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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000607
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】シール部検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20231226BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G01N21/892 Z
G01N21/84 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099367
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】本田 敦
(72)【発明者】
【氏名】中里 進吾
(72)【発明者】
【氏名】越岡 真志
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB06
2G051BC01
2G051BC09
2G051CA04
2G051CB02
2G051EB01
2G051EB10
(57)【要約】
【課題】 シール部の状態を検査する際において、輝度状態の変化による影響を排除または軽減することができるシール部検査装置を提供すること。
【解決手段】 連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の閾値を超えているか否かを判定する工程と、前記偏差が前記閾値を超えていた場合、当該判定結果がM組(Mは2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、前記判定結果が前記M組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、が実施される。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋のシール部の状態を検査するためのシール部検査装置であって、
包装袋のシール部を照明する照明部と、
前記照明部によって照明されたシール部の画像を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の状態を判定するシール部診断部と、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の輝度を判定する輝度判定部と、
前記輝度判定部による判定結果に基いて前記照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
前記照明制御部は、
連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の閾値を超えているか否かを判定する工程と、
前記偏差が前記閾値を超えていた場合、当該判定結果がM組(Mは2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
を実施するように構成されている
ことを特徴とするシール部検査装置。
【請求項2】
前記Nの値(2以上の整数)、及び、前記Mの値(2以上の整数)は、それぞれ、設定変更可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のシール部検査装置。
【請求項3】
前記設定輝度値、前記閾値、及び、前記調整値は、それぞれ、設定変更可能である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシール部検査装置。
【請求項4】
前記Nの値(2以上の整数)、前記Mの値(2以上の整数)、前記設定輝度値、前記閾値、及び、前記調整値は、包装袋のタイプ毎に設定される
ことを特徴とする請求項1に記載のシール部検査装置。
【請求項5】
包装袋のシール部の状態を検査するために用いられる照明部の制御装置であって、
連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の閾値を超えているか否かを判定する工程と、
前記偏差が前記閾値を超えていた場合、当該判定結果がM組(Mは2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
を実施するように構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項6】
包装袋のシール部の状態を検査するために用いられる照明部の制御方法であって、
連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の閾値を超えているか否かを判定する工程と、
前記偏差が前記閾値を超えていた場合、当該判定結果がM組(Mは2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項7】
包装袋のシール部の状態を検査するためのシール部検査装置であって、
包装袋のシール部を照明する照明部と、
前記照明部によって照明されたシール部の画像を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の状態を判定するシール部診断部と、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の輝度を判定する輝度判定部と、
前記輝度判定部による判定結果に基いて前記照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
前記照明制御部は、
連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の第1閾値を超えているか否かを判定する工程と、
設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の第2閾値を超えているか否かを判定する工程と、
