行する。
【0450】
ステップST458で、非AI方式処理部62B10は、ステップST456で処理対象画像75A10に対してデジタルフィルタ84A10を用いた処理が行われることによって得られた第2階調調整画像88A10を取得する。ステップST458の処理が実行された後、画像合成処理はステップST460へ移行する。
【0451】
ステップST460で、画像調整部62C10は、NVM64から第1割合90J1及び第2割合90J2を取得する。ステップST460の処理が実行された後、画像合成処理はステップST462へ移行する。
【0452】
ステップST462で、画像調整部62C10は、ステップST460で取得した第1割合90J1を用いて第1階調調整画像86A10を調整する。ステップST462の処理が実行された後、画像合成処理はステップST464へ移行する。
【0453】
ステップST464で、画像調整部62C10は、ステップST460で取得した第2割合90J2を用いて第2階調調整画像88A10を調整する。ステップST464の処理が実行された後、画像合成処理はステップST466へ移行する。
【0454】
ステップST466で、合成部62D10は、ステップST462で調整された第1階調調整画像86A10とステップST464で調整された第2階調調整画像88A10とを合成することにより、AI方式処理部62A10によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST462で調整された第1階調調整画像86A10とステップST464で調整された第2階調調整画像88A10とが合成されることによって合成画像92Jが生成される。ステップST466の処理が実行された後、画像合成処理はステップST468へ移行する。
【0455】
ステップST468で、合成部62D10は、合成画像92Jに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D10は、合成画像92Jに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST468の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0456】
以上説明したように、本第9変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A10の階調がAI方式で調整されることによって第1階調調整画像86A10が生成される。また、処理対象画像75A10の階調が非AI方式で調整されることによって第2階調調整画像88A10が生成される。そして、第1階調調整画像86A10と第2階調調整画像88A10とが合成される。これにより、合成画像92Jに対して、AI方式の処理での階調の調整量が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Jは、第1階調調整画像86A10に比べ、AI方式の処理での階調の調整量が目立ち難い画像になり、AI方式の処理での階調の調整量を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0457】
本第9変形例では、AI方式での処理対象画像75A10の階調が人物領域124に応じて調整されることによって第1階調調整画像86A10が生成される。また、非AI方式での処理対象画像75A10の階調が人物領域124に応じて調整されることによって第2階調調整画像88A10が生成される。そして、第1階調調整画像86A10と第2階調調整画像88A10とが合成される。これにより、合成画像92Jに対して、AI方式で人物領域124に応じて階調を調整した調整量が過不足することを抑制することができる。
【0458】
ここでは、人物領域124に応じて階調が調整される形態例を挙げて説明したが、これは、あくまでも一例に過ぎず、背景領域126に応じて階調が調整されるようにしてもよい。また、人物領域124と背景領域126との組み合わせに応じて階調が調整されるようにしてもよい。また、人物領域124及び背景領域126以外の領域(例えば、特定の車両が写っている領域、特定の動物が写っている領域、特定の植物が写っている領域、特定の建物が写っている領域、及び/又は特定の航空機が写っている領域等)に応じて階調が調整されるようにしてもよい。
【0459】
また、ここでは、処理対象画像75A10に対して生成モデル82A10を用いた処理が行われることによって得られた第1階調調整画像86A10と処理対象画像75A10に対してデジタルフィルタ84A10を用いた処理が行われることによって得られた第2階調調整画像88A10が合成される形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、処理対象画像75A10に対して生成モデル82A10を用いた処理が行われることによって得られた第1階調調整画像86A10と処理対象画像75A10(すなわち、非ノイズ要素が調整されていない画像)とが合成されてもよい。この場合も、同様の効果が期待できる。
【0460】
[第10変形例]
一例として
図39に示すように、本第10変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A11を有する点が異なる。本第10変形例では、本第10変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第10変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0461】
AI方式処理部62A11には、処理対象画像75A11が入力される。処理対象画像75A11は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A11は、有彩色画像である。ここでは、処理対象画像75A11として有彩色画像を例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、処理対象画像75A11は、無彩色画像であってもよい。
【0462】
AI方式処理部62A11は、処理対象画像75A11に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A11に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A11を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A11は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A11は、処理対象画像75A11の画風を変更する学習が既に行われた生成ネットワークである。
