(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060926
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】液体付与装置、および液体付与方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240425BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/01 305
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168509
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小西 鷹介
(72)【発明者】
【氏名】新原 貴之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】若林 幸弘
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056FA13
2C056FB01
2C056HA29
2C056HA42
2C056JB04
2C056JB08
2C056JB15
(57)【要約】
【課題】生産性が高い液体付与装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る液体付与装置は、対象物に液体を付与する付与手段と、前記付与手段による前記液体の付与状態を維持する維持手段と、前記対象物および前記維持手段のそれぞれを搬送する搬送手段と、前記対象物が搬送される第1搬送経路と、前記維持手段が搬送される第2搬送経路と、を有し、前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、前記維持手段は、前記ノズル面を払拭する払拭手段を含み、前記第1搬送経路は、少なくとも前記付与手段を通過する箇所において前記第2搬送経路と重複している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に液体を付与する付与手段と、
前記付与手段による前記液体の付与状態を維持する維持手段と、
前記対象物および前記維持手段のそれぞれを搬送する搬送手段と、
前記対象物が搬送される第1搬送経路と、
前記維持手段が搬送される第2搬送経路と、を有し、
前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、
前記維持手段は、前記ノズル面を払拭する払拭手段を含み、
前記第1搬送経路は、少なくとも前記付与手段を通過する箇所において前記第2搬送経路と重複している、液体付与装置。
【請求項2】
前記付与手段は、前記対象物に前記液体を吐出するヘッドである、請求項1に記載の液体付与装置。
【請求項3】
前記維持手段が前記液体の付与状態を維持する動作を行う際に、前記維持手段の搬送方向と交差する方向に前記付与手段を移動させる第1の移動手段をさらに有する、請求項1に記載の液体付与装置。
【請求項4】
前記維持手段が前記液体の付与状態を維持する動作を行う際に、前記維持手段の搬送方向と交差する方向に前記払拭手段を移動させる第2の移動手段をさらに有する、請求項1に記載の液体付与装置。
【請求項5】
前記付与手段は、第1の付与手段と、前記第1の付与手段が付与する前記液体とは異なる前記液体を付与する第2の付与手段と、を有し、
前記維持手段は、前記第1の付与手段の前記ノズル面を払拭する第1の払拭手段と、前記第2の付与手段の前記ノズル面を払拭する第2の払拭手段と、を有し、
前記第2の移動手段は、前記維持手段が前記液体の付与状態を維持する動作を行う際に、前記第1の払拭手段および前記第2の払拭手段のそれぞれを前記維持手段の搬送方向と交差する方向に移動させ、
前記第1の払拭手段および前記第2の払拭手段が前記維持手段の搬送方向と交差する方向に移動するタイミングが異なる、請求項4に記載の液体付与装置。
【請求項6】
前記維持手段の搬送方向は、鉛直方向と交差する方向であり、
前記維持手段の搬送方向と交差する方向は、前記鉛直方向である、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項7】
前記払拭手段は、前記維持手段の搬送方向に交差する平面部を含む板状部材を有し、
前記付与手段に対する接触状態と非接触状態とを切替可能に前記平面部の傾きを変化させる傾き可変機構をさらに有する、請求項4または請求項5に記載の液体付与装置。
【請求項8】
前記ヘッドは、前記対象物に付与しない前記液体の吐出である空吐出を実行し、
前記維持手段は、前記ヘッドによる空吐出により吐出された前記液体を保持する吐出液体保持部を含む、請求項2に記載の液体付与装置。
【請求項9】
前記維持手段の搬送方向における前記吐出液体保持部の長さは、前記維持手段の搬送速度、および、前記維持手段の搬送方向における前記ヘッドの長さ、の少なくとも1つに応じて異なる、請求項8に記載の液体付与装置。
【請求項10】
前記対象物は、複数の対象物を含み、
前記維持手段は、複数の維持手段を含み、
前記対象物は、前記維持手段の搬送方向において隣接する前記維持手段同士の間に配置され、
前記維持手段同士の間に配置される前記対象物の数は、前記維持手段の搬送速度および前記液体の種類の少なくとも一方に応じて異なる、請求項1または請求項2に記載の液体付与装置。
【請求項11】
前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、
前記ノズル面の法線は、前記対象物の搬送方向に沿う軸、および、上下方向に直交する平面内において前記対象物の搬送方向に直交する軸、の少なくとも一方の軸回りに、上下方向に沿う軸に対し、5度以上45度以下または-45度以上-5度以下のどちらか一方に傾いている、請求項1または請求項2に記載の液体付与装置。
【請求項12】
前記第2搬送経路は、前記維持手段の搬送方向における前記付与手段よりも下流側において、前記第1搬送経路から分岐する、請求項1に記載の液体付与装置。
【請求項13】
前記第2搬送経路は、前記維持手段の搬送方向における前記付与手段よりも下流側において前記第1搬送経路から分岐した後、前記維持手段の搬送方向における前記付与手段よりも上流側において前記第1搬送経路に合流する循環経路を含む、請求項1に記載の液体付与装置。
【請求項14】
前記維持手段は、前記第1搬送経路から分岐後の経路において、前記第2搬送経路から回収される、請求項12または請求項13に記載の液体付与装置。
【請求項15】
前記付与手段は、ラインヘッド方式で吐出した前記液体を前記対象物に付与する、請求項1または請求項2に記載の液体付与装置。
【請求項16】
液体付与装置による液体付与方法であって、前記液体付与装置が、
付与手段により、対象物に液体を付与し、
維持手段により、前記付与手段による前記液体の付与状態を維持し、
搬送手段により、前記対象物および前記維持手段のそれぞれを搬送し、
前記対象物は、第1搬送経路を搬送され、
前記維持手段は、第2搬送経路を搬送され、
前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、
前記維持手段は、前記ノズル面を払拭する払拭手段を含み、
前記第1搬送経路は、少なくとも前記付与手段を通過する箇所において前記第2搬送経路と重複している、液体付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体付与装置、および液体付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に液体を付与する付与手段と、該付与手段による液体の付与状態を維持する維持手段と、を有する液体付与装置が知られている。このような液体付与装置は、例えば、対象物としての基材上に液体を塗布することによりデバイスを製造したり、対象物としての記録媒体上に液体で画像を形成したりする用途に使用される。
【0003】
上記の液体付与装置として、搬送される維持手段により維持動作を実行するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、維持動作を行う際に、記録媒体等の対象物の搬送経路から付与手段を移動させて退避させるため、維持動作の実行に時間がかかり、液体付与装置の生産性の観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、生産性が高い液体付与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体付与装置は、対象物に液体を付与する付与手段と、前記付与手段による前記液体の付与状態を維持する維持手段と、前記対象物および前記維持手段のそれぞれを搬送する搬送手段と、前記対象物が搬送される第1搬送経路と、前記維持手段が搬送される第2搬送経路と、を有し、前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、前記維持手段は、前記ノズル面を払拭する払拭手段を含み、前記第1搬送経路は、少なくとも前記付与手段を通過する箇所において前記第2搬送経路と重複している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生産性が高い液体付与装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る液体付与装置の構成を例示する上面図である。
【
図2】ヘッド下に対象物が位置する状態を例示する
図1の液体付与装置のヘッド近傍の側面図である。
【
図3】ヘッド下にクリーニングユニットが位置する状態を例示する
図1の液体付与装置のヘッド近傍の側面図である。
【
図4】
図1の液体付与装置の制御部のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】
図1の液体付与装置の制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態に係る液体付与装置の動作例を示すフロー図である。
【
図7】
図1の液体付与装置による液体付与動作例を示す第1図である。
【
図8】
図1の液体付与装置による液体付与動作例を示す第2図である。
【
図9】
図1の液体付与装置による液体付与動作例を示す第3図である。
【
図10】
図1の液体付与装置による液体付与動作例を示す第4図である。
【
図11】
図1の液体付与装置による液体付与動作例を示す第5図である。
【
図12】
図1の液体付与装置による維持動作例を示す第1図である。
【
図13】
図1の液体付与装置による維持動作例を示す第2図である。
【
図14】
図1の液体付与装置による維持動作例を示す第3図である。
【
図15】
図1の液体付与装置による維持動作例を示す第4図である。
【
図16】
図1の液体付与装置による維持動作例を示す第5図である。
【
図17】第2実施形態に係る液体付与装置のヘッド近傍の側面図である。
【
図18】
図17の液体付与装置の制御部の機能構成例を示す図である。
【
図19】
図17の液体付与装置の動作例を示すフロー図である。
【
図20】
図17の液体付与装置による維持動作例を示す第1図である。
【
図21】
図17の液体付与装置による維持動作例を示す第2図である。
【
図22】
図17の液体付与装置による維持動作例を示す第3図である。
【
図23】
図17の液体付与装置による維持動作例を示す第4図である。
【
図24】
図17の液体付与装置による維持動作例を示す第5図である。
【
図25】
図17の液体付与装置による維持動作例を示す第6図である。
【
図26】
図17の液体付与装置による維持動作例を示す第7図である。
【
図27】第3実施形態に係る液体付与装置のヘッド近傍の側面図である。
【
図28】
図27の液体付与装置の制御部の機能構成例を示す図である。
【
図29】
図27の液体付与装置の動作例を示すフロー図である。
【
図30】
図27の液体付与装置による維持動作例を示す第1図である。
【
図31】
図27の液体付与装置による維持動作例を示す第2図である。
【
図32】
図27の液体付与装置による維持動作例を示す第3図である。