前記偏差が前記第1閾値を超えていた場合、当該判定結果がM1組(M1は2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M1-1~第N+M1-1、及び、第M1~第M1+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M1組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の第1調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
前記偏差が前記第2閾値を超えていた場合、当該判定結果がM2組(M2は2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M2-1~第N+M2-1、及び、第M2~第M2+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M2組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の第2調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
を実施するように構成されている
ことを特徴とするシール部検査装置。
【請求項8】
前記Nの値(2以上の整数)、前記M1の値(2以上の整数)、及び、前記M2の値(2以上の整数)は、それぞれ、設定変更可能である
ことを特徴とする請求項7に記載のシール部検査装置。
【請求項9】
前記設定輝度値、前記第1閾値、前記第2閾値、前記第1調整値、及び、前記第2調整値は、それぞれ、設定変更可能である
ことを特徴とする請求項7または8に記載のシール部検査装置。
【請求項10】
前記Nの値(2以上の整数)、前記M1の値(2以上の整数)、前記M2の値(2以上の整数)、前記設定輝度値、前記第1閾値、前記第2閾値、前記第1調整値、及び、前記第2調整値は、包装袋のタイプ毎に設定される
ことを特徴とする請求項7に記載のシール部検査装置。
【請求項11】
包装袋のシール部の状態を検査するためのシール部検査装置であって、
包装袋のシール部を照明する照明部と、
前記照明部によって照明されたシール部の画像を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の状態を判定するシール部診断部と、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の輝度を判定する輝度判定部と、
前記輝度判定部による判定結果に基いて前記照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
前記照明制御部は、
連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の第1閾値を超えているか否かを判定する工程と、
設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の第2閾値を超えているか否かを判定する工程と、
前記偏差が前記第1閾値を超えていた場合、当該判定結果がM1組(M1は2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M1-1~第N+M1-1、及び、第M1~第M1+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M1組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の第1調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
前記偏差が前記第2閾値を超えていた場合、当該判定結果がM2組(M2は2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M2-1~第N+M2-1、及び、第M2~第M2+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M2組の各N個の包装袋に対して継続した場合であって、且つ、前記判定結果が前記M1組の各N個の包装袋に対して継続していなかった場合、所定の第2調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
を実施するように構成されている
ことを特徴とするシール部検査装置。
【請求項12】
包装袋のシール部の状態を検査するためのシール部検査装置であって、
包装袋のシール部を照明する照明部と、
前記照明部によって照明されたシール部の画像を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の状態を判定するシール部診断部と、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の輝度を判定する輝度判定部と、
前記輝度判定部による判定結果に基いて前記照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
前記照明制御部は、
連続する第1~第N1(N1は2以上の整数とする)のN1個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記N1個の平均値の偏差が、所定の第1閾値を超えているか否かを判定する工程と、
連続する第1~第N2(N2は2以上の整数とする)のN2個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記N2個の平均値の偏差が、所定の第2閾値を超えているか否かを判定する工程と、
前記N1個の平均値の偏差が前記第1閾値を超えていた場合、当該判定結果がM1組(M1は2以上の整数とする)の各N1個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N1、第2~第N1+1、・・・、第M1-1~第N1+M1-1、及び、第M1~第M1+N1、の各N1個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M1組の各N1個の包装袋に対して継続した場合、所定の第1調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