【0463】
ここで、処理対象画像75A10の画風は、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「処理対象画像の画風」の一例である。
【0464】
AI方式処理部62A11は、AI方式で、処理対象画像75A11から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A11は、処理対象画像75A11に対して生成モデル82A11を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A11の非ノイズ要素として、処理対象画像75A11から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A11から与えられる視覚的に印象を司る因子は、処理対象画像75A11の画風である。
図39に示す例において、AI方式処理部62A11は、処理対象画像75A11に対して生成モデル82A11を用いた処理を行うことで画風変更画像86A11を生成する。画風変更画像86A11は、処理対象画像75A11の画風が変更された画像である。
図39に示す例において、画風変更画像86A11の画風は、処理対象画像75A11の画風に比べ、複数の渦巻き模様が付け足されている点が異なる。
【0465】
ここで、生成モデル82A11を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「画風変更処理」の一例である。画風変更画像86A11は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「画風変更画像」の一例である。処理対象画像75A11は、本開示の技術に係る「第2画像」の一例である。「画風変更画像86A11を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0466】
生成モデル82A11には、処理対象画像75A11が入力される。生成モデル82A11は、入力された処理対象画像75A11に基づいて画風変更画像86A11を生成して出力する。
【0467】
ところで、処理対象画像75A11に対してAI方式の処理が行われることによって得られた画風変更画像86A11の画風は、生成モデル82A11の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なる画風になってしまうことがある。処理対象画像75A11に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みとは異なる画風が目立ってしまうことも考えられる。
【0468】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図40に示すように、画風変更画像86A11及び処理対象画像75A11に対して画像調整部62C11の処理及び合成部62D11の処理が行われることによって、画風変更画像86A11と処理対象画像75A11とが合成される。
【0469】
一例として
図40に示すように、NVM64には、割合90Kが記憶されている。割合90Kは、画風変更画像86A11と処理対象画像75A11とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A11によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A11を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0470】
割合90Kは、第1割合90K1と第2割合90K2とに大別される。第1割合90K1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90K2は、“1”から第1割合90K1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90K1及び第2割合90K2は、第1割合90K1と第2割合90K2との和が“1”となるように定められている。第1割合90K1及び第2割合90K2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0471】
画像調整部62C11は、AI方式処理部62A11によって生成された画風変更画像86A11を、第1割合90K1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C11は、画風変更画像86A11の各画素の画素値に第1割合90K1を乗じることにより画風変更画像86A11の各画素の画素値を調整する。
【0472】
画像調整部62C11は、処理対象画像75A11を、第2割合90K2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C11は、処理対象画像75A11の各画素の画素値に第2割合90K2を乗じることにより処理対象画像75A11の各画素の画素値を調整する。
【0473】
合成部62D11は、画像調整部62C11によって第1割合90K1で調整された画風変更画像86A11と画像調整部62C11によって第2割合90K2で調整された処理対象画像75A11とを合成することで合成画像92Kを生成する。すなわち、合成部62D11は、第1割合90K1で調整された画風変更画像86A11と第2割合90K2で調整された処理対象画像75A11とを合成することにより、AI方式処理部62A11によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D11は、第1割合90K1で調整された画風変更画像86A11と第2割合90K2で調整された処理対象画像75A11とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、処理対象画像75A11の画風)を調整する。更に換言すると、合成部62D11は、第1割合90K1で調整された画風変更画像86A11と第2割合90K2で調整された処理対象画像75A11とを合成することにより、生成モデル82A11を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A11によって画風が変更された画素の画素値)を調整する。