【
図33】
図27の液体付与装置による維持動作例を示す第4図である。
【
図34】
図27の液体付与装置による維持動作例を示す第5図である。
【
図35】第4実施形態に係る液体付与装置の構成を例示する上面図である。
【
図36】第5実施形態に係る液体付与装置の構成を例示する上面図である。
【
図37】第6実施形態に係る液体付与装置の構成を例示する上面図である。
【
図38】第7実施形態に係る液体付与装置の維持動作例を示す第1図である。
【
図39】第7実施形態に係る液体付与装置の維持動作例を示す第2図である。
【
図40】第8実施形態に係る払拭部材の構成例を示す図である。
【
図41】第9実施形態に係るヘッドの構成例を示す第1図である。
【
図42】第9実施形態に係るヘッドの構成例を示す第2図である。
【
図43】第9実施形態に係る液体付与装置の他の構成例を示す第1図である。
【
図44】第9実施形態に係る液体付与装置の他の構成例を示す第2図である。
【
図45】第9実施形態に係る液体付与装置の他の構成例を示す第3図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための液体付与装置および液体付与方法を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
各図面において、方向表現として、X軸、Y軸およびZ軸を有する直交座標を用いる。Z軸に沿うZ方向を上下方向とする。上下方向は鉛直方向である。+Z方向を上、-Z方向を下とする。Z方向に直交する面内において、直交する2方向をX方向およびY方向とする。但し、これら方向表現は、本発明の実施形態の方向を限定するものではない。
【0012】
[第1実施形態]
<液体付与装置100の構成例>
図1~
図3を参照して液体付与装置100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る液体付与装置100の構成を模式的に例示する上面図である。
図2は、ヘッド1下に対象物5が位置する状態を模式的に例示する液体付与装置100のヘッド1近傍の側面図である。
図3は、ヘッド1下にクリーニングユニット2が位置する状態を模式的に例示する液体付与装置100のヘッド1近傍の側面図である。
【0013】
図2および
図3は、対象物5およびクリーニングユニット2の搬送方向10と、上下方向(Z方向)と、の両方に直交する方向(-Y方向)から見たヘッド1の側面図を示している。このヘッド1の側面図では、吐出液体保持部21および払拭液体保持部23の内側にある部材または液体を、破線で表示する場合がある。これら点は、以降に示すヘッド1の各側面図においても同じである。
【0014】
図1~
図3に示すように、液体付与装置100は、ヘッド1と、クリーニングユニット2と、コンベヤ3と、制御部4と、第1搬送経路6と、第2搬送経路7と、を有する。なお、液体付与装置100は、これらの構成部の他、液体付与装置100を操作するためのタッチパネル等の操作部や、液体付与装置100の操作者に対するメッセージを表示するディスプレイ等の表示部等の他の構成部を有してもよい。
【0015】
液体付与装置100は、例えば、対象物5としての基材の上面に、活性エネルギー線硬化型の液体を塗布することにより、樹脂構造体を製造する装置である。樹脂構造体には電極基体、二次電池、燃料電池等が挙げられる。
【0016】
実施形態に係る液体は、重合性化合物、溶媒、および必要に応じて重合開始剤などのその他成分を含んでもよい。また、液体は、硬化させられることで樹脂を骨格とする多孔質構造を有する樹脂構造体を形成してもよい。
【0017】
ヘッド1は、対象物5に液体を付与する付与手段の一例である。クリーニングユニット2は、ヘッド1による液体の付与状態を維持する維持手段の一例である。コンベヤ3は、対象物5およびクリーニングユニット2のそれぞれを搬送する搬送手段の一例である。コンベヤ3は、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等の搬送機構である。制御部4は、ヘッド1、クリーニングユニット2およびコンベヤ3のそれぞれの動作を制御する。第1搬送経路6は、対象物5が搬送される経路である。第2搬送経路7は、クリーニングユニット2が搬送される経路である。なお、
図1では、ヘッド1の下における対象物5およびクリーニングユニット2を分かり易く表示するために、ヘッド1を破線で示し、ヘッド1を透視した図を示している。
【0018】
液体付与装置100は、コンベヤ3により第1搬送経路6を通ってヘッド1の下に搬送されてきた対象物5に、ヘッド1から液体10aを吐出することによって液体を付与する。また本実施形態では、液体付与装置100は、コンベヤ3により第2搬送経路7を搬送されるクリーニングユニット2によって、対象物5のほぼ所望の位置にほぼ所望の量の液体を付与できるように、ヘッド1による液体の付与状態を維持する。クリーニングユニット2は、ヘッド1から吐出される液体の増粘を低減したり、ヘッド1において液体を吐出するノズルに付着した増粘液体や異物等を除去したりすることにより、ヘッド1による液体の吐出状態を維持できる。
【0019】
図2に示すように、ヘッド1は、ヘッド1-1と、ヘッド1-2と、ヘッド1-3と、を含む。ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3は、搬送方向10に沿って並んでいる。搬送方向10は、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2の搬送方向を表す。なお、コンベヤ3による対象物5の搬送方向と、コンベヤ3によるクリーニングユニット2の搬送方向は同じである。
【0020】
ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のそれぞれは、ノズル面11を含み、ノズル面11に形成された複数のノズルから液体10aを吐出する。ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のそれぞれから吐出される液体10aは、互いに種類が異なる液体であってもよい。あるいは、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうちの少なくとも一部から吐出される液体10aは、同じ種類の液体であってもよい。液体の種類には、液体の組成、液体の色等が含まれる。
【0021】
図2に示す状態では、ヘッド1-1は、吐出した液体10aを対象物5-1に付与する。ヘッド1-2は、吐出した液体10aを対象物5-2に付与する。ヘッド1-3は、吐出した液体10aを対象物5-3に付与する。但し、ヘッド1-1は、対象物5-2および対象物5-3に液体10aを付与してもよい。ヘッド1-2は、対象物5-1および対象物5-3に液体10aを付与してもよい。ヘッド1-3は、対象物5-1および対象物5-2に液体10aを付与してもよい。
【0022】
本実施形態では、ヘッド1は、ラインヘッド方式で吐出した液体を対象物5に付与してもよい。ラインヘッド方式とは、搬送方向10と略直交する方向において、対象物5の幅と同等の長さを有するヘッドから液体を吐出する方式をいう。ラインヘッド方式を用いることで、対象物5内における広い面積に一度に液体を付与でき、高速化を図ることができる。
【0023】
図3に示すように、クリーニングユニット2は、吐出液体保持部21と、払拭部材22と、払拭液体保持部23と、を有する。
【0024】
吐出液体保持部21は、ヘッド1による空吐出により吐出された液体10bを保持する収容器である。吐出液体保持部21の上部は開放されている。吐出液体保持部21は、ヘッド1に向き合った際に、ヘッド1から空吐出された液体10bを受け止めて保持できる。液体10cは、吐出液体保持部21により保持された液体を示している。ここで空吐出とは、対象物5に付与しない液体10bを吐出することをいう。空吐出という用語は、予備吐出、フラッシング、パージ、ダミージェット等の用語に置き換えられてもよい。クリーニングユニット2は、吐出された液体10bを吐出液体保持部21が保持するように空吐出を実行できる。クリーニングユニット2は、空吐出によりヘッド1内部で増粘した液体や、液体を吐出するノズル近傍に付着した増粘液体、異物等を取り除くことができる。
【0025】
液体10bは、液体10aと同じ種類の液体である。液体10bの液体量は、液体10aの液体量よりも多い。ヘッド1は、液体10aよりも多い液体量の液体10bを空吐出することにより、ヘッド1の内部の増粘液体や、ノズル面11におけるノズル近傍に付着した増粘液体、異物等を吐き出して取り除くことができる。
【0026】
吐出液体保持部21は、空吐出された液体10bで満杯になったら、空の吐出液体保持部21に交換されるか、あるいはクリーニングユニット2から一旦取り外され、保持した液体10bが廃棄された後、クリーニングユニット2に再装着される。
【0027】
払拭部材22は、ヘッド1のノズル面11に向き合った際に、ノズル面11を払拭する部材である。払拭部材22は、ゴム等の柔らかい素材により構成された板状部材であるワイパーブレード等である。払拭部材22は、ノズル面11を払拭することにより、ノズル面11やノズル面11に形成されたノズル等に付着した増粘液体、異物等を除去する。但し、払拭部材22は、ゴム製の板状部材に限らず、柔らかい布等を含んで構成されてもよい。
【0028】
払拭液体保持部23は、払拭部材22により払拭された液体を保持する収容器である。払拭液体保持部23は、払拭された液体により満杯になったら、空の払拭液体保持部23に交換されるか、あるいはクリーニングユニット2から一旦取り外され、保持した液体が廃棄された後、クリーニングユニット2に再装着される。
【0029】
図1に示すように、本実施形態では、第1搬送経路6は、少なくともヘッド1を通過する箇所において第2搬送経路7と重複しており、対象物5への液体付与とクリーニングユニット2による払拭を連続的に行うことが可能である。換言すると、対象物5の搬送を停止させることなく、液体の付与を行いながら、付与手段のノズル面を払拭することが可能となる。
図1に示す第1搬送経路6および第2搬送経路7では、対象物5およびクリーニングユニット2は、上流側の工程から-Y方向に搬送された後、曲角部31で搬送方向が+X方向に向くように90度変化する。その後、対象物5およびクリーニングユニット2は、+X方向に搬送された後、曲角部32で搬送方向が+Y方向に向くようにさらに90度変化する。その後、対象物5およびクリーニングユニット2は、下流側の工程に向けて+Y方向に搬送される。
【0030】
図1に示す例では、コンベヤ3は、対象物5-1~5-9を含む複数の対象物5を搬送する。コンベヤ3は、クリーニングユニット2-1~2-3を含む複数のクリーニングユニット2を搬送する。
【0031】
搬送方向10において隣接する対象物5同士の間には、1つのクリーニングユニット2が配置されている箇所と、クリーニングユニット2が配置されていない箇所と、がある。具体的には、対象物5-1と対象物5-2の間には、クリーニングユニット2-1が配置されている。対象物5-4と対象物5-5の間には、クリーニングユニット2-2が配置されている。対象物5-7と対象物5-8の間には、クリーニングユニット2-3が配置されている。隣接する対象物5同士のうち、上記以外の箇所では、クリーニングユニット2は配置されていない。
【0032】
搬送方向10において隣接するクリーニングユニット2同士の間には、3つの対象物5が配置されている。具体的には、クリーニングユニット2-1とクリーニングユニット2-2の間には、対象物5-2~5-4が配置され、クリーニングユニット2-2とクリーニングユニット2-3の間には、対象物5-5~5-7が配置されている。
【0033】
液体付与装置100は、ヘッド1の下に搬送されてくる複数の対象物5のそれぞれに、異なるタイミングでヘッド1から液体を吐出することにより液体を付与する。また液体付与装置100は、ヘッド1の下に搬送されてくる複数のクリーニングユニット2のそれぞれにより、異なるタイミングでヘッド1に対して維持動作を行う。維持動作は、液体の付与状態を維持する動作を意味する。なお、搬送される対象物5およびクリーニングユニット2のそれぞれの配置は、上述したものに限らず、製造工程等に応じて適宜変更可能である。