前記N2個の平均値の偏差が前記第2閾値を超えていた場合、当該判定結果がM2組(M2は2以上の整数とする)の各N2個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N2、第2~第N2+1、・・・、第M2-1~第N2+M2-1、及び、第M2~第M2+N2、の各N2個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M2組の各N2個の包装袋に対して継続した場合、所定の第2調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
を実施するように構成されている
ことを特徴とするシール部検査装置。
【請求項13】
包装袋のシール部の状態を検査するためのシール部検査装置であって、
包装袋のシール部を照明する照明部と、
前記照明部によって照明されたシール部の画像を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の状態を判定するシール部診断部と、
前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の輝度を判定する輝度判定部と、
前記輝度判定部による判定結果に基いて前記照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
前記照明制御部は、
連続する第1~第N1(N1は2以上の整数とする)のN1個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記N1個の平均値の偏差が、所定の第1閾値を超えているか否かを判定する工程と、
連続する第1~第N2(N2は2以上の整数とする)のN2個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、
設定輝度値に対する前記N2個の平均値の偏差が、所定の第2閾値を超えているか否かを判定する工程と、
前記N1個の平均値の偏差が前記第1閾値を超えていた場合、当該判定結果がM1組(M1は2以上の整数とする)の各N1個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N1、第2~第N1+1、・・・、第M1-1~第N1+M1-1、及び、第M1~第M1+N1、の各N1個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M1組の各N1個の包装袋に対して継続した場合、所定の第1調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
前記N2個の平均値の偏差が前記第2閾値を超えていた場合、当該判定結果がM2組(M2は2以上の整数とする)の各N2個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N2、第2~第N2+1、・・・、第M2-1~第N2+M2-1、及び、第M2~第M2+N2、の各N2個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、
前記判定結果が前記M2組の各N2個の包装袋に対して継続した場合であって、且つ、前記判定結果が前記M1組の各N個の包装袋に対して継続していなかった場合、、所定の第2調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、
を実施するように構成されている
ことを特徴とするシール部検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に内容物を入れて当該包装袋の開口部をシールした後に、当該シール部の状態を検査するためのシール部検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内容物(商品)を入れた後に開口部をシールした包装袋が、様々な態様で製造されて販売されている。
【0003】
ここで、内容物が家庭用の小麦粉等の粉体である場合、当該粉体がシール部に噛み込まれてしまう場合がある。噛み込みの程度が小さければ問題は無いが、噛み込みの程度が大きいと、シール部の接着不良となって、包装袋内に湿気等が浸入したり包装袋から粉体が出てしまうという問題がある。
【0004】
そこで、包装袋に内容物を入れて当該包装袋の開口部をシールした後に、当該シール部の状態を検査することが行われている。
【0005】
具体的には、近赤外線カメラでシール部の透過撮影を行って、撮影画像に対して画像診断プログラムを適用して、噛み込みの程度を判別している。画像診断プログラムには、いわゆるAI技術が採用されている。
【0006】
当該技術に関連する先行技術文献としては、例えば、実用新案登録第3223757号(特許文献1)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3223757号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本件発明者は、包装袋のシール部の検査を継続的に実施している間に、検査領域における照度の状態が変化すると、検査精度が低下するという問題を見出した。
【0009】
特に、包装袋の開口部をシールしてシール部を形成する工程と、当該シール部の状態を検査する工程とが、互いに近接した領域で実施されるような場合であって、包装袋の内容物が粉体である場合、当該粉体のうちの微粉が照明設備(あるいは撮像側のカメラ)に付着して、撮影画像における輝度状態に有意な影響を及ぼし得ることが知見された。
【0010】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、シール部の状態を検査する際において、輝度状態の変化による影響を排除または軽減することができるシール部検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、包装袋のシール部の状態を検査するためのシール部検査装置であって、包装袋のシール部を照明する照明部と、前記照明部によって照明されたシール部の画像を撮影するカメラと、前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の状態を判定するシール部診断部と、前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の輝度を判定する輝度判定部と、前記輝度判定部による判定結果に基いて前記照明部を制御する照明制御部と、を備え、前記照明制御部は、連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の閾値を超えているか否かを判定する工程と、前記偏差が前記閾値を超えていた場合、当該判定結果がM組(Mは2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、前記判定結果が前記M組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、を実施するように構成されていることを特徴とするシール部検査装置である。