【0474】
合成部62D11によって行われる合成は、画風変更画像86A11と処理対象画像75A11との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D11による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Kに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D11によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Kは、合成部62D11によって既定の出力先に出力される。
【0475】
図41には、本第10変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図41に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST500~ステップST514を適用した点が異なる。
【0476】
図41に示す画像合成処理では、ステップST500で、AI方式処理部62A11は、イメージセンサ20から処理対象画像75A11を取得する。ステップST500の処理が実行された後、画像合成処理はステップST502へ移行する。
【0477】
ステップST502で、AI方式処理部62A11は、ステップST500で取得した処理対象画像75A11を生成モデル82A11に入力する。ステップST512の処理が実行された後、画像合成処理はステップST504へ移行する。
【0478】
ステップST504で、AI方式処理部62A11は、ステップST512で処理対象画像75A11が生成モデル82A11に入力されることによって生成モデル82A11から出力された画風変更画像86A11を取得する。ステップST514の処理が実行された後、画像合成処理はステップST506へ移行する。
【0479】
ステップST506で、画像調整部62C11は、NVM64から第1割合90K1及び第2割合90K2を取得する。ステップST506の処理が実行された後、画像合成処理はステップST508へ移行する。
【0480】
ステップST508で、画像調整部62C11は、ステップST506で取得した第1割合90K1を用いて画風変更画像86A11を調整する。ステップST508の処理が実行された後、画像合成処理はステップST510へ移行する。
【0481】
ステップST510で、画像調整部62C11は、ステップST506で取得した第2割合90K2を用いて処理対象画像75A11を調整する。ステップST510の処理が実行された後、画像合成処理はステップST512へ移行する。
【0482】
ステップST512で、合成部62D11は、ステップST508で調整された画風変更画像86A11とステップST510で調整された処理対象画像75A11とを合成することにより、AI方式処理部62A11によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST508で調整された画風変更画像86A11とステップST510で調整された処理対象画像75A11とが合成されることによって合成画像92Kが生成される。ステップST512の処理が実行された後、画像合成処理はステップST514へ移行する。
【0483】
ステップST514で、合成部62D11は、合成画像92Kに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D11は、合成画像92Kに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST514の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0484】
以上説明したように、本第10変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A11の画風がAI方式で調整されることによって画風変更画像86A11が生成される。そして、画風変更画像86A11と処理対象画像75A11とが合成される。これにより、合成画像92Kに対して、AI方式で変更された画風が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Kは、画風変更画像86A11に比べ、AI方式で変更された画風が目立ち難い画像になり、AI方式で変更された画風を過度に目立たせることを好まないユーザに対して好適な画像を提供することができる。
【0485】
[第11変形例]
一例として
図42に示すように、本第11変形例に係るプロセッサ62は、
図4に示すプロセッサ62に比べ、AI方式処理部62A1に代えてAI方式処理部62A12を有する点が異なる。本第11変形例では、本第11変形例よりも前で説明した事項と同一の事項についての説明を省略し、本第11変形例よりも前で説明した事項と異なる事項について説明する。
【0486】
AI方式処理部62A12には、処理対象画像75A12が入力される。処理対象画像75A12は、
図2に示す処理対象画像75Aの一例である。処理対象画像75A12は、有彩色画像である。ここでは、処理対象画像75A12として有彩色画像を例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、処理対象画像75A12は、無彩色画像であってもよい。
【0487】
処理対象画像75A12は、人物領域128を有する。人物領域128は、人物を示す画像領域である。人物領域128は、肌を示す肌領域128Aを有する。また、肌領域128Aには、シミ領域128A1が含まれている。シミ領域128A1は、肌に生じるシミを示す画像領域である。なお、ここでは、シミを例示しているが、シミに限らず、ホクロ及び/又は傷等であってもよく、肌の審美性を妨げる要素であればよい。
【0488】
AI方式処理部62A12は、処理対象画像75A12に対してAI方式の処理を行う。処理対象画像75A12に対するAI方式の処理の一例としては、生成モデル82A12を用いた処理が挙げられる。生成モデル82A12は、