【0034】
本実施形態では、第1搬送経路6と同じ経路である第2搬送経路7を搬送されるクリーニングユニット2による払拭を、対象物5への液体付与に対して連続的に行うため、維持動作を行う際にヘッド1を第1搬送経路6から離隔した位置に移動させなくてもよい。第1搬送経路6から離隔した位置は、例えば、ヘッド1の下にクリーニングユニット2を配置できる空間を確保できるように、搬送方向10と直交する方向に第1搬送経路6から離隔した位置である。
【0035】
本実施形態では、第1搬送経路6から離隔した位置にヘッド1を移動させない分、ヘッド1の移動時間を削減できるため、液体付与装置100による対象物5への液体付与の生産性を上げることができる。これにより、本実施形態では、生産性が高い液体付与装置100を提供できる。
【0036】
また、本実施形態では、搬送方向10において隣接するクリーニングユニット2同士の間に配置される対象物5の数は、クリーニングユニット2の搬送速度および液体の種類の少なくとも一方に応じて異なってもよい。例えば、搬送方向10において隣接するクリーニングユニット2同士の間を対象物5が搬送されている期間に、ノズルを介して外気に晒された液体が増粘する場合がある。コンベヤ3による搬送速度が遅いほど液体は増粘しやすくなる。液体の種類によっても増粘のしやすさは異なる。液体付与装置100は、例えばクリーニングユニット2の搬送速度が遅いほど、あるいは増粘しやすい液体であるほど、隣接するクリーニングユニット2同士の間に配置される対象物5の数を少なくする。これにより、クリーニングユニット2による維持動作の時間間隔を短くできるため、液体の増粘を低減し、ヘッド1による吐出状態を維持しやすくすることができる。
【0037】
また、本実施形態では、搬送方向10における吐出液体保持部21の長さは、クリーニングユニット2の搬送速度および搬送方向10におけるヘッド1の長さの少なくとも1つに応じて異なってもよい。例えば、クリーニングユニット2の搬送速度が速いほど、搬送方向10における吐出液体保持部21の長さを長くする。これにより、クリーニングユニット2を停止させずにヘッド1に空吐出させることができるため、液体付与装置100は、生産性を上げることができる。また、ヘッド1に含まれる搬送方向10に並んだヘッドの数が多くなることにより、ヘッド1の長さが長くなるほど、搬送方向10における吐出液体保持部21の長さを長くする。これにより、ヘッド1に含まれる複数のヘッドの全てに、並行して空吐出させることができるため、液体付与装置100の生産性を上げることができる。
【0038】
液体付与装置100は、樹脂構造体の製造装置に限らず、液体を付与することにより対象物を製造可能なさまざまな製造装置であってもよい。あるいは液体付与装置100は、対象物としての記録媒体に液体で画像を形成する画像形成装置であってもよい。液体の種類も対象物等に応じて適宜変更できる。付与手段は、液体を吐出するヘッド1に限らず、オフセット印刷方式において担持した液体を対象物に転写する版等であってもよい。
【0039】
図1では、曲角部31および曲角部32を有する第1搬送経路6および第2搬送経路7を例示したが、これに限定されない。第1搬送経路6および第2搬送経路7は、製造工程等に応じて曲角部の数を適宜変更でき、曲角部を有さない直進経路であってもよい。搬送手段も、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等に限らず、第1搬送経路6および第2搬送経路7に応じて適宜変更できる。例えば直進経路の場合には、対象物5やクリーニングユニット2を載置するテーブルをボールネジ等により移動させる直動ステージを搬送手段として用いてもよい。
【0040】
<制御部4の構成例>
(ハードウェア構成)
図4は、制御部4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御部4は、コンピュータによって構築されており、CPU(Central Processing Unit)401と、ROM(Read Only Memory)402と、RAM(Random Access Memory)403と、を有する。また制御部4は、HDD/SSD(Hard Disk Drive/Solid State Drive)404と、機器接続I/F(Interface)405と、通信I/F406と、を有する。これらは、システムバスAを介して相互に通信可能に接続している。
【0041】
CPU401は、各種の演算処理を含む制御処理を実行する。ROM402は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU401の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。HDD/SSD404は、プログラム等の各種情報、ヘッド1による液体吐出に関する情報、コンベヤ3による搬送に関する情報等を記憶する。
【0042】
機器接続I/F405は、制御部4を各種の外部機器と接続するためのインターフェースである。ここでの外部機器は、ヘッド1、コンベヤ3等である。
【0043】
通信I/F406は、通信ネットワーク等を介して、外部装置との間で通信するためのインターフェースである。例えば、制御部4は、通信I/F406を介してインターネットに接続し、インターネットを介して外部装置との間で通信する。ここでの外部機器はPC(Personal Computer)等である。
【0044】
なお、CPU401により実現される機能の少なくとも一部は、電気回路または電子回路により実現されてもよい。
【0045】
(機能構成例)
図5は、制御部4の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部4は、通信制御部41と、吐出制御部42と、搬送制御部43と、出力部44と、を有する。なお、制御部4は、上記以外の機能構成部をさらに有してもよい。
【0046】
通信制御部41の機能は、通信I/F406等により実現される。吐出制御部42および搬送制御部43の各機能は、CPU401等のプロセッサがROM402等の不揮発性メモリに格納されたプログラムに規定された処理を実行すること等により実現される。出力部44の機能は、機器接続I/F405等により実現される。なお、制御部4が有する上記各機能の一部は、PCまたはサーバ等の外部装置により実現されてもよいし、制御部4と外部装置との分散処理により実現されてもよい。
【0047】
通信制御部41は、通信ネットワーク等を介して外部装置との間で通信を制御する。例えば通信制御部41は、
図1の対象物5上に液体を付与するパターンを表すデータを外部装置から受信する。
【0048】
吐出制御部42は、出力部44を介して吐出制御信号S1をヘッド1に出力することにより、ヘッド1の動作を制御する。吐出制御部42は、ヘッド1による対象物5への液体付与のための液体の吐出タイミング、吐出速度、吐出周波数、吐出量等を制御できる。また吐出制御部42は、ヘッド1による空吐出のための液体の吐出タイミング、吐出速度、吐出周波数、吐出量等を制御できる。なお、吐出制御信号S1は、ヘッド1を駆動させる駆動電圧波形を含み、吐出制御部42は、駆動電圧波形により吐出速度、吐出量等を制御してもよい。
【0049】
搬送制御部43は、出力部44を介して搬送制御信号S2をコンベヤ3に出力することにより、コンベヤ3の動作を制御する。搬送制御部43は、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2(
図1参照)の搬送開始タイミング、搬送速度、搬送停止タイミング等を制御できる。
【0050】
<液体付与装置100の動作例>
(全体動作例)
図6は、液体付与装置100の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは
図6の他、
図1、
図5等も適宜参照して説明する。液体付与装置100は、例えば、操作部を介して液体付与開始の操作入力信号を受け付けたことを契機に、
図6の動作を開始する。
【0051】
まず、ステップS61において、液体付与装置100は、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2の搬送を開始する。搬送開始以降、液体付与装置100は、搬送停止の制御が行われるまで搬送を継続する。
【0052】
続いて、ステップS62において、液体付与装置100は、制御部4により、ヘッド1と対象物5は液体付与動作の位置関係にあるか否かを判定する。液体付与動作の位置関係とは、ヘッド1の直下近傍に対象物5が搬送されたことにより、ヘッド1から対象物5への液体付与が可能となった位置関係をいう。例えば制御部4は、予め定められた搬送距離分、対象物5を搬送し、ヘッド1の下に対象物5が位置した場合に、ヘッド1と対象物5は液体付与動作の位置関係にあると判定する。あるいは制御部4は、ヘッド1に設けられた近接センサにより対象物5の近接を検出した場合に、ヘッド1と対象物5は液体付与動作の位置関係にあると判定してもよい。
【0053】
ステップS62において、液体付与動作の位置関係にないと判定された場合には(ステップS62、NO)、液体付与装置100は、ステップS66に動作を移行する。一方、液体付与動作の位置関係にあると判定された場合には(ステップS62、YES)、ステップS63において、液体付与装置100は、吐出制御部42の制御下で、ヘッド1から液体を吐出し、ヘッド1の下に位置する対象物5に液体を付与する。
【0054】
続いて、ステップS64において、液体付与装置100は、制御部4により、液体付与動作を停止するか否かを判定する。例えば、制御部4は、所定個数の対象物5に対して予め定められたパターンで液体を付与できた場合に、液体付与動作を停止すると判定する。
【0055】
ステップS64において、液体付与動作を停止しないと判定された場合には(ステップS64、NO)、液体付与装置100は、ステップS63の動作を再度行う。一方、液体付与動作を停止すると判定された場合には(ステップS64、YES)、ステップS65において、液体付与装置100は、吐出制御部42の制御下で、ヘッド1からの液体吐出を停止することにより、対象物5への液体付与を停止する。
【0056】
続いて、ステップS66において、液体付与装置100は、制御部4により、ヘッド1とクリーニングユニット2は空吐出動作の位置関係にあるか否かを判定する。空吐出動作の位置関係とは、ヘッド1の直下近傍にクリーニングユニット2が搬送されたことにより、ヘッド1から吐出液体保持部21への空吐出が可能となった位置関係をいう。例えば制御部4は、予め定められた搬送距離分、クリーニングユニット2を搬送し、ヘッド1の下に吐出液体保持部21が位置した場合に、ヘッド1とクリーニングユニット2は空吐出動作の位置関係にあると判定する。あるいは制御部4は、ヘッド1に設けられた近接センサによりクリーニングユニット2の近接を検出した場合に、ヘッド1とクリーニングユニット2は空吐出動作の位置関係にあると判定してもよい。
【0057】
ステップS66において、空吐出動作の位置関係にないと判定された場合には(ステップS66、NO)、液体付与装置100は、ステップS72に動作を移行する。一方、空吐出動作の位置関係にあると判定された場合には(ステップS66、YES)、ステップS67において、液体付与装置100は、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2の搬送を停止する。
【0058】
続いて、ステップS68において、液体付与装置100は、吐出制御部42の制御下で、ヘッド1による空吐出を実行する。空吐出された液体は、ヘッド1の下にある吐出液体保持部21により保持される。
【0059】
続いて、ステップS69において、液体付与装置100は、制御部4により、空吐出動作を停止するか否かを判定する。例えば、制御部4は、所定回数の空吐出を行った場合に、空吐出動作を停止すると判定する。
【0060】