【0012】
本発明によれば、設定輝度値に対するN個の包装袋のシール部の輝度の平均値の偏差が所定の閾値を超えているという判定結果がM組継続した場合に、照明部の照度が所定の調整値だけ変更される。これにより、設定輝度値に対する偏差が効果的に是正される。
【0013】
好ましくは、前記Nの値(2以上の整数)、及び、前記Mの値(2以上の整数)は、それぞれ、設定変更可能である。これにより、検査対象である包装袋のタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置の照明部の制御態様を好適にカスタマイズすることができる。
【0014】
また、前記設定輝度値、前記閾値、及び、前記調整値についても、それぞれ、設定変更可能であることが好ましい。これによっても、検査対象である包装袋のタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置の照明部の制御態様を好適にカスタマイズすることができる。
【0015】
更には、前記Nの値(2以上の整数)、前記Mの値(2以上の整数)、前記設定輝度値、前記閾値、及び、前記調整値は、包装袋のタイプ毎に設定されることが好ましい。例えば、これらの値は、予め包装袋のタイプ毎にデジタルデータのセットとして適宜の記憶媒体に記憶(保存)されていて、必要に応じて照明制御部に読み出されて利用され得る。
【0016】
また、本発明は、包装袋のシール部の状態を検査するために用いられる照明部の制御装置として把握することも可能である。すなわち、本発明の他の一態様は、包装袋のシール部の状態を検査するために用いられる照明部の制御装置であって、連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の閾値を超えているか否かを判定する工程と、前記偏差が前記閾値を超えていた場合、当該判定結果がM組(Mは2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、前記判定結果が前記M組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、を実施するように構成されていることを特徴とする制御装置である。
【0017】
更に、本発明は、包装袋のシール部の状態を検査するために用いられる照明部の制御方法として把握することも可能である。すなわち、本発明の更に他の一態様は、包装袋のシール部の状態を検査するために用いられる照明部の制御方法であって、連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の閾値を超えているか否かを判定する工程と、前記偏差が前記閾値を超えていた場合、当該判定結果がM組(Mは2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、前記判定結果が前記M組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、を備えたことを特徴とする方法である。
【0018】
また、本発明の更に他の態様は、包装袋のシール部の状態を検査するためのシール部検査装置であって、包装袋のシール部を照明する照明部と、前記照明部によって照明されたシール部の画像を撮影するカメラと、前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の状態を判定するシール部診断部と、前記カメラによって撮影された画像を画像処理して前記シール部の輝度を判定する輝度判定部と、前記輝度判定部による判定結果に基いて前記照明部を制御する照明制御部と、を備え、前記照明制御部は、連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする)のN個の包装袋のシール部の輝度の平均値を算出する工程と、設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の第1閾値を超えているか否かを判定する工程と、設定輝度値に対する前記平均値の偏差が、所定の第2閾値を超えているか否かを判定する工程と、前記偏差が前記第1閾値を超えていた場合、当該判定結果がM1組(M1は2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M1-1~第N+M1-1、及び、第M1~第M1+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、前記判定結果が前記M1組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の第1調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、前記偏差が前記第2閾値を超えていた場合、当該判定結果がM2組(M2は2以上の整数とする)の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M2-1~第N+M2-1、及び、第M2~第M2+N、の各N個の包装袋のシール部の輝度の平均値に対して継続するか否かを判定する工程と、前記判定結果が前記M2組の各N個の包装袋に対して継続した場合、所定の第2調整値だけ前記照明部の照度を変更する工程と、を実施するように構成されていることを特徴とするシール部検査装置である。
【0019】