図3に示す生成モデル82Aの一例である。生成モデル82A12は、処理対象画像75A12に写っている肌に関する画質(すなわち、肌領域128Aの画質)を調整する学習が既に行われた生成ネットワークである。肌に関する画質の調整とは、例えば、処理対象画像75A12内のシミ領域128A1を目立たなくする修正(例えば、シミ領域128A1の消去)を指す。
【0489】
ここで、肌領域128Aの画質は、本開示の技術に係る「処理対象画像の非ノイズ要素」、「処理対象画像から与えられる視覚的な印象を司る因子」、及び「肌に関する画質」の一例である。
【0490】
AI方式処理部62A12は、AI方式で、処理対象画像75A12から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。すなわち、AI方式処理部62A12は、処理対象画像75A12に対して生成モデル82A12を用いた処理を行うことで、処理対象画像75A12の非ノイズ要素として、処理対象画像75A12から与えられる視覚的に印象を司る因子を変更する。処理対象画像75A12から与えられる視覚的に印象を司る因子は、肌領域128Aの画質である。
図42に示す例において、AI方式処理部62A12は、処理対象画像75A12に対して生成モデル82A12を用いた処理を行うことで肌画質調整画像86A12を生成する。肌画質調整画像86A12は、処理対象画像75A12に含まれる肌領域128Aの画質が調整された画像である。
図42に示す例において、肌画質調整画像86A12は、処理対象画像75A12に比べ、シミ領域128A1が消去されている点が異なる。
【0491】
ここで、生成モデル82A12を用いた処理は、本開示の技術に係る「第1AI処理」、「第1変更処理」及び「肌画質調整処理」の一例である。肌画質調整画像86A12は、本開示の技術に係る「第1変更画像」及び「肌画質調整画像」の一例である。処理対象画像75A12は、本開示の技術に係る「第2画像」の一例である。「肌画質調整画像86A12を生成する」とは、本開示の技術に係る「第1画像を取得する」の一例である。
【0492】
生成モデル82A12には、処理対象画像75A12が入力される。生成モデル82A12は、入力された処理対象画像75A12に基づいて肌画質調整画像86A12を生成して出力する。
【0493】
ところで、処理対象画像75A12に対してAI方式の処理が行われることによって得られた肌画質調整画像86A12の肌領域128Aの画質は、生成モデル82A12の特性(例えば、中間層数及び/又は学習量等)に起因して、ユーザの好みとは異なる画質になってしまうことがある。処理対象画像75A12に対して、AI方式の処理の影響が過度に反映されると、ユーザの好みとは異なる画質が目立ってしまうことも考えられる。例えば、シミ領域128A1が完全に消去されることによって不自然な画像になってしまう虞がある。
【0494】
そこで、このような事情に鑑み、撮像装置10では、一例として
図43に示すように、肌画質調整画像86A12及び処理対象画像75A12に対して画像調整部62C12の処理及び合成部62D12の処理が行われることによって、肌画質調整画像86A12と処理対象画像75A12とが合成される。
【0495】
一例として
図43に示すように、NVM64には、割合90Lが記憶されている。割合90Lは、肌画質調整画像86A12と処理対象画像75A12とを合成させる割合であり、AI方式処理部62A12によるAI方式の処理(すなわち、生成モデル82A12を用いた処理)の過不足を調整するように定められている。
【0496】
割合90Lは、第1割合90L1と第2割合90L2とに大別される。第1割合90L1は、0以上かつ1以下の値であり、第2割合90L2は、“1”から第1割合90L1の値を減じた値である。すなわち、第1割合90L1及び第2割合90L2は、第1割合90L1と第2割合90L2との和が“1”となるように定められている。第1割合90L1及び第2割合90L2は、ユーザからの指示によって変更される可変値である。
【0497】
画像調整部62C12は、AI方式処理部62A12によって生成された肌画質調整画像86A12を、第1割合90L1を用いて調整する。例えば、画像調整部62C12は、肌画質調整画像86A12の各画素の画素値に第1割合90L1を乗じることにより肌画質調整画像86A12の各画素の画素値を調整する。
【0498】
画像調整部62C12は、処理対象画像75A12を、第2割合90L2を用いて調整する。例えば、画像調整部62C12は、処理対象画像75A12の各画素の画素値に第2割合90L2を乗じることにより処理対象画像75A12の各画素の画素値を調整する。
【0499】
合成部62D12は、画像調整部62C12によって第1割合90L1で調整された肌画質調整画像86A12と画像調整部62C12によって第2割合90L2で調整された処理対象画像75A12とを合成することで合成画像92Lを生成する。すなわち、合成部62D12は、第1割合90L1で調整された肌画質調整画像86A12と第2割合90L2で調整された処理対象画像75A12とを合成することにより、AI方式処理部62A12によるAI方式の処理の過不足を調整する。換言すると、合成部62D12は、第1割合90L1で調整された肌画質調整画像86A12と第2割合90L2で調整された処理対象画像75A12とを合成することにより非ノイズ要素(ここでは、一例として、肌領域128Aの画質)を調整する。更に換言すると、合成部62D12は、第1割合90L1で調整された肌画質調整画像86A12と第2割合90L2で調整された処理対象画像75A12とを合成することにより、生成モデル82A12を用いた処理に由来する要素(例えば、生成モデル82A12によって画質が変更された画素の画素値)を調整する。
【0500】
合成部62D12によって行われる合成は、肌画質調整画像86A12と処理対象画像75A12との間での対応する画素位置の画素値の加算である。合成部62D12による合成は、
図5に示す合成部62D1による合成と同様の要領で行われる。また、合成画像92Lに対しても、
図5に示す合成画像92Aと同様の要領で、合成部62D12によって各種の画像処理が行われる。そして、各種の画像処理が行われた合成画像92Lは、合成部62D12によって既定の出力先に出力される。
【0501】
図44には、本第11変形例に係る画像合成処理の流れの一例が示されている。
図44に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートに比べ、ステップST12~ステップST30に代えてステップST550~ステップST564を適用した点が異なる。
【0502】