ステップS69において、空吐出動作を停止しないと判定された場合には(ステップS69、NO)、液体付与装置100は、ステップS68の動作を再度行う。一方、空吐出動作を停止すると判定された場合には(ステップS69、YES)、ステップS70において、液体付与装置100は、吐出制御部42の制御下で、ヘッド1による空吐出動作を停止する。
【0061】
続いて、ステップS71において、液体付与装置100は、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2の搬送を再開する。搬送再開以降、液体付与装置100は、搬送停止の制御が行われるまで搬送を継続する。なお、コンベヤ3によるクリーニングユニット2の搬送が再開された直後に、搬送される払拭部材22で空吐出後のヘッド1におけるノズル面11を払拭することにより、ノズル面11に付着した液体、異物等除去することができる。この動作の詳細は、
図15および
図16を参照して後述する。
【0062】
続いて、ステップS72において、液体付与装置100は、制御部4により、対象物5への液体付与を終了するか否かを判定する。例えば、制御部4は、所定総数の対象物5に対して予め定められたパターンで液体を付与できた場合に、液体付与動作を終了すると判定する。あるいは制御部4は、操作部を介して液体付与終了の操作入力信号を受け付けた場合に、液体付与動作を終了すると判定してもよい。
【0063】
ステップS72において、終了しないと判定された場合には(ステップS72、NO)、液体付与装置100は、ステップS62以降の動作を再度行う。一方、終了すると判定された場合には(ステップS72、YES)、液体付与装置100は動作を終了する。
【0064】
以上のようにして、液体付与装置100は、対象物5に液体を付与することができる。
【0065】
(液体付与動作例)
図7~
図11は、液体付与装置100による液体付与動作の一例を模式的に説明する図である。
【0066】
図7は、液体付与動作の位置関係になる前のヘッド1と対象物5の位置関係を例示している。
図7の状態から、コンベヤ3により対象物5が搬送方向10に搬送され、
図8に示すように、ヘッド1-1の下に対象物5-3の下流端が到達すると、ヘッド1と対象物5は、液体付与動作の位置関係になる。ヘッド1-1は、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、搬送方向10における最上流に位置するヘッドである。対象物5-3は、対象物5-1、対象物5-2および対象物5-3のうち、搬送方向10における最下流に位置する対象物である。対象物5の下流端は、対象物5上で液体10aが付与される領域のうち、搬送方向10における最下流に位置する部分を意味する。
【0067】
液体付与装置100は、液体付与動作の位置関係になった際に、ヘッド1-1から液体10aを吐出することにより、対象物5-3上への液体10aの付与を開始する。その後、液体付与装置100は、コンベヤ3により対象物5を搬送しつつ、対象物5-3に液体10aを付与する。
【0068】
本明細書では、液体付与装置100は、対象物5の搬送を停止することなく、搬送されている対象物5に液体10aを付与する。但し、液体付与装置100は、対象物5の搬送と搬送の一時停止とを繰り返し行う中で、対象物5の搬送を一時停止させた状態で対象物5に液体10aを付与してもよい。これらの点は、実施形態に係る液体付与装置における、以降に示す様々な液体付与動作においても同じである。
【0069】
図9は、
図8の状態からさらに対象物5が搬送され、ヘッド1-2の下に対象物5-3が位置するとともに、ヘッド1-1の下に対象物5-2が位置した状態を示している。液体付与装置100は、ヘッド1-2から液体10aを吐出することにより、対象物5-3上に液体10aを付与する。且つ液体付与装置100は、ヘッド1-1から液体10aを吐出することにより、対象物5-2上に液体10aを付与する。
【0070】
図10は、
図9の状態からさらに対象物5が搬送され、ヘッド1-3の下に対象物5-3が位置し、ヘッド1-2の下に対象物5-2が位置し、ヘッド1-1の下に対象物5-1が位置した状態を示している。液体付与装置100は、ヘッド1-3から液体10aを吐出することにより、対象物5-3上に液体10aを付与する。且つ液体付与装置100は、ヘッド1-2から液体10aを吐出することにより、対象物5-2上に液体10aを付与し、ヘッド1-1から液体10aを吐出することにより、対象物5-1上に液体10aを付与する。
【0071】
図11は、
図10の状態からさらに対象物5が搬送され、ヘッド1-3の下を対象物5-1の上流端が通過した後の状態を示している。対象物5-1は、対象物5-1、対象物5-2および対象物5-3のうち、搬送方向10における最上流に位置する対象物である。対象物5の上流端は、対象物5上で液体10aが付与される領域のうち、搬送方向10における最上流に位置する部分を意味する。
【0072】
図11に示す状態では、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3による対象物5-1、対象物5-2および対象物5-3への液体付与は終了している。対象物5-1、対象物5-2および対象物5-3のそれぞれには、所定のパターン300の形成が完了している。
【0073】
(維持動作例)
図12~
図16は、液体付与装置100による維持動作の一例を模式的に説明する図である。
【0074】
図12は、ヘッド1とクリーニングユニット2が空吐出動作の位置関係になる前のヘッド1とクリーニングユニット2の位置関係を例示している。液体付与装置100は、
図12の状態から、コンベヤ3によりクリーニングユニット2を搬送方向10に搬送する。
【0075】
その後、
図13に示すように、空吐出動作の位置関係になった場合に、液体付与装置100は、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2の搬送を一時停止する。
【0076】
図14に示すように、液体付与装置100は、クリーニングユニット2が一時停止している間に、吐出制御部42の制御下で、ヘッド1による空吐出を実行する。空吐出された液体10bは、吐出液体保持部21により保持される。液体10cは、吐出液体保持部21により保持された液体を表している。本明細書では、液体付与装置100は、クリーニングユニット2の搬送を一時停止して空吐出を行う。但し、これに限定されず、液体付与装置100は、クリーニングユニット2の搬送を停止することなく、搬送されているクリーニングユニット2に対して空吐出を行ってもよい。空吐出が終了後に、液体付与装置100は、コンベヤ3によるクリーニングユニット2の搬送を再開する。
【0077】
図15は、
図14の状態からさらにクリーニングユニット2が搬送され、ヘッド1-1が払拭部材22上に到達した状態を示している。払拭部材22の上端は、ヘッド1-1のノズル面11に接触している。払拭部材22はヘッド1に対して軟質である。このため、払拭部材22の上端がノズル面11に接触した状態でクリーニングユニット2が搬送方向10に搬送されることにより、払拭部材22の上端がその下端よりも搬送方向10における上流側に位置するように、払拭部材22は曲がっている。
【0078】
払拭部材22は、その上端がノズル面11に接触した状態でクリーニングユニット2が搬送方向10に搬送されることで、ヘッド1-1のノズル面11を払拭し、空吐出後にノズル面11から除去されずに残った液体10dを除去できる。払拭部材22は、クリーニングユニット2の搬送により、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3それぞれのノズル面11を払拭して液体10dを除去できる。払拭部材22により除去された液体10dは、払拭部材22を伝って払拭液体保持部23上に落下し、払拭液体保持部23に保持される。液体10eは、払拭液体保持部23により保持される液体を示している。
【0079】
図16は、
図15の状態からさらにクリーニングユニット2が搬送され、ヘッド1-3の下を払拭部材22が通過した後の状態を示している。
図15に示す状態において、液体付与装置100は、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3それぞれに対する維持動作を完了する。
【0080】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る液体付与装置について説明する。なお、第1実施形態と同一の名称および符号は、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。この点は、以降で説明する実施形態においても同様とする。
【0081】
本実施形態では、クリーニングユニットが液体の付与状態を維持する動作を行う際に、クリーニングユニットの搬送方向10と交差する方向にヘッド1を移動させる第1の移動手段をさらに有する点が、第1実施形態とは異なる。
【0082】
<液体付与装置100aの構成例>
図17は、本実施形態に係る液体付与装置100aのヘッド1近傍の側面図である。液体付与装置100aは、クリーニングユニット2aと、ヘッド移動機構8と、を有する点が、第1実施形態に係る液体付与装置とは異なる。
【0083】
クリーニングユニット2aは、払拭部材22-1と、払拭部材22-2と、払拭部材22-3と、を有する点が第1実施形態におけるクリーニングユニット2とは異なる。払拭部材22-1はヘッド1-1を、払拭部材22-2はヘッド1-2を、払拭部材22-3はヘッド1-3をそれぞれ払拭する。
【0084】
ヘッド移動機構8は、クリーニングユニット2aが維持動作を行う際に、クリーニングユニット2aの搬送方向10と交差する方向にヘッド1を移動させる第1の移動手段の一例である。
【0085】
クリーニングユニット2aの搬送方向10と交差する方向は、ヘッド1による液体の吐出方向に沿っている。
図17に示す例では、ヘッド1は下方向(-Z方向)に液体を吐出するため、クリーニングユニット2aの搬送方向10と交差する方向は、上下方向(Z方向)に対応する。換言すると、クリーニングユニット2aの搬送方向10は、鉛直方向と交差する方向であり、クリーニングユニット2aの搬送方向10と交差する方向は、鉛直方向である。但し、クリーニングユニット2aの搬送方向10と交差する方向は、上記に限定されず、ヘッド1による液体の吐出方向に合わせて適宜変更可能である。
【0086】
ヘッド移動機構8は、ヘッド移動機構8-1と、ヘッド移動機構8-2と、ヘッド移動機構8-3と、を含む。ヘッド移動機構8-1はヘッド1-1を移動させる。ヘッド移動機構8-2はヘッド1-2を移動させる。ヘッド移動機構8-3はヘッド1-3を移動させる。ヘッド移動機構8は、例えば、直動ガイド部材等を用いた直動機構および該直動機構を駆動させる駆動部等を含んで構成される。駆動部には、モータ、シリンダ等を使用できる。
【0087】
本実施形態では、液体付与装置100aがヘッド移動機構8を有することにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3それぞれのヘッド1に対する状態を、接触状態または非接触状態のいずれか一方に切り替える。これにより液体付与装置100aは、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のそれぞれに対し、各ヘッドに対応する払拭部材を接触させて払拭動作を行うことができる。
【0088】
例えばヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3がそれぞれ異なる種類の液体を吐出する場合に、各ヘッドに対をなす払拭部材を用いて払拭動作を行うことで、特定のヘッドが吐出する液体とは異なる種類の液体が、払拭部材を介して該特定のヘッドに付着することを防ぐことができる。これにより、異なる種類の液体が混ざることにより対象物への液体の付与品質が低下することを防止できる。
【0089】
また、対象物5や付与する液体のパターンに応じて、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、特定のヘッドから液体を吐出しない場合がある。このような場合に、吐出しない特定のヘッドの払拭を行わないことで、不要な払拭によるノズル面の劣化、損傷等を低減することができる。