本発明によれば、設定輝度値に対するN個の包装袋のシール部の輝度の平均値の偏差が所定の第1閾値を超えているという判定結果がM1組継続した場合に、照明部の照度が所定の第1調整値だけ変更されることに加えて、設定輝度値に対するN個の包装袋のシール部の輝度の平均値の偏差が所定の第2閾値を超えているという判定結果がM2組継続した場合にも、照明部の照度が所定の第2調整値だけ変更される。これにより、設定輝度値に対する偏差がより効果的な態様で是正される。
【0020】
好ましくは、前記Nの値(2以上の整数)、前記M1の値(2以上の整数)、及び、前記M2の値(2以上の整数)は、それぞれ、設定変更可能である。これにより、検査対象である包装袋のタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置の照明部の制御態様を好適にカスタマイズすることができる。
【0021】
また、前記設定輝度値、前記第1閾値、前記第2閾値、前記第1調整値、及び、前記第2調整値についても、それぞれ、設定変更可能であることが好ましい。これによっても、検査対象である包装袋のタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置の照明部の制御態様を好適にカスタマイズすることができる。
【0022】
更には、前記Nの値(2以上の整数)、前記M1の値(2以上の整数)、前記M2の値(2以上の整数)、前記設定輝度値、前記閾値、及び、前記調整値は、包装袋のタイプ毎に設定されることが好ましい。例えば、これらの値は、予め包装袋のタイプ毎にデジタルデータのセットとして適宜の記憶媒体に記憶(保存)されていて、必要に応じて照明制御部に読み出されて利用され得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、設定輝度値に対するN個の包装袋のシール部の輝度の平均値の偏差が所定の閾値を超えているという判定結果がM組継続した場合に、照明部の照度が所定の調整値だけ変更される。これにより、設定輝度値に対する偏差が効果的に是正される。
【0024】
あるいは、本発明によれば、設定輝度値に対するN個の包装袋のシール部の輝度の平均値の偏差が所定の第1閾値を超えているという判定結果がM1組継続した場合に、照明部の照度が所定の第1調整値だけ変更されることに加えて、設定輝度値に対するN個の包装袋のシール部の輝度の平均値の偏差が所定の第2閾値を超えているという判定結果がM2組継続した場合にも、照明部の照度が所定の第2調整値だけ変更される。これにより、設定輝度値に対する偏差がより効果的な態様で是正される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るシール部検査装置の概略ブロック図である。
図2】噛み込みの程度が大きい包装袋のシール部の撮影画像例を示す写真である。
図3】検査開始直後の包装袋のシール部の撮影画像例を示す写真である。
図4】検査開始後40分時点での包装袋のシール部の撮影画像例を示す写真である。
図5】10個の包装袋のシール部の輝度の平均値の推移を示すグラフである。
図6図1のシール部検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7図1のシール部検査装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
図8図7のフローチャートに従って照明部が制御された場合の、10個の包装袋のシール部の輝度の平均値の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0027】
(基本構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るシール部検査装置の概略ブロック図である。図1に示すシール部検査装置1は、内容物として小麦粉が収容された包装袋Bのシール部Sの状態を検査するためのシール部検査装置1であって、包装袋Bのシール部Sを照明する照明部10と、照明部10によって照明されたシール部Sの画像を撮影するカメラ20と、カメラ20によって撮影された画像を画像処理してシール部Sの状態を判定するシール部診断部30と、カメラ20によって撮影された画像を画像処理してシール部Sの輝度(具体的にはシール部Sの中央部の輝度)を判定する輝度判定部40と、輝度判定部40による判定結果に基いて照明部10を制御する照明制御部50と、を備えている。
【0028】
本実施形態の照明部10は、照明制御部50による制御に従って、256階調(「0」~「255」の照度値)の照度調整が可能となっている。例えば、デフォルトでは「120」の照度値に設定されていて、「2」または「3」等の後述する調整値によって照度値が増大するようになっている。
【0029】
本実施形態のカメラ20は、近赤外線カメラであり、シール部Sの透過画像を撮像するようになっている。例えば、露光時間は150μsであり、撮影遅延時間は0.26秒である(特段の差し支えが無ければ、開示した方がよいです)。もっとも、本発明において、カメラ20のタイプは限定されず、通常の画像(反射画像)を撮像するタイプであってもよい。
【0030】
本実施形態のシール部診断部30は、カメラ20によって取得された撮影画像に対して画像診断プログラムを適用して、小麦粉(粉体)の噛み込みの程度を判別するようになっている。画像診断プログラムには、いわゆるAI技術が採用され、噛み込み状態の画像の特徴(形状や濃さ)が予め学習記憶されていて、噛み込み状態のみが適切に判別されるようになっている(シール部の折れや皺による誤判別が効果的に回避されるようになっている)。図2に示すように、小麦粉(粉体)の噛み込みの程度が大きい包装袋Bは、製品として不適合である(不良品である)と判別されて、次工程に至るラインに搬送されないようになっている。図2は、噛み込みの程度が大きい包装袋Bのシール部Sの撮影画像例を示す写真である。
【0031】
一方、本実施形態の輝度判定部40は、カメラ20によって取得された撮影画像に対して輝度診断プログラムを適用して、シール部Sの中央部の輝度を256階調(「0」~「255」)で判定するようになっている。
【0032】
そして、本実施形態の照明制御部50は、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等から構成され、輝度判定部40による判定結果、すなわち、シール部Sの中央部の輝度値(「0」~「255」のいずれか)に基づいて、後述するように照明部10を制御するようになっている。
【0033】