図44に示す画像合成処理では、ステップST550で、AI方式処理部62A12は、イメージセンサ20から処理対象画像75A12を取得する。ステップST550の処理が実行された後、画像合成処理はステップST552へ移行する。
【0503】
ステップST552で、AI方式処理部62A12は、ステップST550で取得した処理対象画像75A12を生成モデル82A12に入力する。ステップST552の処理が実行された後、画像合成処理はステップST554へ移行する。
【0504】
ステップST554で、AI方式処理部62A12は、ステップST552で処理対象画像75A12が生成モデル82A12に入力されることによって生成モデル82A12から出力された肌画質調整画像86A12を取得する。ステップST554の処理が実行された後、画像合成処理はステップST556へ移行する。
【0505】
ステップST556で、画像調整部62C12は、NVM64から第1割合90L1及び第2割合90L2を取得する。ステップST556の処理が実行された後、画像合成処理はステップST558へ移行する。
【0506】
ステップST558で、画像調整部62C12は、ステップST556で取得した第1割合90L1を用いて肌画質調整画像86A12を調整する。ステップST558の処理が実行された後、画像合成処理はステップST560へ移行する。
【0507】
ステップST560で、画像調整部62C12は、ステップST556で取得した第2割合90L2を用いて処理対象画像75A12を調整する。ステップST560の処理が実行された後、画像合成処理はステップST562へ移行する。
【0508】
ステップST562で、合成部62D12は、ステップST558で調整された肌画質調整画像86A12とステップST560で調整された処理対象画像75A12とを合成することにより、AI方式処理部62A11によるAI方式の処理の過不足を調整する。ステップST558で調整された肌画質調整画像86A12とステップST560で調整された処理対象画像75A12とが合成されることによって合成画像92Lが生成される。ステップST562の処理が実行された後、画像合成処理はステップST564へ移行する。
【0509】
ステップST564で、合成部62D12は、合成画像92Lに対して各種の画像処理を行う。そして、合成部62D12は、合成画像92Lに対して各種の画像処理を行って得た画像を処理済み画像75Bとして既定の出力先に出力する。ステップST564の処理が実行された後、画像合成処理はステップST32へ移行する。
【0510】
以上説明したように、本第11変形例に係る撮像装置10では、処理対象画像75A12の肌領域128Aの画質がAI方式で調整されることによって肌画質調整画像86A12が生成される。そして、肌画質調整画像86A12と処理対象画像75A12とが合成される。これにより、合成画像92Lに対して、AI方式で調整された画質の調整量が過不足することを抑制することができる。この結果、合成画像92Lは、肌画質調整画像86A12に比べ、AI方式で変更された画質の調整量が目立ち難い画像になり、AI方式で変更された画質の調整量を過度に目立たせることを好まないユーザ(例えば、シミ領域128A1が完全に消去されることを望まないユーザ)に対して好適な画像を提供することができる。
【0511】
ここでは、シミ領域128A1が消去される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、AI方式で、肌領域128Aの輝度が変更されたり、肌領域128Aの色が変更されたりすることにより、処理対象画像75A12に写っている肌が美肌化されるようにしてもよい。この場合も、過度な美肌化によって画像に写っている人物の肌が不自然な見た目にならないように、上記のステップST556~ステップST564の処理が行われるようにする。
【0512】
以下では、説明の便宜上、処理対象画像75A1~75A12を区別して説明する必要がない場合、「処理対象画像75A」と称する。また、以下では、説明の便宜上、割合90A~90Lを区別して説明する必要がない場合、「割合90」と称する。また、以下では、説明の便宜上、第1収差補正画像86A1、第1彩色画像86A2、第1コントラスト調整画像86A3、第1解像度調整画像86A4、第1HDR画像86A5、第1エッジ強調画像86A6、第1点像調整画像86A7、第1暈し画像86A8、第1玉ぼけ画像86A9、第1階調調整画像86A10、画風変更画像86A11、及び肌画質調整画像86A12を区別して説明する必要がない場合、「第1画像86A」と称する。第2収差補正画像88A1、第2彩色画像88A2、第2コントラスト調整画像88A3、第2解像度調整画像88A4、第2HDR画像88A5、第2エッジ強調画像88A6、第2点像調整画像88A7、第2暈し画像88A8、第2玉ぼけ画像88A9、第2階調調整画像88A10、処理対象画像75A11、及び処理対象画像75A12を区別して説明する必要がない場合、「第2画像88A」と称する。また、以下では、説明の便宜上、生成モデル82A1~82A12を区別して説明する必要がない場合、「生成モデル82A」と称する。また、以下では、説明の便宜上、AI方式処理部62A1~62A12を区別して説明する必要がない場合、「AI方式処理部62A」と称する。また、以下では、説明の便宜上、合成画像92A~92Lを区別して説明する必要がない場合、「合成画像92」と称する。
【0513】
[第12変形例]
図1~
図44に示す例では、プロセッサ62がAI方式で目的別に単一の処理を行うことで第1画像86Aを生成する形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、プロセッサ62がAI方式で複数の処理を行うようにしてもよい。
【0514】
この場合、一例として
図45に示すように、AI方式処理部62A13は、処理対象画像75Aに対してAI方式で複数の目的別処理130を行う。すなわち、AI方式処理部62A13は、処理対象画像75Aに対して複数の生成モデル82Aを用いた処理を行う。処理対象画像75Aに対してAI方式で複数の目的別処理130が行われることによって複数処理画像132が生成される。複数処理画像132と第2画像88Aは、割合90で合成される。
【0515】
複数の目的別処理130には、収差補正処理130A、点像調整処理130B、階調調整処理130C、コントラスト調整処理130D、ダイナミックレンジ調整処理130E、解像度調整処理130F、エッジ強調処理130G、明瞭度調整処理130H、玉ぼけ生成処理130I、暈し付与処理130J、肌画質調整処理130K、彩色調整処理130L、及び画風変更処理130Mが含まれる。