【0090】
図18は、液体付与装置100aが有する制御部4aの機能構成の一例を示すブロック図である。制御部4aは、ヘッド移動制御部45を有する。ヘッド移動制御部45の機能は、
図4に示したCPU401等のプロセッサがROM402等の不揮発性メモリに格納されたプログラムに規定された処理を実行すること等により実現される。なお、ヘッド移動制御部45は、PCまたはサーバ等の外部装置により実現されてもよいし、制御部4と外部装置との分散処理により実現されてもよい。
【0091】
ヘッド移動制御部45は、出力部44を介してヘッド移動制御信号S3をヘッド移動機構8の駆動部に出力することにより、ヘッド移動機構8の動作を制御する。例えばヘッド移動制御部45は、ヘッド移動機構8によるヘッド1の移動タイミング、移動速度等を制御できる。ヘッド移動制御部45は、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の動作をそれぞれ独立して制御できる。
【0092】
<液体付与装置100aの動作例>
(全体動作例)
図19は、液体付与装置100aの動作の一例を示すフローチャートである。
図19の他、
図17、
図18等も適宜参照して説明する。液体付与装置100aは、例えば、操作部を介して液体付与開始の操作入力信号を受け付けたことを契機に、
図19の動作を開始する。なお、ステップS191~S195の動作は、
図6におけるステップS61~S65の動作と同じであるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0093】
ステップS196において、液体付与装置100aは、制御部4aにより、ヘッド1とクリーニングユニット2aは払拭準備動作の位置関係にあるか否かを判定する。払拭準備動作の位置関係とは、ヘッド1の直下近傍にクリーニングユニット2aが搬送された後、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3に払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3を接触させるために、ヘッド移動機構8によりヘッド1を下降させる前の位置関係をいう。例えば制御部4aは、予め定められた搬送距離分、クリーニングユニット2aを搬送し、ヘッド1の下に払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が位置した場合に、ヘッド1とクリーニングユニット2aは払拭準備動作の位置関係にあると判定する。あるいは制御部4aは、ヘッド1に設けられた近接センサによりクリーニングユニット2aの近接を検出した場合に、ヘッド1とクリーニングユニット2aは払拭準備動作の位置関係にあると判定してもよい。
【0094】
ステップS196において、払拭準備動作の位置関係にないと判定された場合には(ステップS196、NO)、液体付与装置100aは、ステップS208に動作を移行する。一方、払拭準備動作の位置関係にあると判定された場合には(ステップS196、YES)、ステップS197において、液体付与装置100aは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2aの搬送を停止する。
【0095】
続いて、ステップS198において、液体付与装置100aは、ヘッド移動制御部45の制御下で、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の全てを所定高さまで上昇させた後、停止させる。これにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3に接触せずに、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の下を搬送方向10に搬送可能な状態になる。
【0096】
続いて、ステップS199において、液体付与装置100aは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3により対象物5およびクリーニングユニット2aを搬送し、ヘッド1とクリーニングユニット2aが払拭動作の位置関係になったら、搬送を停止させる。払拭動作の位置関係とは、ヘッド1の直下近傍に払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が搬送されたことにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3によるヘッド1の払拭が可能となった位置関係をいう。
【0097】
続いて、ステップS200において、液体付与装置100aは、ヘッド移動制御部45の制御下で、ヘッド移動機構8により、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象となるヘッドを所定高さまで下降させた後、停止させる。これにより、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象となるヘッドのみに払拭部材が接触した状態になる。
【0098】
続いて、ステップS201において、液体付与装置100aは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3によりクリーニングユニット2aを搬送方向10に搬送することにより、払拭対象であるヘッドのノズル面11を払拭部材により払拭する。クリーニングユニット2aが所定距離搬送されることで、払拭対象であるヘッド1の払拭が終了したら、液体付与装置100aは、搬送制御部43の制御下で、クリーニングユニット2aの搬送を停止する。
【0099】
続いて、ステップS202において、液体付与装置100aは、ヘッド移動制御部45の制御下で、ヘッド移動機構8により払拭対象であるヘッドを所定高さまで上昇させた後、停止させる。これにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3に接触せずに、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の下を搬送方向10に搬送可能な状態になる。
【0100】
続いて、ステップS203において、液体付与装置100aは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3により対象物5およびクリーニングユニット2aを搬送し、ヘッド1とクリーニングユニット2aが搬送再開の位置関係になったら搬送を停止させる。搬送再開の位置関係とは、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3のうち、搬送方向10における最上流にある払拭部材22-1が、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、搬送方向10における最下流にあるヘッド1よりも下流側に位置する位置関係をいう。
【0101】
続いて、ステップS204において、液体付与装置100aは、ヘッド移動制御部45の制御下で、ヘッド移動機構8により、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の全てを所定高さまで下降させた後、停止させる。
【0102】
続いて、ステップS205において、液体付与装置100aは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2aの搬送を再開する。
【0103】
続いて、ステップS206において、液体付与装置100aは、制御部4aにより、対象物5への液体付与を終了するか否かを判定する。例えば、制御部4aは、所定総数の対象物5に対して予め定められたパターンで液体を付与できた場合に、液体付与動作を終了すると判定する。あるいは制御部4aは、操作部を介して液体付与終了の操作入力信号を受け付けた場合に、液体付与動作を終了すると判定してもよい。
【0104】
ステップS206において、終了しないと判定された場合には(ステップS206、NO)、液体付与装置100aは、ステップS192以降の動作を再度行う。一方、ステップS206において、終了すると判定された場合には(ステップS206、YES)、液体付与装置100aは動作を終了する。
【0105】
以上のようにして、液体付与装置100aは、対象物5に液体を付与することができる。
【0106】
(維持動作例)
図20~
図26は、液体付与装置100aによる維持動作の一例を模式的に説明する図である。
【0107】
図20は、ヘッド1とクリーニングユニット2aが払拭準備動作の位置関係である状態を示している。すなわち
図20は、コンベヤ3によるクリーニングユニット2aの搬送が停止している状態において、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のそれぞれをヘッド移動方向110aに上昇させた後の状態を例示している。この状態において、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3がヘッド1に接触せずにヘッド1の下を通過可能になる。なお、ヘッド移動方向110aは、クリーニングユニット2aの搬送方向10と交差する方向に対応する。
【0108】
その後、液体付与装置100aは、
図21に示すように、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3によりクリーニングユニット2aを搬送し、ヘッド1とクリーニングユニット2aが払拭動作の位置関係になったら、搬送を停止させる。払拭動作の位置関係では、払拭部材22-1がヘッド1-1の下で搬送方向10における最上流側に、払拭部材22-2がヘッド1-2の下で搬送方向10における最上流側に、払拭部材22-3がヘッド1-3の下で搬送方向10における最上流側に、それぞれ位置する。
【0109】
その後、液体付与装置100aは、
図22に示すように、ヘッド移動制御部45の制御下で、ヘッド移動機構8により、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象となるヘッド1をヘッド移動方向110bに所定高さまで下降させた後、停止させる。これにより、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象となるヘッド1-1に払拭部材22-1が、ヘッド1-3に払拭部材22-3が、それぞれ接触した状態になる。なお、ヘッド移動方向110bは、クリーニングユニット2aの搬送方向10と交差する方向に対応する。
【0110】
その後、液体付与装置100aは、
図23に示すように、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3によりクリーニングユニット2aを搬送方向10に搬送する。これにより、ヘッド1-1のノズル面11を払拭部材22-1で、またヘッド1-3のノズル面11を払拭部材22-3で、それぞれ払拭できる。クリーニングユニット2aが所定距離搬送されることで、払拭対象であるヘッド1の払拭が終了したら、液体付与装置100aは、搬送制御部43の制御下で、クリーニングユニット2aの搬送を停止する。ここでの所定距離は、例えば搬送方向10におけるノズル面11の最上流側から最下流側までの距離に対応する。
【0111】
その後、液体付与装置100aは、
図24に示すように、ヘッド移動制御部45の制御下で、ヘッド移動機構8により、払拭対象であるヘッド1をヘッド移動方向110aに所定高さまで上昇させた後、停止させる。これにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3に接触せずに、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の下を搬送方向10に搬送可能な状態になる。
【0112】
その後、液体付与装置100aは、
図25に示すように、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3により対象物5およびクリーニングユニット2aを搬送し、ヘッド1とクリーニングユニット2aが搬送再開の位置関係になったら搬送を停止させる。