(照明制御に関する構成)
図3は、検査開始直後の包装袋Bのシール部Sの撮影画像例を示す写真であり、当該例における包装袋Bのシール部Sの中央部の輝度値は「160」であった。一方、図4は、検査開始後40分時点での包装袋Bのシール部Sの撮影画像例を示す写真であり、当該例における包装袋Bのシール部Sの中央部の輝度値は「130」であった。図5は、(噛み込みの程度が大きいと判断された包装袋Bは除外して)10個の連続する包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値の推移を示すグラフである。図3乃至図5に示すように、本実施形態では、小麦粉が照明部10及び/またはカメラ20に付着する等して、撮影画像における輝度状態に有意な変化が生じている。
【0034】
本実施形態の照明制御部50は、このような輝度状態の変化を排除または軽減するように機能する。
【0035】
具体的には、図6に示すように、まず、本実施形態の照明制御部50は、(噛み込みの程度が大きいと判断された包装袋Bは除外して)連続する第1~第N(Nは2以上の整数とする(例えば10))のN個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値を算出するようになっている(STEP1)。
【0036】
次に、本実施形態の照明制御部50は、設定輝度値(例えば「180」)に対する前記平均値の偏差が、所定の第1閾値(例えば「3」)を超えているか否かを判定するようになっている(STEP2)。
【0037】
前記偏差が前記第1閾値を超えていなければ、照度変更は実施されず、次の包装袋Bの検査の際に、再びSTEP1から繰り返される。
【0038】
次に、本実施形態の照明制御部50は、前記偏差が前記第1閾値を超えていた場合、当該判定結果がM(=M1)組(Mは2以上の整数とする(例えば10))の各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M-1~第N+M-1、及び、第M~第M+N、の各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値に対して継続するか否かを判定するようになっている(STEP3)。
【0039】
そして、M組の輝度の平均値(M個算出される)、すなわち、(噛み込みの程度が大きいと判断された包装袋Bは除外して)連続する第1~第MのM個の包装袋の各々から始まる各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値について、いずれも所定の第1閾値(例えば「3」)を超えていると判定された場合、本実施形態の照明制御部50は、所定の第1調整値(例えば「2」)だけ照明部10の照度を増大させるようになっている(STEP4)。
【0040】
当該判定がM組分連続的に継続せずに途絶えた場合、STEP4は実行されず、すなわち、照度変更は実施されず、次の包装袋Bの検査の際に、再びSTEP1から繰り返されるようになっている。
【0041】
また、STEP4が実行されて照度変更が実施された後、次の包装袋Bの検査の際に、依然として所定の第1閾値(例えば「3」)を超えていると判定された場合(前記判定結果が、第2~第N+1、第3~第N+2、・・・、第M~第N+M、及び、第M+1~第M+1+N、の各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値に対して継続した場合)、本実施形態の照明制御部50は、連続的にSTEP4を実行し、すなわち、所定の第1調整値(例えば「2」)だけ照明部10の照度を更に増大させるようになっている。
【0042】
(作用効果)
以上のような本実施形態の照明制御部50によれば、設定輝度値に対するN個(例えば10個)の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値の偏差が所定の第1閾値を超えているという判定結果がM組(例えば10組)継続した場合に(M組継続する度毎に)、照明部10の照度が所定の第1調整値(例えば「2」)だけ変更される。これにより、設定輝度値に対する偏差が効果的に是正される。
【0043】
(補足)
なお、本実施形態において、Nの値(2以上の整数)、及び、Mの値(2以上の整数)は、それぞれ、設定変更可能である(ユーザ用の入力画面で変更入力可能である)。これにより、検査対象である包装袋Bのタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置1の照明部10の制御態様を好適にカスタマイズすることができるようになっている。
【0044】
また、本実施形態において、設定輝度値、所定の第1閾値、及び、所定の第1調整値についても、それぞれ、設定変更可能である(ユーザ用の入力画面で変更入力可能である)。これによっても、検査対象である包装袋Bのタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置1の照明部10の制御態様を好適にカスタマイズすることができるようになっている。
【0045】
更には、Nの値(2以上の整数)、Mの値(2以上の整数)、設定輝度値、所定の第1閾値、及び、所定の第1調整値は、包装袋Bのタイプ毎に予め好適な値のセットが検証されていて、検査対象の包装袋Bのタイプに従って、例えばユーザ用の入力画面で設定入力されることが好ましい。あるいは、これらの値のセットが、予めデジタルデータのセットとして適宜の記憶媒体に記憶(保存)されていて、検査対象の包装袋Bのタイプに従って照明制御部50に読み出されて利用されてもよい。
【0046】
(照明制御に関する他の構成)
前述の実施形態では、カメラ20が撮影した画像における包装袋Bのシール部Sの輝度に基づいて、STEP2~STEP4のルーチンによって、照明部10の照度が是正(フィードバック制御)されるようになっている。
【0047】
本件発明者は、STEP2~STEP4のルーチンと並列に、照明部10の照度を是正(フィードバック制御)するための別ルーチン(別トラック)を更に用意しておくことが、検査精度の維持においてより効果的であることを知見した。
【0048】
この場合、図7に示すように、照明制御部50は、設定輝度値(例えば「180」)に対する前記平均値の偏差が、所定の第2閾値(例えば「10」)を超えているか否かを判定するようになっている(STEP5)。