【0516】
収差補正処理130Aの一例としては、
図4に示すAI方式処理部62A1によって行われる処理が挙げられる。点像調整処理130Bの一例としては、
図25に示すAI方式処理部62A7によって行われる処理が挙げられる。階調調整処理130Cの一例としては、
図36に示すAI方式処理部62A10によって行われる処理が挙げられる。コントラスト調整処理130Dの一例としては、AI方式処理部62A3によって行われえる処理が挙げられる。ダイナミックレンジ調整処理130Eの一例としては、
図19に示すAI方式処理部62A5によって行われる処理が挙げられる。解像度調整処理130Fの一例としては、
図16に示すAI方式処理部62A4によって行われる処理が挙げられる。エッジ強調処理130Gの一例としては、
図22に示すAI方式処理部62A6によって行われる処理が挙げられる。明瞭度調整処理130Hの一例としては、
図14に示すAI方式処理部62A3によって行われる処理が挙げられる。玉ぼけ生成処理130Iの一例としては、
図31に示すAI方式処理部62A9によって行われる処理が挙げられる。暈し付与処理130Jの一例としては、
図28に示すAI方式処理部62A8によって行われる処理が挙げられる。肌画質調整処理130Kの一例としては、
図42に示すAI方式処理部62A12によって行われる処理が挙げられる。彩色調整処理130Lの一例としては、
図7に示すAI方式処理部62A2によって行われる処理が挙げられる。画風変更処理130Mの一例としては、
図39に示すAI方式処理部62A11によって行われる処理が挙げられる。
【0517】
複数の目的別処理130は、処理対象画像75Aに与える影響の度合いに基づく順番で行われる。例えば、複数の目的別処理130は、処理対象画像75Aに与える影響の度合いが小さい目的別処理130から処理対象画像75Aに与える影響の度合いが大きい目的別処理130にかけて段階的に行われる。
図45に示す例では、処理対象画像75Aに対して行われる処理が、収差補正処理130A、点像調整処理130B、階調調整処理130C、コントラスト調整処理130D、ダイナミックレンジ調整処理130E、解像度調整処理130F、エッジ強調処理130G、明瞭度調整処理130H、玉ぼけ生成処理130I、暈し付与処理130J、肌画質調整処理130K、彩色調整処理130L、及び画風変更処理130Mの順に行われる。
【0518】
このように、本第12変形例では、処理対象画像75Aに対してAI方式で複数の目的別処理130が行われ、これにより得られた複数処理画像132と第2画像88Aとが割合90で合成されるので、
図1~
図44に示す例と同様の効果が得られる。
【0519】
また、本第12変形例では、複数の目的別処理130が、処理対象画像75Aに与える影響の度合いに基づく順番で行われるので、処理対象画像75Aに与える影響の度合いを考慮せずに決めた順番で複数の目的別処理130が処理対象画像75Aに対して行われる場合に比べ、複数処理画像132の見た目が不自然になることを抑制することができる。
【0520】
また、本第12変形例では、複数の目的別処理130は、処理対象画像75Aに与える影響の度合いが小さい目的別処理130から処理対象画像75Aに与える影響の度合いが大きい目的別処理130にかけて段階的に行われる。従って、複数の目的別処理130が処理対象画像75Aに与える影響の度合いが大きい目的別処理130から処理対象画像75Aに与える影響の度合いが小さい目的別処理130にかけて段階的に行われる場合に比べ、複数処理画像132の見た目が不自然になることを抑制することができる。
【0521】
[第13変形例]
図1~
図45に示す例では、ユーザからの指示に従って割合90が決められる形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されず、他の方法で割合90が決められてもよい。例えば、処理対象画像75Aと第1画像86Aとの違い、又は、第1画像86Aと第2画像88Aとの違いが過度に大きい場合、或いは、処理対象画像75Aと第1画像86Aとの違い、又は、第1画像86Aと第2画像88Aとの違いが過度に小さい場合、AI方式の処理が第1画像86Aに与える影響が大きいと判断することができる。そこで、割合90は、処理対象画像75Aと第1画像86Aとの違い、又は、第1画像86Aと第2画像88Aとの違い、或いは、処理対象画像75Aと第1画像86Aとの違い、又は、第1画像86Aと第2画像88Aとの違いに応じて定められるようにしてもよい。
【0522】
この場合、例えば、
図46に示すように、プロセッサ62は、処理対象画像75Aと第1画像86Aとの差分134に基づいて割合90を導出する。割合90は、差分134を独立変数とし、割合90を従属変数とした演算式から算出されるようにしてもよいし、差分134と割合90とが対応付けられたテーブルから割合90が導出されるようにしてもよい。また、差分134に代えて除算値を用いてもよい。差分134に代えて用いる除算値の一例としては、処理対象画像75Aに含まれる複数の画素(例えば、全画素又は主要被写体が写っている領域を構成する複数の画素)の画素値の統計値(例えば、平均画素値)及び第1画像86Aに含まれる複数の画素(例えば、全画素又は主要被写体が写っている領域を構成する複数の画素)の画素値の統計値(例えば、平均画素値)のうちの一方に対する他方の割合が挙げられる。
【0523】
また、例えば、
図47に示すように、プロセッサ62は、第1画像86Aと第2画像88Aとの差分136に基づいて割合90を導出するようにしてもよい。この場合も、差分136を独立変数とし、割合90を従属変数とした演算式から割合90が算出されるようにしてもよいし、差分136と割合90とが対応付けられたテーブルから割合90が導出されるようにしてもよい。また、差分136に代えて除算値を用いてもよい。差分136に代えて用いる除算値の一例としては、第1画像86Aに含まれる複数の画素(例えば、全画素又は主要被写体が写っている領域を構成する複数の画素)の画素値の統計値(例えば、平均画素値)及び第2画像88Aに含まれる複数の画素(例えば、全画素又は主要被写体が写っている領域を構成する複数の画素)の画素値の統計値(例えば、平均画素値)のうちの一方に対する他方の割合が挙げられる。
【0524】