【0113】
その後、液体付与装置100aは、
図26に示すように、ヘッド移動制御部45の制御下で、ヘッド移動機構8により、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の全てを所定高さまで下降させた後、停止させる。その後、液体付与装置100aは、クリーニングユニット2aの搬送を再開する。
【0114】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る液体付与装置について説明する。本実施形態では、クリーニングユニットが液体の付与状態を維持する動作を行う際に、クリーニングユニットの搬送方向10と交差する方向に払拭部材を移動させる第2の移動手段をさらに有する点が、上述した実施形態とは異なる。
【0115】
<液体付与装置100bの構成例>
図27は、本実施形態に係る液体付与装置100bのヘッド1近傍の側面図である。液体付与装置100bは、クリーニングユニット2bを有する点が、上述した実施形態に係る液体付与装置とは異なる。クリーニングユニット2bは、払拭部材移動機構24-1と、払拭部材移動機構24-2と、払拭部材移動機構24-3と、を有する点が、上述した実施形態におけるクリーニングユニットとは異なる。
【0116】
払拭部材移動機構24-1、払拭部材移動機構24-2および払拭部材移動機構24-3のそれぞれは、クリーニングユニット2bが維持動作を行う際に、クリーニングユニット2bの搬送方向10と交差する方向に払拭部材を移動させる第2の移動手段の一例である。
【0117】
クリーニングユニット2bの搬送方向10と交差する方向は、ヘッド1による液体の吐出方向に沿っている。
図27に示す例では、ヘッド1は下方向(-Z方向)に液体を吐出するため、クリーニングユニット2bの搬送方向10と交差する方向は、上下方向(Z方向)に対応する。換言すると、クリーニングユニット2bの搬送方向10は、鉛直方向と交差する方向であり、クリーニングユニット2bの搬送方向10と交差する方向は、鉛直方向である。但し、クリーニングユニット2bの搬送方向10と交差する方向は、ヘッド1による液体の吐出方向に合わせて適宜変更可能である。
【0118】
払拭部材移動機構24-1は払拭部材22-1を移動させ、払拭部材移動機構24-2は払拭部材22-2を移動させ、払拭部材移動機構24-3は払拭部材22-3を移動させる。払拭部材移動機構24-1、払拭部材移動機構24-2および払拭部材移動機構24-3のそれぞれは、例えば、直動ガイド部材等を用いた直動機構および該直動機構を駆動させる駆動部等を含んで構成される。駆動部には、モータ、シリンダ等を使用できる。
【0119】
本実施形態では、液体付与装置100bが払拭部材移動機構24-1、払拭部材移動機構24-2および払拭部材移動機構24-3を有することにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3それぞれのヘッド1に対する状態を、接触状態または非接触状態のいずれか一方に切り替えることができる。この効果は、第2実施形態と同じである。
【0120】
図28は、液体付与装置100bが有する制御部4bの機能構成の一例を示すブロック図である。制御部4bは、払拭部材移動制御部46を有する。払拭部材移動制御部46の機能は、
図4に示したCPU401等のプロセッサがROM402等の不揮発性メモリに格納されたプログラムに規定された処理を実行すること等により実現される。なお、払拭部材移動制御部46は、PCまたはサーバ等の外部装置により実現されてもよいし、制御部4と外部装置との分散処理により実現されてもよい。
【0121】
払拭部材移動制御部46は、出力部44を介して払拭部材移動制御信号S4を払拭部材移動機構9の駆動部に出力することにより、払拭部材移動機構9の動作を制御する。例えば払拭部材移動制御部46は、払拭部材移動機構9による払拭部材の移動タイミング、移動速度等を制御できる。払拭部材移動制御部46は、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3の動作をそれぞれ独立して制御できる。
【0122】
<液体付与装置100bの動作例>
(全体動作例)
図29は、液体付与装置100bの動作の一例を示すフローチャートである。
図29の他、
図27、
図28等も適宜参照して説明する。液体付与装置100bは、例えば、操作部を介して液体付与開始の操作入力信号を受け付けたことを契機に、
図29の動作を開始する。なお、ステップS291~S295の動作は、
図6におけるステップS61~S65の動作と同じであるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0123】
ステップS296において、液体付与装置100bは、制御部4bにより、ヘッド1とクリーニングユニット2bは払拭動作の位置関係にあるか否かを判定する。例えば制御部4bは、予め定められた搬送距離分、クリーニングユニット2bを搬送し、ヘッド1の下に払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が位置した場合に、ヘッド1とクリーニングユニット2bは払拭動作の位置関係にあると判定する。あるいは制御部4bは、ヘッド1に設けられた近接センサによりクリーニングユニット2bの近接を検出した場合に、ヘッド1とクリーニングユニット2bは払拭動作の位置関係にあると判定してもよい。
【0124】
ステップS296において、払拭動作の位置関係にないと判定された場合には(ステップS296、NO)、液体付与装置100bは、ステップS302に動作を移行する。一方、払拭動作の位置関係にあると判定された場合には(ステップS296、YES)、ステップS297において、液体付与装置100bは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2bの搬送を停止する。
【0125】
続いて、ステップS298において、液体付与装置100bは、払拭部材移動制御部46の制御下で、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象であるヘッドに対応する払拭部材を所定高さまで上昇させた後、停止させる。これにより、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象となるヘッドのみに払拭部材が接触した状態になる。
【0126】
続いて、ステップS299において、液体付与装置100bは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3によりクリーニングユニット2bを搬送方向10に搬送することにより、払拭対象であるヘッドのノズル面11を払拭部材により払拭する。クリーニングユニット2bが所定距離搬送されることで、払拭対象であるヘッドの払拭が終了したら、液体付与装置100bは、搬送制御部43の制御下で、クリーニングユニット2bの搬送を停止する。
【0127】
続いて、ステップS300において、液体付与装置100bは、払拭部材移動制御部46の制御下で、払拭部材移動機構9により払拭対象であるヘッドに対応する払拭部材を所定高さまで下降させた後、停止させる。これにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3に接触せずに、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の下を搬送方向10に搬送可能な状態になる。
【0128】
続いて、ステップS301において、液体付与装置100bは、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3による対象物5およびクリーニングユニット2bの搬送を再開する。
【0129】
続いて、ステップS302において、液体付与装置100bは、制御部4bにより、対象物5への液体付与を終了するか否かを判定する。例えば、制御部4bは、所定総数の対象物5に対して予め定められたパターンで液体を付与できた場合に、液体付与動作を終了すると判定する。あるいは制御部4bは、操作部を介して液体付与終了の操作入力信号を受け付けた場合に、液体付与動作を終了すると判定してもよい。
【0130】
ステップS302において、終了しないと判定された場合には(ステップS302、NO)、液体付与装置100bは、ステップS292以降の動作を再度行う。一方、終了すると判定された場合には(ステップS302、YES)、液体付与装置100bは動作を終了する。
【0131】
以上のようにして、液体付与装置100bは、対象物5に液体を付与することができる。
【0132】
(維持動作例)
図30~
図34は、液体付与装置100bによる維持動作の一例を模式的に説明する図である。
【0133】
図30は、ヘッド1とクリーニングユニット2bが払拭準備動作の位置関係である状態を例示している。
図30の状態から、液体付与装置100bは、
図31に示すように、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3によりクリーニングユニット2bを搬送し、ヘッド1とクリーニングユニット2bが払拭動作の位置関係になったら、搬送を停止させる。払拭動作の位置関係では、払拭部材22-1がヘッド1-1の下で搬送方向10における最上流側に、払拭部材22-2がヘッド1-2の下で搬送方向10における最上流側に、払拭部材22-3がヘッド1-3の下で搬送方向10における最上流側に、それぞれ位置する。
【0134】
その後、液体付与装置100bは、
図32に示すように、払拭部材移動制御部46の制御下で、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象であるヘッドに対応する払拭部材を所定高さまで上昇させた後、停止させる。これにより、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3のうち、払拭対象となるヘッドのみに払拭部材が接触した状態になる。なお、払拭部材移動方向120aは、クリーニングユニット2bの搬送方向10と交差する方向に対応する。
【0135】
その後、液体付与装置100bは、
図33に示すように、搬送制御部43の制御下で、コンベヤ3によりクリーニングユニット2bを搬送方向10に搬送することにより、払拭対象であるヘッドのノズル面11を払拭部材により払拭する。クリーニングユニット2bが所定距離搬送されることで、払拭対象であるヘッドの払拭が終了したら、液体付与装置100bは、搬送制御部43の制御下で、クリーニングユニット2bの搬送を停止する。ここでの所定距離は、例えば搬送方向10におけるノズル面11の最上流側から最下流側までの距離に対応する。
【0136】
その後、液体付与装置100bは、
図34に示すように、払拭部材移動制御部46の制御下で、払拭部材移動機構9により払拭対象であるヘッドに対応する払拭部材を払拭部材移動方向120bに所定高さまで下降させた後、停止させる。これにより、払拭部材22-1、払拭部材22-2および払拭部材22-3が、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3に接触せずに、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3の下を搬送方向10に搬送可能な状態になる。その後、液体付与装置100bは、クリーニングユニット2bの搬送を再開する。
【0137】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る液体付与装置について説明する。本実施形態では、第1搬送経路および第2搬送経路が直線状である点が、上述した実施形態とは異なる。本実施形態の効果は、第1実施形態と同じである。
【0138】