【0049】
前記偏差が前記第2閾値を超えていなければ、当該別ルーチンでの照度変更は実施されず、次の包装袋Bの検査の際に、再びSTEP1から繰り返される。
【0050】
次に、本実施形態の照明制御部50は、前記偏差が前記第2閾値を超えていた場合、当該判定結果がM2組(M2は2以上の整数とする(例えば6))の各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値、すなわち、第1~第N、第2~第N+1、・・・、第M2-1~第N+M2-1、及び、第M2~第M2+N、の各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値に対して継続するか否かを判定するようになっている(STEP6)。
【0051】
そして、M2組の輝度の平均値(M2個算出される)、すなわち、(噛み込みの程度が大きいと判断された包装袋Bは除外して)連続する第1~第M2のM2個の包装袋の各々から始まる各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値について、いずれも所定の閾値(例えば「6」)を超えていると判定された場合、本実施形態の照明制御部50は、所定の調整値(例えば「3」)だけ照明部10の照度を増大させるようになっている(STEP7)。
【0052】
当該判定がM2組分連続的に継続せずに途絶えた場合、STEP7は実行されず、すなわち、当該別ルーチンでの照度変更は実施されず、次の包装袋Bの検査の際に、再びSTEP1から繰り返されるようになっている。
【0053】
また、STEP7が実行されて照度変更が実施された後、次の包装袋Bの検査の際に、依然として所定の閾値(例えば「10」)を超えていると判定された場合(前記判定結果が、第2~第N+1、第3~第N+2、・・・、第M2~第N+M2、及び、第M2+1~第M2+1+N、の各N個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値に対して継続した場合)、本実施形態の照明制御部50は、連続的にSTEP7を実行し、すなわち、所定の調整値(例えば「3」)だけ前記照明部の照度を更に増大させるようになっている。
【0054】
(作用効果)
以上のような態様によれば、設定輝度値に対するN個(例えば10個)の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値の偏差が所定の第1閾値(例えば「3」)を超えているという判定結果がM(=M1)組(例えば10組)継続した場合に(M組継続する度毎に)、照明部10の照度が所定の第1調整値(例えば「2」)だけ変更されることに加えて(STEP2~STEP4)、設定輝度値に対するN個(例えば10個)の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値の偏差が所定の第2閾値(例えば「10」)を超えているという判定結果がM2組(例えば6組)継続した場合に(M2組継続する度毎に)、照明部10の照度が所定の第2調整値(例えば「3」)だけ変更される。これにより、設定輝度値に対する偏差がより効果的な態様で是正される。図8は、当該態様(図7のフローチャート)に従って照明部10が制御された場合の、包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値の推移を示すグラフである。
【0055】
(補足)
なお、当該態様において、Nの値(2以上の整数)、M(=M1)の値(2以上の整数)、及び、M2の値(2以上の整数)は、それぞれ、設定変更可能である(ユーザ用の入力画面で変更入力可能である)。これにより、検査対象である包装袋Bのタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置1の照明部10の制御態様を好適にカスタマイズすることができるようになっている。
【0056】
また、当該態様において、設定輝度値、第1閾値、第2閾値、第1調整値、及び、第2調整値についても、それぞれ、設定変更可能である(ユーザ用の入力画面で変更入力可能である)。これによっても、検査対象である包装袋Bのタイプや検査環境等に応じて、シール部検査装置1の照明部10の制御態様を好適にカスタマイズすることができるようになっている。
【0057】
更には、Nの値(2以上の整数)、M(=M1)の値(2以上の整数)、M2の値(2以上の整数)、設定輝度値、第1閾値、第2閾値、第1調整値、及び、第2調整値は、包装袋Bのタイプ毎に予め好適な値のセットが検証されていて、検査対象の包装袋Bのタイプに従って、例えばユーザ用の入力画面で設定入力されることが好ましい。あるいは、これらの値のセットが、予めデジタルデータのセットとして適宜の記憶媒体に記憶(保存)されていて、検査対象の包装袋Bのタイプに従って照明制御部50に読み出されて利用されてもよい。
【0058】
なお、以上の態様において、STEP2~STEP4のルーチンと、STEP5~STEP7のルーチンとは、完全に独立となっており、すなわち、STEP4の実行とSTEP7の実行とが同時に重畳的になされることもあり得る。もっとも、STEP4の実行判断とSTEP7の実行判断とが重なった場合において、いずれか一方のみを実行するようになっていてもよい。
【0059】
また、以上の態様において、STEP2~STEP4のルーチンと、STEP5~STEP7のルーチンとは、いずれもN個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値を比較対象として用いているが、これに限定されず、STEP2~STEP4のルーチンにはN1個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値を用いる一方で、STEP5~STEP7のルーチンにはN1とは異なるN2個の包装袋Bのシール部Sの輝度の平均値を用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 シール部検査装置
10 照明部
20 カメラ
30 シール部診断部
40 輝度判定部
50 照明制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8