また、差分134及び136に基づいて割合90が導出されるようにしてもよい。この場合、差分134及び136を独立変数とし、割合90を従属変数とした演算式から割合90が算出されるようにしてもよいし、差分134及び136と割合90とが対応付けられたテーブルから割合90が導出されるようにしてもよい。
【0525】
このように、本第13変形例によれば、割合90が、処理対象画像75Aと第1画像86Aとの違い、及び/又は、第1画像86Aと第2画像88Aとの違いに基づいて定められる。従って、割合90が第1画像86Aを考慮せずに定められた固定値である場合に比べ、第1画像86Aと第2画像88Aとを合成して得た画像の見た目が、AI方式の処理の影響に起因して不自然になることを抑制することができる。
【0526】
[第14変形例]
一例として
図48に示すように、プロセッサ62は、処理対象画像75Aに関連する関連情報138に応じて割合90を調整するようにしてもよい。ここで、関連情報138の第1例としては、イメージセンサ20の感度に関連する情報(例えば、ISO感度等)が挙げられる。関連情報138の第2例としては、処理対象画像75Aの明るさに関する情報(例えば、処理対象画像75Aの画素値の平均値、中央値、又は最頻値等)が挙げられる。関連情報138の第3例としては、処理対象画像75Aの空間周波数を示す情報が挙げられる。関連情報138の第4例としては、処理対象画像75A内の被写体画像(例えば、人物画像又は部位画像等)が挙げられる。
【0527】
このように、本第14変形例によれば、割合90が処理対象画像75Aに関連する関連情報138に応じて調整される。従って、関連情報138が全く考慮されずに割合90が変更される場合に比べ、第1画像86Aと第2画像88Aとを合成して得た画像の画質が関連情報138に起因して低下することを抑制することができる。
【0528】
[その他の変形例]
上記では、AI方式処理部62Aが生成モデル82Aを用いた処理を行う形態例を挙げて説明したが、複数種類の生成モデル82Aが条件に応じてAI方式処理部62Aによって使い分けられるようにしてもよい。例えば、撮像装置10によって撮像される撮像シーンに応じてAI方式処理部62Aによって用いられる生成モデル82Aが切り替えられてもよい。また、AI方式処理部62Aによって用いられる生成モデル82Aに応じて割合90が変更されるようにしてもよい。
【0529】
上記では、撮像装置10によって撮像されることで得られた有彩色画像又は無彩色画像が処理対象画像75Aとして用いられる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されず、処理対象画像75Aは距離画像であってもよい。
【0530】
上記では、処理対象画像75Aに対して非AI方式の処理が行われることによって第2画像88Aが得られる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されず、処理対象画像75Aに対して、非AI方式の処理と、生成モデル82Aとは異なる学習済みモデルを用いた処理とが行われることによって得られた画像を第2画像88Aとして用いてもよい。
【0531】
上記では、撮像装置10に含まれる画像処理エンジン12のプロセッサ62によって画像合成処理が行われる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されず、画像合成処理を行うデバイスは、撮像装置10の外部に設けられていてもよい。この場合、一例として
図49に示すように、撮像システム140を用いればよい。撮像システム140は、撮像装置10と外部装置142を備えている。外部装置142は、例えば、サーバである。サーバは、例えば、クラウドコンピューティングによって実現される。ここでは、クラウドコンピューティングを例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、例えば、サーバは、メインフレームによって実現されてもよいし、フォグコンピューティング、エッジコンピューティング、又はグリッドコンピューティング等のネットワークコンピューティングによって実現されてもよい。ここでは、外部装置142の一例として、サーバを挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、サーバに代えて、少なくとも1台のパーソナル・コンピュータ等を外部装置142として用いてもよい。
【0532】
外部装置142は、プロセッサ144、NVM146、RAM148、及び通信I/F150を備えており、プロセッサ144、NVM146、RAM148、及び通信I/F150は、バス152で接続されている。通信I/F150は、ネットワーク154を介して撮像装置10に接続されている。ネットワーク154は、例えば、インターネットである。なお、ネットワーク154は、インターネットに限らず、WAN、及び/又は、イントラネット等のLANであってもよい。
【0533】
NVM146には、画像合成処理プログラム80、生成モデル82A、及びデジタルフィルタ84Aが記憶されている。プロセッサ144は、RAM146上で画像合成処理プログラム80を実行する。プロセッサ144は、RAM146上で実行する画像合成処理プログラム80に従って、上述した画像合成処理を行う。プロセッサ144は、画像合成処理を行う場合に、上記の各例で説明したように生成モデル82A及びデジタルフィルタ84Aを用いて処理対象画像75Aを処理する。処理対象画像75Aは、例えば、撮像装置10からネットワーク154を介して外部装置142に送信される。外部装置142の通信I/F150は、処理対象画像75Aを受信する。プロセッサ144は、通信I/F150によって受信された処理対象画像75Aに対して画像合成処理を行う。プロセッサ144は、画像合成処理を行うことで合成画像92を生成し、生成した合成画像92を撮像装置10に送信する。撮像装置10は、外部装置142から送信された合成画像92を通信I/F52(
図2参照)で受信する。
【0534】
なお、
図49に示す例において、外部装置142は、本開示の技術に係る「画像処理装置」及び「コンピュータ」の一例であり、プロセッサ144は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
【0535】
また、画像合成処理は、撮像装置10及び外部装置142を含む複数の装置によって分散して行われるようにしてもよい。
【0536】