図35は、本実施形態に係る液体付与装置100cの構成を例示する上面図である。本実施形態では、液体付与装置100cは、コンベヤ3cにより、対象物5を第1搬送経路6cに沿って搬送する。また液体付与装置100cは、コンベヤ3cにより、クリーニングユニット2を第2搬送経路7cに沿って搬送する。第1搬送経路6cおよび第2搬送経路7cは、それぞれ略直線状である。また、第1搬送経路6cの全部は、第2搬送経路7cと同じである。第1搬送経路6cおよび第2搬送経路7cでは、対象物5およびクリーニングユニット2は、上流側の工程から+X方向に略直線状に搬送される。
【0139】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る液体付与装置について説明する。本実施形態では、第2搬送経路は、クリーニングユニットの搬送方向におけるヘッドよりも下流側において、第1搬送経路から分岐する点が、上述した実施形態とは異なる。
【0140】
図36は、本実施形態に係る液体付与装置100dの構成を例示する上面図である。本実施形態では、液体付与装置100dは、コンベヤ3dにより、対象物5を第1搬送経路6dに沿って搬送する。また液体付与装置100dは、コンベヤ3dにより、クリーニングユニット2を第2搬送経路7dに沿って搬送する。
【0141】
第1搬送経路6dは略直線状である。第2搬送経路7dは、搬送方向10におけるヘッド1よりも上流側では、第1搬送経路6dと同じである。また第2搬送経路7dは、搬送方向10におけるヘッド1よりも下流側において、第1搬送経路6dから分岐する。
図36に示す例では、第2搬送経路7dは、分岐部12において第1搬送経路6dから分岐する。分岐部12よりも下流側では、対象物5は+X方向に下流側の工程にむけて搬送され、クリーニングユニット2は+Y方向に搬送される。
【0142】
本実施形態では、クリーニングユニット2は、第1搬送経路6dから分岐後の経路において、第2搬送経路7dから回収されてもよい。クリーニングユニット2を回収することにより、クリーニングユニット2に含まれる吐出液体保持部21(
図3参照)によって保持された液体を廃棄したり、再利用したりすることができる。なお、
図36に示した例では、第2搬送経路7dが第1搬送経路6dに対して略直交する方向に分岐する構成を示したが、これに限定されず、交差する方向に分岐すればよい。また、本実施形態における上記以外の効果は、第1実施形態と同じである。
【0143】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る液体付与装置について説明する。本実施形態では、第2搬送経路は、クリーニングユニットの搬送方向におけるヘッドよりも下流側において第1搬送経路から分岐した後、クリーニングユニットの搬送方向におけるヘッドよりも上流側において第1搬送経路に合流する循環経路を含む点が、上述した実施形態とは異なる。
【0144】
図37は、本実施形態に係る液体付与装置100eの構成を例示する上面図である。本実施形態では、液体付与装置100eは、コンベヤ3eにより、対象物5を第1搬送経路6eに沿って搬送する。また液体付与装置100eは、コンベヤ3eにより、クリーニングユニット2を第2搬送経路7eに沿って搬送する。
【0145】
第1搬送経路6eは直線状である。第2搬送経路7eは、搬送方向10におけるヘッド1よりも上流側および下流側それぞれの一部では、第1搬送経路6eと同じ経路である。また第2搬送経路7eは、搬送方向10におけるヘッド1よりも下流側において第1搬送経路6eから分岐した後、搬送方向10におけるヘッド1よりも上流側において第1搬送経路6eに合流する循環経路を含んでいる。
【0146】
図37に示す例では、第2搬送経路7eは、分岐部12において第1搬送経路6eから分岐する。対象物5は、分岐部12よりも下流側では、+X方向に下流工程にむけて搬送される。一方、クリーニングユニット2は、分岐部12よりも下流側では、+Y方向に搬送された後、曲角部33で搬送方向が90度変化し、-X方向に搬送される。その後、クリーニングユニット2は、曲角部33で搬送方向がさらに90度変化し、-Y方向に搬送される。その後、合流部13において第2搬送経路7eは第1搬送経路6eに合流し、クリーニングユニット2は+X方向に搬送される。
【0147】
対象物5は、上流工程から下流工程への工程間を搬送される必要があるが、クリーニングユニット2は必ずしも工程間を搬送される必要はない。本実施形態では、第1搬送経路6eに対して第2搬送経路7eを分岐および合流させて循環させる。これにより、同じクリーニングユニット2をヘッド1の維持動作に複数回使用することができるため、クリーニングユニット2を交換したり、クリーニングユニット2内に保持された液体を廃棄したりする頻度を減らすことができる。この結果、液体付与装置100eにおける維持動作にかかる手間および時間を削減できる。
【0148】
本実施形態では、クリーニングユニット2は、第1搬送経路6eから分岐後の経路において、第2搬送経路7eから回収されてもよい。クリーニングユニット2を回収することにより、クリーニングユニット2に含まれる吐出液体保持部21(
図3参照)によって保持された液体を廃棄したり、再利用したりすることができる。また、クリーニングユニット2は、第1搬送経路6eから分岐後の経路において、交換されてもよい。これにより、クリーニングユニット2の交換位置を一か所に決定できるため、クリーニングユニット2の交換を行いやすくすることができる。
【0149】
本実施形態における上記以外の効果は、第1実施形態と同じである。
【0150】
[第7実施形態]
第7実施形態に係る液体付与装置について説明する。本実施形態では、複数の払拭手段のうちの第1の払拭手段および第2の払拭手段が搬送方向10と交差する方向に移動するタイミングが異なる点が、第3実施形態とは異なる。
【0151】
より詳しくは、例えば、第3実施形態に係る液体付与装置100bでは、ヘッド1とクリーニングユニット2bが払拭動作の位置関係になった際に、クリーニングユニット2bの搬送を一時停止した状態で、払拭対象であるヘッド1に対応する払拭部材を上昇させ、ヘッド1に接触させて払拭動作を行った。これに対し、本実施形態では、払拭動作を行う際に、クリーニングユニット2bの搬送を一時停止させずに連続搬送する。そして、第1の払拭手段による払拭対象であるヘッド1が第1の払拭手段上に搬送されてくるタイミングで、第1の払拭手段を上昇させ、ヘッドに接触させて払拭動作を行う。また第2の払拭手段による払拭対象であるヘッド1が第2の払拭手段上に搬送されてくるタイミングで、第2の払拭手段を上昇させ、ヘッドに接触させて払拭動作を行う。第1の払拭手段を上昇させるタイミングと、第2の払拭手段を上昇させるタイミングは、異なっている。
【0152】
上記の構成および動作により、クリーニングユニット2bを一時停止せずに維持動作を行うため、維持動作に要する時間を削減し、液体付与装置の生産性を向上させることができる。また、種類の異なる液体を吐出する複数のヘッドに対応する払拭部材を用いて払拭動作を行うことで、特定のヘッドが吐出する液体とは異なる種類の液体が、払拭部材を介して該特定のヘッドに付着することを防ぎ、種類が異なる液体が混ざることによる対象物への液体の付与品質低下を防止できる。なお、上記以外の効果は上述した実施形態と同じである。
【0153】
図38および
図39は、第7実施形態に係る液体付与装置100fによる維持動作の一例を示す図である。
図38および
図39において、液体付与装置100fは、コンベヤ3によりクリーニングユニット2bを搬送方向10に、停止することなく連続搬送している。
【0154】
ヘッド1-1に対応する払拭部材22-3は、自身の上方にヘッド1-1が搬送されてくる直前のタイミングで、ヘッド1-1のノズル面11に接触する高さまで上昇する。その後、
図38に示すように、ヘッド1-1が払拭部材22-3の上方に到達すると、ヘッド1-1のノズル面11に払拭部材22-3が接触する。払拭部材22-3が接触した状態で、クリーニングユニット2bが搬送方向10に搬送されることにより、ヘッド1-1のノズル面11が払拭される。ヘッド1-1のノズル面11が払拭された後、払拭部材22-3は下降して、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3それぞれのノズル面11に接触しない状態になる。
【0155】
その後、ヘッド1-3に対応する払拭部材22-1は、自身の上方にヘッド1-3が搬送されてくる直前のタイミングで、ヘッド1-3のノズル面11に接触する高さまで上昇する。その後、
図38に示すように、ヘッド1-3が払拭部材22-1の上方に到達すると、ヘッド1-3のノズル面11に払拭部材22-1が接触する。払拭部材22-1が接触した状態で、クリーニングユニット2bが搬送方向10に搬送されることにより、ヘッド1-3のノズル面11が払拭される。ヘッド1-1のノズル面11が払拭された後、払拭部材22-3は下降して、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3それぞれのノズル面11に接触しない状態になる。
【0156】
以上のようにして、液体付与装置100fは、ヘッド1のノズル面11を払拭することができる。
【0157】
[第8実施形態]
第8実施形態に係る液体付与装置について説明する。本実施形態では、払拭手段は、クリーニングユニットの搬送方向に交差する平面部を含む板状部材を有し、液体付与装置は、ヘッドに対する接触状態と非接触状態とを切替可能に、上記平面部の傾きを変化させる傾き可変機構をさらに有する点が、上述した実施形態とは異なる。
【0158】
図40は、本実施形態に係る液体付与装置100gの構成の一例を示す図である。液体付与装置100gは、払拭部材22gと、傾き可変機構222と、を有する。払拭部材22gは、平面部220を含む。傾き可変機構222は、平面部220の傾きが変化するように、払拭部材22gの傾きを変化させる。
【0159】
傾き可変機構222は、搬送方向10および上下方向のそれぞれに交差する軸(例えばY軸に平行な軸)回りに払拭部材22gを回転させることにより、平面部220の傾きを変化させる。傾き可変機構222は、回転ステージ、および該回転ステージを回転駆動させるモータ等を含んで構成される。傾き可変機構222は、例えば制御部からの制御信号に応じて回転ステージを回転駆動させることにより、平面部220の傾きを変化させ、ヘッド1に対する払拭部材22gの接触状態と非接触状態とを切り替えることができる。
【0160】
図40における左側の図は、平面部220が上下方向に沿っている状態を示している。この状態では、ヘッド1が払拭部材22gの上方に搬送されてきた際に、払拭部材22gはヘッド1に接触する。
【0161】
図40における右側の図は、平面部220が上下方向に対して角度θ傾いている状態を示している。この状態では、ヘッド1が払拭部材22gの上方に搬送されてきた際に、払拭部材22gはヘッド1に接触しない。
【0162】
以上のように、払拭部材22gは、ヘッド1に対する接触状態と非接触状態とを切り替えることができる。なお、ヘッド1に対する接触状態と非接触状態とを切替可能であれば、傾き可変機構222が払拭部材22gの傾きを変化させるための回転軸の方向は特に制限されない。
【0163】
液体付与装置100gの効果は、第3実施形態に係る液体付与装置100bと同じである。
【0164】
[第9実施形態]
第9実施形態に係る液体付与装置について説明する。本実施形態では、ヘッドは、液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含む。該ノズル面の法線は、対象物の搬送方向に沿う軸、および、上下方向に直交する平面内において対象物の搬送方向に直交する軸、の少なくとも一方の軸回りに、上下方向に沿う軸に対し、5度以上45度以下または-45度以上-5度以下のどちらか一方に傾いている。この点が上述した実施形態とは異なる。
【0165】
図41および
図42は、本実施形態に係るヘッド1の構成例を示す図である。なお、
図41および
図42において、正の角度は時計回りの角度であり、負の角度は反時計回りの角度である。
【0166】
図41では、ヘッド1におけるノズル面11の法線11nは、搬送方向10に沿う軸回りに、上下方向に沿う軸Z1に対し、角度α傾いている。
図41に示す例では、角度αは5度以上45度以下である。但し、角度αは-45度以上-5度以下であってもよい。
【0167】