上記では、プロセッサ62を例示したが、プロセッサ62に代えて、又は、プロセッサ62と共に、他の少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、及び/又は、少なくとも1つのTPUを用いるようにしてもよい。
【0537】
上記では、NVM62に画像合成処理プログラム80が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、画像合成処理プログラム80がSSD又はUSBメモリなどの可搬型の非一時的記憶媒体に記憶されていてもよい。非一時的記憶媒体に記憶されている画像合成処理プログラム80は、撮像装置10の画像処理エンジン12にインストールされる。プロセッサ62は、画像合成処理プログラム80に従って画像合成処理を実行する。
【0538】
また、ネットワークを介して撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置に画像合成処理プログラム80を記憶させておき、撮像装置10の要求に応じて画像合成処理プログラム80がダウンロードされ、画像処理エンジン12にインストールされるようにしてもよい。
【0539】
なお、撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置、又はNVM62に画像合成処理プログラム80の全てを記憶させておく必要はなく、画像合成処理プログラム80の一部を記憶させておいてもよい。
【0540】
また、
図1及び
図2に示す撮像装置10には画像処理エンジン12が内蔵されているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、画像処理エンジン12が撮像装置10の外部に設けられるようにしてもよい。
【0541】
上記では、画像処理エンジン12が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、画像処理エンジン12に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、画像処理エンジン12に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0542】
上述した画像合成処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、画像合成処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで画像合成処理を実行する。
【0543】
画像合成処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、画像合成処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0544】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、画像合成処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、画像合成処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、画像合成処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0545】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の画像合成処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0546】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0547】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0548】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0549】
10 撮像装置
12 画像処理エンジン
16 撮像装置本体
18 交換レンズ
18A フォーカスリング
20 イメージセンサ
22 レリーズボタン
24 ダイヤル
26 指示キー
28 ディスプレイ
30 タッチパネル
32 タッチパネル・ディスプレイ
36 制御装置
37 第1アクチュエータ
38 第2アクチュエータ
39 第3アクチュエータ
40 撮像レンズ
40A 対物レンズ
40B フォーカスレンズ
40C ズームレンズ
40D 絞り
40D1 開口
40D2 絞り羽根
44 システムコントローラ
46 画像メモリ
48 UI系デバイス
50 外部I/F
52,150 通信I/F
54 光電変換素子ドライバ
62,144 プロセッサ
62A1~62A12 AI方式処理部
62B1~62B10 非AI方式処理部
62C1~62C12 画像調整部
62D1~62D12 合成部
64,146 NVM
66,148 RAM
68,152 バス
70 入出力インタフェース
72 光電変換素子
72A 受光面
74 A/D変換器
75A,75A1~75A12 処理対象画像
75A1a 画像領域
75B 処理済み画像
76 受付デバイス
78 ハードキー部
80 画像合成処理プログラム
82A,82A1~82A12,82A3a,82A3b 生成モデル
84A,84A1~84A10,84A2a,84A3a,84A3b デジタルフィルタ
86A 第1画像
88A 第2画像
90 割合
90A1~90L1 第1割合
90A2~90L2 第2割合
92 合成画像
94,98,110,116,124,128 人物領域
96,100,126 背景領域
104A,106A 中心画素
104B,106B 隣接画素
108 車両領域
112 エッジ領域
114 点像
118 第1玉ぼけ
128A 肌領域
128A1 シミ領域
120 第2玉ぼけ
130 目的別処理
130A 収差補正処理
130B 点像調整処理
130C 階調調整処理
130D コントラスト調整処理
130E ダイナミックレンジ調整処理
130F 解像度調整処理
130G エッジ強調処理
130H 明瞭度調整処理
130I 玉ぼけ生成処理
130J 暈し付与処理
130K 肌画質調整処理
130L 彩色調整処理
130M 画風変更処理
132 複数処理画像
134,136 差分
138 関連情報
140 撮像システム
142 外部装置
154 ネットワーク
OA 光軸