図42では、ヘッド1におけるノズル面11の法線11nは、搬送方向10に沿う軸を含む平面内において、搬送方向10に直交する軸回りに、上下方向に沿う軸Z1に対し、角度β傾いている。
図42に示す例では、角度βは5度以上45度以下である。但し、角度βは-45度以上-5度以下であってもよい。
【0168】
本実施形態では、上記構成により、ヘッド1からの液体の吐出方向が、対象物5の前面部、背面部または側面部に交差するため、ヘッド1から吐出した液体をこれらの面に付与することができる。なお、対象物5の前面部は、対象物5の搬送方向10に沿う軸に交差する面であって、搬送方向10側(ここでは+X側)の面である。対象物5の背面部は、対象物5の搬送方向10に沿う軸に交差する面であって、搬送方向10とは反対側(ここでは-X側)の面である。対象物5の側面部は、対象物5の側方の面(ここでは+Y側または-Y側の面)である。
【0169】
また、本実施形態では、
図43~
図45に示すように、ヘッドに含まれる複数のヘッドごとにノズル面の法線の傾きが異なっていてもよい。
図43~
図45において、液体付与装置100hは、ヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3を含むヘッド1hを備える。ヘッド1hに含まれるヘッド1-1、ヘッド1-2およびヘッド1-3それぞれのノズル面11の法線11nの傾きは、相互に異なっている。
【0170】
具体的には、ヘッド1-1のノズル面11の法線11nは、上下方向に直交する平面内において対象物5の搬送方向10に直交する軸回りに、上下方向に沿う軸に対し、-45度以上-5度以下の範囲で傾いている。ヘッド1-2のノズル面11の法線11nは、上下方向に直交する平面内において対象物5の搬送方向10に直交する軸回りに、上下方向に沿う軸に対し、0度傾いている、つまり傾いていない。ヘッド1-3のノズル面11の法線11nは、上下方向に直交する平面内において対象物5の搬送方向10に直交する軸回りに、上下方向に沿う軸に対し、5度以上45度以下の範囲で傾いている。この構成においても、上述した本実施形態の効果を得ることができる。
【0171】
上記以外の効果は、上述した実施形態と同じである。
【0172】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0173】
実施形態では、第1搬送経路6のうち対象物5がヘッド1に向き合う位置を含む経路と、第2搬送経路7のうちクリーニングユニット2がヘッド1に向き合う位置を含む経路と、が少なくとも同じであることが好ましい。これにより、維持動作のためにヘッド1を第1搬送経路6から退避させるための移動時間を短縮でき、液体付与装置の生産性を高くするという効果を、好適に得ることができる。
【0174】
また、上述した実施形態では、第1搬送経路6から離隔した位置にヘッド1を移動させない分、ヘッド1の移動時間を削減でき、生産性が高い液体付与装置を提供できる効果を説明した。この効果は、第1搬送経路6からヘッド1を離隔させるために、第1搬送経路6の延在方向に交差する方向であって、上下方向に略直交する方向にヘッド1を移動させない場合に得ることができる。換言すると、実施形態では、ヘッド1を上下方向に移動させても上記の効果を得ることができる。
【0175】
より詳しく説明する。例えば、対象物として用紙等の記録媒体に画像形成を行う場合、ヘッド1と対象物5の間の距離は1mm以下程度の短い距離になることがある。一方、上下方向における吐出液体保持部21、払拭液体保持部23および払拭部材22それぞれの長さは、5mm以上程度である。このため、維持動作を行う場合には、ヘッド1とクリーニングユニット2の間の距離をヘッド1と対象物5の間の距離と同じにすると、ヘッド1がクリーニングユニット2に接触して空吐出や払拭等の維持動作を行えない。
【0176】
従って、上記の場合には、維持動作を行う際に、画像形成を行う状態からヘッド1を上方向に移動させ、ヘッド1とクリーニングユニット2とが接触しない状態にする必要がある。また、維持動作が終了後、対象物5に画像形成を行うために、ヘッド1を下方向に移動させる必要がある。
【0177】
しかしながら、上記の場合におけるヘッド1の上下方向への移動距離は、第1搬送経路6から離隔した位置へヘッド1を移動させて維持動作を行った後、元の位置に戻す場合の、上下方向と交差する水平方向への移動距離と比較して短い。例えば、上下方向への移動距離は50mm未満であり、水平方向への移動距離は50mm以上である。移動距離に応じて、上下方向への移動時間は、水平方向への移動時間よりも短くなる。以上により、ヘッド1を上下方向に移動させても、ヘッド1の移動時間を削減できる効果を得ることができる。なお、ヘッド1を上下方向へ移動させても第1搬送経路6と第2搬送経路7は同じであるため、ヘッド1の上下方向への移動は、搬送経路の異同に対して何ら影響しない。
【0178】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0179】
実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0180】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 対象物に液体を付与する付与手段と、前記付与手段による前記液体の付与状態を維持する維持手段と、前記対象物および前記維持手段のそれぞれを搬送する搬送手段と、前記対象物が搬送される第1搬送経路と、前記維持手段が搬送される第2搬送経路と、を有し、前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、前記維持手段は、前記ノズル面を払拭する払拭手段を含み、前記第1搬送経路は、少なくとも前記付与手段を通過する箇所において前記第2搬送経路と重複している、液体付与装置である。
<2> 前記付与手段は、前記対象物に前記液体を吐出するヘッドである、前記<1>に記載の液体付与装置である。
<3> 前記維持手段が前記液体の付与状態を維持する動作を行う際に、前記維持手段の搬送方向と交差する方向に前記付与手段を移動させる第1の移動手段をさらに有する、前記<1>または前記<2>に記載の液体付与装置である。
<4> 前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、前記維持手段は、前記ノズル面を払拭する払拭手段を含み、前記維持手段が前記液体の付与状態を維持する動作を行う際に、前記維持手段の搬送方向と交差する方向に前記払拭手段を移動させる第2の移動手段をさらに有する、前記<1>または前記<2>に記載の液体付与装置である。
<5> 前記付与手段は、第1の付与手段と、前記第1の付与手段が付与する前記液体とは異なる前記液体を付与する第2の付与手段と、を有し、前記維持手段は、前記第1の付与手段の前記ノズル面を払拭する第1の払拭手段と、前記第2の付与手段の前記ノズル面を払拭する第2の払拭手段と、を有し、前記第2の移動手段は、前記維持手段が前記液体の付与状態を維持する動作を行う際に、前記第1の払拭手段および前記第2の払拭手段のそれぞれを前記維持手段の搬送方向と交差する方向に移動させ、前記第1の払拭手段および前記第2の払拭手段が前記維持手段の搬送方向と交差する方向に移動するタイミングが異なる、前記<4>に記載の液体付与装置である。
<6> 前記維持手段の搬送方向は、鉛直方向と交差する方向であり、前記維持手段の搬送方向と交差する方向は、前記鉛直方向である、前記<1>から前記<5>のいずれか1つに記載の液体付与装置である。
<7> 前記払拭手段は、前記維持手段の搬送方向に交差する平面部を含む板状部材と、前記付与手段に対する接触状態と非接触状態とを切替可能に前記平面部の傾きを変化させる傾き可変機構と、を有する、前記<4>または前記<5>に記載の液体付与装置である。
<8> 前記ヘッドは、前記対象物に付与しない前記液体の吐出である空吐出を実行し、前記維持手段は、前記ヘッドによる空吐出により吐出された前記液体を保持する吐出液体保持部を含む、前記<2>に記載の液体付与装置である。
<9> 前記維持手段の搬送方向における前記吐出液体保持部の長さは、前記維持手段の搬送速度、および、前記維持手段の搬送方向における前記ヘッドの長さ、の少なくとも1つに応じて異なる、前記<8>に記載の液体付与装置である。
<10> 前記対象物は、複数の対象物を含み、前記維持手段は、複数の維持手段を含み、前記対象物は、前記維持手段の搬送方向において隣接する前記維持手段同士の間に配置され、前記維持手段同士の間に配置される前記対象物の数は、前記維持手段の搬送速度および前記液体の種類の少なくとも一方に応じて異なる、前記<1>から前記<9>のいずれか1つに記載の液体付与装置である。
<11> 前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、前記ノズル面の法線は、前記対象物の搬送方向に沿う軸、および、上下方向に直交する平面内において前記対象物の搬送方向に直交する軸、の少なくとも一方の軸回りに、上下方向に沿う軸に対し、5度以上45度以下または-45度以上-5度以下のどちらか一方に傾いている、前記<1>から前記<10>のいずれか1つに記載の液体付与装置である。
<12> 前記第2搬送経路は、前記維持手段の搬送方向における前記付与手段よりも下流側において、前記第1搬送経路から分岐する、前記<1>に記載の液体付与装置である。
<13> 前記第2搬送経路は、前記維持手段の搬送方向における前記付与手段よりも下流側において前記第1搬送経路から分岐した後、前記維持手段の搬送方向における前記付与手段よりも上流側において前記第1搬送経路に合流する循環経路を含む、前記<1>に記載の液体付与装置である。
<14> 前記維持手段は、前記第1搬送経路から分岐された経路において、前記第2搬送経路から回収される、前記<12>または前記<13>に記載の液体付与装置である。
<15> 前記付与手段は、ラインヘッド方式で吐出した前記液体を前記対象物に付与する、前記<1>から前記<14>のいずれか1項に記載の液体付与装置である。
<16> 液体付与装置による液体付与方法であって、前記液体付与装置が、付与手段により、対象物に液体を付与し、維持手段により、前記付与手段による前記液体の付与状態を維持し、搬送手段により、前記対象物および前記維持手段のそれぞれを搬送し、前記対象物は、第1搬送経路を搬送され、前記維持手段は、第2搬送経路を搬送され、前記付与手段は、前記液体を吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を含み、前記維持手段は、前記ノズル面を払拭する払拭手段を含み、前記第1搬送経路は、少なくとも前記付与手段を通過する箇所において前記第2搬送経路と重複している、液体付与方法である。
【符号の説明】
【0181】
1、1-1~1-3 ヘッド(付与手段の一例)
11 ノズル面
11n 法線
12 分岐部
13 合流部
2、2a、2b、2-1~2-3 クリーニングユニット(維持手段の一例)
21 吐出液体保持部
22、22g 払拭部材
220 平面部
222 傾き可変機構
23 払拭液体保持部
3、3c、3d、3e コンベヤ(搬送手段の一例)
31、32、33、34 曲角部
4 制御部
5、5-1~5-9 対象物
6、6c、6d、6e 第1搬送経路
7、7c、7d、7e 第2搬送経路
8、8-1~8-3 ヘッド移動機構
9、9-1~9-3 払拭部材移動機構
10 搬送方向
41 通信制御部
42 吐出制御部
43 搬送制御部
44 出力部
45 ヘッド移動制御部
46 払拭部材移動制御部
10a~10e 液体
100、100a~100g 液体付与装置
110a、110b ヘッド移動方向
120a、120b 払拭部材移動方向
300 パターン
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 HDD/SSD
405 機器接続I/F
406 通信I/F
A システムバス
S1 吐出制御信号
S2 搬送制御信号
S3 ヘッド移動制御信号
S4 払拭部材移動制御信号
α、β、θ 角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0182】